説明

プロセスアセンブリ、及びこのプロセスアセンブリにおいてウエハを処理する方法

少なくとも1つの処理すべきウエハ(5)を受け入れるように構成されたプロセスチャンバ(2)を備えたプロセスアセンブリ(1)において、このプロセスアセンブリ(1)がさらに、処理中にプロセスチャンバ(2)内の圧力を低圧範囲内に維持するための、上記プロセスチャンバ(2)に流体接続可能なポンプ(3)を設けられ、上記プロセスアセンブリ(1)は、上記圧力を比較的高圧、例えば大気圧から上記低圧範囲まで低下させるための、上記プロセスチャンバ(2)に流体接続可能な第2ポンプ(4)を設けられ、上記プロセスチャンバ(2)内のガス流量は、上記圧力の低下中に一定値を有する。本発明はさらに、こうしたプロセスアセンブリ(1)内でウエハ(5)を処理する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、少なくとも1つの処理すべきウエハを受け入れるように構成されたプロセスチャンバを備えたプロセスアセンブリに関するものであり、このプロセスアセンブリはさらに、処理中に上記プロセスチャンバ内の圧力を低圧範囲内に維持するための、上記プロセスチャンバに流体接続可能なポンプを設けられ、上記プロセスアセンブリは、比較的高圧、例えば大気圧から上記低圧範囲まで圧力を低下させるための、上記プロセスチャンバに流体接続可能な第2ポンプを設けられている。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】欧州特許第1014427号明細書
【0003】
(発明の背景)
こうしたプロセスアセンブリは、欧州特許第1014427号明細書に開示されている。この既知のプロセスアセンブリはプロセスチャンバを備え、このプロセスチャンバ内で基板を処理するように構成されている。このプロセスアセンブリはさらに統合ポンプシステムを備え、この統合ポンプシステムは、プロセスチャンバからガスを排気してプロセスチャンバ内に低い圧力を得るための前置真空ポンプ、及び処理中にプロセスチャンバ内を低圧に維持するための高真空ポンプを有する。この統合ポンプシステムは、前置真空ポンプのポンピング(給排気)速度を調整するための制御装置を設けられている。この制御装置に所定の圧力特性を与え、プロセスチャンバ内の圧力低下が前記特性に従うように、この圧力特性に合わせてポンピング速度を調整することができる。
【0004】
こうした既知のアセンブリの欠点は、プロセスチャンバからガスを排気する間の、プロセスチャンバ内の乱流の発生である。この乱流により、基板上またはプロセスチャンバ内の他の所に存在する小粒子が放出され、プロセスチャンバ内を浮遊して基板に衝突する恐れを伴い、したがって基板を汚染し場合によっては基板を損傷する恐れを伴う。このことは生産の損失を生じさせ、従って不要なコスト及び時間を生じさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の概要)
従って本発明の目的は、プロセスチャンバ内の少なくとも1つのウエハを処理し、プロセスチャンバ内の圧力を低下させる間に浮遊粒子によって生じる損傷を最小化するプロセスアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明によるプロセスアセンブリは、上記プロセスチャンバ内のガス流量が、圧力を低下させる間に一定値を有することを特徴とする。一定のガス流量により圧力パルスの発生が最小化されて、プロセスチャンバ内の圧力を排気により低下させる間に生じる乱流をより少なくする。より少ない乱流は、より少ない粒子の放出、及び結果的にウエハを汚染し損傷させる粒子がより少ないことを意味する。
【0007】
上記ガス流量の一定値は、上記第2ポンプのポンピング速度と上記プロセスチャンバ内の圧力との積であることが好ましい。
【0008】
プロセスルーム(処理室)内の円滑な圧力低下を得るために、本発明の有利な好適例によれば、上記プロセスアセンブリに、上記第1ポンプ及び第2ポンプを制御するための制御装置を設ける。この制御装置は必要時に、これらのポンプどうしを切り換えること、及び必要時にこれらのポンプをプロセスチャンバに流体接続することができる。
【0009】
本発明の他の好適例によれば、上記第2ポンプのポンピング速度は、上記制御装置によって、上記プロセスチャンバ内の圧力に応じて調整可能である。第2ポンプ速度をプロセスルーム内の圧力の関数として制御することは直接的な調整を提供し、これにより、ガス流量が圧力の変化による変動を示すことを防止する。
【0010】
上記制御装置に、上記第2ポンプの速度特性を与えることも可能である。こうした速度特性は、上記プロセスチャンバの事前に確立された排気挙動に基づくものとすることができ、ここでは、どの速度特性で流量を一定に保つかが確立されている。こうした好適例では、要求される一定流量を得るために圧力計および流量計を必要としない。
【0011】
本発明はさらに、上述したプロセスチャンバを備えたプロセスアセンブリ内でウエハを処理する方法に関するものであり、このプロセスチャンバ内に処理すべきウエハを設け、このプロセスアセンブリはさらに、
処理中に、上記プロセスチャンバに流体接続されて、プロセスチャンバ内の圧力を低圧範囲内に維持するための第1ポンプと、
処理前に、上記プロセスチャンバに流体接続されて、上記チャンバ内の圧力を、比較的高圧、例えば大気圧から上記低圧範囲までポンプダウン(排気による圧力低下)するための第2ポンプとを備え、
ポンプダウン(排気による圧力低下)中に、上記プロセスチャンバ内に一定値を有するガス流量を与えるように、上記第2ポンプのポンピング速度を調整する。
【0012】
上記プロセスアセンブリ内でウエハを処理するこの方法は、上記プロセスアセンブリで説明したのと同種の利点を提供する。
【0013】
図面を参照した好適な実施例によって、本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、本発明によるプロセスアセンブリ1の概略図を示す。プロセスアセンブリ1はプロセスチャンバ2を備えている。プロセスチャンバ2内に、処理すべきウエハ5を設ける。プロセスチャンバ2に、ウエハ5を処理するためのプロセス(処理)ガス装置7を接続する。プロセスアセンブリ1はさらに、プロセスチャンバ2と流体接続可能な2つのポンプ3、4を備えている。第1ポンプ3は、処理中にプロセスチャンバ2内の圧力を低圧範囲内に維持するように構成されている。第1ポンプ3は、500m/h〜1500m/hの範囲の能力を有するプロセス(処理)ポンプとすることができる。
【0015】
ウエハ5を処理する前に、第2ポンプ4によって、プロセスチャンバ2内の圧力を比較的高圧、例えば大気圧から低圧範囲内に低下させる。前記第2ポンプ4は例えば、10m/h〜50m/hの範囲内の能力を有するドライポンプとすることができる。第1ポンプ3及び第2ポンプ4は、プロセスアセンブリ1内に設けた制御装置10によって制御する。制御装置10は、第2ポンプ4のポンピング速度を、プロセスチャンバ2内の圧力に応じて調整することができる。従って、プロセスチャンバ2には、このチャンバ2内の圧力を測定するための圧力計11を設ける。圧力計11は、制御装置10に送信される圧力信号を発生することができる。プロセスアセンブリ1は、一定値のガス流量を有するプロセスアセンブリ2内の圧力を低下させるように構成されている。このガス流量値は次式で表現される:
Q=S(p)・P
ここに、Qはガス流量の一定値であり、S(p)は第2ポンプ4のポンピング速度であり、Pはプロセスチャンバ2内の圧力である。
【0016】
ウエハ5をプロセスルーム2内に設けた後に、プロセスチャンバ2を第2ポンプ4に流体接続して、その圧力を大気圧から低圧範囲内に低下させる。制御装置10は、管12内のバルブ8を閉じて管13内のバルブ9を開く。ポンプ速度は、制御装置10によって制御され、圧力計11が圧力信号を制御装置10に送信した場合に、ガス流量を一定に維持するように調整することができる。プロセスチャンバ2内が低圧に達すると、制御装置10は第2バルブ9を閉じて第1バルブ8を開き、ポンプ3は、少なくともウエハ5の処理が終了するまでは、プロセスチャンバ2内の圧力を低圧範囲内に維持する。ポンプ3がポンプ4からポンピング(給排気)を引き継ぐ際のプロセスチャンバ2内の圧力値は、プロセスチャンバ2内の乱流の恐れを最適に回避するために十分低い閾値であることが好ましい。この閾値、及び特定プロセスに要求される圧力次第では、第1ポンプ3を用いて、プロセスチャンバ2から最終的な量のガスを排気するために使うこともできる。
【0017】
図2に、2、3ヶ月にわたる粒子低減性能の中央値(メジアン)の線図を示す。縦軸は処理後にウエハ上でカウントされた粒子の数を示す。このことは、プロセスチャンバ2内の上部(TOP)及び中央部(MID)に配置したテストウエハで行った。線図の左半分には、一定のガス流量値でのポンピングなしの、粒子数の中央値を示す。線図の右半分には、一定のガス流量値でのポンピング時の、粒子数の中央値を示す。2004年6月から10月までは、本発明とは無関係の他の測定方法をとっていた。図に示すように、プロセスチャンバ内の大気圧から低圧範囲内へのポンプダウン中にガス流量が一定である際には、粒子数の中央値に顕著な低下が存在する。したがって、プロセスチャンバ2内のウエハ5を損傷させる粒子バーストの量も減少する。
【0018】
本発明の例示的な実施例を図面を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されないことは明らかである。当業者は、請求項に規定した本発明の範囲を外れることなしに、種々の変更および修正を行うことができる。例えば、制御装置が、特定プロセスチャンバについてのポンプダウン速度特性を記憶するメモリを有する際には、圧力計11を省略することができる。さらに、第2ポンプ4を、第1ポンプ3と第1バルブ8の間から伸びる管に接続して、第1バルブ8が開いている際に第1バルブ8の両側に圧力差が存在しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】プロセスアセンブリの概略図である。
【図2】一定値のガス流量での粒子低減を示す線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処理すべきウエハを受け入れるように構成されたプロセスチャンバを備えたプロセスアセンブリにおいて、
前記プロセスアセンブリがさらに、処理中に前記プロセスチャンバ内の圧力を低圧範囲内に維持するための、前記プロセスチャンバに流体接続可能な第1ポンプを設けられ、
前記プロセスアセンブリが、例えば大気圧のような比較的高圧から前記低圧範囲まで前記圧力を低下させるための、前記プロセスチャンバに流体接続可能な第2ポンプを設けられ、前記プロセスチャンバ内のガス流量が、前記圧力の低下中に一定値を有することを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスアセンブリにおいて、前記ガス流量の前記一定値が、前記第2ポンプのポンピング速度と前記プロセスチャンバ内の圧力との積であることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロセスアセンブリにおいて、前記プロセスアセンブリは、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを制御するための制御装置を設けられていることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプロセスアセンブリにおいて、前記第2ポンプのポンピング速度が、前記制御装置によって、前記プロセスチャンバ内の圧力に応じて調整可能であることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のプロセスアセンブリにおいて、前記プロセスチャンバが、前記プロセスチャンバ内の圧力を測定するための圧力計を備え、前記圧力計は、前記制御装置に送信される圧力信号を発生することができることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセスアセンブリにおいて、前記プロセスアセンブリが、前記プロセスチャンバを、前記第1ポンプとの流体接続から前記第2ポンプとの流体接続に切り換え、かつ前記第2ポンプとの流体接続から前記第1ポンプとの流体接続に切り換えるように構成されていることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のプロセスアセンブリにおいて、前記制御装置が、前記第2ポンプの速度特性を与えられることを特徴とするプロセスアセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のプロセスアセンブリ内でウエハを処理する方法であって、前記プロセスアセンブリがプロセスチャンバを備え、前記プロセスチャンバ内に処理すべきウエハが設けられ、前記プロセスアセンブリがさらに、処理中に、前記プロセスチャンバ内の圧力を低圧範囲内に維持するための、前記プロセスチャンバに流体接続される第1ポンプと、処理前に、前記チャンバ内の圧力を例えば大気圧のような比較的高圧から前記低圧範囲までポンプダウンするための、前記プロセスチャンバに流体接続される第2ポンプとを備え、
前記ポンプダウン中に、前記プロセスチャンバ内に一定値を有するガス流量が与えられるように、前記第2ポンプのポンピング速度を調整することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記ガス流量の前記一定値が、前記プロセスチャンバ内の圧力と前記第2ポンプのポンピング速度との積であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、前記第2ポンプのポンピング速度を、前記プロセスチャンバ内に設けた圧力計によって測定した前記プロセスチャンバ内の圧力に応じて調整することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−528691(P2009−528691A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556898(P2008−556898)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050608
【国際公開番号】WO2007/099491
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】