説明

プロセス環境における動的パラメータのモニタリングに用いる自己訂正型多変量解析

プロセスをモニタする方法及び装置が提供される。プロセス・モニタリングは、(i)プロセス環境の多変量解析基準モデルを、プロセス環境のモニタされるパラメータに対応するデータから生成するステップと、(ii)モニタされるパラメータの少なくとも1つを、プロセス環境の成熟と相関するものとして指定するステップと、(iii)少なくとも1つの指定されたパラメータを含むモニタされるパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集するステップと、(iv)少なくとも1つの指定されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて多変量解析基準モデルをスケーリングし、プロセス環境の成熟を説明するステップと、を含む。この方法は、更に、プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を現在のデータから生成するステップと、現在のプロセス計量とスケーリングされた基準モデルとを比較して、プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
多変量解析(MVA)は、多くのモニタされたパラメータを含むプロセスのモニタリング、特に、故障検出において有効なツールであることがわかっている。多変量解析は、パラメータの共分散及び相関で見られるプロセス変化を検出する。MVAは、典型的には基準として役立つ既知の受入可能な作業条件に基づいたプロセス基準モデルの構造を必要とする。
【0002】
基準モデルは、測定されたプロセス・パラメータから構築できる。一般に、このモデルは、個別のプロセス・ステップの個々の時間依存的なモデルに分割し、次に、全過程を要約する上位レベルのモデルに再構築できる。
【0003】
プロセスのための故障検出の以後のインプリメンテーション(実装)はすべて、同じ方法(つまりモデル化プロセス・ステップ及び上位レベルモデルへの要約)で同じ測定されたパラメータを比較し、基準モデルが基づく既知の受入可能なプロセスからの統計的に著しい偏差を決定する。MVAの効果的な実行は、大部分が、モデルの質に依存する。
【発明の概要】
【0004】
MVAを用いて、故障検出から利益を得ることができるプロセスは、本質的に動的である。時間経過と共に、プロセスの性能は、エージング(経年劣化)によりドリフトする。例えば、半導体プロセスでは、チャンバ・ウォール上に生じる積層(デポジット)の結果として、プロセスに関係するプラズマの性質に影響を及ぼす内部RF電磁場の分布に差を生じさせることがある。したがって、プロセスが成熟すると、MVA基準モデルは、欠陥の検知に関して効率的でなくなる。この原因は、このモデルが、新たな作業条件をモデルとは統計的に有意に異なるものと考慮し、プロセスのエージングすなわち成熟を計算に入れないからである。
【0005】
それほど成熟したプロセス中のMVAの効果的な実行は、時間にわたって工程偏差により、プロセスの変化と比較して、成熟によりプロセスの変化を認識することを機構の定義に要求する。図1の例で示されるように、プロセス成熟は典型的には定期保守と一致するサイクルに繰り返すある標準パターンに従う。MVA結果は理想化されたランプの形をしている成熟パスとしてプロセス老化を図解する。他のプロセスは違い特性成熟パスを持っていることがある。しかし、パスの特定の輪郭は些細である。
【0006】
図2は、先行技術によるプロセス・エージングを説明するMVA基準モデルを生成する方法を図解するプロセス成熟のダイアグラムである。この方法は、単一のサイクルをわたってプロセス成熟を説明するプロセス・サンプルの選択を説明する基準モデルを作成することを特に含む。例えば、図2を参照すると、プロセス成熟経路に沿った点5a、5b、・・・、5n(集合的に5とする)において選択されたデータ・サンプルを用いて、プロセスの復旧が理想的でない場合でも、以後の成熟経路に沿ってプロセス・アラーム(故障の指示)を生じさせない基準モデルが作成される。そのようなモデルの短所は、それはそうであるべきであるが、ポイントで5c示された可動域によって定義された出来事が、欠陥であると恐らく確認されないであろうということである。
【0007】
別の既知のモデリング溶液は故障検出に使用された基準モデルへの周期的な最新版である。しかし、この解決策は、正規過程時間を犠牲にして行なわれた頻繁なメンテナンスを要求する多くのモデルを要求するだろう。MVA故障検出はプロセス漂流及び正常な欠陥の両方に強健なことがあるが、MVAのインプリメンテーションは重要な人間の仲裁を要求し、次のモデル最新版のインプリメンテーションに関するヒューマンエラーのポテンシャルに先行することができる。
【0008】
本発明は、プロセスの多変量解析への自己修正メカニズムとしてプロセス自体の性質を組込む方法に導かれる。頻繁に、プロセス成熟がMVA結果中の漂流で帰着するもののようなプロセスでは、MVA漂流結果と関連する個別工程パラメータは識別することができる。例えば、半導体プロセスが成熟するとともに、ウエハのエッチング速度は関連方法で変わるパラメータであると確認されることがある。別の例として、半導体プロセスが成熟するとともに、ガス流速はオリフィスのデポジット(積層物)により変わることがある。
【0009】
プロセス成熟と関連するパラメータは「初期条件」としてMVAモデル内に定義することができる。これらの初期条件はその成熟カーブに沿ったプロセスの現在状況に関してモデルに通知するために用いることができる。プロセスがモニタされるごとに、MVAモデルは、プロセス成熟パスに沿って、プロセスがどこでそれ自体を見つけるか決めるために前のプロセスイベントからの関連パラメータを評価する。その後、MVAモデラーは、実プロセス漂流を補うためにMVAのコントロールスレショルドを調節することができる。
その方法では、モデルは、既知の成熟過程により正常運転条件からの可動域と運転条件の変化を区別することができる。
【0010】
成熟カーブがプロセスの特性で、プロセス・パラメータが成熟カーブを備えたその相関物と分かられる限り、成熟カーブの性質は些細である。初期条件のインプリメンテーションは、自己へのMVAモデルを許可する、正規過程条件からの工程偏差を識別するその能力を維持している間、現在の成熟条件に順応する。モデル頑強性を維持するために初期条件を用いることは、頻繁なモデル最新版の、及び頻繁なモデル・バージョン管理を維持する必要からの必要を削除する。
【0011】
あるひとつの側面では、本発明は、プロセスをモニタする方法及び装置であって、プロセス環境の多変量解析基準モデルを前記プロセス環境のモニタされたパラメータに対応するデータから生成するステップ又は構造と、前記モニタされたパラメータの少なくとも1つを前記プロセス環境の成熟と相関するものとして識別するステップ又は構造と、前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集するステップ又は構造と、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし前記プロセス環境の成熟を説明するステップ又は構造と、を含むことを特徴とする。
【0012】
特定の実施例は、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをするステップ又は構造を更に含むことを特徴とする。
【0013】
特定の実施例は、前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を前記現在のプロセス・データから生成するステップ又は構造と、前記1又は複数の現在のプロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップ又は構造とを更に含むことを特徴とする。
【0014】
特定の実施例は、計量値と前記プロセス環境の状態を表す前記計量に関するスレショルド値の組とを生成するステップ又は構造であって、前記スレショルド値の組は前記プロセス環境の以後の状態と関連する受入可能な計量値の範囲を定義する、ステップ又は構造を更に含むことを特徴とする。
【0015】
特定の実施例は、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記基準モデルのスレショルド値の組をスケーリングし前記プロセス環境の成熟を説明するステップ又は構造を更に含むことを特徴とする。
【0016】
特定の実施例は、前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を前記現在のプロセス・データから生成するステップ又は構造と、前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量とスレショルド値の前記スケーリングされた組とを比較して、前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップ又は構造とを更に含むことを特徴とする。
【0017】
別の側面によると、本発明は、半導体プロセスをモニタする方法又は装置であって、半導体プロセス・チャンバの多変量解析基準モデルを前記半導体プロセス・チャンバのモニタされたパラメータに対応するデータから生成するステップ又は構造と、前記モニタされたパラメータの少なくとも1つを、前記半導体プロセス・チャンバの成熟と相関するものとして識別するステップ又は構造と、前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記プロセス・チャンバに関する前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集するステップ又は構造と、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし前記半導体プロセス・チャンバの成熟を説明するステップ又は構造と、を含むことを特徴とする。
【0018】
特定の実施例によると、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをするステップ又は構造を更に含むことを特徴とする。
【0019】
特定の実施例によると、前記半導体プロセス・チャンバの現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を、前記現在のプロセス・データから生成するステップと、前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップと、を更に含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、プロセス環境において動的パラメータをモニタする際に用いられる自己訂正型の多変量解析の方法を特色とする。例示目的のため、本発明の実施例を、半導体プロセス環境において用いる場合に即して説明する。当業者であれば、本発明の実施例を容易に応用可能である別のプロセス環境を容易に想到するはずである。
【0021】
典型的な半導体プロセスでは、一連のシリコンウェハが、材料の積層、エッチング又は他の処理ステップの目的で、プロセス・チャンバを通過する。そのようなプロセスについては、多変量解析を用いて、プロセス環境の特性とウエハ自体の特性との関係に基づき処理されたウエハの品質を評価することができる。そのような解析を遂行するため、プロセス環境の基準モデルが、MVAを用いて生成される。MVA基準モデルは、後の(以後の)プロセス環境状態と結果的な後の処理されたウエハが受入可能基準を満足するかどうかを判断する根拠として用いられる。本発明の利点は、「初期条件」として識別されたプロセス・パラメータの組がプロセスのエージング(経年劣化)と相関することにある。したがって、複数の基準モデル又は故障検出には比較的能率が悪く有効でない単一の一般化された基準モデルを生成する代わりに、単一の基準モデルを生成し、その後で初期条件パラメータの値に基づいてスケーリングを行い、プロセス・エージングを説明することができる。スケーリングには、初期条件に基づく任意の解析的な調整が含まれる。
【0022】
図3は、基準MVAモデルを生成する方法を図解している流れ図(フロー・チャート)である。ステップ10で、プロセス環境のモニタされたパラメータに関する履歴データが収集される。例えば、半導体プロセスでは、モニタされたパラメータは、ウエハID、エッチング速度、ガス流速、圧力、RFパワー、質量分析データ、赤外分光光度法、温度、及びプロセス・チャンバとプロセスの物理的性質について記述するそれ以外のパラメータの中のうちのいずれか1つ又は複数を含む。そのようなデータは、一連のウエハ処理のために集めることができ、ウエハIDに従って編成することができる。
【0023】
ステップ20では、履歴データの組が、MVA基準モデルの生成に用いられるために選択される。半導体プロセスでは、選択された履歴データは、処理されたウエハに関する外部での試験を通じて受入可能であると考えられるウエハに対応するデータだけを含む。例えば、履歴データが45枚だけが受入可能であると考えられる50枚のウエハに対して集められる場合、履歴データの組は、45枚の受入可能なウエハに対応するデータに制限される。
【0024】
ステップ30では、1又は複数のモニタされたパラメータが、モデルの生成で用いられる「初期条件」として指定される。初期条件とは、そのプロセスの正常なエージングすなわち成熟と相関するプロセスのモニタされたパラメータである。したがって、プロセスが成熟するとともに、最初の基準モデルは、初期条件パラメータの値の変化に基づいてモデルをスケーリングすることにより修正できる。言いかえれば、初期条件は、その成熟パスに沿ったプロセス成熟の状態を示す。初期条件パラメータの決定は、特定のプロセスについての知識に基づいて、又は、プロセスのライフサイクルにわたるモニタされたパラメータの経験的な解析によって行うことができる。例えば、半導体プロセスの場合には、初期条件は、エッチング速度及び/又はガス流速を含む。
【0025】
ステップ40では、MVA基準モデルは、選択された履歴データと指定された初期条件とに基づいて生成される。一般に、データの多変量解析を用いるモデルの生成は、この技術分野では公知である。結果的に生じるMVA基準モデルは、多数のプロセス・パラメータに関する履歴データを、受入可能なプロセス環境を表す独立した抽象的な計量(metrics、計量)(例えばMVAの結果)のより小さな組に圧縮する。それぞれの抽象的な計量は、更に、基準値から逸脱する受入可能な計量値の範囲を定義する制御スレショルド値と関連付けられる。これらのスレショルドは、以後のプロセス環境や続いて処理されたウエハが受入可能な基準を満たすかどうかを判断するための基礎として用いられる。
【0026】
例えば、図4は、ステート・ダイアグラム(状態遷移図)であり、プロセスの成熟と、1つの実施例による最初の基準モデルの対応するMVAの結果及びスレショルドとを図解している。具体的には、MVA結果6aは基準モデルの例示的な計量であり、他方で、MVAの結果6b及び6cはプロセス環境の続いてモデル化された状態に対する受入可能なMVAの結果の範囲に対応する定義されたスレショルドである。
【0027】
ある実施例によると、MVA基準モデルは、スウェーデンのウメアに本店があるユー計量社(UMetrics)から市販されているMVAソフトウェアであるSIMCA P+又はSIMCA QM+を用いて生成することができる。この技術分野で既知である他の多変量解析ソフトウェア、ハードウェア又は他のテクニックを用いることができる。いったん基準モデルが提供されれば、それを用いてプロセス環境の現在状況を評価できる。
【0028】
図5は、ある実施例によるMVA基準モデルを用いて、プロセス環境の現在状況を分析(解析)する方法を図解するフローダイアグラムである。
【0029】
ステップ50では、処理環境のモニタされたパラメータに関する現在のデータが、集められる。モニタされたパラメータは、基準モデルを生成するためにモニタされたパラメータと同じであるのが好ましい。ただし、この場合、データは、単一の処理イベントに関して収集される。例えば、半導体プロセスでは、データは、単一のウエハの処理(例えばエッチング又は材料の積層)のために集められる。モニタされたパラメータは、「初期条件」パラメータとして先に指定された1又は複数のパラメータを含む。
【0030】
ステップ60では、MVA基準モデルの制御スレショルド値は、初期条件パラメータのために集めたデータその関係でスケーリングがなされる。上述したように、初期条件パラメータは、プロセスのエージングすなわち成熟と相関関係を有する。言いかえれば、プロセスは、したがってMVA基準モデルは、1又は複数の初期条件が変化するにつれて、その成熟パスに沿ってエージングが進行する。したがって、プロセス・エージングによって新しい基準モデルを作成しなければならない代わりに、オリジナルの基準モデルは、単に、個々の抽象的な計量に対するその制御スレショルドをスケーリングすることができる。制御スレショルド値は、初期条件パラメータの実際値との関係で、又は、初期条件パラメータの実際値に基づいて導かれた値との関係でスケーリングされ、プロセスの自然老化を説明することができる。
【0031】
例えば、図6は、プロセス成熟を図解する状態遷移図であり、また、ある実施例に従ってプロセス成熟を説明するスケーリングの後の基準モデルの対応するMVA結果及びスレショルドである。具体的には、MVA結果6aは、基準モデルの最初の計量であり、他方で、MVA結果6b’及び6c’はプロセス環境の続いて測定された状態に関する受入可能なMVA結果の新たな範囲に対応するスケーリングされたスレショルドである。したがって、図2に示されるように、プロセス環境の現在状況がMVA結果5cに対応し、MVA結果のスレショルド範囲が6b’と6c’との間にある場合には、故障が検出されることになる。
【0032】
ステップ70で図5を再度参照すると、単一のプロセス・イベントに関してモニタされたパラメータに関して収集されたデータは、プロセス環境の現在状況を表すMVAプロセス計量を生成するのに用いられる。現在のプロセス・モデルは、基準モデルと同じ方法で生成される。例えば、半導体プロセスでは、結果的な現在プロセス解析は、単一のウエハの処理中のウェハ・プロセス・チャンバに関するデータを、現在のプロセス環境を表す独立した抽象的な計量のより小さな組に圧縮する。
【0033】
ステップ80では、現在のプロセス・モデルの1又は複数の抽象的な計量が、スケーリングされプロセス・エージングを説明する基準モデルにおいて定義されている対応するスレショルド範囲と比較される。半導体プロセスでは、現在のモデルの計量が基準モデルの定義されたスレショルド範囲の中に入る場合には、対応するプロセス環境と結果的な対応する処理済のウエハは、受入可能であるとは考えられず、それに従ってウエハは廃棄される。
【0034】
図7は、ある実施例によるプロセス環境における動的パラメータの解析で用いられる自動訂正型の多変量解析基準モデリングをインプリメントするプロセス・モニタを図解するシステム・ダイアグラムである。このシステムは、プロセス環境100とプロセス・モニタ200とを含む。図解されている実施例では、プロセス環境100は、材料の積層、エッチング又はそれ以外の半導体プロセスのためにウエハ105が入るウエハ処理チャンバである。
【0035】
プロセス・モニタ200は、MVAモジュール210と、プロセス・インタフェース220と、ユーザ・インタフェース240と、データベース230とを含む。ユーザ・インタフェース240は、プロセス・インタフェース220を介して、MVAモジュール210とデータベース230との動作を制御する。プロセス・インタフェース220は、プロセス環境100のモニタされたパラメータに関するデータを集め、そのデータをウエハIDに従ってデータベース230に格納する。ある実施例では、プロセス・モニタ200は、米国マサチューセッツ州ウィルミントン所在のMKSインスツルメンツから市販されているTOOLweb(登録商標)故障検出及び分類(FDC)システムを用いてインプリメントすることができる。
【0036】
プロセスのMVA基準モデルを生成するために、受入可能な処理済みウエハに関連する履歴データが、ユーザ・インタフェース240を介して選択される。プロセス・インタフェース220は、データベース230から選択された履歴データを検索し、それをMVAモジュール210へ送る。1又は複数のプロセス・パラメータの組が、ユーザ・インターフェース240を介して初期条件として指定され、これも、プロセス・インタフェース220を介して、MVAモジュール210へ転送される。
【0037】
MVAモジュール220は、既知の多変量解析法を用いて、MVA基準モデルを生成する。特に、生成されたMVA基準モデルは、多くのプロセス・パラメータに関する履歴データを、受入可能なプロセス環境を表す独立し抽象的な計量のより小さな組に圧縮する。抽象的な計量は、それぞれが、基準値から逸脱するが受入可能な計量値の範囲を定義する制御スレショルド値の組と関連付けられる。これらのスレショルド値は、以後のプロセス環境と以後の処理済みウエハとが受入可能基準を満足するかどうかを判断する基礎として用いられる。MVAモジュールは、ユーメトリクス社から市販されているSIMCA P+又はSIMCA QM+MVAソフトウェアを用いて、インプリメントすることができる。基準モデル又はMVAモジュール210に格納された基準モデルへのインデクスは、プロセス・インタフェース220に返される。
【0038】
MVA基準モデルをプロセス環境の故障検出に用いるため、ユーザ・インタフェース240は、ウエハ処理イベントのような個別処理イベントのバッチ用データを収集するように、プロセス・インタフェース220に命令する。それぞれのイベントについて、プロセス・インタフェース220は、プロセス・イベント・データを集め、そのデータをウエハIDに従ってデータベース230に格納する。プロセス・インタフェース220は、平行して、プロセス・イベントに関して収集したデータを、指定された初期条件パラメータの値を含めて、MVAモジュール210へ送り、プロセス環境100の現在状況を表すMVA結果を計算する。MVAモジュール210は、現在の結果を生成し、1又は複数の初期条件パラメータ値に関連する基準モデルの抽象的な計量に関連するスレショルドをスケーリングして、プロセス・エージングを説明する。
【0039】
次に、MVAモジュール210は、現在の解析の計量と、基準モデルの訂正されたスレショルドとを比較する。計量が基準モデルのスケーリングされたスレショルド範囲に含まれる場合には、対応するプロセス環境と、半導体プロセスにおける対応する処理済のウエハは受入可能であると考えられる。現在の計量が定義されたスレショルド範囲に含まれない場合には、対応するプロセス環境と、対応する処理済のウエハは受入可能でないと考えられ、プロセス技術者に、ユーザ・インターフェース240を介してプロセス・インタフェース220からウエハを廃棄するようにとの警告がなされる。
【0040】
図8−10は、多変量解析のための自己訂正型の基準モデルを用いたドリフト訂正の実例を図解している。図8は、静的な基準モデルを用いて、シリコンウェハの1期間にわたる半導体プロセスを表わす多変量解析(MVA)グラフである。半導体プロセスは、ホテリングのT多変量解析(MVA)を用いて解析される。グラフ300は、X軸に沿って定義されたウエハの1周期にわたるY軸に沿った半導体プロセスのT計量値を図解している。
【0041】
このグラフは、また、臨界極限310、320、330を識別して、ウエハ処理チャンバのようなプロセス環境の不十分な動作条件についてオペレーターに警告する。例えば、このプロセスの臨界極限(critical limits)は、「警告極限」として形成された95%の臨界極限310と、99%の臨界極限320と、警告レベル330とを含む。警告レベル330は、警戒極限(warning limit)のほぼ2倍に設定され、半導体プロセスと関連する誤差条件を示している。T計量値がアラームレベル330を超過する場合には、システムのオペレータ又は自動プロセスが、ウエハ処理チャンバを清浄化するなどの修正処置をとる。
【0042】
例示的なグラフ300に示されるように、ホテリングのT多変量解析は、半導体プロセスがほとんど制御から逸脱していることを示し、受入可能な限界310、320、330の範囲から逸脱する深刻なドリフトが、プロセス環境の定期的な維持管理の間に現われている。しかし、実際は、半導体プロセスは、制御から逸脱してはいない。もっと正確に言えば、検知されたドリフトは、正常な過程エージング及び成熟により生じる。しかし、多変量解析法は「よい」ウエハの小さな組に関連したプロセス・パラメータから生成された静的な基準モデルを用いているので、基準モデルは、プロセスの正常な周期的ドラフトを説明しない。正常の過程エージング及び成熟により引き起こされるどんな逸脱も、エラー条件として検出される。したがって、この基準モデルは、正常なドリフト・プロセスを表現しない。
【0043】
ウエハ・セットを拡張する必要なくプロセス・ドリフトを補うためには、半導体プロセスのホテリングのT多変量解析と相関する特定のプロセス・パラメータが識別される。図9Aは、処理されたウエハの1周期にわたる選択されたプロセス・パラメータの実際値を図解するグラフである。この例では、選択されたプロセス・パラメータは、ステージ・ヒータ電力である。グラフ400に示されるように、選択されたパラメータの実際値は、周期的なのこぎり歯パターンに従ってドリフトする。このパタンは、多変量解析グラフ300の、のこぎり歯パタンに似ている。したがって、選択されたプロセス・パラメータは、初期条件として機能し、半導体プロセスにおける内在的なドリフトに関して、多変量解析基準モデルを補正するのに適している。特定の実施例では、選択されたプロセス・パラメータは、1又は複数のプロセス・パラメータから導かれる。
【0044】
図9Aの選択されたプロセス・パラメータの実際値はいくぶんノイズを含むので指数的に重み付けがなされた移動平均(EWMA)信号を生成して、元の信号の自然な分散をフィルタリングによって除去し、プロセス・パラメータにおける変化を示す「よりきれいな」指示を得ることができる。例えば、図9Bは、、図9Aの選択されたプロセス・パラメータ値のサンプルに対する指数的に重み付けされた移動平均(EWMA)信号に関するチャートである。示されているように、信号410は、選択されたプロセス・パラメータに関するウエハ概要データによる実際のウエハを図解している。信号420は、EWMAを用いた同じ概要データに関する平滑化された傾向である。当業者に知られている他の平滑化関数を利用することもできる。あるいは、相関が強いパラメータが見つかる場合、それは深刻なランダムノイズによって影響を受けることはなく、選択されたプロセス・パラメータ自体の実際値を、平滑化された傾向データの代わりに、モデルに対する補償値として用いることができる。
【0045】
9Cは、ウエハ間における、選択されたプロセス・パラメータの変化を図解するグラフである。グラフ500のX軸に沿って識別された各ウエハについて、前のウエハからの選択されたプロセス・パラメータの実際の又は平滑化されt値の変化を表すデルタ値の対応する組が、Y軸に沿って識別される。例えば、ウエハ番号8では、デルタ値の組は、前のウエハ番号7に関するプロセス・パラメータの滑らかにされた要約統計における変化を表わす最初のデルタ値510bを含んでいる。デルタ値510a及び510cは、デルタ値500bに関する選択されたプロセス・パラメータの自然な分散の現実的な範囲に対応する上限及び下限を識別する。次に、これらのデルタ値は、チャンバによって処理される次のウエハのためのモデルをスケーリング及び補正をするために、MVA基準モデルに与えられる。こうして、これらのデルタ値は、プロセス・ドリフトを予期してMVAモデルに対する補償値となっている。この補償がインプリメントされる場合、MVAモデルはプロセス・ドリフトに気づいており、ホテリングのTパラメータを適切に修正する。デルタ値520に関しては、これらの値は、以前の及び以後のデルタ値の組からの著しい上昇である。そのような偏差は、他のエラー条件のノイズに起因する可能性がある。そのような場合、デルタ値420は、基準モデルをスケーリングするのには使用されない。もっと正確に言えば、デルタ値520の直前のデルタ値が、再度用いられる。デルタ値520の後に続くデルタ値が値の上昇を維持する場合、システムは、この条件について人間のオペレータに警報し、緩やかな変化からの逸脱を予想しているのかどうかの確認を求める。
【0046】
スケーリングは、初期条件に基づく任意の解析的な調整を含む。例えば、多変量解析では、半導体プロセスのようなプロセスが、超平面(hyper plane)と称されるn次元平面においてモデル化される。「よい」ウエハの初期の組に対するプロセスのモニタされた値は超平面に写像され、MVA基準モデルを生成するような「クラウド(雲)」又は点の組(点集合)が得られるようにする。MVAモデルは、すべての正常なプロセス分散がデータの中で表わされるように、十分に大きなデータセットから構築される。MVA基準モデルは、正常なプロセス行動を表す。超空間の中の代表的なデータ点は、データ点に最もよく適合する超平面の上に射影される。いったんモデルが定義されると、初期条件として指定された1又は複数のプロセス・パラメータを用いて、モデルの中の中心における適切なシフトが定義され、プロセスの質に影響しないプロセス・ドリフトが補償される。プロセス・ドリフトに従ってこのMVAモデルをスケーリングするために、特定の物理パラメータに対する値についてのウエハ間の変化を用いることができ、中心点の移動をモデル化する関数に入力される初期条件として定義されたデルタ値が定義され、ドリフトが説明される。モデルの中心はプロセス・ドリフトを補償するように移動することができるが、訂正されたモデルの中心に対するモデル・スレショルドは訂正する必要がない。
【0047】
スケーリングは選択されたプロセス・パラメータに基づいて計算しプロセス・ドリフトを補償することを含むが、任意の特定のパラメータの重要性に重み付けを行い多変量解析への影響を加重する又は軽減することができるという別の側面が多変量解析の中に存在する。したがって、プロセス・ドリフトを補償するように初期条件として選択されたプロセス・パラメータは、十分なドリフト補償を提供するような重み付けが可能である。初期条件が複数存在する場合には、指定されたプロセス・パラメータは、相対的な重み付けを行って、2つ以上の初期条件が有する可能性がある相互作用をすべて補償することが可能である。
【0048】
図10は、図9Cのデルタ値を用いて補正された自己訂正型のMVA基準モデルを用いて、シリコンウェハの1周期にわたる半導体プロセスを表わす多変量解析(MVA)グラフである。この補償されたホテリングのTグラフ600は、図8の補償されていないグラフ300を生成するのに用いられたのと同じデータから生成される。示されているように、グラフ600は、ホテリングのT2値のドリフトの減少を含む。また、ほとんどのウエハは、2x95%のT2臨界値よりも下にあり、これは、典型的なアラームレベル330である。既存のアラーム310、320及び330は、モニタされているツールによって定期的な保守の必要の指示として、利用することができる。
【0049】
前の例において、単一のプロセス・パラメータは、初期条件として識別されているが、プロセス・ドリフトが複数の独立な原因によって引き起こされる場合がある。そのような場合には、多変量解析モデルは、複数の初期条件を用いて補正が可能である(対応する直交プロセス・パラメータの選択を要求して)。
【0050】
上述のテクニックは、ディジタル電子回路、コンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せにおいてインプリメントできる。そのインプリメンテーションは、電子的ではないがフィルタリングと同じ結果を奏する別の形式を有する場合もある。そのようなインプリメンテーションは、例えば機械可読な記憶装置の中のコンピュータ・プログラム・プロダクト(情報媒体において有体物として具体化されたコンピュータ・プログラム)における場合や、伝搬される信号において実現される場合もあり、プログラマブルなプロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータなどのデータ処理装置によって実行される、それらの動作によって制御される。
【0051】
コンピュータプログラムは、プログラミング言語の任意の形式で書くことができる。これには、コンパイルされた又はインタプリットされた言語を含む。コンピュータ・プログラムは、スタンドアロン・プログラム又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、計算環境において用いるのに適したそれ以外の形態でありうる。コンピュータ・プログラムは、1つのサイトにおいて又は通信ネットワークによって相互接続複数のサイトにおいて実行される場合があるし、1つのコンピュータ又は多数のコンピューター上で実行される場合もある。
【0052】
方法ステップは、入力データに作用し出力を生成することによってコンピュータ・プログラムを実行し本発明の機能を実行させるプログラマブルなプロセッサによって実行される。方法ステップは、また、装置をそのようにインプリメントすることができるように、例えばFPGAやASICなどの特定の用途向きの論理回路によって実行しうる。モジュールとは、機能を現するコンピュータ・プログラム及び/又はプロセッサ/特定回路の一部を意味する。
【0053】
コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサは、例示であるが、汎用及び専用のマイクロプロセッサを含み、任意の種類のデジタル・コンピュータの任意の1又は複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、ROM又はRAMから、又はその両方から、命令及びデータを受け取る。コンピューターの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令とデータとを格納する1又は複数のメモリ・デバイスとである。一般に、コンピュータは、磁気ディスク、磁気光学ディスク又は光ディスクなどのデータを記憶する1又は複数の大量記憶装置を含む。あるいは、そのような大量記憶装置との間でデータのやりとりをするように構成されている。データ及び命令の伝送は、通信ネットワークを介してなされる。
【0054】
コンピュータ・プログラムの命令及びデータを具体化するのに適した情報媒体は、次のような不揮発性のメモリを含む。すなわち、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気ディスク、内部ハードディスク、取外し可能ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどである。プロセッサとメモリとは、特定用途向けの論理回路によって補助されることがあるし、その中に組み込まれる場合もある。
【0055】
「モジュール」及び「機能」という用語は、この出願では、限定は意味しないが、あるタスクを行なうソフトウェア又はハードウェア・コンポーネントを含む。モジュールは、アドレス指定可能な記憶媒体に存在するように構成できるし、1又は複数のプロセッサにおいて実行するように構成されている。モジュールは、汎用集積回路(IC)、FPGA又はASICを用いて、全体的に又は部分的にインプリメントできる。したがって、モジュールは、例示であるが、ソフトウエア・コンポーネント、オブジェクト指向のソフトウエア・コンポーネント、クラス・コンポーネント及びタスク・コンポーネント、プロセス、機能、属性、手順、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレー、変数を含む。コンポーネント及びモジュールにおいて提供される機能は、より少数のコンポーネント及びモジュールにへ組み合み可能であるし、別のコンポーネント及びモジュールに分離することも可能である。
【0056】
以上では本発明発明を好適実施例を参照して示し説明してきたが、当業者には明らかであるように、特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲から逸脱することなく、形式及び細部において様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の上述した及びそれ以外の目的、特徴及び効果は、本発明の好適実施例に関する以上の説明から明らかであろう。なお、添附の図面では、異なる複数の図面を通じて同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。また、これらの図面は、寸法通りではなく、むしろ、本発明の原理を説明することに重点がおかれている。
【図1】プロセスの成熟の循環性(cyclic nature)を図解する図である。
【図2】MVA基準モデルを生成して先行技術によってプロセスのエージング(経年劣化)を説明する方法を図解するプロセス成熟の図である。
【図3】あるひとつの実施例による基準MVAモデル生成方法を図解する流れ図である。
【図4】あるひとつの実施例による初期基準モデルに関するプロセス成熟と対応するMVA結果及びスレショルド値とを図解するステート・ダイアグラムである。
【図5】あるひとつの実施例によるMVA基準モデルを用いたプロセス環境の現在状態解析方法を図解する流れ図である。
【図6】あるひとつの実施例によるプロセス成熟とスケーリングの後で基準モデルの対応するMVA結果及びスレショルドとを図解してプロセス成熟を説明するステート・ダイアグラムである。
【図7】あるひとつの実施例によるプロセス環境における動的パラメータの解析で用いる自己訂正型の多変量解析基準モデルを実現するプロセス・モニタを図解するシステム図である。
【図8】静的な基準モデルを用いたシリコン・ウエハの1周期にわたる半導体プロセスを表す多変量解析(MVA)グラフである。
【図9A】処理されたウエハの1周期にわたる選択されたプロセス・パラメータの実際値を図解するグラフである。
【図9B】図9Aの選択されたプロセス・パラメータ値のサンプルに対する指数的に重み付けされた移動平均(EWMA)のチャートである。
【図9C】選択されたプロセス・パラメータにおけるウエハごとの変化を図解するグラフである。
【図10】図9Cのデルタ値により補償された自己訂正MVA基準モデルを用いたシリコン・ウエハの1周期にわたる半導体プロセスを表す多変量解析(MVA)グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスをモニタする方法であって、
プロセス環境の多変量解析基準モデルを、前記プロセス環境のモニタされたパラメータに対応するデータから生成するステップと、
前記モニタされたパラメータの少なくとも1つを、前記プロセス環境の成熟と相関するものとして識別するステップと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集するステップと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし、前記プロセス環境の成熟を説明するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を、前記現在のプロセス・データから生成するステップと、
前記1又は複数の現在のプロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して、前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップと、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記基準モデルを生成するステップは、
計量値と前記プロセス環境の状態を表す前記計量に関するスレショルド値の組とを生成するステップであって、前記スレショルド値の組は前記プロセス環境の以後の状態と関連する受入可能な計量値の範囲を定義する、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記基準モデルをスケーリングするステップは、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記基準モデルのスレショルド値の組をスケーリングし、前記プロセス環境の成熟を説明するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を、前記現在のプロセス・データから生成するステップと、
前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量とスレショルド値の前記スケーリングされた組とを比較して、前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップと、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
半導体プロセスをモニタする方法であって、
半導体プロセス・チャンバの多変量解析基準モデルを、前記半導体プロセス・チャンバのモニタされたパラメータに対応するデータから生成するステップと、
前記モニタされたパラメータの少なくとも1つを、前記半導体プロセス・チャンバの成熟と相関するものとして識別するステップと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記プロセス・チャンバに関する前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集するステップと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし、前記半導体プロセス・チャンバの成熟を説明するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、
前記半導体プロセス・チャンバの現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を、前記現在のプロセス・データから生成するステップと、
前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して、前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断するステップと、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
プロセスをモニタする装置であって、
プロセス環境の多変量解析基準モデルを前記プロセス環境のモニタされたパラメータに対応するデータから生成することができ、更に、前記モニタされたパラメータの少なくとも1つの識別を、前記プロセス環境の成熟と相関するものとして受け取ることができる多変量解析モジュールと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集することができるプロセス・インターフェースと、
を備えており、前記多変量解析モジュールは、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし、前記プロセス環境の成熟を説明できることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を前記現在のプロセス・データから生成し、更に、前記1又は複数の現在のプロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断できることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8記載の装置において、前記多変量解析モジュールは計量値と前記プロセス環境の状態を表す前記計量に関するスレショルド値の組とを生成することができ、前記スレショルド値の組は前記プロセス環境の以後の状態と関連する受入可能な計量値の範囲を定義することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記基準モデルのスレショルド値の組をスケーリングし前記プロセス環境の成熟を説明できることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記プロセス環境の現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を前記現在のプロセス・データから生成し、更に、前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量とスレショルド値の前記スケーリングされた組とを比較して前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断できることを特徴とする装置。
【請求項13】
半導体プロセスをモニタする装置であって、
半導体プロセス・チャンバの多変量解析基準モデルを前記半導体プロセス・チャンバのモニタされたパラメータに対応するデータから生成することができ、前記モニタされたパラメータの少なくとも1つの識別を前記半導体プロセス・チャンバの成熟と相関するものとして受け取ることができる多変量解析モジュールと、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記プロセス・チャンバに関する前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集することができるプロセス・インターフェースと、
を備えており、前記多変量解析モジュールは、前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし、前記半導体プロセス・チャンバの成熟を説明できることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記半導体プロセス・チャンバの現在の状態を表す1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量を前記現在のプロセス・データから生成し、更に、前記1又は複数の現在の多変量解析プロセス計量と前記スケーリングされた基準モデルとを比較して前記プロセス環境の現在の状態が受入可能かどうかを判断できることを特徴とする装置。
【請求項15】
プロセス・モニタであって、
所望のプロセス環境の多変量解析基準モデルを、前記所望のプロセス環境のモニタされたパラメータに対応するデータから生成する手段と、
前記モニタされたパラメータの少なくとも1つを、前記プロセス環境の成熟と相関するものとして識別する手段と、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータを含む前記モニタされたパラメータと対応する現在のプロセス・データを収集する手段と、
前記少なくとも1つの識別されたパラメータの現在のプロセス・データに基づいて前記多変量基準モデルをスケーリングし、前記プロセス環境の成熟を説明する手段と、
を備えていることを特徴とするプロセス・モニタ。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項6記載の方法において、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項8記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをすることができることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項13記載の装置において、前記多変量解析モジュールは、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをすることができることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項15記載のプロセス・モニタにおいて、前記多変量解析基準モデルをスケーリングするのに用いられる前記少なくとも1つの識別されたパラメータの重み付けをする手段fを更に備えていることを特徴とするプロセス・モニタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−500853(P2009−500853A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520369(P2008−520369)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/026236
【国際公開番号】WO2007/008538
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED