説明

プロセスカートリッジ

【課題】現像カートリッジをドラムカートリッジから取り外す操作が容易なプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジは、感光体ドラム61を有するドラムカートリッジ6と、感光体ドラム61に現像剤を供給する現像ローラ71を有し、ドラムカートリッジ6に着脱可能に構成された現像カートリッジ7と、ドラムカートリッジ6に設けられ、ドラムカートリッジ6に装着された現像カートリッジ7の離脱方向への移動を規制するロック状態と、ロック状態を解除するとともに、現像カートリッジ7を離脱方向へ移動させるリフト状態とに切り替え操作可能に構成されたロックレバー200と、現像カートリッジ7をロックレバー200の操作により離脱方向へ移動した状態に保持する保持面302と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに着脱可能な現像カートリッジを備えたプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに着脱可能な現像カートリッジとから構成されるプロセスカートリッジが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、このプロセスカートリッジは、ドラムカートリッジに回転可能に設けられているロックレバーを備えている。
【0003】
ロックレバーは、現像カートリッジがドラムカートリッジに装着されている状態では、現像カートリッジの一部に当接して、現像カートリッジがドラムカートリッジから離脱するのをロックしている。また、ロックレバーは、ユーザがロックレバーを回転させることで、現像カートリッジに当接しなくなり、現像カートリッジのロックを解除するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−72284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記したプロセスカートリッジでは、ユーザがロックレバーを回転させているときのみ現像カートリッジのロックが解除され、ユーザがロックレバーから手を離すと、現像カートリッジが再びロックレバーによってロックされてしまう。そのため、ユーザは、一方の手でロックレバーを操作しつつ、もう一方の手で現像カートリッジをドラムカートリッジから取り外さなければならず、操作性が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、現像カートリッジをドラムカートリッジから取り外す操作が容易なプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明のプロセスカートリッジは、感光体を有するドラムカートリッジと、感光体に現像剤を共有する現像剤担持体を有し、ドラムカートリッジに着脱可能に構成された現像カートリッジと、ドラムカートリッジに設けられ、ドラムカートリッジに装着された現像カートリッジの離脱方向への移動を規制するロック状態と、ロック状態を解除するとともに、現像カートリッジを離脱方向へ移動させるリフト状態とに切り替え操作可能に構成されたロック部材と、保持部と、を備えている。
そして、保持部は、現像カートリッジをロック部材のロック状態からリフト状態への切り替え操作により前記離脱方向へ移動した状態に保持する。
【0008】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、ロック部材を操作することで、ドラムカートリッジから離脱した現像カートリッジが、保持部に保持されるので、ロック部材を操作した手で現像カートリッジを掴むことができ、現像カートリッジをドラムカートリッジから取り外す操作が容易である。
【0009】
そして、前記したプロセスカートリッジにおいて、現像カートリッジは、現像剤担持体が設けられる現像フレームと、現像フレーム内に設けられる撹拌部材と、を有し、ドラムカートリッジは、感光体が設けられるドラムフレームを有していてもよい。
この場合、現像剤担持体は、回転軸を有し、ドラムフレームは、現像剤担持体の回転軸を受ける受け部を有していてもよい。
また、この場合、ロック部材は、ロック部材のロック状態からリフト状態への切り替え操作時において現像カートリッジに当接する当接部を有していてもよい。
そして、ロック部材は、受け部が現像剤担持体の回転軸を受けた状態で、現像フレームの撹拌部材が設けられた部分を移動させることで、ドラムカートリッジから離脱させるように構成され、リフト状態において、当接部が、撹拌部材の中心軸よりも現像剤担持体側に配置されているのが望ましい。
【0010】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、ロック部材を現像カートリッジの回動中心に近い位置に配置することで、ロック部材の動作が小さくても、現像カートリッジの移動量を大きくすることができる。
【0011】
また、前記したプロセスカートリッジにおいて、ロック部材は、ドラムカートリッジに回転可能に支持され、ロック部材のロック状態からリフト状態への切り替え操作に伴い、現像カートリッジの回動方向とは反対に回転し、当接部は、ロック部材の回転軸線よりも現像剤担持体側において、現像カートリッジに当接し、現像カートリッジは、当接部が当接する当接面を有し、当接面の傾きは、ロック部材と当接面の接触点におけるロック部材の回転方向に直交する面の傾きよりも、現像剤担持体の回転軸線とロック部材の回転軸線を結ぶ面の傾きに近いのが望ましい。
【0012】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、ロック部材が当接面を押し上げる力が、当接面に確実に伝わる。
【0013】
そして、前記したプロセスカートリッジは、ドラムカートリッジに設けられ、ドラムカートリッジに装着されている現像カートリッジを、現像剤担持体が感光体に押圧するように付勢する押圧部材をさらに備えていてもよい。
このプロセスカートリッジにおいては、押圧部材は、保持部を有していることが望ましい。
【0014】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、現像カートリッジを押圧する部材と、支持する部材とを共通の一部品にして設けることで、部品点数を少なくすることができる。
【0015】
また、前記した押圧部材を備えたプロセスカートリッジにおいては、現像カートリッジは、ロック部材によりドラムカートリッジから離脱するときに、押圧部材から受ける力によって、離脱方向に跳ね上がるように構成されていることが望ましい。
【0016】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、ロック部材により現像カートリッジがドラムカートリッジから離脱したときに、現像カートリッジが跳ね上がるので、現像カートリッジが離脱したことを確認しやすい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ロック部材の操作によりドラムカートリッジから離脱した現像カートリッジを離脱した状態に保持する保持部を備えているので、ドラムカートリッジから離脱した現像カートリッジが、保持部に保持される。これにより、ロック部材を操作した手で現像カートリッジを掴むことができるので、現像カートリッジをドラムカートリッジから取り外す操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジを備えたレーザプリンタを示す図である。
【図2】現像カートリッジを示す側面図である。
【図3】現像カートリッジがドラムカートリッジに装着された状態を示す図である。
【図4】現像カートリッジがドラムカートリッジに装着された状態において、ロックレバーを回転させた状態を示す図である。
【図5】現像カートリッジがドラムカートリッジから離脱方向へ移動した状態を示す図である。
【図6】当接面の傾きについて説明する図(a),(b)である。
【図7】第2実施形態係るプロセスカートリッジに備えられたロック部材を示す図であって、ロック状態を示す図(a)と、リフト状態を示す図(b)である。
【図8】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明では、まず、本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジ5を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
【0020】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0021】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体2内に用紙Sを供給するための給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0022】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0023】
露光装置4は、装置本体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0024】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、装置本体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から装置本体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムカートリッジ6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0025】
ドラムカートリッジ6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像カートリッジ7は、ドラムカートリッジ6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74と、トナー収容部74内に設けられる撹拌部材の一例としてのアジテータ75とを主に備えている。
【0026】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、アジテータ75で撹拌された後、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0027】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0028】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、符号を省略して示すハロゲンヒータ、定着ベルト、ニップ板などを有する加熱ユニット81と、加熱ユニット81のニップ板との間で定着ベルトを挟持する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ユニット81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0029】
<プロセスカートリッジの詳細構成>
プロセスカートリッジ5は、前述したように、ドラムカートリッジ6と、ドラムカートリッジ6に着脱可能な現像カートリッジ7とを備えて構成されている。
【0030】
現像カートリッジ7は、図2に示すように、筐体(現像フレーム)100の前端にユーザによって把持される把持部101を有し、筐体100の後端に現像ローラ71を回転可能に支持している。そして、筐体100の右側壁102には、ロック用リブ110、突出部120およびリフト用リブ130が形成され、筐体100の右側壁102と図示しない左側壁には、被押圧リブ140が形成されている。
【0031】
ロック用リブ110は、筐体100の右側壁102から外側に向かって突出する薄板状の突起である。ロック用リブ110は、現像カートリッジ7がドラムカートリッジ6に装着された状態において、前後方向に延び、上方を向く略水平な面111を有している。
【0032】
突出部120は、ロック用リブ110の上方に配置された、筐体100の右側壁102から外側に向かって突出した部分である。この突出部120は、左右方向から見て、アジテータ75の回転軸(中心軸)75Aと同じ位置に形成されている。
【0033】
リフト用リブ130は、ロック用リブ110の後斜め上方の、突出部120の後方に配置された、筐体100の右側壁102から外側に向かって突出した薄板状の突起である。このリフト用リブ130は、突出部120から現像ローラ71に向かう方向に延び、前斜め下方を向いた当接面131を有している。より詳細には、図6(a)に示すように、当接面131の傾きは、後述するロックレバー200と当接面131の接触点におけるロックレバー200の回転方向Rに直交する面L1の傾きよりも、現像ローラ71の回転軸線とロックレバー200の回転軸線を結ぶ面L2の傾きに近くなっている。
【0034】
図2に戻り、被押圧リブ140は、ロック用リブ110よりも前方に配置された、筐体100の右側壁102および図示しない左側壁から外側に向かって突出した薄板状の突起である。この被押圧リブ140は、左右方向に見て、前方に凸となるU字状に形成されている。
【0035】
ドラムカートリッジ6は、図3に示すように、ドラムフレーム6Aと、ドラムフレーム6Aの後部において回転可能に支持されている感光体ドラム61と、押圧部材の一例としての揺動アーム300と、ロック部材の一例としてのロックレバー200とを主に備えている。
【0036】
ドラムフレーム6Aの側壁には、感光体ドラム61よりも前側に、現像ローラ71の回転軸71Aを受ける受け部64が形成されている。受け部64は、前側が開放された側面視略U形状に形成されており、現像ローラ71の回転軸71Aをその中に受け入れている。
【0037】
揺動アーム300は、ドラムカートリッジ6の左右壁の前端部に揺動可能に支持されている。揺動アーム300は、ドラムカートリッジ6に支持されている揺動中心310から略上方に向かって延び、後方を向く押圧面301と、押圧面301の上端から前斜め上方へ向かって延び、後斜め上方を向く保持部の一例としての保持面302とを有している。そして、揺動中心310の前には、揺動アーム300を図3における時計回りに付勢するコイルバネ320が設けられている。
【0038】
このコイルバネ320の付勢力は、現像カートリッジ7がロックレバー200の操作によりドラムカートリッジ6から離脱するときに、揺動アーム300から受ける力によって、離脱方向に跳ね上がることができる程度に設定されている。
【0039】
ロックレバー200は、受け部64が現像ローラ71の回転軸71Aを受けた状態で、筐体100(現像カートリッジ7)のアジテータ75が設けられている部分を上方へ移動させることで、現像カートリッジ7をドラムカートリッジ6から離脱させる部材であり、ドラムカートリッジ6に装着された現像カートリッジ7の離脱方向への移動を規制するロック状態(図3の状態)と、ロック状態から回動することで、ロック状態を解除するとともに、現像カートリッジ7を離脱方向へ移動させるリフト状態(図5の状態)とに切り替え可能に構成されている。
【0040】
ロックレバー200は、ドラムカートリッジ6の右側壁の感光体ドラム61と揺動アーム300の間、より具体的には、左右方向から見て、現像カートリッジ7の突出部120の後端付近に回転可能に支持されている。つまり、ロックレバー200は、アジテータ75の回転軸75Aよりも現像ローラ71側で支持されている。そして、ロックレバー200は、図示しないストッパによって、図示時計回りの回転が規制されており、ユーザが操作していない状態では、ロック状態に保たれている。
【0041】
ロックレバー200は、本体部210と、操作部の一例としての操作レバー220と、樹脂バネ212を主に備えている。
【0042】
本体部210は、中心211がドラムカートリッジ6の右側壁に回転可能に支持された略矩形の板部材である。この本体部210は、ロック状態において最も下方に位置する縁に、前後方向に延びる当接部の一例としての当接リブ230を有している。
【0043】
当接リブ230は、本体部210からドラムカートリッジ6の内側、つまり、現像カートリッジ7に向かって延びる薄板状の突起である。この当接リブ230は、本体部210の外側に向けて凸形状となる円弧状に形成されている。
【0044】
当接リブ230は、ロック状態において、現像カートリッジ7のロック用リブ110と突出部120の間に配置され、ロック用リブ110の面111に上方から当接し、現像カートリッジ7が離脱する方向(以下、単に「離脱方向」という。)に移動するのを規制している。また、当接リブ230は、リフト状態において、図5および図6(b)に示すように、ロック用リブ110から離間し、ロックレバー200の回転方向の前端部が、本体部210の中心211(ロックレバー200の回転軸線)よりも現像ローラ71側において、当接面131に当接するようになっている。つまり、リフト状態において、当接リブ230のロックレバー200の回転方向の前端部は、アジテータ75の回転軸75Aよりも現像ローラ71側に配置されている。
【0045】
図3に戻り、操作レバー220は、本体部210の、当接リブ230とは中心211を挟んで反対側の縁に配置されている。操作レバー220は、ロック状態において、略前後方向に延び、本体部210から前方へ突出して形成されている。操作レバー220は、ロック解除時に、ユーザによって下方向へ押されることで、ロックレバー200を図示反時計回り、つまり、ドラムカートリッジ6から離脱するときの現像カートリッジ7の回動方向とは反対回りに回転させ、ロック状態からリフト状態へ変位させるようになっている。
【0046】
樹脂バネ212は、可撓性を有し、本体部210の下端から下方に延びている。この樹脂バネ212は、図4に示すように、ロックレバー200がロック状態からリフト状態へ図示反時計回りに回動したときには、ドラムカートリッジ6の内壁に形成されている突起
65に当接し、撓むようになっている。これにより、リフト状態へ変位したロックレバー200に、ロック状態に戻るような付勢力が働くようになっている。
【0047】
次に、以上のように構成されたプロセスカートリッジ5の作用及び効果について説明する。
現像カートリッジ7をドラムカートリッジ6に装着すると、図3に示すように、現像カートリッジ7の被押圧リブ140に揺動アーム300が前方から当接する。具体的に、揺動アーム300の押圧面301が被押圧リブ140の前端に当接し、コイルバネ320からの付勢力により、被押圧リブ140を後方に向けて押圧し、現像カートリッジ7を、現像ローラ71が感光体ドラム61に押圧するように付勢している。
【0048】
そして、現像カートリッジ7のロック用リブ110の面111に、ロック状態にあるロックレバー200の当接リブ230が上側から当接している。これにより、現像カートリッジ7は、ロックレバー200によって離脱方向への移動が規制され、ドラムカートリッジ6から取り外せないようになっている。
【0049】
そして、図4に示すように、ユーザがロックレバー200の操作レバー220の前端を下方へ押して変位させると、ロックレバー200が図示反時計回りに回転する。この回転に伴い、当接リブ230は、後斜め上方へ移動するので、ロック用リブ110からほぼ退避した状態となる。
【0050】
そして、さらにロックレバー200の操作レバー220を変位させると、図5に示すように、当接リブ230の先端がリフト用リブ130の当接面131に当接し、リフト用リブ130を押し上げる。このとき、図6(b)に示すように、当接リブ230は、ロック用リブ110の離脱方向から退避した位置にあるので、現像カートリッジ7は、ロックレバー200の押し上げ力により離脱方向へ移動する。また、このとき、図6(a)に示すように、当接面131の傾きと、ロックレバー200と当接面131の接触点におけるロックレバー200の回転方向Rに直交する面L1の傾きとを比べたとき、当接面131の傾きの方が現像ローラ71の回転軸線とロックレバー200の回転軸線を結ぶ面L2の傾きに近くなっているので、当接リブ230が当接面131を押し上げる力が、当接面131に確実に伝わる。
【0051】
そして、ロックレバー200を所定量回転させると、図5に示すように、被押圧リブ140が上方へ移動し、揺動アーム300の押圧面301との当接が解除される。このとき、揺動アーム300がコイルバネ320の付勢力により図示時計回りに揺動し、保持面302が被押圧リブ140を強く押して被押圧リブ140を押し上げる。これにより、図示は省略するが、現像カートリッジ7が跳ね上がるので、現像カートリッジ7がドラムカートリッジ6から離脱したのが確認しやすくなっている。
【0052】
また、その後、跳ね上げられた被押圧リブ140が揺動アーム300の保持面302の上に降りてきて保持面302に支持される。これにより、ロックレバー200がロック状態の姿勢に戻っても、現像カートリッジ7が離脱方向に移動した状態に保持される。このように、プロセスカートリッジ5は、ロックレバー200の操作によりドラムカートリッジ6から離脱した現像カートリッジ7を離脱方向に移動状態に保持する保持面302を備えているので、ユーザが、ロックレバー200を操作した手で現像カートリッジ7の把持部101を掴んで、容易に現像カートリッジ7をドラムカートリッジ6から取り外すことができる。
【0053】
また、ロックレバー200は、ドラムカートリッジ6の前端側ではなく、アジテータ75の回転軸75Aよりも現像ローラ71側の、現像カートリッジ7の回動中心である現像ローラ71と感光体ドラム61の接触点に近い位置に配置されているので、ロックレバー200の変位量が小さくても、現像カートリッジ7の離脱方向への移動量を大きくすることができる。
【0054】
そして、揺動アーム300が、ドラムカートリッジ6から離脱した現像カートリッジ7を保持する保持面302を有しているので、揺動アーム300とは別個にドラムカートリッジ6から離脱した現像カートリッジ7を保持する部材を設ける場合に比べて、部品点数を減らすことができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。第1実施形態においては、ロック部材と保持部が別体に形成されていたが、第2実施形態においては、ロック部材と保持部が一つの部品として形成されている。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0056】
図7(a)に示すように、現像カートリッジ7の側壁には、ロック用リブ110とリフト用リブ130が形成されている。
【0057】
ロック用リブ110は、後述するロック部材400の下方に配置されている。そして、ロック用リブ110は、上方を向く面111を有している。
【0058】
リフト用リブ130は、後述するロック部材400の上方に配置されている。そして、リフト用リブ130は、前斜め下方を向く当接面131を有している。
【0059】
ロック部材400は、ドラムカートリッジ6に装着された現像カートリッジ7の離脱方向への移動を規制するロック状態(図7(a)の状態)と、ロック状態を解除すると共に、現像カートリッジ7を離脱方向へ移動させるリフト状態(図7(b)の状態)とに切り替え可能に構成されている。
【0060】
ロック部材400は、本体部410と、ロック用突起420と、当接部の一例としてのリフト用突起430とを主に有している。
【0061】
本体部410は、2つの円板から形成されており、一方がドラムカートリッジ6の左壁の内側に、他方が、図8に示すように、ドラムカートリッジ6の左壁の外側に設けられ、互いに符号を省略して示す連結軸によって連結されている。この本体部410は、ドラムカートリッジ6に回転可能に支持されている。
【0062】
ドラムカートリッジ6の内側に配置されている本体部410は、図7(a)に示すように、ドラムカートリッジ6に対向する面に、溝411が形成されている。溝411は、本体部410の縁に周方向に沿って形成されている。溝411は、ロック状態において、後述する突起412が溝411の下端部に当接し、リフト状態において、突起412が溝411の上端部に当接するような長さで形成されている。
【0063】
ロック用突起420は、ロック状態において、本体部410から下方へ向けて突出する側面視略三角形状の突起である。このロック用突起420は、ロック状態においては、現像カートリッジ7のロック用リブ110の面111に上方から当接し、現像カートリッジ7の離脱方向への移動を規制している。
【0064】
リフト用突起430は、ロック用突起420よりも本体部410の回転方向下流側に配置され、本体部410から外側に向かって突出した側面視略三角形状の突起である。このリフト用突起430は、図7(b)に示すように、リフト状態において、現像カートリッジ7のリフト用リブ130の当接面131に当接して、リフト用リブ130を押し上げるようになっている。
【0065】
そして、ドラムカートリッジ6の内面には、図7(a),(b)に示すように、溝411に係合する、現像カートリッジ6側に突出した突起412が形成されている。
【0066】
以上のように構成された第2実施形態のプロセスカートリッジ5においては、現像カートリッジ7がドラムカートリッジ6に装着されている状態において、ロック部材400のロック用突起420が現像カートリッジ7のロック用リブ110の面111に上方から当接しているので、現像カートリッジ7が離脱方向へ移動するのが規制されている。
【0067】
そして、ユーザがロック部材400の本体部410を図示反時計回りに回転させると、ロック用突起420とロック用リブ110の当接が解除される。さらにロック部材400を回転させると、リフト用突起430がリフト用リブ130の当接面131に当接し、リフト用リブ130を押し上げ、現像カートリッジ7を離脱方向へ移動させる。
【0068】
図7(b)に示すように、ロック部材400の本体部410を、溝411の本体部410の回転方向上流側の端部に突起412が当接するまで回転させると、リフト用リブ130の当接面131が前斜め下方を向いているため、リフト用突起430に、ロック部材400を反時計回りに回転させる力が働く。ところが、突起412が溝411の本体部410の回転方向上流側の端部に当接しているので、ロック部材400は、図7(b)の状態で保持される。つまり、リフト用突起430が、ドラムカートリッジ6から離脱した現像カートリッジ7を離脱した状態に保持する保持部となっている。
【0069】
したがって、本実施形態においても、プロセスカートリッジ5は、ロック部材400の操作によりドラムカートリッジ6から離脱した現像カートリッジ7を離脱した状態に保持するリフト用突起430を備えているので、ユーザが、ロック部材400を操作した手で現像カートリッジ7の把持部101を掴んで前方へ引き出すことで、容易に現像カートリッジ7をドラムカートリッジ6から取り外すことができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0071】
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム61を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【0072】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 レーザプリンタ
5 プロセスカートリッジ
6 ドラムカートリッジ
6A ドラムフレーム
7 現像カートリッジ
61 感光体ドラム
62 受け部
71 現像ローラ
75 アジテータ
75A 回転軸
110 ロック用リブ
130 リフト用リブ
131 当接面
140 被押圧リブ
200 ロックレバー
220 操作レバー
230 当接リブ
300 揺動アーム
301 押圧面
302 保持面
400 ロック部材
420 ロック用突起
430 リフト用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を有するドラムカートリッジと、
前記感光体に現像剤を供給する現像剤担持体を有し、前記ドラムカートリッジに着脱可能に構成された現像カートリッジと、を備えたプロセスカートリッジであって、
前記ドラムカートリッジに設けられ、前記ドラムカートリッジに装着された前記現像カートリッジの離脱方向への移動を規制するロック状態と、前記ロック状態を解除するとともに、前記現像カートリッジを離脱方向へ移動させるリフト状態とに切り替え操作可能に構成されたロック部材と、
前記現像カートリッジを前記ロック部材の前記ロック状態から前記リフト状態への切り替え操作により前記離脱方向へ移動した状態に保持する保持部と、を備えていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記現像カートリッジは、前記現像剤担持体が設けられる現像フレームと、前記現像フレーム内に設けられる撹拌部材と、を有し、
前記ドラムカートリッジは、前記感光体が設けられるドラムフレームを有し、
前記現像剤担持体は、回転軸を有し、
前記ドラムフレームは、前記現像剤担持体の回転軸を受ける受け部を有し、
前記ロック部材は、前記ロック部材の前記ロック状態から前記リフト状態への切り替え操作時において前記現像カートリッジに当接する当接部を有し、
前記ロック部材は、前記受け部が前記現像剤担持体の回転軸を受けた状態で、前記現像フレームの前記撹拌部材が設けられた部分を移動させることで、前記ドラムカートリッジから離脱させるように構成され、前記リフト状態において、前記当接部が、前記撹拌部材の中心軸よりも前記現像剤担持体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記ドラムカートリッジに回転可能に支持され、前記ロック部材の前記ロック状態から前記リフト状態への切り替え操作に伴い、前記現像カートリッジの回動方向とは反対に回転し、
前記当接部は、前記ロック部材の回転軸線よりも前記現像剤担持体側において、前記現像カートリッジに当接し、
前記現像カートリッジは、前記当接部が当接する当接面を有し、
前記当接面の傾きは、前記ロック部材と前記当接面の接触点における前記ロック部材の回転方向に直交する面の傾きよりも、前記現像剤担持体の回転軸線と前記ロック部材の回転軸線を結ぶ面の傾きに近いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記ドラムカートリッジに設けられ、前記ドラムカートリッジに装着されている前記現像カートリッジを、前記現像剤担持体が前記感光体に押圧するように付勢する押圧部材をさらに備え、
前記押圧部材は、前記保持部を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記現像カートリッジは、前記ロック部材により前記ドラムカートリッジから離脱するときに、前記押圧部材から受ける力によって、前記離脱方向に跳ね上がるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50493(P2013−50493A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186889(P2011−186889)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】