説明

プロテインキナーゼのインヒビターとして有用なチアゾール

本発明は、プロテインキナーゼ阻害物質として有用な化合物に関する。さらに、本発明は前記化合物を含む、薬学的に受容可能な組成物およびその組成物を各種疾病、状態または障害の治療に使用する方法も提供する。前記化合物は一般式Iで表されるか、それらの薬学的に受容可能な塩である(式中、R、R、R、RおよびArは本文中に記載の定義に従う)。さらに、1つの実施形態において、抗炎症薬、抗増殖薬、免疫調整薬または免疫抑制薬、または免疫不全障害を処置するための薬物から選択される治療薬を追加的に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
本出願は35U.S.C.第119条により、2003年3月25日に出願の仮出願第60/457,468号「タンパク質阻害物質に有用なチアゾール誘導体」に対して優先権を主張し、その全内容を参照することにより、ここに組み込む。
【0002】
(技術分野)
本発明は、タンパク質阻害物質に有用な化合物に関する。さらに、本発明は、本化合物を含む、薬学的に受容可能な組成物および各種障害の治療に組成物を使用する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
新規治療剤の探索は、近年、各種病気に関係する酵素およびその他の生体物質の構造の理解が進んだことにより、大きく助けられてきた。広範な研究の主題になってきた重要な一つの酵素群はプロテインキナーゼである。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内のさまざまな信号伝達過程の制御を担う構造的に関連する酵素の大きな群をなす。(Hardie,G.およびHanks,S.The Protein Kinase Facts Book,I and II,Academic Press,San Diego,CA:1995を参照)。プロテインキナーゼはその構造及び触媒機能を保存するために、共通する先祖遺伝子から進化してきたものと考えられている。ほとんどのキナーゼが、250〜300個のアミノ酸からなる類似の触媒ドメインを含む。キナーゼは、それがリン酸化する基質によってファミリーに分類することができる(たとえば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)。これらのキナーゼ群のそれぞれに概括的に一致する配列パターンが確認されている(たとえばHanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J.1995,9,576〜596; Knightonほか、Science 1991,253,407〜414;Hilesほか、Cell 1992,70,419〜429; Kunzほか、Cell 1993,73,585〜596; Garcia−Bustosほか,EMBO J. 1994,13,2352〜2361を参照)。
【0005】
一般に、プロテインキナーゼは、ホスホリル基をヌクレオシド三リン酸から、信号伝達路に関与するタンパク質受容体に伝達する形で細胞内の信号伝達に関与している。これらのリン酸化過程は、分子によるオン・オフスイッチの働きをし、標的タンパク質の生物学的機能を変調または調節する。これらのリン酸化過程は、細胞外などのさまざまな刺激を受けて最終的な引き金を引かれる。そのような刺激の例として、たとえば、環境および化学的なストレスによる刺激(たとえば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、バクテリアエンドトキシンおよびH)、サイトカイン(たとえば、インターロイキン(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF−α))、および成長因子(たとえば、顆粒球マクロファージ−コロニー−刺激因子(GM−CSF)および線維芽細胞成長因子(FGF))を挙げることができる。細胞外刺激は細胞の成長、移動、分化、ホルモン分泌、転写因子の活性化、筋収縮、ブドウ糖の代謝、タンパク質合成の制御、および細胞サイクルの調節に関係する一つ以上の応答に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
多くの病気が、上で述べたプロテインキナーゼが関与する過程が引き金になる異常な細胞応答が関係している。そうした病気には、自己免疫疾患、炎症疾患、骨疾患、代謝疾患、神経病および神経変性疾患、癌、心臓血管病、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、およびホルモンが関係する病気などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。このような理由で、治療薬として有効なプロテインキナーゼ阻害物質を発見するために多くの医化学的努力がなされてきた。
【0007】
Sykは、チロシンキナーゼの一種で、FcεRIが関与する肥満細胞の脱顆粒化および好酸球の活性化において決定的な役割を演じる。そのため、Sykキナーゼはさまざまなアレルギー疾患、特に喘息に関与している。SykキナーゼはN末端SH2ドメインを通してFcεRI受容体のリン酸化ガンマ鎖に結合し、下流シグナリングにとって不可欠であることが明らかにされている[Taylorほか、Mol.Cell.Biol.1995,15,4149]。
【0008】
喘息における血中および組織中好酸球増加のカギ機構として、好酸球アポトーシス阻害が提唱されている。喘息においては、喘息時にはIL−5およびGM−CSFがアップレギュレーションされることから、好酸球アポトーシスが阻害されることが、血中および組織中の好酸球増加の原因であるという見解が発表されている。好酸球アポトーシスの阻害は、喘息における血中および組織中好酸球増加のカギ機構として、好酸球アポトーシス阻害が提唱されている。サイトカインによる好酸球アポトーシスの防止にはSykキナーゼが必要であるという報告がある(アンチセンスの使用)[Yousefiほか、J.Exp.Med.1996,183,1407]。
【0009】
骨髄由来マクロファージのFcγR依存性および非依存性応答におけるSykの役割は、胎児肝細胞によるSyk−/−胚から再構成された照射マウスキメラを使って決定されている。Syk欠乏マクロファージは、FcγRによって誘発される貪食作用を欠いていたが、補体に応答して正常な貪食作用を示した[Kieferほか、Mol.Cell.Biol.1998,18,4209]。エアロゾル化したSykアンチセンスが、マクロファージからのSykの発現とメディエーターの放出を抑えることも報告されている[Stentonほか、J.Immunology,2000,164,3790]。
【0010】
T細胞受容体のシグナリングにはZAP−70が不可欠である。このチロシンキナーゼの発現は、T細胞およびナチュラルキラー細胞に限定されている。T細胞が働くにはZAP−70が重要であることがヒト患者、ヒト細胞系統およびマウスで明らかにされている。まれなタイプの重度複合免疫不全症候群(SCID)を患っているヒト患者は、ZAP−70のホモ接合変異を持っている(Elder J.of Pedriatric Hematology/Oncology 1997,19(6),546〜550に総説記事が掲載されている)。これらの患者は、重度の免疫不全、CD8+T細胞の欠損を示し、T細胞受容体(TCR)が関与する刺激に対して応答を示さないCD4+T細胞を持っている。TDRの活性化に引きつづいて、これらのCD4+細胞は、Ca2+の動員、下流基質のチロシンのリン酸化、増殖およびIL−2産生に重度の欠損が見られる(Elder Pedriatric Research 39,743〜748に総説記事が掲載されている)。ZAP−70を欠くヒトジャーカット細胞も、T細胞受容体のシグナリングにZAP−70が決定的な役割を果たしていることに関して、重要な知見を提供する。検出できるだけのZAP−70タンパク質を持たないジャーカットクローン(p116)には、野生型ZAP−70の再導入によって修正しうるT細胞受容体のシグナリングに欠損があることが示されている(Williamsほか、Molecular and Cellular Biology 1998,18(3),1338〜1399)。ZAP−70が欠損したマウスを使った研究から、T細胞のシグナリングにはZAP−70が必要であることが立証された。ZAP−70が欠乏したマウスはT細胞の発達が著しく遅れ、かつ胸腺細胞におけるT細胞受容体のシグナリングに問題がある(Negishiほか、Nature 1995,376,435〜438)。
【0011】
ZAP−70のキナーゼドメイン内のDLAARNパターンに同じ変異を発現するヒト患者およびマウスによる研究から、ZAP−70が機能するにはキナーゼドメインが重要であることが明らかにされている。この変異によってキナーゼの活性が失われると、T細胞受容体のシグナリングがうまく行かなくなる(Elderほか、J.Immunology 2001,656〜661)。触媒的に不活性なZAP−70(Lys369Arg)も、ZAP−70が欠乏したジャーカット細胞クローンにおいて、T細胞受容体のシグナリングの回復に欠陥が見られた(Williamsほか、Molecular and Cellular Biology 1998,18(3),1338〜1399)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、プロテインキナーゼ阻害物質として有用な化合物を開発することには大きなニーズがある。特に、SYKまたはZAP−70の活性化が関係する大半の障害にとって不十分な治療法しかない場合に、これらに対する阻害物質として有用な化合物を開発することが特に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の化合物、および薬学的に受容可能なそれらの組成物が、プロテインキナーゼ阻害物質として有効であることが発見された。ある実施例において、これらの化合物はSYKまたはZAP−70プロテインキナーゼの阻害物質として有効である。これらの化合物は一般式I:
【0014】
【化41】

で表されるか、または薬学的に受容可能なそれらの塩である(式中、R,R,R,R,およびArは以下で定義されるとおりである)。
【0015】
これらの化合物および薬学的に受容可能なそれらの塩は、さまざまな病気、障害または状態、処置または防止するために有用であり、例として免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する病気、または呼吸器障害などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明が提供する化合物は、生物学的および病理学的現象におけるキナーゼの研究、そのようなキナーゼが関与する細胞内の信号伝達経路の研究、および新規キナーゼ阻害物質の比較評価に対しても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
1.発明の化合物の包括的説明:
本発明は、構造式I
【0017】
【化42】

(式中、
およびRは、それぞれ独立に、R、ハロゲン、CN、NO、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、
Tは、任意に置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、Tの最大2個のメチレン単位は任意に、かつ独立に、O、N(R)、C(O)、S、SO、またはSOによって置換され、
Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か; 窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分不飽和の3〜8員環か; あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分不飽和の二環式8〜10員環系から選択される任意に置換された環であって、Arは、一個以上の炭素の位置が0〜5個存在する−Q−Rで、そして置換可能な一個以上の窒素原子の位置が−R(ここで、存在するRは、それぞれ独立に、R’−COR’、CO(C1−6脂肪族基)、−CON(R’)、−SON(R’)、または−SOR’である)で任意に置換され、
およびRは、それぞれ独立に、ZーRであるか、あるいはRおよびRは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換される飽和、部分不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、前記環は、独立した0〜5個のY−Rで任意に置換され、
存在するQ、ZおよびYは、それぞれ独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、かつQの最大2個までの非隣接メチレン単位が、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで任意に置換され、
存在するR、R、およびRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’であり、そして、
存在するRは、それぞれ独立に、水素または選択的に置換されたC1−6脂肪族基であるか;存在するR’は、それぞれ独立に、水素またはC1−8脂肪族基、C6−10アリール環、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、または3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環から選択される、任意に選択的に置換された基であるか; あるいは2つのR、Rが一緒になって、あるいはRとR’が一緒になって、あるいは2つのR’が一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、
ただし、
i)RおよびRは、同時には水素ではなく、そして
ii)RおよびRがともにメチル基であるか、Rがメチル基で、Rが(CHOH基の場合、Arは3,4,5−トリメトキシフェニルではない)で表される化合物、または薬学的に受容可能なそれらの塩に関する。
【0018】
2.化合物および定義:
本発明の化合物には上に包括的に記載した化合物を包含し、本明細書で開示する属、亜属、および種によってさらに例示される。特に断らない限り、ここで使用されているように、下記の定義が適用される。本明細書の目的のため、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に記載されているCAS版の元素周期表に従う。さらに、有機化学の一般原則は、”Organic Chemistry”,Thomas Sorrel,University Science Books,Sausalito: 1999および”March’s Advanced Organic Chemistry”,第5版:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley & Sons,New York: 2001に記載されており、これらを参照することによりその全内容をここに組み込む。
【0019】
本明細書に記載するように、本明細書の化合物は、上で包括的に述べたように、あるいは本発明の個々の属、亜属および種によって例示するように、任意に一個以上の置換基で置換することができる。「任意に置換された」という語句は、「置換された、または置換されない」という語句と入れ替えて使用できるものと理解される。一般に、「置換された」という表現は、この表現の前に「任意に」という表現が有る無しに関わらず、ある構造中の水素基が、特定の基で置換されることを意味する。特に断らない限り、任意に置換された基は、その基の置換可能な各位置に置換基を持つことができ、いかなる構造であってもその構造に複数個の位置があり、指定された基から選択される複数個の置換基で置換することができる場合、すべての位置の置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明が想定する置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を形成する組み合わせである。ここで使用される「安定な」という用語は、その化合物を製造、検出、そして好ましくはそれらの回収、精製、そして本明細書に開示する目的の一つ以上に使用する条件に置かれても実質的に変化しない化合物を意味する。ある実施例において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分またはその他の化学的に反応性を示す条件不在で、40゜Cの温度に少なくとも一週間置いた場合に、実質的に変化しない化合物である。
【0020】
ここで使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全に飽和しているか、または一個以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち非分枝)か、または分枝の、置換または非置換炭化水素鎖であるか、または完全に飽和しているか、または一個以上の不飽和単位を含み、かつ分子の残りの部分とただ一点で結合するが、芳香族系でない、単環式または二環式炭化水素(本明細書では「炭素環化合物」、「脂環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)を意味する。特に断らない限り、脂肪族基は1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。ある実施例においては、脂肪族基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。別の実施例においては、脂肪族基は1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに別の実施例において、脂肪族基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、さらに別の実施例において、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。ある実施例において、「脂環式」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)という表現は、完全に飽和しているか、または一個以上の不飽和単位を含み、かつ分子の残りの部分とただ一点で結合するが、芳香族系でない、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、前記二環系における個々の環は、いずれも3〜7員環である。好適な脂肪族基として、直鎖または分枝の、置換、あるいは非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニルおよびそれらの混成基、たとえば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
ここで使用される「ヘテロ脂肪族」という用語は、一個または二個の炭素原子が、独立に、一個以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素で置換された脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換の、分枝または非分枝の、環式または非環式が可能であり、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、または「ヘテロ環式」基が含まれる。
【0022】
ここで使用される「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、または「ヘテロ環式」という用語は、一個以上の環原子が独立に選択されるヘテロ原子である、非芳香族単環系、二環系、または三環系を意味する。ある実施例において、「ヘテロ環」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ脂環式」基、または「ヘテロ環式」基は、3員または14員であり、かつ、少なくとも一個以上の環原子が、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立に選択されるヘテロ原子であり、環系の各環は3〜7員環である。
【0023】
「ヘテロ原子」という用語は、一個以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の酸化された形;塩基窒素の四級化された形;ヘテロ環の置換可能な窒素、たとえば(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルに存在するような)N、(ピロリジニルに存在するような)NH、または(N−置換ピロリジニルに存在するような)NR)を意味する。
【0024】
ここで使用される「不飽和」という用語は、部分構造が一個以上の不飽和単位を有していることを意味する。
【0025】
ここで使用される「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、上で定義したアルキル基において、酸素原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(「アルコキシ」)または硫黄原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(「チオアルキル」)を意味する。
【0026】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、および「ハロアルコキシ」という用語は、一個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0027】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分構造の一部として使用される「アリール」という用語は、全部合わせて5〜14個の環原子を有する単環系、二環系および三環系であって、かつそれらの系の少なくとも一つの環が芳香環であり、かつ各環がそれぞれ3〜7個の環原子を含む環系であることを意味する。「アリール」という用語は、「芳香環」という用語と入れ換えて使用することができる。「アリール」という用語は、後で定義するように、ヘテロアリール環系をも意味する。
【0028】
単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようにより大きな部分構造の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、全部合わせて5〜14個の環原子を有する単環系、二環系および三環系であって、かつそれらの系の少なくとも一つの環が芳香環であり、それらの系の少なくとも一つの環が一個以上のヘテロ原子を含み、かつ各環がそれぞれ3〜7個の環原子を含む環系であることを意味する。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と入れ替えて使用することができる。
【0029】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、一個以上の置換基を含むことができる。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、ハロゲン;−R゜;−OR゜;−SR゜;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;任意にR゜で置換されたフェニル(Ph);任意にR゜で置換された−O(Ph);任意にR゜で置換された−(CH1−2(Ph);任意にR゜で置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R゜);−NR゜C(O)R゜;−NR゜C(O)N(R゜);−NR゜COR゜;−NR゜NR゜(CO)R゜;−NR゜NR゜(CO)N(R゜);−NR゜NR゜COR゜;−C(O)C(O)R゜;−C(O)CH2C(O)R゜;−COR゜;−C(O)R゜;−C(O)N(R゜);−OC(O)N(R);−S(O)R゜;−S(O)N(R゜);−S(O)R゜;−NR゜SON(R゜);−NR゜SOR゜;−C(=S)N(R゜);−C(=NH)N(R゜);または−(CH)NHC(O)R゜(式中、存在するR゜は、それぞれ独立に、水素、任意に置換されたC1−6脂肪族、非置換ヘテロアリール5〜6員環または非置換ヘテロ環式5〜6員環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、または上記の定義に関わらず、同じ置換基または異なる置換基上に独立して存在する2つのR゜は、各R゜基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成する)から選択される。R゜の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、R゜で表される前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0030】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、または非芳香族ヘテロ環式環は、一個以上の置換基を有する。脂肪族またはヘテロ脂肪族基の飽和炭素上の好適な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素に対して上に枚挙した置換基から選択されるほか、=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NR(式中、各Rは、独立に、水素または任意に置換されたC1−6脂肪族から選択される)をも含む。Rの脂肪族基上の好適な置換基は、NH2、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、Rの前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0031】
非芳香族ヘテロ環系窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRSO(式中、Rは、水素、任意に置換されたC1−6脂肪族、任意に置換されたフェニル、任意に置換された−O(Ph)、任意に置換された−CH(Ph)、任意に置換された−(CH1−2(Ph)、任意に置換された−CH=CH(Ph)であるか、あるいは酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜4個有する、非置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロ環式5〜6員環であるか、あるいは上記の定義に関わらず、同じ置換基または異なる置換基上の、独立して存在する2つのRは、各R基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成する)から選択される。Rの脂肪族基またはフェニル基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、Rの前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0032】
「アルキリデン鎖」という用語は、炭素直鎖または分枝鎖であって、全飽和であってもよいし、一個以上の不飽和単位を有することもでき、分子の残り部分と2点で結合する炭素直鎖または分枝鎖を意味する。
【0033】
上で説明したように、ある実施例において、独立する二つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)は、各構造変数と一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成し、かつその環は、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する。独立して存在する二つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、各構造変数と一緒になって形成される代表的な環の例として:a)同じ原子に結合し、かつ独立して存在する二つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、窒素原子と一緒になって環、たとえばN(R゜)(ここでは、存在する二つのR゜が窒素原子と一緒になってピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基)を形成する;およびb)異なる原子に結合し、かつ独立して存在する二つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、異なる二つの原子と一緒になって環を形成し、たとえばここで、フェニル基が、存在する二つのOR゜:
【0034】
【化43】

で置換され、これら存在する二つのR゜が、これらが結合する酸素原子と一緒になって含酸素縮合6員環:
【0035】
【化44】

を形成する例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。独立して存在する二つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)は、それら各構造変数が結合する原子と一緒になって別のさまざまな環が形成しうることが理解できよう。上で枚挙した例は本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0036】
ここに描かれた構造は、特に断らない限り、その構造のすべての異性体形(たとえばエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(またはコンフォメーション異性体形);たとえば、各不斉中心に対してR配置およびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)コンフォメーション異性体を含むことを意味している。それゆえ、本化合物の単一の立体化学異性体はもちろん、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(またはコンフォメーション異性体の混合物もまた、本発明の範囲内に含まれる。特に断らない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体形は本発明の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載する構造は、特に断らない限り、一つ以上の同位体原子が富化されて存在する点のみが異なる化合物も包含することを意味している。たとえば、水素が重水素またはトリチウムで置換され、あるいは炭素が13Cまたは14Cに富む炭素で置換された点を除けば、本明細書に記載の構造を有する化合物は、この発明の範囲内に包含される。このような化合物は、たとえば生物学的アッセーにおける分析手段として、あるいは分析プローブとして有用である。
【0037】
3.代表的化合物の説明
一般式Iで表される化合物に対して包括的記述してきたように、Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か;窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分的不飽和の単環式3〜8員環か;または窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分的不飽和の二環式8〜10員環から選択される、任意に置換された環であり、かつArは、一個以上の炭素原子上を、0〜5個存在する−Z−Rで、そして一個以上の置換可能な窒素原子上を、−Rで任意に置換される。
【0038】
構造式Iの好ましいArは、
(a)フェニル、インダニル、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、ヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、単環式5〜6員ヘテロアリール環または二環式9〜10員ヘテロアリール環
から選択される任意に置換された環である。
【0039】
構造式Iのより好ましいArは、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、ヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、単環式5〜6員ヘテロアリール環である。
【0040】
さらに別の実施例において、構造式IのArは、下記a〜bb(式中、xは0〜5)
【0041】
【化45】

【0042】
【化46】

のいずれか一つから選択される、任意に置換された環である
より好ましいArは、フェニル、ピリミジル、またはピリジルである。
【0043】
さらに別の実施例において、上で包括的に説明した化合物に対して、かつ本明細書における属および亜属において、Arは、3,4,5−トリメトキシフェニルではない。
【0044】
一般式Iで表される化合物に対して上で包括的に説明したように、Arは、最大5つまでの独立して存在するQ−Rで任意に置換される(式中、Qは、それぞれ独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’である)。好ましい実施例において、xは0、1、2、または3である。別の好ましい実施例において、xは1、2、または3である。
【0045】
さらに別の実施例において、Qは、独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択され、そしてxは0、1、2、または3である。好ましい実施例において、xは1、2、または3である。
【0046】
Ar上の好ましいQ−R置換基は、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CH2PO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接して存在する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する。
【0047】
Ar上のさらに好ましいQ−R置換基は、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される任意に置換された基である。別の好ましいAr置換基は、隣接する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または全不飽和縮合5員環または6員環を含む置換基である。さらに好ましい実施例において、隣接する二つのQ−Rによって形成されるこれら縮合した置換基としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェン、ピラン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルなどを挙げることができる。
【0048】
さらに別の実施例において、Arは、フェニルであり、存在する二つのQ−Rで置換され(x=2)、Arは、下記構造式
【0049】
【化47】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。さらに別の好ましい実施例において、存在する二つのQRは、メチルである。さらに別の好ましい実施例において、少なくとも一つ存在するQRは、CFである。
【0050】
さらに別の実施例において、Arは、フェニルであり、存在する三つのQ−Rで置換され(x=3)、Arは、下記構造式
【0051】
【化48】

(式中、各QRは、独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。さらに別の好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。
【0052】
上記の各QRは、さらに、R、OR、N(R)、SOR、ハロゲン、NO、CN、SR、SON(R)、COR、C(O)R、またはオキソから独立に選択される一つ以上の基で任意に置換される。もっと好ましい実施例において、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHから独立に選択される一つまたは二つの基で任意に置換される。
【0053】
一般式Iで表される化合物に対して上で包括的に説明したように、RおよびRは、それぞれ独立に、R、ハロゲン、CN、NO、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成する。一般式Iの好ましいRおよびRは、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する。もっと好ましいRおよびRは、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH2、またはCHNHであるか、またはRおよびRが、一緒になって、任意に置換された縮合ピロリル、ピラゾリル、またはイミダゾリル環を形成する。さらに別の好ましい基として、水素、NH、またはCHNHを挙げることができる。
【0054】
一般式Iで表される化合物に対して上で包括的に説明したように、RおよびRは、それぞれ独立に、Z−Rであり、Zは、任意に置換されたC1−6アルキリデン鎖であって、そのアルキリデン鎖の最大3個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、CO2R’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’であるか、あるいは、RおよびRが、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成する。
【0055】
好ましい実施例において、RおよびRは、それぞれ独立に、Z−Rであり、Zが、任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖であり、Zの一つのメチレン単位が、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、そしてRが、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択されるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成する。
【0056】
別の好ましい実施例において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、CN、ハロゲン、OH、SH、NH、COH、COH、CONH、SONH、NO、(CH)nNRR(式中、RおよびRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成する)であるか、あるいはRおよびRは、それらと結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、nは0、1、2、3、4、または5である。
【0057】
さらに別の好ましい実施例において、RまたはRの一方が水素、そしてRまたはRの他方が(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、水素、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成する)である。ある実施例において、すぐ上に記載した化合物に対して、Rは水素である。別の実施例において、すぐ上に記載した化合物に対して、Rは水素である。
【0058】
さらに別の好ましい実施例において、RまたはRは、それぞれ独立に、水素、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nCH、(CH)nSR7、(CH)nC(O)R、または(CH)nC(O)R(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)であるか、あるいはRおよびRが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成する。ある好ましい実施例において、Rは水素、Rは(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nCH、(CH)nSR7、(CH)nC(O)R、または(CH)nC(O)Rである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1であり、mは0または1である)。別の好ましい実施例において、Rは水素であり、Rは(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nCH、(CH)nSR、(CH)nC(O)R、または(CH)nC(O)Rであって、Rは、(CH)mN(R’)2、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成する(式中、nは0または1であり、mは0または1である)。さらに別の実施例において、RおよびRは、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、その環が、0、1、2、3、4、または5個のY−Rで任意に置換される。好ましい実施例において、存在するY−Rは、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHである。
【0059】
さらに、本発明は、RまたはRの少なくとも一つがメチルである化合物も提供し、化合物は、構造式I−A−iまたはI−A−ii
【0060】
【化49】

の一つを有する。
【0061】
別の好ましい実施例において、RまたはRの少なくとも一つは(CH)nNRRであり、化合物は、構造式I−B−iまたはI−B−ii
【0062】
【化50】

の一つを有する。
【0063】
別の好ましい実施例において、RまたはRの少なくとも一つは(CH)nORであり、化合物は、構造式I−C−iまたはI−C−ii
【0064】
【化51】

の一つを有する。
【0065】
さらに別の好ましい実施例において、RおよびRはともにメチルであり、化合物は、構造式I−D−i
【0066】
【化52】

を有するか、またはRおよびRが、一緒になって、任意に置換されたフェニルを形成し、化合物は構造式I−E−i(式中、qは0〜5)を有する。
【0067】
一般に、構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対して、Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か; 窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分不飽和単環式3〜8員環か; または、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分不飽和二環式8〜10員環系から選択される任意に置換された環であって、Arは、一個以上の炭素の位置が0〜5個の−Z−Rで任意に置換され、そして置換可能な一個以上の窒素原子の位置が−Rで任意に置換される。
【0068】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対する好ましいAr基は、
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環または二環式ヘテロアリール9〜10員環
から選択される、任意に置換された環である。
【0069】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対するさらに好ましいArは、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環
から選択される、任意に置換された環である。
【0070】
さらに別の好ましい実施例において、構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対する好ましいAr基は、下記構造式a〜bb(式中、QおよびRは、上で包括的に定義され、かつこのサブセットにおいて定義されたとおりであり、xは0〜5である)のいずれか一つから選択される、任意に置換された環である。
【0071】
【化53】

【0072】
【化54】

構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対する好ましいAr環は、フェニル、ピリミジル、またはピリジルである。
【0073】
さらに別の実施例において、構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対して、Arは、3,4,5−トリメトキシフェニルではない。
【0074】
好ましい実施例において、構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、およびI−E−iの化合物に対して、Arは、任意に置換されたフェニルであり、化合物は、構造式II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、およびII−E−i(式中、xおよびqはそれぞれ独立に0〜5)の一つを有する。
【0075】
【化55】

上で包括的に説明したように、Arは、独立して存在する最大5個までのQ−Rで任意に置換される(式中、存在するQは、それぞれ独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択される)。好ましい実施例において、xは0、1、2、または3である。別の好ましい実施例において、xは1、2、または3である。
【0076】
好ましい実施例において、構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、およびII−E−iの化合物に対して、Qは、独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択され、そしてxは0、1、2、または3である。好ましい実施例において、xは1、2、または3である。
【0077】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、およびII−E−iの化合物に対して、Ar上の好ましいQ−R置換基は、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する。
【0078】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、およびII−E−iの化合物に対して、Ar上のさらに好ましいQ−R置換基は、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される任意に置換された基である。別の好ましいAr置換基は、隣接して存在する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または全不飽和縮合5員環または6員環を含む置換基である。さらに好ましい実施例において、隣接する二つのQ−Rによって形成されるこれら縮合した置換基としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェン、ピラン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルなどを挙げることができる。
【0079】
さらに別の実施例において、Arは、フェニルであり、かつ、二つのQ−Rで置換され(x=2)、Arは、下記構造式
【0080】
【化56】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CH2PO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。さらに別の好ましい実施例において、存在する両QRは、メチルである。さらに別の好ましい実施例において、少なくとも一つ存在するQRは、CF3である。
【0081】
さらに別の実施例において、Arは、フェニルであり、存在する三つのQ−Rで置換され(x=3)、Arは、下記構造式
【0082】
【化57】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(たとえば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。さらに別の好ましい実施例において、存在するQRは、それぞれ独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CH2NHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である。
【0083】
上記の各QRは、さらに、R、OR、N(R)、SOR、ハロゲン、NO、CN、SR、SON(R)、COR、C(O)R、またはオキソから独立に選択される一つ以上の基で任意に置換される。もっと好ましい実施例において、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHから独立に選択される一つまたは二つの基で任意に置換される。
【0084】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、およびII−E−iの化合物に対する好ましいR基およびR基は、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する。もっと好ましいRおよびRは、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH、またはCHNHであるか、またはRおよびRが、一緒になって、任意に置換された縮合ピロリル、ピラゾリル、またはイミダゾリル環を形成する。さらに別の好ましい基として、水素、NH、またはCHNHを挙げることができる。
【0085】
構造式I−A−iおよびII−A−iの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0086】
構造式I−A−iiおよびII−A−iiの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0087】
構造式I−B−iおよびII−B−iの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0088】
構造式I−B−iiおよびII−B−iiの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0089】
構造式I−C−iおよびII−C−iの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0090】
構造式I−C−iiおよびII−C−iiの化合物に対する好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの一つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施例において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施例において、Rは水素またはメチルである。
【0091】
さらに好ましい実施例において、すぐ上に記載した各実施例に対してnは0である。さらに別の好ましい実施例において、すぐ上に記載した各実施例に対してnは1である。
【0092】
さらに別の好ましい実施例において、構造式I−E−iおよびII−E−iの化合物に対して、RおよびRは、それらが結合する原子と一緒になって、0、1、2、3、4、または5個存在するY−Rで任意に置換された任意に置換されたフェニルを形成し、存在するY−Rは、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHである。好ましい実施例において、qは0、1、または2である。
【0093】
さらに別の好ましい実施例において、化合物は、構造式II−A−i、II−B−iまたはII−C−iの一つを有し、前記化合物の構造変数は、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CH2NO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である。
【0094】
さらに別の好ましい実施例において、化合物は、構造式II−A−ii、II−B−iiまたはII−C−iiの一つを有し、前記化合物の構造変数の一つ以上は、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、Cアルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である。
【0095】
さらに別の好ましい実施例において、化合物は、構造式II−E−iを有し、前記化合物の構造変数の一つ以上は、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) qは0、1、または2、存在するY−Rは、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHである。
【0096】
構造式Iの代表的化合物(およびそれらの属および亜属)は下記表1に記載のとおりである。
【0097】
表1 構造式Iの化合物例:
【0098】
【化58】

【0099】
【化59】

【0100】
【化60】

【0101】
【化61】

【0102】
【化62】

【0103】
【化63】

【0104】
【化64】

【0105】
【化65】

【0106】
【化66】

【0107】
【化67】

【0108】
【化68】

【0109】
【化69】

【0110】
【化70】

【0111】
【化71】

【0112】
【化72】

【0113】
【化73】

【0114】
【化74】

【0115】
【化75】

【0116】
【化76】

【0117】
【化77】

【0118】
【化78】

【0119】
【化79】

【0120】
【化80】

【0121】
【化81】

【0122】
【化82】

【0123】
【化83】

【0124】
【化84】

【0125】
【化85】

【0126】
【化86】

4.包括的合成法
以下に記述する一般的合成スキームと合成実施例によって例示するように、本明細書に記載の化合物は、一般に、当業者にとって既知の類似化合物合成法によって調製することができよう。
【0127】
下記スキームIは、構造式Iの化合物の合成に使用可能な一般合成経路を示したものである。
【0128】
スキームI:
【0129】
【化87】

試薬および反応条件:(a)DMF−DMA、THF、12〜18時間、室温; (b)エタノール、還流、12〜18時間
工程(a)において、2ーアセチルチアゾールAのTHF溶液をジメチルホルムアミド−ジメチルアセタールで処理し、生成した混合物を一晩室温で攪拌する。反応混合物を減圧濃縮し、濃縮物をジエチルエーテルとよく混合しBを得る。
【0130】
中間体Cを合成するため、ArNHおよびシアナミドを塩酸(4Nジオキサン溶液)中で120゜に一晩加熱する。室温まで冷却した後、水系で処理し、目的とするグアニジン化合物を得る。当業者であれば、広範囲のアリールグアンジンが合成可能であり、それらのグアニジンは、さまざまなAr環を持った構造式Iの化合物の合成に使用できることを理解できよう。
【0131】
工程(b)において、グアニジンCとエナミノンBとを封管中に入れ、エタノールを加える。得られた混合物を一晩加熱還流したのち濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製して、目的とするピリミジン化合物Iを得る。これらの化合物の合成に使用される反応条件の詳細は実施例に記載する。
【0132】
例示のために挙げる実施例において、フェニルグアニジンC−iは、下記一般合成スキームに従って調製され、一般構造式IIの化合物の合成に使用される。
【0133】
スキームII:
【0134】
【化88】

下記スキームIII、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、およびXIIIは本発明のいくつかの代表的化合物の合成経路を示したものである。
【0135】
下記スキームIIIは、代表的化合物(式中、RまたはRが、CHOHまたはCHNRR)の合成経路である。
【0136】
スキームIII:
【0137】
【化89】

下記スキームIVは、代表的化合物(式中、Rが、CNまたはCHBr)の合成経路である。
【0138】
スキームIV:
【0139】
【化90】

下記スキームVは、代表的化合物(式中、Rが、CHOMeまたはCHCN)の合成経路である。
【0140】
スキームV:
【0141】
【化91】

下記スキームVIは、代表的化合物(式中、Rが、CHCOOH)の合成経路である。
【0142】
スキームVI:
【0143】
【化92】

下記スキームVIIは、RおよびRの両方が置換された代表的化合物(式中、RはMe、Rは(CHOH)の合成経路である。
【0144】
スキームVII:
【0145】
【化93】

下記スキームVIIIおよびIXは、RおよびRの両方が置換された代表的化合物(式中、RおよびRはメチル)の合成経路である。
【0146】
スキームVIII:
【0147】
【化94】

スキームIX:
【0148】
【化95】

下記スキームXおよびXIは、RまたはRのどちらか一方が水素、RまたはRのもう一方がNRRである代表的化合物の合成経路である。スキームXおよびXIの反応条件は、次のとおりである:(a)n−BuLi、酢酸エチル;(b)PTSA、HC(OMe)、MeOH;(c)n−BuLi、CCl4;(d)TFA、DCM;(e)DMF、DMA;(f)IPA、NaOH;(g)ピペラジン、DMSO;(h)エチレンジアミン;(i)n−BuLi、CBr
【0149】
スキームX:
【0150】
【化96】

スキームXI:
【0151】
【化97】

下記スキームXIIおよびXIIIは、代表的化合物の合成経路である。構造式中、RおよびRは、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分不飽和または全不飽和3〜8員環を形成する。ある実施例において、RおよびRは、一緒になって、任意に置換されたフェニル環を形成する。
【0152】
スキームXII:
【0153】
【化98】

スキームXIII:
【0154】
【化99】

いくつかの代表的実施例で説明し、上でも、またここでも記述してあるように、上記包括的方法にしたがい、適当な出発物質と、当業者に広く使用されている方法とを使用すれば、本発明の化合物を追加する形で調製できることは了解できよう。
【0155】
5.用途、調剤、および投与
薬学的に受容可能な組成物
上で詳しく説明したように、本発明はプロテインキナーゼ阻害物質である化合物を提供する。それゆえ、本発明の化合物は、病気、障害および状態の処置に有用であり、そのような例として、免疫不全障害、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する病気、または呼吸器障害などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。したがって、本発明の別の実施態様において、製薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載する化合物のいずれかを含み、任意に、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含む。ある実施例において、これらの組成物は、任意に、さらに一種類以上の治療薬を追加的に含む。
【0156】
本発明の化合物のあるものは、処置のために遊離の形で存在するか、あるいは、適当であれば、薬学的に受容可能なそれらの誘導体として存在することが可能であることも了解されよう。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体として、薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、または必要とする患者に投与するときに、本明細書において別の記載がなされている化合物を、直接または間接的に提供することができるその他の付加体または誘導体、またはそれらの代謝産物または残さが含まれるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0157】
ここで使用される「薬学的に受容可能な塩」という表現は、健全な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを示すことなく、ヒトおよびそれより下等な動物と接触する状態での使用に適し、かつ合理的な便益/リスク比をも満たす塩を意味する。「薬学的に受容可能な塩」は、それを受容するものに投与したとき、本発明の化合物、または阻害活性なその代謝産物または残さを、直接または間接的に提供しうる本発明の化合物の無毒な塩またはエステルの塩を意味する。ここで使用した「阻害活性なその代謝産物または残さ」という表現は、その代謝産物または残さも、SYKまたはZAP−70キナーゼ阻害物質であることを意味する。
【0158】
薬学的に受容可能な塩は当業者によく知られている。たとえば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Scienses,1977,66,1〜19に、薬学的に受容可能な塩について詳しく紹介しており、これを参照することによりここに組み込む。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、適当な無機および有機酸および塩基から誘導される塩が含まれる。薬学的に受容可能な無毒な酸付加塩の例としては、無機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸とで形成されるアミノ酸の塩、有機酸、たとえば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸で形成されるアミノ酸の塩、または、既存の技術で使用される別の方法、たとえばイオン交換法によって形成されるアミノ酸の塩を挙げることができる。薬学的に受容可能な塩として、他に、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、硫酸ドデシル塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、バレリアン酸塩などがある。該当する塩基との塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンミニウム塩およびN(C1−4アルキル)4塩などを挙げることができる。さらに本発明は、本明細書に開示する化合物の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。このような四級化によって水溶性もしくは油溶性生成物、または分散生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを挙げることができる。さらに、場合に応じて、薬学的に受容可能な塩として、ハロゲン化水素酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸低級アルキル塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される無毒なアンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオンを挙げることができる。
【0159】
上で説明したように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを添加されて含有し、それには、本発明に使用されるように、あらゆる溶剤、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体バインダー、潤滑剤など、個々の所望剤形に適するものが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物の調製に使用される各種担体およびそれを調製するための既知の技術を開示している。通常の担体媒体が、望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、そうでなくても、薬学的に受容可能な組成物の別の成分との有害な相互作用などによって、本発明の化合物と不適合となる場合を除いて、その使用は本発明の範囲内にあるものと想定される。薬学的に受容可能な担体として使用可能な物質の例としては、たとえばイオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク、たとえばヒト血清アルブミン、緩衝物質、たとえばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセライド混合物、水、塩または電解質、たとえばプロタミン硫酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、羊毛脂、糖類、たとえば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖;デンプン、たとえばコーンスターチおよび馬鈴薯デンプン;セルロースおよびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカントゴム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばココアバターおよび坐薬用ワックス;油、たとえば落花生油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油;グリコール、たとえばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム;アルギン酸;ピロゲンを含まない水;生理食塩水、;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸塩緩衝液、ならびに毒性を示さないその他の適合潤滑剤、たとえば硫酸ラウリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、さらに、調剤専門家の判断によって、着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、風味剤、香料、保存剤および酸化防止剤も配合することができる。
【0160】

化合物および薬学的に受容可能な組成物の用途
さらに別の実施態様において、化合物または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する病気、または呼吸器障害を処置、または軽減する方法が提供される。本発明のある実施例において、化合物または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する病気、または呼吸器障害を処置、または軽減するために有効な量を意味する。本発明の方法によれば、化合物および組成物は、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する病気、または呼吸器障害を処置、または軽減するために有効な量および投与法を使って、投与することができる。正確な必要量は、患者によって変わるし、(動物の)種類、年齢、患者の全般的な状態、感染の重度、具体的な薬剤、投与方法などによっても変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与のし易さと用量の一様性を確保するため用量単位の剤形に調剤される。ここで使用される「用量単位の剤形」という表現は、処置を受ける患者に適した薬物の物理的に独立した単位を意味する。とは言っても、本発明の化合物および組成物の一日総使用量は、健全な医学的判断の範囲内において、担当する医師が判断するものであることは了解されよう。個々の患者または生物に対して具体的な有効用量は、処置すべき障害および障害の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物;患者の年齢、体重、全般的健康度、性別および食事;投与回数、投与経路、および使用する具体的な化合物の排出速度;処置期間;使用する具体的な化合物と組み合わせて、あるいは同時に使用する薬物、および医学的によく知られているその他の要因などを含むさまざまな要因によって左右される。ここで使用される「患者」という表現は、動物を意味し、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間を意味する。
【0161】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、ヒトおよびその他の動物に対して、経口、経直腸、腸管外、槽内、膣内、腹腔内、外用(散剤、軟膏、または滴剤)、頬、口腔または鼻腔スプレーなどの方法により、治療すべき感染の重度に応じて投与することができる。ある実施例において、所望の治療効果を得るため、本発明の化合物は、患者の体重1kg当たり約0.01mg〜約50mg、好ましくは約1mgまたは約25mgの用量を、一日に一回以上、経口で、または非腸管内に投与することができる。
【0162】
経口投与のための液剤として、薬学的に受容可能な乳剤、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。液剤は、活性化合物以外に従来技術で広く使用されている不活性希釈剤、たとえば水などの溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、および大豆油、)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含むことができる。経口組成物には、不活性希釈剤以外にも、アジュバント、たとえば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、風味剤、および香料を含むことができる。
【0163】
注射製剤、たとえば無菌の水性または油性懸濁注射液は、公知技術により、適当な分散剤、湿潤剤および懸濁剤を使用して調製することができる。無菌注射製剤は、腸管外的に許容される無毒希釈剤または溶剤による無菌注射溶液、懸濁液、または乳液、たとえば、1,3−ブタジンジオールに溶かした溶液として調製することができる。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶剤として、水、リンゲル液、U.S.P.食塩水および等張食塩水を挙げることができる。合成グリセリドまたはジグリセリドを含め、刺激の少ない固定油が、この目的に使用可能である。さらに、脂肪酸、たとえばオレイン酸も注射剤の調製に使用される。
【0164】
注射製剤は、たとえばバクテリアの通過を阻止するフィルターで濾過するか、使用前に滅菌水か別の無菌注射媒体に溶解または分散させることができる無菌固体の形で滅菌剤を添加することで無菌化することができる。
【0165】
本発明の化合物の効果を持続させるため、しばしば、皮下または筋肉内に注射した化合物の吸収を遅らせることが望まれる。それは水溶性の低い結晶性物質または非晶質物質を懸濁液として使用することで実現可能である。その場合、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、その溶解速度は結晶の大きさと結晶の形態に依存する可能性がある。別の方法として、腸管外に投与される化合物の吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることで遅らせることができる。デポタイプの注射剤は、化合物を生分解性ポリマー、たとえばポリラクチド−ポリグリコライドに収容したミクロカプセルを形成することで調製される。化合物とポリマーの比および使用する個々のポリマーの性質によって、化合物の放出速度を制御することができる。上記以外の生分解性ポリマーとしてはポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)を挙げることができる。デポタイプの注射剤は化合物を、体組織に適合するリポソームまたはミクロエマルジョンに収容することにより調製することもできる。
【0166】
直腸または膣に投与するための組成物は、好ましくは坐薬とされ、本化合物と適当な非刺激性賦形剤または担体、たとえばココアバター、ポリエチレングリコール、または環境温度では固体であるが、体温、すなわち直腸または膣内の空洞内では融けて液体に変化し、活性化合物を放出する坐薬用ワックスとを混合し、調製することができる。
【0167】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、散剤、および顆粒剤を挙げることができる。このような剤形では、活性化合物は、少なくとも一つの薬学的に受容可能な不活性な賦形剤か担体、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/またはa)フィラーまたは増量剤、たとえばデンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトールおよびケイ酸、b)バインダー、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアカシア、c)湿潤剤、たとえばグリセロール、d)崩壊剤、たとえば寒天−寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯デンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸塩、e)溶解遅延剤、たとえばパラフィン、f)吸収促進剤、たとえば四級アンミニウム化合物、g)湿潤剤、たとえば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、たとえばカオリン、ベントナイト粘土、およびi)潤滑剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウム、およびそれらの混合物、と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、剤形は緩衝剤を含むこともできる。
【0168】
類似タイプの固体組成物は、たとえば乳糖、別名ミルクシュガーや高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟充填および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても使用することができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は被覆および被殻、たとえば製薬技術として広く知られている腸内被覆などを施した形で調製することが可能である。それらには任意に不透明化剤を添加することができ、かつ腸管のある部分にのみ、または優先的に活性成分を、任意に徐放する組成物とすることもできる。使用可能な組成物を植え込む例にはポリマー物質やワックスがある。類似タイプの固体組成物は、たとえば乳糖、別名ミルクシュガーや高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟充填および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても使用することができる。
【0169】
活性化合物は、一種類以上の上記賦形剤と一緒にマイクロカプセル化された形にすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は被覆および被殻、たとえば製薬技術として広く知られている腸内被覆、放出速度調節被覆などを施した形で調製することが可能である。このような固体剤形においては、活性化合物に、少なくとも一つの不活性希釈剤、たとえばショ糖、乳糖またはデンプンを混ぜ合わせることができる。このような剤形には、普通行われるように、不活性希釈剤以外の物質、たとえば打錠潤滑剤、や打錠補助剤、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを添加することもできる。カプセル、錠剤、およびピルの場合、剤形に緩衝剤を含めることができる。それらには任意に不透明化剤を添加することができ、かつ腸管のある部分にのみ、または優先的に活性成分を、任意に徐放する組成物とすることもできる。使用可能な組成物を植え込む例にはポリマー物質やワックスがある。
【0170】
本発明の化合物を外用または経皮投与するための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬または膏薬を挙げることができる。活性成分に、薬学的に受容可能な担体を無菌条件下に混合し、そして、必要な保存剤または緩衝剤があれば、それらも必要に応じて混合する。眼科用製剤、点耳剤、および点眼剤も本発明の範囲内にあるものと想定される。また、本発明は、制御の下に化合物を身体に運ぶ利点を有する膏薬の使用も想定している。このような剤形は、化合物を適当な媒体に溶解し、または調合して作ることができる。皮膚を通過する流量を高めるには、吸収促進剤を使用することもできる。流速は、流速を制御する膜を設けるか、化合物を高分子のマトリクスかゲルに分散させることで制御することができる。
【0171】
上で包括的に説明したように、本発明の化合物はプロテインキナーゼ阻害物質として有用である。一つの実施例において、本発明の化合物および組成物は、SYKまたはZAP−70の一つ以上の阻害物質である。それゆえ、個々の理論に結びつけることはともかくとして、SYKまたはZAP−70の一つ以上の活性化が、病気、状態、または障害に関与するそうした病気、状態、または障害を処置し、または軽減するために、これらの化合物および組成物は特に有用である。SYKまたはZAP−70の一つ以上の活性化が、特定の病気、状態、または障害に関与している場合、その病気、状態、または障害は、「SYKまたはZAP−70が関係する病気」または病気の症状と呼ばれることもある。したがって、別の実施態様において、本発明は、SYKまたはZAP−70の一つ以上の活性化が、病気、状態、または障害に関与するそうした病気、状態、または障害を処置し、または軽減する方法を提供する。
【0172】
SYKまたはZAP−70の阻害物質としての、本発明の化合物の活性は、In vitro、in vivo、または細胞系統で検定できるかもしれない。in vitroでの検定法には、活性化したSYKまたはZAP−70のリン酸化活性とATPase活性のいずれかの阻害を定量する検定法がある。別のin vitro検定法は、阻害物質がSYKまたはZAP−70に結合する能力を定量する。阻害物質の結合は結合前に阻害物質を放射性同位体で標識しそれから阻害物質/SYK複合体または阻害物質/ZAP−70複合体を分離し、結合した放射性同位体量を定量することで測定できよう。あるいは、既知放射性リガンドと結合したSYKまたはZAP−70を新しい阻害物質とインキュベートする競争実験によって決定できるかもしれない。
【0173】
ここで使用される「測定できる程度に阻害する」という表現は、前記組成物を含む試料およびSYKまたはZAP−70キナーゼと、SYKまたはZAP−70を含み、前記組成物が存在しない同等試料との間に、測定可能な変化が存在することを意味する。
【0174】
ここで使用される「SYKが関係する病気」または「SYKが関係する状態」という表現は、SYKプロテインキナーゼが役割を演じていることがわかっている病気または有害な状態を意味する。このような状態として、アレルギー障害、特に喘息を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0175】
ここで使用される「ZAP−70が関係する状態」という表現は、ZAP−70が役割を演じていることがわかっている病気または有害な状態を意味する。このような状態として、自己免疫疾患、炎症疾患、増殖疾患および高増殖疾患、および移植臓器または組織に対する拒絶反応および後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む、免疫が関係する病気を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0176】
たとえば、ZAP−70が関係する状態として、気道の病気が含まれ、それには、喘息を含む可逆的な気道の閉塞、たとえば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、および塵埃性喘息、特に慢性または難知性喘息(たとえば遅発性喘息気道反応過多)、および気管支炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、ZAP−70の病気には鼻粘膜の炎症が特徴の病的状態、たとえば急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎および慢性鼻炎、たとえば、乾酪鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎、および薬誘発性鼻炎;膜性鼻炎、たとえば膜性鼻炎、線維性鼻炎および偽膜性鼻炎および腺病性鼻炎、季節性鼻炎、たとえば神経性鼻炎(枯草熱)および血管運動性鼻炎、サルコイドーシス、農夫肺とその関連病、肺線維症および特発性間質性肺炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
ZAP−70が関係する状態として、骨および関節の病気も含まれ、それには、リウマトイド関節炎(に伴って形成されるパンヌス)、血清反応陰性脊椎関節症(関節の強直、脊椎炎、乾癬性関節炎およびライター病を含む)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、および全身硬化症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0178】
ZAP−70が関係する状態として、皮膚の病気および障害も含まれ、それには、乾癬、全身硬化症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎およびその他の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱瘡、じんま疹、脈管皮膚、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、ブドウ膜炎、脱毛症、限域性結膜炎および春季カタルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0179】
ZAP−70が関係する状態として、胃腸管の病気および障害も含まれ、それには、小児脂肪便症、直腸炎、好酸球胃腸炎、肥満細胞炎、膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、食事が関係すし、腸から遠く離れた場所に現れるアレルギー、たとえば偏頭痛、鼻炎および湿疹が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0180】
ZAP−70が関係する状態として、その他の組織および全身性の病気および障害も含まれ、それには、多発性硬化症、関節硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、紅斑性ループス、全身性ループス、紅斑性、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、タイプI糖尿病、ネフローゼ症候群、好酸球性筋膜炎、IgE過多症候群、らい腫らい、セザリー症候群および特発性血小板減少性紫斑病、血管形成に続く再発狭窄症、腫瘍(たとえば、白血病、リンパ腫)関節硬化症、および全身性紅斑性ループスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0181】
ZAP−70が関係する状態として、同種移植片拒絶も含まれ、それには、たとえば腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚および角膜の移植のあとにつづいて現れる急性および慢性同種移植片拒絶;および慢性移植片対宿主病が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0182】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物は、併用治療に使用することが可能、すなわち、一種類以上の別の所望治療薬または治療手順の前に、またはその後に並行して、本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物を投与することが可能である。併用方式で使用する治療法(治療薬または治療手順)の具体的な組み合わせに当たっては、所望治療薬および/または手順の適合性と、達成すべき所望治療効果とが考慮されることも了解されよう。さらに、使用される治療法は、同じ障害に対して、所望の効果をあげる場合(たとえば、同じ障害を処置するために使用する別の薬物と並行して発明の化合物を投与する場合)もあれば、別の効果をあげる場合(たとえば、副作用を抑える場合)もあることも了解されよう。ここで使用されているように、特定の病気または状態を処置、または防止するために普通に追加投与される治療薬は、「処置される病気または条件に適している」ものと理解されている。
【0183】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性薬物として、その治療薬を含む組成物の形で、通常投与される量を超えることはない。好ましくは、本明細書に開示する組成物中の追加治療薬の量は、唯一の治療活性薬物として、その治療薬に通常存在する量の約50〜100%の範囲である。
【0184】
本発明の化合物または薬学的に受容可能な組成物は、埋め込み可能な医療用具、たとえば補綴、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルを被覆する組成物中に配合することもできる。したがって、別の実施態様において、本発明は、上で包括的に説明し、さらに属および亜属で説明した本発明の化合物と、埋め込み可能な用具の被覆に適する担体とを含み、かつ前記埋め込み可能な医療用具を被覆するための、組成物を含む。さらに別の実施態様において、本発明は、上で包括的に説明し、さらに属および亜属で説明した本発明の化合物と、埋め込み可能な用具の被覆に適する担体とを含む組成物で被覆される、埋め込み可能な用具を含む。
【0185】
たとえば、血管ステントは、狭窄(負傷後の血管壁が狭くなること)を克服するために使用されてきた。しかしステントまたは他の埋め込み可能な用具を使用する患者は、血管の閉塞または血小板活性化のリスクにさらされている。これらの望ましくない効果は、あらかじめ用具を、キナーゼ阻害物質を含む薬学的に受容可能な組成物で被覆しておけば、防止または緩和することができる可能性がある。好適な被覆剤と、被覆した埋め込み可能な用具の一般的な調製法とは米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に記載されている。典型的には、被覆膜は、生体適合性の高分子材料、たとえば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン=ビニルアセテート、およびそれらの混合物である。被覆膜は、任意に、フルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組み合わせの適当なトップコートでさらに被覆して、放出特性を制御する機能を、組成物に持たせることができ
本発明の別の実施態様は、生物試料または患者におけるSYKまたはZAP−70の活性を阻害することに関し、その方法は、式Iの化合物または前記化合物を含む組成物を、患者に投与するか、または前記生物試料に接触させることを含む。ここに使用される「生物試料」という用語は、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、糞便、精液、涙またはその他の体液、またはその抽出物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0186】
生物試料におけるSYKまたはZAP−70の活性を阻害することは、当業者に知られている各種の目的に有用である。そのような目的の例として、輸血、臓器移植、生物標本の保存、および生物検定を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0187】
A)本発明の代表的化合物の合成:
実施例1:
1−(4−メチルチアゾール−2−イル)エタノン(2a)
n−BuLi(2Mペンタン溶液、22.4ml、0.045mol)を乾燥エーテル70mlに溶かした溶液に、攪拌しながら4−メチルチアゾール(3.7g、0.037mol)をエーテル30mlに溶かした溶液を−78゜Cで30分間かけて滴下した。混合物を1時間攪拌したのち、N−メトキシ−N−メチルアセタミド(4.37ml、0.041mol)を10分間かけて滴下した。−78゜Cで1時間攪拌したのち、反応混合物を飽和NaHCOで洗浄し、エーテルで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧濃縮して2aを油状物として4.38g(85%)得た。これをそのまま次の工程で使用した。
【0188】
【数1】

1−(4−ブロモメチルチアゾール−2−イル)エタノン(3a)
2a(4.38g、0.031mol)、NBS(5.8g、0.033mol)およびAIBN 100mgを四塩化炭素40mlに溶かした溶液を70゜Cに16時間加熱した。室温まで冷却し、沈殿を濾過した。溶媒を減圧濃縮して油状物とし、これをフラッシュクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/95%ヘキサン)にかけ、目的とする生成物3aを4.95g(72%)得た。
【0189】
【数2】

酢酸=2−アセチルチアゾール−4−イルメチルエステル(4a)
臭化物3a(2.64g、0.0269mol)を酢酸(50ml)および酢酸カリウム(2.64g、0.0269mol)と100゜Cに16時間加熱した。酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して粗製油状物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィ(20%酢酸エチル/80%ヘキサン)にかけ、目的とする生成物4aを2.48g(70%)得た。
【0190】
【数3】

3−ジメチルアミノ−1−(4−ヒドロキシメチルチアゾール−2−イル)プロペノン(5a)
化合物4a(2.48g、0.124mol)をDMF−DMA8.3mlに溶かした溶液を封管中で、90゜Cに16時間加熱した。冷却し、析出した沈殿を集め、モクテキエナミノン5aを2g(76%)得た。
【0191】
【数4】

{2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−4−イル}メタノール(7a)
グアニジン6a(868mg、0.0041mol)およびエナミノン5a(1g、0.0061mol)をDMF2ml中で炭酸カリウム(596mg、0.0011mol)と混合し、封管中で90゜Cに16時間加熱した。冷却し、酢酸エチルで希釈し、それから水(3回)および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して固体残留物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィ(10%メタノール/90%ジクロロメタン)にかけ、目的とするピリミジン7を1.14g(89%)得た。
【0192】
【数5】

実施例2: [4−(4−アルキルアミノメチルチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル]−(3,5−ジメチルフェニル)アミン(8a)
7a(125mg、0.4mol)の無水DCM10ml溶液に、塩化メシル(93μL、1.2mmol)を加え、それからトリエチルアミンを加えた。TLC分析によって5分後には7が消失していることを確認した。反応混合物は、DCMと水の間で分割された。有機層を水で洗浄し、乾燥後、減圧濃縮して油状物を得た。これをアミンによるメシレート置換にそのまま使用した。粗製メシレートをDCMに溶かし、封をした試験管5本に分け、過剰アミンと16時間反応させた。試料を蒸発乾固したのち、DMSO1mlに溶解し、.1%TFAを添加した逆相分取HPLC(水−MeCN;10%−90%)で精製し、凍結乾燥してアミン8aのTFA塩〜30mgを得た。
【0193】
実施例3: 2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−4−カルバルデヒド(9a)
7a(100mg、0.320mmol)およびt−ブタノール163μLのDCM2ml溶液に、Dess Martinペリオジナン試薬163mgを加えた。反応混合物を1時間攪拌したのち、チオ硫酸ナトリウム(1ml)を加えて反応を停止した。2相が透明になるまで混合物を攪拌した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して粗製カルバルデヒド9aを35mg(38%)得た。これを次の工程にそのまま使用した。
【0194】
【数6】

2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−4−カルボニトリル(10a)
28%アンモニア水1mlとTHF0.1mlとからなる混合物に粗製アルデヒド9a(35mg、0.11mmol)を加えた溶液に、攪拌しながらヨウ素(32mg、0.12mmol)を室温で加えた。1時間攪拌をつづけると暗色溶液は無色に変化した。反応混合物を1M塩酸水溶液5mlで中和し、エーテルで抽出した。減圧濃縮し、シリカゲルの短い層を通過させ(30%酢酸エチル/70%ヘキサン)、純粋な10を20mg(59%)得た。
【0195】
実施例4: [4−(4−ブロモメチルチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル](3,5−ジメチルフェニル)アミン(11a)
トリフェニルホスフィン(84mg、0.38mmol)のDCM溶液を、アルコール7(100mg、0.32mmol)および四臭化炭素(127mg、0.38mmol)のDCM溶液に滴下した。20分間攪拌したのち、反応混合物を減圧濃縮し固体残留物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィ(30%酢酸エチル/70%ヘキサン)にかけ、目的とする臭化ベンジル11aを240mg(67%)得た。
【0196】
実施例5: (3,5−ジメチルフェニル)−[4−(4−メトキシメチルチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル]アミン(12a)
臭化ベンジル11aをナトリウムメトキシドの0.5Mメタノール溶液0.4mlに溶解し、室温で16時間攪拌した。濃縮乾固し、乾固物を酢酸エチルと水に分配した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、減圧濃縮して固体残留物を得た。0.1%TFAを添加した逆相分取HPLC(水−MeCN;10%−90%)で精製し、メトキシメチルエーテル12aを11mg(34%)得た。
【0197】
実施例6: {2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−4−イル}アセトニトリル(13a)
臭化ベンジル11a(51mg、0.135mmol)をDMF1mlに溶解した溶液にシアン化カリウム(9mg、0.135mmol)を水0.250mlに溶かした溶液を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。水2mlを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。0.1%TFAを添加した逆相分取HPLC(水−MeCN;10%−90%)で精製し、シアン化ベンジル13aを16mg(37%)得た。
【0198】
実施例7: {2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−4−イル}酢酸(14a)
前記シアン化物13aを、水に溶かした酢酸および塩酸の混合物で95゜Cで加水分解し、粗生成物14aを得た。0.1%TFAを添加した逆相分取HPLC(水−MeCN;10%−90%)で精製し、目的とする生成物を40mg(39%)得た。
【0199】
実施例8: 1−{4−メチル−5−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)エチル]チアゾール−2−イル}エタノン(16)
n−BuLi(2Mペンタン溶液、15.24ml、0.0305mol)を乾燥エーテル70mlに溶かした溶液に、攪拌しながら29(6.3g、0.0277mol)をエーテル30mlに溶かした溶液を−78゜Cで30分間かけて滴下した。混合物を1時間攪拌したのち、N−メトキシ−N−メチルアセタミド(3.83ml、0.036mol)を10分間かけて滴下した。−78゜Cで1時間攪拌したのち、反応混合物を飽和NaHCOで洗浄し、エーテルで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧濃縮して16を6.66g(89%)を油状物として得た。これをそのまま次の工程で使用した。
【0200】
3−ジメチルアミノ−1−{4−メチル−5−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)エチル]チアゾール−2−イル}プロペノン(17)
化合物16(6.66g,0.0247mol)をDMF−DMA16mlに溶かした溶液を封管中、90゜Cに16時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、目的とするエナミノン17の橙色油状物を8g(100%)得た。
【0201】
2−{2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4−メチルチアゾール−5−イル}エタノール(19a)
標題化合物をエナミノン17および対応するグアニジンから常法に従って合成し、目的とするピリミジン18aを得た。メタノール中、触媒量のp−トルエンスルホン酸でTHP基を脱保護したのち、後処理を行って目的とするアルコール19aを得た。
【0202】
実施例9: 二置換Ar化合物の調製
スキームXIV:
【0203】
【化100】

3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノール 44:
1−メトシキ−3−ニトロ−5−トリフルオロメチルベンゼン(3.5g、15.83mmol)をCHCl3 20mlに溶かした溶液に1M 三臭化ホウ素溶液(23.74ml、23.74mmol)を加え、反応混合物を室温で3日間攪拌した。TLC(20%EtOAc:ヘキサン)により生成物への変換を確認した。反応混合物をCHClと1N NaOHとの間に分配し、抽出した。水相を1N HClで酸性にし、再度CH2Cl2で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノールの黄色油状物(1.4g、6.76mmol)を得た。
【0204】
3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノール 45:
3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノール44(1.6g、7.73mmol)の溶液に触媒量の20%水酸化パラジウム/炭素を加え、反応混合物を水素雰囲気下(風船)で週末明けまで攪拌し、TLC分析(40%酢酸エチル:ヘキサン)によって完全に生成物に変換されたことを確認した。反応混合物を濾過し、3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノールの褐色/赤色油状物(1.2g、6.76mmol)を得た。
【0205】
N−(3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)グアニジン 46:
3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノール(0.21g、1.19mmol)、シアナミド(0.5g、1.19mmol)、4N HCl(2.975ml、1.19mmol)/ジオキサン(10ml)溶液を封管中、80゜Cで一晩加熱し、TLC分析(10%MeOH:CHCl)によって完全に生成物に変換されたことを確認した。反応混合物を酢酸エチルと飽和NH4Cl溶液との間に分配し、抽出した。抽出をくり返したあとでも若干量の生成物が水相に残留した。LC/MS分析の結果、粗生成物(0.65g,0.297mmol)は十分な純度を持っていたので、そのまま次の工程で使用した。
【0206】
相当するチアゾリル試薬を使って行った反応(上およびここで詳しく記載した条件と類似の条件を使用)で目的とする二置換Ar化合物が得られた。一つの代表的実施例で式47の化合物を調製した:
【0207】
【化101】

実施例10: [4−(5−ピペラジン−1−イル−チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル](3,4,5−トリメトキシフェニル)アミン
【0208】
【化102】

方法A:
1−チアゾール−2−イル−エタノン
【0209】
【化103】

冷却した(−78゜C)エーテル(30ml)にn−BuLi(2.5Mヘキサン溶液13.2ml)溶液を滴下し、つづいて2−ブロモチアゾール(2.7ml)のエーテル(35ml)溶液を20分かけて滴下した。生成した混合物を−78゜Cで30分間攪拌した。高速で攪拌しながら酢酸エチル(5ml)を2〜3分かけて加えた。混合物を−78゜Cで30分間攪拌したのち、放置して室温まで戻し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)を加えて反応を停止した。エーテル(50ml)および水(50ml)を追加した。有機層を分離して水および食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(20%酢酸エチル/石油エーテル)にかけて精製し、副標題の化合物を黄色油状物として得た(3.3g,87%)。
【0210】
【数7】

方法B:
2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール
【0211】
【化104】

1−チアゾール−2−イル−エタノン(7g)の乾燥メタノール(100ml)溶液にオルトギ酸トリメチル(35ml)およびp−トルエンスルホン酸(10g)を加え、生成した混合物を50゜Cに12時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウムとジエチルエーテル(100ml)の間に分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)したのち、濾過し、濃縮して副標題化合物を粗生成物として得た。必要な場合は、これをフラッシュクロマトグラフィ(20%酢酸エチル/石油エーテル)にかければさらに精製することができ、副標題化合物を黄色油状物(9.5g)として定量的収率で得る。
【0212】
【数8】

方法C:
5−クロロ−2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール
【0213】
【化105】

2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール(4g)の冷却したTHF(60ml)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液10ml)を5分かけて滴下した。生成した混合物を−78゜Cで30分間攪拌し、それから四塩化炭素(10ml)のTHF(30ml)溶液を5分間かけて滴下した。生成した混合物を−78゜Cで30分間攪拌したのち、0゜Cまで昇温し、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を停止した。混合物を濃縮し、水(100ml)で希釈し、ジエチルエーテル(100ml)で抽出した。有機相を分離し、水および食塩水で洗浄したのち、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/石油エーテル)にかけて精製し、副標題化合物を黄色油状物として得た(3.6g,69%)。
【0214】
【数9】

方法D:
1−(5−クロロチアゾール−2−イル)エタノン
【0215】
【化106】

5−クロロ−2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール(3.5g)のジクロロメタン(20ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(30ml)および水(1ml)を添加した。生成した混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮して油状物を得た。ジエチルエーテルを加えて希釈し、10%炭酸水素ナトリウム、水および食塩水で洗浄したのち、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して副標題化合物を黄色油状物として定量的収率(2.6g)で得た。
【0216】
【数10】

方法E:
[2−(5−クロロチアゾール−2−イル)ビニル]ジメチルアミン
【0217】
【化107】

1−(5−クロロチアゾール−2−イル)エタノン(2.5g)のN,N’−ジメチルホルムアミド=ジメチルアセタール(2.5g)溶液を6時間還流した。混合物を放冷し、濃縮して固体を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)にかけて精製し、副標題化合物を橙色固体として得た(1.5g,47%)。
【0218】
【数11】

方法F:
1−(5−クロロチアゾール−2−イル)エタノン
【0219】
【化108】

[2−(5−クロロチアゾール−2−イル)ビニル]ジメチルアミン(450mg)のイソプロパノール(10ml)溶液にN−(3,4,5−トリメトキシフェニル)グアニジン硝酸塩(560mg)(WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製)および水酸化ナトリウム(80mg)を加えた。生成した混合物を6時間還流し、室温まで冷却し、濃縮した。混合物を水(20ml)で希釈し、酢酸エチル(20ml)で抽出し、有機相を分離したのち、水および食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(30%酢酸エチル/石油エーテル)にかけて精製し、副標題化合物を橙色固体として得た(260mg,35%)。
【0220】
【数12】

方法G:
[4−(5−ピペラジン−1−イルーチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル](3,4,5−トリメトキシフェニル)アミン
【0221】
【化109】

[4−(5−クロロチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル](3,4,5−トリメトキシフェニル)アミン(150mg)のジメチルスルホキシド(2ml)溶液にピペラジン(300mg)を加えた。混合物を100゜Cに5時間加熱したのち、放冷し、高真空で濃縮して油状残留物を得た。残留物を、0.1TFA/水 アセトニトリルを溶離液とするHPLCによって精製し、副標題化合物を黄色固体として得た(40mg,25%);IR(固体)1567,1504,1432,1411 cm−1
【0222】
【数13】

実施例11: N’{2−[2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル]チアゾール−5−イル}エタン−1,2−ジアミン
【0223】
【化110】

この化合物は方法A〜Gに記載した方法と類似の方法で調製した。N−(3,5−ジメチルフェニル)グアニジン硝酸塩は、WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製した。生成物は、0.1TFA/水 アセトニトリルを溶離液とするHPLCにかけて精製したのち、黄色固体として単離した(35mg,45%);IR(固体)1622,1565,1455,1332 cm−1
【0224】
【数14】

実施例12: [4−(5−ピペラジン−1−イルーチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル](3,5−ジメチルフェニル)アミン
【0225】
【化111】

方法H:
5−ブロモ−2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール
【0226】
【化112】

2−(1,1−ジメトキシエチル)チアゾール(5.5g)の冷却(−78゜C)したTHF(100ml)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液10ml)を5分かけて滴下した。生成した混合物を−78゜Cで30分間攪拌し、それから四塩化炭素(11g)のTHF(40ml)溶液を5分間かけて滴下した。生成した混合物を−78゜Cで30分間攪拌したのち、0゜Cまで昇温し、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応を停止した。混合物を濃縮してTHFを除き、水(100ml)で希釈し、ジエチルエーテル(100ml)で抽出した。有機相を分離し、水および食塩水で洗浄したのち、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/石油エーテル)にかけて精製し、副標題化合物を橙色油状物として得た(5.7g,71%)。
【0227】
【数15】

1−(5−ブロモチアゾール−2−イル)エタノン
【0228】
【化113】

この化合物は、方法Dに記載した方法と類似の手順で調製した。生成物を黄色固体として単離した(最後の工程100%)。
【0229】
【数16】

[4−(5−ピペラジン−1−イル−チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル]−(3,5−ジメチルフェニル)アミン
【0230】
【化114】

この化合物は、方法E〜Gに記載の方法と類似の方法により、1−(5−ブロモチアゾール−2−イル)エタノン(上で調製)とN−(3,5−ジメチルフェニル)グアニジン硝酸塩(WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製)とから調製した。生成物を黄色固体として単離した(最後の工程31%)。
【0231】
【数17】

実施例13: (3,5−ジメチルフェニル)−[4−(5−ピペリジン−1−イル−チアゾール−2−イル)]ピリミジン−2−イル]アミン
【0232】
【化115】

方法I
1−(5−ピペリジン−1−イル−チアゾール−2−イル)エタノン
【0233】
【化116】

1−(5−ブロモチアゾール−2−イル)エタノン(上の記載に従って調製)(250mg)のジメチルスルホキシド(3ml)溶液にピペリジン(0.3ml)を加えた。混合物を50゜Cに一晩加熱し、濃縮して油状物得た。油状残留物をフラッシュクロマトグラフィ(30%酢酸エチル/石油エーテル)にかけて精製し、副標題化合物を黄色固体として得た(170mg,68%)。
【0234】
【数18】

(3,5−ジメチルフェニル)−[4−(5−ピペリジン−1−イル−チアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル]アミン
【0235】
【化117】

この化合物は、方法E〜Fに記載の方法と類似の方法により、1−(5−ピペリジン−1−イル−チアゾール−2−イル)エタノン(方法Iに記載の方法で調製)とN−(3,5−ジメチルフェニル)グアニジン硝酸塩(WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製)とから調製した。生成物を黄色固体として単離した(最後の工程40%)。IR(固体):1561,1474,1407,1244 cm−1
【0236】
【数19】

実施例14: [4−(5−ジメチルアミノチアゾール−2−イル)ピリミジン−2−イル]−(3,5−ジメチルフェニル)アミン
【0237】
【化118】

この化合物は、方法E〜Fに記載の方法と類似の方法により、1−(5−ジメチルアミノチアゾール−2−イル)エタノン(方法Iに記載の方法により、ジメチルアミンと1−(5−ブロモチアゾール−2−イル)エタノンとから調製)とN−(3,5−ジメチルフェニル)グアニジン硝酸塩(WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製)とから調製した。生成物を黄色固体として単離した(最後の工程40%)。
【0238】
【数20】

実施例15: (4−ベンゾチアゾール−2−イル−ピリミジン−2−イル)(3,5−ジメチルフェニル)アミン
【0239】
【化119】

方法A:
1−ベンゾチアゾール−2−イル−エタノン
【0240】
【化120】

ベンゾチアゾール(1.6mL、14.8mmol、1.0Eq)の無水THF(15mL)溶液に、窒素下に攪拌しながらブチルリチウム(10.2mL、16.3mmol、1.6M、1.1Eq)を−78゜Cで滴下した。生成した溶液を−78゜Cで1時間攪拌した。N−メトキシ−N−メチルアセタミド(1.7mL、16.3mmol、1.1Eq)を一度に加え、反応混合物を−78゜Cで3時間攪拌した。生成した溶液を一晩の間に室温まで戻す。反応混合物に1M HClを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。有機抽出液を一つに合わせて固体MgSOで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン)にかけて精製し、標題化合物を黄色固体を得た(1.0g、収率39%)。
【0241】
【数21】

方法B:
1−ベンゾトリアゾール−2−イル−3−ジメチルアミノプロペノン
【0242】
【化121】

1−ベンゾチアゾール−2−イル−エタノン(1.0g、5.7mmol、1.0Eq)およびジメチルホルムアミド=ジメチルアセタール(2.4mL、17.7mmol、3.1Eq)の無水THF(4mL)溶液を一晩加熱還流した。生成した赤色溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去して標題化合物を赤色固体として得た(1.3g、収率98%)。
【0243】
【数22】

方法C: (4−ベンゾチアゾール−2−イル−2−イル−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ジメチルフェニル)アミン
【0244】
【化122】

1−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ジメチルアミノプロペノン(348mg、1.5mmol、1Eq)、3,5−ジメチルフェニルグアニジン硝酸塩(WO9719065に記載の方法と類似の方法で調製)(339mg、1.5mmol、1Eq)および水酸化ナトリウム(66mg、1.65mmol、1.1Eq)をイソプロパノール(15mL)に懸濁させ、混合物を還流しながら一晩攪拌した。生成した暗色懸濁液を室温まで放冷し、水(10mL)で希釈した。沈殿した固体を濾過し、水(2×5mL)、イソプロパノール(2×5mL)およびペンタン(2×5mL)で順次洗浄し、40゜Cで3時間乾燥して黄色固体(351mg、収率70%)を得た。
【0245】
【数23】

実施例16: 2−(3,5−ジメチルアニリノ)−4−(4,5−ジメチルチアゾロ)ピリミジン
【0246】
【化123】

方法D:
2−アセチル−4,5−ジメチルチアゾール
【0247】
【化124】

4,5−ジメチルチアゾール(2.0g、17.67mmol、1eq.)の乾燥ジエチルエーテル(20mL)溶液を、ブチルリチウム(7.8mL、19.44mmol、2.5M、1.1eq.)の乾燥ジエチルエーテル(20mL)溶液に−70゜Cで約30分かけてゆっくり滴下した。生成した溶液を−70゜Cで30分間、−30゜Cで20分間攪拌し、その後、再度−70゜Cまで冷却した。乾燥酢酸エチル(3.11g、3.5mL、35.34mmol、2eq.)を濃赤色溶液に一度に加えたのち、冷却浴を取り去った。室温で50分間攪拌をつづけたのち、反応混合物を飽和NaHSOに注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機抽出液を一つに合わせて飽和NaCO(1×50mL)、食塩水(1×50mL)で洗浄し、固体NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、得られたさらさらの帯緑色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(15%酢酸エチル/ヘキサン)にかけて精製し、黄色油状物を得た(1.81g、収率66%)。
【0248】
【数24】

2−(3,5−ジメチルアニリノ)−4−(4,5−ジメチルチアゾロ)ピリミジン
【0249】
【化125】

この化合物は方法Dおよび方法B〜Cに記載の方法と類似の方法によって調製した。生成物を橙色固体として得た(183.9mg、収率62%)。
【0250】
【数25】

実施例17: メチル置換チアゾール
2−クロロ−4−(5−メチル−2’チアゾリル)ピリミジン
【0251】
【化126】

nBuLi(2.5Mヘキサン、4.1ml)の冷却(−78゜C)したジエチルエーテル(10ml)溶液に、5−メチルチアゾール(1g)のジエチルエーテル(10ml)溶液を30分間かけて滴下した。生成した混合物を30分間攪拌した後、−30゜Cまで昇温し、さらに15分間攪拌した。2−クロロピリミジン(1.1g)のジエチルエーテル(25ml)溶液を滴下した。溶液を−30゜Cで30分間攪拌したのち、0゜Cまで昇温し、反応が完結するまで攪拌を続けた。次に、THF(2.5ml)に水(0.2ml)を加えた溶液を加え、さらに、DDQ(2.27g)のTHF(10ml)溶液を加えて、混合物を0゜Cで15分間攪拌した。3M水酸化ナトリウム(10ml)を加えて混合物をさらに5分間攪拌した。
【0252】
混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を分離した。水相をさらに酢酸エチルで抽出した。有機相を一つに合わせて水、それから食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)したのち、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。これをヘキサンとよくすり合わせてさらに精製した。標題化合物を固体として得た(1g、収率47%)。
【0253】
【数26】

2−クロロ−4−(5−メチル−2’チアゾリル)ピリミジンとアミンとの反応の一般的方法
【0254】
【化127】

n−ブタノール(5ml)に2−クロロ−4−(5−メチル−2’チアゾリル)ピリミジン(100mg)および相当するアミン(3当量)を加えた混合物を85゜Cに18〜24時間加熱した。混合物を室温まで冷却した。次に混合物を濃縮し、得られた粗生成物をジクロロメタンに溶解した。有機溶液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)したのち、濾過し、濃縮した。ヘキサンとよくすり合わせて生成物を得た。必要な場合は、さらに分取HPLCにかけて精製した。
【0255】
表2: 本発明のいくつかの化合物のNMRデータを表2に示す(化合物番号は表1に記載の番号を示す)
【0256】
【化128】

B)生物学的データ:
実施例1: SYK阻害能力の検定
標準的な組み合わせ酵素検定法を使って、化合物のSYK阻害能力をふるい分けした(Foxほか、Protein Sci.1998、7、2249)。反応は100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5%DMSO中で行った。検定時の基質最終濃度は、200μM ATP(Sigma Chemical Co.)および4μM ポリGly−Tyrペプチド(Sigma Chemical Co.)とした。検定は、温度30゜C、SYK濃度200nMで行った。組み合わせ酵素系成分の最終濃度は、2.5nMホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml乳酸脱水素酵素とした。
【0257】
検定用貯蔵緩衝液は、SYK、DDT、および本発明に関係する試験対象化合物を除く、上記の試薬すべてを含めて調製した。試験反応液56μlを96槽プレートに注入し、その後、本発明の試験化合物を含む2mM DMSOストック1 μlを加えた(最終化合物濃度30μM)。プレートを30゜Cで〜30分間予備インキュベーションし、酵素10μl(最終濃度25nM)を加えて反応を開始した。BioRad Ultramarkプレートリーダーを使い、30゜Cで5分間の読み取り時間で反応速度を求め、標準法によって本発明の化合物のK値を決定した。
【0258】
本発明の化合物は、SYK阻害物質として有用である。次に挙げる化合物は、K値が5.0μM以下である。
【0259】
【数27】

実施例2: ZAP−70阻害能力の検定
標準的な組み合わせ酵素検定法を使って、化合物のZAP−70阻害能力をふるい分けした(Foxほか、Protein Sci.1998、7、2249)。反応は100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、2mM DTTおよび3%DMSOの混合物中で行った。検定時の基質最終濃度は、100μM ATP(Sigma Chemicals)および20μM ペプチド(ポリ−4EY、(Sigma Chemicas)とした。検定は、温度30゜C、ZAP−70濃度60nMで行った。組み合わせ酵素系成分の最終濃度は、2.5nMホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml乳酸脱水素酵素とした。
【0260】
検定用貯蔵緩衝液は、ZAP−70および本発明に関係する試験対象化合物を除く、上記の試薬すべてを含めて調製した。貯蔵液55μlを96槽プレートに注入し、その後、本発明の試験化合物の希釈系列を含むDMSOストック2 μlを加えた(典型的には最終濃度15μMから出発)。プレートを30゜Cで10分間予備インキュベーションし、酵素10μl(最終濃度60nM)を加えて反応を開始した。Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーを使い、15分間にわたって初期反応速度を決定した。Prismソフトウェアパッケージを使い、非線形回帰分析からK値を決定した(マッキントッシュ用GraphPad Prism バージョン3.0a、GraphPad Software,San Diego California,USA)。
【0261】
本発明の化合物は、SYK阻害物質として有用である。次に挙げる化合物は、K値が5.0μM以下である。
【0262】
【数28】

本発明の実施例をいくつか記述してきたが、ここに記載する基本例に変更を加えれば、発明の化合物および方法を使用する別の実施例を得ることができることは明白である。したがって、本発明の範囲は、実施例によって説明してきた個々の具体的な実施例ではなく、添付した請求項によって規定すべきであることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)
【化1】

(式中、
およびRは、それぞれ独立に、R、ハロゲン、CN、NO、またはTRであるか、またはRおよびRは、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5または6員環を形成し、
Tは、任意に置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、Tの最大2個のメチレン単位は任意に、かつ独立に、O、N(R)、C(O)、S、SO、またはSOによって置換され、
Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か;窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分不飽和3〜8員環か; または、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和、部分不飽和、または全不飽和二環式8〜10員環系から選択される任意に置換された環であって、Arは、一個以上の炭素の位置が0〜5個存在する−Q−Rで任意に置換され、そして置換可能な一個以上の窒素原子の位置が−R(ここで、存在するRは、それぞれ独立に、R’−COR’、CO(C1−6脂肪族基)、−CON(R’)、−SON(R’)、または−SOR’である)で任意に置換され、
およびRは、それぞれ独立に、ZーRであるか、あるいはRおよびRは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換される飽和、部分不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、該環は、独立して存在する0〜5個のY−Rで任意に置換され、
存在するQ、ZおよびYは、それぞれ独立に、結合であるか、または任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、かつQの最大2個までの非隣接メチレン単位が、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで任意に置換され、
存在するR、R、およびRは、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’であり、そして、
存在するRは、それぞれ独立に、水素または選択的に置換されたC1−6脂肪族基であるか;存在するR’は、それぞれ独立に、水素またはC1−8脂肪族基、C6−10アリール環、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、または3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環から選択される、任意に選択的に置換された基であるか; あるいは2つのR、Rが一緒になって、あるいはRとR’が一緒になって、あるいは2つのR’が一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、
ただし、
i)RおよびRは、同時には水素ではなく、そして
ii)RおよびRがともにメチル基であるか、Rがメチル基で、Rが(CHOH基の場合、Arは3,4,5−トリメトキシフェニルではない)で表される化合物、または薬学的に受容可能なそれらの塩。
【請求項2】
Arが、
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、または
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する単環式ヘテロアリール5〜6員環または二環式ヘテロアリール9〜10員環
から選択される、任意に置換された環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、または
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環
から選択される、任意に置換された環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、下記構造式a〜bb(式中、xは0〜5)のいずれか一つから選択される、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【化3】

【請求項5】
Arが、任意に置換されたフェニル基、ピリミジニル基、またはピリジル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、フェニル基であって、2個(x=2)または3個(x=3)存在するQ−R(式中、存在するQRは、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)で置換され、Arが下記構造式
【化4】

の一つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Qが、独立に、結合であるか、または任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位が、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで任意に置換され、存在するRが、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO2、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択され、そしてxが0、1、2、または3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Ar上の置換基Q−Rが、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Ar上の置換基Q−Rが、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、任意に置換された基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
構造式IのRおよびRが、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、それぞれ独立に、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH、またはCHNHであるか、またはRおよびRが、一緒になって、任意に置換された縮合ピロリル環、ピラゾリル環、またはイミダゾリル環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、それぞれ独立に、Z−Rであり、Zが、任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖であり、Zの一つのメチレン単位が、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、そしてRが、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択されるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
およびRが、それぞれ独立に、水素、CN、ハロゲン、OH、SH、NH、COH、COH、CONH、SONH、NO、(CH)nNRR(式中、RおよびRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成する)であるか、あるいはRおよびRが、それらと結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、nが、0、1、2、3、4、または5である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
またはRの一方が水素、そしてRまたはRの他方が(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは水素、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成する)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
およびRが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、前記環が、0、1、2、3、4、または5個存在するY−Rで任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
存在するY−Rが、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
構造式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、またはI−E−i(式中、qは0〜5である)の一つを有する、請求項1に記載の化合物。
【化5】

【化6】

【請求項20】
Arが、
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、または
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環または二環式ヘテロアリール9〜10員環である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
Arが、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、または
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環である、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
Arが、下記構造式a〜bb(式中、QおよびRは、上で包括的に定義され、かつ本明細書のサブセットとして定義されとおりであり、xは0〜5である)のいずれか一つである、請求項19に記載の化合物。
【化7】

【化8】

【請求項23】
Arが、フェニル、ピリミジニル、またはピリジルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
Arが、フェニル基であって、2個(x=2)または3個(x=3)存在するQ−R(式中、存在するQ−Rは、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)で置換され、Arが下記構造式
【化9】

の一つである、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
Arが、任意に置換されたフェニルであり、化合物が、構造式II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、またはII−E−i(式中、xおよびqはそれぞれ独立に0〜5である)の一つを有する、請求項19に記載の化合物。
【化10】

【化11】

【請求項26】
存在するQが、それぞれ独立に、結合であるか、あるいは任意に置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位が、任意にCO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで置換され、存在するRが、それぞれ独立に、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、CO2R’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から独立に選択され、xが、0、1、2、または3である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
存在するQ−Rが、それぞれ独立に、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接して存在する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
各Q−Rが、独立に、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ、任意に置換されたベンジルオキシ、任意に置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、任意に置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)2であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立に選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される任意に置換された基である、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
およびRが、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する、請求項25に記載の化合物。
【請求項30】
およびRが、それぞれ独立に、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH、またはCHNHであるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、任意に置換された縮合ピロリル環、ピラゾリル環、またはイミダゾリル環を形成する、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
がZ−Rであり、Zが、結合であるか、任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖であり、Zの一つのメチレン単位が、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで任意に置換され、Rが、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’である、請求項25に記載の化合物。
【請求項32】
が、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH2)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されたヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、そしてmは0または1である)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項33】
がZ−Rであり、Zが、結合であるか、任意に置換されたC0−4アルキリデン鎖であり、Zの一つのメチレン単位が、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、そしてRが、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項34】
が、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項35】
存在するY−Rが、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NOまたはCHOHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項36】
化合物が、構造式II−A−i、II−B−i、またはII−C−iの一つを有し、前記化合物の構造変数が、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CH2ハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CH2NHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項37】
化合物が、構造式II−A−ii、II−B−ii、またはII−C−iiの一つを有し、前記化合物の構造変数の一つ以上が、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは、Q−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、任意に置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項38】
化合物が、構造式II−E−iを有し、前記化合物の構造変数の一つ以上が、下記のように定義され、
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CH2ハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立に、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、N、O、またはSから独立に選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) qは0、1、または2、存在するY−Rは、それぞれ独立に、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項39】
である、下記構造式
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
請求項1の化合物と、薬学的に受容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルとを含む組成物。
【請求項41】
前記化合物が、SYKまたはZAP−70プロテインキナーゼの活性の阻害を検知しうる程度の量で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
さらに、抗炎症薬、抗増殖薬、免疫調整薬または免疫抑制薬、または免疫不全障害を処置するための薬物から選択される治療薬を追加的に含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項43】
(a)患者または
(b)生物試料
におけるSYKまたはZAP−70キナーゼ活性を阻害する方法であって、前記患者に投与すること、または前記生物試料を
a)請求項40に記載の組成物、または
b)請求項1に記載の化合物
と接触させることを含む方法。
【請求項44】
処置の厳しさを処置、または軽減し、または免疫不全疾患、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫障害、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害を軽減し、前記患者に
a)請求項40に記載の組成物、または
b)請求項1に記載の化合物
を投与する過程を含む方法。
【請求項45】
前記患者に、抗炎症薬、抗増殖薬、免疫調整薬または免疫抑制薬、または免疫不全障害を処置するための薬物から選択される追加的治療薬を投与する過程を追加的に含み、
前記追加的治療薬が、処置する疾患に適合しており、かつ
前記追加的治療薬が、単一投与剤形として前記組成物と一緒に、または複数剤形として前記組成物とは別に、投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
疾患が免疫障害である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
疾患が喘息である、請求項44に記載の方法。

【公表番号】特表2006−522125(P2006−522125A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509290(P2006−509290)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/009166
【国際公開番号】WO2004/087699
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
マッキントッシュ
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】