説明

プロジェクター

【課題】光源装置の発熱による筐体内部の温度上昇を回避できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光源装置、光変調装置、及び投射光学装置が収納される筐体8と、熱伝導性材料で構成され、筐体8外面に取り付けられる放熱部材9とを備える。筐体8には、光源装置の配設位置に対応して光源用開口部が形成されている。放熱部材9は、光源用開口部を介して光源装置に熱伝達可能に接続する光源接続部91と、光源接続部91における互いに対向する端縁からそれぞれ突出する第1,第2側壁部92,93とを備える。筐体8は、光源接続部91、及び第1,第2側壁部92,93で囲まれる空間に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、当該プロジェクターを小型化するために、光源装置として、放電発光型の光源ランプではなく、LED(Light Emitting Diode)光源を採用している。
このLED光源は、LED基板に発光素子(発光部)が実装された構成を有する。
そして、光変調装置(液晶装置)は、当該光変調装置やLED光源の動作を制御する制御基板に対して、フレキシブル基板を介して電気的に接続され、制御基板からフレキシブル基板を介して信号が出力されることで制御される。
また、LED光源も同様に、LED基板に設けられたコネクターと上記制御基板とがフレキシブル基板にて接続され、上記制御基板からフレキシブル基板を介して信号が出力されることで制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−333773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源装置、光変調装置、及び投射光学装置等の光学部品は、通常、容器状の筐体に収納されるものである。
そして、LED光源は、駆動時に発熱するものである。すなわち、当該発熱により、筐体内部の温度が上昇し、他の光学部品(例えば、光変調装置)の温度も上昇することとなり、光源装置や他の光学部品の熱劣化を引き起こす恐れがある、という問題がある。
特に、当該プロジェクターを、デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC(Personal Computer)等の電子デバイスと併用(例えば、当該電子デバイスに組み込む)するピコプロジェクター(マイクロプロジェクターあるいはナノプロジェクターと呼ばれることもある)として構成した場合には、筐体内部において、光学部品同士が近接して配設されるため、上記問題が顕著なものとなる。
【0005】
本発明の目的は、光源装置の発熱による筐体内部の温度上昇を回避できるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、前記光源装置、前記光変調装置、及び前記投射光学装置が収納される筐体と、熱伝導性材料で構成され、前記筐体外面に取り付けられる放熱部材とを備え、前記筐体には、前記光源装置の配設位置に対応して光源用開口部が形成され、前記放熱部材は、前記光源用開口部を介して前記光源装置に熱伝達可能に接続する光源接続部と、前記光源接続部における互いに対向する端縁からそれぞれ突出する第1側壁部及び第2側壁部とを備え、前記筐体は、前記光源接続部、前記第1側壁部、及び前記第2側壁部で囲まれる空間に配設されることを特徴とする。
【0007】
本発明では、筐体外面に取り付けられる放熱部材は、筐体に形成された光源用開口部を介して光源装置に熱伝達可能に接続する光源接続部を備える。
このことにより、駆動時に光源装置に発生した熱を、光源接続部を介して筐体外部に効果的に放熱でき、すなわち、光源装置を効果的に冷却できる。
したがって、光源装置の駆動時の発熱による筐体内部の温度上昇を回避でき、光源装置のみならず、光変調装置等の他の光学部品の熱劣化も防止できる。
【0008】
また、放熱部材は、互いに対向する位置に配設され、光源接続部に接続する第1,第2側壁部を備える。
このことにより、例えば、本発明のプロジェクターをピコプロジェクターとして構成し、デジタルカメラ等の電子デバイスに組み込んだ場合に、当該電子デバイスにおける外装筐体内面に、第1,第2側壁部のいずれか一方を当接させることができる。すなわち、第1,第2側壁部が互いに対向する位置に配設されているため、設計上、第1,第2側壁部の位置関係を逆に設定する必要が生じた場合であっても、電子デバイスにおける外装筐体内面に、第1,第2側壁部のいずれか一方を当接させることができる。
以上のように、電子デバイスにおける外装筐体内面に第1,第2側壁部のいずれか一方を当接させることで、光源装置〜光源接続部〜第1,第2側壁部のいずれか一方〜電子デバイスにおける外装筐体の熱伝達経路を形成できる。そして、当該熱伝達経路を辿って、光源装置の熱を電子デバイスにおける外装筐体外部に効果的に放熱できる。すなわち、電子デバイスにおける外装筐体内部の温度上昇も回避でき、プロジェクターの光学部品のみならず、電子デバイスを構成する各部材の熱劣化も防止できる。
また、上述した光源接続部、及び第1,第2側壁部で囲まれる空間に筐体を配設するように構成することで、放熱部材に上述した放熱機能の他、筐体を補強する機能をも持たせることができる。
【0009】
本発明のプロジェクターでは、前記筐体には、前記光変調装置の一部が挿通される第1開口部が形成され、前記第1側壁部には、前記第1開口部に挿通された前記光変調装置の一部を避けるように切り欠かれた第2開口部が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明では、第1側壁部に上述した第2開口部が形成されているので、第1開口部に挿通された光変調装置の一部と第1側壁部とが機械的に干渉することがない。
このため、光源装置〜光源接続部〜第1側壁部の熱伝達経路を辿って、第1側壁部に伝達された熱が光変調装置に伝わることを防止でき、光変調装置の熱劣化を効果的に防止できる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、前記放熱部材は、前記光源接続部、前記第1側壁部、及び前記第2側壁部に接続する第3側壁部を備え、前記筐体は、前記光源接続部、前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び前記第3側壁部で囲まれる空間に配設されることが好ましい。
【0012】
本発明では、放熱部材は、光源接続部、及び第1,第2側壁部の他、上述した第3側壁部も備える。
このことにより、例えば、本発明のプロジェクターをピコプロジェクターとして構成し、デジタルカメラ等の電子デバイスに組み込んだ場合に、以下の効果がある。
すなわち、ピコプロジェクターを電子デバイスにおける外装筐体内部の角隅部分に配設すれば、第1,第2側壁部のいずれか一方のみならず、第3側壁部も電子デバイスにおける外装筐体内面に当接させることができる。
したがって、放熱部材から電子デバイスにおける外装筐体に伝える熱量を増加させることが可能となり、光源装置の熱を電子デバイスにおける外装筐体外部に効果的に放熱できるとともに、電子デバイスにおける外装筐体内部の温度上昇も効果的に回避できる。
また、放熱部材に上述した第3側壁部を設け、光源接続部、及び第1〜第3側壁部で囲まれる空間に筐体を配設するように構成することで、筐体を効果的に補強できる。
【0013】
本発明のプロジェクターでは、一端が前記光変調装置に接続されるフレキシブル基板を備え、前記筐体には、前記フレキシブル基板を前記筐体外部に引廻すための挿通部が形成され、前記フレキシブル基板は、前記挿通部を介して他端が前記第3側壁部から離間するように引廻されることが好ましい。
【0014】
本発明では、フレキシブル基板は、上述したように筐体外部に引廻すための挿通部を介して、他端が第3側壁部から離間するように引廻される。言い換えれば、第3側壁部は、フレキシブル基板(他端)が接続する制御基板の配設側とは逆側に設けられている。
このことにより、例えば、本発明のプロジェクターをピコプロジェクターとして構成し、デジタルカメラ等の電子デバイスに組み込んだ場合に、ピコプロジェクターを電子デバイスにおける外装筐体内部の角隅部分に配設すれば、制御基板の制約を受けることなく(制御基板に邪魔されることなく)、第3側壁部を電子デバイスにおける外装筐体内面に当接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図2】第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【図3】第1実施形態における光源装置、光変調装置、及びFPCの構成を説明するための図。
【図4】第1実施形態における筐体の構成を示す図。
【図5】第1実施形態における筐体の構成を示す図。
【図6】第2実施形態におけるプロジェクターの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1及び図2は、第1実施形態におけるプロジェクター1の構成を示す図である。具体的に、図1はプロジェクター1を天面側(上側)から見た斜視図であり、図2はプロジェクター1を底面側(下側)から見た斜視図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
なお、本実施形態のプロジェクター1は、デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC等の電子デバイス(図示略)に搭載される小型の光学モジュール(ピコプロジェクター)として構成されている。
【0017】
このプロジェクター1は、図1または図2に示すように、光源装置2(図3参照)と、第1,第2レンズ3A,3B(図5参照)と、偏光変換素子4(図5参照)と、光変調装置としての液晶パネル5と、フレキシブル基板(以下、FPC)6と、投射光学装置としての投射レンズ7(図1)と、筐体8と、放熱部材9とを備える。
そして、上述した構成により、光源装置2から出射された光束は、第1,第2レンズ3A,3Bにて略平行化された後、偏光変換素子4にて略1種類の直線偏光に変換される。偏光変換素子4を介した光束(直線偏光)は、液晶パネル5にて変調された後、投射レンズ7にてスクリーン(図示略)に投射される。
【0018】
〔光源装置、液晶パネル、及びFPCの構成〕
図3は、光源装置2、液晶パネル5、及びFPC6の構成を説明するための図である。
液晶パネル5は、前記電子デバイス内部に設けられた制御基板(図示略)による制御の下、入射した光束を変調する。
本実施形態では、液晶パネル5は、図3に示すように、パネル本体51と、入射側偏光板52と、出射側偏光板53とを備える透過型の液晶パネルで構成されている。
パネル本体51は、図3に示すように、ガラスなどからなる平面視矩形状の一対の基板511,512に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有している。
このうち、基板511は、液晶を駆動するための駆動基板であり、互いに平行に配列形成される複数のデータ線と、複数のデータ線と直交する方向に配列形成される複数の走査線と、走査線及びデータ線の交差に対応してマトリクス状に配列形成される画素電極と、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子と、スイッチング素子を駆動する駆動回路とを有している。
【0019】
また、基板512は、基板511の光入射側において、基板511に対して所定間隔を空けて対向配置される対向基板であり、所定の電圧Vcomが印加される共通電極を有している。
そして、FPC6(液晶パネル5の駆動用の信号線)を介して前記制御基板から信号を入力することで、所定の前記画素電極及び前記共通電極の間に電圧が印加され、当該画素電極及び共通電極間に介在する液晶の配向状態が制御され、入射した光束が変調される。
入射側偏光板52は、パネル本体51の光入射面に取り付けられ、所定の直線偏光(偏光変換素子4にて変換された直線偏光)のみを透過させる。
出射側偏光板53は、パネル本体51の光出射面に取り付けられ、偏光変換素子4にて変換された直線偏光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する直線偏光のみを透過させる。
【0020】
FPC6は、例えば、ポリイミド等の基材に信号配線(液晶パネル5の駆動用の信号線、光源装置2に電力を供給するための電源線、光源装置2の点灯制御用の信号線)等がパターニングされることにより形成されたものであり、前記制御基板と液晶パネル5及び光源装置2とを電気的に接続する。
すなわち、FPC6の一端側は、液晶パネル5の端部近傍に形成された外部回路接続端子(図示略)に圧着等により電気的に接続されている。
また、FPC6の他端側には、コネクター(図示略)が設けられ、当該コネクターを介して前記制御基板に電気的に接続する。
【0021】
光源装置2は、図3に示すように、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)で構成され、FPC6に実装されている。
そして、光源装置2は、FPC6に形成された電源線(図示略)を介して前記制御基板から点灯用の電力が供給されるとともに、FPC6に形成された光源装置2の点灯制御用の信号線を介して前記制御基板から信号を入力することで、点灯制御される。
【0022】
〔筐体の構成〕
図4及び図5は、筐体8の構成を示す図である。具体的に、図4は放熱部材9の一部(第1側壁部92)を省略した斜視図であり、図5は図4の状態から筐体8の一部(第2筐体部82)を取り外した状態を示す斜視図である。
筐体8は、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、偏光変換素子4、液晶パネル5、及び投射レンズ7が収納されるものである。
本実施形態では、筐体8は、図4または図5に示すように、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、偏光変換素子4、液晶パネル5、及び投射レンズ7を直線状に配設するように構成されている。
【0023】
この筐体8は、図4または図5に示すように、互いに別体で構成された第1筐体部81及び第2筐体部82を備え、第1,第2筐体部81,82を互いに組み合わせることで略直方体形状を有する。
なお、以下では、説明の便宜上、筐体8の外面において、上側の面を第1側面8U、図4中、投射側から見て左側の面を第2側面8L、下側の面を第3側面8D、図4中、投射側から見て右側の面を第4側面8R、投射側の面を第5側面8P、第5側面8Pに対向する面を第6側面8Bと記載する。
【0024】
第1筐体部81は、光源装置2、第1,第2レンズ3A,3B、偏光変換素子4、及び液晶パネル5が収納される部分である。
この第1筐体部81は、図5に示すように、第1本体81Aと、一対の第1接続部81Bとを備える。
第1本体81Aは、第1側面8U側が開口した容器状に形成されている。
この第1本体81Aにおいて、内面には、図5に示すように、第1側面8U側から第1,第2レンズ3A,3B及び偏光変換素子4を第1本体81A内部にスライドして配設するための複数の溝部811が形成されている。
また、第1本体81Aにおいて、第6側面8Bには、図5に示すように、第1本体81A内外を連通し、光源装置2を第1本体81A内部に配設するための光源用開口部812が形成されている。
さらに、第1本体81Aにおいて、投射側(第5側面5P側)には、具体的な図示は省略したが、偏光変換素子4を介した光束を通過させるための開口部が形成されている。
【0025】
一対の第1接続部81Bは、第1本体81Aにおける投射側の端部に一体形成され、第1,第2筐体部81,82を接続する際に利用される。
これら一対の第1接続部81Bは、投射側から見て左右両側に配設されるとともに、第1側面8U側から見て略L字形状を有する。
そして、一対の第1接続部81Bは、液晶パネル5を左右両側から支持するとともに、第1本体81Aとの間で液晶パネル5を光の入出射側から支持する。
これら一対の第1接続部81Bにおいて、第1側面8U側には、図5に示すように、第1,第2筐体部81,82を接続するために、一対の第1固定ネジSc1(図4)がそれぞれ螺合される第1ネジ孔813がそれぞれ形成されている。
また、一対の第1接続部81Bにおいて、投射側には、図5に示すように、第1,第2筐体部81,82を接続する際の位置決めに用いられる突起部814がそれぞれ形成されている。
【0026】
さらに、第4側面8R側に配設される第1接続部81Bと第1本体81Aとの間には、図5に示すように、FPC6を筐体8外部に引廻すためのスリット状の挿通部815が形成されている。
そして、FPC6は、液晶パネル5が筐体8に収納された状態で、図5に示すように、挿通部815を介して筐体8外部に引廻される。
また、FPC6は、第1筐体部81の第4側面8Rに沿って第6側面8B側に略90°折り曲げられ、さらに、第6側面8Bに沿って第2側面8L側に略90°折り曲げられる。
そして、第1筐体部81の第6側面8Bに形成された一対の位置決め用突起816(図2)をFPC6に形成された一対の位置決め用孔61(図3)に嵌合させることで、光源装置2が光源用開口部812を介して第1筐体部81内部の所定位置に位置付けられる。
【0027】
第2筐体部82は、投射レンズ7が収納される部分である。
この第2筐体部82は、図4に示すように、第2本体82Aと、第2接続部82Bとを備える。
第2本体82Aは、略直方体形状を有し、第5側面8Pから投射側とは反対側(第6側面8B側)に掛けて切り欠き部821を有し、当該切り欠き部821内部に投射レンズ7が収納される。
なお、第2本体82Aにおいて、投射側とは反対側には、具体的な図示は省略したが、液晶パネル5を介した光束を通過させるための開口部が形成されている。
第2接続部82Bは、図4に示すように、第2本体82Aにおける投射側とは反対側に一体形成され、第1,第2筐体部81,82を接続する際に利用される。
【0028】
この第2接続部82Bは、図4に示すように、第1側面8U側に位置し、第1,第2筐体部81,82を組み合わせた状態で、容器状の第1本体81Aの開口部分を閉塞する。
この第2接続部82Bにおいて、一対の第1ネジ孔813に対応する位置には、図4に示すように、第1,第2筐体部81,82を接続するために、一対の第1固定ネジSc1がそれぞれ挿通される固定用孔822が形成されている。
そして、第2筐体部82は、第1筐体部81の突起部814を第2本体82Aの投射側に形成された凹部(図示略)に嵌合することで、第1筐体部81に対する所定位置に位置決めされ、一対の第1固定ネジSc1により第1筐体部81に固定される。
【0029】
また、第2接続部82Bには、図4に示すように、筐体8内部に配設された液晶パネル5の一部(上側の一部)が挿通される第1開口部823が形成されている。
なお、本実施形態では、液晶パネル5は、上述したように、第1本体81A及び略L字状の一対の第1接続部81Bの間に配設されている。このため、筐体8において、第1側面8U(第2接続部82B)の他、第3側面8D(第1本体81Aと一対の第1接続部81Bとの間)にも、液晶パネル5の一部(下側の一部)が挿通される第1開口部817(図2)が形成されている。
【0030】
〔放熱部材の構成〕
放熱部材9は、銅等の熱伝導性材料で構成されている。
そして、放熱部材9は、筐体8外面に取り付けられ、筐体8内部の光学部品2,3A,3B,4,5,7、特に、光源装置2の熱を外部に放熱する。
この放熱部材9は、図1、図2、図4または図5に示すように、光源接続部91と、第1側壁部92と、第2側壁部93とを備える。
光源接続部91は、筐体8における第6側面8Bと略同一の平面形状を有する板体で構成され、第6側面8Bに取り付けられることで、光源用開口部812及びFPC6を介して、光源装置2に熱伝達可能に接続する。
【0031】
この光源接続部91には、図2に示すように、第1筐体部81に形成された一対の位置決め用突起816が嵌合する一対の位置決め用孔911が設けられている。
そして、放熱部材9は、一対の位置決め用孔911に一対の位置決め用突起816をそれぞれ嵌合させることで筐体8に対する所定位置に位置決めされ、一対の第2固定ネジSc2により第6側面8Bに固定される。
なお、FPC6には、一対の第2固定ネジSc2が挿通される固定用孔62(図3)が形成されているものである。また、光源接続部91にも同様の固定用孔(図示略)が形成されているものである。さらに、第6側面8Bには、一対の第2固定ネジSc2が螺合する一対のネジ孔(図示略)が形成されているものである。
そして、放熱部材9が第2固定ネジSc2により第6側面8Bに固定された状態では、光源接続部91は、第6側面8Bとの間でFPC6を挟持することとなる。
【0032】
第1,第2側壁部92,93は、図1または図2に示すように、光源接続部91の互いに対向する上下端縁からそれぞれ略直交して突出する板体で構成され、第1,第3側面8U,8Dとそれぞれ略同一の平面形状を有する。
すなわち、第1,第2側壁部92,93は、筐体8に放熱部材9が取り付けられた状態で、筐体8の第1,第3側面8U,8Dに対向するように配設される。言い換えれば、筐体8は、光源接続部91、第1,第2側壁部92,93で囲まれる側方から見て略U字状の空間に配設されることとなる。
これら第1,第2側壁部92,93において、各第1開口部823,817に対向する位置には、図1または図2に示すように、各第1開口部823,817を介して挿通された液晶パネル5の一部を避けるように切り欠かれた第2開口部921,931がそれぞれ形成されている。
【0033】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、筐体8外面に取り付けられる放熱部材9は、光源用開口部812を介して光源装置2に熱伝達可能に接続する光源接続部91を備える。
このことにより、駆動時に光源装置2に発生した熱を、光源接続部91を介して筐体8外部に効果的に放熱でき、すなわち、光源装置2を効果的に冷却できる。
したがって、光源装置2の駆動時の発熱による筐体8内部の温度上昇を回避でき、光源装置2のみならず、他の光学部品3A,3B,4,5,7の熱劣化も防止できる。
【0034】
また、放熱部材9は、互いに対向する位置(上下の各位置)に配設され、光源接続部91に接続する第1,第2側壁部92,93を備える。
このことにより、プロジェクター1を前記電子デバイスに組み込んだ場合に、当該電子デバイスにおける外装筐体内面に、第1,第2側壁部92,93のいずれか一方を当接させることができる。すなわち、第1,第2側壁部92,93が互いに対向する位置に配設されているため、設計上、第1,第2側壁部92,93の位置関係を逆に設定する必要が生じた場合であっても、前記電子デバイスにおける外装筐体内面に、第1,第2側壁部92,93のいずれか一方を当接させることができる。
【0035】
特に、本実施形態では、FPC6は、前記電子デバイス内部に配設される制御基板に接続する他端が筐体8における第2側面8L側に位置するように引廻されている。すなわち、FPC6が上述したように引廻されているため、前記電子デバイス内部における第1,第2側壁部92,93の位置関係(上下の位置関係)は、プロジェクター1に対する前記制御基板の位置により必然的に定められることとなる。
例えば、プロジェクター1の投射側から見て、前記制御基板がプロジェクター1の左側に位置付けられる場合には、FPC6の他端が投射側から見て左側(前記制御基板の配設側)に引廻されるように、第1側壁部92を上側、第2側壁部93を下側に位置付ける必要がある(図1)。一方、プロジェクター1の投射側から見て、前記制御基板がプロジェクター1の右側に位置付けられる場合には、FPC6の他端が投射側から見て右側に引廻されるように、図1とは逆に、第2側壁部93を上側、第1側壁部93を下側に位置付ける必要がある。
したがって、前記制御基板の位置によって、第1,第2側壁部92,93の位置関係を逆(プロジェクター1を上下逆)に設定する必要が生じた場合であっても、前記電子デバイスにおける外装筐体内面(天面あるいは底面)に、第1,第2側壁部92,93のいずれか一方を当接させることができる。
【0036】
以上のように、前記電子デバイスにおける外装筐体内面に第1,第2側壁部92,93のいずれか一方を当接させることで、光源装置2〜光源接続部91〜第1,第2側壁部92,93のいずれか一方〜前記電子デバイスにおける外装筐体の熱伝達経路を形成できる。そして、当該熱伝達経路を辿って、光源装置2の熱を前記電子デバイスにおける外装筐体外部に効果的に放熱できる。すなわち、前記電子デバイスにおける外装筐体内部の温度上昇も回避でき、プロジェクター1の光学部品2,3A,3B,4,5,7のみならず、前記電子デバイスを構成する各部材の熱劣化も防止できる。
また、光源接続部91、及び第1,第2側壁部92,93で囲まれる空間に筐体8を配設するように構成することで、放熱部材9に上述した放熱機能の他、筐体8を補強する機能をも持たせることができる。
【0037】
さらに、第1,第2側壁部92,93に第2開口部921,931がそれぞれ形成されているので、各第1開口部823,817に挿通された液晶パネル5の一部と第1,第2側壁部92,93とが機械的に干渉することがない。
このため、光源装置2〜光源接続部91〜第1,第2側壁部92,93に伝達された熱が液晶パネル5に伝わることを防止でき、液晶パネル5の熱劣化を効果的に防止できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、第2実施形態におけるプロジェクター1の構成を示す図である。
本実施形態では、図6に示すように、前記第1実施形態に対して、放熱部材9の構成が異なるのみである。
【0039】
具体的に、放熱部材9は、図6に示すように、光源接続部91、第1,第2側壁部92,93の他、第3側壁部94を備える。
第3側壁部94は、光源接続部91、及び第1,第2側壁部92,93に接続し、筐体8に放熱部材9が接続した状態で、筐体8の第4側面8Rに対向して配設される。
すなわち、筐体8は、光源接続部91、及び第1〜第3側壁部92〜94で囲まれる空間に配設されることとなる。
また、上述した位置に第3側壁部94が設けられているため、FPC6の他端は、図6に示すように、第3側壁部94から離間するように引廻されることとなる。
【0040】
上述した第2実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、放熱部材9は、光源接続部91、及び第1,第2側壁部92,93の他、第3側壁部94も備える。
このことにより、プロジェクター1を前記電子デバイスにおける外装筐体内部の角隅部分に配設すれば、第1,第2側壁部92,93のいずれか一方のみならず、第3側壁部94も前記電子デバイスにおける外装筐体内面に当接させることができる。
したがって、放熱部材9から前記電子デバイスにおける外装筐体に伝える熱量を増加させることが可能となり、光源装置2の熱を前記電子デバイスにおける外装筐体外部に効果的に放熱できるとともに、前記電子デバイスにおける外装筐体内部の温度上昇も効果的に回避できる。
また、放熱部材9に第3側壁部94を設け、光源接続部91、及び第1〜第3側壁部92〜94で囲まれる空間に筐体8を配設するように構成することで、筐体8を効果的に補強できる。
【0041】
さらに、FPC6は、他端が第3側壁部94から離間するように引廻される。言い換えれば、第3側壁部94は、FPC6(他端)が接続する前記制御基板の配設側とは逆側に設けられている。
このことにより、上述したようにプロジェクター1を前記電子デバイスにおける外装筐体内部の角隅部分に配設すれば、前記制御基板の制約を受けることなく(前記制御基板に邪魔されることなく)、第3側壁部94を前記電子デバイスにおける外装筐体内面に当接させることができる。
【0042】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、液晶パネル5を透過型の液晶パネルで構成していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルで構成しても構わない。
また、液晶パネル5において、適宜、カラーフィルターを設け、画素毎に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を表示してカラー画像を形成するように構成しても構わない。
前記各実施形態では、筐体8は、互いに別体で構成された第1,第2筐体部81,82の2体で構成されていたが、これに限らず、1部材で構成しても構わない。
前記各実施形態では、光源装置2をLEDで構成していたが、これに限らず、例えば、レーザーダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の他の発光素子を採用しても構わない。
【0043】
前記各実施形態では、光源装置2は、FPC6に実装されたLEDで構成されていたが、これに限らず、FPC6とは異なるプリント配線基板と、当該プリント配線基板に実装されたLEDとで構成し、光源接続部91を前記プリント配線基板に熱伝達可能に接続しても構わない。
ここで、前記プリント配線基板としては、前記LEDの熱を光源接続部91に効果的に伝達させるために、アルミニウムあるいは銅等の金属をベースとして加工されたメタルコアPCB(Printed Circuit Board)で構成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、光源装置と、光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・プロジェクター、2・・・光源装置、5・・・液晶パネル(光変調装置)、6・・・FPC(フレキシブル基板)、7・・・投射レンズ(投射光学装置)、8・・・筐体、9・・・放熱部材、91・・・光源接続部、92・・・第1側壁部、93・・・第2側壁部、94・・・第3側壁部、812・・・光源用開口部、815・・・挿通部、817,823・・・第1開口部、921,931・・・第2開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、
前記光源装置、前記光変調装置、及び前記投射光学装置が収納される筐体と、
熱伝導性材料で構成され、前記筐体外面に取り付けられる放熱部材とを備え、
前記筐体には、
前記光源装置の配設位置に対応して光源用開口部が形成され、
前記放熱部材は、
前記光源用開口部を介して前記光源装置に熱伝達可能に接続する光源接続部と、
前記光源接続部における互いに対向する端縁からそれぞれ突出する第1側壁部及び第2側壁部とを備え、
前記筐体は、
前記光源接続部、前記第1側壁部、及び前記第2側壁部で囲まれる空間に配設される
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記筐体には、
前記光変調装置の一部が挿通される第1開口部が形成され、
前記第1側壁部には、
前記第1開口部に挿通された前記光変調装置の一部を避けるように切り欠かれた第2開口部が形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記放熱部材は、
前記光源接続部、前記第1側壁部、及び前記第2側壁部に接続する第3側壁部を備え、
前記筐体は、
前記光源接続部、前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び前記第3側壁部で囲まれる空間に配設される
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
一端が前記光変調装置に接続されるフレキシブル基板を備え、
前記筐体には、
前記フレキシブル基板を前記筐体外部に引廻すための挿通部が形成され、
前記フレキシブル基板は、
前記挿通部を介して他端が前記第3側壁部から離間するように引廻される
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3567(P2013−3567A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138237(P2011−138237)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】