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プロゲステロン受容体拮抗剤
説明

プロゲステロン受容体拮抗剤

【課題】作用がより高いプロゲステロン受容体拮抗剤を提供する。
【解決手段】一般式(I)(式中、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシカルボニル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又はアミノ基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。)で表されるクマリン誘導体を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロゲステロン受容体拮抗活性を有するクマリン誘導体を含有するプロゲステロン受容体拮抗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クマリンは、セリ科、ミカン科、マメ科、キク科等の植物に含まれる芳香として天然に存在している。クマリンは、香料、軽油識別用蛍光剤などに用いられる他、特定のクマリン誘導体は血液凝固防止剤、殺鼠剤などにも用いられる。
【0003】
プロゲステロン(Progesterone)は、女性ホルモンの1種であり、黄体ホルモンとも呼ばれる。プロゲステロンは、主としてプロゲステロン受容体(Progesterone Receptor;PR)に作用し、例えば、子宮内膜や子宮筋の働きの調整を行うなど女性の生殖機能の制御に関与している。そのため、プロゲステロンリガンドは、婦人科系疾患領域に適用されている。例えば、PRアゴニスト(PR作動剤)は、経口避妊薬として用いられたり、月経困難症などの婦人病や乳がんの治療に用いられたり、エストロゲンとの併用によるホルモン療法に用いられている。一方、PRアンタゴニスト(PR拮抗剤)は、流産の促進の他、ホルモン依存性乳がん(非特許文献1参照)、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症(非特許文献2参照)、子宮筋腫(特許文献1参照)、女性の生殖能異常の治療への有用性が示されている。PRアゴニストやPRアンタゴニストとして、例えば特許文献2には、ステロイド誘導体が開示されている。
【0004】
しかし、現在臨床で用いられているステロイド誘導体のPRリガンドは、選択性に乏しく、PR以外のステロイド受容体(アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、グルココルチコイド受容体等)にも作用してしまう。そのため、乳がんの発症等の深刻な副作用を引き起こす懸念があった。そこで、PRへの選択性の高い非ステロイド型PRリガンドの開発が求められている。
【0005】
例えば、特許文献3には、エストロゲン受容体(ER)に対して選択的なアゴニスト(作動剤)活性を有するクマリン誘導体が開示されている。また、本発明者らは、これまでに、PRへの選択性の高い非ステロイド型PRリガンドの探索を行い、PRに対して選択的なアンタゴニスト活性を有する6−フェニルクマリン誘導体(以下の一般式(VII)参照)を見いだしてきた(非特許文献3参照)。
【化3】


(式中、RはH又はCOOEtを示し、RはH、CN、NHCOCH、NCH、Cl又はNOを示し、RがH、CN、NHCOCH、NCH又はClのとき、RはHを示し、RがNOのとき、RはNHを示す。)
【0006】
この一般式(VII)において、RがH、RがHの化合物のPRアンタゴニスト活性(PR拮抗活性)を見積もるために、該化合物についてアルカリホスファターゼアッセイ(AP assay)を行ったところ、そのIC50は0.50μMであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2003−508402号公報
【特許文献2】特表2002−505334号公報
【特許文献3】特表2005−524630号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Horwitz,et al, Horm. Cancer, 283, pub: Birkhaeuser, Boston, Mass., ed. Vedeckis
【非特許文献2】Kettel, et al, Fertility and Sterility, 56, 402, 1991
【非特許文献3】「プロゲステロン活性を有する新規クマリン誘導体の創製」、第27回メディシナルケミストリーシンポジウム講演要旨集、2008年11月10日発行、p56−57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、プロゲステロン拮抗活性がより高いプロゲステロン受容体拮抗剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、クマリン環の6位の水素が5員複素芳香環置換基に置換されたクマリン誘導体、すなわち、
下記一般式(I)
【化4】


(式中、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシカルボニル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又はアミノ基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。)で表されるクマリン誘導体が、優れたPR拮抗活性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)一般式(I)
【化5】


(式中、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシカルボニル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又はアミノ基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。)で表されるクマリン誘導体又はその薬学的に許容し得る塩を含有するプロゲステロン受容体拮抗剤や、(2)RがHを示し、RがH又はアルコキシル基を示し、RがH又はアミノ基を示し、RがH、ハロゲン原子、アルキル基を示し、RがH又はシアノ基を示すことを特徴とする上記(1)に記載のプロゲステロン受容体拮抗剤や、(3)WがN、O又はSを示し、X、Y、ZがそれぞれCを示すことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のプロゲステロン受容体拮抗剤や、(4)RがZに結合しており、RがWに結合していることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のプロゲステロン受容体拮抗剤、(5)一般式(I)で表されるクマリン誘導体が、以下の一般式(II)〜(VI)のいずれかで表されるクマリン誘導体であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のプロゲステロン受容体拮抗剤
【化6】

(式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、RはH又はClを示す。)に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、PR拮抗活性がより高いプロゲステロン受容体拮抗剤を提供することができる。かかるプロゲステロン受容体拮抗剤は、避妊剤、流産促進剤として用いることができるほか、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療剤としても有効に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤は、上記の一般式(I)で表されるクマリン誘導体又はその薬学的に許容し得る塩(以下、「本発明のクマリン誘導体等」とも表示する。)を含有している。本発明のクマリン誘導体等は、クマリン環を保持しつつも、クマリン環の6位の水素が5員複素芳香環置換基に置換されているため、優れたPR拮抗活性を有している。したがって、本発明のクマリン誘導体等は、プロゲステロン受容体拮抗剤として用いることができる。
【0014】
上記の一般式(I)において、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシカルボニル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又はアミノ基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。
【0015】
上記のハロゲン原子としては、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロム基)、ヨウ素原子(ヨード基)を例示することができ、中でも、塩素原子(クロロ基)を好適に例示することができる。
【0016】
上記のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基を好適に例示することができ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基をより好適に例示することができ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状の低級アルキル基をさらに好適に例示することができ、中でも、メチル基、エチル基を特に好適に例示することができる。
【0017】
上記のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7の直鎖状又は分岐状の低級アルコキシカルボニル基を好適に例示することができ、中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等の炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状の低級アルコキシカルボニル基をより好適に例示することができ、中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基等の炭素数2〜4の直鎖状の低級アルコキシカルボニル基をさらに好適に例示することができ、中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基を特に好適に例示することができる。
【0018】
上記のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルコキシル基を好適に例示することができ、中でも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルコキシル基をより好適に例示することができ、中でも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等の炭素数1〜3の直鎖状の低級アルコキシル基をさらに好適に例示することができ、中でも、メトキシ基、エトキシ基を特に好適に例示することができる。
【0019】
上記のアミノ基としては、−NH、−NHR又は−NRR’(RやR’はそれぞれ独立してアルキル基を示す)を例示することができ、中でも、−NRR’を好適に例示することができる。また、該アミノ基におけるRやR’は、それぞれ独立してアルキル基を示すが、RとR’は同じアルキル基であることが好ましい。該アミノ基におけるRやR’のアルキル基の好適な例は、前述したものと同様である。
【0020】
なお、上記のアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基の水素原子は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0021】
上記のRとしては、H、ハロゲン原子を好適に例示することができ、中でも、Hをより好適に例示することができる。上記のRとしては、H、ハロゲン原子、アルコキシル基を好適に例示することができ、中でも、H、アルコキシル基をより好適に例示することができ、中でも、H、メトキシ基、エトキシ基をさらに好適に例示することができる。上記のRとしては、H、ハロゲン原子、アミノ基を好適に例示することができ、中でも、H、アミノ基をより好適に例示することができ、中でも、H、−NRR’をさらに好適に例示することができ、中でも、H、−NRRをより好適に例示することができ、中でも、H、ジメチルアミノ基をさらに好適に例示することができる。上記のRとしては、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基を好適に例示することができ、H、ハロゲン原子、シアノ基をより好適に例示することができ、H、Cl、メチル基、エチル基、シアノ基をさらに好適に例示することができる。上記のRとしては、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基を好適に例示することができ、中でも、H、アルキル基をより好適に例示することができ、中でも、H、メチル基をより好適に例示することができる。
【0022】
上記の一般式(I)の各基の具体的な組み合わせを以下の表1〜表4に例示する。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
また、一般式(I)におけるクマリン環の6位の5員複素芳香環置換基としては、以下の一般式(VII)
【化7】


(式中、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。)で表される5員複素芳香環置換基を好適に例示することができる。一般式(I)や(VII)におけるWとしては、N、O、Sを好適に例示することができ、X、Y、Zとしては、それぞれCを好適に例示することができる。
【0028】
上記の一般式(I)や(VII)における5員複素芳香環置換基には、本発明のプロゲステロン受容体拮抗活性を有している限り、R及びR以外にも、RやRをさらに有していてもよい。R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、より好適にはHを示す。また、上記の一般式(I)や(VII)におけるRはZに結合していることが好ましく、RはWに結合していることが好ましい。
【0029】
本発明におけるクマリン誘導体の中でも特に好適な化合物として、上記一般式(II)〜(VI)のいずれかで表されるクマリン誘導体(式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、RはH又はClを示す。)を例示することができる。
【0030】
本発明におけるクマリン誘導体等が、プロゲステロン受容体拮抗活性を有しているかどうかは、ヒト乳癌細胞(T47D)を用いた以下のアルカリホスファターゼアッセイにより確認することができる。T47D細胞は内因性プロゲステロン受容体を発現しており、該プロゲステロン受容体にプロゲステロン受容体リガンド(アゴニスト)が作用すると、アルカリホスファターゼが誘導される性質を有している。
【0031】
(ヒト乳癌細胞(T47D)を用いたアルカリホスファターゼアッセイ)
10%子牛血清を含むRPMI1640培地にて、ヒト乳癌細胞(T47D)(第日本住友製薬社から購入)(ECACCカタログ番号No.85102201)を培養する。その細胞培養液にプロゲステロン(1nM)を添加し、24時間静置する。そこに、アルカリホスファターゼの基質であるp−ニトロフェノールホスフェートを過剰量添加すると、該基質がアルカリホスファターゼによって加水分解される。加水分解された物質の量を、405nmの波長の吸光度により測定する。この測定値からアルカリホスファターゼの誘導量を定量し、プロゲステロン受容体活性を評価する。このプロゲステロン受容体活性値をコントロール値とする。
【0032】
次に、試験物質のプロゲステロン受容体拮抗活性を評価する。前述のアルカリホスファターゼアッセイにおいて、プロゲステロン(1nM)に加えて、試験物質(1nM)を添加したときのアルカリホスファターゼ活性を測定する。この測定値が、前述のコントロール値よりも低ければ、その試験物質はプロゲステロン受容体拮抗活性(プロゲステロン受容体アンタゴニスト活性)を有していると評価することができる。なお、かかるアルカリホスファターゼアッセイにおいて、添加する試験物質の濃度を様々に変化させ、プロゲステロン受容体活性がコントロール値の半分にまで低下したときの試験物質の濃度を、その試験物質の50%阻害濃度(IC50)と評価することができる。
【0033】
本発明におけるクマリン誘導体等が有するプロゲステロン受容体拮抗活性の好適な程度としては、前述のヒト乳癌細胞(T47D)を用いたアルカリホスファターゼアッセイにおける50%阻害濃度(IC50)が、2.5μM以下、好ましくは2.0μM以下、より好ましくは1.5μM以下、さらに好ましくは1μM以下、より好ましくは0.5μM以下、さらに好ましくは0.2μM以下、より好ましくは0.1μM以下であることを好適に例示することができる。
【0034】
本発明におけるクマリン誘導体等は、公知の反応を組み合わせることにより製造することができ、例えば、後述の実施例中のスキーム1のように、4位に置換基を持つサリチルアルデヒド誘導体を出発化合物とする方法や、スキーム2のように、5’−ブロモ−2’−ヒドロキシアセトフェノンを出発化合物とする方法や、スキーム3のように、5−ブロモサリチルアルデヒドを出発化合物とする方法等により製造することができる。
【0035】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤は、所望のプロゲステロン受容体拮抗活性が得られる限り、本発明におけるクマリン誘導体等の他に、他のプロゲステロン受容体拮抗剤等の任意成分を含んでいてもよい。
【0036】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤に含有されるクマリン誘導体等は、常法によって適宜の製剤とすることができる。製剤の剤型としては散剤、顆粒剤などの固形製剤であってもよいが、より優れたプロゲステロン受容体拮抗活性を得る観点からは、溶液剤、乳剤、懸濁剤などの液剤とすることが好ましい。前述の液剤の製造方法としては、例えば本発明におけるクマリン誘導体等を溶剤と混合する方法や、さらに懸濁化剤や乳化剤を混合する方法を好適に例示することができる。以上のように、本発明におけるクマリン誘導体等を製剤とする場合には、製剤上の必要に応じて、適宜の薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、吸着剤、甘味剤、希釈剤などの任意成分を配合することができる。
【0037】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤の投与方法としては、所望のプロゲステロン受容体拮抗活性が得られる限り特に制限されず、静脈内投与、経口投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与等を例示することができる。また、本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤の投与量や投与回数や投与濃度は、当業者であれば、投与対象の症状や、投与方法や、投与対象の体重等に応じて、容易に最適化することができるが、注射投与の場合は、本発明におけるクマリン誘導体等換算で、一日あたり、例えば、0.01μg/kg〜1000mg/kg、好ましくは0.1μg/kg〜500mg/kgを投与することができ、経口投与の場合は、本発明におけるクマリン誘導体等換算で、一日あたり、例えば、0.1μg/kg〜10g/kg、好ましくは1μg/kg〜5g/kgを投与することができる。
【0038】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤の投与対象となる哺乳動物としては、特に制限されないが、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等を好適に例示することができ、中でもヒトをより好適に例示することができる。
【0039】
本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤は、避妊剤、流産促進剤として用いることができるほか、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療剤としても有効に用いることができる。本発明のプロゲステロン受容体拮抗剤は、プロゲステロン受容体拮抗活性を有しているからである。ここで、「プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患」としては、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因して発症する疾患である限り特に制限されず、例えば、子宮内膜症、子宮筋腫、乳腺症、女性の生殖能異常を好適に例示することができる。
【0040】
また、本発明には、プロゲステロン受容体拮抗剤の製造における本発明におけるクマリン誘導体等の使用;や、本発明におけるクマリン誘導体等をプロゲステロン受容体拮抗剤に使用する方法;や、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療における、本発明におけるクマリン誘導体等の使用;や、避妊又は流産における本発明におけるクマリン誘導体等の使用;や、本発明におけるクマリン誘導体等を哺乳動物(特にヒト)に投与することを特徴とするプロゲステロン受容体の拮抗方法;や、本発明におけるクマリン誘導体等を哺乳動物(特にヒト)に投与することを特徴とする、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療方法;や、本発明におけるクマリン誘導体等を哺乳動物(特にヒト)に投与することを特徴とする避妊又は流産方法;も含まれる。これらの使用や方法における文言の内容やその好ましい態様は、前述したとおりである。また、上記の使用や方法におけるプロゲステロン受容体拮抗剤としては、避妊剤;や、流産促進剤;や、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療剤;を好適に例示することができ、プロゲステロン受容体の過剰な活性化に起因する疾患の予防・治療剤としては、子宮内膜症、子宮筋腫、乳腺症及び女性の生殖能異常から選択される疾患の予防・治療剤を好適に例示することができる。
【0041】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
[一般式(II)で表される本発明のクマリン誘導体の合成]
上記の一般式(II)で表される本発明のクマリン誘導体(以下のスキーム1における化合物1)の合成を行った。その合成スキームを以下のスキーム1(Scheme1)に示す。
【0043】
【化8】

【0044】
(1)スキーム1における化合物8から化合物9の合成
4−ジエチルアミノサリチルアルデヒド(化合物8)(2.56g、13.3mmol)を脱水メチレンクロライド(30mL)に溶かし、ピリジン(10mL)、無水酢酸(7mL)を加え、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去後に得られた茶色油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-hexane=1:3)で精製して、化合物9 (3.11g、13.2mmol、quant) を黄色油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.74 (s, 1 H), 7.65 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.55 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 3.41 (q, J = 6.8 Hz, 2 H×2), 2.38 (s, 3 H), 1.21 (t, J = 6.8 Hz, 3 H×2).
【0045】
(2)スキーム1における化合物9から化合物10の合成
化合物9(0.908g、3.860mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、臭素(1.227g、7.678mmol)の酢酸(10mL)溶液を加えて1時間撹拌した。その後、反応液を氷水に入れ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和NaHCO、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。得られた茶色油状物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:8) で精製して、化合物10(0.796g、2.532mmol、66%) を黄色油状物質として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ9.86 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 3.29 (q, J = 6.8 Hz, 2H×2), 2.38 (s, 3H), 1.14 (t, J = 6.8 Hz, 3H×2).
【0046】
(3)スキーム1における化合物10から化合物11の合成
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)(メトキシカルボニルメチル)ホスホン酸塩(115mg、0.359mmol)、及び、18−crown−6(222mg、0.839mmol)を無水テトラヒドロフラン(6mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下、0℃で、ポタジウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5M トルエン溶液、1.4mL、0.7mmol)を加えた。その後、反応液を−78℃に冷やし、化合物10(105mg、0.333mmol)を加えて、4時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、中性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:10) で精製して、化合物11 (59mg、0.199mmol、60%) をオレンジ油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.66 (s, 1 H), 7.56 (d, J = 9.3 Hz, 1 H), 6.94 (s, 1 H), 6.28 (d, J = 9.3 Hz, 1 H), 3.22 (q, J = 6.8 Hz, 2 H×2), 1.10 (t, J = 6.8 Hz, 3 H×2).
【0047】
(4)スキーム1における化合物11から化合物1の合成
チオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル(122mg、0.580mmol)、フッ化セシウム(146mg、0.961mmol)、PdCl(dppf)−CHCl(32mg、0.038mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下、室温で化合物11(57mg、0.191mmol)に加えた。反応液を60℃に加熱し、3時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム、水、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:4) 及びゲル浸透クロマトグラフィーで精製して、化合物1 (33mg、0.108mmol、56%) を得た。
褐色針状晶;mp 98 ℃(AcOEt / n-hexane); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.66 (d, J = 9.3 Hz, 1 H), 7.49 (s, 1 H), 7.33 (d, J = 4.6 Hz, 1 H), 7.32 (d, J = 3.4 Hz, 1 H), 7.05 (dd, J = 4.9, 3.4 Hz, 1 H), 6.28 (d, J = 9.3 Hz, 1 H), 3.07 (q, J =6.8 Hz, 2 H×2), 1.02 (t, J = 6.8 Hz, 3 H×2); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ161.3, 154.4, 143.3, 140.8, 129.5, 127.0, 126.6, 126.2, 125.4, 114.0, 109.7, 46.2, 11.6; HRMS (ESI) calcd for C17H17NNaO2S (MNa)+322.0872. Found 322.0879; Anal.Calcd for C17H17NO2S: C, 68.20; H, 5.72; N, 4.68. Found: C, 68.25; H, 5.81; N, 4.65.
【実施例2】
【0048】
[一般式(III)で表される本発明のクマリン誘導体の合成]
上記の一般式(III)で表される本発明のクマリン誘導体(以下のスキーム2における化合物2及び化合物3)の合成を行った。その合成スキームを以下のスキーム2(Scheme2)に示す。なお、化合物2は、上記の一般式(III)におけるRがメチル基である化合物であり、化合物3は、上記の一般式(III)におけるRがエチル基である化合物である。
【0049】
【化9】

【0050】
(1)スキーム2における化合物12から化合物13の合成
5’−ブロモ-2’−ヒドロキシアセトフェノン(100mg、0.465mmol)を含有するエーテル溶液(1mL)に、0℃でNaH(60%、87mg、2.17mmol)を炭酸ジエチル(1mL)に懸濁させたものを加え、反応液を5時間還流させた。反応後、0℃で50%水−メタノールを加えた。更に1M塩酸で中和した液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去して、化合物13 (97mg、0.403mmol、87%) を黄色油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ12.77 (br, 1 H), 7.90 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.81 (dd, 1 H, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.37 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 5.62 (s, 1 H).
【0051】
(2)スキーム2における化合物13から化合物14の合成
化合物13(95mg、0.395mmol)及び炭酸カリウム(63mg、0.456mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶かし、室温にてヨウ化メチル(0.1mL、1.61mmol)を加えて1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:2) で精製して、化合物14 (62mg、0.242mmol、61%) を無色粉末状結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 7.95 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.63 (dd, 1 H, J = 8.7, 2.4 Hz), 7.21 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 5.71 (s, 1 H), 4.00 (s, 3 H).
【0052】
(3)スキーム2における化合物13から化合物15の合成
前述の化合物14の合成法に従って、化合物13から化合物15を(54%)を無色粉末状結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.95 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.63 (dd, 1 H, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.20 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 5.68 (s, 1 H), 4.21 (q, 2 H, J = 6.8 Hz), 1.56 (t, 3 H, J = 6.8 Hz).
【0053】
(4)スキーム2における化合物14から化合物2の合成
5−クロロチオフェン−2−ボロン酸(120mg、0.736mmol)、フッ化セシウム(201mg、1.32mmol)、PdCl(dppf)−CHCl(40mg、0.049mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下、室温で化合物14(62mg、0.242mmol)に加えた。反応液を60℃に加熱し、3時間攪拌した後、室温まで冷やした。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム、水、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:3) 及びゲル浸透クロマトグラフィーで精製して、化合物2(30mg、0.101mmol、42%) を得た。
白色針状結晶;mp 220 ℃(AcOEt);1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.90 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.68 (dd, 1 H, J = 8.3, 2.0 Hz), 7.33 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 7.09 (d, 1 H, J = 4.0 Hz), 6.91 (d, 1 H, J = 4.0 Hz), 5.73 (s, 1 H), 4.03 (s, 1 H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3)δ166.1, 162.6, 152.9, 141.3, 130.0, 130.0, 129.7, 127.4, 123.0, 119.8, 117.7, 116.2, 90.8, 56.6; MS m/z 293 (MH+); HRMS calcd for C14H10ClO3S (MH+) 293.0033, found 293.0032; Anal. calcd for C14H9ClO3S C, 57.44; H, 3.10; N, 0, found C, 57.32; H, 3.29; N, 0.
【0054】
(5)スキーム2における化合物15から化合物3の合成
前述の化合物2の合成法に従って合成し、化合物15から化合物3(73%)を得た。
黄色粉末状結晶;mp 185 ℃(AcOEt);1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.88 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.65 (dd, 1 H, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.11 (d, 1 H, J = 8.3 Hz), 7.08 (d, 1 H, J = 3.9 Hz), 6.91 (d, 1 H, J = 3.9 Hz), 5.69 (s, 1 H), 4.23 (q, 2 H, J = 7.3 Hz), 1.57 (t, 3 H, J = 7.3 Hz); 13C NMR (150 MHz, CDCl3)δ165.2, 162.6, 152.9, 141.3, 129.9, 129.8, 129.6, 127.4, 123.0, 119.7, 117.6, 116.3, 91.0, 65.5, 14.2; MS m/z 307 (MH+); HRMS calcd for C15H10ClO3S (MH+) 307.0190, found 307.0192; Anal. calcd for C15H9ClO3S C,58.73; H, 3.61; N, 0, found C, 58.47; H, 3.48; N, 0.
【実施例3】
【0055】
[一般式(IV)〜(VI)で表される本発明のクマリン誘導体の合成]
上記の一般式(IV)〜(VI)で表される本発明のクマリン誘導体(以下のスキーム3における化合物4〜7)の合成を行った。その合成スキームを以下のスキーム3(Scheme3)に示す。なお、化合物4は、上記の一般式(IV)におけるRがHである化合物であり、化合物5は、上記の一般式(IV)におけるRがClである化合物であり、化合物6は、上記の一般式(V)で表される化合物であり、化合物7は、上記の一般式(VI)で表される化合物である。
【0056】
【化10】

【0057】
(1)スキーム3における化合物16から化合物17の合成
5−ブロモサリチルアルデヒド(5.009g、24.92mmol)をメチレンクロライド(60mL)に溶かし、室温で、ピリジン(20mL)と無水酢酸(11mL)を加えて、4.5時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n-hexane=1:5) で精製して、化合物17(5.775g、23.76mmol、95%)を無色粉末状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ10.05 (s, 1 H), 8.00 (s, 1 H) , 7.73 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 2.39 (s, 3 H).
【0058】
(2)スキーム3における化合物17から化合物18の合成
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)(メトキシカルボニルメチル)ホスホン酸塩(2.539g、7.981mmol) および18−crown−6(3.616g、13.68mmol)を無水テトラヒドロフラン(60mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下、0℃で、ポタジウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5M トルエン溶液、15.0mL、7.5mmol)を加えた。その後、反応液を−78℃に冷やし、化合物17(1.841g、7.573mmol)を加えて、1日攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、中性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:5) で精製して、化合物18(1.099g、4.882mmol、64%)を無色粉末状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.63 (s, 1 H), 7.63-7.61 (m, 2 H), 7.23 (d, J = 9.8 Hz, 1 H), 6.47 (d, J = 9.8 Hz, 1 H).
【0059】
(3)スキーム3における化合物18から化合物4の合成
チオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル(153mg、0.73mmol)、フッ化セシウム(188mg、1.24mmol)、PdCl(dppf)−CHCl(36.1mg、0.44mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下、室温で化合物18(54mg、0.24mmol)に加えた。反応液を60℃に加熱し、3時間攪拌した後、室温まで冷やした。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム、水、飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を減圧留去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (AcOEt:n-hexane=1:4) 及びゲル浸透クロマトグラフィーで精製して、化合物4(10.5mg、0.046mmol、19%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.77 (dd, J = 6.3, 2.0 Hz, 1 H ), 7.74 (d, J = 9.8 Hz, 1 H), 7.68 (d, J = 2.0 Hz, 1 H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.33 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1 H), 7.32(dd, J = 3.4, 0.98 Hz, 1 H), 7.11 (dd, J = 5.0, 4.2 Hz, 1 H), 6.47 (d, J = 9.8 Hz, 1 H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) d 160.7, 153.4, 143.3, 142.5, 131.3, 129.7, 128.4, 125.6, 124.8, 123.9, 119.3, 117.6, 117.5; MS m/z 251 (MH+)229; HRMS calcd for C13H9O2S (MH+) 229,0317, found 229.0317; Anal. calcd for C13H8O2S C, 68.40; H, 3.53; N, 0, found C,68.02; H, 3.80; N, 0.
【0060】
(4)スキーム3における化合物18から化合物5の合成
前述の化合物4の合成法に従って合成し、化合物5(18%)を得た。
黄色針状晶;mp 165 ℃(AcOEt); 1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.72 (d, 1 H, J = 9.8 Hz), 7.66 (dd, 1 H, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.57 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.35 (d, 1 H, J = 8.3 Hz), 7.07 (d, 1 H, J = 3.8 Hz), 6.92 (d, 1 H, J = 3.8 Hz), 6.47 (d, 1 H, J = 9.8 Hz); 13C NMR (150 MHz, CDCl3)δ160.5, 153.6, 143.2, 140.9, 130.6, 130.1, 129.2, 127.5, 124.5, 123.1, 119.4, 117.8, 117.7; MS m/z 263 (MH+); HRMS calcd for C13H8ClO2S (MH+) 262.9928, found 262.9928; Anal. calcd for C13H7ClO2S C,59.43; H, 2.69, found C, 59.18; H, 2.95.
【0061】
(5)スキーム3における化合物18から化合物6の合成
前述の化合物4の合成法に従って合成し、化合物6(76%)を得た。
肌色柱状結晶;mp 105 ℃(AcOEt/n-hexane);1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.81 (dd, 1 H, J = 8.5, 2.2 Hz), 7.77 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.74 (d, 1 H, J = 9.3 Hz), 7.50 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.35 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 6.68 (d, 1 H, J = 2.9 Hz), 6.50 (dd, 1 H, J = 3.4, 2.7 Hz), 6.46 (d, 1 H, J = 9.3 Hz); 13C NMR (150 MHz, CDCl3)δ160.6, 153.2, 152.4, 143.4, 142.7, 127.8, 127.5, 122.7, 119.2, 117.4, 117.3, 112.0, 105.7; MS m/z 213 (MH+); HRMS calcd for C13H9O3(MH+) 213.0546, found 213.0549; Anal. calcd for C13H8O3C, 73.58; H, 3.80; N, 0, found C, 73.43; H, 3.72; N, 0.
【0062】
(6)スキーム3における化合物18から化合物7の合成
前述の化合物4の合成法に従って合成し、化合物7(58%)を得た。
無色粉末状結晶;mp 211 ℃ (AcOEt);1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.74 (d, 1 H, J = 9.3 Hz), 7.55 (dd, 1 H, J = 8.7, 2.0 Hz), 7.50 (d, 1 H, J = 2.0 Hz), 7.43 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 6.87 (d, 1 H, J = 3.9 Hz), 6.51 (d, 1 H, J = 9.8 Hz), 6.26 (d, 1 H, J = 4.4 Hz), 3.75 (s, 3 H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3)δ160.3, 154.0, 143.0, 138.2, 132.4, 128.3, 127.9, 119.8, 119.2, 117.9, 117.6, 114.1, 110.4, 106.3, 33.9; MS m/z 251 (MH+); HRMS calcd for C15H11N2O2 (MH+) 251.0815, found 251.0811; Anal. calcd for C15H10N2O2C, 71.99; H, 4.03; N, 11.19, found C, 71.64; H, 4.09; N, 11.23.
【実施例4】
【0063】
[プロゲステロン受容体に対する拮抗活性の評価]
実施例1〜3で合成した化合物1〜7が、プロゲステロン受容体に対する拮抗活性を有しているかどうかを評価するために、内因性プロゲステロンを発現しているヒト乳癌細胞T47Dを用いた以下のアルカリホスファターゼアッセイ(AP assay)を行った。
【0064】
まず、ヒト乳癌細胞(T47D)(第日本住友製薬から購入)(ECACCカタログ番号No.85102201)を用意した。T47D細胞は内因性プロゲステロン受容体を発現しており、該プロゲステロン受容体にプロゲステロン受容体リガンド(アゴニスト)が作用すると、アルカリホスファターゼが誘導される性質を有している。そのアルカリホスファターゼに、アルカリホスファターゼの基質であるp−ニトロフェノールホスフェートを過剰量添加すると、該基質が加水分解される。加水分解された物質の量は、405nmの波長の吸光度により測定することができる。このような性質を利用すると、アルカリホスファターゼ活性を測定することによって、プロゲステロン受容体活性の程度を測定することができる。
【0065】
(1)プロゲステロン(1nM)のプロゲステロン受容体活性
10%子牛血清を含むRPMI1640培地にて、上記のT47D細胞を培養した。T47D細胞の培養液に、プロゲステロン(1nM)を添加し、24時間静置した後でアルカリホスファターゼ活性を測定することによって、アルカリホスファターゼの誘導量を定量し、プロゲステロン受容体活性を評価した。
【0066】
(2)化合物1〜7のプロゲステロン受容体拮抗活性
次に、化合物1〜7のプロゲステロン受容体拮抗活性の測定を行った。具体的には、実施例4の上記(1)のアルカリホスファターゼアッセイにおいて、プロゲステロン(1nM)に加えて、化合物1〜7のいずれかを様々な濃度で添加したときのアルカリホスファターゼ活性を測定した。これらの測定値を、プロゲステロンのみを添加したときのアルカリホスファターゼ活性値と比較し、化合物1〜7のプロゲステロン受容体拮抗活性を、50%阻害濃度(IC50)として算出した。その結果を以下の表5に示す。
【0067】
【表5】

【0068】
表5の結果から分かるように、化合物1〜7はいずれも、優れたプロゲステロン受容体拮抗活性を示し、中でも、化合物1、4、5、6は特に優れたプロゲステロン受容体拮抗活性を示し、中でも化合物4は最も優れたプロゲステロン受容体拮抗活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、プロゲステロン受容体拮抗剤の分野に好適に利用することができる。より詳細には、子宮内膜症、子宮筋腫、乳腺症、女性の生殖能異常の予防又は治療剤の分野や、避妊剤、流産促進剤の分野に好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


(式中、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシカルボニル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシル基を示し、RはH、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又はアミノ基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を示し、W、X、Y、Zは、それぞれ独立して、C、N、O又はSを示す。)で表されるクマリン誘導体又はその薬学的に許容し得る塩を含有するプロゲステロン受容体拮抗剤。
【請求項2】
がHを示し、RがH又はアルコキシル基を示し、RがH又はアミノ基を示し、RがH、ハロゲン原子、アルキル基を示し、RがH又はシアノ基を示すことを特徴とする請求項1に記載のプロゲステロン受容体拮抗剤。
【請求項3】
WがN、O又はSを示し、X、Y、ZがそれぞれCを示すことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロゲステロン受容体拮抗剤。
【請求項4】
がZに結合しており、RがWに結合していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロゲステロン受容体拮抗剤。
【請求項5】
一般式(I)で表されるクマリン誘導体が、以下の一般式(II)〜(VI)のいずれかで表されるクマリン誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロゲステロン受容体拮抗剤。
【化2】


(式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、RはH又はClを示す。)

【公開番号】特開2011−178695(P2011−178695A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43034(P2010−43034)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(305013910)国立大学法人お茶の水女子大学 (32)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【Fターム(参考)】