プロセス制御装置

【課題】プロセス入出力部の異常を早期に検出し、異常を起こしているプロセス入出力部の電源を遮断して動作を停止させることが可能なプロセス制御装置を提供する。
【解決手段】プロセス入出力部3〜5とプロセス制御コントローラ2と電源部1と電源制御部6〜8を備える。電源制御部6〜8は、プロセス入出力部3〜5の消費電流を測定し、電源遮断信号15を受信するとプロセス入出力部3〜5への電源を遮断する。プロセス入出力部3〜5は、実装情報信号11をプロセス制御コントローラ2に送信する。プロセス制御コントローラ2は、プロセス入出力部の正常消費電流を記憶しており、実装情報信号11に基づきプロセス入出力部を特定し、特定したプロセス入出力部の正常消費電流の値と閾値係数とから消費電流閾値範囲を設定し、電源制御部6〜8から取得した消費電流の測定値が消費電流閾値範囲を超える場合は、電源制御部6〜8に電源遮断信号15を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス制御コントローラとプロセス入出力部を備えるプロセス制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス制御装置は、プロセス制御装置の全体を制御するプロセス制御コントローラと、プラント機器と接続されプロセス入出力信号を送受信するプロセス入出力部とを備える。プロセス入出力部が実装部品のショートなどにより故障した場合でも、故障が軽度であり、動作が正常であるとプロセス制御コントローラが判断すると、この故障を異常として検出することが困難である。この場合、故障を放置したままプロセス入出力部を稼働させることになるが、故障したプロセス入出力部が誤動作を起こしたり、他のプロセス入出力部やプロセス制御装置全体へ悪影響を与えたりするなどの不具合を生じる恐れがある。最悪の場合には、システム全体が停止してしまう可能性がある。
【0003】
プロセス入出力部からのプロセス値を監視することにより、プラントの異常を検出する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−160326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、プロセス入出力部からのプロセス値を監視することにより、プラントの異常を検出している。従来のプロセス制御装置では、プラントの異常だけでなくプロセス入出力部の異常を検出するのにも、プロセス入出力部からの出力信号を用いている。例えば、プロセス入出力部とプロセス制御コントローラとの通信に異常が発生した時に、プロセス入出力部の異常を検出する。
【0006】
このため、従来の技術では、プロセス入出力部の故障が軽度であり、プロセス制御コントローラが異常と判断しない程度の軽度の異常をプロセス入出力部が起こしていても、この異常の検出が困難であった。従って、異常の検出が遅れ、上述したように、他のプロセス入出力部、プロセス制御装置全体、またはシステム全体に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
本発明は、プロセス入出力部の異常を早期に検出し、異常を起こしているプロセス入出力部の電源を遮断して動作を停止させることが可能なプロセス制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプロセス制御装置は、次のような特徴を備える。
【0009】
プロセスの入出力を行うプロセス入出力部と、前記プロセス入出力部を制御するプロセス制御コントローラと、前記プロセス入出力部の電源となる電源部とを備える。さらに、前記電源部と前記プロセス入出力部との間に電源制御部を備える。前記電源制御部は、前記プロセス入出力部の消費電流を測定し、前記プロセス制御コントローラから電源遮断信号を受信すると前記プロセス入出力部への電源を遮断する。前記プロセス入出力部は、このプロセス入出力部を特定するための実装情報信号を前記プロセス制御コントローラに送信する。前記プロセス制御コントローラは、実装可能な前記プロセス入出力部の正常時の消費電流を記憶しており、前記実装情報信号に基づいて実装されている前記プロセス入出力部を特定する。そして、特定した前記プロセス入出力部の前記正常時の消費電流の値とあらかじめ定めた閾値係数とから消費電流閾値範囲を設定し、前記電源制御部から取得した前記消費電流の測定値が前記消費電流閾値範囲を超える場合は、異常を通知するための異常信号を出力すると共に、前記電源制御部に前記電源遮断信号を送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるプロセス制御装置では、プロセス入出力部の異常を早期に検出し、異常を起こしているプロセス入出力部の電源を遮断して動作を停止させることが可能である。これにより、異常を起こしているプロセス入出力部が誤動作を起こしたり、他のプロセス入出力部やプロセス制御装置全体に悪影響を与えたりするのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例におけるプロセス制御装置のシステム構成図である。
【図2】電源制御部の内部構成図である。
【図3】消費電流閾値範囲を用いる場合のプロセス制御コントローラの動作フローチャートである。
【図4】危険閾値範囲と注意閾値範囲を用いる場合のプロセス制御コントローラの動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるプロセス制御装置では、プロセス入出力部の消費電流異常を検出する。これにより、異常を起こしているプロセス入出力部を早期に検出することが可能である。プロセス入出力部は故障すると消費電流異常を起こすので、消費電流異常を検出することによりプロセス入出力部の異常を早期に検出できる。さらに、異常を検出したプロセス入出力部(消費電流異常を起こしているプロセス入出力部)の電源を遮断し、動作を停止させることが可能である。このため、消費電流異常を起こしているプロセス入出力部が誤動作を起こしたり、他のプロセス入出力部やプロセス制御装置全体に悪影響を与えたりするのを防止することが可能である。
【0013】
プロセス入出力部の消費電流異常とは、プロセス入出力部の消費電流の値が、正常時の消費電流(以下「正常消費電流」と称する)から求めた閾値範囲(以下「消費電流閾値範囲」と称する)を超えることである。閾値範囲とは、電流値の範囲であり、消費電流異常を検出するための閾値として用いる範囲である。正常消費電流は、後述するように、プロセス入出力部毎にあらかじめ設定しておく。
【0014】
本発明によるプロセス制御装置は、電源部とプロセス制御コントローラとプロセス入出力部と電源制御部とを備え、電源部とプロセス入出力部間の電源線上に電源制御部を設置する。電源制御部は、プロセス入出力部の消費電流を測定し、その値をプロセス制御コントローラに送信する。プロセス制御コントローラは、プロセス入出力部毎に消費電流閾値範囲を設定し、受信した消費電流の測定値と設定した消費電流閾値範囲とを比較する。消費電流の測定値が消費電流閾値範囲を超えていれば、消費電流異常と判断し、オペレータに通知すると共に、電源制御部へプロセス入出力部の電源遮断信号を送信する。電源遮断信号を受信した電源制御部は、プロセス入出力部の電源を遮断する。このようにして、他のプロセス入出力部やプロセス制御装置全体に影響を与える前に、消費電流異常を起こしているプロセス入出力部を安全に停止することができる。
【0015】
以下、図1から図4を参照して、本発明の実施例におけるプロセス制御装置を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例におけるプロセス制御装置のシステム構成図である。プロセス制御装置は、プロセス制御装置全体に電力を供給する電源部1と、プロセス制御装置の全体を制御するプロセス制御コントローラ2と、プロセス制御コントローラ2に制御されてプロセスの入出力を行うプロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5と、電源制御部6〜8を備える。図1では記載を省略しているが、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5は、プラント機器と接続される。
【0017】
電源部1は、電源線10を介して、プロセス制御コントローラ2、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5に電力を供給する。
【0018】
電源制御部6は、プロセス入出力部A3と電源部1との間の電源線10上に設置され、プロセス入出力部A3の消費電流を測定し、プロセス入出力部A3が消費電流異常を起こすと電源を遮断する。電源制御部7は、プロセス入出力部B4と電源部1との間の電源線10上に設置され、プロセス入出力部B4の消費電流を測定し、プロセス入出力部B4が消費電流異常を起こすと電源を遮断する。電源制御部8は、プロセス入出力部C5と電源部1との間の電源線10上に設置され、プロセス入出力部C5の消費電流を測定し、プロセス入出力部C5が消費電流異常を起こすと電源を遮断する。
【0019】
プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5は、実装情報信号11と入力データ信号16をプロセス制御コントローラ2に送信し、出力データ信号17をプロセス制御コントローラ2から受信する。プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5は、異なる種類のプロセス入出力部であってもよく、それぞれ動作が異なってもよい。
【0020】
実装情報信号11は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の実装状態を示す信号であり、これらの実装状態を実装情報としてプロセス制御コントローラ2に伝える。すなわち、実装情報信号11は、実装されているプロセス入出力部の種類と実装位置を、実装情報としてプロセス制御コントローラ2に伝える信号である。実装情報信号11により、プロセス制御コントローラ2は、どのプロセス入出力部がどの位置に実装されているかを特定することができる。
【0021】
入力データ信号16と出力データ信号17は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5が入出力しているデータの信号である。後述するように、プロセス制御コントローラ2は、入力データ信号16と出力データ信号17とから、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれについて、入出力動作を実行している入出力端子の数を取得することができ、現在の動作における入出力状態を認識することができる。
【0022】
プロセス制御コントローラ2は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5から実装情報信号11と入力データ信号16を受信し、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5へ出力データ信号17を送信する。これにより、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の実装情報や入出力状態を認識することができる。
【0023】
また、プロセス制御コントローラ2は、電源制御部6〜8から消費電流測定値信号12を受信し、電源制御部6〜8に電源遮断信号15を送信する。これにより、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流を認識し、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の電源を遮断することができる。
【0024】
プロセス制御コントローラ2は、メモリを持ち、プロセス制御装置に実装する可能性のある全ての種類のプロセス入出力部のそれぞれについて、正常消費電流をメモリに記憶している。プロセス入出力部の正常消費電流には、例えば、プロセス入出力部の正常時の消費電流の平均値を用いることができる。この消費電流の平均値は、プロセス入出力部の動作中の消費電流の平均値を、実装前に測定することで得ることができる。正常消費電流は、例えば実装時にプロセス制御コントローラ2に記憶させる。プロセス入出力部の正常消費電流は、プロセス入出力部毎に異なっていても同じでもよい。
【0025】
プロセス制御装置には、オペレータがこのプロセス制御装置を監視、操作をするためのオペレータ監視・操作部9が接続される。
【0026】
図1では、プロセス制御装置は、3台(3種類)のプロセス入出力部3〜5を備え、これに対応して3台の電源制御部6〜8を備えている。ただし、プロセス入出力部と電源制御部の数は3台に限られるものではなく、1台でも任意の複数台でもよい。
【0027】
プロセス制御コントローラ2は、プロセス制御装置に実装されているプロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5から実装情報信号11を取得し、実装情報信号11に基づき、実装されているプロセス入出力部の種類と実装位置を認識する。そして、認識したプロセス入出力部であるプロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5について、それぞれの消費電流閾値範囲を設定する。消費電流閾値範囲は、消費電流値の範囲であり、消費電流異常を検出するための閾値として用いる。
【0028】
ここで、消費電流閾値範囲を設定する方法を説明する。プロセス制御コントローラ2は、実装情報信号11に基づいて実装されているプロセス入出力部を特定し、実装されているプロセス入出力部の正常消費電流をメモリから読み出す。そして、読み出した正常消費電流とあらかじめ定めた係数(以下「閾値係数」と称する)とを用いて、消費電流閾値範囲を設定する。閾値係数は、プロセス入出力部毎にあらかじめ定めてプロセス制御コントローラ2のメモリに記憶させておく。閾値係数の値は、プロセス入出力部毎に異なっていても同じでもよい。
【0029】
例えば、読み出した正常消費電流の値がC1であり、閾値係数がαであるとする。このとき、消費電流閾値範囲R1は、(1±α)C1で定められる範囲、すなわち、(1−α)C1以上で(1+α)C1以下の範囲と設定する。具体的には、例えば、正常消費電流の値C1が1.0Aであり、閾値係数αが0.1であるとする。このとき、消費電流閾値範囲R1は、0.9A以上1.1A以下となる。正常消費電流や閾値係数の値は、この例に限るものではなく、消費電流閾値範囲の設定方法も、この方法だけに限るものではない。
【0030】
電源制御部6〜8は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流を測定し、測定した消費電流値を消費電流測定値信号12としてプロセス制御コントローラ2に送信する。なお、消費電流測定値信号12は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流の測定値の合計に対する信号ではなく、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれの消費電流の測定値に対する信号である。すなわち、図1では、電源制御部6〜8からそれぞれ送信されるプロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれの消費電流についての信号を、1つの消費電流測定値信号12で代表している。
【0031】
プロセス制御コントローラ2は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流測定値信号12を受信し、設定した消費電流閾値範囲と、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれの消費電流値とを比較する。この比較により、プロセス制御コントローラ2は、消費電流に異常がないかどうかを、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれに対して検出することができる。
【0032】
電源制御部が測定した消費電流の値が消費電流閾値範囲を超える場合(消費電流の値が消費電流閾値範囲の外にある場合)、プロセス制御コントローラ2は、この消費電流値に対応する消費電流測定値信号12を送信した電源制御部から、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部を特定し、オペレータ監視・操作部9に異常信号13を出力して、このプロセス入出力部が異常であることをオペレータに通知する。さらに、この電源制御部(消費電流異常を起こしたプロセス入出力部に対応する電源制御部)に電源遮断信号15を自動で送信し、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断する。
【0033】
消費電流閾値範囲として、危険閾値範囲と注意閾値範囲という異なる2つの閾値範囲を設けることができる。閾値範囲を2つ設けて消費電流異常の判断を2段階で行うことで、より正確かつ早期にプロセス入出力部の異常を把握することができる。
【0034】
危険閾値範囲と注意閾値範囲も、読み出した正常消費電流とあらかじめ定めた係数とを用いて設定する。危険閾値範囲を設定する係数を「危険閾値係数」と称し、注意閾値範囲を設定する係数を「注意閾値係数」と称する。危険閾値係数と注意閾値係数は、プロセス入出力部毎にあらかじめ定めてプロセス制御コントローラ2のメモリに記憶させておく。危険閾値係数は、注意閾値係数より大きい値であるとする。危険閾値係数と注意閾値係数の値は、プロセス入出力部毎に異なっていても同じでもよい。
【0035】
例えば、読み出した正常消費電流の値がC2であり、注意閾値係数がβであり、危険閾値係数がγであるとする。β<γである。このとき、注意閾値範囲R2は、(1±β)C2で定められる範囲、すなわち、(1−β)C2以上で(1+β)C2以下の範囲と設定する。危険閾値範囲R3は、(1±γ)C2で定められる範囲、すなわち、(1−γ)C2以上で(1+γ)C2以下の範囲と設定する。具体的には、例えば、正常消費電流の値C2が1.0Aであり、注意閾値係数βが0.15であり、危険閾値係数γが0.25であるとする。このとき、注意閾値範囲R2は0.85A以上1.15A以下となり、危険閾値範囲R3は0.75A以上1.25A以下となる。危険閾値係数γは、注意閾値係数βより大きい値であるので、危険閾値範囲R3は注意閾値範囲R2より広い範囲となる。正常消費電流、危険閾値係数、及び注意閾値係数の値は、この例に限るものではなく、危険閾値範囲と注意閾値範囲の設定方法も、この方法だけに限るものではない。
【0036】
このように2段階の消費電流閾値範囲(危険閾値範囲と注意閾値範囲)を設け、プロセス入出力部の消費電流値が危険閾値範囲と注意閾値範囲のどちらに含まれているかに応じて、異なる処理を実行することができる。
【0037】
電源制御部が測定した消費電流の値が危険閾値範囲を超える場合(消費電流値が危険閾値範囲の外にある場合)には、プロセス制御コントローラ2は、この消費電流値に対応する消費電流測定値信号12を送信した電源制御部から、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部を特定し、オペレータ監視・操作部9に異常信号13を出力して、このプロセス入出力部が異常であることをオペレータに通知する。この異常信号13は、消費電流の値が危険閾値範囲を超えているという危険を通知するための信号である。さらに、この電源制御部(消費電流異常を起こしたプロセス入出力部に対応する電源制御部)に電源遮断信号15を自動で送信し、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断する。
【0038】
電源制御部が測定した消費電流の値が危険閾値範囲以内であり(消費電流値が危険閾値範囲に含まれている場合)、かつ注意閾値範囲を超える場合(注意閾値範囲の外にある場合)には、プロセス制御コントローラ2は、この消費電流値に対応する消費電流測定値信号12を送信した電源制御部から、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部を特定し、オペレータ監視・操作部9に異常信号13を出力して、このプロセス入出力部が異常であることをオペレータに通知する。この異常信号13は、消費電流の値が注意閾値範囲を超えているという注意を通知するための信号である。このとき、プロセス制御コントローラ2は、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断せずに、監視を継続する。
【0039】
オペレータ監視・操作部9は、異常信号13を受信すると、プロセス制御コントローラ2が特定したプロセス入出力部に消費電流異常が起きていることをオペレータに通知する。オペレータは、オペレータ監視・操作部9を操作することにより、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部を停止させることができる。オペレータ監視・操作部9の具体的な構成や出力方法(オペレータへの通知方法)は、特に限定しない。出力方法としては、例えば、視覚表示及び音響表示(ランプを点灯または点滅する、画面に文字や図形を表示する、ブザーやサウンドなどの警告音を鳴らす、または音声を出力するなど)の少なくともいずれか一方を用いることができる。
【0040】
オペレータがオペレータ監視・操作部9を用いて、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部を停止させる操作を行うと、オペレータ監視・操作部9からプロセス制御コントローラ2へ電源遮断信号14が送信される。プロセス制御コントローラ2は、電源遮断信号14を受信すると、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部に対応する電源操作部に電源遮断信号15を送信する。電源制御部6〜8は、電源遮断信号15を受信すると、対応するプロセス入出力部への電源を遮断する。
【0041】
プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5は、それぞれ複数の入出力端子を備え、入出力状態により、入出力動作を実行している入出力端子の数が異なり消費電流も異なる。そこで、入出力動作をしている入出力端子の数に合わせて消費電流閾値範囲(または危険閾値範囲と注意閾値範囲)を設定すると、プロセス入出力部の実際の動作状態(入出力状態)を反映させることができる。このように、プロセス入出力部の入出力状態毎に消費電流閾値範囲(または危険閾値範囲と注意閾値範囲)を設定すると、入出力状態に応じて消費電流の測定値と消費電流閾値範囲(または危険閾値範囲と注意閾値範囲)とを比較するため、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流異常をより正確に検出できる。
【0042】
以下、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の入出力状態毎に消費電流閾値範囲を設定する方法について説明する。
【0043】
プロセス制御コントローラ2は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれについて、1つの入出力端子あたりの正常消費電流(1つの入出力端子における正常消費電流)をメモリに記憶している。プロセス入出力部の1つの入出力端子あたりの正常消費電流には、例えば、実装前に測定した1つの入出力端子における消費電流の値を用いることができる。
【0044】
プロセス制御コントローラ2は、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の入力データ信号16と出力データ信号17とから、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれにおいて入出力動作を実行している入出力端子の数を求める。求めた入出力端子の数に、記憶している1つの入出力端子あたりの正常消費電流を掛けると、現在の入出力状態におけるプロセス入出力部の正常消費電流を求めることができる。この現在の入出力状態における正常消費電流にあらかじめ定めた閾値係数を掛けることで、現在の入出力状態における消費電流閾値範囲を設定することができる。
【0045】
また、上述したように、消費電流閾値範囲として、危険閾値範囲と注意閾値範囲という異なる2つの閾値範囲を設けてもよい。この場合も、現在の入出力状態における正常消費電流に、あらかじめ定めた危険閾値係数と注意閾値係数を掛けて、現在の入出力状態における危険閾値範囲と注意閾値範囲を設定することができる。
【0046】
プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5のそれぞれについて、このように設定した現在の入出力状態における消費電流閾値範囲、または危険閾値範囲と注意閾値範囲と、現在の入出力状態における消費電流の測定値とを比較することで、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流異常を、現在の入出力状態(プロセス入出力部の動作状態)を反映させて、より正確に検出できる。
【0047】
図2は、電源制御部6の内部構成図である。電源制御部7、8の内部構成は、電源制御部6と同じなので、説明を省略する。ただし、以下の説明でプロセス入出力部A3については、それぞれ対応するものに読み替えるものとする(すなわち、電源制御部7についてはプロセス入出力部B4と、電源制御部8についてはプロセス入出力部C5と読み替える)。
【0048】
電源制御部6は、電流測定部20と電源遮断部21を備える。電流測定部20は、プロセス入出力部A3の消費電流を測定し、消費電流の測定値を消費電流測定値信号12としてプロセス制御コントローラ2へ送信する。電源遮断部21は、プロセス制御コントローラ2から電源遮断信号15を受信すると、電源部1からプロセス入出力部A3への電源を遮断する。
【0049】
図3は、消費電流閾値範囲を用いる場合(閾値範囲が1つの場合)のプロセス制御コントローラ2の動作フローチャートである。以下、この場合のプロセス制御コントローラ2の動作について説明する。
【0050】
ステップ30では、初期化処理として、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5から実装情報信号11(図1を参照)を取得し、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の実装情報を取得する。
【0051】
ステップ31では、ステップ30で取得した実装情報から、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5に消費電流閾値範囲を設定する。消費電流閾値範囲の設定方法は、上述してある。プロセス入出力部の現在の入出力状態毎に消費電流閾値範囲を設定する場合(プロセス入出力部の現在の動作状態に合った消費電流閾値範囲を設定する場合)の設定方法も、上述してある。この場合には、入力データ信号16と出力データ信号17からプロセス入出力部の入出力データを得て、この入出力データから、プロセス入出力部において入出力動作を実行している入出力端子の数を求める。
【0052】
次にステップ32で、電源制御部6〜8からプロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5の消費電流の測定値をそれぞれ取得する。
【0053】
ステップ33で、消費電流の測定値がステップ31で設定した消費電流閾値範囲に含まれているかどうかを判定する。消費電流の測定値が消費電流閾値範囲を超える場合は、ステップ34へ移る。
【0054】
ステップ34で、オペレータ監視・操作部9へ異常信号13を送信し、オペレータに異常であることを通知する。
【0055】
ステップ35で、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部に対応する電源制御部へ電源遮断信号15を送信し、このプロセス入出力部の電源を遮断する。
【0056】
ステップ33で消費電流の測定値が消費電流閾値範囲以内の場合は、ステップ39へ移る。
【0057】
ステップ39では、消費電流の測定値をクリアし、ステップ31に戻る。
【0058】
図4は、消費電流閾値範囲として危険閾値範囲と注意閾値範囲を用いる場合のプロセス制御コントローラ2の動作フローチャートである。以下、この場合のプロセス制御コントローラ2の動作について説明する。図4に示すフローチャートおいて、図3と同一のステップは、図3と同一または対応するステップを示す。以下、図3に示したフローチャートと異なる部分のみを説明する。
【0059】
ステップ41では、ステップ30で取得した実装情報から、プロセス入出力部A3、プロセス入出力部B4、及びプロセス入出力部C5に危険閾値範囲と注意閾値範囲を設定する。危険閾値範囲と注意閾値範囲の設定方法は、上述してある。プロセス入出力部の現在の入出力状態毎に危険閾値範囲と注意閾値範囲を設定する場合(プロセス入出力部の現在の動作状態に合った危険閾値範囲と注意閾値範囲を設定する場合)の設定方法も、上述してある。この場合には、入力データ信号16と出力データ信号17からプロセス入出力部の入出力データを得て、この入出力データから、プロセス入出力部において入出力動作を実行している入出力端子の数を求める。
【0060】
ステップ43では、消費電流の測定値がステップ41で設定した危険閾値範囲に含まれているかどうかを判定する。消費電流の測定値が危険閾値範囲を超える場合は、ステップ44へ移る。
【0061】
ステップ44では、オペレータ監視・操作部9へ、消費電流の値が危険閾値範囲を超えていることを伝えるための異常信号13を送信し、オペレータに異常であることを通知する。
【0062】
ステップ43で消費電流の測定値が消費電流閾値範囲以内の場合は、ステップ46へ移る。
【0063】
ステップ46で、消費電流の測定値がステップ41で設定した注意閾値範囲に含まれているかどうかを判定する。消費電流の測定値が注意閾値範囲を超える場合は、ステップ47へ移る。
【0064】
ステップ47で、オペレータ監視・操作部9へ、消費電流の値が注意閾値範囲を超えていることを伝えるための異常信号13を送信し、オペレータに異常であることを通知する。オペレータは、オペレータ監視・操作部9を操作して、消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断することができる。
【0065】
ステップ48で、オペレータから消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断する指示があった場合は、ステップ35に移り、このプロセス入出力部の電源を遮断する。
【0066】
ステップ46で消費電流の測定値が注意閾値範囲以内の場合や、ステップ48でオペレータから消費電流異常を起こしたプロセス入出力部の電源を遮断する指示がない場合は、ステップ39に移る。
【符号の説明】
【0067】
1…電源部、2…プロセス制御コントローラ、3…プロセス入出力部A、4…プロセス入出力部B、5…プロセス入出力部C、6,7,8…電源制御部、9…オペレータ監視・操作部、10…電源線、11…実装情報信号、12…消費電流測定値信号、13…異常信号、14,15…電源遮断信号、16…入力データ信号、17…出力データ信号、20…電流測定部、21…電源遮断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスの入出力を行うプロセス入出力部と、前記プロセス入出力部を制御するプロセス制御コントローラと、前記プロセス入出力部の電源となる電源部とを備えるプロセス制御装置において、
前記電源部と前記プロセス入出力部との間に電源制御部を備え、
前記電源制御部は、前記プロセス入出力部の消費電流を測定し、前記プロセス制御コントローラから電源遮断信号を受信すると前記プロセス入出力部への電源を遮断し、
前記プロセス入出力部は、このプロセス入出力部を特定するための実装情報信号を前記プロセス制御コントローラに送信し、
前記プロセス制御コントローラは、
実装可能な前記プロセス入出力部の正常時の消費電流を記憶しており、
前記実装情報信号に基づいて実装されている前記プロセス入出力部を特定し、
特定した前記プロセス入出力部の前記正常時の消費電流の値とあらかじめ定めた閾値係数とから消費電流閾値範囲を設定し、
前記電源制御部から取得した前記消費電流の測定値が前記消費電流閾値範囲を超える場合は、異常を通知するための異常信号を出力すると共に、前記電源制御部に前記電源遮断信号を送信する、
ことを特徴とするプロセス制御装置。
【請求項2】
請求項1記載プロセス制御装置において、
前記プロセス制御コントローラは、
特定した前記プロセス入出力部の前記正常時の消費電流の値とあらかじめ定めた危険閾値係数とから危険閾値範囲を設定し、この正常時の消費電流の値とあらかじめ定めた注意閾値係数とから注意閾値範囲を設定し、
前記電源制御部から取得した前記消費電流の測定値が前記危険閾値範囲を超える場合は、危険を通知するための異常信号を出力すると共に、前記電源制御部に前記電源遮断信号を送信し、
前記電源制御部から取得した前記消費電流の測定値が前記危険閾値範囲以内で前記注意閾値範囲を超える場合は、注意を通知するための異常信号を出力し、オペレータからの指示に従って前記電源制御部に前記電源遮断信号を送信するプロセス制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のプロセス制御装置において、
前記プロセス入出力部は、複数の入出力端子を備え、入出力動作を実行している前記入出力端子の数を取得可能な信号である入力データ信号と出力データ信号を前記プロセス制御コントローラとの間で送受信し、
前記プロセス制御コントローラは、
前記プロセス入出力部の1つの入出力端子あたりの前記正常時の消費電流を記憶しており、
前記入力データ信号と出力データ信号とから前記入出力動作を実行している前記入出力端子の数を求め、
求めた前記入出力端子の数と、前記1つの入出力端子あたりの前記正常時の消費電流と、前記閾値係数とから前記消費電流閾値範囲を設定するプロセス制御装置。
【請求項4】
請求項2記載のプロセス制御装置において、
前記プロセス入出力部は、複数の入出力端子を備え、入出力動作を実行している前記入出力端子の数を取得可能な信号である入力データ信号と出力データ信号を前記プロセス制御コントローラとの間で送受信し、
前記プロセス制御コントローラは、
前記プロセス入出力部の1つの入出力端子あたりの前記正常時の消費電流を記憶しており、
前記入力データ信号と出力データ信号とから前記入出力動作を実行している前記入出力端子の数を求め、
求めた前記入出力端子の数と、前記1つの入出力端子あたりの前記正常時の消費電流と、前記危険閾値係数とから前記危険閾値範囲を設定し、
求めた前記入出力端子の数と、前記1つの入出力端子あたりの前記正常時の消費電流と、前記注意閾値係数とから前記注意閾値範囲を設定するプロセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−20511(P2013−20511A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154385(P2011−154385)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】