説明

プロセスカートリッジ及びプロセスカートリッジの分解方法

【課題】 第1枠体及び第2枠体の分離にあたって、第1枠体及び第2枠体に取り付けられるその他の部材を同時に分離できるプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】 感光体ドラム1aと、貫通孔29dを有して感光体ドラム1aを回転自在に支持するドラム軸受29と、結合孔42aを有する外壁27b及び結合孔42bを有する内壁27eを有するクリーニング枠体27と、結合孔48aを有すると共に現像ローラ25aを支持する現像枠体31と、貫通孔29d、結合孔42a、結合孔42b、結合孔48aに嵌合されてクリーニング枠体27及び現像枠体31を揺動自在に結合する結合部37a、結合部37aの端部の鍔部37bを有する結合ピン37と、を備え、装置本体100Aに着脱自在で、鍔部37b及び外壁27bがドラム軸受29を挟んだ状態でドラム軸受29が外壁27bに取り付けられるプロセスカートリッジ7aを構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置の画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録シートに画像を形成するものであり、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段の少なくとも何れか一つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とする物である。
【背景技術】
【0004】
従来、電子写真画像形成プロセスが用いられた電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体ドラム及び電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化したプロセスカートリッジが存在する。また、このプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱自在とするプロセスカートリジ方式が広く採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、電子写真画像形成装置のメンテナンスが、サービスマンに依らずに、ユーザ自身で行うことができるので、操作性は格段に向上する。
【0005】
また、例えば、プロセスカートリッジには、電子写真感光体ドラムを保持するクリーニングユニット(第1枠体)と、電子写真感光体ドラムに形成された静電像をトナー(現像剤)で現像する現像手段を保持する現像ユニット(第2枠体)と、を有するものがある。これらの第1枠体及び第2枠体は、丸棒状の結合ピンによって互いに回転自在に結合される。
【0006】
ところで、電子写真画像形成装置はトナーでシートに画像を形成するものである。このシートに対する画像の形成が繰り返されると、現像手段を有するプロセスカートリッジでは、現像剤収容部に収容されるトナーが消費されていく。そして、いずれは、ユーザが満足できる品質の画像を形成できなくなる程度まで現像剤が消費され、プロセスカートリッジとしての商品価値は喪失する。このような使用済みのプロセスカートリッジを回収して分解、清掃、再利用(リサイクル)することに関し、その方法の例として特許文献1に記載の発明が開示され、その構成の例として特許文献2に記載の発明が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、電子写真感光体ドラムを支持する第1枠体、及び、現像ローラを支持する第2枠体が、互いに回動自在に結合され、第1枠体及び第2枠体を分離する分離工程が含まれたプロセスカートリッジの分解方法に関する発明である。この方法によれば、使用済みプロセスカートリッジを回収して分解、清掃、再利用することができる。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明は、電子写真感光体ドラムを支持する第1枠体、及び、現像ローラを支持する第2枠体が、互いに回動自在に結合ピンで結合されるプロセスカートリッジの構成に関する発明である。また、このプロセスカートリッジでは、第1枠体及び第2枠体を結合する結合ピンが引き抜かれると、第1枠体及び第2枠体が分離される構成となっている。特に、結合ピンが引き抜き易くなる構成となっている。この構成によれば、専用工具を用いれば、使用済みプロセスカートリッジを容易に分解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第03320403号公報
【特許文献2】特開2001−42753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の特許文献1及び2に代表されるように、従来では、第1枠体及び第2枠体が相互に分離される技術が存在するに留まっており、その他の部材(第1枠体や第2枠体に組み付けられる部材)が同時に分離される構成及び方法は存在しなかった。したがって、前述のその他の部材は、第1枠体や第2枠体から個別に分離するしかなかった。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑み、第1枠体及び第2枠体の分離にあたって、第1枠体及び第2枠体に取り付けられるその他の部材を同時に分離することができるプロセスカートリッジ及びプロセスカートリッジの分解方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のプロセスカットリッジは、電子写真感光体ドラムと、前記電子写真感光体ドラムを回転自在に支持する軸受孔を有すると共に第1ピン孔を有する軸受部材と、第2ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの軸方向で外側に形成される板状の外側板、及び、第3ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの軸方向で内側に形成される板状の内側板を有する第1枠体と、第4ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの表面に形成された静電像を現像する現像剤を担持する現像剤担持体を支持する第2枠体と、前記第1ピン孔、前記第2ピン孔、前記第3ピン孔及び前記第4ピン孔に嵌合されて前記第1枠体及び前記第2枠体を互いに揺動自在に結合する結合部、並びに、前記結合部の端部に設けられる鍔部を有する結合ピンと、を備え、画像形成装置本体に着脱自在であると共に、前記鍔部及び前記外側板が前記軸受部材を挟んだ状態で前記軸受部材が前記外側板に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、結合ピンが取り外されると、第1枠体及び第2枠体が分離されると同時に、電子写真感光体ドラムを支持する軸受部材が第1枠体から分離される。その結果、プロセスカートリッジが従来より簡単に分解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図3】プロセスカートリッジの分解図であり、クリーニングユニットの駆動側の方向から見た斜視図等である。
【図4】クリーニングユニット及び現像ユニットを分離したプロセスカートリッジの拡大分解斜視図等である。
【図5】プロセスカートリッジの分解方法を示す斜視図である。
【図6】実施例2に係る画像形成装置が備えるクリーニングユニットの構成を示す斜視図等である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対位置等は、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部が設けられる。画像形成部は、『像担持体』であると共に『電子写真感光体ドラム』である感光体ドラム1a、1b、1c、1d、『転写装置』である1次転写ローラ12a、12b、12c、12d等を含む。少なくとも感光体ドラム1a〜1dについては、プロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dに含まれ、プロセスカートリッジ7a〜7dとして装置本体100Aに組み込まれて着脱自在である。
【0017】
画像形成装置100は、水平方向に対して傾斜して並設した4個のカートリッジの装着手段である装着部(不図示)を有する。そして、装着されたプロセスカートリッジ7a〜7dは、夫々1個の感光体ドラム1a〜1dを備えている。
【0018】
電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」という)1a〜1dは、駆動部材(不図示)によって、図1中で、時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1a、1b、1c、1dの周囲には、その回転方向に従って順に、感光体ドラムに作用する以下のプロセス手段が配置されている。すなわち、転写後の感光体ドラム1a〜1dの表面に残った現像剤(以下、「トナー」という)を除去するクリーニング部材6a〜6d、感光体ドラム1a〜1dの表面を均一に帯電する帯電ローラ2a〜2dが配置されている。また、静電像をトナーを用いて現像する現像ユニット4a〜4dが配置されている。また、画像情報に基づいてレーザビームを照射し、感光体ドラム1a〜1dに静電像を形成するスキャナユニット3、感光体ドラム1a〜1dの表面の4色のトナー画像が一括して転写される中間転写ベルト5が配置されている。感光体ドラム1a、1b、1c、1dとクリーニング部材6a、6b、6c、6d、帯電ローラ2a、2b、2c、2d、現像ユニット4a、4b、4c、4dの各々は、色毎に一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dを構成する。このプロセスカートリッジ7a〜7dは、使用者によって、画像形成装置100の装置本体100Aに取り出しも装着も自在となっている。
【0019】
中間転写ベルト5は、駆動ローラ10、テンションローラ11、懸架ローラ21に張架されている。また、各感光体ドラム1a〜1dに対向して、中間転写ベルト5の内側に1次転写ローラ12a〜12dが配設されている。そして、バイアス印加手段(不図示)により中間転写ベルト5に転写バイアスを印加する。
【0020】
感光体ドラム1a〜1dの表面に形成されたトナー像は、各感光体ドラム1a〜1dが矢印Qの方向に回転し、中間転写ベルト5が矢印Rの方向に回転し、1次転写ローラ12に正極性のバイアスを印加することで、順次、中間転写ベルト5の表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト5に4色のトナー像が重なった状態で2次転写部15まで搬送される。
【0021】
画像形成動作と同期して給送装置13及びレジストローラ対17等からなる搬送手段によって記録媒体であるシートSが搬送される。給送装置13は、シートSを収納する給送カセット24と、シートSを給送する給送ローラ8と、給送されたシートSを搬送する搬送ローラ対16とを有している。給送カセット24は、装置本体100Aの手前方向へ引き抜くことができる。給送カセット24に収納されたシートSは、給送ローラ8に圧接され、分離パッド9によって一枚ずつ分離され(摩擦片分離方式)搬送される。
【0022】
そして、給送装置13から搬送されたシートSはレジストローラ対17によって2次転写部15に搬送される。2次転写部15において、2次転写ローラ18に正極性のバイアスを印加する。これにより、搬送されたシートSに、中間転写ベルト5上の4色のトナー像を2次転写する。
【0023】
定着手段である定着部14は、シートSに形成したトナー画像に熱及び圧力を加えて定着させるものである。定着ベルト14aは円筒形状であり、ヒータ等の発熱手段を接着したベルトガイド部材(不図示)にガイドされている。そして、定着ベルト14aと加圧ローラ14bとが所定の圧接力をもって定着ニップを形成している。
【0024】
そして、画像形成部から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートSが、定着ベルト14aと加圧ローラ14bとの間の定着ニップで加熱及び加圧される。そして、シートS上の未定着トナー画像がシートSに定着される。その後、トナー画像が定着されたシートSは、排出ローラ対19によって排出トレイ20に排出される。
【0025】
また、シートSへの2次転写後に中間転写ベルト5上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置23によって除去される。除去されたトナーは、廃トナー搬送路(不図示)を通過し、装置奥面部に配置された廃トナー回収容器(不図示)へと回収される。
【0026】
図2は、プロセスカートリッジ7aの構成を示す断面図である。各々のプロセスカートリッジ7a〜7dはトナーtを収納している。イエロー色のトナーtを収納したプロセスカートリッジ7a、マゼンタ色のトナーtを収納したプロセスカートリッジ7b、シアン色のトナーtを収納したプロセスカートリッジ7c、ブラック色のトナーtを収納したプロセスカートリッジ7dは同一構成である。そのため、プロセスカートリッジ7aの構成に関してのみ説明し、この説明はプロセスカートリッジ7b、7c、7dの構成に援用されるものとする。
【0027】
プロセスカートリッジ7aは、感光体ドラム1aと、帯電手段である帯電ローラ2a及びクリーニング手段であるクリーニング部材6aを備えたクリーニングユニット26a、並びに、現像手段である現像ローラ25aを有する現像ユニット4aに分かれている。
【0028】
クリーニングユニット26aは、クリーニング枠体27を有する。クリーニング枠体27には、感光体ドラム1aが後述のドラム軸受29、59(図3(a)参照)を介して回転自在に取り付けられている。そしてクリーニングユニット26aに駆動モータ(不図示)の駆動力を伝達することにより、感光体ドラム1aを画像形成動作に応じて回転駆動させる。感光体ドラム1aの周上には、前述した通り帯電ローラ2a、クリーニング部材6aが配置されている。さらに、クリーニング部材6aによって感光体ドラム1aの表面から除去された残留トナーは除去トナー室27aに落下する。クリーニング枠体27には帯電ローラ軸受28が、帯電ローラ2aの中心と感光体ドラム1aの中心を通る矢印Dの方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2aの軸2jは帯電ローラ軸受28に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受28は帯電ローラ加圧部材46により感光体ドラム1aに向かって加圧される。
【0029】
現像ユニット4aは、感光体ドラム1aと接触して矢印Bの方向に回転する現像ローラ25aと現像枠体31を有する。『第2枠体』である現像枠体31は、感光体ドラム1aの表面に形成された静電像を現像する現像剤を担持する『現像剤担持体』である現像ローラ25aを支持する。現像ローラ25aは、現像枠体31の長手方向の両側にそれぞれ取り付けられたアーム部48を介して、現像枠体31に回転自在に支持されている。また、現像ローラ25aの周上には、現像ローラ25aに接触して矢印Cの方向に回転するトナー供給ローラ34aと現像ローラ25a上のトナー層を規制するための現像ブレード35が配置されている。さらに現像枠体31のトナー収容部31aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ34へトナーを搬送するためのトナー搬送部材36が設けられている。
【0030】
そして、現像ユニット4aとクリーニングユニット26aは結合部材である後述の結合ピン37によって揺動自在に結合されている。現像ユニット4aは、加圧バネ38により付勢されている。そのため、プロセスカートリッジ7aの画像形成時においては、現像ユニット4aは結合ピン37を中心に矢印Aの方向に回転し、現像ローラ25aが感光体ドラム1aに当接している。
【0031】
図3(a)は、クリーニングユニット26aを分解して、クリーニングユニット26aの駆動側の方向から見た斜視図である。図3(b)は、クリーニングユニット26aを分解して、クリーニングユニット26aの非駆動側の方向から見た斜視図である。これらの図3(a)及び図3(b)を用いて、クリーニングユニット26aを構成する感光体ドラム1a及びドラム軸受29、59のクリーニング枠体27への取り付け構成について詳述していく。
【0032】
感光体ドラム1aは、一方の端部にドラムフランジ41が取り付けられ、他方の端部にドラムフランジ42が取り付けられている。駆動側であるドラムフランジ41の先端面には、カートリッジ側のカップリング手段である凸部41aが形成されている。
【0033】
『軸受部材』であるドラム軸受29は、感光体ドラム1aを回転自在に支持する『軸受孔』である内周部29bを有すると共に、『第1ピン孔』である貫通孔29dを有する。ドラム軸受29に関して更に詳述すると以下のようになる。ドラム軸受29は、クリーニング枠体27の側に向かって突出する外周突出部29a及び板部29kを有する。ドラム軸受29は、外周突出部29aを感光体ドラム1aの軸方向に貫通する内周部29bを有する。また、ドラム軸受29は、板部29kに形成されると共にドラム軸受29をクリーニング枠体27に位置決めする位置決め孔29cを有する。さらに、ドラム軸受29は、板部29kに形成されると共に後述の結合ピン37が挿入される貫通孔29dを有する。
【0034】
同様に、『軸受部材』であるドラム軸受59は、感光体ドラム1aを回転自在に支持する『軸受孔』である内周部59bを有すると共に、『第1ピン孔』である貫通孔59dを有する。ドラム軸受59に関して更に詳述すると以下のようになる。ドラム軸受59は、クリーニング枠体27の側に向かって突出する外周突出部59a及び板部59kを有する。ドラム軸受59は、外周突出部59aを感光体ドラム1aの軸方向に貫通する内周部59bを有する。また、ドラム軸受59は、板部59kに形成されると共にドラム軸受59をクリーニング枠体27に位置決めする位置決め孔59cを有する。さらに、ドラム軸受59は、板部59kに形成されると共に後述の結合ピン37が挿入される貫通孔59dを有する。
【0035】
クリーニング枠体27は、感光体ドラム1aの軸方向の一方の端部側に感光体ドラム1aの軸と直交する方向に広がる外壁27bを有する。この外壁27bには、ドラム軸受29の外周突出部29aが挿入された場合に、外周突出部29aを受け止める取り付け穴27cが設けられている。
【0036】
また、クリーニング枠体27は、感光体ドラム1aの軸方向の他方の端部側に感光体ドラム1aの軸と直交する方向に広がる外壁57bを有する。この外壁57bには、ドラム軸受59の外周突出部59aが挿入された場合に、外周突出部59aを受け止める取り付け穴57cが設けられている。
【0037】
これらの取り付け穴27c、57cは欠円部を有し、欠円部は取り付け穴27c、57cの直径よりも小さな対向間隔を有し、この間隔はドラムフランジ41、42の直径よりも大きい。また、ドラムフランジ41、42はドラム軸受29、59の内周部29b、59bに嵌合する。クリーニング枠体27の外壁27b、57bに一体的に形成して設けられた位置決めピン27d、57dは、ドラム軸受29、59の設けた位置決め孔29c、59cに密に嵌合するようになっている。また、ドラム軸受29、59とクリーニング枠体27の長手の位置は外壁27b、57bで決められている。
【0038】
以上より、ユニット化された感光体ドラム1aを軸方向(長手方向)と直交する方向からクリーニング枠体27へ取り付け可能となる。これと共に、長手方向からドラム軸受29、59をクリーニング枠体27へ取り付ける際にドラム軸受29、59のクリーニング枠体27への関係位置が定まる。感光体ドラム1aをクリーニング枠体27へ取り付けるには、感光体ドラム1aを長手方向と直交する方向に移動し、ドラムフランジ41、42を欠円部を通過させて軸受の取り付け穴27c、57cに挿入する。この状態でドラム軸受29、59を軸方向に移動して内周部29b、59bをドラムフランジ41、42に嵌入し、更に軸方向に移動し、外周突出部29a、59aをクリーニング枠体27の軸受の取り付け穴27c、57cに嵌合し、ビスX、Xで留める。
【0039】
図4(a)は、クリーニングユニット26a及び現像ユニット4aを分離したプロセスカートリッジ7aの拡大分解斜視図である。図4(b)は、クリーニングユニット26a及び現像ユニット4aが結合ピン37で結合された状態を示すプロセスカートリッジ7aの拡大断面図である。なお、実施例1において、クリーニングユニット26a及び現像ユニット4aの結合はプロセスカートリッジ7aの長手方向の一方のみに関して説明するが、他方に関しても同様の結合構成となっている。
【0040】
『第1枠体』であるクリーニング枠体27は、感光体ドラム1aの軸方向で外側の端部側に形成される板状の『外側板』である外壁27bを備える。また、クリーニング枠体27は、感光体ドラム1aの軸方向で内側の端部側に形成される板状の『内側板』である内壁27eを備える。そして、外壁27bには、『第2ピン孔』である結合孔42aが形成されている。また、内壁27eには、『第3ピン孔』である結合孔42bが形成されている。後述するが、結合ピン37で、クリーニング枠体27にはドラム軸受29が取り付け自在となっている。また、ドラム軸受29には、クリーニング枠体27に形成された結合孔42a及び結合孔42bと同軸の位置に結合孔42a及び結合孔42bよりも径が大きい貫通孔29dが形成されている。
【0041】
一方で、現像ユニット4aには、感光体ドラム1aの軸方向の端部側で感光体ドラム1aの軸方向と直交する方向に凸状に形成されるアーム部48が形成されている。アーム部48の先端側には『第4ピン孔』である結合孔48aが形成されている。
【0042】
結合ピン37は、貫通孔29d、結合孔42a及び結合孔42b、結合孔48aに嵌合されてクリーニング枠体27及び現像枠体31を互いに揺動自在に結合する結合部37a、並びに、結合部37aの端部に設けられる鍔部37bを有する。詳しくは、結合ピン37は、アーム部48の結合孔48a、外壁27bの結合孔42a、内壁27eの結合孔42b、アーム部48の結合孔48aに挿入される。そして、貫通孔29d及び結合部37aよりも径が大きい鍔部37bで押えられる。この結合ピン37が結合孔42a、結合孔42b、結合孔48aに挿入された状態では、結合孔42a、42bと結合孔48aは互いに揺動自在になっている。また、クリーニング枠体27の結合孔42a、42bには結合ピン37の結合部37aが締まりばめとなり、現像ユニット4aの結合孔48aには結合部37aが隙間ばめとなるように、各結合孔42a、42b、48a及び結合部37aの径寸法が設定されている。
【0043】
現像ユニット4a及びクリーニングユニット26aが結合ピン37で結合される場合には、結合孔42a、42b、48aが感光体ドラム1aの軸方向で一致する位置で現像ユニット4a及びクリーニングユニット26aが組み合わせられる。
【0044】
その状態で、ドラム軸受29の貫通孔29d、クリーニング枠体27の結合孔42a、42b及び現像ユニット4aの結合孔48a に結合ピン37の結合部37aが通されることで、現像ユニット4aとクリーニングユニット26aは結合される(図4(b)参照)。結合ピン37は鍔部37bの突き当て面37cとドラム軸受29の突き当て座面29fが突き当たることで長手方向の位置が決まる。よって、結合ピン37は、鍔部37bでドラム軸受29を挟み込んでクリーニングユニット26aに保持され、現像ユニット4aは、クリーニングユニット26aに対し回転可能に支持される。こうして、ドラム軸受29は、鍔部37bによってクリーニング枠体27に固定自在となっている。また、鍔部37b及び外壁27bがドラム軸受29を挟んだ状態でドラム軸受29が外壁27bに取り付けられることとなる。
【0045】
また、現像ユニット4aにはバネ用突起39が設けられており、このバネ用突起39には加圧バネ(圧縮コイルバネ)38が差し込まれている。現像ユニット4aとクリーニングユニット26aを結合すると、加圧バネ38は現像ユニット4aのバネ用突起39とクリーニングユニット26aのバネ座面27fの間に位置するようになっている。これによりクリーニングユニット26aの感光体ドラム1aと現像ユニット4aの現像ローラ(不図示)が所定の圧力で当接するようになる。
【0046】
図5は、プロセスカートリッジ7aの斜視図である。この図5を用いると共に前述の図4(b)を参照しつつ、プロセスカートリッジ7aの分解方法に関して以下に詳述する。特に、プロセスカートリッジ7aの分解方法では、結合ピン37が取り外されると、ドラム軸受29がクリーニング枠体27から取り外し自在となると同時にクリーニング枠体27が現像枠体31から取り外し自在となる点に特徴がある。まず、ドラム軸受29とクリーニング枠体27を止めているビスXが取り外される。ビスXが取り外された状態では、ドラム軸受29は結合ピン37の鍔部37bによりクリーニング枠体27に固定されている。そこで、クリーニング枠体27の結合孔42a近傍に設けてある凹部43にドライバーF等の簡易工具を差込む。ドライバーFが、テコの原理を利用しながら矢印Jの方向に回転されると、ドラム軸受29がクリーニング枠体27から取り外される。また、ドラム軸受29がクリーニング枠体27から取り外されると、結合ピン37の鍔部37bはドラム軸受29の突き当て面29eから挿入方向とは逆方向の力を受ける。よって、結合ピン37はドラム軸受29と一体的にクリーニング枠体27から取り外される。
【0047】
結合ピン37が外されると、クリーニングユニット26a及び現像ユニット4aが分解される。更に、クリーニングユニット26aにおいては、ドラム軸受29が外されることで感光体ドラム1aが取り外される。
【0048】
以上、説明したように、実施例1によれば、クリーニングユニット26a及び現像ユニット4aを結合する結合ピン37は、結合部37a及び鍔部37bを有し、鍔部37bが、ドラム軸受29を挟み込み、結合部37aにてクリーニング枠体27に固定する。こうすることにより、結合ピン37をドラム軸受29のクリーニング枠体27への固定手段の一つとして使用することができ、ビス個数の削減が可能となる。また、分解時には、ドラム軸受29を取り外すことで結合ピン37も同時に取り外すことができるため、クリーニングユニット26aと現像ユニット4aの分解工程と、感光体ドラム1aの分解工程を同時に行うことができる。また、実施例1によれば、結合ピン37、ドラム軸受29、59等の部材を傷つけずに取り出すことが可能である。
【実施例2】
【0049】
図6(a)は、実施例2に係る画像形成装置が備えるクリーニングユニット260aの構成を示す斜視図である。図6(b)は、実施例2に係る画像形成装置が備えるプロセスカートリッジ70aの構成を示す斜視図である。実施例2のクリーニングユニット260a及びプロセスカートリッジ70aの構成のうち実施例1のクリーニングユニット26a及びプロセスカートリッジ7aと同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例2のクリーニングユニット260a及びプロセスカートリッジ70aが実施例1のクリーニングユニット26a及びプロセスカートリッジ7aと異なる点は、クリーニングユニット260aでは、結合ピン37がドラム軸受290に熱溶着で固定される点である。
【0050】
図6(a)に示されるように、クリーニングユニット260aはドラム軸受29に替えて溶着リブ291及び把持部292が形成されているドラム軸受290を有する。ここで、溶着リブ291は円状で、その直径は結合ピン37の鍔部37bより大きい径で形成されている。
【0051】
クリーニングユニット260aと現像ユニット4aは実施例1と同様の方法で結合ピン37により結合された後、熱溶着にてドラム軸受290に設けられた溶着リブ291を結合ピン37の鍔部37bを樹脂で覆うように溶着する(図6(b)参照)。このように、結合ピン37をドラム軸受290に溶着することで、衝撃などにより結合ピン37が外れるのを防止することができる。
【0052】
また、クリーニングユニット260aと現像ユニット4aを分解する際は、ドラム軸受290とクリーニング枠体27を止めているビスXを取り外す。その後、ドラム軸受290の把持部292を把持して図6(b)中の矢印Hの方向に引張ることによりドラム軸受290をクリーニング枠体27から取り外すことができる。そして、ドラム軸受290により結合ピン37もクリーニング枠体27から取り外すことが可能となる。
【0053】
結合ピン37が外れることによりクリーニングユニット260aと現像ユニット4aを分解することができる。更に、クリーニングユニット260aにおいては、ドラム軸受290が外れることにより感光体ドラム1aを取り外すことができる。なお、イエローのクリーニングユニット260a及びプロセスカートリッジ70aに関してのみ記載するが、マゼンタ、シアン、ブラックのクリーニングユニット及び現像ユニットに関しても同様の構成である。
【0054】
実施例1及び2の画像形成装置によれば、結合ピン37が取り外されると、クリーニング枠体27及び現像枠体31が分離されると同時に、感光体ドラム1aを支持するドラム軸受29がクリーニング枠体27から分離される。その結果、プロセスカートリッジ7aが従来より簡単に分解される。
【符号の説明】
【0055】
1a、1b、1c、1d・・・・・・感光体ドラム(電子写真感光体ドラム)
7a、7b、7c、7d・・・・・・プロセスカートリッジ
25a、25b、25c、25d・・現像ローラ(現像剤担持体)
27a クリーニング枠体(第1枠体)
27b 外壁(外側板)
27e 内壁(内側板)
29、59 ドラム軸受
29b 内周部(軸受孔)
29d 貫通孔(第1ピン孔)
31 現像枠体(第2枠体)
37 結合ピン
37a 結合部
37b 鍔部
42a 結合孔(第2ピン孔)
42b 結合孔(第3ピン孔)
48 アーム部
48a 結合孔(第4ピン孔)
100 画像形成装置
100A 装置本体(画像形成装置本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体ドラムと、
前記電子写真感光体ドラムを回転自在に支持する軸受孔を有すると共に第1ピン孔を有する軸受部材と、
第2ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの軸方向で外側に形成される板状の外側板、及び、第3ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの軸方向で内側に形成される板状の内側板を有する第1枠体と、
第4ピン孔が形成されると共に前記電子写真感光体ドラムの表面に形成された静電像を現像する現像剤を担持する現像剤担持体を支持する第2枠体と、
前記第1ピン孔、前記第2ピン孔、前記第3ピン孔及び前記第4ピン孔に嵌合されて前記第1枠体及び前記第2枠体を互いに揺動自在に結合する結合部、並びに、前記結合部の端部に設けられる鍔部を有する結合ピンと、を備え、
画像形成装置本体に着脱自在であると共に、前記鍔部及び前記外側板が前記軸受部材を挟んだ状態で前記軸受部材が前記外側板に取り付けられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記軸受部材は、前記鍔部によって前記第1枠体に固定自在であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記結合ピンは、前記軸受部材に熱溶着で固定自在であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジの分解方法であって、
前記結合ピンが取り外されると、前記軸受部材が前記第1枠体から取り外し自在となると同時に前記第1枠体が前記第2枠体から取り外し自在となることを特徴とするプロセスカートリッジの分解方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−123348(P2011−123348A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281597(P2009−281597)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】