プロセスキット及びチャンバをクリーニングするための方法、及び、ルテニウムを回収するための方法
堆積された金属により、少なくとも部分的にコーテイングされた蒸着装置を提供し、グリットにより蒸着装置をブラスト加工し、堆積された金属の少なくともいくらかを取り除き、吹き付けられたグリット及び取り除かれた金属を形成し、前記吹き付けられたグリットから前記取り除かれた金属のうちの少なくともいくらかを分離して、金属を回収することを含む電子デバイス蒸着装置から金属を回収するための方法が提供される。いくつかの他の態様が提供される。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本発明は以下の仮特許出願に基づく優先権を主張し、当該仮特許出願は本明細書において全体的に引用され組み込まれる。
【0002】
「プロセスキット及びチャンバをクリーニングするための方法、及び、ルテニウムを回収するための方法」の名称で2007年12月19日出願された米国仮特許出願第61/015,068号(代理人ドケット番号13015/L)。
【発明の分野】
【0003】
本発明は電子デバイス製造に関連し、特に、電子デバイスの製造に用いられるルテニウム(Ru)が堆積したプロセスキット及びチャンバをクリーニングし、ルテニウムを回収する方法に関する。
【発明の背景】
【0004】
いくつかの電子デバイスは、基板上に、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta),カッパーシード(Cu−seed)、及び銅(Cu)のような順番で堆積される4つの層構造を用いて製造される。そのような構造は、4つの堆積ステップを必要とし、各ステップは、潜在的に危険な試薬の使用を必要とするときがあり、その結果、潜在的に危険な廃液を生み出すこととなる。堆積ステップの数を減らすために、いくつかの製造業者はタンタルの代りにルテニウムを用いる。この代替使用により、製造業者は、タンタルの上での銅の堆積を可能ならしめるためのみの目的に用いられるカッパーシード層を除くことができる。銅はルテニウムの上に直接、堆積されるので、シード層は必要ではなくなり、この構造は3つの堆積ステップにより生成されうる。
【0005】
従って、電子デバイスの製造において、蒸着装置から堆積したルテニウムをクリーニングし、ルテニウムを再利用するために回収する方法が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本発明は、その部分からクリーニングされるべき堆積金属に少なくとも部分的に被覆された蒸着装置を提供し、その堆積金属の少なくともいくらかを取り除くために、グリットにより当該蒸着装置をブラスト加工することを含む電子デバイス蒸着装置をクリーニングするための方法を提供をする。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも部分的に堆積金属により被覆された蒸着装置を提供し、グリットにより前記蒸着装置をブラスト加工し、堆積金属の少なくともいくらかを取り除き、吹き付けられたグリット及び取り除かれた金属を生成し、吹き付けられたグリットから取り除かれた金属の少なくともいくらかを分離し、金属を回収することを含む電子デバイス蒸着装置から金属を回収するための方法を提供する。
【0008】
更に別の実施形態において、本発明は、蒸着装置を提供し、基板上に金属を堆積し、蒸着装置上に所定の厚さの金属が堆積されたか否かを判定するために蒸着装置を検査し、グリット/金属の混合物を形成するために、蒸着装置から堆積金属の少なくともいくらかに対しグリットブラスト加工し、グリット/金属の混合物から少なくとも金属のいくらかを回収することを含む金属堆積チャンバを動作させるための方法を提供する。
【0009】
本発明の他の構成及び態様は以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付図面から十分に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるクリーニング方法の1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【図2】本発明によるルテニウムを回収するための1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【図3】本発明によるルテニウム堆積プロセスチャンバを動作させるための1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【詳細な説明】
【0011】
ルテニウムを使用すると、いくらかの問題点が生じるかもしれない。第1に、ルテニウムは比較的高価である。更に、堆積サイクルの間、基板上に堆積させるつもりのいくらかのルテニウムは、プロセスキット及び堆積チャンバなどの蒸着装置の上に膜として堆積されるか又はコーテイングされるかもしれない。連続する堆積サイクルの間に、ルテニウムは蒸着装置の上に積もりつづけるかもしれない。ルテニウムは、蒸着装置から剥がれ落ち、基板上に落ちる程度まで、積みあがることがしばしばある。基板上に落下したルテニウムの粒子及び破片は、取り返しがつかないほどの損傷を基板に与えうる。
【0012】
上述したように、いくつかの電子デバイスの製造は、基板上にルテニウムの薄い層を堆積させることを含む。例えば、一層のルテニウム層が窒化タンタル層の上に堆積され、銅の層がルテニウムの上にさらに積み上げられる。ルテニウムの堆積は、典型的には、原子層堆積(ALD)、物理的気相蒸着(PVD)若しくは他の適した堆積方法を用いて、堆積チャンバ(以下、チャンバという)内で行われる。ルテニウムの原子層堆積若しくは物理的気相蒸着の間、基板上に堆積されることが意図されるルテニウムのいくらかは、代りにプロセスキット若しくはチャンバの表面(以下において、蒸着装置と総称する)に堆積することとなる。事実、チャンバ内に導入されたルテニウムの約30%以上は蒸着装置上に堆積されることとなる。ついには、ルテニウムは装置から剥がれ落ち、基板上に落下するほどまで装置上に積みあがる。これにより、取り返しがつかないほどに基板に損傷をもたらし、基板を捨てなくてはならなくなるほどである。
【0013】
半導体基板は、通常、とても高価なものであり、それらへの損傷は避けることが望ましい。従って、蒸着装置からルテニウムをクリーニングする方法が開発されている。これらの既知の方法は、蒸着装置上にルテニウム粒子が積もることを防ぎ、ルテニウムが基板上に落下しないようにするが、これらの既知の方法は、比較的高価な金属である、ルテニウムの損失をもたらした。従って、蒸着装置からルテニウムにクリーニングするばかりでなく、電子デバイス製造プロセスにおける再利用のために、若しくは、他のいかなる適宜なプロセスに用いられるために、蒸着装置からルテニウムを回収することが望ましい。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は蒸着装置をグリットブラスト加工することにより、蒸着装置からルテニウムからなる堆積物若しくは被覆物をクリーニンングするための方法を提供する。グリットブラスト加工は、制御された速度及び圧力により、ルテニウムにより被覆された表面にグリットを吹き付けることを含む。例えば、グリットはガラス若しくは酸化アルミニウムのグリットかもしれない。ルテニウムにより被覆された蒸着装置に、たたきつけられるグリットは、砕け、蒸着装置からルテニウムのコーテイング被覆物を削り取り、若しくは、分離するかもしれない。蒸着装置に十分な時間、グリットブラスト加工が施されると、ルテニウムのほとんど、若しくは、すべては、表面からクリーニングされ、基板上にルテニウム若しくは他の物質を堆積するために再び用いられうる蒸着装置となる。
【0015】
他の実施形態において、蒸着装置からルテニウムを回収するための方法が提供される。これらの実施形態において、ルテニウムは上述のクリーニングプロセスにより蒸着装置からルテニウムが分離されうる。蒸着装置からルテニウムを分離するために用いられるグリットは、ルテニウムをあまり溶解しない溶媒内で、グリットが溶解するという特性を含む、1つ以上のグリットの特性のために、選択されている。ルテニウムがあまり溶解しないとは、実際に溶解されるルテニウムの量が所定量以下であることを意味する。分離されたルテニウム及びルテニウムを分離するために用いられるグリットは、グリット加工に引き続き集められる。結果として残ったグリット/及びルテニウムの混合物は,グリットは溶解するが、ルテニウムは殆ど溶解しない第1の溶媒により処理される。グリットが溶解すると、その溶媒及び溶解されたグリットは、ルテニウムを含むかもしれない、残りの固体から分離されうる。残りの固体は洗浄され、フィルタにかけられ、再利用されうるルテニウムの粒子が残る。
【0016】
いくつかの実施形態において、使用されるグリット及び使用される溶質溶媒に依存して、第1の溶媒による処理の後に残る固体物は、ルテニウムの粒子に加え、不純物を含むかもしれない。これらの実施形態において、残った固体は、その不純物を溶解し、ルテニウムの粒子を溶解するように選択された第2溶媒により、処理されるかもしれない。この第2の溶媒による処理の後、残ったルテニウムの粒子は洗浄され、フィルタにかけられ再利用可能なルテニウムとなる。
【0017】
追加の実施形態において、ルテニウム堆積チャンバを動作させる方法が提供される。これらの実施形態において、ルテニウム堆積チャンバは、基板上にルテニウムを堆積させるために、従来の方法により動作されうる。堆積サイクルは、通常、チャンバ内に基板を置き、この基板上にルテニウムを堆積し、チャンバから基板を取り除くステップを含む。本発明は追加のステップを提供し、次のステップのうちの、どれか1つ、若しくは、全てを含み得る。
a)予め選択されたプロセスサイクルの後、例えば、周期的に蒸着装置を検査すること。
b)蒸着装置上に所定量以上のルテニウムが堆積したか否かを判定し、もしそうであれば、蒸着装置を動作停止として、クリーニングすること。
c)本明細書において説明されるように、ルテニウムを回収すること。
【0018】
別の実施形態において、検査の結果、ルテニウムが蒸着装置から剥がれたことが見つかると、蒸着装置は動作停止とし、クリーニングされ、更に選択的に、本明細書に説明されるように、ルテニウムがに回収される。一旦、クリーニングされると、蒸着装置は動作状態に戻され、検査プロセスが再び開始される。回収されたルテニウムは再利用可能である。
【0019】
クリーニング方法
図1は本発明の蒸着装置100をクリーニングするための方法のフローチャートを図示する。上述のとおり、蒸着装置はプロセスキット及び堆積チャンバを含むかもしれない。半導体処理に用いられるプロセスキットは、少なくとも内部シールド、カバーリング、デポジションリング、シャッターデイスク、及び、外側のシールドを含む。これらのパーツは、例えば、アルミニウム、チタニウム、ステンレススチール、セラミックから形成されている。他の材料が使われていてもよい。以下の説明は、プロセスキットを用いられて具体化されているが、適切であれば、堆積チャンバをクリーニングするために用いられてもよいステップであることが理解されるべきである。
【0020】
ステップ102において、プロセスキットは個々のプロセスキットのパーツ(以下、キットパーツと称する)に分解される。分解により、クリーニングされるべきキットパーツをより小さくし、キットパーツ間の接合部分をクリーニングすることの困難性を排除できるので、クリーニングが容易となる。
【0021】
キットパーツは検査され、もし適切であれば、ステップ104においてマスクされる。ルテニウムの堆積プロセスの間、キットパーツの少なくともいくつかは、少なくとも部分的に、ルテニウムにより被覆されている。逆に、キットパーツのいくらかの部分は、ルテニウムが堆積されていない部分(以下、非堆積部分と称する)を含む。被堆積部分をクリーニングする必要がないかもしれず、事実、以下に、詳細に説明されるように、クリーニンングプロセスのいくつかの特質から、これらのキット部分を保護することが望ましい。このようにして、ステップ104において、キットパーツの1つ若しくはそれ以上の部分がマスクされるかもしれない。いくらかのキットパーツはマスキングを必要としないかもしれないし、いくらかのキットパーツはクリーニングを必要としない可能性もある。
【0022】
キットパーツが検査され、もし適切であれば、マスクされると、キットパーツはステップ106においてグリットブラスト加工がなされることによりクリーニングされる。選択的に、キットパーツは、検査若しくはマスクされることなしに、グリットブラスト加工されるかもしれない。
【0023】
キットパーツは、個々に若しくはグループ毎に、グリットブラスト加工されるかもしれない。グリットブラスト加工は、選択された衝撃圧力により、キットパーツに対して、グリット粒子を吹き付けることを含む。通常、グリット粒子は、圧縮空気若しくは他の適宜なガスにより、吹き飛ばされるかもしれない。グリットは、例えば、サイフォン方式により、或いは、圧力により、供給されるグリットブラスタ、若しくは、他のいかなる適宜なグリットブラスタにより、吹き付けられる。
【0024】
グリットブラスト加工は、人間の操作者がグリットブラスタを制御することにより、手動により行われてもよいし、若しくは、電子コンピュータ若しくは他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御されるようなグリットブラスト加工機械により行われるかもしれない。
【0025】
キットパーツからルテニウムを分離するのに用いられるグリットは、例えば、ソーダ石灰ガラス及び酸化アルミニウム粒子等のガラスのビーズを含む。他の適宜なグリットが用いられてもよい。グリットのサイズは約#70と約#36との間の網目サイズのものである。他の適宜なグリットサイズが用いられてもよい。
【0026】
グリットは、約60psi若しくは他の適宜な圧力により、吹き付けられる。キットパーツからルテニウムの被覆を分離するに必要な時間は、例えば、ルテニウムのコーティングの厚さ、パーツの大きさ及び形状、グリットブラスト加工材料、及び、グリットブラスト加工のプロセス条件を含む、いくつかのファクタに依存して、約5分から約30分の範囲で変化する。他の適宜な時間が用いられもよい。いくつかの実施形態において、パーツは、所定量未満のルテニウムがパーツの上に残っている、若しくは、残っているルテニウムコーティングが所定の厚さ未満であると判定されるまで、グリットブラスト加工されうる。パーツ上に残留するルテニウムの量の判定は、人間の操作者によって行われるかもしれないし、コンピュータ若しくは他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御されるセンサにより検出されるかもしれない。選択的に、最小のクリーニンング時間は、実験的に、又は、他の適宜な方法により開発されうる。
【0027】
いくつかの実施形態において、蒸着装置は、それが動作状態となる前に、その動作能力を高めるために、意図的にコーテイングされるかもしれない。この意図的なコーテイングは、例えば、蒸着装置上のルテニウムの堆積を減少させるために、若しくは、蒸着装置上に堆積するルテニウムの除去を容易にするために、行われるかもしれない。そのようなコーテイングは、アルミニウムの2対のワイヤによるアーク式溶射によるコーテイング(Al TWAS)であるかもしれない。これらの及び他の実施形態において、蒸着装置のグリットブラステイング加工が、ルテニウムのコーテイングを大量に除去し、蒸着装置からAl TWASコーティングの分離を始めた頃に、ブラスティング加工は停止される。この意図的な性能向上のためのコーテイングによる保護を行う理由の1つは、蒸着装置の非堆積部分をグリットブラステイング加工に先立ちマスクできるからである。
【0028】
グリットブラステイング加工106は、固定のノズル、若しくは、可動式のノズル、又は、自動化されたグリットブラステイング加工装置を用いて、グリットブラステイング加工チャンバ内で行われる。蒸着チャンバがブラスト加工されるときには、ブラストノズルは、蒸着チャンバ内に導入され、人間の操作者若しくはコンピュータ若しくは他のプラグラム可能なロジックコントローラにより制御されるロボットにより、方向付けられる。
【0029】
ステップ108において、クリーニングされたキットパーツはマスクが外され、ステップ110において、プロセスキットに再び組み立てられる。いくつかの実施形態において、キットパーツは、再組立てされる前に、更にクリーニンングされるかもしれない。
【0030】
ルテニウムの回収
図2は本発明のルテニウム回収方法200のためのフローチャートを図示する。これら及び他の実施形態において、蒸着装置からルテニウムをクリーニングするためのプロセスは、クリーニンング方法100内に記載されたクリーニング方法と実質的に同じものであるかもしれない。そして、例えば、方法200では、ステップ202において、プロセスキットパーツは分解され、ステップ204において、検査され、マスクされ、ステップ206において、グリットブラスト加工され、ステップ208において、マスクが除去され、ステップ210において、プロセスキットに再び組み立てられる。
【0031】
ステップ206のグリットブラステイング加工に続き、キットパーツからブラスト加工されたグリット、ルテニウム、及び他の物質(以下、グリット/ルテニウムの混合物と称する)が、ステップ212において、集められる。グリット/ルテニウムの混合物は、グリットブラストチャンバから掃きだされるか、若しくは、真空除去されるか、又は、他の適宜な方法により集められる。
【0032】
グリット/ルテニウムの混合物は、グリットを溶解するために、ステップ214において第1の溶媒により処理される。この処理214は、テフロン若しくはプロポリピレン材料等で作られた、例えば、耐薬品性のタンク又は反応器等の適宜な容器内で行われる。いくつかの実施形態において、例えば、ガラスのグリットが用いられる場合、この第1の溶媒は、濃縮されたHF/HNO3の混合物であるかもしれない。ルテニウムはほとんど溶解しないが、グリットは溶解するであろうような、いかなる溶媒をも用いられうる。HF/HNO3は、例えば、一対一の容積比により用いられるかもしれないし、又は、選択的に、最大約4倍の容積の水で希釈されるかもしれない。本技術の当業者であれば、このグリットを溶解するに必要な酸の量は、少なくとも、グリットの重さに基づく化学量論量であることは容易に理解するだろう。適宜な他の酸の量が用いられてもよい。例えば、室温で、この反応には、約20分から30分必要とする。他の温度及び時間が用いられてもよい。
【0033】
グリットの溶解に引き続き、ルテニウム及び固体の不純物を含むかもしれない残りの固体物は、洗浄され、及び/又は、ろ過される。ルテニウムの粒子のサイズは、用いられるクリーニング方法の種類に依存するかもしれない。例えば、ガラスビーズブラスト法によれば、ルテニウムの粒子は、直径で、約200マイクロンから約500マイクロンの範囲のものであるかもしれない。
【0034】
ステップ216において、第2の溶媒によりルテニウムの粒子及び固体不純物が処理されることにより、固体の不純物は、ルテニウムの粒子から分離されうる。第2の溶媒は、固体の不純物を溶解するが、ルテニウムをほとんど溶解しない適宜な溶媒であるかもしれない。いくつかの実施形態において、グリットがソーダ石灰ガラスであるような場合、固体の不純物は、Ca及びMgのHFとの反応により生成されるかもしれない不溶性のCaF2及びMgF2を含むかもしれない。固体の不純物がCaF2及びMgF2を含む場合、第2の溶媒は、固体の不純物は溶解するが、ルテニウムは溶解しないで残留物として残る、濃縮されたH2SO4であるかもしれない。濃縮されたH2SO4による固体不純物及びルテニウム粒子の処理は、例えば、室温で、約10分から20分の間、行われ、あるいは、反応が完了するまで行われる。他の時間及び温度が用いられてもよい。ステップ216において、第2の溶媒による、ルテニウムの粒子及び固体の不純物の処理は、例えば、テフロン(商標名)、若しくは、ポリプロピレン材料から作らる、耐薬品性のタンク、若しくは、反応器等の、いかなる適宜な容器内で行われるかもしれない。
【0035】
ステップ216において、固体の不純物の溶解に引き続き、残留するルテニウムの粒子は、ステップ218において、濾過により回収されるかもしれない。この濾過は、例えば、テフロン(商標名)フィルタにより行われるかもしれない。他の適宜なフィルターが用いられてもよい。
【0036】
ルテニウム蒸着チャンバを動作させる方法
図3に本発明のルテニウム蒸着チャンバを動作させるための方法300のフローチャートを図示する。
【0037】
ステップ302において、ルテニウムは、通常、ルテニウム蒸着チャンバ内の基板上に堆積される。一実施形態において、ルテニウム蒸着の各サイクルに引き続き、ステップ304において、蒸着装置は検査される。上述の通り、この検査は、人間のオペレーターによる視覚よる検査、又は、コンピュータ、若しくは、他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御される適宜なセンサによる検査からなる。いくつかの実施形態において、この検査は蒸着装置上でのルテニウムのコーテイングの厚さを検査することを含む。いくつかの実施形態において、この検査には、ルテニウムの粒子の剥がれ落ち、若しくは、分離を検知するために、蒸着装置を検査することも含まれるかもしれない。他の実施形態において、蒸着装置は、連続するX回の蒸着サイクル毎に検査される。Xは2から約20の間の整数、若しくは、他の適宜な数のサイクルであるように選択される。検査により、例えば、蒸着装置上のルテニウムコーテイングの厚さが、予定される次の検査の前に、剥がれ落ちの危険を呈するほどの厚さではないので、クリーニングは必要ないと判定されれば、蒸着プロセス及び検査サイクルは再開される。もし、検査により、例えば、ルテニウムの粒子が蒸着装置から分離したこと、若しくは、次の検査の前の蒸着装置からルテニウムから分離するかもしれないことが判定されることにより、クリーニングが必要と判定されると、蒸着装置は動作停止とされる。蒸着装置は、例えば、クリーニンングプロセス100(図1)を用いてステップ306においてクリーニングされる。クリーニングされた蒸着装置はステップ308において通常動作に戻される。
【0038】
ステップ306において生成されたグリット/ルテニウムの混合物は、集められ、例えば、ルテニウム回収方法200(図2)を用いて、ステップ310において、ルテニウムが回収される。この回収されたルテニウムは、ステップ312において再蒸着のために蒸着チャンバに送られる。
【0039】
以上の説明は、本発明の例示的な実施形態を開示している。本発明の範囲内の、上記に開示された方法の変形例が、本技術の当業者には容易に明らかである。いくつかの実施形態において、本発明の装置及び方法は、半導体デバイス処理、及び/又は、電子デバイス製造に適用可能である。
【0040】
従って、本発明はその例示的な実施形態に関連して開示されてきたが、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に基づいて定められる本発明の精神及び範囲内に入ると理解されるべきである。
【優先権の主張】
【0001】
本発明は以下の仮特許出願に基づく優先権を主張し、当該仮特許出願は本明細書において全体的に引用され組み込まれる。
【0002】
「プロセスキット及びチャンバをクリーニングするための方法、及び、ルテニウムを回収するための方法」の名称で2007年12月19日出願された米国仮特許出願第61/015,068号(代理人ドケット番号13015/L)。
【発明の分野】
【0003】
本発明は電子デバイス製造に関連し、特に、電子デバイスの製造に用いられるルテニウム(Ru)が堆積したプロセスキット及びチャンバをクリーニングし、ルテニウムを回収する方法に関する。
【発明の背景】
【0004】
いくつかの電子デバイスは、基板上に、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta),カッパーシード(Cu−seed)、及び銅(Cu)のような順番で堆積される4つの層構造を用いて製造される。そのような構造は、4つの堆積ステップを必要とし、各ステップは、潜在的に危険な試薬の使用を必要とするときがあり、その結果、潜在的に危険な廃液を生み出すこととなる。堆積ステップの数を減らすために、いくつかの製造業者はタンタルの代りにルテニウムを用いる。この代替使用により、製造業者は、タンタルの上での銅の堆積を可能ならしめるためのみの目的に用いられるカッパーシード層を除くことができる。銅はルテニウムの上に直接、堆積されるので、シード層は必要ではなくなり、この構造は3つの堆積ステップにより生成されうる。
【0005】
従って、電子デバイスの製造において、蒸着装置から堆積したルテニウムをクリーニングし、ルテニウムを再利用するために回収する方法が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本発明は、その部分からクリーニングされるべき堆積金属に少なくとも部分的に被覆された蒸着装置を提供し、その堆積金属の少なくともいくらかを取り除くために、グリットにより当該蒸着装置をブラスト加工することを含む電子デバイス蒸着装置をクリーニングするための方法を提供をする。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも部分的に堆積金属により被覆された蒸着装置を提供し、グリットにより前記蒸着装置をブラスト加工し、堆積金属の少なくともいくらかを取り除き、吹き付けられたグリット及び取り除かれた金属を生成し、吹き付けられたグリットから取り除かれた金属の少なくともいくらかを分離し、金属を回収することを含む電子デバイス蒸着装置から金属を回収するための方法を提供する。
【0008】
更に別の実施形態において、本発明は、蒸着装置を提供し、基板上に金属を堆積し、蒸着装置上に所定の厚さの金属が堆積されたか否かを判定するために蒸着装置を検査し、グリット/金属の混合物を形成するために、蒸着装置から堆積金属の少なくともいくらかに対しグリットブラスト加工し、グリット/金属の混合物から少なくとも金属のいくらかを回収することを含む金属堆積チャンバを動作させるための方法を提供する。
【0009】
本発明の他の構成及び態様は以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付図面から十分に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるクリーニング方法の1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【図2】本発明によるルテニウムを回収するための1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【図3】本発明によるルテニウム堆積プロセスチャンバを動作させるための1つ以上の実施形態のフローチャートである。
【詳細な説明】
【0011】
ルテニウムを使用すると、いくらかの問題点が生じるかもしれない。第1に、ルテニウムは比較的高価である。更に、堆積サイクルの間、基板上に堆積させるつもりのいくらかのルテニウムは、プロセスキット及び堆積チャンバなどの蒸着装置の上に膜として堆積されるか又はコーテイングされるかもしれない。連続する堆積サイクルの間に、ルテニウムは蒸着装置の上に積もりつづけるかもしれない。ルテニウムは、蒸着装置から剥がれ落ち、基板上に落ちる程度まで、積みあがることがしばしばある。基板上に落下したルテニウムの粒子及び破片は、取り返しがつかないほどの損傷を基板に与えうる。
【0012】
上述したように、いくつかの電子デバイスの製造は、基板上にルテニウムの薄い層を堆積させることを含む。例えば、一層のルテニウム層が窒化タンタル層の上に堆積され、銅の層がルテニウムの上にさらに積み上げられる。ルテニウムの堆積は、典型的には、原子層堆積(ALD)、物理的気相蒸着(PVD)若しくは他の適した堆積方法を用いて、堆積チャンバ(以下、チャンバという)内で行われる。ルテニウムの原子層堆積若しくは物理的気相蒸着の間、基板上に堆積されることが意図されるルテニウムのいくらかは、代りにプロセスキット若しくはチャンバの表面(以下において、蒸着装置と総称する)に堆積することとなる。事実、チャンバ内に導入されたルテニウムの約30%以上は蒸着装置上に堆積されることとなる。ついには、ルテニウムは装置から剥がれ落ち、基板上に落下するほどまで装置上に積みあがる。これにより、取り返しがつかないほどに基板に損傷をもたらし、基板を捨てなくてはならなくなるほどである。
【0013】
半導体基板は、通常、とても高価なものであり、それらへの損傷は避けることが望ましい。従って、蒸着装置からルテニウムをクリーニングする方法が開発されている。これらの既知の方法は、蒸着装置上にルテニウム粒子が積もることを防ぎ、ルテニウムが基板上に落下しないようにするが、これらの既知の方法は、比較的高価な金属である、ルテニウムの損失をもたらした。従って、蒸着装置からルテニウムにクリーニングするばかりでなく、電子デバイス製造プロセスにおける再利用のために、若しくは、他のいかなる適宜なプロセスに用いられるために、蒸着装置からルテニウムを回収することが望ましい。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は蒸着装置をグリットブラスト加工することにより、蒸着装置からルテニウムからなる堆積物若しくは被覆物をクリーニンングするための方法を提供する。グリットブラスト加工は、制御された速度及び圧力により、ルテニウムにより被覆された表面にグリットを吹き付けることを含む。例えば、グリットはガラス若しくは酸化アルミニウムのグリットかもしれない。ルテニウムにより被覆された蒸着装置に、たたきつけられるグリットは、砕け、蒸着装置からルテニウムのコーテイング被覆物を削り取り、若しくは、分離するかもしれない。蒸着装置に十分な時間、グリットブラスト加工が施されると、ルテニウムのほとんど、若しくは、すべては、表面からクリーニングされ、基板上にルテニウム若しくは他の物質を堆積するために再び用いられうる蒸着装置となる。
【0015】
他の実施形態において、蒸着装置からルテニウムを回収するための方法が提供される。これらの実施形態において、ルテニウムは上述のクリーニングプロセスにより蒸着装置からルテニウムが分離されうる。蒸着装置からルテニウムを分離するために用いられるグリットは、ルテニウムをあまり溶解しない溶媒内で、グリットが溶解するという特性を含む、1つ以上のグリットの特性のために、選択されている。ルテニウムがあまり溶解しないとは、実際に溶解されるルテニウムの量が所定量以下であることを意味する。分離されたルテニウム及びルテニウムを分離するために用いられるグリットは、グリット加工に引き続き集められる。結果として残ったグリット/及びルテニウムの混合物は,グリットは溶解するが、ルテニウムは殆ど溶解しない第1の溶媒により処理される。グリットが溶解すると、その溶媒及び溶解されたグリットは、ルテニウムを含むかもしれない、残りの固体から分離されうる。残りの固体は洗浄され、フィルタにかけられ、再利用されうるルテニウムの粒子が残る。
【0016】
いくつかの実施形態において、使用されるグリット及び使用される溶質溶媒に依存して、第1の溶媒による処理の後に残る固体物は、ルテニウムの粒子に加え、不純物を含むかもしれない。これらの実施形態において、残った固体は、その不純物を溶解し、ルテニウムの粒子を溶解するように選択された第2溶媒により、処理されるかもしれない。この第2の溶媒による処理の後、残ったルテニウムの粒子は洗浄され、フィルタにかけられ再利用可能なルテニウムとなる。
【0017】
追加の実施形態において、ルテニウム堆積チャンバを動作させる方法が提供される。これらの実施形態において、ルテニウム堆積チャンバは、基板上にルテニウムを堆積させるために、従来の方法により動作されうる。堆積サイクルは、通常、チャンバ内に基板を置き、この基板上にルテニウムを堆積し、チャンバから基板を取り除くステップを含む。本発明は追加のステップを提供し、次のステップのうちの、どれか1つ、若しくは、全てを含み得る。
a)予め選択されたプロセスサイクルの後、例えば、周期的に蒸着装置を検査すること。
b)蒸着装置上に所定量以上のルテニウムが堆積したか否かを判定し、もしそうであれば、蒸着装置を動作停止として、クリーニングすること。
c)本明細書において説明されるように、ルテニウムを回収すること。
【0018】
別の実施形態において、検査の結果、ルテニウムが蒸着装置から剥がれたことが見つかると、蒸着装置は動作停止とし、クリーニングされ、更に選択的に、本明細書に説明されるように、ルテニウムがに回収される。一旦、クリーニングされると、蒸着装置は動作状態に戻され、検査プロセスが再び開始される。回収されたルテニウムは再利用可能である。
【0019】
クリーニング方法
図1は本発明の蒸着装置100をクリーニングするための方法のフローチャートを図示する。上述のとおり、蒸着装置はプロセスキット及び堆積チャンバを含むかもしれない。半導体処理に用いられるプロセスキットは、少なくとも内部シールド、カバーリング、デポジションリング、シャッターデイスク、及び、外側のシールドを含む。これらのパーツは、例えば、アルミニウム、チタニウム、ステンレススチール、セラミックから形成されている。他の材料が使われていてもよい。以下の説明は、プロセスキットを用いられて具体化されているが、適切であれば、堆積チャンバをクリーニングするために用いられてもよいステップであることが理解されるべきである。
【0020】
ステップ102において、プロセスキットは個々のプロセスキットのパーツ(以下、キットパーツと称する)に分解される。分解により、クリーニングされるべきキットパーツをより小さくし、キットパーツ間の接合部分をクリーニングすることの困難性を排除できるので、クリーニングが容易となる。
【0021】
キットパーツは検査され、もし適切であれば、ステップ104においてマスクされる。ルテニウムの堆積プロセスの間、キットパーツの少なくともいくつかは、少なくとも部分的に、ルテニウムにより被覆されている。逆に、キットパーツのいくらかの部分は、ルテニウムが堆積されていない部分(以下、非堆積部分と称する)を含む。被堆積部分をクリーニングする必要がないかもしれず、事実、以下に、詳細に説明されるように、クリーニンングプロセスのいくつかの特質から、これらのキット部分を保護することが望ましい。このようにして、ステップ104において、キットパーツの1つ若しくはそれ以上の部分がマスクされるかもしれない。いくらかのキットパーツはマスキングを必要としないかもしれないし、いくらかのキットパーツはクリーニングを必要としない可能性もある。
【0022】
キットパーツが検査され、もし適切であれば、マスクされると、キットパーツはステップ106においてグリットブラスト加工がなされることによりクリーニングされる。選択的に、キットパーツは、検査若しくはマスクされることなしに、グリットブラスト加工されるかもしれない。
【0023】
キットパーツは、個々に若しくはグループ毎に、グリットブラスト加工されるかもしれない。グリットブラスト加工は、選択された衝撃圧力により、キットパーツに対して、グリット粒子を吹き付けることを含む。通常、グリット粒子は、圧縮空気若しくは他の適宜なガスにより、吹き飛ばされるかもしれない。グリットは、例えば、サイフォン方式により、或いは、圧力により、供給されるグリットブラスタ、若しくは、他のいかなる適宜なグリットブラスタにより、吹き付けられる。
【0024】
グリットブラスト加工は、人間の操作者がグリットブラスタを制御することにより、手動により行われてもよいし、若しくは、電子コンピュータ若しくは他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御されるようなグリットブラスト加工機械により行われるかもしれない。
【0025】
キットパーツからルテニウムを分離するのに用いられるグリットは、例えば、ソーダ石灰ガラス及び酸化アルミニウム粒子等のガラスのビーズを含む。他の適宜なグリットが用いられてもよい。グリットのサイズは約#70と約#36との間の網目サイズのものである。他の適宜なグリットサイズが用いられてもよい。
【0026】
グリットは、約60psi若しくは他の適宜な圧力により、吹き付けられる。キットパーツからルテニウムの被覆を分離するに必要な時間は、例えば、ルテニウムのコーティングの厚さ、パーツの大きさ及び形状、グリットブラスト加工材料、及び、グリットブラスト加工のプロセス条件を含む、いくつかのファクタに依存して、約5分から約30分の範囲で変化する。他の適宜な時間が用いられもよい。いくつかの実施形態において、パーツは、所定量未満のルテニウムがパーツの上に残っている、若しくは、残っているルテニウムコーティングが所定の厚さ未満であると判定されるまで、グリットブラスト加工されうる。パーツ上に残留するルテニウムの量の判定は、人間の操作者によって行われるかもしれないし、コンピュータ若しくは他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御されるセンサにより検出されるかもしれない。選択的に、最小のクリーニンング時間は、実験的に、又は、他の適宜な方法により開発されうる。
【0027】
いくつかの実施形態において、蒸着装置は、それが動作状態となる前に、その動作能力を高めるために、意図的にコーテイングされるかもしれない。この意図的なコーテイングは、例えば、蒸着装置上のルテニウムの堆積を減少させるために、若しくは、蒸着装置上に堆積するルテニウムの除去を容易にするために、行われるかもしれない。そのようなコーテイングは、アルミニウムの2対のワイヤによるアーク式溶射によるコーテイング(Al TWAS)であるかもしれない。これらの及び他の実施形態において、蒸着装置のグリットブラステイング加工が、ルテニウムのコーテイングを大量に除去し、蒸着装置からAl TWASコーティングの分離を始めた頃に、ブラスティング加工は停止される。この意図的な性能向上のためのコーテイングによる保護を行う理由の1つは、蒸着装置の非堆積部分をグリットブラステイング加工に先立ちマスクできるからである。
【0028】
グリットブラステイング加工106は、固定のノズル、若しくは、可動式のノズル、又は、自動化されたグリットブラステイング加工装置を用いて、グリットブラステイング加工チャンバ内で行われる。蒸着チャンバがブラスト加工されるときには、ブラストノズルは、蒸着チャンバ内に導入され、人間の操作者若しくはコンピュータ若しくは他のプラグラム可能なロジックコントローラにより制御されるロボットにより、方向付けられる。
【0029】
ステップ108において、クリーニングされたキットパーツはマスクが外され、ステップ110において、プロセスキットに再び組み立てられる。いくつかの実施形態において、キットパーツは、再組立てされる前に、更にクリーニンングされるかもしれない。
【0030】
ルテニウムの回収
図2は本発明のルテニウム回収方法200のためのフローチャートを図示する。これら及び他の実施形態において、蒸着装置からルテニウムをクリーニングするためのプロセスは、クリーニンング方法100内に記載されたクリーニング方法と実質的に同じものであるかもしれない。そして、例えば、方法200では、ステップ202において、プロセスキットパーツは分解され、ステップ204において、検査され、マスクされ、ステップ206において、グリットブラスト加工され、ステップ208において、マスクが除去され、ステップ210において、プロセスキットに再び組み立てられる。
【0031】
ステップ206のグリットブラステイング加工に続き、キットパーツからブラスト加工されたグリット、ルテニウム、及び他の物質(以下、グリット/ルテニウムの混合物と称する)が、ステップ212において、集められる。グリット/ルテニウムの混合物は、グリットブラストチャンバから掃きだされるか、若しくは、真空除去されるか、又は、他の適宜な方法により集められる。
【0032】
グリット/ルテニウムの混合物は、グリットを溶解するために、ステップ214において第1の溶媒により処理される。この処理214は、テフロン若しくはプロポリピレン材料等で作られた、例えば、耐薬品性のタンク又は反応器等の適宜な容器内で行われる。いくつかの実施形態において、例えば、ガラスのグリットが用いられる場合、この第1の溶媒は、濃縮されたHF/HNO3の混合物であるかもしれない。ルテニウムはほとんど溶解しないが、グリットは溶解するであろうような、いかなる溶媒をも用いられうる。HF/HNO3は、例えば、一対一の容積比により用いられるかもしれないし、又は、選択的に、最大約4倍の容積の水で希釈されるかもしれない。本技術の当業者であれば、このグリットを溶解するに必要な酸の量は、少なくとも、グリットの重さに基づく化学量論量であることは容易に理解するだろう。適宜な他の酸の量が用いられてもよい。例えば、室温で、この反応には、約20分から30分必要とする。他の温度及び時間が用いられてもよい。
【0033】
グリットの溶解に引き続き、ルテニウム及び固体の不純物を含むかもしれない残りの固体物は、洗浄され、及び/又は、ろ過される。ルテニウムの粒子のサイズは、用いられるクリーニング方法の種類に依存するかもしれない。例えば、ガラスビーズブラスト法によれば、ルテニウムの粒子は、直径で、約200マイクロンから約500マイクロンの範囲のものであるかもしれない。
【0034】
ステップ216において、第2の溶媒によりルテニウムの粒子及び固体不純物が処理されることにより、固体の不純物は、ルテニウムの粒子から分離されうる。第2の溶媒は、固体の不純物を溶解するが、ルテニウムをほとんど溶解しない適宜な溶媒であるかもしれない。いくつかの実施形態において、グリットがソーダ石灰ガラスであるような場合、固体の不純物は、Ca及びMgのHFとの反応により生成されるかもしれない不溶性のCaF2及びMgF2を含むかもしれない。固体の不純物がCaF2及びMgF2を含む場合、第2の溶媒は、固体の不純物は溶解するが、ルテニウムは溶解しないで残留物として残る、濃縮されたH2SO4であるかもしれない。濃縮されたH2SO4による固体不純物及びルテニウム粒子の処理は、例えば、室温で、約10分から20分の間、行われ、あるいは、反応が完了するまで行われる。他の時間及び温度が用いられてもよい。ステップ216において、第2の溶媒による、ルテニウムの粒子及び固体の不純物の処理は、例えば、テフロン(商標名)、若しくは、ポリプロピレン材料から作らる、耐薬品性のタンク、若しくは、反応器等の、いかなる適宜な容器内で行われるかもしれない。
【0035】
ステップ216において、固体の不純物の溶解に引き続き、残留するルテニウムの粒子は、ステップ218において、濾過により回収されるかもしれない。この濾過は、例えば、テフロン(商標名)フィルタにより行われるかもしれない。他の適宜なフィルターが用いられてもよい。
【0036】
ルテニウム蒸着チャンバを動作させる方法
図3に本発明のルテニウム蒸着チャンバを動作させるための方法300のフローチャートを図示する。
【0037】
ステップ302において、ルテニウムは、通常、ルテニウム蒸着チャンバ内の基板上に堆積される。一実施形態において、ルテニウム蒸着の各サイクルに引き続き、ステップ304において、蒸着装置は検査される。上述の通り、この検査は、人間のオペレーターによる視覚よる検査、又は、コンピュータ、若しくは、他のプログラム可能なロジックコントローラにより制御される適宜なセンサによる検査からなる。いくつかの実施形態において、この検査は蒸着装置上でのルテニウムのコーテイングの厚さを検査することを含む。いくつかの実施形態において、この検査には、ルテニウムの粒子の剥がれ落ち、若しくは、分離を検知するために、蒸着装置を検査することも含まれるかもしれない。他の実施形態において、蒸着装置は、連続するX回の蒸着サイクル毎に検査される。Xは2から約20の間の整数、若しくは、他の適宜な数のサイクルであるように選択される。検査により、例えば、蒸着装置上のルテニウムコーテイングの厚さが、予定される次の検査の前に、剥がれ落ちの危険を呈するほどの厚さではないので、クリーニングは必要ないと判定されれば、蒸着プロセス及び検査サイクルは再開される。もし、検査により、例えば、ルテニウムの粒子が蒸着装置から分離したこと、若しくは、次の検査の前の蒸着装置からルテニウムから分離するかもしれないことが判定されることにより、クリーニングが必要と判定されると、蒸着装置は動作停止とされる。蒸着装置は、例えば、クリーニンングプロセス100(図1)を用いてステップ306においてクリーニングされる。クリーニングされた蒸着装置はステップ308において通常動作に戻される。
【0038】
ステップ306において生成されたグリット/ルテニウムの混合物は、集められ、例えば、ルテニウム回収方法200(図2)を用いて、ステップ310において、ルテニウムが回収される。この回収されたルテニウムは、ステップ312において再蒸着のために蒸着チャンバに送られる。
【0039】
以上の説明は、本発明の例示的な実施形態を開示している。本発明の範囲内の、上記に開示された方法の変形例が、本技術の当業者には容易に明らかである。いくつかの実施形態において、本発明の装置及び方法は、半導体デバイス処理、及び/又は、電子デバイス製造に適用可能である。
【0040】
従って、本発明はその例示的な実施形態に関連して開示されてきたが、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に基づいて定められる本発明の精神及び範囲内に入ると理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーツからクリーニングされるべき堆積された金属により少なくとも部分的にコーテイングされた蒸着装置を提供し、
前記堆積された金属の少なくともいくらかを取り除くために、グリットにより前記蒸着装置をブラスト加工することを含む電子デバイス装置をクリーニングするための方法。
【請求項2】
前記蒸着装置はプロセスキットである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記蒸着装置は蒸着チャンバである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記金属はルテニウムを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記グリットはガラスグリットを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記蒸着装置はブラステイング加工のステップに先立ち、部分的マスクされる請求項1記載の方法。
【請求項7】
堆積された金属により少なくとも部分的にコーテイングされた蒸着装置を提供し、
前記蒸着装置をグリットによりブラスト加工し、前記堆積された金属のうちの少なくともいくらかを取り除き、吹き付けられたグリット及び取り除かれた金属を生成し、
前記吹き付けられたグリットから前記取り除かれた金属のうちのいくらかを分離して、金属を回収することを含む電子デバイス蒸着装置から金属を回収するため記載の方法。
【請求項8】
前記金属はルテニウムを含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記グリットはガラスグリットを含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記取り除かれた金属から、前記吹き付けられたグリットを分離するステップは、前記吹き付けられたグリットを溶解することを含む請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記吹き付けられたグリットは、取り除かれた金属は溶解しない物質を用いて、溶解される請求項10記載の方法。
【請求項12】
蒸着装置を提供し、
基板上に金属を堆積し、
前記蒸着装置上に、予め選択された厚さの金属より多く金属が堆積されたことを判定するために、前記蒸着装置を検査し、
前記蒸着装置から前記堆積された金属のうちの少なくともいくらかをグリットブラスト加工して、グリット/金属の混合物を生成し、
前記グリット/金属の混合物から前記金属の少なくともいくらかを回収することを含む金属堆積チャンバを動作させる方法。
【請求項13】
前記金属はルテニウムである請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記蒸着装置は、前記グリットブラスト加工のステップに先立ち、部分的にマスクされる請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記金属は、前記グリット/金属の混合物から前記グリットを溶解することにより、前記グリット/金属の混合物から回収される請求項12記載の方法。
【請求項1】
パーツからクリーニングされるべき堆積された金属により少なくとも部分的にコーテイングされた蒸着装置を提供し、
前記堆積された金属の少なくともいくらかを取り除くために、グリットにより前記蒸着装置をブラスト加工することを含む電子デバイス装置をクリーニングするための方法。
【請求項2】
前記蒸着装置はプロセスキットである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記蒸着装置は蒸着チャンバである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記金属はルテニウムを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記グリットはガラスグリットを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記蒸着装置はブラステイング加工のステップに先立ち、部分的マスクされる請求項1記載の方法。
【請求項7】
堆積された金属により少なくとも部分的にコーテイングされた蒸着装置を提供し、
前記蒸着装置をグリットによりブラスト加工し、前記堆積された金属のうちの少なくともいくらかを取り除き、吹き付けられたグリット及び取り除かれた金属を生成し、
前記吹き付けられたグリットから前記取り除かれた金属のうちのいくらかを分離して、金属を回収することを含む電子デバイス蒸着装置から金属を回収するため記載の方法。
【請求項8】
前記金属はルテニウムを含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記グリットはガラスグリットを含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記取り除かれた金属から、前記吹き付けられたグリットを分離するステップは、前記吹き付けられたグリットを溶解することを含む請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記吹き付けられたグリットは、取り除かれた金属は溶解しない物質を用いて、溶解される請求項10記載の方法。
【請求項12】
蒸着装置を提供し、
基板上に金属を堆積し、
前記蒸着装置上に、予め選択された厚さの金属より多く金属が堆積されたことを判定するために、前記蒸着装置を検査し、
前記蒸着装置から前記堆積された金属のうちの少なくともいくらかをグリットブラスト加工して、グリット/金属の混合物を生成し、
前記グリット/金属の混合物から前記金属の少なくともいくらかを回収することを含む金属堆積チャンバを動作させる方法。
【請求項13】
前記金属はルテニウムである請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記蒸着装置は、前記グリットブラスト加工のステップに先立ち、部分的にマスクされる請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記金属は、前記グリット/金属の混合物から前記グリットを溶解することにより、前記グリット/金属の混合物から回収される請求項12記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2011−508079(P2011−508079A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539839(P2010−539839)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087551
【国際公開番号】WO2009/086023
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087551
【国際公開番号】WO2009/086023
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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