説明

プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置

【課題】 感光体ドラムユニットの枠体に対し、感光体ドラムおよびクリーニング手段を使用状態と同じ状態で保持すると、クリーニング手段の撓みやクリープ変形により、画像形成時にクリーニング性が損なわれる可能性がある。
【解決手段】 感光体ドラムユニットの枠体に対し、クリーニング手段を所定量移動可能に保持する。また、画像形成装置内に、感光体ドラムユニットが装着されると、感光体ドラムおよびクリーニング手段をクリーニング可能な位置に保持する保持機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等に使用されるプロセスカートリッジ及びこれが着脱可能な電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、電子写真感光ドラム(以下、感光体ドラムと称す)及び感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化する。そして、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0003】
このプロセスカートリッジ方式によれば、画像形成装置のメンテナンスをサービスマンによらずに使用者自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称す)において広く用いられている。
【0004】
従来のプロセスカートリッジは、感光体ドラムを保持するクリーニング枠体を有する感光体ドラムユニットと、感光体ドラム上の潜像を現像する手段としての現像ローラ、現像ブレード、現像剤としてのトナーを有する現像ユニットから構成されている。また、感光体ドラムユニットと現像ユニットは揺動中心で互いに揺動可能に支持されている。画像形成時、感光体ドラムと現像ローラは当接しているとともに、感光体ドラムに静電潜像を作る露光手段からの光が照射可能な状態になっている。また、現像ローラが感光体ドラムに対し確実に当接するよう、加圧バネよって現像ローラが感光体ドラムへ押圧されている。
【0005】
プロセスカートリッジのクリーニング手段は感光体ドラム上の転写残トナーを感光体ドラム表面から掻き取り、廃トナーとして回収するためのものである。また、クリーニング手段は弾性部材と弾性部材を支持する板金部から形成されており、弾性部を感光体ドラムに当接させてクリーニングを行う。そのため、クリーニング手段は感光体ドラムに対し所定の角度、当接圧で当接しており、その支持方法としてはクリーニング枠体の長手方向両端部にクリーニング手段固定用の座面を設け、クリーニング手段の板金部をビス等の手段で固定するのが一般的である。
【0006】
またクリーニング枠体は帯電ローラ等、他の画像プロセスに必要な手段を保持する機能を有し形状が複雑となることや、量産性や、使用後のリサイクル性を考慮し樹脂成形品とする場合が多い。
【0007】
しかしこのような手段においては、クリーニング手段のブレードを弾性変形させてクリーニング枠体に高精度に位置決めする必要がある。クリーニング枠体に対する固定の精度が不充分であると感光体ドラムへの当接状態が均一でなくなりクリーニング不良を引き起こす場合がある。この課題に鑑み、安定したクリーニング手段の当接状態を得る方法として特許文献1に記載の方法が開示されている。ここで特許文献1においては、感光体ドラムに対し、クリーニング手段をカートリッジの枠体に対し揺動可能に支持し、付勢部材により付勢するとともに、画像形成装置内に装着されるとクリーニング手段が回動不能になることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−161328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、プロセスカートリッジが画像形成装置から取り外されても、ブレードは感光体ドラムに対して当接し弾性変形をした状態でクリーニング枠体に固定されている。過酷な環境下においてプロセスカートリッジを輸送したり保管したりした場合に、ブレードが塑性変形を起こし、実際にユーザーが使用する際に所定のクリーニング性を発揮できない場合がある。
【0010】
本発明の目的は、先行技術の提案をさらに発展させたものであり、その目的とするところは、プロセスカートリッジのクリーニング手段において、クリーニング性が低下するのを防止することにある。
【0011】
さらに本発明の他の目的は、プロセスカートリッジのクリーニング手段において、輸送時や保管時において画像形成装置内での温度変化に対しても安定してクリーニング性を得られることを目的としている。
【0012】
さらに本発明の他の目的は、クリーニング枠体の小型化やコストダウンが可能なプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する手段としては、電子写真画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、電子写真感光体ドラムと、枠体と、前記電子写真感光体ドラムから現像剤を除去するクリーニング手段であって、弾性変形可能な前記電子写真感光体ドラムと当接するブレードと、前記ブレードを支持する支持部材であって、前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに進入させる進入方向および後退させる後退方向に移動可能に前記枠体に対して支持するための取り付け部と、前記プロセスカートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に装着された際に、前記装置本体に設けられた押圧部材から前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに押圧するための前記進入方向の力を受ける力受け部を有する支持部材と、を有するクリーニング手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クリーニング手段をクリーニング枠体に対し所定量移動可能に取り付けると共に、画像形成装置内にプロセスカートリッジを装着した際に、クリーニング手段と感光体ドラムの位置関係が規定される。これにより、輸送時や保管時おいて、クリーニング手段のブレードの変形を抑えクリーニング性能が低下するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの状態を示す主断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分拡大図である
【図9】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における画像形成装置の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態における画像形成装置の分解斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態における画像形成装置の部分断面図である。
【図16】本発明の実施の形態における画像形成装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
〔画像形成装置の全体的な概略構成〕
図2に本実施例のカラー電子写真画像形成装置の概略の断面図を示す。
【0017】
この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジを画像形成装置本体1Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0018】
以下の説明において、画像形成装置1に関して、前側(正面側)とは開閉ドア3を配設した側である。後側(背面側)とは前側とは反対側である。前後方向とは、画像形成装置1の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置1を前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また、画像形成装置本体(以下、装置本体と記す)とは、プロセスカートリッジを除いた装置構成部分である。また、プロセスカートリッジに関して、電子写真感光体ドラムの長手方向(軸線方向)において、装置本体から駆動が伝達される側を駆動側と称し、その反対側を非駆動側と称する。
【0019】
1Bはプロセスカートリッジ収容部であって、装置本体1Aの内部に設けられている。収容部1Bには、装置本体1Aの後側から前側にかけて、第1から第4の4つのプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を水平方向に並べて配設してある。このように複数のプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと称す)Pを水平方向に配置することで、画像形成装置1の高さを抑えることができる。各カートリッジPは、互いに同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色や、トナーの充填量が各々異なるものである。収容部1Bに位置しているカートリッジPには装置本体1A側から回転駆動力が伝達される。また、カートリッジPには装置本体1Aからバイアス(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
【0020】
図2に示すように、本実施例の各カートリッジPは、た電子写真感光体ユニット(以下感光体ドラムユニットと称す)8を有する。感光体ドラムユニット8は、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラムと称す)4と、この感光体ドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段5及びクリーニング手段7を備えている。また、各カートリッジPは、感光体ドラム4上の静電潜像を現像する、現像手段を有する現像ユニット9を有する。感光体ドラムユニット8と現像ユニット9は互いに揺動可能に結合されている。帯電手段としては帯電ローラ5を用いている。クリーニング手段としてはクリーニング手段7を用いている。現像手段としては現像ローラ6を用いている。カートリッジPのより具体的な構成については後述する。
【0021】
第1のカートリッジPYは、現像容器内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム4の面にY色のトナー像を形成する。同様に、第2のカートリッジPMは、現像容器内にマゼンタ(M)のトナーを収容している。また、第3のカートリッジPCは、現像容器内にシアン(C)のトナーを収容している。また、第4のカートリッジPKは、現像容器内にブラック(K)のトナーを収容している。そして、それぞれ感光体ドラム4の面に各色のトナー像を形成する。
【0022】
カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが配設されている。このレーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。そして、レーザ光Lは、カートリッジPの露光窓部10を通過して感光体ドラム4の面を走査露光する。
【0023】
カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を配設してある。この中間転写ベルトユニット11は、可撓性を有するエンドレスの転写ベルト12と、この転写ベルト12を張設して回動させる駆動ローラ13、ターンローラ14・テンションローラ15を有する。各カートリッジの感光体ドラム4は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12の内側には、感光体ドラム4に対向させて一次転写ローラ16を配設している。駆動ローラ14には転写ベルト12を介して二次転写ローラ17を当接させて配設してある。転写ベルト12と二次転写ローラ17の接触部が二次転写部である。
【0024】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を配設してある。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容したトレイ19、給出ローラ20、等を有する。
【0025】
装置本体1A内の後側の上方には、定着ユニット22と、排出ユニット23を配設してある。装置本体1Aの上面は排出トレイ24としている。
【0026】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム4が矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト12も矢印の時計方向(感光体ドラム回転に順方向)に感光体ドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。レーザスキャナユニットLBも駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいて帯電ローラ5が感光体ドラム4の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニットLBは各感光体ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Lで走査露光する。これにより、各感光体ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される現像ローラ6により現像される。
【0027】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYの感光体ドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上に一次転写される。
【0028】
同様に第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKのトナー像が転写ベルト12上に重畳され、の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0029】
各カートリッジにおいて、一次転写後に感光体ドラム4の表面に残留した転写残トナーはクリーニング手段7により除去される。
【0030】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ17と転写ベルト12との当接部である二次転写ニップ部に導入される。これにより、記録媒体Sが該ニップ部を搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
【0031】
記録媒体Sは転写ベルト12の面から分離されて定着ユニット22へ導入される。そして、定着ニップ部で加熱、加圧される。これにより、各色トナー像の記録媒体Sへの定着がなされる。そして、記録媒体Sは、定着ユニット22を出て、フルカラー画像形成物として排出ユニット23によりトレイ24上に排出される。
【0032】
〔カートリッジの全体的な構成〕
本実施例において、第1から第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、同様の電子写真プロセス機構を有し、収容されているトナーの色やトナーの充填量が各々異なるものである。
【0033】
図3乃至図5に示すように、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、感光体ドラム4の回転軸線aの方向を長手方向とする横長のアセンブリであり、装置本体正面から見て右側が駆動側、左側が非駆動側である。カートリッジPは、感光体ドラムユニット8と、現像ユニット9と、駆動側カバー部材31と、非駆動側カバー部材32を有する。
【0034】
図6に示すように、感光体ドラムユニット8は、第1の枠体としてのクリーニング容器33に、感光体ドラム4と、帯電ローラ5と、クリーニング手段7を有している。
【0035】
感光体ドラム4は、図4および図7に示すように、非駆動側は非駆動側カバー部材32の感光体ドラム支持部51L、また、駆動側は駆動側カバー部材31の感光体ドラム支持部51Rによって回転自在に支持されている。また、図3に示すように、感光体ドラム4の駆動側の端部には、感光体ドラム駆動入力部としてのドラム駆動カップリング(駆動伝達部)36が感光体ドラム4の軸線aと同軸で取り付けてある。
【0036】
このドラム駆動カップリング36に対して装置本体側のドラム駆動出力部としてのカップリング(不図示)が係合して装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達がなされる。そして、感光体ドラム4が図2において反時計方向に所定の速度で回転駆動される。帯電ローラ5はドラム1に接触し従動回転する接触帯電方式の帯電部材である。
【0037】
図5に示すように、クリーニング手段7は弾性変形可能な弾性ブレード(以下ブレードと称す)7bと支持部材である支持板金7aから構成されている。ブレード7bの先端部は感光体ドラム4の回転方向に対してカウンター方向に当接させて配設してある。クリーニング手段7は感光体ドラム4に残留したトナーを除去する役目をする。このクリーニング手段7により感光体ドラム4の周面から除去された転写残トナーは、クリーニング容器33内の除去トナー回収部33aに収容される。
【0038】
また、現像ユニット9は第2の枠体としての現像容器34と、現像手段としての現像ローラ6と、現像ブレード38を有する。現像容器34は、トナー収容部39と、現像室40を有する。
【0039】
現像ブレード38は先端部を現像ローラ6の回転方向(図6において時計方向)に対してカウンター方向に当接させて配設してある。現像ブレード38は、現像ローラ6の周面にトナーを薄層に規制する役目をする。
【0040】
現像ユニット9の駆動側端部には、駆動入力ギアが配置されている(不図示)。そして、画像形成装置1からの駆動力は、駆動入力ギアの端面に設けられた現像駆動カップリング46(図3参照)から駆動入力ギアを介して現像ローラ6へ伝達され、現像ローラが図5中の矢印G方向に回転駆動される。
【0041】
図7に示すように、現像容器34の非駆動側側板34Lの外面には筒状のボス49を設けてある。このボス49は駆動入力ギアの回転軸線b上にある。この回転軸線bは感光体ドラム4の回転軸線aと並行である。この回転軸線bは現像ユニット9の揺動軸となる。
【0042】
駆動側カバー部材31には、図3および図4に示すように、現像ユニット9のサイドカバー47の円筒部分(不図示)が対応して嵌合する円筒受け穴54を設けてある。また、駆動側カバー部材31の外面には、装置本体内でのカートリッジPの装着姿勢を決めるためのボス55を設けてある。また、駆動側カバー部材31の下縁部には下方に突出させて、後述するカートリッジPを装置本体側の位置決め部に位置決めするための駆動側の被位置決め部56Rを設けてある。
【0043】
図4に示すように、非駆動側カバー部材32の内面には、現像ユニット9の非駆動側の筒状のボス49に対応して筒穴に嵌入する軸58を設けてある。また、非駆動側カバー部材32の外面には、装置本体内でのカートリッジの装着姿勢が大きく倒れないようにするための溝部60を設けてある。また、非駆動側カバー部材32の下縁部には下方に突出させて、後述するカートリッジを装置本体側の位置決め部に位置決めするための非駆動側の被位置決め部56Lを設けてある。
【0044】
ドラムユニット8と現像ユニット9の駆動側と非駆動側とに、それぞれ、駆動側と非駆動側のカバー部材31と32を対応させ、感光体ドラムを回動自在に支持しながら、クリーニング枠体33にビス等の手段により固定する。したがってカバー部材31、32はクリーニング枠体33と一体となり、感光体ユニット8の枠体を形成する。
【0045】
そして、現像ユニット9は、図5に示す揺動中心62(図3または図4の軸線bに相当する)を中心に、現像ローラ6がドラム4に接触する方向Dに回動するように、付勢部材である加圧バネ(不図示)によって常に付勢させている。
【0046】
画像形成時には、感光体ドラム4と現像ローラ6は当接状態を保持して所定の速度で回転駆動されて画像形成が実行される。
【0047】
〔クリーニング手段の支持方法〕
以下、本発明の主要部分である、クリーニング手段7の、クリーニング枠体33への支持方法について説明する。以下の説明においては画像形成装置1で画像形成が行われている際のクリーニング手段7の支持位置を基準として考える。図6に示すように、断面方向においてクリーニング手段7が感光体ドラム4に進入する進入方向を−Y方向とし、後退する後退方向をY方向とする。更に、Y方向に直交(交差)する方向をX方向とする。
【0048】
クリーニング手段7の弾性ブレード7bは、感光体ドラム4に対し稜線部7c(図7参照)が所定の圧力および所定の角度で接触している。ブレード7bは感光体ドラム4の回転(図中矢印E方向)に伴い、感光体ドラム4表面に付着している転写残トナーを掻き取り、掻き取られたトナーは廃トナーとしてクリーニング枠体33の廃トナー収容室33aへと収容する。
【0049】
本実施例において、ブレード7bはウレタンゴム等の材質からなり、支持板金7aは亜鉛めっき鋼板を使用している。また、クリーニング手段7のブレード7bの感光体ドラム4と接触する稜線部7cは長手方向において均一な直線状になっており、感光体ドラム4に対し均一な掻き取り性すなわちクリーニング性を維持することが可能となっている。
【0050】
一方、クリーニング手段7のブレード7bは感光体ドラム4の転写残トナーを回収する。そのため、少なくとも画像形成装置の主走査方向、つまり感光体ドラム4の長手方向に対して、印字可能領域から決定される現像ローラ6のトナーコート領域を覆うだけの寸法を有している。
【0051】
また、クリーニング手段7の支持板金7aには長手全域に渡ってL字状の曲げ部7dを有している。支持板金7aはブレード7bの長手外側で形状を変え、クリーニング枠体33の外部へと延びている。曲げ部7dの長手方向端部7eおよび7fは、図7および図8に示すように、画像形成時、−Y方向において画像形成装置からの押圧力を受ける力受け部となっている。また、曲げ部7eおよび7fの直交方向の面である7gおよび7hは、X方向において画像形成装置1Aと係合し、画像形成時の位置決め部となっており、また、支持板金7bの端面7pは画像形成時の−Y方向の位置決め部となる。
【0052】
〔クリーニング手段のクリーニング枠体への固定方法〕
次に、クリーニング手段7をクリーニング枠体33へ固定する固定方法について説明する。
【0053】
本実施例において、クリーニング手段7はクリーニング枠体33に対し一定のガタを有した状態で取り付けられ、カートリッジ単体時にはクリーニング枠体33に対しX方向において一定量の移動が可能となっている。
【0054】
まず−Y方向についてのクリーニング枠体33への位置決めについて図8を用いて説明する。図8においては非駆動側について図示するが、駆動側においても同様の構成となっている。クリーニング手段7の支持板金7aの長手方向の両端付近には、画像形成時にクリーニング手段7の−Y方向位置を規定するための第一の規定部7jが設けられている。規定部7jは一定の長さを有し、また、Y方向に所定の幅L1を有する凹形状からなる。一方、クリーニング枠体33には、クリーニング手段7の規定部7jに対応した位置にクリーニング枠体33の規制部33bを有している。クリーニング枠体33の規制部33bは、クリーニング手段の規定部7jに対応する位置およびクリーニング手段の幅L1より狭い幅寸法L2の位置にある面からなる凸形状の樹脂成形物である。本実施例の場合、規定部寸法L1とクリーニング枠体の規制部の幅L2との差は0.5mmに設定している。即ち、規制部33bによって、クリーニング手段7は−Y方向において所定量以上移動するのが規制される。
【0055】
次にX方向についてのクリーニング枠体33への位置決めおよびクリーニング手段の保持方法について図6、図8および図9を用いて説明する。X方向についても非駆動側にて説明を行うが、構成は駆動側も同様である。
【0056】
クリーニング枠体33にはクリーニング手段7を支持するための座面33dが形成されている。座面33dの位置は画像形成時にクリーニング手段7が所定の設定圧、角度となる位置に設定されている。クリーニング手段7は、クリーニング枠体33の座面33dに対し、締結部材であるビス90を用いて一定の隙間を有した状態で保持される。そのための手段として、座面33dにはビス用の下穴33fを設けている。ここでビス用の下穴33fの深さは使用するビスの呼び長さとクリーニング手段7の支持板金7aの板厚を合計した厚さに対し、0.4mm短く設定している。さらに、クリーニング枠体33とクリーニング手段7の長手方向位置を規定するために、クリーニング手段7には長丸穴7mが、またクリーニング枠体33にはボス33gが設けられている。
【0057】
クリーニング手段7をクリーニング枠体33に保持する方法は以下のように行われる。まず、クリーニング枠体33のボス33gに対し、クリーニング手段7の長丸穴7mを合わせ、座面33d部に仮置きする。その後、座面33dに設けたビスの下穴33fに対し、ビス90を取り付け、クリーニング手段7を保持する。ここで、クリーニング手段7の支持板金7aをクリーニング枠体33にビス90で固定をすると、ビス90はビス下穴33fの底部で突き当たるが、ビス全長は先に述べたようにビス下穴33fの深さと支持板金7aの板厚より長い。そのため、クリーニング手段7と座面33dの間には約0.4mmの隙間を持って保持される(図6中L4部)。また、Y方向には支持板金7aとクリーニング枠体33との間にも隙間が設けてあるため、X方向、Y方向ともガタを有した状態でクリーニング手段7は保持される。
【0058】
クリーニング手段7の感光体ドラム4への当接圧は、クリーニング手段7のブレード7bを所定量感光体ドラム4に対して侵入させることで発生させている。本実施の形態においては、画像形成時におけるブレード7bの侵入量は1.0〜1.5mmに設定している。
【0059】
また、クリーニング手段7の−Y方向位置決め部の寸法はブレード7bが感光体ドラム4に当接する点から約30mm、また、X方向の位置決め部の寸法は2.0〜3.0mmとなっている。また、感光体ドラム4の外径はφ24である。ここで、先に述べたように、X方向、Y方向それぞれ0.8mm、0.4mmのガタを持たせてクリーニング手段7をクリーニング枠体33へ保持する。すると、図1に示すように、前述したガタによって、ブレード7bが感光体ドラム4から受ける力によって矢印F方向に回動する。カートリッジP単体においては、ブレード7bは感光体ドラム4の表面に接しているが、ほとんど弾性変形していない状態となる。
【0060】
なお本実施例において使用しているビス90は、樹脂成形品の下穴に対し締め込んでいくことでネジ溝を形成するいわゆるセルフタップビスを使用している。
【0061】
〔クリーニングユニットのシール構成〕
次にクリーニングユニット8のシール構成について説明する。クリーニングユニット8はクリーニング枠体33にクリーニング手段7他の電子写真プロセスに必要な構成部品を有しており、また、クリーニング枠体33の一部は転写残トナーを回収し収容する収容室33aとなっている。
【0062】
したがって、クリーニング手段7から回収されたトナーが収容室33aから漏れ出さないようにするため、シール部材によりシールがなされている。
【0063】
本実施の形態におけるシール構成は以下のようになっている。
【0064】
図9にクリーニングユニット8のシール構成を示す。シール部材はとしては長手シール部材63、端部シール部材64、補助シール部材65、及び、座面シール部材66から構成される。長手シール部材63は、クリーニング手段7の長手方向に沿って、支持板金7aと、クリーニング枠体33間の隙間をシールする。また、端部シール部材64は、長手方向の一端側と他端側において、弾性ブレード7bおよび支持板金7aと感光体ドラム4との間をシールする。そして、補助シール部材65は、前記端部シール部材64とクリーニング枠体33との間をシールする。さらに座面シール部材66は、クリーニング枠体のクリーニング手段支持座面33dおよび33eの周囲とクリーニング手段7との間をシールする。
【0065】
各シール部材の構成は以下に示すとおりである。
【0066】
長手シール部材63は、ウレタンフォーム等で構成され、弾性を有し、隙間に対し追従性に富む材質からなり、クリーニング枠体33に設けられたシール座面33hに両面テープ等の固定手段で固定されている。本実施の構成においては厚さ4mmのウレタンフォーム(商品名 モルトプレンSM−55)を圧縮して使用している。圧縮量は、画像形成時に2.0mmとなるように設定されている。
【0067】
ここで、ウレタンフォームによるシール性について説明する。ウレタンフォームによるシールは、トナーと接する部分においてはウレタンフォームを圧縮する。それにより、ウレタンフォームを構成する各セルの寸法を小さくすることでトナーの侵入を防止する。更に、ウレタンフォームと相手部品との境界部(支持板金7aとの境界部)では、カットされた各セルの開放面が圧縮され、一定寸法以下となることでトナーの侵入が阻止される。また、シール性とはトナーがシール部材の外部へと漏れ出すことに対する性能を表す。即ち、シール部材そのものの物性、使用方法だけでなく、周囲にあるトナーの状態、たとえば、トナーが積極的に流動している場合や、流動性の低いトナーが静止状態にある場合等により変化するものである。
【0068】
本実施の形態において、クリーニングユニット8におけるシール性を確保する条件としては、ウレタンフォームの圧縮率、つまり、使用状況下における寸法に対するシール部材単品での寸法比が70%以下であればシール部材として機能する。
【0069】
したがって、本実施の形態では、先に述べたとおり、画像形成時の長手シール部材63の寸法は2.0mm、単品の寸法は4.0mmであることから圧縮率は50%となる。一方、カートリッジP単体の状態においては、X方向に0.4mmのガタを有している。そのため、長手シール部材63は平均で2.4mmの厚さとなっている(クリーニング手段支持板金7aの傾きにより値は均一ではない)したがってこの状態における圧縮率は60%であり、この状態においてもシール性は確保される。
【0070】
次に端部シール部材64の構成について説明する。
【0071】
長手方向端部のクリーニング手段7は、支持板金7aに対し、弾性ブレード7b寸法が大きくなっている。これは弾性ブレード7bを成形により形成しているためである。また、弾性ブレード7bは支持板金7aに対し、断面方向において段差部を有している。したがって長手方向端部において、端部シール部材64はこれらの隙間を確実に封止する必要がある。また、感光体ドラ4ムは画像形成時、図6に示す矢印E方向へと回転をし、弾性ブレード7bは感光体ドラム4表面に追従しながら感光体ドラム表面をクリーニングしている。このため、端部シール部材64には感光体ドラム4や弾性ブレード7bに対する摺動性も必要となる。
【0072】
このような条件を満たすため、本実施の形態においては、端部シール部材64を、不織布の表層にウレタンフォームを貼り付けしたものとし、補助シール部材65はウレタンフォームの片面に両面テープを貼り付けたものを採用している。
【0073】
各シールの貼り付け状態は図9および図10に示すとおりである。
【0074】
各シール部材を貼り付けるための座面33hはクリーニング枠体33に形成されている。まず、この状態において補助シール部材65を貼り付ける。補助シール部材65の両面テープを用い、クリーニング枠体33へと固定する。
【0075】
次に補助シール部材65を覆うように端部シール部材64を貼り付ける。端部シール部材64の貼り付け位置は、クリーニング手段7の取り付け位置に応じて行われる。つまり、図8に示すように、クリーニング手段7が取り付けられた際、端部シール部材64のエッジ部64aがクリーニング手段のエッジ部7cに対し0〜1.0mm圧縮されるような設定としている。
【0076】
また、座面シール部材65はクリーニング枠体の座面33の周囲に貼り付けられ、かつ、端部シール部材64および長手シール部材63と接する、あるいは各々のシールを圧縮するように貼り付けがなされる。
【0077】
ここで先ほどの説明と同様に、カートリッジP単体の状態、つまりクリーニング手段7がクリーニング枠体33に対し、ガタを有した状態におけるシール性について説明する。画像形成時、端部シール部材64は、ウレタンフォーム部が圧縮され、表層部の不織布が感光体ドラム4および弾性ブレード7bに追従している。また、補助シール部材64も同様に圧縮され、クリーニング手段支持板金7bに密着し、シール性を有している。
【0078】
ここで、カートリッジP単体においては、クリーニング手段7がクリーニング枠体33に対しガタを有しているため、弾性ブレード7bの当接圧が逃げる方向、つまり画像形成時に比べ、各シール部材を圧縮する方向に負荷がかかる。本実施の形態において、端部シール部材64のウレタンフォームは前述と同様の材質のものを使用し、厚さは3.0mmであり、画像形成時の厚さは表層を含めて2.5mmとなるように設定している。また、座面シール66は同材質で長手シール63と同じおよび厚さのものを使用しており、画像形成時の厚さは2.0mmとなるように設定している。また、補助シール部材65は低反発のウレタンフォームを使用し、厚さは3.0mmのものを使用している。
【0079】
カートリッジP単体においては、各シール部材は画像形成時に比べ圧縮方向に負荷を受けるが、各部でのシール性は向上する方向にあり、充分なシール性を得ることができる。
【0080】
上述のようなシール部材の構成で、各シール部材の材質および圧縮率を適切に設定することにより、クリーニング手段7をクリーニング枠体33に対しガタを有するように設置した場合においてもシール性を損なうことはない。
【0081】
〔カートリッジの画像形成装置への装着〕
次にカートリッジPを画像形成装置1へ装着する動作について説明する。説明は画像形成装置の非駆動側にて行うが、駆動側においても同様の構成を有する。
【0082】
図2に示すように、本実施例の装置本体において、カートリッジPの交換は、ユーザービリティ向上のために、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)を引き出し式のカートリッジトレイ29(カートリッジPを複数支持する移動部材)に乗せて支持させる。そして、カートリッジPをカートリッジトレイ29ごと装置本体の前側に引き出し交換する方式である。即ち、図11に示すように、カートリッジトレイ29が装置本体1Aの最も外側に引き出された際には、全てのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装置本体1Aの内側から外側に出る。従って、使用者が、カートリッジトレイ29に対してカートリッジを交換する際に、交換作業が行い易い。
【0083】
次にカートリッジの画像形成装置への装着について説明する。
【0084】
図2または図11に示すように、装置本体1Aの前面側には、装置本体1A内へカートリッジを挿入させる、及び、装置本体1Aからカートリッジを取出すために、カートリッジを通過させる開口26を設けてある。そして、この開口26を閉じる閉位置と、開口26を開放する開位置との間を移動可能な開閉ドア3を設けてある。
【0085】
開閉ドア3は画像形成装置1の外観の一部である。また、開閉ドア3は画像形成装置1の内部でのプロセスカートリッジPの位置決めを行い、画像形成が可能な状態となる位置(以下画像形成位置と称す)にする操作部でもある。さらに、開閉ドア3は、プロセスカートリッジPが取出し可能な状態となる位置(以下引き出し位置と称す)することもできる。開閉ドア3は、開閉ドア下部の支軸27を中心に閉じ位置から開き位置まで回動する。また開閉ドア3にはユーザーが開閉動作を行うための把手部3aおよび、開閉ドアの操作に連動し、カートリッジトレイ29の位置決めおよびプロセスカートリッジPの位置決め動作を行うためのドアリンク30が設けられている。ドアリンク30は画像形成装置の長手方向両端に設けられ、各々にトレイ保持部材28が連結されている。
【0086】
また、図12に示すように、画像形成装置1には押圧手段である押圧機構70が設けられている。押圧機構70はトレイ保持部材28に連動し、開閉ドア3が閉じられて、プロセスカートリッジPが画像形成位置にあるときには、クリーニングユニット8を押圧し、感光体ドラム4を画像形成装置1の内部に位置決めを行う。更に、押圧機構70はクリーニング手段7に作用して、クリーニング手段7の位置を画像形成装置1の内部において所定の位置に位置決めする。
【0087】
図13に示すように、画像形成装置本体1Aの、トレイ保持部材28の各々外側には画像形成装置本体1あの骨格を形成するメインフレーム71が設けられている。メインフレーム71には画像形成装置1の内部でのクリーニングユニット8の位置を規定する支持部71aおよびクリーニング手段7のX方向の位置を規定する支持部71b、およびY方向の位置を規定する支持部71cが設けられている。画像形成装置1の内部へのカートリッジPおよびクリーニング手段7の装着および位置決めは以下の手順によって行われる。
【0088】
まず、開閉ドア3を開位置にし、カートリッジトレイ29が引き出し位置にある状態を図11に示す。この状態ではカートリッジPはカートリッジトレイ29から着脱が可能である。そして、カートリッジPの装着時には、カートリッジトレイ29に対し、カートリッジPを上方から嵌め込み仮装着する。カートリッジトレイ29にはカートリッジPの回転止めボス55および溝60(図3および図4参照)と係合し、カートリッジPの、画像形成装置1の内部での回転方向の姿勢を決定する係合部が設けられている(不図示)。これにより、カートリッジPの画像形成装置1の内部での回転方向の姿勢が決定される。
【0089】
また、カートリッジPにはその長手方向両端にカートリッジトレイ29との仮係合部を有しており(不図示)、この部分がカートリッジトレイ29に係合することで、上下方向の位置が仮決定される。
【0090】
次にカートリッジPを画像形成装置1の内部へ導いた状態(以下装着状態と称す)を図14に示す。この時点においては引き出し状態からカートリッジトレイ29を画像形成装置1の内部の所定の位置まで押し込み、開閉ドア3は開いた状態である。また、この時点においてはカートリッジPはカートリッジトレイ29に支持された状態が維持されており、画像形成装置本体1Aに位置決めはなされていない。
【0091】
次に開閉ドア3を閉位置向けてH方向に回動し、カートリッジトレイ29、カートリッジPおよびクリーニング手段7を画像形成位置に位置決めする。
【0092】
この過程ではカートリッジトレイ29およびカートリッジPを所定の位置に着座させる工程と、押圧機構70によりカートリッジおよびクリーニング手段7を所定の位置に保持する工程に分かれる。
【0093】
まず、カートリッジトレイ29およびカートリッジPを所定の位置に着座させる工程について説明する。
【0094】
開閉ドア3を図14の矢印H方向へ回動すると、ドアリンク30を介し、保持部材28が図中下方へ移動を開始する。すると保持部材28の動きに連動し、カートリッジトレイ29およびカートリッジPが下方へと移動する。そしてカートリッジトレイ29が所定量(本実施の形態においては4mm)移動すると、メインフレーム71の感光体ドラム位置決め部71a(図13参照)に当接し、カートリッジPが画像形成装置内の所定の位置に着座する。さらに開閉ドア3を図中矢印H方向に回動させる。するとリンク30を介し、保持部材28はさらに下降を続ける。そして、画像形成装置本体1Aに設けられたカートリッジトレイ29の上下方向および前後方向の位置決めを行う位置決め部(不図示)と係合し、カートリッジトレイ29の画像形成装置1の内部での位置が規定される。開閉ドア開位置から閉位置に移動することによって、カートリッジトレイ29が下降する下降量は、先に述べたカートリッジPの下降量より大きく設定されて(本実施例においては5mm)いる。カートリッジPが開閉ドア3を閉位置までくると、カートリッジトレイ29と仮係合部は離接し、仮位置決めの影響を受けなくなる構成となっている。つまり、画像形成装置内部における上下方向において、カートリッジPの位置は、画像形成装置1の感光体ドラム位置決め部71aにより一義的に規定される。
【0095】
また、カートリッジトレイ29の位置が画像形成装置内で位置決めされることにより、カートリッジPの回転方向の姿勢も規定される。これにより、カートリッジPは画像形成装置内の所定の位置に着座が完了したことになる。
【0096】
次に押圧機構70によりカートリッジPの着座位置を保持し、またクリーニング手段7を位置決めし、保持する工程について図13、図15および図16を用いて説明する。ここで図15は画像形成装置1の前側から非駆動側のカートリッジPおよび押圧機構70の状態を示す部分断面図である。また、図16は画像形成装置1の非駆動側側面からカートリッジPおよび押圧機構70を見た部分断面図である。
【0097】
カートリッジPがカートリッジトレイ29と共に下降をすると、カートリッジPの長手方向の一端側と他端側に設けられた、クリーニング手段7に設けられた位置決め部7hが、画像形成装置本体1Aに設けられた位置決め部71bと係合を開始する。この時点ではカートリッジPの内部では、クリーニング手段7がガタを有して支持されているため、クリーニング手段7は画像形成を行う上での正確な位置決めは行われていない。
【0098】
この後、押圧機構70の骨格部である押圧フレーム75がカートリッジトレイ29の降下より遅れて、下降を開始する。このタイミングは保持部材28に形成されたガイド溝と、押圧フレーム75のボスが係合することで達成される(不図示)。
【0099】
押圧機構70は以下の構成からなる。感光体押圧部材74は、後述するブレード保持部材76に対しスライド可能に保持され、カートリッジPのクリーニング枠体33を図中矢印R方向に押圧し、感光体ドラム4の位置を保持する。付勢部材75は感光体押圧部材74を付勢する手段である。また、第一のブレード保持部材76は押圧フレーム75に対しスライド可能に保持され、クリーニング手段7を−Y方向に押圧し(図中矢印S方向)、−Y方向の保持を行う。付勢部材77は第一のブレード保持部材76の付勢を行う部材である。
【0100】
開閉ドア3が閉じられると、感光体押圧部材74は付勢部材75の付勢力により、クリーニング枠体33を押圧する。感光体ドラム4はカバー部材31の位置決め部56Lおよびフレームの位置決め部71aにより既に画像形成が可能な位置に着座しており、感光体押圧部74の押圧により、着座位置が保持される。
【0101】
第二のブレード保持部材78は、第一のブレード保持部材76に対しX方向スライド可能に保持され、第二の力受け部である7hを押圧し、クリーニング手段7のX方向の位置を保持する。付勢部材79はブレード保持部材78の付勢を行う部材である。
【0102】
画像形成装置本体1Aの一部であるフレーム71には、X方向位置決め部71bおよび−Y方向位置決め部71cが設けられている。そして、クリーニング手段7は、位置決め部71b、71cに対し、それぞれ第一のブレード保持部材76および第二のブレード保持部材78により図中矢印UおよびSの方向から付勢され位置決めがなされる。付勢は付勢部材77および79により行なわれる。付勢部材75、77および79の付勢力は感光体ドラム4とクリーニング手段7の当接圧に対し各々の方向の分力に相当する力に抗するように設定されている。
【0103】
これによりクリーニング手段7は画像形成装置1の内部において所定の位置に位置決めされる。つまり、クリーニングユニット8内に設けたガタの範囲内でクリーニング手段7が移動し、弾性ブレード7bが感光体ドラム4に対し所定量侵入した状態へと移動し(図6参照)、所定の当接圧が発生する。したがって、クリーニング手段7が感光体ドラム4の表面をクリーニング可能な状態となる。また、この時、クリーニングユニット8内における各シール部材は各々所定の圧縮率となり、シール性を確保する。
【0104】
以上述べたように、開閉ドア3が開位置から閉位置に閉じられると、カートリッジPおよびクリーニング手段7が所定の位置に位置決めがなされ、画像形成が可能な状態となる。
【0105】
上記手順と逆の手順により、画像形成装置1からのカートリッジPの取出しが可能である。カートリッジPを画像形成装置1から取り外すと、クリーニング手段の弾性ブレード7bの弾性力により、クリーニング手段7全体がクリーニング枠体33とのガタ分移動する。
【0106】
なお、本実施の形態は、説明に用いた形態に限定されるものではない。複数のプロセスカートリッジを感光体ドラム長手方向から画像形成装置本体へ装着する形態のものや、単色のプロセスカートリッジを画像形成装置本体へ装着する形態のものにも適合できる。または、クリーニングユニットのみを画像形成装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジでも適合できる。
【0107】
以上述べてきたように、本実施例によれば、クリーニング手段をクリーニング枠体に対し所定量移動可能に取り付けると共に、画像形成装置内にプロセスカートリッジを装着した時点でクリーニング手段と感光体ドラムの位置関係が規定される。これにより、輸送時や保管時おいて、クリーニング手段のブレードの変形を抑えクリーニング性能が低下するのを抑えることができる。
【0108】
また、プロセスカートリッジ単体時には、クリーニング手段のブレードによる感光体ドラムへの当接力を軽減することができる。
【0109】
また、従来であれば、弾性ブレードに生じる当接力がクリーニング手段を強固に支持しているクリーニング枠体に直接作用している。したがって、プロセスカートリッジ単体での保管時において、急激な温度変化等があった場合にクリーニング枠体およびクリーニング手段支持板金の線膨張係数の差から位置ずれが発生する場合があった。しかし、本実施の形態であれば、そのようなことはない。
【0110】
また、クリーニング手段によるクリーニング枠体への負荷がほぼなくなることにより、保管時のクリーニング枠体のクリープ変形を防止することもできる。従来であればプロセスカートリッジの製造時からユーザーが使用し終えるまでの期間において、クリーニング枠体がクリーニング手段の当接圧の負荷を支持しており、その負荷に対する変形等を考慮して当接圧の設定を行ってきた。しかし本実施の形態であればそのような負荷は発生しないため、クリーニング枠体の薄肉化、小型化が可能になり、また、クリーニング手段の負荷に対する補強の必要もない。
【0111】
さらに、画像形成装置内に装着された時点で、強度的に高く、線膨張係数も低い鋼板で形成された画像形成装置のメインフレームにより感光体ドラムとクリーニング手段の位置関係が規定される。そのため、画像形成装置の使用状況による機内温度変化等に対しても感光体ドラムとクリーニング手段の位置関係を安定して得られるため、クリーニング性が安定する。
【符号の説明】
【0112】
1 画像形成装置、
1A 画像形成装置本体
3 装置開閉ドア
4 感光体ドラム
5 帯電ローラ
6 現像ローラ
7 クリーニング手段
8 クリーニングユニット
9 現像ユニット
27、28 保持部材
29 カートリッジトレイ
31 駆動側カバー部材
32 非駆動側カバー部材
33 クリーニング枠体
34 現像容器
63 長手シール部材
64 端部シール部材
65 補助シール部材
66 座面シール部材
70 押圧機構
74 押圧部材
P(PY、PM、PC、PK) 第1〜第4のプロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
(a)電子写真感光体ドラムと、
(b)枠体と、
(c)前記電子写真感光体ドラムから現像剤を除去するクリーニング手段であって、
弾性変形可能な前記電子写真感光体ドラムと当接するブレードと、
前記ブレードを支持する支持部材であって、前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに進入させる進入方向および後退させる後退方向に移動可能に前記枠体に対して支持するための取り付け部と、前記プロセスカートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に装着された際に、前記装置本体に設けられた押圧部材から前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに押圧するための前記進入方向の力を受ける力受け部を有する支持部材と、
を有するクリーニング手段と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記枠体には、前記支持部材と当接して前記クリーニング手段が前記進入方向において所定量以上移動するのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記力受け部は、前記支持部材の長手方向において一端側と他端側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記支持部材は、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着された際に、前記支持部材を前記枠体に設けられた取り付け部に押圧される為の前記進入方向と交差する方向の力を前記押圧部材から受ける第二の力受け部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
プロセスカートリッジが着脱可能な、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
(a)移動可能に設けられた押圧部材と、
(b)電子写真感光体ドラムと、枠体と、前記電子写真感光体ドラムから現像剤を除去するクリーニング手段であって、弾性変形可能な前記電子写真感光体ドラムと当接するブレードと、前記ブレードを支持する支持部材であって、前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに進入させる進入方向および後退させる後退方向に移動可能に前記枠体に対して支持するための取り付け部と、前記プロセスカートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に装着された際に、前記装置本体に設けられた押圧部材から前記ブレードを前記電子写真感光体ドラムに押圧するための前記進入方向の力を受ける力受け部を有する支持部材と、を有するクリーニング手段と、を有する前記プロセスカートリッジを取り外し可能に装着するための装着手段と、
(c)前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項6】
更に、前記電子写真画像形成装置は、前記プロセスカートリッジを前記装着手段に装着するための開口と、前記開口を塞ぐ閉位置と、前記開口を開放する開位置と、をとる開閉ドアとを有し、前記押圧部材は、前記開閉ドアが前記開位置から前記閉位置に移動するのに連動して前記力受け部に力を与えることを特徴とする請求項5に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記支持部材に設けられた第二の力受け部に、前記プロセスカートリッジが前記装置本体に装着された際に、前記支持部材を前記枠体に設けられた取り付け部に押圧される為の前記進入方向と交差する方向の力を与えることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−257650(P2011−257650A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133287(P2010−133287)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】