説明

プロスタグランジンI2アンタゴニストとしてのチオフェニルアミノイミダゾリン類

式(I)[式中、R1、R2、AおよびXは、本明細書に定義されたとおり]で示される化合物をその必要性がある対象者に投与することによって、IPアンタゴニストが介在する疾患または状態を処置する方法。化合物および関連組成物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンI2(IP)レセプターアンタゴニスト、およびそれを含有する関連医薬組成物、ならびに治療剤としてそれを用いる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジンまたはプロスタノイド(PG)は、膜リン脂質から誘導される生物活性化合物であり、3、4または5個の二重結合およびシクロペンタン環を有する、20C必須脂肪酸から形成される。それらは、文字D、E、F、G、HまたはIで指定される、主要ないくつかの群に属し、シクロペンタン環に対する置換によって区別される。主要な群は、それらの脂肪酸前駆体を反映する下付文字1、2または3によって更に下位区分される。したがって、PGI2は、二環構造を有し、下付文字2は、それがアラキドン酸に関連することを示す。
【0003】
PGI2(プロスタサイクリンとしても知られる)は、血小板および血管に作用して、凝集を阻害し、血管拡張を惹起し、血管のホメオスタシスに重要であると考えられる。PGI2は、健全な血管壁の抗血栓性という特性に寄与し得ることが示唆されている。PGI2は、血管緊張の生理学的モジュレーターであって、血管収縮剤の作用に対抗するよう機能するとも考えられる。これらの血管作用の重要性は、敗血症ショックに付随する低血圧へのPGI2の関与によって強調される。プロスタグランジンは、血管の透過性には直接的効果がないようであるが、PGI2は、炎症を生じた領域における血流を促進することによって、浮腫形成および白血球浸潤を顕著に増強する。したがって、IPレセプターアンタゴニストは、敗血症ショックに関連する低血圧を救済し、浮腫形成を緩和し、限定はされないが、血友病および出血のような、過剰な出血に付随する状態を防止する可能性がある。
【0004】
齧歯類におけるin vivoでのいくつかの無痛覚研究は、PGI2が痛覚過敏の誘導に大きな役割を果たすことを示唆する。同様に、in vitroでの研究は、「PGI2優先性」(IP)レセプターが、知覚神経機能の重要なモジュレーターとして作用することを示唆する実質的な証拠を与える[Bley et al., Trends in Pharmacological Sciences 19: 141-147 (1998)]。知覚神経におけるIPレセプターは、アデニリルシクラーゼおよびホスホリパーゼCの双方、ひいてはcAMP依存性プロテインキナーゼおよびプロテインキナーゼCの活性化と連動することから、これらのレセプターは、イオンチャンネル活性、したがってまた神経伝達物質放出に強力な効果を発揮することができる。炎症性疼痛におけるIPレセプターの傑出した役割の証拠は、IPレセプターを欠くトランスジェニックマウスにおける最近の研究から得られている[Murata et al., Nature 388: 678-682 (1997)]。
【0005】
プロスタグランジンは、痛覚過敏のメジエーターであることに加え、排尿平滑筋の伸張、膀胱粘膜の損傷、および神経刺激のような生理学的刺激に応答して、膀胱で局所的に生成されることが知られている[Anderson, Pharmacological Reviews 45: 253-308 (1993)]。PGI2は、ヒトの膀胱から放出される主要なプロスタグランジンである。プロスタグランジンは、膀胱の充満によって生じる排尿筋伸張と、膀胱の膨張による求心性C線維の活性化との間の結線であり得るとの示唆がある。プロスタグランジンは、膀胱障害の病態生理学に関与している可能性が提唱されている。したがって、プロスタグランジンIPレセプターのアンタゴニストは、そのような状態の処置に役立つことが期待される。
【0006】
IPレセプターのアンタゴニストは、アレルゲンに応答したPGI2産生が存在する呼吸器アレルギー、または喘息のような呼吸器状態にも効用を見出すことが期待される。
【0007】
プロスタグランジンおよびそのレセプターに関連する更なる情報は、Goodman & Gillman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, ninth edition, McGraw-Hill, New York, 1996、第26章601〜616ページに記載されている。
【0008】
本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、前出であると後出であるとを問わず、それぞれ、その全体がここに援用される。
【0009】
本発明は、IPアンタゴニストが介在する疾患または状態を処置する方法であって、その必要がある対象者に、有効量の式I:
【0010】
【化6】

【0011】
[式中、R1は、アルキル、シクロアルキル、場合により置換されたアリール、または場合により置換されたヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−O−、−S(O)p−(pは0〜2である)、−NR3−(R3は水素またはアルキルである)または結合であり;
Xは、式i、ii、iii、iv、v、vi、viiまたはviii:
【0012】
【化7】

【0013】
(式中、mは0または1であり;nは1〜3であり;Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ、互いに独立して、水素またはアルキルである)の基である]
で示される化合物、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和もしくはプロドラッグを投与する方法を提供する。
【0014】
本発明の方法で使用できる化合物および医薬組成物も、提供される。
【0015】
別途記述されない限り、明細書およびクレームをはじめとして、本願に用いられる以下の用語は、下記に示す定義を有する。本明細書および付記されたクレームに用いられる限りで、単数形の単語は、文脈が他意を明瞭に示さない限り、複数形の指示対象を包含することに留意しなければならない。
【0016】
「アシル」(または「アルキルカルボニル」)は、Raが本明細書に定義されたとおりの低級アルキルである、基−C(O)−Raを意味する。アシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどを非限定的に包含する。
【0017】
「アルキル」は、別途指示されない限り、1〜12個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみからなる、飽和された一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシルなどを非限定的に包含する。
【0018】
「アルキレン」は、炭素および水素原子のみからなる、飽和された二価の直鎖または分枝鎖炭化水素基、たとえばメチレン、エチレン、イソプロピレンなどを意味する。
【0019】
「低級アルキル」は、別途指示されない限り、1〜6個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみからなる、飽和された一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基(すなわち「C1〜C6アルキル」を意味する。低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを非限定的に包含する。
【0020】
「アルコキシ」は、Rbが本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−O−Rbを意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを非限定的に包含する。
【0021】
「アルコキシカルボニル」は、Rcが本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−C(O)−ORcを意味する。アルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなどを非限定的に包含する。
【0022】
「アルキルアミノ」は、Rdが本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−NHRdを意味する。アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノなどを非限定的に包含する。
【0023】
「アルキルアミノカルボニルは、Reが本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−C(O)−NHReを意味する。アルキルアミノカルボニル基の例は、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニルなどを非限定的に包含する。
【0024】
「アルキレンジオキシ」は、nが1〜4である二価の基−O(CH2nO−を意味する。「エチレンジオキシ」は、基−OCH2CH2O−を意味する。「メチレンジオキシ」は、基−OCH2O−を意味する。
【0025】
「アルキルスルホニル」は、Rfが本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−SO2fを意味する。アルキルスルホニル基の例は、メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニルなどを非限定的に包含する。
【0026】
「アラルキル」は、Rgが本明細書に定義されたとおりのアルキル基であり、Rhが本明細書に定義されたとおりの低級アリール基である、基−Rghを意味する。アラルキル基の例は、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルなどを非限定的に包含する。
【0027】
「アラルキルオキシ」は、Riが本明細書に定義されたとおりのアラルキル基である、基−O−Riを意味する。アラルキルオキシ基の例は、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシなどを非限定的に包含する。
【0028】
「アリール」は、単環、二環または三環式芳香環からなる、一価の環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により、本明細書に定義されたとおりに置換されていることができる。アリール部分の例は、場合により置換されたフェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなどを、部分的に水素化されたそれらの誘導体も含めて、非限定的に包含する。
【0029】
「アリールオキシ」は、Rjが本明細書に定義されたとおりのアリール基である、基−O−Rjを意味する。アリールオキシ基の例は、フェノキシなどを非限定的に包含する。
【0030】
「シクロアルキル」は、別途指示されない限り、ヒドロキシル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、アミノスルホニル、スルホニルアミノおよび/またはトリフルオロメチルから独立して選ばれる、一つ以上の置換基で場合により置換されていることができる、一つ以上の環からなる、飽和された一価の炭素環の基を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、3−エチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチルなどを非限定的に包含する。
【0031】
「シクロアルキルオキシ」は、Rkが本明細書に定義されたとおりのシクロアルキル基である、基−O−Rkを意味する。
【0032】
「シクロアルキルアルキル」は、Rlが本明細書に定義されたとおりのアルキレンであり、Rmが本明細書に定義されたとおりのシクロアルキルである、基−Rlmを意味する。
【0033】
「シクロアルキルアルキルオキシ」は、Rlが本明細書に定義されたとおりのアルキレンであり、Rmが本明細書に定義されたとおりのシクロアルキルである、基−O−Rlmを意味する。
【0034】
「ジアルキルアミノ」は、RnおよびRoが、それぞれ独立して、本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−NRnoを意味する。ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなどを非限定的に包含する。
【0035】
「ジアルキルアミノカルボニル」は、RpおよびRqが、それぞれ独立して、本明細書に定義されたとおりの低級アルキル基である、基−C(O)−NRpqを意味する。ジアルキルアミノカルボニル基の例は、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、メチルプロピルアミノカルボニルなどを非限定的に包含する。
【0036】
「ハロゲン」または「ハロ」は、基フルオロ、ブロモ、クロロおよび/またはヨードを意味する。
【0037】
「ハロアルキル」は、本明細書に定義されたとおりの一つ以上のハロゲン原子でいずれかの位置にて置換された、本明細書に定義されたとおりのアルキルを意味する。ハロアルキル基の例は、1,2−ジフルオロプロピル、1,2−ジクロロプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチルなどを非限定的に包含する。
【0038】
「ハロアルキルオキシ」は、Rrが本明細書に定義されたとおりのハロアルキルである、基−O−Rrを意味する。
【0039】
「ハロアルキルオキシアルキル」は、Rsが本明細書に定義されたとおりのアルキレンであり、Rtが本明細書に定義されたとおりのハロアルコキシである、基−Rstを意味する。
【0040】
「ヘテロアリール」は、N、OまたはSから選ばれる1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を有し、残余の環原子がCである、少なくとも1の芳香族環を有する、5〜12個の環原子からなる単環または二環の基を意味し、該ヘテロアリール基の結合点は芳香環上にあると理解される。ヘテロアリール環は、場合により、本明細書に定義されたとおりに置換されていてよい。ヘテロアリール部分の例は、場合により置換されたイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニルなどを、部分的に水素化されたそれらの誘導体も含めて、非限定的に包含する。
【0041】
「ヘテロシクリル」は、1、2、3または4個の(窒素、酸素または硫黄から選ばれる)ヘテロ原子を組み込んだ1〜3個の環からなる、飽和された一価の部分を意味する。該ヘテロシクリル環は、場合により、本明細書に定義されたとおりに置換されていてよい。ヘテロシクリル部分の例は、場合により置換されたピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどを非限定的に包含する。
【0042】
「ヒドロキシアルキル」は、一つ以上のヒドロキシル基で置換された、本明細書に定義されたとおりのアルキルを意味する。ヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルなどを非限定的に包含する。
【0043】
「ヒドロキシカルボニル」は、基−C(O)−OHを意味する。
【0044】
「場合による」または「場合により」は、その後に記載される事象または状況が、生じてもよいが、生じる必要はなく、その記載が、該事象または状況が生じる場合と生じない場合とを包含することを意味する。たとえば、「場合による結合」は、その結合が存在してもしなくてもよく、その記載が単、二重または三重結合を包含することを意味する。
【0045】
「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」に付随して用いられたときの「場合により置換された」は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(Rは、水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、−(CR’R”)n−COOR(nは0〜5の整数であり、R'およびR”は、独立して、水素またはアルキルであり、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)または−(CR’R”)n−CONRab(nは0〜5の整数であり、R'およびR”は、独立して、水素またはアルキルであり、RaおよびRbは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選ばれる、1〜4個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で、独立して、場合により置換された、アリール、フェニル、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを意味する。
【0046】
「異性体」は、同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質もしくは順序、またはその原子の空間での配置が異なる、異なる化合物を意味する。その原子の空間での配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いが鏡像であり、光学活性を有する立体異性体は、「鏡像異性体」と称され、それぞれが鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と称される。
【0047】
「アトロピック異性体」は、その存在が、中心的結合の周囲で大きい基の回転が妨げられることによって生じる、制限された回転に起因する異性体を意味する。
【0048】
「キラル異性体」は、一つのキラル中心を有する化合物を意味する。キラリティーが反対である二つの鏡像異性形態があり、個々の鏡像異性体としてか、または鏡像異性体の混合物としてかのいずれでも存在し得る。キラリティーが反対である等量の個々の鏡像異性形態を含む混合物は、「ラセミ混合物」と称される。二つ以上のキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオ異性体としてか、またはジアステレオ異性体の混合物としてかのいずれでも存在し得て、「ジアステレオ異性体混合物」と称される。キラル中心が一つ存在するとき、立体異性体を、そのキラル中心の絶対的立体配置(RまたはS)によって特徴付けてもよい。絶対的立体配置とは、キラル中心に結合している置換基の空間における配置を意味する。考慮下にあるキラル中心に結合している置換基は、Cahn、IngoldおよびPrelogの順位則にしたがって順位付けられる[Cahn et al., Angew. Chem. Inter. Edit. 1966, 5, 385; errata 511;Cahn et al., Angew. Chem. 1966, 78, 413;Cahan & Ingold, J. Chem. Soc. (London) 1951, 612;Cahn et al., Experientia 1956, 12, 81;Cahn, J. Chem. Educ. 1964, 41, 116]。
【0049】
「幾何異性体」は、その存在が二重結合の周囲の妨げられた回転に起因するジアステレオ異性体を意味する。これらの立体配置は、基が、カーン−インゴールド−プレローグ順位則によれば分子内の二重結合の同じか、または反対の側にあることを示す、接頭辞cis−およびtrans−、またはZおよびEによって、その名が区別される。
【0050】
「離脱基」は、合成有機化学でそれに慣用的に関連付けられた意味を有する基、すなわち、アルキル化の条件下で移動させることができる原子または基を意味する。離脱基の例は、ハロゲン、アルカン−またはアリーレン−スルホニルオキシ、たとえばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシおよびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されたベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシなどを非限定的に包含する。
【0051】
「保護基」または「保護する基」は、合成有機化学でそれに慣用的に関連付けられた意味、すなわち、多機能性化合物の一つの反応部位を選択的に遮断したために、保護されていない別の反応部位で選択的に化学反応を実施することができる基の意味を有する。本発明の一定の方法は、保護基が反応物質中に存在する反応性に富む酸素原子を遮断することに依拠する。アルコールまたはフェノール性ヒドロキシル基のための、逐次的かつ選択的に除去し得る、許容され得る保護基は、酢酸塩、炭酸ハロアルキル、ベンジルエーテル、アルキルシリルエーテル、ヘテロシクリルエーテル、メチルその他のアルキルエーテルなどとして保護される基を包含する。カルボキシル基のための保護または遮断基は、ヒドロキシル基について記載されたものと同様であり、好ましくはtert−ブチル、ベンジルまたはメチルエステルである。保護基の例は、Greeneらの「Protective Groups in Organic Chemistry, 2nd Ed., 1999, J. Wiley」、およびHarrisonらの「Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols. 1-8, 1971-1996, Wiley & Sons」に見出すことができる。
【0052】
「アミノ保護基」または「N−保護基」は、合成手順の際に望ましくない反応から窒素原子を保護するよう意図されるような有機基を指す保護基を意味し、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリフルオロアセチルなどを非限定的に包含する。
【0053】
「脱保護」または「脱保護する」は、選択的反応が完了した後に、保護基を除去する方法である。一定の保護基は、除去のその簡便性または相対的容易さのために他のものより好適であるとされ得る。保護されたヒドロキシルまたはカルボキシル基のための脱保護試薬は、炭酸カリウムもしくはナトリウム、アルコール溶液中の水酸化リチウム、メタノール中の亜鉛、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラジウム触媒、または三臭化ホウ素などを包含する。
【0054】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、それに関連して記載される反応の条件下で不活性である溶媒を意味し、たとえば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどを包含する。指定されない限り、本発明の反応に用いられる溶媒は、不活性溶媒である。
【0055】
「薬学的に許容され得る」は、医薬組成物を製造するのに役立つものであって、概して安全かつ無害であり、生物学的にも他の面でも望ましくないことがないものを意味し、ヒトの薬学的な使用はもとより、獣医学的なそれにも許容され得るものを包含する。
【0056】
「薬学的に許容され得る担体」は、医薬組成物を製造するのに役立つ担体であって、該組成物のその他の成分と両立でき、受容者に有害ではなく、生物学的にも他の面でも望ましくないことがない担体を意味し、獣医学的な使用、またはヒトの薬学的な使用に許容され得る担体を包含する。本明細書およびクレームに用いられる限りでの「薬学的に許容され得る担体」は、1種類以上のそのような担体をともに包含する。
【0057】
ある化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容されることができ、親化合物の望ましい薬理学的活性を保有する塩を意味する。そのような塩は、たとえば、下記を包含する:
(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸とで形成されるか、または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸とで形成される酸付加塩;
(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、たとえばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンで置き換えられるか、または有機塩基と共役するときに形成される塩。許容され得る有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミなどを包含する。許容され得る無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを包含する。
【0058】
薬学的に許容され得る塩に関する記載は、その溶媒付加形態または結晶形態、特に溶媒和または多形相を包含すると理解される。溶媒和は、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含有し、晶出過程の際に形成されることも多い。水和物は、溶媒が水であるときに形成されるか、またはアルコラートは、溶媒がアルコールであるときに形成される。多形相は、ある化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を包含する。多形相は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学的および電気的特性、安定性ならびに溶解度を有する。再結晶溶媒、晶出速度および貯蔵温度のような、様々な要因が、単一の結晶形態を支配的にさせ得る。
【0059】
本明細書に用いられる限りでの「薬理学的効果」は、意図された治療目的を達成する、対象者に惹起された効果を包含する。一好適実施態様では、薬理学的効果は、そのような処置が必要な対象者の処置を意味する。たとえば、薬理学的効果は、そのような処置が必要な対象者における、疼痛、炎症、尿路疾患状態または喘息に付随する疾患状態の予防、緩和または軽減を招くそれであることになる。好適実施態様では、薬理学的効果は、IPレセプターの活性化が、IPレセプターモジュレーター、特にIPレセプターアンタゴニストの投与によって処置できる疾患状態を有する対象者における、治療の利得に関連付けられることを意味する。
【0060】
「対象者」は、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。哺乳動物の例は、哺乳綱のいかなる成員:ヒト、ヒトでない霊長類、たとえばチンパンジーその他の類人猿および猿の種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタのような家畜;ウサギ、イヌおよびネコのような家畜;齧歯類、たとえばラット、マウスおよびモルモットなどを初めとする、実験動物も非限定的に包含する。非哺乳動物の例は、鳥類などを非限定的に包含する。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。
【0061】
「治療有効量」は、疾患状態を処置するために対象者に投与されたとき、該疾患状態に対するそのような処置を実行するのに充分である、化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、および処置しようする疾患状態、処置される疾患の重篤度、対象者の年齢および相対的な健康度、投与の経路および形態、担当医または獣医学臨床医の判断などの要因に応じて変動することになる。
【0062】
疾患状態を「処置する」またはその「処置」は、
(1)疾患状態を防止すること、すなわち、疾患状態に曝されているか、またはその素質がある可能性があるが、該疾患状態の症状を未だ経験または示していない対象者に、疾患状態の臨床的症状が発生しないようにすること、
(2)疾患状態を阻止すること、すなわち、疾患状態またはその臨床的症状の発生を停滞させること、あるいは、
(3)疾患状態を救済すること、すなわち、疾患状態またはその臨床的症状の一時的もしくは恒久的な退化を惹起すること
を包含する。
【0063】
「疾患状態」は、いかなる疾患、障害、状態、症状または指標も意味する。
【0064】
「尿路に関連する疾患状態」、「尿路の疾患状態」、「尿路疾患」または「尿路の症状」は、相互可換的に用いられ、尿貯蔵もしくは排尿の障害を生じる、尿路の病理学的変化、または膀胱平滑筋もしくはその神経支配の機能不全を意味する。尿路の症状は、(排尿筋機能亢進としても知られる)、出口閉塞、出口機能不全および骨盤過敏症を包含する。
【0065】
「出口機能不全」は、尿道運動過剰、内因性括約筋欠損または混合型失禁を非限定的に包含する。通常、症状的には、ストレス失禁として現れる。
【0066】
「出口閉塞」は、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄疾患、腫瘍などを非限定的に包含する。通常、症状的には、閉塞性(低流量、排尿開始の困難など)および刺激性(切迫、恥骨上部痛など)として現れる。
【0067】
「過活動膀胱」または「排尿筋機能亢進」は、症状的には、急迫性、頻数、膀胱容量低下、失禁エピソードなどとして現れる変化;排尿水力学的には、膀胱容量、排尿閾値、不安定的膀胱収縮、括約筋痙縮などの変化として現れる変化;ならびに排尿反射亢進(神経因性膀胱)、出口閉塞、出口機能不全、骨盤過敏症のような状態、または排尿筋不安定性などのような特発的状態の際に現れる症状を非限定的に包含する。
【0068】
「骨盤過敏症」は、骨盤痛、間質(細胞)膀胱炎、前立腺痛、前立腺炎、外陰痛、尿道炎、睾丸痛などを非限定的に包含する。症状的には骨盤領域に関する疼痛、炎症または不快感として現れ、通常、過活動膀胱の症状を包含する。
【0069】
「疼痛」は、特化した神経末端の刺激から生じる、不快感、苦痛または激痛の多少とも局在した感覚を意味する。疼痛には、電撃痛、幻想痛、刺すような痛み、急性痛、炎症痛、神経因性疼痛、複合的局所性疼痛、神経痛、神経障害など非限定的に包含する、多くの種類がある[Dorland's Illustrated Medical Dictionary, 28th ed., W.B.Saunders Company, Philadelphia, PA]。疼痛の処置の目標は、処置される対象者が認識する疼痛の重篤度を軽減することである。
【0070】
「神経因性疼痛」は、末梢神経系における機能的障害および/または病理学的変化、ならびに非炎症性病変から生じる疼痛を意味する。神経因性疼痛の例は、熱的または機械的な痛覚過敏、熱的または機械的な異痛症、糖尿痛、捕捉痛などを非限定的に包含する。
【0071】
「モジュレーター」は、標的と作用し合う化合物のような分子を意味する。相互作用は、本明細書に定義されたとおりの、アゴニスト、アンタゴニストなどを非限定的に包含する。
【0072】
「アゴニスト」は、別の分子またはレセプター部位の活性を高める化合物、薬物、酵素活性剤またはホルモンのような分子を意味する。
【0073】
「アンタゴニスト」は、別の分子またはレセプター部位の作用を弱化または防止する化合物、薬物、酵素活性剤またはホルモンのような分子を意味する。
【0074】
概して、本願に用いられる命名法は、AutoNom(登録商標)、すなわちIUPAC系統的命名法の生成のためのBeilstein Instituteコンピューター化システムに基づく。本明細書に示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成した。本明細書中の構造における炭素、窒素または酸素について示される、閉じていないいかなる原子価も、水素の存在を示す。
【0075】
当技術に周知の通り、式Iの化合物のような化合物におけるイミダゾリン−2−イルアミノ基は、イミダゾリン−2−イリデンアミノ基との互変異性平衡にある:
【0076】
【化8】

【0077】
簡便性のため、式Iの化合物は、すべて、イミダゾリン−2−イルアミノ構造を有するとして示されるが、互変異性体形態化合物は、双方とも本発明の範囲内にあると意図されることを理解しなければならない。
【0078】
1、R2、R3、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhのいずれもがアルキルである場合、それらは、好ましくは低級アルキル、すなわちC1〜C6アルキル、より好ましくはC1〜C4アルキルである。
【0079】
もう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基である。更に一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0である。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素である。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1である。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−である。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−であり、pは0である。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−であり、R1は、場合により置換されたフェニルである。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−であり、pは0であり、R1は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アルキレンジオキシ、カルボキシル、カルボキシエステル、ニトロ、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、フェノキシ、アルカノイル、ハロアルキルオキシアルキル、フェニルカルボニルまたはアミドで場合により置換された、フェニルである。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−であり、pは0であり、R1は、4−アルキルフェニル、4−ハロフェニル、4−アルコキシフェニル、4−ハロアルキルフェニル、4−シクロアルキルフェニル、4−シクロアルキルアルキルフェニル、4−シクロアルキルオキシフェニル、4−シクロアルキルアルキルオキシフェニル、4−アルキレンジオキシフェニル、4−カルボキシフェニル、4−カルボキシエステルフェニル、4−ニトロフェニル、4−アルキルスルホニルアミノフェニル、4−ヒドロキシアルキルフェニル、4−フェノキシフェニル、4−アルカノイルフェニル、4−ハロアルキルオキシアルキルフェニル、4−フェニルカルボニルフェニルまたは4−アミドフェニルである。更にもう一つの実施態様では、式Iの化合物中のXは、式iの基であり、mは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S(O)p−であり、pは0であり、R1は、4−アルキルフェニル、4−ハロフェニル、4−アルコキシフェニル、4−シクロアルキルフェニル、4−シクロアルキルオキシフェニルまたは4−シクロアルキルアルキルオキシフェニルである。
【0080】
一定の実施態様では、Xは、式iのものであり、mは0であり、nは1であり得る。いくつかの実施態様では、Ra、Rb、RcおよびRdは水素である。
【0081】
多くの実施態様では、R1は、場合により置換されたフェニル、たとえば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アルキレンジオキシ、カルボキシル、カルボキシエステル、ニトロ、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、フェノキシ、アルカノイル、ハロアルキルオキシアルキル、フェニルカルボニルまたはアミドで場合により置換された、フェニルである。一定の実施態様では、R1は、4−アルキルフェニル、4−ハロフェニル、4−アルコキシフェニル、4−ハロアルキルフェニル、4−シクロアルキルフェニル、4−シクロアルキルアルキルフェニル、4−シクロアルキルオキシフェニル、4−シクロアルキルアルキルオキシフェニル、4−アルキレンジオキシフェニル、4−カルボキシフェニル、4−カルボキシエステルフェニル、4−ニトロフェニル、4−アルキルスルホニルアミノフェニル、4−ヒドロキシアルキルフェニル、4−フェノキシフェニル、4−アルカノイルフェニル、4−ハロアルキルオキシアルキルフェニル、4−フェニルカルボニルフェニルまたは4−アミドフェニルであり得る。
【0082】
一定の実施態様では、本発明の方法は、式II:
【0083】
【化9】

【0084】
[式中、Aは、−O−または−S−であり;
4は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アルキレンジオキシ、カルボキシル、カルボキシエステル、ニトロ、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、フェノキシ、アルカノイル、ハロアルキルオキシアルキル、フェニルカルボニルまたはアミドであり;
5は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲンもしくはハロアルキルであるか、またはR4およびR5が、一緒になって、アルキレンジオキシ基を形成し;
m、n、R2、Ra、Rb、RcおよびRdは、本明細書に定義されたとおりである]
で示される化合物を利用し得る。
【0085】
特定の実施態様では、R4は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、クロロ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルであり得る。
【0086】
一実施態様では、式IIのmは0である。もう一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素である。更に一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1である。更にもう一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、R4は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、クロロ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルである。
【0087】
本発明の方法は、具体的には、式III:
【0088】
【化10】

【0089】
[式中、R4は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、クロロ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルであり、
2およびR5は、本明細書に定義されたとおりである]
で示される化合物を利用し得る。
【0090】
一実施態様では、本発明は、
Aが、−O−または−S−であり;
mが0または1であり;
nが1〜3であり;
2が、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
4が、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルであり;
5が、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲンもしくはハロアルキルであるか、またはR4およびR5が、一緒になって、アルキレンジオキシ基を形成し;
a、Rb、RcおよびRdが、それぞれ独立して、水素またはアルキルである、
式IIの化合物、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和もしくはプロドラッグを提供する。
【0091】
一実施態様では、式IIのmは0である。もう一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素である。更に一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1である。もう一つの実施態様では、式IIのmは0であり、Ra、Rb、RcおよびRdは水素であり、nは1であり、Aは−S−である。
【0092】
限定せずに例示すれば、疾患または状態は、尿路疾患、呼吸器疾患、浮腫形成、低血圧性血管疾患、疼痛または炎症である。疼痛は、炎症痛、神経因性疼痛、癌疼痛、急性痛、慢性痛、外科痛、歯痛、月経前期痛、内臓痛、火傷による疼痛、偏頭痛、群発頭痛、神経痛、外傷後の疼痛、過敏性腸管症候群のような機能性腸管障害に付随する疼痛、痛覚過敏、または複合的局所性症候群であり得る。炎症は、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、特発性膀胱炎、栄養欠損、前立腺症または結膜炎痛に付随し得る。尿路疾患は、膀胱出口閉塞、尿失禁、膀胱容量低下、尿意頻数、急迫性尿失禁、ストレス失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿反射亢進、頻尿、夜尿症、尿意逼迫、過活動性膀胱、骨盤過敏症、急迫性尿失禁、尿道炎、前立腺炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症であり得る。呼吸器疾患は、アレルギーまたは喘息であり得る。疾患は、更に、浮腫形成または低血圧性血管疾患も含み得る。
【0093】
本発明による代表的な化合物を、表1に示す。
【0094】
表1
# 名称
1 N−エチル−N′−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−グアニジン
2 N−[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−N′−エチル−グアニジン
3 N,N′−ジエチル−N″−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−グアニジン
4 N−[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−N′−エチル−グアニジン
5 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
6 [4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
7 [4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
8 (4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
9 [4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
10 [4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−アミン
11 [4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−[1,3]ジアゼピン−2−イル)−アミン
12 2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
13 4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンズアミジン
14 2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
15 2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン
16 2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−1H−イミダゾール
17 5−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−1H−イミダゾール
18 1−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−ピロリジン
19 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
20 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[2−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
21 ジベンゾチオフェン−2−イル−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
22 7−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]キナゾリン
23 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−メチルスルファニル−フェニル)−アミン
24 (4−シクロヘキシルスルファニル−フェニル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
25 [4−(2,6−ジクロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
26 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−アミン
27 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(2−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
28 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
29 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(2,5−ジメトキシ−フェニルスルファニル}−フェニル]−アミン
30 [4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
31 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−エトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
32 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−イソプロポキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
33 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−p−トリルスルファニル−フェニル)−アミン
34 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
35 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
36 [4−(4−tert−ブチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
37 4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸エチルエステル
38 4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸
39 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
40 N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタンスルホンアミド
41 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−アミン
42 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−フェニル]−アミン
43 N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−N′−(4−メトキシ−フェニル)−N′−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン
44 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4′−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−アミン
45 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(ナフタレン−2−イルスルファニル)−フェニル]−アミン
46 {4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタノール
47 {4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステル
48 2−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−1−モルホリン−4−イル−エタノン
49 {4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−モルホリン−4−イル−メタノン
50 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
51 N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−マロンアミド酸エチルエステル
52 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イルスルファニル)−フェニル]−アミン
53 [4−(4−シクロヘキシルメトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
54 N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−2−フェノキシ−アセトアミド
55 N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−3−フェニル−プロピオンアミド
56 4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンズアミド
57 4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸イソプロピルエステル
58 {4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−フェニル−メタノン
59 N−ベンジル−4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−N−メチル−ベンズアミド
60 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−エトキシメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
61 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
62 [3−クロロ−4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
63 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−フェノキシ−フェノキシ)−フェニル]−アミン
64 (5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン
65 [3−クロロ−4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(3,4,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−イル)−アミン
66 [3−クロロ−4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル)−アミン
67 {4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸
68 3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸エチルエステル
69 (E)−3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アクリル酸エチルエステル
70 モルホリン−4−カルボン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル
71 (4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アミン
72 ジメチル−カルバミン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル
73 [4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(3,4,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−イル)−アミン
【0095】
本発明の化合物は、以下に示され、かつ説明される、例示的な合成反応スキームに描かれた方法によって製造し得る。
【0096】
これらの化合物を製造する際に用いられる出発材料および試薬は、概して、商業的供給者、たとえばAldrich Chemical Co.から入手可能であるか、あるいは当業者に公知の方法により、「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons, New York, 1991, Vols. 1-20」、「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Vols. 1-5」および補遺、ならびに「Organic Reactions, Wiley & Sons, New York, 1991, Vols. 1-40」のような参考書に記載された手順に従って製造されるかである。下記の合成反応スキームは、本発明の化合物が合成され得るいくつかの方法の単なる例示にすぎず、当業者には、本願に含まれる開示を参照して、これらの合成反応スキームへの様々な変更が加えられてよく、かつ示唆されると思われる。
【0097】
合成反応スキームの出発材料および中間体は、所望されるならば、濾過、蒸留、晶出、クロマトグラフィーなどを非限定的に包含する、慣用の手法を用いて単離かつ精製され得る。そのような材料は、物理定数およびスペクトルデータを初めとする、慣用の手段を用いて特性記述され得る。
【0098】
反対に指定されない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは、大気圧で、約−78〜約150℃、より好ましくは約0〜約125℃の温度範囲にわたって、最も好ましく、かつ好都合にはほぼ室温(または常温)、たとえば約20℃で実施される。
【0099】
スキームAは、Xが、ハロゲンその他の離脱基であり、出現する都度同じであるか、または異なってよく、R2、R4およびR5が、本明細書に記載されたとおりである、本発明の化合物を製造する一つの方法を例示している。スキームAの手順は、例示的であり、本発明の化合物へのこれに代わる合成経路が、当業者には示唆されると思われる。
【0100】
【化11】

【0101】
スキームA
スキームAの工程1では、チオフェノールaを、無水極性溶媒の条件下で、水素化ナトリウムのような強塩基で処理し、次いで、ニトロ化合物bと反応させて、ニトロフェニルスルファニルベンゼン化合物cを与える。次いで、ニトロフェニルスルファニルベンゼンcを、工程2に向けて、極性プロトン性溶媒の条件下で、ホウ水素化ナトリウムまたはSnCl2のような還元剤で処理して、対応するフェニルスルファニルアニリンdを与え得る。次いで、アニリンdを、工程3で、クロロイミダゾリンのようなイミダゾリンと反応させて、チオフェニルアミノイミダゾリン化合物fを与えて、これが、mが0であり、Aが−S−であり、Ra、RbおよびRcが、水素である、上記の式(II)の化合物である。
【0102】
工程3への代替策として、フェニルスルファニルアニリンdを酸、次いでシアン化物で処理して、フェニルスルファニルフェニルグアニジン化合物gを与える工程4を実施してもよい。これに代えて、フェニルスルファニルアニリンdをラクタムhと反応させて、フェニルスルファニルフェニルピロリジン化合物iを得る工程5を実施してもよい。
【0103】
スキームAの手順に対する多くの変更例が、当業者には可能であり、明白であると思われる。そのような一変更例では、工程1で、ニトロ化合物bを、対応する保護されたアニリンに置き換えて、工程2で、保護基を(ニトロ基の還元に代えて)除去して、フェニルスルファニルアニリンdを与えてもよい。これに関しては、周知の多くの保護基のスキームを用い得る。例示的な保護基の大方針は、例えばGreeneらが「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., Wiley & Sons, 1999」に記載している。スキームAのその他の変更例では、イミダゾリン化合物e(n=1)を、対応するトリヒドロピリミジン化合物(n=2)またはテトラヒドロジアゼピン化合物(n=3)に置き換えてよい。更にもう一つの変更例では、スルファニル部分を、メタクロロ過安息香酸またはOXON(登録商標)を用いて、部分的にか、または完全に酸化して、対応するスルフィニルまたはスルホニル化合物を得てもよい。
【0104】
ここで、スキームBを参照すると、Xがハロゲンその他の離脱基であり、出現する都度同じであるか、または異なってよく、R2、R4およびR5が、本明細書に記載されたとおりである、本発明の化合物を製造するもう一つの手順が示される。スキームAと同様に、スキームBの手順は、例示的であり、限定するとして考えてはならない。
【0105】
【化12】

【0106】
スキームB
スキームBの工程1では、チオフェノールaを、スキームAの工程1におけるような強塩基で処理し、次いで、ニトリル化合物jと反応させて、フェニルスルファニルベンゼンニトリル化合物kを得る。次いで、工程2で、フェニルスルファニルベンゼンニトリルを、水素化アルミニウムリチウムのような強い還元剤で還元して、フェニルスルファニルベンジルアミンlを得る。次いで、工程3で、ベンジルアミンlを、上記のようにイミダゾリンeと反応させて、チオフェニルメチルアミノイミダゾリン化合物mを得てよくて、これが、mが1であり、Aが−S−であり、Ra、RbおよびRcが水素である、上記の式(II)の化合物である。スキームAの手順におけるとおり、工程4は、工程3で置き換えて、対応するグアニジン化合物nを得てもよいか、または工程5を実施して、対応するピロリジン化合物oを得てもよい。
【0107】
スキームBの手順に対する無数の変更例が、当業者には可能であり、明白であると思われる。イミダゾリン化合物e(n=1)は、工程3で、上記のとおり、対応するトリヒドロピリミジン化合物(n=2)またはテトラヒドロジアゼピン化合物(n=3)に置き換え得る。もう一つの変更例では、工程1で、ニトリル化合物jを対応する保護されたベンジルアミンに置き換えてよくて、次いで、工程2で脱保護して、フェニルスルファニルベンジルアミンiを与える。上の手順の更にもう一つ変更例では、フェニルスルファニルベンゼンニトリル化合物kを、対応するフェニルスルファニル−ベンズイミド酸エステルへと転換してよくて、次いで、エチレンジアミンで処理して、フェニルスルファニル−フェニルイミダゾリンを与えるか、またはプロピレンジアミンで処理して、フェニルスルファニル−フェニルトリヒドロピリミジンを与えてもよい。
【0108】
本発明の化合物は、IPレセプターモジュレーター、特にIPレセプターアンタゴニストであり、そのようなものとして、IPレセプターでの選択的なアンタゴニスト活性を保有する。これらの化合物(およびそれを含有する組成物)は、哺乳動物、特にヒトにおける様々な疾患の予防および処置に役立つと期待される。
【0109】
特に、本発明の化合物は、in vivoで抗炎症および/または鎮痛特性を保有し、そのために、炎症痛、外科痛、内臓痛、歯痛、月経前期痛、中枢痛、火傷による疼痛、偏頭痛または群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性損傷、間質膀胱炎、癌疼痛、ウイルス、寄生生物または細菌感染、外傷後損傷(骨折およびスポーツ損傷を包含)、および過敏性腸管症候群のような機能性腸管障害に関連する疼痛を非限定的に包含する、非常に様々な原因からの疼痛状態に関連する疾患状態の処置に効用を見出すと期待される。
【0110】
本発明の化合物は、細菌、真菌またはウイルス感染、関節リウマチ、変形性関節症、外科手術、膀胱感染または特発性膀胱炎、酷使、高齢または栄養上の欠損、前立腺炎、および結膜炎を非限定的に包含する、様々な原因からの炎症状態の処置にも役立つ。
【0111】
本発明の化合物は、膀胱出口閉塞および尿失禁状態に関連する尿路疾患状態(膀胱出口閉塞、尿失禁、膀胱容量低下、尿意頻数、急迫性失禁、ストレス失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿反射亢進、頻尿、夜尿症、尿意逼迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、緊急失禁、尿道炎、前立腺炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎および特発性膀胱過敏症など)および過活動性膀胱に関係する症状に関連する疾患状態を処置する際にも役立つ。
【0112】
本発明の化合物は、敗血症ショックに付随する低血圧のような、低血圧性血管疾患の処置にも効用を見出し得る。
【0113】
加えて、本発明の化合物は、アレルギーおよび喘息のような呼吸器疾患の処置の際に役立つ。
【0114】
これらおよびその他の治療的使用は、たとえば「Goodman & Gillman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, tenth edition, McGraw-Hill, New York, 2001」、第26章、およびColeman, R.A.、「Pharmacological Reviews, 1994, 46: 205-229」に記載されている。
【0115】
本発明の化合物の抗炎症/鎮痛活性は、より詳しく以下の実施例に記載されるとおり、ラットカラゲーナン誘導機械的痛覚過敏四肢アッセーおよびラット完全フロインドアジュバント誘導機械的痛覚過敏アッセーのような、in vivoアッセーによって検定され得る。膀胱収縮の阻害における活性は、より詳しく下記の実施例に記載されるとおり、等積膀胱膨張によって誘導される膀胱収縮の阻害アッセー、およびラットにおける体積誘導収縮の阻害アッセーのようなin vivoアッセーによって検定され得る。敗血症ショックの阻害における活性は、より詳しく下記の実施例に記載されるとおり、ラット内毒素誘導低血圧の逆転アッセーのようなin vivoアッセーによって検定され得る。本発明の化合物のhERGチャンネル阻害のレベルは、実施例に記載される手順に従って検定された。
【0116】
本発明は、本発明の少なくとも1種類の化合物、または個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、あるいは薬学的に許容され得るその塩または溶媒和を、薬学的に許容され得る少なくとも1種類の担体、および場合により、その他の治療的および/もしくは予防的成分とともに含む、医薬組成物を包含する。
【0117】
一般的には、本発明の化合物は、類似の効用に役立つ薬剤についての許容された投与様式のいずれによっても、治療有効量で投与されることになる。適切な投与分の範囲は、処置しようとする疾患の重篤度、対象者の年齢および相対的健康、用いる化合物の効力、投与の経路および形態、投与の対象となる適応症、関与する担当医の優先度および経験に応じて、代表的には1日あたり1〜500mg、好ましくは1〜100mg、最も好ましくは1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者は、不当な実験を重ねることなく、個人的な知識および本願の開示に依拠して、与えられた疾患についての本発明の化合物の治療有効量を確認することができると思われる。
【0118】
一般的には、本発明の化合物は、(口腔および舌下をはじめとする)経口、直腸、経鼻、局所、肺、膣もしくは(筋内、動脈内、髄腔内、皮下および静脈内をはじめとする)非経口投与に適するものを包含する薬学的配合物としてか、または吸入もしくはガス注入による投与に適する形態で投与されることになる。投与の好適な方式は、一般的には、苦痛の程度に従って調整することができる、簡便な日次投与分の投与計画を用いた、経口投与である。
【0119】
本発明の化合物は、1種類以上の慣用的なアジュバント、担体または希釈剤とともに、医薬組成物および単位投与剤形になし得る。医薬組成物および単位投与剤形は、追加の活性化合物または成分を伴ってか、または伴わずに、慣用の比率での慣用の成分からなってよく、単位投与剤形は、用いようとする意図された日次投与量の範囲に相応する、適切ないかなる有効量の活性成分を含有してもよい。該医薬組成物は、固体、たとえば錠剤もしくは充填されたカプセル剤、半固体、散剤、徐放性製剤、または溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤のような液剤、または経口的使用のための充填されたカプセル剤としてか、あるいは直腸もしくは膣投与のための坐薬の形でか、または非経口的使用のための無菌注射可能液の形で用い得る。したがって、1錠あたり、約1mgの活性成分、またはより広義には、約0.01〜約100mgを含有する製剤が、適切な代表的な単位投与剤形である。
【0120】
本発明の化合物は、非常に様々な経口投与の投与剤形に製剤化し得る。医薬組成物および投与剤形は、本発明の化合物、または薬学的に許容され得るその塩を活性成分として含み得る。薬学的に許容され得る担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の製剤は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、サシェー剤、坐薬および分散性顆粒を包含する。固体担体は、希釈剤、香味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料としても作用し得る、1種類以上の物質であり得る。散剤においては、担体は、概して、微細に分割された固体であって、微細に分割された活性成分との混合物である。錠剤においては、活性成分は、概して、必要な結合能を有する担体と適切な比率で混合し、望みの形状および大きさに圧縮する。散剤および錠剤は、好ましくは、約1〜約70%の活性化合物を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、低融点の蝋、カカオバターなどを非限定的に包含する。用語「製剤」は、活性化合物と、担体としての封入材料とが製剤化されたものであって、活性化合物が担体を伴うかまたは伴わなずに担体によって囲まれているものを包含するものとする。同様に、サシェー剤およびトローチ剤が包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、サシェー剤およびトローチ剤は、経口投与に適した固体形態であり得る。
【0121】
経口投与に適したその他の形態は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液、水性懸濁液、または使用の直前に液体形態の製剤へと転換されることが意図される固体形態の製剤をはじめとする、液体形態の製剤を包含する。乳剤は、液剤、たとえばプロピレングリコール水溶液に調製し得るか、またはたとえばレシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアラビアゴムのような乳化剤を含有し得る。水溶液は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、香味料、安定剤および増粘剤を加えることによって調製することができる。水性懸濁液は、微細に分割した活性成分を、粘稠な材料、たとえば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースその他の周知の懸濁剤とともに水に分散させることによって調製することができる。固体形態の製剤は、溶液、懸濁液および乳剤を包含し、活性成分に加えて、着色剤、香味料、安定剤、緩衝剤、人工または天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有し得る。
【0122】
本発明の化合物は、(たとえば注射、たとえばボーラス注入または持続注入による)非経口投与のために配合してもよく、アンプル、充填済み注射筒、少量輸液での単位投与分形態としてか、または防腐剤を加えた多投与分容器として提示し得る。該組成物は、油性または水性の賦形剤、たとえば水性ポリエチレングリコール溶液中の懸濁液、溶液または乳剤のような形態をとり得る。油性または非水性の担体、希釈剤、溶剤または賦形剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(たとえばオリーブ油)および注射可能な有機エステル(たとえばオレイン酸エチル)を包含し、防腐剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような配合用薬剤を含み得る。これに代えて、活性成分は、無菌固体の無菌単離、または適切なビヒクル、たとえば無菌の、発熱物質を含まない水による使用前構成用の溶液からの凍結乾燥によって得られた、粉末形態をなし得る。
【0123】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤もしくはローション剤としてか、または経皮貼布として、表皮への局所投与のために配合し得る。軟膏およびクリーム剤は、たとえば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤の添加により、水性または油性の基剤とともに配合し得る。ローション剤は、水性または油性の基剤とともに配合し得て、一般的には、1種類以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤も含有することになる。口内の局所投与に適した製剤は、風味を添えた基剤、通常はショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性薬剤を含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムのような不活性基剤中に活性薬剤を含むトローチ剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む口内洗剤を包含する。
【0124】
本発明の化合物は、坐薬としての投与のために配合し得る。低融点の蝋、たとえば脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物を、初めに融解し、活性成分を、たとえば撹拌によって均質に分散させる。次いで、溶融した均質混合物を慣用の大きさの成形用型に注入し、冷却させ、固化させる。
【0125】
本発明の化合物は、膣投与のために配合し得る。活性成分に加えて担体を含有する、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル、パスタ剤、ホーム剤または噴霧剤が、適切であることが当技術に公知である。
【0126】
本発明の化合物は、経鼻投与のために配合し得る。溶液または懸濁液を、慣用の手段によって、たとえばスポイト、ピペットまたは噴霧器を用いて鼻腔に直接適用する。製剤は、単一または複数投与の形態で与え得る。スポイトまたはピペットの後者の場合、これは、適切な、所定量の溶液または懸濁液を投与する患者によって達成し得る。噴霧器の場合、これは、たとえば定量アトマイジング噴霧ポンプを用いて、達成し得る。
【0127】
本発明の化合物は、特に呼吸路への、鼻内投与をはじめとするエアゾル投与のために配合し得る。該化合物は、概して、5μm以下の桁数の小さい粒径を有することになる。そのような粒径は、当技術に公知の手段によって、たとえば微粉化によって達成し得る。活性成分は、クロロフルオロ炭素(CFC)、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素その他の適切な気体のような、適切な推進剤とともに加圧パック内に与えられる。エアゾルは、好都合には、レシチンのような界面活性剤も含有してよい。薬物の用量は、絞り弁によって制御し得る。これに代えて、活性成分は、乾燥粉末、たとえば、乳糖、澱粉、澱粉誘導体、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドン(PVP)のような、適切な粉末基剤中の該化合物の粉末混合物の形態で与え得る。粉末担体は、鼻腔内にゲルを形成することになる。粉末組成物は、単位用量形態で、たとえば、それから吸入器を用いて散剤を投与し得る、たとえばゼラチンまたはブリスターパックのカプセル剤もしくはカートリッジとして提示され得る。
【0128】
所望であれば、製剤は、活性成分の徐放性投与または制御放出投与に適合させた、腸溶コーティングを用いて調製することができる。
【0129】
薬学的製剤は、好ましくは、単位投与剤形をなす。そのような形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量へと更に分割される。この単位投与剤形は、包装された製剤であることができて、この一包みが、分離された量の製剤、たとえばパケット錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤を含有する。また、単位投与剤形は、カプセル剤、錠剤、サシェー剤もしくはトローチ剤自体であることができるか、または包装された形態での適切な数のこれらのいずれかであることができる。
【0130】
その他の適切な薬学的担体、およびそれらの配合物は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」1995年、Martin編、Mack Publishing, Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬製剤を、実施例で記載する。
【0131】
下記の製剤および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解かつ実施するのを可能にするために与えられている。それらは、本発明の範囲を限定するとして考慮されてはならず、単に例示的であり、その代表例であるにすぎない。
【0132】
用いられる数値(たとえば量、温度等々)に関しては、精度を確保するための努力がなされているが、多少の実験的誤差および偏差は、当然、斟酌されるばかりでなく、たとえば較正、数の丸めなどにおけるような差に帰されなければならない。
【0133】
実施例
下記の製剤および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解かつ実施するのを可能にするために与えられている。それらは、本発明の範囲を限定するとして考慮されてはならず、単に例示的であり、その代表例であるにすぎない。
【0134】
実施例1
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]アミン
本例に用いられた合成手順を、スキームCに概説する。
【0135】
【化13】

【0136】
工程1:4−(4−メトキシフェニルスルファニル)ニトロベンゼン
窒素下の無水DMF100ml中のNaH(4.2g)の懸濁液に、4−メトキシチオフェノール14.02gを徐々に加えた。反応混合物を、気体の発生がそれ以上生じなくなるまで撹拌した(約20分)。この溶液に、無水DMF100mlに溶解した4−クロロニトロベンゼン15.76gを加えた後、混合物を120℃に1時間加熱した。この間に、反応混合物は、色が赤色になった。次いで、混合物を、室温まで冷却し、砕氷1,000g上に注いだ。得られた黄色の固体を、濾過し、数回水洗し、乾燥して、4−(4−メトキシフェニルスルファニル)ニトロベンゼン25.29g(96%)を黄色の固体として得た。MS=M+H:264。
【0137】
工程2:4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニルアミン
エタノール100ml中の工程1からの4−(4−メトキシフェニルスルファニル)ニトロベンゼン13.06gの溶液に、SnCl2・2H2O33.85gを加えた。得られた混合物を、室温で30分間撹拌し、次いで、還流にて2時間加熱した。次いで、混合物を、室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、20%NaOH水溶液で処理した。溶液を、酢酸エチルで3回抽出し、併せた抽出物を、水、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した後、減圧下で酢酸エチルを除去した。得られた固体をSiO2越しのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=70%/30%)に付して、4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニルアミン7.87g(68%)を得た。融点:91〜92℃。MS=M+H:232。
【0138】
工程3:(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]アミン
クロロイミダゾリン硫酸塩(4.06g)を、10%NaOH水溶液(氷浴温度まで冷却)50mlとEt2O50mlとに分配した。水層を、Et2O(2x10ml)で2回以上抽出し、併せたエーテル層を、冷水、食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。次いで、4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニルアミン2.31gを加え、撹拌によって溶解させた。溶媒を減圧下で除去し、イソブタノール20mlを、残渣に加えた。得られた残渣を、還流にて2時間加熱して、その初めの体積の1/2になるまで(約10ml)濃縮し、次いで、室温まで冷却した。冷却の際に形成された結晶を、濾過によって捕集して、(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]アミン塩酸塩2.874g(96%)を与えた。融点:149〜150℃。MS=M+H:300。
【0139】
上記の手順を用いるが、工程1で、4−メトキシチオフェノールを適切なチオフェノールに置き換えて、追加のいくつかの化合物を得、それらを表1に示した。
【0140】
実施例2
N−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]グアニジン
【0141】
【化14】

【0142】
実施例1からの4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニルアミン(0.693g)、ビスBocチオ尿素(N,N−ジ(tert−ブトキシカルボニル)チオ尿素、0.828g)およびピリジン(0.475g)を、無水DMF8mlに溶解し、窒素下、氷浴中で撹拌した。撹拌溶液に、HgCl20.896gを加えた。混合物を、氷浴温度で1時間撹拌し、次いで、更に4時間撹拌しつつ、室温まで暖まるに任せた。混合物を、酢酸エチル50mlで希釈し、セライトパッド越しに濾過した。濾液を、水、次いで食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。減圧下での溶媒の除去は、黄色の油を生じ、これを、シリカカラム(EtOAc/ヘキサン:20%/80%)で溶離した。ヘキサンからの再結晶は、N−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]−N,N−ジ(tert−ブトキシカルボニル)グアニジン0.626gを、白色固体として得た(44%)。融点:101〜102℃。N−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]−N,N−ジ(tert−ブトキシカルボニル)グアニジンを、塩化メチレン3mlおよびトリフルオロ酢酸1.5mlに溶解し、室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を、減圧下で濃縮し、冷水で希釈し、10%NaOH溶液を用いて塩基性化し、塩化メチレンで抽出した。併せた塩化メチレン層を、食塩水で洗浄し、乾燥し(K2CO3)、溶媒を減圧下で除去した。残渣を再結晶させて、N−[4−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]グアニジンを与えた。融点:140〜141℃。
【0143】
実施例3
[4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)アミン
本例に用いた合成手順を、スキームDに概説する。
【0144】
【化15】

【0145】
工程1:4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンゾニトリル
4−メトキシベンゼンチオール(4.89g)、4−フルオロベンゾニトリル(4.24g)、および粉末化した無水炭酸カリウムの混合物を、乾燥DMSO50mlに加え、混合物を、窒素下で100℃に6時間加熱し、次いで、室温に48時間留まらせた。反応混合物を、酢酸エチル(400ml)で希釈し、冷水で3回、次いで食塩水で洗浄し、次いで乾燥した(K2CO3)。溶媒を減圧下で除去して、4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンゾニトリル8.41gを白色固体として得た。MS=M+H:247。
【0146】
工程2:4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジルアミン
窒素下、室温で撹拌している、無水THF100ml中の4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンゾニトリル(4.91g)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム溶液(THF中1.0M)40mlを、注射筒を介して加えた。反応混合物を、室温で3.5時間撹拌させ、次いで、還流まで4.5時間加熱し、次いで、室温で終夜放置した。次いで、反応混合物を、氷浴中で冷却し、水10ml、次いで15%NaOH水溶液1ml、および更に水30mlの添加によって反応を停止した。無水硫酸ナトリウムを加え、混合物を濾過した。得られたフィルターケーキを、Et2Oで数回洗浄した。併せたエーテル濾液を、減圧下で濃縮して、4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジルアミン4.67gを白色固体として得た。MS=M+H:250。
【0147】
工程3:[4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)アミン
クロロイミダゾリン硫酸塩(0.92g)を、氷冷15%NaOH水溶液(25ml)とEt2O(25ml)とに分配した。有機層を分離し、水層を、Et2O15mlで2回抽出した。併せたエーテル層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、エーテル濾液を、イソプロパノール20ml中の4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジルアミンの溶液に加えた。得られた混合物を、減圧下で濃縮して、約90%の溶媒を除去した。残留した残渣を、窒素下で4.5時間還流させ、室温で終夜放置した。残渣を、中性アルミナ(MeOH:塩化メチレン:NH4OH=10%:89.99%:0.01%)越しに溶離して、[4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)アミン塩酸塩(47%)0.33gを白色固体として得た。融点:127〜130℃。MS=M+H:318。
【0148】
実施例4
[4−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−(3,4,5,6−テトラヒドロピリジン−2−イル)アミン
【0149】
【化16】

【0150】
ベンゼン10ml中のδ−バレロラクタム0.555gの溶液に、POCl30.383gを加えた。混合物を、窒素下、室温で4時間撹拌した。次いで、4−(4−クロロフェニルスルファニル)ベンジルアミン(0.624g)を加え、混合物を、室温で17時間撹拌させた。次いで、反応混合物を、1時間還流に達させ、室温まで冷却した。反応混合物を、水で反応を停止し、水酸化アンモニウム溶液で塩基性にさせ、酢酸エチルで完全に抽出した。併せた有機層を減圧下で蒸発させ、得られた固体を中性アルミナ(MeOH:ジクロロメタン=(10%:90%)越しに溶離した。得られた生成物を、酢酸エチルから再結晶させて、[4−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−(3,4,5,6−テトラヒドロピリジン−2−イル)アミン塩酸塩0.408g(49.3%)を白色固体として得た。融点:148〜152。MS=M+H:317。
【0151】
実施例5
製剤
様々な経路による送達のための製剤を、下の表に示したとおりに配合した。表中に記載した「活性成分」または「活性化合物」は、式Iの化合物の1種類以上を意味する。
【0152】
【表1】

【0153】
成分を混合し、それぞれ約100mgを含むカプセルに分与した;1カプセルは、総日次投与量に近付けることになる。
【0154】
【表2】

【0155】
成分を組み合せ、メタノールのような溶媒を用いて顆粒化した。次いで、配合物を乾燥し、適切な打錠機で錠剤(活性化合物約20mgを含有する)へと形成した。
【0156】
【表3】

【0157】
成分を混合して、経口投与のための懸濁液を形成した。
【0158】
【表4】

【0159】
活性成分を一部の注射用水に溶解した。次いで、充分量の塩化ナトリウムを、撹拌しつつ加えて、等張の溶液を調製した。溶液を、残余の注射用水とともに重量へと調合し、0.2ミクロンの膜フィルター越しに濾過し、滅菌条件下で包装した。
【0160】
【表5】

【0161】
成分をまとめて溶融させ、蒸気浴上で混合し、2.5gの総重量を含む成形用型に注入した。
【0162】
【表6】

【0163】
水を除くすべての成分を併せ、撹拌しつつ、約60℃に加熱した。次いで、活溌に撹拌しつつ、約60℃の充分量の水を加えて、成分を乳化し、次いで、約100gとするのに充分な量の水を加えた。
【0164】
経鼻噴霧剤配合物
約0.025〜0.5%の活性化合物を含有するいくつかの水性懸濁液を、経鼻噴霧剤製剤として調製した。この製剤は、場合により、たとえば微結晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどのような、不活性成分を含有した。pHを調整するために、塩酸を加えてもよい。経鼻噴霧剤製剤は、代表的には1作動あたり約50〜100μlの配合物を送達する、経鼻噴霧剤定量ポンプを介して送達される。代表的な投与スケジュールは、4〜12時間ごとに2〜4回の噴霧である。
【0165】
実施例6
カラゲーナン誘導機械的痛覚過敏アッセー
本発明の化合物の抗炎症/鎮痛活性を、「Randall & Selitto, Archives of International Pharmacodynamics 11: 409-419 (1957)」および「Vinegar et al., Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 166: 96-103 (1969)」に記載された方法の変更を用いたカラゲーナン誘導機械的痛覚過敏アッセーにより、ラットにおけるカラゲーナン誘導四肢痛覚過敏阻害を測定することによって決定した。
【0166】
雄のSprague-Dawley系ラット(130〜150g)を秤量し、処置群(n=10)に無作為に割り振った。機械的な痛覚過敏を誘導するために、ラットを、ハロタンで軽く麻酔し、1%のカラゲーナンまたはビヒクル1(100μl)を左後肢の足裏表面内に投与した。ラットには、試験の1時間前に、ビヒクル(経口10mg/kg、または静脈内1mg/kg)または本発明の化合物(経口1、3、10、30および100mg/kg)もしくは(静脈内0.3、1.0、3.0および10mg/kg)を投与した。機械的痛覚過敏は、無痛覚計(UGO BASILE, Biological Research Apparatus, Comerio、イタリー国)を用いて測定した。ビヒクルまたはカラゲーナン処置した後肢を、足裏表面を下向きにして、この装置のドームに載せた。次いで、足の背側表面に、絶えず増大する力を加えた。ラットがその足を引き戻すか、もがくか、または発声したときの力を、終点と見なした。
【0167】
処置群を、足を引き戻す力(RESP)についての標本分散の片側解析を用いて比較した。薬物処置群に対するビヒクル群との対合比較を、FisherのLSD大方針およびDunnの手順を用いて実施した。各動物についての機械的痛覚過敏の阻害百分率を算出し、下記のS字状モデルを用いて、平均ID50値を推計した:
阻害%=100/(1+exp((ID50−用量)/N)
[式中、ID50は、最大応答(すなわち、このモデルにおける100%)の半分を阻害するのに要する化合物の用量であり、Nは、曲線のパラメーターである]。本発明の化合物は、このアッセーで活性を有した。
【0168】
実施例7
完全フロインドアジュバント誘導機械的痛覚過敏アッセー
本発明の化合物の抗炎症/鎮痛活性は、ラットにおけるアジュバントで誘導される関節炎の疼痛モデルを用いて決定してもよくて、「J. Hylden et al., Pain 1989, 37: 229-243」に記載された方法の変法を用い、炎症を生じた脚の圧搾に対する動物の応答によって、疼痛を査定した。この変法は、脊椎ニューロンの活性の変化に代えて、痛覚過敏の査定を包含する。略述すると、ラットを秤量し、処置群に無作為に割り振った。機械的痛覚過敏を誘導するために、ラットを、ハロタンで軽く麻酔し、完全フロインドアジュバントまたは生理食塩水100μlを、左後肢の足裏表面内に投与した。24時間後、水(ビヒクル)または本発明の化合物をラットに経口投与し、1時間後に試験した。機械的痛覚過敏は、無痛覚計(UGO BASILE, Biological Research Apparatus, Comerio、イタリー国)を用いて測定した。
【0169】
生理食塩水またはカラゲーナン処置した後肢を、足裏表面を下向きにして、この装置のドームに載せた。次いで、足の背側表面に、絶えず増大する力を加え、ラットがその足を引き戻すか、もがくか、または発声したときの力を、終点と見なした。処置群を、足を引き戻す力についての標本分散の片側解析を用いて比較した。阻害百分率を、各動物について、下記の形で算出した:
100x((c/d−c/v)/(s/v−c/v))
[式中、c/dは、薬物を投与した動物における、カラゲーナン処置した足についての足を引き戻す力であり;c/vは、ビヒクルを投与した動物における、カラゲーナン処置した足についての足を引き戻す力であり;s/vは、賦形剤を投与した動物における、生理食塩水処置した足についての足を引き戻す力である]。スチューデントのt検定を用いて、有意差を決定した。本発明の化合物は、このアッセーで活性を有した。
【0170】
実施例8
ラットにおける等積膀胱膨張によって誘導された膀胱収縮の阻害
膀胱収縮の阻害を、「Maggi et al., J. Pharm. Exper. Therapeutics 230, 500-513 (1984)」に記載された方法の変法を用いたアッセーによって決定した。略述すると、雄のSprague-Dawley系ラット(200〜250g)を秤量し、10の処置群に無作為に割り振った。カテーテルを尿道から膀胱に挿入して、膀胱収縮を誘導し、暖かい生理食塩水溶液(5ml)を輸注した。約30%の動物に、リズミカルな収縮が生起された。本発明の化合物(0.1、0.3または1mg/kg)を、規則的なリズムの収縮の開始時に静脈内に投与した。次いで、リズミカルな収縮に対する効果を測定した。本発明の化合物は、このアッセーで活性を有した。
【0171】
実施例9
ラットにおける体積誘導収縮の阻害
膀胱収縮の阻害を、「Hegde et al., Proceedings of the 26th Annual Meeting of the International Continence Society (August 27th-30th) 1996」抄録番号126に記載された方法の変法を用いた、アッセーによって決定した。
【0172】
雌のSprague-Dawley系ラットをウレタンで麻酔し、薬物の静脈内投与、およびある場合には、動脈圧、心拍数および膀胱内圧測定のための機器を取り付けた。動物の個別の群内での、体積で誘導される膀胱収縮に対する試験化合物の効果を決定した。体積で誘導される膀胱の反射的収縮は、膀胱に生理食塩水を満たすことによって誘導した。
【0173】
試験化合物は、10分の間隔を置いて、累積的な方式で静脈内に投与した。正の対照として、研究の終了時にアトロピン(静脈内0.3mg/kg)を投与した。本発明の化合物は、このアッセーで活性を有した。
【0174】
実施例10
ラットにおける内毒素誘導低血圧の逆転
敗血症ショックは、ときには内毒素ショックと呼ばれ、血流中での感染性作用因、特に細菌性内毒素の存在によって惹起され、低血圧および器官機能不全を特徴とする。敗血症ショックの多くの症状、特に低血圧は、ラットでは、細菌性内毒素の投与によって誘導される。したがって、ある化合物が内毒素誘導低血圧を阻害できる能力は、敗血症または内毒素ショックの処置におけるその化合物の効用を予測させるものである。敗血症または内毒素ショックの処置における本発明の化合物の活性を、「Giral et al., British Journal of Pharmacology 118, 1223-1231 (1969)」に記載された方法の変法を用い、ラットにおける内毒素誘導低血圧の逆転を測定することによって決定した。
【0175】
略述すると、成ラット(>200g)を、吸入麻酔によって麻酔し、血圧変換器および薬物投与ラインの挿入のために大腿動脈および静脈にそれぞれカニューレを挿入した。未だ麻酔の影響下にある間に、メイヨー拘束装置に入れた。麻酔から回復し、心拍数および血圧が安定化した後(代表的には約30分を要する)、内毒素(50mg/kgの大腸菌、および25mg/kgのサルモネラ菌)を静脈内に投与した。血圧および心拍数の変化を追跡した。1時間後、本発明の化合物またはビヒクルを、やはり静脈内に投与し、次の3時間の間、心血管パラメーターを連続的に追跡した。応答は、初期拡張期血圧への復帰の百分率として提示した。スチューデントのt検定を用いて、有意差を決定した。本発明の化合物は、このアッセーで活性を有した。
【0176】
本発明は、具体的なその実施態様を参照して記載されたが、当業者は、本発明の真の精神および対象範囲から逸脱することなく、様々な変化を加え、等価のものを置き換え得ることを理解しなければならない。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、方法、処理工程または段階に適合させるためには、多くの変更を本発明の客観的な精神および対象範囲に加え得る。そのような変更は、すべて、本明細書に付記されたクレームの対象範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPアンタゴニストが介在する疾患または状態を処置する方法であって、その必要がある対象者に、有効量の式I:
【化1】


[式中、R1は、アルキル、シクロアルキル、場合により置換されたアリール、または場合により置換されたヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−O−、−S(O)p−(pは0〜2である)、−NR3−(R3は水素またはアルキルである)または結合であり;
Xは、式i、ii、iii、iv、v、vi、viiまたはviii:
【化2】


(式中、mは0または1であり;nは1〜3であり;Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ、互いに独立して、水素またはアルキルである)の基である]
で示される化合物、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和もしくはプロドラッグを投与する方法。
【請求項2】
式Iの化合物が、式II:
【化3】


[式中、Aは、−O−または−S−であり;
4は、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アルキレンジオキシ、カルボキシル、カルボキシエステル、ニトロ、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、フェノキシ、アルカノイル、ハロアルキルオキシアルキル、フェニルカルボニルまたはアミドであり;
5は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲンもしくはハロアルキルであるか、またはR4およびR5が、一緒になって、アルキレンジオキシ基を形成し;
m、n、R2、Ra、Rb、RcおよびRdは、請求項1に列挙されたとおりである]
で示される化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式IIの化合物が、式III:
【化4】


[式中、R4は、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、クロロ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルであり、
2およびR5は、本明細書に定義されたとおりである]
で示される化合物である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該化合物が、
N−エチル−N′−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−グアニジン;
N−[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−N′−エチル−グアニジン;
N,N′−ジエチル−N″−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−グアニジン;
N−[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−N′−エチル−グアニジン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−アミン;
[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−[1,3]ジアゼピン−2−イル)−アミン;
2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール;
4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンズアミジン;
2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール;
2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン;
2−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−1H−イミダゾール;
5−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−1H−イミダゾール;
1−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンジル]−ピロリジン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[2−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
ジベンゾチオフェン−2−イル−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
7−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]キナゾリン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−メチルスルファニル−フェニル)−アミン;
(4−シクロヘキシルスルファニル−フェニル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
[4−(2,6−ジクロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(2−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(2,5−ジメトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−エトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−イソプロポキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4−p−トリルスルファニル−フェニル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[4−(4−tert−ブチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸エチルエステル;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−フェニル]−アミン;
N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−N′−(4−メトキシ−フェニル)−N′−メチル−ベンゼン−1,4−ジアミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−(4′−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(ナフタレン−2−イルスルファニル)−フェニル]−アミン;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタノール;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステル
2−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−1−モルホリン−4−イル−エタノン;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−マロンアミド酸エチルエステル;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[4−(4−シクロヘキシルメトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−2−フェノキシ−アセトアミド;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−3−フェニル−プロピオンアミド;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンズアミド;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸イソプロピルエステル;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−フェニル−メタノン;
N−ベンジル−4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−N−メチル−ベンズアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−エトキシメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[3−クロロ−4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−フェノキシ−フェノキシ)−フェニル]−アミン;
(5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−[4−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(3,4,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−イル)−アミン;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル)−アミン;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸;
3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸エチルエステル;
(E)−3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アクリル酸エチルエステル;
モルホリン−4−カルボン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アミン;及び
ジメチル−カルバミン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル
から選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項5】
疾患または状態が、尿路疾患、呼吸器疾患、浮腫形成、低血圧性血管疾患、疼痛または炎症である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
式II:
【化5】


[式中、Aは、−O−または−S−であり;
mは0または1であり;
nは1〜3であり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
4は、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、エトキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ニトロ、メタンスルファニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニル−メチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルメチルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチル、エトキシ−アセトアセトアミド、シクロヘキシル−メチルオキシ、フェノキシエチル−カルボニルアミノ、フェニルエチル−カルボニルアミノ、アミノカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェニルカルボニル、フェニルメチル−アミノカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシメチル、フェノキシ、ヒドロキシカルボニル−メチルオキシ、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エテニル、モルホリン−4−イルカルボニルオキシメチル、4−フェニルピペラジン−1−イルメチルまたはジメチルアミノカルボニルオキシメチルであり;
5は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲンもしくはハロアルキルであるか、またはR4およびR5が、一緒になって、アルキレンジオキシ基を形成し;
a、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素またはアルキルである]
で示される化合物、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和もしくはプロドラッグ。
【請求項7】
該化合物が、
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−イソプロポキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸エチルエステル;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−ニトロ−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−メタノール;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステル
2−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−1−モルホリン−4−イル−エタノン;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−マロンアミド酸エチルエステル;
[4−(4−シクロヘキシルメトキシ−フェニルスルファニル)−フェニル]−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−2−フェノキシ−アセトアミド;
N−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−3−フェニル−プロピオンアミド;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンズアミド;
4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−安息香酸イソプロピルエステル;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−フェニル−メタノン;
N−ベンジル−4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−N−メチル−ベンズアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−エトキシメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−アミン;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−[4−(4−フェノキシ−フェノキシ)−フェニル]−アミン;
{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸;
3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸エチルエステル;
(E)−3−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アクリル酸エチルエステル;
モルホリン−4−カルボン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−アミン;及び
ジメチル−カルバミン酸4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−フェニルスルファニル]−ベンジルエステル
から選ばれる請求項6記載の化合物。
【請求項8】
治療有効量の、請求項6記載の少なくとも1種類の化合物を、薬学的に許容され得る少なくとも1種類の担体との混合物として含む医薬組成物。
【請求項9】
少なくとも1種類の化合物が、IPレセプターアンタゴニストの投与によって緩和される疾患または状態を有する対象者への投与に適する、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
治療活性物質として用いるための、請求項6記載の化合物。
【請求項11】
IPレセプターアンタゴニストの投与によって緩和される、患者の疾患または状態を処置するための、請求項6記載の化合物を含む医薬の製造のための、請求項6記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項6記載の式IIの化合物を製造する方法。
【請求項13】
前記に記載された限りでの本発明。

【公表番号】特表2009−513521(P2009−513521A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518128(P2006−518128)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007405
【国際公開番号】WO2005/005394
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】