説明

プロスタグランジンの精製方法

本発明は、超臨界流体クロマトグラフィーによるプロスタグランジンの精製方法を提供するが、前記方法は、固定相と、二酸化炭素を含む移動相とを使用し、固定相が未変性シリカゲルのとき、プロスタグランジンはルプロスチオールではない。本発明はさらに、前記方法により製造されるプロスタグランジンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンの精製方法を提供する。特に、本発明は、超臨界流体クロマトグラフィー(supercritical fluid chromatography、SFC)によるプロスタグランジンの精製方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジンは、原料医薬品(active pharmaceutical ingredient、API)であって、異性体的または化学的に純粋なプロスタグランジンは薬品の製剤に必要である。しかし、プロスタグランジンの精製は、これに関連する不純物のみならず、多くのプロスタグランジン異性体の類似する化学的性質のために困難がある。
【0003】
G.H.Brunner等(超臨界流体、653−668、E.KiranおよびJ.M.H.Levelt Sengers(編集者)、Kluwer Academic Publisher、1994)は、レプロジン(Reprodin)異性体(すなわち、ルプロスチオール異性体)の予備超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)分離を説明している。しかし、異性体は十分に分離されておらず、ハートカットフラクション(heart cut fraction)の純度は80%に過ぎない。したがって、この方法では、純度がICHクオリティを満たしていないため、商業的に使用することができない。本著者は、SFCが液体クロマトグラフィーに比べて欠点があることを認める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明者は、SFCを用いるプロスタグランジンを精製する別の工程を提供することにより、従来技術による問題点を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、本発明は、超臨界流体クロマトグラフィーによるプロスタグランジンの精製方法を提供するが、前記方法は、固定相と、二酸化炭素を含む移動相とを使用し、固定相が未変性シリカゲルのとき、プロスタグランジンはルプロスチオールではない。例えば、本発明は、天然プロスタグランジンを精製する方法を提供するが、前記方法は、天然プロスタグランジンを固定相を含むカラムに注入するステップと、超臨界二酸化炭素を含む移動相を用いて天然プロスタグランジンをカラムを介して溶離するステップと、精製されたプロスタグランジンを含む画分を収集するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施例1で説明されたように得られた、天然ラタノプロストのSFC精製注入のクロマトグラムを示す。
【図2】ラタノプロスト異性体の構造を示す。
【図3】実施例2で説明されたように得られた、天然ラタノプロストのSFC精製注入のクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「精製」とは、本発明にかかる方法は、化学的および/または異性体的に純粋なプロスタグランジンを生産することを意味する。化学的に純粋な化合物とは、その化合物が関連する化合物、出発物質、中間生成物、および吸収剤が本質的にないものである。異性体的に純粋な化合物とは、その化合物が、化学的構造の異なる同一の化学分子式を有するとされる、関連する化合物が本質的にないものである。
【0008】
一実施形態において、精製されたプロスタグランジンは、少なくとも約99%化学的に純粋であり、好ましくは、少なくとも約99.5%化学的に純粋であり、より好ましくは、少なくとも約99.8%化学的に純純である。
【0009】
他の実施形態において、精製されたプロスタグランジンは、少なくとも約99%異性体的に純粋であり、好ましくは、少なくとも99.5%異性体的に純粋であり、より好ましくは、少なくとも99.9%異性体的に純純である。
【0010】
本発明にかかる方法は、プロスタグランジンは、分析的または予備的スケールで精製することができる。「分析的」とは、合理的な期間、すなわち、一日の期間内に少なくとも約0.1mgの精製されたプロスタグランジン、好ましくは、約1mgの精製されたプロスタグランジンを提供するスケールを意味する。「予備的」とは、好ましい期間、すなわち、一日の期間内に少なくとも約1mgの精製されたプロスタグランジン、好ましくは、約0.1gの精製されたプロスタグランジン、最も好ましくは、約1gの精製されたプロスタグランジンを提供するスケールを意味する。
【0011】
好ましくは、プロスタグランジンは、式(I)の化合物、式(II)の化合物、式(III)の化合物、または式(IV)の化合物であり、
【化1】

式中、
Vは、CまたはOであり、
Wは、
【化2】

であり、
Xは、CONR1213またはCO12であり、
Yは、
【化3】

であり、
Zは、C1−20−アルキル、C2−20−アルキニル、−O−(C6−20−アリール)または−(C1−20−アルキル)−(C6−20−アリール)であり、ここで、アリール基は、C1−20−アルキル、ハロおよびC(ハロ)からなる群より選択された3個の置換基のうちの1個で選択的に置換され、
およびRは、独立してHまたはOHであるか、あるいは共に
【化4】

を形成し、
およびRは、独立してHまたはOHであり、
およびRは、独立してHまたはOHであるか、あるいは共に
【化5】

を形成し、
およびRは、独立してH、OH、ハロまたはC1−20−アルキルであり、
およびR10は、独立してHまたはC1−20−アルキルであり、ここで、アルキル基は、CONR1213、CO12またはCOより選択された1個またはそれ以上の置換基で選択的に置換され、
11は、C1−20−アルキルまたは−O−(C1−20−アルキル)であり、ここで、アルキル基は、CONR1213、CO12またはCOより選択された1個またはそれ以上の置換基で選択的に置換され、
12およびR13は、HおよびC1−20アルキルからなる群より独立して選択され、
は、対カチオンであり、
ハロは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。V=Cのとき、炭素原子は、2個の水素原子を含み、これらのうちの1個または2個は、例えば、ハロおよびC1−20−アルキルより独立して選択可能な置換基からなる基で置換されていてもよい。
【0012】
「アルキル」は、別の方式で指示されなければ、好ましくは、1〜20個の炭素原子、より好ましくは、1〜15個の炭素原子、最も好ましくは、1〜10個の炭素原子を有する線状、分岐状または環状の飽和炭化水素構造である。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルおよびシクロヘキシルがある。炭素原子の数が特定されたアルキル基が指定されれば、アルキル基のすべての幾何学的異性体が含まれていてよい。例えば、「ブチル」は、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルおよびシクロブチルを含む。
【0013】
「アルキニル」は、別の方式で指示されなければ、少なくとも1個の
【数6】

基と、好ましくは、2〜20個の炭素原子、より好ましくは、2〜15個の炭素原子、最も好ましくは、2〜10個の炭素原子を有する線状または分岐状の炭化水素構造である。アルキニル基の例としては、エチレン、プロピレン、n−ブチニル、イソブチニルおよびヘキシニルがある。炭素原子の数が特定されたアルキニル基が指定されれば、アルキニル基のすべての幾何学的異性体が含まれていてよい。例えば、「ブチニル」は、n−ブチニルおよびイソブチニルを含む。
【0014】
「アリール」は、別の方式で指示されなければ、好ましくは、6〜20個の炭素原子、より好ましくは、6〜15個の炭素原子、最も好ましくは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素である。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルがある。
【0015】
「ハロ」は、単独でも他の基の部分でもよく、例えば、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子である。
【0016】
は、−COの対カチオン、すなわち、−COであり、カルボン酸塩化物、好ましくは、薬学的に許容可能なカルボン酸塩化物である。好ましくは、Mは、金属イオンであり、例えば、KまたはNaのようなアルカリ金属イオンである。
【0017】
好ましくは、Wは、
【化7】

である。
【0018】
好ましくは、Xは、CONH(C1−10−アルキル)、CO(C1−10−アルキル)またはCOHである。より好ましくは、Xは、CONHEt、COMe、COprおよびCOHからなる群より選択される。
【0019】
好ましくは、Zは、C1−10−アルキル、C2−10−アルキニル、−O−(C6−10−アリール)または−(C1−10−アルキル)−(C6−10−アリール)であって、アリール基は、Clおよび−CFからなる群より選択された1〜3個の置換基で選択的に置換される。より好ましくは、Zは、−(CHCH
−(CHCH、−CH−Ph、
【化8】

である。
【0020】
およびRは、独立してHまたはOHであってもよい。好ましくは、RおよびRのうちの1個がHのとき、他の1個はOHである。より好ましくは、RおよびRのうちの1個がH、他の1個がOHのとき、R、Rおよびこれらが付着する炭素原子は、下記の立体化学を有する。
【化9】

【0021】
およびRは、独立してHまたはOHである。好ましくは、RおよびRのうちの1個がHのとき、他の1個はOHである。より好ましくは、R、Rおよびこれらが付着する炭素原子は、下記の立体化学を有する。
【化10】

【0022】
およびRは、独立してHまたはOHである。一実施形態において、RおよびRのうちの1個がHのとき、他の1個はOHである。より好ましくは、RおよびRのうちの1個がH、他の1個がOHのとき、R、Rおよびこれらが付着する炭素原子は、下記の立体化学を有する。
【化11】

【0023】
およびRが共に
【化12】

を形成し、
およびRのうちの1個はOH、他の1個はHのとき、互変異性体、すなわち、ヘミアセタールが生成できる。このような互変異性体は、本発明の範囲に含まれるものである。互変異性平衡は、プロスタグランジンルビプロストンによって例示される。
【化13】

【0024】
他の実施形態においては、RおよびRは、両方ともHである。
【0025】
好ましくは、RおよびRは、H、OH、FまたはCHからなる群より独立して選択される。一実施形態において、RおよびRは、両方ともHである。他の実施形態では、RおよびRは、両方ともFである。さらに他の実施形態では、RおよびRのうちの1個はCHで、他の1個はHまたはOHである。
【0026】
好ましくは、RおよびR10は、独立してHまたはC1−10−アルキルであって、アルキル基は、COHまたはCOより選択される1個または2個以上の置換基で選択的に置換される。より好ましくは、RおよびR10のうちの1個はHで、他の1個は−(CHCOHまたは−(CHCONaである。
【0027】
好ましくは、R11は、C1−10−アルキルまたは−O−(C1−10−アルキル)であって、アルキル基は、COHまたはCOより選択される1個または2個以上の置換基で選択的に置換される。より好ましくは、R11は、−(CHCOHまたは−O−CH−COHである。
【0028】
好ましい実施形態において、プロスタグランジンは、以下からなる群より選択される。
【化14】

【0029】
好ましくは、プロスタグランジンは、ラタノプロストである。
【0030】
これとは異なり、仮に固定相が未変性シリカゲルであれば、プロスタグランジンは、ルプロスチオールとなり得る。
【化15】

【0031】
一実施形態においては、固定相は、キラル固定相である。好ましくは、キラル固定相は、シリカ上にコーティングまたは固定される、誘導されたアミロースまたはセルロースポリマーまたは他の多糖類である。より好ましくは、キラル固定相は、Chiralcel OD−H、ChiralPaK AS−H、ChiralPak IC、ChiralPak AD−H、Chiralcel OJ−HおよびChiralcel OK(Chiral Technologies Inc.とDaicel Chemical Industries,Ltd.から入手可能な製品)からなる群より選択される。さらに好ましくは、キラル固定相は、ChiralPak AD−Hである。例えば、アミラーゼまたはセルロースポリマーは、1個または2個以上のカルバマート基、特に、3,5−ジメチルフェニルカルバメート、(S)−アルファ−メチルベンジルカルバメート、4−クロロフェニルカルバメート、4−メチルフェニルカルバメート、フェニルカルバメート、3−クロロ−4−メチルフェニルカルバメート、5−クロロ−2−メチルフェニルカルバメートなどのようなアリールを含むカルバメートおよび/またはアセテート、ベンゾエート(例えば、4−メチルベンゾエート、シンナメートなどのような1個または2個以上のエステル基を有して誘導される。
【0032】
他の実施形態において、固定相は、非キラル固定相である。好ましくは、非キラル固定相は、プリンストンジオール(Princeton Diol)、4−エチルピリジン、2−エチルピリジンまたはピリジンウレアからなる群より選択される。
【0033】
好ましくは、移動相は、少なくとも1種の変性剤をさらに含む。変性剤は、適切な液体溶媒であり得る。適切な変性剤は、少なくとも1種のアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、塩化メチレンおよびそれらの組合せからなる群より選択可能である。好ましくは、少なくとも1種のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびそれらの組合せからなる群より選択される。変性剤は、固定相と共に使用できることが好ましい。例えば、酢酸エチルと塩化メチレンはChiralPak ADカラムと共に使用することができないが、これは、酢酸エチルと塩化メチレンがChiralPak ADカラムを破壊するからである。
【0034】
二酸化炭素は容易に除去され、精製されたプロスタグランジンは、溶媒の変性剤中において溶液として提供可能である。したがって、プロスタグランジンが溶解可能な変性剤を選択することが好ましい。
【0035】
好ましくは、少なくとも1種の変性剤が、超臨界二酸化炭素に(少なくとも)約1%v/vまたは約1%w/w程度存在する。より好ましくは、少なくとも1種の変性剤が、超臨界二酸化炭素に(少なくとも)約5%v/vまたは約5%w/w程度存在する。二酸化炭素に対する変性剤の割合は、クロマトグラフィー工程中に変化可能である。
【0036】
適切なクロマトグラフ装置が当業者によく知られている。Thar Investigator SFCまたはNovasep Supersep 20/30 SFCのような超臨界流体クロマトグラフィーに適した装置を用いることが好ましい。天然プロスタグランジンを含む天然フィード(crude feed)は、移動相がカラム内に位置する固定相を介して流れる装置内に周期的に注入される。カラムの出口で検出された後、フィードの精製された一部は他のトラップに案内される。二酸化炭素は、精製された一部から除去され、好ましくは、再生される。カラムの出口での検出は、適切な波長でUV吸収を測定することにより行われる。
【0037】
分析的スケールにおいて、カラム直径は、約2mm〜約7mm(好ましくは、約4.6mm)であることが好適である。カラム長さは、約5cm〜約50cm(好ましくは、約25cm)であることが好適である。
【0038】
予備的スケールにおいて、カラム直径は、約10mm〜約200mm(好ましくは、約21mm)であることが好適である。カラム長さは、約5cm〜約50cm(好ましくは、約25cm)であることが好適である。
【0039】
工程は、約5℃〜約45℃(好ましくは、約25℃〜約35℃)の温度、および例えば、約80bar〜300bar(好ましくは、約100bar〜150bar)の高圧で行われることが好適である。一般的な流量は、カラムの直径に依存するが、例えば、1mL/min〜約5kg/minで変化可能である。
【0040】
他の態様によれば、本発明は、上述した方法により製造できるプロスタグランジンを提供する。
【0041】
以下の実施例は説明のためのものであって、本発明はこれに限定されない。
【0042】
実施例1−分析的スケール
SFC予備パラメータ:
・カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD−H、4.6×250mm
・カラム温度:35℃
・システム背圧:150Bar
・溶離剤:アルコール変性剤のエタノールを有する二酸化炭素(CO
・総流量:3mL/min
・グラジエント共溶媒プロファイル:初期条件=5%エタノール:95%CO、線形的に増加して、15分で、45%エタノール:55%CO、2分間、45%エタノール:55%CO保持、初期条件に戻り、次の注入前に、3分間平衡保持
・検出:210nmでのUV
・サンプルの用意:エタノール中において0.1g/mLの溶液を用意し、ラタノプロストを完全に溶解するためにフィード溶液を完全に混合する。
・サンプルの装填:5mg(エタノール中において0.1g/mL天然溶液の50μl)
・ラタノプロストの収集:検出されたラタノプロストピークフロント(peak front)(保持時間内において〜9分)から検出されたラタノプロストピークテール(peak tail)(保持時間内において〜10分)まで、ベースライン上約2%からラタノプロストピークを収集(ハートカット)
・天然ラタノプロストのSFC精製注入のクロマトグラムが図1に示されている
・得られた結果は、エタノールを共溶媒およびAD−H固定相として使用:
【表1】

【0043】
実施例2−予備的スケール
SFC予備パラメータ:
・カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD−H、21×250mm
・カラム温度:25℃
・システム背圧:100Bar
・溶離剤:アルコール共溶媒変性剤(具体的には、エタノール:メタノール(4:1))を有する二酸化炭素(CO
・総流量:50g/min
・共溶媒プロファイル:初期条件=360秒間、15%共溶媒:85%CO、361秒から720秒まで、40%共溶媒:60%COに変化、721秒から900秒まで初期条件に戻る
・検出:220nmでのUV
・天然溶液の用意:エタノール中において0.3g/mLの溶液を用意し、ラタノプロストを完全に溶解するためにフィード溶液を完全に混合する。
・サンプルの装填:エタノール中において〜0.6mL天然溶液
・ラタノプロストの収集:検出されたラタノプロストピークフロント(保持時間内において〜410秒)からピークエンド前の約30秒(保持時間内において〜510秒)まで、ピークスタートベースライン後の約30秒からラタノプロストピークを収集(ハートカット)
・天然ラタノプロストのSFC精製注入のクロマトグラムが図3に示されている
・得られた結果は、エタノールを共溶媒および収集された一部のAD−H固定相として使用:
【表2】

・冷凍温度にて貯蔵されて11ヶ月後には異性体が検出されず、精製されたラタノプロストは、次の検出水準として決定される異性体含有量決定のための一般的なHPLC法にて分析された。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界流体クロマトグラフィーによるプロスタグランジンの精製方法であって、
固定相と、二酸化炭素を含む移動相とを使用することを含んでなり、
前記固定相が未変性シリカゲルの際に、前記プロスタグランジンがルプロスチオールではないものである、精製方法。
【請求項2】
前記プロスタグランジンが、下記の、式(I)の化合物、式(II)の化合物、式(III)の化合物、または式(IV)の化合物である、請求項1に記載の精製方法。
【化1】

〔上記式中、
Vは、CまたはOであり、
Wは、
【化2】

であり、
Xは、CONR1213またはCO12であり、
Yは、
【化3】

であり、
Zは、C1−20−アルキル、C2−20−アルキニル、−O−(C6−20−アリール)または−(C1−20−アルキル)−(C6−20−アリール)であり、ここで、アリール基は、C1−20−アルキル、ハロおよびC(ハロ)からなる群より選択された3個の置換基のうちの1個で選択的に置換され、
およびRは、独立してHまたはOHであるか、あるいは共に
【化4】

を形成し、
およびRは、独立してHまたはOHであり、
およびRは、独立してHまたはOHであるか、あるいは共に
【化5】

を形成し、
およびRは、独立してH、OH、ハロまたはC1−20−アルキルであり、
およびR10は、独立してHまたはC1−20−アルキルであり、ここで、アルキル基は、CONR1213、CO12またはCOより選択された1個またはそれ以上の置換基で選択的に置換され、
11は、C1−20−アルキルまたは−O−(C1−20−アルキル)であり、ここで、アルキル基は、CONR1213、CO12またはCOより選択された1個またはそれ以上の置換基で選択的に置換され、
12およびR13は、HおよびC1−20アルキルからなる群より独立して選択され、
は、対カチオンであり、
ハロは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。〕
【請求項3】
前記プロスタグランジンが、下記の式で表される化合物からなる群より選択されてなるものである、請求項1に記載の精製方法。
【化6】

【請求項4】
前記プロスタグランジンが、下記式で表される化合物である、請求項1に記載の精製方法。
【化7】

【請求項5】
前記固定相が、キラル固定相である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項6】
前記キラル固定相が、シリカ上にコーティングまたは固定された、誘導アミロースまたはセルロースポリマーである、請求項5に記載の精製方法。
【請求項7】
前記キラル固定相が、シリカ上の3,5−ジメチルフェニルカルバメート−誘導セルロース、シリカ上の(S)−アルファ−メチルベンジルカルバメート−誘導アミラーゼ、シリカ上の3,5−ジクロロフェニルカルバメート−誘導セルロース、シリカ上の3,5−ジメチルフェニルカルバメート−誘導アミラーゼ、シリカ上の4−メチルベンゾエート−誘導セルロース、およびシリカ上のシンナメート−誘導セルロースからなる群より選択されてなる、請求項5に記載の精製方法。
【請求項8】
前記固定相が、非キラル固定相である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項9】
前記非キラル固定相が、プリンストンジオール(Princeton Diol)、4−エチルピリジン、2−エチルピリジンおよびピリジンウレアからなる群より選択されてなる、請求項8に記載の精製方法。
【請求項10】
前記移動相が、少なくとも1種の変性剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の変性剤は、少なくとも1種のアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、塩化メチレンおよびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項10に記載の精製方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の変性剤が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびそれらの組合せからなる群より選択されるアルコールを含んでなる、請求項10に記載の精製方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の変性剤が、二酸化炭素に対して約1%v/v程度存在する、請求項10に記載の精製方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の変性剤が、二酸化炭素に対して約1%w/w程度存在する、請求項10に記載の精製方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種の変性剤が、二酸化炭素に対して約5%v/v程度存在する、請求項10に記載の精製方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種の変性剤が、二酸化炭素に対して約5%w/w程度存在する、請求項10に記載の精製方法。
【請求項17】
少なくとも99%の、化学的に純粋な、精製されたプロスタグランジンを提供する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項18】
少なくとも99%の、異性体的に純粋な、精製されたプロスタグランジンを提供する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項19】
超臨界流体クロマトグラフィーによるラタノプロストの精製精製方法であって、
固定相と、二酸化炭素を含む移動相とを使用することを含んでなる、精製方法。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の精製方法により得られた、プロスタグランジン。
【請求項21】
0.03%未満のC11−ベータ異性体、0.03%未満のC15R−トランス異性体、0.05%未満のC15S−トランス異性体、および0.03%未満のC15S−シス異性体を含んでなる、ラタノプロスト。
【請求項22】
11ヶ月間冷凍温度にて貯蔵された後、0.03%未満のC11−ベータ異性体、0.03%未満のC15R−トランス異性体、0.05%未満のC15S−トランス異性体、および0.03%未満のC15S−シス異性体を含んでなる、ラタノプロスト。
【請求項23】
固定相を有するカラムに天然プロスタグランジンを注入し、
超臨界二酸化炭素を含んでなる移動相を用いて、カラムを通して天然プロスタグランジンを溶離し、
精製されたプロスタグランジンを含んでなる画分を収集することを含んでなる、天然プロスタグランジンの精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−530783(P2012−530783A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517644(P2012−517644)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039457
【国際公開番号】WO2011/005505
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】