説明

プロテアーゼ活性および肝障害のための動物モデル

本発明は、プロテアーゼ活性について、および脂肪症を含む肝障害についてのモデルとして有用である非トランスジェニック、非ヒト動物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアーゼ活性について、および脂肪症を含む肝障害についてのモデルとして有用である非トランスジェニック、非ヒト動物に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(「HCV(Hepatitis C virus)」)の感染は、抵抗し難いヒトの医学的問題である。HCVは、非A、非B肝炎の多くの場合の原因因子として認識されており、全体でヒト血清有病率が3%であると推定される[A.Alberti et al.,「Natural History of Hepatitis C,」J.Hepatology,31.,(補遺1),pp.17-24(1999)]。米国のみでも、ほぼ四百万人の個体が感染している可能性がある[M.J.Alter et al.,「The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States,Gastroenterol.Clin.North Am.,23,pp.437-455(1994);M.J.Alter「Hepatitis C Virus Infection in the United States,「J.Hepatology,31.,(補遺1),pp.88-91(1999)」。
【0003】
HCVへの最初の曝露に際して、感染した個体の約20%のみが臨床的肝炎を発症するのに対して、その他は自発的に感染を無効にするようである。しかし、約70%の例において、ウイルスは、何十年もの間持続する慢性的感染を確立する[S.Iwarson,「The Natural Course of Chronic Hepatitis,」FEMS Microbiology Reviews,14,pp.201-204(1994);D.Lavanchy,「Global Surveillance and Control of Hepatitis C,」J.Viral Hepatitis,6,pp.35-47(1999)]。これは、通常、再発性かつ進行的に悪化する肝臓炎症を生じ、この肝臓炎症は、しばしば肝硬変および肝細胞癌などのより重篤な疾患状態をもたらす[M.C.Kew,「Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma」,FEMS Microbiology Reviews,14,pp.211-220(1994);I.Saito et al.,「Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,」Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,pp.6547-6549(1990)]。
【0004】
HCVはフラビウイルス科ファミリーに属するRNAウイルスである。このウイルスは、血液由来の病原体として分類され、血液由来の生成物との接触を主として通して伝染される。HCVは、感染したヒトにおいて慢性肝炎、線維症、および肝細胞癌を引き起こす。そのウイルスゲノムは、9.6Kbの長さでありかつ3つの構造タンパク質および7つの非構造タンパク質をコードする+鎖RNAからなる。構造タンパク質であるコア、エンベロープ1、およびエンベロープ2は、ウイルスアセンブリーおよびパッキングのために必要とされる。
【0005】
NS2−5から多岐にわたる非構造タンパク質(non structural protein)は、ウイルス複製およびポリタンパク質プロセシングのために必要である種々の機能を実行する。
【0006】
NSタンパク質は、3010〜3033アミノ酸ポリタンパク質のタンパク質分解性切断に由来する[R.Bartenschlager et al.,「Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine-Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions」J.Virol.,67,pp.3835-3844(1993);A.Grakoui et al.,「Characterization of the Hepatitis C Virus-Encoded Serine Proteinase:Determination of Proteinase-Dependent Polyprotein Cleavage Sites」J.Virol.,67,pp.2832-2843(1993);A.Grakoui et al.,「Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products」J.Virol.,67,pp.1385-1395(1993);L.Tomei et al.,「NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein」,J.Virol.,67,pp.4017-4026(1993)]。
【0007】
HCV NSタンパク質3(NS3)は、ウイルス酵素の大部分をプロセスすることを補助するセリンプロテアーゼ活性を含み、従って、ウイルス複製および感染性のために必須であると考えられている。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027〜1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流の部位をプロセスするNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されてきた[C.Lin et al.,「Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase:Trans-Cleavage Requirements and Processing Kinetics」J.Virol.,68,pp.8147-8157(1994)]。
【0008】
HCV NS3セリンプロテアーゼおよびその結合したコファクター、NS4Aは、全てのウイルス酵素をプロセスすることを補助し、従って、ウイルス複製のために必須であると考えられる。
【0009】
満足のゆくいかなる抗HCV剤または抗HCV治療も現在存在しない。HCV疾患のための唯一の確立した治療は、ペグ化インターフェロンおよびリバビリン治療である。しかし、インターフェロンは顕著な副作用を有し[M.A.Wlaker et al.,「Hepatitis C Virus:An Overview of Current Approaches and Progress」DDT,4,pp.518-29(1999);D.Moradpour et al.,「Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,「Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.,11,pp.1199-1202(1999);H.L.A.Janssen et al.,「Suicide Associated with Alfa-Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis」J.Hepatol.,21,pp.241-243(1994);P.F.Renault et al.,「Side Effects of Alpha Interferon」Seminars in Liver Disease,9,pp.273-277(1989)」、かつ症例の一部(〜25%)のみにおいて長期的な寛解を誘導する[O.Weiland「Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection」,FEMS Microbiol.Rev.,14,pp.279-288(1994)]。さらに、有効な抗HCVワクチンの見通しは不確かなままである。
【0010】
HCVプロテアーゼインヒビターを開発する進歩は、堅固(robust)かつ再現可能な動物モデルの欠如によって妨害されている。多くの動物はHCV感染に対して感受性ではない。
【0011】
チンパンジーは、HCVについて最も理解されている動物モデルである(Bassett et al.,J Virol.Feb;73(2):1118-26 1999;Bassett et al.,Hepatology.29(6):1884-92,1999 Brasky et al.,1998;Bassett et al.,J Virol.72(4):2589-99,1998;Bukh、Hepatology,39(6):1469-75,2004;Bukh,Apgar et al.,J Infect Dis.178(4):1193-7 1998;Kolykhalov,Mihalik et al.,J Virol.2000 Feb;74(4):2046-51,2000;Bukh、Forns et al.,Intervirology,44(2-3):132-42,2001)。しかし、倫理的な問題ならびにチンパンジーにおける試験薬物に関連するコストおよび利用可能性の問題が存在する。さらに、チンパンジーのHCV感染はより穏やかな経過をたどり(Walker,Springer Semin Immunopathol.19(1):85-98 1997)、疾患のスペクトルはヒトHCV感染とは異なる。ヒトにおける70%のHCV感染が慢性感染となり、感染した患者の30%がウイルスをクリアする。対照的に、65〜80%の感染したチンパンジーがウイルスをクリアし、25〜30%の感染が急性肝炎を生じる。さらに、チンパンジーにおけるHCV感染の疾患の経過はヒトよりも穏やかであり、チンパンジーはHCV感染の結果として肝硬変を発症しない。チンパンジーをHCVに感染させるコストは動物あたり約60,000ドルである。
【0012】
下等霊長類(Bukh,Apgar et al.,J Viral Hepat.,8(3):228-31 2001;Korzaya,Lapin et al.,Bull Exp Biol Med.,133(2):178-81,2002)またはヒヒ(Sithebe,Kew et al.,J Med Virol.,66(4):468-71 2002)などの他の非ヒト霊長類モデルをHCVで感染させる試みは、入り交じった結果を経験してきた。タマリンのGBウイルス感染などの代わりの動物モデル(Garson,Whitby et al.,J Med Virol.52(3):286-8.1997);(Bukh,Apgar et al.,Virology.30;262(2):470-8 1999;Beames,Chavez et al.,J Virol.,74(24):11764-72 2000;Beames,Chavez et al.,ILAR J.,42(2):152-60,2001;Sbardellati,Scarselli et al.,2001;Lanford,Chavez et al.,Virology.,311(1):72-80 2003;Martin,Bodolaet al.,Proc Natl Acad Sci U S A.,100(17):9962-7 2003)は、変動する成功を経験してきた。
【0013】
HCV誘導性の肝臓病原性および肝細胞癌(HCC)を研究するためにHCVの一部を有するトランスジェニックマウスが報告されてきた(Koike,Moriya et al.,J Gen Virol.,76(Pt 12):3031-8,1995;Kawamura,Furusaka et al.,1997;Moriya,Yotsuyanagi et al.,J Gen Virol.,78(Pt 7):1527-31,1997;Pasquinelli,Shoenberger et al.,Hepatology.,25(3):719-27 1997;A.Honda et al.,J.Med.Virol.,59,pp.281-289(1999);Koike Nippon Rinsho.,59(7):1265-70 2001;He,Cheng et al.,World J Gastroenterol.9(3):474-8 2003)。これらのトランスジェニックモデルは、ウイルス生活環を適切にモデリングしていないことを含むいくつかの欠点に苦しんでいる(V.Brass et al.,Hepatology Elsewhere,H.Jaeschke et al.,ed.,Hepatology,35,pp.722-724(2002))。キメラヒト肝臓を有するマウスもまた、文献に報告されてきた。HCV感染したヒトPBMCを移植されたSCIDマウスは、接種後8週間のHCVの持続を実証することが報告されたが、8例のマウスの内の2例のみが複製可能な(−鎖)型のHCVの存在(ウイルスの複製を示す)を示した(Bronowicki,Loriot et al.,Hepatology.28(1):211-8,1998)。腫瘍を有するHCVを移植されたヌードマウスは、わずかなHCV複製を生じた(Labonte,Morin et al.,J Med Virol.66(3):312-9,2002)。腎臓被膜(kidney capsule)において腫瘍を有するHCVの移植を伴う三量体マウスモデル(Galun,Burakova et al.,J Infect Dis,172(1):25-30,1995;Ilan,Arazi et al.,J Infect Dis.185(2):153-61 2002;DaganおよびEren,Curr Opin Mol Ther.,5(2):148-55,2003)およびSCID−uPAマウスにおけるHCV感染したヒト肝細胞の首尾よい再増殖(D.F.Mercer et al.,Nature Medicine,7,pp.927-933(2001))もまた実証されてきた。しかし、このモデルは、技術的に要求が厳しく、かつこれは肝細胞の変動する再増殖に依存するため、このモデルに関連する多数の変動性が存在する。
【0014】
小動物(例えば、マウス)モデルは化合物を節約して使用し、かつ科学者が、抗ウイルス化合物の吸収、分布、代謝、および毒性に依存する化合物の薬物動態学的(PK)効果を研究すること;および化合物の薬力学的(PD)効果、すなわち、その化合物のインビボでの効力を研究することを可能にする。HCVについての現在利用可能であるマウスモデル、例えば、ヒト肝臓再増殖モデルは高度に変動性でありかつ堅固ではないで、これらは抗ウイルス薬物スクリーニングのために適切ではない。
【0015】
さらに、肝臓損傷がHCV感染によって直接的に引き起こされるか否かは明らかではない(N.Fausto,Nature Medicine,7,pp.890-891(2001)。HCV関連の肝臓損傷についてのモデルは感染プロセスに洞察を与え、肝臓損傷に対して保護するための薬剤のスクリーニングを可能にする。
【0016】
脂肪症は、肝臓または身体の他の部分における脂肪の蓄積である。脂肪症は、HCV感染を有する患者において観察されてきた。しかし、他の疾患が徴候として脂肪症を有する。A.Lonardo et al.,「Steatosis and Hepatitis C Virus:Mechanism and Significance for Hepatic and Extrahepatic Disease」Gastroenterology,126,pp.586-597(2004);M.Romero-Gomez et al.,「Serum Leptin Levels Correlate with Hepatic Steatosis in Chronic Hepatitis C」98,pp.1135-1141(2003);V.Ratziu et al.,「Fat,Diabetes,and Liver Injury in Chronic Hepatitis C」6,pp.22-29(2004);F.Ramalho「Hepatitis C Virus Infection and Liver Steatosis」60 pp.125-127(2003)を参照のこと。これらの疾患、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、非常に広範囲に及んでいる。これらの疾患のための治療の研究は、適切な脂肪症モデルの欠如によって妨害されている。
【0017】
従って、より堅固であり、技術的に要求性が少なく(およびしたがって再現性があり)、高価でない、抗ウイルス薬物スクリーニングのため、および肝障害モデルとしての使用のために適切である小動物モデルに対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0018】
本発明は、プロテアーゼ活性についての動物モデルに関する。特に、本発明は、その肝臓においてプロテアーゼ−SEAPレポーター構築物を有する動物を提供する。
【0019】
本発明はまた、肝障害についての動物モデルに関する。このモデルは、肝障害を引き起こす、その肝臓に導入された、タンパク質をコードする発現構築物を有する動物を含む。
【0020】
本発明はまた、脂肪症および関連する障害についての動物モデルに関する。このモデルは、その肝臓において脂肪症を引き起こす、発現されるタンパク質をコードする発現構築物を有する動物を含む。
【0021】
本発明はまた、これらの動物に由来する細胞ならびに本明細書に記載される遺伝子系/発現構築物を含む細胞、ベクター、および細胞株に関する。
【0022】
本発明によって提供される動物モデルは、堅固で、再現性があり、かつ小動物のために適切である。これらのモデルは、例えば、薬物発見ならびにプロテアーゼ活性および肝障害をインビボでモデリングすることにおいて特に有用である。
【0023】
本発明はまた、動物モデルを調製するためのプロセス、およびこれらのモデルを使用するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の1つの実施形態によると、その肝臓が、プロテアーゼを発現するDNAに作動可能に連結されているプロモーターを含む構築物により、外因性タンパク質を発現するよう標的化された動物であって、前記プロテアーゼが、当該プロテアーゼによって切断可能である配列に連結されており、前記配列がレポーターに連結されている動物が提供される。レポーターは、プロテアーゼによる切断後、動物の中の任意の場所、例えば、動物の血液、血清、または組織に存在してもよい。1つの実施形態において、レポーターは血清中で検出可能である。
【0025】
任意の検出可能なレポータータンパク質が本発明において使用されてもよい。レポーターは、代表的には、例えば、化学発光または蛍光によって検出される。代表的なレポーターには、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および西洋ワサビペルオキシダーゼが含まれる。本発明においてまた使用されてもよいレポーターは独特なタンパク質であり、すなわち、そのネイティブな状態で動物においては存在しないもの、および検出のために使用されてもよい適切な抗体または抗体模倣物である。
【0026】
「動物」は、本明細書で使用される場合、ヒト以外の任意の哺乳動物をいう。これは、胚、胎仔、新生仔、および成体を含む任意の齢の動物を含む。本発明における使用のための動物は、例えば、商業的な供給源から利用可能である。このような動物には、実験用動物または他の動物、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、およびモルモット)、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガチョウ)、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、タマリンド、アカゲザル)が含まれるがこれらに限定されない。好ましい動物には、ラット、マウス(SCIDなど)、イヌ、サルが含まれる。より好ましい動物には、小動物、例えば、マウスまたはラットが含まれる。最も好ましくは、哺乳動物はマウスである。
【0027】
本発明の別の実施形態によると、その肝臓が、作動可能に連結されたプロモーターとその発現が肝障害を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む系により、外因性タンパク質を発現するよう標的化された非ヒト哺乳動物が提供される。より特定には、動物は非トランスジェニック、非ヒト動物である。このような肝障害は、例えば、肝臓の形態学、組織学、および/または酵素レベルを試験することによって評価することができる。
【0028】
本発明において実証されるように、本発明の動物モデルは、脂肪症によって特徴付けられる肝臓を有する。提供されるモデルはまた、HCV感染の脂肪肝を例証するために使用されてもよい。
【0029】
従って、本発明の別の実施形態によると、その肝臓が、作動可能に連結されたプロモーターとその発現が脂肪症を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む系により、外因性タンパク質を発現するよう標的化された非ヒト哺乳動物が提供される。このような肝障害は、例えば、肝臓の形態学、組織学、および/または酵素レベルを試験することによって評価することができる。
【0030】
本発明の動物モデルにおいて得られる肝障害は脂肪症を含む。従って、本発明はまた、NAFLD、非アルコール性脂肪肝(NASH)、アルコール性脂肪症、またはライ症候群などの疾患および状態についてのモデルを提供する。これらの動物モデルは、脂肪症、およびNAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群を含むがこれらに限定されない脂肪症に関連する疾患、障害、または状態を調節する化合物を同定するためのアッセイにおいて使用されてもよい。
【0031】
酵素、構造タンパク質、哺乳動物タンパク質、ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、および真菌タンパク質を含むがこれらに限定されない、任意のタンパク質が本発明において利用されてもよい。好ましいタンパク質には、例えば、プロテアーゼ、キナーゼ、およびエステラーゼが含まれる。全てのネイティブ、野生型、および変異型のDNAおよびタンパク質が本発明の実施形態において利用されてもよい。
【0032】
プロテアーゼに関連する本発明の実施形態は、哺乳動物、ウイルス、真菌、および細菌のプロテアーゼを含む任意のプロテアーゼを利用してもよい。
【0033】
当業者によって認識されるように、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼとして分類され得る。このような全てのプロテアーゼが本発明の実施形態において使用され得る。プロテアーゼの例には、カテプシン(例えば、カテプシン−B、カテプシン−D、またはカテプシン−G)、エラスターゼ、トロンビン、プラスミン、C−1エステラーゼ、C−3コンバターゼ、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子、アクロシン、β−ラクタマーゼ、D−アラニン−D−アラニンカルボキシペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、カリクレイン、レニン、ペプシン、アンギオテンシン転換酵素、エンケファリナーゼ、シュードモナスエラスターゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、エラスターゼ、スブチリシン、ブロメライン、パパイン、サーモリシン、カスパーゼ(カスパーゼ−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、および−10)が含まれるがこれらに限定されない。
【0034】
本発明における使用のための好ましいプロテアーゼには、レトロウイルス(例えば、HIV、HTLV、およびレンチ)、ピコルナウイルス(例えば、ポリオ)、フラビウイルス(例えば、HCVおよびBVDVなどの他のペスチウイルス)、植物ウイルス(例えば、キャピロウイルス)、トガウイルス(例えば、シンドビス)、パルボウイルス、およびアデノウイルスなどのウイルス由来のものが含まれる。特に、このようなウイルスプロテアーゼには、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎、H型肝炎、またはG型肝炎)、HIVプロテアーゼ、ピコルナウイルスプロテアーゼ、またはヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水痘‐帯状疱疹ウイルス、カポジ肉腫ウイルス)プロテアーゼからのプロテアーゼが含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、プロテアーゼはC型肝炎プロテアーゼである。好ましくは、C型肝炎プロテアーゼはHCV・NS3・4Aプロテアーゼである。
【0036】
遺伝子系(すなわち、例えば、HCV−SEAP融合タンパク質をコードする発現構築物)が、ウイルスベクター、肝臓への直接的注射、静脈内注射、または非ウイルス性遺伝子移入を使用することによって肝臓に送達されてもよい。送達はまた、非感染性アデノウイルス粒子、金粒子、脂質、または任意の非ウイルス遺伝子移入への結合体化を使用して達成されてもよい。
【0037】
本明細書に開示される1つの好ましい実施形態において、アデノウイルスが肝臓への送達のための伝達手段として使用された。SCIDマウスにおいて、SEAPと融合されたHCVプロテアーゼを発現するアデノウイルスを感染されたSCIDマウスの血清中において、HCVプロテアーゼ依存性のSEAP分泌が実証された。好ましい実施形態において、発現構築物は、本明細書に記載されるアデノウイルスベクターを使用することによって肝臓に送達される。
【0038】
本発明の実施は、遺伝子系(すなわち、発現構築物)の複製、したがって、タンパク質の産生を含む。必要とされる複製をもたらす任意の技術が本発明に含まれる。代表的には、このような複製は、プロモーターによってもたらされる。本発明を実施するために有用であるプロモーターには、CMV、RSV、SV40、またはアルブミンのプロモーターが含まれる。他の技術、例えば、IRESエレメントもまた、本発明に含まれる。
【0039】
本発明において、アデノウイルスは、HCVによってコードされたSEAPレポーターに融合されたプロテアーゼを含む発現構築物を含み、この発現構築物は、HCVプロテアーゼ−SEAP融合タンパク質の発現を駆動する適切なプロモーターの制御下にある。このプロモーターは、代表的には、これが融合タンパク質の発現を可能にするために作動可能に連結されるような様式で挿入される異種プロモーターである。
【0040】
用語「発現構築物」または「発現ベクター」は、遺伝子産物(例えば、HCVおよびSEAPの融合タンパク質)をコードする核酸を含む任意の型の遺伝子構築物であって、一部または全ての核酸コード配列が転写可能であるものを含むことを意味する。好ましくは、転写物はタンパク質に翻訳される。特定の実施形態において、発現は、遺伝子の転写と遺伝子産物へのmRNAの翻訳の両方を含む。
【0041】
遺伝子産物をコードする核酸は、プロモーターの転写制御下にある。「プロモーター」とは、細胞の合成機構、または導入された合成機構によって認識され、遺伝子の特異的転写を開始するために必要であるDNA配列をいう。語句「転写制御下」は、プロモーターが、RNAポリメラーゼ開始および遺伝子の発現を制御するために核酸に対して正確な位置および方向にあることを意味する。
【0042】
用語プロモーターは、RNAポリメラーゼIIについての開始部位の周りにクラスター化された転写制御モジュールの群をいうために本明細書で使用される。プロモーターは、各々が約7〜20bpのDNAからなり、かつ転写アクチベータータンパク質またはリプレッサータンパク質についての1つ以上の認識部位を含む、別々の機能的モジュールから構成される。
【0043】
目的の核酸配列の発現を制御するために利用される特定のプロモーターは、それが標的となる細胞中で核酸の発現を指揮可能である限りは、重要であるとは考えられない。従って、好ましい実施形態において、生細胞中で発現させることが可能であるプロモーターに隣接し、かつそのプロモーターの制御下にある核酸コード領域を配置することが好ましい。一般的に言えば、このようなプロモーターは、ヒトまたはウイルスプロモーターのいずれかのプロモーターを含んでもよい。
【0044】
種々の実施形態において、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス長末端反復、β−アクチン、ラットインスリンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(これらの全ては当業者に周知であり、当業者に容易に利用可能である)が、目的のコード配列の高レベル発現を得るために使用され得る。目的のコード配列の発現を達成するための、当分野において周知である、他のウイルスもしくは哺乳動物の細胞または細菌ファージのプロモーターの使用は、発現のレベルが所与の目的のために十分であるという条件で、同様に意図される。周知の特性を有するプロモーターを利用することによって、トランスフェクションまたは形質転換後の目的のタンパク質の発現のレベルおよびパターンが最適化され得る。誘導性プロモーター系、例えば、誘導性エクジソン系(Invitrogen,Carlsbad,CA)を本発明において使用してもよく、これは、哺乳動物細胞において目的の遺伝子の発現の調節を可能にするために設計される。
【0045】
1つの実施形態において、本発明は、プロモーター、好ましくはCMVを利用する。哺乳動物細胞において、CMV最初期プロモーターは、しばしば、強力な転写活性化を提供するために使用される。より強力でないCMVプロモーターの改変バージョンもまた、より少ないレベルの導入遺伝子の発現が所望される場合に使用されてきた。造血細胞中での導入遺伝子の発現が所望される場合、MLVまたはMMTVからのLTRなどのレトロウイルスプロモーターがしばしば使用される。所望の効果に依存して使用されてもよい他のウイルスプロモーターには、SV40、RSV LTR、HIV−1およびHIV−2 LTR、E1A、E2A、またはMLP領域からなどのアデノウイルスプロモーター、AAV LTR、カリフラワーモザイクウイルス、HSV−TK、およびトリ肉腫ウイルスが含まれる。
【0046】
同様に組織特異的プロモーターは、非標的組織に対する潜在的毒性または望ましくない効果を減少するために、特定の組織または細胞における転写をもたらすように使用されてもよい。肝臓特異的プロモーターには、例えば、IGFBP−1プロモーターが含まれ、Cx32遺伝子(Piechocki et al.,Carcinogenesis,Vol.20,No.3,401-406,March 1999)は肝臓特異的プロモーターを有することが知られており、多数の他の肝臓特異的遺伝子が当業者に公知であり、このような遺伝子からのプロモーターエレメントは、本明細書に記載される動物モデルを生成するために組織特異的発現を達成するために利用することができる。
【0047】
本発明における使用のために意図される別の調節エレメントはエンハンサーである。これらは、同じDNAの分子上で離れた位置に位置するプロモーターからの転写を増加する遺伝子エレメントである。エンハンサーは、プロモーターと類似して組織化されている。すなわち、これらは、多くの個々のエレメントから構成され、これらの各々は、1つ以上の転写タンパク質に結合する。エンハンサーとプロモーターの間の基本的な識別は機能上のものである。全体としてのエンハンサー領域は、一定の距離をおいて転写を刺激することが可能でなくてはならない;これは、プロモーター領域またはその成分エレメントでは必ずしも真である必要はない。他方、プロモーターは、特定の部位において、および特定の方向でRNA合成の直接的開始を方向付ける1つ以上のエレメントを有さなくてはならないのに対して、エンハンサーはこれらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば、重複しかつ連続的であり、しばしば、非常に類似のモジュラー組織化を有するように見える。本発明において有用であるエンハンサーは当業者に周知であり、利用される特定の発現系に依存する(Scharf D et al.,Results Probl Cell Differ 20:125-62,1994;Bittner et al.,Methods in Enzymol 153:516-544,1987)。
【0048】
cDNAインサートが利用される場合、代表的には、遺伝子転写物の適切なポリアデニル化をもたらすようにポリアデニル化シグナルを含むことが所望される。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功に対して決定的であるとは考えられず、任意のこのような配列、例えば、ヒトまたはウシの成長ホルモンおよびSV40のポリアデニル化シグナルが利用されてもよい。発現カセットのエレメントとしてターミネーターもまた意図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを増強するように、およびカセットからの他の配列への読み取りを最小化するように働き得る。
【0049】
本発明の特定の実施形態において、内部リボソームエントリー部位の使用は、複数遺伝子の、またはポリシストロン性のメッセージを作製するように意図される。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルをバイパスすることが可能であり、内部部位で翻訳を開始する(PelletierおよびSonenberg、Nature,334:320-325,1988)。哺乳動物メッセージからのIRES(MacejakおよびSarnow、Nature,353:90-94,1991)と同様に、ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオウイルスおよび脳脊髄炎)からのIRESエレメントが記載されている(PelletierおよびSonenberg、1988前出)。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームが一緒に転写され得、各々がIRESによって分離され、ポリシストロン性のメッセージを作製する。IRESエレメントによって、各々のオープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。複数の遺伝子が、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して効率的に発現され、単一のメッセージを転写し得る。
【0050】
任意の異種オープンリーディングフレームがIRESエレメントに連結され得る。これは、非依存性遺伝子、細胞内または膜結合タンパク質、および選択マーカーによってコードされる分泌タンパク質、複数サブユニットタンパク質のために遺伝子を含む。このようにして、いくつかのタンパク質の発現は、単一の構築物および単一の選択マーカーを用いて、細胞に同時に操作され得る。
【0051】
発現構築物を細胞に導入し得る多数の方法が存在する。本発明の特定の実施形態において、発現構築物は、ウイルスまたはウイルスゲノムに由来する操作された構築物を含む。他の実施形態において、非ウイルス送達が意図される。特定のウイルスが、レセプター媒介エンドサイトーシスを介して細胞に侵入し、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、そして安定かつ効率的にウイルス遺伝子を発現する能力は、それらを、哺乳動物細胞への外来性遺伝子の移入のための魅力的な候補にする(Ridgeway:Rodriguez R L,Denhardt D T,ed. Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses.Stoneham:Butterworth,467 492,1988;Nicolas and Rubenstein:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,Rodriguez & Denhardt(eds.),Stoneham:Butterworth,493 513,1988;Baichwal and Sugden,:Gene Transfer,Kucherlapati R,ed.,New York,Plenum Press,117 148,1986;Temin:gene Transfer,Kucherlapati(ed.),New York:Plenum Press,149 188,1986)。遺伝子ベクターとして最初に使用されたウイルスは、パポバウイルスを含むDNAウイルス(シミアンウイルス40、ウシパピローマウイルス、およびポリオーマ)(Ridgeway,1988前出;BaichwalおよびSugden、1986前出)およびアデノウイルス(Ridgeway,1988前出;BaichwalおよびSugden,1986前出)であった。これらは、外来性DNA配列について比較的低い能力を有し、かつ制限された宿主スペクトルを有する。さらに、許容性細胞におけるそれらの発現性能力および細胞変性効果は安全性の懸念を生じる。これらは、外来性遺伝物質の8kbまでのみに適合し得るが、種々の細胞株および実験用動物に容易に導入され得る。
【0052】
DNAが種々のウイルスベクターを使用して細胞に導入され得ることは、現在、広く認識されている。このような実施形態において、目的の遺伝子を含むウイルスベクターを含む発現構築物は、アデノウイルス(例えば、米国特許第5,824,544号;同第5,707,618号;同第5,693,509号;同第5,670,488号;同第5,585,362を参照のこと、各々が参照により本明細書に組み込まれる)、レトロウイルス(例えば、米国特許第5,888,502号;同第5,830,725号;同第5,770,414号;同第5,686,278号;同第4,861,719号を参照のこと、各々が参照により本明細書に組み込まれる)、アデノ随伴ウイルス(例えば、米国特許第5,474,935号;同第5,139,941号;同第5,622,856号;同第5,658,776号;同第5,773,289号;同第5,789,390号;同第5,834,441号;同第5,863,541号;同第5,851,521号;同第5,252,479号を参照のこと、各々が参照により本明細書に組み込まれる)、アデノウイルス−アデノ随伴ウイルスのハイブリッド(例えば、米国特許第5,856,152号を参照のこと、これは参照により本明細書に組み込まれる)、またはワクシニアウイルスもしくはヘルペスウイルス(例えば、米国特許第5,879,934号;同第5,849,571号;同第5,830,727号;同第5,661,033号;同第5,328,688号を参照のこと、各々が参照により本明細書に組み込まれる)のベクターであり得る。
【0053】
本発明の別の実施形態において、発現構築物は、単に裸の組換えDNAまたはプラスミドからなってもよい。構築物の移入は、物理的または化学的に細胞膜を透過する、上記に言及したいずれの方法によっても実行され得る。これは、特にインビトロでの移入のために適用可能であるが、しかし、これは、インビボ使用のためにも同様に適用されてもよい。Dubensky et al.,(Proc.Nat.Acad.Sci.SA,81:7529-7533,1984;BenvenistyおよびNeshif(Proc.Nat.Acad.Sci.USA,83:9551-9555,1986)。
【0054】
裸のDNAの発現構築物を細胞に移入するための本発明の別の実施形態は、粒子射撃を含んでもよい。この方法は、DNAコートした微粒子弾丸を高速にまで加速する能力に依存し、これは、微粒子弾丸が細胞膜を貫通し、かつ殺傷することなく細胞に侵入することを可能にする(Klein et al.,Nature,327:70-73,1987)。小粒子を加速するためのいくつかの方法が開発されている。そのような1つの方法は、電流を生成するための高電圧放電に依存し、これは次には、推進力を提供する(Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA,87:9568-9572,1990)。使用する微粒子弾丸は、タングステンや金のビーズなどの生物学的に不活性な物質から構成されていた。
【0055】
本発明の遺伝子系を含む任意の哺乳動物から得られる細胞もまた、本発明によって提供される。例えば、本発明のモデル動物は、本明細書に記載されるように生成される。その動物からの初代肝細胞は、続いて、当業者に公知の技術を使用して単離される(例えば、Culture of Animal Cells,4th Edn.,Freshney,2000,Publ.,Wiley-Liss,Inc.を参照のこと)。次いで、初代細胞は継代培養されてもよく、このように細胞株が生成されてもよい(例えば、Culture of Animal Cells,Freshney,2000の11章および12章を参照のこと)。
【0056】
本発明はさらに、本発明の遺伝子系を含む肝細胞または肝細胞株を提供する。より詳細には、本発明は、本明細書に記載されるような発現構築物で形質転換またはトランスフェクトされた肝細胞または細胞株に指向される。特に好ましい実施形態において、この発現構築物は、SEAPレポーターなどのレポーターに融合されたHCVプロテアーゼをコードする。細胞の形質転換のための方法および組成物は当業者に周知であり、これは、外因性の核酸配列で細胞株を改変するために日常的に利用される任意の技術を含み得る。
【0057】
例えば、SEAPに融合されたHCVプロテアーゼを含む発現構築物の発現のための本発明の遺伝子系を含むウイルスベクターもまた、本発明によって提供される。より詳細には、本発明は、このような融合タンパク質をコードする発現構築物を含むアデノウイルスベクターに向けられる。
【0058】
プロテアーゼ活性についての哺乳動物モデルを産生するためのプロセスもまた、本発明によって提供され、この方法は、哺乳動物を供する工程、および遺伝子系(すなわち、発現構築物)をその哺乳動物に送達する工程を含み、この遺伝子系は、A)プロモーター、B)プロテアーゼをコードするDNA、およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCは作動可能に連結されており、レポーター活性の存在がプロテアーゼ活性を示す。
【0059】
肝障害についての哺乳動物モデルを産生するためのプロセスもまた、本発明によって提供され、この方法は、哺乳動物を供する工程、およびプロモーターとその発現が肝細胞の損傷を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む発現構築物をその哺乳動物に送達する工程を含む。
【0060】
本発明のこれらのプロセスの実施形態は、動物、遺伝子系、発現構築物、および/または本明細書に開示される方法のいずれかを含む。これらのプロセスはさらに、例えば哺乳動物の肝臓において発現することに損害を与えるために十分な時間の間、哺乳動物を維持する工程を含んでもよい。
【0061】
インビトロ細胞ベースのアッセイ系は、COS−7細胞において分泌胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)に融合されたHCVプロテアーゼ(Y.-G.Cho et al.,J.Virol.Methods,72,pp.109-115(1998))、またはCOS−7およびHCVレプリコン細胞においてSEAPタンパク質に融合された緑色蛍光タンパク質(GFP)(J.-C.Lee et al.,Analyt.Biochem.,316,pp.162-170(2003))のいずれかを使用して報告されている。しかし、これらの方法はインビボでは適用可能ではない。
【0062】
本明細書に提供される動物は、プロテアーゼ活性のインビボモデルとして有用である。HCVプロテアーゼ動物モデルの有用性は、HCVプロテアーゼインヒビターの投与によって、マウスの血清へのSEAPの分泌を阻害することによって実証された(例えば図7を参照のこと)。プロテアーゼ活性の調節は、レポーター発現を測定することまたは検出することによって試験またはモニターされてもよい。
【0063】
従って、本発明の1つの実施形態は、プロテアーゼ活性を増強または阻害する薬剤を試験するための方法を提供し、この方法は、
a)本明細書の実施形態のいずれかにかかる哺乳動物を供する工程;
b)この哺乳動物に薬剤を投与する工程;および
c)レポーター発現に対するこの薬剤の効果を評価する工程を含む。
【0064】
この動物モデルにおいて発現されるプロテアーゼに依存して、種々の薬剤および化合物が、プロテアーゼの活性を増強または阻害する際のそれらの有効性についてスクリーニングされ得る。この方法は、抗HCV治療としての薬剤の有効性を試験するために特に有用である。
【0065】
SEAPと融合されたHCVプロテアーゼを発現するアデノウイルスが感染したマウスにおけるHCVプロテアーゼ依存性肝臓病理学もまた、実証された。このモデルのHCVプロテアーゼ肝障害成分の有用性は、HCVプロテアーゼインヒビターが、アデノウイルス感染においてSEAPを発現する野生型HCVプロテアーゼと関連する肝障害からマウスを保護することができたことを示すことによって実証された。
【0066】
肝臓損傷は、HCV患者において一般的に見られる。今日まで、これは、ウイルスに対して指向される宿主媒介性の免疫応答に帰せられている。しかし、HCV感染の攻撃的な経過は、HIV同時感染した患者および免疫不全患者において見られる。本発明のモデルは、免疫系の非存在下においてそれ自体によってHCVの病理学を研究するために有用であり得る。疾患のメカニズムを理解することは、疾患の経過において妨害する新規な方法を生じ得、ならびにHCV媒介肝臓損傷のための合理的な治療を設計および開発し得る。WT HCVプロテアーゼ発現マウス肝臓において観察される脂肪症は、C型肝炎の病理学におけるHCVプロテアーゼの役割を示唆する。
【0067】
従って、本発明の1つの実施形態はまた、肝障害を増強または阻害する薬剤を評価するための方法を提供し、
a)本明細書の実施形態のいずれかにかかる哺乳動物を供する工程;
b)この哺乳動物に薬剤を投与する工程;および
c)肝障害に対する薬剤の効果を評価する工程を含む。
【0068】
任意のクラスの薬剤または化合物が、この肝障害アッセイにおいて試験および/またはスクリーニングされ得る。例えば、肝障害を引き起こすこと、または肝障害を治療および/もしくは予防することに関与している任意の薬剤が試験され得る。これらの薬剤には、プロテアーゼインヒビター、カスパーゼインヒビター(例えば、ICEインヒビター、カスパーゼ−3インヒビター、カスパーゼ−7インヒビターなど)、キナーゼインヒビター(例えば、セリンおよびスレオニンプロテインキナーゼインヒビター)、IMPDHインヒビター、ホスファターゼインヒビター、プロテアーゼインヒビター、エステラーゼインヒビター、リパーゼインヒビター、サイトカインインヒビター(例えば、TNFα、TNFβのインヒビター)、アポトーシスメディエーターおよび/またはインヒビター(例えば、PARP)、抗体(またはそのフラグメント)、Fabフラグメント、および抗体様ペプチドまたはタンパク質(またはそのフラグメント)が含まれるがこれらに限定されない。この方法は、脂肪症を含む肝障害を治療または予防する薬剤の有効性を試験するために特に有用である。
【0069】
従って、本発明は、本発明の方法によって同定された化合物を投与することによって、肝障害、脂肪症、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群を阻害するための方法を提供する。
【0070】
肝障害に対する治療効力について試験される薬剤または候補物質は、タンパク質またはそのフラグメント、低分子インヒビター、または核酸分子でさえであってもよい。スクリーニングアッセイの適用を通しての同定のために最も有用な薬理学的化合物は、他の既知の肥満のモジュレーターに構造的に関連する化合物である場合であることが判明し得る。活性化合物は、天然に存在する化合物のフラグメントまたは部分を含んでもよく、または他では不活性である既知の化合物の活性な組み合わせとしてのみ見い出されてもよい。しかし、ヒトまたは動物のモデルにおけるこのような化合物の試験の前には、どれが潜在能力を有するかを決定するために、種々の候補を試験する必要がある。
【0071】
従って、活性化合物は、天然に存在する化合物のフラグメントまたは部分を含んでもよく、または他では不活性である既知の化合物の活性な組み合わせとしてのみ見い出されてもよい。従って、本発明は、肥満の徴候を阻害またはさもなければ治療する薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。葉および樹皮ならびに海洋サンプルを含む、動物、細菌、真菌、植物の供給源などの天然の供給源から単離された化合物が、潜在的に有用な薬学的薬剤の存在についての候補としてアッセイされてもよいことが提案される。
【0072】
スクリーニングされる薬学的薬剤はまた、化学的組成物または人工の化合物から誘導体化または合成され得ることが理解される。従って、肝疾患の治療において使用される既知の薬剤から出発して、合理的な薬物設計を通して設計され得る、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、低分子インヒビター、または任意の他の有機もしくは無機の化合物であり得る本発明によって候補物質が同定されることが理解される。
【0073】
「有効量」とは、特定の状況において、肝疾患の所与の指標を再現可能に変化させるために有効である量である。
【0074】
試験化合物を用いる動物の治療は、適切な型における、動物への化合物の投与を含む。投与は、臨床的または非臨床的な目的のために利用され得る任意の経路によってであり、これには、経口、鼻、口腔、直腸、膣、または局所的が含まれるがこれらに限定されない。代替的には、投与は、気管内点滴注入、気管支点滴注入、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射によってであり得る。特に意図されるものは、全身性静脈内注射、血液、脳脊髄液(CSF)、またはリンパの供給を介しての局所的投与、および腫瘍内注射である。
【0075】
インビボで化合物の有効性を決定することは、種々の異なる判断基準を含み得る。このような判断基準には、生存、炎症性応答の阻害または予防、活性レベルの増加、免疫エフェクター機能の改善、および食物摂取の改善が含まれるがこれらに限定されない。
【0076】
本明細書に実証されるように、HCVプロテアーゼインヒビターVX−950は、脂肪症を改善する際に有効である。従って、本発明の別の実施形態は、その必要がある患者に、プロテアーゼインヒビターの有効量を投与する工程を含む、脂肪症を阻害するための方法を提供する。本発明はまた、徴候として脂肪症を有する疾患、状態、または障害を治療または予防するための方法を提供する。このような疾患には、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群が含まれるがこれらに限定されない。
【0077】
VX−950は、競合的、可逆的ペプチド模倣物HCV NS3/4Aプロテアーゼインヒビターであり、3nMの定常状態結合定数(ki*)を有する(および8nMのKiを有する)(Perni et al.,AASLD meeting,Boston,October and 2003によって提示されたポスター;WO02/18369を参照のこと)。
【化1】

VX−950
【0078】
他のプロテアーゼインヒビターもまた、本発明において使用され得る。例えば、VX−950のキラル混合物が使用され得る。特定の実施形態において、使用される化合物は、以下の構造のN−プロピル側鎖でのD異性体およびL異性体の混合物であり得る。
【化2】

構造A
【0079】
「VX−950」と名付けられた、本明細書の実施例において記載される実験において使用される化合物は、n−プロピル側鎖でのエピマーの混合物として存在する。この化合物は、構造Aとして以下に表される。構造Aは、n−プロピル側鎖でのD異性体およびL異性体のジアステレオマー混合物を示すことが認識される。例えば、出発化合物として、VX−950または構造Aの化合物を使用する合理的薬物設計を通して生成された他の薬剤は、プロテアーゼインヒビターとしてのそれらの活性について試験され得る。さらに、当業者は、本発明の方法において試験され得る多数の他のプロテアーゼインヒビターを知っている。例示的なそのようなインヒビターには、PCT公開番号WO 02/18369、WO 02/08244、WO 00/09558、WO 00/09543、WO 99/64442、WO 99/07733、WO 99/07734、WO99/50230、WO 98/46630、WO 98/17679、およびWO97/43310、米国特許第5,990,276号、M.Llinas-Brunet et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,8,pp.1713-18(1998);W.Han et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,10,711-13(2000);R.Dunsdon et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,10,pp.1571-79(2000);M.Llinas-Brunet et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,10,pp.2267-70(2000);およびS.LaPlante et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,10,pp.2271-74(2000))に記載されたHCVプロテアーゼインヒビターが含まれる。プロテアーゼインヒビターを含むこれらおよび他の組成物が、脂肪症を治療する方法において使用され得る。
【0080】
脂肪症およびまたは他の肝疾患の組み合わせ治療もまた意図される。本発明のこのような組み合わせ治療方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼのインヒビター;HCV生活環における別の標的のインヒビター;内部リボソームエントリーのインヒビター、広いスペクトルのウイルスインヒビター;別のシトクロムP−450インヒビター;肝保護剤(hepatoprotective agent);脂肪症インヒビター;またはこれらの組み合わせから選択されるさらなる薬剤を含む別の成分の投与を含み得る。WO 02/18369を参照のこと。
【0081】
従って、別の実施形態において、本発明は、プロテアーゼインヒビター、および別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与する工程を含む方法を提供する。このような抗ウイルス剤には、免疫調節剤、例えば、α−、β−、およびγ−インターフェロン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびサイモシン;他の抗ウイルス剤、例えば、リバビリン、アマンタビン、およびテルビブジン;C型肝炎プロテアーゼの他のインヒビター(NS2−NS3インヒビターおよびNS3/NS4Aインヒビター);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼインヒビターを含むHCV生活環における他の標的のインヒビター;内部リボソームエントリーのインヒビター;広範なスペクトルのウイルスインヒビター、例えば、IMPDHインヒビター(例えば、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号、同第6,054,472号、WO 97/40028、WO 98/40381、WO 00/56331の化合物、ミコフェノール酸およびその誘導体、ならびにVX−497、VX−148、および/またはVX−944が含まれるがこれらに限定されない);または上記のいずれかの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0082】
以下の定義は本明細書において使用される(本願の出願日の時点で利用可能な製品を参照する商標を用いる)。
【0083】
「Peg-Intron」は、Schering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能なPEG-Intron(登録商標)、ペグインターフェロンα−2bを意味する;
「Intron」は、Schering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能なIntron-A(登録商標)、インターフェロンα−2bを意味する。
「リバビリン」は、ICN Pharmaceuticals,Inc.,Costa Mesa,CAから入手可能なリバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)意味し;Merck Index、エントリー8365、第12版において記載され;Rebetol(登録商標)としてSchering Corporation,Kenilworth,NJから、またはCopegus(登録商標)としてHoffmann-La Roche,Nutley,NJから入手可能である;
「Pagasys」は、Hoffmann-La Roche,Nutley,NJから入手可能であるPegasys(登録商標)、ペグインターフェロンα−2aを意味する;
「Roferon」は、Hoffmann-La Roche,Nutley,NJから入手可能であるRoferon(登録商標)、組換えインターフェロンα−2aを意味する;
「Berefor」は、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,CTから入手可能であるBerefor(登録商標)、インターフェロンα2を意味する;
Sumiferon(登録商標)は、Sumitomo,Japanから入手可能であるSumiferonなどの天然のαインターフェロンの精製ブレンドである;
Wellferon(登録商標)は、Glaxo#Wellcome Ltd.,Great Britainから入手可能であるインターフェロンα n1である;
Alferon(登録商標)は、Interferon Sciencesによって製造され、Purdue Frederick Co.,CTから入手可能である天然のαインターフェロンの混合物である。
【0084】
用語「インターフェロン」は、本明細書で使用される場合、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、かつ免疫応答を調節する高度に相同な種特異的タンパク質のファミリーのメンバーを意味し、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、またはインターフェロンγである。Merck Indexエントリー5015、第12版。インターフェロンはまた、WO 02/018369に記載されている。これらのインターフェロンのいずれもが本発明の実施形態において使用され得る。HCV NS3/4Aセリンプロテアーゼは、インターフェロン調節因子−3(IRF-3;Foy et al.,Science 300,1145-1148を参照のこと)のリン酸化およびエフェクター作用をブロックする。IRF−3は、鍵となるシグナル伝達分子であり、したがって、この分子上のHCVプロテアーゼの作用は、HCVインターフェロンの有害な効果を導く可能性がある。HCVプロテアーゼの阻害は、IRF−3の機能を回復させ得、かつHCV感染の治療において治療的な価値のあるものである。したがって、本発明の動物モデルは、IRF−3シグナル伝達に対するHCVプロテアーゼの作用を改善する薬剤の効力について試験するために利用され得る。
【0085】
本発明の好ましい実施形態に従うと、インターフェロンはαインターフェロンである。別の実施形態に従うと、本発明は、天然のαインターフェロン2aを利用する。または、本発明は、天然のαインターフェロン2bを利用する。別の実施形態において、本発明は、組換えのαインターフェロン2aまたは2bを利用する。なお別の実施形態において、インターフェロンは、ペグ化αインターフェロン2aまたは2bである。本発明のために適切なインターフェロンには以下が含まれる。
(a)Intron、
(b)Peg-Intron、
(c)Pegasys、
(d)Roferon、
(e)Berofor、
(f)Sumiferon、
(g)Wellferon、
(h)Amgen,Inc.,Newbury Park,CAから入手可能なコンセンサスαインターフェロン、
(i)Alferon;
(j)Viraferon(登録商標)、
(k)Infergen(登録商標)。
【0086】
当業者によって認識されるように、経口投与が治療レジメンにおいて好ましい。インターフェロンは、典型的には、経口的に投与されない。それにも関わらず、本明細書におけるいかなるものも、本発明の方法または組成物を、任意の特定の投薬形態またはレジメンに制限されない。従って、本発明の方法および組成物の各々の成分は、別々に、一緒に、またはその任意の組み合わせで投与されてもよい。
【0087】
本発明にかかる方法はまた、シトクロムP450モノオキシゲナーゼインヒビターを投与する工程を含む。CYPインヒビターは、CYPによって阻害される化合物の肝臓濃度を増加させ、および/または血液レベルを増加させる際に有用であり得る。
【0088】
薬物の薬物動態学を改善すること(例えば、CYPインヒビターを投与することによって)の利点は、当分野において十分に受け入れられている。CYPインヒビターを投与することによって、本発明は、プロテアーゼインヒビター、VX−950の代謝を減少させる。VX−950の薬物動態学はそれによって改善される。薬物の薬物動態学を改善することの利点は当分野において十分に受け入れられている。このような改善は、プロテアーゼインヒビターの血液レベルの増加をもたらし得る。HCV治療のためにより重要なことには、この改善は、肝臓におけるプロテアーゼインヒビターの濃度の増加をもたらし得る。
【0089】
本発明の方法において、投与されるCYPインヒビターの量は、CYPインヒビターの非存在下におけるVX−950の血液レベルと比較して、このプロテアーゼインヒビターの血液レベルを増加させるために十分である。有利には、したがって、本発明の方法において、さらに低い用量のプロテアーゼインヒビターでさえ使用することもできる(プロテアーゼインヒビター単独の投与と比較して)。
【0090】
CYPインヒビターには、リトナビル(WO 94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、フォスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944、およびVX−497が含まれるがこれらに限定されない。好ましいCYPインヒビターには、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾールが含まれる。
【0091】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は公知である(米国特許第6,037,157号およびYun et al.,Drug Metabolism & Disposition,vol.21,pp.403-407(1993)を参照のこと)。
【0092】
本発明において利用されるCYPインヒビターは、1つのみのアイソザイムまたは1つより多くのアイソザイムのインヒビターであり得る。CYPインヒビターがより多くのアイソザイムを阻害する場合、それにも関わらず、インヒビターは、別のアイソザイムよりもより選択的に1つのアイソザイムを阻害し得る。任意のこのようなCYPインヒビターが、本発明の方法において使用され得る。
【0093】
本発明の実施形態は、化合物、例えば、VX−950またはその薬学的に受容可能な塩などのプロテアーゼインヒビターを含む組成物を利用し得る。認識されるように、このような組成物は、典型的には、薬学的に受容可能なキャリアを含み、本明細書に記載されるようなさらなる薬剤(例えば、CYPインヒビター)を含んでもよい。各成分は、個々の成分中で、組み合わせ組成物中で、または単一の組成物中で存在し得る。
【0094】
薬学的に受容可能な化合物の塩がこれらの組成物中で使用される場合、これらの塩は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基に由来する。このような酸の塩には以下が含まれる。酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタン−プロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩。塩基の塩には以下が含まれる。アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、ならびにアミノ酸、例えば、アルギニン、リジンなどとの塩。
【0095】
また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物;ジアルキル硫酸塩、例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルの硫酸塩、長鎖ハライド、例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物、アラルキルハライド、例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物などの剤で四級化され得る。水溶性または油溶性または分散性の生成物がそれによって得られる。
【0096】
本発明の組成物および方法において利用される化合物はまた、選択的な生物学的特性を増強するために適切な官能基を付加することによって修飾され得る。このような修飾は当分野において公知であり、かつ所与の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増強し、経口利用可能性を増加し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、および排出の速度を変化させるものを含む。
【0097】
これらの組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリアには、以下が含まれるがこれらに限定されない:イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、電解質の塩、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂。
【0098】
好ましい実施形態に従って、組成物は、哺乳動物、好ましくは、ヒトへの薬学的投与のために製剤化される。
【0099】
本発明のこのような薬学的組成物(ならびに本発明の方法、組成物、キット、およびパックにおける使用のための組成物)は、経口的、非経口的、舌下に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口腔に、膣に、または移植リザーバーを介して、投与され得る。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内の注射または注入の技術を含む。好ましくは、組成物は、経口的または静脈内に投与される。
【0100】
本発明のおよび本発明に従う組成物の滅菌注射形態は、水性または油性の懸濁物であり得る。これらの懸濁物は、分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当分野において公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁物、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として使用され得る。利用され得る受容可能な媒体および溶媒の中には、水、リンガー液、および等張塩化ナトリウム液がある。さらに、滅菌の、固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来的に利用される。この目的のために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含む、任意のブランドの固定油が利用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、天然の薬学的に受容可能な油、例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンと同様に注射液の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えば、乳化物および懸濁物を含む薬学的に受容可能な投薬形態の製剤において一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤などを含み得る。他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、Tween、Span、および他の乳化剤、または薬学的に受容可能な固体、液体、もしくは他の投薬形態の製造において一般的に使用されるバイオアベイラビリティーエンハンサーもまた、製剤の目的のために使用され得る。
【0101】
本発明に従って使用される組成物(すなわち、本発明の方法、キット、組成物、またはパックにおいて使用される組成物)において、化合物および任意のさらなる薬剤は、単回治療レジメンにおいて通常投与される投薬量の約10〜100%の間、より好ましくは約10〜80%の間の投薬レベルで提示されるべきである。
【0102】
薬学的組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、散剤、顆粒、水性懸濁物、または溶液を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に受容可能な投薬形態で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアは、ラクトースおよびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤もまた、典型的には加えられる。カプセル形態における経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁物が経口使用のために必要とされる場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と合わせられる。所望される場合、特定の甘味料、香料、または着色料もまた加えられ得る。受容可能な液体投薬形態には、乳化物、溶液、懸濁物、シロップ、およびエリキシルが含まれる。
【0103】
代替的には、薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、室温で個体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸において溶解し薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と、薬剤を混合することによって調製され得る。このような材料には、ココアバター、蜜ろう、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0104】
薬学的組成物はまた、局所的に、特に、治療の標的が、眼、皮膚、または下部消化管の疾患を含む、局所的適用によって容易に接近可能である領域または器官を含む場合に投与され得る。適切な局所的製剤は、これらの領域または器官の各々について容易に調製される。
【0105】
下部消化管のための局所的適用は、直腸坐剤製剤(上記を参照のこと)または適切な浣腸製剤においてもたらされ得る。局所的経皮パッチもまた使用され得る。
【0106】
局所的適用のために、薬学的組成物は、1種以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏中で製剤化され得る。本発明の化合物の局所的投与のためのキャリアには、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が含まれるがこれらに限定されない。代替的には、薬学的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリーム中に製剤化され得る。適切なキャリアには、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が含まれるがこれらに限定されない。
【0107】
眼科的使用のために、薬学的組成物は、ベンジルアルコニウムクロライドなどの保存剤を伴うか、または伴わないかのいずれかで、等張のpH調整滅菌生理食塩水中の微粒子化された懸濁物として、または好ましくは、等張のpH調整された滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化され得る。代替的には、眼科的使用のために、薬学的組成物は、ワセリンなどの軟膏中で製剤化され得る。
【0108】
本発明の、および本発明に従う薬学的組成物はまた、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方の分野において周知である技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来的な可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0109】
当分野において認識されるように、薬学的組成物はまた、リポソームの形態で投与され得る。
【0110】
経口投与のために製剤化された、本発明の、および本発明に従う薬学的組成物が好ましい。
【0111】
好ましい実施形態に従って、プロテアーゼインヒビター(好ましくは、VX−950)が、サンプル中または患者中の脂肪症を減少するための有効量で存在する。
【0112】
1日あたり約0.01〜約100mg/kg体重の間、好ましくは1日あたり約0.5〜約75mg/kg体重の間の化合物の投薬量レベル(例えば、VX−950)が、本発明の方法において有用である。CYPインヒビターについては、1日あたり約0.001〜約200mg/kg体重の間の投薬量レベルが典型的である。1日あたり約0.1〜約50mg/kgまたは約1.1〜約25mg/kgの間の投薬量レベルがより典型的である。典型的には、本発明の、または本発明に従う薬学的組成物は、1日あたり約1回〜約5回まで、または代替的には、連続的注入として投与される。このような投与は、長期的または短期的な治療として使用され得る。単回投薬量形態を作製するためのキャリア材料と組み合わせ得る活性成分の量は、治療される宿主および投与の特定の様式に依存して変化する。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。好ましくは、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0113】
当業者によって認識されるように、インターフェロンの投薬量は、典型的には、IUで測定される(例えば、約400万IU〜約1200万IU)。
【0114】
患者の状態の改善に際して、化合物または組成物の維持用量が、必要な場合、投与され得る。続いて、投薬量または投与の頻度、またはその両方が、徴候の関数として、改善された状態が保持されるレベルまで減少され得、徴候が所望のレベルまで軽減されたならば、治療は中止されるべきである。しかし、患者は、疾患のいかなる徴候の再発に際しても、長期間を基本とした断続的治療を必要とする。
【0115】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および治療レジメンは、利用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の時間、排出の速度、薬物の組み合わせ、ならびに治療する医師の判断、および治療される特定の疾患の重篤度を含む種々の要因に依存することもまた理解されるべきである。活性成分の量はまた、特に記載される化合物、ならびに組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または非存在、およびその性質に依存する。
【0116】
リトナビルの好ましい投薬形態については、例えば、米国特許第6,037,157号、ならびにそこに引用されている文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、および国際公開WO 95/07696およびWO 95/09614を参照のこと。
【0117】
別の実施形態に従って、本発明は、本発明の方法によって同定される化合物を含む薬学的に受容可能な組成物を患者に投与することによって、1)ウイルスの生活環のために必要である、ウイルスにコードされているNS3/4Aセリンプロテアーゼによって特徴付けられるウイルスで感染している患者;または2)肝障害に罹患している患者を治療するための方法を提供する。好ましい患者はヒトである。
【0118】
なお別の実施形態において、本発明は、患者への投与のために意図される生物学的物質を前処理する方法を提供し、この方法は、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物と、この生物学的物質を接触させる工程を含む。このような生物学的物質には、血液およびその成分、例えば、血漿、血小板、血液細胞の亜集団など;器官、例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺など;精子および卵子;骨髄およびその成分;ならびに患者に注入される他の液体、例えば、生理食塩水、デキストロースなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0119】
本発明はまた、本発明の方法によって同定される化合物を含む組成物を調製するためのプロセスを提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の方法によって同定される化合物および本明細書に記載されるような1種以上のさらなる薬剤によって同定される化合物を組み合わせる工程を含むプロセスを提供する。
【0120】
薬学的組成物はまた、単一のパッケージ(例えば、ブリスターパッケージ)に治療の全体の治療単位を含む「患者パック」で患者に処方され得る。患者パックは、従来的な処方では通常失われる患者パック中に含まれる添付文書に患者が常にアクセスできるという点で、薬剤師がバルク供給から医薬の患者への供給に分割する従来的な処方を超えた利点を有する。添付文書を含めることは、医師の指示との患者のコンプライアンスを改善することが示されている。
【0121】
本発明の正確な使用のための患者への指示を添付文書中に含む、単一の患者パックの組成物手段、または各製剤の患者パックの投与は、本発明の所望のさらなる特徴であることが理解される。
【0122】
本発明のさらなる態様に従うものは、本発明にかかる方法によって同定される少なくとも1種の化合物、およびその化合物の使用に対する指示を含む添付情報を含むパックである。本発明の代替的な実施形態において、薬学的パックはさらに、本明細書に記載されるような1種以上のさらなる薬剤を含む。さらなる薬剤は、同じパックまたは別々のパックにおいて提供され得る。
【0123】
本発明の別の態様は、本発明に従う方法を実行するためのパッケージされたキットを含み:この方法を実行するための材料;およびHCV感染を治療または予防するために有効な様式で薬物投与を実行するための指示書を含む。
【0124】
従って、本発明は、本方法に従って同定された、従来的な様式で調製される化合物(および任意にさらなる薬剤)またはその誘導体の同時または連続的な投与のためのキットを提供する。典型的には、このようなキットは、例えば、各インヒビターおよび任意にさらなる薬剤を薬学的に受容可能なキャリア中に(および1つまたは複数の薬学的製剤中に)含み、ならびに同時のまたは連続的な投与のための指示書を含む。
【0125】
別の実施形態において、自己投与のための1つ以上の投薬量形態;容器手段、好ましくは保存の間および使用の前の投薬量形態を収納するためのシールした;および患者に薬物投与を実行するための指示書を含む、パッケージされたキットが提供される。この指示書は、典型的には、添付書類、ラベル、および/または他のキットの要素の上に書かれており、投薬量形態は本明細書に記載される通りである。各投薬量形態は、金属ホイル−プラスチックラミネートのシート中のように個々に収納され得、各投薬量形態は、個々のセルもしくは球状の仕切りで他から単離され、または投薬量形態は、プラスチックボトルもしくはバイアル中のように単一の容器中に収納され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット要素をパッケージングするための手段、すなわち、投薬量形態、容器手段、および使用のための指示書を含む。このようなパッケージング手段は、ボール紙または紙箱、プラスチックまたはホイルポーチなどの形態を取り得る。
【0126】
[一般的方法論]
VX−950は、一般的に当業者に公知である方法によって調製され得る(例えば、本明細書に引用される文献を参照のこと)。
【0127】
当業者に公知である日常的な技術は、本発明を実施するために使用され得る。このようは技術は、公開された文書において見い出され得る。例えば、標準的な組換えDNAおよび分子クローニングの技術は当分野において周知である。例えば、F.M.Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,Media,PA;Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,1989,ならびに米国特許第6,617,156号および同第6,617,130号において引用される文献(これらの全ては参照として本明細書によって組み込まれる)を参照のこと。
【0128】
本発明がより完全に理解されるために、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示のみの目的のためであり、かついかなる場合においても本発明の範囲を限定するものとはみなされない。
【0129】
[実施例1]
[レポーター遺伝子の設計および構築]
オーバーラップPCRを使用して、HCV NS3・4Aおよび分泌胎盤アルカリホスファターゼをコードするcDNAを融合させた。以下を使用してHCV NS3・4A DNAをPCR増幅した:
a)NS4A U2 5’CAG CAG CAG GTA AGG GAG GTG TGA GGC GCA CTC TTC CAT CTC ATC GAA CTC 3’、上流プライマーとして、および
b)NS4A L4 5’TGT CTG TCA TCC CGA CCA ACG3’、下流プライマーとして。これは、鋳型としてpYes2/NS3・4Aプラスミドを使用して、893bpのPCR産物を生じた。PCR条件は、94℃45秒、50℃45秒、72℃1分であった。
【0130】
同様に、分泌胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)をPCR増幅した。
a)SEAP L3 5’AGTG AGA TCT GCGGCCGC TTA TCA TGT CTG CTC GAA GC GG3’、下流プライマーとして、および
b)SEAP U 5’TCA CAC CTC CCT TAC CTG CTG CTG CTG CTG CTG C3’、上流プライマーとして。PCR条件は94℃45秒、55℃45秒、および72℃1.3分であった。
【0131】
得られたPCR産物をQiaex IIゲル抽出キット(カタログ番号20021 Qiagen)を使用してゲル精製した。PCR産物NS3・4AおよびSEAPを融合するためのオーバーラップPCRを、これらのゲル精製した産物を鋳型として、NS4A L4およびSEAP L3をプライマーとして、増幅のためにPfUポリメラーゼ(Stratagene)を使用して実行した。
【0132】
さらなる実施形態において、さらなる構築物を作製した。この構築物において、HCV遺伝子型1bのNS4A・4Bジャンクション−(DEMEEC-ASHL)を、オーバーラッピングPCRを使用して、HCV NS3・4Aの遺伝子と、分泌胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードするレポーター遺伝子の間でインフレームに融合した。HCV NS3・4Aを、pYes2/NS3・4Aプラスミド(Markland et al.,1997)から、94℃30秒、50℃30秒、および72℃60秒で、以下のPCRプライマーを用いて増幅した:
上流プライマー:TGTCTGTCATCCCGACCAACG(NS3のヌクレオチド1193〜1213またはpShuttle/NS34A−SEAP(DEMEEC.ASHLPYジャンクション)構築物のヌクレオチド2211〜2231)
下流プライマー:
【化3】

(斜字体はSEAP ORF配列ヌクレオチド4〜19を表し、下線部の配列はNS4A配列ヌクレオチド165〜142である)。
【0133】
分泌胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)を、pSEAP2(Clontech,Palo Alto,CA)を使用して、94℃45秒、55℃45秒、および72℃90秒で、以下のプライマーを用いて増幅した:
上流プライマー:
【化4】

(斜字体はNotI制限部位を表し、下線部の配列はSEAP ORF配列ヌクレオチド1560〜1542を表す)。
下流プライマー:
【化5】

(下線部の配列は、4A・4Bジャンクションの一部であるCASHLについてのコード配列を表す。斜字体はSEAP ORF配列ヌクレオチド4〜28を表す)。
【0134】
897bp HCV NS3・4Aおよび1591bp SEAP PCR産物を、オーバーラップPCRのための鋳型として使用し、上流プライマーとしてTGTCTGTCATCCCGACCAACG(NS3のヌクレオチド1193〜1213)を、および下流プライマーとしてCCCACCTTGGCTGTAGTC(SEAP ORFのヌクレオチド709〜726またはpShuttle HCV WT/MT NS3・4A−SEAPのヌクレオチド3799〜3817[DEMEEC.ASHLPYジャンクション])を使用した。1.6kbサイズのPCR産物を、Sal IおよびPvu IIで制限消化し(1039bpサイズの制限フラグメントを生じる)、そしてpShuttle HCV WT NS3・4A−SEAP(DEMEEC.ASHLPYジャンクション)およびpShuttle HCV MT NS3・4A−SEAP(DEMEEC.ASHLPYジャンクション)クローンにクローニングした。
【0135】
組換えクローンを、Hind IIIを用いる診断的制限消化によって確認し(CRL 1830マウス肝細胞をpShuttle HCV WT−NS3・4A−SEAPおよびpShuttle HCV MT−NS3・4A−SEAP(DEMEEC.ASHLジャンクション)でトランスフェクトした)、そしてHCVプロテアーゼの発現を、トランスフェクションの48時間後にウェスタンブロットによって試験した。
【0136】
pShuttle HCV WT−NS3・4A−SEAPおよびpShuttle HCV MT−NS3・4A−SEAP(DEMEEC.ASHLジャンクション)を、ホーミングエンドヌクレアーゼ(Iceu IおよびPIsce I)で消化し、以前に記載したようにpAdenoX(Clontech,Palo Alto,CA)にクローニングした。
【0137】
[実施例2]
[プラスミドベクター中でのPCR産物のクローニング]
2.5kbのオーバーラップPCR産物をSalIおよびBglIIで制限消化し、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を使用して、野生型HCVプロテアーゼ(WT)、またはHCVプロテアーゼの活性部位にセリンからアラニンへの変異を含む変異型(MT)プロテアーゼのいずれかをコードするpYes NS3・4Aにクローニングした。HCV NS3・4A SEAPをコードする3.7kb HindIII−NotI cDNAフラグメントを、pCEP4哺乳動物発現ベクターにクローニングした。得られたクローンを、Vertex Pharmaceuticals IncorporatedのDNAコア施設においてDNA配列決定に供した。
【0138】
[実施例3]
[細胞培養におけるHCV−SEAPレポータープラスミドの発現]
12ウェルプレート中のCRL 1830マウス肝細胞を、HCV WT NS3・4A SEAPまたはSEAP cDNAのいずれかをコードする2.4μgのpCEP4で、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクトした。12ウェルプレート中のCRL 1830マウス肝細胞を、2.4μgのHCV WT NS3・4A SEAPおよびHCV MT NS3・4A SEAPで二連でトランスフェクトさせた。トランスフェクションの72時間後、培地をSEAP活性についてアッセイした。図6に示されるように、WT HCVプロテアーゼ構築物でトランスフェクトした細胞は、変異型(MT)プロテアーゼを受容した細胞よりも、より多くのSEAPを培地中に分泌した。
【0139】
図7において示される実験において、12ウェルプレート中のCRL 1830マウス肝細胞を、HCV WT NS3・4A SEAPまたはSEAP cDNAのいずれかをコードするpCEP4で、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクトし、0〜40μMの範囲の種々の濃度のHCVプロテアーゼインヒビターで処理した。48時間後、培地をSEAP活性についてアッセイした。図7は、HCVプロテアーゼインヒビターAによるSEAP分泌の用量依存性阻害を示す。
【0140】
[実施例4]
[HCV WT およびMT NS3・4A SEAPのアデノウイルスへのクローニング]
図8において示されるように、pCEP4−HCV 34A−SEAPからのNheI−NotIフラグメントを、アデノウイルスのための移入ベクターであるpShuttleベクターにクローニングした。pShuttle HCV WTおよびMT NS3・4A SEAPを、PI−SceIおよびIceuIで二重消化し、同様に消化したpAdeno−X DNA(BDBioscienes)にクローニングした。PacI制限消化したpAdeno−HCV WT/MT NS3・4A SEAP DNAを、トランスフェクションのリン酸カルシウム法を使用して(Calcium Phosphate transfection reagent,Gibco BRL)、HEK293細胞(ATCC)にトランスフェクトした。細胞を、アデノウイルス感染の細胞変性効果が現れるまで2週間増殖させ、その後、細胞を組換えアデノウイルスのために収集した。ウイルスを、大量のHEK293細胞を引き続いて感染させることによって増幅した。HCV WT/MT NS3・4A SEAPをコードするアデノウイルスを、塩化セシウムバンド形成を使用して精製した。
【0141】
[実施例5]
[HCV WTおよびMT NS3・4A SEAPレポーター構築物を有するアデノウイルスベクターを用いて形質導入された細胞中のHCV−SEAPの発現]
HCV NS3・4A SEAP WTおよび変異型を発現するアデノウイルスを調製し、20のMOIまで希釈した。12ウェルプレート中に播種したCRL 1830マウス肝細胞5×105細胞を、24時間後に感染のために使用した。図9に示されるように、NS4A−NS4ジャンクションを通してSEAPレポーターに融合されたWT HCV NS3・4Aを有するアデノウイルスで感染したマウス肝細胞は、変異型構築物を受容した細胞よりも、有意により多くのSEAPを培地中に分泌した。
【0142】
HCVプロテアーゼインヒビターのHCVプロテアーゼ依存性のSEAPの分泌を阻害する能力を試験するために、インヒビターBを、そのIC50の80倍、40倍、20倍、10倍、5倍まで希釈し、1mlを、感染30分前に細胞の各ウェルに加えた(最終濃度は40、20、10、5、2.5×IC50)。
【0143】
アデノウイルスを、200μL中に2μL加えることによって1:100に希釈し(元来のストック1.8×1012)、次いで、12.5mlの培地に14μLを加え(これは、20のMOIを与えるはずである)、そして各ウェルに1mlの培地を加えた。細胞を72時間インキュベートし、20μLの培地をSEAP化学発光アッセイ(TROPIX)のために使用した。研究の結果を図10に示す。
【0144】
[実施例6]
[HCV WTおよびMT NS3・4Aレポーター構築物を有するアデノウイルスベクターで形質導入されたマウスの血清中のHCV−SEAPの分泌]
WTを含むアデノウイルスで形質導入されたマウス対MT HCV NS3・4A−SEAPを含むアデノウイルスで形質導入されたマウスにおいて分泌されるSEAPの量を試験および比較するために、各ウイルスのセットをSCIDマウスの尾静脈に注射した。SEAPをこれらのマウスの血清中で測定し、結果を図11に示す。結果はP<.001で有意であった。
【0145】
HCVプロテアーゼインヒビターが、MTプロテアーゼではなく、WT HCVプロテアーゼの制御下でのSEAPの分泌を阻害し得るか否かを研究するために、6週齢のSCIDマウスに、SEAPレポーター遺伝子に融合したHCV WTまたはHCV MTタンパク質のいずれかを発現する1010または109.5IFUアデノウイルスを注射した。マウスに、Niro懸濁媒体中の300mg/kgのインヒビターBを、2日間の間、1日に2回投薬した。72時間後、マウスを出血させ、血清中のSEAPのレベルを、血清の1:500希釈後にBD Biosciencesキットを使用して見積もった。研究の結果を図12に示す。
【0146】
[実施例7]
[HCV肝疾患の病理学のためのモデル]
6週齢SCIDマウスに、野生型(WT)または変異型(MT)HCVプロテアーゼのいずれかを発現する示したアデノウイルス構築物(1011IFU/マウス)を注射した(尾静脈注射)。WTウイルスを注射した1つの群のマウス(n=8)を、3日間、HCVプロテアーゼインヒビター(インヒビターB、300mg/kg BID)で処理した。7日後に動物を屠殺し、肝臓を病理検査のために収集した。全体の形態学的変化を図13に示す。
【0147】
[実施例8]
[脂肪肝のオイルレッドO染色(脂肪症)およびヘマトキシリン対比染色を用いる核対比染色]
1.−80℃にて保存した肝臓のクリオスタット凍結切片を試験した。
2.オイルレッドO溶液を以下のように調製した:
a)ストック溶液オイルレッドO:500mgのオイルレッドO染料(Sigma O-0625)を、100mlのイソプロパノール中で、室温にて一晩、攪拌しながら溶解した。この溶液を#1Whatmanフィルターを通して濾過した。溶液を遮光して室温で保存した。
b)ワーキングオイルレッド溶液を、アッセイの日に新鮮に調製した。40%の水を60%のオイルレッドOストックとひっくり返して混合した。
c)ワーキング溶液を、濾過の前に1時間室温に保った。粒子材料を、#1 Whatman濾紙を使用して濾過した。
3.スライドを、PBS中の10%ホルマリン中に室温で2時間固定した。
4.固定したスライドを、DI水で3回、5分間注意深くすすいだ。すすぐときに肝臓薄片を洗い流さないように常に注意を払った。
5.固定したスライドを、ワーキングオイルレッドO溶液で、2時間室温で染色した。
6.固定し、かつ染色したスライドを、DI水で1時間注意深くすすいだ。第2のDI水洗浄を一晩行い、第3の洗浄をさらに1時間行った。
7.Harrisヘマトキシリンを用いて核対比染色を1分間行った。
8.スライドを5分間水道水で1回すすいだ。
9.スライドを、DI水でさらに2回、5分間すすいだ。
10.媒体への油の抽出を妨害するために、スライドを水性マウンティング媒体(Biomeda-Gel/マウント、抗退色剤#M01D)にマウントした。
11.スライドの端を清浄なマニキュア液でシールした。
12.スライドを平らに6℃で保存した。
13.結果を顕微鏡によって評価した。
【0148】
参考文献:
Flinders Medical centre;Modified Oil Red O Technique,p.108からのHistopathology Methods 4.(www.hoslink.com/histo/4.HTM);Cook HC,Manual of Histological Demonstration Techniques,p 360 Cullings CFA,Handbook of Histopathlogical and Histochemical Techniques 3rd ed;およびHistochemistry(1992)493-497。
【0149】
[実施例9]
[HCVレプリコン細胞の生成]
親のHuh−7細胞を、10%加熱変性胎仔ウシ血清(ΔFBS,JRH)を含み、2mM L−グルタミンおよび非必須アミノ酸(JRH)を補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、JRH Biosciences,Lenexa,KS)中で培養した。細胞を、Lohmamnn et al.(Lohmann,V.,F.Korner,J.Koch,U.Herian,L.Theilmann,およびR.Bartenschlager.1999.Replication of subgenomic hepatitis C virus RNAs in a hepatoma cell line.(Science 285:110-3)によって記載されたI377neo/NS3−3’/wtレプリコンと同一である、インビトロ転写されたサブゲノムHCVレプリコンRNAでトランスフェクトした。自己複製HCVレプリコンを含む安定な細胞を、250μg/ml G418(Invitrogen,Carlsbad,CA)の存在下で選択および維持し、次いで、引き続くHCVレプリコンアッセイにおいて使用された。
【0150】
[実施例10]
[2日HCV−レプリコン阻害アッセイ]
HCVレプリコン細胞を、96ウェルプレート中で、10%ΔFBSを含むDMEM中で、ウェルあたり104細胞の密度でプレートし、細胞を接着させ、かつ一晩(〜16時間)増殖させた。次いで、培養培地を除去し、2%FBSおよび0.5%DMSOの存在下で段階希釈した化合物を含む(またはコントロールとして化合物なし)DMEMで置き換えた。細胞を化合物とともに48時間インキュベートした。化合物の抗ウイルス活性を決定するために、全(細胞内)RNAを、Qiagen RNeasy 96キット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して細胞から抽出した。HCV RNAのレベルを、リアルタイム多重化定量的RT−PCR(Taqman、WO 02/061149を参照のこと)によって、HCV−特異的プライマー(5’−CCA TGA ATC ACT CCC CTG TG−3’)および5−CCG GTC GTC CTG GCA ATT C−3’)ならびにHCV−特異的プローブ(5’−6−FAM−CCT GGA GGC TGC ACG ACA CTC A−TAMRA−3’)、ならびにABI Prism 7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して測定した。RNA抽出および定量のための内部コントロールとして、既知量のBVDV RNAを、抽出の前に各サンプルに加え、そして多重化RT−PCRにおいて特異的プライマーおよびプローブを用いて増殖した。各データ点は、5回の複製(細胞培養中)の平均を表す。IC50は、レプリコン細胞中のHCV RNAレベルが50%減少する化合物の濃度である。細胞毒性効果をモニターするために、48時間の化合物処理後に同じレプリコン細胞の生存度を、テトラゾリウム化合物(MTS)ベースのアッセイ(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay,Promega,Madison,WI)を使用して決定した。CC50は、細胞生存度が50%減少する化合物の濃度である。
【0151】
[実施例11]
[HCV Ki アッセイプロトコール]
5AB基質および生成物基質:
NH2-Glu-Asp-Val-Val-(alpha)Abu-Cys-Ser-Met-Ser-Tyr-COOH
の分離のためのHPLCミクロボア方法。
20mM 5AB(または実験者の選択した濃度)のストック溶液を、DMSO w/0.2M DTT中で作製する。これを−20℃でアリコートで保存する。
緩衝液:50mM HEPES、pH 7.8;20% グリセロール;100mM NaCl
全アッセイ容量は100μLであった。
【0152】
【表1】

【0153】
緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3は合わせて;96ウェルプレートのウェルに各78μL分配する。これを30℃で約5〜10分間インキュベートする。
【0154】
適切な濃度の試験化合物2.5μLをDMSO中に溶解し(コントロールのためにDMSOのみ)、各ウェルに加える。これを室温で15分間インキュベートする。
【0155】
20μLの250μMの5AB基質(25μM濃度は等価であり、または5ABについてのKmよりもわずかに低い)の添加によって反応を開始する。
【0156】
30℃で20分間インキュベートする。
【0157】
25μLの10% TFAの添加によって反応を停止する。
【0158】
120μLのアリコートをHPLCバイアルに移す。
【0159】
以下の方法によって基質およびKK4AからSMSY産物を分離する。
ミクロボア分離方法
機器:Agilent 1100
脱気装置 G1322A
バイナリポンプ G1312A
オートサンプラー G1313A
カラム恒温チャンバー G1316A
ダイオードアレイ G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5ミクロン C18;300オングストローム;150×2mm;P/O 00F−4053−B0
カラムサーモスタット:40℃
注入量:100μL
溶媒A=HPLCグレード水+0.1% TFA
溶媒B=HPLCグレードアセトニトリル+0.1% TFA
【0160】
【表2】

停止時間:17分
実行後時間:10分
【0161】
本明細書で使用される場合、用語「含む」は、特定の薬剤または成分に加えて、他の薬剤または成分を潜在的に含むことを表す。
【0162】
本明細書で引用される全ての文献は、参照により本明細書によって組み込まれる。
【0163】
本発明者らは本発明の多数の実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するように変化されてもよいことが明らかである。したがって、本発明の範囲は、上記の実施例によって提示されてきた特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーターと融合された野生型(WT)および変異型(MT)のHCVプロテアーゼを発現するレポーター遺伝子の概略図である。
【図2】(MT HCV NS3・4A SEAPタンパク質)間にC型肝炎ウイルスの4ABジャンクション(下線部)を有するSEAPタンパク質に融合された変異型HCVプロテアーゼのアミノ酸配列を示す。HCVプロテアーゼの非構造タンパク質3(NS3)成分および非構造タンパク質4A(NS4A)成分のアミノ末端およびカルボキシ末端の境界は矢印で印付けられる。プロテアーゼ活性部位中のNS3タンパク質(ボックスを付す)のセリン139はアラニンに変異され(Ser→Ala)、これはプロテアーゼを不活性にする。
【図3】(WT HCV NS3・4A SEAPタンパク質)間にC型肝炎ウイルスの4ABジャンクション(下線部で示される)を有するSEAPタンパク質に融合された野生型HCVプロテアーゼのアミノ酸配列を示す。HCVプロテアーゼの非構造タンパク質3(NS3)成分および非構造タンパク質4A(NS4A)成分のアミノ末端およびカルボキシ末端の境界は矢印で印付けられる。
【図4】(MT HCV NS3・4A SEAP DNA)間にHCVタンパク質の4ABジャンクションを有するSEAPオープンリーディングフレームに融合された変異型HCVプロテアーゼcDNAのヌクレオチド配列を示す。プロテアーゼを不活性するがオープンリーディングフレームを変化させることはない活性部位における変異に下線を付す。
【図5】(WT HCV NS3・4A SEAP DNA)間にHCVタンパク質の4ABジャンクションを有するSEAPオープンリーディングフレームに融合された野生型HCVプロテアーゼcDNAのヌクレオチド配列を示す。
【図6】HCV WT・MT NS3・4A SEAPプラスミドでトランスフェクトされたマウス肝細胞の上清からのRLU単位として測定されるSEAPレベルを示す。
【図7】SEAP分泌に対するHCVプロテアーゼインヒビターの効果を示す。
【図8】SEAPレポーター遺伝子に融合されたHCV WT/MTプロテアーゼをコードするアデノウイルス構築物の概略図である。
【図9】Ad/HCV WTまたはAd/HCV MT NS3・4A−SEAP感染マウス肝細胞における培地中でのSEAP放出を図示する。
【図10】マウス肝細胞の培地中でのSEAPのAd/HCV NS3・4A依存性発現に対するHCVプロテアーゼインヒビターの効果を示す。
【図11】Ad/WTおよびAd/MT HCV NS3・4A−SEAPで感染されたSCIDマウスの血清中でのSEAP分泌を示す。
【図12】HCVプロテアーゼインヒビターを用いる治療に際してAd/WTおよびAd/MT HCV NS3・4A−SEAPで感染されたSCIDマウスの血清中でのSEAP分泌の効果を示す。
【図13】a)Ad−WT−HCV NS3・4A−SEAP、b)Ad−WT−HCV NS3・4A−SEAPおよびHCVインヒビターを用いる処理、ならびにc)Ad−MT−HCV NS3・4A−SEAPの間での形態学的な違いを図示する。
【図14】本発明の動物モデルにおけるVX−950のN−プロピル側鎖のD異性体およびL異性体の混合物の組成物を使用する用量応答研究を図示する。
【図15】本発明において使用される構築物の要約および得られたデータの要約である。
【図16】本発明に従うモデルにおける例示的なプロテアーゼインヒビターの活性の要約である。
【図17】本発明に従うモデルからの未処理および処理したサンプルを示す。
【図18】VX−950(D異性体およびL異性体の混合物が使用された)の構造およびそれに関連するアッセイデータを示す。
【図19】VertexHCVプロテアーゼマウスモデルにおけるVX−950(D異性体およびL異性体の混合物)の活性である。 A)感染したマウスにおけるアデノウイルスの分布。感染の24時間後にAd.HCV.pro.WT.SEAPの109.5IFU/マウスを静脈内注射したマウスの種々の器官におけるHCV NS3タンパク質の検出。H−心臓、Spl−脾臓、Ki−腎臓、Lu−肺、Li−肝臓。種々の器官からの20μgのホモジネート溶解物は4〜12%Bis−Trisタンパク質ゲル上で電気泳動され、続いて抗NS3モノクローナル抗体を用いる免疫検出を行った。130kDマーカーは未切断の融合タンパク質を示し、70kDマーカーは切断されたNS3タンパク質を示す。一番下のパネルは、ストリップされ、マウスGAPDHに対して指向されるモノクローナル抗体で再プローブされた同じウェスタンブロットにおいて検出された36kdaグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)タンパク質を示す。GAPDHレベルは、各レーンにおいて負荷されたタンパク質のほぼ等量を示す。 B)インビボでのVX−950活性の実証:SCIDマウスに、Ad.WT.HCVproまたはAd.MT.HCVproのいずれかの109.5IFU/マウスを注射し(尾静脈によって)、続いて、1日に2回、経口的に300mg/kgのVX−950のあるなしを行う。血清を感染の24時間後に収集し、続いてSEAPについて化学発光アッセイを行った。未処理コントロールと比較して、VX−950による血清中でのSEAP分泌の27倍の減少が存在した。変異型HCVプロテアーゼ活性に対する効果は認められなかった。 C)HCVプロテアーゼ動物モデルにおけるVX−950の力価測定:SCIDマウス(n=6/群につき)に種々の量のVX−950を経口的に投薬され(図に示されるように)、2時間後、尾静脈によって、109.5IFU/マウスのAd.WT.HCVpro/マウスを注射した。血清を、感染の24時間後に感染したマウスから収集し、SEAP化学発光アッセイに供した。VX−950処理マウスの血清中のSEAPレベルは、溶剤単独処理群の%として表現された。有効用量50(ED50)は、溶剤単独処理群と比較して50%、血清中のSEAP放出を阻害するVX−950の用量として計算される。
【図20】VX−950は肝臓損傷からマウスを保護する。6週齢SCIDマウスに、Ad.WT.HCVpro(WTとして標識された、1011IFU/マウスA、B、およびC)またはAd.MT.HCVpro(MTとして標識された1011IFU/マウス)いずれかを注射した(尾静脈によって)。WTウイルスを注射したマウス(n=8)は、1日に2回、経口的にVX−950 300mg/kg、または最初の3日間の間溶剤のみのいずれかで処理した。動物を7日後に屠殺し、病理検査のために肝臓を収集した。いかなる薬物も感染なし(薬物なし)のWTプロテアーゼ、または感染しVX−950で処理したWTプロテアーゼ、および感染したMTプロテアーゼからの肝臓の全体の外見が図に示される。病理学的な変化を示す肝臓からのヘマトキシレンおよびエオシン染色された肝臓切片(400×)もまた、それぞれの肝臓の下に示される。
【図21】VX−950は肝臓損傷からマウスを保護する。6週齢SCIDマウスに、Ad.WT.HCVpro(WTとして標識された、1011IFU/マウスA、B、およびC)またはAd.MT.HCVpro(MTとして標識された1011IFU/マウス)いずれかを注射した(尾静脈によって)。WTウイルスを注射したマウス(n=8)は、1日に2回、経口的にVX−950 300mg/kg、または最初の3日間の間溶剤のみのいずれかで処理した。動物を7日後に屠殺し、病理検査のために肝臓を収集した。いかなる薬物も感染なし(薬物なし)のWTプロテアーゼ、または感染しVX−950で処理したWTプロテアーゼ、および感染したMTプロテアーゼからの肝臓の全体の外見が図に示される。病理学的な変化を示す肝臓からのヘマトキシレンおよびエオシン染色された肝臓切片(400×)もまた、それぞれの肝臓の下に示される。
【図22】HCVプロテアーゼ動物モデルの模式図である。6週齢SCIDマウスに、分泌胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)に融合された野生型HCVプロテアーゼ、またはコントロールとしてSEAPに融合された変異型HCVプロテアーゼのいずれかを発現する複製欠損アデノウイルスを注射する(尾静脈によって)。HCV NS3・4Aプロテアーゼ依存性SEAPは、感染したSCIDマウスの血流中に分泌され、これは、化学発光アッセイによってアッセイされ得る。
【図23】HCVプロテアーゼの発現と脂肪症の相関を示す。SCIDマウスに、野生型HCVプロテアーゼを発現するアデノウイルスの増加濃度が注射された(半log増分で107IFU〜1011IFU/マウスの範囲)。感染の72時間後、肝臓の凍結切片をオイルレッドOで染色した。核をヘマトキシレンで対比染色した。分泌されるSEAPの発現の増加(および従ってHCVプロテアーゼ活性)と相関する、肝臓における脂肪の蓄積の増加が観察される(20×倍率が図において示される)。
【図24】HCVプロテアーゼの発現との脂肪症の相関を示す。図24は、40×倍率が示される以外は図23と同じである。肝細胞における細胞内脂肪の蓄積が観察され得る。
【図25】HCVプロテアーゼ発現と関連する脂肪症がHCVプロテアーゼインヒビターVX−950によって改善され得ることを示す。SCIDマウスは、野生型HCVプロテアーゼまたは変異型HCVプロテアーゼまたはSEAP単独を発現する複製欠損アデノウイルスの1011IFU/マウスを注射された(n=6)。野生型HCVプロテアーゼを発現するアデノウイルスを注射されたマウスの1つの群(n=6)は、最初の3日間、経口経路を通して、300mg/kg BIDで処理された。全てのマウスは7日目に屠殺され、肝臓切片はオイルレッドOで染色された。変異型HCVプロテアーゼ群またはSEAP単独群のいずれかと比較した、野生型HCVプロテアーゼを発現するマウスの肝臓における脂肪の有意な蓄積(20倍拡大)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト哺乳動物であって、その肝臓が
A)プロモーター;
B)プロテアーゼをコードするDNA、および
C)レポーターをコードするDNAを含む遺伝子系を含み、A、B、およびCが作動可能に連結されており、レポーター活性の存在によりプロテアーゼ活性が示される、哺乳動物。
【請求項2】
前記レポーターが、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、または西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項1に記載の哺乳動物。
【請求項3】
前記レポーターが分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項2に記載の哺乳動物。
【請求項4】
前記レポーターが、前記哺乳動物の血液、組織、または血清の中で検出可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項5】
非ヒト哺乳動物であって、その肝臓が、作動可能に連結されたプロモーターと、その発現が肝障害を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む遺伝子系を含む、哺乳動物。
【請求項6】
前記タンパク質が、プロテアーゼ、キナーゼ、またはエステラーゼである、請求項5に記載の哺乳動物。
【請求項7】
前記プロテアーゼがウイルスプロテアーゼである、請求項1〜4または6のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項8】
前記プロテアーゼがC型肝炎プロテアーゼである、請求項7に記載の哺乳動物。
【請求項9】
前記プロテアーゼがHCV NS3・4Aプロテアーゼである、請求項8に記載の哺乳動物。
【請求項10】
前記プロテアーゼDNAが野生型DNAである、請求項9に記載の哺乳動物。
【請求項11】
前記プロテアーゼDNAが変異型DNAである、請求項9に記載の哺乳動物。
【請求項12】
前記遺伝子系が、ウイルスベクター、前記肝臓への直接的注射、静脈内注射、または非ウイルス遺伝子移入を使用することによって前記肝臓に送達される、請求項1〜11のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項13】
前記遺伝子系が、アデノウイルスベクターを使用することによって前記肝臓に送達される、請求項12に記載の哺乳動物。
【請求項14】
前記プロモーターが、CMV、RSV、SV40、またはアルブミンプロモーターである、請求項1〜13のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項15】
前記プロモーターがCMVプロモーターである、請求項14に記載の哺乳動物。
【請求項16】
前記哺乳動物が、マウス、ラット、またはチンパンジーである、請求項1〜15のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項17】
前記遺伝子系を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物から得られた細胞。
【請求項18】
A)プロモーター;B)プロテアーゼをコードするDNA、およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCが作動可能に連結されており、レポーター活性の存在によりプロテアーゼ活性が示される遺伝子系を含む、肝細胞または肝細胞株。
【請求項19】
プロモーターと、その発現が肝細胞損傷を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む肝細胞または肝細胞株。
【請求項20】
A)プロモーター;B)プロテアーゼをコードするDNA、およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCが作動可能に連結されている、ウイルスベクター。
【請求項21】
作動可能に連結されたプロモーターと、その発現が肝障害を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含むウイルスベクター。
【請求項22】
プロテアーゼ活性についての哺乳動物モデルを作製するためのプロセスであって、
哺乳動物を供するステップと;
A)プロモーター;B)プロテアーゼをコードするDNA、およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCが作動可能に連結されており、レポーター活性の存在によりプロテアーゼ活性が示される遺伝子系を前記哺乳動物に送達するステップと
を含みプロセス。
【請求項23】
前記レポーターが、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記レポーターが分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記レポーターが、哺乳動物の血液、組織、または血清の中で検出可能である、請求項22〜24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項26】
肝障害についての哺乳動物モデルを作製するためのプロセスであって、
a)哺乳動物を供するステップと;
b)プロモーターと、その発現が肝細胞の損傷を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む遺伝子系を前記哺乳動物に送達するステップと
を含むプロセス。
【請求項27】
前記タンパク質が、プロテアーゼ、キナーゼ、またはエステラーゼである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プロテアーゼがウイルスプロテアーゼである、請求項22〜25または27のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
前記プロテアーゼがC型肝炎プロテアーゼである、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記プロテアーゼがHCV NS3・4Aプロテアーゼである、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記プロテアーゼDNAが野生型DNAである、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記プロテアーゼDNAが変異型DNAである、請求項30に記載のプロセス。
【請求項33】
前記遺伝子系が、ウイルスベクター、前記肝臓への直接的注射、静脈内注射、または非ウイルス遺伝子移入を使用することによって前記肝臓に送達される、請求項22〜32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項34】
前記遺伝子系が、アデノウイルスベクターを使用することによって前記肝臓に送達される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記プロモーターが、CMV、RSV、SV40、またはアルブミンプロモーターである、請求項22〜34のいずれかに記載のプロセス。
【請求項36】
前記プロモーターがCMVプロモーターである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記哺乳動物が、マウス、ラット、またはチンパンジーである、請求項22〜36のいずれかに記載のプロセス。
【請求項38】
非トランスジェニック、非ヒト哺乳動物であって、前記哺乳動物の肝臓細胞が、
A)プロモーター
B)プロテアーゼをコードするDNA;および
C)レポーターをコードするDNA
を含み、A、B、およびCが作動可能に連結されており、レポーター活性の存在により前記構築物の発現が検出され、かつプロテアーゼ活性が示される発現構築物
を含む、哺乳動物。
【請求項39】
前記レポーターが、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、または西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項38に記載の哺乳動物。
【請求項40】
前記レポーターが分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項39に記載の哺乳動物。
【請求項41】
前記レポーターが、前記哺乳動物の血液、組織、または血清の中で検出可能である、請求項38〜40のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項42】
その肝臓が、作動可能に連結されたプロモーターと、その発現が肝障害を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む発現構築物を含む、非ヒト哺乳動物。
【請求項43】
前記タンパク質が、プロテアーゼ、キナーゼ、またはエステラーゼである、請求項42に記載の哺乳動物。
【請求項44】
前記プロテアーゼがウイルスプロテアーゼである、請求項38〜41または43のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項45】
前記プロテアーゼがC型肝炎プロテアーゼである、請求項43に記載の哺乳動物。
【請求項46】
前記プロテアーゼがHCV NS3・4Aプロテアーゼである、請求項45に記載の哺乳動物。
【請求項47】
前記プロテアーゼDNAが野生型DNAである、請求項46に記載の哺乳動物。
【請求項48】
前記プロテアーゼDNAが変異型DNAである、請求項46に記載の哺乳動物。
【請求項49】
前記発現構築物が、ウイルスベクター、前記肝臓への直接的注射、静脈内注射、または非ウイルス遺伝子移入を使用することによって前記肝臓に送達される、請求項38〜48のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項50】
前記発現構築物が、アデノウイルスベクターを使用することによって前記肝臓に送達される、請求項49に記載の哺乳動物。
【請求項51】
前記プロモーターが、CMV、RSV、SV40、またはアルブミンプロモーターである、請求項38〜50のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項52】
前記プロモーターがCMVプロモーターである、請求項51に記載の哺乳動物。
【請求項53】
前記哺乳動物が、マウス、ラット、またはチンパンジーである、請求項38〜54のいずれかに記載の哺乳動物。
【請求項54】
前記発現構築物からの前記レポーター遺伝子を発現する、請求項38〜53のいずれかに記載の非ヒト動物から得られた細胞。
【請求項55】
A)プロモーター;B)プロテアーゼをコードするDNA、およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCが作動可能に連結されている発現構築物で形質転換またはトランスフェクトされており、レポーター活性を示す肝細胞または肝細胞株。
【請求項56】
プロテアーゼ活性についての非トランスジェニック、非ヒト哺乳動物モデルを作製する方法であって、A)プロモーター;B)プロテアーゼをコードするDNA;およびC)レポーターをコードするDNAを含み、A、B、およびCは作動可能に連結されており、レポーター活性の存在により前記哺乳動物における前記プロテアーゼの発現が示される、発現構築物を含む組成物を、前記哺乳動物の細胞中で前記プロテアーゼを発現させるのに有効な量で、非ヒト哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項57】
前記レポーターが、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項56に記載のプロセス。
【請求項58】
前記レポーターが分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
前記レポーターが、前記哺乳動物の血液、組織、または血清の中で検出可能である、請求項56〜58のいずれかに記載のプロセス。
【請求項60】
肝障害のための非トランスジェニック、非ヒト哺乳動物モデルを作製するプロセスであって、プロモーターと、その発現が肝細胞の損傷を引き起こすタンパク質をコードするDNAとを含む発現構築物を含む組成物を非ヒト哺乳動物に投与するステップを含む、プロセス。
【請求項61】
前記タンパク質が、プロテアーゼ、キナーゼ、またはエステラーゼである、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
前記プロテアーゼがウイルスプロテアーゼである、請求項56〜59または61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項63】
前記プロテアーゼがC型肝炎プロテアーゼである、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
前記プロテアーゼがHCV NS3・4Aプロテアーゼである、請求項63に記載のプロセス。
【請求項65】
前記プロテアーゼDNAが野生型DNAである、請求項64に記載のプロセス。
【請求項66】
前記プロテアーゼDNAが変異型DNAである、請求項64に記載のプロセス。
【請求項67】
前記発現構築物が、ウイルスベクター、前記肝臓への直接的注射、静脈内注射、または非ウイルス遺伝子移入を使用することによって前記肝臓に送達される、請求項56〜66のいずれかに記載のプロセス。
【請求項68】
前記発現構築物が、アデノウイルスベクターを使用することによって前記肝臓に送達される、請求項67に記載のプロセス。
【請求項69】
前記プロモーターが、CMV、RSV、SV40、またはアルブミンプロモーターである、請求項56〜66のいずれかに記載のプロセス。
【請求項70】
前記プロモーターがCMVプロモーターである、請求項69に記載のプロセス。
【請求項71】
前記、哺乳動物がマウス、ラット、またはチンパンジーである、請求項56〜70のいずれかに記載のプロセス。
【請求項72】
プロテアーゼ活性を増強または阻害する薬剤を試験する方法であって、
a)請求項1〜4、6〜16、38〜41、または43〜53のいずれかに記載の哺乳動物を供するステップと;
b)前記哺乳動物に前記薬剤を投与するステップと;
c)前記レポーターの発現に対する前記薬剤の効果を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項73】
肝障害を増強または阻害する薬剤を評価する方法であって、
a)請求項5〜16または42〜53のいずれかに記載の哺乳動物を供するステップと;
b)前記哺乳動物に前記薬剤を投与するステップと;
c)肝障害に対する前記薬剤の効果を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項74】
脂肪症を調節する化合物を同定する方法であって、
a)請求項5〜16または42〜53のいずれかに記載の哺乳動物を供するステップと;
b)前記哺乳動物に化合物を投与するステップと;
c)前記哺乳動物における脂肪症に対する前記化合物の効果を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項75】
NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群を治療するための化合物を同定する方法であって、
a)請求項5〜16または42〜53のいずれかに記載の哺乳動物を供するステップと;
b)前記哺乳動物に化合物を投与するステップと;
c)NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群の効果を治療または改善する化合物を選択するステップと
を含む、方法。
【請求項76】
哺乳動物における脂肪症または脂肪肝を治療する方法であって、前記哺乳動物にHCV NS3・4Aプロテアーゼインヒビターを投与するステップを含む、方法。
【請求項77】
哺乳動物における肝保護のための方法であって、前記哺乳動物にHCV NS3・4Aプロテアーゼインヒビターを投与するステップを含む、方法。
【請求項78】
哺乳動物におけるNAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群を治療する方法であって、前記哺乳動物にHCV NS3・4Aプロテアーゼインヒビターを投与するステップを含む、方法。
【請求項79】
プロテアーゼインヒビターがVX−950である、請求項75〜77のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2007−505603(P2007−505603A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526392(P2006−526392)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/029961
【国際公開番号】WO2005/025517
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506014871)ヴァーテックス ファーマシューティカルズ、 インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】