プロテアソーム活性を向上させるための組成物および方法
タンパク質症は、有害なタンパク質を排除し、病原性凝集体の形成を防ぐのに十分に効率的に働かないプロテアソームから生じる。ここに記載するように、プロテアソーム関連脱ユビキチン化酵素Usp14の阻害により、プロテアソームの効率が増加する。したがって、本発明は、Usp14の阻害、プロテアソーム活性の向上およびタンパク質症の治療のための新規の組成物および方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2010年8月13日に出願された米国仮特許出願第61/373404号、および2010年1月28日に出願された米国仮特許出願第61/336959号への優先権の恩恵を主張するものであり、それらの内容をここに引用する。
【政府の支援】
【0002】
本発明は、米国国立保健研究所の助成第GM065592号、第GM66492号および第DK082906号の下で米国政府の支援により行われた。政府は本発明に所定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、プロテアソーム活性を向上させるための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
プロテアソームは、33の別個のサブユニットを含有する大きなタンパク質複合体である。プロテアソーム複合体は、一部には不要なタンパク質やミスフォールド(misfolded)タンパク質を分解するためのプロテアーゼとして機能する。プロテアソームは細胞生理学の多くの状況を調節し、プロテアソーム機能障害が、癌および神経変性疾患を含む様々な疾患に関わってきた(非特許文献1から5)。
【0005】
全てではないがほとんどのプロテアソーム基質は、ユビキチンと呼ばれる保存性の高い小さなタンパク質の多重結合鎖の共有結合を通じて、分解の標的にされる。長いユビキチン鎖は、短い鎖よりもプロテアソームとより強力に相互作用するので(非特許文献6)、ユビキチン鎖の長さを変えるプロセスは、しばしば、基質の分解速度にも影響する。プロテアソーム分解のためにタグが付けられた基質に結合したユビキチン鎖の長さは、特定のプロテアソーム関連脱ユビキチン化酵素およびユビキチンリガーゼによって調節され得る。これらの脱ユビキチン化酵素およびリガーゼは、プロテアソームに結合したユビキチン鎖を分解するかまたは伸長させることによって、プロテアソーム活性を調節するようである。
【0006】
哺乳類のプロテアソームは、3つの主要な脱ユビキチン化酵素:Rpn11、Uch37、およびUsp14を含有する(非特許文献1)。Rpn11は、ユビキチン鎖と基質との間の接合部で切断することによって、タグの付いた基質からユビキチンを除去する。Rpn11媒介開裂は、基質のタンパク質分解に関わった後であるが、基質の分解前に行われるので、Rpn11は、ユビキチンが基質と共に分解されるのを防ぎ、それゆえ、細胞のユビキチンレベルの変動を最小にするのに役立つ。それに加え、プロテアソーム基質は、プロテアソームの隔絶されたタンパク質分解部位に遭遇する前に狭い転座通路を通過しなければならないので、嵩張るユビキチン鎖が除去されると、基質の転座が容易になるであろう。それゆえ、Rpn11によるユビキチン鎖の除去は、プロテアソーム経路における比較的遅い段階でのユビキチン鎖の一括除去によって、基質の分解を促進する(非特許文献7および8)。
【0007】
Rpn11とは反対に、Uch37は、基質のプロテアソーム分解に関わる前に機能する。Uch37は、基質の遠位端でユビキチン鎖を分解し(非特許文献9)、その酵素活性が、ユビキチン鎖全体を除去するというよりむしろ、ユビキチン鎖を短くする。Uch37による鎖のトリミングにより、長い多重ユビキチン鎖と短い多重ユビキチン鎖を区別するプロテアソームの能力が増す(非特許文献9)。Uch37がどのような細胞中のプロテアソーム機能を調節するかについては、ほとんど知られていない。
【0008】
Usp14の機能については全く知られていない。しかしながら、Usp14の酵母オルソログであるUbp6は、基質の遠位端でユビキチン鎖を分解し、基質のプロテアソーム分解に関わる前に機能することが示唆されてきた(非特許文献10)。Ubp6は、プロテアソーム阻害剤として働くと考えられ、Ubp6についての先の研究で、プロテアソーム阻害の非触媒モードが示された(非特許文献10)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Finley D., (2009), Annu. Rev. Biochem., 78, 477-513
【非特許文献2】Hoeller and Dikic, (2009), Nature, 458, 438-444
【非特許文献3】Demarto and Gillette, (2007), Cell, 129, 659-662
【非特許文献4】Dahlmann, B. (2007) BCB Biochem 8, Suppl 1, S3
【非特許文献5】Schartz AL and Ciechanover A (2009) Ann Rev Pharmacol Toxicol 49, 73-96
【非特許文献6】Thrower et al. (2000), EMBO J. 19, 94-102
【非特許文献7】Verma et ah, (2002) Science, 298, 611-615
【非特許文献8】Yao and Cohen, (2002), Nature, 419, 403-407
【非特許文献9】Lam et ah, (1997), Nature, 385, 737-740
【非特許文献10】Hanna et ah, (2006), Cell, 127(7), 1401-1413
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、Usp14の阻害、プロテアソーム活性の向上、並びにタンパク質症およびタンパク質分解の増加がその治療に役立つであろう他の疾患の治療のための新規の組成物および方法を提供する。タンパク質症は別として、プロテアソーム活性の向上は、プロテアソーム活性の欠損、またはフォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病と前側頭葉型痴呆を伴う遺伝性封入体筋炎(IBMPFD)などにおける、ユビキチン−プロテアソーム経路の他の成分の活性の欠損により特徴付けられる任意の疾患の治療にとって役立つであろう(Lehman, N. L., (2009), Acta Neuropathologica, 118(3), 329-347;Weihl et al, (2007), Neuromuscular Disorders, 17, 87-87)。プロテアソーム活性を向上させることは、プロテアソーム基質が関与し、病状に寄与するが、タンパク質症の厳密な定義を満たさない疾患の治療に役立ち得る。例えば、数多くの腫瘍性タンパク質がプロテアソーム基質であり、癌を促進するそれらの能力は、プロテアソーム活性を向上させることによって、弱められるかもしれない。
【0011】
本発明のある態様は、下記に定義された式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、Usp14タンパク質を、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、細胞におけるプロテアソームによるタンパク質分解を向上させる方法であって、細胞を、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、対象におけるタンパク質症を治療または予防する方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、対象におけるTau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0017】
本発明の別の態様は、酵素的に活性なUch37を欠如し、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソームに関する。ある実施の形態において、このプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37および/またはビニルスルホン−Uch37付加物を含む。ある実施の形態において、酵素的に活性なUsp14は組換えタンパク質である。ある実施の形態において、このプロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。
【0018】
本発明の別の態様は、酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的な活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを生成する方法であって、Usp14を欠如するがUch37を含むプロテアソームを精製し、その精製されたプロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理し、精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUsp14で再構成する各工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、プロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。ある実施の形態において、プロテアソームは、HEK293細胞から精製される。ある実施の形態において、脱ユビキチン化酵素阻害剤は、ユビキチン−ビニルスルホンである。ある実施の形態において、活性なUsp14は組換え産生される。
【0019】
本発明のある態様は、Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを提供し、このプロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させ、この試験化合物がこの基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する各工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、この基質は、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能なレポーターに結合している、および/またはユビキチン依存性プロテアソーム基質である。ある実施の形態において、その基質は、Ub−AMCまたはポリユビキチン化サイクリンBである。ある実施の形態において、その基質の脱ユビキチン化は、基質の分解の阻害により示される。ある実施の形態において、そのプロテアソームは、ビニルスルホン−Uch37付加物を含む。ある実施の形態において、Usp14は組換えタンパク質である。ある実施の形態において、このプロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。
【0020】
本発明のある態様は、酵素的な活性なUch37を欠如し、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソーム、および使用説明書を含むキットに関する。ある実施の形態において、そのキットは、Usp14基質を含んでも差し支えない。ある実施の形態において、Usp14基質は、Ub−AMCおよび/またはポリユビキチン化サイクリンBである。
【0021】
本発明の追加の態様、実施の形態、および利点が、以下に詳しく論じられている。さらに、先の情報および以下の詳細な説明は、本発明の様々な態様および実施の形態の単なる実施例であり、請求項に記載された態様および実施の形態の性質と特徴を理解するために概要または骨子を提供することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1Aは、組換えUsp14タンパク質(精製Usp14)またはアフィニティー精製されたUsp14欠損ヒトプロテアソーム(ヒトプロテアソーム)のいずれかおよび抗Usp14抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。Usp14に相当するバンドが示されている。図1Bは、未処理(−VS)かまたはUb−VSにより処理された(+VS)いずれかの抗Uch37抗体およびUsp14欠損精製ヒトプロテアソーム(26S)を使用して行った免疫ブロット法を示す。Uch37に相当するバンドが示されている。非特異的バンドがアスタリスクで示されている。
【図2】図2Aは、市販のヒトプロテアソーム(Biomol)、未処理の精製されたUsp14欠損ヒトプロテアソーム(−Ub−VS)またはUb−VS処理済み精製Usp14欠損ヒトプロテアソーム(+Ub−VS)を使用して行ったゲル内suc−LLVY−AMC染色法(プロテアソームの存在を示す)を経験した未変性ゲル分析を示す。図2Bは、GST対照(GST)およびタンパク質サイズマーカー(マーカー)と共に、GSTタグを含むか含まない、精製した組換え野生型Usp14(Usp14−wt)または触媒的に不活性な変異体Usp14(Usp14−C114A)のクマシーブリリアントブルー(CBB)染色を示す。図2Cは、ゲル内suc−LLVY−AMC染色(上、プロテアソームの存在を示すため)またはクマシーブリリアントブルー(CBB)染色いずれかにより染色された、プロテアソームのみ(−)、GSTとプロテアソーム(GST)、GSTタグ付き野生型Usp14とプロテアソーム(GST−Usp14−wt)、GSTタグ付き触媒的に不活性な変異体Usp14とプロテアソーム(GST−Usp14−C114A)、タグの付いていない野生型Usp14とプロテアソーム(Usp14−wt)またはタグの付いていない触媒的に不活性な変異体Usp14とプロテアソーム(Usp14−C114A)のゲルシフトアッセイを示す。
【図3】図3は、Ub−VS処理済みヒトプロテアソームの存在下でのUsp14活性に関するUb−AMC加水分解アッセイの結果を示す。
【図4】図4Aは、1μMのUb−AMC、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUsp14での、Usp14およびプロテアソームによるUb−AMC加水分解の初期速度の線形動態学(R2>0.99)のプロットを示す。図4Bは、1μMのUb−AMC、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUsp14での、25分間に亘るヒトプロテアソームの存在下でのUsp14依存性Ub−AMC加水分解のミカエリス・メンテンのプロットを示す。図4Cは、4nMのUsp14、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUb−AMCでの、Usp14およびプロテアソームによるUb−AMC加水分解の初期速度の線形動態学(R2>0.99)のプロットを示す。図4Dは、4nMのUsp14、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUb−AMCでの、30分間に亘るUsp14およびヒトプロテアソームの存在下での濃度依存性Ub−AMC加水分解のミカエリス・メンテンのプロットを示す。
【図5】図5は、多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)も検出する、サイクリンBに特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。この実験において、Ubn−ClbBは、26Sヒトプロテアソームのみ、ヒトプロテアソームと野生型Usp14(Usp14−wt)またはヒトプロテアソームと触媒的に不活性なUsp14(Usp14−CA)で処理し、その後、免疫ブロット法により分析した。
【図6】図6Aは、ユビキチン様ドメイン(UBL)、触媒ドメイン(CAT)、エクソン4の場所およびCys114の位置を示す、ヒトUsp14の図を示す。図6Bは、野生型Usp14(Usp14−wt)、触媒的に不活性なUsp14(Usp14−CA)、Usp14の短い形態(Usp14−SF)またはUBLドメイン欠損Usp14(Usp14−ΔUBL)いずれかと共にTauを同時発現し、表示したように、Tau、Usp14またはアクチンに特異的な抗体を使用して染色したヒト293細胞からの細胞溶解物について行った免疫ブロット法を示す。
【図7】図7は、プロテアソームアフィニティー精製の前(抽出物)または後(精製プロテアソーム)いずれかで、タグ付きhRpn11と共にFlagタグ付きUsp14の表示の形態を同時発現し、抗Flag抗体を使用して染色した293細胞からの細胞溶解物について行った免疫ブロット法を示す。表示されている場合、Ub−VSは、プロテアソーム精製の前に溶解物と共にインキュベーションした。抽出物サンプルは全体の5%を占める。アスタリスクは非特異的シグナルである。プロテアソームサブユニットRpn13は添加対照である。対照サンプルは空のベクターである。
【図8】図8Aは、Usp14触媒阻害剤の阻害剤についての高速大量大規模化合物スクリーニングの統計的プロットを示す。図8Bは、AMC消光化合物を決定するために使用した度数分布曲線(対照=下の曲線)を示す。
【図9】図9Aは、Usp14阻害剤IU1の化学構造を示す。図9Bは、(左側)IU1によるUsp14添加プロテアソーム(Usp14−Ptsm)脱ユビキチン化酵素活性の阻害(左の棒=0μM、左から2番目の棒=4μM、3番目の棒=8μM、右の棒=17μM)および(右側)IU1によるAMC蛍光の消光の欠如(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示すグラフを示す。図9Cは、(左側)IU1によるUsp14添加プロテアソーム(Usp14−Ptsm)脱ユビキチン化酵素活性の阻害(左の棒=0μM、中央の棒=8μM、右の棒=17μM)および(右側)IU1によるイソペプチダーゼT(IsoT)の阻害の欠如(左の棒=0μM、中央の棒=8μM、右の棒=17μM)を示すグラフを示す。図9Dは、ビヒクル(DMSO)、IU1またはIU1Cいずれかによりプロテアソームと複合体を形成していないUsp14の阻害の欠如を示すグラフを示す。図9Eは、ビヒクル(DMSO)またはIU1(すなわち、Usp14を欠如したプロテアソーム)いずれかによる、Ub−VSにより処理されていなかった26Sヒトプロテアソーム(Ptsm)の阻害の欠如を示すグラフを示す。
【図10】図10Aは、IU1に関する不活性対照化合物であるIU1Cの化学構造を示す。図10Bは、IU1の脱ユビキチン化酵素の阻害活性(下の円形、下の三角形)をIU1Cの脱ユビキチン化酵素の阻害活性(上の円形、上の三角形、正方形)と比較するプロットを示す。図10Cは、Tau分解を促進する上でのIU1Cの効果のなさを示す。免疫ブロット法は、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1Cにより処理し、Tauまたはアクチンいずれかに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った。図10Dは、IU1Cによる表示の脱ユビキチン化酵素の脱ユビキチン化酵素活性の阻害を示すグラフ(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示す。
【図11】図11Aは、表示の濃度のIU1により処理されたプロテアソーム結合Usp14、IsoTまたはUch37の脱ユビキチン化酵素活性を示すプロットを示す。図11Bは、IU1による表示の脱ユビキチン化酵素の脱ユビキチン化酵素活性の阻害を示すグラフ(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示す。
【図12】図12Aは、Usp14(80nM)と共にまたはそれを含まずにインキュベーションし、ビヒクル(DMSO)、表示の濃度でのIU1CまたはIU1のいずれかにより処理し、Usp14またはAlpha7いずれかに特異的な抗体で染色した精製済み26Sヒトプロテアソーム(約4nM)の免疫ブロット法を示す。アスタリスク(*)は、抗Usp14抗体により生じた非特異的シグナルを示す。約2倍のモル濃度過剰なUsp14を表示の化合物の不在下または存在下でプロテアソームと共にインキュベーションしたことを除いて、図12Aにおけるような免疫ブロット法を示す。
【図13】図13は、ビヒクル(対照)またはIU1により処理し、表示のラウンド数の限外濾過(スピン、左のパネル;スピンなし=左の棒、1×スピン=中央の棒、3×スピン=右の棒)、またはスピンカラムゲル濾過(右のパネル;対照=左の棒、IU1=右の棒)を行ったプロテアソーム結合Usp14の脱ユビキチン化活性を示すグラフ。
【図14】図14Aは、45分間に亘り表示の濃度のUI1で処理したプロテアソーム結合Usp14のIC50曲線を示すプロットを示す。図14Bは、30分間に亘り表示の濃度のUI1で処理したプロテアソーム結合Usp14のIC50曲線を示すプロットを示す。
【図15】図15は、単独で、野生型Usp14(Usp14−wt)、IU1、および/または表示のプロテアソーム阻害剤と共に、4nMの26Sヒトプロテアソームで処理したサイクリンBおよび多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。この免疫ブロット法は、長い曝露(長曝)または短い曝露(短曝)いずれかを行った。
【図16】図16Aは、ビヒクルまたはUI1(34μM)のいずれかと共に、単独または野生型Usp14(60nM)との組合せのいずれかで、4nMの26Sヒトプロテアソームで処理したサイクリンBおよび多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。図16Bは、ビヒクルまたはUI1(75μM)のいずれかと共に、単独または野生型Usp14(75nM)との組合せのいずれかで、5nMの26Sヒトプロテアソームで処理したT7タグ付きSiclPYおよび多重ユビキチン化SiclPY(Ubn−SiclPY)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【図17】図17は、IU1により処理していない(UI1なし)、もしくは1時間または24時間に亘りIU1により処理したMEF細胞からの溶解物の液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)トレースのイオン計数量を示すプロットを示す。下のパネルは、1μg/mLでのIU1標準液についてのイオン計数量を示す。
【図18】図18は、様々な濃度のIU1標準液のLC/MSトレースのイオン計数量を示すプロットを示す。
【図19】図19は、255nmと305nmでの吸収極大(左)を示すIU1のUVスペクトルおよび300nmでの、細胞中へのIU1の内在化の時間依存性を示すHPLCクロマトグラムを示す。
【図20】図20Aは、UV吸収アッセイにより検出された細胞数による正規化後のMEF細胞中のIU1濃度を示すグラフを示す。図20Bは、UV吸収アッセイにより検出された細胞数による正規化後の293細胞中のIU1濃度を示すグラフを示す。
【図21】図21Aは、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1により処理し、Tau、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図21Bは、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1により処理したMEF細胞中のRau RNAレベルの定量RT−PCR分析の結果を示す。
【図22】図22Aは、TDP43flagとUsp14を同時発現し、表示の時間数に亘り75μMのIU1で処理し、TDP43flag、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Bは、Usp14と共にAtx3−Q80またはAtx3−Q22いずれかを同時発現し、0、50または100μMのIU1で処理し、Atx3またはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Cは、Usp14と共に野生型GFAP(GFAP−wt)、K63Q変異体FGAP(GFAP−K63Q)またはE210K GFAP(GFAP−E210K)いずれかを同時発現し、0、25、50または100μMのIU1で処理し、GFAPまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Dは、TDP−43とUsp−14を同時発現し、各表示時間に亘り75μMのIU1で処理したMEF細胞中のTDP−43 RNAレベルの定量RT−PCR分析の結果を示す。
【図23】図23Aは、ビヒクルまたは75μMのIU1と共にプレインキュベーションし、表示のように、63μMのメナジオンで処理したMEF細胞のDNPH処理済み溶解物に行った、抗DNPHまたは抗アクチン抗体で染色した免疫ブロット法を示す。図23Bは、4時間に亘り、IU1(75μM)またはプロテアソーム阻害剤(20μMのMG132、10μMのMG132SP−341)と共にプレインキュベーションし、次いで、60分間に亘りメナジオン(300μM)で処理したHEK293細胞のDNPH処理済み溶解物に行った、抗DNPHまたは抗アクチン抗体で染色した免疫ブロット法を示す。
【図24】図24は、48時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図25】図25Aは、6時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。図25Bは、12時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。図25Cは、24時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図26】図26Aは、6時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。図26Bは、12時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。図26Cは、24時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図27】図27Aは、6時間に亘り100μMのIU1または対照により処理されたTUNEL染色MEF細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。図27Bは、図31Aに示されるTUNEL染色分析の定量化を示すグラフを示す。
【図28】図28は、表示の期間に亘り、表示の濃度のビヒクルまたはIU1で処理されたMEF細胞の培養密度パーセントを示すプロットを示す。
【図29】図29は、本発明の化合物に対する1つの手法を示す。
【図30】図30は、細胞の生存率、詳しくは、酸化的ストレスの際の細胞の生存へのIU1の影響に関するMTTアッセイを示すグラフを示す。実験は、メナジオン(用量依存性、4時間)およびIU1(50μM、6時間)についてHEK293細胞に行った。MEF細胞も同様にこの影響を示す。メナジオンに関するIC50への影響はほぼ4倍である。
【図31−1】図31は、いくつかの阻害パーセントおよびIC50値を含む、本発明の選択した化合物の表を示す。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−2】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−3】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−4】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−5】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−6】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−7】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−8】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−9】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−10】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−11】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−12】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−13】図31の続き。阻害パーセントは17μMで測定した。
【図31−14】図31の続き。阻害パーセントは17μMで測定した。
【図31−15】図31Aは、tauとLacZを同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1で処理し、tau、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図31Bは、TDP−43flagとLacZを同時発現し、表示した時間数に亘り75μMのIU1で処理し、TDP−43flag、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【図32】図32は、tauとUb−非依存性プロテアソーム基質cODC−EGFPを同時発現し、6時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションされ、tau、cODC−EGFPまたはアクチンに特異的な抗体で染色された野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。プロテアソーム阻害剤(30μMのMG132、10μMのPS−341)は、溶解の4時間前に処理した。
【図33】図33は、HAタグ付きUbおよび/またはFlagタグ付きTDP−43を同時発現し、6時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションされ、Flag−TDP−43、HA−Ub、またはアクチンに特異的な抗体で染色された野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。プロテアソーム阻害剤(20μMのMG132、10μMのPS−341)は、溶解の4時間前に加えた。矢印は、おそらくユビキチン化されたTDP−43種を示す。HCは、抗体の重鎖を示す。
【図34】図34Aは、6時間に亘りIU1(0、25、50、75、または100μM)で処理し、Ub、アクチン、CPサブユニットα7、またはRPサブユニットmRPT5に特異的な抗体で染色した野生型またはUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図34Bは、図34Aにおけるユビキチンレベルの定量化を示す。野生型またはUsp14-/-MEF細胞からのポリユビキチンおよびモノユビキチンレベルは、様々な濃度のIU1の処理後に定量化した。Ubシグナルは、内因性アクチンのシグナルに対して正規化した。定量化は、フイルム画像のデンシトメトリーによって行った(左の棒=ポリUB(+/+MEF);左から2番目の棒=ポリUb(Usp14-/-MEF);3番目の棒=モノUb(+/+MEF);右の棒=モノUb(Usp14-/-MEF))。
【図35】図35Aは、Ub−AMCの濃度とは関係なく観察されるUSP14に対するIU1の特異性を示す。より低濃度のUb−AMCを使用したことを除いて、Ub−AMC加水分解のアッセイは、図11Bにおけるように行った(左の棒=0μM;右の棒=17μM)。図35Bは、この研究における脱ユビキチン化酵素のUb−AMCに関するKM値の要約を示す。選択性アッセイに使用したDUBのKM値を文献から得た。未知のKM値は、表示したように、この研究で決定した。問題の基質のKMと比べて、基質が低濃度であるときに、DUBアッセイは、阻害に対して最も敏感であるはずなので、これらの値は有意である。CDは、触媒ドメインを示す。
【図36】図36は、検出可能な遅延期間なく、IU1が、プロテアソーム関連USP14活性を阻害することを示す。2.5nMのヒトプロテアソームを30nMの組換えUSP14タンパク質と混合した。次いで、1μMのUb−AMCを添加することによって、反応を開始した。30分後、そのサンプルにIU1(100μM)またはビヒクル(DMSO)を加えた。
【図37】図37は、長期間のインキュベーション(5および8時間)を試験したことを除いて、図13を確証する。USP14活性パーセントは、26Sペプチダーゼ活性(すなわち、LLVY−AMC加水分解)に対して正規化した。IU1を100μMまで加えた(左の棒=DMSO;右の棒=IU1)。
【図38】図38は、ADPの存在下で精製し(ADPprep)、ADPの存在下でアッセイを行ったヒトプロテアソームに行ったインビトロ鎖トリミングアッセイを示す。ヒトサイクリンBに特異的な抗体を使用して、免疫ブロット法を行った(CCNB)。Ub−AMC加水分解データから予測されるように、IU1は、約5μMで、鎖のトリミングの阻害に効果的である。
【図39】図39は、IU1は、USP14−CAの存在下でサイクリンBの分解には影響しないことを示す。アッセイは、図5におけるように行った。
【図40】図40Aは、IU1の1H−NHR分光分析データを示す。図40Bは、IU1のLC/MS分析を示す。TICは、全イオン計数量を示す。SPCは、表示の保持時間に関するピークから抽出した共有ピーク計数を示す。
【図41】図41Aは、IU1Cの1H−NHR分光分析データを示す。図41Bは、IU1CのLC/MS分析を示す。TICは、全イオン計数量を示す。SPCは、表示の保持時間に関するピークから抽出した共有ピーク計数を示す。
【図42】図42Aは、野生型MEF細胞からの内在化IU1の急激な放出を示すグラフを示す。野生型MEFを1時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションした後、培養培地を、IU1を含まない新しい培地と交換した。内在化IU1を表示の時間でモニタし、その濃度を、UV吸光度アッセイにより検出されるように、細胞数により正規化した。図42Bは、HEK293細胞の血清含有培地中で1時間から48時間までのIU1の比較濃度を示す。図42Cは、Usp14-/-MEF細胞の血清含有培地中で1時間から48時間までのIU1の比較濃度を示す。
【図43】図43Aは、野生型MEF中のIU1処理後のtauレベルの定量分析を示す。定量化は、Odysseyイメージングシステムを使用して、赤外染料結合二次抗体により行った。tauシグナル強度を内因性アクチンの強度に対して正規化し、相対量が示されている。図43Bは、Usp14-/-MEF中のIU1処理後のtauレベルの定量分析を示す。定量化は、図43Aにおけるように行った。
【図44】図44Aは、一過性発現されたmCherry−NBR1(上の列)の免疫蛍光シグナルが、野生型MEF中の6時間に亘る、オートリソソーム形成阻害剤であるバフィロマイシンA1(BafA1)200μMによる処理後に著しく増加したことを示す。図44Bは、IU1によるtau分解の刺激が自食作用により媒介されないことを示す。野生型MEF細胞に、tauを発現するプラスミドを移入し、次いで、6時間に亘り、200μMのBafA1および/または75μMのIU1で処理し、Odyssey赤外イメージングシステムを使用して、SDS−PAGE/免疫ブロット法によって分析した。図44Cは、Odysseyソフトウェアを使用して、図44Bに行ったような3つの独立した実験(平均±SD)からの正規化tauタンパク質レベルの定量化を示す。
【図45−1】図45Aは、IU1処理がプロテアソームの健全性に影響しないことを示す。6時間のIU1処理(100μM)前後の全細胞抽出物(50μg/レーン)をnative PAGEによって分離し、蛍光ペプチド基質によるゲル内活性染色(LLVY−AMC)、またはサブユニットα6に特異的な抗体による免疫ブロット法いずれかを使用して視覚化した。PR2−CPおよびRP−CPは、26Sプロテアソームの別個の形態を示す。図45Bは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるPsmb5遺伝子の転写を誘発しないことを示す。ネズミPsmb5プロモーターを含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子(−kbから0kb)を、野生型およびUsp14-/-MEF中で一過性発現し、8時間に亘る25または50μMのIU1のインキュベーション後に、プロモーター活性を評価した。ルシフェラーゼ活性の正規化について、プロモーターを含まないpGL3プラスミドを使用した対照実験を行った。値は、3つの独立した実験からの平均±SDである。RLUは、相対発光量を示す。
【図45−2】図45Cは、IU1処理は、ユビキチン遺伝子であるUbBの転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。図45Dは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるα6の転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。図45Eは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるα7の転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。
【図46】図46Aは、細胞の生存率、詳しくは、酸化的ストレスの際の細胞の生存へのIU1Cの影響に関するMTTアッセイを示すグラフを示す。実験は、メナジオン(用量依存性、4時間)およびIU1C(50μM、6時間)についてHEK293細胞に行った。図46Bは、野生型MEF細胞中の内在化IU1C濃度を示すグラフを示す。50μMのIU1Cの表示の時間コースの処理後の、IU1CレベルをLC/MSにより測定した。図示された濃度は、UV吸光度アッセイによる検出したように細胞数により正規化した。図46Cは、293細胞中の内在化IU1C濃度を示すグラフを示す。50μMのIU1Cの表示の時間コースの処理後の、IU1CレベルをLC/MSにより測定した。図示された濃度は、UV吸光度アッセイによる検出したように細胞数により正規化した。図46Dは、野生型MEF細胞中の内在化IU1Cの急激な放出を示すグラフを示す。実験は、図42Aにおけるように行った。図46Eは、293細胞中の内在化IU1Cの急激な放出を示すグラフを示す。実験は、図42Aにおけるように行った。
【図47】図47は、Tauを一過性発現し、0、20、40、60または80μMの、より強力なIU1誘導体であるIU1−47で処理した野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
タンパク質症は、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質の凝集から生じる疾病および疾患の部類である。しばしば、おそらくは典型的に、そのようなタンパク質は、プロテアソーム媒介分解によって細胞から除去される。しかしながら、タンパク質症の場合には、プロテアソームは、有害なタンパク質の全てを除去し、病原性凝集体の形成を防ぐのに十分に効率的には働かない。
【0024】
ここに示すように、正常な増殖条件下では、プロテアソームは、Usp14による基質結合ユビキチン鎖のトリミングによってもたらされる持続性抑制に曝される。ユビキチン鎖のトリミングは、プロテアソームによる認識を可能にするシグナル(ユビキチン鎖)をプロテアソーム基質から除去するので、プロテアソームを阻害する;したがって、プロテアソーム結合基質は、分解されずに、逃げることができる。その結果、Usp14による鎖のトリミングの阻害剤は、プロテアソームによるタンパク質分解を促進させる。それゆえ、この阻害機構の結果として、哺乳類プロテアソーム経路は、Usp14により部分的に阻害されるので、十分な効率では通常作動しない。
【0025】
本発明の方法および組成物は、Usp14の脱ユビキチン化酵素の活性を阻害することによって、プロテアソーム活性を向上させる。ここに示したように、この向上したプロテアソーム活性により、ヒトの疾患に関連するものを含む、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質を除去する細胞の能力が増す。したがって、本発明の方法および組成物は、プロテアソーム機能の向上およびタンパク質症の治療に有用である。
【0026】
定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語および句が、以下と明細書全体に亘り定義される。
【0027】
単数形は、1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)の対象を称する。一例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0028】
明細書および特許請求の範囲に使用されている句「および/または」は、そのように接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には共に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解するものとする。「および/または」と共に列記された多数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように接続された要素の「1つ以上」と解釈するものとする。他の要素は、「および/または」の節により具体的に特定された要素以外に、それら具体的に特定された要素に関連していようとなかろうと、必要に応じて存在してもよい。それゆえ、非限定的例として、「含む(comprising)」などの制約のない原語と共に使用された場合、「Aおよび/またはB」への言及は、ある実施の形態において、Aのみ(B以外の要素を必要に応じて含む);別の実施の形態において、Bのみ(A以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施の形態において、AとBの両方(他の要素を必要に応じて含む);などを称することができる。
【0029】
明細書および特許請求の範囲に使用したように、「または」は、先に定義された「および/または」と同じ意味を有するものとし理解するものとする。例えば、リストにおいて項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的である;すなわち、多数の要素またはそのリストの少なくとも1つだけでなく、その複数も、並びに、必要に応じて、追加の列記されていない項目も含むものと解釈する。「たった1つの」または「正確に1つの」または請求項に使用されたときの、「からなる」などの、そうではないと明白に示した用語のみ、多数の要素またはそのリストの内の正確に1つの要素を含むことを称する。一般に、ここに用いたように、「または」という用語は、「いずれか」、「1つの」、「たった1つの」、または「正確に1つの」などの排他性の用語が先行したときに、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈する。「から実質的なる」は、請求項に使用した場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0030】
明細書および特許請求の範囲に使用したように、1つ以上の要素のリストを参照して、「少なくとも1つ」という句は、要素のリストにおけるいずれの1つ以上の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味するものであって、要素のリストに具体的に列記された各要素と全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含むものでなく、また要素のリストにおける要素の任意の組合せを排除するものではないと理解すべきである。この定義により、具体的に特定されたそれらの要素と関連しようとなかろうと、「少なくとも1つ」という句が称する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、要素が必要に応じて存在してもよいことが可能になる。それゆえ、非限定的例として、「AおよびBの少なくとも一方」(または同等に、「AまたはBの少なくとも一方」または同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも一方」)は、ある実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのA、ここでBは存在しない(B以外の要素を必要に応じて含む);別の実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのB、ここでAは存在しない(A以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのA、および必要に応じて複数を含む少なくとも1つのB(他の要素を必要に応じて含む);などを称することができる。
【0031】
そうではないとはっきりと示さない限り、複数の工程または行為を含む請求項に記載された任意の方法において、その方法の工程または行為の順序は、その方法の工程または行為が列挙されている順序に必ずしも制限されないことが理解されよう。
【0032】
特許請求の範囲において、並びに先の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」などの全ての移行句は、制限のない、すなわち、以下に限られないが、以下を含むことを意味するものと理解すべきである。「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許庁マニュアルの特許審査手続き、セクション2111.03に述べられているように、それぞれ、制限または半制限の移行句である。
【0033】
各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、その表現が任意の構造で複数回見られる場合、同じ構造においてどこかの定義とは関係ないことが意図されている。
【0034】
「置換」または「による置換」は、そのような置換が、置換される原子と置換基の許される価数にしたがうものであり、その置換により、安定な化合物、例えば、転位、環化、除去、または他の反応によるものなどの変換を瞬時に経験しない化合物が得られるという暗黙の条件を含むことが理解されよう。
【0035】
「置換された」という用語も、有機化合物の全ての許容される置換基を含むと考えられる。広い態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式および環式、分岐および分岐してない、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族の置換基を含む。説明のための置換基の例としては、下記に記載されたものが挙げられる。許容される置換基は、1つ以上であってよく、適切な有機化合物について同じであっても異なっていてもよい。本発明の目的に関して、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数を満足する、ここに記載された有機化合物の任意の許容される置換基を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって、決して制限されることを意図するものではない。
【0036】
「低級」という用語は、以下に列記される基のいずれに付加されたものでも、その基が7未満の炭素(すなわち、6以下の炭素)を含有することを示す。例えば、「低級アルキル」は、1〜6の炭素を含有するアルキル基を称し、「低級アルケニル」は、2〜6の炭素を含有するアルケニル基を称する。
【0037】
「飽和」という用語は、ここに用いたように、炭素−炭素二重結合も、炭素−炭素三重結合も有さない化合物および/または基に関する。
【0038】
「不飽和」という用語は、ここに用いたように、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する化合物および/または基に関する。
【0039】
「脂肪族」という用語は、ここに用いたように、直鎖または分岐鎖であって、環式ではない(「非環式」または「鎖式」基としても知られている)化合物および/または基に関する。
【0040】
「環式」という用語は、ここに用いたように、1つの環、または2つ以上の環(例えば、スピロ、縮合、架橋)を有する化合物および/または基に関する。
【0041】
「芳香族」という用語は、nが整数の絶対値である、4n+2の電子を含有する環式に結合した分子部分によって特徴付けられる平面または多環式構造を称する。縮合環、すなわち結合した環を含有する芳香族分子も、二環式芳香族環と称される。例えば、炭化水素環構造にヘテロ原子を含有する二環式芳香族環は、二環式ヘテロアリール環と称される。
【0042】
「炭化水素」という用語は、ここに用いたように、水素と炭素のみからなる有機化合物を称する。
【0043】
本発明の目的に関して、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87の表紙裏にあるCAS式の元素の周期表にしたがって特定される。
【0044】
「ヘテロ原子」という用語は、ここに用いたように、当該技術分野において認識されており、炭素や水素以外の任意の元素の原子を称する。説明のためのヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンが挙げられる。
【0045】
「アルキル」という用語は、1から12の炭素原子を含有する脂肪族または環式炭化水素ラジカルを意味する。アルキルの代表例としては、以下に限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−メチルシクロペンチル、および1−シクロヘキシルエチルが挙げられる。
【0046】
「置換アルキル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリルおよびシリルオキシからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により置換された、1から12の炭素原子を含有する脂肪族または環式炭化水素ラジカルを意味する。
【0047】
「アルケン」という用語は、当該技術分野において認識されており、ここに用いたように、先に定義されたアルキル基の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0048】
「アルケニル」という用語は、ここに用いたように、2から10の炭素を含有し、2つの水素原子の除去により形成される炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ含有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表例としては、以下に限られないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル、および3−デセニルが挙げられる。
【0049】
「アルキニル」という用語は、ここに用いたように、2から10の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例としては、以下に限られないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、および1−ブチニルが挙げられる。
【0050】
「カルボシクリル」という用語は、ここに用いたように、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和結合を有する、3から12の炭素原子を含有する単環式または多環式(たとえば、二環式、三環式など)炭化水素を意味し、誤解を避けるために、不飽和の程度により、芳香環系(例えば、フェニル)が生じることはない。カルボシクリル基の例としては、1−シクロプロピル、1−シクロブチル、2−シクロペンチル、1−シクロペンテニル、3−シクロヘキシル、1−シクロヘキセニルおよび2−シクロペンテニルメチルが挙げられる。
【0051】
「ヘテロシクリル」という用語は、ここに用いたように、完全に飽和であり得るか、または1つ以上の不飽和ユニットを含有し得、誤解を避けるために、不飽和の程度により、芳香環系が生じることはなく、窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子を少なくとも1つ含む3から12の原子を有する、以下に限られないが、単環式、二環式(例えば、縮合およびスピロ環式)および三環式の環を含む非芳香族の環系を含む。本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない例示の目的のために、以下は複素環の例である:アゼピン、アゼチジニル、モルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、キヌクリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロフラン。本発明のヘテロシクリル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0052】
「N−ヘテロシクリル」という用語は、ここに用いたように、N−ヘテロシクリル部分が親の部分にそれを通じて結合した窒素原子を少なくとも1つ有する、ここに定義されたヘテロシクリルの部分集合である。代表例としては、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ヘキサヒドロピリミジン−1−イル、モルホリン−1−イル、1,3−オキサジナン−3−イルおよび6−アザスピロ[2.5]オクト−6−イルが挙げられる。ヘテロシクリル基と同様に、本発明のN−ヘテロシクリル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0053】
「アリール」という用語は、ここに用いたように、フェニル基、ナフチルまたはアントラセニル基を意味する。本発明のアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換されていて差し支えない。
【0054】
「アリーレン」という用語は、当該技術分野において認識されており、先に定義されたように、アリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0055】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたアルキル基を通じて親分子部分に付加された、ここに定義されたアリール基を意味する。アラルキルの代表例としては、以下に限られないが、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、および2−ナフト−2−イルエチルが挙げられる。
【0056】
「ビアリール」という用語は、ここに用いたように、アリールおよびヘテロアリールがここに定義されたものであり、アリール置換アリール、アリール置換ヘテロアリール、ヘテロアリール置換アリールまたはヘテロアリール置換ヘテロアリールを意味する。
【0057】
「ヘテロアリール」という用語は、ここに用いたように、以下に限られないが、単環式、二環式および三環式の環を含む芳香族環系を含み、窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子を少なく1つ含む3から12の原子を有する。本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない例示の目的で:アザインドリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インドリル、インドリニル、インダゾリル、イソインドリニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、キノリニル、キナゾリニル、トリアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、テトラヒドロインドリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリルまたはトロパニル。本発明のヘテロアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0058】
「ヘテロアリーレン」という用語は、当該技術分野において認識されており、ここに用いたように、先に定義されたヘテロアリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0059】
「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたアルキル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたヘテロアリールを意味する。ヘテロアリールアルキルの代表例としては、以下に限られないが、ピリジン−3−イルメチルおよび2−(チエン−2−イル)エチルが挙げられる。
【0060】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0061】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つの水素が、ここに定義されたハロゲンにより置換された、ここに定義されたアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例としては、以下に限られないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および2−クロロ−3−フルオロペンチルが挙げられる。
【0062】
「フルオロアルキル」という用語は、全ての水素がフッ素により置換された、ここに定義されたアルキル基を意味する。
【0063】
「ヒドロキシ」という用語は、ここに用いたように、−OH基を意味する。
【0064】
「アルコキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルコキシの代表例としては、以下に限られないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシが挙げられる。「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ」、「カルボシクリルオキシ」、および「ヘテロシクリルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0065】
「ハロアルコキシ」という用語は、ここに用いたように、少なくとも1つの水素が、ここに定義されたハロゲンにより置換された、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの代表例としては、以下に限られないが、クロロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、およびペンタフルオロエトキシが挙げられる。「フルオロアルキルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0066】
「アリールオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリール基を意味する。「ヘテロアリールオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたヘテロアリール基を意味する。「ヘテロアリールオキシ」という用語も同様に定義される。
【0067】
「アリールアルコキシ」または「アリールアルキルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリールアルキル基を意味する。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語も同様に定義される。アリールオキシおよびヘテロアリールアルコキシの代表例としては、以下に限られないが、2−クロロフェニルメトキシ、3−トリフルオロメチルフェニルエトキシ、および2,3−ジメチルピリジニルメトキシが挙げられる。
【0068】
「スルフヒドリル」または「チオ」という用語は、ここに用いたように、−SH基を意味する。
【0069】
「アルキルチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルチオの代表例としては、以下に限られないが、メチルチオ、エチルチオ、tert−ブチルチオ、およびヘキシルチオが挙げられる。「ハロアルキルチオ」、「フルオロアルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」、「カルボシクリルチオ」、および「ヘテロシクリルチオ」という用語も同様に定義される。
【0070】
「アリールチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリール基を意味する。「ヘテロアリールチオ」という用語も同様に定義される。
【0071】
「アリールアルキルチオ」または「アラルキルチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリールアルキル基を意味する。「ヘテロアリールアルキルチオ」という用語も同様に定義される。
【0072】
「スルホニル」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)2−基を称する。
【0073】
「スルホン酸」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)2OHを称する。
【0074】
「アルキルスルホニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたスルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルスルホニルの代表例としては、以下に限られないが、メチルスルホニルおよびエチルスルホニルが挙げられる。「ハロアルキルスルホニル」、「フルオロアルキルスルホニル」、「アルケニルスルホニル」、「アルキニルスルホニル」、「カルボシクリルスルホニル」、「ヘテロシクリルスルホニル」、「アリールスルホニル」、「アラルキルスルホニル」、「ヘテロアリールスルホニル」および「ヘテロアラルキルスルホニル」という用語も同様に定義される。
【0075】
「アルコキシスルホニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたスルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。アルコキシスルホニルの代表例としては、以下に限られないが、メトキシスルホニル、エトキシスルホニルおよびプロポキシスルホニルが挙げられる。「ハロアルコキシスルホニル」、「フルオロアルコキシスルホニル」、「アルケニルオキシスルホニル」、「アルキニルオキシスルホニル」、「カルボシクリルオキシスルホニル」、「ヘテロシクリルオキシスルホニル」、「アリールオキシスルホニル」、「アラルキルオキシスルホニル」、「ヘテロアリールオキシスルホニル」および「ヘテロアラルキルオキシスルホニル」という用語も同様に定義される。
【0076】
トリフリル、トシル、メシル、およびノナフリルという用語は、当該技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基を称する。トリフラート、トシラート、メシラート、およびノナフラートという用語は、当該技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホン酸エステル官能基、p−トルエンスルホン酸エステル官能基、メタンスルホン酸エステル官能基、およびノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基並びにそれぞれその基を含有する分子を称する。
【0077】
「アミノスルホニル」という用語は、ここに用いたように、スルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアミノ基を意味する。
【0078】
「スルフィニル」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)−基を称する。スルフィニル基は、スルホニル基について先に定義されている。「スルフィン酸」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)OHを称する。
【0079】
「オキシ」という用語は、−O−基を称する。
【0080】
「カルボニル」という用語は、ここに用いたように、−C(=O)−基を意味する。
【0081】
「チオカルボニル」という用語は、ここに用いたように、−C(=S)−基を意味する。
【0082】
「ホルミル」という用語は、ここに用いたように、−C(=O)H基を意味する。
【0083】
「アルキルカルボニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたカルボニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルカルボニルの代表例としては、以下に限られないが、アセチル、1−オキシプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチル、および1−オキソペンチルが挙げられる。「ハロアルキルカルボニル」、「フルオロアルキルカルボニル」、「アルケニルカルボニル」、「アルキニルカルボニル」、「カルボシクリルカルボニル」、「ヘテロシクリルカルボニル」、「アリールカルボニル」、「アラルキルカルボニル」、「ヘテロアリールカルボニル」、および「ヘテロアラルキルカルボニル」も同様に定義される。
【0084】
「カルボキシ」という用語は、ここに用いたように、−CO2H基を意味する。
【0085】
「アルコキシカルボニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたカルボニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの代表例としては、以下に限られないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、およびtert−ブトキシカルボニルが挙げられる。「ハロアルコキシカルボニル」、「フルオロアルコキシカルボニル」、「アルケニルオキシカルボニル」、「アルキニルオキシカルボニル」、「カルボシクリルオキシカルボニル」、「ヘテロシクリルオキシカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、「アラルキルオキシカルボニル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」、および「ヘテロアラルキルオキシカルボニル」という用語も同様に定義される。
【0086】
「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルオキシの代表例としては、以下に限られないが、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、およびtert−ブチルカルボニルオキシが挙げられる。「ハロアルキルカルボニルオキシ」、「フルオロアルキルカルボニルオキシ」、「アルケニルカルボニルオキシ」、「アルキニルカルボニルオキシ」、「カルボシクリルカルボニルオキシ」、「ヘテロシクリルカルボニルオキシ」、「アリールカルボニルオキシ」、「アラルキルカルボニルオキシ」、「ヘテロアリールカルボニルオキシ」、および「ヘテロアラルキルカルボニルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0087】
「アルキルスルホニルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキルスルホニル基を意味する。「ハロアルキルスルホニルオキシ」、「フルオロアルキルスルホニルオキシ」、「アルケニルスルホニルオキシ」、「アルキニルスルホニルオキシ」、「カルボシクリルスルホニルオキシ」、「ヘテロシクリルスルホニルオキシ」、「アリールスルホニルオキシ」、「アラルキルスルホニルオキシ」、「ヘテロアリールスルホニルオキシ」、「ヘテロアラルキルスルホニルオキシ」、「ハロアルコキシスルホニルオキシ」、「フルオロアルコキシスルホニルオキシ」、「アルケニルオキシスルホニルオキシ」、「アルキニルオキシスルホニルオキシ」、「カルボシクリルオキシスルホニルオキシ」、「ヘテロシクリルオキシスルホニルオキシ」、「アリールオキシスルホニルオキシ」、「アラルキルオキシスルホニルオキシ」、「ヘテロアリールオキシスルホニルオキシ」および「ヘテロアラルキルオキシスルホニルオキシ」も同様に定義される。
【0088】
「アミノ」という用語は、ここに用いたように、−NH2およびその置換誘導体を称し、この誘導体において、水素の一方または両方が、先に定義された、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボシクリルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニルおよびスルホニルおよびスルフィニル基からなる群より選択される置換基により独立して置換されている;または両方の水素がアルキレン基により置換されている(窒素を含有する環を形成するために)。代表例としては、以下に限られないが、メチルアミノ、アセチルアミノ、およびジメチルアミノが挙げられる。
【0089】
「アミド」という用語は、ここに用いたように、カルボニルを通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアミノ基を意味する。
【0090】
「シアノ」という用語は、ここに用いたように、−C≡N基を意味する。
【0091】
「ニトロ」という用語は、ここに用いたように、−NO2基を意味する。
【0092】
「アジド」という用語は、ここに用いたように、−N3基を意味する。
【0093】
「ホスフィニル」という用語は、ここに用いたように、−PH3およびその置換誘導体を含み、この誘導体において、水素の1つ、2つまたは3つが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、およびアミノからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。
【0094】
「ホスホリル」という用語は、ここに用いたように、−P(=O)OH2およびその置換誘導体を称し、この誘導体において、水素の一方または両方が、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、およびアミノからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。
【0095】
「シリル」という用語は、ここに用いたように、H3Si−およびその置換誘導体を含み、この誘導体において、水素の1つ、2つまたは3つが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。代表例としては、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、および[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)が挙げられる。
【0096】
「シリルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子に結合した、ここに定義されたシリル基を意味する。
【0097】
Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsの略語は、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当該技術分野における有機化学者により使用されている略語のより包括的な総覧が、Journal of Organic Chemistryの各巻の第一版に見られる;この総覧は、典型的に、Standard List of Abbreviationsと題する表に示されている。
【0098】
ここに用いたように、「投与する」という用語は、対象に薬剤または組成物を提供することを意味し、以下に限られないが、医療専門家による投与および自己投与を含む。
【0099】
ここに用いたように、「神経変性疾患」および「神経変性疾病」という句は、神経病理学などの、中枢神経系および末梢神経系の様々な疾病および/または疾患を称し、以下に限られないが、パーキンソン病、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脱神経性萎縮症、耳硬化症、脳梗塞、痴呆、多発性硬化症、ハンチントン病、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連脳症、および神経細胞毒性および細胞死に関連する他の疾病を含む。
【0100】
ここに用いたように、「薬学的に許容される」という句は、信頼できる医療判断にしたがって、妥当な便益/リスク比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題や合併症なく、ヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに適した、薬剤、化合物、材料、組成物、および/または投与形態を称する。
【0101】
ここに用いたように、「薬学的に許容される担体」という句は、ある作用物質を、ある器官または体の部分から、別の器官または体の部分に搬送するまたは輸送するのに関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒被包材料などの、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、配合物の他の成分に適合し、患者にとって有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として機能できる材料のいくつかの例としては、(1)乳糖、ブドウ糖およびショ糖などの糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび座薬用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギニン酸;(16)発熱物質無しの水;(17)生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;および(22)薬剤配合物に使用される他の非毒性の相溶性物質が挙げられる。
【0102】
ここに用いたように、「薬学的に許容される塩」という句は、化合物の比較的非毒性である無機塩および有機塩を称する。
【0103】
ここに用いたように、「タンパク質症」という句は、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質の蓄積および/または凝集に関連する任意の疾病を称する。タンパク質症は神経変性疾患であることが多いが、タンパク質症は、肝臓、筋肉および心臓を含む他の組織の疾患も含み、いくつかの癌も含む。
【0104】
ここに用いたように、「対象」という用語は、治療および両方のために選択されたヒトまたはヒトではない動物を意味する。
【0105】
ここに用いたように、「を有することが疑われる対象」という句は、ある疾病または健康状態の1つ以上の臨床指標を示す対象を意味する。ある実施の形態において、その疾病または健康状態は、癌、神経変性疾患または膵炎である。
【0106】
ここに用いたように、「その必要がある対象」という句は、本発明の療法または治療を必要としていると特定された対象を意味する。
【0107】
ここに用いたように、「治療効果」という句は、作用物質により生じる、動物、特に哺乳類、さらにヒトにおける局所効果または全身的な効果を称する。「治療に効果的な量」および「効果的な量」という句は、少なくとも細胞の亜母集団において、ある所望の効果を生じる作用物質の量を意味する。治療に効果的な量としては、任意の治療に適用できる妥当な便益/リスク比で、ある所望の局所効果または全身的な効果を生じる作用物質の量が挙げられる。例えば、本発明の方法に使用される特定の作用物質は、そのような治療に適用できる妥当な便益/リスク比を生じるのに十分な量で投与してよい。
【0108】
ここに用いたように、対象における疾病を「治療する」もしくは疾病を有するまたは有すると疑われる対象を「治療する」という用語は、疾病の少なくとも1つの症状が減退するか、または悪化が防がれるように、薬品治療、例えば、作用物質の投与を対象に施すことを称する。
【0109】
ここに用いたように、「上述した化合物のいずれ」は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIの任意の化合物である。
【0110】
Usp14の阻害剤
本発明のある態様は、式I:
【化1】
【0111】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
Gは−N=または−C(R2)=であり;
Zは、=C(R8)−、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはGが−C(R2)=であり、かつZが=C(R2)−である場合、2つのR2が一緒になって、
【化2】
【0112】
であり;
Xが、
【化3】
【0113】
またはヘテロアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルであり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【0114】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−フルオロフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−C(R2)=であり、R2がメチルであり、Xが
【化4】
【0115】
であり、Yが−CH2(ピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0116】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−メチルフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−C(R2)=であり、R2がメチルであり、Xが
【化5】
【0117】
であり、Yが−CH2(4−メチルピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−(すなわち、C100)ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0118】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−クロロフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−N=であり、Xが
【化6】
【0119】
であり、Yが−NH2である場合、Zが=N−(すなわち、C121)ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0120】
ある実施の形態において、本発明は、Gが−N=である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0121】
ある実施の形態において、本発明は、Gが−C(R2)=である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0122】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれかであって、式II:
【化7】
【0123】
により表されるか、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体である化合物に関する。
【0124】
本発明の別の態様は、式III:
【化8】
【0125】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
Zは、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはR2およびXが一緒になって、
【化9】
【0126】
であり;
Xが、
【化10】
【0127】
またはヘテロアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルであり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、N−ヘテロシクリルアルキルである。
【0128】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC12ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0129】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC31ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0130】
本発明の別の態様は、式IV:
【化11】
【0131】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R11は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アラルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルコキシアルキル、トリフルオロメチル、またはシリルである。
【0132】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC73ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0133】
本発明の別の態様は、式V:
【化12】
【0134】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R12は、水素またはアルキルであり;
R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて結合した前記置換基のいずれかである;またはR13の1つまたは2つの例、およびそれが結合する炭素が一緒になって、−N=である。
【0135】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC106ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0136】
本発明の別の態様は、式VI:
【化13】
【0137】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
R14は水素またはXであり;
両方のR15が、一緒になって、
【化14】
【0138】
であり、
R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて結合した前記置換基のいずれかである;またはR13の1つまたは2つの例、およびそれが結合する炭素が一緒になって、Nである。
【0139】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC118ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0140】
本発明の別の態様は、式VII:
【化15】
【0141】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルである。
【0142】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC133ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0143】
本発明の別の態様は、式VIII:
【化16】
【0144】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R12は、水素またはアルキルである。
【0145】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC139ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0146】
ある実施の形態において、本発明は、Aがアリールまたはヘテロアリールである、上述した化合物のいずれにも関する。
【0147】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じてフェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルに結合した前記置換基のいずれかからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルである。
【0148】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニルである。
【0149】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化17】
【0150】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0151】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により2位で置換された(オルト置換された)フェニルである。
【0152】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化18】
【0153】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0154】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により3位で置換された(メタ置換された)フェニルである。
【0155】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化19】
【0156】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0157】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で置換された(パラ置換された)フェニルである。
【0158】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化20】
【0159】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0160】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される置換基により2位と4位で置換されたフェニルである。
【0161】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化21】
【0162】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0163】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリジン−2−イルである。
【0164】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化22】
【0165】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0166】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリミジン−2−イルである。
【0167】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化23】
【0168】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0169】
ある実施の形態において、本発明は、Aがビアリールである上述した化合物のいずれにも関する。
【0170】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、4−(フェニル)フェン−1−イルまたは4−(2−ピリジニル)フェン−1−イルである。
【0171】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化24】
【0172】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0173】
ある実施の形態において、本発明は、R1が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0174】
ある実施の形態において、本発明は、R1がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0175】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0176】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0177】
ある実施の形態において、本発明は、R1がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0178】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0179】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0180】
ある実施の形態において、本発明は、R1がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0181】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0182】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0183】
ある実施の形態において、本発明は、R2が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0184】
ある実施の形態において、本発明は、R2がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0185】
ある実施の形態において、本発明は、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0186】
ある実施の形態において、本発明は、R2がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0187】
ある実施の形態において、本発明は、R1が水素であり、R2が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0188】
ある実施の形態において、本発明は、R1がアルキルであり、R2がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0189】
ある実施の形態において、本発明は、R1がメチルであり、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0190】
ある実施の形態において、本発明は、R1がエチルであり、R2がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0191】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、R8が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0192】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、R8がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0193】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=N−である上述した化合物のいずれにも関する。
【0194】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化25】
【0195】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0196】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化26】
【0197】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0198】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化27】
【0199】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0200】
ある実施の形態において、本発明は、Xがヘテロアリールである上述した化合物のいずれにも関する。
【0201】
ある実施の形態において、本発明は、Xがピロロ[1,2−a]ピラジン−3−イルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0202】
ある実施の形態において、本発明は、R9がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0203】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0204】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0205】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0206】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0207】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0208】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0209】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0210】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0211】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0212】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化28】
【0213】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0214】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(N−ヘテロシクリル)である。
【0215】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)、−CH2(ピペラジン−1−イル)、−CH2(ヘキサヒドロピリミジン−1−イル)、−CH2(モルホリン−1−イル)または−CH2(1,3−オキサジナン−3−イル)である。
【0216】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)または−CH2(ピペラジン−1−イル)である。
【0217】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化29】
【0218】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0219】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)nN(アルキレン)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2または−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキレン)である。
【0220】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)または−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)である。
【0221】
ある実施の形態において、本発明は、nが1である上述した化合物のいずれにも関する。
【0222】
ある実施の形態において、本発明は、nが2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0223】
ある実施の形態において、本発明は、nが3である上述した化合物のいずれにも関する。
【0224】
ある実施の形態において、本発明は、nが4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0225】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化30】
【0226】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0227】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0228】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0229】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0230】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0231】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0232】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0233】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0234】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7または−NR5(N−ヘテロシクリル)である上述した化合物のいずれにも関する。
【0235】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0236】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0237】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5、R6およびR7が、独立して、水素またはアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0238】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0239】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0240】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化31】
【0241】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0242】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化32】
【0243】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0244】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化33】
【0245】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0246】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化34】
【0247】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0248】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化35】
【0249】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0250】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化36】
【0251】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0252】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロまたはトリフルオロメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0253】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0254】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、ハロまたはN−ヘテロシクリルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0255】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、クロロまたはピペリジン−1−イルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0256】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはN−ヘテロシクリルアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0257】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはピペリジン−1−イルメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0258】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0259】
ある実施の形態において、本発明は、R10が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0260】
ある実施の形態において、本発明は、R11が、水素またはアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0261】
ある実施の形態において、本発明は、R11が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0262】
ある実施の形態において、本発明は、R11がメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0263】
ある実施の形態において、本発明は、R12が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0264】
ある実施の形態において、本発明は、R12がメチルである上述した化合物にいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、R13が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0265】
ある実施の形態において、本発明は、正確に1つのR13、およびそれが結合している炭素が−N=である上述した化合物にいずれにも関する。
【0266】
ある実施の形態において、本発明は、R14が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0267】
ある実施の形態において、本発明は、R14がXである上述した化合物にいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化37】
【0268】
であり、R10が水素、ハロまたはN−ヘテロシクリルである。
【0269】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化38】
【0270】
であり、R10が水素またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【0271】
本発明の別の態様は、
【化39−1】
【化39−2】
【0272】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0273】
本発明の別の態様は、
【化40】
【0274】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0275】
本発明の別の態様は、以下の式
【化41】
【0276】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0277】
本発明の別の態様は、以下の式
【化42】
【0278】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0279】
本発明の別の態様は、
【化43−1】
【化43−2】
【0280】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0281】
発明の別の態様は、以下の式
【化44】
【0282】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0283】
ある実施の形態において、本発明は、Wがメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0284】
ある実施の形態において、本発明は、Wがフルオロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0285】
ある実施の形態において、本発明は、Wがクロロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0286】
ある実施の形態において、本発明は、Wがニトロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0287】
ある実施の形態において、本発明は、Wがメトキシである上述した化合物のいずれにも関する。
【0288】
ある実施の形態において、本発明は、Wがエトキシである上述した化合物のいずれにも関する。
【0289】
ある実施の形態において、本発明は、Wが−SO2NH2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0290】
ある実施の形態において、本発明は、Wが−C(=O)NH2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0291】
発明の別の態様は、以下の式
【化45】
【0292】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0293】
ある実施の形態において、本発明は、Wがクロロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0294】
本発明の別の態様は、
【化46】
【0295】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0296】
本発明の別の態様は、
【化47】
【0297】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0298】
本発明の別の態様は、
【化48】
【0299】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0300】
本発明の別の態様は、
【化49】
【0301】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0302】
本発明の化合物の多くは、薬学的に許容される対イオンを有する塩(すなわち、薬学的に許容される塩)として提供されるであろう。「薬学的に許容される塩」は、受容体に投与した際に、直接的または間接的のいずれかで、本発明の化合物または化合物のプロドラッグを提供できる任意の非毒性塩を意味する。「薬学的に許容される対イオン」は、受容体への投与の際に塩から放出されたときに、毒性ではない塩のイオン部分である。薬学的に適合する塩は、以下に限られないが、塩化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸により形成してもよい。塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水性または他のプロトン性溶媒中により可溶性である傾向にある。
【0303】
薬学的に許容される塩を形成するために一般に使用される酸としては、二硫化水素、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、並びにパラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、並びに関連する無機酸と有機酸が挙げられる。それゆえ、そのような薬学的に許容される塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート(dioate)、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などが挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩としては、塩化水素酸および臭化水素酸などの鉱酸により形成されたもの、およびマレイン酸などの有機酸により形成されたものが挙げられる。
【0304】
酸性官能基を有する薬学的に許容される塩を形成するための適切な塩基としては、以下に限られないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および未置換のまたはヒドロキシ置換されたモノ、ジ、またはトリアルキルアミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビス、またはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ、ビスまたはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン);N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン;N−メチル−D−グルカミン;およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0305】
本発明の特定の化合物およびその塩は、複数の結晶形態で存在してもよく、本発明は、各結晶形態およびその混合物を含む。
【0306】
本発明の特定の化合物およびその塩は、溶媒和物、例えば、水和物の形態で存在してもよく、本発明は、各溶媒和物およびその混合物を含む。
【0307】
本発明の特定の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでよく、異なる光学的活性形態で存在してもよい。本発明の化合物が1つの不斉中心を含有する場合、その化合物は、2つの鏡像異性体形態で存在し、本発明は、両方の鏡像異性体およびラセミ混合物などの鏡像異性体の混合物を含む。鏡像異性体は、当業者に公知の方法により、例えば;例えば、結晶化により分離されるであろうジアステレオマー塩の形成;例えば、結晶化、気液または液体クロマトグラフィーにより分離されるであろうジアステレオマー誘導体または錯体の形成;一方の鏡像異性体の鏡像異性体特異的試薬との選択的反応、例えば、酵素によるエステル化;または例えば、キラル担体、例えば、キラル配位子が結合したシリカ上の、またはキラル溶媒の存在下での、キラル雰囲気における気液または液体クロマトグラフィーによって、分割してもよい。所望の鏡像異性体が、上述した分離手法の内の1つによって、別の化学的実体に転化された場合、所望の鏡像異性体形態を遊離するために、さらに別の工程を使用してもよい。あるいは、特異的な鏡像異性体は、光学的に活性な試薬、基質、触媒または溶媒を使用した不斉合成によって、または不斉転換により一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体に転化することによって、合成してもよい。
【0308】
本発明の化合物が複数の不斉中心を含む場合、その化合物は、ジアステレオ異性体形態で存在するであろう。ジアステレオ異性体化合物は、当業者に公知の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離してもよく、個々の鏡像異性体は、上述したように分離してもよい。本発明は、本発明の化合物の各ジアステレオ異性体およびそれらの混合物を含む。
【0309】
本発明の特定の化合物は、異なる互変異性型でまたは異なる幾何異性体として存在してもよく、本発明は、本発明の化合物の各互変体および/または幾何異性体およびそれらの混合物を含む。
【0310】
本発明の特定の化合物は、分離可能であろう異なる安定な配座形態で存在してもよい。例えば、立体障害または環ひずみのために、非対称単結合の周りの制限回転のためのねじれ非対称によって、異なる配座異性体の分離が可能になるであろう。本発明は、本発明の化合物の各配座異性体およびその混合物を含む。
【0311】
本発明の特定の化合物は、両性イオン形態で存在してもよく、本発明は、本発明の化合物の各両性イオン形態およびその混合物を含む。
【0312】
本発明は、プロドラッグも含む。ここに用いたように、「プロドラッグ」という用語は、ある生理化学的なプロセスによって、インビボで親の薬物に転化される作用物質を称する(例えば、プロドラッグは、生理学的pHになったときに、所望の薬物形態に転化される)。プロドラッグは、ある状況において、親の薬物よりも投与するのが容易であろうから、多くの場合、有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であろうのに対し、親の薬物はそうではない。プロドラッグは、親の薬物よりも、薬理組成物中の溶解度が改善されているであろう。プロドラッグの一例は、制限するものではなく、本発明の化合物であり、ここで、プロドラッグは、水溶性が有益ではない細胞膜を横切る送達を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで、水溶性が有益である細胞内に一度入ったら、代謝によりカルボン酸へと加水分解される。プロドラッグは多くの有用な性質を有する。例えば、プロドラッグは、最終的な薬物よりも水溶性であってよく、それによって、薬物の静脈内投与が促進される。プロドラッグは、最終的な薬物よりも高いレベルの経口生体利用効率を有してもよい。プロドラッグは、投与後、血中または組織中に最終的な薬物を送達するために、酵素的または化学的に開裂される。
【0313】
例示のプロドラッグは、開裂の際に、対応する遊離酸を放出する。本発明の化合物のそのような加水分解性エステル形成残基としては、以下に限られないが、カルボン酸置換基(例えば、−C(O)2Hまたはカルボン酸を含有する部分)が挙げられ、ここで、遊離水素は、(C1−C4)アルキル、(C2−C12)アルカノイルオキシメチル、(C4−C9)1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3から6の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C1−C2)アルキルアミノ(C2−C3)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなどの)、カルバモイル−(C1−C2)アルキル、N,N−ジ(C1−C2)−アルキルカルバモイル−(C1−C2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C2−C3)アルキルにより置換される。
【0314】
他の例示のプロドラッグは、本発明の化合物のアルコールまたはアミンを放出し、ここで、ヒドロキシまたはアミン置換基の遊離水素は、(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニル−オキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアクチルおよびα−アミノアシル、α−アミノアシル−α−アミノアシルにより置換され、このα−アミノアシル部分は、独立して、タンパク質中に天然に生じるL−アミノ酸、−P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1−C6)アルキル)2またはグリコシル(このラジカルは、炭化水素のヘミアセタールのヒドロキシルの脱離から生じる)のいずれかである。
【0315】
「保護基」という句は、ここに用いたように、潜在的に反応性である官能基を望ましくない化学転換から保護する一時的置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、およびそれぞれ、アルデヒドとケトンのアセタールとケタールが挙げられる。保護基化学の分野が概説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。本発明の化合物の保護形態が、本発明の範囲に含まれる。
【0316】
「化学的に保護された形態」という用語は、ここに用いたように、1つ以上の反応性官能基が、望ましくない化学反応から保護されている、すなわち、保護されたまたは保護する基(マスクされたまたはマスキング基としても知られている)の形態にある化合物に関する。化学的に保護された形態にある活性化合物を調製、精製、および/または取り扱うことが都合よいまたは望ましいであろう。
【0317】
反応性官能基を保護することによって、他の保護されていない反応性官能基を含む反応を、保護された基に影響を与えずに、行うことができる:保護基は、分子の残りに実質的に影響を与えずに、通常はその後の工程で、除去してもよい。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts, Wiley, 1991)およびProtective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts; 3rd Edition; John Wiley and Sons, 1999)を参照のこと。
【0318】
例えば、ヒドロキシ基を、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH3、−OAc)として保護してもよい。
【0319】
例えば、アルデヒドまたはケトン基は、それぞれ、アセタールまたはケタールとして保護してもよく、ここでは、カルボニル基(C(=O))が、例えば、第一級アルコールとの反応によって、ジエーテル(C(OR)2)に転化される。このアルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下で過剰の水を使用した加水分解によって、容易に再生される。
【0320】
例えば、アミン基は、例えば、アミド(−NRC(=O)R)またはウレタン(−NRC(=O)OR)として、例えば、メチルアミド(−NHC(=O)CH3);ベンジルオキシアミド(−NHC(=O)OCH2C6H5HNCbz);t−ブトキシアミド(−NHC(=O)OC(CH3)3、−NHBoc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHC(=O)OC(CH3)2C6H4C6H5NHBoc)、9−フルオレニルメトキシアミド(−NHFmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NHNvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NHTeoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NHTroc)、アリルオキシアミド(−NHAlloc)、2−(フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NHPsec)として;または適切な場合(例えば、環状アミン)には、ニトロオキシドラジカルとして、保護してもよい。
【0321】
例えば、カルボン酸基は、エステルまたはアミドとして、例えば、ベンジルエステル;t−ブチルエステル;メチルエステル;またはメチルアミドとして保護してもよい。
【0322】
例えば、チオール基は、チオエーテル(−SR)として、例えば、ベンジルチオエーテル;またはアセトアミドメチルエーテル(−SCH2NHC(=O)CH3)として保護してもよい。
【0323】
薬剤組成物
本発明は、Usp14の阻害剤を含む薬剤組成物を提供する。ある態様において、本発明は、1種類以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と共に配合された、上述した化合物1種類以上を治療に効果的な量で含む薬学的に許容される組成物を提供する。別の態様において、本発明の作用物質は、それ自体で投与されても、または薬学的に許容される担体との混合物で投与されても差し支えなく、他の作用物質と共に投与されても差し支えない。それゆえ、併用療法は、本発明の1種類以上の化合物の連続、同時(simultaneous)および別々の、または同時投与(co-administration)を含み、ここで、最初に投与されたものの治療効果は、続く化合物が投与されたときに、完全には消えていない。
【0324】
以下に詳しく記載するように、本発明の薬剤組成物は、以下のために適用されたものを含む、固体または液体形態での投与のために特別な配合されてもよい:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬、舌下、および全身吸収を目的として錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、舌に塗布するためのペースト;(2)例えば、滅菌溶液または懸濁液、もしくは持効性配合物として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜注射による、非経口投与;(3)例えば、皮膚に塗布されるクリーム、軟膏、または徐放性パッチまたはスプレーとしての、局所塗布;(4)例えば、ペッサリー、クリームまたは泡として、膣内または直腸内に;(5)舌下;(6)眼;(7)経皮;または(8)鼻。
【0325】
先に述べたように、ある実施の形態において、本発明の作用物質は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、投与ビヒクルまたは投薬形態製造プロセスにおいてその場で、または遊離塩基の形態にある本発明の精製化合物の、適切な有機または無機酸との別の反応と、その後の精製中の、そのように形成された塩の単離によって、調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。
【0326】
主題の化合物の薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性有機または無機酸からの、その化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、オキサル酸、イソチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0327】
他の場合において、本発明の化合物は、1種類以上の酸性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、同様に、投与ビヒクルまたは投薬形態製造プロセスにおいてその場で、または遊離酸の形態にある精製化合物の、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機の第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることによって、調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、前出のBerge et al.を参照のこと)。
【0328】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑剤、並びに、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味料、香味料および香料、保存料および酸化防止剤も、前記組成物中に存在しても差し支えない。
【0329】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0330】
本発明の化合物の配合物は、単位投薬形態で提示してもよく、製薬学の当業者に公知の任意の方法によって調製してもよい。一回の投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療されている宿主および特定の投与形態により様々である。一回の投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる作用物質の量である。
【0331】
ある実施の形態において、本発明の配合物は、以下に限られないが、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、および高分子担体、例えば、ポリエステルおよびポリ無水物を含む賦形剤;および本発明の作用物質を含む。ある実施の形態において、上述した配合物によって、本発明の作用物質が、経口で生物学的に利用可能になる。
【0332】
これらの配合物または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、前記担体、必要に応じて、1種類以上の副成分と共に、会合させる工程を含んでもよい。
【0333】
本発明の化合物を経口投与するための液体投薬形態としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加え、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
【0334】
不活性希釈剤以外に、経口用組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味料、着色料、香料および保存料などの補助剤を含んでも差し支えない。
【0335】
懸濁液は、活性化合物に加え、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、並びにそれらの混合物などの懸濁化剤を含有してもよい。
【0336】
経口投与に適した本発明の配合物は、各々が活性成分として本発明の化合物を所定量含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤(tablet)、トローチ剤(味付き基礎原料、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカントを使用した)、粉末、顆粒の形態で、もしくは水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、もしくは水中油または油中水の液体エマルション、もしくはエリキシル剤またはシロップとして、もしくは錠剤(pastille)(ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基礎成分、またはショ糖およびアカシアを使用した)として、および/またはマウスウォッシュなどとして、であってよい。本発明の化合物は、巨丸剤、舐剤またはペーストとして投与してもよい。
【0337】
経口投与のための本発明の固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの、1種類以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれか:(1)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤(humectant);(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、および非イオン性界面活性剤などの湿潤剤(wetting agent);(8)カオリンおよびベントナイド粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑剤;および(10)着色剤:と混合されている。カプセル、錠剤および丸薬の場合、この薬剤組成物は、緩衝剤を含んでもよい。類似のタイプの固体組成物を、乳糖(lactose or milk sugar)、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した、軟質および硬質ゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよい。
【0338】
錠剤は、必要に応じて1種類以上の副成分と共に、圧縮または成形により製造してもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を使用して調製されるであろう。成形錠剤は、適切な装置内で、不活性希釈液で湿らされた粉末化合物の混合物を成形することによって製造されるであろう。
【0339】
錠剤、および糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒などの、本発明の薬剤組成物の他の固体投薬形態は、必要に応じて、切れ目を入れても、または腸溶性被覆および薬剤配合の技術分野によく知られた他の被覆などの、被覆および殻を備えるように調製してもよい。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用して、活性成分を遅く放出するまたは制御放出するように配合してもよい。本発明の組成物は、急速放出のために配合しても、例えば、凍結乾燥してもよい。それらの組成物は、例えば、細菌保持フィルタを通す濾過により、または使用直前に滅菌水、または他の滅菌注射用媒質中に溶解できる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を含ませることによって、滅菌してもよい。これらの組成物は、必要に応じて、隠蔽剤を含有してもよく、また必要に応じて遅延様式で、胃腸管のある部分のみで、またはその部分に優先的に、活性成分を放出するような組成物のものであってよい。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。活性成分は、適切な場合、1種類以上の上述した賦形剤と共に、マイクロカプセル形態にあっても差し支えない。
【0340】
直腸または膣投与のための本発明の薬剤組成物の配合物は、座薬として提供してもよく、これは、本発明の1種類以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1種類以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製してよく、また、室温で固体であるが、体温で液体であり、しがって、直腸または膣の腔内で溶融し、活性成分を放出する。
【0341】
膣投与に適した本発明の配合物としては、当該技術分野において適切であると知られているそのような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡またはスプレー配合物が挙げられる。
【0342】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための投薬形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチおよび吸入薬が挙げられる。活性化合物は、滅菌状態で、薬学的に許容される担体と、また保存料、緩衝液、または要求されることのある噴霧剤と混合してもよい。
【0343】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、本発明の活性化合物に加え、動物性と植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0344】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加え、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有しても差し支えない。スプレーは、さらに、クロロフルオロ炭化水素およびブタンやプロパンなどの揮発性未置換炭化水素等の通例の噴霧剤を含有して差し支えない。
【0345】
経皮パッチには、本発明の化合物の体への制御送達を提供するという追加の利点がある。そのような投薬形態は、その化合物を適切な媒質中に溶解させるまたは分散させることによって製造できる。皮膚を横切る化合物の流れを増加させるために、吸収促進剤を使用しても差し支えない。そのような流れの量は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲル中に分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0346】
眼用配合物、眼の軟膏、粉末、溶液なども、本発明の範囲内と考えられる。
【0347】
非経口投与に適した本発明の薬剤組成物は、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、配合物を意図する賦形剤または懸濁化剤または増粘剤の血液と等張性にする溶質を含有してもよい、1種類以上の薬学的に許容される滅菌等張性水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、もしくは使用直前に滅菌注射用溶液または分散液にもどせる滅菌粉末と共に、本発明の1種類以上の化合物を含む。
【0348】
本発明の薬剤組成物に使用してもよい適切な水性または非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材料の使用により、分散液の場合には、要求される粒径の維持により、また界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0349】
場合によっては、薬物の効果を引き延ばすために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。このことは、水溶性が不十分な結晶質または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって実施してもよい。その結果、薬物の吸収速度は、溶解速度に依存し、次に、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存するであろう。あるいは、非経口投与薬物形態の遅い吸収は、薬物を油ビヒクル中に溶解させるまたは懸濁させることによって行われる。
【0350】
注射用デポー剤形態は、主題の化合物のマイクロカプセルマトリクスをポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に形成することによって製造される。薬物のポリマーに対する比率、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー剤注射用配合物は、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を取り込むことによっても調製される。
【0351】
本発明の作用物質を含む例示の配合物は、以下に限られないが、体温での化学的安定性、放出の機能的効率時間、毒性および最適投与量を含む様々な性質に応じて決定される。
【0352】
本発明の調製物は、経口で、非経口で、局所に、または直腸に与えてよい。その調製物は、もちろん、各投与経路に適した形態で与えられる。例えば、調製物は、錠剤またはカプセルで、注射により、吸入、眼のローション、軟膏、座薬、注射、注入または吸入による投与;ローションまたは軟膏により局所に;および座薬により直腸に;投与される。
【0353】
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用してよい本発明の化合物、および/または本発明の薬剤組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される投薬形態に配合される。
【0354】
本発明の治療方法
本発明は、神経変性疾患を含む、タンパク質症および向上したタンパク質の破壊が治療に効くであろう他の疾病を治療するための新規の治療方法であって、対象(例えば、その必要がある対象)に、効果的な量の本発明の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0355】
その必要がある対象は、例えば、タンパク質症と診断されている対象、または以前の治療では効果がない対象を含む、タンパク質症の治療を受けている対象を含む。
【0356】
本発明の方法は、どのようなタンパク質症を治療するために使用してもよい。そのようなタンパク質症の例としては、以下に限られないが、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、プリオン病(例えば、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症)、タウオパチー(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症)、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、seipin関連運動ニューロン疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、重症疾患ミオパチー、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病および前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)が挙げられる。
【0357】
ある実施の形態において、本発明の主題の薬剤組成物は、予防法または治療法の一部として、治療に効果的な量の含まれた治療剤または他の材料を患者に送達するのに十分な量で送達すべき物質を含む。活性剤の所望の濃度は、薬物の吸収、不活性化、および排泄速度、並びに化合物の送達速度に依存する。投薬量値は、緩和すべき健康状態の重症度により様々であろうことに留意すべきである。任意の特定の対象について、特別な投与計画を、個々の必要性および組成物を投与する人または組成物の投与を管理する人の専門的な判断力にしたがって、時間をかけて調節すべきであることもさらに理解されよう。一般に、投与量は、当業者に公知の技法を使用して決定される。
【0358】
主題の作用物質の投薬量は、作用物質の血漿濃度を参照することによって決定してもよい。例えば、最大血漿濃度(Cmax)および時間0から無限大までの血漿濃度−時間の曲線の下の面積(AUC(0−4))を使用してもよい。本発明の投薬量としては、CmaxおよびAUC(0−4)について上述の値を生じる投薬量、およびそれらのパラメータについて大きいまたは小さい値を生じる他の投薬量が挙げられる。
【0359】
本発明の薬剤組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に毒性ではなく、特定の患者、組成物、および投与様式について、所望の治療反応を達成するのに効果的な活性成分の量を得るように、変えてもよい。
【0360】
選択された投薬レベルは、使用される特定の作用物質の活性、投与経路、投与時間、治療期間、使用される特定の化合物と共に使用される他の薬物、化合物および/または材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、健康状態、身体全体の健康および前の病歴、医学分野でよく知られている類似の要因を含む様々な要因に依存する。
【0361】
当該技術分野において通常の技能を有する医師または獣医は、必要とされる薬剤組成物の効果的な量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで薬剤組成物中に用いられる本発明の作用物質の投与量を処方および/または投与し、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増加させることができるであろう。
【0362】
一般に、本発明の作用物質の適切な一日の投与量は、治療効果を生じるのに効果的な最低の投与量である作用物質の量である。そのような効果的な投与量は、一般に、先に記載された要因に依存する。
【0363】
所望であれば、作用物質の効果的な一日の投与量は、必要に応じて単位投薬形態で、一日に亘り適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6回以上の分割投与量として投与してもよい。
【0364】
所定の患者において最も効果的治療を生じる特定の作用物質の投与の正確な時間および量は、特定の作用物質の活性、薬物動力学および生体利用効率、患者の生理的状態(年齢、性別、疾病のタイプと段階、身体全体の健康、所定の投薬量に対する感応性および医薬品のタイプ)、投与経路などに依存する。ここに提示された指針は、治療を最適化するため、例えば、投与の最適な時間および/または量を決定するために使用してよく、これには、対象を監視し、投薬量および/またはタイミングを調節することからなる日常的な実験しか必要ない。
【0365】
対象が治療されている間、対象の健康は、24時間の期間中、所定の時間で1つ以上の関連指標を測定することによって監視してもよい。補給剤、量、投与時間および配合物を含む治療の全て状況が、そのような監視の結果にしたがって最適化されるであろう。患者は、同じパラメータを測定することによって、改善の程度を決定するために定期的に最小化され、そのような最初の再評価は一般に、治療の始まりから4週間後に行われ、その後の再評価は、治療中4から8週間毎に、その後は、3ヶ月毎に行われる。治療は、数ヶ月または数年に亘り継続してもよく、最小で1ヶ月が、ヒトにとって典型的な治療期間である。例えば、投与される作用物質の量および投与の時間に対する調節は、これらの再評価に基づいて行ってもよい。
【0366】
治療は、化合物の最適投与量より少ない投薬量で開始してもよい。その後、投薬量は、最適な治療効果が得られるまで、小さな増分ずつ増加させてもよい。その上、自家栄養関連遺伝子産物を調節する作用物質と第2の作用物質、例えば、オートファジー関連疾病の治療に有用な別の作用物質との併用により、個々の作用物質の必要投薬量が減少するかもしれない。何故ならば、異なる化合物および/または作用物質の効果の始まりおよび期間が相補的であるかもしれないからである。
【0367】
本発明のある態様は、Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、Usp14タンパク質を、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に接触させる工程を含む方法に関する。
【0368】
本発明の別態様は、細胞中のプロテアソームによるタンパク質分解を向上させる方法であって、細胞を、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に接触させる工程を含む方法に関する。
【0369】
本発明の別の態様は、対象におけるタンパク質症を治療するまたは予防する方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体を投与する工程を含む方法に関する。
【0370】
ある実施の形態において、本発明は、上述した方法のいずれかに関し、ここで、タンパク質症は、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、セルピン病、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、および重症疾患ミオパチーからなる群より選択される。
【0371】
ある実施の形態において、本発明は、前記タンパク質症が、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症またはマシャド・ジョセフ病である、上述した方法のいずれにも関する。
【0372】
本発明の別の態様は、対象において、向上したタンパク質破壊が治療に効く疾病を治療するまたは予防する方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0373】
ある実施の形態において、本発明は、前記疾病が、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病および前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)からなる群より選択される、上述した方法のいずれにも関する。
【0374】
本発明の別の態様は、対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0375】
本発明の別の態様は、対象において、Tau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0376】
ある実施の形態において、本発明は、前記対象がヒトである上述した方法のいずれにも関する。
【0377】
単離した再構成プロテアソーム
本発明のある態様は、酵素的に活性なUch37を欠如するが、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソームに関する。そのようなプロテアソームは、どのような適切な生物からのものであっても差し支えない。ある実施の形態において、本発明のプロテアソームは、ヒトまたはネズミプロテアソームなどの哺乳類のプロテアソームである。そのようなプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37を含有しても、またはUch37をすっかり欠如してもよい。本発明のプロテアソームは、例えば、Usp14の特異的阻害剤をスクリーニングする方法において有用である。例えば、ここにその全てを引用する、国際公開第2008/147536A1号パンフレットを参照のこと。
【0378】
ある実施の形態において、本発明のプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37を含む。Uch37は、例えば、酵素部位の突然変異、Uch37特異的阻害剤による処理、または非特異的脱ユビキチン化酵素阻害剤による処理(例えば、ユビキチン−ビニルスルホンによる処理)を含む、当該技術分野に公知のどのような方法によって、不活性にしても差し支えない。Uch37のユビキチン−ビニルスルホンによる処理で、ビニルスルホン−Uch37付加物が生成され、これは、脱ユビキチン化酵素活性について不活性である。
【0379】
本発明の別の態様は、本発明のプロテアソームを生成する方法に関する。そのような方法は、Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームを精製する工程、精製されたプロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理する工程、および/または精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUsp14で再構成する工程を含んでもよい。
【0380】
Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームの精製は、当該技術分野に公知のどのような適切な方法を使用して行っても差し支えない。例えば、ヒトプロテアソームは、HTBHタグ付きhRpn11を発現するHEK293細胞株から、アフィニティー精製しても差し支えない。細胞を溶解させ、プロテアソームをNeutrAvidinアガロース樹脂によりアフィニティー精製して、Usp14を欠如するがUch37を含有するプロテアソームを生成しても差し支えない。
【0381】
Uch37特異的阻害剤、および非特異的脱ユビキチン化酵素阻害剤(例えば、ユビキチン−ビニルスルホン)を含む、どのような適切なUch37阻害剤を本発明の方法に使用しても差し支えない。
【0382】
本発明のプロテアソームを再構成するために使用される活性Usp14は、例えば、哺乳類細胞から精製されたUsp14または組換えにより産生されたUsp14を含む、どのような適切な供給源からのものであっても差し支えない。
【0383】
本発明の別の態様は、Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、本発明のプロテアソームを提供し、そのプロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させ、試験化合物がその基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する。
【0384】
基質の脱ユビキチン化は、どのような適切な方法を使用して、直接的または間接的に検出しても差し支えない。例えば、ある実施の形態において、その基質は、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能である、および/またはユビキチン依存性プロテアソーム基質(例えば、Ub−AMC)であるレポーターに結合される。他のある実施の形態において、基質の脱ユビキチン化は、基質の分解の阻害によって示される。
【0385】
本発明の別の態様は、本発明の単離されたプロテアソーム、使用説明書、および/またはUsp14基質を含むキットに関する。いくつかの実施の形態において、Usp14基質は、Ub−AMCおよび/またはポリユビキチン化サイクリンBである。
【実施例】
【0386】
これまで本発明を広く説明してきたが、以下を参照することによって、本発明はより容易に理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の特定の態様と実施の形態を説明する目的のためだけであり、本発明を制限することを意図したものではない。
【0387】
実施例1−阻害剤の合成
図29は、本発明のピロールの調製に対する1つの手法を示している。ピロールの代わりに、1,3−ジアゾールを形成することによって、類似のジアゾール化合物を調製してもよい。アリールアミン1aへの環置換を変えることによって、またはアルキルアミン、ヘテロアリールアミン、アラルキルアミンなどを置換することによって、多種多様の化合物を調製してもよい。同様に、化合物1eを多数の求核剤と反応させて、多種多様の化合物を提供してもよい。図29に示された化合物に対応する実験手法が以下に与えられている。
【0388】
1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール(1c)の合成 酢酸(40mL)中の1a(7.65g、60.0ミリモル)および1b(34.2g、300.0ミリモル)の混合物を1時間に亘り100℃に加熱し、次いで、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1c(11.06g、収率:89.8%)を得た。
【0389】
2−クロロ−1−[1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]エタン−1−オン(1e)の合成 1,2−ジクロロエタン(50mL)中のAlCl3(7.98g、60.0ミリモル)の溶液に、0℃で1d(6.78g、60.0ミリモル)を加えた。その結果得られた混合物を30分間に亘り撹拌し、0℃で1,2−ジクロロエタン(50mL)中の1c(6.17g、30.0ミリモル)の溶液に加えた。次いで、この反応混合物を2時間に亘り室温まで暖め、氷水(20mL)中に注ぎ入れた。混合物をジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、MgSO4で乾燥させ、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1e(3.37g、収率:39.9%)を得た。
【0390】
1−[1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]−2−ピペリジルエタン−1−オン(1)の合成 アセトニトリル(10mL)中の1e(85mg、0.3ミリモル)およびトリエチルアミン(61mg、0.6ミリモル)の溶液に、1f(28mg、0.33ミリモル)を加えた。加熱して1時間に亘り還流した後、この混合物を濃縮し、残留物をジクロロメタン(30mL)中に溶解させ、飽和NaHCO3(10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1(83mg、収率:83.8%)を得た。LC/MS: 331.1 (M+1)+. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.45-7.49 (2H, dd), 7.10-7.13 (2H, dd), 6.39 (2H, ds), 3.56(2H, s), 2.53-2.56 (4H, m), 2.30 (3H, s), 1.98 (3H, s), 1.62-1.70 (4H, m), 1.44-1.49 (2H, m).
【0391】
実施例2−Usp14は基質の脱ユビキチン化を媒介する
Usp14がヒトプロテアソームの強力な阻害剤であるか否かを試験するために、検出可能なレベルの脱ユビキチン化酵素Usp14を欠如したプロテアソームを生成するための精製手法を開発した(Wang et al., (2007), Biochemistry, 46, 3553-3565からの改良)。手短に言えば、ヒトプロテアソームを、HTBHタグ付きhRpn11を含む安定なHEK293細胞株から、大規模でアフィニティー精製した。細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含有する溶解緩衝液(50mMのNaH2PO4[pH7.5]、100mMのNaCl、10%のグリセロール、5mMのMgCl2、0.5%のNP−40、5mMのATP、および1mMのDTT)中でダウンス(Dounce)式に均質化した。溶解物を清澄にし、次いで、4℃で一晩NeutrAvidinアガロース樹脂(Thermo Scientific)と共にインキュベーションした。次いで、ビーズを過剰の溶解緩衝液で、続いて、洗浄緩衝液(50mMのトリス−HCl[pH7.5]、1mMのMgCl2および1mMのATP)で洗浄した。VS−プロテアソームについて、1から1.5μMのUb−VS(Boston Biochem)をこの樹脂に加え、2時間に亘り30℃でインキュベーションした。ビーズを少なくとも20床容積の洗浄緩衝液で洗浄することによって、残留するUb−VSを除去した。TEVプロテアーゼ(Invitrogen)を使用して、開裂によって、ビーズから26Sプロテアソームを溶出した。
【0392】
このプロテアソーム精製手法を使用して、HEK293細胞のhRpn11タグ付き株からヒトプロテアソームをアフィニティー精製した。Usp14を欠如するが関連する脱ユビキチン化酵素Uch37を含有するプロテアソームの精製を、抗Usp14抗体および抗Uch38抗体(それぞれ、図1Aおよび1B)を使用したウェスタンブロット法により確認した。精製した、Usp14を含まないプロテアソーム(26Sプロテアソームとしても記載されている)は、高レベルの脱ユビキチン化活性を維持し、この活性は、プロテアソームをユビキチン−ビニルスルホンで処理することによって不可逆的に阻害できた(Ub-VS, Yao et al., (2006) Nat. Cell Biol., 8, 994-1002)。Ub−VSは、チオールプロテアーゼクラスの脱ユビキチン化酵素の活性部位に位置するCysアミノ酸と付加物を形成することによって、基質の脱ユビキチン化を阻害する。図1Bに示されるように、Ub−VSの26Sプロテアソームへの付加により、全てが検出可能なUch37を有する、酵素的に不活性なVS−Uch37付加物が形成された。
【0393】
純粋な組換えUsp14酵素を産生するために、大腸菌株のRosetta2(DE3)細胞(Novagen)中でGST−Usp14(WTおよびC114A変異株)を発現させた。OD600が0.6から0.8に到達するまで、菌株を37℃で増殖させ、室温で1mMのIPTGで一晩、発現を誘発させた。次いで、細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含有するPBS中で収穫し、フレンチプレスによって溶解させた。清澄した溶解物を1時間に亘り4℃でGSTセファロース4B樹脂(GE Healthcare)と共にインキュベーションし、その後、過剰のPBSで、次いで、100mMのNaClを含有するPBSで洗浄した。GST部分は、室温で3時間に亘り、開裂用緩衝液(50mMのトリス−HCl[pH8.0]、150mMのNaCl、2.5mMのCaCl2、および0.1%の2−メルカプトエタノール)中のトロンビンにより除去した。溶出用緩衝液(50mMのトリス−HCl[0H8.0]中の10mMの還元グルタチオン)を使用したトロンビン開裂の前に、プロテアソーム結合アッセイのためにGSTタグ付きUsp14タンパク質を溶出した。
【0394】
Ub−VS処理のために内因性脱ユビキチン化活性を欠如した、上述した阻害された「VS−プロテアソーム」が、組換えUsp14によりうまく再構成された(図2)。1nMのUb−VS処理済みヒトプロテアソーム(VS−プロテアソーム)のみ、400nMのUsp14のみ、または4または40nMの組換えUsp14タンパク質により再構成されたVS−プロテアソームにより、Ub−AMC加水分解アッセイを行った。先に記載したように、VS−プロテアソームの脱ユビキチン化活性は、ほぼ完全に阻害された(図3)。対照的に、再構成されたUsp14/VS−プロテアソームは、相当な脱ユビキチン化活性を示した(図3)。実際に、Usp14/VS−プロテアソームは、単離されたUsp14よりも、Ub−AMC加水分解活性における800倍の増加を示した(図3)。それゆえ、Usp14の酵素的活性は、プロテアソームと複合体を形成することによって増加させられる。したがって、Ub−AMCアッセイにより、再構成をうまく続けることができる。
【0395】
また、再構成されたUsp14−プロテアソーム複合体によるUb−AMC加水分解の反応速度論を調査するために、Ub−AMCアッセイを使用した。様々な量のUsp14により再構成されたUsp14/VS−プロテアソームによるUb−AMC加水分解を、30分間に亘りモニタした(図4)。このアッセイの結果の分析により、プロテアソームに対するUsp14の親和性は約4nMであることが示された。
【0396】
実施例3−Usp14はプロテアソーム分解を阻害する
ユビキチン依存性プロテアソーム基質多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClnB)を使用したインビトロ分解アッセイを利用して、ユビキチン化された基質の分解へのUsp14の影響を調査した。これらの実験において、野生型または触媒的に不活性なUsp14(60nM)を含有するヒトプロテアソーム(4nM)と共に、Ubn−ClnBをインキュベーションした。これらのアッセイに使用した触媒的に不活性なUspはUsp14−C114Aであり、これは、脱ユビキチン化のためのUsp14の活性部位に突然変異を含有する。特に、野生型Usp14とUsp14−C114Aの両方とも、26S哺乳類プロテアソームに結合することができる(図2)。図5に示されるように、Usp14はサイクリンBの分解を強力に阻害するのに対し、Usp14の活性部位の突然変異は、ほとんど阻害効果を示さなかった。活性部位の突然変異によるUbn−ClnB分解の阻害の欠如により、Usp14によるプロテアソーム分解の阻害には、野生型Usp14のユビキチン鎖トリミング活性が必要であることが示される。実際に、サイクリンBからのユビキチン基の広範囲に亘るトリミングは、野生型Usp14を含有するサンプルにおける免疫ブロット分析により明白であったが、触媒的に不活性なUsp14を使用した場合、ほぼなくなった(図5)。
【0397】
ヒト細胞中のTau分解へのUsp14の影響が、ヒト細胞株HEK293において観察された。Tauを外因性野生型または触媒的に不活性なUsp14と同時発現し、Tauタンパク質レベルをウェスタンブロット法により決定した。野生型Usp14の発現により、ヒト細胞株においてTauは安定化したが、酵素的に不活性なUsp14の発現では安定化しなかった(図6)。実際に、HEK293細胞中の酵素的に不活性なUsp14の発現により、Tauの分解が加速した(図6B)。この主要なマイナスの影響は、おそらく、プロテアソームからの内因性の野生型Usp14の置換を反映している。この仮説を、N末端UBLドメインを欠如したUsp14の変異体(Usp14−ΔUBL)を使用して確認した。N末端UBLドメイン(図6A)は、Usp14上の主要なプロテアソーム結合部位である。UBLの欠失により、主要なマイナスの影響が弱まり(図7)、この影響の媒介には、プロテアソーム結合が必要であることが示される。
【0398】
Usp14の短い形態(SF)は、Usp14のN末端ユビキチン様ドメインとその触媒ドメインとの間の接合エクソン(エクソン4)を欠如したmRNAから発現された内因性Usp14スプライス変異体である(Wilson et al., (2002), Nat. Genet., 32, 420-425;図6A)。Usp14の触媒的に不活性な変異体のように、Usp14−SFは、HEK293細胞におけるTauの安定性への主要なマイナスの影響を示した(図6A)。このことは、Usp14−SFがUsp14の内因性阻害剤であるかもしれないことを示唆している。この可能性と一致して、Usp14−SFは、プロテアソームに結合することができるが、その野生型酵素とは異なり、プロテアソーム結合によって酵素的に活性化されない(図7)。
【0399】
実施例4−Usp14の特異的阻害剤
先に示したように、Usp14によるプロテアソームでの鎖のトリミングは、ユビキチン依存性タンパク質分解経路における重要な調節工程である。したがって、プロテアソーム機能のエンハンサーを特定するために、小分子Usp14阻害剤の高速大量スクリーニングを、組換えUsp14により再構成したVS−プロテアソームを使用して行い、Ub−AMCにより検定した(図8)。
【0400】
化合物を、384ウェルの小容積プレートにおいてUsp14/26S阻害について、二重にスクリーニングした。データ処理を堅牢なZスコア法によって行い、Spotfireソフトウェアを使用して、各化合物をプロットした。Z>5のカットオフを超える化合物は、主に自己蛍光性であり、したがって、計数しなかった。AMC蛍光のみに影響を与える消光化合物を排除するために、312の主なヒットをAMCアミンの消光について試験し、純粋な消光分子を偽陽性と記録し、さらなる分析から排除した(図8B)。高速大量スクリーニングにおいて分析した63,052の化合物の内、215の化合物をUsp14の本当の阻害剤として特定した。
【0401】
Usp14を特異的に阻害するが、一般的な脱ユビキチン化酵素阻害剤ではない化合物を特定するために、215のヒット化合物に、脱ユビキチン化酵素のパネルに対してカウンタースクリーニングを行った。Usp14の活性を阻害したが、他の試験した脱ユビキチン化酵素のいずれも阻害しなかったヒット化合物の中で、1−[1−(4−フルオロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]−2−ピロリジン−1−イルエタノン(IU1、図9)をさらなる分析のために選択した。
【0402】
実施例5−IU1によるUsp14の特異的阻害
特異的Usp14阻害剤のIU1に追加の研究を行った(図10)。陰性対照として働くために、Usp14脱ユビキチン化酵素を阻害しない(図10B)、またはプロテアソーム機能を向上させない(図10C)、「IU1C」と称する、IU1と構造的に類似の化合物も特定した。
【0403】
Usp14に対するIU1の特異性を、ヒト起源の8つの脱ユビキチン化酵素の活性を阻害するその能力を試験することによって、決定した。図11および9Cに示されるように、IU1は、プロテアソーム結合Usp14の強力な阻害剤であるにもかかわらず、Uch37を含む他の試験した脱ユビキチン化酵素を著しく阻害できなかった。図9Eは、IU1がUch37のプロテアソーム結合形態を阻害しないことを示すことに留意されたい。さらに、IU1は、プロテアソームに結合していなかったUsp14の活性も阻害することができず(図9D)、IU1は、Usp14の、プロテアソームに結合した活性化形態を特異的に阻害することが示される。
【0404】
Usp14がプロテアソームに結合することによりUsp14の活性が向上するので、IU1は、Usp14/プロテアソーム相互作用に干渉することによって、Usp14の活性を阻害した可能性がある。したがって、Usp14がプロテアソームに結合する能力に干渉するIU1の能力を調査した。精製したヒトプロテアソームを、様々な濃度のIU1の存在下または不在下のいずれかで、組換えUsp14と共にインキュベーションした。図12に見られるように、IU1は、Usp14のプロテアソームとの複合体形成に拮抗せず、UI1の阻害活性は、Usp14/プロテアソーム複合体の形成を阻害する結果ではないことが示される。
【0405】
次に、Usp14のIU1阻害の可逆性を検定した。Usp14/プロテアソーム複合体をIU1で処理し、続いて、Micron−YM3フィルタによる遠心分離を3回まで行った。各遠心分離後に、このタンパク質複合体を、脱ユビキチン化酵素活性について試験した。図13に示されるように、Usp14の活性は、遠心分離後に戻り、それによって、Usp14のIU1による阻害が急速に可逆性であることが示される。この観察と一致して、Usp14を阻害したIU1の質量分析では、共有結合したIU1−Usp14付加物を検出することができなかった。
【0406】
45分間(図14A)または30分間(図14B)いずれかに亘り様々な濃度のIU1で処理したUsp14/26Sプロテアソーム複合体に関する2つの独立したIC50曲線を作成することによって、IU1のUsp14阻害活性をさらに定量化した。各実験のデータプロットを、米国国立衛生研究所の化学物質ゲノム学センター(NIH Chemical Genomics Center)からの指標に基づいて4パラメータ・ロジスティックモデル(ヒル勾配モデル(Hill-slope model))に当てはめた。これらの実験の結果により、IU1のIC50値は2〜5μMであることが示される(図14)。
【0407】
実施例3に記載した方法と類似の方法を使用して、IU1がプロテアソーム複合体によるユビキチン鎖のトリミングに影響したか否かを試験するために、サイクリンBを基質として使用した。基質の分解から鎖のトリミングを区別するために、これらのアッセイは、プロテアソーム阻害剤の存在下で行った。プロテアソーム阻害剤の有効性は、このアッセイにおける未修飾のサイクリンBの蓄積によって実証される(図15)。Usp14を欠如するプロテアソームを試験する場合、サイクリンBからのユビキチン鎖の放出には、IU1はほとんどまたは全く影響しなかった(図15)。これは、おそらく、プロテアソーム上の別の脱ユビキチン化酵素であるRpn11によって媒介される。しかしながら、Usp14を加えた際に、サイクリンBのユビキチン化形態の増大した電気泳動度から明らかなように、プロテアソーム複合体による鎖のトリミングが強力に向上した。Usp14/プロテアソーム複合体にさらにIU1を加えると、この効果が逆転し、USP14を欠如したプロテアソーム複合体のレベルと同レベルまで、鎖のトリミングが減少した(図15)。
【0408】
次に、IU1が、プロテアソームによる基質の分解のエンハンサーとして機能できるか否かを試験した。実施例3に記載した方法を使用して、インビトロUbn−ClnB分解アッセイを行ったが、今回は、34μMのIU1の不在下または存在下であった。Usp14を欠如したプロテアソームにIU1を加えることには、基質の分解または鎖のトリミングに影響がなかった。先に記載した結果を確認して、Usp14をプロテアソーム複合体に加えると、鎖のトリミングが増加し、基質の分解が劇的に阻害された。IU1の添加により、Ub−サイクリンBの分解におけるUsp14含有プロテアソームの活性が刺激され、ユビキチン鎖のトリミングが阻害された(図16)。
【0409】
実施例6−IU1の細胞侵入
上述したIU1実験をインビトロで行った。IU1がインビボでプロテアソームの分解を増加させるために、IU1が細胞に侵入できることが必要である。このことを試験するために、逆相C18カラムを備えたAgilentシリーズ1200LC/6130システムを使用したエレクトロスプレー質量分析によって、IU1の細胞への侵入を検定した。IU1を、様々な期間に亘り5μMでMEFに加えた。細胞溶解物を採集し、酢酸エチル抽出物を使用して、質量分析サンプルを調製した。0時間、1時間および24時間でのLC/MSトレースの計数量(301でのm/z)が示されている(図17)。このアッセイにより、IU1は、50μMで媒質に加えられたときに、1時間以内に細胞内で約19μMの定常濃度に到達し、実験の時間経過に亘りほぼ同じレベルを維持したことが判明した(図17および18)。別のUV吸収アッセイを使用して、2日間に亘り、同様の結果が得られた(図19)。その上、IU1濃度は、少なくとも2日間について、媒質中で維持された。これらの結果は、IU1が細胞中と標準媒質中の両方において安定な化合物であることを示す。
【0410】
実施例7−IU1によるインビボのプロテアソーム分解の増大
IU1が、生きている細胞中のプロテアソーム機能を増大させられるか否かを決定するために、TauをMEF細胞中で発現させ、次いで、これを25から100μMの濃度のIU1で処理した。詳しくは、TauおよびLacZV5発現の36時間後に、MEF細胞を6時間に亘り0、25、50、75または100μMのIU1と共にインキュベーションした。図21Aに見られるように、IU1は、試験した全ての濃度でTauレベルを減少させた。TauのmRNAレベルには影響は見られなかった(図21B)。
【0411】
タンパク質毒性機構に関与してきた他のタンパク質も試験した。上述した方法と類似の方法を使用して、IU1処理の際に、TDP−43(前頭側頭葉変性症および筋萎縮性側索硬化症に関与する)、アタキシン−3(マシャド・ジョセフ病に関与する)およびグリア原線維酸性タンパク質(GFAP、アレキサンダー病に関与する)を細胞から同様に欠失させた(図22A〜C)。他方で、ユビキチン非依存性プロテアソーム基質であるGFP−ODCのインビボ分解には、IU1はほとんどまたは全く影響しなかった。これらの結果は、共に、IU1が、ユビキチン媒介プロテアソーム分解の一般的なエンハンサーであることを示す。
【0412】
酸化タンパク質は、ヒトの健康に重要な役割を果たすプロテアソーム基質の別の部類を形成する。有害な酸化タンパク質は、老化の際に蓄積し、様々な年齢関連疾病および疾患に関与する(Stadtman (2006) Protein oxidation and aging. Free Radic. Res. 40, 1250-1258; Ahmed et al. (2007) Protein oxidative modifications and replicative senescence of WI-38 human embryonic fibroblasts. Ann. NY Acad. Sci., 1119, 88-96; Moskovitz et al. (2001). Methionine sulfoxide reductase (MsrA) is a regulator of antioxidant defense and lifespan in mammals. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1981, 12920-12925)。細胞をメナジオンで処理することによって、タンパク質の酸化を誘発し、タンパク質のカルボニルに特異的な抗体を使用して、酸化種を視覚化した。詳しくは、MEFを、4時間に亘りビヒクルまたは75μMのIU1と共に予めインキュベーションし、次いで、45分間に亘り63μMのメナジオンで処理した。細胞を溶解させ、溶解物をDNPHと共にインキュベーションし、酸化タンパク質について検定するために抗DNPH抗体で免疫ブロット法を行った。酸化タンパク質の蓄積は、未処理細胞よりも、IU1で処理した細胞のほうが減少した(図23)。プロテアソーム阻害剤PS−341をIU1と共に加えたときに、IU1の影響が排除され、IU1は酸化反応を防がず、むしろ、酸化タンパク質のプロテアソーム分解を増大させることが示される。これらのデータは、反応性酸素種によって損傷するタンパク質の分解に関するUsp14阻害ユビキチン依存性機構があることを示す。メナジオンは細胞にとって毒性であり、IU1処理はHEK293細胞においてこの毒性を相当減少させ(図30)、タンパク質は細胞中の酸化的損傷の重大な標的であるという仮説を強力に支持する。IU1はまた、未関連の酸化剤である過酸化水素の毒性も減少させる(データは図示せず)。Usp14に対して不活性であるIU1の変異体であるIU1Cは、メナジオンの細胞毒性を減少させられなかった(データは図示せず)。重大なことには、これらの実験は、IU1がタンパク質毒性ストレス中の細胞の生存を促進させられることを示す。
【0413】
実施例8−細胞の増殖および生存率へのIU1の影響
次に、細胞の生存率へのIU1の影響をMTTアッセイにより調査した。IU1を様々な濃度でMEF、HEK293およびHeLa細胞に加え、その後、IU1のインキュベーションの6、12、24または48時間後にMTT溶液を加えた。細胞の生存率への影響は、100μMを超える濃度で明白になった。この濃度は、Tau、TDP−43、アタキシン−3、および酸化タンパク質の分解を増加させるのに必要な投与量をかなり超えている。さらに、IU1は、TUNELアッセイにより評価されるように、MEF細胞におけるアポトーシスを著しくは誘発しなかった(図31)。
【0414】
様々な濃度のIU1に曝露されていたMEF(図28)および293細胞の細胞増殖を、リアルタイムで顕微鏡により測定した。このアッセイの結果により、120μMでの細胞増殖がごくわずかしか阻害されず、それより低い濃度では明白な阻害が見られないことが明らかになった(図28)。先に示された細胞死亡率の結果と一緒に解釈すると、このことは、Usp14によるユビキチン鎖の切断のIU1による阻害は、細胞機能をひどくは損なわないことを示す。
【0415】
同等物
本発明は、一部には、プロテアソーム基質、ユビキチン−プロテアソーム経路の上流成分、またはプロテアソーム自体のいずれかを含む、プロテアソームによるタンパク質の回転率の増大および疾病の治療のための方法を提供する。本発明の特定の実施の形態を議論してきたが、先の明細書は、説明のためであって、制限のためではない。本発明の多くの変種が、本明細書を検討した際に当業者には明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲は、そのような実施の形態および変種の全てを権利主張することを意図しておらず、本発明の全範囲は、同等物の全範囲と共に特許請求の範囲を、またそのような変種と共に明細書を参照することによって、決定されるべきである。
【0416】
ここに挙げられた全ての刊行物および特許は、各刊行物または特許が具体的かつ個別に参照により含まれると示されているように、それらの全てがここに引用される。争いの場合、ここに記載された定義を含む本出願が統制する。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2010年8月13日に出願された米国仮特許出願第61/373404号、および2010年1月28日に出願された米国仮特許出願第61/336959号への優先権の恩恵を主張するものであり、それらの内容をここに引用する。
【政府の支援】
【0002】
本発明は、米国国立保健研究所の助成第GM065592号、第GM66492号および第DK082906号の下で米国政府の支援により行われた。政府は本発明に所定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、プロテアソーム活性を向上させるための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
プロテアソームは、33の別個のサブユニットを含有する大きなタンパク質複合体である。プロテアソーム複合体は、一部には不要なタンパク質やミスフォールド(misfolded)タンパク質を分解するためのプロテアーゼとして機能する。プロテアソームは細胞生理学の多くの状況を調節し、プロテアソーム機能障害が、癌および神経変性疾患を含む様々な疾患に関わってきた(非特許文献1から5)。
【0005】
全てではないがほとんどのプロテアソーム基質は、ユビキチンと呼ばれる保存性の高い小さなタンパク質の多重結合鎖の共有結合を通じて、分解の標的にされる。長いユビキチン鎖は、短い鎖よりもプロテアソームとより強力に相互作用するので(非特許文献6)、ユビキチン鎖の長さを変えるプロセスは、しばしば、基質の分解速度にも影響する。プロテアソーム分解のためにタグが付けられた基質に結合したユビキチン鎖の長さは、特定のプロテアソーム関連脱ユビキチン化酵素およびユビキチンリガーゼによって調節され得る。これらの脱ユビキチン化酵素およびリガーゼは、プロテアソームに結合したユビキチン鎖を分解するかまたは伸長させることによって、プロテアソーム活性を調節するようである。
【0006】
哺乳類のプロテアソームは、3つの主要な脱ユビキチン化酵素:Rpn11、Uch37、およびUsp14を含有する(非特許文献1)。Rpn11は、ユビキチン鎖と基質との間の接合部で切断することによって、タグの付いた基質からユビキチンを除去する。Rpn11媒介開裂は、基質のタンパク質分解に関わった後であるが、基質の分解前に行われるので、Rpn11は、ユビキチンが基質と共に分解されるのを防ぎ、それゆえ、細胞のユビキチンレベルの変動を最小にするのに役立つ。それに加え、プロテアソーム基質は、プロテアソームの隔絶されたタンパク質分解部位に遭遇する前に狭い転座通路を通過しなければならないので、嵩張るユビキチン鎖が除去されると、基質の転座が容易になるであろう。それゆえ、Rpn11によるユビキチン鎖の除去は、プロテアソーム経路における比較的遅い段階でのユビキチン鎖の一括除去によって、基質の分解を促進する(非特許文献7および8)。
【0007】
Rpn11とは反対に、Uch37は、基質のプロテアソーム分解に関わる前に機能する。Uch37は、基質の遠位端でユビキチン鎖を分解し(非特許文献9)、その酵素活性が、ユビキチン鎖全体を除去するというよりむしろ、ユビキチン鎖を短くする。Uch37による鎖のトリミングにより、長い多重ユビキチン鎖と短い多重ユビキチン鎖を区別するプロテアソームの能力が増す(非特許文献9)。Uch37がどのような細胞中のプロテアソーム機能を調節するかについては、ほとんど知られていない。
【0008】
Usp14の機能については全く知られていない。しかしながら、Usp14の酵母オルソログであるUbp6は、基質の遠位端でユビキチン鎖を分解し、基質のプロテアソーム分解に関わる前に機能することが示唆されてきた(非特許文献10)。Ubp6は、プロテアソーム阻害剤として働くと考えられ、Ubp6についての先の研究で、プロテアソーム阻害の非触媒モードが示された(非特許文献10)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Finley D., (2009), Annu. Rev. Biochem., 78, 477-513
【非特許文献2】Hoeller and Dikic, (2009), Nature, 458, 438-444
【非特許文献3】Demarto and Gillette, (2007), Cell, 129, 659-662
【非特許文献4】Dahlmann, B. (2007) BCB Biochem 8, Suppl 1, S3
【非特許文献5】Schartz AL and Ciechanover A (2009) Ann Rev Pharmacol Toxicol 49, 73-96
【非特許文献6】Thrower et al. (2000), EMBO J. 19, 94-102
【非特許文献7】Verma et ah, (2002) Science, 298, 611-615
【非特許文献8】Yao and Cohen, (2002), Nature, 419, 403-407
【非特許文献9】Lam et ah, (1997), Nature, 385, 737-740
【非特許文献10】Hanna et ah, (2006), Cell, 127(7), 1401-1413
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、Usp14の阻害、プロテアソーム活性の向上、並びにタンパク質症およびタンパク質分解の増加がその治療に役立つであろう他の疾患の治療のための新規の組成物および方法を提供する。タンパク質症は別として、プロテアソーム活性の向上は、プロテアソーム活性の欠損、またはフォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病と前側頭葉型痴呆を伴う遺伝性封入体筋炎(IBMPFD)などにおける、ユビキチン−プロテアソーム経路の他の成分の活性の欠損により特徴付けられる任意の疾患の治療にとって役立つであろう(Lehman, N. L., (2009), Acta Neuropathologica, 118(3), 329-347;Weihl et al, (2007), Neuromuscular Disorders, 17, 87-87)。プロテアソーム活性を向上させることは、プロテアソーム基質が関与し、病状に寄与するが、タンパク質症の厳密な定義を満たさない疾患の治療に役立ち得る。例えば、数多くの腫瘍性タンパク質がプロテアソーム基質であり、癌を促進するそれらの能力は、プロテアソーム活性を向上させることによって、弱められるかもしれない。
【0011】
本発明のある態様は、下記に定義された式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、Usp14タンパク質を、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、細胞におけるプロテアソームによるタンパク質分解を向上させる方法であって、細胞を、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、対象におけるタンパク質症を治療または予防する方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、対象におけるTau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、対象に、IU1もしくは式I、II、III、IV、V、VI、VII、またはVIIIにより表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはそれを含む薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0017】
本発明の別の態様は、酵素的に活性なUch37を欠如し、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソームに関する。ある実施の形態において、このプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37および/またはビニルスルホン−Uch37付加物を含む。ある実施の形態において、酵素的に活性なUsp14は組換えタンパク質である。ある実施の形態において、このプロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。
【0018】
本発明の別の態様は、酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的な活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを生成する方法であって、Usp14を欠如するがUch37を含むプロテアソームを精製し、その精製されたプロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理し、精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUsp14で再構成する各工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、プロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。ある実施の形態において、プロテアソームは、HEK293細胞から精製される。ある実施の形態において、脱ユビキチン化酵素阻害剤は、ユビキチン−ビニルスルホンである。ある実施の形態において、活性なUsp14は組換え産生される。
【0019】
本発明のある態様は、Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを提供し、このプロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させ、この試験化合物がこの基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する各工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、この基質は、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能なレポーターに結合している、および/またはユビキチン依存性プロテアソーム基質である。ある実施の形態において、その基質は、Ub−AMCまたはポリユビキチン化サイクリンBである。ある実施の形態において、その基質の脱ユビキチン化は、基質の分解の阻害により示される。ある実施の形態において、そのプロテアソームは、ビニルスルホン−Uch37付加物を含む。ある実施の形態において、Usp14は組換えタンパク質である。ある実施の形態において、このプロテアソームは、ヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームである。
【0020】
本発明のある態様は、酵素的な活性なUch37を欠如し、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソーム、および使用説明書を含むキットに関する。ある実施の形態において、そのキットは、Usp14基質を含んでも差し支えない。ある実施の形態において、Usp14基質は、Ub−AMCおよび/またはポリユビキチン化サイクリンBである。
【0021】
本発明の追加の態様、実施の形態、および利点が、以下に詳しく論じられている。さらに、先の情報および以下の詳細な説明は、本発明の様々な態様および実施の形態の単なる実施例であり、請求項に記載された態様および実施の形態の性質と特徴を理解するために概要または骨子を提供することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1Aは、組換えUsp14タンパク質(精製Usp14)またはアフィニティー精製されたUsp14欠損ヒトプロテアソーム(ヒトプロテアソーム)のいずれかおよび抗Usp14抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。Usp14に相当するバンドが示されている。図1Bは、未処理(−VS)かまたはUb−VSにより処理された(+VS)いずれかの抗Uch37抗体およびUsp14欠損精製ヒトプロテアソーム(26S)を使用して行った免疫ブロット法を示す。Uch37に相当するバンドが示されている。非特異的バンドがアスタリスクで示されている。
【図2】図2Aは、市販のヒトプロテアソーム(Biomol)、未処理の精製されたUsp14欠損ヒトプロテアソーム(−Ub−VS)またはUb−VS処理済み精製Usp14欠損ヒトプロテアソーム(+Ub−VS)を使用して行ったゲル内suc−LLVY−AMC染色法(プロテアソームの存在を示す)を経験した未変性ゲル分析を示す。図2Bは、GST対照(GST)およびタンパク質サイズマーカー(マーカー)と共に、GSTタグを含むか含まない、精製した組換え野生型Usp14(Usp14−wt)または触媒的に不活性な変異体Usp14(Usp14−C114A)のクマシーブリリアントブルー(CBB)染色を示す。図2Cは、ゲル内suc−LLVY−AMC染色(上、プロテアソームの存在を示すため)またはクマシーブリリアントブルー(CBB)染色いずれかにより染色された、プロテアソームのみ(−)、GSTとプロテアソーム(GST)、GSTタグ付き野生型Usp14とプロテアソーム(GST−Usp14−wt)、GSTタグ付き触媒的に不活性な変異体Usp14とプロテアソーム(GST−Usp14−C114A)、タグの付いていない野生型Usp14とプロテアソーム(Usp14−wt)またはタグの付いていない触媒的に不活性な変異体Usp14とプロテアソーム(Usp14−C114A)のゲルシフトアッセイを示す。
【図3】図3は、Ub−VS処理済みヒトプロテアソームの存在下でのUsp14活性に関するUb−AMC加水分解アッセイの結果を示す。
【図4】図4Aは、1μMのUb−AMC、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUsp14での、Usp14およびプロテアソームによるUb−AMC加水分解の初期速度の線形動態学(R2>0.99)のプロットを示す。図4Bは、1μMのUb−AMC、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUsp14での、25分間に亘るヒトプロテアソームの存在下でのUsp14依存性Ub−AMC加水分解のミカエリス・メンテンのプロットを示す。図4Cは、4nMのUsp14、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUb−AMCでの、Usp14およびプロテアソームによるUb−AMC加水分解の初期速度の線形動態学(R2>0.99)のプロットを示す。図4Dは、4nMのUsp14、1nMのプロテアソーム、および表示の濃度のUb−AMCでの、30分間に亘るUsp14およびヒトプロテアソームの存在下での濃度依存性Ub−AMC加水分解のミカエリス・メンテンのプロットを示す。
【図5】図5は、多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)も検出する、サイクリンBに特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。この実験において、Ubn−ClbBは、26Sヒトプロテアソームのみ、ヒトプロテアソームと野生型Usp14(Usp14−wt)またはヒトプロテアソームと触媒的に不活性なUsp14(Usp14−CA)で処理し、その後、免疫ブロット法により分析した。
【図6】図6Aは、ユビキチン様ドメイン(UBL)、触媒ドメイン(CAT)、エクソン4の場所およびCys114の位置を示す、ヒトUsp14の図を示す。図6Bは、野生型Usp14(Usp14−wt)、触媒的に不活性なUsp14(Usp14−CA)、Usp14の短い形態(Usp14−SF)またはUBLドメイン欠損Usp14(Usp14−ΔUBL)いずれかと共にTauを同時発現し、表示したように、Tau、Usp14またはアクチンに特異的な抗体を使用して染色したヒト293細胞からの細胞溶解物について行った免疫ブロット法を示す。
【図7】図7は、プロテアソームアフィニティー精製の前(抽出物)または後(精製プロテアソーム)いずれかで、タグ付きhRpn11と共にFlagタグ付きUsp14の表示の形態を同時発現し、抗Flag抗体を使用して染色した293細胞からの細胞溶解物について行った免疫ブロット法を示す。表示されている場合、Ub−VSは、プロテアソーム精製の前に溶解物と共にインキュベーションした。抽出物サンプルは全体の5%を占める。アスタリスクは非特異的シグナルである。プロテアソームサブユニットRpn13は添加対照である。対照サンプルは空のベクターである。
【図8】図8Aは、Usp14触媒阻害剤の阻害剤についての高速大量大規模化合物スクリーニングの統計的プロットを示す。図8Bは、AMC消光化合物を決定するために使用した度数分布曲線(対照=下の曲線)を示す。
【図9】図9Aは、Usp14阻害剤IU1の化学構造を示す。図9Bは、(左側)IU1によるUsp14添加プロテアソーム(Usp14−Ptsm)脱ユビキチン化酵素活性の阻害(左の棒=0μM、左から2番目の棒=4μM、3番目の棒=8μM、右の棒=17μM)および(右側)IU1によるAMC蛍光の消光の欠如(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示すグラフを示す。図9Cは、(左側)IU1によるUsp14添加プロテアソーム(Usp14−Ptsm)脱ユビキチン化酵素活性の阻害(左の棒=0μM、中央の棒=8μM、右の棒=17μM)および(右側)IU1によるイソペプチダーゼT(IsoT)の阻害の欠如(左の棒=0μM、中央の棒=8μM、右の棒=17μM)を示すグラフを示す。図9Dは、ビヒクル(DMSO)、IU1またはIU1Cいずれかによりプロテアソームと複合体を形成していないUsp14の阻害の欠如を示すグラフを示す。図9Eは、ビヒクル(DMSO)またはIU1(すなわち、Usp14を欠如したプロテアソーム)いずれかによる、Ub−VSにより処理されていなかった26Sヒトプロテアソーム(Ptsm)の阻害の欠如を示すグラフを示す。
【図10】図10Aは、IU1に関する不活性対照化合物であるIU1Cの化学構造を示す。図10Bは、IU1の脱ユビキチン化酵素の阻害活性(下の円形、下の三角形)をIU1Cの脱ユビキチン化酵素の阻害活性(上の円形、上の三角形、正方形)と比較するプロットを示す。図10Cは、Tau分解を促進する上でのIU1Cの効果のなさを示す。免疫ブロット法は、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1Cにより処理し、Tauまたはアクチンいずれかに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った。図10Dは、IU1Cによる表示の脱ユビキチン化酵素の脱ユビキチン化酵素活性の阻害を示すグラフ(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示す。
【図11】図11Aは、表示の濃度のIU1により処理されたプロテアソーム結合Usp14、IsoTまたはUch37の脱ユビキチン化酵素活性を示すプロットを示す。図11Bは、IU1による表示の脱ユビキチン化酵素の脱ユビキチン化酵素活性の阻害を示すグラフ(左の棒=0μM、右の棒=17μM)を示す。
【図12】図12Aは、Usp14(80nM)と共にまたはそれを含まずにインキュベーションし、ビヒクル(DMSO)、表示の濃度でのIU1CまたはIU1のいずれかにより処理し、Usp14またはAlpha7いずれかに特異的な抗体で染色した精製済み26Sヒトプロテアソーム(約4nM)の免疫ブロット法を示す。アスタリスク(*)は、抗Usp14抗体により生じた非特異的シグナルを示す。約2倍のモル濃度過剰なUsp14を表示の化合物の不在下または存在下でプロテアソームと共にインキュベーションしたことを除いて、図12Aにおけるような免疫ブロット法を示す。
【図13】図13は、ビヒクル(対照)またはIU1により処理し、表示のラウンド数の限外濾過(スピン、左のパネル;スピンなし=左の棒、1×スピン=中央の棒、3×スピン=右の棒)、またはスピンカラムゲル濾過(右のパネル;対照=左の棒、IU1=右の棒)を行ったプロテアソーム結合Usp14の脱ユビキチン化活性を示すグラフ。
【図14】図14Aは、45分間に亘り表示の濃度のUI1で処理したプロテアソーム結合Usp14のIC50曲線を示すプロットを示す。図14Bは、30分間に亘り表示の濃度のUI1で処理したプロテアソーム結合Usp14のIC50曲線を示すプロットを示す。
【図15】図15は、単独で、野生型Usp14(Usp14−wt)、IU1、および/または表示のプロテアソーム阻害剤と共に、4nMの26Sヒトプロテアソームで処理したサイクリンBおよび多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。この免疫ブロット法は、長い曝露(長曝)または短い曝露(短曝)いずれかを行った。
【図16】図16Aは、ビヒクルまたはUI1(34μM)のいずれかと共に、単独または野生型Usp14(60nM)との組合せのいずれかで、4nMの26Sヒトプロテアソームで処理したサイクリンBおよび多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClbB)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。図16Bは、ビヒクルまたはUI1(75μM)のいずれかと共に、単独または野生型Usp14(75nM)との組合せのいずれかで、5nMの26Sヒトプロテアソームで処理したT7タグ付きSiclPYおよび多重ユビキチン化SiclPY(Ubn−SiclPY)に特異的な抗体を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【図17】図17は、IU1により処理していない(UI1なし)、もしくは1時間または24時間に亘りIU1により処理したMEF細胞からの溶解物の液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)トレースのイオン計数量を示すプロットを示す。下のパネルは、1μg/mLでのIU1標準液についてのイオン計数量を示す。
【図18】図18は、様々な濃度のIU1標準液のLC/MSトレースのイオン計数量を示すプロットを示す。
【図19】図19は、255nmと305nmでの吸収極大(左)を示すIU1のUVスペクトルおよび300nmでの、細胞中へのIU1の内在化の時間依存性を示すHPLCクロマトグラムを示す。
【図20】図20Aは、UV吸収アッセイにより検出された細胞数による正規化後のMEF細胞中のIU1濃度を示すグラフを示す。図20Bは、UV吸収アッセイにより検出された細胞数による正規化後の293細胞中のIU1濃度を示すグラフを示す。
【図21】図21Aは、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1により処理し、Tau、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図21Bは、TauとUsp14を同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1により処理したMEF細胞中のRau RNAレベルの定量RT−PCR分析の結果を示す。
【図22】図22Aは、TDP43flagとUsp14を同時発現し、表示の時間数に亘り75μMのIU1で処理し、TDP43flag、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Bは、Usp14と共にAtx3−Q80またはAtx3−Q22いずれかを同時発現し、0、50または100μMのIU1で処理し、Atx3またはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Cは、Usp14と共に野生型GFAP(GFAP−wt)、K63Q変異体FGAP(GFAP−K63Q)またはE210K GFAP(GFAP−E210K)いずれかを同時発現し、0、25、50または100μMのIU1で処理し、GFAPまたはアクチンに特異的な抗体で染色したMEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図22Dは、TDP−43とUsp−14を同時発現し、各表示時間に亘り75μMのIU1で処理したMEF細胞中のTDP−43 RNAレベルの定量RT−PCR分析の結果を示す。
【図23】図23Aは、ビヒクルまたは75μMのIU1と共にプレインキュベーションし、表示のように、63μMのメナジオンで処理したMEF細胞のDNPH処理済み溶解物に行った、抗DNPHまたは抗アクチン抗体で染色した免疫ブロット法を示す。図23Bは、4時間に亘り、IU1(75μM)またはプロテアソーム阻害剤(20μMのMG132、10μMのMG132SP−341)と共にプレインキュベーションし、次いで、60分間に亘りメナジオン(300μM)で処理したHEK293細胞のDNPH処理済み溶解物に行った、抗DNPHまたは抗アクチン抗体で染色した免疫ブロット法を示す。
【図24】図24は、48時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図25】図25Aは、6時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。図25Bは、12時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。図25Cは、24時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価されたMEF細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図26】図26Aは、6時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。図26Bは、12時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。図26Cは、24時間に亘る表示の濃度のIU1による処理の際に、MTTアッセイにより評価された293およびHeLa細胞の生存率を示すプロットを示す。
【図27】図27Aは、6時間に亘り100μMのIU1または対照により処理されたTUNEL染色MEF細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。図27Bは、図31Aに示されるTUNEL染色分析の定量化を示すグラフを示す。
【図28】図28は、表示の期間に亘り、表示の濃度のビヒクルまたはIU1で処理されたMEF細胞の培養密度パーセントを示すプロットを示す。
【図29】図29は、本発明の化合物に対する1つの手法を示す。
【図30】図30は、細胞の生存率、詳しくは、酸化的ストレスの際の細胞の生存へのIU1の影響に関するMTTアッセイを示すグラフを示す。実験は、メナジオン(用量依存性、4時間)およびIU1(50μM、6時間)についてHEK293細胞に行った。MEF細胞も同様にこの影響を示す。メナジオンに関するIC50への影響はほぼ4倍である。
【図31−1】図31は、いくつかの阻害パーセントおよびIC50値を含む、本発明の選択した化合物の表を示す。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−2】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−3】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−4】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−5】図31の続き。阻害パーセントは8μMで測定した。
【図31−6】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−7】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−8】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−9】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−10】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−11】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−12】図31の続き。阻害パーセントは4μMで測定した。
【図31−13】図31の続き。阻害パーセントは17μMで測定した。
【図31−14】図31の続き。阻害パーセントは17μMで測定した。
【図31−15】図31Aは、tauとLacZを同時発現し、0、25、50、75または100μMのIU1で処理し、tau、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図31Bは、TDP−43flagとLacZを同時発現し、表示した時間数に亘り75μMのIU1で処理し、TDP−43flag、LacZまたはアクチンに特異的な抗体で染色したUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【図32】図32は、tauとUb−非依存性プロテアソーム基質cODC−EGFPを同時発現し、6時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションされ、tau、cODC−EGFPまたはアクチンに特異的な抗体で染色された野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。プロテアソーム阻害剤(30μMのMG132、10μMのPS−341)は、溶解の4時間前に処理した。
【図33】図33は、HAタグ付きUbおよび/またはFlagタグ付きTDP−43を同時発現し、6時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションされ、Flag−TDP−43、HA−Ub、またはアクチンに特異的な抗体で染色された野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。プロテアソーム阻害剤(20μMのMG132、10μMのPS−341)は、溶解の4時間前に加えた。矢印は、おそらくユビキチン化されたTDP−43種を示す。HCは、抗体の重鎖を示す。
【図34】図34Aは、6時間に亘りIU1(0、25、50、75、または100μM)で処理し、Ub、アクチン、CPサブユニットα7、またはRPサブユニットmRPT5に特異的な抗体で染色した野生型またはUsp14-/-MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。図34Bは、図34Aにおけるユビキチンレベルの定量化を示す。野生型またはUsp14-/-MEF細胞からのポリユビキチンおよびモノユビキチンレベルは、様々な濃度のIU1の処理後に定量化した。Ubシグナルは、内因性アクチンのシグナルに対して正規化した。定量化は、フイルム画像のデンシトメトリーによって行った(左の棒=ポリUB(+/+MEF);左から2番目の棒=ポリUb(Usp14-/-MEF);3番目の棒=モノUb(+/+MEF);右の棒=モノUb(Usp14-/-MEF))。
【図35】図35Aは、Ub−AMCの濃度とは関係なく観察されるUSP14に対するIU1の特異性を示す。より低濃度のUb−AMCを使用したことを除いて、Ub−AMC加水分解のアッセイは、図11Bにおけるように行った(左の棒=0μM;右の棒=17μM)。図35Bは、この研究における脱ユビキチン化酵素のUb−AMCに関するKM値の要約を示す。選択性アッセイに使用したDUBのKM値を文献から得た。未知のKM値は、表示したように、この研究で決定した。問題の基質のKMと比べて、基質が低濃度であるときに、DUBアッセイは、阻害に対して最も敏感であるはずなので、これらの値は有意である。CDは、触媒ドメインを示す。
【図36】図36は、検出可能な遅延期間なく、IU1が、プロテアソーム関連USP14活性を阻害することを示す。2.5nMのヒトプロテアソームを30nMの組換えUSP14タンパク質と混合した。次いで、1μMのUb−AMCを添加することによって、反応を開始した。30分後、そのサンプルにIU1(100μM)またはビヒクル(DMSO)を加えた。
【図37】図37は、長期間のインキュベーション(5および8時間)を試験したことを除いて、図13を確証する。USP14活性パーセントは、26Sペプチダーゼ活性(すなわち、LLVY−AMC加水分解)に対して正規化した。IU1を100μMまで加えた(左の棒=DMSO;右の棒=IU1)。
【図38】図38は、ADPの存在下で精製し(ADPprep)、ADPの存在下でアッセイを行ったヒトプロテアソームに行ったインビトロ鎖トリミングアッセイを示す。ヒトサイクリンBに特異的な抗体を使用して、免疫ブロット法を行った(CCNB)。Ub−AMC加水分解データから予測されるように、IU1は、約5μMで、鎖のトリミングの阻害に効果的である。
【図39】図39は、IU1は、USP14−CAの存在下でサイクリンBの分解には影響しないことを示す。アッセイは、図5におけるように行った。
【図40】図40Aは、IU1の1H−NHR分光分析データを示す。図40Bは、IU1のLC/MS分析を示す。TICは、全イオン計数量を示す。SPCは、表示の保持時間に関するピークから抽出した共有ピーク計数を示す。
【図41】図41Aは、IU1Cの1H−NHR分光分析データを示す。図41Bは、IU1CのLC/MS分析を示す。TICは、全イオン計数量を示す。SPCは、表示の保持時間に関するピークから抽出した共有ピーク計数を示す。
【図42】図42Aは、野生型MEF細胞からの内在化IU1の急激な放出を示すグラフを示す。野生型MEFを1時間に亘り50μMのIU1と共にインキュベーションした後、培養培地を、IU1を含まない新しい培地と交換した。内在化IU1を表示の時間でモニタし、その濃度を、UV吸光度アッセイにより検出されるように、細胞数により正規化した。図42Bは、HEK293細胞の血清含有培地中で1時間から48時間までのIU1の比較濃度を示す。図42Cは、Usp14-/-MEF細胞の血清含有培地中で1時間から48時間までのIU1の比較濃度を示す。
【図43】図43Aは、野生型MEF中のIU1処理後のtauレベルの定量分析を示す。定量化は、Odysseyイメージングシステムを使用して、赤外染料結合二次抗体により行った。tauシグナル強度を内因性アクチンの強度に対して正規化し、相対量が示されている。図43Bは、Usp14-/-MEF中のIU1処理後のtauレベルの定量分析を示す。定量化は、図43Aにおけるように行った。
【図44】図44Aは、一過性発現されたmCherry−NBR1(上の列)の免疫蛍光シグナルが、野生型MEF中の6時間に亘る、オートリソソーム形成阻害剤であるバフィロマイシンA1(BafA1)200μMによる処理後に著しく増加したことを示す。図44Bは、IU1によるtau分解の刺激が自食作用により媒介されないことを示す。野生型MEF細胞に、tauを発現するプラスミドを移入し、次いで、6時間に亘り、200μMのBafA1および/または75μMのIU1で処理し、Odyssey赤外イメージングシステムを使用して、SDS−PAGE/免疫ブロット法によって分析した。図44Cは、Odysseyソフトウェアを使用して、図44Bに行ったような3つの独立した実験(平均±SD)からの正規化tauタンパク質レベルの定量化を示す。
【図45−1】図45Aは、IU1処理がプロテアソームの健全性に影響しないことを示す。6時間のIU1処理(100μM)前後の全細胞抽出物(50μg/レーン)をnative PAGEによって分離し、蛍光ペプチド基質によるゲル内活性染色(LLVY−AMC)、またはサブユニットα6に特異的な抗体による免疫ブロット法いずれかを使用して視覚化した。PR2−CPおよびRP−CPは、26Sプロテアソームの別個の形態を示す。図45Bは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるPsmb5遺伝子の転写を誘発しないことを示す。ネズミPsmb5プロモーターを含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子(−kbから0kb)を、野生型およびUsp14-/-MEF中で一過性発現し、8時間に亘る25または50μMのIU1のインキュベーション後に、プロモーター活性を評価した。ルシフェラーゼ活性の正規化について、プロモーターを含まないpGL3プラスミドを使用した対照実験を行った。値は、3つの独立した実験からの平均±SDである。RLUは、相対発光量を示す。
【図45−2】図45Cは、IU1処理は、ユビキチン遺伝子であるUbBの転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。図45Dは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるα6の転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。図45Eは、IU1処理が、プロテアソームサブユニットであるα7の転写を誘発しないことを示す。6時間に亘る漸増する用量のIU1とのインキュベーション後に、+/+(左のパネル)およびUsp14-/-MEF(右)から全mRNAを使用して、定量RT−PCRを行った。
【図46】図46Aは、細胞の生存率、詳しくは、酸化的ストレスの際の細胞の生存へのIU1Cの影響に関するMTTアッセイを示すグラフを示す。実験は、メナジオン(用量依存性、4時間)およびIU1C(50μM、6時間)についてHEK293細胞に行った。図46Bは、野生型MEF細胞中の内在化IU1C濃度を示すグラフを示す。50μMのIU1Cの表示の時間コースの処理後の、IU1CレベルをLC/MSにより測定した。図示された濃度は、UV吸光度アッセイによる検出したように細胞数により正規化した。図46Cは、293細胞中の内在化IU1C濃度を示すグラフを示す。50μMのIU1Cの表示の時間コースの処理後の、IU1CレベルをLC/MSにより測定した。図示された濃度は、UV吸光度アッセイによる検出したように細胞数により正規化した。図46Dは、野生型MEF細胞中の内在化IU1Cの急激な放出を示すグラフを示す。実験は、図42Aにおけるように行った。図46Eは、293細胞中の内在化IU1Cの急激な放出を示すグラフを示す。実験は、図42Aにおけるように行った。
【図47】図47は、Tauを一過性発現し、0、20、40、60または80μMの、より強力なIU1誘導体であるIU1−47で処理した野生型MEF細胞の溶解物を使用して行った免疫ブロット法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
タンパク質症は、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質の凝集から生じる疾病および疾患の部類である。しばしば、おそらくは典型的に、そのようなタンパク質は、プロテアソーム媒介分解によって細胞から除去される。しかしながら、タンパク質症の場合には、プロテアソームは、有害なタンパク質の全てを除去し、病原性凝集体の形成を防ぐのに十分に効率的には働かない。
【0024】
ここに示すように、正常な増殖条件下では、プロテアソームは、Usp14による基質結合ユビキチン鎖のトリミングによってもたらされる持続性抑制に曝される。ユビキチン鎖のトリミングは、プロテアソームによる認識を可能にするシグナル(ユビキチン鎖)をプロテアソーム基質から除去するので、プロテアソームを阻害する;したがって、プロテアソーム結合基質は、分解されずに、逃げることができる。その結果、Usp14による鎖のトリミングの阻害剤は、プロテアソームによるタンパク質分解を促進させる。それゆえ、この阻害機構の結果として、哺乳類プロテアソーム経路は、Usp14により部分的に阻害されるので、十分な効率では通常作動しない。
【0025】
本発明の方法および組成物は、Usp14の脱ユビキチン化酵素の活性を阻害することによって、プロテアソーム活性を向上させる。ここに示したように、この向上したプロテアソーム活性により、ヒトの疾患に関連するものを含む、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質を除去する細胞の能力が増す。したがって、本発明の方法および組成物は、プロテアソーム機能の向上およびタンパク質症の治療に有用である。
【0026】
定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語および句が、以下と明細書全体に亘り定義される。
【0027】
単数形は、1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)の対象を称する。一例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0028】
明細書および特許請求の範囲に使用されている句「および/または」は、そのように接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には共に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解するものとする。「および/または」と共に列記された多数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように接続された要素の「1つ以上」と解釈するものとする。他の要素は、「および/または」の節により具体的に特定された要素以外に、それら具体的に特定された要素に関連していようとなかろうと、必要に応じて存在してもよい。それゆえ、非限定的例として、「含む(comprising)」などの制約のない原語と共に使用された場合、「Aおよび/またはB」への言及は、ある実施の形態において、Aのみ(B以外の要素を必要に応じて含む);別の実施の形態において、Bのみ(A以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施の形態において、AとBの両方(他の要素を必要に応じて含む);などを称することができる。
【0029】
明細書および特許請求の範囲に使用したように、「または」は、先に定義された「および/または」と同じ意味を有するものとし理解するものとする。例えば、リストにおいて項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的である;すなわち、多数の要素またはそのリストの少なくとも1つだけでなく、その複数も、並びに、必要に応じて、追加の列記されていない項目も含むものと解釈する。「たった1つの」または「正確に1つの」または請求項に使用されたときの、「からなる」などの、そうではないと明白に示した用語のみ、多数の要素またはそのリストの内の正確に1つの要素を含むことを称する。一般に、ここに用いたように、「または」という用語は、「いずれか」、「1つの」、「たった1つの」、または「正確に1つの」などの排他性の用語が先行したときに、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈する。「から実質的なる」は、請求項に使用した場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0030】
明細書および特許請求の範囲に使用したように、1つ以上の要素のリストを参照して、「少なくとも1つ」という句は、要素のリストにおけるいずれの1つ以上の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味するものであって、要素のリストに具体的に列記された各要素と全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含むものでなく、また要素のリストにおける要素の任意の組合せを排除するものではないと理解すべきである。この定義により、具体的に特定されたそれらの要素と関連しようとなかろうと、「少なくとも1つ」という句が称する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、要素が必要に応じて存在してもよいことが可能になる。それゆえ、非限定的例として、「AおよびBの少なくとも一方」(または同等に、「AまたはBの少なくとも一方」または同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも一方」)は、ある実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのA、ここでBは存在しない(B以外の要素を必要に応じて含む);別の実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのB、ここでAは存在しない(A以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施の形態において、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのA、および必要に応じて複数を含む少なくとも1つのB(他の要素を必要に応じて含む);などを称することができる。
【0031】
そうではないとはっきりと示さない限り、複数の工程または行為を含む請求項に記載された任意の方法において、その方法の工程または行為の順序は、その方法の工程または行為が列挙されている順序に必ずしも制限されないことが理解されよう。
【0032】
特許請求の範囲において、並びに先の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」などの全ての移行句は、制限のない、すなわち、以下に限られないが、以下を含むことを意味するものと理解すべきである。「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許庁マニュアルの特許審査手続き、セクション2111.03に述べられているように、それぞれ、制限または半制限の移行句である。
【0033】
各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、その表現が任意の構造で複数回見られる場合、同じ構造においてどこかの定義とは関係ないことが意図されている。
【0034】
「置換」または「による置換」は、そのような置換が、置換される原子と置換基の許される価数にしたがうものであり、その置換により、安定な化合物、例えば、転位、環化、除去、または他の反応によるものなどの変換を瞬時に経験しない化合物が得られるという暗黙の条件を含むことが理解されよう。
【0035】
「置換された」という用語も、有機化合物の全ての許容される置換基を含むと考えられる。広い態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式および環式、分岐および分岐してない、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族の置換基を含む。説明のための置換基の例としては、下記に記載されたものが挙げられる。許容される置換基は、1つ以上であってよく、適切な有機化合物について同じであっても異なっていてもよい。本発明の目的に関して、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数を満足する、ここに記載された有機化合物の任意の許容される置換基を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって、決して制限されることを意図するものではない。
【0036】
「低級」という用語は、以下に列記される基のいずれに付加されたものでも、その基が7未満の炭素(すなわち、6以下の炭素)を含有することを示す。例えば、「低級アルキル」は、1〜6の炭素を含有するアルキル基を称し、「低級アルケニル」は、2〜6の炭素を含有するアルケニル基を称する。
【0037】
「飽和」という用語は、ここに用いたように、炭素−炭素二重結合も、炭素−炭素三重結合も有さない化合物および/または基に関する。
【0038】
「不飽和」という用語は、ここに用いたように、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する化合物および/または基に関する。
【0039】
「脂肪族」という用語は、ここに用いたように、直鎖または分岐鎖であって、環式ではない(「非環式」または「鎖式」基としても知られている)化合物および/または基に関する。
【0040】
「環式」という用語は、ここに用いたように、1つの環、または2つ以上の環(例えば、スピロ、縮合、架橋)を有する化合物および/または基に関する。
【0041】
「芳香族」という用語は、nが整数の絶対値である、4n+2の電子を含有する環式に結合した分子部分によって特徴付けられる平面または多環式構造を称する。縮合環、すなわち結合した環を含有する芳香族分子も、二環式芳香族環と称される。例えば、炭化水素環構造にヘテロ原子を含有する二環式芳香族環は、二環式ヘテロアリール環と称される。
【0042】
「炭化水素」という用語は、ここに用いたように、水素と炭素のみからなる有機化合物を称する。
【0043】
本発明の目的に関して、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87の表紙裏にあるCAS式の元素の周期表にしたがって特定される。
【0044】
「ヘテロ原子」という用語は、ここに用いたように、当該技術分野において認識されており、炭素や水素以外の任意の元素の原子を称する。説明のためのヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンが挙げられる。
【0045】
「アルキル」という用語は、1から12の炭素原子を含有する脂肪族または環式炭化水素ラジカルを意味する。アルキルの代表例としては、以下に限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−メチルシクロペンチル、および1−シクロヘキシルエチルが挙げられる。
【0046】
「置換アルキル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリルおよびシリルオキシからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により置換された、1から12の炭素原子を含有する脂肪族または環式炭化水素ラジカルを意味する。
【0047】
「アルケン」という用語は、当該技術分野において認識されており、ここに用いたように、先に定義されたアルキル基の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0048】
「アルケニル」という用語は、ここに用いたように、2から10の炭素を含有し、2つの水素原子の除去により形成される炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ含有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表例としては、以下に限られないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル、および3−デセニルが挙げられる。
【0049】
「アルキニル」という用語は、ここに用いたように、2から10の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例としては、以下に限られないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、および1−ブチニルが挙げられる。
【0050】
「カルボシクリル」という用語は、ここに用いたように、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和結合を有する、3から12の炭素原子を含有する単環式または多環式(たとえば、二環式、三環式など)炭化水素を意味し、誤解を避けるために、不飽和の程度により、芳香環系(例えば、フェニル)が生じることはない。カルボシクリル基の例としては、1−シクロプロピル、1−シクロブチル、2−シクロペンチル、1−シクロペンテニル、3−シクロヘキシル、1−シクロヘキセニルおよび2−シクロペンテニルメチルが挙げられる。
【0051】
「ヘテロシクリル」という用語は、ここに用いたように、完全に飽和であり得るか、または1つ以上の不飽和ユニットを含有し得、誤解を避けるために、不飽和の程度により、芳香環系が生じることはなく、窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子を少なくとも1つ含む3から12の原子を有する、以下に限られないが、単環式、二環式(例えば、縮合およびスピロ環式)および三環式の環を含む非芳香族の環系を含む。本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない例示の目的のために、以下は複素環の例である:アゼピン、アゼチジニル、モルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、キヌクリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロフラン。本発明のヘテロシクリル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0052】
「N−ヘテロシクリル」という用語は、ここに用いたように、N−ヘテロシクリル部分が親の部分にそれを通じて結合した窒素原子を少なくとも1つ有する、ここに定義されたヘテロシクリルの部分集合である。代表例としては、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ヘキサヒドロピリミジン−1−イル、モルホリン−1−イル、1,3−オキサジナン−3−イルおよび6−アザスピロ[2.5]オクト−6−イルが挙げられる。ヘテロシクリル基と同様に、本発明のN−ヘテロシクリル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0053】
「アリール」という用語は、ここに用いたように、フェニル基、ナフチルまたはアントラセニル基を意味する。本発明のアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換されていて差し支えない。
【0054】
「アリーレン」という用語は、当該技術分野において認識されており、先に定義されたように、アリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0055】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたアルキル基を通じて親分子部分に付加された、ここに定義されたアリール基を意味する。アラルキルの代表例としては、以下に限られないが、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、および2−ナフト−2−イルエチルが挙げられる。
【0056】
「ビアリール」という用語は、ここに用いたように、アリールおよびヘテロアリールがここに定義されたものであり、アリール置換アリール、アリール置換ヘテロアリール、ヘテロアリール置換アリールまたはヘテロアリール置換ヘテロアリールを意味する。
【0057】
「ヘテロアリール」という用語は、ここに用いたように、以下に限られないが、単環式、二環式および三環式の環を含む芳香族環系を含み、窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子を少なく1つ含む3から12の原子を有する。本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない例示の目的で:アザインドリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インドリル、インドリニル、インダゾリル、イソインドリニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、キノリニル、キナゾリニル、トリアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、テトラヒドロインドリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリルまたはトロパニル。本発明のヘテロアリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、フルオロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、スルホン酸、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アルコキシスルホニル、ハロアルコキシスルホニル、フルオロアルコキシスルホニル、アルケニルオキシスルホニル、アルキニルオキシスルホニル、アミノスルホニル、スルフィン酸、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、フルオロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アルコキシスルフィニル、ハロアルコキシスルフィニル、フルオロアルコキシスルフィニル、アルケニルオキシスルフィニル、アルキニルオキシスルフィニル、アミノスルフィニル、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ハロアルキルスルホニルオキシ、フルオロアルキルスルホニルオキシ、アルケニルスルホニルオキシ、アルキニルスルホニルオキシ、ハロアルコキシスルホニルオキシ、フルオロアルコキシスルホニルオキシ、アルケニルオキシスルホニルオキシ、アルキニルオキシスルホニルオキシ、アルキルスルフィニルオキシ、ハロアルキルスルフィニルオキシ、フルオロアルキルスルフィニルオキシ、アルケニルスルフィニルオキシ、アルキニルスルフィニルオキシ、アルコキシスルフィニルオキシ、ハロアルコキシスルフィニルオキシ、フルオロアルコキシスルフィニルオキシ、アルケニルオキシスルフィニルオキシ、アルキニルオキシスルフィニルオキシ、アミノスルフィニルオキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、アジド、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシおよびアルキレン部分(例えば、メチレン)を通じてヘテロシクリル基に結合した前記置換基の任意のものからなる群より独立して選択される0、1、2、3、4または5の置換基により置換されている。
【0058】
「ヘテロアリーレン」という用語は、当該技術分野において認識されており、ここに用いたように、先に定義されたヘテロアリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。
【0059】
「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたアルキル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたヘテロアリールを意味する。ヘテロアリールアルキルの代表例としては、以下に限られないが、ピリジン−3−イルメチルおよび2−(チエン−2−イル)エチルが挙げられる。
【0060】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0061】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つの水素が、ここに定義されたハロゲンにより置換された、ここに定義されたアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例としては、以下に限られないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および2−クロロ−3−フルオロペンチルが挙げられる。
【0062】
「フルオロアルキル」という用語は、全ての水素がフッ素により置換された、ここに定義されたアルキル基を意味する。
【0063】
「ヒドロキシ」という用語は、ここに用いたように、−OH基を意味する。
【0064】
「アルコキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルコキシの代表例としては、以下に限られないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシが挙げられる。「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ」、「カルボシクリルオキシ」、および「ヘテロシクリルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0065】
「ハロアルコキシ」という用語は、ここに用いたように、少なくとも1つの水素が、ここに定義されたハロゲンにより置換された、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの代表例としては、以下に限られないが、クロロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、およびペンタフルオロエトキシが挙げられる。「フルオロアルキルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0066】
「アリールオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリール基を意味する。「ヘテロアリールオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたヘテロアリール基を意味する。「ヘテロアリールオキシ」という用語も同様に定義される。
【0067】
「アリールアルコキシ」または「アリールアルキルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリールアルキル基を意味する。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語も同様に定義される。アリールオキシおよびヘテロアリールアルコキシの代表例としては、以下に限られないが、2−クロロフェニルメトキシ、3−トリフルオロメチルフェニルエトキシ、および2,3−ジメチルピリジニルメトキシが挙げられる。
【0068】
「スルフヒドリル」または「チオ」という用語は、ここに用いたように、−SH基を意味する。
【0069】
「アルキルチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルチオの代表例としては、以下に限られないが、メチルチオ、エチルチオ、tert−ブチルチオ、およびヘキシルチオが挙げられる。「ハロアルキルチオ」、「フルオロアルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」、「カルボシクリルチオ」、および「ヘテロシクリルチオ」という用語も同様に定義される。
【0070】
「アリールチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリール基を意味する。「ヘテロアリールチオ」という用語も同様に定義される。
【0071】
「アリールアルキルチオ」または「アラルキルチオ」という用語は、ここに用いたように、硫黄を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアリールアルキル基を意味する。「ヘテロアリールアルキルチオ」という用語も同様に定義される。
【0072】
「スルホニル」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)2−基を称する。
【0073】
「スルホン酸」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)2OHを称する。
【0074】
「アルキルスルホニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたスルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルスルホニルの代表例としては、以下に限られないが、メチルスルホニルおよびエチルスルホニルが挙げられる。「ハロアルキルスルホニル」、「フルオロアルキルスルホニル」、「アルケニルスルホニル」、「アルキニルスルホニル」、「カルボシクリルスルホニル」、「ヘテロシクリルスルホニル」、「アリールスルホニル」、「アラルキルスルホニル」、「ヘテロアリールスルホニル」および「ヘテロアラルキルスルホニル」という用語も同様に定義される。
【0075】
「アルコキシスルホニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたスルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。アルコキシスルホニルの代表例としては、以下に限られないが、メトキシスルホニル、エトキシスルホニルおよびプロポキシスルホニルが挙げられる。「ハロアルコキシスルホニル」、「フルオロアルコキシスルホニル」、「アルケニルオキシスルホニル」、「アルキニルオキシスルホニル」、「カルボシクリルオキシスルホニル」、「ヘテロシクリルオキシスルホニル」、「アリールオキシスルホニル」、「アラルキルオキシスルホニル」、「ヘテロアリールオキシスルホニル」および「ヘテロアラルキルオキシスルホニル」という用語も同様に定義される。
【0076】
トリフリル、トシル、メシル、およびノナフリルという用語は、当該技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、およびノナフルオロブタンスルホニル基を称する。トリフラート、トシラート、メシラート、およびノナフラートという用語は、当該技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホン酸エステル官能基、p−トルエンスルホン酸エステル官能基、メタンスルホン酸エステル官能基、およびノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基並びにそれぞれその基を含有する分子を称する。
【0077】
「アミノスルホニル」という用語は、ここに用いたように、スルホニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアミノ基を意味する。
【0078】
「スルフィニル」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)−基を称する。スルフィニル基は、スルホニル基について先に定義されている。「スルフィン酸」という用語は、ここに用いたように、−S(=O)OHを称する。
【0079】
「オキシ」という用語は、−O−基を称する。
【0080】
「カルボニル」という用語は、ここに用いたように、−C(=O)−基を意味する。
【0081】
「チオカルボニル」という用語は、ここに用いたように、−C(=S)−基を意味する。
【0082】
「ホルミル」という用語は、ここに用いたように、−C(=O)H基を意味する。
【0083】
「アルキルカルボニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたカルボニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキル基を意味する。アルキルカルボニルの代表例としては、以下に限られないが、アセチル、1−オキシプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチル、および1−オキソペンチルが挙げられる。「ハロアルキルカルボニル」、「フルオロアルキルカルボニル」、「アルケニルカルボニル」、「アルキニルカルボニル」、「カルボシクリルカルボニル」、「ヘテロシクリルカルボニル」、「アリールカルボニル」、「アラルキルカルボニル」、「ヘテロアリールカルボニル」、および「ヘテロアラルキルカルボニル」も同様に定義される。
【0084】
「カルボキシ」という用語は、ここに用いたように、−CO2H基を意味する。
【0085】
「アルコキシカルボニル」という用語は、ここに用いたように、ここに定義されたカルボニル基を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの代表例としては、以下に限られないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、およびtert−ブトキシカルボニルが挙げられる。「ハロアルコキシカルボニル」、「フルオロアルコキシカルボニル」、「アルケニルオキシカルボニル」、「アルキニルオキシカルボニル」、「カルボシクリルオキシカルボニル」、「ヘテロシクリルオキシカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、「アラルキルオキシカルボニル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」、および「ヘテロアラルキルオキシカルボニル」という用語も同様に定義される。
【0086】
「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルオキシの代表例としては、以下に限られないが、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、およびtert−ブチルカルボニルオキシが挙げられる。「ハロアルキルカルボニルオキシ」、「フルオロアルキルカルボニルオキシ」、「アルケニルカルボニルオキシ」、「アルキニルカルボニルオキシ」、「カルボシクリルカルボニルオキシ」、「ヘテロシクリルカルボニルオキシ」、「アリールカルボニルオキシ」、「アラルキルカルボニルオキシ」、「ヘテロアリールカルボニルオキシ」、および「ヘテロアラルキルカルボニルオキシ」という用語も同様に定義される。
【0087】
「アルキルスルホニルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアルキルスルホニル基を意味する。「ハロアルキルスルホニルオキシ」、「フルオロアルキルスルホニルオキシ」、「アルケニルスルホニルオキシ」、「アルキニルスルホニルオキシ」、「カルボシクリルスルホニルオキシ」、「ヘテロシクリルスルホニルオキシ」、「アリールスルホニルオキシ」、「アラルキルスルホニルオキシ」、「ヘテロアリールスルホニルオキシ」、「ヘテロアラルキルスルホニルオキシ」、「ハロアルコキシスルホニルオキシ」、「フルオロアルコキシスルホニルオキシ」、「アルケニルオキシスルホニルオキシ」、「アルキニルオキシスルホニルオキシ」、「カルボシクリルオキシスルホニルオキシ」、「ヘテロシクリルオキシスルホニルオキシ」、「アリールオキシスルホニルオキシ」、「アラルキルオキシスルホニルオキシ」、「ヘテロアリールオキシスルホニルオキシ」および「ヘテロアラルキルオキシスルホニルオキシ」も同様に定義される。
【0088】
「アミノ」という用語は、ここに用いたように、−NH2およびその置換誘導体を称し、この誘導体において、水素の一方または両方が、先に定義された、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボシクリルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニルおよびスルホニルおよびスルフィニル基からなる群より選択される置換基により独立して置換されている;または両方の水素がアルキレン基により置換されている(窒素を含有する環を形成するために)。代表例としては、以下に限られないが、メチルアミノ、アセチルアミノ、およびジメチルアミノが挙げられる。
【0089】
「アミド」という用語は、ここに用いたように、カルボニルを通じて親の分子部分に結合した、ここに定義されたアミノ基を意味する。
【0090】
「シアノ」という用語は、ここに用いたように、−C≡N基を意味する。
【0091】
「ニトロ」という用語は、ここに用いたように、−NO2基を意味する。
【0092】
「アジド」という用語は、ここに用いたように、−N3基を意味する。
【0093】
「ホスフィニル」という用語は、ここに用いたように、−PH3およびその置換誘導体を含み、この誘導体において、水素の1つ、2つまたは3つが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、およびアミノからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。
【0094】
「ホスホリル」という用語は、ここに用いたように、−P(=O)OH2およびその置換誘導体を称し、この誘導体において、水素の一方または両方が、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、およびアミノからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。
【0095】
「シリル」という用語は、ここに用いたように、H3Si−およびその置換誘導体を含み、この誘導体において、水素の1つ、2つまたは3つが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルからなる群より選択される置換基により独立して置換されている。代表例としては、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、および[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)が挙げられる。
【0096】
「シリルオキシ」という用語は、ここに用いたように、酸素原子を通じて親の分子に結合した、ここに定義されたシリル基を意味する。
【0097】
Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、およびMsの略語は、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当該技術分野における有機化学者により使用されている略語のより包括的な総覧が、Journal of Organic Chemistryの各巻の第一版に見られる;この総覧は、典型的に、Standard List of Abbreviationsと題する表に示されている。
【0098】
ここに用いたように、「投与する」という用語は、対象に薬剤または組成物を提供することを意味し、以下に限られないが、医療専門家による投与および自己投与を含む。
【0099】
ここに用いたように、「神経変性疾患」および「神経変性疾病」という句は、神経病理学などの、中枢神経系および末梢神経系の様々な疾病および/または疾患を称し、以下に限られないが、パーキンソン病、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脱神経性萎縮症、耳硬化症、脳梗塞、痴呆、多発性硬化症、ハンチントン病、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連脳症、および神経細胞毒性および細胞死に関連する他の疾病を含む。
【0100】
ここに用いたように、「薬学的に許容される」という句は、信頼できる医療判断にしたがって、妥当な便益/リスク比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題や合併症なく、ヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに適した、薬剤、化合物、材料、組成物、および/または投与形態を称する。
【0101】
ここに用いたように、「薬学的に許容される担体」という句は、ある作用物質を、ある器官または体の部分から、別の器官または体の部分に搬送するまたは輸送するのに関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒被包材料などの、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、配合物の他の成分に適合し、患者にとって有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として機能できる材料のいくつかの例としては、(1)乳糖、ブドウ糖およびショ糖などの糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび座薬用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギニン酸;(16)発熱物質無しの水;(17)生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;および(22)薬剤配合物に使用される他の非毒性の相溶性物質が挙げられる。
【0102】
ここに用いたように、「薬学的に許容される塩」という句は、化合物の比較的非毒性である無機塩および有機塩を称する。
【0103】
ここに用いたように、「タンパク質症」という句は、異常なタンパク質またはミスフォールドタンパク質の蓄積および/または凝集に関連する任意の疾病を称する。タンパク質症は神経変性疾患であることが多いが、タンパク質症は、肝臓、筋肉および心臓を含む他の組織の疾患も含み、いくつかの癌も含む。
【0104】
ここに用いたように、「対象」という用語は、治療および両方のために選択されたヒトまたはヒトではない動物を意味する。
【0105】
ここに用いたように、「を有することが疑われる対象」という句は、ある疾病または健康状態の1つ以上の臨床指標を示す対象を意味する。ある実施の形態において、その疾病または健康状態は、癌、神経変性疾患または膵炎である。
【0106】
ここに用いたように、「その必要がある対象」という句は、本発明の療法または治療を必要としていると特定された対象を意味する。
【0107】
ここに用いたように、「治療効果」という句は、作用物質により生じる、動物、特に哺乳類、さらにヒトにおける局所効果または全身的な効果を称する。「治療に効果的な量」および「効果的な量」という句は、少なくとも細胞の亜母集団において、ある所望の効果を生じる作用物質の量を意味する。治療に効果的な量としては、任意の治療に適用できる妥当な便益/リスク比で、ある所望の局所効果または全身的な効果を生じる作用物質の量が挙げられる。例えば、本発明の方法に使用される特定の作用物質は、そのような治療に適用できる妥当な便益/リスク比を生じるのに十分な量で投与してよい。
【0108】
ここに用いたように、対象における疾病を「治療する」もしくは疾病を有するまたは有すると疑われる対象を「治療する」という用語は、疾病の少なくとも1つの症状が減退するか、または悪化が防がれるように、薬品治療、例えば、作用物質の投与を対象に施すことを称する。
【0109】
ここに用いたように、「上述した化合物のいずれ」は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIの任意の化合物である。
【0110】
Usp14の阻害剤
本発明のある態様は、式I:
【化1】
【0111】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
Gは−N=または−C(R2)=であり;
Zは、=C(R8)−、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはGが−C(R2)=であり、かつZが=C(R2)−である場合、2つのR2が一緒になって、
【化2】
【0112】
であり;
Xが、
【化3】
【0113】
またはヘテロアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルであり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【0114】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−フルオロフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−C(R2)=であり、R2がメチルであり、Xが
【化4】
【0115】
であり、Yが−CH2(ピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0116】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−メチルフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−C(R2)=であり、R2がメチルであり、Xが
【化5】
【0117】
であり、Yが−CH2(4−メチルピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−(すなわち、C100)ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0118】
ある実施の形態において、本発明は、Aが4−クロロフェニルであり、R1がメチルであり、Gが−N=であり、Xが
【化6】
【0119】
であり、Yが−NH2である場合、Zが=N−(すなわち、C121)ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0120】
ある実施の形態において、本発明は、Gが−N=である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0121】
ある実施の形態において、本発明は、Gが−C(R2)=である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0122】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれかであって、式II:
【化7】
【0123】
により表されるか、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体である化合物に関する。
【0124】
本発明の別の態様は、式III:
【化8】
【0125】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
Zは、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはR2およびXが一緒になって、
【化9】
【0126】
であり;
Xが、
【化10】
【0127】
またはヘテロアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルであり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、N−ヘテロシクリルアルキルである。
【0128】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC12ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0129】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC31ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0130】
本発明の別の態様は、式IV:
【化11】
【0131】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R11は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アラルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルコキシアルキル、トリフルオロメチル、またはシリルである。
【0132】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC73ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0133】
本発明の別の態様は、式V:
【化12】
【0134】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R12は、水素またはアルキルであり;
R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて結合した前記置換基のいずれかである;またはR13の1つまたは2つの例、およびそれが結合する炭素が一緒になって、−N=である。
【0135】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC106ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0136】
本発明の別の態様は、式VI:
【化13】
【0137】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
R14は水素またはXであり;
両方のR15が、一緒になって、
【化14】
【0138】
であり、
R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて結合した前記置換基のいずれかである;またはR13の1つまたは2つの例、およびそれが結合する炭素が一緒になって、Nである。
【0139】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC118ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0140】
本発明の別の態様は、式VII:
【化15】
【0141】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
Yが、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、−NR5(N−ヘテロシクリル)、または−N−ヘテロシクリルである。
【0142】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC133ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0143】
本発明の別の態様は、式VIII:
【化16】
【0144】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、各発生毎に独立して、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R12は、水素またはアルキルである。
【0145】
ある実施の形態において、本発明は、前記化合物がC139ではないという条件で、上述した化合物のいずれにも関する。
【0146】
ある実施の形態において、本発明は、Aがアリールまたはヘテロアリールである、上述した化合物のいずれにも関する。
【0147】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、スルホキシメチル、スルホンアミド、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じてフェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルに結合した前記置換基のいずれかからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルである。
【0148】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニルである。
【0149】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化17】
【0150】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0151】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により2位で置換された(オルト置換された)フェニルである。
【0152】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化18】
【0153】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0154】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により3位で置換された(メタ置換された)フェニルである。
【0155】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化19】
【0156】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0157】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で置換された(パラ置換された)フェニルである。
【0158】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化20】
【0159】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0160】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される置換基により2位と4位で置換されたフェニルである。
【0161】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化21】
【0162】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0163】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリジン−2−イルである。
【0164】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化22】
【0165】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0166】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリミジン−2−イルである。
【0167】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化23】
【0168】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0169】
ある実施の形態において、本発明は、Aがビアリールである上述した化合物のいずれにも関する。
【0170】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、4−(フェニル)フェン−1−イルまたは4−(2−ピリジニル)フェン−1−イルである。
【0171】
ある実施の形態において、本発明は、Aが
【化24】
【0172】
である、上述した化合物のいずれにも関する。
【0173】
ある実施の形態において、本発明は、R1が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0174】
ある実施の形態において、本発明は、R1がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0175】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0176】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0177】
ある実施の形態において、本発明は、R1がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0178】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0179】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0180】
ある実施の形態において、本発明は、R1がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0181】
ある実施の形態において、本発明は、R1がハロエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0182】
ある実施の形態において、本発明は、R1がフルオロエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0183】
ある実施の形態において、本発明は、R2が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0184】
ある実施の形態において、本発明は、R2がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0185】
ある実施の形態において、本発明は、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0186】
ある実施の形態において、本発明は、R2がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0187】
ある実施の形態において、本発明は、R1が水素であり、R2が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0188】
ある実施の形態において、本発明は、R1がアルキルであり、R2がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0189】
ある実施の形態において、本発明は、R1がメチルであり、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0190】
ある実施の形態において、本発明は、R1がエチルであり、R2がエチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0191】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、R8が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0192】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、R8がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0193】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=N−である上述した化合物のいずれにも関する。
【0194】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化25】
【0195】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0196】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化26】
【0197】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0198】
ある実施の形態において、本発明は、Xが
【化27】
【0199】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0200】
ある実施の形態において、本発明は、Xがヘテロアリールである上述した化合物のいずれにも関する。
【0201】
ある実施の形態において、本発明は、Xがピロロ[1,2−a]ピラジン−3−イルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0202】
ある実施の形態において、本発明は、R9がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、R2がメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0203】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0204】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0205】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0206】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0207】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0208】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0209】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0210】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0211】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルコキシアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0212】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化28】
【0213】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0214】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(N−ヘテロシクリル)である。
【0215】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)、−CH2(ピペラジン−1−イル)、−CH2(ヘキサヒドロピリミジン−1−イル)、−CH2(モルホリン−1−イル)または−CH2(1,3−オキサジナン−3−イル)である。
【0216】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)または−CH2(ピペラジン−1−イル)である。
【0217】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化29】
【0218】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0219】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)nN(アルキレン)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2または−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキレン)である。
【0220】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Yは、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)または−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)である。
【0221】
ある実施の形態において、本発明は、nが1である上述した化合物のいずれにも関する。
【0222】
ある実施の形態において、本発明は、nが2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0223】
ある実施の形態において、本発明は、nが3である上述した化合物のいずれにも関する。
【0224】
ある実施の形態において、本発明は、nが4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0225】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化30】
【0226】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0227】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4である上述した化合物のいずれにも関する。
【0228】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0229】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0230】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0231】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0232】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0233】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4が水素である上述した化合物のいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0234】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7または−NR5(N−ヘテロシクリル)である上述した化合物のいずれにも関する。
【0235】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0236】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0237】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5NR6R7であり、R5、R6およびR7が、独立して、水素またはアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0238】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5が水素である上述した化合物のいずれにも関する。
【0239】
ある実施の形態において、本発明は、Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5がアルキルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0240】
ある実施の形態において、本発明は、Yが
【化31】
【0241】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0242】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化32】
【0243】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0244】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化33】
【0245】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0246】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化34】
【0247】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0248】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化35】
【0249】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0250】
ある実施の形態において、本発明は、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化36】
【0251】
である上述した化合物のいずれにも関する。
【0252】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロまたはトリフルオロメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0253】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0254】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、ハロまたはN−ヘテロシクリルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0255】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素、クロロまたはピペリジン−1−イルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0256】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはN−ヘテロシクリルアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0257】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはピペリジン−1−イルメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0258】
ある実施の形態において、本発明は、R10が、水素またはアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0259】
ある実施の形態において、本発明は、R10が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0260】
ある実施の形態において、本発明は、R11が、水素またはアルキルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0261】
ある実施の形態において、本発明は、R11が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0262】
ある実施の形態において、本発明は、R11がメチルである上述した化合物にいずれにも関する。
【0263】
ある実施の形態において、本発明は、R12が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0264】
ある実施の形態において、本発明は、R12がメチルである上述した化合物にいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、R13が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0265】
ある実施の形態において、本発明は、正確に1つのR13、およびそれが結合している炭素が−N=である上述した化合物にいずれにも関する。
【0266】
ある実施の形態において、本発明は、R14が水素である上述した化合物にいずれにも関する。
【0267】
ある実施の形態において、本発明は、R14がXである上述した化合物にいずれにも関する。ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化37】
【0268】
であり、R10が水素、ハロまたはN−ヘテロシクリルである。
【0269】
ある実施の形態において、本発明は、上述した化合物のいずれにも関し、式中、Zが=C(R8)−であり、2つのR2が一緒になって
【化38】
【0270】
であり、R10が水素またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【0271】
本発明の別の態様は、
【化39−1】
【化39−2】
【0272】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0273】
本発明の別の態様は、
【化40】
【0274】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0275】
本発明の別の態様は、以下の式
【化41】
【0276】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0277】
本発明の別の態様は、以下の式
【化42】
【0278】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0279】
本発明の別の態様は、
【化43−1】
【化43−2】
【0280】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0281】
発明の別の態様は、以下の式
【化44】
【0282】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0283】
ある実施の形態において、本発明は、Wがメチルである上述した化合物のいずれにも関する。
【0284】
ある実施の形態において、本発明は、Wがフルオロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0285】
ある実施の形態において、本発明は、Wがクロロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0286】
ある実施の形態において、本発明は、Wがニトロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0287】
ある実施の形態において、本発明は、Wがメトキシである上述した化合物のいずれにも関する。
【0288】
ある実施の形態において、本発明は、Wがエトキシである上述した化合物のいずれにも関する。
【0289】
ある実施の形態において、本発明は、Wが−SO2NH2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0290】
ある実施の形態において、本発明は、Wが−C(=O)NH2である上述した化合物のいずれにも関する。
【0291】
発明の別の態様は、以下の式
【化45】
【0292】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関し、式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【0293】
ある実施の形態において、本発明は、Wがクロロである上述した化合物のいずれにも関する。
【0294】
本発明の別の態様は、
【化46】
【0295】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0296】
本発明の別の態様は、
【化47】
【0297】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0298】
本発明の別の態様は、
【化48】
【0299】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0300】
本発明の別の態様は、
【化49】
【0301】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に関する。
【0302】
本発明の化合物の多くは、薬学的に許容される対イオンを有する塩(すなわち、薬学的に許容される塩)として提供されるであろう。「薬学的に許容される塩」は、受容体に投与した際に、直接的または間接的のいずれかで、本発明の化合物または化合物のプロドラッグを提供できる任意の非毒性塩を意味する。「薬学的に許容される対イオン」は、受容体への投与の際に塩から放出されたときに、毒性ではない塩のイオン部分である。薬学的に適合する塩は、以下に限られないが、塩化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸により形成してもよい。塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水性または他のプロトン性溶媒中により可溶性である傾向にある。
【0303】
薬学的に許容される塩を形成するために一般に使用される酸としては、二硫化水素、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、並びにパラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、並びに関連する無機酸と有機酸が挙げられる。それゆえ、そのような薬学的に許容される塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート(dioate)、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などが挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩としては、塩化水素酸および臭化水素酸などの鉱酸により形成されたもの、およびマレイン酸などの有機酸により形成されたものが挙げられる。
【0304】
酸性官能基を有する薬学的に許容される塩を形成するための適切な塩基としては、以下に限られないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および未置換のまたはヒドロキシ置換されたモノ、ジ、またはトリアルキルアミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビス、またはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ、ビスまたはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン);N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン;N−メチル−D−グルカミン;およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0305】
本発明の特定の化合物およびその塩は、複数の結晶形態で存在してもよく、本発明は、各結晶形態およびその混合物を含む。
【0306】
本発明の特定の化合物およびその塩は、溶媒和物、例えば、水和物の形態で存在してもよく、本発明は、各溶媒和物およびその混合物を含む。
【0307】
本発明の特定の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでよく、異なる光学的活性形態で存在してもよい。本発明の化合物が1つの不斉中心を含有する場合、その化合物は、2つの鏡像異性体形態で存在し、本発明は、両方の鏡像異性体およびラセミ混合物などの鏡像異性体の混合物を含む。鏡像異性体は、当業者に公知の方法により、例えば;例えば、結晶化により分離されるであろうジアステレオマー塩の形成;例えば、結晶化、気液または液体クロマトグラフィーにより分離されるであろうジアステレオマー誘導体または錯体の形成;一方の鏡像異性体の鏡像異性体特異的試薬との選択的反応、例えば、酵素によるエステル化;または例えば、キラル担体、例えば、キラル配位子が結合したシリカ上の、またはキラル溶媒の存在下での、キラル雰囲気における気液または液体クロマトグラフィーによって、分割してもよい。所望の鏡像異性体が、上述した分離手法の内の1つによって、別の化学的実体に転化された場合、所望の鏡像異性体形態を遊離するために、さらに別の工程を使用してもよい。あるいは、特異的な鏡像異性体は、光学的に活性な試薬、基質、触媒または溶媒を使用した不斉合成によって、または不斉転換により一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体に転化することによって、合成してもよい。
【0308】
本発明の化合物が複数の不斉中心を含む場合、その化合物は、ジアステレオ異性体形態で存在するであろう。ジアステレオ異性体化合物は、当業者に公知の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離してもよく、個々の鏡像異性体は、上述したように分離してもよい。本発明は、本発明の化合物の各ジアステレオ異性体およびそれらの混合物を含む。
【0309】
本発明の特定の化合物は、異なる互変異性型でまたは異なる幾何異性体として存在してもよく、本発明は、本発明の化合物の各互変体および/または幾何異性体およびそれらの混合物を含む。
【0310】
本発明の特定の化合物は、分離可能であろう異なる安定な配座形態で存在してもよい。例えば、立体障害または環ひずみのために、非対称単結合の周りの制限回転のためのねじれ非対称によって、異なる配座異性体の分離が可能になるであろう。本発明は、本発明の化合物の各配座異性体およびその混合物を含む。
【0311】
本発明の特定の化合物は、両性イオン形態で存在してもよく、本発明は、本発明の化合物の各両性イオン形態およびその混合物を含む。
【0312】
本発明は、プロドラッグも含む。ここに用いたように、「プロドラッグ」という用語は、ある生理化学的なプロセスによって、インビボで親の薬物に転化される作用物質を称する(例えば、プロドラッグは、生理学的pHになったときに、所望の薬物形態に転化される)。プロドラッグは、ある状況において、親の薬物よりも投与するのが容易であろうから、多くの場合、有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であろうのに対し、親の薬物はそうではない。プロドラッグは、親の薬物よりも、薬理組成物中の溶解度が改善されているであろう。プロドラッグの一例は、制限するものではなく、本発明の化合物であり、ここで、プロドラッグは、水溶性が有益ではない細胞膜を横切る送達を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで、水溶性が有益である細胞内に一度入ったら、代謝によりカルボン酸へと加水分解される。プロドラッグは多くの有用な性質を有する。例えば、プロドラッグは、最終的な薬物よりも水溶性であってよく、それによって、薬物の静脈内投与が促進される。プロドラッグは、最終的な薬物よりも高いレベルの経口生体利用効率を有してもよい。プロドラッグは、投与後、血中または組織中に最終的な薬物を送達するために、酵素的または化学的に開裂される。
【0313】
例示のプロドラッグは、開裂の際に、対応する遊離酸を放出する。本発明の化合物のそのような加水分解性エステル形成残基としては、以下に限られないが、カルボン酸置換基(例えば、−C(O)2Hまたはカルボン酸を含有する部分)が挙げられ、ここで、遊離水素は、(C1−C4)アルキル、(C2−C12)アルカノイルオキシメチル、(C4−C9)1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3から6の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C1−C2)アルキルアミノ(C2−C3)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなどの)、カルバモイル−(C1−C2)アルキル、N,N−ジ(C1−C2)−アルキルカルバモイル−(C1−C2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C2−C3)アルキルにより置換される。
【0314】
他の例示のプロドラッグは、本発明の化合物のアルコールまたはアミンを放出し、ここで、ヒドロキシまたはアミン置換基の遊離水素は、(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニル−オキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアクチルおよびα−アミノアシル、α−アミノアシル−α−アミノアシルにより置換され、このα−アミノアシル部分は、独立して、タンパク質中に天然に生じるL−アミノ酸、−P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1−C6)アルキル)2またはグリコシル(このラジカルは、炭化水素のヘミアセタールのヒドロキシルの脱離から生じる)のいずれかである。
【0315】
「保護基」という句は、ここに用いたように、潜在的に反応性である官能基を望ましくない化学転換から保護する一時的置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、およびそれぞれ、アルデヒドとケトンのアセタールとケタールが挙げられる。保護基化学の分野が概説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。本発明の化合物の保護形態が、本発明の範囲に含まれる。
【0316】
「化学的に保護された形態」という用語は、ここに用いたように、1つ以上の反応性官能基が、望ましくない化学反応から保護されている、すなわち、保護されたまたは保護する基(マスクされたまたはマスキング基としても知られている)の形態にある化合物に関する。化学的に保護された形態にある活性化合物を調製、精製、および/または取り扱うことが都合よいまたは望ましいであろう。
【0317】
反応性官能基を保護することによって、他の保護されていない反応性官能基を含む反応を、保護された基に影響を与えずに、行うことができる:保護基は、分子の残りに実質的に影響を与えずに、通常はその後の工程で、除去してもよい。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts, Wiley, 1991)およびProtective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts; 3rd Edition; John Wiley and Sons, 1999)を参照のこと。
【0318】
例えば、ヒドロキシ基を、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH3、−OAc)として保護してもよい。
【0319】
例えば、アルデヒドまたはケトン基は、それぞれ、アセタールまたはケタールとして保護してもよく、ここでは、カルボニル基(C(=O))が、例えば、第一級アルコールとの反応によって、ジエーテル(C(OR)2)に転化される。このアルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下で過剰の水を使用した加水分解によって、容易に再生される。
【0320】
例えば、アミン基は、例えば、アミド(−NRC(=O)R)またはウレタン(−NRC(=O)OR)として、例えば、メチルアミド(−NHC(=O)CH3);ベンジルオキシアミド(−NHC(=O)OCH2C6H5HNCbz);t−ブトキシアミド(−NHC(=O)OC(CH3)3、−NHBoc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHC(=O)OC(CH3)2C6H4C6H5NHBoc)、9−フルオレニルメトキシアミド(−NHFmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NHNvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NHTeoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NHTroc)、アリルオキシアミド(−NHAlloc)、2−(フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NHPsec)として;または適切な場合(例えば、環状アミン)には、ニトロオキシドラジカルとして、保護してもよい。
【0321】
例えば、カルボン酸基は、エステルまたはアミドとして、例えば、ベンジルエステル;t−ブチルエステル;メチルエステル;またはメチルアミドとして保護してもよい。
【0322】
例えば、チオール基は、チオエーテル(−SR)として、例えば、ベンジルチオエーテル;またはアセトアミドメチルエーテル(−SCH2NHC(=O)CH3)として保護してもよい。
【0323】
薬剤組成物
本発明は、Usp14の阻害剤を含む薬剤組成物を提供する。ある態様において、本発明は、1種類以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と共に配合された、上述した化合物1種類以上を治療に効果的な量で含む薬学的に許容される組成物を提供する。別の態様において、本発明の作用物質は、それ自体で投与されても、または薬学的に許容される担体との混合物で投与されても差し支えなく、他の作用物質と共に投与されても差し支えない。それゆえ、併用療法は、本発明の1種類以上の化合物の連続、同時(simultaneous)および別々の、または同時投与(co-administration)を含み、ここで、最初に投与されたものの治療効果は、続く化合物が投与されたときに、完全には消えていない。
【0324】
以下に詳しく記載するように、本発明の薬剤組成物は、以下のために適用されたものを含む、固体または液体形態での投与のために特別な配合されてもよい:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬、舌下、および全身吸収を目的として錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、舌に塗布するためのペースト;(2)例えば、滅菌溶液または懸濁液、もしくは持効性配合物として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜注射による、非経口投与;(3)例えば、皮膚に塗布されるクリーム、軟膏、または徐放性パッチまたはスプレーとしての、局所塗布;(4)例えば、ペッサリー、クリームまたは泡として、膣内または直腸内に;(5)舌下;(6)眼;(7)経皮;または(8)鼻。
【0325】
先に述べたように、ある実施の形態において、本発明の作用物質は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、投与ビヒクルまたは投薬形態製造プロセスにおいてその場で、または遊離塩基の形態にある本発明の精製化合物の、適切な有機または無機酸との別の反応と、その後の精製中の、そのように形成された塩の単離によって、調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。
【0326】
主題の化合物の薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性有機または無機酸からの、その化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、オキサル酸、イソチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0327】
他の場合において、本発明の化合物は、1種類以上の酸性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、同様に、投与ビヒクルまたは投薬形態製造プロセスにおいてその場で、または遊離酸の形態にある精製化合物の、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機の第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることによって、調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、前出のBerge et al.を参照のこと)。
【0328】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑剤、並びに、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味料、香味料および香料、保存料および酸化防止剤も、前記組成物中に存在しても差し支えない。
【0329】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0330】
本発明の化合物の配合物は、単位投薬形態で提示してもよく、製薬学の当業者に公知の任意の方法によって調製してもよい。一回の投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療されている宿主および特定の投与形態により様々である。一回の投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる作用物質の量である。
【0331】
ある実施の形態において、本発明の配合物は、以下に限られないが、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、および高分子担体、例えば、ポリエステルおよびポリ無水物を含む賦形剤;および本発明の作用物質を含む。ある実施の形態において、上述した配合物によって、本発明の作用物質が、経口で生物学的に利用可能になる。
【0332】
これらの配合物または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、前記担体、必要に応じて、1種類以上の副成分と共に、会合させる工程を含んでもよい。
【0333】
本発明の化合物を経口投与するための液体投薬形態としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加え、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
【0334】
不活性希釈剤以外に、経口用組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味料、着色料、香料および保存料などの補助剤を含んでも差し支えない。
【0335】
懸濁液は、活性化合物に加え、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、並びにそれらの混合物などの懸濁化剤を含有してもよい。
【0336】
経口投与に適した本発明の配合物は、各々が活性成分として本発明の化合物を所定量含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤(tablet)、トローチ剤(味付き基礎原料、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカントを使用した)、粉末、顆粒の形態で、もしくは水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、もしくは水中油または油中水の液体エマルション、もしくはエリキシル剤またはシロップとして、もしくは錠剤(pastille)(ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基礎成分、またはショ糖およびアカシアを使用した)として、および/またはマウスウォッシュなどとして、であってよい。本発明の化合物は、巨丸剤、舐剤またはペーストとして投与してもよい。
【0337】
経口投与のための本発明の固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの、1種類以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれか:(1)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤(humectant);(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、および非イオン性界面活性剤などの湿潤剤(wetting agent);(8)カオリンおよびベントナイド粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑剤;および(10)着色剤:と混合されている。カプセル、錠剤および丸薬の場合、この薬剤組成物は、緩衝剤を含んでもよい。類似のタイプの固体組成物を、乳糖(lactose or milk sugar)、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した、軟質および硬質ゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよい。
【0338】
錠剤は、必要に応じて1種類以上の副成分と共に、圧縮または成形により製造してもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を使用して調製されるであろう。成形錠剤は、適切な装置内で、不活性希釈液で湿らされた粉末化合物の混合物を成形することによって製造されるであろう。
【0339】
錠剤、および糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒などの、本発明の薬剤組成物の他の固体投薬形態は、必要に応じて、切れ目を入れても、または腸溶性被覆および薬剤配合の技術分野によく知られた他の被覆などの、被覆および殻を備えるように調製してもよい。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用して、活性成分を遅く放出するまたは制御放出するように配合してもよい。本発明の組成物は、急速放出のために配合しても、例えば、凍結乾燥してもよい。それらの組成物は、例えば、細菌保持フィルタを通す濾過により、または使用直前に滅菌水、または他の滅菌注射用媒質中に溶解できる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を含ませることによって、滅菌してもよい。これらの組成物は、必要に応じて、隠蔽剤を含有してもよく、また必要に応じて遅延様式で、胃腸管のある部分のみで、またはその部分に優先的に、活性成分を放出するような組成物のものであってよい。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。活性成分は、適切な場合、1種類以上の上述した賦形剤と共に、マイクロカプセル形態にあっても差し支えない。
【0340】
直腸または膣投与のための本発明の薬剤組成物の配合物は、座薬として提供してもよく、これは、本発明の1種類以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1種類以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製してよく、また、室温で固体であるが、体温で液体であり、しがって、直腸または膣の腔内で溶融し、活性成分を放出する。
【0341】
膣投与に適した本発明の配合物としては、当該技術分野において適切であると知られているそのような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡またはスプレー配合物が挙げられる。
【0342】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための投薬形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチおよび吸入薬が挙げられる。活性化合物は、滅菌状態で、薬学的に許容される担体と、また保存料、緩衝液、または要求されることのある噴霧剤と混合してもよい。
【0343】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、本発明の活性化合物に加え、動物性と植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0344】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加え、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有しても差し支えない。スプレーは、さらに、クロロフルオロ炭化水素およびブタンやプロパンなどの揮発性未置換炭化水素等の通例の噴霧剤を含有して差し支えない。
【0345】
経皮パッチには、本発明の化合物の体への制御送達を提供するという追加の利点がある。そのような投薬形態は、その化合物を適切な媒質中に溶解させるまたは分散させることによって製造できる。皮膚を横切る化合物の流れを増加させるために、吸収促進剤を使用しても差し支えない。そのような流れの量は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲル中に分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0346】
眼用配合物、眼の軟膏、粉末、溶液なども、本発明の範囲内と考えられる。
【0347】
非経口投与に適した本発明の薬剤組成物は、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、配合物を意図する賦形剤または懸濁化剤または増粘剤の血液と等張性にする溶質を含有してもよい、1種類以上の薬学的に許容される滅菌等張性水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、もしくは使用直前に滅菌注射用溶液または分散液にもどせる滅菌粉末と共に、本発明の1種類以上の化合物を含む。
【0348】
本発明の薬剤組成物に使用してもよい適切な水性または非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材料の使用により、分散液の場合には、要求される粒径の維持により、また界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0349】
場合によっては、薬物の効果を引き延ばすために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。このことは、水溶性が不十分な結晶質または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって実施してもよい。その結果、薬物の吸収速度は、溶解速度に依存し、次に、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存するであろう。あるいは、非経口投与薬物形態の遅い吸収は、薬物を油ビヒクル中に溶解させるまたは懸濁させることによって行われる。
【0350】
注射用デポー剤形態は、主題の化合物のマイクロカプセルマトリクスをポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に形成することによって製造される。薬物のポリマーに対する比率、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー剤注射用配合物は、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を取り込むことによっても調製される。
【0351】
本発明の作用物質を含む例示の配合物は、以下に限られないが、体温での化学的安定性、放出の機能的効率時間、毒性および最適投与量を含む様々な性質に応じて決定される。
【0352】
本発明の調製物は、経口で、非経口で、局所に、または直腸に与えてよい。その調製物は、もちろん、各投与経路に適した形態で与えられる。例えば、調製物は、錠剤またはカプセルで、注射により、吸入、眼のローション、軟膏、座薬、注射、注入または吸入による投与;ローションまたは軟膏により局所に;および座薬により直腸に;投与される。
【0353】
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用してよい本発明の化合物、および/または本発明の薬剤組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される投薬形態に配合される。
【0354】
本発明の治療方法
本発明は、神経変性疾患を含む、タンパク質症および向上したタンパク質の破壊が治療に効くであろう他の疾病を治療するための新規の治療方法であって、対象(例えば、その必要がある対象)に、効果的な量の本発明の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0355】
その必要がある対象は、例えば、タンパク質症と診断されている対象、または以前の治療では効果がない対象を含む、タンパク質症の治療を受けている対象を含む。
【0356】
本発明の方法は、どのようなタンパク質症を治療するために使用してもよい。そのようなタンパク質症の例としては、以下に限られないが、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、プリオン病(例えば、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症)、タウオパチー(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症)、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、seipin関連運動ニューロン疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、重症疾患ミオパチー、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病および前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)が挙げられる。
【0357】
ある実施の形態において、本発明の主題の薬剤組成物は、予防法または治療法の一部として、治療に効果的な量の含まれた治療剤または他の材料を患者に送達するのに十分な量で送達すべき物質を含む。活性剤の所望の濃度は、薬物の吸収、不活性化、および排泄速度、並びに化合物の送達速度に依存する。投薬量値は、緩和すべき健康状態の重症度により様々であろうことに留意すべきである。任意の特定の対象について、特別な投与計画を、個々の必要性および組成物を投与する人または組成物の投与を管理する人の専門的な判断力にしたがって、時間をかけて調節すべきであることもさらに理解されよう。一般に、投与量は、当業者に公知の技法を使用して決定される。
【0358】
主題の作用物質の投薬量は、作用物質の血漿濃度を参照することによって決定してもよい。例えば、最大血漿濃度(Cmax)および時間0から無限大までの血漿濃度−時間の曲線の下の面積(AUC(0−4))を使用してもよい。本発明の投薬量としては、CmaxおよびAUC(0−4)について上述の値を生じる投薬量、およびそれらのパラメータについて大きいまたは小さい値を生じる他の投薬量が挙げられる。
【0359】
本発明の薬剤組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に毒性ではなく、特定の患者、組成物、および投与様式について、所望の治療反応を達成するのに効果的な活性成分の量を得るように、変えてもよい。
【0360】
選択された投薬レベルは、使用される特定の作用物質の活性、投与経路、投与時間、治療期間、使用される特定の化合物と共に使用される他の薬物、化合物および/または材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、健康状態、身体全体の健康および前の病歴、医学分野でよく知られている類似の要因を含む様々な要因に依存する。
【0361】
当該技術分野において通常の技能を有する医師または獣医は、必要とされる薬剤組成物の効果的な量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで薬剤組成物中に用いられる本発明の作用物質の投与量を処方および/または投与し、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増加させることができるであろう。
【0362】
一般に、本発明の作用物質の適切な一日の投与量は、治療効果を生じるのに効果的な最低の投与量である作用物質の量である。そのような効果的な投与量は、一般に、先に記載された要因に依存する。
【0363】
所望であれば、作用物質の効果的な一日の投与量は、必要に応じて単位投薬形態で、一日に亘り適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6回以上の分割投与量として投与してもよい。
【0364】
所定の患者において最も効果的治療を生じる特定の作用物質の投与の正確な時間および量は、特定の作用物質の活性、薬物動力学および生体利用効率、患者の生理的状態(年齢、性別、疾病のタイプと段階、身体全体の健康、所定の投薬量に対する感応性および医薬品のタイプ)、投与経路などに依存する。ここに提示された指針は、治療を最適化するため、例えば、投与の最適な時間および/または量を決定するために使用してよく、これには、対象を監視し、投薬量および/またはタイミングを調節することからなる日常的な実験しか必要ない。
【0365】
対象が治療されている間、対象の健康は、24時間の期間中、所定の時間で1つ以上の関連指標を測定することによって監視してもよい。補給剤、量、投与時間および配合物を含む治療の全て状況が、そのような監視の結果にしたがって最適化されるであろう。患者は、同じパラメータを測定することによって、改善の程度を決定するために定期的に最小化され、そのような最初の再評価は一般に、治療の始まりから4週間後に行われ、その後の再評価は、治療中4から8週間毎に、その後は、3ヶ月毎に行われる。治療は、数ヶ月または数年に亘り継続してもよく、最小で1ヶ月が、ヒトにとって典型的な治療期間である。例えば、投与される作用物質の量および投与の時間に対する調節は、これらの再評価に基づいて行ってもよい。
【0366】
治療は、化合物の最適投与量より少ない投薬量で開始してもよい。その後、投薬量は、最適な治療効果が得られるまで、小さな増分ずつ増加させてもよい。その上、自家栄養関連遺伝子産物を調節する作用物質と第2の作用物質、例えば、オートファジー関連疾病の治療に有用な別の作用物質との併用により、個々の作用物質の必要投薬量が減少するかもしれない。何故ならば、異なる化合物および/または作用物質の効果の始まりおよび期間が相補的であるかもしれないからである。
【0367】
本発明のある態様は、Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、Usp14タンパク質を、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に接触させる工程を含む方法に関する。
【0368】
本発明の別態様は、細胞中のプロテアソームによるタンパク質分解を向上させる方法であって、細胞を、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体に接触させる工程を含む方法に関する。
【0369】
本発明の別の態様は、対象におけるタンパク質症を治療するまたは予防する方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体を投与する工程を含む方法に関する。
【0370】
ある実施の形態において、本発明は、上述した方法のいずれかに関し、ここで、タンパク質症は、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、セルピン病、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、および重症疾患ミオパチーからなる群より選択される。
【0371】
ある実施の形態において、本発明は、前記タンパク質症が、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症またはマシャド・ジョセフ病である、上述した方法のいずれにも関する。
【0372】
本発明の別の態様は、対象において、向上したタンパク質破壊が治療に効く疾病を治療するまたは予防する方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0373】
ある実施の形態において、本発明は、前記疾病が、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、骨パジェット病および前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)からなる群より選択される、上述した方法のいずれにも関する。
【0374】
本発明の別の態様は、対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0375】
本発明の別の態様は、対象において、Tau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、対象に、上述した化合物(IU1を含む)のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはその薬剤組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0376】
ある実施の形態において、本発明は、前記対象がヒトである上述した方法のいずれにも関する。
【0377】
単離した再構成プロテアソーム
本発明のある態様は、酵素的に活性なUch37を欠如するが、酵素的に活性なUsp14を含む単離プロテアソームに関する。そのようなプロテアソームは、どのような適切な生物からのものであっても差し支えない。ある実施の形態において、本発明のプロテアソームは、ヒトまたはネズミプロテアソームなどの哺乳類のプロテアソームである。そのようなプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37を含有しても、またはUch37をすっかり欠如してもよい。本発明のプロテアソームは、例えば、Usp14の特異的阻害剤をスクリーニングする方法において有用である。例えば、ここにその全てを引用する、国際公開第2008/147536A1号パンフレットを参照のこと。
【0378】
ある実施の形態において、本発明のプロテアソームは、酵素的に不活性なUch37を含む。Uch37は、例えば、酵素部位の突然変異、Uch37特異的阻害剤による処理、または非特異的脱ユビキチン化酵素阻害剤による処理(例えば、ユビキチン−ビニルスルホンによる処理)を含む、当該技術分野に公知のどのような方法によって、不活性にしても差し支えない。Uch37のユビキチン−ビニルスルホンによる処理で、ビニルスルホン−Uch37付加物が生成され、これは、脱ユビキチン化酵素活性について不活性である。
【0379】
本発明の別の態様は、本発明のプロテアソームを生成する方法に関する。そのような方法は、Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームを精製する工程、精製されたプロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理する工程、および/または精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUsp14で再構成する工程を含んでもよい。
【0380】
Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームの精製は、当該技術分野に公知のどのような適切な方法を使用して行っても差し支えない。例えば、ヒトプロテアソームは、HTBHタグ付きhRpn11を発現するHEK293細胞株から、アフィニティー精製しても差し支えない。細胞を溶解させ、プロテアソームをNeutrAvidinアガロース樹脂によりアフィニティー精製して、Usp14を欠如するがUch37を含有するプロテアソームを生成しても差し支えない。
【0381】
Uch37特異的阻害剤、および非特異的脱ユビキチン化酵素阻害剤(例えば、ユビキチン−ビニルスルホン)を含む、どのような適切なUch37阻害剤を本発明の方法に使用しても差し支えない。
【0382】
本発明のプロテアソームを再構成するために使用される活性Usp14は、例えば、哺乳類細胞から精製されたUsp14または組換えにより産生されたUsp14を含む、どのような適切な供給源からのものであっても差し支えない。
【0383】
本発明の別の態様は、Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、本発明のプロテアソームを提供し、そのプロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させ、試験化合物がその基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する。
【0384】
基質の脱ユビキチン化は、どのような適切な方法を使用して、直接的または間接的に検出しても差し支えない。例えば、ある実施の形態において、その基質は、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能である、および/またはユビキチン依存性プロテアソーム基質(例えば、Ub−AMC)であるレポーターに結合される。他のある実施の形態において、基質の脱ユビキチン化は、基質の分解の阻害によって示される。
【0385】
本発明の別の態様は、本発明の単離されたプロテアソーム、使用説明書、および/またはUsp14基質を含むキットに関する。いくつかの実施の形態において、Usp14基質は、Ub−AMCおよび/またはポリユビキチン化サイクリンBである。
【実施例】
【0386】
これまで本発明を広く説明してきたが、以下を参照することによって、本発明はより容易に理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の特定の態様と実施の形態を説明する目的のためだけであり、本発明を制限することを意図したものではない。
【0387】
実施例1−阻害剤の合成
図29は、本発明のピロールの調製に対する1つの手法を示している。ピロールの代わりに、1,3−ジアゾールを形成することによって、類似のジアゾール化合物を調製してもよい。アリールアミン1aへの環置換を変えることによって、またはアルキルアミン、ヘテロアリールアミン、アラルキルアミンなどを置換することによって、多種多様の化合物を調製してもよい。同様に、化合物1eを多数の求核剤と反応させて、多種多様の化合物を提供してもよい。図29に示された化合物に対応する実験手法が以下に与えられている。
【0388】
1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール(1c)の合成 酢酸(40mL)中の1a(7.65g、60.0ミリモル)および1b(34.2g、300.0ミリモル)の混合物を1時間に亘り100℃に加熱し、次いで、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1c(11.06g、収率:89.8%)を得た。
【0389】
2−クロロ−1−[1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]エタン−1−オン(1e)の合成 1,2−ジクロロエタン(50mL)中のAlCl3(7.98g、60.0ミリモル)の溶液に、0℃で1d(6.78g、60.0ミリモル)を加えた。その結果得られた混合物を30分間に亘り撹拌し、0℃で1,2−ジクロロエタン(50mL)中の1c(6.17g、30.0ミリモル)の溶液に加えた。次いで、この反応混合物を2時間に亘り室温まで暖め、氷水(20mL)中に注ぎ入れた。混合物をジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、MgSO4で乾燥させ、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1e(3.37g、収率:39.9%)を得た。
【0390】
1−[1−(4−クロロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]−2−ピペリジルエタン−1−オン(1)の合成 アセトニトリル(10mL)中の1e(85mg、0.3ミリモル)およびトリエチルアミン(61mg、0.6ミリモル)の溶液に、1f(28mg、0.33ミリモル)を加えた。加熱して1時間に亘り還流した後、この混合物を濃縮し、残留物をジクロロメタン(30mL)中に溶解させ、飽和NaHCO3(10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、1(83mg、収率:83.8%)を得た。LC/MS: 331.1 (M+1)+. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.45-7.49 (2H, dd), 7.10-7.13 (2H, dd), 6.39 (2H, ds), 3.56(2H, s), 2.53-2.56 (4H, m), 2.30 (3H, s), 1.98 (3H, s), 1.62-1.70 (4H, m), 1.44-1.49 (2H, m).
【0391】
実施例2−Usp14は基質の脱ユビキチン化を媒介する
Usp14がヒトプロテアソームの強力な阻害剤であるか否かを試験するために、検出可能なレベルの脱ユビキチン化酵素Usp14を欠如したプロテアソームを生成するための精製手法を開発した(Wang et al., (2007), Biochemistry, 46, 3553-3565からの改良)。手短に言えば、ヒトプロテアソームを、HTBHタグ付きhRpn11を含む安定なHEK293細胞株から、大規模でアフィニティー精製した。細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含有する溶解緩衝液(50mMのNaH2PO4[pH7.5]、100mMのNaCl、10%のグリセロール、5mMのMgCl2、0.5%のNP−40、5mMのATP、および1mMのDTT)中でダウンス(Dounce)式に均質化した。溶解物を清澄にし、次いで、4℃で一晩NeutrAvidinアガロース樹脂(Thermo Scientific)と共にインキュベーションした。次いで、ビーズを過剰の溶解緩衝液で、続いて、洗浄緩衝液(50mMのトリス−HCl[pH7.5]、1mMのMgCl2および1mMのATP)で洗浄した。VS−プロテアソームについて、1から1.5μMのUb−VS(Boston Biochem)をこの樹脂に加え、2時間に亘り30℃でインキュベーションした。ビーズを少なくとも20床容積の洗浄緩衝液で洗浄することによって、残留するUb−VSを除去した。TEVプロテアーゼ(Invitrogen)を使用して、開裂によって、ビーズから26Sプロテアソームを溶出した。
【0392】
このプロテアソーム精製手法を使用して、HEK293細胞のhRpn11タグ付き株からヒトプロテアソームをアフィニティー精製した。Usp14を欠如するが関連する脱ユビキチン化酵素Uch37を含有するプロテアソームの精製を、抗Usp14抗体および抗Uch38抗体(それぞれ、図1Aおよび1B)を使用したウェスタンブロット法により確認した。精製した、Usp14を含まないプロテアソーム(26Sプロテアソームとしても記載されている)は、高レベルの脱ユビキチン化活性を維持し、この活性は、プロテアソームをユビキチン−ビニルスルホンで処理することによって不可逆的に阻害できた(Ub-VS, Yao et al., (2006) Nat. Cell Biol., 8, 994-1002)。Ub−VSは、チオールプロテアーゼクラスの脱ユビキチン化酵素の活性部位に位置するCysアミノ酸と付加物を形成することによって、基質の脱ユビキチン化を阻害する。図1Bに示されるように、Ub−VSの26Sプロテアソームへの付加により、全てが検出可能なUch37を有する、酵素的に不活性なVS−Uch37付加物が形成された。
【0393】
純粋な組換えUsp14酵素を産生するために、大腸菌株のRosetta2(DE3)細胞(Novagen)中でGST−Usp14(WTおよびC114A変異株)を発現させた。OD600が0.6から0.8に到達するまで、菌株を37℃で増殖させ、室温で1mMのIPTGで一晩、発現を誘発させた。次いで、細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含有するPBS中で収穫し、フレンチプレスによって溶解させた。清澄した溶解物を1時間に亘り4℃でGSTセファロース4B樹脂(GE Healthcare)と共にインキュベーションし、その後、過剰のPBSで、次いで、100mMのNaClを含有するPBSで洗浄した。GST部分は、室温で3時間に亘り、開裂用緩衝液(50mMのトリス−HCl[pH8.0]、150mMのNaCl、2.5mMのCaCl2、および0.1%の2−メルカプトエタノール)中のトロンビンにより除去した。溶出用緩衝液(50mMのトリス−HCl[0H8.0]中の10mMの還元グルタチオン)を使用したトロンビン開裂の前に、プロテアソーム結合アッセイのためにGSTタグ付きUsp14タンパク質を溶出した。
【0394】
Ub−VS処理のために内因性脱ユビキチン化活性を欠如した、上述した阻害された「VS−プロテアソーム」が、組換えUsp14によりうまく再構成された(図2)。1nMのUb−VS処理済みヒトプロテアソーム(VS−プロテアソーム)のみ、400nMのUsp14のみ、または4または40nMの組換えUsp14タンパク質により再構成されたVS−プロテアソームにより、Ub−AMC加水分解アッセイを行った。先に記載したように、VS−プロテアソームの脱ユビキチン化活性は、ほぼ完全に阻害された(図3)。対照的に、再構成されたUsp14/VS−プロテアソームは、相当な脱ユビキチン化活性を示した(図3)。実際に、Usp14/VS−プロテアソームは、単離されたUsp14よりも、Ub−AMC加水分解活性における800倍の増加を示した(図3)。それゆえ、Usp14の酵素的活性は、プロテアソームと複合体を形成することによって増加させられる。したがって、Ub−AMCアッセイにより、再構成をうまく続けることができる。
【0395】
また、再構成されたUsp14−プロテアソーム複合体によるUb−AMC加水分解の反応速度論を調査するために、Ub−AMCアッセイを使用した。様々な量のUsp14により再構成されたUsp14/VS−プロテアソームによるUb−AMC加水分解を、30分間に亘りモニタした(図4)。このアッセイの結果の分析により、プロテアソームに対するUsp14の親和性は約4nMであることが示された。
【0396】
実施例3−Usp14はプロテアソーム分解を阻害する
ユビキチン依存性プロテアソーム基質多重ユビキチン化サイクリンB(Ubn−ClnB)を使用したインビトロ分解アッセイを利用して、ユビキチン化された基質の分解へのUsp14の影響を調査した。これらの実験において、野生型または触媒的に不活性なUsp14(60nM)を含有するヒトプロテアソーム(4nM)と共に、Ubn−ClnBをインキュベーションした。これらのアッセイに使用した触媒的に不活性なUspはUsp14−C114Aであり、これは、脱ユビキチン化のためのUsp14の活性部位に突然変異を含有する。特に、野生型Usp14とUsp14−C114Aの両方とも、26S哺乳類プロテアソームに結合することができる(図2)。図5に示されるように、Usp14はサイクリンBの分解を強力に阻害するのに対し、Usp14の活性部位の突然変異は、ほとんど阻害効果を示さなかった。活性部位の突然変異によるUbn−ClnB分解の阻害の欠如により、Usp14によるプロテアソーム分解の阻害には、野生型Usp14のユビキチン鎖トリミング活性が必要であることが示される。実際に、サイクリンBからのユビキチン基の広範囲に亘るトリミングは、野生型Usp14を含有するサンプルにおける免疫ブロット分析により明白であったが、触媒的に不活性なUsp14を使用した場合、ほぼなくなった(図5)。
【0397】
ヒト細胞中のTau分解へのUsp14の影響が、ヒト細胞株HEK293において観察された。Tauを外因性野生型または触媒的に不活性なUsp14と同時発現し、Tauタンパク質レベルをウェスタンブロット法により決定した。野生型Usp14の発現により、ヒト細胞株においてTauは安定化したが、酵素的に不活性なUsp14の発現では安定化しなかった(図6)。実際に、HEK293細胞中の酵素的に不活性なUsp14の発現により、Tauの分解が加速した(図6B)。この主要なマイナスの影響は、おそらく、プロテアソームからの内因性の野生型Usp14の置換を反映している。この仮説を、N末端UBLドメインを欠如したUsp14の変異体(Usp14−ΔUBL)を使用して確認した。N末端UBLドメイン(図6A)は、Usp14上の主要なプロテアソーム結合部位である。UBLの欠失により、主要なマイナスの影響が弱まり(図7)、この影響の媒介には、プロテアソーム結合が必要であることが示される。
【0398】
Usp14の短い形態(SF)は、Usp14のN末端ユビキチン様ドメインとその触媒ドメインとの間の接合エクソン(エクソン4)を欠如したmRNAから発現された内因性Usp14スプライス変異体である(Wilson et al., (2002), Nat. Genet., 32, 420-425;図6A)。Usp14の触媒的に不活性な変異体のように、Usp14−SFは、HEK293細胞におけるTauの安定性への主要なマイナスの影響を示した(図6A)。このことは、Usp14−SFがUsp14の内因性阻害剤であるかもしれないことを示唆している。この可能性と一致して、Usp14−SFは、プロテアソームに結合することができるが、その野生型酵素とは異なり、プロテアソーム結合によって酵素的に活性化されない(図7)。
【0399】
実施例4−Usp14の特異的阻害剤
先に示したように、Usp14によるプロテアソームでの鎖のトリミングは、ユビキチン依存性タンパク質分解経路における重要な調節工程である。したがって、プロテアソーム機能のエンハンサーを特定するために、小分子Usp14阻害剤の高速大量スクリーニングを、組換えUsp14により再構成したVS−プロテアソームを使用して行い、Ub−AMCにより検定した(図8)。
【0400】
化合物を、384ウェルの小容積プレートにおいてUsp14/26S阻害について、二重にスクリーニングした。データ処理を堅牢なZスコア法によって行い、Spotfireソフトウェアを使用して、各化合物をプロットした。Z>5のカットオフを超える化合物は、主に自己蛍光性であり、したがって、計数しなかった。AMC蛍光のみに影響を与える消光化合物を排除するために、312の主なヒットをAMCアミンの消光について試験し、純粋な消光分子を偽陽性と記録し、さらなる分析から排除した(図8B)。高速大量スクリーニングにおいて分析した63,052の化合物の内、215の化合物をUsp14の本当の阻害剤として特定した。
【0401】
Usp14を特異的に阻害するが、一般的な脱ユビキチン化酵素阻害剤ではない化合物を特定するために、215のヒット化合物に、脱ユビキチン化酵素のパネルに対してカウンタースクリーニングを行った。Usp14の活性を阻害したが、他の試験した脱ユビキチン化酵素のいずれも阻害しなかったヒット化合物の中で、1−[1−(4−フルオロフェニル)−2,5−ジメチルピロール−3−イル]−2−ピロリジン−1−イルエタノン(IU1、図9)をさらなる分析のために選択した。
【0402】
実施例5−IU1によるUsp14の特異的阻害
特異的Usp14阻害剤のIU1に追加の研究を行った(図10)。陰性対照として働くために、Usp14脱ユビキチン化酵素を阻害しない(図10B)、またはプロテアソーム機能を向上させない(図10C)、「IU1C」と称する、IU1と構造的に類似の化合物も特定した。
【0403】
Usp14に対するIU1の特異性を、ヒト起源の8つの脱ユビキチン化酵素の活性を阻害するその能力を試験することによって、決定した。図11および9Cに示されるように、IU1は、プロテアソーム結合Usp14の強力な阻害剤であるにもかかわらず、Uch37を含む他の試験した脱ユビキチン化酵素を著しく阻害できなかった。図9Eは、IU1がUch37のプロテアソーム結合形態を阻害しないことを示すことに留意されたい。さらに、IU1は、プロテアソームに結合していなかったUsp14の活性も阻害することができず(図9D)、IU1は、Usp14の、プロテアソームに結合した活性化形態を特異的に阻害することが示される。
【0404】
Usp14がプロテアソームに結合することによりUsp14の活性が向上するので、IU1は、Usp14/プロテアソーム相互作用に干渉することによって、Usp14の活性を阻害した可能性がある。したがって、Usp14がプロテアソームに結合する能力に干渉するIU1の能力を調査した。精製したヒトプロテアソームを、様々な濃度のIU1の存在下または不在下のいずれかで、組換えUsp14と共にインキュベーションした。図12に見られるように、IU1は、Usp14のプロテアソームとの複合体形成に拮抗せず、UI1の阻害活性は、Usp14/プロテアソーム複合体の形成を阻害する結果ではないことが示される。
【0405】
次に、Usp14のIU1阻害の可逆性を検定した。Usp14/プロテアソーム複合体をIU1で処理し、続いて、Micron−YM3フィルタによる遠心分離を3回まで行った。各遠心分離後に、このタンパク質複合体を、脱ユビキチン化酵素活性について試験した。図13に示されるように、Usp14の活性は、遠心分離後に戻り、それによって、Usp14のIU1による阻害が急速に可逆性であることが示される。この観察と一致して、Usp14を阻害したIU1の質量分析では、共有結合したIU1−Usp14付加物を検出することができなかった。
【0406】
45分間(図14A)または30分間(図14B)いずれかに亘り様々な濃度のIU1で処理したUsp14/26Sプロテアソーム複合体に関する2つの独立したIC50曲線を作成することによって、IU1のUsp14阻害活性をさらに定量化した。各実験のデータプロットを、米国国立衛生研究所の化学物質ゲノム学センター(NIH Chemical Genomics Center)からの指標に基づいて4パラメータ・ロジスティックモデル(ヒル勾配モデル(Hill-slope model))に当てはめた。これらの実験の結果により、IU1のIC50値は2〜5μMであることが示される(図14)。
【0407】
実施例3に記載した方法と類似の方法を使用して、IU1がプロテアソーム複合体によるユビキチン鎖のトリミングに影響したか否かを試験するために、サイクリンBを基質として使用した。基質の分解から鎖のトリミングを区別するために、これらのアッセイは、プロテアソーム阻害剤の存在下で行った。プロテアソーム阻害剤の有効性は、このアッセイにおける未修飾のサイクリンBの蓄積によって実証される(図15)。Usp14を欠如するプロテアソームを試験する場合、サイクリンBからのユビキチン鎖の放出には、IU1はほとんどまたは全く影響しなかった(図15)。これは、おそらく、プロテアソーム上の別の脱ユビキチン化酵素であるRpn11によって媒介される。しかしながら、Usp14を加えた際に、サイクリンBのユビキチン化形態の増大した電気泳動度から明らかなように、プロテアソーム複合体による鎖のトリミングが強力に向上した。Usp14/プロテアソーム複合体にさらにIU1を加えると、この効果が逆転し、USP14を欠如したプロテアソーム複合体のレベルと同レベルまで、鎖のトリミングが減少した(図15)。
【0408】
次に、IU1が、プロテアソームによる基質の分解のエンハンサーとして機能できるか否かを試験した。実施例3に記載した方法を使用して、インビトロUbn−ClnB分解アッセイを行ったが、今回は、34μMのIU1の不在下または存在下であった。Usp14を欠如したプロテアソームにIU1を加えることには、基質の分解または鎖のトリミングに影響がなかった。先に記載した結果を確認して、Usp14をプロテアソーム複合体に加えると、鎖のトリミングが増加し、基質の分解が劇的に阻害された。IU1の添加により、Ub−サイクリンBの分解におけるUsp14含有プロテアソームの活性が刺激され、ユビキチン鎖のトリミングが阻害された(図16)。
【0409】
実施例6−IU1の細胞侵入
上述したIU1実験をインビトロで行った。IU1がインビボでプロテアソームの分解を増加させるために、IU1が細胞に侵入できることが必要である。このことを試験するために、逆相C18カラムを備えたAgilentシリーズ1200LC/6130システムを使用したエレクトロスプレー質量分析によって、IU1の細胞への侵入を検定した。IU1を、様々な期間に亘り5μMでMEFに加えた。細胞溶解物を採集し、酢酸エチル抽出物を使用して、質量分析サンプルを調製した。0時間、1時間および24時間でのLC/MSトレースの計数量(301でのm/z)が示されている(図17)。このアッセイにより、IU1は、50μMで媒質に加えられたときに、1時間以内に細胞内で約19μMの定常濃度に到達し、実験の時間経過に亘りほぼ同じレベルを維持したことが判明した(図17および18)。別のUV吸収アッセイを使用して、2日間に亘り、同様の結果が得られた(図19)。その上、IU1濃度は、少なくとも2日間について、媒質中で維持された。これらの結果は、IU1が細胞中と標準媒質中の両方において安定な化合物であることを示す。
【0410】
実施例7−IU1によるインビボのプロテアソーム分解の増大
IU1が、生きている細胞中のプロテアソーム機能を増大させられるか否かを決定するために、TauをMEF細胞中で発現させ、次いで、これを25から100μMの濃度のIU1で処理した。詳しくは、TauおよびLacZV5発現の36時間後に、MEF細胞を6時間に亘り0、25、50、75または100μMのIU1と共にインキュベーションした。図21Aに見られるように、IU1は、試験した全ての濃度でTauレベルを減少させた。TauのmRNAレベルには影響は見られなかった(図21B)。
【0411】
タンパク質毒性機構に関与してきた他のタンパク質も試験した。上述した方法と類似の方法を使用して、IU1処理の際に、TDP−43(前頭側頭葉変性症および筋萎縮性側索硬化症に関与する)、アタキシン−3(マシャド・ジョセフ病に関与する)およびグリア原線維酸性タンパク質(GFAP、アレキサンダー病に関与する)を細胞から同様に欠失させた(図22A〜C)。他方で、ユビキチン非依存性プロテアソーム基質であるGFP−ODCのインビボ分解には、IU1はほとんどまたは全く影響しなかった。これらの結果は、共に、IU1が、ユビキチン媒介プロテアソーム分解の一般的なエンハンサーであることを示す。
【0412】
酸化タンパク質は、ヒトの健康に重要な役割を果たすプロテアソーム基質の別の部類を形成する。有害な酸化タンパク質は、老化の際に蓄積し、様々な年齢関連疾病および疾患に関与する(Stadtman (2006) Protein oxidation and aging. Free Radic. Res. 40, 1250-1258; Ahmed et al. (2007) Protein oxidative modifications and replicative senescence of WI-38 human embryonic fibroblasts. Ann. NY Acad. Sci., 1119, 88-96; Moskovitz et al. (2001). Methionine sulfoxide reductase (MsrA) is a regulator of antioxidant defense and lifespan in mammals. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1981, 12920-12925)。細胞をメナジオンで処理することによって、タンパク質の酸化を誘発し、タンパク質のカルボニルに特異的な抗体を使用して、酸化種を視覚化した。詳しくは、MEFを、4時間に亘りビヒクルまたは75μMのIU1と共に予めインキュベーションし、次いで、45分間に亘り63μMのメナジオンで処理した。細胞を溶解させ、溶解物をDNPHと共にインキュベーションし、酸化タンパク質について検定するために抗DNPH抗体で免疫ブロット法を行った。酸化タンパク質の蓄積は、未処理細胞よりも、IU1で処理した細胞のほうが減少した(図23)。プロテアソーム阻害剤PS−341をIU1と共に加えたときに、IU1の影響が排除され、IU1は酸化反応を防がず、むしろ、酸化タンパク質のプロテアソーム分解を増大させることが示される。これらのデータは、反応性酸素種によって損傷するタンパク質の分解に関するUsp14阻害ユビキチン依存性機構があることを示す。メナジオンは細胞にとって毒性であり、IU1処理はHEK293細胞においてこの毒性を相当減少させ(図30)、タンパク質は細胞中の酸化的損傷の重大な標的であるという仮説を強力に支持する。IU1はまた、未関連の酸化剤である過酸化水素の毒性も減少させる(データは図示せず)。Usp14に対して不活性であるIU1の変異体であるIU1Cは、メナジオンの細胞毒性を減少させられなかった(データは図示せず)。重大なことには、これらの実験は、IU1がタンパク質毒性ストレス中の細胞の生存を促進させられることを示す。
【0413】
実施例8−細胞の増殖および生存率へのIU1の影響
次に、細胞の生存率へのIU1の影響をMTTアッセイにより調査した。IU1を様々な濃度でMEF、HEK293およびHeLa細胞に加え、その後、IU1のインキュベーションの6、12、24または48時間後にMTT溶液を加えた。細胞の生存率への影響は、100μMを超える濃度で明白になった。この濃度は、Tau、TDP−43、アタキシン−3、および酸化タンパク質の分解を増加させるのに必要な投与量をかなり超えている。さらに、IU1は、TUNELアッセイにより評価されるように、MEF細胞におけるアポトーシスを著しくは誘発しなかった(図31)。
【0414】
様々な濃度のIU1に曝露されていたMEF(図28)および293細胞の細胞増殖を、リアルタイムで顕微鏡により測定した。このアッセイの結果により、120μMでの細胞増殖がごくわずかしか阻害されず、それより低い濃度では明白な阻害が見られないことが明らかになった(図28)。先に示された細胞死亡率の結果と一緒に解釈すると、このことは、Usp14によるユビキチン鎖の切断のIU1による阻害は、細胞機能をひどくは損なわないことを示す。
【0415】
同等物
本発明は、一部には、プロテアソーム基質、ユビキチン−プロテアソーム経路の上流成分、またはプロテアソーム自体のいずれかを含む、プロテアソームによるタンパク質の回転率の増大および疾病の治療のための方法を提供する。本発明の特定の実施の形態を議論してきたが、先の明細書は、説明のためであって、制限のためではない。本発明の多くの変種が、本明細書を検討した際に当業者には明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲は、そのような実施の形態および変種の全てを権利主張することを意図しておらず、本発明の全範囲は、同等物の全範囲と共に特許請求の範囲を、またそのような変種と共に明細書を参照することによって、決定されるべきである。
【0416】
ここに挙げられた全ての刊行物および特許は、各刊行物または特許が具体的かつ個別に参照により含まれると示されているように、それらの全てがここに引用される。争いの場合、ここに記載された定義を含む本出願が統制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:
【化1】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体:
式中、各発生毎に独立して、
Aが4−フルオロフェニルであり、R1がメチルであり、R2がメチルであり、Xが
【化2】
であり、Yが−CH2(ピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件、および
Aが4−メチルフェニルであり、R1がメチルであり、R2がメチルであり、Xが
【化3】
であり、Yが−CH2(4−メチルピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件で、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
Zは、=C(R8)−、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはZが=C(R2)−である場合、2つのR2が一緒になって、
【化4】
であり;
Xは、
【化5】
またはヘテロアリールであり;
Yは、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、または−NR5(N−ヘテロシクリル)であり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【請求項2】
Aがアリールまたはヘテロアリールであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて前記ヘテロシクリル基に結合した前記置換基のいずれかからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Aが
【化6】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により2位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Aが
【化7】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により3位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Aが
【化8】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項11】
Aが
【化9】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される置換基により2位と4位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Aが
【化10】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項14】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項15】
Aが
【化11】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項16】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリミジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項17】
Aが
【化12】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項18】
Aがビアリールであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項19】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、4−(フェニル)フェン−1−イルまたは4−(2−ピリジニル)フェン−1−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項20】
Aが
【化13】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項21】
R1が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
R1がアルキル、ハロアルキルまたはフルオロアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
R1がメチル、ハロメチルまたはフルオロメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
R1がエチル、ハロエチルまたはフルオロエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
R2が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
R2がアルキル、ハロアルキルまたはフルオロアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
R2がメチル、ハロメチルまたはフルオロメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項28】
R2がエチル、ハロエチルまたはフルオロエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
R1が水素であり、R2が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
R1がアルキルであり、R2がアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
R1がメチルであり、R2がメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
R1がエチルであり、R2がエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
Zが=C(R8)−であり、R8が水素であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
Zが=C(R8)−であり、R8がアルキルであることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項35】
Zが=N−であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項36】
Zが=C(R2)−であり、2つのR2が一緒になって、
【化14】
であることを特徴とする請求項1から24いずれか1項記載の化合物。
【請求項37】
Xが
【化15】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
Xが
【化16】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
Xが
【化17】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項40】
Yが−CH2NR3R4であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項41】
Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項42】
Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
Yが−CH2NR3R4であり、R4が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項44】
Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項45】
Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項46】
Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルコキシアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項47】
Yが
【化18】
であることを特徴とする請求項1から38いずれか1項記載の化合物。
【請求項48】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(N−ヘテロシクリル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項49】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)、−CH2(ピペラジン−1−イル)、−CH2(ヘキサヒドロピリミジン−1−イル)、−CH2(モルホリン−1−イル)または−CH2(1,3−オキサジナン−3−イル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項50】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)または−CH2(ピペラジン−1−イル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項51】
Yが
【化19】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項52】
Yが、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)nN(アルキレン)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2または−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキレン)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項53】
Yが、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)または−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項54】
nが1であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項55】
nが2であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項56】
nが3であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項57】
nが4であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項58】
Yが
【化20】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項59】
Yが−NR3R4であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項60】
Yが−NR3R4であり、R3が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項61】
Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項62】
Yが−NR3R4であり、R4が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項63】
Yが−NR3R4であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項64】
Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項65】
Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項66】
Yが−NR5NR6R7または−NR5(N−ヘテロシクリル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項67】
Yが−NR5NR6R7であり、R5が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項68】
Yが−NR5NR6R7であり、R5がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項69】
Yが−NR5NR6R7であり、R5、R6およびR7が、独立して、水素またはアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項70】
Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項71】
Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項72】
Yが
【化21】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項73】
【化22−1】
【化22−2】
【化22−3】
【化22−4】
【化22−5】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体:
式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【請求項74】
請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項75】
Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、前記Usp14タンパク質を、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法。
【請求項76】
細胞におけるプロテアソームによるタンパク質分解を増大させる方法であって、前記細胞を、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法。
【請求項77】
対象におけるタンパク質症を治療するまたは予防する方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項78】
前記タンパク質症が、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、セルピン病、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、および重症疾患ミオパチーからなる群より選択されることを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記タンパク質症が、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症またはマシャド・ジョセフ病であることを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項80】
対象において、向上したタンパク質破壊が治療に効く疾病を治療するまたは予防する方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項81】
前記疾病が、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、および骨パジェット病と前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)からなる群より選択されることを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項82】
対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項83】
対象において、Tau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項84】
前記対象がヒトであることを特徴とする請求項77から83いずれか1項記載の方法。
【請求項85】
酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含む単離されたプロテアソーム。
【請求項86】
前記プロテアソームがビニルスルホン−Uch37付加物を含むことを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項87】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項88】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項89】
酵素的な活性なUsp14を含み、酵素的に活性なUch37を欠如する単離されたプロテアソーム。
【請求項90】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項89記載のプロテアソーム。
【請求項91】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項89記載のプロテアソーム。
【請求項92】
酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを生成する方法であって、
(a) Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームを精製する工程、
(b) 精製された前記プロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理する工程、および
(c) 前記精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUch14で再構成する工程、
を有してなる方法。
【請求項93】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項94】
前記Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームが、HEK293細胞から精製されることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項95】
前記脱ユビキチン化酵素阻害剤がユビキチン−ビニルスルホンであることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項96】
前記活性なUsp14が組換え産生されることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項97】
Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、
(a) 酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを提供する工程、
(b) 前記プロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させる工程、および
(c) 前記試験化合物が前記基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する工程、
を有してなる方法。
【請求項98】
前記基質が、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能なレポーターに結合されていることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項99】
前記基質がUb−AMCであることを特徴とする請求項98記載の方法。
【請求項100】
前記基質がユビキチン依存性プロテアソーム基質であることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項101】
前記基質の脱ユビキチン化が、基質の分解の阻害により示されることを特徴とする請求項100記載の方法。
【請求項102】
前記基質が多重ユビキチン化サイクリンBであることを特徴とする請求項101記載の方法。
【請求項103】
前記プロテアソームがビニルスルホン−Uch37付加物を含むことを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項104】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項105】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項106】
請求項85から91いずれか1項記載の単離されたプロテアソーム、および使用説明書を含むキット。
【請求項107】
Usp14基質をさらに含むことを特徴とする請求項106記載のキット。
【請求項108】
前記Usp14基質がUb−AMCまたは多重ユビキチン化サイクリンBであることを特徴とする請求項107記載のキット。
【請求項1】
式II:
【化1】
により表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体:
式中、各発生毎に独立して、
Aが4−フルオロフェニルであり、R1がメチルであり、R2がメチルであり、Xが
【化2】
であり、Yが−CH2(ピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件、および
Aが4−メチルフェニルであり、R1がメチルであり、R2がメチルであり、Xが
【化3】
であり、Yが−CH2(4−メチルピペリジン−1−イル)である場合、Zが=C(H)−ではないという条件で、
Aは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、またはビアリールであり;
R1は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
Zは、=C(R8)−、=C(R2)−または=N−であり;
R2は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、低級アルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
またはZが=C(R2)−である場合、2つのR2が一緒になって、
【化4】
であり;
Xは、
【化5】
またはヘテロアリールであり;
Yは、−CH2NR3R4、−CH2(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2、−CH2N(アルキル)(CH2)n(N−ヘテロシクリル)、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)、−NR3R4、−NR5NR6R7、または−NR5(N−ヘテロシクリル)であり;
nは、1、2、3または4であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R4は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R8は、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
R9はアルキルであり;または2つのR9が、それらが結合する窒素と一緒になって、N−ヘテロシクリル基であり;
R10は、水素、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、アルコキシアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、N−ヘテロシクリル、アミノアルキル、アミドアルキル、またはN−ヘテロシクリルアルキルである。
【請求項2】
Aがアリールまたはヘテロアリールであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、フルオロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、フルオロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノ、アミド、アジド、アミノスルホニル、アミノスルフィニル、シアノ、ニトロ、ホスフィニル、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、およびメチレンまたはエチレン部分を通じて前記ヘテロシクリル基に結合した前記置換基のいずれかからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリミジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、フェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Aが
【化6】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により2位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Aが
【化7】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により3位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Aが
【化8】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項11】
Aが
【化9】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される置換基により2位と4位で置換されたフェニルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Aが
【化10】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項14】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項15】
Aが
【化11】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項16】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より選択される置換基により4位で必要に応じて置換されたピリミジン−2−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項17】
Aが
【化12】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項18】
Aがビアリールであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項19】
Aが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノ、アジド、シアノ、およびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、4−(フェニル)フェン−1−イルまたは4−(2−ピリジニル)フェン−1−イルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項20】
Aが
【化13】
であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項21】
R1が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
R1がアルキル、ハロアルキルまたはフルオロアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
R1がメチル、ハロメチルまたはフルオロメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
R1がエチル、ハロエチルまたはフルオロエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
R2が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
R2がアルキル、ハロアルキルまたはフルオロアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
R2がメチル、ハロメチルまたはフルオロメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項28】
R2がエチル、ハロエチルまたはフルオロエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
R1が水素であり、R2が水素であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
R1がアルキルであり、R2がアルキルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
R1がメチルであり、R2がメチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
R1がエチルであり、R2がエチルであることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
Zが=C(R8)−であり、R8が水素であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
Zが=C(R8)−であり、R8がアルキルであることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項35】
Zが=N−であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項36】
Zが=C(R2)−であり、2つのR2が一緒になって、
【化14】
であることを特徴とする請求項1から24いずれか1項記載の化合物。
【請求項37】
Xが
【化15】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
Xが
【化16】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
Xが
【化17】
であることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の化合物。
【請求項40】
Yが−CH2NR3R4であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項41】
Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項42】
Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
Yが−CH2NR3R4であり、R4が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項44】
Yが−CH2NR3R4であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項45】
Yが−CH2NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項46】
Yが−CH2NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルコキシアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項47】
Yが
【化18】
であることを特徴とする請求項1から38いずれか1項記載の化合物。
【請求項48】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(N−ヘテロシクリル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項49】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)、−CH2(ピペラジン−1−イル)、−CH2(ヘキサヒドロピリミジン−1−イル)、−CH2(モルホリン−1−イル)または−CH2(1,3−オキサジナン−3−イル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項50】
Yが、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、フルオロアルキルオキシ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択される1、2、3、4または5の置換基により必要に応じて置換された、−CH2(ピペリジン−1−イル)または−CH2(ピペラジン−1−イル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項51】
Yが
【化19】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項52】
Yが、−CH2NH(CH2)nNH(アルキル)、−CH2NH(CH2)nN(アルキル)2、−CH2NH(CH2)nN(アルキレン)、−CH2N(アルキル)(CH2)nNH(アルキル)、−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキル)2または−CH2N(アルキル)(CH2)nN(アルキレン)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項53】
Yが、−CH2NH(CH2)nO(アルキル)または−CH2N(アルキル)(CH2)nO(アルキル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項54】
nが1であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項55】
nが2であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項56】
nが3であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項57】
nが4であることを特徴とする請求項52または53記載の化合物。
【請求項58】
Yが
【化20】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項59】
Yが−NR3R4であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項60】
Yが−NR3R4であり、R3が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項61】
Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項62】
Yが−NR3R4であり、R4が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項63】
Yが−NR3R4であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項64】
Yが−NR3R4であり、R3が水素であり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項65】
Yが−NR3R4であり、R3がアルキルであり、R4がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項66】
Yが−NR5NR6R7または−NR5(N−ヘテロシクリル)であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項67】
Yが−NR5NR6R7であり、R5が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項68】
Yが−NR5NR6R7であり、R5がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項69】
Yが−NR5NR6R7であり、R5、R6およびR7が、独立して、水素またはアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項70】
Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5が水素であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項71】
Yが−NR5(N−ヘテロシクリル)であり、R5がアルキルであることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項72】
Yが
【化21】
であることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の化合物。
【請求項73】
【化22−1】
【化22−2】
【化22−3】
【化22−4】
【化22−5】
からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体:
式中、Wは、メチル、フルオロ、クロロ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、−SO2NH2または−C(=O)NH2である。
【請求項74】
請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項75】
Usp14タンパク質の脱ユビキチン化活性を阻害する方法であって、前記Usp14タンパク質を、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法。
【請求項76】
細胞におけるプロテアソームによるタンパク質分解を増大させる方法であって、前記細胞を、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体と接触させる工程を含む方法。
【請求項77】
対象におけるタンパク質症を治療するまたは予防する方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項78】
前記タンパク質症が、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管症、網膜神経節細胞変性症、牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、遺伝性アミロイド性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、セルピン病、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、アポAIアミロイドーシス、アポIIアミロイドーシス、アポAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎、白内障、上皮内甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜変性、皮膚苔癬アミロイドーシス、ラクトフェリンによる角膜アミロイドーシス、肺胞たん白症、歯原性腫瘍アミロイド、精嚢アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、および重症疾患ミオパチーからなる群より選択されることを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記タンパク質症が、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症またはマシャド・ジョセフ病であることを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項80】
対象において、向上したタンパク質破壊が治療に効く疾病を治療するまたは予防する方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項81】
前記疾病が、フォンヒッペル・リンドウ病、脊髄小脳失調症1型、アンジェルマン症候群、巨大軸索神経病、および骨パジェット病と前頭側頭型痴呆をともなう封入体ミオパチー(IBMPFD)からなる群より選択されることを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項82】
対象におけるプロテアソーム機能を向上させる方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項83】
対象において、Tau、TDP−43またはアタキシン−3の分解を増加させる方法であって、前記対象に、請求項1から73いずれか1項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくはIU1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、化学的に保護された形態、鏡像異性体または立体異性体、もしくは請求項74記載の薬剤組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項84】
前記対象がヒトであることを特徴とする請求項77から83いずれか1項記載の方法。
【請求項85】
酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含む単離されたプロテアソーム。
【請求項86】
前記プロテアソームがビニルスルホン−Uch37付加物を含むことを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項87】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項88】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項85記載のプロテアソーム。
【請求項89】
酵素的な活性なUsp14を含み、酵素的に活性なUch37を欠如する単離されたプロテアソーム。
【請求項90】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項89記載のプロテアソーム。
【請求項91】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項89記載のプロテアソーム。
【請求項92】
酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを生成する方法であって、
(a) Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームを精製する工程、
(b) 精製された前記プロテアソームを脱ユビキチン化酵素阻害剤で処理する工程、および
(c) 前記精製されたプロテアソームを酵素的に活性なUch14で再構成する工程、
を有してなる方法。
【請求項93】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項94】
前記Usp14を欠如するが、Uch37を含むプロテアソームが、HEK293細胞から精製されることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項95】
前記脱ユビキチン化酵素阻害剤がユビキチン−ビニルスルホンであることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項96】
前記活性なUsp14が組換え産生されることを特徴とする請求項92記載の方法。
【請求項97】
Usp14の阻害剤をスクリーニングする方法であって、
(a) 酵素的に不活性なUch37を含み、酵素的に活性なUsp14をさらに含むプロテアソームを提供する工程、
(b) 前記プロテアソームを試験化合物およびUsp14基質と接触させる工程、および
(c) 前記試験化合物が前記基質の脱ユビキチン化を阻害するか否かを決定する工程、
を有してなる方法。
【請求項98】
前記基質が、脱ユビキチン化酵素による開裂後に検出可能なレポーターに結合されていることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項99】
前記基質がUb−AMCであることを特徴とする請求項98記載の方法。
【請求項100】
前記基質がユビキチン依存性プロテアソーム基質であることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項101】
前記基質の脱ユビキチン化が、基質の分解の阻害により示されることを特徴とする請求項100記載の方法。
【請求項102】
前記基質が多重ユビキチン化サイクリンBであることを特徴とする請求項101記載の方法。
【請求項103】
前記プロテアソームがビニルスルホン−Uch37付加物を含むことを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項104】
前記Usp14が組換えタンパク質であることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項105】
前記プロテアソームがヒトプロテアソームまたはネズミプロテアソームであることを特徴とする請求項97記載の方法。
【請求項106】
請求項85から91いずれか1項記載の単離されたプロテアソーム、および使用説明書を含むキット。
【請求項107】
Usp14基質をさらに含むことを特徴とする請求項106記載のキット。
【請求項108】
前記Usp14基質がUb−AMCまたは多重ユビキチン化サイクリンBであることを特徴とする請求項107記載のキット。
【図4】
【図14】
【図17】
【図20】
【図24】
【図25】
【図26】
【図29】
【図30】
【図31−1】
【図31−2】
【図31−3】
【図31−4】
【図31−5】
【図31−6】
【図31−7】
【図31−8】
【図31−9】
【図31−10】
【図31−11】
【図31−12】
【図31−13】
【図31−14】
【図42】
【図46】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【図28】
【図31−15】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図45−1】
【図45−2】
【図47】
【図14】
【図17】
【図20】
【図24】
【図25】
【図26】
【図29】
【図30】
【図31−1】
【図31−2】
【図31−3】
【図31−4】
【図31−5】
【図31−6】
【図31−7】
【図31−8】
【図31−9】
【図31−10】
【図31−11】
【図31−12】
【図31−13】
【図31−14】
【図42】
【図46】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【図28】
【図31−15】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図45−1】
【図45−2】
【図47】
【公表番号】特表2013−518129(P2013−518129A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551323(P2012−551323)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022929
【国際公開番号】WO2011/094545
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022929
【国際公開番号】WO2011/094545
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】
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