説明

プロテインキナーゼのインヒビターとして有用なチアゾール

本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用な化合物に関する。本発明はまた、上記化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、および種々の疾患、状態または障害の処置においてその組成物を使用する方法を提供する。これらの化合物は、一般式Iを有するか、あるいはその薬学的に受容可能な塩(式中、R、R、R、RおよびArは、本発明の特許請求の範囲で定義されるとおりである)である。特定の実施形態において、これらの化合物はSYKまたはZAP−70プロテインキナーゼのインヒビターとして有効である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条の下で、2003年3月25日に出願の仮出願第60/457,218号「プロテインキナーゼのインヒビターとして有用なチアゾール」に対して優先権を主張し、その全体は本明細書により参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物に関する。さらに、本発明は、本化合物を含む、薬学的に受容可能な組成物および種々の障害の治療にこの組成物を使用する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新規治療剤の探索は、近年、各種疾患に関係する酵素およびその他の生体物質の構造の理解が進んだことにより、大きく助けられてきた。広範な研究の主題になってきた重要な1つの酵素群はプロテインキナーゼである。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内のさまざまな信号伝達過程の制御を担う構造的に関連する酵素の大きな群をなす。(Hardie,G.およびHanks,S.The Protein Kinase Facts Book,I and II,Academic Press,San Diego,CA:1995を参照)。プロテインキナーゼはその構造及び触媒機能を保存するために、共通する先祖遺伝子から進化してきたものと考えられている。ほとんどのキナーゼが、250〜300個のアミノ酸からなる類似の触媒ドメインを含む。キナーゼは、それがリン酸化する基質によってファミリーに分類することができる(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)。これらのキナーゼ群のそれぞれに概括的に一致する配列パターンが確認されている(例えばHanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J.1995,9,576〜596; Knightonほか、Science 1991,253,407〜414;Hilesほか、Cell 1992,70,419〜429; Kunzほか、Cell 1993,73,585〜596; Garcia−Bustosほか,EMBO J. 1994,13,2352〜2361を参照)。
【0005】
一般に、プロテインキナーゼは、ホスホリル基をヌクレオシド三リン酸から、信号伝達路に関与するタンパク質レセプターに伝達する形で細胞内の信号伝達に関与している。これらのリン酸化過程は、分子によるオン・オフスイッチの働きをし、標的タンパク質の生物学的機能を変調または調節する。これらのリン酸化過程は、細胞外などのさまざまな刺激を受けて最終的な引き金を引かれる。そのような刺激の例として、例えば、環境および化学的なストレスによる刺激(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、バクテリアエンドトキシンおよびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF−α))、および成長因子(例えば、顆粒球マクロファージ−コロニー−刺激因子(GM−CSF)および線維芽細胞成長因子(FGF))を挙げることができる。細胞外刺激は細胞の成長、移動、分化、ホルモン分泌、転写因子の活性化、筋収縮、ブドウ糖の代謝、タンパク質合成の制御、および細胞サイクルの調節に関係する1つ以上の応答に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
多くの疾患が、上で述べたプロテインキナーゼが関与する過程が引き金になる異常な細胞応答が関係している。そうした疾患には、自己免疫疾患、炎症疾患、骨疾患、代謝疾患、神経病および神経変性疾患、癌、心臓血管病、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、およびホルモンが関係する疾患などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。このような理由で、治療薬として有効なプロテインキナーゼインヒビターを発見するために多くの医化学的努力がなされてきた。
【0007】
Sykは、チロシンキナーゼの一種で、FcεRIが関与する肥満細胞の脱顆粒化および好酸球の活性化において決定的な役割を演じる。そのため、Sykキナーゼはさまざまなアレルギー疾患、特に喘息に関与している。SykキナーゼはN末端SH2ドメインを通してFcεRIレセプターのリン酸化ガンマ鎖に結合し、下流シグナル伝達にとって不可欠であることが明らかにされている[Taylorほか、Mol.Cell.Biol.1995,15,4149]。
【0008】
喘息における血中および組織中好酸球増加の重要な機構として、好酸球アポトーシス阻害が提唱されている。喘息においては、喘息時にはIL−5およびGM−CSFがアップレギュレーションされることから、好酸球アポトーシスが阻害されることが、血中および組織中の好酸球増加の原因であるという見解が発表されている。好酸球アポトーシスの阻害は、喘息における血中および組織中好酸球増加のカギ機構として、好酸球アポトーシス阻害が提唱されている。サイトカインによる好酸球アポトーシスの防止にはSykキナーゼが必要であるという報告がある(アンチセンスの使用)[Yousefiほか、J.Exp.Med.1996,183,1407]。
【0009】
骨髄由来マクロファージのFcγR依存性応答および非依存性応答におけるSykの役割は、胎児肝細胞によるSyk−/−胚から再構成された照射マウスキメラを使って決定されている。Syk欠乏マクロファージは、FcγRによって誘発される貪食作用を欠いていたが、補体に応答して正常な貪食作用を示した[Kieferほか、Mol.Cell.Biol.1998,18,4209]。エアロゾル化したSykアンチセンスが、マクロファージからのSykの発現とメディエーターの放出を抑えることも報告されている[Stentonほか、J.Immunology,2000,164,3790]。
【0010】
T細胞レセプターのシグナル伝達にはZAP−70が不可欠である。このチロシンキナーゼの発現は、T細胞およびナチュラルキラー細胞に限定されている。T細胞が働くにはZAP−70が重要であることがヒト患者、ヒト細胞系統およびマウスで明らかにされている。まれなタイプの重度複合免疫不全症候群(SCID)を患っているヒト患者は、ZAP−70のホモ接合変異を持っている(Elder J.of Pedriatric Hematology/Oncology 1997,19(6),546〜550に総説記事が掲載されている)。これらの患者は、重度の免疫不全、CD8+T細胞の欠損を示し、T細胞レセプター(TCR)が関与する刺激に対して応答を示さないCD4+T細胞を持っている。TDRの活性化に引きつづいて、これらのCD4+細胞は、Ca2+の動員、下流基質のチロシンのリン酸化、増殖およびIL−2産生に重度の欠損が見られる(Elder Pedriatric Research 39,743〜748に総説記事が掲載されている)。ZAP−70を欠くヒトジャーカット細胞も、T細胞レセプターのシグナル伝達にZAP−70が決定的な役割を果たしていることに関して、重要な知見を提供する。検出できるだけのZAP−70タンパク質を持たないジャーカットクローン(p116)には、野生型ZAP−70の再導入によって修正しうるT細胞レセプターのシグナル伝達に欠損があることが示されている(Williamsほか、Molecular and Cellular Biology 1998,18(3),1338〜1399)。ZAP−70が欠損したマウスを使った研究から、T細胞のシグナル伝達にはZAP−70が必要であることが立証された。ZAP−70が欠乏したマウスはT細胞の発達が著しく遅れ、かつ胸腺細胞におけるT細胞レセプターのシグナル伝達に問題がある(Negishiほか、Nature 1995,376,435〜438)。
【0011】
ZAP−70のキナーゼドメイン内のDLAARNパターンに同じ変異を発現するヒト患者およびマウスによる研究から、ZAP−70が機能するにはキナーゼドメインが重要であることが明らかにされている。この変異によってキナーゼの活性が失われると、T細胞レセプターのシグナル伝達がうまく行かなくなる(Elderほか、J.Immunology 2001,656〜661)。触媒的に不活性なZAP−70(Lys369Arg)も、ZAP−70が欠乏したジャーカット細胞クローンにおいて、T細胞レセプターのシグナル伝達の回復に欠陥が見られた(Williamsほか、Molecular and Cellular Biology 1998,18(3),1338〜1399)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物を開発することには大きなニーズがある。特に、SYKまたはZAP−70の活性化が関係する大半の障害にとって不十分な治療法しかない場合に、これらに対するインヒビターとして有用な化合物を開発することが特に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明の化合物、および薬学的に受容可能なそれらの組成物が、プロテインキナーゼのインヒビターとして有効であることが発見された。特定の実施形態において、これらの化合物はSYKまたはZAP−70プロテインキナーゼのインヒビターとして有効である。これらの化合物は一般式I:
【0014】
【化17】

を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩である(式中、R,R,R,R,およびArは、以下で定義されるとおりである)。
【0015】
これらの化合物およびその薬学的に受容可能な組成物は、さまざまな疾患、障害または状態、処置または防止するために有用であり、例として免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明が提供する化合物は、生物学的および病理学的現象におけるキナーゼの研究、そのようなキナーゼが関与する細胞内の信号伝達経路の研究、および新規キナーゼインヒビターの比較評価に対しても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
(1.発明の化合物の概要)
本発明は、一般式I:
【0017】
【化18】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式中、
およびRは、それぞれ独立して、R、ハロゲン、CN、NO、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成し、
Tは、必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、Tの最大2個のメチレン単位は任意に、かつ独立して、O、N(R)、C(O)、S、SO、またはSOによって置換され、
Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か; 窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分不飽和の3〜8員環か; あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分不飽和の二環式8〜10員環系から選択される必要に応じて置換された環であって、Arは、1つ以上の炭素原子において−Q−Rの0〜5個の出現例で必要に応じて置換されており、かつ1つ以上の置換可能な窒素原子において−Rで置換されており、−Rの各出現例は、独立して、R’−COR’、CO(C1−6脂肪族基)、−CON(R’)、−SON(R’)、または−SOR’であり、
およびRは、それぞれ独立して、Z−Rであり、
QおよびZの各出現例は、独立して、結合であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの2個までの非隣接メチレン単位が、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、
およびR各出現例は、それぞれ独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’であり、そして、
Rの各出現例は、独立して、水素または選択的に置換されたC1−6脂肪族基であるか;R’の各出現例は、独立して、水素またはC1−8脂肪族基、C6−10アリール環、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、または3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環から選択される、任意に選択的に置換された基であるか;あるいは2つのR、Rが一緒になって、またはRとR’が一緒になって、または2つのR’が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、
ただし、
およびRが両方とも水素であり、Rが水素であり、RがCNであるか、または
およびRが両方とも水素であり、RがNHであり、RがCNである場合、
Arは、Cl、Me、CHNRR’、C(O)NRR’1つもしくは2つの出現例で置換されたフェニルでもピリジルでもなく、RおよびR’は、一緒になって、窒素もしくは酸素から独立して選択される1つもしくは2つのヘテロ原子を有する必要に応じて置換された飽和の6員環もしくは7員環を形成する。
【0018】
(2.化合物および定義)
本発明の化合物には上に一般的に記載した化合物を包含し、本明細書で開示する属、亜属、および種によってさらに例示される。特に示されない限り、本明細書中で使用されているように、以下の定義が適用される。本明細書の目的のため、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に記載されているCAS版の元素周期表に従う。さらに、有機化学の一般原則は、”Organic Chemistry”,Thomas Sorrel,University Science Books,Sausalito: 1999および”March’s Advanced Organic Chemistry”,第5版:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley & Sons,New York: 2001に記載されており、これらを参照することによりその全内容をここに組み込む。
【0019】
本明細書中に記載されるように、本明細書の化合物は、上で包括的に述べたように、あるいは本発明の個々の属、亜属および種によって例示するように、任意に1つ以上の置換基で置換することができる。「必要に応じて置換された」という語句は、「置換された、または置換されない」という語句と入れ替えて使用できるものと理解される。一般に、「置換された」という表現は、この表現の前に「任意に」という表現が有る無しに関わらず、ある構造中の水素基が、特定の基で置換されることを意味する。特に断らない限り、必要に応じて置換された基は、その基の置換可能な各位置に置換基を持つことができ、いかなる構造であってもその構造に複数個の位置があり、指定された基から選択される複数個の置換基で置換することができる場合、すべての位置の置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明が想定する置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を形成する組み合わせである。本明細書中で使用される場合、「安定な」という用語は、その化合物を製造、検出、そして好ましくはそれらの回収、精製、そして本明細書に開示する目的の1つ以上に使用する条件に置かれても実質的に変化しない化合物を意味する。特定の実施形態において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分またはその他の化学的に反応性を示す条件不在で、40℃の温度に少なくとも一週間置いた場合に、実質的に変化しない化合物である。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち非分枝)か、または分枝の、置換または非置換炭化水素鎖であるか、または完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和単位を含み、かつ分子の残りの部分とただ一点で結合するが、芳香族系でない、単環式または二環式炭化水素(本明細書では「炭素環化合物」、「脂環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)を意味する。特に断らない限り、脂肪族基は1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の実施形態においては、脂肪族基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。別の実施形態においては、脂肪族基は1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに別の実施形態において、脂肪族基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、さらに別の実施形態において、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。ある実施形態において、「脂環式」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)という表現は、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和単位を含み、かつ分子の残りの部分とただ一点で結合するが、芳香族系でない、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、前記二環系における個々の環は、いずれも3〜7員環である。好適な脂肪族基として、直鎖または分枝の、置換、あるいは非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニルおよびそれらの混成基、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロ脂肪族」という用語は、一個または二個の炭素原子が、独立して、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素で置換された脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換の、分枝または非分枝の、環式または非環式が可能であり、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、または「ヘテロ環式」基が含まれる。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、または「ヘテロ環式」という用語は、1つ以上の環原子が独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族単環系、二環系、または三環系を意味する。ある実施形態において、「ヘテロ環」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ脂環式」基、または「ヘテロ環式」基は、3員または14員であり、かつ、少なくとも1つ以上の環原子が、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、環系の各環は3〜7員環である。
【0023】
「ヘテロ原子」という用語は、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の酸化された形;塩基窒素の四級化された形;ヘテロ環の置換可能な窒素、例えば(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルに存在するような)N、(ピロリジニルに存在するような)NH、または(N−置換ピロリジニルに存在するような)NR)を意味する。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「不飽和」という用語は、部分構造が1つ以上の不飽和単位を有していることを意味する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、上で定義したアルキル基において、酸素原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(「アルコキシ」)または硫黄原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(「チオアルキル」)を意味する。
【0026】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、および「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0027】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分構造の一部として使用される「アリール」という用語は、全部合わせて5〜14個の環原子を有する単環系、二環系および三環系であって、かつそれらの系の少なくとも1つの環が芳香環であり、かつ各環がそれぞれ3〜7個の環原子を含む環系であることを意味する。「アリール」という用語は、「芳香環」という用語と入れ換えて使用することができる。「アリール」という用語は、後で定義するように、ヘテロアリール環系をも意味する。
【0028】
単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようにより大きな部分構造の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、全部合わせて5〜14個の環原子を有する単環系、二環系および三環系であって、かつそれらの系の少なくとも1つの環が芳香環であり、それらの系の少なくとも1つの環が1つ以上のヘテロ原子を含み、かつ各環がそれぞれ3〜7個の環原子を含む環系であることを意味する。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と入れ替えて使用することができる。
【0029】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、1つ以上の置換基を含むことができる。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、ハロゲン;−R゜;−OR゜;−SR゜;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;任意にR゜で置換されたフェニル(Ph);任意にR゜で置換された−O(Ph);任意にR゜で置換された−(CH1−2(Ph);任意にR゜で置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R゜);−NR℃(O)R゜;−NR℃(O)N(R゜);−NR℃OR゜;−NR゜NR゜(CO)R゜;−NR゜NR゜(CO)N(R゜);−NR゜NR℃OR℃(O)C(O)R℃(O)CH2C(O)R℃OR℃(O)R℃(O)N(R゜);−OC(O)N(R);−S(O)R゜;−S(O)N(R゜);−S(O)R゜;−NR゜SON(R゜);−NR゜SOR℃(=S)N(R゜);−C(=NH)N(R゜);または−(CH)NHC(O)R゜(式中、R゜の各出現例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族、非置換ヘテロアリール5〜6員環または非置換ヘテロ環式5〜6員環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、または上記の定義に関わらず、同じ置換基または異なる置換基上に独立して存在する2つのR゜は、各R゜基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成する)から選択される。R゜の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、R゜で表される前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0030】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、または非芳香族ヘテロ環式環は、1つ以上の置換基を有する。脂肪族またはヘテロ脂肪族基の飽和炭素上の好適な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素に対して上に枚挙した置換基から選択されるほか、=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NR(式中、各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−6脂肪族から選択される)をも含む。Rの脂肪族基上の好適な置換基は、NH2、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、Rの前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0031】
非芳香族ヘテロ環系窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRSO(式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換された−O(Ph)、必要に応じて置換された−CH(Ph)、必要に応じて置換された−(CH1−2(Ph)、必要に応じて置換された−CH=CH(Ph)であるか、あるいは酸素、窒素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜4個有する、非置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロ環式5〜6員環であるか、あるいは上記の定義に関わらず、同じ置換基または異なる置換基上の、独立して存在する2つのRは、各R基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成する)から選択される。Rの脂肪族基またはフェニル基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族(式中、Rの前記C1−4脂肪族はそれぞれ非置換である)から選択される。
【0032】
「アルキリデン鎖」という用語は、炭素直鎖または分枝鎖であって、全飽和であってもよいし、1つ以上の不飽和単位を有することもでき、分子の残り部分と2点で結合する炭素直鎖または分枝鎖を意味する。
【0033】
上記のように、いくつかの実施形態において、独立する2つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)は、各構造変数と一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール3〜8員環を形成し、かつその環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する。独立して存在する2つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、各構造変数と一緒になって形成される代表的な環の例として:a)同じ原子に結合し、かつ独立して存在する2つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、窒素原子と一緒になって環、例えばN(R゜)(ここでは、存在する2つのR゜が窒素原子と一緒になってピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基)を形成する;およびb)異なる原子に結合し、かつ独立して存在する2つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)が、異なる2つの原子と一緒になって環を形成し、例えばここで、フェニル基が、2つのOR゜の出現例:
【0034】
【化19】

で置換され、これら2つのR゜の出現例が、これらが結合する酸素原子と一緒になって含酸素縮合6員環:
【0035】
【化20】

を形成する例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。独立して存在する2つのR゜(またはR、または本明細書で同様の定義を持つ別の構造変数)は、それら各構造変数が結合する原子と一緒になって別のさまざまな環が形成しうることが理解できよう。上で枚挙した例は本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0036】
本明細書中に示される構造は、特に断らない限り、その構造のすべての異性体形(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座異性体形);例えば、各不斉中心に対してR配置およびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)配座異性体を含むことを意味している。それゆえ、本化合物の単一の立体化学異性体はもちろん、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座異性体の混合物もまた、本発明の範囲内に含まれる。特に断らない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体形は本発明の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載する構造は、特に断らない限り、1つ以上の同位体原子が富化されて存在する点のみが異なる化合物も包含することを意味している。例えば、水素が重水素またはトリチウムで置換され、あるいは炭素が13Cまたは14Cに富む炭素で置換された点を除けば、本明細書に記載の構造を有する化合物は、この発明の範囲内に包含される。このような化合物は、例えば生物学的アッセイにおける分析手段として、あるいは分析プローブとして有用である。
【0037】
(3.例示的化合物の説明)
一般式Iで表される化合物について上で一般的に記載されるように、Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か;窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分的不飽和の単環式3〜8員環か;または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分的不飽和の二環式8〜10員環から選択される、必要に応じて置換された環であり、かつArは、1つ以上の炭素原子上を、0〜5個存在する−Z−Rで、そして1つ以上の置換可能な窒素原子上を、−Rで必要に応じて置換される。
【0038】
式Iの好ましいArは、
(a)フェニル、インダニル、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、ヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、単環式5〜6員ヘテロアリール環または二環式9〜10員ヘテロアリール環
から選択される必要に応じて置換された環である。
【0039】
式Iのより好ましいArは、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、ヘテロ環式5〜6員環か、
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、単環式5〜6員ヘテロアリール環である。
【0040】
さらに他の実施形態において、式IのAr基は、以下のa〜bb(式中、xは0〜5である)
【0041】
【化21】

【0042】
【化22】

のいずれか1つから選択される、必要に応じて置換された環である。
【0043】
最も好ましいAr環は、フェニル、ピリミジル、またはピリジルである。
【0044】
一般式Iの化合物について上で一般的に記載されるように、Arは、独立して存在する5つまでのQ−Rで必要に応じて置換される(式中、Qは、それぞれ独立して、結合であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、存在するRは、それぞれ独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’である)。好ましい実施形態において、xは0、1、2、または3である。別の好ましい実施形態において、xは1、2、または3である。
【0045】
さらに他の実施形態において、Qは、独立して、結合であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、存在するRは、それぞれ独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択され、そしてxは0、1、2、または3である。好ましい実施形態において、xは1、2、または3である。
【0046】
Ar上の好ましいQ−R置換基は、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CH2PO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接して存在する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する。
【0047】
Ar上のより好ましいQ−R置換基は、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される必要に応じて置換された基である。別の好ましいAr置換基は、隣接する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された、飽和、部分的不飽和、または全不飽和縮合5員環または6員環を含む置換基である。さらに好ましい実施形態において、隣接する2つのQ−Rによって形成されるこれら縮合した置換基としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェン、ピラン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルなどを挙げることができる。
【0048】
さらに他の実施形態において、Arは、フェニルであり、存在する2つのQ−Rで置換され(x=2)、Arは、以下:
【0049】
【化23】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立して、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。さらに別の好ましい実施形態において、存在する2つのQRは、メチルである。さらに別の好ましい実施形態において、少なくとも1つ存在するQRは、CFである。
【0050】
さらに他の実施形態において、Arは、フェニルであり、存在する三つのQ−Rで置換され(x=3)、Arは、以下:
【0051】
【化24】

(式中、各QRは、独立して、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。さらに別の好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。
【0052】
上記および本明細書中で記載されるQ−R置換基のいずれかがまた、必要に応じて、R、OR、N(R)、SOR、ハロゲン、NO、CN、SR、SON(R)、COR、C(O)R、またはオキソから独立して選択される1つ以上の基でさらに置換されることが理解される。より好ましい実施形態において、上記の各々のQ−R基はまた、必要に応じて、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHから独立して選択される1つまたは2つの基でさらに置換される。
【0053】
一般式Iで表される化合物について上で一般的に記載されるように、RおよびRは、それぞれ独立して、R、ハロゲン、CN、NO、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環を形成する。一般式Iの好ましいRおよびRは、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する。より好ましいRおよびRは、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH2、またはCHNHであるか、またはRおよびRが、一緒になって、必要に応じて置換された縮合ピロリル、ピラゾリル、またはイミダゾリル環を形成する。さらに他の好ましい基として、水素、NH、またはCHNHが挙げられる。
【0054】
一般式Iで表される化合物に対して上で一般的に記載されるように、RおよびRは、それぞれ独立して、Z−Rであり、Zは、必要に応じて置換されたC1−6アルキリデン鎖であって、そのアルキリデン鎖の最大3個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、存在するRは、それぞれ独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、CO2R’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’である。
【0055】
好ましい実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、Z−Rであり、Zが、必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖であり、Zの1つのメチレン単位が、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、そしてRが、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。
【0056】
他の好ましい実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、CN、ハロゲン、OH、SH、NH、COH、COH、CONH、SONH、NO、(CH)nNRR(式中、RおよびRは、それらと結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成する)である。
【0057】
さらに他の好ましい実施形態において、RまたはRの一方が水素、そしてRまたはRの他方が(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R、(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSR(式中、Rは、水素、(CHN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成する)である。ある実施形態において、すぐ上に記載した化合物に対して、Rは水素である。別の実施形態において、すぐ上に記載した化合物に対して、Rは水素である。
【0058】
さらに他の好ましい実施形態において、RまたはRは、それぞれ独立して、水素、(CHOR、(CHNRR、(CHCH、(CHSR、(CHC(O)R、または(CHC(O)R(式中、Rは、(CHN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である。いくつかの好ましい実施形態において、Rは水素、Rは(CHOR、(CHNRR、(CHCH、(CHSR、(CHC(O)R、または(CHC(O)Rである(式中、Rは、(CHN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1であり、mは0または1である)。他の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rは(CHOR、(CHNRR、(CHCH、(CHSR、(CHC(O)R、または(CHC(O)Rであって、Rは、(CHN(R’)2、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成する(式中、nは0または1であり、mは0または1である)。
【0059】
さらに、本発明は、RまたはRの少なくとも1つがメチルである化合物も提供し、化合物は、式I−A−iまたはI−A−ii:
【0060】
【化25】

の1つを有する。
【0061】
他の好ましい実施形態において、RまたはRの少なくとも1つは(CH)nNRRであり、化合物は、式I−B−iまたはI−B−ii:
【0062】
【化26】

の1つを有する。
【0063】
他の好ましい実施形態において、RまたはRの少なくとも1つは(CH)nORであり、化合物は、式I−C−iまたはI−C−ii:
【0064】
【化27】

の1つを有する。
【0065】
さらに他の好ましい実施形態において、RおよびRはともにメチルであり、化合物は、式I−D−iを有するか、またはRおよびRはともに水素であり、化合物は式I−E−iを有する:
【0066】
【化28】


【0067】
さらに他の好ましい実施形態において、RまたはRの一方は、C(O)Rであり、化合物は式I−F−iまたはI−F−ii:
【0068】
【化29】

の1つを有する。
【0069】
一般に、式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物について、Arは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、単環式5〜6員環または二環式8〜10員環から選択されるアリール基か; 窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和または部分不飽和単環式3〜8員環か; または、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜5個有する、飽和または部分不飽和二環式8〜10員環系から選択される必要に応じて置換された環であって、Arは、1つ以上の炭素の位置が0〜5個の−Z−Rで必要に応じて置換され、そして置換可能な1つ以上の窒素原子の位置が−Rで必要に応じて置換される。
【0070】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物について好ましいAr基は、
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環または二環式ヘテロアリール9〜10員環
から選択される、必要に応じて置換された環である。
【0071】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物についてより好ましいArは、
(a)フェニル環か、
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有するヘテロ環式5〜6員環か、あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を1〜3個有する単環式ヘテロアリール5〜6員環
から選択される、必要に応じて置換された環である。
【0072】
さらに他の実施形態において、式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物について好ましいAr基は、以下の式a〜bb(式中、QおよびRは、上で包括的に定義され、かつこのサブセットにおいて定義されたとおりであり、xは0〜5である)のいずれか1つから選択される、必要に応じて置換された環である:
【0073】
【化30】

【0074】
【化31】


【0075】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物について好ましいAr環は、フェニル、ピリミジル、またはピリジルである。
【0076】
好ましい実施形態において、式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−iiの化合物について、Arは、必要に応じて置換されたフェニルであり、化合物は、式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−iまたはI−F−ii(式中、xは0〜5である)の1つを有する:
【0077】
【化32】

【0078】
【化33】


【0079】
上で一般的に記載されるように、Arは、独立して存在する5個までのQ−Rで必要に応じて置換される(式中、存在するQは、それぞれ独立して、結合であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、Rの各出現例は、独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択される)。好ましい実施形態において、xは0、1、2、または3である。他の好ましい実施形態において、xは1、2、または3である。
【0080】
好ましい実施形態において、式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−i、I−F−ii、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、II−E−i、II−F−iまたはII−F−iiの化合物について、Qは、独立して、結合であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Qの最大2個までの非隣接メチレン単位は、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで必要に応じて置換され、存在するRは、それぞれ独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’C(O)R’、NR’C(O)N(R’)、NR’COR’、C(O)R’、COR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、PO(OR’)、C(O)C(O)R’、またはC(O)CHC(O)R’から選択され、そしてxは0、1、2、または3である。好ましい実施形態において、xは1、2、または3である。
【0081】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−i、I−F−ii、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、II−E−i、II−F−iまたはII−F−iiの化合物について、Ar上の好ましいQ−R置換基は、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいは隣接する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成する。
【0082】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−i、I−F−ii、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、II−E−i、II−F−iまたはII−F−iiの化合物について、Ar上のより好ましいQ−R置換基は、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される必要に応じて置換された基である。別の好ましいAr置換基は、隣接して存在する2つのQ−Rが、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された、飽和、部分的不飽和、または全不飽和縮合5員環または6員環を含む置換基である。さらに好ましい実施形態において、隣接する2つのQ−Rによって形成されるこれら縮合した置換基としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フリル、チオフェン、ピラン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルなどを挙げることができる。
【0083】
さらに他の実施形態において、Arは、フェニルであり、かつ、2つのQ−Rで置換され(x=2)、Arは、以下:
【0084】
【化34】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立して、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CH2PO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。さらに別の好ましい実施形態において、存在する両QRは、メチルである。さらに別の好ましい実施形態において、少なくとも1つ存在するQRは、CF3である。
【0085】
さらに他の実施形態において、Arは、フェニルであり、存在する三つのQ−Rで置換され(x=3)、Arは、以下:
【0086】
【化35】

(式中、存在するQRは、それぞれ独立して、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)である)である。ある好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OCHCH、O(CHCH、またはO(CHCH)、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。さらに別の好ましい実施形態において、存在するQRは、それぞれ独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、シクロブチル、またはt−ブチル)、NH、CHNH、NHMe、CH2NHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1−4アルキル)、CHCO(C1−4アルキル)、NHCO(C1−4アルキル)、CHNHCO(C1−4アルキル)、CN、CHCN、OH、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1−4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)であるか、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環または6員環から選択される、必要に応じて置換された基である。
【0087】
上記の各QRは、さらに、R、OR、N(R)、SOR、ハロゲン、NO、CN、SR、SON(R)、COR、C(O)R、またはオキソから独立して選択される1つ以上の基で必要に応じて置換される。もっと好ましい実施形態において、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、オキソ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NO、またはCHOHから独立して選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換される。
【0088】
式I−A−iおよびII−A−iの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0089】
式I−A−iiおよびII−A−iiの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0090】
式I−B−iおよびII−B−iの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0091】
式I−B−iiおよびII−B−iiの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0092】
式I−C−iおよびII−C−iの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0093】
式I−C−iiおよびII−C−iiの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0094】
式I−F−iおよびII−F−iの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖をなす基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。最も好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0095】
式I−F−iiおよびII−F−iiの化合物についての好ましいR基は、式中のZが、結合か、あるいは必要に応じて置換されたC0−4アルキリデン鎖である基であり、Zの1つのメチレン単位は、任意に、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで置換され、Rは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される。さらに好ましい実施形態において、Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSRである(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和または部分的不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)。さらに別の好ましい実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0096】
さらに他の好ましい実施形態において、直前に記載した各実施形態についてnは0である。さらに他の好ましい実施形態において、直前に記載した各実施形態についてnは1である。
【0097】
式I−A−i、I−A−ii、I−B−i、I−B−ii、I−C−i、I−C−ii、I−D−i、I−E−i、I−F−i、I−F−ii、II−A−i、II−A−ii、II−B−i、II−B−ii、II−C−i、II−C−ii、II−D−i、II−E−i、II−F−iまたはII−F−iiの化合物について、好ましいRおよびR基は、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する。より好ましいRおよびRは、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH2、またはCHNHであるか、またはRおよびRが、一緒になって、必要に応じて置換された縮合ピロリル、ピラゾリル、またはイミダゾリル環を形成する。さらに他の好ましい基として、水素、NH、またはCHNHが挙げられる。
【0098】
さらに他の好ましい実施形態において、化合物は、式II−A−i、II−B−i、II−C−iまたはII−F−iの1つを有し、前記化合物の構造変数は、以下のように定義される:
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CH2NO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、C1−4アルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である。
【0099】
さらに他の好ましい実施形態において、化合物は、式II−A−ii、II−B−ii、II−C−iiまたはII−F−iiの1つを有し、前記化合物の構造変数の1つ以上は、以下のように定義される:
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、
b) RおよびRは、それぞれ独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成し、
c) Rは、(CH)nハロゲン、(CH)nCN、(CH)nOR、(CH)nNRR、(CH)nC(O)R、(CH)nC(O)R、(CH)nCH、(CH)nC(O)NRR、(CH)nSR(式中、Rは、(CH)mN(R’)、Cアルキル、必要に応じて置換された5員環または6員環アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和3〜8員環を形成し、nは0または1、mは0または1である)である。
【0100】
さらに他の好ましい実施形態において、化合物は、式II−E−iを有し、前記化合物の構造変数の1つ以上は、以下のように定義される:
a) xは0、1、2、または3であり、そしてQ−Rは、CHハロゲン、ハロゲン、CHCN、CN、CHCOR’、COR’、CHCOR’、COR’、R’、CHNO、NO、CHOR’、OR’、CHSR’、SR’、ハロアルキル、CHSON(R’)、SON(R’)、CHN(R’)、N(R’)、NHCOR’、CHNHCOR’、CHPO(OR’)、PO(OR’)であるか、あるいはQ−Rは、隣それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を0〜3個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5〜8員環を形成し、そして
b) RおよびRは、それぞれ独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、またはRおよびRが、一緒になって、N、O、またはSから独立して選択されるヘテロ原子を0〜2個有する、必要に応じて置換された飽和、部分的不飽和、または全不飽和5員環を形成する。
【0101】
式Iの例示的化合物(およびそれらの属および亜属)は以下の表1に示される:
(表1.式Iの化合物の例)
【0102】
【化36】

【0103】
【化37】

【0104】
【化38】

【0105】
【化39】

【0106】
【化40】

【0107】
【化41】

【0108】
【化42】

(4.一般的な合成法)
以下の一般的な合成スキーム、およびそれに続く調製実施例によって示すように、本発明の化合物は、一般に、類似の化合物について当業者に公知の方法によって調製され得る。
【0109】
以下のスキームIは、本発明の特定の化合物の合成に使用され得る一般的な合成経路を示す。
【0110】
スキームI:
【0111】
【化43】

上で示されるように、3−アセチルチアゾール(4)の調製後、(4)のTHF溶液をジメチルホルムアミド−ジメチルアセタールで処理し、得られた混合物を室温で一晩攪拌する。その反応混合物を、真空中で濃縮し、その濃縮物をジエチルエーテルで粉末にして5を得る。
【0112】
中間体6を合成するため、ArNHおよびシアナミドを塩酸(4Nジオキサン溶液)中で120゜に一晩加熱する。室温まで冷却した後、水系で処理し、目的とするグアニジン化合物6を得る。当業者であれば、広範囲のアリールグアンジンが合成可能であり、それらのグアニジンは、さまざまなAr環を持った式Iの化合物の合成に使用できることを理解できよう。
【0113】
工程(b)において、密閉した管中で、グアニジン6をDMF中のエナミノン5と合わせる。得られた混合物を一晩加熱還流したのち濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望のピリミジン化合物7を得る。これらの化合物の生成に使用される反応条件の詳細は、実施例に記載する。
【0114】
1つの例示的実施形態において、スキームIIに示されるように、フェニルグアニジン6aが調製され、一般式7aの化合物を生成するために使用される。
【0115】
スキームII:
【0116】
【化44】

以下のスキームIII、IVおよびVは、本発明の特定の例示的化合物の合成を示す。
【0117】
スキームIII:
【0118】
【化45】

【0119】
【化46】

特定の例示的実施形態が示され、上に記載され、そして本明細書中で記載されているが、上で一般的に記載される方法に従って、当業者に一般的に利用可能な方法により適当な出発物質を使用して、本発明のさらなる化合物を調製し得ることが理解される。
【0120】
(5.用途、処方物および投与)
(薬学的に受容可能な組成物)
上で議論したように、本発明はプロテインキナーゼのインヒビターである化合物を提供する。それゆえ、本発明の化合物は、疾患、障害および状態の処置に有用であり、そのような例として、免疫不全障害、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。したがって、本発明の別の局面において、製薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載する化合物のいずれかを含み、任意に、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含む。ある実施形態において、これらの組成物は、任意に、さらに一種類以上の治療薬を追加的に含む。
【0121】
本発明の特定の化合物は、処置のために遊離の形で存在するか、あるいは、適当であれば、薬学的に受容可能なそれらの誘導体として存在することが可能であることも了解されよう。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体として、薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、または必要とする患者に投与するときに、本明細書において別の記載がなされている化合物を、直接または間接的に提供することができるその他の付加体または誘導体、またはそれらの代謝産物または残さが含まれるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0122】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」という表現は、健全な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを示すことなく、ヒトおよびそれより下等な動物と接触する状態での使用に適し、かつ合理的な便益/リスク比をも満たす塩を意味する。「薬学的に受容可能な塩」は、それを受容するものに投与したとき、本発明の化合物、または阻害活性なその代謝産物または残さを、直接または間接的に提供しうる本発明の化合物の無毒な塩またはエステルの塩を意味する。ここで使用した「阻害活性なその代謝産物または残さ」という表現は、その代謝産物または残さも、SYKまたはZAP−70キナーゼインヒビターであることを意味する。
【0123】
薬学的に受容可能な塩は、当業者に周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Scienses,1977,66,1〜19に、薬学的に受容可能な塩について詳しく紹介しており、これを参照することによりここに組み込む。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、適当な無機および有機酸および塩基から誘導される塩が含まれる。薬学的に受容可能な無毒な酸付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸とで形成されるアミノ酸の塩、有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸で形成されるアミノ酸の塩、または、既存の技術で使用される別の方法、例えばイオン交換法によって形成されるアミノ酸の塩を挙げることができる。薬学的に受容可能な塩として、他に、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、硫酸ドデシル塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、バレリアン酸塩などがある。該当する塩基との塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンミニウム塩およびN(C1−4アルキル)4塩などを挙げることができる。さらに本発明は、本明細書に開示する化合物の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。このような四級化によって水溶性もしくは油溶性生成物、または分散生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを挙げることができる。さらに、場合に応じて、薬学的に受容可能な塩として、ハロゲン化水素酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸低級アルキル塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される無毒なアンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオンを挙げることができる。
【0124】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを添加されて含有し、それには、本発明に使用されるように、あらゆる溶剤、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体バインダー、潤滑剤など、個々の所望剤形に適するものが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物の調製に使用される各種担体およびそれを調製するための既知の技術を開示している。通常の担体媒体が、望ましくない生物学的効果を引き起こし、他の場合は、薬学的に受容可能な組成物の別の成分との有害な相互作用などによって、本発明の化合物と不適合となる場合を除いて、その使用は本発明の範囲内にあるものと想定される。薬学的に受容可能な担体として使用可能な物質の例としては、例えばイオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセライド混合物、水、塩または電解質、例えばプロタミン硫酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、羊毛脂、糖類、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖;デンプン、例えばコーンスターチおよび馬鈴薯デンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカントゴム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび坐薬用ワックス;油、例えば落花生油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油;グリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム;アルギン酸;ピロゲンを含まない水;生理食塩水、;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸塩緩衝液、ならびに毒性を示さないその他の適合潤滑剤、例えば硫酸ラウリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、さらに、処方物専門家の判断によって、着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、風味剤、香料、保存剤および酸化防止剤も配合することができる。
【0125】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の用途)
さらに別の局面において、化合物または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害を処置、または軽減する方法が提供される。本発明の特定の実施形態において、化合物または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害を処置、または軽減するために有効な量を意味する。本発明の方法によれば、化合物および組成物は、免疫不全障害、炎症疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫が関係する疾患、または呼吸器障害を処置、または軽減するために有効な量および投与法を使って、投与することができる。正確な必要量は、患者によって変わるし、(動物の)種類、年齢、患者の全般的な状態、感染の重度、具体的な薬剤、投与方法などによっても変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与のし易さと用量の一様性を確保するため用量単位の剤形に処方物される。本明細書中で使用される場合、「用量単位の剤形」という表現は、処置を受ける患者に適した薬物の物理的に独立した単位を意味する。とは言っても、本発明の化合物および組成物の一日総使用量は、健全な医学的判断の範囲内において、担当する医師が判断するものであることは了解されよう。個々の患者または生物に対して具体的な有効用量は、処置すべき障害および障害の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物;患者の年齢、体重、全般的健康度、性別および食事;投与回数、投与経路、および使用する具体的な化合物の排出速度;処置期間;使用する具体的な化合物と組み合わせて、あるいは同時に使用する薬物、および医学的によく知られているその他の要因などを含むさまざまな要因によって左右される。本明細書中で使用される場合、「患者」という表現は、動物を意味し、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間を意味する。
【0126】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、ヒトおよびその他の動物に対して、経口、経直腸、腸管外、槽内、膣内、腹腔内、外用(散剤、軟膏、または滴剤)、頬、口腔または鼻腔スプレーなどの方法により、治療すべき感染の重度に応じて投与することができる。ある実施形態において、所望の治療効果を得るため、本発明の化合物は、患者の体重1kg当たり約0.01mg〜約50mg、好ましくは約1mgまたは約25mgの用量を、一日に一回以上、経口で、または非腸管内に投与することができる。
【0127】
経口投与のための液体剤形として、薬学的に受容可能な乳剤、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。液体剤形は、活性化合物以外に従来技術で広く使用されている不活性希釈剤、例えば水などの溶剤、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、および大豆油、)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含むことができる。経口組成物には、不活性希釈剤以外にも、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、風味剤、および香料を含むことができる。
【0128】
注射可能な調節物、例えば、無菌の水性または油性懸濁注射液は、公知技術により、適当な分散剤、湿潤剤および懸濁剤を使用して調製することができる。無菌注射製剤は、腸管外的に許容される無毒希釈剤または溶剤による無菌注射溶液、懸濁液、または乳液、例えば、1,3−ブタジンジオールに溶かした溶液として調製することができる。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶剤として、水、リンゲル液、U.S.P.食塩水および等張食塩水を挙げることができる。合成グリセリドまたはジグリセリドを含め、刺激の少ない固定油が、この目的に使用可能である。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸も注射剤の調製に使用される。
【0129】
注射可能な処方物は、例えばバクテリアの通過を阻止するフィルターで濾過するか、使用前に滅菌水か別の無菌注射媒体に溶解または分散させることができる無菌固体の形で滅菌剤を添加することで無菌化することができる。
【0130】
本発明の化合物の効果を持続させるため、しばしば、皮下または筋肉内に注射した化合物の吸収を遅らせることが望まれる。それは水溶性の低い結晶性物質または非晶質物質を懸濁液として使用することで実現可能である。その場合、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、その溶解速度は結晶の大きさと結晶の形態に依存する可能性がある。別の方法として、腸管外に投与される化合物の吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることで遅らせることができる。デポタイプの注射剤は、化合物を生分解性ポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコライドに収容したミクロカプセルを形成することで調製される。化合物とポリマーの比および使用する個々のポリマーの性質によって、化合物の放出速度を制御することができる。上記以外の生分解性ポリマーとしてはポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)を挙げることができる。デポタイプの注射剤は化合物を、体組織に適合するリポソームまたはミクロエマルジョンに収容することにより調製することもできる。
【0131】
直腸または膣に投与するための組成物は、好ましくは坐薬とされ、本化合物と適当な非刺激性賦形剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、または環境温度では固体であるが、体温、すなわち直腸または膣内の空洞内では融けて液体に変化し、活性化合物を放出する坐薬用ワックスとを混合し、調製することができる。
【0132】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、散剤、および顆粒剤を挙げることができる。このような剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの薬学的に受容可能な不活性な賦形剤か担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/またはa)フィラーまたは増量剤、例えばデンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトールおよびケイ酸、b)バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアカシア、c)湿潤剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天−寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯デンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸塩、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば四級アンミニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリン、ベントナイト粘土、およびi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウム、およびそれらの混合物、と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、剤形は緩衝剤を含むこともできる。
【0133】
類似の型の固体組成物は、例えば乳糖、別名ミルクシュガーや高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟充填および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても使用することができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は被覆および被殻、例えば製薬技術として広く知られている腸内被覆などを施した形で調製することが可能である。それらには任意に不透明化剤を添加することができ、かつ腸管のある部分にのみ、または優先的に活性成分を、任意に徐放する組成物とすることもできる。使用可能な組成物を植え込む例にはポリマー物質やワックスがある。類似タイプの固体組成物は、例えば乳糖、別名ミルクシュガーや高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟充填および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても使用することができる。
【0134】
活性化合物は、一種類以上の上記賦形剤と一緒にマイクロカプセル化された形にすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は被覆および被殻、例えば製薬技術として広く知られている腸内被覆、放出速度調節被覆などを施した形で調製することが可能である。このような固体剤形においては、活性化合物に、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えばショ糖、乳糖またはデンプンを混ぜ合わせることができる。このような剤形には、普通行われるように、不活性希釈剤以外の物質、例えば打錠潤滑剤、や打錠補助剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを添加することもできる。カプセル、錠剤、およびピルの場合、剤形に緩衝剤を含めることができる。それらには任意に不透明化剤を添加することができ、かつ腸管のある部分にのみ、または優先的に活性成分を、任意に徐放する組成物とすることもできる。使用可能な組成物を植え込む例にはポリマー物質やワックスがある。
【0135】
本発明の化合物を外用または経皮投与するための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬または膏薬を挙げることができる。活性成分に、薬学的に受容可能な担体を無菌条件下に混合し、そして、必要な保存剤または緩衝剤があれば、それらも必要に応じて混合する。眼科用製剤、点耳剤、および点眼剤も本発明の範囲内にあるものと想定される。また、本発明は、制御の下に化合物を身体に運ぶ利点を有する膏薬の使用も想定している。このような剤形は、化合物を適当な媒体に溶解し、または調合して作ることができる。皮膚を通過する流量を高めるには、吸収促進剤を使用することもできる。流速は、流速を制御する膜を設けるか、化合物を高分子のマトリクスかゲルに分散させることで制御することができる。
【0136】
上で一般的に記載されるように、本発明の化合物はプロテインキナーゼのインヒビターとして有用である。1つの実施形態において、本発明の化合物および組成物は、SYKまたはZAP−70の1つ以上のインヒビターである。それゆえ、個々の理論に結びつけることはともかくとして、SYKまたはZAP−70の1つ以上の活性化が、疾患、状態、または障害に関与するそうした疾患、状態、または障害を処置し、または軽減するために、これらの化合物および組成物は特に有用である。SYKまたはZAP−70の1つ以上の活性化が、特定の疾患、状態、または障害に関与している場合、その疾患、状態、または障害は、「SYKまたはZAP−70媒介性疾患」または疾患の症状と呼ばれることもある。したがって、別の局面において、本発明は、SYKまたはZAP−70の1つ以上の活性化が、疾患、状態、または障害に関与するそうした疾患、状態、または障害を処置し、または軽減する方法を提供する。
【0137】
SYKまたはZAP−70のインヒビターとしての、本発明の化合物の活性は、In vitro、in vivo、または細胞系統で検定できるかもしれない。in vitroでの検定法には、活性化したSYKまたはZAP−70のリン酸化活性とATPase活性のいずれかの阻害を定量する検定法がある。別のin vitro検定法は、インヒビターがSYKまたはZAP−70に結合する能力を定量する。インヒビターの結合は結合前にインヒビターを放射性同位体で標識しそれからインヒビター/SYK複合体またはインヒビター/ZAP−70複合体を分離し、結合した放射性同位体量を定量することで測定できよう。あるいは、既知放射性リガンドと結合したSYKまたはZAP−70を新しいインヒビターとインキュベートする競争実験によって決定できるかもしれない。
【0138】
本明細書中で使用される場合、「測定可能な程度に阻害する」という表現は、前記組成物を含む試料およびSYKまたはZAP−70キナーゼと、SYKまたはZAP−70を含み、前記組成物が存在しない同等試料との間に、測定可能な変化が存在することを意味する。
【0139】
本明細書中で使用される場合、「SYK媒介性疾患」または「SYK媒介性状態」という表現は、SYKプロテインキナーゼが役割を演じていることがわかっている疾患または有害な状態を意味する。このような状態として、アレルギー障害、特に喘息を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0140】
本明細書中で使用される場合、「ZAP−70媒介性状態」という表現は、ZAP−70が役割を演じていることがわかっている疾患または有害な状態を意味する。このような状態として、自己免疫疾患、炎症疾患、増殖疾患および高増殖疾患、および移植臓器または組織に対する拒絶反応および後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む、免疫が関係する疾患を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0141】
例えば、ZAP−70媒介性状態として、気道の疾患が含まれ、それには、喘息を含む可逆的な気道の閉塞、例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、および塵埃性喘息、特に慢性または難知性喘息(例えば遅発性喘息気道反応過多)、および気管支炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、ZAP−70の疾患には鼻粘膜の炎症が特徴の病的状態、例えば急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎および慢性鼻炎、例えば、乾酪鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎、および薬誘発性鼻炎;膜性鼻炎、例えば膜性鼻炎、線維性鼻炎および偽膜性鼻炎および腺病性鼻炎、季節性鼻炎、例えば神経性鼻炎(枯草熱)および血管運動性鼻炎、サルコイドーシス、農夫肺とその関連病、肺線維症および特発性間質性肺炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
ZAP−70媒介性状態として、骨および関節の疾患も含まれ、それには、リウマトイド関節炎(に伴って形成されるパンヌス)、血清反応陰性脊椎関節症(関節の強直、脊椎炎、乾癬性関節炎およびライター病を含む)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、および全身硬化症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
ZAP−70媒介性状態として、皮膚の疾患および障害も含まれ、それには、乾癬、全身硬化症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎およびその他の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱瘡、じんま疹、脈管皮膚、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、ブドウ膜炎、脱毛症、限域性結膜炎および春季カタルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
ZAP−70媒介性状態として、胃腸管の疾患および障害も含まれ、それには、小児脂肪便症、直腸炎、好酸球胃腸炎、肥満細胞炎、膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、食事が関係すし、腸から遠く離れた場所に現れるアレルギー、例えば偏頭痛、鼻炎および湿疹が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
ZAP−70媒介性状態として、その他の組織および全身性の疾患および障害も含まれ、それには、多発性硬化症、関節硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、紅斑性ループス、全身性ループス、紅斑性、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、タイプI糖尿病、ネフローゼ症候群、好酸球性筋膜炎、IgE過多症候群、らい腫らい、セザリー症候群および特発性血小板減少性紫斑病、血管形成に続く再発狭窄症、腫瘍(例えば、白血病、リンパ腫)関節硬化症、および全身性紅斑性ループスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
ZAP−70媒介性状態として、同種移植片拒絶も含まれ、それには、例えば腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚および角膜の移植のあとにつづいて現れる急性および慢性同種移植片拒絶;および慢性移植片対宿主病が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物は、併用治療に使用することが可能である、すなわち、一種類以上の別の所望治療薬または治療手順の前に、またはその後に並行して、本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物を投与することが可能である。併用方式で使用する治療法(治療薬または治療手順)の具体的な組み合わせに当たっては、所望治療薬および/または手順の適合性と、達成すべき所望治療効果とが考慮されることも了解されよう。さらに、使用される治療法は、同じ障害に対して、所望の効果をあげる場合(例えば、同じ障害を処置するために使用する別の薬物と並行して発明の化合物を投与する場合)もあれば、別の効果をあげる場合(例えば、副作用を抑える場合)もあることも了解されよう。ここで使用されているように、特定の疾患または状態を処置、または防止するために普通に追加投与される治療薬は、「処置される疾患または条件に適している」ものと理解されている。
【0148】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療薬の量は、唯一の活性薬物として、その治療薬を含む組成物の形で、通常投与される量を超えることはない。好ましくは、本明細書に開示する組成物中の追加治療薬の量は、唯一の治療活性薬物として、その治療薬に通常存在する量の約50〜100%の範囲である。
【0149】
本発明の化合物または薬学的に受容可能な組成物は、埋め込み可能な医療用具、例えば補綴、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルを被覆する組成物中に配合することもできる。したがって、別の局面において、本発明は、上で包括的に説明し、さらに属および亜属で説明した本発明の化合物と、埋め込み可能な用具の被覆に適する担体とを含み、かつ前記埋め込み可能な医療用具を被覆するための、組成物を含む。さらに別の局面において、本発明は、上で包括的に説明し、さらに属および亜属で説明した本発明の化合物と、埋め込み可能な用具の被覆に適する担体とを含む組成物で被覆される、埋め込み可能な用具を含む。
【0150】
例えば、血管ステントは、狭窄(負傷後の血管壁が狭くなること)を克服するために使用されてきた。しかしステントまたは他の埋め込み可能な用具を使用する患者は、血管の閉塞または血小板活性化のリスクにさらされている。これらの望ましくない効果は、あらかじめ用具を、キナーゼインヒビターを含む薬学的に受容可能な組成物で被覆しておけば、防止または緩和することができる可能性がある。好適な被覆剤と、被覆した埋め込み可能な用具の一般的な調製法とは米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に記載されている。典型的には、被覆膜は、生体適合性の高分子材料、例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン=ビニルアセテート、およびそれらの混合物である。被覆膜は、任意に、フルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組み合わせの適当なトップコートでさらに被覆して、放出特性を制御する機能を、組成物に持たせることができ
本発明の別の局面は、生物学的サンプルまたは患者におけるSYKまたはZAP−70の活性を阻害することに関し、その方法は、式Iの化合物または前記化合物を含む組成物を、患者に投与するか、または前記生物学的サンプルに接触させることを含む。ここに使用される「生物学的サンプル」という用語は、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、糞便、精液、涙またはその他の体液、またはその抽出物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0151】
生物学的サンプルにおけるSYKまたはZAP−70のキナーゼ活性を阻害することは、当業者に公知の種々の目的に有用である。そのような目的の例として、輸血、臓器移植、生物標本の保存、および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0152】
(A)本発明の例示的な化合物の合成)
(実施例1:(スキームIおよびスキームIIで番号付けした化合物を参照する)7aの合成)
A)4−ブロモ−2−(トリメチル−シラニル)−チアゾール(2)
−78℃の70mL乾燥エーテル中のn−BuLi(ペンタン中2M;12.35mL、0.0247mol)の撹拌溶液に、30mLのエーテル中の2,4−ジブロモチアゾールを、30分にわたって滴下した。この混合物を、1時間撹拌し、次いで、TMSCl(2.87mL、0.0226mol)を、10分間にわたって滴下した。−78℃で1時間撹拌したあと、この反応混合物を、飽和NaHCOで洗浄し、そしてエーテルで抽出した。この有機層を、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、油状物として4.0g(82%)の2を得た。これを、そのまま次の工程に使用した。
【0153】
B)1−[2−(トリメチル−シアニル)−チアゾール−4−イル]エタン(3)
−78℃の70mL乾燥エーテル中のn−BuLi(ペンタン中2M;12.7mL、0.025mol)の撹拌溶液に、30mLのエーテル中の16(4.0g、0.017mol)を、30分にわたって滴下した。この混合物を、1時間撹拌し、次いで、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(2.16mL、0.02mol)を、10分間にわたって滴下した。−78℃で1時間撹拌したあと、この反応混合物を、飽和NaHCOで洗浄し、そしてエーテルで抽出した。この有機相を、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、油状物として2.4g(71%)の3を得、これを、そのまま次の工程に使用した。
【0154】
C)1−チアゾール−4−イル−エタン(4)
40mLのTHF中の17(2.4g、12.4mmol)と4mLの5% HClとの混合物を、室温で1時間撹拌した。この混合物を、エーテルで希釈し、そして飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、油状物として1.44g(94%)の4を得た。これを、そのまま次の工程に使用した。
【0155】
D)3−ジメチルアミノ−1−チアゾール−4−イル−プロペノン(5)
7.5mLのDMF−DMA中の4(2.48g、0.124mol)の溶液を、密封したチューブ中で、16時間、90℃で加熱した。冷却の際に形成した沈殿物を収集し、所望のエナミノン5を0.5g(25%)得た。上記および本明細書中で記載した一般的な条件下でのエナミノン5と6aとの反応により、所望の化合物7aを得た。
【0156】
(実施例2:(スキームVで番号付けした化合物を参照する):9bの合成)
A)(3,5−ジメチル−フェニル)−(4−チアゾール−4−イル−ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8b)
室温の、10mL無水THF中の7b(462mg、0.00164mol)の溶液に、boc無水物(446mg、0.00204)を添加し、続いて、触媒量のDMAPを添加した。この反応混合物を16時間撹拌した。乾燥するまで濃縮し、そしてシリカ(30%酢酸エチル/70%ヘキサン)のショートプラグを通過させて、631mg(100%)の所望の生成物8bを得た。
【0157】
B)1−{4−[2−(3,5−ジメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−エタノン(9b)
−78℃の2mL乾燥THF中のLiHMDS(THF中1M;0.313mL、0.314mmol)の撹拌溶液に、1mLのエーテル中の8b(100mg、0.261mmol)を、3分間にわたって滴下した。この混合物を、1時間、−78℃で撹拌し、次いで、室温まで温め、そして15分間撹拌した。−78℃に冷却し、次いで、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(0.033mL、0.314mmol)を、5分間にわたって滴下した。−78℃で1時間撹拌したあと、この反応混合物を、飽和NaHCOで洗浄し、そしてエーテルで抽出した。この有機層を、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、粗製の固形残渣を得た。これを、フラッシュクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/60%ヘキサン)に供し、固形物として49mg(44%)のカルバメートを得た。室温で1時間、TFA−DCM(1:1)でt−ブトキシカルボニル基を取り除き、続いて、フラッシュクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/60%ヘキサン)に供し、20mg(53%)の所望の生成物9bを得た。
【0158】
(実施例3:(スキームVで番号付けした化合物を参照する):{4−[2−(3,5−ジメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−メタノール(10b)の合成)
−78℃の2mL乾燥THF中のLiHMDS(THF中1M;0.313mL、0314mmol)の撹拌溶液に、1mLのエーテル中の8b(100mg、0.261mmol)を、3分間にわたって滴下した。この混合物を、1時間、−78℃で撹拌し、次いで、室温まで温め、そして15分間撹拌した。−78℃に冷却し、次いで、DMF(0.024mL、0.314mol)を、5分間にわたって滴下した。−78℃で1時間撹拌したあと、この反応混合物を、飽和NaHCOで洗浄し、そしてエーテルで抽出した。この有機層を、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、粗製の固形残渣を得た。これを、2mLのメタノール中の水素化ホウ素ナトリウム(15mg、1.5当量)で還元した。0.5mLの1M HClでクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。この有機層を、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、粗製の固形残渣を得、これを上記のように脱保護した。フラッシュクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/60%ヘキサン)により、29mg(20%)の所望の生成物10bを得た。
【0159】
(B)生物学的データ)
(実施例1:SYK阻害アッセイ)
化合物を、標準的な結合酵素アッセイ(Foxら,Protein Sci.1998,7,2249)を使用して、この化合物がSYKを阻害する能力についてスクリーニングした。反応を、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5% DMSO中で行った。アッセイにおける最終基質濃度は、200μMのATP(Sigma Chemical Co.)および4μMのポリGly−Tyrペプチド(Sigma Chemical Co.)であった。アッセイを、30℃、そして200nM SYKで行った。結合酵素系の化合物の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼ、および10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0160】
上に列挙した試薬の全て(SYK、DTTを除く)、および本発明の目的の試験化合物を含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。56μlの試験反応物を、96ウェルプレートに配置し、続いて、本発明の試験化合物を含む、2mMのDMSOストックを1μl加えた(最終化合物濃度30μM)。このプレートを、約10分間、30℃でプレインキュベートし、そして10μlの酵素(最終濃度25nM)を加えて反応を開始させた。BioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を使用して、5分間の読取時間で30℃にて反応速度を得た。本発明の化合物についてのK値は、標準的な方法に従って決定した。
【0161】
本発明の化合物は、SYKのインヒビターとして有用である。以下の化合物は、5.0μM以下のK値を示す:I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、およびI−6。
【0162】
(実施例2:ZAP−70阻害アッセイ)
化合物を、標準的な結合酵素アッセイ(Foxら,Protein Sci.1998,7,2249)を使用して、この化合物がZAP−70を阻害する能力についてスクリーニングした。アッセイを、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、2mM DTTおよび3% DMSOの混合物中で行った。このアッセイにおける最終基質濃度は、100μMのATP(Sigma Chemicals)および20μMのペプチド(ポリ−4EY、Sigma Chemicals)であった。アッセイを、30℃、および60nM ZAP−70で行った。結合酵素系の化合物の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、300μMのNHDA、30μg/mlのピルビン酸キナーゼ、および10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0163】
上に列挙した試薬の全て(ZAP−70除く)、および本発明の目的の試験化合物を含有するように、アッセイストック緩衝溶液を調製した。55μlのストック溶液を、96ウェルプレートに配置し、続いて、本発明の試験化合物の段階希釈物を含む、2μlのDMSOストックを加えた(代表的には、15μMの最終濃度から開始する)。このプレートを、10分間、30℃でプレインキュベートし、そして10μlの酵素(最終濃度60nM)を加えて反応を開始させた。Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーを使用して、15分間の時間経過にわたって反応初速度を決定した。Kデータを、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用のGraphPad Prismバージョン3.0a,GraphPad Software,San Diego California,USA)を使用して、非線形回帰分析から計算した。
【0164】
本発明の化合物は、ZAP−70のインヒビターとして有用である。以下の化合物は、5.0μM以下のK値を示す:I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、およびI−6。
【0165】
本発明の実施形態の番号が記載されたが、本明細書中で記載された基礎的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するように変更され得ることが明らかである。従って、本発明の範囲は、実施例によって表された特定の実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
およびRは、各々独立して、R、ハロゲン、CN、NO、もしくはTRであるか、またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の5員環もしくは6員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有し;
Tは、必要に応じて置換されるC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Tの2つまでのメチレン単位は、必要に応じてかつ独立して、O、N(R)、C(O)、S、SO、またはSOで交替され;
Arは、必要に応じて置換される環であり、該環は、以下:窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、5〜6員の単環式環または8〜10員の二環式環から選択されるアリール基:窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の飽和または部分的に不飽和の単環式環:または、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、8〜10員の飽和または部分的に不飽和の二環式環系、から選択され;ここで、Arは、必要に応じて、1個以上の炭素原子において0〜5個の−Q−Rの存在で置換されており、および1個以上の置換可能な窒素原子において、−Rで置換されており、そしてRの各存在は、独立して、R’、−COR’、−CO(C1〜6脂肪族)、−CON(R’)、−SON(R’)、または−SOR’であり;
およびRは、各々独立してZ−Rであり;
QおよびZの各々の存在は、独立して、結合または必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Qの2つまでの隣接していないメチレン単位は、必要に応じて、以下:
【化1A】

で交替されており;
およびRの各存在は、独立して、以下:
【化1B】

であり;そして
Rの各存在は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基であり;そしてR’の各存在は、独立して、水素であるか、またはC1〜8脂肪族、C6〜10アリール、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、または3〜10個の環原子を有する複素環から選択される必要に応じて置換された基であるか、あるいはここで、Rの2つの存在が一緒になって、RおよびR’が一緒になって、またはR’の2つの存在が一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の3〜8員の環を形成し、該環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有し;
ただし:
およびRが両方とも水素であり、Rは水素であり、RはCNである場合、あるいは
およびRが両方とも水素であり、RはNHであり、RはCNである場合、
その時、Arは、Cl、Me、CHNRR’、C(O)NRR’、またはSONRR’の1個もしくは2個の存在で置換されたフェニルまたはピリジルではなく、ここで、RおよびR’は、一緒になって、必要に応じて置換された飽和の6〜7員の環を形成し、該環は、窒素または酸素から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここでArが、以下:
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環;
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員の複素環;あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員単環式ヘテロアリール環または9〜10員二環式ヘテロアリール環
から選択される、必要に応じて置換された環である、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、ここでArが、以下:
(a)フェニル環;
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員の複素環;あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員単環式ヘテロアリール環
から選択される、必要に応じて置換された環である、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、ここでArが、a〜bb:
【化2】

のいずれか1つから選択され、ここでxは0〜5である、化合物。
【請求項5】
Arが、必要に応じて置換されたフェニル、ピリミジニルまたはピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、ここでArは、フェニルであり、そしてQ−Rの2つ(x=2)または3つ(x=3)の存在で置換されており、そしてArは、以下:
【化3】

であり、
ここで、QRの各存在は、独立して、以下:
【化3A】

である、化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、ここでQは、独立して結合であるか、または必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの隣接していないメチレン単位は、必要に応じて、以下:
【化3B】

で交替されており;そしてRの各存在は、独立して、以下:
【化3C】

から選択され;そしてxは、0、1、2、または3である、化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、Ar上のQ−R置換基が、以下:
【化3D】

であるか、またはQ−Rの2つの隣接する存在が、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜8員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、Ar上のQ−R置換基が、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1〜4アルキル、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1〜4アルキル)、CHCO(C1〜4アルキル)、NHCO(C1〜4アルキル)、CHNHCO(C1〜4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1〜4アルコキシ、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1〜4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)、であるか、あるいは飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜6員環から選択される、必要に応じて置換された基であり、該環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、式IのR基およびR基は、各々独立して、水素、N(R)、SR、OR、もしくはTRであるか、またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物であって、ここでR基およびR基は、各々独立して、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH、もしくはCHNHであるか、またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、縮合ピロール環、縮合ピラゾリル環、もしくは縮合イミダゾリル環を形成する、化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物であって、ここでRおよびRは、各々独立してZ−Rであり、ここでZは、必要に応じて置換されたC0〜4アルキリデン鎖であり、ここでZの1つのメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで交替されており、そしてここでRは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択されるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜6員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物であって、ここでRおよびRは、各々独立して、水素、CN,ハロゲン、OH、SH、NH、COH、COH、CONH、SONH、NO、(CHNRRであり、ここでRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有するか、あるいはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の5員環もしくは6員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有し、そしてnは、0、1、2、3、4、または5である、化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物であって、ここでRまたはRの1つは水素であり、そしてRまたはRのもう1つは、(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSRであり、ここでRは、水素、(CHN(R’)、C〜Cアルキル、必要に応じて置換された5員もしくは6員のアリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項15】
が水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
式I−A−i、式I−A−ii、式I−B−i、式I−B−ii、式I−C−i、式I−C−ii、式I−D−i、または式I−E−i:
【化4】

【化5】

の1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物であって、ここでArが、以下:
(a)フェニル環、インダニル環、またはナフチル環;
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員の複素環;あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員単環式ヘテロアリール環または9〜10員二環式ヘテロアリール環
である、化合物。
【請求項19】
請求項17に記載の化合物であって、ここでArが、以下:
(a)フェニル環;
(b)窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員の複素環;あるいは
(c)酸素、窒素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜6員単環式ヘテロアリール環
である、化合物。
【請求項20】
請求項17に記載の化合物であって、ここでArが、a〜bb:
【化6】

【化7】

のいずれか1つであり、
ここでQおよびRは、一般的に上で、および本請求項中のサブセットで定義された通りであり、そしてxは0〜5である、化合物。
【請求項21】
Arが、フェニル、ピリミジニルまたはピリジルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
請求項17に記載の化合物であって、ここでArは、フェニルであり、そしてQ−Rの2つ(x=2)または3つ(x=3)の存在で置換されており、そしてArは、以下:
【化8】

であり、
ここで、QRの各存在は、独立して、以下:
【化8A】

である、化合物。
【請求項23】
請求項17に記載の化合物であって、ここでArは、必要に応じて置換されたフェニルであり、そして該化合物は、式II−A−i、式II−A−ii、式II−B−i、式II−B−ii、式II−C−i、式II−C−ii、式II−D−i、または式II−E−i:
【化9】

【化10】

の1つを有し、
ここでxは0〜5である、化合物。
【請求項24】
請求項23に記載の化合物であって、ここでQの各存在は、独立して結合であるか、または必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの隣接していないメチレン単位は、必要に応じて、CO、CO、CONR、OCONR、NRCO、NRCO、NRSO、SONR、O、S、またはNRで交替されており;そしてRの各存在は、独立して、以下:
【化10A】

から選択され;そしてxは、0、1、2、または3である、化合物。
【請求項25】
請求項23に記載の化合物であって、ここで、Q−Rの各存在は、独立して、以下:
【化10B】

であるか、またはQ−Rの2つの隣接する存在が、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜8員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項26】
請求項23に記載の化合物であって、ここで、Q−Rの各存在は、独立して、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、COCH、C1〜4アルキル、NH、CHNH、NHMe、CHNHMe、N(Me)、CHN(Me)、N(Et)、CHN(Et)、NH(フェニル)、CO(C1〜4アルキル)、CHCO(C1〜4アルキル)、NHCO(C1〜4アルキル)、CHNHCO(C1〜4アルキル)、CN、CHCN、OH、C1〜4アルコキシ、必要に応じて置換されたベンジルオキシ、必要に応じて置換されたフェニルオキシ、CF、SONH、SONHMe、必要に応じて置換されたSO(フェニル)、SO(C1〜4アルキル)、CONH、CHPO(OR’)、であるか、あるいは飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜6員環から選択される、必要に応じて置換された基であり、該環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項27】
請求項23に記載の化合物であって、ここで、RおよびRは、各々独立して、水素、N(R)、SR、OR、もしくはTRであるか、またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する、化合物。
【請求項28】
請求項27に記載の化合物であって、ここでRおよびRは、各々独立して、水素、OH、CH、CHCH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNH、CHNHCH、NH、もしくはCHNHであるか、またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、縮合ピロール環、縮合ピラゾリル環、もしくは縮合イミダゾリル環を形成する、化合物。
【請求項29】
請求項23に記載の化合物であって、ここでRは、Z−Rであり、ここでZは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC0〜4アルキリデン鎖であり、ここでZの1つのメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで交替されており、そしてここでRは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’である、化合物。
【請求項30】
請求項23に記載の化合物であって、ここでRは、(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSRであり、ここでRは、(CHN(R’)、C〜Cアルキル、必要に応じて置換された5員もしくは6員のアリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、nは0または1であり、そしてmは0または1である、化合物。
【請求項31】
請求項23に記載の化合物であって、ここでRは、Z−Rであり、ここでZは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC0〜4アルキリデン鎖であり、ここでZの1つのメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCO、NRSO、CONR、C(O)、C(O)Oで交替されており、そしてここでRは、ハロゲン、CN、N(R’)、NHCOR’、またはR’から選択される、化合物。
【請求項32】
請求項23に記載の化合物であって、ここでRは、(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSRであり、ここでRは、(CHN(R’)、C〜Cアルキル、必要に応じて置換された5員もしくは6員のアリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、nは0または1であり、そしてmは0または1である、化合物。
【請求項33】
請求項23に記載の化合物であって、ここで該化合物は、式II−A−i、式II−B−i、式II−C−i、または式II−F−iの1つを有し、そして該化合物の可変物は:
a)xは、0、1または2であり、そしてQ−Rは、以下:
【化10C】

であるか、あるいはQ−Rは、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜8員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する;
b)RおよびRは、各々独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の5員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する;ならびに
c)Rは、(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSRであり、ここでRは、(CHN(R’)、C〜Cアルキル、必要に応じて置換された5員もしくは6員のアリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、nは0または1であり、そしてmは0または1である、
のように定義されている、化合物。
【請求項34】
請求項23に記載の化合物であって、ここで該化合物は、式II−A−ii、式II−B−ii、式II−C−ii、または式II−F−iiの1つを有し、そして該化合物の可変物の1つ以上は:
a)xは、0、1、2または3であり、そしてQ−Rは、以下:
【化10D】

であるか、あるいはQ−Rは、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜8員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する;
b)RおよびRは、各々独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の5員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する;ならびに
c)Rは、(CHハロゲン、(CHCN、(CHOR、(CHNRR、(CHC(O)R、(CHC(O)R(CHCH、(CHC(O)NRR、(CHSRであり、ここでRは、(CHN(R’)、C〜Cアルキル、必要に応じて置換された5員もしくは6員のアリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された、3〜8員の、飽和もしくは部分的に不飽和の環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、nは0または1であり、そしてmは0または1である、
のように定義されている、化合物。
【請求項35】
請求項23に記載の化合物であって、ここで該化合物は、式II−F−iを有し、そして該化合物の可変物の1つ以上は:
a)xは、0、1、2または3であり、そしてQ−Rは、以下:
【化10E】

であるか、あるいはQ−Rは、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の5〜8員環を形成し、該環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する;
b)RおよびRは、各々独立して、水素、N(R)、SR、OR、またはTRであるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された、飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の5員環を形成し、該環は、N、O、またはSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する、
のように定義されている、化合物。
【請求項36】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が、以下:
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

から選択される、化合物。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含有する、組成物。
【請求項38】
前記化合物が、SYKプロテインキナーゼ活性、またはZAP−70プロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する量で存在する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
請求項37に記載の組成物であって、該組成物はさらに、抗炎症剤、抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤、または免疫不全疾患を処置するための薬剤を含有する、組成物。
【請求項40】
(a)患者;または
(b)生物学的サンプル;
におけるSYKキナーゼ活性、またはZAP−70キナーゼ活性を阻害する方法であって、
該方法は、該患者に:
a)請求項37に記載の組成物;または
b)請求項1に記載の化合物
を投与する工程、あるいは該生物学的サンプルと:
a)請求項37に記載の組成物;または
b)請求項1に記載の化合物
とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項41】
免疫不全疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、増殖障害、免疫学的に媒介される疾患、または呼吸器疾患を処置する方法、または該処置の厳格さを低減させる方法、またはこららの疾患の重篤度を低減させる方法であって、該方法は、該患者に:
a)請求項37に記載の組成物;または
b)請求項1に記載の化合物
を投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、該方法は、該患者に、抗炎症剤、抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤、または免疫不全疾患を処置するための薬剤から選択されるさらなる治療剤を投与する工程であって、ここで:
該さらなる治療剤は、処置される疾患に適切であり;そして
該さらなる治療剤は、前記組成物と一緒に単一投与形態として投与されるか、または複数投与形態の一部として該組成物と別々に投与される、
方法。
【請求項43】
前記疾患が、免疫障害である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記疾患が、喘息である、請求項41に記載の方法。

【公表番号】特表2006−524688(P2006−524688A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509263(P2006−509263)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/009061
【国際公開番号】WO2004/087698
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Macintosh
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】