説明

プロセスカートリッジ、現像装置および画像形成装置

【課題】 現像剤担持体が現像剤規制手段に長い時間押圧され続けると経時的に変形してしまう恐れがある。
【解決手段】 現像剤規制手段204を支持する移動部材206を第1の付勢手段250によって付勢することで、現像剤規制手段204を現像剤担持体203に押圧する。ここで第二ユニット200が、現像剤担持体203を像担持体100に当接させる位置から、現像剤担持体203を像担持体100から離間させる位置に移動すると、第1の付勢手段250が移動部材206を付勢する付勢力Fsは小さくなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び画像形成装置で用いられるプロセスカートリッジ及び現像装置に関するものである。
【0002】
ここで画像形成装置とは、電子写真方式等を用いて記録媒体に画像を形成するものである。プロセスカートリッジとは像担持体及び、像担持体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置の装置本体に着脱が可能なものである。また現像装置とは、装置本体が備える像担持体に形成された潜像に、現像剤を付与して可視像とするものをいう。
【背景技術】
【0003】
レーザビームプリンタや複写機等の画像形成装置において、像担持体である感光体に現像剤担持体を接触させて現像を行う接触現像方式が広く用いられている。この接触現像方式において、現像剤担持体として、弾性層を有する現像ローラを用いるものがある。従来、この現像ローラに担持されるトナー量を規制するため、現像剤規制手段として板状部材からなる現像ブレードを現像ローラに当接させている。現像ブレードによって現像ローラにトナーの薄層を形成し、このトナー層を感光体上に形成された静電潜像に接触させることによって高品位なトナー像を形成している。
【0004】
一般に、現像ブレードは現像ローラを所定の圧力で押圧した状態で固定されるが、特許文献1には、現像ブレードを移動可能に設け、現像ブレードを移動させる駆動ソレノイドを備えた現像装置が記載されている。これにより現像ブレードと現像ローラに異物が挟まったときに、現像ブレードを現像ローラから離間させ異物を取り除いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−254895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現像ブレードが現像ローラを長時間押圧し続けると、現像ローラに跡が残って、変形してしまう。この変形は小さく従来は問題にならなかったが、近年の高画質のニーズを満たすためには、現像ローラの経時的な変形をこれまで以上に抑えることが求められるようになった。
【0007】
一方、特許文献1に記載されるような構成によって現像ブレードを現像ローラから離間させるためには、現像ブレードを移動させる駆動手段を別途設ける必要があり、画像形成装置の構成が複雑化してしまう。
【0008】
本発明は、簡単な構成によって、現像剤規制手段によって現像剤担持体が変形することを、抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為の本発明に係る代表的な構成は、画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、像担持体を有する第一ユニットと、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材と、を有し、前記第一ユニットと移動可能に結合して、前記現像剤担持体を前記像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能な第二ユニットと、前記第一ユニットから力を受けて、前記現像剤規制手段を前記現像剤担持体に押圧させる方向に前記移動部材を付勢する第1の付勢手段と、を備え、前記第1の付勢手段は、前記第二ユニットが前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記移動部材を付勢する付勢力を、前記第二ユニットが前記当接位置にあるときより小さくすることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0010】
また、本発明に係る別の構成は、画像形成装置に用いられる現像装置において、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材と、前記画像形成装置から力を受けて、前記現像剤規制手段を前記現像剤担持体に押圧させる方向に前記移動部材を付勢する第1の付勢手段と、を備え、前記現像装置は前記画像形成装置に用いられる際に、前記現像剤担持体を、前記画像形成装置に設けられた像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能であって、前記第1の付勢手段は、前記現像装置が前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記移動部材を付勢する付勢力を、前記現像装置が前記当接位置にあるときより小さくすることを特徴とする現像装置である。
【0011】
また、本発明に係る別の構成は、画像形成装置に用いられる現像装置において、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材であって、前記現像装置が前記画像形成装置に用いられる際に、前記画像形成装置に設けられた第1の付勢手段から、前記現像剤規制手段を現像剤担持体に押圧する方向に付勢力を受ける移動部材と、を備え、前記現像装置は、前記画像形成装置に用いられる際に、前記現像剤担持体を、前記画像形成装置に設けられた像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能であって、前記移動部材は、前記現像装置が前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記第1の付勢手段から受ける前記付勢力が小さくなることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤規制手段の押圧力によって現像剤担持体が変形してしまうことを簡単な構成で抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1におけるプロセスカートリッジの概略断面図。
【図2】現像ローラと感光体ドラムの当接と離間動作を示したプロセスカートリッジの概略断面図。
【図3】画像形成装置の動作を示すフローチャート
【図4】現像ローラと感光体ドラムが当接した際に揺動ユニットに加わる力を示したプロセスカートリッジの概略断面図。
【図5】現像ローラと感光体ドラムが離間した際に揺動ユニットに加わる力を示したプロセスカートリッジの概略断面図。
【図6】現像カートリッジとCユニットの連結と分離を示す概略断面図。
【図7】実施例3における現像カートリッジとCユニットの概略断面図。
【図8】実施例3における帯電ローラ軸受とスナップフィット部材を示す斜視拡大図。
【図9】実施例1における画像形成装置の概略断面図。
【図10】実施例3における画像形成装置の概略断面図。
【図11】プロセスカートリッジを装置本体へ装着する動作を示す概略断面図。
【図12】現像カートリッジを装置本体へ装着する動作を示す概略断面図。
【図13】実施例3において揺動ユニットに加わる力を表した説明図。
【図14】実施例2におけるプロセスカートリッジの概略断面図。
【図15】実施例4における現像カートリッジとCユニットの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施形態について図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
[電子写真画像形成装置]
先ず、本実施例のプロセスカートリッジを着脱可能に装着する画像形成装置A1について図9を参照して説明する。図9は、本実施例の画像形成装置A1の概略断面図である。本実施例の画像形成装置A1は、インライン方式、および中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置A1は、画像情報にしたがって、記録媒体としての記録紙800にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体に接続された不図示の画像読み取り装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーンナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。
【0016】
画像形成装置A1は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、水平方向に一列に配置されている。
【0017】
尚、本実施形態では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0018】
即ち、本実施形態では、画像形成装置A1は、複数の像担持体として、水平方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム100を有する。感光体ドラム100は、図示矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム100の周囲には、感光体ドラム100の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ210がある。次に、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム100上に静電潜像を形成する露光手段としてのスキャナユニット700が配置されている。更に、感光体ドラム100の周囲には、静電潜像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット200が配置される。最後に、転写後の感光体ドラム100の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード301が配置されている。更に、4個の感光体ドラム100に対向して、感光体ドラム100上のトナー像を記録紙800に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト402が配置されている。感光体ドラム100の回転方向において、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの順に行われる。
【0019】
尚、本実施形態では、現像ユニット200は、現像剤として非磁性一成分現像剤、即ち、トナーを用いる。又、本実施形態では、現像ユニット200は、現像剤担持体としての現像ローラ203を感光体ドラム100に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、本実施形態では、現像ユニット200は、感光体ドラム100の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム100上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
【0020】
無端状のベルトで形成された中間転写ベルト402は、全ての感光体ドラム100に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト402は、二次転写ローラ401、二次転写対向ローラ404、従動ローラ405、駆動ローラ407に掛け渡され、支持されている。
【0021】
中間転写ベルト402の内周面側には、各感光体ドラム100に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ400が並設されている。一次転写ローラ400は、中間転写ベルト402を感光体ドラム100に向けて押圧し、中間転写ベルト402と感光体ドラム100とが当接する一次転写部を形成する。そして、一次転写ローラ400に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム100上のトナー像が中間転写ベルト402上に転写(一次転写)される。
【0022】
又、中間転写ベルト402の外周面側において二次転写対向ローラ404に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ401が配置されている。二次転写ローラ401は中間転写ベルト402を介して二次転写対向ローラ404に圧接し、中間転写ベルト402と二次転写ローラ401とが当接する二次転写部を形成する。そして、二次転写ローラ401に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト402上のトナー像が給紙ユニットから給送された記録紙800に転写(二次転写)される。一次転写ローラ400と二次転写ローラ401とは同様の構成を有する。このとき、中間転写ベルト402上に残ったトナーは中間転写ベルト清掃部材406によって回収される。
【0023】
トナー像が転写された記録紙800は、定着手段としての定着装置500に搬送される。定着装置500において記録紙800に熱及び圧力を加えられることで、記録紙800にトナー像が定着される。
【0024】
又、一次転写工程後に感光体ドラム100上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード301によって除去、回収される。又、二次転写工程後に中間転写ベルト402上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルト清掃部材406によって清掃される。
【0025】
尚、画像形成装置A1は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0026】
また、画像形成装置A1は、厚紙モードといった低速モードを有しており、記録紙800として厚紙を使用する場合には、通常モードの1/3のプロセススピードで画像形成を行い、定着性を確保することができる。
【0027】
ここまで説明した画像形成装置構成については、本発明の実施例を説明するために一例を示したものであり、本発明の主旨からして限定されるものではない。
【0028】
<実施例1>
図9に示した画像形成装置A1の第1〜第4の画像形成部Sは、第一ユニットとしてのCユニット300と、第二ユニットとしての現像ユニット200が一体化されたプロセスカートリッジ20によって形成される。プロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体(以下、装置本体と呼ぶ)10に対して取り外し可能となっている。なお、装置本体10とは、画像形成装置A1のうちプロセスカートリッジを除いた部分である。
【0029】
図1に、装置本体10に装着されたプロセスカートリッジ20の断面図を示す。なお本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ20は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ20内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブランク(K)の各色のトナーが収容されている。以後、プロセスカートリッジ20内の各ユニットについてそれぞれ説明していく。
【0030】
Cユニット300は、Cユニット300内の各種要素を支持する枠体としてC枠体302を有する。C枠体302は感光体ドラム100の軸部を支持する軸受(不図示)を有し、感光体ドラム100を回転可能に支持している。感光体ドラム100は、外径24mmのアルミシリンダの外周に有機光導電体層を塗布して構成した。
【0031】
またC枠体302には感光体ドラム100の周面上に接触するようにクリーニングブレード301が設けられている。クリーニングブレード301は、感光体ドラム100に形成されたトナー像が中間転写ベルト402に転写された後、感光体ドラム100に残っているトナーを除去するためのクリーニング部材である。クリーニングブレード301には、ウレタンゴムを使用した。
【0032】
またC枠体302には圧縮コイルばねである離間ばね304が設けられている。後述するように、離間ばね304は、現像ユニット200を付勢することで、現像ユニット200に設けられた現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる働きをする。
【0033】
一方、現像ユニット200は、現像ユニット200内の各種要素を支持する現像枠体201を有する。現像枠体201には、現像ローラ203が回転可能に支持されている。現像ローラ203は、感光体ドラム100と接触して、感光体ドラム100に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体である。現像ローラ203には外径6mmの芯金の外周に、導電性の弾性層である厚さ3mmのシリコーンゴムを重ねて形成される外径12mmの弾性ローラを用いた。なお、弾性ローラの表層には現像剤へ電荷付与機能を持つコート層等を設けてもよい。
【0034】
また、現像枠体201には、帯電ローラ210を回転可能に支持する帯電ローラ軸受212が移動可能に取り付けられている。帯電ローラ210は感光体ドラム100と当接し感光体ドラム100を帯電する帯電部材である。帯電ローラ210には芯金の外周に導電性の弾性層を重ねた弾性ローラを用いた。具体的には帯電ローラ210は、芯金及び、芯金に重ねられた、下層、中層、表層の3層からなる。芯金は外径6mmである。この芯金に対して下層として層厚3mm、体積抵抗値10ΩmのEPDM(エチレンプロピレンゴム)を重ねた。そしてさらに、中間層として層厚700μm、体積抵抗値10ΩmのNBR系ゴム、表層として、層厚10μm、体積抵抗10Ωmであるフッ素化合物トレジン樹脂を重ねてある。下層と中間層にはカーボンを分散させ、表層には酸化錫とカーボンを分散してある。
【0035】
また、現像枠体201には、揺動枠体206と現像ブレード204から成る揺動ユニット205が取り付けられている。
【0036】
揺動枠体206は、揺動支点軸207によって現像枠体201に軸支され、揺動支点軸207を中心として回転可能な移動部材である。
【0037】
現像ブレード204は現像ローラ203と当接し、現像ローラ203に担持されるトナーの量を規制して、現像ローラ203上にトナーの薄層を形成する現像剤規制手段である。現像ブレード204は、揺動枠体206によって、短手方向(現像ローラ203の長手方向と直交する方向)の一端部を支持されている。現像ブレード204は、現像ローラ203と当接する薄板弾性部材と、この薄板弾性部材を支持し現像枠体201に取り付ける為の支持板金からなる。支持板金として厚さ1.2mmのジンコート鋼板を使用し、薄板弾性部材として厚さ120μmのSUS(ステンレス)を使用した。
【0038】
また現像枠体201には帯電ローラ軸受212を介して帯電ローラ210を感光体ドラム100に対して押圧する加圧ばね211が設けられている。加圧ばね211は圧縮コイルばねであって、その一端を帯電ローラ軸受212と接触させ、他端を揺動枠体206と接触させている。この加圧ばね211は帯電ローラ210を感光体ドラム100に押圧するとともに、揺動枠体206を介して現像ブレード204を現像ローラ203に対して押圧する押圧部材である。
【0039】
また、現像枠体201のトナー収納部には、現像ローラ203に担持されるトナーを供給する供給ローラ202が設けられている。供給ローラ202には外径6mmの芯金上に発砲骨格構造で低硬度である厚さ5mmのポリウレタンフォームを重ねて形成される外径16mmの弾性スポンジローラを用いた。
【0040】
なおシール部材220が、現像枠体201に取り付けられており、現像ブレード204と当接することによって、現像枠体201内のトナーが現像ユニット200の外に漏れないように封止している。シール部材220にはEPDM(エチレン・プロピレンゴム)混合物を発泡させた発泡体を用いた。
【0041】
現像ユニット200とCユニット300は、現像枠体201とC枠体302に回転軸303を通すことによって固定される。この回転軸303を中心として現像ユニット200はCユニット300と回転可能に結合している。これにより現像ユニット200はCユニット300に対して、現像ローラ203を感光体ドラム100に当接させる当接位置と、現像ローラを感光体ドラム100から離間させる離間位置とを取り得る。
【0042】
図11を用いてプロセスカートリッジ20を装置本体10に着脱する方法を示す。図11はカートリッジトレイ15を引き出した際の装置本体10の概略断面図である。
【0043】
装置本体10には、装置本体10の内部から横方向に引き出すことのできるカートリッジトレイ15が設けられている。カートリッジトレイ15はプロセスカートリッジ20を、装置本体10に装着するための装着手段である。
【0044】
装置本体10にカートリッジを装着する際には、装置本体10に設けられたドア16を開き、カートリッジトレイ15を装置本体10に設けられた開口部17から引き出す。そしてカートリッジトレイ15にプロセスカーリッジを上方から装着した上で、カートリッジトレイ15を装置本体10内に押し込む。これによりプロセスカートリッジ20は装置本体10内において画像を形成できる位置に装着される。
【0045】
次に図2を用いて装置本体10にプロセスカートリッジ20を装着した時における現像ユニット200の動作について説明する。図2は、プロセスカートリッジ20を装置本体10に装着した時の、加圧カム40による現像ユニット200の移動動作を示した概略断面図である。
【0046】
外部機器(不図示)からプリントするための画像情報が送られ印刷ジョブが始まる。印刷ジョブ実行中の状態が図2(a)であり、印刷ジョブ停止中が図2(b)である。図2に示す加圧カム40は装置本体10に対して回転可能に取り付けられている。加圧カム40は、現像ユニット200を装置本体10内で移動させることで現像ローラ203と感光体ドラム100の当接と離間を制御している当接離間手段である。
【0047】
このときの加圧カム40の動作をシーケンスで表したものが図3である。図3を用いて、加圧カム40によって現像ローラ203を感光体ドラム100と当接させる動作と、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる動作について説明する。
【0048】
装置本体10内の画像処理部が印刷ジョブを受け取ると、不図示のソレノイドがONになることで、モータ(不図示)から加圧カム40に駆動力が伝達される。まず最初に加圧カム40の初期化が行われる。センサー(不図示)により加圧カム40のポジション(姿勢)を検知する。これによって、装置本体10に設けられた制御部(不図示)は加圧カム40の回転角度を把握し、回転角度が所定角になるホームポジションに加圧カム40を回転させる。この初期化にセンサーを用いたが他の方法を用いても良い。
【0049】
次に加圧カム40がホームポジションから図2の時計回りに回転する。加圧カム40が図2(b)に示すホームポジションから図2(a)に示す矢印Cの方向に回転することによって、凸部40aを現像ユニット200に接触させ、現像ユニット200を押圧する。加圧カム40の凸部40aに押圧されることで現像ユニット200は回転軸303を支点として図2(a)に示す矢印Dの方向に回転し、現像ローラ203を感光体ドラム100と当接させる当接位置に移動する。その後ソレノイドがOFFとなることで加圧カム40の姿勢が固定され、現像ローラ203が感光体ドラム100を押圧した状態が続く。これが図2(a)の状態であって、現像ローラ203に担持されたトナーによって、感光体ドラム100に形成された静電潜像を現像可能となる。
【0050】
印刷ジョブが終わると、またソレノイドがONになり加圧カム40が図2(b)に示す矢印Eの方向に動き出す。これによって、加圧カム40の凸部40aが現像ユニット200から離れ、加圧カム40が現像ユニット200を押圧する力が弱まる。このとき、現像ユニット200が回転軸303を支点として離間ばね304の力によって図2(b)に示す矢印Fの方向に回転する。現像ユニット200は加圧カム40の凹部40bと当接するまで回転し、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる離間位置に移動する。これが図2(b)に示される状態である。画像を形成していないときに、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させることによって、現像ローラ203が感光体ドラム100から加わる圧力によって変形してしまうことを抑制している。ここで、離間ばね304は、現像ユニット200を付勢し、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる第2の付勢手段である。
【0051】
なお、図11に示すようにカートリッジトレイ15を装置本体10から引き出す際には、加圧カム40は凸部40aを上に向けた状態となる。つまり加圧カム40がプロセスカートリッジ20と干渉してカートリッジトレイ15の移動を妨げることがないようする。
【0052】
ここで図4を用いて、現像ユニット200が、現像ローラ203を感光体ドラムに当接させる当接位置にある時に、揺動ユニット205に加わる力を説明する。
【0053】
揺動ユニット205は、揺動支点軸207によって現像枠体201に軸支され回動可能に設けられた揺動枠体206と、揺動枠体206に短手方向一端部を固定された現像ブレード204から成る。この揺動ユニット205は、現像ユニット200に設けられた第1の付勢手段250によって付勢され、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧するように構成されている。本実施例では付勢手段250は帯電ローラ210、帯電ローラ軸受212、加圧ばね211からなり、Cユニット300から力を受けて、揺動ユニット205を付勢するよう構成されている。以下、詳細に説明する。
【0054】
現像ユニット200において、帯電ローラ210は、現像枠体に移動可能に設けられた帯電ローラ軸受212に支持されている。ここで現像ユニット200が当接位置にあるとき、帯電ローラ軸受212が移動する方向が、感光体ドラム100の中心と帯電ローラ210の中心を結ぶ直線と重なるよう、帯電ローラ軸受212は配置されている。
【0055】
また帯電ローラ軸受212には加圧ばね211の一端部が取り付けられており、帯電ローラ210を感光体ドラム100に対して押圧している。加圧ばね211の他端部は揺動枠体206に取り付けられている。なお、加圧ばね212が揺動枠体206に取り付けられる位置は、揺動支点軸207を基準として、現像ブレード204が揺動枠体206に取り付けられる位置とは反対側である。
【0056】
現像ローラ203が感光体ドラム100と当接する際には、帯電ローラ210は感光体ドラム100と接触し、感光体ドラム100から押圧力を受ける。このとき帯電ローラ軸受212は移動可能に設けられているため、帯電ローラ210は帯電ローラ軸受212とともに現像枠体201に押し込まれ、帯電ローラ軸受212に取り付けられた加圧ばね211は縮められることになる。また加圧ばね211は揺動枠体206とも接触しているため、長さを縮められることにより、揺動枠体206に対して力を加える。この力によって、揺動枠体206と現像ブレード204からなる揺動ユニット205には揺動支点軸207を支点として時計回りにモーメントが生じる。このモーメントによって、揺動ユニット205は時計回りに付勢され、現像ブレード204を現像ローラ203に押しつける。すなわち揺動ユニット205は、付勢手段250である帯電ローラ210、帯電ローラ軸受212、加圧ばね211によって、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧する方向に付勢されている。
【0057】
揺動ユニット205は、現像ブレード204を現像ローラ203に接触させることで、揺動枠体206に対する位置が定まる。この状態において、揺動ユニット205に加わるモーメントが釣り合う。このモーメントの釣り合いを式で表すと下記の式(1)のようになる。
【0058】
Fd×Ld×sinθd=Fs×Ls×sinθs ・・・式(1)
ここで、
Fd:現像ローラ203が現像ブレード204に加える力
Ld:揺動支点軸207中心から、現像ローラ203と現像ブレード204との接触部までの距離
θd:揺動支点軸207中心から現像ローラ203と現像ブレード204との接触部までを結ぶ直線と、Fdが生じる方向に延びる直線とが成す角度
Fs:加圧ばね211が揺動枠体206に加える力
Ls:揺動支点軸207中心から、加圧ばね211と揺動枠体206との接点までの距離
θs:揺動支点軸207中心から、加圧ばね211と揺動枠体206との接点を結ぶ直線と、Fsが生じる方向に延びる直線とが成す角度
である。
【0059】
このとき、図4に示すようにFdは、現像ブレード204が現像ローラ203と接触する接触部を始点として、現像ローラ203の半径方向、すなわち現像ローラ203の中心から現像ブレード204と現像ローラ203との接触部に向かう方向に生じる。Fsは、加圧ばね211が揺動枠体206と接触する接触部を始点として、加圧ばね211が伸びる方向に生じる。なお、加圧ばね211は帯電ローラ軸受212が移動する方向に伸び縮みできるように設けられている。
【0060】
式(1)の左辺は図4において、揺動支点軸207を中心とした反時計回りのモーメントであり、式(1)の右辺は揺動支点軸207を中心とした時計回りのモーメントである。現像ブレード204が現像ローラ203と当接した状態では、式(1)が成り立つ。
【0061】
ここで式(1)によって現像ローラ203が現像ブレード204に加える力Fdは、Ld、θd、Fs、Ls、θs、Fsから求められる。つまり、Fdは、加圧ばね211および揺動枠体206の配置、構成等を変えることによって適宜選択することができる。また、現像ブレード204は現像ローラ203をFdと同じ大きさの力で押圧する。そのため、加圧ばね211や揺動枠体206の構成、配置などを変えることによって、現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力を画像形成に適した大きさにすることができる。
【0062】
次に、現像ユニット200が離間位置にある際に、揺動ユニット205に加わる力を図5に示す。
現像ユニット200が当接位置から離間位置へ回転することによって、帯電ローラ210は、感光体ドラム100から離れる方向に移動しようとする。しかし加圧ばね211が帯電ローラ軸受212を押圧しているため、帯電ローラ軸受212が現像枠体201に対して移動し、帯電ローラ210を感光体ドラム100と接触させた状態を保つ。帯電ローラ軸受212が移動することで、加圧ばね211は、現像ユニット200が当接位置にあるとき(図4参照)よりも伸びた状態となる。
【0063】
加圧ばね211が伸びると、加圧ばね211が揺動枠体206を押圧する力は減少するので、揺動枠体206に固定された現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力も減少する。
【0064】
これを式(1)を用いて説明する。現像ユニット200が当接位置から離間位置に移動すると、式(1)の右辺において、加圧ばね211が揺動枠体206に加える力Fsが小さくなる。このとき、現像枠体201に対して揺動ユニット205は動いていないため、Ld、θd、Ls、θsは一定である。そのため、Fsが小さくなると、式(1)の釣り合いを保つため、左辺においても、Fdが小さく変化する。これにより現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力を小さくすることができる。
【0065】
なお、揺動ユニット205には、現像ブレード204と接触するシール部材220から加わる力Fsl(図5参照)など、Fs、Fd以外の力が加わる場合もある。それらの力はFs、Fdに比べて十分に小さいため式(1)を求める際に無視した。しかし、力Fsl等を無視できない場合であっても、現像ユニット200が離間位置に移動しFsの大きさが小さくなると、揺動ユニット205に加わるモーメントの釣り合いを保つため、Fdの大きさも小さくなる関係が成り立つ。
【0066】
以上をまとめると、現像ユニットに設けられた帯電ローラ210、帯電ローラ軸受212、加圧ばね211からなる付勢手段250によって揺動枠体206は付勢される。この付勢手段250の付勢力によって、揺動枠体206が支持する現像ブレード204が現像ローラ203に対して押圧されている。
【0067】
ここで、現像ユニットが当接位置から離間位置に移動する際、帯電ローラ210を感光体ドラム100と接触させるために加圧ばね211が伸びるので、付勢手段250が揺動枠体206を付勢する付勢力は低減する。これにより、揺動ユニット205の現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力も低減することとなる。
【0068】
一方、現像ユニット200が離間位置から当接位置に移動すると、帯電ローラ210が感光体ドラム100に押圧されることで加圧ばね211が縮むので付勢手段250が揺動枠体206を付勢する付勢力は増加する。これによって現像ブレード204の押圧力も増加し、現像ブレード204は現像ローラ203に形成されるトナー層の厚さを適切に規制可能になる。
【0069】
一般に、画像形成装置において、画像を形成してる画像形成時間よりも、画像を形成していない待機時間のほうが長く、全体の時間に対して多くの割合を占める。本実施例ではこの待機時間に現像ユニット200を、現像ローラ203が感光体ドラム100から離間する離間位置に移動させることで、感光体ドラム100によって現像ローラ203が変形してしまうことを抑制している。そして、現像ユニット200が離間位置に移動する動作に連動させて、現像ローラ203に対する現像ブレード204の押圧力を減少させている。これにより現像ブレード204が現像ローラ203を強く押圧する時間を短くし、現像ブレード204が現像ローラ203を凹ませ、変形させてしまう現象を抑制できる。また現像ユニットの200移動と連動して現像ブレード204の押圧力を変化させるため、別途、現像ブレード204の押圧力を変化させるための機構を装置本体10に設ける必要がない。
【0070】
特に、本実施例のように現像ブレード204に金属を用いた場合、現像ブレード204が加える押圧力によって現像ローラ203が変形しやすい。よって待機時間に、現像ブレード204の押圧力を低減することは有効である。
【0071】
なお、現像ユニット200が離間位置にあるときも、現像ブレード204を現像ローラ203から離間させてはいない。現像ブレード204は現像ローラ203と接触した状態を保つ。これによって現像ブレード204と現像ローラ203の間からトナーがプロセスカートリッジ20の外に漏れ出ることを抑制できる。つまり、本実施例では、現像ユニット200が離間位置にある際には、トナーがプロセスカートリッジ20の外部に漏れ出ない程度まで、現像ブレード204の押圧力を低減させている。
【0072】
更に、本実施例では現像ユニット200が離間位置に移動すると、加圧ばね211が帯電ローラ軸受212を付勢する力も小さくなることから、帯電ローラ210が感光体ドラム100に押し付けられる力も低減される。よって帯電ローラ210が感光体ドラム100から受ける力によって変形してしまうことも抑制することができる。なお本実施例では、現像ユニット200が離間位置に移動しても帯電ローラ210は感光体ドラム100と接触した状態を保つ。そのため帯電ローラ210および帯電ローラ軸受212が現像枠体201から外れることはない。
【0073】
また現像ユニット200は離間ばね304によって当接位置から離間位置に回転するように付勢されている。このためプロセスカートリッジ20を装置本体10から取り外すと、現像ユニット200は、現像枠体201がC枠体302に設けられた回転止め306(図5参照)と当接するまで回転し、離間位置に移動する。そのため現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力は低減される。よってプロセスカートリッジ20を装置本体10の外で長期間保存した場合でも、現像ローラ203の変形を抑制することが可能である。
【0074】
<実施例2>
図14に本実施例におけるプロセスカートリッジ20の断面図を示す。なお実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、ここでは実施例1と異なる点のみ説明を行う。
【0075】
図14(a)は現像ユニット200が現像ローラ203と感光体ドラム100を当接させる当接位置に位置する際のプロセスカートリッジ20の断面図である。図14(b)は、現像ユニット200が現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる離間位置に位置する際のプロセスカートリッジ20の断面図である。
【0076】
本実施例では、実施例1において揺動枠体206と帯電ローラ軸受212の間に設けられていた加圧ばね211の代わりに、引っ張りばね251を用いて揺動枠体206を付勢することを特徴とする。引っ張りばね251はその両端を、C枠体302に設けられた回転止め306と、揺動枠体206とに固定されている。引っ張りばね251は、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧する方向に、揺動枠体206を付勢する付勢手段として働く。
【0077】
図14(a)に示すように、現像ユニット200が当接位置にあるとき、引っ張りばね205は、一端を回転止め306に引っ張られることによって、揺動枠体206を時計回り方向に付勢する。これにより、揺動枠体206に固定された現像ブレード204は現像ローラ203に押し付けられた状態となる。
【0078】
ここで、現像ユニット200が図14(a)に示す当接位置から、図14(b)に示す離間位置に移動すると、回転止め306と揺動枠体206の距離が近くなることから、引っ張りばね251は延び量が小さくなる。すなわち、引っ張りばね251の長さが、図14(a)に示すL1から、図14(b)に示すL2に変化する。ここでL1>L2である。この結果、引っ張りばね251が揺動枠体206を付勢する力が小さくなり、現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力も小さくなる。
【0079】
すなわち、現像ユニット200が離間位置に移動する動作に連動させて、現像ローラ203に対する現像ブレード204の押圧力を減少させている。これにより現像ブレード204が現像ローラ203を変形させてしまう現象を抑制できる。
【0080】
<実施例3>
図10に本実施例における画像形成装置A2の断面図を示す。なお、実施例2において実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、ここでは実施例1と異なる点のみ説明を行う。
【0081】
図10で示す本実施例の画像形成装置A2は、画像形成部が現像ローラ203を有する現像カートリッジ30と、感光体ドラム100を有するCユニット305からなる。
【0082】
現像カートリッジ30は現像手段をカートリッジ化し、画像形成装置A2の装置本体11に対して着脱可能とした現像装置であって、図6に示すようにCユニット305と分離することができる。図6は、現像カートリッジ30がCユニット305と連結した状態(図6(a))と現像カートリッジ30がCユニット305から分離した状態(図6(b))を示す概略断面図である。
【0083】
これにより、現像カートリッジ30に収納されているトナーがなくなった際には、現像カートリッジ30だけ交換すればよく、Cユニット305を継続して使うことができる。
【0084】
図7は現像カートリッジ30及びCユニット305の断面図である。図7に示されるように現像カートリッジ30は、現像カートリッジ30内の各種要素を支持する枠体として現像カートリッジ枠体214を有する。現像カートリッジ枠体214は現像ローラ203を回転可能に支持している。また帯電ローラ軸受213が現像カートリッジ枠体214に移動可能に設けられ、帯電ローラ210を支持している。帯電ローラ軸受213には加圧ばね211の一端が取り付けられている。現像カートリッジ30が装置本体11に取り付けられた際には、加圧ばね211によって帯電ローラ210は感光体ドラム100に対して押圧される。
【0085】
なおシール部材220が、現像カートリッジ枠体214に取り付けられており、現像ブレード204と当接することによって、現像カートリッジ枠体214内のトナーが外に漏れないように封止している。
【0086】
また現像カートリッジ枠体214には、帯電ローラ軸受213の移動をガイドするガイド部材としてのスナップフィット部材215が備えられている。図8に帯電ローラ軸受213を現像カートリッジ枠体214に装着した時の斜視拡大図を示す。帯電ローラ軸受213は、スナップフィット部材215を介して現像カートリッジ枠体214に移動可能に設けられている。スナップフィット部材215には、帯電ローラ軸受213と当接して、帯電ローラ軸受213が現像カートリッジ枠体214から外れる方向に移動することを規制する規制部215a、215bがある。これにより、現像カートリッジ30がCユニット305と分離した際も帯電ローラ軸受213が現像カートリッジ枠体214からは外れないようになっている。
【0087】
一方、図7に示すようにCユニット305には、現像カートリッジ30と連結された際に、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる離間ばね307を有する。この離間ばね307は圧縮コイルばねであって、一端はCユニット305の枠体(以下、C枠体と呼ぶ)310に取り付けられ、他端には凹部を有した被係合部材311が設けられている。現像カートリッジ30がCユニット305と連結する際に、被係合部材311は、現像カートリッジ30に設けられた係合部216と係合する。係合部216は、被係合部材311の凹部と嵌合する凸部を備えている。
【0088】
次に図6、図12を用いて現像カートリッジ30を装置本体11に装着する方法を示す。図12はカートリッジトレイ15を引き出した際の装置本体11の概略断面図である。
【0089】
図12に示すように装置本体11には、装置本体内部から引き出すことのできるカートリッジトレイ15が設けられている。本実施例において、Cユニット305は、カートリッジトレイ15に取り外し可能に固定されている。
【0090】
現像カートリッジ30を装置本体11に装着する際は、まずカートリッジトレイ15を装置本体11内から引き出す。そして現像カートリッジ30を、図6(b)に示すように、上方からカートリッジトレイ15に装着し、Cユニット305と連結させる。
【0091】
現像カートリッジ30をカートリッジトレイ15に装着すると、図6(a)に示すように、現像カートリッジ30の係合部216が、Cユニット305に設けられた被係合部材311と係合する。さらに、帯電ローラ210が、感光体ドラム100と当接する。これにより現像カートリッジ30はCユニット305と連結する。
【0092】
なお、離間ばね307はC枠体310に取り付けられ、被係合部材311を介して現像カートリッジ30と連結しているが、離間ばね307を現像カートリッジ枠体214に取り付けて、離間ばね307がC枠体310と連結及び分離するように構成しても良い。
【0093】
現像カートリッジ30がCユニット305と連結した状態で、カートリッジトレイ15を装置本体11内部に押し入れることで現像カートリッジ30及びCユニット305は画像を形成する位置に装着されることになる。
【0094】
次に図13を用いて、装置本体11において、現像ローラ203と感光体ドラム100とを当接および離間させる方法について説明する。図13は、装置本体11に装着された現像カートリッジ30とCユニット305の概略断面図である。
【0095】
現像カートリッジ30はカートリッジトレイ15に装着された際に、上下方向にスライド可能に設けられている。画像形成をする際には、加圧カム40を回転させて、加圧カム40の凸部40aを現像カートリッジ30に当接させ現像カートリッジ30を下方向に押圧する。これにより現像カートリッジ30は下方向にスライドし、感光体ドラム100に対して現像ローラ203を当接させる当接位置に移動する(図13(a)参照)。なお加圧カム40の動きは、実施例1の図3を用いて説明したシーケンスと同じである。
【0096】
現像カートリッジ30が、当接位置に移動すると、帯電ローラ210が感光体ドラム100と接触し、力を受けることよって、帯電ローラ210及び帯電ローラ軸受213は現像カートリッジ枠体214に押し込まれる。これによって帯電ローラ軸受213と接触する加圧ばね211は縮み、揺動枠体206に力Fsを加える。この力によって揺動枠体206は揺動支点軸207を中心に時計回りに付勢され、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧する。
【0097】
すなわち本実施例において、帯電ローラ210、帯電ローラ軸受213、加圧ばね211が、揺動枠体206を付勢し、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧する付勢手段252となる。
【0098】
また現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する際、この反作用によって、揺動ユニット205には力Fdが加わる。このとき、揺動支点軸207を中心として、揺動枠体206と現像ブレード204からなる揺動ユニット205に加わるモーメントが釣り合い、式(1)が成り立つ。
【0099】
画像形成が終了すると、加圧カム40は凸部40aを上方に向けるまで回転する。このとき、加圧カム40から受ける力が弱まるため、現像カートリッジ30は、離間ばね307の加圧力によって、加圧カム40の凹部40bと当接するまで上方向にスライドする。これにより現像カートリッジ30は、現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる離間位置に移動する(図13(b)参照)。現像カートリッジ30の移動に伴って、帯電ローラ210も感光体ドラム100から離れる方向に移動するが、加圧ばね211が帯電ローラ軸受213を押圧することによって、帯電ローラ210は感光体ドラム100と当接した状態を保つ。このとき加圧ばね211は、現像カートリッジ30が当接位置に位置する時よりも伸びた状態となる。
【0100】
加圧ばね211が伸びた状態になると、加圧ばね211が揺動枠体206を押圧する力Fsは減少するので、揺動枠体206に固定された現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力も減少する。
【0101】
現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力の変化を式(1)を用いて説明する。現像カートリッジ30が当接位置から離間位置に移動することで、式(1)の左辺において、加圧ばね211が揺動枠体206を押圧する力Fsは小さくなる。ここで揺動ユニット205は現像カートリッジ枠体214に対して位置決めされているので、現像カートリッジが離間位置に移動してもLs、θs、Ld、θdは一定である。そのためFsが小さくなると式(1)の釣り合いがとれるように、式(1)の左辺においてFdが小さくなる。ここで力Fdは、現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力と等しい。これにより、画像形成をしない時には現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力が低減し、現像ローラ203の変形が抑制される。
【0102】
なお図7に示すように、現像カートリッジ30をCユニット305から分離させたときには、帯電ローラ210が感光体ドラム100から離間するので、現像カートリッジ30が当接位置にあるときよりも加圧ばね211は伸びる。しかし、帯電ローラ軸受213の移動をスナップフィット部材215の規制部215a,215bが規制するので、加圧ばね211は自然長までは伸びきらず、加圧ばね211が揺動枠体206を押圧する力Fsはゼロにはならない。そのため現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する力は低減するものの、現像ブレード204と現像ローラ203が接触した状態は保たれる。よって現像カートリッジ30を装置本体11から取り外した際にも、現像ブレード204と現像ローラ203の間からトナーが現像カートリッジ30の外に漏れ出ることを抑制できる。
【0103】
また、本実施例においては、現像カートリッジ30を装置本体11から取り外すことによって、帯電ローラ210が感光体ドラム100と長期間接触することで変形してしまうことを抑制できる。
【0104】
なお本実施例と同様の帯電ローラ軸受213と、スナップフィット部材215を実施例1、2の現像ユニット200に用いても良い。
【0105】
<実施例4>
図15に本実施例における現像カートリッジ30とCユニット305の概略断面図を示す。なお、前述した実施例3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
図15(a)には現像カートリッジ30が現像ローラ203と感光体ドラム100を当接させる当接位置に位置した状態が示されている。また図15(b)には、現像カートリッジ30が現像ローラ203を感光体ドラム100から離間させる離間位置に位置した状態が示されている。
【0107】
本実施例では、現像ブレード204を支持する揺動枠体208が離間ばね307と係合可能であることを特徴とする。揺動枠体208は、実施例3における揺動枠体206と同様、現像カートリッジ30に回転可能に設けられた移動部材である。
【0108】
揺動枠体208には凸上の係合部208bが設けられることを特徴とする。現像カートリッジ30がCユニット305と連結する際には、係合部208bが離間ばね307の先端に設けられた被係合部材311と係合した状態になる。この状態で、現像カートリッジ30は装置本体に装着される。
【0109】
圧縮コイルばねである離間ばね307は揺動枠体208を介して現像カートリッジ30を上方向に持ち上げるので、現像カートリッジ30は装置本体11の内部で上下方向に移動可能である。そのため現像カートリッジ30は加圧カム40の回転によって、実施例3と同様に当接位置と離間位置を取り得る。
【0110】
図15(a)に示すように、加圧カム40の凸部40aが現像カートリッジ30に当接すると、現像カートリッジ30は加圧カム40から下方に押され、現像ローラ203を感光体ドラム100と当接させる当接位置に移動する。ここで、現像カートリッジ30が当接位置に移動すると、現像カートリッジ30がCユニット305に近づくことで離間ばね307は縮む。これにより揺動枠体208は離間ばね307から付勢力を受けて、時計回りに付勢され現像ブレード204を現像ローラ203に押圧させる。すなわち本実施例では、離間ばね307は、現像ブレード204を現像ローラ203に押圧させる方向に揺動枠体208を付勢する付勢手段となる。
【0111】
一方、図15(b)に示すように加圧カム40が回転して凸部40aが現像カートリッジ30から離れると、加圧カム40が現像カートリッジ30を下方に押しつける力が減少する。そのため現像カートリッジ30は、離間ばね307が揺動枠体208に加える力によって、上方向に持ち上がり現像ローラ203が感光体ドラム100から離間する。すなわち現像カートリッジ30は離間位置に移動することになる。
【0112】
ここで、現像カートリッジ30が離間位置に移動すると、離間ばね307は、現像カートリッジ30が当接位置に位置した時よりも伸びた状態となり、揺動枠体208に加える付勢力は小さくなる。この結果、揺動枠体208に支持された現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力も小さくなる。
【0113】
以上まとめると、本実施例では、現像ローラ203を感光体ドラムから離間させる離間ばね307を被係合部材311を介して揺動枠体208と係合し、揺動枠体208を付勢する付勢手段として利用した。これにより実施例3と同様、画像形成をしない時には現像ブレード204が現像ローラ203を押圧する押圧力を低減させ、現像ローラ203の変形を抑制することができる。もちろん、離間ばね307とは別の付勢手段を揺動枠体208と係合させるようにしてもよい。このときも、現像カートリッジ30が当接位置から離間位置に移動した際に、付勢手段の付勢力が小さくなるよう構成するとよい。
【0114】
なお本実施例では付勢手段である離間ばね307がCユニット305のC枠体310に取り付けられ、被係合部材311を介して揺動枠体208と係合するように構成した。一方、付勢手段を揺動枠体208に取り付けたうえで、C枠体310と連結および分離するよう構成しても良い。
【符号の説明】
【0115】
A1、A2 画像形成装置
10 装置本体
20 プロセスカートリッジ
30 現像カートリッジ
100 感光体ドラム
200 現像ユニット
201 現像枠体
203 現像ローラ
204 現像ブレード
205 揺動ユニット
206 揺動枠体
207 揺動支点軸
210 帯電ローラ
211 加圧ばね
214 現像カートリッジ枠体
300,301 Cユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
像担持体を有する第一ユニットと、
現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材と、を有し、前記第一ユニットと移動可能に結合して、前記現像剤担持体を前記像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能な第二ユニットと、
前記第一ユニットから力を受けて、前記現像剤規制手段を前記現像剤担持体に押圧させる方向に前記移動部材を付勢する第1の付勢手段と、
を備え、
前記第1の付勢手段は、前記第二ユニットが前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記移動部材を付勢する付勢力を、前記第二ユニットが前記当接位置にあるときより小さくすることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記第1の付勢手段は、前記像担持体と接触することで前記像担持体を帯電する、前記第二ユニットの枠体に移動可能に設けられた帯電部材と、前記第二ユニットが前記当接位置に位置する際に、前記帯電部材を前記像担持体に押圧するとともに、前記移動部材に前記付勢力を加える押圧部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二ユニットは、前記第二ユニットが前記離間位置に位置する際に、前記帯電部材の移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記移動部材は、前記第二ユニットの枠体に回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記第二ユニットを前記当接位置から前記離間位置に移動させる方向に付勢する第2の付勢手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記現像剤規制手段は、前記第二ユニットが前記当接位置から前記離間位置に移動する際に、前記現像剤担持体と当接した状態を保つことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
前記第二ユニットを前記当接位置と前記離間位置とに移動させるための当接離間手段と、
を備えることを特徴とした画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置に用いられる現像装置において、
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、
前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材と、
前記画像形成装置から力を受けて、前記現像剤規制手段を前記現像剤担持体に押圧させる方向に前記移動部材を付勢する第1の付勢手段と、
を備え、
前記現像装置は前記画像形成装置に用いられる際に、前記現像剤担持体を、前記画像形成装置に設けられた像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能であって、
前記第1の付勢手段は、前記現像装置が前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記移動部材を付勢する付勢力を、前記現像装置が前記当接位置にあるときより小さくすることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
画像形成装置に用いられる現像装置において、
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制手段と、
前記現像剤規制手段を支持する、移動可能に設けられた移動部材であって、前記現像装置が前記画像形成装置に用いられる際に、前記画像形成装置に設けられた第1の付勢手段から、前記現像剤規制手段を現像剤担持体に押圧する方向に付勢力を受ける移動部材と、
を備え、
前記現像装置は、前記画像形成装置に用いられる際に、前記現像剤担持体を、前記画像形成装置に設けられた像担持体と当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記像担持体から離間させる離間位置とを移動可能であって、
前記移動部材は、前記現像装置が前記当接位置から前記離間位置に移動することで、前記第1の付勢手段から受ける前記付勢力が小さくなることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
前記第1の付勢手段は、前記像担持体と接触することで前記像担持体を帯電する、前記現像装置の枠体に移動可能に設けられた帯電部材と、前記現像装置が前記当接位置に位置する際に、前記帯電部材を前記像担持体に押圧するとともに、前記移動部材に前記付勢力を加える押圧部材を有することを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像装置が前記離間位置に位置する際に、前記帯電部材の移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項10に記載の現像装置。
【請求項12】
前記移動部材は、前記現像装置の枠体に回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項13】
前記現像装置を前記当接位置から前記離間位置に移動させる方向に付勢する第2の付勢手段を備えることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項14】
前記現像剤規制手段は、前記現像装置が前記当接位置から前記離間位置に移動する際に、前記現像剤担持体と当接した状態を保つことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項15】
前記現像装置は、前記画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジであることを特徴とする請求項8乃至14のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項16】
請求項8乃至15のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記現像装置を前記当接位置と前記離間位置とに移動させるための当接離間手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−230192(P2012−230192A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97439(P2011−97439)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】