説明

プロジェクタ

【課題】光源光の光量を大きく調整することが可能な調光機構を有しながらも、投影画面
に影を生じるといった現象を与えることなく、かつ、比較的照明光学系を小型にすること
が可能なプロジェクタを提供すること。
【解決手段】糸SRが巻き上げられると、糸SRの剛性形状部RFが第1の羽根部材71
aの突起部PBに係止されていることにより、遮光部材71全体は、固定軸71cを中心
として、回転動作をする。遮光部材71が、横に延びた状態となると、係止解除用突起H
Kにより、係止が解除され第2の羽根部材71bに対して力が掛かる。これにより、第2
の羽根部材71bが、連結軸71dを中心として、回転動作をする。以上のような遮光部
材71全体を回転させる動作と、第2の羽根部材71bを回転させる動作とにより、遮光
部材71を伸長して照明光を遮光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を変調する光変調部と、光源から光変調部に入射する光の光量
を調整する調光機構を組み込んだプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
照明光学系において光源光の光量を調整するプロジェクタとして、照明光学系に配置さ
れた一対の矩形の遮光板を、回転により開閉させることによって光を遮蔽し、光量を調整
するものが知られている(特許文献1〔0024〕段落、〔0027〕段落及び図3参照
)。この場合、一対の矩形の遮光板を用いることで、比較的簡易に遮光量の調整を行うこ
とができる。
【特許文献1】特開2004−264819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一対の矩形の遮光板を回転により開閉させ光を遮蔽することによって光
量を調整する場合において、例えば、輝度分布パターンのダイナミックレンジが狭く、か
つ平均輝度が低い暗色系の画像に対しては、本来表示すべき輝度で正確に表示させるため
に照明光の光量を低くする必要がある。このように、照明光の光量を低くする、即ち遮光
量の最大値を大きくするには、当該遮光板を長くする必要があり、遮光板を長くすると、
照明光学系が大型化してしまう可能性がある。また、矩形の遮光板を長くした場合、遮光
板の影響によって投影画面上に影が現れる可能性もある。
【0004】
そこで、本発明は、光源光の光量を大きく調整することが可能な調光機構を有しながら
も、投影画面に影を生じるといった現象を与えることなく、かつ、照明光学系を比較的小
型にすることが可能なプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るプロジェクタは、(a)光源からの光源光を
均一化して照明光を形成する照明装置と、(b)照明装置からの照明光によって照明され
る光変調部と、(c)光変調部を経た変調光を投射する投射光学系とを備え、(d)照明
装置が、複数の羽根部材をそれぞれ連結してなるとともにシステム光軸を挟んで対向して
配置される一対の遮光部材を有し、一対の遮光部材を駆動することにより照明光の調光を
行う調光機構を有する。
【0006】
上記プロジェクタでは、調光機構が、一対の遮光部材を駆動して開閉動作させることに
より、光源光の遮光量を調整することができる。この際、特に、一対の遮光部材は、それ
ぞれ複数の羽根部材が互いに連結されることで伸縮可能に構成されている。従って、一対
の遮光部材は、照明装置内に配置されていても、照明光学系を大型化することなく開閉動
作可能であり、かつ、光源光の遮光量の調整幅を大きなものとすることができる。
【0007】
また、本発明の具体的な態様として、照明装置が、光を分割して重畳するための一対の
フライアイレンズを有し、一対の遮光部材が、一対のフライアイレンズ間に配置される。
これにより、調光機構は、より効果的に光源光の遮光量の調整を行うことができる。
【0008】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、一対の遮光部材をシステム光軸につ
いて対称に配置するとともに、一対の遮光部材を同期して駆動させる。これにより、シス
テム光軸についての対称性を保った状態で光の遮蔽を行うことができる。
【0009】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、複数の羽根部材を折り曲げることで
調光を行う。これにより、一対の遮光部材を小さく折り畳むことができ、調光機構全体を
小さくすることができる。
【0010】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、複数の羽根部材のうち少なくとも1
つに設けた回転軸を中心として、当該複数の羽根部材のうち少なくとも1つを回転動作さ
せる。この場合、回転軸の設けられた羽根部材の回転動作により一対の遮光部材を簡単に
開閉させることができる。
【0011】
また、本発明の具体的な態様として、一対の遮光部材が、複数の羽根部材として、(a
)根元側に回転軸を有し当該回転軸を中心として回転動作をするとともに先端側に連結軸
を有する第1の可動部材と、(b)連結軸において第1の可動部材と連結され当該連結軸
を中心として回転動作をする第2の可動部材とをそれぞれ備える。この場合、少なくとも
2つの可動部材の回転動作により一対の遮光部材を開閉させることができる。
【0012】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、(a)第1の可動部材と第2の可動
部材との相対的な位置関係を一定に保ちながら第1及び第2の可動部材を駆動させる第1
段階の駆動と、(b)第1の可動部材と第2の可動部材との相対的な位置関係を変化させ
ながら第1及び第2の可動部材を駆動させる第2段階の駆動とを含む多段階での駆動を行
う。この場合、調光機構による遮光量が最小である状態から最大である状態まで、段階的
に移行させることができる。
【0013】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、第1の可動部材と第2の可動部材と
の相対的な位置関係を変化させながら第1及び第2の可動部材を同時に駆動させる。この
場合、調光機構による遮光量が最小である状態から最大である状態まで、一連の動作で移
行させることができる。
【0014】
また、本発明の具体的な態様として、調光機構が、複数の羽根部材をスライド伸縮させ
ることで調光を行う。これにより、一対の遮光部材を小型にでき、調光機構全体を小さく
することができる。なお、ここでは、「スライド伸縮」するとは、複数の羽根部材がスラ
イドすることで、遮光部材が重なり合っている状態から伸びた状態になること及びその逆
に縮んで重なり合った状態に戻ることを言う。
【0015】
また、本発明の具体的な態様として、複数の羽根部材が、(a)根元側に回転軸を有し
当該回転軸を中心として回転動作をする第1の可動部材と、(b)第1の可動部材に支持
される第2の可動部材と、(c)第2の可動部材を第1の可動部材の先端方向にスライド
伸縮させるスライド機構とを有する。この場合、少なくとも2つの可動部材の回転動作と
スライド動作とにより一対の遮光部材を開閉させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの構造等について説
明する。
【0017】
図1は、第1実施形態に係るプロジェクタの構造を説明するための概念図である。本実
施形態におけるプロジェクタ100は、光源装置10と、照明光学系20と、色分離光学
系30と、光変調部40と、合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム50と、投
射光学系である投射レンズ60とを備える。
【0018】
上記プロジェクタ100において、光源装置10は、光源光を発生する発光管11と、
発光管11から後方に放射された光束を反射して前方へ射出するリフレクタ12と、発光
管11から前方に放射された光束をリフレクタ12側に戻す副鏡13と、リフレクタ12
での反射により射出された光源光の光束方向を平行化する平行化レンズ14とを備え、照
明光学系20等を介して光変調部40の各液晶ライトバルブ40a、40b、40cを照
明するための照明光となるべき光源光を発生する。
【0019】
照明光学系20は、光を分割して重畳することで均一化するためのインテグレータ光学
系を構成する第1及び第2フライアイレンズ21、22と、光の偏光状態を揃える偏光変
換素子23と、偏光変換素子23を経たそれぞれの光を重畳させる重畳レンズ24と、照
明光の調光を行う調光機構70とを備え、これらにより均一化され、遮光量の調整された
略白色の照明光を形成する。照明光学系20において、第1及び第2フライアイレンズ2
1、22は、それぞれマトリクス状に配置された矩形の複数の小レンズからなり、第1フ
ライアイレンズ21を構成する小レンズによって光を分割して個別に集光し、第2フライ
アイレンズ22を構成する小レンズによって第1フライアイレンズ21からの分割光束を
適当な発散角で射出させる。偏光変換素子23は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の
要素とするアレイで形成されており、第1フライアイレンズ21により分割された各部分
光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。重畳レンズ24は、偏光変換
素子23を経た第2フライアイレンズ22からの照明光を全体として適宜収束させる。つ
まり、重畳レンズ24は、後述する液晶パネル41a、41b、41cに設けた被照明領
域に対する重畳照明を可能にする。
【0020】
調光機構70は、一対の遮光部材71、72と、駆動部79とを備える。一対の遮光部
材71、72は、それぞれ第1の羽根部材71a、72aと、第2の羽根部材71b、7
2bとを備える。第1の羽根部材71a、72a及び第2の羽根部材71b、72bは、
いずれも第2フライアイレンズ22を構成する小レンズSLの幅に合わせた矩形形状を有
する。また、詳しくは後述するが、第1の羽根部材71a、72aと第2の羽根部材71
b、72bとは、それぞれ回転可能な状態で連結されており、第1の羽根部材71a、7
2a自体も、根元側で回転可能に支持されている。
【0021】
調光機構70は、各羽根部材71a、72a、71b、72bの静止状態を制御するこ
とによって遮光量を調整している。つまり、調光機構70は、第1フライアイレンズ21
と第2フライアイレンズ22との間にシステム光軸OAについて軸対称に配置された一対
の遮光部材71、72を左右対称に同期して駆動させ、第2フライアイレンズ22を構成
する小レンズSLのサイズに合わせた形状を有する各羽根部材71a、72a、71b、
72bを所定の角度で停止させることにより、照明光の調光を行う。なお、各羽根部材7
1a、72a、71b、72bの形状については、より具体的には、例えば第1の羽根部
材71a、72aは、マトリクス状に配置された矩形の小レンズSLのうち、最も端に並
ぶ小レンズSL一列分を覆う縦長の矩形形状を有している。つまり、第1の羽根部材71
a、72aの遮光により、小レンズSLのうち、最も端に並ぶ小レンズSLからの光を全
て遮光することができる。一方、第2の羽根部材71b、72bは、例えば端から2列目
に並ぶ小レンズのうちのいくつかの小レンズSLの遮蔽を行うよう形状となっている。こ
のように、第2の羽根部材71b、72bの形状を適宜定めることで、遮光部材71、7
2による遮光量の最大値を決定することができる。
【0022】
以下、照明光の調光について説明する。上記構成の調光機構70に設けた駆動部79は
、予め定められる所定の初期位置を基準として、一対の遮光部材71、72を動作させる
。例えば、高輝度が要求される表示動作の場合には(高輝度モード)、一対の遮光部材7
1、72は、駆動部79に駆動されて折り曲げられた状態となっている。これにより、第
1及び第2フライアイレンズ21、22間での照明光の通過量が最大となり、スクリーン
に投射する画像の輝度が最大限に高められる。一方、高輝度モードでない場合には、一対
の遮光部材71、72が駆動部79に駆動され、所定の角度のところで停止する。これに
より、照明光の通過光量が表示させる画像の輝度に応じた光量となるように調整される。
具体的には、各羽根部材71a、72a、71b、72bの形状及び角度を適宜選択して
、通過光である照明光の通過光量を例えば90%〜略0%の範囲で調整される。そして、
このように高輝度モードでない場合には、通過光である照明光の通過光量が、表示させる
画像の輝度に応じて適切に調整される。特に、画像の輝度が低い画像の場合には、照明光
の通過光量を減光することによってより暗い黒が再現でき、画像のコントラストを高める
ことができる。したがって、上記遮光部材71、72からなる調光機構70を取り付ける
ことにより、精度の良い調光制御が実現できる。特に、調光機構70の遮光部材71、7
2を構成する複数の羽部部材71a、72a、71b、72bにより、段階的な調光が行
えるとともに、遮光部材71、72をコンパクトなものとすることができる。
【0023】
色分離光学系30は、第1ダイクロイックミラー31と、第2ダイクロイックミラー3
2と、第1反射ミラー33と、第2反射ミラー34aと、第3反射ミラー34bと、3つ
のフィールドレンズ35a、35b、35cとを備え、照明光学系20により形成された
照明光を赤(R)、緑(G)及び青(B)の3色に分離するとともに、各色光を後段の液
晶ライトバルブ40a、40b、40cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1及び
第2ダイクロイックミラー31、32は、照明光に含まれる可視光波長領域の所定波長領
域に応じて反射及び透過により照明光の分離を行う。特に、ここでは、第1ダイクロイッ
クミラー31は、RGBの3色のうちR光を反射しG光及びB光を透過させる。また、第
2ダイクロイックミラー32は、GBの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。つま
り、第1ダイクロイックミラー31は、光源光を所定色光としてのR光とG光及びB光と
に分離する。さらに、第2ダイクロイックミラー32は、第1ダイクロイックミラー31
を通過した光を他色光としてのG光と残ったB光とに分離する。
【0024】
次に、この色分離光学系30において、第1ダイクロイックミラー31で反射されたR
光は、第1反射ミラー33を経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ35aに入
射する。また、第1ダイクロイックミラー31を透過し、第2ダイクロイックミラー32
で反射されたG光は、入射角度を調節するためのフィールドレンズ35bに入射する。さ
らに、第1及び第2ダイクロイックミラー31、32を通過したB光は、リレーレンズL
L1、LL2と第2、第3反射ミラー34a、34bとを経て入射角度を調節するための
フィールドレンズ35cに入射する。
【0025】
光変調部40は、液晶ライトバルブ40a、40b、40cにより構成される。液晶ラ
イトバルブ40a、40b、40cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発
光型の光変調装置であり、色分離光学系30から射出された各色光に対応してそれぞれ照
明される3つの液晶パネル41a、41b、41cと、各液晶パネル41a〜41cの入
射側にそれぞれ配置される3つの第1偏光フィルタ42a〜42cと、各液晶パネル41
a〜41cの射出側にそれぞれ配置される3つの第2偏光フィルタ43a〜43cとを備
える。第1ダイクロイックミラー31で反射されたR光は、フィールドレンズ35a等を
介して液晶ライトバルブ40aに入射し、液晶ライトバルブ40aの液晶パネル41aを
照明する。第1ダイクロイックミラー31を透過し、第2ダイクロイックミラー32で反
射されたG光は、フィールドレンズ35b等を介して液晶ライトバルブ40bに入射し、
液晶ライトバルブ40bの液晶パネル41bを照明する。第1、第2ダイクロイックミラ
ー31、32の双方を透過したB光は、フィールドレンズ35c等を介して液晶ライトバ
ルブ40cに入射し、液晶ライトバルブ40cの液晶パネル41cを照明する。各液晶パ
ネル41a〜41cは、入射した照明光の空間的な偏光状態を変化させ、各液晶パネル4
1a〜41cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル41a〜41cに電気的信号
として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。この際、第1偏光フィル
タ42a〜42cによって、各液晶パネル41a〜41cに入射する照明光の偏光方向が
調整されるとともに、第2偏光フィルタ43a〜43cによって、各液晶パネル41a〜
41cから射出される変調光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。以上により、
各液晶ライトバルブ40a、40b、40cは、それぞれに対応する各色の像光を形成す
る。
【0026】
クロスダイクロイックプリズム50は、各液晶ライトバルブ40a、40b、40cか
らの各色の変調光を合成する。より詳しく説明すると、クロスダイクロイックプリズム5
0は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を
貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜51a、51bが形成され
ている。一方の第1誘電体多層膜51aは、R光を反射し、他方の第2誘電体多層膜51
bは、B光を反射する。クロスダイクロイックプリズム50は、液晶ライトバルブ40a
からのR光を誘電体多層膜51aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ
40bからのG光を誘電体多層膜51a、51bを介して直進・射出させ、液晶ライトバ
ルブ40cからのB光を誘電体多層膜51bで反射して進行方向左側に射出させる。この
ようにして、クロスダイクロイックプリズム50によりR光、G光及びB光が合成され、
カラー画像による画像光である合成光が形成される。
【0027】
投射レンズ60は、投射光学系であり、クロスダイクロイックプリズム50を経て形成
された合成光による画像光を所望の拡大率で拡大してスクリーン(不図示)上にカラーの
画像を投射する。
【0028】
図2(a)、2(b)は、本実施形態に係るプロジェクタのうち、遮光部材71の動作
について説明するための図である。なお、図1に示す一対の遮光部材71、72は、シス
テム光軸OAを挟んで左右対称であり、その動作も対称である。従って、図2(a)、2
(b)は、遮光部材の収納された開状態と伸びた閉状態とを示すための図であるが、図1
の一対の遮光部材71、72のうち遮光部材71のみについて示している。
【0029】
遮光部材71は、第1の羽根部材71aと、第2の羽根部材71bと、第1の羽根部材
71aの根元側に設けられ、遮光部材71全体を回転させるときの中心となる回転軸であ
る固定軸71cと、第1の羽根部材71aと第2の羽根部材71bとを連結するとともに
第2の羽根部材71bを回転可能にする回転軸となる連結軸71dとを備える。つまり、
固定軸71cと連結軸71dとにより、第1及び第2の羽根部材71a、72bは、いず
れも回転可能な可動部材として機能する。ここでは、さらに、遮光部材71には、開閉動
作を行うために、糸SRが取り付けられている。糸SRの一端は、第2の羽根部材71b
の側面上の点SPに取り付けられており、連結軸71d及び固定軸71cの外周を介して
張られた状態となっており、糸SRの他端は、駆動部79のモータ(不図示)に連結され
たリールREに巻きつけられている。ここで、第1の羽根部材71aは、糸SRの通過す
る位置に突起部PBを有している。また、これに対応して、突起部PBの付近における糸
SRの一部が、鎌型の形状に固定された剛性を有する剛性形状部RFとなっている。この
剛性形状部RFは、遮光部材71が開状態にあるとき、第1の羽根部材71a上に形成さ
れている突起部PBに引っ掛かった状態となっている。このため、リールREが不図示の
モータに駆動されて回転することで糸SRを巻き上げ、糸SRが開状態の遮光部材71の
各部材に作用して遮光部材71の閉成動作がなされる際に、まず、剛性形状部RFにより
突起部PB即ち第1の羽根部材71aに対して力が作用するものとなっている。なお、糸
SRを緩めて元に戻す開成動作のときのために、第1の羽根部材71aと第2の羽根部材
71bとの間には、弾性力を有するバネS1が設けられており、第1の羽根部材71aと
プロジェクタ100内に固定された固定板FBとの間には、同じく弾性力を有するバネS
2が設けられている。
【0030】
以下、糸SRの作用について詳しく説明することにより、遮光部材71の各部による遮
光の動作について説明する。ここでは、糸SRの作用が変化することで、2段階の動作で
遮光を行っている。図2(a)は、第1段階での動作を示す図であり、図2(b)は、第
2段階での動作を示す図である。まず、図2(a)に示す状態において、リールREによ
って、図中矢印の方向に糸SRが巻き上げられると、糸SRの剛性形状部RFが第1の羽
根部材71aの突起部PBに引っ掛かっていることにより、図中白矢印の方向に力が掛か
り、遮光部材71全体としては、固定軸71cを中心として、回転動作をする。さらに、
当該回転動作が進むと、図2(b)に示すように、遮光部材71の第1の羽根部材71a
は、横に延びた状態即ち第2フライアイレンズ22に略平行に伸びた状態となる。この際
、係止解除用突起HKにより、剛性形状部RFが押し上げられ、突起部PBとの係止が解
除される。これにより、糸SRによる突起部PBへの作用が解除されるとともに、今度は
第2の羽根部材71bに対して糸SRによって点SPから図中白矢印の方向に力が掛かる
。これにより、第2の羽根部材71bが、連結軸71dを中心として、回転動作をする。
これにより、遮光部材71が伸長した閉状態となる。以上のように、各羽根部材71a、
71bの相対的な位置関係は不変のまま遮光部材71全体を回転させる第1段階の動作と
、各羽根部材71a、71bの相対的な位置関係が変わる第2の羽根部材71bを回転さ
せてさらに遮光部材71を伸長する第2段階の動作とにより、遮光部材71を伸長して照
明光を遮光する閉成動作が行われる。
【0031】
次に、遮光部材71を遮光された状態から遮光を行う前の開状態に戻す開成動作につい
て説明する。この場合、図2(b)のリールREにおいて点線矢印で示すように、巻き上
げたときとは逆方向の糸SRを緩める動作を行う。この際、バネS1、S2の弾性力が作
用して、第1及び第2の羽根部材71a、71bが点線矢印に示す方向に力がはたらく。
これにより、遮光部材71は、遮光を行う前である元の折り曲げられた開状態に戻る。
【0032】
図1において、調光機構70は、以上のような動作を一対の遮光部材71、72を同期
して左右対称に動作させることで、照明光を所望の状態に遮光するための調整を行うこと
ができる。このように、本実施形態に係るプロジェクタ100は、調光機構70を有する
ことで光源光の光量を大きく調整することが可能でありながらも、投影画面に影を生じる
といった現象を与えることなく、かつ、遮光部材71、72即ち照明光学系20を小型に
することが可能となっている。
【0033】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。図3は、本実施形
態に係るプロジェクタのうち、光源装置及び照明装置についての概念図である。なお、照
明装置より後段のプロジェクタの構成は、第1実施形態と同様であるから、説明及び図示
を省略する。
【0034】
図3に示すように本実施形態におけるプロジェクタを構成する光源装置10及び照明装
置120は、調光機構170を除いて第1実施形態と同様の構成を有する。つまり、調光
機構170が、一対の遮光部材171、172にそれぞれ対応する案内板173、174
及び案内板173、174を駆動させるための駆動部179を有することを除いて、光源
装置10及び照明装置120は、図1の光源装置10及び照明装置20と同様の構成であ
る。
【0035】
図4は、調光機構170の案内板173の構造について説明するための図である。なお
、案内板174も案内板173と同様の構成を有する。案内板173は、盤面173a上
にガイド孔CTa、CTbを有しており、また、接合部175aにより駆動部179から
延びる駆動部材175と接合されている。駆動部材175は、紙面左右のAB方向にスラ
イドし、これにより案内板173全体がAB方向に移動するものとなっている。
【0036】
図5は、遮光部材171と案内板173とを組み合わせた様子を示す模式的な図である
。ここで、遮光部材171は、第1の羽根部材171aと、第2の羽根部材171bと、
遮光部材171全体を盤面173aに沿って回転させる回転軸となる固定軸171cと、
第1の羽根部材171aと第2の羽根部材171bとを連結するとともに第2の羽根部材
171bを回転可能にする回転軸となる連結軸171dとを備える。固定軸171cは、
第1の羽根部材171aの根元側の位置を固定して盤面173aに沿って回転させるもの
となっている。従って、固定軸171c自体の位置は動くことがない。さらに、第1及び
第2の羽根部材171a、171bは、それぞれ突起部171e、171fを有する。こ
のうち、第1の羽根部材171aに設けられた突起部171eは、ガイド孔CTaに嵌め
込まれており、第2の羽根部材171bに設けられた突起部171fは、ガイド孔CTb
に嵌め込まれている。突起部171e、171fは、いずれもガイド孔CTa、CTbに
対して滑動可能に形成されている、あるいは回転可能な状態となっていることにより、ガ
イド孔CTa、CTbに沿って滑らかに摺動できるようになっている。つまり、案内板1
73をAB方向にスライドさせることにより、ガイド孔CTa、CTbに沿って突起部1
71e、171fが摺動する結果、遮光部材171が開閉動作を行うものとなっている。
図6(a)、6(b)及び図7(a)、7(b)は、遮光部材171の動作を示す図であ
る。このうち、図6(a)及び6(b)は、案内板173とともに移動する立場から見た
ときの遮光部材171の動作を示している。これに対して、図7(a)及び7(b)は、
静止した立場から見た遮光部材171の実際の動作を示している。つまり、図6(a)あ
るいは図7(a)の矢印Bの方向に案内板173を動かす結果、突起部171e、171
fがガイド孔CTa、CTb内を図6(a)及び6(b)に示す矢印B1、B2の方向に
沿って動く。これにより、遮光部材171は、まず、第1段階として、図7(a)に示す
ように、折り曲げられた開状態から横に延びた状態即ち第1の羽根部材171aが第2フ
ライアイレンズ22に略平行に伸びた状態となる。さらに、第2段階として、図7(b)
に示すように、第2の羽根部材171bが171dを軸として回転して伸び、遮光部材1
71が伸長した閉状態となる。
【0037】
なお、逆に遮光部材171を折り曲げられた開状態に戻すには、案内板173を逆方向
にスライドさせる、即ち図5のB→A方向へ移動させる。これにより、突起部171e、
171fがガイド孔CTa、CTb内を逆進し、即ち図6(a)、6(b)の矢印B1、
B2と反対の向きに進み、遮光部材171が図6(a)あるいは図7(a)の折り曲げら
れた開状態に戻る。
【0038】
以上のように、この場合、駆動部材175を紙面左右方向にスライドさせることで簡易
に遮光部材171の開閉動作が行える。
【0039】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。図8は、本実施形
態に係るプロジェクタのうち、調光機構の遮光部材の動作について説明するための図であ
る。なお、プロジェクタ全体の構成については第1実施形態等と同様であるので説明及び
図示を省略する。また、本実施形態においても、一対の遮光部材は対称の動作をするので
、調光機構のうち一方の遮光部材の動作についてのみ説明する。
【0040】
調光機構270は、遮光部材271と、回転機構273とを備える。回転機構273は
、回転盤273aと、駆動部材273bとを備える。遮光部材271は、第1の羽根部材
271aと、第2の羽根部材271bと、遮光部材171全体を回転させる回転軸となる
固定軸271cと、第1の羽根部材271aと第2の羽根部材271bとを連結する連結
軸271dとを備える。回転盤273aは、図1の駆動部79に設けた不図示のモータ等
により回転軸CTを中心として回転運動をする。駆動部材273bは、連結軸273cに
より、回転盤273aの面に沿って回転可能な状態で回転盤273aに取り付けられると
ともに、連結軸273dにより、同じく回転盤273aの面に沿って回転可能な状態で遮
光部材271の第2の羽根部材271bに連結されている。
【0041】
以下、調光機構270の動作について説明する。まず、回転盤273aが動作する前に
おいては、遮光部材271は、図中右側に位置するような折り曲げられた開状態となって
いる。第1段階において、回転盤273aが時計回りに回転運動すると、駆動部材273
bを介して遮光部材271に動力が伝わり、遮光部材271は、固定軸271cを軸とし
て回転し、第1の羽根部材271aがストッパSPにより第2フライアイレンズ22に略
平行に伸びた状態で停止する。さらに、回転盤273aが右回りの回転運動を続けると、
第2段階として、駆動部材273bを介して、第2の羽根部材271bには回転による動
力が伝わる一方、第1の羽根部材271aは動かず、第1の羽根部材271aは伸びたま
まの状態となる。この結果、第2の羽根部材271bが連結軸273dを軸として回転し
て、遮光部材271が伸長した閉状態となる。
【0042】
なお、逆に遮光部材271を折り曲げられた開状態に戻すには、回転盤273aを逆方
向、即ち反時計回りに回転運動させればよい。
【0043】
以上のように、この場合、回転盤273aを正逆回転させることで簡易に遮光部材27
1の開閉動作が行える。
【0044】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。図9(a)及び9
(b)は、本実施形態に係るプロジェクタのうち、調光機構について説明するための図で
ある。なお、プロジェクタ全体の構成については第1実施形態等と同様であるので説明及
び図示を省略する。また、本実施形態においても、一対の遮光部材は対称の動作をするの
で、調光機構のうち一方の遮光部材の動作についてのみ説明する。
【0045】
調光機構370は、図9(a)に示すように、遮光部材371と、回転機構373とを
備える。遮光部材371は、第1の羽根部材371aと、第2の羽根部材371bと、遮
光部材371全体を回転させる回転軸となる固定軸371cと、第1の羽根部材371a
と第2の羽根部材371bとを連結する連結軸371dとを備える。回転機構373は、
歯車373a、373b、373c、373dと、ばね373eとを備える。歯車373
a、373cは、それぞれ図1の駆動部79に設けたモータ等により紙面に垂直な回転軸
のまわりに回転可能となっている。歯車373bは、固定軸371cと紙面に垂直な方向
に延びる回転軸を共有し、かつ、固定軸371cに固定されている。従って、第1段階で
歯車373bが回転することによって、遮光部材371の全体が固定軸371cを中心と
して回転する。ここで、歯車373bは、歯車373aと噛み合っている。つまり、歯車
373aの回転動作により、歯車373bが回転する結果、遮光部材371が固定軸37
1cを中心に回転する。歯車373aの回転により、遮光部材371は、図9(b)のよ
うに、90°回転する。この際、遮光部材371の連結軸371dに取り付けられた歯車
373dと歯車373cとが噛み合うとともに、歯車373aの回転による歯車373b
の回転動作が止まり、これにより、第1の羽根部材371aの位置が決定する。次に、第
2段階として、歯車373cの回転動作により、歯車373dが回転する。この結果、第
2の羽根部材371bのみが連結軸371dを中心に回転する。これにより、第2の羽根
部材371bが回転し、第1、第2の羽根部材371a、371bが真っ直ぐに伸びた位
置で停止する。
【0046】
以上のように遮光部材371を動作させ、各羽根部材371a、371bが真っ直ぐに
伸びた状態で停止させることにより、所定の遮光量を低減させる。また、遮光量を増大さ
せる開成動作を行うには、以上とは逆の動作、つまり、歯車373c及び歯車373aを
逆の手順で動作させ、開状態に戻す。なお、以上の動作において、ばね373eの弾性力
を適宜調節しておくことにより、開状態での遮光部材371をコンパクトに折り畳むこと
ができる。
【0047】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。図10は、本実施
形態に係るプロジェクタのうち、光源装置及び照明装置についての概念図である。なお、
照明装置より後段のプロジェクタの構成については第1実施形態等と同様であるので説明
及び図示を省略する。
【0048】
図10に示すように本実施形態におけるプロジェクタを構成する光源装置10及び照明
装置420は、調光機構470を除いて第1実施形態等と同様の構成を有する。つまり、
調光機構470が、一対の別タイプの遮光部材471、472及び遮光部材471、47
2を駆動させるための駆動部479を有することを除いて、光源装置10及び照明装置4
20は、図1の光源装置10及び照明装置20と同様の構成である。また、本実施形態に
おいても、一対の遮光部材471、472は対称の動作をするので、調光機構470のう
ち一方の遮光部材471の動作についてのみ説明する。
【0049】
図11は、本実施形態に係るプロジェクタのうち、調光機構の一例における遮光部材の
動作について説明するための図である。
【0050】
調光機構470は、遮光部材471と、駆動機構473とを備える。遮光部材471は
、第1の羽根部材471aと、第2の羽根部材471bと、遮光部材471を駆動機構4
73に取り付けるための取付軸471cと、第1の羽根部材471aと第2の羽根部材4
71bとを連結するとともに両者を回転可能にする回転軸となる連結軸471dと、第1
の羽根部材471aの根元側の位置を固定して回転させるための固定軸471eとを備え
る。また、駆動機構473は、回転軸473aと、連結部材473bとを備える。回転軸
473aは、駆動部479に設けたモータ等により回転可能となっている。また、回転軸
473aの側面473cには、一定ピッチのねじ切りが形成されている。連結部材473
bは、回転軸473aと遮光部材471とを連結する部材であり、一定ピッチのねじ切り
面473dを有し、ねじ切り面473dと回転軸473aの側面473cとにおいて回転
軸473aと連結部材473bとが噛み合った状態となっている。また、連結部材473
bは、取付軸471cによって第2の羽根部材471bと回転可能な状態で連結されてい
る。これにより、回転軸473aが回転すると、連結部材473bが紙面左右のAB方向
にスライドする。これにより、遮光部材471が伸びていく。つまり、第2の羽根部材4
71bは、連結部材473bにより伸ばされ、これとともに、連結軸471dにより第2
の羽根部材471bと連結されている第1の羽根部材471aも、固定軸471eを中心
として回転動作をして伸びていく。つまり、遮光部材471全体としては、紙面に平行な
面内で尺取虫のような動きをする。この動作を続けることにより、遮光部材471が伸長
した閉状態となる。
【0051】
なお、逆に遮光部材471を折り曲げられた開状態に戻すには、回転軸473aを逆向
きに回転させればよい。
【0052】
以上の場合、各羽根部材471a、471bの相対的な位置関係が変わる動作となって
いる。また、遮光部材471が伸びる方向に動くか縮む方向に動くかは回転軸473aの
回転方向によって定まる。このように、回転軸473aを回転させることで簡易に遮光部
材471の開閉動作が行える。
【0053】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。図12は、本実施
形態に係るプロジェクタのうち、光源装置及び照明装置についての概念図である。なお、
照明装置より後段のプロジェクタの構成については第1実施形態等と同様であるので説明
及び図示を省略する。
【0054】
図12に示すように本実施形態におけるプロジェクタを構成する光源装置10及び照明
装置520は、調光機構570を除いて第1実施形態等と同様の構成を有する。つまり、
調光機構570が、一対の遮光部材571、572及び一対の遮光部材571、572を
駆動させるための駆動部579を有することを除いて、光源装置10及び照明装置520
は、図1の光源装置10及び照明装置20と同様の構成である。また、本実施形態におい
ても、一対の遮光部材571、572は対称の動作をするので、調光機構570のうち一
方の遮光部材571の動作についてのみ説明する。
【0055】
遮光部材571は、第1の羽根部材571aと、第2の羽根部材571bと、第1の羽
根部材571aの根元側の位置を固定して回転させるための固定軸571cとを備える。
第2の羽根部材571bは、第1の羽根部材571aにより支持されるとともに、スライ
ド機構により第1の羽根部材571aの先端方向にスライド伸縮可能な状態となっている
。調光機構570は、まず、第1段階の動作として、駆動部579に設けた不図示のモー
タ等により固定軸571cを軸として遮光部材571全体を回転移動させる。つまり、遮
光部材571を、点線で示す位置から実線で示す位置まで約90°回転させる。次に、第
2段階の動作として、第2の羽根部材571bを第2フライアイレンズ22に略平行にス
ライドさせる。つまり、遮光部材571がスライド伸縮する。以上のようにして、調光機
構570は、開成動作及び閉成動作を行い、遮光量の調整を行う。この場合、第1段階の
動作である回転の動作と、第2段階の動作であるスライド移動の動作とにより段階的な遮
光量の調整が可能となる。
【0056】
なお、この発明は、上記の第1乃至第6実施形態に限られるものではなく、その要旨を
逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のよう
な変形も可能である。
【0057】
まず、上記実施形態では、いずれも調光機構70、170、270、370、470、
570を第1及び第2フライアイレンズ21、22間に設置しているが、調光機構70、
170、270、370、470、570は、照明装置20、120、420、520内
の他の場所にも設置可能であり、例えば、第2フライアイレンズ22と偏光変換素子23
との間や、偏光変換素子23と重畳レンズ24との間に設置することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、いずれも1つの遮光部材につき、2つの羽根部材を有する構
成となっているが、3つ以上の羽根部材によって1つの遮光部材を構成することも可能で
ある。
【0059】
また、光源装置10に組み込まれる光源光を発生する発光管11に用いるランプとして
は、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等種々のものが考えられる。
【0060】
また、上記プロジェクタ100において、光源装置10からの光を特定方向の偏光とす
る偏光変換素子24を用いていたが、この発明は、このような偏光変換素子24を用いな
いプロジェクタにも適用可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について
説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「
透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを
意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意
味している。反射型プロジェクタの場合、液晶ライトバルブは液晶パネルのみによって構
成することが可能であり、一対の偏光フィルタは不要である。なお、光変調部は液晶パネ
ル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調部であってもよい。
【0062】
また、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面プロジェ
クタと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面プロジェクタとがある
が、図1に示すプロジェクタの構成は、いずれにも適用可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、3つの液晶パネル41a〜41cを用いたプロジェクタ10
0の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの
液晶パネルを用いたプロジェクタ、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタ
にも適用可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、色分離光学系30や液晶ライトバルブ40a、40b、40
c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば光源装置10及び照
明光学系20によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成
されカラーホイールの透過光が照射されるデバイスとを組み合わせたものを用いることに
よって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタを説明する概念図である。
【図2】(a)、(b)は、遮光部材の動作について説明するための図である。
【図3】第2実施形態に係るプロジェクタの一部についての概念図である。
【図4】案内板の構造について説明するための図である。
【図5】遮光部材に案内板を組み込んだ様子を示す模式的な図である。
【図6】(a)、(b)は、遮光部材の動作を示す図である。
【図7】(a)、(b)は、遮光部材の動作を示す図である。
【図8】第3実施形態に係るプロジェクタの遮光部材の動作を説明する図である。
【図9】(a)、(b)は、第4実施形態に係るプロジェクタの動作説明図である。
【図10】第5実施形態に係るプロジェクタの一部についての概念図である。
【図11】遮光部材の動作について説明するための図である。
【図12】第6実施形態に係るプロジェクタの一部についての概念図である。
【符号の説明】
【0066】
10…光源装置、 20、120、420、520…照明光学系、 21、22…フラ
イアイレンズ、 23…偏光変換素子、 24…重畳レンズ、 70、170、270、
370、470、570…調光機構、 71、72…遮光部材、 71a、71b…羽根
部材、 30…色分離光学系、 40a、40b、40c…液晶ライトバルブ、 41a
、41b、41c…液晶パネル、 50…クロスダイクロイックプリズム、 60…投射
レンズ、 100…プロジェクタ、 OA…システム光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光源光を均一化して照明光を形成する照明装置と、
前記照明装置からの前記照明光によって照明される光変調部と、
前記光変調部を経た変調光を投射する投射光学系とを備え、
前記照明装置は、複数の羽根部材をそれぞれ連結してなるとともにシステム光軸を挟ん
で対向して配置される一対の遮光部材を有し、前記一対の遮光部材を駆動することにより
前記照明光の調光を行う調光機構を有する、プロジェクタ。
【請求項2】
前記照明装置は、光を分割して重畳するための一対のフライアイレンズを有し、前記一
対の遮光部材は、前記一対のフライアイレンズ間に配置される、請求項1記載のプロジェ
クタ。
【請求項3】
前記調光機構は、前記一対の遮光部材を前記システム光軸について対称に配置するとと
もに、前記一対の遮光部材を同期して駆動させる、請求項1及び請求項2のいずれか一項
記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記調光機構は、前記複数の羽根部材を折り曲げることで調光を行う、請求項1記載か
ら請求項3までのいずれか一項記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記調光機構は、前記複数の羽根部材のうち少なくとも1つに設けた回転軸を中心とし
て、当該複数の羽根部材のうち少なくとも1つを回転動作させる、請求項1から請求項4
までのいずれか一項記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記一対の遮光部材は、前記複数の羽根部材として、根元側に前記回転軸を有し当該回
転軸を中心として回転動作をするとともに先端側に連結軸を有する第1の可動部材と、前
記連結軸において前記第1の可動部材と連結され当該連結軸を中心として回転動作をする
第2の可動部材とをそれぞれ備える、請求項5記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記調光機構は、前記第1の可動部材と前記第2の可動部材との相対的な位置関係を一
定に保ちながら前記第1及び第2の可動部材を駆動させる第1段階の駆動と、前記第1の
可動部材と前記第2の可動部材との相対的な位置関係を変化させながら前記第1及び第2
の可動部材を駆動させる第2段階の駆動とを含む多段階での駆動を行う、請求項6記載の
プロジェクタ。
【請求項8】
前記調光機構は、前記第1の可動部材と前記第2の可動部材との相対的な位置関係を変
化させながら前記第1及び第2の可動部材を同時に駆動させる、請求項6記載のプロジェ
クタ。
【請求項9】
前記調光機構は、前記複数の羽根部材をスライド伸縮させることで調光を行う、請求項
1から請求項5までのいずれか一項記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記複数の羽根部材は、根元側に前記回転軸を有し当該回転軸を中心として回転動作を
する第1の可動部材と、前記第1の可動部材に支持される第2の可動部材と、前記第2の
可動部材を前記第1の可動部材の先端方向にスライド伸縮させるスライド機構とを有する
、請求項5記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−180962(P2009−180962A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20341(P2008−20341)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】