説明

プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置、およびプロセスカートリッジの組立方法

【課題】 感光体ドラムに対する現像ローラの付勢力を安定化し、画像不良のない良好な画像を得ること。
【解決手段】 電子写真画像形成装置Aの装置本体A1に着脱可能なプロセスカートリッジBは、感光体ドラム7を有する感光体ユニットvと、静電潜像を現像する現像ローラ13を有する現像ユニットuと、を備える。感光体ドラム7の回転軸方向におけるプロセスカートリッジBの一端側にて、現像ユニットuは感光体ユニットvに対してひとつの回動中心18aを中心に回動可能であり、プロセスカートリッジBの他端側にて、感光体ユニットvと現像ユニットuはリンク部材20とそれぞれ回動可能に結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ、およびこれを用いた電子写真画像形成装置、さらにはプロセスカートリッジの組立方法に関するものである。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置の例としては、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、ファクシミリ装置等がある。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【背景技術】
【0004】
従来、プロセスカートリッジとして、電子写真感光体としての感光体ドラムを有する感光体ユニットに対して、現像手段としての現像ローラを有する現像ユニットを結合部材で回動可能に結合したものが一般的に知られている。このプロセスカートリッジでは、現像ユニットが、現像ユニットの自重やバネ等の付勢部材によって感光体ユニット側へ付勢されている。これにより、現像ユニット内の現像ローラを感光体ユニット内の感光体ドラムに対して安定して付勢することができる。ここで電子写真画像形成装置で用いられる現像方式として、現像ローラ表面と感光体ドラム表面との間に微小な隙間を設けたことを特徴とした非接触現像方式がある。非接触現像方式では、現像ローラの両端にそれぞれ間隔保持部材が設けられ、この間隔保持部材を介して現像ローラは感光体ドラムと接触する。間隔保持部材が現像ローラの表面と感光体ドラムの表面の間隔を一定に保つことによって、電子写真画像形成装置は、良好な画像を安定して出力できる。
【0005】
しかし、プロセスカートリッジに用いられる各部材の寸法や組み付け位置に誤差が生じたり、プロセスカートリッジに衝撃が加わって変形するなどして、現像ローラの回転軸と感光体ドラムの回転軸のアライメントが、狙った関係からずれてしまう場合がある。このとき感光体ドラムに対する現像ローラの接触圧が、現像ローラの軸線方向一端側において、他端側よりも極端に低くなってしまったり、現像ローラの一端側が感光体ドラムから離れる状態(以下、片あたりと称する)が生じる場合がある。また、この現像ローラの片あたりを矯正するために、現像ローラの一端側に強い付勢力を加える必要がある。
【0006】
そこで従来、現像ローラを感光体ドラムに対して安定して付勢する方法として、以下の方法が知られている。
【0007】
特許文献1には、プロセスカートリッジの長手方向の一端側において、現像ユニットと感光体ユニットを回動可能に結合する軸を、長穴に嵌合させる方法が記載されている。軸と長穴の間に隙間が生じることで、現像ユニットと感光体ユニットの結合位置が移動可能となる。この移動によって、プロセスカートリッジの各部材に生じた寸法の誤差を吸収し、現像ローラを感光体ドラムに対して安定して付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−339149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記構成をさらに発展させたものであって、感光体ドラムに対する現像ローラの付勢力を安定化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な構成は、電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
感光体ドラムを有する感光体ユニットと、
前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像ローラを有する現像ユニットであって、前記感光体ドラムの軸線方向における前記プロセスカートリッジの一端側で、前記感光体ユニットに対して、ひとつの回動中心のみで回動するように結合する現像ユニットと、
前記軸線方向において前記プロセスカートリッジの他端側に設けられ、前記感光体ユニットと前記現像ユニットとに対してそれぞれ回動可能に結合して、前記現像ローラを前記感光体ドラムに対して移動可能にするリンク部材と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明の別の構成は、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
(i)前記電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジであって、感光体ドラムを有する感光体ユニットと、前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像ローラを有する現像ユニットであって、前記感光体ドラムの軸線方向における前記プロセスカートリッジの一端側で、前記感光体ユニットに対して、ひとつの回動中心のみで回動するように結合する現像ユニットと、前記軸線方向において前記プロセスカートリッジの他端側に設けられ、前記感光体ユニットと前記現像ユニットとに対してそれぞれ回動可能に結合して、前記現像ローラを前記感光体ドラムに対して移動可能にするリンク部材と、を有するプロセスカートリッジと、
(ii)前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係るプロセスカートリッジの代表な組立方法は、
静電潜像が形成される感光体ドラムを有する感光体ユニットと、前記静電潜像を現像するための現像剤を担持する現像ローラを有する現像ユニットと、を備えるプロセスカートリッジの組立方法において、
前記現像ローラの軸線方向における前記現像ユニットの一端側に、リンク部材を回動可能に取り付け、
前記感光体ドラムの軸線方向における前記感光体ユニットの一端側に、前記リンク部材を回動可能に取り付け、
前記現像ローラの軸線方向における前記現像ユニットの他端側を、前記感光体ドラムの軸線方向における前記感光体ユニットの他端側に、一つの回動中心のみで回転可能となるように結合する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感光体ドラムに対する現像ローラの付勢力を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す側断面図
【図2】プロセスカートリッジの全体構成を示す側断面図
【図3】プロセスカートリッジの長手方向の断面図
【図4】プロセスカートリッジの感光体ユニットと現像ユニットの組み付け構成を示す斜視図
【図5】プロセスカートリッジの駆動側の側面図
【図6】プロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図7】リンク部材の結合部の断面図
【図8】リンク部材の回転規制部の斜視図と模式図
【図9】リンク部材の嵌合状態を示す模式図
【図10】プロセスカートリッジの駆動側の側面図
【図11】プロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図12】プロセスカートリッジの非駆動側の正面図
【図13】プロセスカートリッジの画像形成装置本体への装着を示す側面図
【図14】実施例2のプロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図15】実施例3のプロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図16】実施例4のプロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図17】実施例5のリンク部材の結合部の断面図
【図18】実施例6のリンク部材の結合部の断面図
【図19】比較例のプロセスカートリッジを示す断面図
【図20】実施例7のプロセスカートリッジの全体構成を示す側断面図
【図21】実施例7のプロセスカートリッジの感光体ユニットと現像ユニットの組み付け構成を示す斜視図
【図22】実施例7のプロセスカートリッジの感光体ユニットと現像ユニットの組み付け構成を示す斜視図
【図23】実施例7の現像ユニットとリンク部材の組み付け構成を示す斜視図
【図24】実施例7の現像ユニットとリンク部材の側面図
【図25】実施例7のプロセスカートリッジの駆動側の側面図
【図26】実施例7のプロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図27】実施例7のプロセスカートリッジの駆動側の側面図
【図28】実施例7のプロセスカートリッジの非駆動側の側面図
【図29】実施例7のリンク部材の結合部の断面図
【図30】実施例7のリンク部材の結合部の断面図
【図31】非接触現像方式の模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施例1>
次に本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジ及び前記プロセスカートリッジを着脱可能な電子写真画像形成装置について図面を参照して説明する。
【0016】
(電子写真画像形成装置の全体説明)
まず、電子写真画像形成装置Aの全体構成について図1、2を用いて説明する。尚、図1は本実施例のプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置Aの装置本体A1に装着した状態を示す側断面図である。また、図2は本実施形態を適用可能なプロセスカートリッジを示す側断面図である。なお装置本体A1とは、電子写真画像形成装置AからプロセスカートリッジBを除いた部分である。
【0017】
本実施形態における電子写真画像形成装置Aの画像形成について説明する。まず、図1に示すように、ドラム形状で感光層を有する電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」と称す)7に、光学系1から画像情報に基づいたレーザー光像が照射される。それによって、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。そして、現像剤tを担持する現像剤担持体としての現像ローラ13に電圧が印加されることにより、現像ローラ13から感光体ドラム7に現像剤tが移動する。これによって、感光体ドラム7上に現像剤tの像が形成される。そして前記現像剤像の形成と同期して記録媒体としての用紙2がカセット3aから搬送手段3bによって搬送される。そして、プロセスカートリッジBとしてカートリッジ化された画像形成部において、感光体ドラム7に形成された現像剤像が、転写手段としての転写ローラ4に電圧が印加されることによって、用紙2に転写される。そして、その用紙2がガイド板3f2でガイドされて定着手段5へと搬送される。定着手段5は、駆動ローラ5a及びヒータ5bを内蔵する定着ローラ5cを有する。定着手段5を通過した用紙2は、排出ローラ対3dで搬送され、反転搬送路を通して排出部6へと排出される。
【0018】
(プロセスカートリッジの構成)
本実施例のプロセスカートリッジBは、感光体ドラム7と、感光体ドラム7に形成された静電潜像を現像する現像ローラ13と、を一体的にカートリッジ化したものである。
【0019】
図2に示すように、本実施形態のプロセスカートリッジBを用いて画像を形成する際には、感光体ドラム7が矢印R方向に回転する。そして、感光体ドラム7の表面は、帯電手段としての帯電ローラ8によって一様に帯電される。そして、光学系1から照射された光が、クリーニング枠体11の有する露光開口部9bを通過して感光体ドラム7の周面を露光する。そして、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。また、現像容器10には、現像剤規制部材である現像ブレード14と現像剤担持体である現像ローラ13とが設けられている。現像容器10は、現像ローラ13へ供給するための現像剤tを収納する現像剤収納部10fを有する。そして、現像ブレード14が現像ローラ13に所定の押圧力にて接触して、現像ローラ13上の現像剤tを規制することにより、現像ローラ13上に均一な現像剤層が形成される。そして、現像ローラ13に現像バイアスを印加することにより、現像剤tを前記潜像に応じて感光体ドラム7に転移させる。これによって前記潜像に応じた現像剤像が感光体ドラム7上に形成される。そしてその現像剤像が、転写ローラ4に転写バイアスが印加されることよって用紙2に転写される。そして前記現像剤像が用紙2に転写された後に感光体ドラム7に残留した現像剤tは、クリーニング手段としてのクリーニングブレード12によって除去される。そして除去された現像剤tは、除去現像剤収納部11cに集められる。
【0020】
プロセスカートリッジBは、感光体ユニットvと、現像ユニットuを有する。感光体ユニットvは、感光体ユニットvに含まれる各部材を支持する枠体(第一枠体)としてクリーニング枠体11を有し、さらに帯電ローラ8とクリーニングブレード12とを有する。また現像ユニットuは、現像ユニットuに含まれる各部材を支持する枠体(第二枠体)として現像容器10を有し、さらに現像ローラ13と現像ブレード14とを有する。
【0021】
次に図3に示すプロセスカートリッジBの断面図を用いて、感光体ドラム7と現像ローラ13の支持方法及び、駆動方法について説明する。図3(a)はプロセスカートリッジBの長手方向の一端側を示し、図3(b)は他端側を示す。なお、本実施例においてプロセスカートリッジの長手方向とは感光体ドラム7の軸線方向と同一の方向である。また感光体ドラム7と現像ローラ13は実質的に平行となるように配置されるため、プロセスカートリッジの長手方向と、現像ローラ13の軸線方向もほぼ同一の方向である。なおこれ以降の説明においても、プロセスカートリッジの長手方向といった場合には、上述のように感光体ドラム7の軸線方向と同一な方向を指すこととする。
【0022】
感光体ドラム7は、その両端にそれぞれ軸7cおよび穴部7dを有し、それぞれドラム軸受部材15と、ドラム軸16によって回転可能に支持される。ここで、ドラム軸受部材15およびドラム軸16は、クリーニング枠体11に固定され、クリーニング枠体11ともに感光体ユニットvの枠体(第一枠体)を形成する。なお、感光体ユニットvの枠体は、一体とは限らず、複数の部材が結合している場合もあり得る。この場合であっても、感光体ドラム7の両端部を回動可能に支持する各部材を総称して、感光体ユニットvの枠体と称する。
【0023】
感光体ドラム7へ装置本体A1から駆動力を伝達する手段として、感光体ドラム7の軸線方向一端側に継手形状部7bが形成されている。継手形状部7bが装置本体A1に設けられた不図示の駆動入力継手と係合し、装置本体A1から駆動力を受けることで感光体ドラム7は回転する。なおこれ以降、プロセスカートリッジBの長手方向(感光体ドラム7の軸線方向)の両端側の内、感光体ドラム7に継手形状部7bが設けられている側を駆動側とよび、駆動側とは反対側を非駆動側と呼ぶことがある。
【0024】
現像ローラ13は、駆動側において現像ローラギア13aが取り付けられ、この現像ローラギア13aを間に介して軸受部材18の穴部18bに支持される。また、非駆動側において、現像ローラに設けられた穴部13bが軸受部材19に支持される。これにより現像ローラ13は、現像ユニットu内でその両端を回転可能に支持される。なお軸受部材18および軸受部材19は、現像容器10に取り付けられ、現像容器10と共に現像ユニットuの枠体(第二枠体)を形成する。なお、現像ユニットuの枠体は、一体とは限らず、複数の部材が結合している場合もあり得る。この場合であっても、現像ローラ13の両端部を回動可能に支持する各部材を総称して、現像ユニットuの枠体と称する。
【0025】
現像ローラ13の内部には、周面に複数の磁極を持つマグネットローラ35が配置される。マグネットローラ35は、磁性を有する現像剤を現像ローラ13に担持させるため用いられる。このマグネットローラ35は駆動側にて、その軸を現像ローラ13の丸穴部13cに支持される。さらに非駆動側において、マグネットローラ35の軸がローラ軸受部材19のD型の断面形状を持つ穴部19cと嵌合し、固定される。このためマグネットローラ35は現像ローラ13が回転した際にも、現像容器10に対して固定された状態となる。
【0026】
現像ローラ13には、前述したように軸線方向一端側に現像ローラギア(第1ギア)13aが設けられている。現像ローラギア13aは、現像ローラ13が回転するための駆動力を受け、現像ローラ13に伝える駆動伝達部である。プロセスカートリッジBの駆動側において、この現像ローラギア13aは、感光体ドラム7の軸線方向一端側に取り付けられたドラムギア(第2ギア)7aと噛み合う。感光体ドラム7が回転した際には、現像ローラギア13aがドラムギア7aから駆動力を受けることで、現像ローラ13も回転する。
【0027】
(現像ユニットの支持、加圧構成)
図3、4を用いて、現像ユニットuを支持する感光体ユニットvの支持構成について説明する。図4で示すように、感光体ドラム7に継手形状部7b(図3参照)が設けられたプロセスカートリッジBの駆動側において、現像ユニットuの軸受部材18には、支持軸(軸部)18aが形成される。感光体ユニットvに対して、支持軸18aが、ドラム軸受部材15の穴部15aに回転可能に嵌合して支持される。つまり、現像ユニットuが支持軸18aを回動中心として、感光体ユニットに対して回動可能に結合する。なお、感光体ユニットvに軸部を設けたうえで、現像ユニットuに穴部を形成し、この穴部に軸部を嵌合するようにしても良い。
【0028】
つまり、プロセスカートリッジBの長手方向一端側において、感光体ユニットvに対して現像ユニットuが一つの回動中心のみで回動可能に結合する構成であればよい。
【0029】
一方、駆動側の反対側である非駆動側において、現像ユニットuはリンク部材20を介して感光体ユニットvに支持される。リンク部材20は、円形状の開口である丸穴部20aと、円柱状の突起である軸部20bを有する。この丸穴部20aに現像ユニットuの軸受部材19に形成された軸部19aが回転可能に嵌合し、軸部20bが感光体ユニットvのクリーニング枠体11に形成された丸穴部11dへ回転可能に嵌合する。ここで丸穴部20aおよび軸部20bは、それぞれリンク部材20が現像ユニットuおよび感光体ユニットvと結合するための結合部である。また、現像ユニットuの軸部19aおよび感光体ユニットvの丸穴部11dは、それぞれ丸穴部20aと軸部20bによってリンク部材20と結合される被結合部である。
【0030】
丸穴部20aが軸部19aと結合し、軸部20bが丸穴部11dと結合することによって、リンク部材20は現像ユニットv、感光体ユニットuの両ユニットに、それぞれ回転可能に結合する。
【0031】
以上まとめると、本実施例のプロセスカートリッジBは、駆動側において支持軸(軸部)18aが現像ユニットuと感光体ユニットvを結合し、現像ユニットuは一点を中心として感光体ユニットvに対して回動可能となる。一方、非駆動側においてはリンク部材20が現像ユニットuと感光体ユニットvを結合し、二節リンク機構を形成する。
【0032】
図3に示すように、現像ローラ13の両端には、リング状のスペーサコロ21が取り付けられる。スペーサコロ21が感光体ドラム7と接触することで、現像ローラ13は感光体ドラム7に対向する。この際、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸とが実質平行な状態となるようプロセスカートリッジBは設計されている。またスペーサコロ21は現像ローラ13に対して半径が大きく設定されており、現像ローラの半径との差だけ、感光体ドラム7表面と現像ローラ13表面の間に隙間が生じる。すなわちスペーサコロ21は感光体ドラム7と接触し、感光体ドラム7の表面と現像ローラ13の表面の間隔を一定に保つ間隔保持部材である。
【0033】
次に現像ユニットuを感光体ユニットvに付勢するための加圧構成について、図5、6を用いて説明する。図5はプロセスカートリッジBの駆動側の加圧構成を示す。現像ユニットuと感光体ユニットvとの間には付勢部材である圧縮バネ22が設けられ、圧縮バネ22は、現像ユニットuと感光体ユニットvを押圧する。現像ユニットuは、圧縮バネ22が生じる押圧力によって、支持軸18aを中心とした矢印S方向の回転モーメントを受け、現像ローラ13を感光体ドラム7の方へ付勢する。
【0034】
図6はプロセスカートリッジBの非駆動側の加圧構成を示す。ここで、リンク部材20と感光体ユニットvとの間に圧縮バネ23が配置され、圧縮バネ23はリンク部材20と感光体ユニットvを押圧する。圧縮バネ23は、圧縮バネ22と同様、現像ローラ13を感光体ドラムに付勢するための付勢力を生じる付勢部材(第1付勢部材)である。リンク部材20は圧縮バネ23の押圧力によって、軸部20bを中心として矢印T方向の回転方向に力を受ける。ここでリンク部材20の丸穴部20aが現像ユニットuの軸部19aと嵌合しているため、現像ユニットuにリンク部材20を介して圧縮バネ23の付勢力が伝達され、現像ローラ13は感光体ドラム7の方向へと付勢される。リンク部材20に圧縮バネ23を取り付けることで、圧縮バネ23の付勢力を現像ユニットuが移動する方向に加えることができ、圧縮バネ23の付勢力を効率的に現像ローラ13まで伝えることができる。
【0035】
以上説明したように、プロセスカートリッジBの駆動側と非駆動側において、付勢部材である圧縮バネ22と、圧縮バネ23の力を用いて、現像ローラ13を感光体ドラム7に付勢している。現像ローラ13が感光体ドラム7に付勢されると、前述したスペーサコロ21(図3参照)が感光体ドラム7の両端部と接触し、現像ローラ13と感光体ドラム7の間隔を一定に保持する。
【0036】
なおここで、リンク部材20と結合する軸部19aは、現像ローラ13の回転軸と同軸上に設定されている。これは、現像ユニットuがリンク部材20に対して軸部19aを中心に回転した場合に、現像ローラ13が感光体ドラム7に対して、図中矢印P方向(図6参照)へ移動することを抑制するためである。ここで矢印P方向とは、感光体ドラム7の軸線方向に沿って見たとき(視線を軸線方向と平行にして見たとき)、感光体ドラム7の回転軸と現像ローラ13の回転軸を結んだ直線L1に対して垂直な方向である。
【0037】
本実施例では、現像ローラ13が軸部19aを中心にして回転しても矢印P方向に移動しないため、現像ローラ13の回転軸が感光体ドラム7の回転軸に対して移動しない。よって、現像ローラ13の回転軸と、感光体ドラム7の回転軸のアライメントを維持し、現像ローラ13と感光体ドラム7の間隔を一定に保つことができる。
【0038】
なお、リンク部材20の軸部20bと結合する感光体ユニットvの穴部11dの位置は感光体ドラム7の回転軸とは異なる位置に配置した。これは、現像ローラ13を感光体ドラム7に対して付勢するためには、現像ユニットuが感光体ユニットvに対して移動した時、感光体ドラム7に対して現像ローラ13が移動する必要があるからである。言い換えると現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸の距離が変化する必要がある。
【0039】
このためには、少なくとも、リンク部材20が現像ユニットuと結合する結合部が現像ローラ13と同軸でないか、もしくは、リンク部材が感光体ユニットvと結合する結合部が感光体ドラム7と同軸ではない必要がある。つまり、リンク部材20が現像ローラと同軸な位置から離れた位置にて現像ユニットuと結合する場合には、リンク部材20を感光体ドラム7と同軸に結合するように設けても良い。むろん、リンク部材20が現像ユニットuと結合する結合部を、現像ローラ13と同軸ではない位置に配し、かつ、リンク部材20が感光体ユニットvと結合する結合部を感光体ドラム7と同軸ではない位置に配しても良い。
【0040】
また、同様の理由により、プロセスカートリッジBの駆動側において、現像ユニットuを感光体ユニットvに結合する支持軸(軸部)18aと、この軸部18aと結合する穴部15aは、感光体ドラム7および現像ローラ13の回転軸と同軸ではない位置に配置する。
【0041】
ここで、リンク部材20が現像ユニットuと結合する結合部を、現像ローラ13と同軸に配置するに際して、リンク部材20を現像ローラ13の軸に直接に結合させてもよい。ただこの場合、現像ローラとリンク部材の摩擦によって、リンク部材に摩耗が生じたり、現像ローラの回転に影響が生じる可能性がある。そのためリンク部材の材料として摩耗しにくい材料や、なめらかな材料を採用したり、現像ローラとリンク部材の間に潤滑剤を設けるなどすると良い。
【0042】
一方、本実施例において、リンク部材20と結合する現像ユニットuの軸部19aは、電子画像形成装置Aが画像を形成する際に回転しない部分である。そのためリンク部材20の材料を特に限定したり、潤滑剤を用いなくとも、軸部19aと結合するリンク部材20の丸穴部20aに摩耗が生じることを抑制できる。よってリンク部材20は長期に渡り現像ユニットuと安定して結合できるので、感光体ドラム7に対する現像ローラ13の配置も安定して保つことができる。またリンク部材20と現像ユニットuの摩擦が、現像ローラ13の回転に影響を及ぼすことがない。この結果、感光体ドラム7に対して現像ローラ13の付勢力を安定して維持することができる。
【0043】
なお感光体ユニットvにリンク部材20を結合する際も、現像ユニットuの場合と同様、リンク部材20を感光体ユニットvにおいて、電子画像形成装置Aが駆動する際に回転しない部分に結合することで、リンク部材20の摩耗を抑制できる。このため本実施例では、リンク部材20をクリーニング枠体11に設けた穴部11dと結合した。
【0044】
次に図7、8を用いて、リンク部材20と感光体ユニットvおよび現像ユニットvの結合部および、リンク部材20の回転を規制する回動規制手段について詳細に説明する。図7はリンク部材20の断面図である。ここでリンク部材20には、現像ユニットuに対する抜け止め(移動規制部)となる爪形状部20dが設けられる。爪形状部20dはリンク部材20の組み付け時に弾性変形して軸受部材19の壁面19dと係合する。この爪形状部20dは、リンク部材20の移動を規制する移動規制部である。すなわち、リンク部材20がプロセスカートリッジBの長手方向外側に移動しようとした際には、爪形状部20dが現像ユニットuの壁面19dと干渉(接触)することで、リンク部材20が現像ユニットuから外れることを規制する。
【0045】
なお本実施例では、リンク部材20が現像ユニットuから外れるのを規制する移動規制部を、リンク部材20側に設けたが、現像ユニットu側に、リンク部材20の移動を規制する移動規制部を設けてもよい。すなわちリンク部材20もしくは現像ユニットuのいずれか一方に移動規制部を設けた上で、この移動規制部を、リンク部材20と現像ユニットuのいずれか他方と接触させるようにして、リンク部材20の移動を規制すればよい。
【0046】
上述したように、リンク部材20は現像ユニットuと結合する結合部として丸穴部20aを有し、感光体ユニットvと結合する結合部として軸部20bを有する。ここで、図6に示す矢印W方向に働く現像ユニットuの自重や、矢印U方向に働く圧縮バネ23の付勢力によって、リンク部材20には、図7の矢印I方向(プロセスカートリッジの長手方向と直交する方向)に、丸穴部20aと軸部20bを引っ張る力が働く。ここでプロセスカートリッジの長手方向と直交する方向に沿って見たとき、丸穴部20aと軸部20bの位置が離れていると、丸穴部20aと軸部20bが反対向きに引っ張られたときに、リンク部材20が移動してしまったり変形してしまう可能性がある。このとき、現像ローラ13の感光体ドラム7に対する付勢力が変動したり、リンク部材20が両ユニットから外れてしまう可能性がある。そのため、プロセスカートリッジBの長手方向と直交する方向に沿って見て、リンク部材20が現像ユニットuと結合する領域と、リンク部材20が感光体ユニットvと結合する領域には重なる領域Oがあるように、丸穴部20aと軸部20bは配置される。これにより、リンク部材20が現像ユニットuおよび感光体ユニットvに対して移動することや変形することを抑制する。以下に、詳しく説明する。
【0047】
図19に、比較例としてのプロセスカートリッジB2の断面図を示す。プロセスカートリッジB2の非駆動側において、リンク部材120が現像ユニットu2と感光体ユニットv2とにそれぞれ回動可能に結合している。すなわちリンク部材120の丸穴部120aと現像ユニットu2の軸部119aが結合し、リンク部材120の軸部120bと感光体ユニットv2の穴部111dが結合している。
【0048】
ここで図19(a)に示すように、比較例としてのプロセスカートリッジB2では長手方向において、丸穴部120aと軸部120bは距離dだけ離れて配置される。この場合、丸穴部120aが現像ユニットu2と結合する領域と軸部120bが感光体ユニットv2と結合する領域は、長手方向において重ならない。このとき、丸穴部120aと軸部120bが反対向きに、矢印S1と矢印S2で示す方向に引っ張られると、リンク部材120には、丸穴部120aを中心として、軸部120bが図19(b)の矢印V方向に移動する方向に、回転モーメントが生じる。この結果、図19(b)に示すように、リンク部材120の軸部120bが矢印V方向に移動したり、変形する可能性がある。リンク部材120が移動、変形すると、感光体ドラムに対する現像ローラ113の付勢力が変動したり、リンク部材120が両ユニットu2、v2から外れてしまう可能性がある。
【0049】
そのため、本実施例では図7に示すように、プロセスカートリッジBの長手方向と直交する方向(矢印I1方向)に沿って見て、リンク部材20が現像ユニットuと結合する領域と、感光体ユニットvと結合する領域とが領域Oにて重なるようにしている。これにより、リンク部材20の丸穴部20aと軸部20bが矢印I方向に引っ張られたときにも、リンク部材20に回転モーメントが生じることは抑制され、リンク部材20が移動、変形することは抑制される。このため、リンク部材20が感光体ユニットvに対して現像ユニットuの位置を精度よく決めることができ、感光体ドラム7に対する現像ローラ13の付勢力を安定して維持することができる。
【0050】
次に、図8(a)に、リンク部材20が現像ユニットuに対して組み付けられる状態を表す斜視図を示す。図8(a)で示すように、リンク部材20には、感光体ユニットvと結合する軸部20bが設けられた面と反対側に、突起状の回動規制部(以下、規制部と呼ぶ)20cが設けられる。さらに、現像ユニットuには被規制部として穴部10aが設けられる。規制部20cと穴部10aによって、リンク部材20に対する現像ユニットuの回動範囲を所定の範囲内に規制(制限)する回動規制手段を構成する。以下、規制部20cと穴部10aの構成と作用について詳細に説明する。
【0051】
リンク部材20が現像ユニットuに組み付けられた際に、規制部20cは現像容器10の穴部10aに挿入される。ここで現像容器10の穴部10aは、図8(b)の模式図で示すように、リンク部材20の規制部20cに対し、径が大きく設定され、穴部10aと規制部20cの間に隙間が設けられる。この隙間の範囲内において、リンク部材20は、丸穴部20aを中心に矢印H方向に回転可能となる。一方、リンク部材20が、穴部10aと規制部20cの間に設けられた隙間以上に回転しようとすると、規制部20cが穴部10aに接触し、リンク部材20の回転を規制する。
【0052】
プロセスカートリッジBの非駆動側において、現像ユニットuが軸部19aを中心としてリンク部材20に対して回転すると、駆動側において、現像ユニットuには支持軸18a(図5参照)を回動中心として回転しようとする力が加わる。ここで、プロセスカートリッジの長手方向に沿って見て、支持軸18aは、軸部19aとは異なる位置に配置されているので、駆動側において現像ユニットuが支持軸18aを中心に大きく回転すると、現像ユニットuの駆動側が非駆動側に対してねじれてしまう。これにより、現像ローラ13の感光体ドラム7に対する付勢力が長手方向の両端において不均一になる可能性がある。さらにはプロセスカートリッジBの変形や破損に繋がる可能性もある。そこで、現像ユニットuが軸部19aを中心としてリンク部材に対して所定角度を超えて回転しようとした際には、現像ユニットの穴部10aとリンク部材20の規制部20cを接触させることで、その回転を規制している。
【0053】
なお規制部20cは、リンク部材20の丸穴部20aからは遠い位置に配置されることが望ましい。これは、丸穴部20aを中心としてリンク部材20が図8(b)の矢印H方向に回転した際に、規制部20cが穴部10aと接触して受ける力は、丸穴部20aから離すほど、小さくなるためである。そこで本実施例の場合には、図7で示すように規制部20cは軸部20bと同軸に配置される。
【0054】
以上の構成によって、プロセスカートリッジの物流時などに現像ユニットuに外力が加わり、現像ユニットuがリンク部材20に対して回転しようとした際にも、規制部20cがこれを規制する。これにより現像ローラ13の感光体ドラム7に対する付勢力が安定化し、さらには、プロセスカートリッジの変形や破損を防ぐことができる。
【0055】
本実施例では、リンク部材20に対する現像ユニットuの回動範囲を規制する回動規制手段として、リンク部材20に突起状の規制部20cを設けて、現像ユニットuに設けた被規制部(穴部10a)と接触させた。しかし、リンク部材20の規制部を穴状にし、現像ユニットuの被規制部を突起状としても良い。また、現像ユニットuと、感光体ユニットvとに、規制部と被規制部を設けることで、リンク部材20に対する現像ユニットuの回動範囲を規制しても良い。すなわちリンク部材20に対して現像ユニットuが所定角度以上に回転した際には、現像ユニットuに設けた規制部を、感光体ユニットvに設けた被規制部に接触させて、現像ユニットuの回転を規制してもよい。
【0056】
(リンク部材の配置について)
まず初めに、プロセスカートリッジBを側面から見たとき(感光体ドラム7の軸線方向に沿って見たとき)の、リンク部材20の配置について図10、11を用いて説明する。
【0057】
図10はプロセスカートリッジBを感光体ドラム7の軸線方向に沿って見たときの側面図であり、駆動側の側面図となる。図10に現像ユニットuが感光体ユニットvに結合するための結合部である支持軸18aと、支持軸18aに結合される感光体ユニットvの穴部15aの配置を示す。前述のように現像ローラ13の回転駆動は、現像ローラ13の駆動側に設けられた現像ローラギア13aが、感光体ドラム7の駆動側に形成されたドラムギア7aによって駆動されることによって行われる。現像ローラギア13aがドラムギア7aから受ける駆動力によって、現像ユニットuには、現像ローラギア13aとドラムギア7aの圧力角方向に、ギアの噛み合い力Jが生じる。本実施例において、現像ユニットuの支持軸18aを、噛み合い力Jが生じる方向にのびる直線に対し、現像ローラ13の回転軸が位置する側とは反対側に配置している。これはギアの噛み合い力Jによって、現像ユニットuに矢印K方向に回転モーメントが生じる位置であって、この回転モーメントによって現像ローラ13は感光体ドラム7に対して付勢される。このため画像形成時にギアの噛み合い力Jによって現像ローラ13が感光体ドラム7から離隔してしまうことはない。
【0058】
次に、プロセスカートリッジBの非駆動側における、リンク部材20の配置について図11を用いて説明する。図11はプロセスカートリッジBを感光体ドラムの軸線方向に沿って見たときの側面図であって、非駆動側の側面となる。
【0059】
本実施例において、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を結んだ直線を直線L1(第1の直線)とし、リンク部材20の軸部20bの中心と現像ローラ13の回転軸を結んだ直線を直線L3(第3の直線)とする。なお、リンク部材20の軸部20bは、プロセスカートリッジBの非駆動側において、リンク部材20と感光体ユニットvを回動可能に結合する結合部である。そのため直線L3(第3の直線)は、感光体ユニットvに対するリンク部材20の回動中心と、現像ローラ13の回動軸を結んだ直線となる。
【0060】
ここで直線L1と直線L3がなす角度θ2が直角になるようにリンク部材20は配置される。これにより、圧縮バネ23によって、リンク部材20が軸部20bを中心として矢印T方向に回転した場合に、圧縮バネ23の付勢力が、現像ローラ13を感光体ドラム7に対して付勢する方向(矢印M方向)に効率的に作用する。
【0061】
また、図11で示したように角度θ2を直角に配置できない場合であっても、以下に示す関係を満たすように配置することが好ましい。図10で示すように、駆動側における、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの回動中心(支持軸18a)と現像ローラ13の回転軸を結んだ直線を直線L2(第2の直線)とする。この直線L2と、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を結んだ直線L1とがなす角度をθ1(図10参照)とする。ここで前述の角度θ2が、角度θ1よりも直角に近い値となると良い。
【0062】
このような関係を満たすことによって、現像ユニットuが感光体ユニットvと直接結合しない非駆動側においても、圧縮バネ23の付勢力を現像ローラ13が感光体ドラム7を付勢する方向(M方向)へ、効率的に伝達することができる。
【0063】
なお、前述したように、プロセスカートリッジBの駆動側において、現像ユニットuの支持軸18aは、噛み合い力J(図10参照)が生じる方向に延びる直線に対して、現像ローラ13の回転軸が位置する側とは反対側に配置される必要がある。そのため、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を結んだ直線L1と、現像ユニットuが感光体ユニットvと結合する支持軸18aと現像ローラ13の回転軸を結んだ直線L2がなす角度θ1を90°に近づけることが難しい。
【0064】
一方、プロセスカートリッジBの長手方向において、リンク部材20は、現像ローラギア13a及びドラムギア7aが位置する側とは反対側に設けられているので、噛み合い力Jの影響を受けにくい。そのため、リンク部材20の配置に際して、前述の噛み合い力J(図10参照)の影響を考える必要がない。よってθ2を90°に近い値として、現像ローラ13に付勢力が効率的に伝達可能な位置にリンク部材20を配置することができる。
【0065】
さらに本実施例では、プロセスカートリッジBの長手方向(感光体ドラム7の軸線方向)に沿って見たとき、図10に示すように、プロセスカートリッジBの駆動側において、現像容器10の支持軸18aと現像ローラ13の回転軸は距離αだけ離れている。これに対して、図11に示すように、非駆動側においてリンク部材の軸部20bと現像ローラ13の回転軸とは距離βだけ離れている。
【0066】
ここで本実施例では距離αに対して距離βの方が短くなるように構成した。即ちβ<αが成り立つ。これによってリンク部材20および、プロセスカートリッジBを小型化することができる。またリンク部材20を小型化することによって、リンク部材20に力が加わった際にリンク部材20がたわむ度合いが小さくなる。これによりリンク部材20は、感光体ユニットvに対する現像ユニットvの位置を精度よく保つことができる。
【0067】
次に、プロセスカートリッジBの長手方向と直交する方向に沿って見た場合において、リンク部材20および圧縮バネ23の配置について図6、12、13を用いて説明する。
【0068】
図12は、プロセスカートリッジBの非駆動側における正面図である。ここでリンク部材20および、圧縮バネ23(図6参照)は、感光体ユニットvの側面部11eより、長手方向において内側に配置され、感光体ユニットの側面部11eから突出しない。図3で示すように、通常、感光体ドラム7は現像ローラ13よりも長手方向に全長が長く設定されるので、感光体ユニットvも現像ユニットuよりも長手方向に全長が長い。ここで、長手方向において、リンク部材20を、感光体ユニットvの側面と現像ユニットvの側面の間に配置することでリンク部材20と圧縮バネ23を感光体ユニットvの側面部11e(図12)から突出させることなく配置することができる。これにより、プロセスカートリッジBの長手方向での小型化が可能である。
【0069】
図13にプロセスカートリッジBを装置本体A1へ装着する状態を表す概略図を示す。プロセスカートリッジBは、感光体ユニットvの側面部11eから突出させた2つの位置決め部11fが、本体ガイド38の溝38aによってガイドされ、矢印Q方向に装着される。プロセスカートリッジBの長手方向にリンク部材20、圧縮バネ23が突出しないようにすることで、装置本体A1の小型化も可能となる。
【0070】
(片あたりの抑制について)
本実施例の現像ユニットuは、非駆動側において、感光体ユニットvとリンク部材20を介して結合し、駆動側において、感光体ユニットvと現像ユニットuに設けた支持軸18aによって回動可能に結合する。これにより現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸のアライメントが設計時に狙った関係からずれた場合であっても、現像ローラ13が感光体ドラム7に対して片あたりすることを抑制することができる。
【0071】
その理由として第一に、リンク部材20が、現像ユニットuおよび感光体ユニットvの両ユニットに対してそれぞれ回動可能に構成されるため、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの移動の自由度が大きくなることが挙げられる。感光体ドラム7の回転軸と現像ローラ13の回転軸のアライメントがずれた場合でも、スペーサコロ21を介して現像ローラ13の両端部を感光体ドラム7に接触させる方向に、現像ユニットuが感光体ユニットvに対して移動することができる。
【0072】
現像ローラ13の感光体ドラムに対する片あたりを抑制する第二の理由としては、現像ユニットuがリンク部材20に対して、現像ローラの軸線方向と交差する方向(図9の上下方向)に傾くことが挙げられる。本実施例において、現像ユニットuの軸部19aと、リンク部材20の丸穴部20aを回転可能に結合するため、丸穴部20aと軸部19aの嵌合は隙間ばめとなっており、丸穴部20aと軸部19aの間にはおよそ10〜80μm程度の微小な隙間が生じる。この軸部19aと丸穴部20aとの嵌合の状態を図9に模式図として示した。例えば、リンク部材20の丸穴部20aと現像ユニットuの軸部19aとの間に、a=13μmの隙間があって、プロセスカートリッジBの長手方向において、丸穴部20aの嵌合幅がb=3mmである場合を考える。この場合、丸穴部20aと結合する軸部19aを、プロセスカートリッジの長手方向に仮想的に延長してなる仮想軸25は、リンク部材20に対して最大、c=0.25°の角度で傾くことができる。この最大角度c=0.25°で仮想軸25が傾いた場合、丸穴部20aから長手方向に距離d=230mm離れた位置において、仮想軸25は、図9の上下方向に距離e=1mm移動する。
【0073】
ここで、図9の上下方向とは、プロセスカートリッジBの長手方向と直交する方向、すなわち感光体ドラム7の径方向である。つまり現像ユニットuは、リンク部材20と結合する非駆動側に対して、駆動側が、感光体ドラムの径方向に移動することになる。
【0074】
逆に、現像ユニットの駆動側が、感光体ドラムの径方向において位置が決められていたとしても、現像ユニットuの非駆動側は、軸部19aがリンク部材20に対して傾くことで、感光体ドラムの径方向に移動することができる。
【0075】
プロセスカートリッジBの駆動側と非駆動側には、それぞれ圧縮バネ22と圧縮バネ23が設けられ、現像ローラ13の両端部を感光体ドラム7に付勢している。現像ユニットuの非駆動側が駆動側に対して移動可能であるため、現像ローラ13の両端部が感光体ドラム7と接触する方向に、現像ユニットuは移動する。これにより感光体ドラム7に対する現像ローラ13の片あたりを抑制することができる。
【0076】
(まとめ)
従来、現像ローラが感光体ドラムに対して片あたりして、現像ローラの両端部において感光体ドラムに対する接触圧がバランスを崩す場合があった。
【0077】
また、上記現像ローラの片あたりを矯正するために、あらかじめ付勢部材で現像ユニットや感光体ユニットを強い力で付勢する必要があった。このとき現像ローラや感光体ドラムを支持する支持部にも大きな負荷がかかるため、現像ローラや感光体ドラムを駆動させるために必要なトルクが増加する場合がある。また支持部が、高い負荷に耐えられるように、支持部に耐久性の高い材料を選定するなど、支持部の強度を高めるなどする必要があった。
【0078】
本実施例では、上記構成を取ることによって、現像ローラ13が感光体ドラム7に片あたりすることを抑制し、現像ユニットuの自重や圧縮バネ22,23の付勢力を現像ローラ13の両端部を通して感光体ドラム7に確実に伝えることができる。この結果、感光体ドラム7に対する現像ローラ13の付勢力が、現像ローラ13の両端でバランスを保ち安定する。
【0079】
また本実施例では現像ローラ13の片あたり状態を抑制するので、付勢部材である圧縮バネ22、23が現像ユニットuや、感光体ユニットv、リンク部材20を付勢する力を小さくすることができる。そのため現像ローラ13や感光体ドラム7およびこれらを支持する各ユニットの枠体に強い負荷が加わることが抑制され、プロセスカートリッジBの耐久性が向上する。また各ユニットに強い負荷が加わった結果、感光体ドラム7や現像ローラ13を駆動する為に必要なトルクが上昇することを抑制できる。
【0080】
さらには、プロセスカートリッジBの組み立て時に、感光体ドラム7に対する現像ローラ13の付勢力が適切か検査する工程を削減することができる。
【0081】
また、本実施例では、感光体ドラム7に対する現像ローラ13の片あたりを抑制する際に、現像ユニットuの全体が移動するので、現像ローラ13は現像ユニットuの枠体に対して移動しない。そのため現像ローラ13は現像ユニットuの枠体に固定された各部材に対して位置関係を保つことができる。例えば、現像ブレード14(図2参照)は現像容器10に固定され、現像ローラ13と接触するように配置される。電子写真画像形成装置Aが画像を形成する時に、この現像ブレード14と現像ローラ13の位置関係は固定されるので、現像ブレード14は現像ローラ13に担持される現像剤の量を安定的に規制することができる。
【0082】
また、本実施例では、電子写真画像形成装置Aの画像形成部として、リンク部材20および現像ユニットu、感光体ユニットvとが一体となって構成されるプロセスカートリッジBを採用した。そのため、ユーザーが現像ユニットuおよび感光体ユニットvを個別に装置本体A1に装着する必要はなく、またプロセスカートリッジBを装置本体A1に装着する際に、ユーザーがリンク部材20を現像ユニットuや感光体ユニットvに組み付ける必要もない。これによりユーザーが電子写真画像形成装置Aを扱う際の操作性を高めることができる。
【0083】
(別の実施形態)
なお本実施例では、プロセスカートリッジBは現像方式として、現像ローラ13の両端部にスペーサコロ21を設けて、現像ローラ13と感光体ドラム7の間に隙間を設ける非接触現像方式を採用した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。弾性体によって形成される現像ローラを感光体ドラムに付勢して接触させる接触現像方式の場合においても、本発明を適用することができる。
【0084】
図31は、接触現像方式のプロセスカートリッジに用いられる現像ローラと感光体ドラムの関係について示した模式図である。図31(a)で、現像ローラ130は、弾性部材(ゴム)からなるローラ部130aと、ローラ部130aが固定される金属軸からなる芯金部130bを有する。現像ローラ130は、不図示の軸受部材により、芯金130bの両端を現像ユニット内で回転可能に支持される。
【0085】
ローラ部130aの両端部には、芯金130bに対して回転可能にスペーサコロ21が取り付けられる。ここで、ローラ部130aはスペーサコロ21に対して、半径がγだけ大きくなるように設定される。
【0086】
図31(b)は、現像ローラ130が感光体ドラム7の方へ付勢された状態を示す。感光体ドラム7は、ローラ部130aとスペーサコロ21の両方に接触する。このとき、感光体ドラム7はスペーサコロ21と接触するまで、弾性ゴムで形成された現像ローラのローラ部130aを変形量γだけ変形させる。すなわち、接触現現像方式においては、スペーサーコロ21は、現像ローラ130が感光体ドラム7との接触の際に変形する変形量を一定に規制する変形量規制部材である。
【0087】
以上のような構成により、現像ローラのローラ部130aと感光体ドラム7を接触させ、ローラ部130aの表面に形成された現像剤層を、感光体ドラム7に転写する。現像ローラ130を感光体ドラム7へ付勢する付勢力が、感光体ドラム7がスペーサコロ21と接触するよう、十分に大きい値にされれば、ローラ部130aの感光体ドラム7への侵入量(ローラ部130aの変形量)γを安定的に維持することができる。
【0088】
本発明を適用することにより、接触現像方式においても、現像ローラが感光体ドラムに対して付勢される付勢力を安定化させ、付勢力が、感光体ドラムの軸線方向においてバランスを崩すことを抑えることができる。これにより現像ローラ130のローラ部130aの感光体ドラム7への侵入量(ローラ部130aの変形量γ)を維持し、電子写真画像形成装置は、良好な画像を形成することができる。
【0089】
<実施例2>
本発明を適用した他の実施例について、構成を説明する。図14は、本実施例におけるプロセスカートリッジBを、感光体ドラム7の軸線方向からみた側面図であって、非駆動側の側面図となる。ここで、本実施例が実施例1と異なるのは、現像ローラ13を感光体ドラム7に付勢する付勢部材(第2付勢部材)として、引っ張りバネ37を現像ユニットuと感光体ユニットvとの間に取り付けていることである。引っ張りバネ37は図中、矢印N方向に力を加え、感光体ユニットvに対して現像ユニットuを付勢し、現像ローラ13を感光体ドラム7に付勢する。
【0090】
ここで本実施例では、引っ張りばね37が力を加える矢印N方向に延ばした直線上に、現像ローラ13と感光体ドラム7が位置するように、引っ張りばね37を配置した。これは、引っ張りばね37がN方向に力を加えた際に、現像ユニットuが、リンク部材20との結合部である軸部19aを中心に回転することを抑制するためである。
【0091】
特に本実施例では、引っ張りばね37が力を加える方向(矢印N方向)に直線を延ばした時、この直線が現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を結ぶようにした。このときの引っ張りばね37の配置が、現像ユニットuが軸部19aまわりに回転することを抑制する上では、最も望ましい。むろん、矢印N方向に延びる直線が、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を通る必要は必ずしもなく、上記直線が、少なくとも現像ローラ13および感光体ドラム7に一部、重なっていれば上述の効果を奏する。
【0092】
なお、本実施例の構成によれば引っ張りバネ37の付勢力が、現像ローラ13が感光体ドラム7に付勢される方向に加わることから、現像ローラ13を感光体ドラム7に対して安定して付勢することも可能となる。
【0093】
<実施例3>
本発明を適用した他の実施例について構成を説明する。図15は、本実施例におけるプロセスカートリッジBの非駆動側の側面図である。ここで、本実施例が実施例1と異なるのは、まず、リンク部材20と結合する現像ユニットuの軸部19aを、現像ローラ13の回転軸と同軸に設定していないことである。
【0094】
近年、プロセスカートリッジBを小型化するために、現像ローラ13の径を小さくすることが求められている。ここで、実施例1において現像ローラ13の径を小さくしようとすると現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸の距離F(図3参照)が近づく。このとき、リンク部材20が、丸穴部20aの周辺部において、感光体ユニットvと干渉しないように、その形状を小さくする必要がある。
【0095】
本実施例では、感光体ドラム7の軸線方向に沿って見て、現像ユニットuがリンク部材20と結合する軸部19aの位置を、現像ローラ13の回転軸よりも、感光体ドラムの回転軸から遠い位置に移動させる。これによって、現像ローラ13を小型化したプロセスカートリッジBにおいて、丸穴部20aの周辺部が感光体ユニットvと干渉しにくくなる。よって現像ローラ13の径を小さくしても、丸穴部20aの周辺部の形状を小さくする必要がないので、リンク部材20の強度を保つことができる。リンク部材20は現像ローラ13を感光体ドラム7に安定して付勢できる。
【0096】
軸部19aの位置を、現像ローラ13の回転軸から離す距離は、現像ユニットuが軸部19aを中心に回転した時に、現像ローラ13が感光体ドラム7の半径方向に大きく動かない範囲で適宜設定する。本実施例では感光体ドラム7の軸線方向に沿って見て、軸部19aが、現像ローラ13と一部重なり、さらに軸部19aの中心が現像ローラ13の領域に含まれるようにした。
【0097】
さらに本実施例では、実施例1と異なる構成として、現像ユニットuを付勢する圧縮バネ27を、装置本体A1側に取り付けた。圧縮バネ27は装置本体A1の枠体28に取り付けられた本体側付勢部材であって、プロセスカートリッジBと接触する側にはチップ部材29が取り付けられる。そして、プロセスカートリッジBが装置本体A1に装着されるとともにチップ部材29が現像容器10に設けられた力受け部10gと接触することによって現像ユニットuを図中U方向に加圧する。これにより、リンク部材20および、リンク部材20と結合した現像ユニットuを、リンク部材20の軸部20bを中心として矢印T方向に回転させ、現像ローラ13を感光体ドラム7へと付勢する。
【0098】
さらに、圧縮バネ27が現像ユニットuを付勢する方向(図15の矢印Uで示す方向)に直線を延ばしたとき、この直線上に現像ローラ13と感光体ドラム7が位置するように、圧縮バネ27を配置した。このように圧縮バネ27を配置することで、圧縮バネ27の力が、現像ローラ13が感光体ドラム7を付勢する方向に効率的に伝わるので好ましい。
【0099】
また、このとき圧縮バネ27の力が、現像ユニットuをリンク部材20に対して回転させる方向に作用しにくい。これにより、現像ユニットuが変形したり、現像ローラ13と感光体ドラム7にアライメントずれが生じることを抑制できる。これにより現像ローラ13を感光体ドラム7に対して安定して付勢することが可能である。
【0100】
特に本実施例では、圧縮バネ27が力を加える方向(矢印U方向)に延ばした直線が、現像ローラ13の回転軸と感光体ドラム7の回転軸を結ぶように、圧縮バネ27を配置した。このとき圧縮バネ27の付勢力をプロセスカートリッジBに最も効率的に伝達できる。
【0101】
なお、画像形成装置の装置本体A1に圧縮バネ27を設ける代わりに、本実施例におけるプロセスカートリッジBに、実施例1で記載した圧縮バネ22、23や、実施例2で記載した引っ張りばね37と同様な部材を設けても良いのは勿論である。
【0102】
<実施例4>
本発明を適用した他の実施例について、構成を説明する。図16は、本実施例におけるプロセスカートリッジBの非駆動側の側面図である。実施例1では、圧縮バネ22、23を用いて、現像ローラ13を感光体ドラム7の方向へ付勢していた。一方、本実施例では圧縮バネ22、23による付勢力の代わりに、現像ユニットuの重量Wによって、現像ユニットuが現像ローラ13を感光体ドラム7に付勢することを特徴とする。本実施例では、重量Wによって、現像ユニットuが軸部20bを中心として、現像ローラ13を感光体ドラム7へ付勢する向き(矢印T方向)に回転するよう、プロセスカートリッジBを装置本体A1内で配置させる。
【0103】
現像ユニットuの重量Wが十分大きいとき、以上のような構成をとれば、バネ等の付勢部材を設けなくとも現像ローラ13を感光体ドラム7に対して安定して付勢することが可能である。
【0104】
<実施例5>
本発明を適用した他の実施例について、構成を説明する。図17は、本実施例におけるリンク部材20の結合部の断面図を示す。ここでは、リンク部材20には軸部材としての結合ピン36が設けられ、リンク部材20は、結合ピン36を介して感光体ユニットvと回動可能に結合する。結合ピン36は、現像ユニットuの軸受部材19に設けられた穴部19eと、リンク部材20に設けられた穴部20eを貫通する。さらに結合ピン36は、感光体ユニットvに設けられた2ヶ所の穴部11g、11hに挿入され、リンク部材20を感光体ユニットvに対して固定する。
【0105】
また、実施例1と同様に、リンク部材は穴部20aを有し、この穴部20aに現像ユニットuに設けられた軸部19aは回動可能に結合する。
【0106】
ここで、現像ユニットuの穴部19eは結合ピン36に対して径を大きくしてあり、穴部19eと結合ピン36の間には隙間が設けられる。そのため、実施例1と同様、この隙間の範囲内において、現像ユニットuは軸部19aを中心に回転する。現像ユニットの穴部19eに挿入された結合ピン36は、実施例1で記載した回動規制部20c(図8参照)と同様、現像ユニットuがリンク部材20に対して所定角度以上に回転することを規制している。すなわち、現像ユニットuが軸部19a回りに所定角度を超えて回転した場合には、結合ピン36が、現像ユニットuの軸部19aと接触することで、現像ユニットuの回転を規制する。
【0107】
本実施例によれば、リンク部材20に結合ピン36を嵌合させることによって、リンク部材20を感光体ユニットvに結合させ、さらにリンク部材20に回動規制部を形成することが可能になる。また結合ピン36が、リンク部材20と感光体ユニットvを結合する結合部と、現像ユニットuの回動を規制する回動規制部を兼ね、結合部と回動規制部を一体的に形成することができる。
【0108】
<実施例6>
本発明を適用した他の実施例について、構成を説明する。図18は、本実施例におけるリンク部材20の結合部の断面図を示す。本実施例では、リンク部材20は現像ユニットuに対して、現像ローラ13の内部に設けられたマグネットローラ35に結合することを特徴とする。
【0109】
マグネットローラ35は現像ユニットuに対して、駆動側では、実施例1と同様に現像ローラ13に設けられた丸穴部13c(図3(a)参照)に支持される。一方、非駆動側では、軸受部材19に設けられた丸穴部19fによって支持される。以上のように、マグネットローラ35は丸穴部13c、19fに回転可能に支持される。そして、プロセスカートリッジBの非駆動側にて、マグネットローラ35はD型の断面形状を持つリンク部材20の穴部20fに固定されて支持される。すなわち、マグネットローラ35はその一端側を現像ユニットuの枠体に回転可能に支持され、その他端側をリンク部材20に対して固定されることになる。
【0110】
本実施例によれば、現像ユニットuとリンク部材20の結合と、マグネットローラ35の組み付けを同時に行うことができる。
【0111】
なお、マグネットローラ35を現像容器10に固定した上で、リンク部材20をマグネットローラ35に対して回転可能に結合するようにしてもよい。どちらにせよ、マグネットローラ35は電子写真画像形成装置Aが画像を形成する際に、回転駆動する部材ではないのでリンク部材20と結合しても、リンク部材20を摩耗させることを抑制できる。よってリンク部材20はプロセスカートリッジBが寿命に達するまで、感光体ドラム7に対して現像ローラ13の位置を保つことができる。
【0112】
マグネットローラ35に限らず、現像ユニットuにおいて、電子写真画像形成装置Aの画像形成時に、現像ローラ13の回転と連動して回転することの無い部分であれば、リンク部材20と安定して結合することが可能である。
<実施例7>
本特許の他の実施例について、構成を説明する。図20は本実施例におけるプロセスカートリッジBの断面図を示す。本実施例では、前述の実施例とは異なり、プロセスカートリッジBの下面を用紙が矢印Z方向に通過して、感光体ドラム7から用紙に像が転写される。また、プロセスカートリッジBを感光体ドラム7の軸線方向に見て、現像ユニットuと感光体ユニットvとは、感光体ドラム7を挟んで左右両側に配置される。そして、不図示の光学系から感光体ドラム7の上面へ、現像ユニットuと感光体ユニットvの間の露光開口部9bを通って感光体ドラム7にレーザー光が照射される。このレーザー光によって感光体ドラム7に静電潜像が形成される。なお、前述の実施例と同様の機能をもつ部材については、本実施例でも同じ番号を付けて説明する。
【0113】
本実施例の感光体ユニットvと現像ユニットuとの結合構成(連結構成)について、図21を用いて説明する。図21は、感光体ユニットvと現像ユニットuを非駆動側から見た斜視図である。図22は、図21を感光体ユニットvと現像ユニットuを駆動側から見た斜視図である。
【0114】
図22に示すように、感光体ドラム7の軸線方向においてプロセスカートリッジBの一端側には、装置本体A1から感光体ドラム7に駆動力を伝達する継手形状部7bが設けられる。本実施例においても、感光体ドラム7の軸線方向におけるプロセスカートリッジBの両端側のうち、この継手形状部7bがある側を駆動側と称する。また、プロセスカートリッジの両端側のうち、継手形状部7bがない側を、非駆動側とよぶ。
【0115】
感光体ドラム7の回転駆動は、前述の実施例と同様に、感光体ドラム7の駆動側に設けられた継手形状部7bが装置本体A1側に設けられた駆動入力継手(不図示)と係合して、駆動力が伝達されることで行われる。現像ローラ13の回転駆動は感光体ドラム7の駆動側に設けられたドラムギア7aと、現像ローラ13の駆動側に設けられた現像ローラギア13aとが係合し、感光体ドラム7から現像ローラ13に駆動力が伝達されることで行われる。また、現像ローラ13の両端には、前述の実施例と同様の機能を有するスペーサコロ(間隔保持部材)21が設けられる。
【0116】
図22に示すようにプロセスカートリッジBの駆動側において、現像ユニットuは感光体ユニットvに対して結合ピン39によって回動可能に結合される。駆動側の結合ピン39は、感光体ユニットvのクリーニング枠体11に設けられた穴部11jと、現像ユニットuのカバー部材40に設けられた穴部40aに嵌合する。
【0117】
一方、図21に示す非駆動側においては、感光体ユニットvに対して、リンク部材20が結合ピン36によって回動可能に結合される。非駆動側の結合ピン36は、クリーニング枠体の穴部11hと、リンク部材の穴部20eに嵌合する。またリンク部材20はその穴部20aを現像ユニットuと係合させることによって、現像ユニットuと回転可能に結合する。
【0118】
以下、現像ユニットuとリンク部材20の係合構成について、図23、図24を用いて詳細に説明する。図23は、リンク部材20の現像ユニットuへの取り付け方法を示す斜視図である。図24は、現像ユニットuをリンク部材20が設けられた非駆動側から見た側面図である。
【0119】
図23で示すように、現像ユニットuには、現像容器10に固定された軸受部材41が設けられる。現像容器10と軸受部材41は現像ユニットuの枠体を構成する。軸受部材41は現像ローラ13の一端を回転自在に支持する。また、軸受部材41にはリンク部材20の穴部20aと嵌合する軸部41aと、リンク部材20の移動を規制するための規制部41bが設けられる。
【0120】
規制部41bには鉤形部41bbが形成され、さらに鉤形部41bbと、軸受部材41の壁面41cとの間には溝部41baが形成される。リンク部材20には、前記軸部41aと嵌合する穴部20aと、前記鉤形部41bbが挿入される規制穴部20gが設けられる。また、規制穴部20gの一部の箇所に、規制壁20hが形成される。
【0121】
図24(a)は、図23においてリンク部材20を矢印Xの方向に移動させ、軸受部材41の軸部41aとリンク部材20の穴部20aとを嵌合させ、さらに鉤形部41bbを穴部20gに挿入した状態を示す。リンク部材20は軸受部材41の軸部41aに穴部20aを中心に回動可能に嵌合される。図24(b)は図24(a)に対して、リンク部材20が前記穴部20aを中心として矢印G方向に回転した状態を示す。図24(b)で、リンク部材20の規制壁20hは、軸受部材41に設けられた規制部41bの溝部41ba(図23)に入り込む。このとき、リンク部材20の規制壁20hと、規制部41bの鉤形部41bbとによって、リンク部材20は軸部41aに対して図23におけるX方向の逆方向への移動が規制される。すなわち、リンク部材20の規制壁20hと、現像ユニットuの鉤形部41bbは、お互いが接触することで、リンク部材20がプロセスカートリッジBの長手方向外側に移動することを規制する移動規制部である。
【0122】
(プロセスカートリッジの組立工程)
以下、本実施例におけるプロセスカートリッジBを例にプロセスカートリッジの組立工程について図21から図24を用いて説明する。プロセスカートリッジBの組立の際は、まず前述したように現像ユニットuにリンク部材20を取り付ける現像側リンク取付工程を行う。すなわち、図23に示すように現像ユニットuの軸部41aをリンク部材20の穴部20aに嵌合し、かつ、現像ユニットuの鉤形部41bbをリンク部材20の穴部20gに挿入する。
【0123】
この現像側リンク取付工程の後に、現像ユニットuを感光体ユニットvに結合するユニット結合工程、および、リンク部材20を感光体ユニットvに結合する感光体側リンク取付工程を行う。すなわち、ユニット結合工程においては、図22に示すようにプロセスカートリッジの駆動側において結合ピン39を現像ユニットuの穴部40aと、感光体ユニットvの穴部11jに挿入し、現像ユニットuと感光体ユニットvを結合する。
【0124】
感光体側リンク取付工程においては、図21に示すように、プロセスカートリッジBの非駆動側において、結合ピン36をリンク部材20の穴部20eと感光体ユニットvの穴部11hに挿入し、リンク部材20と感光体ユニットvを結合する。
【0125】
さらに本実施例では、現像側リンク取付工程、ユニット結合工程、感光体側リンク取付工程にわたる各工程の最中、ならびに、ある工程から次の工程に移る間に、リンク部材20が現像ユニットuから外れることを防止する施策を設けた。これによりプロセスカートリッジBの組立作業が容易となる。以下、この施策(方法)について図24を用いて説明する。
【0126】
リンク部材20の重心は、図24において、リンク部材の穴部20aよりも左側にある。ここで穴部20aは、現像ユニットuに対するリンク部材20の回動中心のため、リンク部材20はその自重によって常に、図24に示す矢印G方向に回転しようとする。すなわち、リンク部材20は、図24(b)に示すように規制穴部20gの壁面20iが、現像ユニットuに設けられた規制部41bの鉤形部41bbと接触するまで矢印G方向に回転することになる。リンク部材20の壁面20iが、現像ユニットuの鉤形部41bbに接触することで、リンク部材20はその回転が止まった状態(回転規制状態)となる。
【0127】
本実施例では、プロセスカートリッジBの組立の時には、現像ユニットuの姿勢を所定の状態に保ち、リンク部材20が自身の自重によって、図24(b)に示す回転規制状態をとるようにしてある。
【0128】
ここでリンク部材20が図24(b)に示す回転規制状態をとるとき、前述のように、リンク部材20がプロセスカートリッジBの長手方向に移動することを規制することができる。すなわち、リンク部材20が回転規制状態をとるとき、図24(b)に示すように、リンク部材の規制壁20hと現像ユニットu(軸受部材41)の鉤形部41bbは、プロセスカートリッジBの長手方向(感光体ドラム7の軸線方向)に沿って見て重なる位置にある。そのためリンク部材20が上記長手方向に動かされた際には、現像ユニットuの鉤形部41bbとリンク部材20の規制壁20hが接触することで、リンク部材20の移動が規制される。つまりリンク部材20が現像ユニットuから外れるのが規制される。
【0129】
以上のように、プロセスカートリッジBの組立工程時に現像ユニットuの姿勢を所定の姿勢に保つことで、リンク部材20は、その自重によって回転規制部(壁面20i)と移動規制部(規制壁20h)が機能する位置まで回転する。この状態では、リンク部材20が現像ユニットuからの外れるのが抑制される。これにより、プロセスカートリッジBの作業時に、リンク部材20を固定するなどの作業を省くことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0130】
なお、本実施例では、現像側リンク取付工程、ユニット結合工程、感光体側リンク取付工程の全てにおいて、現像ユニットuの姿勢を所定の姿勢に保ち、リンク部材20が回転規制状態(図24(b)参照)となるようにした。しかし、上記各工程の一部において、現像ユニットuの姿勢を所定の姿勢に保つようにしてもよい。
【0131】
(移動規制手段)
次に、リンク部材20の移動、および回転を規制する手段の構成と作用について、図28を用いてより詳細に説明する。図28は、プロセスカートリッジBの非駆動側での側面図である。
【0132】
本実施例では現像ユニットuに設けた鉤形部41bbと、リンク部材20に設けた壁面20iからなる回動規制手段によって、リンク部材20に対する現像ユニットuの回転量を所定の範囲内に規制している。すなわち、リンク部材20に対して現像ユニットuが所定の角度を超えて回転しようとすると、規制部としての壁面20iが、被規制部としての鉤形部41bbに接触することで、その回転が規制される。この結果、前述の実施例同様に、現像ユニットuの非駆動側が駆動側に対してねじれてしまうことを抑制することができる。
【0133】
また本実施例では、上記の回動規制手段が、現像ユニットuの回動を規制するだけでなく、リンク部材20の取り外れを防止する作用を発揮する。すなわち回動規制手段を構成する現像ユニットuの鉤形部41bbは、リンク部材20が感光体ドラム7の軸線方向に移動した際、リンク部材20に設けられた規制壁20hと接触する。これによりリンク部材20の移動が規制されるので、リンク部材20が現像ユニットuから外れるのを防止することができる。ここで規制壁20hとは、壁面20iに隣接し、壁面20iとほぼ直交する壁面である。
【0134】
すなわち、本実施例では、現像ユニットuに設けた鉤形部41bbを用いて、リンク部材20に対する現像ユニットuの回転を規制し、かつ、リンク部材20がプロセスカートリッジBの長手方向外側に移動することを規制する。言い換えると、現像ユニットuの回転を規制する回動規制手段(本実施例では被規制部としての鉤形部41bb)が、リンク部材20の移動を規制する移動規制部を兼ねた構成になっている。これにより回動規制手段と、移動規制部をプロセスカートリッジBに設ける為に必要なスペースを小さくすることができ、プロセスカートリッジBの小型化を図ることができる。
【0135】
(現像ユニット加圧構成)
次に、現像ユニットuの加圧構成について、図25〜図28を用いて説明する。図25、図27は、プロセスカートリッジBを駆動側から見た側面図である。図26、図28は、プロセスカートリッジBを非駆動側から見た側面図である。なお図25、図26は、説明の都合により、図27、図28に対して、感光体ユニットuの枠体(クリーニング枠体11)の一部を切り欠いた状態を示している。
【0136】
図25に示すように、プロセスカートリッジBの駆動側には、現像ユニットuと感光体ユニットvとの間に、圧縮バネ22が配置される。圧縮バネ22は、現像ユニットuに設けられたカバー部材40と、感光体ユニットvのクリーニング枠体11とに接触する。圧縮バネ22の加圧力によって、現像ユニットuの回動中心である結合ピン39を中心として矢印S方向に現像ユニットuが回転し、現像ユニットuは現像ローラ13を感光体ドラム7へ加圧する。
【0137】
一方、非駆動側では図26で示すように、圧縮バネ23はリンク部材20と感光体ユニットvのクリーニング枠体11とに接触するように設けられている。圧縮バネ23がリンク部材20に力を加えると、リンク部材20には回動中心である結合ピン36を中心として矢印T方向への力が働く。そして、現像ユニットuには、リンク部材20を介して、リンク部材20と係合した軸部41aにこの力が伝達され、現像ローラ13を感光体ドラム7に向けて加圧する。
【0138】
図27、図28を用いて、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの回動中心である結合ピン39と、感光体ユニットvに対するリンク部材20の回動中心である結合ピン36の配置について説明する。
【0139】
図27で、感光体ドラムvの回転軸と現像ローラ13の回転軸を結んだ線と、結合ピン39の中心と現像ローラ13の回転軸を結んだ線とは、角度θ1の傾きを持つ。
【0140】
これは前述の実施例と同様に、現像ローラ13の一端に設けられた現像ローラギア13aに働く、ギアの噛み合い力Jの延長線よりも、結合ピン39の位置を現像ローラ13の回転軸に対して反対側に配置しているためである。これによって、ギアの噛み合い力Jの力が、現像ユニットuに加わった際に、この力が現像ローラ13を感光体ドラム7に向かわせる方向(矢印K方向)に作用する。すなわちギアの噛み合い力Jによって現像ローラ13が感光体ドラム7から離隔することはない。
【0141】
次に、非駆動側での結合ピン36の配置について図28を用いて説明する。ここで、感光体ドラム7の回転軸と現像ローラ13の回転軸を結んだ線と、感光体ユニットvに対するリンク部材20の回動中心である結合ピン36中心と現像ローラ13の回転軸を結んだ線とのなす角度θ2とする。本実施例ではθ2が、θ1よりも直角に近くなるよう設定されている。これにより、圧縮バネ23(図26参照)によって、現像ユニットuおよびリンク部材20に、矢印M2方向へ力が加わった際、この矢印M2方向の力を、現像ローラ13を感光体ドラム7へ付勢する方向へより効率的に働かせることができる。なお、ここで矢印M2方向の力は、リンク部材20を、結合ピン36を中心に回転させる力である。
【0142】
次に、本実施例でのリンク部材20と現像ユニットuとの嵌合部(結合部)の配置について述べる。図28で、現像ローラ13に働く、感光体ドラム7からの反力をF1とする。ここで、現像ユニットuとリンク部材20の結合部である、軸部41aおよび穴部20aは、感光体ドラム7の回転軸と現像ローラ13の回転軸を結んだ線L1の延長線上と重なる位置にある。そのため反力F1によって、現像ユニットuに、回動中心(軸部41a中心)まわりのモーメントR1が働くのを抑えることができる。言い換えると現像ユニットuに反力F1が加わった際に、現像ユニットuがリンク部材20に対して回転することを抑え、現像ユニットuの姿勢を安定化することができる。
【0143】
特に本実施例では、現像ユニットuの姿勢が最も安定する配置として、反力F1の延長線が、軸部41aおよび穴部20aの中心を通るように設計した。しかし、反力F1の延長線が、軸部41aと穴部20aのどこかに重なれば上述の効果を奏する。すなわち、プロセスカートリッジBをその長手方向に沿って見たとき、現像ユニットuに対するリンク部材20の結合部(穴部20a)が、感光体ドラム7の回転軸と現像ローラ13の回転軸を通る直線と重なる位置にあれば効果を奏する。
【0144】
また図28において、リンク部材20と現像ユニットuとの嵌合部(結合部)である軸部41aと穴部20aは、現像ユニットuが画像形成時の姿勢で設置された際の、現像ユニットuの重心付近に配置される。これにより、現像ユニットuの重量が大きい場合にでも、現像ユニットuの自重により現像ユニットuが回動中心(軸部41aの中心)まわりのモーメントR1が働くのを抑え、現像ユニットuのリンク部材20に対する姿勢を安定化させることができる。
【0145】
(リンク部材配置)
次に、図29、図30を用いて、プロセスカートリッジBの長手方向におけるリンク部材の配置について説明する。図29は、プロセスカートリッジBを、リンク部材20の2つの回動中心を結ぶ線Y(軸部41aの中心と結合ピン36の中心を結ぶ線:図28参照)で切り取った断面図である。
【0146】
ここで、リンク部材20の穴部20eと結合ピン36との嵌合部B1と、リンク部材20の穴部20aと現像ユニットuの軸部41aとの嵌合部B2とは、長手方向に重なる領域Oがあるように配置される。すなわち、図29に示すように、長手方向と直交する矢印I2方向に沿って見て、リンク部材20が感光体ユニットvと結合する領域(嵌合部B1)と、リンク部材20が現像ユニットuと結合する領域(嵌合部B2)はその位置が領域Oにおいて重なる。
【0147】
これにより、リンク部材20が2つの嵌合部B1,B2によって引っ張られ、リンク部材20に、プロセスカートリッジBの長手方向と直交する方向の力Iが加わった場合でも、リンク部材20が現像ユニットuや感光体ユニットに対して傾くことが抑制できる。
【0148】
一方、図30は、プロセスカートリッジBを、リンク部材20の穴部20a中心と、現像ローラ13の回転軸中心を結んだ直線L1で(図28参照)で切り取った断面図である。ここで、軸受部材41には現像ローラ13と嵌合する軸部41dが形成され、現像ローラ13には前記軸部41dと嵌合する穴部13bが形成される。そして、この軸部41dと穴部13bの嵌合部B3と、リンク部材20の穴部20aと現像ユニットuの軸部41aとの嵌合部B2とは、長手方向に重なる領域O2があるように配置される。
【0149】
すなわち、現像ユニットuの枠体(軸受部材41)に支持される現像ローラ13の被支持部(嵌合部B3)と、現像ユニットuとリンク部材20が結合する領域(B2)は長手方向と直交する矢印I3方向に沿って見て、その位置が少なくとも一部重なる。
【0150】
これにより、リンク部材20の現像ユニットuに対する嵌合部は、現像ローラ13の支持部に対して、長手方向外側に突出することが無い。このため、プロセスカートリッジBの長手方向の小型化を行うことができる。
【符号の説明】
【0151】
A 電子写真画像形成装置
A1 装置本体
B プロセスカートリッジ
7 感光体ドラム
13 現像ローラ
18a 支持軸
20 リンク部材
u 現像ユニット
v 感光体ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
感光体ドラムを有する感光体ユニットと、
前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像ローラを有する現像ユニットであって、前記感光体ドラムの軸線方向における前記プロセスカートリッジの一端側で、前記感光体ユニットに対して、ひとつの回動中心のみで回動するように結合する現像ユニットと、
前記軸線方向において前記プロセスカートリッジの他端側に設けられ、前記感光体ユニットと前記現像ユニットとに対してそれぞれ回動可能に結合して、前記現像ローラを前記感光体ドラムに対して移動可能にするリンク部材と、を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記リンク部材に対する前記現像ユニットの回動範囲を規制する回動規制手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記回動規制手段は、前記リンク部材に設けられた規制部と、前記現像ユニットに設けられた被規制部を有し、前記リンク部材に対して前記現像ユニットが所定の角度を超えて回動した際には、前記規制部と前記被規制部が接触することで、前記現像ユニットの回動が規制されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記リンク部材と前記現像ユニットの何れか一方に設けられ、何れか他方と接触することで、前記リンク部材が前記軸線方向の外側に移動するのを規制する移動規制部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
少なくとも前記規制部と前記被規制部の何れか一方は、前記リンク部材が前記軸線方向の外側に移動するのを規制する移動規制部を兼ねることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記感光体ユニットと前記リンク部材を結合する結合部と、前記規制部は、一体の軸部材で形成されることを特徴とする請求項3又は5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記感光体ユニットと前記リンク部材とに接触することで、前記現像ローラを前記感光体ドラムへ付勢する第1付勢部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記リンク部材と結合する前記感光体ユニットの被結合部および、前記リンク部材と結合する前記現像ユニットの被結合部は、前記電子写真画像形成装置が画像を形成する際に、回転駆動しない部分であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記感光体ユニットは、前記感光体ドラムの両端を回動可能に支持する第一枠体を有し、
前記現像ユニットは、前記現像ローラの両端を回動可能に支持する第二枠体を有し、
前記リンク部材は前記第一枠体と前記第二枠体とにそれぞれ結合していることを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記感光体ドラムの軸線方向と直交する方向に沿って見たとき、前記リンク部材が前記感光体ユニットと結合する領域と、前記リンク部材が前記現像ユニットと結合する領域は、少なくとも一部重なることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記感光体ドラムの軸線方向と直交する方向に沿って見たとき、前記リンク部材が前記現像ユニットと結合する領域と、前記現像ローラが前記現像ユニットの内部にて支持される領域は、少なくとも一部重なることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、前記リンク部材と前記現像ユニットの結合部は、前記感光体ドラムの軸から前記現像ローラの軸に向けて延ばした直線の延長線上に位置することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項13】
前記一端側にて、前記感光体ドラムに設けられた第1ギアと、
前記一端側にて、前記現像ローラに設けられ、前記第1ギアと噛み合うことで、前記感光体ドラムから前記現像ローラに駆動力を伝える第2ギアと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、
前記現像ローラと前記感光体ドラムが回転する際に、前記第1ギアと前記第2ギアの噛み合いによって生じる力の方向に伸ばした直線に対して、前記一端側における、前記感光体ユニットに対する前記現像ユニットの回動中心は、前記現像ローラの軸が位置しない側にあることを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項15】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、
前記現像ローラの軸と前記感光体ドラムの軸を通る直線を第1の直線とし、前記一端側における、前記感光体ユニットに対する前記現像ユニットの回動中心と、前記現像ローラの軸を通る直線を第2の直線とし、前記感光体ユニットに対する前記リンク部材の回動中心と、前記現像ローラの軸を通る直線を第3の直線とし、かつ
前記第1の直線と前記第2の直線がなす角度をθ1とし、前記第1の直線と前記第3の直線がなす角度をθ2としたとき、
前記θ2の方が、前記θ1よりも直角に近い角度であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項16】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、
少なくとも、前記前記感光体ユニットに対する前記リンク部材の回動中心は前記感光体ドラムの回転軸と同軸ではないか、または、前記現像ユニットに対する前記リンク部材の回動中心は、前記現像ローラの軸と同軸ではない、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項17】
前記現像ローラに設けられ、前記感光体ドラムと接触することによって、前記現像ローラの表面と、前記感光体ドラムの表面の間に間隔を設ける間隔保持部材を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項18】
前記現像ローラは弾性部材によって形成され、
前記プロセスカートリッジは、前記現像ローラに設けられて、前記感光体ドラムと接触する変形量規制部材であって、前記現像ローラが前記感光体ドラムと接触した際に変形する変形量を規制する変形量規制部材を備えることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項19】
前記現像ローラを前記感光体ドラムへ付勢する第2付勢部材を備え、
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、前記第2付勢部材が力を加える方向に延ばした直線上に、前記現像ローラと前記感光体ドラムが位置することを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項20】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、前記感光体ユニットに対する前記リンク部材の回動中心と、前記現像ローラの軸までの距離は、前記一端側における、前記感光体ユニットに対する前記現像ユニットの回動中心から前記現像ローラの軸までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項21】
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を備えることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項22】
前記装置本体に設けられ、前記プロセスカートリッジに接触して、前記現像ローラを前記感光体ドラムに対して付勢する本体側付勢部材を備えることを特徴とする請求項21に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項23】
前記感光体ドラムの軸線方向に沿って見たとき、前記本体側付勢部材が力を加える方向に延ばした直線上に、前記現像ローラと前記感光体ドラムが位置することを特徴とする請求項22に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項24】
静電潜像が形成される感光体ドラムを有する感光体ユニットと、前記静電潜像を現像するための現像剤を担持する現像ローラを有する現像ユニットと、を備えるプロセスカートリッジの組立方法において、
前記現像ローラの軸線方向における前記現像ユニットの一端側に、リンク部材を回動可能に取り付け、
前記感光体ドラムの軸線方向における前記感光体ユニットの一端側に、前記リンク部材を回動可能に取り付け、
前記現像ローラの軸線方向における前記現像ユニットの他端側を、前記感光体ドラムの軸線方向における前記感光体ユニットの他端側に、一つの回動中心のみで回転可能となるように結合する、
ことを特徴とするプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項25】
前記リンク部材を前記現像ユニットに取り付けた後で、前記リンク部材を前記感光体ユニットに取り付けること、および、前記現像ユニットを前記感光体ユニットに結合することを行う請求項24に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項26】
前記リンク部材は、前記リンク部材が前記現像ユニットに対して前記現像ローラの軸線方向の外側に移動するのを規制する移動規制部を有し、
前記リンク部材を前記現像ユニットに取り付けた後、前記移動規制部が機能する位置まで前記リンク部材を回転することを特徴とする請求項24又は25に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項27】
前記リンク部材は、更に、前記現像ユニットに対する前記リンク部材の回動範囲を規制する回動規制部を有し、
前記リンク部材は前記現像ユニットに取り付けられた後、その自重によって、前記移動規制部と前記回動規制部が機能する位置まで回転することを特徴とする請求項26に記載のプロセスカートリッジの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−20233(P2013−20233A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106922(P2012−106922)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】