説明

プロジェクター

【課題】冷却されるブロックの端部の回路部品の冷却を充分に行え、冷却ファンの回転による騒音を低減させるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、冷却風を流動させる第1通風路56を有し、第1通風路56内に設置され、光変調装置(液晶パネル253)に電力を供給する電源ブロック31と、第1通風路56を介して流動する冷却風を吸入して吐出することにより、電源ブロック31を冷却する冷却ファン55と、を備え、第1通風路56と冷却ファン55との間に、冷却ファン55の吸入口に冷却風を流動させる壁部6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターは、光源から射出された光束を光変調装置で画像情報に基づいて変調し、投写レンズでスクリーン上に拡大投写する構成となっている。このようなプロジェクターは、光源を駆動する光源駆動ブロックや、光源駆動ブロックや光変調装置等に電力を供給する電源ブロックなどを備えて構成されている。光源駆動ブロックや電源ブロック等は、構成する回路部品が発熱するため、冷却ファンにより発熱する回路部品を冷却することにより光源駆動ブロックや電源ブロック等を冷却している。
【0003】
特許文献1には、光源駆動ブロックと電源ブロックと冷却ファンとを備え、冷却ファンは、電源ブロックを通して冷却空気を吸入し、この吸入した空気を光源駆動ブロックに吐出する。電源ブロックは、冷却ファンが冷却空気を吸入する過程で冷却される。光源駆動ブロックは、冷却ファンから吐出される冷却空気により強制冷却されることが開示されている。
【0004】
特許文献1によれば、冷却ファンは、発熱量の比較的低い電源ブロックを通して空気を吸入し、吸入した空気を発熱量の比較的高い光源駆動ブロックに吐出するので、光源駆動ブロックおよび電源ブロックを効率的に冷却できると共に、プロジェクターの静粛性を確保できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−272092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によると、電源ブロックの端部で、冷却ファンの近傍となる回路部品の冷却が相対的に不十分となる場合があるという課題がある。
従って、冷却されるブロックの端部の回路部品の冷却を充分に行え、冷却ファンの回転による騒音を低減させるプロジェクターが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を光変調装置で変調して投写するプロジェクターであって、冷却風を流動させる第1通風路を有し、第1通風路内に設置され、光変調装置に電力を供給する電源ブロックと、冷却風を流動させる第2通風路を有し、第2通風路内に設置され、光源を駆動する光源駆動ブロックと、第1通風路または第2通風路を介して流動する冷却風を吸入して吐出することにより、電源ブロックまたは光源駆動ブロックを冷却する冷却ファンと、を備え、第1通風路または第2通風路と、冷却ファンとの間に、冷却ファンの吸入口に冷却風を流動させる壁部を備えていることを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクターによれば、第1通風路または第2通風路と、冷却ファンとの間に、冷却ファンの吸入口に冷却風を流動させる壁部を備えることにより、通風路を流動してきた冷却風を冷却ファンに効率的に吸入させることができるため、電源ブロックまたは光源駆動ブロックの端部の回路部品の冷却を充分に行えると共に、効率的に電源ブロックまたは光源駆動ブロックを冷却することができる。従って、冷却ファンの回転数を下げることができるため、冷却ファンの回転による騒音を低減させることができ、プロジェクターの静粛性を確保することができる。
【0010】
(適用例2)本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を光変調装置で変調して投写するプロジェクターであって、冷却風を流動させる第1通風路を有し、第1通風路内に設置され、光変調装置に電力を供給する電源ブロックと、冷却風を流動させる第2通風路を有し、第2通風路内に設置され、光源を駆動する光源駆動ブロックと、第1通風路および第2通風路を介して流動する冷却風を吸入して吐出することにより、電源ブロックおよび光源駆動ブロックを冷却する冷却ファンと、を備え、第1通風路または第2通風路と、冷却ファンとの間に、冷却ファンの吸入口に冷却風を流動させる壁部を備えていることを特徴とする。
【0011】
このようなプロジェクターによれば、第1通風路または第2通風路と、冷却ファンとの間に、冷却ファンの吸入口に冷却風を流動させる壁部を備えることにより、第1通風路および第2通風路を流動してきた冷却風を冷却ファンに効率的に吸入させることができるため、効率的に電源ブロックおよび光源駆動ブロックを冷却することができる。従って、冷却ファンの回転数を下げることができるため、冷却ファンの回転による騒音を低減させることができ、プロジェクターの静粛性を確保することができる。
【0012】
(適用例3)上記適用例に係るプロジェクターにおいて、壁部は、第1通風路または第2通風路の内面側に突出して形成される凸部を備えていることが好ましい。
【0013】
このようなプロジェクターによれば、壁部は凸部を備えていることにより、冷却ファンの近傍で、電源ブロックや光源駆動ブロックの端部となる回路部品を効率的に冷却することができる。
【0014】
(適用例4)上記適用例に係るプロジェクターにおいて、冷却ファンは、第1通風路を介して冷却風を吸入し、吸入した冷却風を第2通風路に吐出することが好ましい。
【0015】
このようなプロジェクターによれば、発熱量の比較的低い電源ブロックを流動する冷却風を吸入し、吸入した空気を発熱量の比較的高い光源駆動ブロックに吐出するので、電源ブロックおよび光源駆動ブロックを効率的に冷却できると共に、プロジェクターの静粛性を確保できる。
【0016】
(適用例5)上記適用例に係るプロジェクターにおいて、冷却ファンは、ファン回転軸方向から吸入した冷却風を回転接線方向に吐出することが好ましい。
【0017】
このようなプロジェクターによれば、冷却ファンは、いわゆる遠心ファンであるため、通風路を流動した冷却風を効率的に吸入して吐出させることができる。
【0018】
(適用例6)上記適用例に係るプロジェクターにおいて、第1通風路および/または第2通風路は、導電性を有する金属部材を備えていることが好ましい。
【0019】
電源ブロックや光源駆動ブロックは、外部から入力された電力を所定の電力に変圧するトランス等の回路部品を備えているので、このような回路部品からは、電磁波の強い輻射が起こる。しかし、上記プロジェクターによれば、第1通風路および/または第2通風路は、導電性を有する金属部材を備えているため、この金属部材により、回路部品から放射される電磁波を遮蔽できる。従って、プロジェクターから他の電子機器に対する電磁妨害対策を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るプロジェクターの光学ユニットを示す模式図。
【図2】プロジェクターの内部構造を示す斜視図。
【図3】電源ユニットの斜視図。
【図4】電源ユニットの分解斜視図。
【図5】電源ブロックの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0022】
図1は、実施形態に係るプロジェクター1の光学ユニット2を示す模式図である。図1を参照して、本実施形態の光学ユニット2の概構成と動作に関して簡略に説明する。
【0023】
本実施形態のプロジェクター1は、光源211から射出される光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、この画像光をスクリーン等に拡大投写する。図1に示すように、プロジェクター1は、略L字状に構成される光学ユニット2、各装置を収容して外装を構成する外装筺体10(図2参照)、制御部(図示省略)、制御部等に電力を供給する電源ユニット3(図2参照)、及びプロジェクター1内部を冷却する冷却ファンを含む冷却ユニット5(図2参照)等を備えている。
【0024】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0025】
図1に示すように、光学ユニット2は、制御部による制御に基づき、光源211から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した画像光を形成して投写するユニットである。光学ユニット2は、光源装置21、照明光学装置22、色分離光学装置23、リレー光学装置24、電気光学装置25、及びこれら光学装置21〜25を内部に収容すると共に、投写レンズ26を所定位置で支持固定する光学部品用筺体20を備えて構成されている。
【0026】
光源装置21は、光源211及びリフレクター212等を備える。光源装置21は、光源211から射出された光束をリフレクター212によって射出方向を揃え、光軸OAに対して平行化して照明光学装置22に向けて射出する。本実施形態の光源装置21は、超高圧水銀ランプを採用している。
【0027】
照明光学装置22は、第1レンズアレイ221、第2レンズアレイ222、偏光変換素子223、重畳レンズ224、及び3つのフィールドレンズ225を備える。第1レンズアレイ221及び第2レンズアレイ222は、光源装置21から射出された光束を複数の部分光束に分解する。偏光変換素子223は、第2レンズアレイ222から射出されたランダム偏光光である部分光束に対し、光の利用効率を高めるために、後述する液晶パネル253で利用可能な略1種類の偏光光に揃える。重畳レンズ224は、フィールドレンズ225と共に、偏光変換素子223から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換し、液晶パネル253の画像形成領域に対して重畳させる。
【0028】
色分離光学装置23は、2枚のダイクロイックミラー231,232、及び反射ミラー233を備え、照明光学装置22から射出された光束を赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光の3色の色光に分離する機能を有する。
【0029】
リレー光学装置24は、入射側レンズ241、リレーレンズ243、及び反射ミラー242,244を備え、色分離光学装置23で分離されたB光をB光用の液晶パネル253Bまで導く機能を有する。なお、光学ユニット2は、リレー光学装置24がB光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、R光を導く構成としてもよい。
【0030】
電気光学装置25は、入射側偏光板251、光変調装置として3つの液晶パネル253(R光用の液晶パネルを253R、G光用の液晶パネルを253G、B光用の液晶パネルを253Bとする)、射出側偏光板254、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム255を備える。電気光学装置25は、色分離光学装置23で分離された各色光を画像情報に応じてそれぞれの液晶パネル253で変調し、色光毎に変調した光束をクロスダイクロイックプリズム255で合成して画像光を形成し、投写レンズ26に向けて射出する。
【0031】
投写レンズ26は、1つあるいは複数のレンズを1つのレンズ群とする複数のレンズ群を備えており、これらのレンズ群が光軸OAに沿って配置されている。そして、投写レンズ26は、入射する画像光をズーム調整する機能、及びフォーカス調整する機能を有し、電気光学装置25で形成された画像光をスクリーン(図示省略)等に拡大投写する。
【0032】
図2は、プロジェクター1の内部構造を示す斜視図である。なお、図2は、プロジェクター1の外装筺体10を構成する上ケースと、制御部等が実装される制御回路基板等を取り外した図であり、プロジェクター1を背面側の上方から見た斜視図である。図2を参照して、プロジェクター1の内部構造を概略説明する。
【0033】
なお、本実施形態を説明する図面(図2及び以降で説明する図)は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、プロジェクター1において、背面10b側から前面10a側の方向をY軸方向(+Y方向)とする。また、Y軸方向に直交してプロジェクター1の左面10d側から右面10c側の方向をX軸方向(+X方向)、Y軸方向およびX軸方向に直交する底面10f側から上面側の方向をZ軸方向(+Z方向)とする。なお、+Y方向を前方向(−Y方向を背面方向)、+X方向を右方向(−X方向を左方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
【0034】
外装筺体10(下ケース11)内部には、プロジェクター1の本体部分が収容されている。本体部分は、投写方向略中央部分で左右方向に延び、一方の端部が前方向に延びて投写レンズ26を備え、他方の端部が左方向に延びて光源装置21を備える平面視略L字状の光学部品用筺体20を備えている。なお、光学部品用筺体20内部には、上述した残りの光学ユニット2(照明光学装置22、色分離光学装置23、リレー光学装置24、電気光学装置25)が収容されている。
【0035】
また、本体部分は、光学部品用筺体20の背面方向で、下ケース11の略背面に沿って設置される電源ユニット3を備えている。なお、電源ユニット3は、後述する電源ブロック31と光源駆動ブロック32とが冷却ファン55を介して略直列に配置されている。また、本体部分は、吸気口(図示省略)に応じた位置、排気口(図示省略)に応じた位置、光源装置21に応じた位置、および電源ユニット3に応じた位置に配置される4つの冷却ファンを含む冷却ユニット5を備えている。
【0036】
冷却ユニット5の構成および動作に関して説明する。
冷却ユニット5は、電気光学装置25(入射側偏光板251、液晶パネル253、射出側偏光板254)および偏光変換素子223を主に冷却する電気光学装置冷却系Aと、光源装置21を主に冷却する光源冷却系Bとを備えている。また、冷却ユニット5は、電源ユニット3を主に冷却する電源冷却系Cと、プロジェクター1内部で温められた空気をプロジェクター1外部に排気する排気冷却系Dとを備えている。
【0037】
電気光学装置冷却系Aは、プロジェクター1内部に外部の空気(外気)を吸入する冷却ファン(図示省略)と、この冷却ファンから吐出された空気を冷却風として電気光学装置25および偏光変換素子223に流動させて吐出する吸気側ダクト51とを備えている。なお、冷却ファンは、本実施形態では、遠心ファンを採用している。遠心ファンは、ファン回転軸方向から吸入した冷却風を回転接線方向に吐出するファンである。
【0038】
冷却ファンは、下ケース11の底面10fに形成される吸気口(図示省略)に設置され、外気を吸入して吸気側ダクト51に吐出する。そして、冷却風は、吸気側ダクト51内を流動し、電気光学装置25の底面部分に形成された開口部(図示省略)から上方に向けて吐出する。これにより、入射側偏光板251、液晶パネル253、射出側偏光板254が冷却される。なお、電気光学装置25を冷却して温まった冷却風は、電気光学装置25の上部に排気される。
【0039】
また、吸気側ダクト51は、途中で分岐され、分岐されたダクト内に冷却風を流動させ、偏光変換素子223に向けて吐出する。これにより、偏光変換素子223が冷却される。偏光変換素子223を冷却して温まった冷却風は、光学部品用筺体20の外に排気される。なお、これらの温まった冷却風は、後述する光源冷却系B、電源冷却系C、排気冷却系Dの動作により、光学部品用筺体20の上方に設置される制御回路基板等で発熱する回路素子等も冷却する。
【0040】
光源冷却系Bは、電気光学装置冷却系Aによりプロジェクター1内部に流動する温まった冷却風を吸入する冷却ファン52と、冷却ファン52から吐出される冷却風を流動して光源装置21に向けて吐出する光源用ダクト53とを備えている。これにより光源装置21が冷却される。この冷却ファン52も遠心ファンを採用している。
【0041】
電源冷却系Cは、電源ユニット3に冷却風を流動させる冷却ファン55を備えている。冷却ファン55は、電気光学装置冷却系Aによりプロジェクター1内部に流動する温まった冷却風を電源ユニット3内部に吸入して吐出することにより、電源ユニット3の発熱する回路部品を冷却し、光源駆動ブロック32の排気口3231(図4参照)から排気する。なお、排気された温まった冷却風は、光源装置21の底面と下ケース11との隙間を流動し、排気冷却系Dによりプロジェクター1外部に排気される。なお、この冷却ファン55も遠心ファンを採用している。電源冷却系Cに関する構成と動作の詳細は、後述する。
【0042】
排気冷却系Dは、電気光学装置冷却系A、光源冷却系B、電源冷却系Cの冷却動作により温められた冷却風(空気)をプロジェクター1外部に排気する冷却ファン(図示省略)と排気側ダクト58とを備えている。プロジェクター1内部の温まった空気は、最終的に、冷却ファンにより吸入されて、排気側ダクト58を流動して排気口からプロジェクター1外部に排気される。なお、この冷却ファンは、本実施形態では、軸流ファンを採用している。軸流ファンは、ファン回転軸方向から吸入した冷却風を、ファン回転軸方向に吐出するファンである。
【0043】
なお、光源装置21や電源ユニット3の発熱量は、電気光学装置25の発熱量に比較して高いため、電気光学装置冷却系Aの動作により温まった空気を冷却風として、光源冷却系Bや電源冷却系Cで使用することができる。
上述した冷却ユニット5の動作により、プロジェクター1内部の発熱部材を冷却することができる。
【0044】
図3は、電源ユニット3の斜視図である。詳細には、電源ユニット3を背面側の上方向から見た斜視図である。図4は、電源ユニット3の分解斜視図である。図3、図4を参照して、電源ユニット3の構成と動作、および電源ユニット3を冷却する電源冷却系Cの構成と動作を説明する。なお、図3以降の図面において、XYZ直交座標系は、電源ブロック31の枠部材312を基準とし、その長手方向をX軸方向とし、枠部材312の前面側の面に直行する方向をY軸方向として図示する。
【0045】
電源ユニット3は、光源装置21および制御回路基板(図示省略)等に電力を供給する。電源ユニット3は、電源ブロック31と光源駆動ブロック32とを備えている。また、電源ユニット3を冷却する電源冷却系Cは、冷却ファン55が電源ブロック31と光源駆動ブロック32との間に設置される。そして、冷却ファン55が空気を吸入する動作により、冷却風が電源ブロック31内を流動することにより電源ブロック31を冷却する。そして、冷却ファン55が空気を吐出する動作により、冷却風が光源駆動ブロック32内を流動することにより光源駆動ブロック32を冷却する。
【0046】
なお、光源駆動ブロック32の発熱量(回路基板321に実装される回路部品の発熱量)は、電源ブロック31の発熱量(回路基板311に実装される回路部品の発熱量)に比較して高い発熱量を有している。従って、本実施形態では、冷却ファン55により、最初に電源ブロック31を冷却し、次に、電源ブロック31を冷却して温まった冷却風により光源駆動ブロック32を冷却する構成となっている。
【0047】
電源ブロック31は、インレットコネクター(図示省略)に接続された電源ケーブル(図示省略)を通して外部から供給された電力を光源駆動ブロック32および制御回路基板(光変調装置(液晶パネル253)への電力供給も含む)等に供給する。電源ブロック31は、図4に示すように、入力される交流を低電圧の直流に変換するトランスや、このトランスからの出力を所定の電圧に変換する変換回路等が実装された回路基板311と、この回路基板311を覆う枠部材312とを備えている。枠部材312は、図4に示すように、導電性および伝熱性を有する金属部材(金属板)を屈曲させて形成され、左右方向の両端および底面側が開口された状態で形成されている。
【0048】
また、電源ブロック31は、回路基板311に実装される回路部品と枠部材312とを必要部分以外の部分で絶縁させる絶縁枠313を備えている。なお、絶縁枠313は、第1絶縁枠313Aと第2絶縁枠313Bとの2体で、それぞれ箱状に構成されている。
【0049】
第2絶縁枠313Bは、回路基板311の前方向(+Y方向)に設置され、第1絶縁枠313Aは、回路基板311の背面側(−Y方向)に設置される。なお、その後、第1絶縁枠313Aと第2絶縁枠313Bとを覆うように枠部材312を設置する。これにより、電源ブロック31が組立てられる。また、枠部材312と絶縁枠313とにより、冷却風を流動させる筒状の第1通風路56が形成される。従って、回路基板311は、第1通風路56内に設置された形態となる。なお、第1通風路56は、冷却ファン55と共に、電源冷却系Cを構成する。
【0050】
第1絶縁枠313Aの長手方向(X方向)の左方向(−X方向)端部で、背面方向(−Y方向)には、冷却ファン55を電源ブロック31の所定の位置に収容するファン収容枠314が、第1絶縁枠313Aに一体に形成されている。また、ファン収容枠314に収容した冷却ファン55を固定するファン固定枠315を備えている。なお、ファン収容枠314には、冷却ファン55の吸入口(図示省略)に対応させて、開口部3141が形成されている。
【0051】
そして、ファン収容枠314の開口部3141に、冷却ファン55の吸入口を合わせて冷却ファン55を収容した後、冷却ファン55、およびファン収容枠314の一部を覆うようにファン固定枠315を被せて、ファン固定枠315を第1絶縁枠313Aにネジ固定する。これにより、冷却ファン55は、第1絶縁枠313A(電源ブロック31)に固定される。なお、冷却ファン55は、電源ブロック31の回路基板311の端部領域に対向する位置に設置される。
【0052】
光源駆動ブロック32は、光源装置21に安定した電圧で電力を供給する。光源駆動ブロック32は、図3、図4に示すように、電源ブロック31から供給される電力を所定の電力に変圧するトランスや、電力蓄積用のコンデンサー、抵抗等が実装された回路基板321と、回路基板321を覆う枠部材322とを備えている。枠部材322は、図3、図4に示すように、導電性および伝熱性を有する金属部材(金属板)を屈曲させて形成され、左右方向の両端および底面側が開口された状態で形成されている。
【0053】
光源駆動ブロック32は、回路基板321に実装される回路部品と枠部材322とを必要部分以外の部分で絶縁させる箱状の絶縁枠323を備えている。なお、絶縁枠323は、流動した冷却風を外部に排気するための排気口3231(図4参照)を絶縁枠323の左方向端部で、底面側(下ケース11側)に備えている。
【0054】
また、絶縁枠323は、右方向(+X方向)の端部に、冷却ファン55の吐出口553から吐出された空気(冷却風)を枠部材322と絶縁枠323とにより形成される第2通風路57内部に流動させる流入部3232が形成されている。
【0055】
絶縁枠323は、回路基板321を覆うように設置される。その後、絶縁枠323を覆うように枠部材322を設置する。これにより、光源駆動ブロック32が組立てられる。また、枠部材322と絶縁枠323とにより、冷却風を流動させる筒状の第2通風路57が形成される。従って、回路基板321は、第2通風路57内に設置された形態となる。なお、第2通風路57は、冷却ファン55、第1通風路56と共に、電源冷却系Cを構成する。
【0056】
なお、上述したように構成される電源ブロック31と光源駆動ブロック32とは、図示省略するフレームに固定されて、図3に示すように、電源ユニット3として一体に組立てられる。これにより、冷却ファン55の吐出口553が、光源駆動ブロック32(絶縁枠323)の流入部3232に挿入された形態で固定される。また、電源ユニット3は、図3に示すように、電源ブロック31と光源駆動ブロック32とが冷却ファン55を介して略直列に配置される。
【0057】
上述した電源ユニット3において、電源冷却系Cとしての動作を図3、図4を参照して説明する。
図3に矢印で示すように、冷却ファン55が駆動することにより、プロジェクター1内部に流動する空気が、電源ブロック31の右方向(+X方向)端部から第1通風路56内に流入する。第1通風路56内を流動した冷却風は、回路基板311の発熱する回路部品から熱を奪い冷却する。
【0058】
そして、回路基板311の回路部品を冷却して温まった冷却風は、第1通風路56の左方向(−X方向)端部から、ファン収容枠314に形成される開口部3141(図4参照)を介して、冷却ファン55の吸入口に流入する。冷却ファン55の吸入口に流入した冷却風は、冷却ファン55により流動方向を垂直に変更され吐出口553(図4参照)から吐出される。
【0059】
冷却ファン55の吐出口553(図4参照)から吐出された冷却風は、光源駆動ブロック32の右方向(+X方向)端部となる流入部3232から第2通風路57内に流入する。第2通風路57内を流動した冷却風は、回路基板321の発熱する回路部品から熱を奪い冷却する。
【0060】
そして、回路基板321の回路部品を冷却して温まった冷却風は、第2通風路57の左方向(−X方向)端部の底面に形成される排気口3231(図4参照)から下ケース11方向に排気される。なお、排気された冷却風は、上述した排気冷却系Dの動作により、プロジェクター1外部に排気される。
上述した電源冷却系Cの動作により、電源ブロック31と光源駆動ブロック32とが冷却される。
【0061】
図5は、電源ブロック31の斜視図であり、図5(a)は、電源ブロック31の底面側左方向から見た斜視図であり、図5(b)は、電源ブロック31の底面側右方向から見た斜視図である。なお、図5では、冷却ファン55およびファン固定枠315を取り外している。図5を参照して、第1通風路56における壁部6および壁部6に形成される凸部61に関して説明する。
【0062】
壁部6は、第1絶縁枠313Aの左方向(−X方向)端部に形成され、第1通風路56の左方向端部を塞ぐと共に、第1通風路56と冷却ファン55との間で、冷却ファン55の吸入口に冷却風を導き流動させるためのものである。そのため、壁部6は、ファン収容枠314の開口部3141に繋がると共に、開口部3141を形成している。なお、壁部6は、第1通風路56を構成している。
【0063】
このように形成される壁部6により、電源ブロック31(回路基板311)の端部の回路部品を効率的に冷却することができる。これにより、図5(b)に示すように、特に、回路基板311の端部で、冷却ファン55の近傍となる回路部品311A,311Bが相対的に冷却不足となることを防止している。
【0064】
また、壁部6には、第1通風路56の内面側に突出して凸部61が形成されている。凸部61は、冷却したい回路部品の近傍に形成されている。本実施形態では、凸部61は、回路部品311Aの近傍に形成されている。この凸部61により、回路部品311Aは更に冷却される。
【0065】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のプロジェクター1において、第1通風路56と冷却ファン55との間に、冷却ファン55の吸入口に冷却風を流動させる壁部6を備えることにより、第1通風路56を流動してきた冷却風を冷却ファン55に効率的に吸入させることができる。これにより、電源ブロック31の端部の回路部品311A,311Bの冷却を充分に行えると共に、効率的に電源ブロック31を冷却することができる。従って、冷却ファン55の回転数を下げることができ、冷却ファン55の回転による騒音を低減させることができ、プロジェクター1の静粛性を確保することができる。
【0066】
本実施形態のプロジェクター1において、壁部6は、第1通風路56の内面側に突出して形成される凸部61を備えていることにより、冷却ファン55の近傍で、電源ブロック31の端部となる回路部品311Aを更に効率的に冷却することができる。
【0067】
本実施形態のプロジェクター1において、冷却ファン55により、発熱量の比較的低い電源ブロック31を流動する冷却風を吸入し、吸入した空気を発熱量の比較的高い光源駆動ブロック32に吐出することで、電源ブロック31および光源駆動ブロック32を効率的に冷却できる。従って、プロジェクター1の静粛性を確保できる。
【0068】
本実施形態のプロジェクター1において、冷却ファン55は、いわゆる遠心ファンを採用しているため、第1通風路56を流動した冷却風を効率的に吸入して吐出させることができる。
【0069】
本実施形態のプロジェクター1において、電源ブロック31や光源駆動ブロック32は、外部から入力された電力を所定の電力に変圧するトランス等の回路部品を備えているので、このような回路部品からは、電磁波の強い輻射が起こる。しかし、第1通風路56および第2通風路57は、導電性を有する金属部材としての枠部材312,322を備えているため、回路部品から放射される電磁波を遮蔽できる。従って、プロジェクター1から他の電子機器に対する電磁妨害対策を図ることができる。また、枠部材312,322は、電磁波を遮蔽する機能のみならず、伝熱性も兼ね備えるため、冷却ファン55による冷却性能の向上を更に図ることができる。
【0070】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0071】
前記実施形態のプロジェクター1は、第1通風路56と冷却ファン55との間に壁部6を備え、第1通風路56を流動してきた冷却風を冷却ファン55に効率的に吸入させる構成にしている。しかし、第2通風路57の端部に冷却ファン55を設置し、第2通風路57と冷却ファン55との間に壁部6を備え、第2通風路57を流動してきた冷却風を冷却ファン55に吸入させる構成としてもよい。その場合、光源駆動ブロック32の端部の回路部品の冷却を充分に行えると共に、効率的に光源駆動ブロック32を冷却することができる。
【0072】
前記実施形態のプロジェクター1は、第1通風路56と冷却ファン55との間に壁部6を備え、第1通風路56を流動してきた冷却風を冷却ファン55に効率的に吸入させる構成にしている。しかし、第1通風路56および第2通風路57を直結(電源ブロック31および光源駆動ブロック32を直結)した構造とし、冷却ファン55は、第1通風路56および第2通風路57を介して流動する冷却風を吸入して吐出することにより、電源ブロック31および光源駆動ブロック32を冷却する構成としてもよい。その場合、壁部6は、第1通風路56または第2通風路57のうち、後段となる通風路と冷却ファン55との間に備えることでよい。なお、この場合は、第1通風路56と第2通風路57が一体となった通風路であってもよい。
【0073】
前記実施形態のプロジェクター1は、冷却ファン55により、電源ブロック31を流動する冷却風を吸入し、吸入した空気を光源駆動ブロック32に吐出することで、電源ブロック31および光源駆動ブロック32を冷却する構成としている。しかし、発熱量によっては、光源駆動ブロック32を流動する冷却風を吸入し、吸入した空気を電源ブロック31に吐出することで、光源駆動ブロック32および電源ブロック31を冷却する構成としてもよい。
【0074】
前記実施形態のプロジェクター1において、冷却ユニット5は、4つの冷却系で構成されている。しかし、これに限られず、電源冷却系Cを除き、適宜変更することができる。
【0075】
前記実施形態のプロジェクター1において、光学ユニット2は、R光、G光、B光に対応する3つの光変調装置を用いる、いわゆる3板方式を採用している。しかし、これに限られず、単板方式の光変調装置を採用してもよい。また、コントラストを向上させるための光変調装置を追加して採用してもよい。
【0076】
前記実施形態のプロジェクター1において、光学ユニット2は、透過型の光変調装置(透過型の液晶パネル253)を採用している。しかし、これに限られず、反射型の光変調装置を採用してもよい。
【0077】
前記実施形態のプロジェクター1において、光学ユニット2は、光変調装置として液晶パネル253を採用している。しかし、これに限られず、一般に、入射光束を画像情報に基づいて変調するものであればよく、例えば、マイクロミラー型の光変調装置等、他の方式の光変調装置を採用することができる。なお、マイクロミラー型の光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。
【0078】
前記実施形態のプロジェクター1において、光学ユニット2は、光源装置21から射出された光束の照度を均一化する照明光学装置22として、第1レンズアレイ221、第2レンズアレイ222からなるレンズインテグレーター光学系を採用している。しかし、これに限定されるものではなく、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系も採用することができる。
【0079】
前記実施形態のプロジェクター1の光学ユニット2において、光源装置21の光源211は、超高圧水銀ランプ等の放電式ランプを採用しているが、レーザーダイオード、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の各種固体発光素子を採用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…プロジェクター、2…光学ユニット、3…電源ユニット、5…冷却ユニット、6…壁部、31…電源ブロック、32…光源駆動ブロック、55…冷却ファン、56…第1通風路、57…第2通風路、61…凸部、211…光源、312,322…枠部材、C…電源冷却系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束を光変調装置で変調して投写するプロジェクターであって、
冷却風を流動させる第1通風路を有し、当該第1通風路内に設置され、前記光変調装置に電力を供給する電源ブロックと、
冷却風を流動させる第2通風路を有し、当該第2通風路内に設置され、前記光源を駆動する光源駆動ブロックと、
前記第1通風路または前記第2通風路を介して流動する前記冷却風を吸入して吐出することにより、前記電源ブロックまたは前記光源駆動ブロックを冷却する冷却ファンと、を備え、
前記第1通風路または前記第2通風路と、前記冷却ファンとの間に、当該冷却ファンの吸入口に前記冷却風を流動させる壁部を備えていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
光源から射出された光束を光変調装置で変調して投写するプロジェクターであって、
冷却風を流動させる第1通風路を有し、当該第1通風路内に設置され、前記光変調装置に電力を供給する電源ブロックと、
冷却風を流動させる第2通風路を有し、当該第2通風路内に設置され、前記光源を駆動する光源駆動ブロックと、
前記第1通風路および前記第2通風路を介して流動する前記冷却風を吸入して吐出することにより、前記電源ブロックおよび前記光源駆動ブロックを冷却する冷却ファンと、を備え、
前記第1通風路または前記第2通風路と、前記冷却ファンとの間に、当該冷却ファンの吸入口に前記冷却風を流動させる壁部を備えていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記壁部は、前記第1通風路または前記第2通風路の内面側に突出して形成される凸部を備えていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記冷却ファンは、前記第1通風路を介して前記冷却風を吸入し、吸入した前記冷却風を前記第2通風路に吐出することを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記冷却ファンは、ファン回転軸方向から吸入した前記冷却風を回転接線方向に吐出することを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記第1通風路および/または前記第2通風路は、導電性を有する金属部材を備えていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−220657(P2012−220657A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85173(P2011−85173)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】