説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】枠体に対する薄板部材の高精度の取付が可能なカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたカートリッジ2であって、現像剤収納部30を備えた枠体24と、現像剤収納部30の開口部において枠体24に対して回転可能に構成された回転体21と、枠体24に取り付けられ、枠体24と回転体21との間から現像剤が漏れ出るのを防ぐべく、回転体21に当接する薄板部材15と、を備えるカートリッジ2において、枠体24に型を当接させて形成される成形空間内に枠体24とは異なり枠体よりも弾性率の小さい熱可塑性樹脂を注入することにより、枠体24に一体成形される接着部材10を備え、薄板部材15は、接着部材10に溶着されることにより枠体24に取り付けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジを備える構成が知られている。プロセスカートリッジとは、電子写真感光体および前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にユニット化したものであり、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段の少なくとも何れか一つを含む。この種のプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずにユーザー自身で行なうことができ、格段に操作性を向上させることができる。そこで、このプロセスカートリッジ方式は電子写真画像形成装置において広く用いられている。電子写真画像形成装置には、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置等が含まれる。
図25〜図28を参照し、従来のプロセスカートリッジについて説明する。図25は、従来のプロセスカートリッジの概略断面図である。図26は、スクイシート203に初期テンションを付加したときの概略図である。図27は、常温(ex.23℃)⇒高温(ex.50℃)⇒常温(ex.23℃)と環境が変化したときのクリーニング容器201、両面テープ204、スクイシート203のそれぞれの界面のズレを表した状態変化図である。図28は、スクイシート203の先端がうねったクリーニング容器201の状態説明図である。
一般的に、電子写真画像形成装置では、画像形成時に以下のような工程が繰り返される。まず、感光層を外周面に有する像担持体である電子写真像担持体(像担持体202)に静電潜像を形成する。トナー容器300、現像容器301、現像剤担持体302を経由して現像手段から搬送された現像剤によりこの静電潜像を像として現像(顕像化)し、得られた像を転写材に転写する。また、1つの画像形成工程終了後に像担持体表面に残留した現像剤及びその他の付着物を次の画像形成工程開始前にクリーニング手段によって十分に除去している。
クリーニング手段の一例として、クリーニングブレード205と、スクイシート203と、クリーニング容器201とで構成されたものがある。クリーニングブレード205は、像担持体202上に残留したトナーを掻き落とすためのものであり、スクイシート203は、掻き落としたトナーをすくい取るためのものであり、それぞれ像担持体202表面に接触するように設けられている。クリーニング容器201は、すくい取った廃トナーを溜めるための廃トナー室200を備えている。スクイシート203は、二軸延伸ポリエステルからなり、クリーニング容器201の所定位置(取付面)に両面テープ204によって貼り付けられている。ここで、像担持体202と接触するスクイシート203は、先端部のうねり等が無く精度良く貼り付けられる必要がある。精度良く貼り付けられていない場合、スクイシート203先端が像担持体202表面に完全に密着できず、その結果、クリーニングブレード205で掻き落とした現像剤を確実にすくい取れなくなるからである(特許文献1参照)。また、スクイシート203の先端部のうねりを防止する為、スクイシート203は先端に張力(テンション)を与えられ、反り量m(初期テンション量)を得るように貼り付けられている(図26参照)。なお、206a、206bは、像担持体端部シール部材であり、207は、帯電ローラである。
また、現像手段の一例として、現像ブレードユニット305と、吹き出し防止シート303と、を備えたものがある。現像ブレードユニット305は、現像剤担持体302の回転方向の上流側に現像剤担持体302に担持されている現像剤の層厚を規制するためのものである。吹き出し防止シート303は、現像剤担持体302の回転方向の下流側に現像
容器301内部から外部への現像剤の吹き出し(漏出)を防止するためのものである。これら現像ブレードユニット305及び吹き出し防止シート303は、現像剤担持体302の表面に接触するように設けられている。また、吹き出し防止シート303は、ニ軸延伸ポリエステルにより形成されており、現像容器301の所定位置(取付面)に両面テープ304によって貼り付けられている。吹き出し防止シート303に関しても前述のスクイシート203と同様、吹き出し防止シート303は先端部のうねり等が無く精度良く貼り付けられる必要がある。精度良く貼り付けられていない場合、吹き出し防止シート303先端が現像剤担持体302表面に完全に密着できず、その結果、この間隙から現像容器301内の現像剤が吹き出してしまうからである。また、スクイシート203と同様、吹き出し防止シート303の先端部のうねりを防止する為、吹き出し防止シート303も先端に張力(テンション)を与えられ、ある反り量(初期テンション量)を得るように貼り付けられている。なお、306a、306bは、現像剤担持体端部シール部材である。
以上のように、スクイシート203や吹き出し防止シート303(以下、薄板部材)等は、両面テープを用いてクリーニング容器201や現像容器301(以下、枠体)に貼り付けられる。そして、その貼り付け位置は枠体からの現像剤漏れ防止に大きく影響するため重要である。このため、現像剤の漏れ防止のため両面テープを高精度に枠体に貼り付ける必要があり、薄板部材先端のうねりを防止することが重要である。また、薄板部材は画像形成装置停止時及び使用時の画像形成装置内のカートリッジ周りの温度変化(例えば、0℃〜50℃)において薄板部材先端のうねりを防止する必要がある。
例えば、図27に示すように、常温(ex.23℃)→高温(ex.50℃)の環境下にカートリッジを放置した場合は、それぞれの部材は各々の線膨張分伸びることとなる。このとき、両面テープ204はクリーニング容器201、スクイシート203のそれぞれの界面でズレることによってクリーニング容器201、スクイシート203の伸びの差を吸収している。そして、常温に戻るときにこのズレが元に戻りきらず、y1、y2として残る場合がある。このとき、反り量m(初期テンション量)が不十分だった場合、反り量mが小さくなり、図28に示すようなうねりwを生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3231848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動機によるカートリッジの組立工程において、更なるコストダウンのため生産効率や製品の製作精度の向上が求められている。また、電子写真画像形成装置の高性能化・高画質化に伴いカートリッジの小型化が求められている。しかしながら、上述した両面テープを用いた枠体への薄板部材の接着方法では、次のような課題があった。両面テープが柔らかいため、コストダウンやカートリッジの小型化のために両面テープの幅を小さくしてしまうと、両面テープの蛇行が発生し、カートリッジ枠体に高精度に貼り付けることが難しい。また、高温下の環境放置後、両面テープと薄板部材、両面テープとカートリッジ枠体とのそれぞれの界面でズレが生じ、反り量mが小さくなり、薄板部材の初期テンションが減衰してしまう。そのため、それを考慮した薄板部材先端のテンション量の管理が必要となっていた。
【0005】
本発明の目的は、枠体に対する薄板部材の高精度の取付が可能なカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係るカートリッジは、
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたカートリッジであって、
現像剤収納部を備えた枠体と、
前記現像剤収納部の開口部において前記枠体に対して回転可能に構成された回転体と、
前記枠体に取り付けられ、前記枠体と前記回転体との間から現像剤が漏れ出るのを防ぐべく、前記回転体に当接する薄板部材と、
を備えるカートリッジにおいて、
前記枠体に型を当接させて形成される成形空間内に前記枠体とは異なり前記枠体よりも弾性率の小さい熱可塑性樹脂を注入し成形されることにより、前記枠体に一体成形される接着部材を備え、
前記薄板部材は、前記接着部材に溶着されることにより前記枠体に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、
上記カートリッジを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、枠体に対する薄板部材の高精度の取付が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置全体構成を示す概略断面図。
【図2】プロセスカートリッジの概略断面図。
【図3】クリーニング部材と像担持体を示す模式構成断面図。
【図4】クリーニングユニットのクリーニング部材の構成を示す模式断面図。
【図5】図4中の矢印a方向から見た構成説明図。
【図6】現像ユニットの各構成を示す模式構成断面図。
【図7】現像ユニットの各構成を示す模式断面図。
【図8】図7中の矢印a方向から見た構成説明図。
【図9】エラストマ部材の成形についての説明図。
【図10】図9(b)のA−A概略断面図。
【図11】エラストマ部材の成形時の様子を示す概略図。
【図12】エラストマ部材の成形形状1の構成説明図。
【図13】エラストマ部材の成形形状2の構成説明図。
【図14】エラストマ部材の成形形状3の構成説明図。
【図15】エラストマ部材の成形形状4の構成説明図。
【図16】エラストマ部材の成形形状5の構成説明図。
【図17】エラストマ部材の成形形状6の構成説明図。
【図18】スクイシートを取り付けたクリーニング容器の概略構成図。
【図19】スクイシート上端にテンションを付与する方法の説明図。
【図20】エラストマ部材を溶融させシートを溶着させている状態を示す説明図。
【図21】図20の断面図。
【図22】図21の部分拡大図。
【図23】スクイシートを溶着させたクリーニング容器を示す説明図。
【図24】本発明の実施例におけるエラストマ部材の成形形状の概略図。
【図25】従来のプロセスカートリッジの概略断面図。
【図26】スクイシートに初期テンションを付加したときの概略図。
【図27】高温環境下での界面ズレの状態変化図。
【図28】シート上端うねり状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に
詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
以下の説明において、プロセスカートリッジの長手方向とは、プロセスカートリッジを電子画像形成装置本体に装着する方向と交差する方向(略直交する方向、像担持体の回転軸線方向)である。また、プロセスカートリッジの左右とはプロセスカートリッジを電子画像形成装置本体に装着する方向から見て左または右である。また、プロセスカートリッジの上面とはプロセスカートリッジを電子画像形成装置本体に装着した状態で上方に位置する面であり、下面とは下方に位置する面である。
【0012】
(画像形成装置本体構成)
図1を参照して、本発明の実施例に係る電子写真画像形成装置本体の構成について説明する。図1は、画像形成装置の一形態であるカラーレーザービームプリンタ(以下「画像形成装置本体」という)の概略断面図である。画像形成装置本体100は、Y、M、C、Bk各色のプロセスカートリッジ2と、中間転写ベルト(中間転写体)35と、定着部50と、排出ローラ群53、54、55と、排出トレイ56と、を備える。4色のプロセスカートリッジ2は、画像形成装置本体100に対して個別に着脱可能に構成されている。
【0013】
次に、画像形成装置本体100の動作について説明する。まず、給紙ローラ41が回転して給紙カセット7内の転写材Pを一枚分離した上で、レジストローラ44へと搬送する。一方で像担持体21と中間転写体35が、所定の外周速度V(以下プロセス速度と呼ぶ)で図1の矢印方向へ回転する。像担持体21は、帯電手段によって表面を均一に帯電された上で、レーザ10による露光を受けることによって静電潜像が形成される。この潜像形成と同時に現像ユニット2bが、像担持体21上の潜像に現像剤(以下「トナー」という)で現像を行なう。像担持体21上に現像されたY、M、C、Bk各色のカラー画像は、中間転写体35の外周に一次転写される。中間転写体35上に転写された各色の画像は、転写材Pに二次転写された後、定着部50にて転写材Pに定着される。画像が定着された転写材Pは、排出ローラ対53、54、55を介して排出トレイ56上に排出され、画像形成動作を終了する。
【0014】
(プロセスカートリッジ構成)
図2を参照して、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジ2の構成について説明する。図2は、プロセスカートリッジ2の概略断面図である。なお、Y、M、C、Bkの各カートリッジは同一構成である。プロセスカートリッジ2は、クリーニングユニット2aと、現像ユニット2bに分かれている。
【0015】
クリーニングユニット2aは、回転体としての像担持体21がクリーニング容器24に回転可能に取り付けられている。像担持体21周上には、像担持体21の表面を一様に帯電させるための一次帯電手段である帯電ローラ23と、像担持体21上に残ったトナーを除去するためのクリーニングブレード28が配置されている。また、クリーニングブレード28が除去したトナーをすくい取るための可撓性シート部材としてのスクイシート(薄板部材)15と、スクイシート15を固定するエラストマ部材(接着部材)10が配置されている。更に、帯電ローラ23をクリーニングするための帯電ローラクリーナ17と、帯電ローラクリーナ17を固定するエラストマ部材12が配置されている。
【0016】
現像ユニット2bは、現像手段である現像剤担持体22と、トナーが収容されたトナー容器70と、現像容器71とから構成される。現像剤担持体22は、回転自在に現像容器71に支持される。現像剤担持体22の周上には、現像剤担持体22と接触して矢印Z方
向に回転するトナー供給ローラ72と現像剤規制部材73、吹き出し防止シート(薄板部材)16と吹き出し防止シート16を固定するエラストマ部材(接着部材)11がそれぞれ配置されている。更に、トナー容器70内にはトナー攪拌機構74が設けられている。
【0017】
次に、プロセスカートリッジ2の動作について説明する。まず、図2の矢印X方向に回転するトナー攪拌機構74によってトナーがトナー供給ローラ72へ搬送される。トナー供給ローラ72は、図2の矢印Z方向に回転することによって、トナーを現像剤担持体22に供給する。現像剤担持体22上に供給されたトナーは、現像剤担持体22のY方向の回転によって現像剤規制部材(現像ブレードユニット)73のところに至る。現像剤規制部材73は、トナーを規制して所望の帯電電荷量を付与するとともに、所定のトナー薄層を形成する。現像剤規制部材73によって規制されたトナーは、像担持体21と現像剤担持体22とが接触した現像部に搬送された上で、現像剤担持体22に印加された現像バイアスによって像担持体21上に現像される。像担持体21上に現像されたトナーが中間転写体35に一次転写された後、像担持体21上に残留した廃トナーがクリーニングブレード28によって除去される。除去された廃トナーは、廃トナー室(現像剤収納部)30に溜められる。
【0018】
(クリーニングユニット)
図3〜図5を参照して、クリーニングユニット2aの構成について説明する。図3は、クリーニング部材と像担持体21を示す模式構成断面図、図4は、クリーニング部材の構成を示す模式断面図、図5は、クリーニング手段を図4中の矢印a方向から見た構成説明図である。
【0019】
図3及び図4に示すように、像担持体21から廃トナー等の残留物を掻き落とすクリーニングブレード28と、掻き落とされた残留物をすくい取るスクイシート15が設けられている。また、残留物を収納する廃トナー室30と、廃トナー室30から残留物が漏れ出ないようにクリーニングブレード28の両端部に配した像担持体端部シール部材26a、26bと、クリーニングブレード下シール27とを有している。これら各部材がクリーニング容器24に組み込まれてクリーニングユニット2aが構成されている。
【0020】
具体的には、図5に示すように、クリーニングブレード28及びスクイシート15は、相互に干渉しない位置で像担持体21の外周面に当接しており、開口24aが形成される。スクイシート15は、クリーニング容器24にスクイシート15の接着部材として成形されたエラストマ部材10部分に熱溶着されている(詳細は後述する)。像担持体21は、クリーニング容器24の開口部に配されたような構成となっており、スクイシート15は、像担持体21に当接することで、クリーニング容器24と像担持体21との間からトナーが漏れ出るのを防ぐために設けられている。また、像担持体端部シール部材26a、26bは、図5に示すようにクリーニングブレード28を基準に配置され、また、スクイシート15の両端部に接触しており、且つ図3に示すように像担持体21の外周面とも接触している。更に、クリーニングブレード下シール27によってクリーニングブレード28とクリーニング容器24の隙間等を密閉している。
【0021】
また、帯電ローラ23をクリーニングするための帯電ローラクリーナ17が設けられており、帯電ローラクリーナ17は、クリーニング容器24に帯電ローラクリーナ17の接着部材として成形されたエラストマ部材12部分に熱溶着されている。
【0022】
(現像ユニット)
図6〜図8を参照して、現像ユニット2bの構成について説明する。図6は、吹き出し防止シート16と現像ブレードユニット73と現像剤担持体端部シール部材95a、95bと現像剤担持体22を示す模式構成断面図である。図7は、吹き出し防止シート16と
現像ブレードユニット73と現像剤担持体端部シール部材95a、95bの構成を示す模式断面図である。図8は、図7中の矢印a方向から見た構成説明図である。
【0023】
図6及び図7に示すように、現像剤担持体22のトナーをならす現像ブレードユニット73と、現像担持体22と現像容器71の間からトナーが吹き出す事を防止する吹き出しシート16が設けられている。また、トナーを収納する現像容器71と、現像容器71からトナーが漏れ出ないように現像ブレードユニット73の両端部に配した現像剤担持体端部シール部材95a、95bと、現像ブレード下シール93とを有している。これら各部材が現像容器71に組み込まれて現像ユニット2bが構成されている。
【0024】
具体的には、図8に示すように、現像ブレードユニット73及び吹き出しシート16は、相互に干渉しない位置で現像剤担持体22の外周面に当接しており、開口71aが形成される。吹き出しシート16は、現像容器71に吹き出しシート16の接着部材として成形されたエラストマ部材11部分に熱溶着されている(詳細は後述する)。また、現像剤担持体端部シール部材95a、95bは、図8に示すように現像ブレードユニット73及び吹き出しシート16の両端部に接触しており、且つ図6に示すように現像剤担持体22の外周面とも接触している。更に、現像ブレード下シール93によって現像ブレードユニット73と現像容器71の隙間等を密閉している。
【0025】
また、トナーの飛散を防止するために飛散防止シート18が設けられており、飛散防止シート18は、現像容器71に飛散防止シート18の接着部材として成形されたエラストマ部材13部分に熱溶着されている。
【0026】
(エラストマ部材の成形)
図9〜図11を参照して、エラストマ部材10を成形する工程を説明する。図9は、接着部材としてのエラストマ部材の成形について説明する図である。図9(a)は、クリーニング容器24の概略図と注入口部の概略拡大図である。図9(b)は、クリーニング容器24にエラストマ成形金型83を型締めした状態の概略図である。図9(c)は、図9(b)のA−A概略断面図である。図9(d)は、図9(b)のB−B概略断面図である。図10は、図9(b)のA−A概略断面図であり、エラストマ部材10の成形時の様子を示す図である。図11は、エラストマ部材10の成形時の様子を示す概略図である。
【0027】
図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)に示すように、クリーニング容器24の一端側の像担持体端部シール部材26aと他端側の像担持体端部シール部材26bとの間にエラストマ部材形成部71dが設けられている。エラストマ部材形成部71dはエラストマ部材10が注入される凹部71d1と金型が当接する当接面71d2、71d3を有している。また、長手方向の所定箇所には、円筒状でシール形成部71dの凹部71d1と連通している注入口76が設けられている。
【0028】
次に、エラストマ部材10の成形方法について説明する。本実施例では、図9(a)に示すようにエラストマ部材形成部71dの長手中央部1箇所に注入口76を設けているが、注入口を2箇所以上設ける構成でも良い。エラストマ部材10を成形する際、図9(c)、図9(d)に示すようにクリーニング容器24のエラストマ部材形成部71dの当接面71d2、71d3へエラストマ成形金型83を当接させる。エラストマ成形金型83は、エラストマ部材10の形状に掘り込んだ、すなわち、エラストマ部材10の外形形状に対応した形状の凹部83dを備えた構成となっている。次に、クリーニング容器24の長手中央部1箇所に設けられた注入口76に樹脂注入装置のゲート82を当接させる。そして、エラストマ部材10となる熱可塑性エラストマを樹脂注入装置のゲート82からクリーニング容器24の注入口76へ図9(c)中矢印のように注入する。注入された熱可塑性エラストマは、図10に示すようにクリーニング容器24のエラストマ部材形成部7
1dの凹部71d1とエラストマ成形金型83の凹部83dとで形成された成形空間に流し込まれる。長手中央部1箇所から注入された熱可塑性エラストマは、図11に示すように、エラストマ部材形成部71dの凹部71d1とエラストマ成形金型83の凹部83dで形成された成形空間をそれぞれ長手方向両側へ流れる。このように、クリーニング容器24に型を当接されて形成される成形空間内に熱可塑性樹脂を注入し成形されることにより、クリーニング容器24に一体的なエラストマ部材10が成形される。
【0029】
エラストマ部材はクリーニング容器24に一体的に成形して成るものである。本実施例ではエラストマ部材10の材質としてスチレン系エラストマ樹脂を用いている。これは、クリーニング容器24がハイインパクトポリスチレン(HI−PS)からなるため、エラストマ樹脂としては、クリーニング容器24と同系の材質からなり弾性を有するスチレン系エラストマ樹脂が好ましい。同材質部品であれば部品同士の分解を行なわなくて済むため、プロセスカートリッジのリサイクル時の分解作業性に優れているからである。なお、同様の機械的特性を持つものであれば上記材質の他のエラストマ樹脂でも良い。
【0030】
また、本実施例では、成形するエラストマ部材10として、弾性率が2.5MPa〜10MPaの物性の物を使用している。弾性率の調整は、スチレン系エラストマ樹脂100重量部に対し、ポリスチレン(PE)を20重量部含有することで行った。しかし、弾性率2.5MPa以上、10MPaの物性を持つエラストマ樹脂であれば良いので、PEの含有量を変えても良いし、PE以外の樹脂を含有しても良い。またその他のエラストマ樹脂でも良い。
【0031】
上述したエラストマ部材10のクリーニング容器24への成形方法は、エラストマ部材11、13の現像容器71への成形や、エラストマ部材12のクリーニング容器24への成形にも適用可能である。なお、エラストマ部材10、11、12、13の成形については、上記方法以外にも2色成形やインサート成形等によりクリーニング容器24や現像容器71等の枠体に成形しても良い。
【0032】
接着部材として両面テープを用いた従来技術の場合、柔らかいため両面テープの幅が小さいほど枠体に高精度に貼り付けるのは難しい。しかしながら本実施例では、型を用いて、直接枠体にエラストマ部材を成形することで、枠体に対して両面テープよりも、高精度に形成することが可能となる。更に、接着部材として両面テープを用いた従来技術の場合、高温下の環境放置後、両面テープと枠体との接着界面でズレが生じてしまう。しかしながら本実施例では、枠体へ直接成形することでエラストマ部材と枠体との成形界面でのズレを抑制することができる。
【0033】
(エラストマ部材の容器への成形形状)
図12〜図17を参照して、クリーニング容器24または現像容器71(以下、枠体)に一体成形されるエラストマ部材10、11、12、13の成形形状及び枠体におけるエラストマ部材形成部の各種構成例について説明する。図12は、エラストマ部材10の成形形状1の構成説明図である。図12(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示す概略正面図、図12(b)は、図12(a)中矢印の概略断面図である。図13は、エラストマ部材10の成形形状2の構成説明図である。図13(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示す概略正面図、図13(b)は、図13(a)中矢印の概略断面図である。図14は、エラストマ部材10の成形形状3の構成説明図である。図14(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示す概略正面図、図14(b)は、図14(a)中矢印の概略断面図である。図15は、エラストマ部材10の成形形状4の構成説明図である。図15(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示す概略正面図、図15(b)は、図15(a)中矢印の概略断面図である。図16は、エラストマ部材10の成形形状5の構成説明図である。図16(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示
す概略正面図、図16(b)は、図16(a)中矢印の概略断面図である。図17は、エラストマ部材10の成形形状6の構成説明図である。図17(a)は、エラストマ部材10と、枠体の一部を示す概略正面図、図17(b)は、図17(a)中矢印の概略断面図である。
【0034】
図12(a)、図12(b)に示すように、成形形状1においては、枠体のエラストマ部材形成部71d1である凹部に成形されるエラストマ部材10は、長手両端を除く短手の全域において、o1、o2>0mmの幅を持って枠体に接触していない。すなわち、枠体のシート部材の位置を規制可能な規制部が、エラストマ部材10の短手方向においてエラストマ部材10からo1、o2だけ間隔を空けて設けられている。
また、図12(b)に示すようにエラストマ部材10の成形時自由長(高さ)hを0.5mm以上確保して成形し、且つ枠体にk=0.3mm喰い込ませて成形している。すなわち、エラストマ部材10の一部が枠体の凹部内に注入し成形される。これは、高温下の環境放置で枠体の線膨張での伸びの影響をエラストマ部材10のシート溶着部に与えないための構成であると同時に、枠体にエラストマ部材を固定するための構成である。また、エラストマ部材10の溶着前のシート部材取付面(接触位置)24の高さは、枠体のシート部材規制部のシート部材との接触面(接触位置)の高さより、エラストマ部材溶けシロiだけ高くなるように構成されている。
【0035】
本実施例におけるエラストマ部材10の成形形状は、次の特徴を有するものであればよい。
(1)エラストマ部材10のシート部材取付面24dが、高温下の環境放置で枠体の線膨張での伸びの影響を受けない。
(2)エラストマ部材10が、スクイシート15などのシート部材(薄板部材)に枠体の線膨張の影響を与えない緩衝層として働く。
(3)エラストマ部材10が、枠体から容易に外れない。
【0036】
上記3点を満足するならば、図13(a)、図13(b)に示すように、エラストマ部材10の長手、短手全域がo1、o2>0mm、p1、p2>0mmの幅を持って枠体に接触しない構成でも良い(成形形状2)。また、エラストマ部材10が十分な粘着性を有していれば、図14(a)、図14(b)に示すように、枠体に凹部を設けずに、枠体平面上に凸状に成形する構成でも良い(成形形状3)。更に、十分に柔軟性のあるエラストマ部材10を成形する場合は、図15(a)、図15(b)に示すように、枠体からの自由長(高さ)を成形形状1よりも短くしてもよい(成形形状4)。また、図16(a)、図16(b)に示すように、枠体からの自由長を成形形状1よりも短くしつつ、エラストマ部材形成部71d1の深さをより深くした構成としてもよい(成形形状5)。更に、図17(a)、図17(b)に示すように、枠体に設けた凸部を覆うようにエラストマ部材10を成形するような構成でもよい(成形形状6)。
【0037】
以上説明したエラストマ部材10のクリーニング容器24への成形形状の各種構成例は、エラストマ部材11、13の現像容器71への成形形状やエラストマ部材12のクリーニング容器24への成形形状にも適用可能である。
【0038】
また、接着部材として両面テープを用いた従来技術の場合、両面テープが、枠体とシート部材の高温下の環境放置での線膨張の差を吸収する緩衝材として働き、高温下の環境放置後のシート部材のうねりを防止することができる。そこで、本実施例でも、エラストマ部材10を本実施例のように枠体に成形することで、エラストマ部材10が、枠体とシート部材の高温下の環境放置での線膨張の差を吸収する緩衝材として働くことが可能となる。そして、その効果により、高温下の環境放置後のシート部材のうねりを防止することが可能となる。
【0039】
(シートの溶着)
図18〜図24を参照して、本発明の実施例におけるシートを溶着する工程について、半導体レーザを用いた場合を例にとり、説明する。図18は、スクイシートを取り付けたクリーニング容器の概略構成図であり、図18(a)は、スクイシート15にうねりが発生していない状態、図18(b)は、スクイシート15の先端がうねった状態をそれぞれ示す。図19は、スクイシート上端にテンションを付与する方法を説明する図である。図19(a)は、クリーニング容器24のシート部材取付面24dを引張り治具48にて湾曲させた状態を示す図である。図19(b)は、クリーニング容器24のシート部材取付面24dの湾曲を解放することによりスクイシート15の上端にテンションが付与された状態を示す図である。図20は、クリーニング容器24に成形されたエラストマ部材10を溶融させスクイシート15を溶着させている状態を示す説明図である。図21は、図20の状態の断面図である。図22は、図21の部分拡大図である。図23は、スクイシート15をエラストマ部材10に溶着させたクリーニング容器24を示す説明図である。図24は、本実施例におけるエラストマ部材の成形形状の概略図であり、(a)は概略正面図、(b)は概略断面図である。
【0040】
なお、本実施例では、厚み:38μm、光線透過:85%(960nmの近赤外線にお
いて)、材質:ポリエステルのスクイシート15を使用した。まず、図18(a)に示すようにクリーニング容器24を用意する。この際、スクイシート自体のシワ、環境変動等によりスクイシート15の先端(像担持体21との接触部)に図18(b)に示すようなうねりxが生ずることがある。このため、スクイシート15を取り付けるときは、図19(a)に示すように引張り治具48によってクリーニング容器24のシート部材取付面24dの力受け部(シート部材取付面24dを湾曲させるとき力を受ける力受け部)を下方へ引っ張る。この際の弾性変形によりシート部材取付面24dを湾曲させ、この状態でスクイシート15を取り付けた後に、この湾曲を解放する。このようにクリーニング容器24を湾曲させることによってスクイシート15の先端に図19(b)に示すように初期テンション量nを与え、うねりを防いでいる。また、本実施例においては、初期テンション量nを0.5mm〜0.8mmの範囲で与えている。
【0041】
図20〜図22に示すように、本実施例ではクリーニング容器24に成形されたエラストマ部材10のシート部材取付面24dの下方を、引張り治具48を用いて湾曲させた状態で、スクイシート15をシート部材取付面24dに接するように重ね合わせる。更に、スクイシート15の上から近赤外線に対して透過性を有する押圧治具45を用いて、シート位置を規制する面49にスクイシート15が接するように加圧する。このようにすることにより、スクイシート15の接着時にスクイシート15のクリーニング容器24に対する相対的な配置がずれないように仮位置決めする。
【0042】
この後、スクイシート15からクリーニング容器24に成形されたエラストマ部材10のシート部材取付面24d側に向けてレーザ照射ヘッド60より近赤外線のレーザ光eを照射する。エラストマ部材10は近赤外線を吸収するようカーボンブラックを含有している。このため、照射されたレーザ光eは近赤外線の透過性を有する押圧治具45、スクイシート15を透過して、クリーニング容器24に成形されたエラストマ部材10のシート部材取付面24dで吸収される。シート部材取付面24dで吸収されたレーザ光は熱に変換され、シート部材取付面24dは発熱しその熱で、エラストマ部材10が溶融しシート部材取付面24dに接しているスクイシート15と溶着(接着)させることが可能となる。
【0043】
ここで、照射ヘッド60より照射されたレーザ光eはシート部材取付面24dに到達するときには直径φ1.5mmの円状となるように集光させた。即ち、レーザのスポット径
はφ1.5mmである。また、エラストマ部材の成形幅を1.5mmより小さくすることによって、エラストマ部材10のシート部材取付面24dを均一に溶融することが可能となる。従って、本実施例では、エラストマ部材10の溶融幅e1は約1.0mmである。また、レーザ光をスクイシート15の一方の端部から他方の端部までその長手方向に連続的に照射する。このようにすることで、図23に示すような長手方向に対して連続的に繋がっている溶着面g1を得ることが可能となる。
【0044】
また、押圧治具45としてはレーザ光eに対して透過性があり、かつ、スクイシート15とクリーニング容器24に成形されたエラストマ部材10のシート部材取付面24dとの接触面全域を加圧することが可能な剛性を有する部材を用いることが好ましい。具体的にはアクリル樹脂、ガラス等を用いるのが良い。
【0045】
また、シート部材取付面24dを有するエラストマ部材10を成形したクリーニング容器24は樹脂材料からなっており、スクイシート15を取り付ける際にはシート部材取付面24dが湾曲してシート部材取付面24dに若干の凹凸や変形が生じる場合がある。また、クリーニング容器24に対するスクイシート15の相対的な位置がずれる場合がある。そこで、本実施例では押圧治具45を、弾性体の押圧部材47を備える構成とした。押圧部材47により、スクイシート15をクリーニング容器24に対して弾性的に加圧して仮位置決めすることによりスクイシート15とシート部材取付面24dとの密着性を向上させることができる。更に、スクイシート15の位置ずれを防止することが可能になる。具体的には、押圧治具45として、剛性を有する部材として、アクリル部材46と、弾性体として、厚さ5mmのシリコーンゴム(押圧部材)47と、を透過性のある両面テープで貼り付けたものを用いた。
【0046】
また、近赤外線の照射装置としてファインディバイス社のFD200(波長:960nm)を用い、近赤外線照射装置の長手方向の走査速度を速度50mm/sec、出力20W、エラストマ部材表面でのスポット径φ1.5mmとした。また、エラストマ部材10の表面におけるエネルギー密度を0.22J/mmとした。また、エラストマ部材10に対しては、スチレン系エラストマ樹脂100質量部に対して個数平均粒径16nmのカーボンブラックを0.5〜12.0質量部、含有させたものを用いた。
【0047】
クリーニング容器24へ成形されたエラストマ部材10とスクイシート15との上記接着方法は、現像容器71へ成形されたエラストマ部材11と吹き出し防止シート16との溶着に適用することも可能である。同様に、クリーニング容器24へ成形されたエラストマ部材13と帯電ローラクリーナ17との接着に適用することも可能である。また、現像容器71へ成形されたエラストマ部材13と飛散防止シート18との溶着に適用することも可能である。更に、本実施例では、光線透過:85%のスクイシート15を用いているが、光線透過が85%以下のシート部材でも溶着可能である。更に、本実施例の溶着方法以外にもエラストマ部材10とスクイシート15をヒートシール等で溶着しても良い。なお、ヒートシール等では、スクイシート15とエラストマ部材10との接触界面だけに熱を与えることが出来ず、スクイシート15の上面から熱を伝えることとなるため、熱の伝達時間やスクイシート15の溶けも考慮に入れる必要がある。
【0048】
接着部材として両面テープを用いた従来技術の場合、高温下の環境放置後、スクイシート15等の各シート部材と両面テープの接合界面にズレが発生し、シート部材の初期テンションが減衰してしまう。本実施例では、シート部材とエラストマ部材10〜13を熱溶着により接合する。そして、エラストマ部材の弾性率をクリーニング容器24や現像容器71等の枠体よりも小さくすることによって、高温下の環境放置後のエラストマの永久ひずみ量を小さくする事ができる。また、高温下の環境放置後シート部材とエラストマ部材、枠体とエラストマ部材との接合界面のズレが生じないので、シート部材の初期テンショ
ンを保つ事が可能となる。
【0049】
本実施例において枠体に成形されるエラストマ部材は、より具体的には、図24に示すような形状であり、それぞれの寸法はh:0.6〜0.8mm、i:0.1〜0.3mm、j:1.0mm、k:0.3mm、r:1.6mmである。ここで、hはエラストマ部材成形時自由長、iはエラストマ部材溶けシロ、jはエラストマ部材成形幅(上辺)、kはエラストマ部材の容器への喰い込み量、rはエラストマ部材成形幅(底辺)である。かかる寸法構成における断面係数は、約0.25である。また、枠体を形成する材質はHIPS(ハイインパクト・ポリスチレン)であり、その線膨張係数は0.000087<1/℃>、弾性率は2.38GPaである。シート部材の材質は、ポリエステルであり、シート厚みは38μm、線膨張係数が0.000015<1/℃>、弾性率は4.5GPaである。すなわち、シート部材に対し、枠体は温度変化が約5.8倍である。よって、常温(ex.23℃)から50℃環境下に環境放置することで、枠体とシート部材の間に挟まれるエラストマ部材には枠体とシート部材の伸びの差分負荷が掛ることとなる。この負荷は、50℃環境下での枠体とシート部材の変位差である。50℃環境下での変位を計算した場合、(枠体とシート部材の全長220mm)枠体の伸び量:0.52mm シート部材の伸び量:0.09mm よって、Δ:0.43mmとなる。
【0050】
このように、エラストマ部材の弾性率を枠体やシート部材の弾性率よりも小さい2.5MPa以上10MPa以下とすることで、50℃環境下での負荷による、常温に戻った時のエラストマ部材の永久ひずみ量を小さくすることができる。また、枠体とエラストマ部材、シート部材とエラストマ部材それぞれの接合界面が成形、熱溶着の為ズレが生じないので、シート部材の初期テンションを保つことが可能となる。これにより、シート部材のうねりを防止することが可能となる。
【0051】
以上説明したように、本実施例によれば、エラストマ部材を枠体に直接成形するため、両面テープよりも高精度な組付けが可能である。また、両面テープを用いた場合に発生する、高温下の環境放置後の枠体と両面テープの接合界面のズレを無くすことができる。更に、シート部材とエラストマ部材を加熱溶着により接合する事で、接着部材として両面テープを用いた場合に発生する、高温下の環境放置後のシート部材と両面テープとの接合界面のズレを無くすことが可能となる。そして、エラストマ部材の弾性率を枠体やシート部材の弾性率よりも小さくすることで、高温下の環境放置後のエラストマ部材の永久ひずみ量を小さくできる。また、枠体とエラストマ部材、シート部材とエラストマ部材それぞれの接合界面がズレ無い為、シート部材の初期テンションを保つことが出来、シート部材のうねりを防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
2…プロセスカートリッジ、2a…像担持体ユニット、2b…現像ユニット、10,11,12,13…エラストマ部材、15…スクイシート、16…吹き出し防止シート、17…帯電ローラクリーナ、18…飛散防止シート、21…像担持体、22…現像剤担持体、23…帯電ローラ、24…クリーニング容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたカートリッジであって、
現像剤収納部を備えた枠体と、
前記現像剤収納部の開口部において前記枠体に対して回転可能に構成された回転体と、
前記枠体に取り付けられ、前記枠体と前記回転体との間から現像剤が漏れ出るのを防ぐべく、前記回転体に当接する薄板部材と、
を備えるカートリッジにおいて、
前記枠体に型を当接させて形成される成形空間内に前記枠体とは異なり前記枠体よりも弾性率の小さい熱可塑性樹脂を注入し成形されることにより、前記枠体に一体成形される接着部材を備え、
前記薄板部材は、前記接着部材に溶着されることにより前記枠体に取り付けられることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記接着部材の弾性率は、前記薄板部材の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記薄板部材は、加熱により前記接着部材に溶着されることを特徴とする請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記接着部材は、近赤外線を吸収するカーボンブラックを含み、
前記薄板部材は、近赤外線を透過することが可能であり、
前記接着部材が近赤外線を吸収して発熱することにより、前記薄板部材が溶着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記枠体は、前記薄板部材を前記接着部材に溶着する際における前記薄板部材と前記接着部材との接触面と直交する方向に、前記薄板部材の位置を規制可能な規制部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
溶着前における前記接着部材と前記薄板部材との接触位置は、前記規制部が前記薄板部材を規制する際における前記薄板部材と前記規制部との接触位置よりも高くなるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記接着部材は、前記枠体に設けられた凹部内に注入し成形される部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記接着部材は、前記枠体に成形されたときに前記枠体と接触する面と、前記薄板部材を接着する面とを有し、それ以外の面の少なくとも一部は前記枠体と接触しないように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記回転体は、像担持体であり、
前記枠体は、前記像担持体から除去された現像剤を収容するクリーニング容器であり、
前記薄板部材は、除去された現像剤を前記クリーニング容器に導くべく、前記像担持体に当接する可撓性シート部材であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記枠体は、現像容器であり、
前記回転体は、像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤担持体であり、
前記薄板部材は、前記現像容器と前記現像剤担持体との間から現像剤が漏れるのを防ぐべく、前記現像剤担持体に当接する可撓性シート部材であることを特徴とする請求項1〜
8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−101267(P2013−101267A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245731(P2011−245731)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】