説明

プロスタグランヂンニトロオキシ誘導体

改善された薬理学的活性及び高められた許容性を有するプロスタグランヂンニトロオキシ誘導体が示される。それらは緑内障及び眼の高血圧の治療のために使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規プロスタグランヂン誘導体に関する。より詳細には、本発明はプロスタグランヂンニトロオキシ誘導体、それらを含む医薬組成物及び緑内障及び眼の高血圧の治療用医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障はしばしば増大した眼内圧(IOP)と関連する、眼の神経損傷であり、進行性の不可逆な視力喪失を引き起こす。
【0003】
米国内でほぼ300万人及び世界中では1400万人が緑内障を有する;これは世界中で失明の第三の原因である。
【0004】
緑内障は、眼内の流体(眼房水)の生成及び排出における不均衡が不健康なレベルまで眼圧を増大させるとき起こる。
【0005】
上昇したIOPは、ベータ−ブロッカー、α−アゴニスト、コリン性剤、炭酸脱水酵素阻害剤又はプロスタグランヂンアナログの如き、眼内の眼房水の生成を減少させる又は流体排出を増大させる薬物を投与することにより少なくとも部分的に制御されうることが知られる。
【0006】
いくつかの副作用は緑内障を治療するために慣習的に使用される薬物に関連する。
局所ベータ−ブロッカーは重篤な肺の副作用、うつ、疲労、錯乱、不能症、抜け毛、心不全及び徐脈を示す。
【0007】
局所α−アゴニストはアレルギー性又は毒性反応のかなり高い発生率を有する;局所コリン性剤(縮瞳薬)は視力の副作用を引き起こしうる。
【0008】
経口炭酸脱水酵素阻害剤に関連する副作用は疲労、食欲不振、うつ、感覚異常及び血清電解質異常を含む(The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Seventeenth Edition, M. H. Beers and R. Berkow Editors, Sec. 8, Ch. 100)。
【0009】
最後に、緑内障の治療において使用される局所プロスタグランヂンアナログ(バイマトプロスト、ラタノプロスト、トラヴォプロスト及びウノプロストン)は虹彩の増大した色素沈着、眼の刺激、結膜の充血、虹彩炎、ブドウ膜炎及び黄斑浮腫の如き、眼の副作用を生じさせる(Martindale, Thirty−third edition, p.1445)。
【0010】
米国特許第3,922,293号はプロスタグランヂンF−型のモノカルボキシアシル酸塩及びC−9位でのそれらの15β異性体、及びそれらの調製用プロセスを示す;米国特許第6,417,228号は機能的PGF受容体アゴニスト活性を有する13−アザプロスタグランヂン及び緑内障及び眼の高血圧の治療におけるそれらの使用を開示する。
【0011】
WO 90/02553は、緑内障又は眼の高血圧の治療のための、オメガ鎖が環構造を含む、PGA、PGB、PGE及びPGFのプロスタグランヂン誘導体の使用を開示する。
【0012】
WO 00/51978は新規ニトロソ化及び/又はニトロシル化プロスタグランヂン、特にPGE1の新規誘導体、新規組成物及び性機能障害の治療のためのそれらの使用を示す。
【0013】
米国特許第5,625,083号は血管拡張薬、抗高血圧心血管剤又は気管支拡張薬として使用されうるプロスタグランヂンのヂニトログリセロールエステルを開示する。
【0014】
米国特許第6,211,233号は、Aはプロスタグランヂン残基、特にPGE1を含む、及びX1は二価の結合架橋である一般式A−X1−NO2の化合物、及び不能症の治療のためのそれらの使用を開示する。
【0015】
これらの化合物に関連する副作用を消去する又は少なくとも減少させるのみでなく、改善された薬理学的活性を有することができるプロスタグランヂンの新規誘導体を提供することが本発明の目的である。プロスタグランヂンニトロ誘導体はより広い薬理学的活性及び高められた許容性の両方の点において、ネイティブプロスタグランヂンに比較して顕著に改善された全体のプロファイルを有するということが驚くべきことに発見されている。特に、本発明に係るプロスタグランヂンニトロ誘導体は緑内障及び眼の高血圧を治療するために使用されうることが認識されている。本発明に係る化合物は周辺虹彩切開術又はレーザー虹彩形成術を受けた開放角緑内障を有する又は慢性閉塞隅角緑内障を有する患者における眼内圧の減少のために示される。
【0016】
本発明の目的は、それゆえ、一般式(I)のプロスタグランヂンニトロ誘導体:
【化1】

及びその医薬として許容される塩又は立体異性体であり、ここで、Rは式(II)のプロスタグランヂン残基:
【化2】

であり、ここで、シンボル
【化3】

は単結合又は二重結合を示す;
Lは以下の基:
【化4】

から選ばれる;
Xは−O−、−S−又は−NH−である;
Yは以下の意味を有する二価ラヂカルである:
【0017】
a)
直鎖の又は有枝鎖のC1−C20アルキレン、好ましくはC1−C10であって、ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2又はTから成る群から選ばれる1以上の置換基で場合により置換されるもの、ここで、Tは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2又は−O(C1−C10アルキル)−ONO2である;
シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、上記環は側鎖T1で場合により置換されるもの、ここで、T1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C10アルキル、好ましくはCH3である;
b)
【化5】

c)
【化6】

式中、nは0〜20の整数であり、及びn1は1〜20の整数である;
【0018】
d)
【化7】

式中
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1は上記に定義されるとおりであり、及びn2は0〜2の整数である;
e)
【化8】

式中:
1は−CH2−CH2−(CH2n2−;又は−CH=CH−(CH2n2−である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
【0019】
f)
【化9】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又は−COCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、末端の−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
g)
【化10】

【化11】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は上記に定義されるとおりである;
【0020】
h)
【化12】

式中:
4は0〜10の整数である;
5は1〜10の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり又は異なり、及びH又は直鎖の若しくは有枝鎖のC1−C4アルキルである、好ましくはR4、R5、R6、R7はHである;
ここで、−ONO2基は
【化13】

に結合される;
ここで、n5は上記に定義されるとおりである;
2は窒素、酸素、硫黄から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環状飽和の、不飽和の又は芳香族の5又は6員環であり、及び
【化14】

【化15】

から選ばれる。
【0021】
上記用語「C1−C20アルキレン」は、本明細書中で使用されるとき、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、ペンチレン、n−へキシレン等の如き1〜10の炭素原子を有する、有枝鎖の又は直鎖のC1−C20炭化水素をいう。
【0022】
上記用語「C1−C10アルキル」は、本明細書中で使用されるとき、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル等を含む、1〜10の炭素原子を含む有枝鎖の又は直鎖のアルキル基をいう。
【0023】
上記用語「シクロアルキレン」は、本明細書中で使用されるとき、直鎖の又は有枝鎖の(C1−C10)−アルキル、好ましくはCH3の如き側鎖で場合により置換される、非限定的に、シクロペンチレン、シクロヘキシレンを含む5〜7の炭素原子を有する環をいう。
【0024】
上記用語「ヘテロ環状」は、本明細書中で使用されるとき、例えば、ピリヂン、ピラジン、ピリミヂン、ピローリヂン、モルフォリン、イミダゾール等の如き、窒素、酸素、硫黄から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む飽和の、不飽和の又は芳香族の5又は6員環をいう。
【0025】
上記に示されるように、本発明はまた式(I)の化合物及びその立体異性体の医薬として許容される塩をも含む。
医薬として許容される塩の例は水酸化ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアルミニウムの如き無機塩基を有するもの又はリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ヂベンジルアミン、ピペリヂン及び他の許容される有機アミンの如き有機塩基を有するものである。
【0026】
本発明にしたがう化合物は、それらが分子内に1の塩化可能な窒素原子を含むとき、対応する有機又は無機酸とのアセトニトリル、テトラヒドロフランの如き有機溶媒中での反応により対応する塩に変換されうる。
【0027】
有機酸の例は:シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、クエン酸である。無機酸の例は:硝酸、塩酸、硫酸、リン酸である。硝酸での塩は好ましい。
【0028】
1以上の不斉炭素原子を有する本発明に係る化合物は光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なヂアステレオマー、エナンチオマー混合物、ヂアステレオマー混合物、エナンチオマーラセミ混合物、ラセミ体又はラセミ混合物として存在しうる。式(I)の化合物の全ての可能な異性体、立体異性体及び、特定の異性体を豊富に含む混合物を含む、それらの混合物もまた本発明の範囲内である。好ましい式(I)の化合物は、R、L、Xが請求項1中に定義されるとおりであり、及びYが以下の意味を有する二価ラヂカルであるものである:
【0029】
a)
直鎖の又は有枝鎖のC1−C20アルキレンであって、ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2又はTから成る群から選ばれる1以上の置換基で場合により置換されるもの、ここで、Tは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2又は−O(C1−C10アルキル)−ONO2である;
シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、上記環は側鎖T1で場合により置換されるもの、ここで、T1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C10アルキルである;
b)
【化16】

c)
【化17】

式中、nは0〜20の整数であり、及びn1は1〜20の整数である;
【0030】
d)
【化18】

式中:
1は上記に定義されるとおりであり、及びn2は0〜2の整数である;
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
【0031】
e)
【化19】

式中:
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
1は−CH2−CH2−又は−CH=CH−(CH2n2−である;
【0032】
f)
【化20】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又は−COCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
g)
【化21】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1〜6の整数であり、及びR2は上記に定義されるとおりである;
【0033】
h)
【化22】

式中:
4は0〜10の整数である;
5は1〜10の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり又は異なり、及びH又は直鎖の若しくは有枝鎖のC1−C4アルキルである;
ここで、−ONO2基は
【化23】

に結合される;
ここで、n5は上記に定義されるとおりである;
【0034】
2は窒素、酸素、硫黄から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環状飽和の、不飽和の又は芳香族の5又は6員環であり、及び
【化24】

から選ばれる。
【0035】
好ましい式(I)の化合物は、プロスタグランヂン残基Rがラタノプロスト、トラヴォプロスト、ウノプロストン及びクロプロステノールから成る群から選ばれる、好ましくはRはラタノプロストであるものである。Xは好ましくは−O−又は−S−である;
一般式(I)の化合物の好ましい群は、Yが以下の意味を有する二価ラヂカルであるものである:
【0036】
a)
直鎖の又は有枝鎖のC2−C6アルキレンであって、−ONO2又はTで場合により置換されるもの、ここで、Tは上記に定義されるとおりである;
b)
【化25】

式中:nは0〜5の整数であり、及びn1は1〜5の整数である;
g)
【化26】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1であり、R2は上記に定義されるとおりである。
【0037】
Yの最も好ましい意味は:
a)有枝鎖のC2−C6アルキレン又は直鎖の若しくは有枝鎖のC2−C6アルキレンであって、−ONO2又はTで場合により置換され、ここで、Tは請求項1中に定義されるとおりである;
b)
【化27】

式中、nは0であり、及びn1は1である;
g)
【化28】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1であり、R2は水素である;
一般式(I)の化合物の他の好ましい群は、Yが以下の意味を有する二価ラヂカルであるものである:
【0038】
d)
【化29】

式中
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルであり、ここで、nは0〜5の整数である;
1は1〜5の整数であり、及びn2は0〜2の整数である;
【0039】
e)
【化30】

式中:
1は−CH2−CH2−(CH2n2−;又は−CH=CH−(CH2n2−である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
【0040】
f)
【化31】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又はCOCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
【0041】
h)
【化32】

式中:
4は0〜3の整数である;
5は1〜3の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり、及びHである;
及びここで、−ONO2基は
【化33】

に結合される;
【0042】
2は1又は2原子の窒素を含む、6員の飽和の、不飽和の又は芳香族のヘテロ環状環であり、及び、例えば
【化34】

から選ばれる。
【0043】
以下は本発明にしたがう好ましい化合物である:
【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【0044】
【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【0045】
【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【0046】
【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【0047】
【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【0048】
上記に挙げられるように、本発明の目的はまた医薬分野において通常使用される非毒性補助剤及び/又は担体を含む、少なくとも式(I)の本発明に係る化合物を含む医薬組成物である。
【0049】
好ましい投与経路は局所である。本発明に係る化合物は眼に許容される媒体中の溶液、懸濁物又はエマルジョン(分散物)として投与されうる。上記用語「眼に許容される媒体」は、本明細書中で使用されるとき、上記化合物と非反応性で、及び患者への投与に好適である物質又は物質の組み合わせをいう。
【0050】
好ましいものは患者の眼への局所適用に好適な水性媒体である。
本発明に係る眼の組成物における使用に所望されうる他の成分は抗菌剤、保存剤、共溶媒、界面活性剤及び粘性強化剤を含む。
【0051】
本発明はまた緑内障又は眼の高血圧の治療方法にも関し、前記方法は眼圧を減少させるため及び前記圧を減少した値に維持するために、有効な眼内圧を減少させる量の組成物を眼と接触させることにある。
【0052】
プロスタグランヂンニトロ誘導体の用量は標準の臨床技術により決定されることができ、及びPhysician’s Desk Reference, Medical Economics Company, Inc., Oradell, N. J., 58th Ed., 2004; The pharmacological basis of therapeutics, Goodman and Gilman, J. G. Hardman, L. e. Limbird, Tenth Ed.中に報告される、対応する誘導されていない商業的に入手可能なプロスタグランヂン化合物について示されるものと同じ範囲内又はそれ未満である。
【0053】
上記組成物は適用当たり0.1〜0.30μg、特に1〜10μgの活性化合物を含む。
上記治療は、約30μlに対応する1滴の組成物が患者の眼に1日当たり約1〜2回投与される点で有利に行われうる。
【0054】
本発明に係る化合物が、緑内障又は眼の高血圧の治療において有用であることが知られる他の医薬と共に、別々に又は組み合わせで使用されうることがさらに企図される。例えば、本発明に係る化合物は(i)チモロール、ベタクソロール、レヴォブノロール等の如きベータ−ブロッカー(米国特許第4,952,581号を参照のこと);(ii)ブリンゾラミドの如き炭酸脱水酵素阻害剤;(iii)アプラクロニヂン又はブリモニヂンの如きクロニヂン誘導体を含むアドレナリン性アゴニスト(米国特許第5,811,443号を参照のこと)と混合されうる。上記に報告される化合物のニトロオキシ誘導体、例えば、米国特許第6,242,432号中に示されるものの如きベータ−ブロッカーのニトロオキシ誘導体との組み合わせもまた企図される。
【0055】
本発明に係る化合物は以下のように合成されうる。
合成手順
上記に定義される一般式(I)の化合物は
i)式(III)の化合物
【化62】

{式中
Lは上記に定義されるとおりである;PはH又はトリメチルシリル、第三−ブチル−ヂメチルシリル又はアセチルの如きシリルエーテル及びT. W. Greene “Protective groups in organic synthesis”, Harvard University Press, 1980, 2nd edition, p.14−118中に示されるものの如きヒドロキシル保護基である;Wは−OH、Cl又は−OC(O)R1であり、ここで、R1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C5アルキルである}
を式(IV)の化合物Z−Y−Q
{ここで、Yは上記に定義されるとおりであり、ZはHX又はZ1であり、Xは上記に定義されるとおりであり、及びZ1は塩素、臭素、ヨー素、メシル、トシルから成る群から選ばれる;Qは−ONO2又はZ1である}
と反応することにより、及び
【0056】
ii)QがZ1であるとき、段階i)において得られた化合物をアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、DMFの如き好適な有機溶媒中での硝酸銀、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛又は硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルはC1−C10アルキルである)の如き硝酸源との反応によりニトロ誘導体に変換することにより
得られることができ、上記反応は暗室で、室温〜上記溶媒の沸騰温度の温度で行われる。好ましい硝酸源は硝酸銀であり、及び
【0057】
iii)場合により段階i)又はii)において得られた化合物をT. W. Greene “Protective groups in organic synthesis”, Harvard University Press, 1980, 2nd edition, p.68−86中に示されるように脱保護する。フッ化イオンはシリルエーテル保護基を除去するための好ましい方法である。
【0058】
Wが−OHであり、P及びX1が上記に定義されるとおりである式(III)の化合物の、Y及びQが上記に定義されるとおりであり、ZがHXである式(IV)の化合物との反応はヂシクロヘキシルカルボヂイミド(DCC)又はN’−(3−ヂメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボヂイミド塩酸塩(EDAC)の如き脱水剤及びN,N−ヂメチルアミノピリヂン(DMAP)の如き触媒の存在下で行われうる。上記反応はN,N’−ヂメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヂオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の如き不活性有機溶媒中で−20℃〜40℃の温度で行われる。上記反応は30分間〜36時間の時間範囲内で完了される。
【0059】
Wが−OHであり、及びPがHである式(III)の化合物は商業的に入手可能である。
Wが−OHであり、及びPがヒドロキシル保護基である式(III)の化合物は、例えばT. W. Greene “Protective groups in organic synthesis”, Harvard University Press, 1980, 2nd edition, p.14−118中に示されるように、本分野において周知のように、PがHである対応する化合物から調製されうる。Wが−OC(O)R1であり、ここで、R1が上記に定義されるとおりであり、及びPがH又はヒドロキシル保護基である式(III)の化合物の、Yが上記に定義されるとおりであり、Zが−OHであり、及びQが−ONO2である式(IV)の化合物との反応はN,N−ヂメチルアミノピリヂン(DMAP)の如き触媒の存在下で行われうる。上記反応はN,N’−ヂメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヂオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の如き不活性有機溶媒中で−20℃〜40℃の温度で行われる。上記反応は30分間〜36時間の時間範囲内で完了される。
【0060】
Wが−OC(O)R1であり、及びPがHである式(III)の化合物は、Wが−OHである対応する酸から−20℃〜40℃の温度でのN,N’−ヂメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の如き不活性有機溶媒中でのトリエチルアミンの如き非求核塩基の存在下でのイソブチルクロロフォルメート、エチルクロロフォルメートの如きクロロフォルメートとの反応により得られうる。上記反応は1〜8時間の時間範囲内で完了される。
【0061】
Wが−OHであり、及びPがHである式(III)の化合物の、Yが上記に定義されるとおりであり、ZがZ1であり、及びQが−ONO2である式(IV)の化合物との反応は−20℃〜40℃、好ましくは5℃〜25℃の温度でN,N’−ヂメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の如き不活性有機溶媒中で1,8−ヂアザバイシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、N,N−ヂイソプロピルエチルアミン、ヂイソプロピルアミンの如き有機塩基又はアルカリ土壌金属炭酸塩又は水酸化物、炭酸カリウム、炭酸セシウムの如き無機塩基の存在下で行われうる。上記反応は1〜8時間の時間範囲内で完了される。Z1が塩素又は臭素から選ばれるとき、上記反応はKIの如きヨー素化合物の存在下で行われる。
【0062】
WがClであり、及びPが上記に定義されるとおりである式(III)の化合物の、Yが上記に定義されるとおりであり、Zが−OHであり、及びQが−ONO2である式(IV)の化合物との反応はN,N−ヂメチルアミノピリヂン(DMAP)、トリエチルアミン、ピリヂンの如き有機塩基の存在下で行われうる。上記反応は−20℃〜40℃の温度でN,N’−ヂメチルフォルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヂオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の如き不活性有機溶媒中で行われる。上記反応は30分間〜36時間の時間範囲内で完了される。
【0063】
WはClである式(III)の化合物はWが−OHである対応する酸からトルエン、クロロフォルム、DMFの如き不活性溶媒中での塩化チオニル又はオキサリル、PIII又はPVのハライドとの反応により得られうる。
【0064】
Yは上記に定義されるとおりである式HO−Y−ONO2の化合物は以下のように得られうる。商業的に入手可能な又は周知の反応により合成される対応するヂオール誘導体は周知の反応により、例えば、トルエン、クロロフォルム、DMF等の如き不活性溶媒中での塩化チオニル又はオキサリル、PIII又はPVのハライド、塩化メシル、塩化トシルとの反応により、Z1が上記に定義されるとおりであるHO−Y−Z1に変換される。ニトロ誘導体への変換は上記に示されるように行われる。あるいは、上記ヂオール誘導体は文献中で周知の方法にしたがって−50℃〜0℃に及ぶ温度での硝酸及び無水酢酸との反応により硝化されうる。
【0065】
Y及びZ1が上記に定義されるとおりである式Z1−Y−ONO2の化合物は、上記に示されるニトロ誘導体への変換により、商業的に入手可能な又は文献中で周知の方法にしたがって合成されるハロゲン誘導体Z1−Y−Halから得られうる。
【0066】
X、Y及びZ1が上記に定義されるとおりである式H−X−Y−Z1の化合物は、周知の反応により、例えば、トルエン、クロロフォルム、DMF等の如き不活性溶媒中での塩化チオニル又はオキサリル、PIII又はPVのハライド、塩化メシル、塩化トシルとの反応により、商業的に入手可能な又は文献中で周知の方法にしたがって合成されるヒドロキシル誘導体H−X−Y−OHから得られうる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は本発明を限定することなく、本発明をさらに例示するためのものである。
実施例1
[1R−[1α(Z),2α(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(化合物1)の合成
I 合成経路
【化63】

【0068】
II 実験
II.1 4−ブロモブタノールの調製
テトラヒドロフラン(12.5g、173mmol)を5〜10℃まで冷却した反応器内に窒素下で満たした。臭化水素(7.0g、86.5mmol)をその後ゆっくりと添加し、及び上記反応媒体を5〜10℃で4.5時間にわたり攪拌した。上記混合物を22.5gの冷水で希釈し、及びこの溶液のpHを温度を5〜10℃に保ちながら27.65%の水酸化ナトリウム(2.0g)を添加することによりpH=5〜7に合わせた。上記溶液をその後ヂクロロメタン(13.25g)で2回抽出した。上記混合した有機相を25%塩水(7.5g)で洗浄し、27.65%の水酸化ナトリウムでpH=6〜7に合わせ、及び硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ヂクロロメタンを蒸留して除き、及び粗い4−ブロモブタノール(10.3g、66.9mmol)を約77%の収率で得た。
【0069】
II.2 硝酸4−ブロモブチルの調製
−5〜5℃まで冷却した反応器内で、発煙硝酸(8.5g、135mmol)をヂクロロメタン(18.0g、212mmol)中の98%硫酸(13.0g、130mmol)の溶液にゆっくりと添加した。4−ブロモブタノール(10.2g、66.6mmol)をその後この混合物に添加し、及び上記反応媒体を−5〜5℃で2〜5時間にわたり攪拌した。上記混合物を温度を−5℃〜3℃に保ちながら冷水(110g)に注いだ。注いだ後、上部の水相をヂクロロメタンで抽出し、及び上記混合した有機相を水で洗浄し、27.65%の水酸化ナトリウムの添加によりpH=6〜7に合わせ、塩水で洗浄し、及び硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ヂクロロメタンを真空下で蒸留して除き、及び粗い硝酸4−ブロモブチル(12.7g、64.1mmol)を約96%の収率で得た。
【0070】
II.3 [1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステルの調製
ラタノプロスト酸(97.7%、S−異性体<1%)(213mg、0.54mmol)を5.0gの無水DMF中に溶解した。K2CO3(206mg、1.49mmol)、KI(77mg、0.46mmol)及び硝酸4−ブロモブチル(805mg、塩化メチレン中25% w/w、1.02mmol)を添加した。上記反応混合物をロータリーエヴァポレーター上で45〜50℃で熱し及び攪拌した。
1.5時間後、TLC(Si、CH2Cl2−MeOH、5%)は出発の酸を全く示さなかった。
【0071】
上記反応混合物を100mlの酢酸エチルで希釈し、塩水(3×50ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、及び蒸発させ、黄色がかった油(420mg)を得た。
1H NMR/13C NMRはいくらかの出発の硝酸4−ブロモブチル及びDMFを伴う主要な生成物として標的分子を示した。HPLCは出発の酸を全く示さなかった。残留の溶媒、硝酸4−ブロモブチル及び標的エステルは主要なピークであった。ブチル硝酸エステルはラタノプロストと同様のUVスペクトルを示し、及び相対的リテンション時間は予想どおりであった。
器械:Bruker 300MHz
溶媒:CDCl3
【化64】

【0072】
実施例2
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸[2−メトキシ−4−[2−プロペノイルオキシ(4−ニトロオキシブチル)]]フェニルエステル(化合物11)の合成
【0073】
A)フェルラ酸4−(ブロモ)ブチルエステルの調製
テトラヒドロフラン(40ml)中のフェルラ酸(1g、5.15mmol)の溶液に、トリフェニルフォスフィン(2.7g、10.3mmol)及びテトラブロモメタン(3.41g、10.3mmol)を添加した。上記混合物を室温で4時間攪拌した。上記混合物をろ過し、及び上記溶媒を真空下で蒸発させた。上記粗い残留物をシリカゲルクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 7/3により精製した。生成物(0.77g)を黄色固体として得た。(収率46%)
M.p.=83〜88℃
【0074】
B)フェルラ酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステルの調製
アセトニトリル(50ml)中の化合物A(0.8g、2.43mmol)及び硝酸銀(1.2g、7.29mmol)の溶液を40℃で暗室で16時間攪拌した。上記沈殿物(銀塩)をろ過して除き、及び上記溶媒を真空下で蒸発させた。上記残留物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 72/25により精製した。生成物(0.4g)を白色粉末として得た(収率53%)。
M.p.=63〜64℃
【0075】
C)[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸[2−メトキシ−4−[2−プロペノイルオキシ(4−ニトロオキシブチル)]]フェニルエステルの調製
乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中のラタノプロスト酸(0.2g、0.51mmol)の溶液に、不活性気体中で、フェルラ酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(0.32g、1.02mmol)及びDMAP(触媒量)を添加した。上記反応を0℃で冷却し、及びEDAC(0.14g、0.76mmol)を添加した。上記反応を室温で24時間攪拌した。上記溶液を水及びクロロフォルムで処理し、有機層を硫酸ナトリウムで無水化し、及び減圧下で濃縮させた。上記残留物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 3/7により精製した。生成物(0.2g)を得た。
【化65】

【0076】
実施例3
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸3−(ニトロオキシメチル)フェニルエステル(化合物4)の合成
【0077】
1. 3−[(ブロモ)メチル]フェノールの調製
3−[(ヒドロキシ)メチル]フェノールをアセトニトリル(300ml)及びヂクロロメタン(900ml)中に溶解し、及び生ずる混合物をアルゴン下で維持されたフラスコ中に注いだ;磁気攪拌を使用した。上記溶液をその後氷浴で冷却し、及び四臭化炭素及びトリフェニルフォスフィンを添加した。後者を温度を約2〜3℃に維持するために少量ずつ添加した。
【0078】
上記溶液を2〜3℃で1時間、及びその後室温でさらなる1時間攪拌した。
この期間後、(EtOAc/石油エーテル 3/7を溶離液として用いて、TLCによりチェックされる)反応転換を完了した。得られた混合物を減圧下で蒸発させ、及び500mlの石油エーテル及び500mlのEtOAcを2l丸底フラスコ中の生ずる黄色い濃い油に添加した。粘る固体が形成された。上記混合物を室温で一晩攪拌し、及び続いてろ過し、及び減圧下で濃縮させ、約50gの油っぽい残留物を得た。上記油を600gのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/石油エーテル 2/8を溶離液として用いて精製した。さらなる精製は生ずる臭化物を石油エーテルから結晶化することにより達成された。白色固体が得られた(24g、64%)。
【0079】
分析
TLC:(EtOAc/石油エーテル 3/7)Rf=0.4
HPLC純度:>98%
FT−IR(KBr,cm-1):3252,1589,1479,1392,1270,1208,1155,952,880,791,741,686.
【0080】
2. 3−[(ニトロオキシ)メチル]フェノールの調製
3−[(ブロモ)メチル]フェノールを30mlのアセトニトリル中に溶解し、及びアルゴン下で0〜5℃で光源から遠く離されたフラスコ中に注いだ;磁気攪拌を使用した。硝酸銀をその後これらの条件下で、温度を5℃未満に維持しながら添加した。上記反応過程をTLC(溶離液としてEtOAc/石油エーテル 3/7)により追った。4時間30分後、上記転換を完了した。上記反応混合物をその後ろ過し、上記沈殿した固体をEt2Oで洗浄し、及び上記ろ過物を2のバッチに分けた。第一のバッチ(15ml)をアルゴン下及び−20℃のアセトニトリル溶液中に維持した。第二のバッチ(15ml)を以下のようにワークアップした。上記アセトニトリル溶液を減圧下で濃縮させ、及び生ずる油をヂクロロメタン(15ml)中に溶解し、及び塩水(15ml)で洗浄した。有機相を分離し、及び水相をヂクロロメタン(2×25ml)で2回抽出した。混合した有機相をその後MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、及び蒸発させた。上記残留物を40gのシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/石油エーテル 2/8を溶離液として用いて精製した。上記硝酸塩を油(0.6g、67%)として得た。
【0081】
分析
TLC:(EtOAc/石油エーテル 3/7)Rf=0.35
HPLC 純度:>98%
MS(ESI−):168(M+−1)
FT−IR(ストレートの油、cm-1):3365,1632,1599,1459,1282,1160,923,867,793,757.
【化66】

【0082】
3. [1R−[1α(Z),2β(R*),3α、5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸3−(ニトロオキシメチル)フェニルエステルの調製
クロロフォルム(20ml)中のラタノプロスト酸(0.11g、0.28mmol)の溶液に、不活性気体中で、3−(ニトロオキシメチル)フェノール(0.01g、0.56mmol)及びDMAP(触媒量)を添加した。上記反応を0℃で冷却し、及びEDAC(0.08g、0.42mmol)を添加した。上記反応を室温で24時間攪拌した。上記溶液を水で処理し、上記有機層を硫酸ナトリウムで無水化し、及び減圧下で濃縮させた。上記残留物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 3/7により精製した。生成物(0.1g)を得た。
【化67】

【0083】
実施例4
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ニトロオキシメチル)ベンジルエステル(化合物9)の合成
【0084】
A)[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ブロモメチル)ベンジルエステル
【0085】
クロロフォルム(50ml)中のラタノプロスト酸(0.5g、1.2mmol)の溶液に、不活性気体中で、4−(ブロモメチル)ベンジルアルコール(0.4g、1.92mmol)及びDMAP(触媒量)を添加した。上記反応を0℃で冷却し、及びEDAC(0.37g、1.92mmol)を添加した。上記反応を室温で5時間攪拌した。上記溶液を水で処理し、上記有機層を硫酸ナトリウムで無水化し、及び減圧下で濃縮させた。上記残留物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 3/7により精製した。生成物(0.47g)を得た。
【0086】
B)[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ニトロオキシメチル)ベンジルエステル
【0087】
アセトニトリル(50ml)中の化合物A(0.4g、0.7mmol)及び硝酸銀(0.23g、1.4mmol)の溶液を40℃で暗室で4時間攪拌した。上記沈殿物(銀塩)をろ過して除き、及び上記溶媒を真空下で蒸発させた。上記残留物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離液n−ヘキサン/酢酸エチル 7/3により精製した。生成物(0.15g)を油として得た。
【化68】

【0088】
実施例5
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸3−(ニトロオキシ)プロピルエステル(化合物78)の合成
【0089】
上記化合物はラタノプロスト酸及び3−ブロモプロパノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0090】
実施例6
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−(ニトロオキシ)エチルエステル(化合物77)の合成
【0091】
上記化合物はラタノプロスト酸及び2−ブロモエタノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0092】
実施例7
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸6−(ニトロオキシ)ヘキシルエステル(化合物79)の合成
【0093】
上記化合物はラタノプロスト酸及び6−ブロモヘキサノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0094】
実施例8
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−(ニトロオキシ)−1−メチルエチルエステル(化合物80)の合成
【0095】
上記化合物はラタノプロスト酸及び1−ブロモ−2−プロパノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0096】
実施例9
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−(ニトロオキシ)プロピルエステル(化合物81)の合成
【0097】
上記化合物はラタノプロスト酸及び2−クロロ−1−プロパノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0098】
実施例10
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−(ニトロオキシ)−1−(ニトロオキシメチル)エチルエステル(化合物82)の合成
【0099】
上記化合物はラタノプロスト酸及び1,3−ヂブロモ−2−プロパノールから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0100】
実施例11
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸[2−メトキシ−4−[2−プロペノイルオキシ(2−ニトロオキシエチル)]]フェニルエステル(化合物83)の合成
【0101】
上記化合物はラタノプロスト酸及びフェルラ酸2−(ニトロオキシ)エチルエステルから出発して実施例2中に示される手順を用いて合成される。
【0102】
実施例12
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−メトキシ−4−[2−プロペノイルオキシ(3−ニトロオキシメチルフェニル)]]フェニルエステル(化合物84)の合成
【0103】
上記化合物はラタノプロスト酸及びフェルラ酸3−(ニトロオキシメチル)フェニルエステルから出発して実施例2中に示される手順を用いて合成される。
【0104】
実施例13
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸2−メトキシ−4−[2−プロペノイルオキシ(4−ニトロオキシメチルベンジル)]]フェニルエステル(化合物85)の合成
【0105】
上記化合物はラタノプロスト酸及びフェルラ酸4−(ニトロオキシメチル)ベンジルエステルから出発して実施例2中に示される手順を用いて合成される。
【0106】
実施例14
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸(4−ニトロオキシメチル)フェニルエステル(化合物6)の合成
【0107】
上記化合物はラタノプロスト酸及び4−(クロロメチル)フェニルエステルから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0108】
実施例15
[1R−[1α(Z),2β(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸(3−ニトロオキシメチル)ベンジルエステル(化合物8)の合成
【0109】
上記化合物はラタノプロスト酸及び4−(ブロモメチル)ベンジルエステルから出発して実施例4中に示される手順を用いて合成される。
【0110】
実施例16
[1R−[1α(Z),2α(R*),3α,5α]]−7−[3,5−ヂヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(化合物1)を用いた眼科用組成物の調製
【表1】

【0111】
緩衝液:
NaCl 4.1mg/ml
NaH2PO4(無水物) 4.74mg/ml
NaH2PO4(一水和物) 4.6mg/ml
注入用水 十分量
【0112】
実施例17
一酸化窒素仲介活性の評価
眼の中の細胞内での環状グアノシン−3’,5’一リン酸(cGMP)の形成は眼房水流動の制御に関する。したがって、cGMP値の上昇は減少した眼房水生成及び眼内圧の減少を引き起こす。
我々はよく確立された細胞分析において試験薬物のcGMP形成に対する効果を計測した。
【0113】
未分化褐色細胞腫(PC12)を使用した。単層細胞を7.4の最終pHで10mM Hepes、5mM MgCl2及び0.05%アスコルビン酸で強化した及び100μMのフォスフォヂエステラーゼ阻害剤、イソメチル−ブチル−キサンチン(IBMX)、30μMのグアニリルサイクラーゼ阻害剤、YC−1、及び適切な濃度の試験薬物を含むHank’s Balanced Salt Solution中で45分間インキュベートした。上記反応をインキュベーション緩衝液の除去、続いて50Lの100%氷冷エタノールの添加により終わらせた。上記プレートをその後熱い空気流の下で乾燥させ、及び残留物を溶解し、抽出し、及び商業的に入手可能な環状cGMP酵素免疫分析キットを用いて分析した。
【0114】
結果は表1中に報告される。異なる濃度のさまざまなラタノプロストニトロ誘導体(1〜50μM)の同時適用は濃度依存的様式でcGMP蓄積を誘発した。
これらの効果は親薬物ラタノプロストでは見られず、上記効果は外因性NOの放出に因ることを示した。
【0115】
表1
ラタノプロスト及びそれぞれのニトロ誘導体のラット褐色細胞腫細胞におけるcGMP蓄積に対する有効性及び効果
【表2】

EC50=最大応答の半分を作出するのに有効な濃度
max=最大効果
【0116】
実施例18
ラタノプロストニトロ誘導体の眼内圧に対する効果の評価
3〜5kgsの体重の雄NZWウサギをこの研究において使用した。簡単に述べると、減少する眼内圧(IOP)でのラタノプロストニトロ誘導体(化合物4、実施例3)の能力を、眼内圧の安定な増大が達せられる後まで0.25%カルボマー溶液滴注の前眼房内注入で事前処理した動物において試験した。この特定の研究において、試験薬物を0.005%のコントロール又は試験化合物を含む生理学的溶液で、1滴/眼/日の投与スケヂュールで1の眼に1週間に5日間投与した。IOPを毎週2〜3回、全部で4週間、薬物適用後3時間モニターした。この濃度は緑内障患者において観察されるIOPの増大を治療するためにクリニックにおいて現在使用されるラタノプロストイソプロピルエステルの濃度を反映するので、この濃度を選択した。さらに、それぞれの訪問で、cGMP、camp及び亜硝酸/硝酸内容量のさらなる生化学評価のために、リドカイン麻酔下で両方の眼から30ゲージの針を用いて約200μlの眼房水を回収した。
【0117】
眼内への0.25%カルボマー溶液の滴注は約40mmHgまでのIOPの甚大な増大をもたらし、それはその後安定なままであった。しかしながら、方法の節中に概略される用量スケヂュールでの化合物4(実施例3)の投与は7日間の繰り返される処置の間に約50%及び研究の終わりまでに65%超これらの動物の眼内圧を減少させた(表2を参照のこと)。対照的に、ラタノプロスト酸(データは示されていない)及びそのイソプロピル誘導体は目に見えるほどの変化は誘発しなかった(表2を参照のこと)。ラタノプロストはウサギにおいて実質的には有効でないことを証明する入手可能な文献を考慮すれば、観察された効果は親化合物よりむしろラタノプロストニトロ誘導体上の一酸化窒素(NO)基の存在に帰するようである。
【0118】
眼内の眼房水中のcGMP、cAMP及びNOxの生化学計測はこれらの動物のIOPを減少させることでのNOの役割をさらに支持した。実際に、表3中に示されるように、cGMP及びNOxの程度は4週間の処置にわたり化合物4(実施例3)の適用後に増大した。眼内cAMPの量はこれらの動物において変わらないままであったので、これらの効果は非常に特異的であることがわかる。ラタノプロストイソプロピルエステルは、それぞれのニトロ誘導体の用量と等しいモル用量で与えられたとき、cGMP、cAMP又は亜硝酸の値にあまり影響しなかった(表3を参照のこと)。
【0119】
表2
前(処置前)及び等モルのラタノプロストイソプロピルエステル又はそれぞれのニトロ誘導体の眼滴注後の、IOPにおける刺激カルボマー誘発増大の反転
【表3】

【0120】
表3
ラタノプロストイソプロピルエステル及びそれぞれのニトロ誘導体の、カルボマー処置ウサギにおけるcGMP、cAMP及びNOx内容量に対する効果
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

{式中、Rは式(II)のプロスタグランヂン残基:
【化2】

であり、ここで、シンボル
【化3】

は単結合又は二重結合を示す;
Lは以下の基:
【化4】

から選ばれる;
Xは−O−、−S−又は−NH−である;
Yは以下の意味を有する二価ラヂカルである:
a)
直鎖の又は有枝鎖のC1−C20アルキレンであって、ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2又はTから成る群から選ばれる1以上の置換基で場合により置換されるもの、ここで、Tは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2又は−O(C1−C10アルキル)−ONO2である;
シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、上記環は側鎖T1で場合により置換されるもの、ここで、T1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C10アルキルである;
b)
【化5】

c)
【化6】

式中、nは0〜20の整数であり、及びn1は1〜20の整数である;
d)
【化7】

式中
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1は上記に定義されるとおりであり、及びn2は0〜2の整数である;
e)
【化8】

式中:
1は−CH2−CH2−(CH2n2−;又は−CH=CH−(CH2n2−である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
f)
【化9】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又は−COCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
g)
【化10】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1〜6の整数であり、及びR2は上記に定義されるとおりである;
h)
【化11】

式中:
4は0〜10の整数である;
5は1〜10の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり又は異なり、及びH又は直鎖の若しくは有枝鎖のC1−C4アルキルである;
ここで、−ONO2基は
【化12】

に結合される;
ここで、n5は上記に定義されるとおりである;
2は窒素、酸素、硫黄から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環状飽和の、不飽和の又は芳香族の5又は6員環であり、及び
【化13】

から選ばれる。}又はその医薬として許容される塩又は立体異性体。
【請求項2】
式中、R、L、Xは請求項1中に定義されるとおりであり、及びYは以下の意味を有する二価ラヂカルである:
a)
直鎖の又は有枝鎖のC1−C20アルキレンであって、ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2又はTから成る群から選ばれる1以上の置換基で場合により置換されるもの、ここで、Tは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2又は−O(C1−C10アルキル)−ONO2である;
シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、上記環は側鎖T1で場合により置換されるもの、ここで、T1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C10アルキルである;
b)
【化14】

c)
【化15】

式中、nは0〜20の整数であり、及びn1は1〜20の整数である;
d)
【化16】

式中:
1は上記に定義されるとおりであり、及びn2は0〜2の整数である;
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
e)
【化17】

式中:
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
1は−CH2−CH2−又は−CH=CH−(CH2n2−である;
f)
【化18】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又は−COCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
g)
【化19】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1〜6の整数であり、及びR2は上記に定義されるとおりである;
h)
【化20】

式中:
4は0〜10の整数である;
5は1〜10の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり又は異なり、及びH又は直鎖の若しくは有枝鎖のC1−C4アルキルである;
ここで、−ONO2基は
【化21】

に結合される;
ここで、n5は上記に定義されるとおりである;
2は窒素、酸素、硫黄から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環状飽和の、不飽和の又は芳香族の5又は6員環であり、及び
【化22】

から選ばれる、請求項1に記載の一般式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩又は立体異性体。
【請求項3】
Lは以下の基:
【化23】

から選ばれる、請求項1又は2に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
残基Rはトラヴォプロスト、ウノプロストン及びクロプロステノールから成る群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
残基Rはラタノプロストである、請求項1又は2に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
Xは−O−又は−S−である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項7】
Yは以下の意味:
a)直鎖の又は有枝鎖のC2−C6アルキレンであって、−ONO2又はTで場合により置換されるもの、ここで、Tは請求項1中に定義されるとおりである;
b)
【化24】

式中、nは0〜5の整数であり、及びn1は1〜5の整数である;
g)
【化25】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1であり、R2は請求項1中に定義されるとおりである;
を有する二価ラヂカルである、請求項1〜6のいずれかに記載の一般式(I)の化合物。
【請求項8】
Yは以下の意味:
a)直鎖の又は有枝鎖のC2−C6アルキレンであって、−ONO2又はTで置換されるもの、ここで、Tは請求項1中に定義されるとおりである;
b)
【化26】

式中、nは0であり、及びn1は1である;
g)
【化27】

式中、X2は−O−又は−S−であり、n3は1であり、R2は水素である;
を有する二価ラヂカルである、請求項1〜6のいずれかに記載の一般式(I)の化合物。
【請求項9】
Yは以下の意味:
d)
【化28】

式中
1は−OCO−又は−COO−であり、及びR2はH又はCH3である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に請求項1中に定義される二価ラヂカルであり、ここで、nは0〜5の整数である;
1は1〜5の整数であり、及びn2は0〜2の整数である;
e)
【化29】

式中:
1は−CH2−CH2−(CH2n2−;又は−CH=CH−(CH2n2−である;
Zは−(CH)n1−又はb)の下に上記に定義される二価ラヂカルである;
1、n2、R2及びX1は上記に定義されるとおりである;
f)
【化30】

式中:
1及びR2は上記に定義されるとおりであり、R3はH又はCOCH3である;
ここで、Yがb)〜f)の下に挙げられる二価ラヂカルから選ばれるとき、−ONO2基は−(CH2n1に結合される;
h)
【化31】

式中:
4は0〜3の整数である;
5は1〜3の整数である;
4、R5、R6、R7は同じであり、及びHである;
及びここで、−ONO2基は
【化32】

に結合される;
2は1又は2原子の窒素を含む、6員の飽和の、不飽和の又は芳香族のヘテロ環状環であり、及び、例えば
【化33】

から選ばれる;
を有する二価ラヂカルである、請求項1〜6のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

から成る群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1中に定義される一般式(I)の化合物の製造方法であって、
i)式(III)の化合物:
【化60】

{式中
Lは請求項1中に定義されるとおりである;PはH又はヒドロキシル保護基であり、及びWは−OH、Cl又は−OC(O)R1であり、ここで、R1は直鎖の又は有枝鎖のC1−C5アルキルである}
を式(IV)の化合物Z−Y−Q
{式中、Yは請求項1中に定義されるとおりであり、ZはHX又はZ1であり、Xは請求項1中に定義されるとおりであり、及びZ1は塩素、臭素、ヨー素、メシル、トシルから成る群から選ばれる;
Qは−ONO2又はZ1である}
と反応させること、及び
ii)QがZ1であるとき、硝酸源との反応により段階i)において得られた化合物をニトロ誘導体に変換すること、及び
iii)場合により段階i)又はii)において得られた化合物を脱保護すること
を含む前記製造方法。
【請求項12】
医薬としての使用するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項13】
緑内障及び眼の高血圧の治療用医薬の調製のための請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
医薬として許容される担体及び請求項1〜10に定義される医薬として有効な量の一般式(I)の化合物及び/又はその塩又は立体異性体を含む医薬組成物。
【請求項15】
局所投与に好適な形態の、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
緑内障及び眼の高血圧の治療用の、請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
一般式(I)の化合物は眼に許容される媒体中の溶液、懸濁物又はエマルジョンとして投与される、請求項15又は16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
緑内障又は眼の高血圧の治療方法であって、眼圧を減少させるために及び前記圧を減少した値に維持するために、請求項14〜17のいずれか1項に記載の有効な眼内圧を減少させる量の医薬組成物を眼と接触させることにある方法。
【請求項19】
請求項1に定義される式(I)の化合物及び(i)ベータ−ブロッカー又は(ii)炭酸脱水酵素阻害剤又は(iii)アドレナリン性アゴニスト又はそのニトロオキシ誘導体の混合物を含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1に定義される式(I)の化合物及びチモロール又はそのニトロオキシ誘導体の混合物を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2007−518716(P2007−518716A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546105(P2006−546105)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014820
【国際公開番号】WO2005/068421
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506223048)ニコックス,ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】