説明

プロジェクター

【課題】調光装置の遮光部を効率よく冷却可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、光源装置31から射出された光束の光軸を介して対向配置され、光束の一部を遮光する一対の遮光部5A,5B、および遮光部5A,5Bの位置を変更させる駆動部51を有し、遮光部5A,5Bの離間距離に応じて通過する光束の光量を調整する調光装置5と、遮光部5A,5Bを収納する光学部品用筐体6と、を備える。光学部品用筐体6は、遮光部5A,5Bの対向する方向に対して略直交し、遮光部5A,5Bに沿う方向に、光学部品用筐体6内の空気を光学部品用筐体6外に排出可能な排出口60を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置にて変調された光束を投写する投写レンズとを備えたプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターとして、投写される画像のコントラストの向上等を目的として、光源装置から射出された光束の一部を遮光し、光変調装置の画像形成領域に入射する光量を調整する調光装置を備えたプロジェクターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の調光装置は、一対の遮光板、複数のギア、およびモーター等を備えている。一対の遮光板は、入射する光束の光軸に対して対称に配置され、それぞれが異なるギアに保持されている。モーターは、ギアに噛合されている。そして、遮光板は、モーターの駆動に応じてギアと共に回転し、位置が変更される。調光装置は、遮光板が変更される位置に応じて遮光する量を変えることで、光変調装置への光量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の調光装置は、遮光板が光束を遮光することに伴って発熱した際に、遮光板の熱がギアやモーター等に伝導することが考えられる。そうすると、ギアが変形したり、モーターが適正な性能を発揮することができなくなったりし、遮光板が精度良く位置変更されず、調光装置は、適正に光量を調整することができなくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して投写するプロジェクターであって、前記光束の光軸を介して対向配置され、前記光束の一部を遮光する一対の遮光部、および前記一対の遮光部の位置を変更させる駆動部を有し、前記一対の遮光部の離間距離に応じて通過する前記光束の光量を調整する調光装置と、前記遮光部を収納する光学部品用筐体と、を備え、前記光学部品用筐体は、前記一対の遮光部の対向する方向に対して略直交し、前記遮光部に沿う方向に、前記光学部品用筐体内の空気を前記光学部品用筐体外に排出可能な排出口を有していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、調光装置は、一対の遮光部が駆動部によって位置が変更されて光源装置からの光量を調整する。遮光部は、光源装置からの光束を遮光することに伴って発熱するが、遮光部を収納する光学部品用筐体の排出口から温まった空気を排出することが可能なので、遮光部を冷却することができる。
また、この排出口は、一対の遮光部の対向する方向に対して略直交し、遮光部に沿う方向に空気が排出されるように形成されているので、一対の遮光部を同等に冷却することが可能となる。すなわち、一対の遮光部のうち一方の遮光部側から他方の遮光部側に空気が流れる構成に比べ、双方の遮光部に温度の低い冷却空気を流すことができるので、効率的に遮光部を冷却することが可能となる。
よって、調光装置は、遮光部および駆動部の発熱による劣化が抑制され、安定して通過光量を調整することが可能となる。したがって、プロジェクターは、コントラスト等の画像品質を安定的に維持して投写することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、当該プロジェクター内部の空気を外部に排出する排気ファンと、前記排出口から排出された空気を前記排気ファンに導く排気ダクトと、を備えることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、排出口から排出される空気は、排気ダクトを介して排気ファンからプロジェクター外部に排出される。よって、遮光部を冷却して温まった空気がプロジェクター内の他の構成部材に吹き付けられることなくプロジェクター外部に排出されるので、他の構成部材の温度上昇を抑制しつつ遮光部の効率的な冷却が可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記排出口は、前記一対の遮光部が互いに最も近づいた際に、前記排出口の中心が前記一対の遮光部より前記光束の入射側となるように形成されていることが好ましい。
【0012】
一対の遮光部は、互いに近づく方向に位置が変更される程、つまり光軸に向かう程、多くの光量を遮光するので、温度が高くなる。この構成によれば、排出口は、一対の遮光部が最も近づいた際に、排出口の中心が一対の遮光部より光束の入射側となるように形成されている。これによって、より温度が高くなる遮光部の入射側により多くの空気を流通させることができるので、遮光部の効率的な冷却が可能となる。
また、効率的な大きさの排出口で遮光部を冷却することが可能となるので、光学部品用筐体の強度の確保や、他の部材を配置するための形状を光学部品用筐体に盛り込むことが可能となる。これによって、光学部品用筐体の小型化や軽量化を図りつつ、遮光部の効率的な冷却が可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記排出口は、前記一対の遮光部に対して前記駆動部の反対側となる位置に配設されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、排出口は、一対の遮光部に対して駆動部の反対側に設けられている。これによって、駆動部を構成する部材に制約されずに、遮光部の形状や移動する位置に対応させて排出口を形成できるので、遮光部のさらに効率的な冷却が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図2】本実施形態の光学ユニットの斜視図。
【図3】本実施形態の調光装置の斜視図。
【図4】本実施形態の光学ユニットおよび排気ユニットの斜視図。
【図5】本実施形態の遮光部およびインナー部材を−Y方向から見た断面図。
【図6】本実施形態の排気ユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーン等に拡大投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、および外装筐体2内の空気を外部に排出する排気ユニット4を備えている。なお、図示は省略するが、外装筐体2の内部には、さらに光源装置31に空気を送風する冷却ファン、および光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置等が配置されている。
【0017】
外装筐体2は、詳細な説明は省略するが、上部を構成する上ケース、下部を形成する下ケースを有している。そして、外装筐体2には、外気を取り込むための吸気口、および外装筐体2内部の温まった空気を外部に排気するための排気口等が設けられている。
【0018】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0019】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源装置31から射出された光束を光学的に処理して投写する。
光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置31に加え、照明光学装置32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、投写レンズ36、およびこれらの部材31〜36を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体6を備える。
【0020】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312、および光源311、リフレクター312等を収納する光源用筐体313を備える。そして、光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312によって射出方向を揃え、照明光学装置32に向けて射出する。また、光源用筐体313には、冷却ファンから送風された空気が流入する光源用流入口、および光源311、リフレクター312を冷却した空気が流出する光源用流出口(いずれも図示省略)が形成されている。
【0021】
照明光学装置32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、重畳レンズ324、および調光装置5を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Lに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0022】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0023】
調光装置5は、一対の遮光部5A,5B(図2参照)を備え、この遮光部5A,5Bが第1レンズアレイ321と第2レンズアレイ322との間に配置される。遮光部5A,5Bは、制御部による制御のもと位置が変更され、変更された位置に応じて第1レンズアレイ321を透過した光束を部分的に遮光する。そして、調光装置5は、第2レンズアレイ322に入射する光量、ひいては、電気光学装置35に入射する光量を調整し、投写される画像のコントラスト向上に寄与する。なお、調光装置5の構成については、後で詳細に説明する。
【0024】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、照明光学装置32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0025】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0026】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0027】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0028】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が表示画像信号に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。
【0030】
投写レンズ36は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして構成され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。
【0031】
図2は、光学ユニット3の斜視図であり、調光装置5を分解した状態を示す図である。
光学ユニット3は、図2に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写レンズ36が配置される。なお、以下では、説明の便宜上、光源装置31から光束が射出される方向を+X方向、投写レンズ36から光束が射出される方向を+Y方向(前方向)、X方向およびY方向に直交し、図2の図面視における上を+Z方向(上方向)として記載する。
【0032】
光学部品用筐体6は、図2に示すように、X方向に長く延出する箱状に形成され、下部筐体61、上部筐体62,63およびインナー部材64(図4参照)を備えている。
下部筐体61は、BMC(Bulk Molding Compound)等の高耐熱材料で形成され、外装筐体2の底面に沿って配置される底面部と、底面部の端縁から起立する側面部とを有している。そして、下部筐体61は、これらにより、上方が開口する箱状に形成されている。下部筐体61は、側面部の内壁面に複数の溝が設けられており、第1レンズアレイ321等の各光学部品は、側端部がこの溝に挿入されて配置される。
【0033】
下部筐体61には、図2に示すように、−Y側の側面部611に開口部6111が形成され、開口部6111の+X方向および−X方向には、ネジ穴6112が設けられている。調光装置5は、遮光部5A,5Bがこの開口部6111から挿入され、ネジ穴6112にネジが挿通されて下部筐体61に取り付けられる。
【0034】
上部筐体62は、ガラス繊維入りのPC(Polycarbonate)等で形成されている。上部筐体62は、図2に示すように、下部筐体61の+X側に収納された色分離光学系33、リレー光学系34等の上方に配置されて下部筐体61にネジ固定される。
【0035】
上部筐体63は、板金製であり、下部筐体61の開口部の−X側に収納された第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323等の上方に配置されて下部筐体61にネジ固定される。また、上部筐体63は、遮光部5A,5Bの上方に位置しており、板金で形成されることで、遮光部5A,5Bの反射光が照射されても光劣化が抑制されるように構成されている。
【0036】
インナー部材64は、板金製であり、遮光部5A,5Bの前後方向および下方を覆うように、下部筐体61の内側に配置される。そして、インナー部材64は、遮光部5A,5Bが反射した光を下部筐体61に対して遮光し、下部筐体61の光劣化を抑制するように構成されている。インナー部材64の形状については、後で詳細に説明する。
【0037】
排気ユニット4は、図1に示すように、排気ファン41を備え、外装筐体2内の空気を外装筐体2内の排気口から外部に排出する。なお、排気ユニット4については、後で詳細に説明する。
【0038】
ここで、調光装置5について詳細に説明する。
図3は、調光装置5の斜視図である。
調光装置5は、図3に示すように、遮光部5A,5Bに加え、ベース部50、および駆動部51を備えている。駆動部51は、ステッピングモーター(以下「モーター」と略す)52、第1ギア53、第2ギア54、および第3ギア55を備え、制御部の制御に基づいて遮光部5A,5Bを回転させて遮光部5A,5Bの位置を変更させる。
【0039】
ベース部50は、図3に示すように、板金で形成されたベース本体、およびベース本体に取り付けられた複数の支持軸を有し、駆動部51を支持するように構成されている。具体的に、ベース部50は、図3に示すように、−Y側の面にモーター52を支持し、+Y側の面に第1ギア53、第2ギア54および第3ギア55を支持する。
【0040】
モーター52は、図示しないケーブルによって制御部に接続されており、制御部により駆動される。
モーター52は、図3に示すように、回転軸であるスピンドルを有するモーター本体と、このスピンドルの先端に設けられたピニオン521とを備えている。モーター52は、図3に示すように、ピニオン521がベース本体の+Y側の面から飛び出すように、モーター本体がベース本体の−Y側の面にネジ固定される。
【0041】
第1ギア53は、ピニオン521に噛合され、モーター52で発生した駆動力を第2ギア54に伝達する。
具体的に、第1ギア53は、図3に示すように、径寸法が異なる2つのギアが同軸上に積層されて形成されている。第1ギア53は、2つのギアのうち、大きい径のギアがピニオン521に噛合され、支持軸に軸支される。そして、第1ギア53は、ピニオン521の回転を減速して第2ギア54に伝達する。
【0042】
第2ギア54は、図3に示すように、平面視半円形状を有しており、この半円状の外周には、歯形が形成されている(図示せず)。また、第2ギア54の端部には、遮光部5Aが+Y方向に突出するように取り付けられる。第2ギア54は、第1ギア53の2つのギアのうち、小さい径のギアに噛合され、支持軸に軸支される。第2ギア54は、第1ギア53を介して伝達されたモーター52の駆動力によって回転する。そして、第2ギア54に保持されている遮光部5Aは、第2ギア54の回転によって位置を変える。
【0043】
第3ギア55は、図3に示すように、平面視半円形状を有しており、この半円状の外周には、歯形が形成されている。また、第3ギア55の端部には、遮光部5Bが+Y方向に突出するように取り付けられる。第3ギア55は、第2ギア54に噛合され、支持軸に軸支される。第3ギア55は、第1ギア53および第2ギア54を介して伝達されたモーター52の駆動力によって第2ギア54とは反対方向に回転する。そして、第3ギア55に保持されている遮光部5Bは、第3ギア55の回転によって位置を変える。
【0044】
このように、駆動部51は、第2ギア54と第3ギア55とを互いに反対方向に回転させることによって、第2ギア54、第3ギア55にそれぞれ固定されている遮光部5A,5Bの位置を変更させる。なお、第2ギア54および第3ギア55の歯形が形成されている範囲は、遮光部5A,5Bの位置が変更される範囲に対応して設定されている。そして、調光装置5は、第2ギア54および第3ギア55が半円形状に形成されることで、円形状に形成される場合に比べて、小型化が図られている。
【0045】
遮光部5A,5Bは、板金で形成され、図3に示すように、光軸Lを含むX−Y平面に対して対称となるように形成されている。つまり、遮光部5A,5Bは、光軸Lを介して対向配置される。
遮光部5A,5Bは、Y方向が長手方向となる平面視矩形状に形成され、長手方向の寸法が第2レンズアレイ322における各小レンズが形成された領域における同方向の寸法に応じて設定され、短手方向の寸法が、同じく各小レンズが形成された領域における同方向の寸法の略半分に設定されている。
【0046】
遮光部5A,5Bは、−Y側の端部が第2ギア54、第3ギア55にそれぞれ片持ち支持され、駆動部51に対して+Y方向に突出している。そして、遮光部5A,5Bは、第2ギア54、第3ギア55の回転に伴って互いに近づく方向に移動したり、互いが遠ざかる方向に移動したりすることによって、互いの離間距離が変更される。
【0047】
図4は、光学ユニット3および排気ユニット4の斜視図であり、上部筐体63を省略した図である。図5は、遮光部5A,5Bおよびインナー部材64を−Y方向から見た断面図である。
調光装置5は、図4に示すように、遮光部5A,5Bが第1レンズアレイ321と第2レンズアレイ322との間の下部筐体61に収納され、ベース部50が−Y側の側面部611(図2参照)に固定される。そして、駆動部51および排出口60は、遮光部5A,5Bを介して互いに反対側となる位置に配設されることとなる。
【0048】
遮光部5A,5Bは、前述したように、第2ギア54、第3ギア55の回転に伴って位置が変更され、図5に示すように、第1レンズアレイ321を透過した光束が射出される領域(以下「透過領域LA」という)内に挿入される量が変更される。
【0049】
そして、遮光部5A,5Bは、透過領域LA内に挿入された量に応じた量の光束を遮光する。具体的に、遮光部5A,5Bは、図5に示すように、透過領域LA内に挿入されない位置においては、第1レンズアレイ321を透過した光束を遮光せず、第1レンズアレイ321を透過した光束をそのまま通過させる。
【0050】
遮光部5A,5Bは、透過領域LA内に挿入されない状態から互いが近づく方向に回転されると、互いに対向する側の端部から透過領域LA内に挿入されていく。そして、遮光部5A,5Bは、透過領域LA内に挿入されたそれぞれの光束入射側端面で第1レンズアレイ321を透過した光束の一部を遮光する。そして、遮光部5A,5Bは、互いが近づく方向に移動される程、多くの量の光束を遮光し、互いが最も近づいた状態で最も多くの量の光束を遮光する。このように、調光装置5は、遮光部5A,5Bの離間距離に応じて通過する光束の光量を調整する。
【0051】
次に、インナー部材64について詳細に説明する。
インナー部材64は、前述したように、遮光部5A,5Bの前後方向および下方を覆うように形成され、図4に示すように、下部筐体61の底面部および側面部の内面に沿う壁部を有して形成されている。そして、下部筐体61の+Y側の側面部に沿うインナー部材64の壁部には、開口部641が形成されている。
【0052】
図示は省略するが、下部筐体61の+Y側の側面部には、開口部641に対応する位置に開口部641と同等の大きさの開口部が形成されている。つまり、光学部品用筐体6には、インナー部材64の開口部641と、開口部641に対応する位置に形成された下部筐体61の開口部とで、光学部品用筐体6内の空気を光学部品用筐体6外に排出可能な排出口60が形成されることとなる。
【0053】
排出口60は、図5に示すように、上下方向(Z方向)が長尺となる平面視矩形状に形成されている。また、排出口60は、遮光部5A,5Bの対向する方向に対して略直交し、遮光部5A,5Bに沿う方向に設けられている。さらに、排出口60は、排出口60側から見て、遮光部5A,5Bが最も近づいた際(図5のおいて実線で示す)に、排出口60の中心Cが遮光部5A,5Bより光束の入射側となるように形成されている。
【0054】
次に、排気ユニット4について、詳細に説明する。
図6は、排気ユニット4の斜視図である。排気ユニット4は、図6に示すように、排気ファン41に加え、排気ダクト7を備えている。
排気ファン41は、軸流ファンで構成され、図4に示すように光源装置31の−X方向に配置される。排気ファン41は、図示しないケーブルを介して制御部に接続され、制御部の制御によって駆動される。
【0055】
排気ダクト7は、図6に示すように、空気が流入する複数の流入口721,722,723を有し、この流入口721,722,723から流入する空気を排気ファン41に導く。
排気ダクト7は、光源装置31(図4参照)が装着される光源装着部71、流入口721,722,723が形成された流路形成部72、および排気ファン41が配置されるファン配置部73を有している。
光源装着部71は、光源装置31の下側を受けるように複数の段差を有して形成されている。
【0056】
流路形成部72は、光源装着部71の+Y側に設けられ、光源装着部71より上方に突出する箱状に形成されている。流路形成部72は、図4に示すように、−Y側の側面部が光学部品用筐体6の+Y側の側面部に対向するように形成されている。そして、流路形成部72には、図6に示すように、−Y側の側面部に流入口721,722,723が設けられている。流入口721は、光学部品用筐体6の排出口60に対向するように形成され、流入口722,723は、光源用筐体313の光源用流出口に対向するように形成されている。
【0057】
ファン配置部73は、光源装着部71および流路形成部72の−X側に形成されている。ファン配置部73は、排気ファン41の外周を覆う開口部を有し、この開口部は、流路形成部72の流入口721,722,723に連通している。
【0058】
ここで、排気ダクト7内の空気の流れについて説明する。
排気ファン41が駆動されると、排気ダクト7には、流入口721,722,723から空気が流入し、排気ファン41から外装筐体2外部に排出される。
【0059】
具体的に、光学部品用筐体6の内部には、図4に示すように、排出口60に向かう空気が流れる(流路F1)。つまり、光学部品用筐体6に収納されている遮光部5A,5Bには、遮光部5A,5Bの対向する方向に対して略直交し、遮光部5A,5Bに沿う方向に空気が流れ、遮光部5A,5Bは、冷却される。そして、遮光部5A,5Bを冷却し、排出口60から排出された空気は、図4、図6に示すように、流入口721に流入する(流路F2)。
【0060】
流入口722,723には、光源装置31を冷却し、光源用筐体313の光源用流出口から排出された空気が流入する(図6における流路F3,F4)。
そして、流入口721,722,723から流入する空気は、排気ダクト7内で混合され、排気ファン41によってプロジェクター1外部に排出される(図4、図6における流路F5)。
【0061】
このように、排気ユニット4は、排気ダクト7が排出口60および光源用筐体313の光源用流出口から排出された空気を排気ファン41に導き、遮光部5A,5Bおよび光源装置31を冷却する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)遮光部5A,5Bは、光源装置31からの光束の一部を遮光することに伴って発熱するが、排出口60から温まった空気が排出されるので、冷却される。
また、この排出口60は、遮光部5A,5Bの対向する方向に対して略直交し、遮光部5A,5Bに沿う方向に空気が排出されるように形成されているので、遮光部5A,5Bを同等に冷却することが可能となる。すなわち、一対の遮光部5A,5Bのうち一方の遮光部側から他方の遮光部側に空気が流れる構成に比べ、遮光部5A,5Bの双方に温度の低い冷却空気を流すことができるので、効率的に遮光部5A,5Bを冷却することが可能となる。
よって、調光装置5は、遮光部5A,5Bおよび駆動部51の温度上昇による劣化が抑制され、安定して通過光量を調整することが可能となる。したがって、プロジェクター1は、コントラスト等の画像品質を安定的に維持して投写することが可能となる。
【0063】
(2)排出口60から排出される空気は、排気ダクト7を介して排気ファン41からプロジェクター1外部に排出される。よって、遮光部5A,5Bを冷却して温まった空気がプロジェクター1内の他の構成部材に吹き付けられることなく外部に排出されるので、他の構成部材の温度上昇を抑制しつつ遮光部5A,5Bの効率的な冷却が可能となる。
【0064】
(3)一対の遮光部5A,5Bは、互いに近づく方向に位置が変更される程、つまり光軸Lに向かう程、多くの光量を遮光するので、温度が高くなる。この構成によれば、排出口60は、遮光部5A,5Bが最も近づいた際に、中心Cが遮光部5A,5Bより入射側となるように形成されている。これによって、より温度が高くなる遮光部5A,5Bの入射側により多くの空気を流通させることができるので、遮光部5A,5Bの効率的な冷却が可能となる。
また、効率的な大きさの排出口60で遮光部5A,5Bを冷却することが可能となるので、光学部品用筐体6の強度の確保や、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322等、他の部材を配置するための形状を光学部品用筐体6に盛り込むことが可能となる。これによって、光学部品用筐体6の小型化や軽量化を図りつつ、遮光部5A,5Bの効率的な冷却が可能となる。
【0065】
(4)排出口60は、遮光部5A,5Bに対して駆動部51の反対側に設けられている。これによって、駆動部51を構成する第2ギア54や第3ギア55等の部材に制約されずに、遮光部5A,5Bの形状や移動する位置に対応させて排出口60を形成できるので、遮光部5A,5Bのさらに効率的な冷却が可能となる。
【0066】
(5)光路上における遮光部5A,5Bの前後に配置されている第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322に対しても、排出口60に向かう空気が流れるので、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322の冷却が可能となる。これによって、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322が配置されている光学部品用筐体6や第2レンズアレイ322の光路後段側に位置する偏光変換素子323の劣化を抑制することが可能となる。
【0067】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の排気ダクト7は、排出口60から排出された空気と、光源装置31を冷却した空気とが混合されるように構成されているが、流路を分けるように構成してもよい。また、排気ダクト7は、電源装置等を冷却するための流路を有するように構成してもよい。
【0068】
前記実施形態の遮光部5A,5Bは、回転により位置が変更されるように構成されているが、回転に限らずスライド移動することによって位置が変更されるように構成してもよい。
【0069】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0070】
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…プロジェクター、3…光学ユニット、4…排気ユニット、5…調光装置、5A,5B…遮光部、6…光学部品用筐体、7…排気ダクト、31…光源装置、41…排気ファン、51…駆動部、52…モーター、53…第1ギア、54…第2ギア、55…第3ギア、60…排出口、61…下部筐体、62,63…上部筐体、64…インナー部材、351,351B,351G,351R…液晶ライトバルブ、521…ピニオン、641…開口部、721,722,723…流入口、C…中心、L…光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して投写するプロジェクターであって、
前記光束の光軸を介して対向配置され、前記光束の一部を遮光する一対の遮光部、および前記一対の遮光部の位置を変更させる駆動部を有し、前記一対の遮光部の離間距離に応じて通過する前記光束の光量を調整する調光装置と、
前記遮光部を収納する光学部品用筐体と、
を備え、
前記光学部品用筐体は、前記一対の遮光部の対向する方向に対して略直交し、前記遮光部に沿う方向に、前記光学部品用筐体内の空気を前記光学部品用筐体外に排出可能な排出口を有していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクター内部の空気を外部に排出する排気ファンと、
前記排出口から排出された空気を前記排気ファンに導く排気ダクトと、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記排出口は、前記一対の遮光部が互いに最も近づいた際に、前記排出口の中心が前記一対の遮光部より前記光束の入射側となるように形成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記排出口は、前記一対の遮光部に対して、前記駆動部の反対側となる位置に配設されていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78681(P2012−78681A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225425(P2010−225425)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】