説明

プロセスユニット及び画像形成装置

【課題】 プロセスユニット内で静電潜像担持体に配置された現像剤除去部材からの現像剤の漏れを防止する。
【解決手段】 本発明は、円筒状に形成され感光層を含む表面層を備える静電潜像担持体と、静電潜像担持体の表面層上の現像剤を除去する現像剤除部材とを有するプロセスユニットに関する。そして、プロセスユニットは、現像剤除去部材の一方又は両方の端に、静電潜像担持体に当接する現像剤漏れ防止部材が付けられており、静電潜像担持領域の一方又は両方の端部に段差部が形成されており、静電潜像担持体に付けられた現像剤漏れ防止部材が段差部を含む領域に当接して現像剤漏れを防止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロセスユニット及び画像形成装置に関し、例えば、電子写真方式のプリンタや複写装置(例えば、コピー機)等に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置(例えば、電子写真プリンタ)において、印刷用紙に画像を形成するユニット(以下、「プロセスユニット」と呼ぶ)は、静電潜像担持体としての感光ドラムを帯電部材としての帯電ローラで帯電する。そして、従来の画像形成装置では、露光部で静電潜像を前記感光ドラムに書き込み、現像剤担持体としての現像ローラと前記現像ローラに現像剤としてのトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラと前記現像ローラ上にトナーの薄層を形成する層形成部材としての規制ブレードからなる現像装置で前記感光ドラムの静電潜像上にトナー像を形成し、前記トナー像を転写部材としての転写ローラで用紙上に転写する。また、従来の画像形成装置では、転写後感光ドラム上に残ったトナーは、ゴム板からなるクリーニングブレードで回収される。さらに、従来の画像形成装置では、印刷用紙はその後定着装置により印刷用紙上にトナーが定着されて画像形成装置であるプリンタから排出される。
【0003】
上述のように、転写後感光ドラムにクリーニングブレードが配置されたプロセスユニットを備える画像形成装置としては、特許文献1の記載技術がある。
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のトナーを用いたプロセスユニットを並べて配置し、カラー像を形成するように構成されている。そして、特許文献1に記載されたプロセスユニットで用いられる感光ドラムは、ドラムギア、ドラムフランジ、そして円筒型に加工された導電性支持体上に表面から順に、ブロッキング層、電荷発生層、電荷輸送層の構成で積層構造となっている。そして、特許文献1に記載され感光ドラムの感光層は、電荷発生層と電荷輸送層で構成されている。
【0005】
さらに、特許文献1に記載された感光ドラムに配置されたクリーニングブレードでは、感光ドラムとの当接部からトナーが漏れるのを防止する現像剤漏れ防止部材としてのシールスポンジが付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−217598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたプロセスユニットでは、印刷を重ねていくうちに、クリーニングブレードに多くのトナーが溜まり、シールスポンジからトナーが漏れてしまう場合があった。シールスポンジからトナーが漏れると、漏れたトナーがプロセスユニット内に落下したり、印刷媒体としての用紙上に落下する等、プロセスユニットの動作や印刷品質に影響を及ぼす場合がある。
【0008】
そのため、プロセスユニット内で静電潜像担持体(例えば、感光ドラム)に配置された現像剤除去部材(例えば、クリーニングブレード)からの現像剤(例えば、トナー)の漏れを防止することができるプロセスユニット及び画像形成装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、円筒状に形成され、少なくとも静電潜像担持領域に感光層を含む表面層を備える静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面層上の現像剤を除去する現像剤除部材とを有するプロセスユニットにおいて、(1)前記現像剤除去部材の一方又は両方の端に、前記静電潜像担持体に当接する現像剤漏れ防止部材が付けられており、(2)前記静電潜像担持体の表面上で、前記静電潜像担持領域の一方又は両方の端部に段差部が形成されており、(3)前記静電潜像担持体に付けられた前記現像剤漏れ防止部材が、前記段差部を含む領域に当接することを特徴とする。
【0010】
第2の本発明は、円筒状に形成され、少なくとも静電潜像担持領域感光層を含む表面層を備える静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面層上の現像剤を除去する現像剤除部材とを有するプロセスユニットを備える画像形成装置において、前記プロセスユニットは、(1)前記現像剤除去部材の一方又は両方の端に、前記静電潜像担持体に当接する現像剤漏れ防止部材が付けられており、(2)前記静電潜像担持体の表面上で、前記静電潜像担持領域の一方又は両方の端部に段差部が形成されており、(3)前記静電潜像担持体に付けられた前記現像剤漏れ防止部材が、前記段差部を含む領域に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プロセスユニット内で静電潜像担持体に配置された現像剤除去部材からの現像剤の漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る感光ドラムにクリーニングブレードを押圧した状態で示す要部拡大断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るプリンタ(画像形成装置)の概略縦断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る作像カートリッジの斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る感光ドラムの一部拡大断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る感光ドラムにクリーニングブレードを押圧した状態で示す概略側面図である。
【図6】図5のA−A線矢視断面図である。
【図7】図5のB−B線矢視断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る画像形成装置の評価に用いた印刷パターンについて示した説明図である。
【図9】第1〜第3の実施形態に係る画像形成装置の評価結果について示した説明図である。
【図10】第1の実施形態に係るプロセスユニットで、大外径部がシールスポンジの内側に配置された状態(比較例1)について示した要部拡大断面図である。
【図11】第1の実施形態に係るプロセスユニットで、大外径部がシールスポンジの外側に配置された状態(比較例2)について示した要部拡大断面図である。
【図12】第2の実施形態に係る感光ドラムにクリーニングブレードを押圧した状態で示す要部拡大断面図である。
【図13】第3の実施形態に係る感光ドラムにクリーニングブレードを押圧した状態で示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるプロセスユニット及び画像形成装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像形成装置は、プリンタである。
【0014】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、この実施形態のプリンタ1の概略縦断面図である。
【0015】
図2に示すように、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ1は、ブラック(以下、「K」とも表わす)、シアン(以下、「C」とも表わす)、マゼンタ(以下、「M」とも表わす)、イエロー(以下、「Y」とも表わす)のトナー30(30K、30C、30M、30Y)をそれぞれ収容する現像剤収容体としてのトナーカートリッジ3(3K、3C、3M、3Y)を有している。また、プリンタ1は、それぞれのトナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yに対応したプロセスユニット2(2K、2C、2M、2Y)を有している。
【0016】
プロセスユニット2(2K、2C、2M、2Y)は、それぞれ静電潜像担持体としての感光ドラム21(21K、21C、21M、21Y)を備えている。そして、プリンタ1には、感光ドラム21(21K、21C、21M、21Y)のそれぞれに対して、現像されたトナー像を転写媒体としての用紙Pに転写する転写ユニット4(4K、4C、4M、4Y)と、感光ドラム21の表面に光を照射して静電潜像を形成させる露光ユニット5(5K、5C、5M、5Y)とが備えられている。さらに、プリンタ1には、用紙Pを収容すると共に、図2に図示した矢印Xの方向に用紙Pを給紙する給紙カセット6と、転写ユニット4により用紙Pに転写されたトナー像を定着させる定着ユニット7と、プリンタ1のロワーフレームに対して概ねS字状に形成された用紙搬送経路8とが備えられている。
【0017】
プロセスユニット2K、2C、2M、2Yは、用紙Pの給紙側から排出側にかけての用紙搬送経路8に沿って、図2に図示した矢印Yの方向に順次配設されている。また、プロセスユニット2K、2C、2M、2Yは作像カートリッジ20として一体的に構成されており、プリンタ1に対して着脱自在に配設されている。
【0018】
なお、プロセスユニット2K、2C、2M、2Yは現像するトナー30K、30C、30M、30Y色のみが異なり、他の構成は同一である。したがって、以下では、ブラック(K)のトナー30Kを現像するプロセスユニット2Kについてのみ説明し、他のプロセスユニット2C、2M、2Yについての説明は省略する。
【0019】
プロセスユニット2Kは、感光ドラム21と感光ドラム21表面を均一に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ22Kと、トナー30Kを感光ドラム21Kに現像する現像部材としての現像ローラ23Kと、現像ローラ23Kに供給されたトナー30Kの層厚を規制するトナー層厚規制部材としての現像ブレード24Kと、現像ローラ23Kにトナー30Kを供給する供給部材としての供給ローラ25Kと、用紙Pに転写されなかった感光ドラム21K上に残留する残留トナー30Kを除去する清掃手段としてのトナー除去部材としてのクリーニングブレード26Kと、クリーニングブレード26Kにより除去された残留トナー30Kを廃棄トナー30Kとして搬送する搬送手段としての第1の搬送手段27Kとを備える。
【0020】
感光ドラム21Kは、例えば、導電性支持体と光導電層とによって構成され、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属パイプに、ブロッキング層、光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の有機系感光体である。
【0021】
帯電ローラ22Kは、例えば、金属シャフトとエピクロルヒドリンゴム等の半導電性ゴム層によって構成することができる。また、帯電ローラ22Kは感光ドラム21Kと所定の圧接量もって当接しており、感光ドラム21Kの回転により従動回転する。
【0022】
現像ローラ23Kは、例えば、金属シャフトと半導電性ウレタンゴム層を用いて構成することができる。現像ローラ23Kは感光ドラム21Kと所定の圧接量をもって当接しており、感光ドラム21Kの回転に対してカウンター方向に所定の周速比を持って回転する。
【0023】
現像ブレード24Kは、例えば厚さ0.08mmで、現像ローラ23Kの長手方向長さと略同じ長さを有し、トナー30Kの層厚を規制する金属薄板部材である。現像ブレード24Kの長手方向の一端側は図示せぬプロセスユニット2Kのフレームに固定され、他端側はその先端部から僅かに内側の面が現像ローラ23Kと当接するように配置されている。
【0024】
供給ローラ25Kは、例えば、金属製シャフトと半導電性発泡シリコーンスポンジ層とによって構成することができる。供給ローラ25Kは現像ローラ23Kと所定の圧接量をもって当接しており、現像ローラ23Kの回転に対してカウンター方向に所定の周速比を持って回転する。
【0025】
クリーニングブレード26Kは、その一端が感光ドラム21Kと所定の圧接量をもって当接する位置に配置されており、例えば、ウレタンゴム部材を用いて構成することができる。
【0026】
第1の搬送手段27Kは、クリーニングブレード26Kにより除去された残留トナー30K及び付着物を廃棄トナー30Kとして、感光ドラム21Kの回転軸方向手前側に向けて搬送する。
【0027】
第2の搬送手段28は、各プロセスユニット2K、2C、2M、2Yが備える第1の搬送手段27K、27C、27M、27Yから搬送された廃棄トナー30K、30C、30M、30Yを一括して矢印Z方向に搬送する。
【0028】
トナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yは、未使用のブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナー30K、30C、30M、30Yを収容する中空構造の供給トナー収容部31K、31C、31M、31Yをそれぞれ備える。これらのトナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yにおいて、用紙搬送経路の最上流側に位置するブラック(K)のトナーカートリッジ3Kのみ、供給トナー収容部31Kに付設された廃棄トナー収容部32を備える。廃棄トナー収容部32は、供給トナー収容部31Kと隣接して独立した空間を有し、第2の搬送手段28によって搬送された廃棄トナー30K、30C、30M、30Yを収容する。
【0029】
なお、これまでに説明した作像カートリッジ20、トナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yは、いずれもプリンタ1において着脱可能なユニット(交換ユニット)として構成されている。したがって、収容するトナー30K、30C、30M、30Yが消費された場合や、構成部品が劣化した場合等に交換する事が可能である。
【0030】
転写ユニット4は、用紙Pを静電吸着して搬送する転写ベルト9と、図示せぬ駆動部により回転されて転写ベルト9を駆動する図示せぬドライブローラと、ドライブローラと対を成して転写ベルト9を張架する図示せぬテンションローラと、感光ドラム21K、21C、21M、21Yに対向圧接するように配設され、トナー像を用紙Pに転写するよう電圧を印加する転写ローラ4K、4C、4M、4Yとを備える。
【0031】
露光ユニット5K、5C、5M、5Yは、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子とレンズアレイとを備えたLEDヘッドである。以下では、プロセスユニット2KにおいてLEDヘッドを用いて、感光ドラム21Kにトナー像を形成るものとして説明するが、他の方式を適用するようにしても良い。
【0032】
給紙カセット6は、内部に用紙Pを積層した状態で収容し、プリンタの下部に着脱自在に装着されている。給紙カセット6の上部には用紙Pを1枚ずつ捌いて繰り出すホッピングローラ等を備えた図示せぬ用紙給紙部が配設されている。
【0033】
定着ユニット7は、用紙搬送経路8の下流側に配設され、加熱ローラ7a、加圧ローラ7b、図示せぬサーミスタ及び加熱ヒータを備える。加熱ローラ7aは、例えばアルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロルアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆する事によって形成されている。そして、その芯金内には例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。加圧ローラ7bは、例えばアルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆した構成であり、加熱ローラ7との間に圧接部が形成されるように配設されている。サーミスタは、加熱ローラ7aの表面温度検出手段であり、加熱ローラ7aの近傍に非接触で配設される。
【0034】
図3は、作像カートリッジ20の斜視図である。
【0035】
作像カートリッジ20では、各色のプロセスユニット2K、2C、2M、2Yが等間隔で配列され、それらの両サイドを剛性の高い第一のサイドフレーム体42と第二のサイドフレーム体43、及びフロントフレーム44とバックフレーム45とで固定し、一体化構成されている。
【0036】
感光ドラム回転支持体(感光ドラムシャフト)41K、41C、41M、41Yは、例えば、所定の剛性を有すると共に十分な導電性を有する金属から形成される。作像カートリッジ20は、感光ドラムシャフト41K、41C、41M、41Yを図示されぬプリンタ1内部のガイドに沿って着脱を行う。また、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の感光ドラムシャフト41C、41M、41Yは、図示されぬプロセスユニットリフトアップ機構により矢印W方向へ移動可能であり、プロセスユニット2C、2M、2Yを転写ベルト9から離間する機構を有する。
【0037】
上述の通り、作像カートリッジ20では、プロセスユニット2K、2C、2M、2Yが一体として構成されている。この実施形態では、プロセスユニット2K、2C、2M、2Yは、図3に示すように作像カートリッジ20上に一体として構成されるものとして説明するが、それぞれのプロセスユニット2K、2C、2M、2Y単位で着脱可能な構成とするようにしても良い。また、本発明のプロセスユニットでは、プリンタへの搭載方式等は限定されないものであり、プロセスユニットを収容するケース(フレーム)の外形等については、公知の種々の構成を適用することができる。
【0038】
図4は、感光ドラム21の一部拡大断面図である。
【0039】
図4(a)は、感光ドラム21の概略斜視図について示している。図4(b)は、図4(a)に示す感光ドラム21の円筒の一部の断面について拡大して示している。
【0040】
感光ドラム21は、ドラムギア211、ドラムフランジ212、そして円筒型に加工された導電性支持体としての導電性支持体214上に下層から順に、ブロッキング層215、電荷発生層216、電荷輸送層217の構成で積層構造となっており、感光層213は電荷発生層216と電荷輸送層217で構成されている。言い換えると、感光ドラム21では、導電性支持体214の表面に、表面層220が形成されている。そして、表面層220は、ブロッキング層215、及び感光層213(電荷発生層216、及び電荷輸送層217)を含んでいる。
【0041】
ドラムギア211は、導電性支持体214内部に圧入及び接着剤等によって固定されている。ドラムギア211には図示せぬ駆動ギアが噛み合い、駆動ギアは図示せぬフレームに固定された固定軸に、回転自在に嵌合されている。従って、駆動ギアが駆動されドラムギア211が回転する事により、感光ドラム21は回転する。ドラムギア211及び駆動ギアは、はすば歯車によって形成され、歯のねじり角が相互の逆方向に設定されている。
【0042】
ドラムフランジ212は、感光ドラム21マイナス端側の導電性支持体214内部に圧入及び接着剤によって固定されている。ドラムフランジ212は、例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアセタール等の合成樹脂に、金属粉、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粉末を配合することによって導電化して用いるようにしても良い。このドラムフランジ212及びドラムギア211は、感光ドラムシャフト41上に回転可能に取り付けられている。
【0043】
導電性支持体214は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の材料の金属材料からなるアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム、導電性高分子等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性支持帯が挙げられる。この中でも、金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが好ましく、アルミニウムが最も好適に用いられる。
【0044】
ブロッキング層215は、例えば、アルミニウム陽極酸化被膜(アルマイト)、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、等の有機層を用いることができる。
【0045】
電荷発生層216電荷発生物質としては、例えば、セレン及びその合金、セレン化ヒ素化合物、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ビリリウム塩、チアビリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料が使用できる。中でも無金属フタロシアニン、銅塩化インジウム、塩化ガリウム、∃乳オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム、等の金属又は、その酸化軌塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。電荷発生層216はこれらの物質の微粒子を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルプチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダ樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。この場合の使用比率はバインダ樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1〜2μmが適している。電荷発生層216には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。また電荷発生層216は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
【0046】
電荷輸送層217に使用される電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。
【0047】
電荷輸送層217に使用されるバインダ樹脂は、一般には、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂、及びこれらの共重合体、また部分的架橋硬化物等単独あるいは混合物が使用される。
【0048】
電荷輸送層217には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送層217の膜厚は、通常、10〜30μmの厚みで使用される。感光層213が分散型感光層の場合には、上記のバインダ樹脂と電荷輸送物質との組合せで、上記の配合比の電荷輸送媒体中に、前述した電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、1μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、0.5〜50重量%の範囲で、使用される。
【0049】
図5は、感光ドラム21Kにクリーニングブレード26Kを押圧した状態で示す概略側面図である。
【0050】
図5では、感光ドラム21Kを当接するクリーニングブレード26Kの側から見た図となっている。なお、図5では、説明を簡易とするために、感光ドラム21Kとクリーニングブレード26K以外の構成については省略して図示している。
【0051】
図6は、図5のA−A線矢視断面図(クリーニングブレード26Kの一方のシールスポンジ301を含む部分の断面)である。そして、図7は、図5のB−B線矢視断面図(クリーニングブレード26Kの本体部分を含む部分の断面)である。
【0052】
図5、図7に示すように、クリーニングブレード26Kは、略長方形の板形状となっており、支持板261により支持されている。クリーニングブレード26の板面の一部の領域は、支持板261の板面と当接し、その当接する部分でクリーニングブレード26Kは支持板261に固定されている。
【0053】
クリーニングブレード26Kの板厚は限定されないものであるが、例えば、0.5mm〜5mm程度とすることが望ましく、この実施形態では、1.65mmであるものとする。また、クリーニングブレード26Kの自由端(支持板261と当接しない領域の短手方向の幅)も限定されないものである。図7では、この自由端の幅をL7と表わしている。L7については限定されないものであるが、例えば、2mm〜10mm程度とすることが望ましく、この実施形態では、7.2mmとしている。
【0054】
そして、クリーニングブレード26Kの長手方向の両端にトナー30漏れ防止の為のシールスポンジ301、302が付けられている。
【0055】
図5〜図7に示すように、シールスポンジ301、302は、略長方形の板形状となっている。そして、クリーニングブレード26Kの端の部分は、シールスポンジ301、302と共に、所定の圧接量をもって感光ドラム21Kに当接している。また、図7に示すように、クリーニングブレード26Kは、感光ドラム21Kに当接する際に所定の当接角θをもって当接している。図7に示すように当接角θは、感光ドラム21Kの断面の円の接線とクリーニングブレード26Kの短手方向の辺との成す角度により表すものとする。当接角θについては限定されないものであるが、例えば、5度〜45度とすることが望ましく、この実施形態では、27.89度であるものとして説明する。
【0056】
また、図6、図7に示すように、シールスポンジ301、302の感光ドラム21Kに対する当接面(端面)は、クリーニングブレード26Kの先端(感光ドラム21Kと当接する部分)からL8の幅で張り出した形状となっている。L8の幅については限定されないものであるが、この実施形態では、0.67mmであるものとする。
【0057】
すなわち、クリーニングブレード26Kが所定の圧接量及び当接角θをもって感光ドラム21Kに当接すると、シールスポンジ301、302の当接面(端面)も感光ドラム21Kに押圧されるように、シールスポンジ301、302の形状及び位置は調整されているものとする。
【0058】
なお、シールスポンジ302の断面の形状も、シールスポンジ301と同様に、図6を用いて示すことができるので図示を省略している。また、シールスポンジ301とシールスポンジ302とは、全く同じ形状としても良いし、一部が異なる形状としてもよい。
【0059】
シールスポンジ301、302の板面の形状は、トナー30漏れ防止の機能を満たす形状であれば、適宜変更するようにしても良いが、ここでは、例として板面の縦の長さ(長手方向の長さ)を18.58mm、板面の横の長さ(短手方向の長さ)を11mmとする。また、シールスポンジ301、302の板厚についても、トナー30漏れ防止の機能を満たす形状であれば、適宜変更するようにしても良いが、例えば、2mm〜10mmとすることが望ましく、ここでは4mmであるものとする。
【0060】
また、シールスポンジ301、302としては、例えば、一般的なウレタン発泡スポンジを用いることができる。シールスポンジ301、302に用いる材料の反発弾性率については限定されないものであるが、5%〜50%程度であることが望ましく、この実施形態では30%であるものとする。シールスポンジ301、302に用いる材料の硬さ(25%硬さ)についても限定されないものであるが、例えば、5〜30kgf程度であることが望ましく、この実施形態では10kgfであるものとする。
【0061】
次に、感光ドラム21Kを形成する方法の例について上述の図4を用いて説明する。
【0062】
感光ドラム21Kの各層の形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。以下、感光ドラム21Kを構成する各層の形成方法の例について説明する。
【0063】
導電性支持体214は、例えば、アルミニウムに珪素等を混合した合金であるJIS−A3000系のアルミニウム合金ビレットをポートホール法にて押出し管に加工する。そして、押出後、切削加工により所定の肉厚、外径寸法の円筒とする。第1の実施形態では、押出円筒管を外径30mm、長さ253.45mm、肉厚0.75mmの円筒状とした。導電性支持体214の肉厚については、限定されないものであるが、例えば、0.5mm〜1.5mm程度とすることが望ましい。
【0064】
そして、作製された導電性支持体214を洗浄槽にて表面処理を行い、表面の油分、空気中の各種塵挨を十分に落とした後、表面にブロッキング層215を形成する。本発明では、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔処理を行う事により、陽極酸化被膜(アルマイト層)でブロッキング層215を形成する。
【0065】
ブロッキング層215上に電荷発生層216を形成するが、電荷発生層216の形成方法は、あらかじめ調合された電荷発生層用塗布液で満たされた液槽に、ブロッキング層215を形成した導電性支持体214を浸して塗布する浸潰塗布方法にて行う。浸漬塗布により本発明では約0.3μmの電荷発生層216になるように塗布を行った。本発明で用いた電荷発生層用塗布液は、オキソチタニウムフタロシアニン10部(質量部)を、ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行って作製した顔料分散液160部に、ポリビニルプチラール5部を1、2−ジメトキシエタン95部に溶解した固形分濃度5%のバインダ溶液100部を混ぜ合わせ、最終的に固形分濃度4%、1、2−ジメトキシエタン:4−メトキシー4メチルペンタノン2=9:1となるように調整され調合された液体を電荷発生層用分散液とした。
【0066】
電荷発生層216塗布後、ブロッキング層215上に電荷発生層を塗布された導電性支持体214を乾燥することで、電荷発生層216内の余分な溶媒を除去し、ブロッキング層215上に電荷発生層216を定着させる。
【0067】
乾燥後、電荷発生層216上に電荷輸送層217を形成するが、電荷輸送層217の形成方法は、例えば、あらかじめ調合された電荷輸送層用塗布液で満たされた液槽に、電荷発生層216を形成された導電性支持体214を浸して塗布する浸漬塗布方法にて行う。電荷輸送用塗布液は、主にバインダ樹脂と電荷輸送物質を溶媒に溶解させた液体である。
【0068】
そして、最後に電荷発生層216上に浸漬塗布された電荷輸送層217を乾燥し、電荷輸送層217内の余分な溶媒を除去し、電荷発生層216上に定着させる。
【0069】
次に、感光ドラム21Kの形状の詳細について説明する。
【0070】
図1は、クリーニングブレード26K(シールスポンジ301、302を含む)を、感光ドラム21Kに圧接させた状態を示す要部拡大断面図である。
【0071】
なお、図1では、説明を簡易にするために、感光ドラム21K(円筒状のドラム本体部分)の各層の厚さについてだけ縮尺を小さくして示している。また、以下では、それぞれのシールスポンジ301、302から見て、他方のシールスポンジが存在する方向を内側と呼び、その反対の方向(感光ドラム21Kの端の方向)を外側と呼ぶものとする。
【0072】
図1では、感光ドラム21Kの円筒状の部分の幅(長手方向の幅)をL1と表わしている。また、図1では、シールスポンジ301の内面301aと、シールスポンジ301の内面302aとの間の幅(すなわち、クリーニングブレード26K本体の長手方向の幅)をL2と表わしている。さらに、図1では、シールスポンジ301の板厚をL3、シールスポンジ302の板厚をL4として表わしている。L3とL4についても、異なる寸法としても良いがここでは、では同じ寸法であるものとする。
【0073】
図1に示すように、感光ドラム21Kでは、シールスポンジ301、302と当接する部分の領域で、表面に段差を設けている。図1に示すように、感光ドラム21Kの両端で、一番端の部分から内側に向けた所定幅の領域について、他の部分よりも外径が大きくなっている。以下では、感光ドラム21Kで、この外径が大きくなっている部分(領域)を、大外径部218、219と呼ぶものとする。
【0074】
図1に示すように、第1の実施形態では、大外径部218、219は、内側の端が最も外径が小さくなっており、外側に向けて徐々に外径が大きくなるような形状で段差部が形成されている。図1では、大外径部218の内側の端の段差部をαと表わし、大外径部219の内側の端の段差部をβと表わしている。言い換えると、大外径部218、219の内側には段差部α、βが設けられており、段差部α、βを境に、外側(端部側)の領域の外径が内側の領域の外径よりも大きくなっている。また、図1では、例として、上述の段差部α(又はβ)の断面を、円弧形状として図示しているが、外側に向けて外径が大きくなる形状であれば、段差部α、βの詳細な断面の形状(外径の広がり方)は限定されないものである。
【0075】
また、図1では、大外径部218の幅をL5、大外径部219の幅をL6と表わしている。L5とL6は異なる寸法としても良いが、ここでは同じ寸法であるものとする。L5、L6の寸法については限定されないものであるが、例えば、1mm〜5mmとすることが望ましく、この実施形態では、2.5mmであるものとする。
【0076】
そして、シールスポンジ301は、大外径部218の内側の段差部α含む領域に当接している。また、シールスポンジ302も同様に、大外径部219の内側の段差部βを含む領域に当接している。
【0077】
また、大外径部218、219の最大外径と、大外径部218、219以外の部分の外径との差分(すなわち、段差部α、βの段差の幅)は、電荷輸送層217の膜厚の1〜3倍程度とすることが望ましいが、10倍以上の幅としても良い。第1の実施形態では、段差部α、βの段差の幅は、電荷輸送層217の膜厚の2.5倍程度である50μmとする。なお、段差部α、βの幅が大きすぎると、当接するシールスポンジ301、302が磨耗しやすくなる等の問題が生じる場合がある。また、段差部α、βの幅が小さすぎると、トナー漏れ防止の効果が低下してしまう等の問題が生じる場合がある。しかし、段差部α、βの段差の幅を上述のように適切な幅に調整することによって、上述のような問題を回避することができる。
【0078】
そして、感光ドラム21Kにおいて、通常感光層領域(静電潜像担持領域)として機能を満たす領域(紙面Pへトナー像を転写する領域)は、大外径部218、219の内側(段差部α、βの間)の領域(図1では、「A」と表わしている)となる。
【0079】
上述のように、シールスポンジ301、302は、それぞれ段差部α、βを含む領域に当接している必要がある。このようにシールスポンジ301、302と大外径部218、219とを当接させるために、各寸法を調整する方法は限定されないものであるが、以下のような方法で調整するようにしても良い。例えば、感光層領域Aの幅をクリーニングブレード26当接領域の長さ(L2)より長くし、クリーニングブレード26当接領域とシールスポンジ301、302当接領域を加えた長さ(L2+L3+L4)よりは短くし、さらに、感光層領域Aの端部はシールスポンジ301、302当接領域内にあるように構成すると容易に調整することができる。
【0080】
感光ドラム21Kの表面に、大外径部218、219(段差部α、β)を形成する方法については限定されないものであるが、以下にその一例について説明する。
【0081】
上述の通り、感光ドラム21Kを形成する過程で、電荷発生層216上に電荷輸送層217を形成する方式としては、例えば、あらかじめ調合された電荷輸送層用塗布液で満たされた液槽に、電荷発生層216が形成された導電性支持体214を浸して塗布する浸漬塗布方法にて行うことが挙げられる。この際に、感光ドラム21K(導電性支持体214)の両端部には電荷発生層の液溜まりが生じる場合がある。第1の実施形態では、この感光ドラム21K(導電性支持体214)の両端部に発生する電荷輸送層用塗布液(電荷輸送層217)の液溜まりを利用して、大外径部218、219を形成するものとする。上述の液溜まりを用いて、領域ごとに感光ドラム21Kの外径を調整し、大外径部218、219を形成する場合には、例えば、大外径部218、219を形成する領域だけ電荷輸送層用塗布液への浸漬スピードを調整したり、大外径部218、219を形成する領域だけ電荷輸送層用塗布液を塗布する回数を調整したり、大外径部218、219を形成する領域だけ粘度の異なる電荷輸送層用塗布液を再度塗布したりするようにしても良い。
【0082】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のプリンタ1の動作を説明する。
【0083】
(A−2−1)プリンタ全体の動作
まず、プリンタ1の全体動作について、図1を用いて説明する。
【0084】
プリンタ1は、印刷データ受信後にプロセスユニット2K、2C、2M、2Yが駆動し、トナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yよりトナー30K、30C、30M、30Yを補充する。印刷データ受信後、給紙カセット6内の用紙Pを矢印X方向に給紙し、搬送経路8に沿って矢印Y方向に搬送する。搬送された用紙Pは、プロセスユニット2K、2C、2M、2Y下を順次通過し、LEDヘッド5により露光され形成された感光ドラム21K、21C、21M、21Y上のトナー像を転写ユニット4にて転写し、定着ユニット7にて定着後、プリンタ1外へ排出する。
【0085】
プロセスユニット2K、2C、2M、2Y単体での基本動作は同一であるため、以下のプロセスユニット2K、2C、2M、2Yの説明においては、ブラック(K)のトナー30Kを現像するプロセスユニット2Kについて説明し、他のプロセスユニット2C、2M、2Yについての説明は省略する。
【0086】
感光ドラム21Kは、帯電ローラ22Kにより感光ドラム表面が一様均一に帯電され、露光ユニット5が照射する光により静電潜像を形成する。
【0087】
帯電ローラ22Kには、トナー30Kと同極性のバイアス電圧を印加する図示せぬ帯電ローラ用電源が接続されており、帯電ローラ用電源から印加されたバイアス電圧により感光ドラム21Kの表面を一様均一に帯電させる。
【0088】
現像ローラ23Kには、トナー30Kと同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する図示せぬ現像ローラ用電源が接続されており、現像ローラ用電源から印加されたバイアス電圧によって、帯電したトナー30Kを感光ドラム21K上の静電潜像部に付着させる。
【0089】
現像ブレード24Kには、トナー30Kと同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する図示せぬ現像ローラ用電源、あるいは供給ローラ用電源が接続されており、印加されたバイアス電圧及び当接圧によって現像ローラ23K上のトナー30Kを帯電及び層規制する。
【0090】
供給ローラ25Kには、トナー30Kと同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する図示せぬ供給ローラ用事電源が接続されており、供給ローラ用電源から印加されたバイアス電圧によって、トナーカートリッジ3Kが備える現像剤収容体としての供給トナー収容部31Kから補充されたトナー30Kを現像ローラ23Kに供給する。また、現像ローラ25との当接摩擦力によりトナー30Kを帯電する。
【0091】
クリーニングブレード26Kは、感光ドラム21Kの表面上に残留するトナー30Kを掻き取ることで感光ドラム21Kの表面をクリーニングする。また、微量ではあるが転写ベルト9から感光ドラム21の表面に付着した付着物もクリーニングする。
【0092】
第1の搬送手段27Kは、クリーニングブレード26Kにより除去された残留トナー30K及び付着物を廃棄トナー30Kとして、感光ドラム21Kの回転軸方向手前側に向けて搬送する。第1の搬送手段27Kによって搬送された廃棄トナー30Kは、第1の搬送手段27Kと接続されることにより、廃棄トナー30Kの搬送経路を形成する搬送手段としての第2の搬送手段28によって排出物収納部(廃棄トナー収容部)32まで搬送される。
【0093】
第2の搬送手段28は、各プロセスユニット2K、2C、2M、2Yが備える第1の搬送手段27K、27C、27M、27Yから搬送された廃棄トナー30K、30C、30M、30Yを一括して矢印Z方向に搬送する。
【0094】
トナーカートリッジ3K、3C、3M、3Yには、トナー収容部31K、31C、31M、31Y内に図示せぬ費拝供給機構が存在し、未使用のトナー30K、30C、30M、30Yをそれぞれプロセスユニット2K、2C、2M、2Y内に補充する。
【0095】
転写ユニット4における転写ローラ4K、4C、4M、4Yには、トナー30K、30C、30M、30Yと逆極性のバイアス電圧を印加する図示せぬ転写ローラ用電源が接続されており、転写ローラ用電源から印加されたバイアス電圧により、それぞれの感光ドラム21K、21C、21M、21Yに形成されたトナー像を用紙Pに転写する。
【0096】
LEDヘッド5K、5C、5M、5Yは、入力された印刷データに基づき、感光ドラム21K、21C、21M、21Yの表面に光を照射し、光照射部分の電位を光減衰させて静電潜像を形成する。
【0097】
給紙カセット6内部の用紙給紙部に矢印X方向に給紙された用紙Pは、図示せぬ搬送ローラによって作像カートリッジ20に搬送される。
【0098】
定着ユニット7は、サーミスタが検出した加熱ローラ7aの表面温度の検出に基づき、加熱ヒータを制御することで、加熱ローラ7aの表面温度は所定の温度に維持される。トナー像が転写された用紙Pが所定の温度に維持された加熱ローラ7aと加圧ローラ7bとから形成される圧接部を通過する事で、熱及び圧力が付与され、用紙P上のトナー像は定着される。
【0099】
(A−2−2)作像カートリッジ内の動作
次に、作像カートリッジ20の動作について説明する。
【0100】
作像カートリッジ20は、プロセスユニット2K、2C、2M、2Yが一体化構成されており、作像カートリッジ20ごとプリンタに着脱することが可能となっている。
【0101】
感光ドラムシャフト41K、41C、41M、41Yは、カラー印刷時には自重によりプリンタ1内部のガイドに沿った画像形成位置に配設され、各プロセスユニット2K、2C、2M、2Yにて印字動作を行う。モノクロ印刷時には、図示せぬプロセスユニットリフトアップ機構により感光ドラムシャフト41C、41M、41Yを矢印W方向へ押し上げ、プロセスユニット2C、2M、2Yを非画像形成位置に配設し、画像形成位置に配設されているプロセスユニット2Kのみで印字動作を行う。
【0102】
(A−2−3)実施形態の評価実験
以下では、第1の実施形態のプリンタ1を実際に構築し、連続的に印刷を行った評価実験の結果について説明する。ここでは、OKIDATA(登録商標)製C530dnに、第1の実施形態のプロセスユニット2Kを備える作像カートリッジ20を搭載して、第1の実施形態のプリンタ1を構築した。
【0103】
そして、構築した第1の実施形態のプリンタ1を用いて、A4サイズの用紙、0.3%Duty、及び1P/Jという条件で、40Kドラムカウント(同機種のプリンタに搭載される従来の作像カートリッジ寿命の2倍)まで連続印刷を行った。
【0104】
上述の「%Duty」とは、印刷対象となる用紙(ここでは、A4サイズ用紙)の印刷可能領域の面積に対して、印刷を行う面積が占める割合を示す単位である。したがって、A4サイズの用紙に対して「0.3%Duty」ということは、A4サイズ用紙の印刷可能領域のうち、0.3%分の面積について印刷を行うことを示している。ここでは、0.3%Dutyを満たす印刷パターンとして、図8に示す印刷パターンを用いた。なお、図8に示す印刷パターンでは、ブラック(K)単色の印刷パターンとして示している。
【0105】
また、上述の「P/J」とは「Page/Job」の略であり、1ジョブで何枚の用紙の印刷を行うかを示す単位である。したがって、上述の「1P/J」は、1つのジョブで1枚の用紙を印刷することを示している。
【0106】
また、上述の「ドラムカウント」とは、感光ドラムの回転数を表す単位である。したがって、上述の「40Kドラムカウント」とは、40K(40000)回感光ドラムが回転して印刷処理を行ったことを示している。
【0107】
図9は、実施形態に係るプリンタを用いて、上述の条件で印刷を行った場合の評価結果について表形式で示した説明図である。図9では、後述する第2、第3の実施形態の評価結果も含めて図示しているが、ここでは、第1の実施形態に関する評価結果についてだけ説明する。
【0108】
図9の表で、評価結果が「○」(丸印)となっている場合には、トナー漏れ(クリーニングブレード26Kのシールスポンジ301、302からのトナー漏れ)が発生していないことを示している。また、図9の表で、評価結果が「△」(三角印)となっている場合には、クリーニングブレード26Kのシールスポンジ301、302からトナーが漏れ、プロセスユニット2K内に落下等したことを示している。さらに、図9の表で、評価結果が「×」(バツ印)となっている場合には、クリーニングブレード26Kのシールスポンジ301、302からトナーが漏れ、漏れたトナーが用紙にまで落下したことを示している。
【0109】
また、図9では、第1の実施形態との比較対象として、「比較例1」と「比較例2」を示している。「比較例1」は、シールスポンジ301、302が当接する領域よりも内側に大外径部218、219が形成されている場合(図10参照)の評価結果である。そして、「比較例2」は、シールスポンジ301、302が当接する領域よりも外側に大外径部218、219が形成されている場合(図11参照)の評価結果である。すなわち、比較例2の条件は、従来の画像形成装置における感光ドラム及びクリーニングブレードに近いと言える。なお、比較例1、2において、その他の条件については、全て第1の実施形態と同じ条件としている。
【0110】
図9では、比較例1について、「連続印刷20K」に対応する評価結果が「△」となっている。従って、比較例1のプリンタを用いて、上述の条件で、連続して20Kドラムカウントまで印刷した場合の評価結果は△であることを示している。すなわち、図9では、比較例1のプリンタを用いて、上述の条件で連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合、20Kドラムカウントで評価結果が△となり、さらに25Kドラムカウントで評価結果が×となっている。言い換えると、比較例1のプリンタを用いて、連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合、20Kドラムカウントまでの間にプロセスユニット内でのトナー漏れが始まり、20K〜25Kドラムカウントの間で漏れたトナーが用紙にまで落下する状態となったこということを図9では示している。
【0111】
そして、比較例2のプリンタを用いて、同様の条件で連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合には、図9に示す通り、20Kドラムカウントまでに間にプロセスユニット内でのトナー漏れが始まり、20K〜25Kドラムカウントまでの間で漏れたトナーが用紙にまで落下する状態となった。
【0112】
これに対して、第1の実施形態のプリンタ1を用いて、比較例1、2と同様の条件で連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合には、図9に示す通り、30K〜35Kドラムカウントの間でプロセスユニット内でのトナー漏れが始まるが、40Kドラムカウントまで印刷を継続しても、そのトナー漏れはプロセスユニット2Kの内部でとどまっていた。すなわち、この評価実験では、第1の実施形態のプリンタ1では、比較例1、2よりもトナー漏れ防止の効果が高い(トナー漏れの発生を遅らせることができる)という結果が得られた。
【0113】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0114】
図9に示す評価結果の通り、比較例1及び比較例2よりも第1の実施形態のプリンタ1の方がトナー漏れ防止の効果が高くなることが明らかとなっている。
【0115】
特に、比較例1よりも、第1の実施形態のプリンタ1のトナー漏れ防止の効果が高いことから、単に感光ドラム21Kの表面に段差(例えば、大外径部218、219)を設けるだけでは、トナー漏れ防止に大きな影響は与えないことが分かる。また、比較例1よりも、第1の実施形態のプリンタ1のトナー漏れ防止の効果が高いことから、シールスポンジ301、302を、それぞれ段差部α、βを含む領域に当接させることにより、トナー漏れ防止効果を大きく向上させることが明らかとなっている。これは、大外径部218、219の内側の端に形成される段差部α、βが、内側から到来するトナーをせきとめる壁としてとして機能し、トナーをその壁よりも外へ漏れ難くしているということが理由として挙げられる。
【0116】
また、図9では、比較例1、2、及び第1の実施形態について「製造コスト」を評価する項目を記載している。図9の製造コストの項目では、製造コストが低いほど低い値が記載されている。第1の実施形態では、シールスポンジ301、302を、段差部α、βを含む領域に当接させるという調整を行わなくてはならないため、上述の比較例1、2よりも高い製造コストとなる。そのため、図9では、比較例1、2の製造コストをそれぞれ「1」と記載し、第1の実施形態の製造コストを「2」と記載している。
【0117】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるプロセスユニット及び画像形成装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像形成装置は、プリンタである。
【0118】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、感光ドラム21K、21C、21M、21Yの構成が異なるだけであるので、以下では、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異についてのみ説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同様に感光ドラム21Kの構成についてだけ説明するが、その他の感光ドラム21C、21M、21Yについても同様の構成であるため説明を省略する。
【0119】
図12は、第2の実施形態のクリーニングブレード26K(シールスポンジ301、302を含む)を、感光ドラム21Kに圧接させた状態を示す要部拡大断面図である。なお、図12では、上述の図1と同一又は対応する部分に同一又は対応する符号を付して示している。
【0120】
第1の実施形態では、感光ドラム21K(導電性支持体214)の両端部に発生する電荷輸送層用塗布液(電荷輸送層217)の液溜まりを利用して、感光ドラム21Kの表面に大外径部218、219(段差部α、β)を形成していた。しかし、第2の実施形態では、第1の実施形態とは別の工程により、異なる構成の大外径部318、319(段差部α、β)を形成している。
【0121】
第2の実施形態では、感光ドラム21Kを構成する導電性支持体214の形状を変更している。具体的には、第2の実施形態の感光ドラム21Kを構成する導電性支持体214では、大外径部318、319となる領域と、それ以外の領域(領域Aとなる領域)とで外径が異なっている点で第1の実施形態と相異する。すなわち、第1の実施形態では、導電性支持体214の表面で一番外側の電荷輸送層217を形成する際に、一部だけ層を厚くして大外径部318、319を設けていたが、第2の実施形態では、導電性支持体214を形成する時点で、大外径部318、319となる領域と、領域Aとなる領域とで外径を調整している。第2の実施形態では、外径が一様となっている導電性支持体214を形成し、さらに、その導電性支持体214の表面で、大外径部318、319となる領域以外の領域(領域Aとなる領域)について切削加工することにより段差を設けるものとする。
【0122】
具体的には、第2の実施形態では、導電性支持体214の状態で、領域Aとなる領域の外径を30mmとし、領域A以外領域(大外径部318、319となる領域)の外径を30.10mmと0.1mm大きい形状としている。例えば、まず、肉厚0.80mm、外径30.10mm、長さ253.45mmに切削された円筒管を形成し、その円筒管で、領域Aとなる領域の面周を50μm再切削加工する事により、領域Aとなる領域を肉厚0.75mm、外径30mmとするようにしても良い。第2の実施形態では、上述の通り追加切削を用いて導電性支持体214を形成するものとするが、一度の切削で導電性支持体214の表面上に所望の段差を形成するようにしても良い。
【0123】
そして、上述の表面に段差を設けた導電性支持体214に対して、第1の実施形態と同様にブロッキング層215、電荷発生層216、電荷輸送層217を積層して感光ドラム21Kを形成する。ただし、第2の実施形態では、導電性支持体214自体に段差が設けられているため、電荷輸送層217を積層する工程で、第1の実施形態のように領域ごとに異なる厚みとするような調整は行う必要がない。すなわち、第2の実施形態では、電荷輸送層217の厚みは全ての領域で一様とするようにしても良い。
【0124】
これにより、第2の実施形態の感光ドラム21Kでは、第1の実施形態と同様に、領域Aの両端に、50μm外径の大きい大外径部318、319(段差部α、β)が形成されることになる。
【0125】
(B−2)第2の実施形態の動作
第2の実施形態のプリンタ1についても、全体の動作は第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0126】
第2の実施形態のプリンタ1についても、第1の実施形態と同様の条件で評価実験を行ったので、その結果について上述の図9を用いて説明する。第2の実施形態のプリンタ1を用いて、第1の実施形態と同様の条件で、連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合には、図9に示す通り、35K〜40Kドラムカウントの間でプロセスユニット内でのトナー漏れが始まるが、40Kドラムカウントまで印刷を継続しても、そのトナー漏れはプロセスユニット2Kの内部でとどまっていた。すなわち、この評価実験では、第2の実施形態の方が第1の実施形態よりもトナー漏れ防止の効果が高い(トナー漏れの発生を遅らせることができる)という結果が得られた。
【0127】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して以下のような効果を奏することができる。
【0128】
第1の実施形態では、感光ドラム21K(導電性支持体214)の両端部に発生する電荷輸送層用塗布液(電荷輸送層217)の液溜まりを利用して、感光ドラム21Kの表面に大外径部318、319を形成していた。そのため、第1の実施形態では、図1に示すように、大外径部318、319の内側に形成される段差部α、βの傾斜が緩やかになっていた。これに対して、第2の実施形態では、導電性支持体214の表面に設けた段差の形状が、ほぼそのまま感光ドラム21Kの表面(電荷輸送層217)に反映されるので、段差部α、βの傾斜が、第1の実施形態と比較して急峻とすることができる。また、第2の実施形態では、段差部α、β上部(最も外径が大きくなっている部分)に、第1の実施形態と異なり角(エッジ)を形成することができる。このように、第2の実施形態では、大外径部318、319の形状の特徴により、第1の実施形態よりもトナー漏れ防止の効果を向上させることが、上述の評価結果からも明らかとなっている。
【0129】
なお、第2の実施形態では、上述の通り、段差部α、β上部に、角(エッジ)が形成されることで、トナー漏れ防止の効果が向上しているが、一方で、その角(エッジ)により、シールスポンジ301、302が磨耗しやすくなる。言い換えると、第1の実施形態では、第2の実施形態よりもシールスポンジ301、302が磨耗しにくいという効果を奏する。また、第2の実施形態では、上述の通り、導電性支持体214を加工する工程が必要であるため、第1の実施形態よりも製造コストが大きくなる。従って、上述の図9では、第2の実施形態の製造コストの評価値は「3」となっている。言い換えると、第1の実施形態では、第2の実施形態よりも製造コストが少なくてすむ。
【0130】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるプロセスユニット及び画像形成装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像形成装置は、プリンタである。
【0131】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と比較して、感光ドラム21Kの構成が異なるだけであるので、以下では、第3の実施形態について、第1、第2の実施形態との差異についてのみ説明する。なお、以下では、第1、第2の実施形態と同様に感光ドラム21Kの構成についてだけ説明するが、その他の感光ドラム21C、21M、21Yについても同様の構成であるため説明を省略する。
【0132】
図13は、第3の実施形態のクリーニングブレード26K(シールスポンジ301、302を含む)を、感光ドラム21Kに圧接させた状態で示す要部拡大断面図である。なお、図13では、上述の図1、図12と同一又は対応する部分に同一又は対応する符号を付して示している。
【0133】
第1の実施形態では、感光ドラム21K(導電性支持体214)の両端部に発生する電荷輸送層用塗布液(電荷輸送層217)の液溜まりを利用して、感光ドラム21Kの表面に大外径部218、219を形成していた。また、第2の実施形態では、感光ドラム21Kを構成する導電性支持体214の表面に段差を形成する加工を施して大外径部318、319を形成していた。これに対して、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に光ドラム21Kを構成する導電性支持体214の表面に段差を形成する加工を施すが、大外径部418、419となる領域については、その他の層を積層させずに、導電性支持体214を露出させた状態となっている。
【0134】
第3の実施形態では、感光ドラム21Kを構成する導電性支持体214の形状を変更している。具体的には、第3の実施形態では、大外径部418、419の領域についてその他の層を積層させないため、導電性支持体214の状態で、大外径部418、419の領域と、領域Aとなる領域との段差の幅を、第2の実施形態よりも大きくする必要がある。
【0135】
第3の実施形態では、導電性支持体214の状態で、領域Aとなる領域の外径を30mmとし、領域A以外の領域(大外径部418、419の領域)の外径を30.14mmと0.14mm大きい形状とする。例えば、まず、肉厚0.82mm、外径30.14mm、長さ253.45mmに切削された円筒管を形成し、その円筒管で、領域Aとなる領域の面周を70μm再切削加工する事により、領域Aとなる領域を肉厚0.75mm、外径30mmとするようにしても良い。第3の実施形態では、上述の通り追加切削を用いて導電性支持体214を形成するものとするが、一度の切削で導電性支持体214の表面上に所望の段差を形成するようにしても良い。
【0136】
そして、第3の実施形態では、導電性支持体214の形成した後、第1の実施形態と同様の工程で、領域Aとなる領域についてのみブロッキング層215、電荷発生層216、及び電荷輸送層217を積層していく。すなわち、第3の実施形態の感光ドラム21Kでは、上述の感光層が積層された領域(領域A)のみが通常の感光層領域としての機能を果たす。そして、第3の実施形態の感光ドラム21Kでは、大外径部418、419の領域で導電性支持体214が露出した状態であり、領域Aとの境界上に50μm程度の段差部α、βが形成されることになる。
【0137】
(C−2)第3の実施形態の動作
第3の実施形態のプリンタ1についても、全体の動作は第1、第2の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0138】
第3の実施形態のプリンタ1についても、第1の実施形態と同様の条件で評価実験を行ったので、その結果について上述の図9を用いて説明する。第3の実施形態のプリンタ1を用いて、第1、第2の実施形態と同様の条件で、連続して40Kドラムカウントまで印刷した場合には、図9に示す通り、35K〜40Kドラムカウントの間でプロセスユニット内でのトナー漏れが始まるが、40Kドラムカウントまで印刷を継続しても、そのトナー漏れはプロセスユニット2Kの内部でとどまっていた。すなわち、この評価実験では、第3の実施形態と第2の実施形態では、トナー漏れの防止効果が同程度であるという結果が得られた。
【0139】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して以下のような効果を奏することができる。
【0140】
第3の実施形態では、感光ドラム21Kの表面で大外径部418、419を露出させている。これに対して、第2の実施形態では、導電性支持体214の表面に段差を形成してもその上にその他の層が積層されるので、第3の実施形態と比較して、大外径部318、319の形状を所望の形状にすることが難しくなっている。したがって、第3の実施形態では、段差部α、βの形状を、所望の形状に調節することが容易となる。言い換えると、第3の実施形態では、第2の実施形態よりもトナー漏れ防止の効果をより調整しやすくするという効果を奏する。
【0141】
なお、第3の実施形態では、上述の通り、大外径部418、419となる領域をマスクして各層を積層させる必要があるため、第2の実施形態よりも製造コストが大きくなる。従って、上述の図9では、第3の実施形態の製造コストの評価値は「4」となっている。言い換えると、第1、第2の実施形態では、第3の実施形態よりも製造コストが少なくてすむ。
【0142】
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0143】
(D−1)上記の各実施形態では、クリーニングブレード26Kの両端にシールスポンジ301、302が付けられているが、いずれか一方だけ付けるようにしても良い。また、同様に、大外径部(段差部)についても、いずれか一方だけを形成するようにしても良い。
【0144】
また、上記の各実施形態では、両方の大外径部(段差部)について同じ方式で形成する例について説明したが、それぞれ異なる方式で形成するようにしても良い。例えば、一方の大外径部(段差部)については第1の実施形態の方式で形成し、他方の大外径部(段差部)については、第2の実施形態の方式で形成すること等が挙げられる。
【0145】
(D−2)第2の実施形態では、大外径部318、319について他の領域(領域A)と同様の処理で電荷輸送層217を積層しているが、第1の実施形態と同様に、大外径部318、319となる領域に、液溜りを用いて段差部α、βの段差の幅を調節するようにしても良い。
【0146】
(D−3)第3の実施形態では、大外径部418、419の領域で、導電性支持体214を露出するものとして説明したが、一部の層(例えば、ブロッキング層215)だけを積層するようにしても良い。
【0147】
(D−4)上記の各実施形態では、本発明のプリンタ1(画像形成装置)は、4つのプロセスユニット2K、2C、2M、2Yを備えると説明したが、備えるプロセスユニットの数は限定されないものである。
【0148】
(D−5)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用することについて説明したが、FAXや複写装置(コピー機等)等のプロセスユニットを用いて転写媒体(用紙)に画像を形成するその他の装置に適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0149】
1…プリンタ(画像形成装置)、20…作像カートリッジ、2、2K、2C、2M、2Y…プロセスユニット、21、21K、21C、21M、21Y…感光ドラム、218、219…大外径部、214…導電性支持体、215…ブロッキング層、216…電荷発生層、217…電荷輸送層、213…感光層、22、22K、22C、22M、22Y…帯電ローラ、23、23K、23C、23M、23Y…現像ローラ、24、24K、24C、24M、24Y…現像ブレード、25、25K、25C、25M、25Y…供給ローラ、26、26K、26C、26M、26Y…クリーニングブレード、261…支持板、301、302…シールスポンジ、3、3K、3C、3M、3Y…トナーカートリッジ、30K、30C、30M、30Y…トナー、4、4K、4C、4M、4Y…転写ユニット、5、5K、5C、5M、5Y…露光ユニット、6…給紙カセット、7…定着ユニット、8…用紙搬送経路、α、β…段差部、P…用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成され、少なくとも静電潜像担持領域に感光層を含む表面層を備える静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面層上の現像剤を除去する現像剤除部材とを有するプロセスユニットにおいて、
前記現像剤除去部材の一方又は両方の端に、前記静電潜像担持体に当接する現像剤漏れ防止部材が付けられており、
前記静電潜像担持体の表面上で、前記静電潜像担持領域の一方又は両方の端部に段差部が形成されており、
前記静電潜像担持体に付けられた前記現像剤漏れ防止部材が、前記段差部を含む領域に当接する
ことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記段差部よりも端部側に、前記静電潜像担持領域よりも外径が大きい大外径部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記静電潜像担持体の幅は、前記現像剤漏れ防止部材の内面の間の幅よりも広くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記段差部よりも端部側の感光層の厚さは、前記静電潜像担持領域の感光層の厚さよりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記静電潜像担持体は、支持体の表面上に表面層が形成されており、前記支持体では、前記段差部よりも端部側に対応する領域の外径よりも、前記静電潜像担持領域に対応する領域の外径の方が大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記静電潜像担持体で、前記段差部よりも端部側の前記支持体の表面にも表面層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
円筒状に形成され、少なくとも静電潜像担持領域に感光層を含む表面層を備える静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面層上の現像剤を除去する現像剤除部材とを有するプロセスユニットを備える画像形成装置において、
前記プロセスユニットは、
前記現像剤除去部材の一方又は両方の端に、前記静電潜像担持体に当接する現像剤漏れ防止部材が付けられており、
前記静電潜像担持体の表面上で、前記静電潜像担持領域の一方又は両方の端部に段差部が形成されており、
前記静電潜像担持体に付けられた前記現像剤漏れ防止部材が、前記段差部を含む領域に当接する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−50626(P2013−50626A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189204(P2011−189204)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】