説明

プロセスカートリッジ

【課題】感光体に接触して回転する第1ローラおよび当該第1ローラに接触して回転する第2ローラが、撓むのを防止することができるプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジは、感光体ドラム61と、感光体ドラム61の周面に付勢されて回転するクリーニングローラ110と、クリーニングローラ110の周面に付勢され、クリーニングローラ110の回転軸と平行な回転軸を中心に回転するバックアップローラ120と、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を感光体ドラム61へ向けて付勢するコイルバネ160と、バックアップローラ120をクリーニングローラへ向けて付勢する軸受けとを備えている。そして、軸受けによりバックアップローラ120をクリーニングローラ110へ向けて付勢する方向は、コイルバネ160がクリーニングローラ110を感光体ドラム61へ向けて付勢する方向に沿っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体に接触して回転する第1ローラと、第1ローラに接触して回転する第2ローラとを備えたプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタなどの画像形成装置として、感光ドラム(感光体)と、感光ドラムの表面に付着する異物を除去するためのクリーニングユニットを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、クリーニングユニットは、感光ドラムに接触して回転し、感光ドラムの表面に付着した異物を補足する1次クリーニングローラ(第1ローラ)と、1次クリーニングローラに接触して回転し、1次クリーニングローラが補足した異物を吸着する2次クリーニングローラを備えている。このクリーニングユニットにおいては、クリーニングローラは、感光ドラムの後方に配置され、2次クリーニングローラは、クリーニングローラの上方に配置されている。ここで、クリーニングローラが感光ドラムに付勢される方向と、2次クリーニングローラが1次クリーニングローラに付勢される方向は異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、1次クリーニングローラと2次クリーニングローラが互いに接触して回転することで、各ローラの中央部が撓んで、1次クリーニングローラと2次クリーニングローラの接触圧が安定しない。
【0005】
そこで、本発明は、感光体に接触して回転する第1ローラが撓むのを防止することができるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明のプロセスカートリッジは、感光体と、感光体の周面に付勢され、第1回転軸線を中心に回転する第1ローラと、第1ローラの周面に付勢され、第1回転軸線と平行な第2回転軸線を中心に回転する第2ローラと、第1ローラと前記第2ローラを感光体へ向けて付勢する第1付勢手段と、第2ローラを第1ローラへ向けて付勢する第2付勢手段と、を備えている。
そして、第2付勢手段により第2ローラが第1ローラに向けて付勢される方向は、第1付勢手段により第1ローラが感光体に向けて付勢される方向に沿っている。
【0007】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、第1付勢手段から受ける付勢力の向きと、第1ローラと第2ローラの間に働く押圧力の向きが平行になるので、第1ローラが押圧力を受けて撓もうとしても、当該撓みを矯正することができる。
【0008】
そして、前記したプロセスカートリッジにおいて、第2付勢手段が第2ローラを第1ローラに向けて付勢する方向は、第1回転軸線と第2回転軸線とを繋ぐ方向であるのが望ましい。
【0009】
このように構成されたプロセスカートリッジは、第1ローラへ第2ローラからの付勢力を効率的に伝えることができ、第1ローラを第2ローラと感光体とにより挟み込むことで、より効果的に第1ローラの撓みを矯正することができる。
【0010】
そして、前記したプロセスカートリッジは、第1ローラの軸と第2ローラの軸を一体的に支持する一対の軸受けを有し、第2付勢手段は、軸受けによって構成されているのが望ましい。
【0011】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、第1ローラの軸受けと第2ローラの軸受けを別個で設ける場合に比べて、第1ローラと第2ローラの軸間の精度が向上する。
【0012】
また、前記した軸受けを有するプロセスカートリッジにおいて、第1付勢手段は、一対の軸受けを直接押圧することで、第1ローラを感光体へ向けて付勢していることが望ましい。
【0013】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、軸受けが感光体に向けて付勢されているので、第1ローラの軸と第2ローラの軸の感光体に対する位置を正確に決めることができる。
【0014】
そして、前記したプロセスカートリッジは、感光体を受ける筐体をさらに備えていてもよい。このプロセスカートリッジにおいては、筐体は、第1ローラおよび第2ローラが感光体に近接する方向に移動するのを許容し、かつ、感光体の周面の移動方向への移動を規制するガイドが形成されているのが望ましい。
【0015】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、筐体と別体でガイドを設ける構成に比べて、部品点数を減らすことができる。
【0016】
また、前記したガイドは、筐体に形成された溝であり、筐体は、溝に沿って分割された一対のフレームを組み合わせることによって構成されることが望ましい。
【0017】
プロセスカートリッジは、感光体を筐体によって覆うことが望まれているが、このように構成されたプロセスカートリッジによれば、感光体を覆うための分割された一対のフレームを組む際に、ガイドを形成することができるため、製造の際の手間を軽減することができる。
【0018】
また、前記した溝を有する筐体において、一対のフレームは、第1ローラの回転軸線方向におけるガイドの両側で、互いに固定されていることが望ましい。
【0019】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、ガイドによるガイド方向の両端で一対のフレームを固定することができるため、ガイドの位置が決まりやすく、また、ガイドが変形しにくい。
【0020】
そして、前記した筐体を備えたプロセスカートリッジにおいて、筐体は、少なくとも第1のフレームおよび第2のフレームを含む2つのフレームを組み合わせてなり、第1のフレームの縁は、第1付勢手段の付勢方向における感光体とは反対側の端部を支持する支持部が形成され、第2のフレームの縁は、第1のフレームの支持部と重なり、支持部に向けて突出し、第1付勢手段の付勢方向において、支持部に対して感光体とは反対側で支持部を支持する突出部が形成されているのが望ましい。
【0021】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、突出部が支持部を補強するので、第1付勢手段から受ける付勢力によって、筐体が変形するのを低減することができる。
【0022】
また、前記した筐体を備えたプロセスカートリッジにおいて、筐体は、第1付勢手段を収容する収容部を有し、収容部は、筐体の外壁から外側に突出する形状を有していることが望ましい。
【0023】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、必要な部分のみ突出させるので、プロセスカートリッジの薄型化が可能である。
【0024】
そして、前記した収容部は、第1付勢手段の付勢方向に延びて第1付勢手段を挟む一対の第1壁と、第1付勢手段の付勢方向における感光体とは反対側において一対の第1壁を繋ぐ第2壁を少なくとも有しているのが望ましい。
【0025】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、第1付勢手段周りの剛性が大きくなるので、第1付勢手段の支持を確実にすることができる。
【0026】
また、前記したプロセスカートリッジにおいて、第1ローラと第2ローラは、略水平に並んでいることが望ましい。
【0027】
このように構成されたプロセスカートリッジによれば、プロセスカートリッジの高さ方向の大きさを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第2付勢手段により第2ローラが第1ローラに向けて付勢される方向は、第1付勢手段により第1ローラが感光体に向けて付勢される方向にそっているので、第1ローラが押圧力を受けて撓むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジを備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】クリーニングユニットの周辺を示す、図6(a)のII−II断面図である。
【図3】クリーニングユニットを示す斜視図である。
【図4】筐体のガイド部周辺を示す、図6(a)のIV−IV断面図である。
【図5】収容部の周辺を示す、図6(a)のV−V断面図である。
【図6】ドラムカートリッジを示す正面図(a)と、斜視図(b)である。
【図7】従来技術における感光体ドラム、クリーニングローラおよびバックアップローラを示す図(a)と、クリーニングローラとバックアップローラの撓みを示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジ5を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
【0031】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0032】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体2内に用紙Sを供給するための給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0033】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0034】
露光装置4は、装置本体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0035】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、装置本体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から装置本体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムカートリッジ6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0036】
ドラムカートリッジ6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像カートリッジ7は、ドラムカートリッジ6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0037】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に正帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、このとき、供給ローラ72と現像ローラ71の間で正に摩擦帯電される。現像ローラ71上に供給されたトナーは、現像ローラ71の回転に伴って、層厚規制ブレード73の間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定の厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0038】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0039】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、符号を省略して示すハロゲンヒータ、定着ベルト、ニップ板などを有する加熱ユニット81と、加熱ユニット81のニップ板との間で定着ベルトを挟持する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ユニット81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0040】
<プロセスカートリッジの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分であるプロセスカートリッジ5の詳細構成について説明する。
【0041】
プロセスカートリッジ5は、前述したように、ドラムカートリッジ6と、ドラムカートリッジ6に着脱可能な現像カートリッジ7とから構成されている。
【0042】
ドラムカートリッジ6は、図2に示すように、筐体200の後方に、感光体ドラム61と、クリーニングユニット100と、第1付勢手段の一例としてのコイルバネ160(図4参照)とを備えている。
【0043】
クリーニングユニット100は、略水平に並ぶ第1ローラの一例としてのクリーニングローラ110および第2ローラの一例としてのバックアップローラ120と、掻き取り部材130と、第2付勢手段の一例としての一対の軸受け140(図3参照)と、ケース150とを主に備えている。
【0044】
クリーニングローラ110は、左右に長いローラであり、感光体ドラム61の周面に接触して回転し、感光体ドラム61上に付着する紙粉等の異物を一時的に回収するようになっている。クリーニングローラ110は、後述するコイルバネ160によって感光体ドラム61の周面に付勢されている。
【0045】
具体的に、クリーニングローラ110は、感光体ドラム61の回転方向における転写ローラ63(図1参照)から帯電器62までの間で、感光体ドラム61に対向して配置されている。
【0046】
そして、クリーニングローラ110は、印刷中において、感光体ドラム61上に付着している負に帯電した紙粉を引き寄せて保持するようになっている。
【0047】
バックアップローラ120は、左右に長いローラであり、クリーニングローラ110の周面に接触して回転し、クリーニングローラ110が保持している紙粉を吸着するようになっている。
【0048】
具体的に、バックアップローラ120は、クリーニングローラ110の後斜め上側において、バックアップローラ120の軸(第2回転軸線)121がクリーニングローラ110の軸(第1回転軸)111と平行となるように、クリーニングローラ110に対向して配置されている。より詳細に、バックアップローラ120は、クリーニングローラ110とバックアップローラ120が対向する方向(クリーニングローラ110の軸111とバックアップローラ120の軸121とが繋がれる方向)が、後述するコイルバネ160の付勢方向(図5の矢印を参照)に沿うように配置されている。バックアップローラ120は、後述する一対の軸受け140によってクリーニングローラ110の周面に付勢されている。
【0049】
そして、バックアップローラ120は、クリーニングローラ110に印加されている正の電圧よりも絶対値が大きい正の電圧が印加され、クリーニングローラ110が保持している紙粉を、引き寄せて保持するようになっている。
【0050】
掻き取り部材130は、バックアップローラ120の表面に吸着した紙粉を掻き取る部材であり、バックアップローラ120の表面に摺接するように、バックアップローラ120の上側に設けられている。この掻き取り部材130は、スポンジから形成されており、バックアップローラ120を押圧している。
【0051】
一対の軸受け140は、図3に示すように、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の両端部に設けられている。各軸受け140は、第1軸受け部141と、第2軸受け部142と、連結部143と、コイルバネ支持部144とを一体的に有している。
【0052】
第1軸受け部141は、円筒状に形成され、クリーニングローラ110の軸111を回転可能に支持している。第2軸受け部142は、円筒状に形成され、バックアップローラ120の軸121を回転可能に支持している。
【0053】
連結部143は、第1軸受け部141と第2軸受け部142の間に配置され、第1軸受け部141と第2軸受け部142を連結している。これにより、クリーニングローラ110の軸111とバックアップローラ120の軸121の間隔が一定になるようになっている。これにより、クリーニングローラ100の軸111とバックアップローラ120の軸121とは位置を決められながら、クリーニングローラ110とバックアップローラ120とが互いに所定の圧力で付勢されている。
【0054】
コイルバネ支持部144は、第2軸受け部142の後端から、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の対向方向における外側に向かって突出して形成されている。
【0055】
ケース150は、クリーニングローラ110およびバックアップローラ120を収容している。そして、ケース150は、図2に示すように、バックアップローラ120の下方に、掻き取り部材130によって掻き取られた紙粉を受けるための有底の異物溜め部151を有している。
【0056】
コイルバネ160は、図5に示すように、クリーニングローラ110を感光体ドラム61へ向けて付勢している。具体的に、コイルバネ160は、各軸受け140の後方において、各軸受け140と筐体200との間に配置され、前端が軸受け140のコイルバネ支持部144に支持され、後端が筐体200の後述する支持部244に支持されている。これにより、コイルバネ160の付勢方向は、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の対向方向(一対の軸受け140によりバックアップローラ120がクリーニングローラ110に向けて付勢される方向)と一致する。そして、コイルばね160は、各軸受け140を感光体ドラム61へ向けて直接押圧することで、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を感光体ドラム61へ向けて付勢している。
【0057】
ドラムカートリッジ6の筐体200は、感光体ドラム61やクリーニングユニット100を収容している。ドラムカートリッジ6は、第1のフレームの一例としての下フレーム210と、下フレーム210に組み付けられる第2のフレームの一例としての上フレーム220を含む2つのフレームを組み合わせて構成されている。この下フレーム210と上フレーム220(一対のフレーム)は、後述するガイド230に沿って筐体200を上下に分割している。
【0058】
筐体200は、図4に示すように、ガイド230を有している。
ガイド230は、筐体200の左右の側壁の内側に、それらに隣接して形成されている、コイルバネ160の付勢方向に延びる溝である。ガイド230は、後述する収容部240よりもクリーニングローラ110の軸線方向外側の位置(図6(a)の断面IV−IVの切断線を参照)で、軸受け140の第1軸受け部141と第2軸受け部142の下方に配置される下側ガイド231と、軸受け140の第1軸受け部141と第2軸受け部142の上方に配置される上側ガイド232とを有している。下側ガイド231と上側ガイド232は、それぞれコイルバネ160の付勢方向に沿って前後に延びている。
【0059】
ガイド230は、コイルバネ160の付勢方向に延びる溝であるので、クリーニングローラ110およびバックアップローラ120が感光体ドラム61に近接する方向に移動するのを許容している。また、ガイド230は、軸受け140の第1軸受け部141と第2軸受け部142を下側ガイド231と上側ガイド232とで挟むことで、感光体ドラム61に接触しているクリーニングローラ110が、回転する感光体ドラム61に引っ張られて、感光体ドラム61の回転方向への移動するのを規制するようになっている。
【0060】
また筐体200は、図6(a),(b)に示すように、コイルバネ160を収容する収容部240を有している。
収容部240は、筐体200の左右の2箇所、具体的には、図5に示すように、前後方向に見て、一対の軸受け140と重なる位置に形成されている。収容部240は、筐体200の後壁211(外壁)から外側に突出したボックス形状を有している(図6(b)も参照)。収容部240は、コイルバネ160を上下方向から挟む一対の第1壁241,242と、コイルバネ160の後側(コイルバネ160の付勢方向における感光体ドラム61とは反対側)において一対の第1壁241,242を繋ぐ第2壁243と、一対の第1壁241,242と第2壁243を繋ぐ左右一対の側壁247(図6(b)において左側のみ図示)とを有している。
【0061】
第2壁243は、下フレーム210の縁と、上フレーム220の縁が重なって構成されている。具体的に、下フレーム210の縁には、コイルバネ160の付勢方向における感光体ドラム61とは反対側の端部、つまり、後端を支持する支持部244が形成されている。一方、上フレーム220の縁245は、下フレーム210の支持部244の後側に回り込んで、支持部244の外側に重なっている。そして、上フレーム220の縁には、支持部244と重なる位置に、支持部244に向けて突出する突出部の一例としてのリブ246が形成されている。
【0062】
このように構成された筐体200は、下フレーム210に、感光体ドラム61やクリーニングユニット100等が配置された後、上フレーム220を組み付け、図6(a),(b)に示すように、クリーニングローラ110の軸線に直交する方向におけるガイド230の両側で、ネジ250と感光体ドラム61の軸61Aにより下フレーム210と上フレーム220が互いに固定されている。
【0063】
以上のように構成されたプロセスカートリッジ5の作用および効果について説明する。
クリーニングローラ110とバックアップローラ120は、バックアップローラ120が軸受け140によってクリーニングローラ110に向けて付勢され、互いに接触しながら回転するように構成されているので、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の間に押圧力が働く。この押圧力により、クリーニングローラ110とバックアップローラ120はそれぞれ、対向方向に反るように撓もうとする。従来技術においては、図7(a)に示すように、クリーニングローラ110が感光体ドラム61に向けて付勢される方向Bと、バックアップローラ120がクリーニングローラ110に向けて付勢される方向Aが異なっていたため、図7(b)に示すように、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の間に働く押圧力により、クリーニングローラ110とバックアップローラ120が撓んでしまい、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の接触圧が安定しなかった。
【0064】
しかし、本実施形態では、軸受け140によりバックアップローラ120がクリーニングローラ110に向けて付勢される方向は、クリーニングローラ110が感光体ドラム61に向けて付勢される方向に沿うように構成されている。そのため、クリーニングローラ110がバックアップローラ120から押圧力を受けて撓もうとしても、クリーニングローラ110のバックアップローラ120とは反対側が感光体ドラム61に押し付けられているので、クリーニングローラ110が撓むのを防止することができる。
【0065】
そして、軸受け140がバックアップローラ120をクリーニングローラ110に向けて付勢する方向は、クリーニングローラ110の軸111とバックアップローラ120の軸121とを繋ぐ方向であるので、クリーニングローラ110へバックアップローラ120からの付勢力を効率的に伝えることができ、クリーニングローラ110をバックアップローラ120と感光体ドラム61とにより挟み込むことで、より効果的にクリーニングローラ110の撓みを矯正することができる。
【0066】
そして、クリーニングローラ110の軸111とバックアップローラ120の軸121を一体的に支持する一対の軸受け140を設けたので、クリーニングローラ110の軸受けとバックアップローラ120の軸受けを別個に設ける場合に比べて、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の軸間精度が向上する。
【0067】
また、一対の軸受け140によって一体的に支持されているクリーニングローラ110とバックアップローラ120の軸間距離は、一対の軸受け140によって決められているので、コイルバネ160を、一対の軸受け140を直接押圧することで、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を感光体ドラム61へ向けて付勢する構成とすることで、コイルバネ160がクリーニングローラ110またはバックアップローラ120を直接押圧する場合に比べて、クリーニングローラ110とバックアップローラ120の感光体ドラム61に対する位置が精度良く決まる。
【0068】
そして、筐体200は、左右の側壁に、クリーニングローラ110およびバックアップローラ120が感光体ドラム61に近接する方向に移動するのを許容し、かつ、感光体ドラム61の回転方向への移動を規制するガイド230が形成されているので、筐体200と別体にガイド部を設ける構成に比べて、部品点数を減らすことができる。
【0069】
また、筐体200は、ガイド230に沿って下フレーム210と上フレーム220に分割されているので、下フレーム210と上フレーム220を感光体ドラム61を内側に配置して組む際に、ガイド230を形成することができるため、製造の際の手間を低減することができる。
【0070】
また、筐体200を構成する下フレーム210と上フレーム220は、軸線方向に直交する方向におけるガイド230の両側で、互いに固定されているので、ガイド230のガイド方向の両端が固定される。これにより、ガイド230の位置が決まりやすく、また、ガイド230が変形しにくくなっている。
【0071】
そして、下フレーム210の縁は、コイルバネ160の付勢方向における感光体ドラム61とは反対側の端部を支持する支持部244が形成されており、上フレーム220の縁245は、支持部244と重なり、支持部244に向けて突出するリブ246が形成されているので、リブ246が支持部244を補強する。これにより、コイルバネ160から加わる力によって、筐体200が変形することを抑制することができる。
【0072】
また、筐体200に形成されているコイルバネ160を収容する収容部240は、筐体200の後壁211から外側に突出する形状を有しているので、後壁211全体をコイルバネ160の大きさに合わせる場合に比べて、プロセスカートリッジ5の薄型化が可能となっている。
【0073】
そして、収容部240は、コイルバネ160の付勢方向に延びてコイルバネ160を挟む一対の第1壁241,242と、コイルバネ160の後側において一対の第1壁241,242を繋ぐ第2壁243と、一対の第1壁241,242と第2壁243を繋ぐ左右一対の側壁247とを有した、ボックス状に形成されているので、筐体200のコイルバネ160の剛性が高くなり、筐体200がコイルバネ160を確実に支持することができる。
【0074】
また、クリーニングローラ110とバックアップローラ120は、略水平に並んでいるので、クリーニングローラ110とバックアップローラ120が鉛直方向に並んでいる場合に比べて、プロセスカートリッジ5の縦(上下)方向の大きさを小さくすることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0076】
前記実施形態では、コイルバネ160は、一対の軸受け140を押圧することで、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を感光体ドラム61に向けて付勢していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コイルバネ160は、ケース150を押圧することで、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を感光体ドラム61に向けて付勢していてもよい。
【0077】
そして、前記実施形態では、第1ローラと第2ローラの一例として、クリーニングローラ110とバックアップローラ120を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ローラは、感光体ドラム61の周面に接触して回転し、感光体ドラム61を正帯電させる帯電ローラであり、第2ローラは、帯電ローラの周面に接触して回転する帯電ローラ用のクリーニングローラであってもよい。
【0078】
前記実施形態では、付勢手段の一例として、コイルバネ160を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、板バネやトーションバネ、線バネなどであってもよい。
【0079】
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム61を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【0080】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 レーザプリンタ
5 プロセスカートリッジ
6 ドラムカートリッジ
61 感光体ドラム
100 クリーニングユニット
110 クリーニングローラ
120 バックアップローラ
130 取り部材
140 軸受け
160 コイルバネ
200 筐体
210 下フレーム
211 後壁
220 上フレーム
230 ガイド
240 収容部
241 第1壁
243 第2壁
244 支持部
246 リブ
250 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体の周面に付勢され、第1回転軸線を中心に回転する第1ローラと、
前記第1ローラの周面に付勢され、前記第1回転軸線と平行な第2回転軸線を中心に回転する第2ローラと、
前記第1ローラと前記第2ローラを前記感光体へ向けて付勢する第1付勢手段と、
前記第2ローラを前記第1ローラへ向けて付勢する第2付勢手段と、を備えたプロセスカートリッジであって、
前記第2付勢手段により前記第2ローラが前記第1ローラに向けて付勢される方向は、前記第1付勢手段により前記第1ローラが前記感光体に向けて付勢される方向に沿っていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記第2付勢手段が前記第2ローラを前記第1ローラに向けて付勢する方向は、前記第1回転軸線と前記第2回転軸線とを繋ぐ方向であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記第1ローラの軸と前記第2ローラの軸を一体的に支持する一対の軸受けを有し、
前記第2付勢手段は、前記軸受けによって構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記第1付勢手段は、前記一対の軸受けを直接押圧することで、前記第1ローラを前記感光体へ向けて付勢していることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記感光体を受ける筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記第1ローラおよび前記第2ローラが前記感光体に近接する方向に移動するのを許容し、かつ、前記感光体の周面の移動方向への移動を規制するガイドが形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記ガイドは、前記筐体に形成された溝であり、
前記筐体は、前記溝に沿って分割された一対のフレームを組み合わせることによって構成されることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記一対のフレームは、前記第1回転軸線に直交する方向における前記ガイドの両側で、互いに固定されていることを特徴とする請求項6に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記筐体は、少なくとも第1のフレームおよび第2のフレームを含む2つのフレームを組み合わせてなり、
前記第1のフレームの縁は、前記第1付勢手段の付勢方向における前記感光体とは反対側の端部を支持する支持部が形成され、
前記第2のフレームの縁は、前記第1のフレームの前記支持部と重なり、前記支持部に向けて突出し、前記第1付勢手段の付勢方向において、前記支持部に対して前記感光体とは反対側で前記支持部を支持する突出部が形成されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記筐体は、前記第1付勢手段を収容する収容部を有し、
前記収容部は、前記筐体の外壁から外側に突出する形状を有していることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記収容部は、前記第1付勢手段の付勢方向に延びて前記第1付勢手段を挟む一対の第1壁と、前記第1付勢手段の付勢方向における前記感光体とは反対側において前記一対の壁を繋ぐ第2壁を少なくとも有していることを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記第1ローラと前記第2ローラは、略水平に並んでいることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50494(P2013−50494A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186890(P2011−186890)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】