説明

プロテインキナーゼの阻害剤として有用なトリアゾール

本発明は式(I)のプロテインキナーゼの阻害剤に関する。本発明はまた本発明の化合物を含む医薬組成物及び種々の障害の治療において組成物を使用する方法を提供する。特定の実施形態においては、これらの化合物はFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明はプロテインキナーゼの阻害剤に関する。本発明はまた本発明の化合物を含む医薬組成物及び種々の障害の治療において組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
新しい治療薬の探索は疾患に関連する酵素及び他の生体分子の構造の理解が深まったことにより最近は遥かに容易になってきている。広範な研究の対象となっている酵素の1つの重要なクラスはプロテインキナーゼである。
【0003】
プロテインキナーゼは細胞内の種々のシグナル伝達過程の制御を担う構造的に関連した酵素の大型のファミリーを構成している。(非特許文献1参照)。プロテインキナーゼはその構造及び触媒機能の保存の為に共通の先祖遺伝子から進化したと考えられている。殆ど全てのキナーゼが同様の250〜300アミノ酸触媒ドメインを含有している。キナーゼはそれらがホスホリル化する基質(例えばタンパクチロシン、タンパクセリン/スレオニン、脂質等)によりファミリーに分類される。キナーゼファミリーの各々に全般的に相当する配列モチーフが発見されている(例えば非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6参照)。
【0004】
一般的に、プロテインキナーゼはシグナリング経路に関与するタンパクアクセプターへのヌクレオシドトリホスフェートからのホスホリル転移を起こすことにより細胞内シグナリングを媒介する。これらのホスホリル化事象は標的タンパクの生物学的機能をモジュレート又は調節することができる分子のオン/オフスイッチとして作用する。これらのホスホリル化事象は究極的には種々の細胞外及びその他の刺激に応答してトリガーされる。このような刺激の例は環境及び化学的なストレスシグナル(例えば浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌内毒素及びH)、サイトカイン(例えばインターロイキン−1(IL−1)及び腫瘍壊死因子α(TNF−α))及び成長因子(例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び線維芽細胞成長因子(FGF))を包含する。細胞外刺激は細胞の成育、遊走、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコース代謝、タンパク合成の制御及び細胞周期の調節に関連する細胞応答1つ以上に影響する場合がある。
【0005】
多くの疾患が上記したプロテインキナーゼ媒介事象によりトリガーされる異常な細胞応答に関連している。これらの疾患は、例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝疾患、神経学的及び神経変性の疾患、癌、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病及びホルモン関連疾患を包含するがこれらに限定されない。従って、治療薬として有効なプロテインキナーゼ阻害剤を発見するために医療化学において多大な努力が払われている。
【0006】
Flt3、c−Kit、PDGF−受容体及びc−Fmsを包含するIII型受容体チロシンキナーゼのファミリーは造血及び非造血の細胞の維持、生育及び発生において重要な役割を果たしている[非特許文献7及び非特許文献8]。ELT−3及びc−Kitは幹細胞/早期先祖細胞プールの維持並びに成熟リンパ様及び骨髄様細胞の発生を調節する[非特許文献9]。両方の受容体は受容体のリガンド媒介2量体化により活性化される内因性キナーゼドメインを含有する。活性化により、キナーゼドメインは受容体の自己ホスホリル化並びに生育、分化及び生存をもたらす活性化シグナルの伝播を支援する種々の原形質タンパクのホスホリル化を誘導する。FLT−3及びc−Kit受容体シグナリングの顆粒のレギュレーターの一部はPLCγ、PI3−キナーゼ、Grb−2、SHIP及びSrc関連キナーゼを包含する[非特許文献7]。両方の受容体チロシンキナーゼは種々の造血及び非造血の悪性疾患に関与することが分かっている。FLT−3及びc−Kitのリガンド非依存性活性化を誘導する突然変異は急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、肥満細胞症及び胃腸間質腫瘍(GIST)との関連性が示唆されている。これらの突然変異はキナーゼドメインにおける1アミノ酸変化又は内部の縦列重複、点突然変異又は受容体の傍膜領域のインフレーム欠失を包含する。突然変異を活性化するほかに、過剰発現された野生型FLT−3又はc−Kitのリガンド依存性(オートクリン又はパラクリン)刺激も悪性の表現型に寄与する場合がある[非特許文献7]。
【0007】
c−fmsは主に単球/マクロファージ系統により発現されるマクロファージコロニー刺激因子受容体(M−CSF−1R)をコードしている[非特許文献10]。MCSF−1R及びそのリガンドはマクロファージの系統の生育及び分化を調節する。他のファミリーメンバーと同様、MCSF−1Rは受容体のリガンド誘導に良貨時に活性化される内因性キナーゼドメインを含有する。MCSF−1Rはまた非造血細胞、例えば乳腺上皮細胞及びニューロンにおいても発現される。この受容体の突然変異は潜在的には骨髄性白血病と関連しており、そしてその発現は転移乳癌、卵巣癌及び子宮内膜癌に相関付けられている[非特許文献8及び非特許文献11]。MCSF−1Rの拮抗剤の他の可能な適応症は骨粗鬆症である[非特許文献12]。
【0008】
PDGF−受容体(PDGFR)は2つのサブユニットPDGFR−α及びPDGFR−βを有し、これらはリガンド結合時にホモ又はヘテロ2量体を形成することができる。PDGFリガンドには数種類、即ちAB、BB、CC及びDDが存在する。PDGFRは早期の幹細胞、肥満細胞、骨髄様細胞、間葉細胞及び平滑筋細胞において発現される[非特許文献7]。PDGFR−βのみが通常はTel、Huntingtin相互作用タンパク(HIP1)又はRabaptin5の転座相手として、骨髄様白血病において関与が示唆されている。最近、PDGFR−αキナーゼドメイン中の活性化突然変異が胃腸間質腫瘍(GIST)にあることが明らかにされている[非特許文献13]。
【0009】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)はβシートリッチのアミノ末端ローブ及び主にαヘリカルであるより大きいカルボキシ末端ローブよりなるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。CDKは全てのプロテインキナーゼにより共有されており33〜44kDの分子質量の範囲である11サブドメインをディスプレイする。CDK1、CDK2、CDK4及びCDK6を包含するキナーゼのこのファミリーは、完全に活性となるためにはCDK2Thr160に相当する残基においてホスホリル化を必要とする[非特許文献14]。
【0010】
各CDK複合体は、調節サイクリンサブユニット(例えばサイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3及びE)及び触媒キナーゼサブユニット(例えばCDK1、CDK2、CDK4、CDK5及びCDK6)から形成される。各々の異なるキナーゼ/サイクリンの対はG1、S、G2及びM期として知られる細胞周期の異なる特定の期を調節する機能を有する[非特許文献15;非特許文献16]。
【0011】
CDKは細胞増殖性障害、特に癌において関与が示唆されている。細胞増殖は細胞分裂の直接又は間接的な脱調節の結果であり、そして、CDKはこの周期の種々の期の調節において重要な役割を果たしている。例えばサイクリンD1の過剰発現は乳癌、結腸癌、肝細胞癌及び神経膠腫を包含する多くのヒトの癌に共通して関連している [非特許文献16]。CDK2/サイクリンE複合体は細胞周期の早期G1からS期への進行において重要な役割を果たしており、そしてサイクリンEの過剰発現は種々の固形腫瘍に関連している。従って、サイクリンD1、E又はその関連するCDKの阻害剤は癌治療のための有用な標的である[非特許文献17]。
【0012】
CDK類、特にCDK2もまたアポトーシス及びT細胞の発生において役割を果たしている。CDK2は胸腺細胞のアポトーシスの重要な調節物質として発見されている[非特許文献18]。CDK2キナーゼ活性の刺激は特定の刺激に応答した胸腺細胞のアポトーシスの進行に関連している。CDK2キナーゼ活性の阻害剤はこのアポトーシスをブロックし、その結果胸腺細胞の保護をもたらす。
【0013】
細胞周期及びアポトーシスの調節のほかに、CDKは転写の過程に直接関与している。多くのウィルスがその複製過程の為にCDKを必要とする。CDK阻害剤がウィルス複製を制限する例はヒトサイトメガロウィルス、疱疹ウィルス及び水痘−帯状疱疹ウィルスを包含する[非特許文献14]。
【0014】
CDKの阻害は又アルツハイマー病のような神経変性障害の治療にも有用である。アルツハイマー病に関連したペアドヘリカルフィラメント(PHF)の発生はCDK5/p25によるTauタンパクのホスホリル化亢進により誘発される[非特許文献14]。
【0015】
特に有利な別のキナーゼファミリーはキナーゼのSrcファミリーである。これらのキナーゼは癌、免疫系機能不全及び骨リモデリング疾患に関与すると示唆されている。一般的検討については非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22を参照できる。
【0016】
Srcファミリーのメンバーは哺乳類における以下の8キナーゼ、即ち、Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、Lck及びBlkを包含する。これらは分子質量52〜62kDの範囲の非受容体プロテインキナーゼである。これらは6つの異なる機能的ドメイン、即ちSrc相同性ドメイン4(SH4)、ユニークドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、触媒ドメイン(SH1)及びC末端調節領域よりなる共通の構造的組織を特徴とする。非特許文献21。
【0017】
公開された研究によれば、Srcキナーゼは種々のヒトの疾患に関する潜在的な治療標的と考えられている。Src欠損マウスは破骨細胞による低減された骨再吸収の為に、大理石骨病又は骨蓄積を発症する。これは異常に高度な骨再吸収に起因する骨粗鬆症はSrcの抑制により治療できることを示唆している。非特許文献23および非特許文献24。
【0018】
関節骨破壊の抑制はリューマチ様滑膜細胞及び破骨細胞におけるCSKの過剰発現により達成されている。非特許文献25。CSK又はC末端SrcキナーゼはSrcをホスホリル化し、これによりその触媒活性を抑制する。このことはSrc阻害が慢性関節リューマチ患者に特徴的な関節破壊を防止することを示唆している。非特許文献22。
【0019】
SrcはまたB型肝炎ウィルスの複製においても役割を果たしている。ウィルスコード転写因子HBxはウィルスの増殖に必要な段階においてSrcを活性化する。非特許文献26、および非特許文献27。
【0020】
多くの研究がSrc発現を結腸癌、乳癌、肝臓癌及び膵臓癌、特定のB細胞白血病及びリンパ腫のような癌に関連付けている。非特許文献28;非特許文献29;非特許文献30;非特許文献31;非特許文献32;非特許文献33;非特許文献34。更に又、卵巣及び結腸の腫瘍細胞において発現されたアンチセンスSrcが腫瘍生育を抑制することが分かっている。非特許文献35;非特許文献36。
【0021】
他のSrcファミリーキナーゼもまた潜在的な治療標的である。LckはT細胞シグナリングにおいて役割を果たしている。Lck遺伝子を欠失しているマウスは胸腺細胞を発生させる能力に乏しい。T細胞シグナリングの正の活性化剤としてのLckの機能は、慢性関節リューマチのような自己免疫疾患を治療するためにLck阻害剤が有用であるかもしれないことを示唆している。非特許文献37。Hck、Fgr及びLynは骨髄様白血球におけるインテグリンシグナリングの重要なメディエーターとして発見されている。非特許文献38。従ってこれらのキナーゼメディエーターの抑制は炎症を治療するために有用であると考えられる。非特許文献22。
【0022】
SykはEcεRI媒介肥満細胞脱顆粒及び好酸球活性化において重要な役割を果たしているチロシンキナーゼである。従って、Sykキナーゼは種々のアレルギー性障害、特に喘息において関与が示唆されている。SykはN末端SH2度メインを介してEcεRI受容体のホスホリル化ガンマ鎖に結合し、そして下流のシグナリングに必須であることが分かっている[非特許文献39]。
【0023】
好酸球アポトーシスの抑制は喘息における血液及び組織の好酸球増加症の発症のための重要な機序として提案されている。IL−5及びGM−CSFは喘息においてアップレギュレートされ、そして好酸球アポトーシスの抑制により血液及び組織の好酸球増加症を誘発すると提案されている。好酸球アポトーシスの抑制は喘息における血液及び組織の好酸球増加症の発症のための重要な機序として提案されている。Skyキナーゼはサイトカインによる好酸球アポトーシスの防止の為に必要であることが報告されている(アンチセンス使用)[非特許文献40]。
【0024】
骨髄由来マクロファージにおけるFcγR依存性及び非依存性の応答におけるSykの役割はSyk−/−胚より得られた胎児肝細胞を用いて再構成された照射マウスキメラを用いて測定されている。Syk欠失マクロファージはFcγRにより誘導される貪食作用を欠失していたが、補体に応答した正常な貪食作用は示している[非特許文献41]。エアロゾル化SykアンチセンスはSyk発現及びマクロファージからのメディエーターの放出を抑制することが報告されている[非特許文献42]。
【0025】
Janusキナーゼ(JAK)はJAK1、JAK2、JAK3及びTYK2よりなるチロシンキナーゼのファミリーである。JAKはサイトカインシグナリングに重要な役割を果たす。キナーゼのJAKファミリーの下流の基質は転写のシグナル伝達物質及び活性化物質(STAT)タンパクを包含する。JAK/STATシグナリングはアレルギー、喘息、自己免疫疾患、例えば移植片拒絶、慢性関節リューマチ、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症のような多くの異常な免疫応答の媒介において、並びに、固形及び血液学的な悪性疾患、例えば白血病及びリンパ腫において関与が示唆されている。JAK/STAT経路における医薬品介入が検討されている[非特許文献43&非特許文献44]。
【0026】
JAK1、JAK2及びTYK2はユビキタスに発現されるのに対し、JAK3は主に造血細胞において発現される。JAK3は共通のサイトカイン受容体ガンマ鎖(γc)のみに結合し、そしてIL−2、IL−4、IL−7、IL−9及びIL−15により活性化される。IL−4及びIL−9により誘導されたネズミ肥満細胞の増殖及び生存は、実際、JAK3−及びγc−シグナリングに依存していることが分かっている[非特許文献45]。
【0027】
感作肥満細胞の高親和性免疫グロブリン(Ig)E受容体の交差結合は多くの血管作用性サイトカインを含む前炎症メディエーターの放出をもたらし、急性のアレルギー性又は即時型(I型)の過敏症反応をもたらす[非特許文献46&非特許文献47]。インビトロ及びインビボのIgE受容体媒介肥満細胞応答におけるJAK3の重要な役割が解明されている[非特許文献48]。更に又、JAK3の阻害を介した肥満細胞活性化により媒介されるアナフィラキシーを包含するI型過敏症反応の防止も報告されている[非特許文献49]。JAK3阻害剤を用いた肥満細胞のターゲティングはインビトロの肥満細胞脱顆粒をモジュレートし、インビボのIgE受容体/抗原媒介アナフィラキシー反応を防止している。
【0028】
最近の研究では、免疫抑制及び自家移植片許容性に関してJAK3の良好なターゲティングが報告されている。研究はJAK3の阻害剤の投与によりWistar Furthレシピエントにおけるバッファロー心臓自家移植片の用量依存的な生存性を示しており、対宿主性移植片病における望ましくない免疫応答を調節する可能性を示している[非特許文献50]。
【0029】
IL−4媒介STATホスホリル化は慢性関節リューマチ(RA)の早期及び後期の段階に関与する機序として示唆されている。RA滑膜及び滑液における前炎症性サイトカインのアップレギュレーションは疾患の特徴である。IL−4/STAT経路のIL−4媒介活性化はJanusキナーゼ(JAK 1&3)を介して媒介され、そして、IL−4関連JAKキナーゼはRA滑膜において発現されることが明らかにされている[非特許文献51]。
【0030】
家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)はALS患者の約10%に発症する致命的な神経変性障害である。FALSマウスの生存率はJAK3特異的阻害剤の投与により増大している。これはJAK3がFALSにおいて役割を果たしていることを示唆している[非特許文献52]。
【0031】
転写のシグナル伝達物質及び活性化物質(STAT)タンパクは特にJAKファミリーキナーゼにより活性化される。最近の研究の結果は白血病の治療のために特定の阻害剤でJAKファミリーキナーゼをターゲティングすることによりJAK/STATシグナリング経路における介入の可能性を示唆している[非特許文献53]。JAK3特異的化合物はJAK3発現細胞系統DAUDI、RAMOS、LC1;19、NALM−6、MOLT−3及びHL−60のクローン原性の生育を抑制することが分かっている。
【0032】
動物モデルにおいて、TEL/JAK2融合タンパクは骨髄増殖性障害を誘導しており、そして造血細胞系統においては、TEL/JAK2の誘導はSTAT1、STAT3、STAT5及びサイトカイン依存性の生育の活性化をもたらしている[非特許文献54]。
【0033】
JAK3及びTYK2の抑制はSTAT3のチロシンホスホリル化を消失させており、そして、皮膚T細胞リンパ腫の1形態である菌状息肉腫の細胞生育を抑制している。これらの結果は菌状息肉腫に存在する構成的に活性化されたJAK/STAT経路におけるJAKファミリーキナーゼの関与を示唆している[非特許文献55]。同様にSTAT3、STAT5、JAK1及びJAK2は初期にはLCK過剰発現を特徴としていたマウスT細胞リンパ腫において構成的に活性化されることが明らかにされており、即ち異常な細胞生育におけるJAK/STAT経路の関与を更に示唆している[非特許文献56]。更に又、IL−6媒介STAT3活性化はJAKの阻害剤によりブロックされており、アポトーシスに対するミエローマ細胞の感作をもたらしている[非特許文献57]。
【0034】
対象となる1つのキナーゼファミリーはRho関連コイルドコイル形成タンパクセリン/スレオニンキナーゼ(ROCK)であり、これはRas関連の小型GTPaseRhoのエフェクターであると考えられている。ROCKファミリーはp160ROCK(ROCK−1)(非特許文献58)及びROKα/Rho−キナーゼ/ROCK−II(非特許文献59;非特許文献60;非特許文献61)、プロテインキナーゼPKN(非特許文献62;非特許文献63)、及びシトロン及びシトロンキナーゼ(非特許文献64;非特許文献65)を包含する。キナーゼのROCKファミリーはアクチン張線維のRho誘導形成及び局所的付着(非特許文献66;非特許文献67;非特許文献68)及びミオシンホスファターゼのダウンレギュレーション(非特許文献69)、血小板活性化(非特許文献70)、種々の刺激による大動脈平滑筋収縮(非特許文献71)、大動脈平滑筋細胞のトロンビン誘導応答(非特許文献72)、心筋細胞の過形成(非特許文献73)、気管支平滑筋収縮(非特許文献74)、平滑筋収縮及び非筋肉細胞の細胞骨格再組織化(非特許文献75)、容量調節アニオンチャンネルの活性化(非特許文献76)、ニューライト退縮(非特許文献77)、好中球化学走性(非特許文献78)、創傷治癒(非特許文献79)、腫瘍侵襲(非特許文献80)及び細胞形質転換(非特許文献81)を包含する種々の機能に関与することが示されている。より特記すれば、ROCKは高血圧(非特許文献82;非特許文献83;非特許文献84;非特許文献85)、脳血管痙攣(非特許文献86;非特許文献87;非特許文献88)、冠動脈血管痙攣(非特許文献89;非特許文献90;非特許文献91;非特許文献92;非特許文献93;非特許文献94)、気管支喘息(非特許文献95;非特許文献96;非特許文献97;非特許文献98)、早産(非特許文献99;非特許文献100;非特許文献101)、勃起不全(非特許文献102;非特許文献103)、緑内障(非特許文献104;非特許文献105)、血管平滑筋細胞増殖(非特許文献89;非特許文献106;非特許文献107;非特許文献108;非特許文献109),心筋過形成(非特許文献110;非特許文献111;非特許文献73;非特許文献112)、マリグノーマ(非特許文献80;非特許文献113;非特許文献114)、虚血/最還流誘導傷害(非特許文献115;非特許文献116)、内皮機能不全(非特許文献117;非特許文献118;非特許文献119)、クローン病及び結腸炎(非特許文献120)、ニューライト派生(非特許文献121)、レーノー病(非特許文献122)及びアテローム性動脈硬化症(非特許文献123;非特許文献124)を包含する種々の疾患及び障害において関与を示唆されている。従って、ROCKキナーゼの阻害剤の開発はROCKキナーゼ経路に関連すると考えられている障害の治療のための治療薬として有用である。
【0035】
ERK2(細胞外シグナル調節キナーゼ)は哺乳類有糸分裂促進物質活性化タンパク(MAP)1キナーゼファミリーのメンバーである。(MAP1)キナーゼは細胞内シグナル伝達経路を媒介(非特許文献125;非特許文献126)し、そして有糸分裂促進物質及び成長因子により活性化(非特許文献127)されるセリン/スレオニンキナーゼである。MAPキナーゼファミリーのメンバーは配列の銅陽性及び保存された構造ドメインを共有しており、そして、ERK2のほかに、JNK(JunN末端キナーゼ)及びp38キナーゼを包含する。JNK類及びp38キナーゼは前炎症性サイトカインTNF−アルファ及びインターロイキン−1に応答して、そして、熱ショック、高浸透圧、紫外線照射、リポ多糖類及びタンパク合成の阻害剤により活性化される(非特許文献128;非特許文献129;非特許文献130;非特許文献131)。一方、ERK類は有糸分裂促進物質及び成長因子により活性化される(非特許文献127)。
【0036】
ERK2は広範に分布するプロテインキナーゼであり、Thr183及びTyr185が共に上流のMAPキナーゼキナーゼMEK1によりホスホリル化される場合に最大の活性を達成する(非特許文献132;非特許文献133)。活性化時にはERK2は多くの調節タンパク、例えばプロテインキナーゼRsk90(非特許文献134)及びMAPKAP2(非特許文献135)及び転写因子、例えばATF2 (非特許文献136),Elk−1 (非特許文献136),c−Fos (非特許文献137)及びc−Myc (非特許文献138)をホスホリル化する。ERK2はRas/Raf依存性経路の下流の標的でもあり(非特許文献139)そしてこれらの潜在的な癌原性タンパクからのシグナルのリレーを支援する。ERK2は乳癌細胞の負の成育制御において役割を果たすことが分かっており(非特許文献140)、そしてヒト乳癌におけるERK2の発現亢進が報告されている(非特許文献141)。活性化されたERK2はまたエンドセリン刺激気道平滑筋細胞の増殖に関与するとされており、喘息におけるこのキナーゼの役割を示唆している(非特許文献142)。
【0037】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は異なる遺伝子により各々がコードされているα及びβアイソフォームよりなるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである[非特許文献143及び非特許文献144]。GSK−3は種々の疾患、例えば糖尿病、アルツハイマー病、CNS障害、例えば躁鬱障害及び神経変性疾患、及び心筋細胞過形成に関係するとされている[特許文献1及び特許文献2;及び非特許文献145]。これらの疾患はGSK−3が役割を果たしている特定の細胞シグナリング経路の異常なオペレーションに関連している。GSK−3は多くの調節タンパクをホスホリル化して活性をモジュレートすることがわかっている。これらのタンパクはグリコーゲンの合成に必要な律速酵素であるグリコーゲンシンターゼ、微小管関連タンパクTau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2B並びにATPシトレートリアーゼ、アキシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−myc、c−myb、CREB及びCEEPBαを包含する。これらの多様なタンパク標的は細胞の代謝、増殖、分化及び発生の多くの側面におけるGSK−3の関与を示唆している。
【0038】
II型糖尿病の治療に関連するGSK−3媒介経路において、インスリン誘導シグナリングは細胞のグルコース取り込み及びグリコーゲン合成をもたらす。この経路においてはGSK−3はインスリン誘導シグナルの負の調節物質である。通常はインスリンの存在はグリコーゲンシンターゼのGSK−3媒介ホスホリル化及び脱活性化の抑制をもたらす。GSK−3の阻害は増大したグリコーゲン合成及びグルコース取り込みをもたらす[非特許文献146非特許文献147;非特許文献148及び非特許文献149]。しかしながらインスリン応答が損なわれている糖尿病患者においては、グリコーゲン合成及びグルコース取り込みは比較的高い血中インスリン濃度の存在にも関わらず増大することができない。これはグルコースの異常に高い血中濃度をもたらし、それに伴う急性期及び長期の作用は最終的には心臓血管疾患、腎不全及び失明をもたらす。このような患者において、GSK−3の正常なインスリン誘導抑制が起こることはできない。更に又II型糖尿病を有する患者ではGSK−3が過剰発現されることも報告されている[特許文献2参照]。従ってGSK−3の治療用阻害剤はインスリンへの応答障害に罹患した糖尿病患者の治療の為に潜在的に有用である。
【0039】
GSK−3活性は又アルツハイマー病にも関連している。この疾患は良く知られたβアミロイドペプチド及び細胞内の神経細線維もつれの形成を特徴としている。AβペプチドはアスパルチルプロテアーゼBACE2により触媒される逐次的タンパク分解とその後のプレセニリン依存性γセクレターゼ分解によりアミドイド前駆体タンパク(APP)から誘導される。βアミロイドプラークに対する抗体がアルツハイマー病の患者における認知低下を緩徐化できることが明らかにされており(非特許文献150)、そしてこのため、他のβアミロイド低下の方策(例えばβアミロイドペプチドを抑制することができる薬剤の開発)がアルツハイマー病及び他の精神及び神経変性の障害の治療において有用と考えられる。更に又、神経細線維もつれはTauが異常な部位においてホスホリル化されるホスホリル化亢進のTauタンパクを含有しているため、Tauタンパクのホスホリル化亢進を抑制することができる薬剤はアルツハイマー病及び他の精神及び神経変性の障害の治療において有用と考えられる。
【0040】
GSK−3は細胞及び動物モデルにおいてこれらの異常な部位をホスホリル化することが知られている。更に又GSK−3の阻害は細胞においてTauのホスホリル化亢進を防止することが示されている[非特許文献151及び非特許文献152]。従って、GSK−3活性は神経細線維もつれの発生及びアルツハイマー病の進行を促進する。GSK−3はAPPプロセシングを促進すること、及び、GSK−3阻害剤(リチウム)はGSK−3の阻害を介してAβペプチドの形成を抑制することも示されている(非特許文献153)。即ち、GSK−3の阻害剤の開発はアルツハイマー病の病理学的確証であるアミロイドプラーク及び神経細線維もつれの形成を低減するために有用であり、そして、他の精神及び神経変性の障害の治療において有用と考えられる。
【0041】
GSK−3の別の基質はβ−カテニンであり、これはGSK−3によるホスホリル化の後に分解される。β−カテニンの低減した濃度は分裂病患者で報告されており、そして、ニューロン細胞死の増大に関連する他の疾患にも伴っていた[非特許文献154;非特許文献155及び非特許文献156]。
【0042】
GSK−3活性は又卒中にも伴っている[非特許文献157;非特許文献158;非特許文献159]。
【0043】
キナーゼのAGCサブファミリーはセリン及びスレオニン残基においてその基質をホスホリル化し、そして種々の良く知られたシグナリング過程、例えばサイクリックAMPシグナリング、インスリンへの応答、アポトーシス保護、ジアシルグリセロールシグナリング及びタンパク翻訳の制御に参加している(非特許文献160)。このサブファミリーはPKA、PKB(c−Akt)、PKC、PRK1、2、p70S6K及びPDKを包含する。
【0044】
AKT(PKB又はRac−PKベータとしても知られている)はセリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、数種の癌において過剰発現されることが分かっており、そして正常な細胞機能のメディエーターである[非特許文献161;非特許文献162;非特許文献163]。AKTはN末端プレクストリン相同性(PH)ドメイン、キナーゼドメイン及びC末端「テール」領域を含む。ヒトAKTキナーゼの3つのアイソフォーム(AKT−1、−2及び−3)がこれまで報告されている[非特許文献164;非特許文献165]。PHドメインは血小板誘導成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)及びインスリン様成長因子(IGF−1)のような成長因子による刺激時にホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)により合成される3−ホスホイノシチドに結合する[非特許文献166;非特許文献167]。PHドメインへの脂質の結合はAKTの原形質膜への転座を促進し、そして、AKTアイソフォーム1、2及び3についてそれぞれThr308、Thr309及びThr305において別のPHドメイン含有プロテインキナーゼPDK1によるホスホリル化を促進する。第2に、完全に活性化されたAKT酵素を与えるためには、未知のものとしてのキナーゼがAKT−1、−2及び−3のC末端のそれぞれSer473、Ser474又はSer472のホスホリル化に必要である。
【0045】
膜に局在化した後、AKTはインスリンの代謝作用(非特許文献168)分化及び/又は増殖の誘導、タンパク合成及びストレス応答(非特許文献169)を包含する細胞内の数種の機能を媒介する。
【0046】
改変されたAKT調節の顕在化は傷害及び疾患の両方に観察され、最も重要な役割は癌に存在する。AKTの第1の重要性は、AKTの発現は症例の15%において増幅されることが分かったヒト卵巣癌に関連していた(非特許文献164)。これは又膵臓癌患者の12%においても過剰発現していることが分かった(非特許文献170)。AKT−2は卵巣癌の12%において過剰発現し、そして、AKTの増幅は未分化腫瘍の50%において特に頻発することが明らかにされており、AKTが腫瘍の攻撃性にも関連していることを示唆している(非特許文献171)。
【0047】
PKA(cAMP依存性プロテインキナーゼとしても知られている)はエネルギー代謝、遺伝子転写、増殖、分化、生殖機能、分泌、ニューロン活性、記憶、収縮性及び運動性を包含する多くの生命機能を調節することがわかっている(非特許文献172)。PKAは4量体のホロ酵素であり、これはホモ2量体調節サブユニット(触媒サブユニットを抑制する作用を有する)に結合した2つの触媒サブユニットを含有している。cAMP結合(酵素活性化)時には、触媒サブユニットは調節サブユニットから解離し、活性なセリン/スレオニンキナーゼを形成する(非特許文献173)。触媒サブユニットの3種のアイソフォーム(C−α、C−β及びC−γ)が今日まで報告されており(非特許文献174)、C−αサブユニットは、原発及び転移の黒色腫におけるその上昇した発現のため、最も広く研究されている(非特許文献175)。今日まで、C−αサブユニットの活性をモジュレートする方策では、抗体、調節2量体をターゲティングすることによりPKA活性をブロックする分子、及び、アンチセンスオリゴヌクレオチド発現を使用している。
【0048】
リボソームプロテインキナーゼp70S6K−1及び−2もまたプロテインキナーゼのAGCサブファミリーのメンバーであり、そしてタンパク合成器の要素に対してコーディングしているmRNAの翻訳アップレギュレーションに関与が示唆されているリボソームタンパクS6のホスホリル化及びその後の活性化を触媒する。これらのmRNAは翻訳レベルにおけるその調節に必須であることがわかっている5’TOPと称されるその5’翻訳開始部位におけるオリゴピリミジントラクトを含有している(非特許文献176)。p70S6K依存性S6ホスホリル化は、特にこれらのmRNAのコードしているリボソームタンパクの翻訳のダウンレギュレーションの結果として(非特許文献177)ラパマイシンはp70S6K活性を阻害する作用を有し、そしてタンパク合成をブロックすることから、mTORの調節下にあると考えられる、主にPI3K経路(非特許文献178)を介して種々のホルモン及び成長因子に応答して刺激される。
【0049】
インビトロのPDK1はp70の活性のためには必須であるp70触媒ドメインの活性化ループにおけるThr252のホスホリル化を触媒する(非特許文献179)。ラパマイシンの使用及びショウジョウバエからのdp70S6K及びマウスからのp70S6K1の遺伝子欠失試験により、細胞生育及び増殖のシグナリングの両方においてp70が果たしている中枢的役割が解明された。
【0050】
3−ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ−1(PDK1)はプロテインキナーゼのAGCサブファミリーに属する多くのキナーゼの活性を調節する場合に重要な役割を果たしている(非特許文献180)。これらにはプロテインキナーゼBのアイソフォーム(PKB、AKTとしても知られている)、p70リボソームS6キナーゼ(S6K)(非特許文献181)及びp90リボソームS6キナーゼ (非特許文献182)を包含する。PDK1媒介シグナリングはインスリン及び成長因子に応答して、そして、細胞外マトリックスへの細胞の結合の結果として活性化される(インテグリンシグナリング)。活性化された後、これらの酵素は細胞の生存、生育、増殖及びグルコース調節のような過程を制御する重要な役割を果たす重要な調節タンパクをホスホリル化することにより多くの多様な細胞事象を媒介する[非特許文献183;非特許文献184]。PDK1はN末端触媒ドメイン及びCマッタンプレクストリン相同性(PH)ドメインを有する556アミノ酸タンパクであり、これらのキナーゼをその活性化ループにおいてホスホリル化することによりその基質を活性化する(非特許文献185)。前立腺癌及びNSCLを包含する多くのヒトの癌は、PTEN突然変異又は特定の重要な調節タンパクの過剰発現のような異なる遺伝子事象の多くに起因する上昇したPDK1シグナリング経路機能を有している[非特許文献186;非特許文献187]。癌を治療するための潜在的な機序としてのPDK1の抑制はPDK1に対して指向されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによるPTEN陰性ヒト癌細胞系統(U87MG)のトランスフェクションにより明らかにされている。結果として低減したPDK1タンパク濃度は細胞の増殖及び生存性の低下をもたらす(非特許文献188)。その結果、PDK1のATP結合部位阻害剤の設計は他の治療方法を超えた癌化学療法の魅力的な標的を与えるのである。
【0051】
癌細胞の遺伝子型の多様な範囲は細胞生理学における以下の6つの本質的な改変、即ち生育シグナリングにおける自己充足性、アポトーシスの回避、生育抑制シグナリングへの非感受性、無制限の複製能力、持続性の血管形成及び転移をもたらす組織侵襲の顕在化に起因するとされている(非特許文献189)。PDK1は生育、増殖及び生存性を包含する細胞機能の規模を調節するPI3Kシグナリング経路の重要なメディエーターである。その結果、この経路の抑制は癌の進行のための6種の決定的要件の4つ以上に影響する。そのため、PDK1阻害剤は極めて広範なヒトの癌の成育に対して作用を有することになると予測される。
【0052】
特に、PI3K経路の活性の上昇した水準は多くのヒトの癌の発症、攻撃的な難治性の状態への進行(化学療法への獲得耐性)及び不良予後に直接関係している。この上昇した活性はホスファターゼPTENのような負の経路調節物質の低下した活性、Rasのような正の経路調節物質の活性化突然変異、及び、PKBのような経路そのものの成分の過剰発現を包含する一連の重要な事象に起因しており、その例には脳(神経膠腫)、乳房、結腸、頭部及び頚部、腎臓,肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、甲状腺が包含される[非特許文献190;非特許文献187;非特許文献170;非特許文献171;非特許文献186;非特許文献191]。
【0053】
更に又、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックダウン、優性阻害試験及び経路の小分子阻害剤を介して低減された経路の機能が、以下の癌、即ち、膵臓[非特許文献170;非特許文献192]、肺[非特許文献187;非特許文献192]、卵巣[非特許文献193;非特許文献192]、乳房(非特許文献194)、結腸[非特許文献192;非特許文献195]、子宮頚部 (非特許文献192)、前立腺[(非特許文献196)、(非特許文献197)、(非特許文献198)]及び脳(glioblastomas)[(非特許文献188)]に代表される一連の細胞系統において、増殖をブロックし、生存性を低減し、そして既知化学療法に対して癌細胞を監査するような、インビトロの癌の表現型の多くを退行させることが明らかになっている。
【特許文献1】国際公開第99/65897号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/38675号パンフレット
【非特許文献1】Hardie,G.およびHanks,S.The Protein Kinase Facts Book,IおよびII,Academic Press,San Diego,CA,1995年
【非特許文献2】Hanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J.,1995年,第9巻,p.576−596
【非特許文献3】Knightonら,Science,1991年,第253巻,p.407−414
【非特許文献4】Hilesら,Cell,1992年,第70巻,p.419−429
【非特許文献5】Kunzら,Cell,1993年,第73巻,p.585−596
【非特許文献6】Garcia−Bustosら,EMBO J.,1994年,第13巻,p.2352−2361
【非特許文献7】Scheijen,B,Griffin JD,Oncogene,2002年,第21巻,p.3314−3333
【非特許文献8】Reilly,JT,British Journal of Haematology,2002年,第116巻,p.744−757
【非特許文献9】Lyman,S,Jacobsen,S,Blood,1998年,第91巻,p.1101−1134
【非特許文献10】Dai,XMら,Blood,2002年,第99巻,p.111−120
【非特許文献11】Kacinski,BM,Mol.Reprod and Devel.,1997年,第46巻,p.71−74
【非特許文献12】Teitelbaum,S,Science,2000年,第289巻,p.1504−1508
【非特許文献13】Heinrich,MCら,Sciencexpress,2003年
【非特許文献14】Meijer,L.,Drug Resistance Updates,2000年,第3巻,p.83−88
【非特許文献15】Nigg,E.,Nature Reviews,2001年,第2巻,p.21−32
【非特許文献16】Flatt,P.,Pietenpol,J.,Drug Metabolism Reviews,2000年,第32巻,p.283−305
【非特許文献17】Kaubisch,A.,Schwartz,G.,The Cancer Journal,2000年,第6巻,p.192−212
【非特許文献18】Williams,O.,ら,European Journal of Immunology,2000年,p.709−713
【非特許文献19】ThomasおよびBrugge,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.,1997年,第13巻,p.513
【非特許文献20】LawrenceおよびNiu,Pharmacol.Ther.,1998年,第77巻,p.81
【非特許文献21】TatosyanおよびMizenina,Biochemistry(Moscow),2000年,第65巻,p.49−58
【非特許文献22】Boschelliら,Drugs of the Future,2000年,第25巻,第7号,p.717
【非特許文献23】Sorianoら,Cell,1992年,第69巻,p.551
【非特許文献24】Sorianoら,Cell,1991年,第64巻,p.693
【非特許文献25】Takayanagiら,J.Clin.Invest.,1999年,第104巻,p.137
【非特許文献26】Kleinら,EMBO J.,1999年,第18巻,p.5019
【非特許文献27】Kleinら,Mol.Cell.Biol.,1997年,第17巻,p.6427
【非特許文献28】Talamontiら,J.Clin.Invest.,1993年,第91巻,p.53
【非特許文献29】Lutzら,Biochem.Biophys.Res.,1998年,第243巻,p.503
【非特許文献30】Rosenら,J.Biol.Chem.,1986年,第261巻,p.13754
【非特許文献31】Bolenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1987年,第84巻,p.2251
【非特許文献32】Masakiら,Hepatology,1998年,第27巻,p.1257
【非特許文献33】Biscardiら,Adv.Cancer Res.,1999年,第76巻,p.61
【非特許文献34】Lynchら,Leukemia,1993年,第7巻,p.1416
【非特許文献35】Wienerら,Clin.Cancer Res.,1999年,第5巻,p.2164
【非特許文献36】Staleyら,Cell Growth Diff.,1997年,第8巻,p.269
【非特許文献37】Molinaら,Nature,1992年,第357巻,p.161
【非特許文献38】Lowellら,J.Leukoc.Biol.,1999年,第65巻,p.313
【非特許文献39】Taylorら,Mol.Cell.Biol.,1995年,第15巻,p.4149
【非特許文献40】Yousefiら,J.Exp.Med.,1996年,第183巻,p.1407
【非特許文献41】Kieferら,Mol.Cell.Biol.,1998年,第18巻,p.4209
【非特許文献42】Stentonら,J.Immunology,2000年,第164巻,p.3790
【非特許文献43】Frank Mol.Med.,1999年,第5巻,p.432−456
【非特許文献44】Seidel,ら,Oncogene,2000年,第19巻,p.2645−2656
【非特許文献45】Suzukiら,Blood,2000年,第96巻,p.2172−2180
【非特許文献46】Gordonら,Nature,1990年,第346巻,p.274−276
【非特許文献47】Galli,N.Engl.J.Med.,,1993年,第328巻,p.257−265
【非特許文献48】Malaviya,ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1999年,第257巻,p.807−813
【非特許文献49】Malaviyaら,J.Biol.Chem.,1999年,第274巻,p.27028−27038
【非特許文献50】Kirken,Transpl.Proc.,2001年,第33巻,p.3268−3270
【非特許文献51】Muller−Ladner,ら,J.Immunol.,2000年,第164巻,p.3894−3901
【非特許文献52】Trieu,ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2000年,第267巻,p.22−25
【非特許文献53】Sudbeck,ら,Clin.Cancer Res.,1999年,第5巻,p.1569−1582
【非特許文献54】Schwaller,ら,EMBO J.,1998年,第17巻,p.5321−5333
【非特許文献55】Nielsen,ら,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,1997年,第94巻,p.6764−6769
【非特許文献56】Yu,ら,J.Immunol.,1997年,第159巻,p.5206−5210
【非特許文献57】Catlett−Falcone,ら,Immunity,1999年,第10巻,p.105−115
【非特許文献58】Ishizakiら,EMBO J.,1996年,第15巻,p.1885−1893
【非特許文献59】Leungら,J.Biol.Chem.,1995年,第270巻,p.29051−29054
【非特許文献60】Matsuiら,EMBO J.,1996年,第15巻,p.2208−2216
【非特許文献61】Nakagawaら,FEBS Lett.,1996年,第392巻,p.189−193
【非特許文献62】Amanoら,Science,1996年,第271巻,p.648−650
【非特許文献63】Watanabeら,Science,1996年,第271巻,p.645−648
【非特許文献64】Madauleら,Nature,1998年,第394巻,p.491−494
【非特許文献65】Madauleら,FEBS Lett.,1995年,第377巻,p.243−248
【非特許文献66】Leungら,Mol.Cell Biol.,1996年,第16巻,p.5313−5327
【非特許文献67】Amanoら,Science,1997年,第275巻,p.1308−1311
【非特許文献68】Ishizakiら,FEBS Lett.,1997年,第404巻,p.118−124
【非特許文献69】Kimuraら,Science,1996年,第273巻,p.245−248
【非特許文献70】Klagesら,J.Cell.Biol.,1999年,第144巻,p.745−754
【非特許文献71】Fuら,FEBS Lett.,1998年,第440巻,p.183−187
【非特許文献72】Seasholtzら,Cir.Res.,1999年,第84巻,p.1186−1193
【非特許文献73】Kuwaharaら,FEBS Lett.,1999年,第452巻,p.314−318
【非特許文献74】Yoshiiら,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,1999年,第20巻,p.1190−1200
【非特許文献75】Fukataら,Trends in Pharm.Sci.,2001年,第22巻,p.32−39
【非特許文献76】Niliusら,J.Physiol.,1999年,第516巻,p.67−74
【非特許文献77】Hiroseら,J.Cell.Biol.,1998年,第141巻,p.1625−1636
【非特許文献78】Niggli,FEBS Lett.,1999年,第445巻,p.69−72
【非特許文献79】NobesおよびHall,J.Cell.Biol.,1999年,第144巻,p.1235−1244
【非特許文献80】Itohら,Nat.Med.,1999年,第5巻,p.221−225
【非特許文献81】Sahaiら,Curr.Biol.,1999年,第9巻,p.136−145
【非特許文献82】Satohら,J.Clin.nvest.,1994年,第94巻,p.1397−1403
【非特許文献83】Mukaiら,FASEB J.,2001年,第15巻,p.1062−1064
【非特許文献84】Uehataら,Nature,1997年,第389巻,p.990−994
【非特許文献85】Masumotoら,Hypertension,2001年,第38巻,p.1307−1310
【非特許文献86】Satoら,Circ.Res.,2000年,第87巻,p.195−200
【非特許文献87】Miyagiら,J.Neurosurg.,2000年,第93巻,p.471−476
【非特許文献88】Tachibanaら,Acta Neurochir(Wien),1999年,第141巻,p.13−19
【非特許文献89】Shimokawaら,Jpn.Cir.J.,2000年,第64巻,p.1−12
【非特許文献90】Kandabashiら,Circulation,2000年,第101巻,p.1319−1323
【非特許文献91】Katsumataら,Circulation,1997年,第96巻,p.4357−4363
【非特許文献92】Shimokawaら,Cardiovasc.Res.,2001年,第51巻,p.169−177
【非特許文献93】Utsunomiyaら,J.Pharmacol.,2001年,第134巻,p.1724−1730
【非特許文献94】Masumotoら,Circulation,2002年,第105巻,p.1545−1547
【非特許文献95】Chibaら,Comp.Biochem.Physiol.C Pharmacol.Toxicol.Endocrinol.,1995年,第11巻,p.351−357
【非特許文献96】Chibaら,Br.J.Pharmacol.,1999年,第127巻,p.597−600
【非特許文献97】Chibaら,Br.J.Pharmacol.,2001年,第133巻,p.886−890
【非特許文献98】Iizukaら,Eur.J.Pharmacol.,2000年,第406巻,p.273−279
【非特許文献99】Niroら,Biochem.Biophys.Res.Commun,1997年,第230巻,p.356−359
【非特許文献100】Taharaら,Endocrinology,2002年,第143巻,p.920−929
【非特許文献101】Kupittayanantら,Pflugers Arch.,2001年,第443巻,p.112−114
【非特許文献102】Chitaleyら,Nat.Med.,2001年,第7巻,p.119−122
【非特許文献103】Millsら,J.Appl.Physiol.,2001年,第91巻,p.1269−1273
【非特許文献104】Honjoら,Arch.Ophthalmol.,2001年,p.1171−1178
【非特許文献105】Raoら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,2001年,第42巻,p.1029−1037
【非特許文献106】Morishigeら,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,2001年,第21巻,p.548−554
【非特許文献107】Etoら,Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.,2000年,第278巻,p.H1744−H1750
【非特許文献108】Sawadaら,Circulation,2000年,第101巻,p.2030−2023
【非特許文献109】Shibataら,Circulation,2001年,第103巻,p.284−289
【非特許文献110】Hoshijimaら,J.Biol.Chem.,1998年,第273巻,p.7725−77230
【非特許文献111】Sahら,J.Biol.Chem.,1996年,第271巻,p.31185−31190
【非特許文献112】Yanazumeら,J.Biol.Chem.,2002年,第277巻,p.8618−8625
【非特許文献113】Gendaら,Hepatology,1999年,第30巻,p.1027−1036
【非特許文献114】Somlyoら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2000年,第269巻,p.652−659
【非特許文献115】Ikedaら,J.of Surgical Res.,2003年,第109巻,p.155−160
【非特許文献116】Miznumaら,Transplantation,2003年,第75巻,p.579−586
【非特許文献117】Hernandez−Pereraら,Circ.Res.,2000年,第87巻,p.616−622
【非特許文献118】Laufsら,J.Biol.Chem.,1998年,第273巻,p.24266−24271
【非特許文献119】Etoら,Circ.Res.,2001年,第89巻,p.583−590
【非特許文献120】Segainら,Gastroenterology,2003年,第124巻,第5号,p.1180−1187
【非特許文献121】Fournierら,J.Neurosci.,2003年,第23巻,p.1416−1423
【非特許文献122】Shimokawaら,J.Cardiovasc.Pharmacol.,2002年,第39巻,p.319−327
【非特許文献123】Retzerら,FEBS Lett.,2000年,第466巻,p.70−74
【非特許文献124】Ishibashiら,Biochim.Biophys.Acta,2002年,第1590巻,p.123−130
【非特許文献125】CobbおよびGoldsmith,J.Biol.Chem.,1995年,第270巻,p.14843
【非特許文献126】Davis,Mol.Reprod.Dev.,1995年,第42巻,p.459
【非特許文献127】Bokemeyerら,Kidney Int.,1996年,第49巻,p.1187
【非特許文献128】Derijardら,Cell,1994年,第76巻,p.1025
【非特許文献129】Hanら,Science,1994年,第265巻,p.808
【非特許文献130】Raingeaudら,J.Biol.Chem.,1995年,第270巻,p.7420
【非特許文献131】ShapiroおよびDinarello,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995年,第92巻,p.12230
【非特許文献132】Andersonら,Nature,1990年,第343巻,p.651
【非特許文献133】Crewsら,Science,1992年,第258巻,p.478
【非特許文献134】Bjorbaekら,J.Biol.Chem.,1995年,第270巻,p.18848
【非特許文献135】Rouseら,Cell,1994年,第78巻,p.1027
【非特許文献136】Raingeaudら,Mol.Cell Biol.,1996年,第16巻,p.1247
【非特許文献137】Chenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993年,第90巻,p.10952
【非特許文献138】Oliverら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,1995年,第210巻,p.162
【非特許文献139】Moodieら,Science,1993年,第260巻,p.1658
【非特許文献140】FreyおよびMulder,Cancer Res.,1993年,第57巻,p.628
【非特許文献141】Sivaramanら,J.Clin.Invest.,1997年,第99巻,p.1478
【非特許文献142】Whelchelら,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,1997年,第16巻,p.589
【非特許文献143】Coghlanら,Chemistry & Biology,2000年,第7巻,p.793−803
【非特許文献144】KimおよびKimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,2000年,第10巻,p.508−514
【非特許文献145】Haqら,J.Cell Biol.,2000年,第151巻,p.117−130
【非特許文献146】Kleinら,PNAS,1996年,第93巻,p.8455−8459
【非特許文献147】Crossら,Biochem.J.,1994年,第303巻,p.21−26
【非特許文献148】Cohen,Biochem.Soc.Trans.,1993年,第21巻,p.555−567
【非特許文献149】Massillonら,Biochem J.,1994年,第299巻,p.123−128
【非特許文献150】Hockら,Neuron,2003年,第38巻,p.547−554
【非特許文献151】Lovestoneら,Current Biology,1994年,第4巻,p.1077−86
【非特許文献152】Brownleesら,Neuroreport,1997年,第8巻,p.3251−55
【非特許文献153】Phielら,Nature,2003年,第423巻,p.435−439
【非特許文献154】Zhongら,Nature,1998年,第395巻,p.698−702
【非特許文献155】Takashimaら,PNAS,1993年,第90巻,p.7789−93
【非特許文献156】Peiら,J.Neuropathol.Exp,1997年,第56巻,p.70−78
【非特許文献157】Wangら,Brain Res,2000年,第859巻,p.381−5
【非特許文献158】Sasakiら,Neurol Res,2001年,第23巻,p.588−92
【非特許文献159】Hashimotoら,J.Biol.Chem,2002年,第277巻,p.32985−32991
【非特許文献160】Petersonら,Curr.Biol.,1999年,第9巻,p.R521
【非特許文献161】Khwaja,A.,Nature,1999年,第401巻,p.33−34
【非特許文献162】Yuan,Z.Q.,ら,Oncogene,2000年,第19巻,p.2324−2330
【非特許文献163】Namikawa,K.,ら,J Neurosci.,2000年,第20巻,p.2875−2886
【非特許文献164】Cheng,J.Q.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992年,第89巻,p.9267−9271
【非特許文献165】Brodbeck,D.ら,J.Biol.Chem.,1999年,第274巻,p.9133−9136
【非特許文献166】Kulikら,Mol.Cell.Biol.,1997年,第17巻,p.1595−1606
【非特許文献167】Hemmings,B.A.,Science,1997年,第275巻,p.628−630
【非特許文献168】Calera,M.R.ら,J.Biol.Chem.,1998年,第273巻,p.7201−7204
【非特許文献169】Alessi,D.R.ら,Curr.Opin.Genet.Dev.,1998年,第8巻,p.55−62
【非特許文献170】Cheng,J.Q.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1996年,第93巻,p.3636−3641
【非特許文献171】Bellacosa,ら,Int.J.Cancer,1995年,第64巻,p.280−285
【非特許文献172】Beebe,S.J.,Semin.Cancer Biol.,1994年,第5巻,p.285−294
【非特許文献173】McKnight,G.S.ら,Recent Prog.Horm.Res.,1988年,第44巻,p.307
【非特許文献174】Beebe,S.J.ら,J.Biol.Chem.,1992年,第267巻,p.25505−25512
【非特許文献175】Becker,D.ら,Oncogene,1990年,第5巻,p.1133
【非特許文献176】Volarevic,S.ら,Prog.Nucleic Acid Res.Mol.Biol.,2001年,第65巻,p.101−186
【非特許文献177】Kuo,C.J.ら,Nature,1992年,第358巻,p.70−73
【非特許文献178】Coffer,P.J.ら,Biochem.Biophys.Res.Commun,1994年,第198巻,p.780−786
【非特許文献179】Alessi,D.R.,Curr.Biol.,1998年,第8巻,p.69−81
【非特許文献180】Alessi,D.ら,Biochem.Soc.Trans,2001年,第29巻,p.1
【非特許文献181】Avruch,J.ら,Prog.Mol.Subcell.Biol.,2001年,第26巻,p.115
【非特許文献182】Frodin,M.ら,EMBO J.,2000年,第19巻,p.2924−2934
【非特許文献183】Lawlor,M.A.ら,J.Cell Sci.,2001年,第114巻,p.2903−2910
【非特許文献184】Lawlor,M.A.ら,EMBO J.,2002年,第21巻,p.3728−3738
【非特許文献185】Belham,C.ら,Curr.Biol.,1999年,第9巻,p.R93−R96
【非特許文献186】Graff,J.R.,Expert Opin.Ther.Targets,2002年,第6巻,p.103−113
【非特許文献187】Brognard,J.,ら,Cancer Res.,2001年,第61巻,p.3986−3997
【非特許文献188】Flynn,P.,ら,Curr.Biol.,2000年,第10巻,p.1439−1442
【非特許文献189】Hanahan,D.ら,Cell,2000年,第100巻,p.57−70
【非特許文献190】Teng,D.H.ら,Cancer Res.,1997年,第57巻,p.5221−5225
【非特許文献191】Am.J.Pathol.,2001年,第159巻,p.431
【非特許文献192】Neoplasia,2001年,第3巻,p.278
【非特許文献193】Hayakawa,J.ら,Cancer Res.,2000年,第60巻,p.5988−5994
【非特許文献194】Mol.Cancer Ther.,2002年,第1巻,p.707
【非特許文献195】Arico,S.ら,J.Biol.Chem.,2002年,第277巻,p.27613−27621
【非特許文献196】Endocrinology,2001年,第142巻,p.4795
【非特許文献197】Thakkar,H.ら,J.Biol.Chem.,2001年,第276巻,p.38361−38369
【非特許文献198】Chen,X.ら,Oncogene,2001年,第20巻,p.6073−6083
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0054】
従って、FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの活性化に関連する種々の疾患又は状態を治療する場合に有用であるFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKプロテインキナーゼの阻害剤を開発することは、特にこれらの障害の大部分に対して現在使用できる治療法が不十分であることを考えれば、非常に必要とされていることである。
【課題を解決するための手段】
【0055】
(発明の要旨)
今回、本発明の化合物及び製薬上許容しうるその組成物がキナーゼ阻害剤として有効であることが分かった。特定の実施形態においては、これらの化合物はFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。他の実施形態においては、これらの化合物はFLT−3及び/又はc−KITプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。これらの化合物は下記一般式A:
【0056】
【化10】

[式中、R、R、R、R、R及びRは後述する通りである]を有する。
【0057】
これらの化合物及びその医薬組成物は種々の障害、例えば限定しないが、心臓疾患、糖尿病、アルツハイマー病、免疫不全障害、炎症性疾患、高血圧、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、例えば骨粗鬆症、増殖性障害、感染性疾患、免疫学的に媒介された疾患及びウィルス性疾患の治療又は防止の為に有用である。組成物は又細胞死及び過形成を防止するための方法においても有用であり、従って、卒中、心臓発作及び臓器低酸素症における再還流/虚血の治療又は防止の為に使用してよい。組成物はまたトロンビン誘導血小板凝集を防止するための方法において有用である。組成物は慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄性白血病(APL)、慢性関節リューマチ、喘息、骨関節炎、虚血、癌(例えば卵巣癌、乳癌及び子宮内膜癌)、肝臓病、例えば肝臓虚血、心臓病、例えば心筋梗塞及びうっ血性心不全、T細胞活性化の関与する病的免疫状態、及び、神経変性障害のような障害に対して特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は上記したものを包含し、そして本明細書に開示するクラス、サブクラス及び物質種により更に説明される。本明細書においては、特段の記載が無い限り以下の定義を適用する。本発明の目的のためには、化学元素はCAS版の元素周期律表、Handbook of Chemistry and Physics,75th Edに従って識別されるものである。更に又、有機化学の一般的原則は参照により全体が本明細書に組み込まれる”Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999及び”March’s Advanced Organic Chemistry”,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley&Sons,New York:2001に記載されている。
【0059】
本明細書に記載する通り、本発明の化合物は場合により、上記において一般的に説明される、又は、本発明の特定のクラス、サブクラス及び物質種により例示されるような置換基1つ以上で置換されていてよい。「場合により置換された」という表現は「置換又は未置換の」という表現と互換的に使用する。一般的に、「置換された」という用語は「場合により」という用語に先行されているか否かに関わらず、特定の置換基のラジカルによる所定の構造における水素ラジカルの置き換えを指す。特段の記載が無い限り、場合により置換された基は基の各置換可能な位置における置換基を有してよく、そしてある所定の構造において1つより多い位置が特定の群から選択される1つより多い置換基で置換されていてよい場合は、置換基は各位置において同じかまたは異なっていてよい。本発明が包含する置換基の組合わせは好ましくは安定又は化学的に可能な化合物の形成をもたらすようなものである。[安定な」という用語は本明細書においては、その製造、検出及び好ましくはその回収、精製及び本明細書に開示する目的1つ以上のための使用を可能とする条件に付された場合に実質的に改変されない化合物を指す。一部の実施形態においては、安定な化合物又は化学的に可能な化合物は40℃以下の温度で湿度非存在下又は他の化学的に反応性の条件化に少なくとも1週間維持された場合に実質的に改変されないものである。
【0060】
「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は本明細書においては、完全に飽和しているか、又は、不飽和単位1つ以上を含有する直鎖(即ち未分枝鎖)又は分枝鎖の、置換又は未置換の炭化水素鎖、又は、完全に飽和しているか、又は、不飽和単位1つ以上を含有するが芳香族ではない単環の炭化水素又は2環の炭化水素(本明細書においては「炭素環」、「環式脂肪族」又は「シクロアルキル」とも称する)を意味し、これは分子の残余への結合の単一点を有するものである。特段の記載が無い限り、脂肪族基は1〜20脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態においては、脂肪族基は1〜10脂肪族炭素原子を含有する。別の実施形態においては、脂肪族基は1〜8脂肪族炭素原子を含有する。更に別の実施形態においては、脂肪族基は1〜6脂肪族炭素原子を含有し、又更に別の実施形態においては、脂肪族基は1〜4脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態においては、「環式脂肪族」(又は「炭素環」又は「シクロアルキル」)とは、完全に飽和しているか、又は、不飽和単位1つ以上を含有するが芳香族ではない単環C−C炭化水素又は2環C−C12炭化水素を指し、これは該2環系における個々の環が3〜7員を有するような分子の残余への結合の単一点を有する。適当な脂肪族基の例は限定しないが直鎖又は分枝鎖の置換又は未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル基及びこれらの複合体、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルを包含する。
【0061】
「ヘテロ脂肪族」という用語は本明細書においては、炭素原子1つ以上が独立して酸素、イオウ、窒素、リン又はケイ素の1つ以上により置き換えられている脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は置換又は未置換、分枝鎖又は未分枝鎖、環状又は非環状であって欲、そして「複素環」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」又は「複素環式」を包含する。
【0062】
「複素環」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」又は「複素環式」という用語は本明細書においては、非芳香族の単環、2環又は3環の系を意味し、ここで環員1つ以上は独立して選択されたヘテロ原子である。一部の実施形態においては、「複素環」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」又は「複素環式」の基は3〜14環員を有し、ここで環員1つ以上は酸素、イオウ、窒素又はリンから独立して選択されたヘテロ原子であり、そして系内の各環は3〜7環員を含有する。
【0063】
「ヘテロ原子」という用語は酸素、イオウ、窒素、リン又はケイ素の1つ以上を意味する(窒素、イオウ、リン又はケイ素の何れかの酸化された形態;何れかの塩基性の窒素の第4化形態又は;複素環の置換可能な窒素、例えばN(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルの場合等)、NH(ピロリジニルの場合等)又はNR(N置換ピロリジニルの場合等)を包含する)。
【0064】
「不飽和」という用語は本明細書においては、部分が不飽和単位1つ以上を有することを意味する。
【0065】
「アルコキシ」又は「チオアルキル」という用語は本明細書においては、酸素(「アルコキシ」)又はイオウ(「チオアルキル」)原子を介して主要な炭素鎖に連結した前記の通り定義されるアルキル基を指す。
【0066】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」及び「ハロアルコキシ」という用語はハロゲン原子1つ以上で置換された、該当するアルキル、アルケニル又はアルコキシを意味する。「ハロゲン」という用語はF、Cl、Br又はIを意味する。
【0067】
「アリール」という用語は単独又は「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」の場合に用により大きい部分の一部として使用される場合、合計5〜14環員を有する単環、2環及び3環の系を指し、ここで系内の少なくとも1つの環は芳香族であり、そして系内の各環は3〜7環員を含有する。「アリール」という用語は「アリール環」という用語と互換的に使用してよい。「アリール」という用語はまた後に定義するヘテロアリール環系も指す。
【0068】
「ヘテロアリール」という用語は単独又は「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルコキシ」の場合に用により大きい部分の一部として使用される場合、合計5〜14環員を有する単環、2環及び3環の系をさし、ここで系内の少なくとも1つの環は芳香族であり、そして系内の少なくとも1つの環はヘテロ原子1つ以上を含有し、そして系内の各環は3〜7環員を含有する。「ヘテロアリール」という用語は「ヘテロアリール環」という用語と互換的に使用してよい。
【0069】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等を包含する)又はヘテロアリール(ヘテロアラルキル及びヘテロアリールアルコキシ等を包含する)の基は置換基1つ以上を含有してよく、即ち、「場合により置換され」ていてよい。特段の記載が無い限り、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は一般的にハロゲン;−R;−OR;−SR;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−P(O);−PO(R;−OPO(R;−(CH0−2NHC(O)R;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph)から選択され;ここで、Rの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜4個を有する場合により置換された3〜12員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和の単環又は2環を形成する。
【0070】
の脂肪族基上の任意の置換基はNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロC1−4脂肪族から選択され、ここでRの上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である。
【0071】
脂肪族又はヘテロ脂肪族基又は非芳香族複素環は置換基1つ以上を含有してよく、即ち、「場合により置換され」ていてよい。特段の記載が無い限り、脂肪族又はヘテロ脂肪族の基、又は、非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基はアリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素に関して上記列挙したものから選択され、そして、更に、以下のもの、即ち=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRを包含し、ここで各Rは独立して水素又は場合により置換されたC1−6アルキル基から選択される。
【0072】
上記又は本明細書において特段の記載が無い限り、非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は一般的に、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R+1、−C(=NH)−N(R又は−NRSOから選択され;ここでRは水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、場合により置換されたフェニル、場合により置換された−O(Ph)、場合により置換された−CH(Ph)、場合により置換された−(CH1−2(Ph);場合により置換された−CH=CH(Ph);又は酸素、窒素又はイオウから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環であるか、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜4個を有する場合により置換された3〜12員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和の単環又は2環を形成する。
【0073】
の脂肪族基又はフェニル環上の任意の置換基は−NH、−NH(C1−4脂肪族)、−N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、−OH、−O(C1−4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)から選択され、ここでRの上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である。
【0074】
複素環置換の場合においては、置換基は炭素原子及びヘテロ原子の両方における置換可能な位置に結合できる。例えば記載された置換された構造がピペラジン環であり、そして置換基がCHである場合は、記載された化合物は下記:
【0075】
【化11】

の何れかとなる。
【0076】
1つの実施形態において、本発明は下記式I:
【0077】
【化12】

[式中、
XはCH又はNであり;
YはCH、NH、NR、O又はSであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素であり;
は5〜6員の単環又は8〜12員の2環から選択される場合により置換されたアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R)、−O(ハロC1−4脂肪族)、−ハロC1−4脂肪族、−NO、−ハロゲン、−NR、又は場合によりNHで置換された−C1−6脂肪族であり;
は水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRであり、ここで、
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;
各Rは独立して水素又は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族であり、ここで、これら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である]の化合物に関する。
【0078】
本発明の別の実施形態は、下記式II:
【0079】
【化13】

[式中、
XはCH又はNであり;
YはCH、NR、O又はSであり;
nは0〜4であり;
mは0〜4であり;
は水素又は−N(H)Rであり;
は水素又はC1−6脂肪族であり;
は5〜6員の単環又は8〜12員の2環から選択されるアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し、ここでRの各置換可能な位置は場合により、そして独立してRにより置き換えられており;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−NO、−ハロゲン、−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合により、そして独立してハロゲン又はNHにより置き換えられており;
はハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rであり;
各R及びRは水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRである]の化合物に関する。
X及びY及びそれらが結合している原子は、好ましくはヘテロ原子2個、より好ましくはヘテロ原子1個を有する6員環を形成する。
、R及びRは式IIに示す環の周囲の何れかの置換可能な位置において結合する。ヘテロサイクリル置換の場合は、R、R及びRは炭素原子及びヘテロ原子の両方における置換可能な位置に結合できる。例えばX及びYが共にNであり、そしてRがCHである場合は、式IIの第3の単環は下記:
【0080】
【化14】

の何れかとなる。
【0081】
本発明の別の実施形態においては、式(II)において、
XはCH又はNであり;
YはCH、NH、NR、O又はSであり;
nは0〜4であり;
mは0〜4であり;
は水素又は−N(H)Rであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は5〜6員の単環又は8〜12員の2環から選択される場合により置換されたアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し、ここでRの各置換可能な位置は場合により、そして独立してRにより置き換えられており;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−ハロゲン又は−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合により、そして独立して、ハロゲンで置き換えられており;
はハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rであり、ここで、Rの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環(ただし、複素環内の窒素原子は場合により−R又は−C(O)Rで置換されており、ここでRは(C1−6アルキル)、好ましくは(C1−4アルキル)である)、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成するものである化合物が提供される。
各R及びRは独立して、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCO;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;又は=Oである。
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されており;
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されている。
【0082】
式Iの1つの実施形態によればRは水素である。
【0083】
式IIの1つの実施形態によれば、Rは水素である。式IIの別の実施形態においては、RはN(H)Rである。
【0084】
式I又はIIの何れかの別の実施形態によれば、Rは水素である。
【0085】
式I又はIIの何れかの別の実施形態によれば、XがCHであり場合、YはCHではない。
【0086】
式I又はIIの何れかの別の実施形態によれば、XはNである。
【0087】
式I又はIIの何れかの別の実施形態によれば、YはOである。
【0088】
式I又はIIの何れかの別の実施形態によれば、YはNRである。
【0089】
式IIの一部の実施形態においては、m、n及びpは各々独立して1又は2である。別の実施形態においてはmは0であり;別の実施形態においてはmは1である。1つの実施形態においてはnは0であり;別の実施形態においてはnは1である。1つの実施形態においてはpは0であり;別の実施形態においてはpは1である。更に別の実施形態においてはm、nおよびpの各々は0である。
【0090】
式IIの一部の実施形態においては、R、R及びRは各々独立してハロゲン;C1−4脂肪族;−OR;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCO;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(Rであるか;又は同じ炭素原子に結合した水素原子2個が=Oにより置き換えられている。
【0091】
別の実施形態においては、R、R及びRは各々独立してハロゲン;場合によりハロゲンで置換されたC1−4脂肪族;−OR;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCOであるか;又は同じ炭素原子に結合した水素原子2個が=Oにより置き換えられている。
【0092】
別の実施形態においては、R及びRはC1−6アルキル又はハロゲン、好ましくはC1−3アルキル、F又はClである。
【0093】
別の実施形態においては、Rはハロゲン、−CN、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−N(R)又はC1−4ハロアルキルである。
【0094】
式I及びIIの一部の実施形態においては、Rは窒素、酸素及びイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有する6員の単環から選択されるアリール基であり、ここでRの各置換可能な位置は場合によりRで置き換えられている。
【0095】
1つの実施形態によれば、Rは窒素、酸素及びイオウから独立して選択されるヘテロ原子0、1又は2個を有する6員の単環から選択されるアリール基であり、ここでRの各置換可能な位置は場合によりRで置き換えられている。
【0096】
別の実施形態によれば、Rは窒素ヘテロ原子1又は2個、好ましくは1窒素原子を有する6員のヘテロアリールである。更に別の実施形態によれば、Rは2−ピリジルである。
【0097】
式I及びIIの1つの実施形態においては、Rは水素、ハロゲン、OH、NR、CN、O−(C1−6脂肪族)又は場合により−NRで置換されたC1−6アルキルである。
【0098】
別の実施形態においては、Rは場合により−N(R)で置換されたC1−6アルキルである。
【0099】
別の実施形態においては、Rは−CNである。更に別の実施形態においては、Rは水素である。
【0100】
1つの実施形態は下記式I−a:
【0101】
【化15】

により表される。
【0102】
別の実施形態は下記式I−b:
【0103】
【化16】

により表される。
【0104】
別の実施形態は下記式I−c:
【0105】
【化17】

により表される。
【0106】
別の実施形態は下記化合物I−1及びI−2:
【0107】
【化18】

により表される。
【0108】
別の実施形態は下記化合物I−3及びI−4:
【0109】
【化19】

により表される。
【0110】
本発明の化合物は又X及びYを含有する環がX原子だけではなく何れかの原子において分子の残余に結合しているものを包含する。
【0111】
別の実施形態においては、本発明は下記式III:
【0112】
【化20】

[式中、
環Aは3〜8員の飽和炭素環であり;
環Bは3〜8員の飽和又は部分飽和の環であり、ここで環Bは窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し;
XはCH又はNであり;
YはCH、NR、O又はSであり;
nは0〜4であり;
mは0〜4であり;
pは0〜4であり;
は水素であり;
は水素又はC1−6脂肪族であり;
は5〜6員の単環又は8〜12員の2環から選択されるアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し、ここでRの各置換可能な位置は場合により、そして独立してRにより置き換えられており;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−NO、−ハロゲン、−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合により、そして独立してハロゲン又はNHにより置き換えられており;
はハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rであり、
ここで、Rの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環(ただし、複素環内の窒素原子は場合により−R又は−C(O)Rで置換されており、ここでRは(C1−6アルキル)、好ましくは(C1−4アルキル)である)、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
各R及びRは独立して、水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRであり、ここで、
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;
各Rは独立して水素又は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族であり、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である]の化合物を提供する。
【0113】
別の実施形態において、本発明は、式IIIの化合物において、
が水素又はC1−6アルキルであり;
が水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−ハロゲン又は−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合によりハロゲンで置き換えられており;
各R、R及びRは独立してハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCO;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−S(O);−SON(R;−S(O)R又は−NRSON(Rであるか;又は、同じ炭素原子に結合している2つの水素原子が=Oにより置き換えられており;
ここでRの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、上記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されており;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら上記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されている化合物を提供する。
【0114】
式IIIの別の実施形態によれば、Rは水素である。
【0115】
式IIIの別の実施形態によれば、m、n及びpの何れかの1つ以上は0である。別の実施形態によればR、R及びRは各々独立してハロゲン;ハロゲンで場合により置換されたC1−4脂肪族;−OR;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCOであるか;又は同じ炭素原子に結合した水素原子2個は=Oにより置き換えられている。別の実施形態においては、R及びRはC1−6アルキル又はハロゲンである。別の実施形態においてはRはハロゲン、−CN、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−N(R)又はC1−4ハロアルキルである。
【0116】
式IIIの別の実施形態においては、Rは窒素、酸素及びイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有する6員の単環から選択されるアリール基であり、ここでRの各置換可能な位置は場合によりRにより置き換えられている。更に別の実施形態においては、Rは1又は2個の窒素ヘテロ原子を有する6員のヘテロアリール基である。更に別の実施形態においては、Rは2−ピリジルである。
【0117】
式IIIの別の実施形態によれば、Rは水素、ハロゲン、OH、NR、CN、O−(C1−6脂肪族)又は場合により−NRで置換されたC1−6アルキルである。別の実施形態においては、Rは場合により−N(R)で置換されたC1−6アルキルである。更に別の実施形態においては、Rは−CN又は水素である。
【0118】
式IIIの別の実施形態においては、環Aは5〜7員の炭素環である。
【0119】
式IIIの別の実施形態においては、環Bは5〜7員の飽和又は部分飽和の環である。更に別の実施形態においては、環Bは5〜7員の飽和又は部分飽和の複素環である。
【0120】
式I、II及びIIIの別の実施形態は、下記化合物:
【0121】
【化21】

【0122】
【化22】

【0123】
【化23】

により表される。
【0124】
上記した通り、本発明はプロテインキナーゼの阻害剤である化合物を提供し、そして従って、本発明の化合物は例えば限定しないが、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、ウィルス疾患又は骨障害を包含する疾患、障害及び状態の治療の為に有用である。好ましい実施形態においては、化合物は、アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、分裂病、心筋細胞過形成、再還流/虚血(例えば卒中)、禿頭症、癌、肝腫大、心臓血管疾患、例えば心臓腫大、嚢胞性線維症、ウィルス疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、炎症、高血圧、狭心症、脳血管収縮、末梢循環障害、早産、動脈硬化症、血管痙攣(脳血管痙攣、冠動脈痙攣)、網膜症、勃起不全(ED)、AIDS、骨粗鬆症、クローン病及び結腸炎、ニューライト派生及びレレイノー病の治療のために有用である。好ましい実施形態においては、疾患、状態又は障害はアテローム性動脈硬化症、高血圧、勃起不全(ED)、再還流/虚血(例えば卒中)又は血管痙攣(脳血管痙攣及び冠動脈痙攣)である。
【0125】
従って、本発明の別の特徴において、製薬上許容しうる組成物が提供され、ここでこれらの組成物は本明細書に記載した化合物の何れかを含み、そして場合により製薬上許容しうる担体、補助剤又はビヒクルを含む。特定の実施形態においては、組成物は場合により更に別の治療薬1つ以上を含む。
【0126】
本発明の化合物の特定のものは治療の為の遊離の形態で、或いは適宜、製薬上許容しうるその誘導体として存在できる。本発明によれば、製薬上許容しうる誘導体は、限定しないが、必要とする患者への投与時に直接又は間接的に本明細書に記載する化合物又はその代謝産物又は残存物を与えることができる、製薬上許容しうるプロドラッグ、塩、エステル、このようなエステルの塩、又は何れかの他の付加物又は誘導体を包含する。本明細書においては、「製薬上許容しうる塩」という用語は、調和の取れた医学的判断の範囲内において、不適切な毒性、刺激、アレルギー応答等を伴わずにヒト及びより下等な動物の組織との接触に適するものであり、そして、合理的な利益/危険性の比に相応する塩を指す。「製薬上許容しうる塩」とは、レシピエントへの投与時に本発明の化合物又は抑制活性を有するその代謝産物又は残留物を直接又は間接的に提供することができる本発明の化合物の非毒性の塩又はエステル塩を意味する。本明細書においては、「抑制活性を有するその代謝産物又は残留物」という用語はその代謝産物又は残留物もまたFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの阻害剤であることを意味する。
【0127】
製薬上許容しうる塩は当該分野で良く知られている。例えば、S.M.Berge等は参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において製薬上許容しうる塩を詳細に説明している。本発明の製薬上許容しうる塩は適当な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されたものを包含する。製薬上許容しうる非毒性の酸付加塩は無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸とともに、又は有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸と共に、又はイオン交換のような当該分野使用されている他の方法を用いることにより形成したアミノ基の塩である。他の製薬上許容しうる塩はアジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、カンホレート、カンファースルホネート、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グルコネート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロイオダイド、2−ヒドロキシ−エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、パースルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、ピロピオネート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、タータレート、チオシアネート、p−トルエンスルホネート、ウンデカノエート、バレレートの塩等を包含する。適切な塩基から誘導された塩はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN(C1−4アルキル)塩を包含する。本発明はまた本明細書に開示した化合物の何れかの塩基性窒素含有基の第4化を包含する。水溶性又は油溶性又は分散性の生成物はこのような第4化により得てよい。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属の塩はナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を包含する。更に別の製薬上許容しうる塩は、適宜、非毒性のアンモニウム、第4アンモニウム、及びアミンのカチオンであってハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネート及びアリールスルホネートのような対イオンを用いて形成したものを包含する。
【0128】
上記した通り、本発明の製薬上許容しうる組成物は更に、製薬上許容しうる担体、補助剤又はビヒクルを含み、これらは、本明細書においては、何れかの、そして全ての溶媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張性付与剤、濃厚化剤又は乳化剤、保存料、固体バインダー、潤滑剤等、所望の特定の剤型に適合したものを包含する。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)製薬上許容しうる組成物を製剤する際に使用される種々の担体及びその調製のための知られた手法を開示している。何れかの従来の担体媒体が、例えば何れかの望ましくない生物学的作用を生じるか、或いは製薬上許容しうる組成物の何れかの他の成分と有害な態様で相互作用するなどにより、本発明の化合物に適合しない場合を除き、その使用は本発明の範囲内に包含されるものである。製薬上許容しうる担体として機能できる物質の一例は、限定しないが、イオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、又はソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、羊毛脂、糖類、例えば乳糖、グルコース及びスクロースを包含し;澱粉類、例えばコーンスターチ及びポテトスターチ;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばカカオ脂及び坐剤用のワックス;油脂類、例えばピーナツ油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;コーン油及び大豆油;グリコール類;例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール;エステル類、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張性食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール及びリン酸塩緩衝溶液、並びに他の非毒性の適合する潤滑剤」、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム;並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、フレーバー及び芳香剤、保存料及び抗酸化剤もまた製剤担当者の判断に従って組成物中に存在できる。
【0129】
更に別の特徴において、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、ウィルス疾患又は骨障害の治療又は重症度の低下のための方法が提供され、これは化合物又は化合物を含む製薬上許容しうる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。本発明の特定の実施形態においては、化合物又は化合物を含む製薬上許容しうる組成物の「有効量」とは、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、ウィルス疾患又は骨障害の治療又は重症度の低下のために有効な量である。化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、ウィルス疾患又は骨障害の治療又は重症度の低下のために有効な何れかの量及び何れかの投与経路を用いて投与してよい。厳密な量は、対象の種、齢及び全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式等に応じて、対象毎に変動する。本発明の化合物は好ましくは投与を容易さ及び用量の均一性のためには単位剤型において製剤される。「単位剤型」という表現は本明細書においては、治療すべき患者に対して適切な薬剤の物理的に異なる単位を指す。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の一日当たりの総使用量は調和の取れた医学上の判断の範囲内で担当医が決定することになる。何れかの特定の患者又は生物に対する特定の有効用量は、種々の要因、例えば治療すべき障害及び障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、全身状態、性別及び食餌;使用する特定の化合物の投与時間、投与経路及び排出速度;治療期間;使用する特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用する薬剤等の医療分野で良く知られた要因に応じたものとなる。「患者」という用語は本明細書においては、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0130】
本発明の製薬上許容しうる組成物はヒト及び他の動物に対し、経口、直腸、非経腸、クモ膜下槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、難航又はドロップによる)、舌下、口腔用又は鼻内用スプレーとして等、治療すべき感染症の重症度に応じて投与することができる。特定の実施形態においては、本発明の化合物は約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kg患者体重の一日当たりの用量水準において、一日一回以上の回数で経口又は非経腸投与することにより所望の治療効果を得てよい。
【0131】
経口投与用の液体剤型は、例えば限定しないが、製薬上許容しうる乳液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含する。活性化合物のほかに、液体剤型は当該分野で一般的に使用されている不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムミド、油脂類(特に、綿実油、ピーナツ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及び溶液微単の脂肪酸エステル及びこれらの混合物を含有してよい。不活性希釈剤のほかに、経口用組成物は又補助剤、例えば水和剤、乳化及び懸濁剤、甘味料、フレーバー及び芳香剤を含むことができる。
【0132】
注射用製剤、例えば滅菌された注射用の水性又は油性の懸濁液は適当な分散又は水和剤及び懸濁剤を用いながら当該分野で知られる通り製剤してよい。滅菌注射用製剤はまた非毒性の非経腸用に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液又は乳液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってよい。使用してよい許容されるビヒクル及び溶媒に属するものは、水、リンゲル溶液、USP及び等張性塩化ナトリウム溶液である。更に又、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒体として従来より使用されている。この目的のためには、何れかの銘柄の固定油、例えば合成のモノ又はジグリセリドを使用することができる。更に又、オレイン酸のような脂肪酸を注射液の製造に使用する。
【0133】
注射用製剤は例えば細菌捕獲フィルターを通した濾過によるか、又は、使用前に滅菌水又は他の滅菌された注射用媒体中に溶解又は分散できる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を配合することにより、滅菌することができる。
【0134】
本発明の化合物の作用を延長するためには、皮下又は筋肉内注射からの化合物の吸収を緩徐化させることが望ましい場合が多い。これは貧水溶性の結晶又は不定形の物質の液体懸濁体を使用することにより達成してよい。そして化合物の吸収の速度は溶解の速度に依存し、そしてこれは更に結晶の大きさ及び結晶型に依存する。或いは、非経腸投与された化合物形態の遅延した吸収は油脂ビヒクル中に化合物を溶解又は懸濁することにより達成される。注射用蓄積形態はポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性の重合体中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作成する。化合物の重合体に対する比及び使用する特定の重合体の性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生体分解性重合体の例はポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を包含する。蓄積注射製剤は又身体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に化合物を捕獲することにより製造される。
【0135】
直腸又は膣内投与のための組成物は好ましくは本発明の化合物を適当な非刺激性の賦形剤又は担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、又は、常温で固体であるが体温で液体となるため直腸又は膣腔において溶融して活性化合物を放出する坐剤用ワックスと混合することにより製造できる坐剤である。
【0136】
経口投与用の固体剤型はカプセル、錠剤、丸薬、粉末及び顆粒を包含する。このような固体剤型において、活性化合物は少なくとも1つの不活性な製薬上許容しうる賦形剤又は担体、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸2カルシウム、及び/又は、a)充填剤又は膨張剤、例えば澱粉、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシア、c)湿潤剤、例えばグリセロール、d)錠剤崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、バレイショ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収加速剤、例えば第4アンモニウム化合物、g)水和剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘度、及びi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物と混合する。カプセル、錠剤及び丸薬の場合は、剤型はまた緩衝剤も含んでよい。
【0137】
同様の型の固体組成物はまたラクトース即ち乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いたソフト及びハードゼラチンカプセル中の充填剤としても使用してよい。錠剤、糖衣丸剤、カプセル、丸薬及び顆粒の固体剤型はコーティング及びシェル、例えば腸溶性コーティング及び医薬品製剤分野でよく知られた他のコーティングを用いて製造できる。それらは場合により不透明化剤を含有してよく、そしてまた、活性成分のみ排他的又は優先的に、腸管の特定の部分において、場合により遅延された態様で放出する組成物であることもできる。使用できる包埋組成物の例は重合体物質及びワックスを包含する。同様の型の固体組成物はまたラクトース即ち乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いたソフト及びハードゼラチンカプセル中の充填剤としても使用してよい。
【0138】
活性化合物は又上記した賦形剤1つ以上を用いたマイクロカプセル化された形態であることもできる。錠剤、糖衣丸剤、カプセル、丸薬及び顆粒の固体剤型はコーティング及びシェル、例えば腸溶性コーティング、放出制御コーティング及び医薬品製剤分野でよく知られた他のコーティングを用いて製造できる。そのような固体剤型において、活性化合物はスクロース、乳糖又は澱粉のような不活性希釈剤少なくとも1つと混合してよい。このような剤型は又、通常の慣行どおり、不活性希釈剤以外の追加的物質、例えば錠剤用潤滑剤及び他の錠剤用補助剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースも含んでよい。カプセル、錠剤及び丸薬の場合は、剤型は又緩衝剤を含んでよい。それらは場合により不透明化剤を含有してよく、そしてまた、活性成分のみ排他的又は優先的に、腸管の特定の部分において、場合により遅延された態様で放出する組成物であることもできる。使用できる包埋組成物の例は重合体物質及びワックスを包含する。
【0139】
本発明の化合物の局所又は経皮投与のための剤型は軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤又はパッチを包含する。活性化合物を製薬上許容しうる担体及び何れかの必要な保存料又は必要に応じて緩衝物質と共に滅菌条件下に混合する。眼科用製剤、点耳液及び点眼液もまた本発明の範囲内に包含される。更に又、本発明は経皮パッチの使用も意図しており、これは、身体への化合物の制御された可能にするという追加的利点を有している。このような剤型は適切な媒体中に化合物を溶解又は分散することにより製造できる。吸収増強剤もまた皮膚を通過する化合物のフラックスを増大させるために使用できる。速度は速度制御膜を与えることによるか、又は、重合体マトリックス又はゲル内に化合物を分散させることにより、制御することができる。
【0140】
上記において一般的に説明した通り、本発明の化合物はプロテインキナーゼの阻害剤として有用である。1つの実施形態において、本発明の化合物及び組成物はFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの1つ以上の阻害剤であり、そしてこのため、如何なる特定の理論にも制約されないが、化合物及び組成物は、FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの1つ以上の活性化が疾患、状態又は障害に関与するとされる疾患、状態又は障害の治療又は重症度の低下のために特に有用である。特定の疾患、状態又は障害においてFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの活性化が関与するとされる場合、その疾患、状態又は障害はまた、「FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYK媒介疾患」又は疾患症状と称してよい。従って、別の特徴において、本発明はFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの1つ以上の活性化が疾患状態に関与するとされる疾患、状態又は障害の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0141】
FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKの阻害剤としての本発明において使用される化合物の活性はインビトロ、インビボ又は細胞系統において試験してよい。インビトロ試験は活性化されたFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKのホスホリル化活性又はATPase活性の何れかの阻害を測定する試験を包含する。別のインビトロ試験はFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKに結合する阻害剤の能力を定量する。阻害剤の結合は、結合前に阻害剤を放射標識すること、阻害剤/FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYK複合体を単離すること、及び、結合した放射標識の量を測定することにより測定してよい。或いは、阻害剤結合は競争実験を実施することにより測定してよく、その場合、新しい阻害剤は既知の放射リガンドに結合したFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKと共にインキュベートする。
【0142】
1つの実施形態において、本発明はFLT−3及び/又はc−KITを選択的に阻害する式I、II又はIIIの化合物を提供する。別の実施形態においては、本発明はFLT−3及び/又はc−KITを選択的に阻害する式Iの化合物を提供する。本明細書においては、「選択的に阻害する」という用語は、化合物が、Aurora−2、FMS、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK−3、JNK、KDR、MET、SRC、ROCK及び/又はSYKのような他のキナーゼの1つ以上に対してよりも少なくとも2倍低値であるKi又はIC50においてFLT−3及び/又はc−KITを阻害することを意味する。別の実施形態においては、FLT−3及び/又はc−KITを選択的に阻害する化合物は、Aurora−2、FMS、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK−3、JNK、KDR、MET、SRC、ROCK及び/又はSYKのような他のキナーゼの1つ以上に対してよりも少なくとも5倍低値、又は、少なくとも10倍低値であるKi又はIC50においてFLT−3及び/又はc−KITを阻害するものである。
【0143】
「測定可能に阻害する」という用語は本明細書においては、該組成物及びFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKキナーゼを含む試料と、該組成物の非存在下においてFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKキナーゼを含む等価な試料との間の、FLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYK活性の測定可能な変化を意味する。
【0144】
「FLT−3媒介の疾患」という用語は本明細書においては、FLT−3ファミリーキナーゼが役割を果たしている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような状態は、限定しないが、造血系の障害、特に急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)及び急性リンパ性白血病(ALL)を包含する。
【0145】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるFMS媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0146】
「FMS媒介の疾患」という用語は本明細書においては、FMSファミリーキナーゼが役割を果たしている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような状態は、限定しないが、癌(例えば限定しないが卵巣、子宮内膜及び乳癌)、炎症性障害及び高血圧を包含する。
【0147】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるc−KIT媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0148】
「c−KIT媒介の疾患」という用語は本明細書においては、c−KITファミリーキナーゼが役割を果たしている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような状態は、限定しないがAML、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、未分化大細胞リンパ腫、ALL、胃腸間質腫瘍(GIST)、T細胞リンパ腫、腺様嚢胞癌、血管肉腫、子宮内膜癌、小細胞肺癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、甲状腺癌、悪性黒色腫、結腸癌及び神経膠芽腫を包含する。
【0149】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるCDK−2媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0150】
「CDK−2媒介の疾患」という用語は本明細書においては、CDK−2が役割を果たしている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物はCDK−2キナーゼの活性により影響されることがわかっている疾患又は状態の治療の為に有用である。このような疾患又は状態は、癌、アルツハイマー病、再狭窄、血管形成、糸球体腎炎、サイトメガロウィルス、HIV、疱疹、乾癬、アテローム性動脈硬化症、禿頭症及び自己免疫疾患、例えば慢性関節リューマチ、ウィルス感染、神経変性障害、胸腺細胞のアポトーシスに関連する障害、又は細胞周期の、特にGからS期への進行の脱調節に起因する増殖性障害を包含する。
【0151】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるGSK−3媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0152】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるSrc媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0153】
「Src媒介の疾患」という用語は本明細書においては、Srcキナーゼが役割を果たしている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような疾患又は状態は限定しないが、結腸癌、乳癌、肝臓癌及び膵臓癌、自己免疫疾患、例えば移植片拒絶、アレルギー、慢性関節リューマチ、白血病、骨リモデリング障害、例えば骨粗鬆症、及び、ウィルス性疾患、例えばB型肝炎感染を包含する。
【0154】
別の実施形態によれば、本発明は本発明の組成物を患者に投与する工程を含む該患者におけるSyk媒介の疾患又は状態の治療又は重症度の低下のための方法を提供する。
【0155】
「Syk媒介の疾患」又は「Syk媒介の状態」という用語は本明細書においては、Sykプロテインキナーゼが役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような状態は限定しないが、アレルギー性障害、特に喘息を包含する。
【0156】
「JAK媒介の疾患」という用語は本明細書においては、JAKファミリーキナーゼが役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような状態は限定しないが、免疫応答、例えばアレルギー又はI型過敏反応、喘息、自己免疫疾患、例えば移植片拒絶、対宿主性移植片病、慢性関節リューマチ、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、神経変性障害、例えば家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)並びに固形及び血液学的な悪性疾患、例えば白血病及びリンパ腫を包含する。
【0157】
「PDK−1媒介の状態」又は「疾患」という用語は本明細書においては、PKD1が役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。「PDK−1媒介の状態」又は「疾患」という用語はまたPDK1阻害剤を用いた治療により緩解される疾患又は状態を意味する。PDK−1媒介の状態又は疾患は限定しないが増殖性障害及び癌を包含する。好ましくは該癌は膵臓、前立腺又は卵巣の癌から選択される。
【0158】
「PKA媒介の状態」又は「疾患」という用語は本明細書においては、PKAが役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。「PKA媒介の状態」又は「疾患」という用語はまたPKA阻害剤を用いた治療により緩解される疾患又は状態を意味する。PKA媒介の状態又は疾患は限定しないが増殖性障害及び癌を包含する。
【0159】
「p70S6K媒介の状態」又は「疾患」という用語は本明細書においては、p70S6Kが役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。「p70S6K媒介の状態」又は「疾患」という用語はまたp70S6K阻害剤を用いた治療により緩解される疾患又は状態を意味する。p70S6K媒介の状態又は疾患は限定しないが増殖性障害、例えば癌及び結節硬化症を包含する。
【0160】
「GSK−3媒介の疾患」という用語は本明細書においては、GSK−3が役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。このような疾患又は状態は限定しないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝疾患、神経学的及び神経変性の疾患(例えばアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病及び脳幹神経節運動障害、舞踏病、ジストニア、ウイルソン病、ピック病、前頭葉変性、進行性核上性麻痺(PSP)、クロイツフェルトヤコブ病、タウ病理及び皮質基底変性(CBD))、精神障害(例えば分裂病、AIDS関連痴呆、うつ病、双極性障害及び不安障害)、心臓血管疾患、アレルギー、喘息、糖尿病、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、心筋細胞過形成、再還流/虚血、卒中及び禿頭症を包含する。
【0161】
「ROCK媒介の状態」又は「疾患」という用語は本明細書においては、ROCKが役割を果たしていることがわかっている何れかの疾患又は他の有害な状態を意味する。「ROCK媒介の状態」又は「疾患」という用語はまたROCK阻害剤を用いた治療により緩解される疾患又は状態を意味する。ROCK媒介の状態は限定しないが、高血圧、狭心症、脳血管収縮、喘息、末梢循環障害、早産、癌、勃起不全、アテローム性動脈硬化症、痙攣(脳血管痙攣、冠動脈痙攣)、網膜症(例えば緑内障)、炎症性障害、自己免疫障害、AIDS、骨粗鬆層、心筋過形成、虚血/再還流誘発傷害及び内皮機能不全を包含する。
【0162】
他の実施形態においては、本発明は式I、II又はIIIの化合物を含む組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、グリコーゲン合成増強及び/又は血中グルコース濃度低下を要する患者におけるその方法に関する。この方法は糖尿病患者において特に有用である。
【0163】
更に別の実施形態においては、本発明は式I、II又はIIIの化合物を含む組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、ホスホリル化亢進タウタンパクの生産の抑制を要する患者におけるその方法に関する。この方法はアルツハイマー病の進行を停止又は緩徐化する場合に特に有用である。
【0164】
更に又別の実施形態においては、本発明は式I、II又はIIIの化合物を含む組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、β−カテニンのホスホリル化の抑制を要する患者におけるその方法に関する。この方法は分裂病の治療のために特に有用である。
【0165】
本発明の化合物及び製薬上許容しうる組成物は当然ながら複合療法において使用することができ、即ち、化合物及び製薬上許容しうる組成物は他の望ましい治療薬又は医療処置の1つ以上と同時に、それに先行して、又はその後に、投与することができる。複合用法において使用するための治療(治療又は処置)の特定の組み合わせは所望の治療及び/又は処置の適合性、及び、達成すべき所望の治療効果を考慮することになる。又当然ながら使用する治療は同じ障害に対して所望の効果を達成してよい(例えば本発明の化合物を同じ障害を治療するために使用される別の薬剤と同時に投与してよい)し、或いは、それらは異なる作用を達成してよい(例えば何れかの有害作用の抑制)。本明細書においては、特定の疾患又は上体を治療又は防止するために通常投与される追加的治療薬は「治療すべき疾患又は状態に対して適切なもの」として知られている。
【0166】
例えば、増殖性疾患及び癌の治療の為に化学療法剤又は他の抗増殖剤を本発明の化合物と組合わせてよい。知られている化学療法剤の例は、限定しないが、例えば、本発明の抗癌剤と組合わせて使用してよい他の治療薬又は抗癌剤は、手術、放射線療法(例えばガンマ線照射、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、プロトン療法、近接照射療法、及び全身放射性同位体等)、内分泌療法、生物学的応答モディファイアー(インターフェロン、インターロイキン及び腫瘍壊死因子(TNF)等)、高温療法及び低温療法、有害作用減衰剤(例えば抗嘔吐剤)、及び他の認可された化学療法剤、例えばアルキル化剤(メクロレタミン、クロランブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキセート)、プリン拮抗剤及びピリミジン拮抗剤(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、紡錘毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)及びホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド及びメゲストロール)、GleevecTM、アドリアマイシン、デキサメタゾン及びシクロホスファミドを包含する。癌治療のより包括的な考察は参照により全体が本明細書に組み込まれるThe Merck Manual,Seventeenth Ed.1999を参照できる。
【0167】
本発明の阻害剤を組合わせてよい薬剤の別の例は、限定しないがアルツハイマー病の治療、例えばAricept(登録商標)及びExcelon(登録商標);パーキンソン病の治療、例えばL−DOPA/カルビドーパ、エンタカポン、ロピンロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、パーゴリド、トリヘキセフェンジル及びアマンタジン;多発性硬化症(MS)の治療薬、例えばベータインターフェロン(例えばAvonex(登録商標)及びRebif(登録商標))、コパキソン(登録商標)及びミトキサントロン;喘息の治療、例えばアルブテロール及びSingulair(登録商標);分裂病の治療薬、例えばジプレキサ、リスペルダール、セロケール及びハロペリドール;抗炎症剤、例えばコルチコステロイド、TNFブロッカー、IL−1RA,アザチオプリン、シクロホスファミド及びスルファサラジン;免疫調節及び免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノレートモフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びスルファサラジン;神経栄養因子、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣剤、イオンチャンネルブロッカー、リルゾール及び抗パーキンソン剤;心臓血管病の治療薬、例えばベータブロッカー、ACE阻害剤、利尿剤、ニトレート、カルシウムチャンネルブロッカー及びスタチン類;肝臓病の治療薬、例えばコルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン及び抗ウィルス剤;血液障害の治療薬、例えばコルチコステロイド、抗白血病剤及び成長因子;及び免疫不全障害の治療薬、例えばガンマグロブリンを包含する。
【0168】
本発明の組成物中に存在する追加的治療薬の量は唯一の活性剤としてその治療薬を含む組成物中において通常投与される量を超えないものである。好ましくは、本明細書に開示した組成物中の追加的治療薬の量は唯一の治療活性剤としてその治療薬を含む組成物中において通常投与される量約50%〜100%の範囲である。
【0169】
本発明の化合物又は製薬上許容しうるその組成物はまたインプラント可能な医療器具、例えば補綴物、人工弁、血管グラフト、ステント及びカテーテルをコーティングするための組成物中に配合してよい。従って、本発明は別の特徴において、上記において一般的に説明した、そして本明細書に記載したクラス及びサブクラスの本発明の化合物、及び、インプラント可能な器具をコーティングするために適する担体を含む。該インプラント可能な器具をコーティングするための組成物を包含する。更に別の特徴において、本発明は、上記において一般的に説明した、そして本明細書に記載したクラス及びサブクラスの本発明の化合物、及び、インプラント可能な器具をコーティングするために適する担体を含む組成物でコーティングされた該インプラント可能な器具を包含する。
【0170】
例えば血管ステントは再狭窄(傷害後の血管壁の再狭窄化)を克服するために使用されている。しかしながらステント又は他のインプラント可能な器具を使用している患者は血塊の形成又は血小板の活性化の危険を有する。これらの望ましくない作用はキナーゼ阻害剤を含む製薬上許容しうる組成物で器具を予備コーティングすることにより防止又は軽減してよい。適当なコーティング及びコーティングされたインプラント可能な器具の一般的製造は米国特許6,099,562;5,886,026;及び5,304,121に記載されている。コーティングは典型的には生体適合性の重合体物質、例えばヒドロゲル重合体、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート及びこれらの混合物である。コーティングは場合により、組成物に制御放出特性を付与するために、フルオロケイ素、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質又はこれらの組み合わせの適当なトップコートにより更に被覆されていてよい。
【0171】
本発明の別の特徴は生物学的試料又は患者におけるFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYK活性を阻害することに関し、その方法は、式I、II又はIIIの化合物又は該化合物を含む組成物を患者に投与するか、該生物学的試料に接触させることを含む。「生物学的試料」という用語は本明細書においては、限定しないが、細胞培養物又はその抽出物;哺乳類から得られた生検材料又はその抽出物;及び血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液又は他の大意液又はその抽出物を包含する。
【0172】
生物学的試料中のFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKのキナーゼ活性の阻害は、当該分野で知られた種々の目的の為に有用である。このような目的の例は限定しないが、輸血、臓器移植、生物学的標本の保存及び生物学的試験を包含する。
【実施例】
【0173】
一般式Iの化合物を実施例1及び2において以下に記載する一般的操作法に従って調製した。
実施例1:N3−[4−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシル)−フェニル]−1−ピリジン−2−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン
【0174】
【化24】

HPLC方法A:
カラム:Lighting 3um、2.1x50mm
勾配:4分間に渡り100%B(0.1%TFA/1.0%MeCN/水)から100%D(0.1%TFA/MeCN)、100%Dを5.6分まで維持、0.4分かけて100%Bとし、1分間保持する。
流量:0.8ml/分
ジメチル4−シアノ−4−(4−ニトロフェニル)ヘプタンジオエート(2)の合成;
【0175】
【化25】

下RTにおいてCHCN(1L)中の2−(4−ニトロフェニル)アセトニトリル(1)(50.12g、0.31モル)の溶液に、Triton−B/40%MeOH(14.5ml、0.03モル)を添加して暗紫色の溶液とした。混合物を還流下に加熱し(〜2.5時間)、メチルアクリレート(160ml、1.78モル)を添加し、4時間還流を継続した。反応混合物を冷却し、蒸発させ、次にEtOAcで希釈し、2NHClで酸性化した。層を分離させ、水層をEtOAcで逆抽出し、合わせた有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSO上に乾燥し、濾過し、蒸発させた。1:2EtOAc:ヘキサンを溶離剤とするシリカゲル(1L)上のフラッシュクロマトグラフィーによる精製により黄色油状物として物質2を得た(88.96g、86%)。
【0176】
【化26】

HPLC(方法A):3.484分。
メチル5−シアノ−5−(4−ニトロフェニル)−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート(3)の合成
【0177】
【化27】

下RTにおいてDME(1L)中の物質2(88.96g、0.27モル)の溶液にNaH(鉱物油中60%、31.92g、0.80モル)を慎重に添加し、暗紫色の溶液とした。反応混合物を4時間還流下に加熱し、冷却し、HOで慎重にクエンチングし、2NHClで酸性化し、2xEtOAcで抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、活性炭とNaSOの混合物上に乾燥し、セライトで濾過し、蒸発させて粗生成物3を茶色固体として得た(83.42g、>100%)。
【0178】
【化28】

HPLC(方法A):3.729分。
1−(4−ニトロフェニル)−4−オキソシクロヘキサンカルボニトリルの合成
【0179】
【化29】

粗生成物3(0.27モル)、NaCl(80g、1.37モル)及び水(80ml)を3時間150〜160℃でDMSO(1.2L)中で加熱した。溶媒を留去し、残留物をHOで希釈し、3xEtOAcで抽出した。合わせた有機層を2NHCl、3xHO、NaCl溶液で洗浄し、NaSO上に乾燥し、蒸発させた。1:3、ついで1:2EtOAc:ヘキサンを溶離剤とするフラッシュクロマトグラフィー(1LSiO)による精製により、オフホワイトの固体として純粋な生成物4(36.47g、56%収率)並びに緑色味を帯びた固体として極めて僅かに低純度の生成物4(14.33g、22%収率)が得られた。
【0180】
【化30】

HPLC(方法A):3.121分。
4−モルホリノ−1−(4−ニトロフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(5a)の合成
【0181】
【化31】

RTにおいて無水THF(560ml)中の1−(4−ニトロフェニル)−4−オキソシクロヘキサンカルボニトリル(45.8g、187ミリモル)の溶液に、モルホリン(17.2ml、197ミリモル)を添加した。溶液を45分間攪拌し、RTのウォーターバス中に入れた。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(55.5g、260ミリモル)を10分間かけて少しずつ添加した。2.5時間後溶媒を真空下に除去し、混合物をEtOAc(400ml)に溶解し、2NNaOH(3x75ml)で抽出した。次にHClガスを有機層を通してバブリングし、形成した沈殿を濾取し、EtOAc(2x)及びEtO(3x)で洗浄した。固体を18時間40℃で真空下に乾燥し、異性体の混合物を得た(5a及び5c、54.9g、84%収率)。
【0182】
異性体5aの精製(実施例2の製造の為に必要;実施例1の製造のためには不必要):
5a及び5bの混合物(79.4g)をCHCl(200ml)に溶解し、3Lフリットガラス漏斗内に予め充填しておいたSiO(2L)に適用した。1:1酢酸エチル:ヘキサン13Lを用いて1Lフラスコ内に溶離し、淡黄色固体として5a及び5bの混合物(19.77g、25%回収)を得た。純粋な異性体5aは5:95メタノール:CHCl8Lで更に溶離することにより57g(72%回収)が得られた。
【0183】
【化32】

トランス及びシス−4−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシル)−フェニルアミン(6a及び6b)の合成
【0184】
【化33】

(参考文献S.B.Christensen et al.,J.Med.Chem.,1998,41,821−835;及びJ.A.Marshall, et al.,J.Org.Chem.,1977,42,3309−3311)。
【0185】
オーバーヘッドメカニカルスターラー、添加漏斗(1L)付のクライゼンアダプター及びドライアイスコンデンサーを装着した2L容の3首丸底フラスコを窒素下火炎乾燥し、放冷した。コンデンサーにドライアイス/2−プロパノールを充填し、フラスコを窒素陽圧下にドライアイス/2−プロパノールで−78℃に冷却した。アンモニアガス(1L)を窒素下に凝縮させた。次に溶液に26.6g(1.16モル)の金属ナトリウムを添加した。30分後、無水THF(300ml)中の4−モルホルノ−1−(4−ニトロフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル30g(0.0951モル)の溶液を10分間かけて添加漏斗を介して滴下した。添加終了後、THF50mlを用いて漏斗から残留4−モルホリノ−1−(4−ニトロフェニル)シクロヘキサンカルボニトリルを洗い出し、反応混合物を−33℃まで戻し、5時間攪拌した。窒素陽圧下にNH4Cl/NH4OH(9/1、100ml)を滴下することにより反応混合物をクエンチングした。水(200ml)、次いでEtOAc(350ml)を添加し、一夜攪拌しながらアンモニアを蒸発させた。得られた懸濁液をセライトで濾過し、水層をEtOAc(3x200ml)で抽出した。合わせら有機層をMgSO4上に乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し(ロータリーエバポレーター)、RTで真空乾燥後、淡黄色の固体として6a:6bの〜5:1の混合物を得た。(23.87g、96.4%収率)。
【0186】
【化34】

(Z)−3−(4−(4−モルホリノシクロヘキシル)−2−フェニルイソ尿素の合成
【0187】
【化35】

ジオキサン(350ml)中のシス及びトランス−4−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシル)−フェニルアミン6b及び6a(20.28g、77.9ミリモル)及びジフェニルシアノカルボニミデート(20.44g、85.6ミリモル)の混合物を4日間N下に攪拌した。反応混合物を蒸発させ、次に水で希釈し、そしてCHClで5回に分けて抽出した(200ml)。合わせた有機層をNaHCOで洗浄し、蒸発乾固させ、暗茶色の粘稠な油状物を得た。EtO(300ml)で磨砕して得られた褐色個体を更にEtO(150ml)で2回に分けて洗浄し、褐色固体として生成物7a(21.70g、69%)を得た。
【0188】
【化36】

N3−[4−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシル)−フェニル]−1−ピリジン−2−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミンの合成
【0189】
【化37】

(Z)−3−(4−(4−モルホリノシクロヘキシル)−2−フェニルイソ尿素7a(7.00g、17.3ミリモル)及び2−ピリジルヒドラジン(2.27g、20.8ミリモル)の溶液を2日間イソプロパノール(100ml)中で還流した。反応混合物を冷却し、濾過し、得られた固体をエタノールで洗浄した。沈殿をジオキサンから再結晶させ、結晶を濾取し、1時間攪拌しながらメタノール中に懸濁し、蒸発させ、3日間高真空下に60℃で乾燥した。これにより純粋なI−3(4.88g、67%収率)を白色固体として得た。
【0190】
【化38】

N3−[4−(4−モルホリン−4−イル−シクロヘキシル)−フェニル]−1−ピリジン−2−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミンメシレート塩の合成
【0191】
【化39】

実施例1(128.0g、0.305モル)をジオキサン(1.5L)に溶解し、60〜70℃に加熱した。メタンスルホン酸(19.8mL、0.305モル)を10分間かけて滴下した。攪拌を60〜70℃で1時間、そして室温で3時間継続した。固体を濾過し、EtOで洗浄し、次にメタノール中に4回懸濁し、そして蒸発させた後、20時間50〜60℃で高真空下に乾燥した。この懸濁/蒸発/乾燥の操作をメタノールを用いながら1回反復し、次に試みが成功しなかった場合にエタノールを用いて1回行い、ジオキサンの痕跡塩を除去した。固体を水(1L)中に懸濁し、15分間還流し、次に遠心分離により水から固体を分離した。遠心分離を更に2回反復した。湿潤した固体をエタノールで希釈し、蒸発させ、高真空下に45〜50℃で乾燥し、I−3メシレート塩(129.95g)を白色固体として得た。最終生成物は0.3%ジオキサンを含有していた(NMRによる)。
【0192】
【化40】

実施例2:1−(4−(5−アミノ−1−(ピリジン−2−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルアミノ)フェニル−4−モルホリノシクロヘキサンカルボニトリル
【0193】
【化41】

(Z)−1−シアノ−3−(4−((1s,4s)−1−シアノ−4−モルホリノシクロヘキシル)フェニル)−2−フェニルイソ尿素(6)の合成
【0194】
【化42】

中間体5aは実施例1に記載の通り製造した。エタノール250ml中のトランス−4−モルホリノ−1−(4−ニトロフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(20g、63.5ミリモル)及び10%Pd−C触媒(750mg)を2時間Parr振とう器中水素下(38psi)に置いた。ジクロロメタン200mlを添加して生成物を溶解し、そして触媒を濾去した。溶媒を蒸発させて得られた純粋な黄褐色固体のトランス−1−(4−アミノ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−シクロヘキサンカルボニトリル(18.1g、63.5ミリモル)は更に精製することなく使用した。
【0195】
【化43】

HPLC:方法10〜90%、CH3CN:2.488分100%
得られたトランス−1−(4−アミノ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−シクロヘキサンカルボニトリル(18.1g、63.5ミリモル)及びジフェニルシアノカルボニミデート(18.1g、76.2ミリモル)の溶液を24時間室温で1,4−ジオキサン(140ml)中攪拌した。蒸留水(200ml)を添加して得られた白色沈殿を濾取し、水(100ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(150ml)及び水(200ml)で洗浄した。固体を一夜真空下にデシケーター中で乾燥し、標題化合物6(21.1g、78%収率)を得た。
【0196】
【化44】

1−(4−(5−アミノ−1−(ピリジン−2−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルアミノ)フェニル−4−モルホリノシクロヘキサンカルボニトリルの合成
【0197】
【化45】

1−(4−(5−アミノ−1−(ピリジン−2−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルアミノ)フェニル−4−モルホリノシクロヘキサンカルボニトリル(73g、0.164モル)をジオキサン(1L)に添加し、混合物を60〜70℃に加温した。メタンスルホン酸(15.8g、0.164モル)を10分間かけて滴下した。加熱バスを取り外し、懸濁液を3時間攪拌放置した。イソプロパノール(200ml)を添加し、混合物を濾過した。塩をイソプロパノール(50m)、次いでジエチルエーテル(200ml)で洗浄した。固体を10%メタノール−ジクロロメタン(500ml)に懸濁し、18時間攪拌した。イソプロパノール(100ml)を添加し、固体を濾取し、エーテルで洗浄して白色固体として純粋なメシレート塩(I−4、メシレート塩)を得た(81g、91%収率)。
【0198】
【化46】

HPLC:方法10〜90%、CH3CN:4.2分100%
式I、II及びIIIの化合物は当業者により本明細書に記載したものと実質的に同様の方法により製造してよい。
実施例3:分析データ
式Iの他の化合物の種々のものを本明細書に記載したものと実質的に同様の方法により製造した。これらの化合物に関する代表的な特性値データを以下の表1に総括し、HPLC、LC/MS(観察値)、保持時間(RT)及びHNMRデータを記載した。化合物番号は本明細書に記載した化合物番号に相当する。
【0199】
(表1)
【0200】
【表1−1】

【0201】
【表1−2】

実施例4:FLT−3の阻害
化合物をそのFLT−3活性阻害能力に関して線量測定フィルター結合試験を用いてスクリーニングした。この試験は基質ポリ(Glu,Tyr)4:1(pE4Y)への33P取り込みをモニタリングするものである。反応は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mMDTT、0.01%BSA及び2.5%DMSOを含有する溶液中において実施した。試験における最終基質濃度は90μMATP及び0.5mg/mLpE4Y(両方ともSigma Chemicals,St Louis,MOより入手)。化合物の最終濃度は一般的に0.01〜5μMとした。典型的には、被験化合物の10mMDMSO保存溶液から連続希釈物を調製することにより12点滴定を実施した。反応は室温において実施した。
【0202】
2種の試験溶液を調製した。溶液1は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mg/mlpE4Y及び180μMATP(各反応に対して[γ−33P]ATPを0.3μCi含有)を含有する。溶液2は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、2mMDTT、0.02%BSA及び3nMFLT−3を含有する。試験は溶液1各々50μL及び被験化合物2.5mlを混合することにより96穴プレート上で行った。反応は溶液2を用いて開始した。室温で20分間インキュベートした後、0.4mMのATPを含有する20%TCA50μLを用いて反応を停止した。次に反応容量の全体をフィルタープレートに移し、TOMTEC(Hamden,CT)より入手したHarvester9600を用いて5%TCAで洗浄した。pE4yへの33P取り込みの量はPackard TopCount Microplate Scintillation Counter(Meriden,CT)により分析した。データがPrismソフトウエアを用いてフィットさせることによりIC50又はKを求めた。
【0203】
本発明の化合物はFLT−3の阻害に関して有効である。
実施例5:c−KITの阻害
化合物をそのc−KIT活性阻害能力に関して線量測定フィルター結合試験を用いてスクリーニングした。この試験は基質ポリ(Glu,Tyr)4:1(pE4Y)への33P取り込みをモニタリングするものである。反応は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mMDTT、0.01%BSA及び2.5%DMSOを含有する溶液中において実施した。試験における最終基質濃度は700μMATP及び0.5mg/mLpE4Y(両方ともSigma Chemicals,St Louis,MOより入手)。化合物の最終濃度は一般的に0.01〜5μMとした。典型的には、被験化合物の10mMDMSO保存溶液から連続希釈物を調製することにより12点滴定を実施した。反応は室温において実施した。
【0204】
2種の試験溶液を調製した。溶液1は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mg/mlpE4Y及び180μMATP(各反応に対して[γ−33P]ATPを0.5μCi含有)を含有する。溶液2は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、2mMDTT、0.02%BSA及び25nMc−KITを含有する。試験は溶液1を33μL、及び被験化合物1.65μlを混合することにより96穴プレート上で行った。反応は溶液2を33μL用いて開始した。室温で20分間インキュベートした後、0.2mMのATPを含有する10%TCA50μLを用いて反応を停止した。次に反応容量の全体をフィルタープレートに移し、TOMTEC(Hamden,CT)より入手したHarvester9600を用いて5%TCAで洗浄した。pE4yへの33P取り込みの量はPackard TopCount Microplate Scintillation Counter(Meriden,CT)により分析した。データがPrismソフトウエアを用いてフィットさせることによりIC50又はKを求めた。
【0205】
本発明の化合物はc−KITの阻害に関して有効である。
実施例6:GSK−3の阻害
化合物をそのGSK−3β(AA1−420)活性阻害能力に関して標準的なカップリング酵素系(Fox et al.(1998)Protein Sci.7,2249)を用いてスクリーニングした。反応は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、300μMNADH、1mMDTT及び1.5%DMSOを含有する溶液中において実施した。試験における最終基質濃度は20μMATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)及び300μMペプチド(American Peptide,Sunnyvale,CA)とした。反応は30℃20nMGSK−3βにおいて実施した。カップリング酵素系の成分の最終濃度は2.5mMホスホエノールピルベート、300μMNADH、30μg/mlピルベートキナーゼ及び10μg/mlラクテートデヒドロゲナーゼとした。
【0206】
ATP及び目的の被験化合物を除き上記した試薬全てを含有する試験保存緩衝溶液を調製した。試験保存緩衝溶液(175μl)を10分間30℃において0.002μM〜30μMに渡る終濃度の目的被験化合物5μlと共に96穴プレート中でインキュベートした。典型的には、ドータープレート中の被験化合物のDMSOによる連続希釈物(10mM化合物保存溶液より)を調製することにより12点滴定を行った。反応はATP(終濃度20μM)20μlを添加することにより開始した。反応速度は30℃において10分にわたりMolecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を用いて求めた。K値は阻害剤濃度の関数としての速度のデータから求めた。
【0207】
本発明の化合物はGSK−3の阻害に関して有効である。
実施例7:CDK−2の阻害
化合物をそのCDK−2/サイクリンA阻害能力に関して標準的なカップリング酵素試験(Fox et al.(1998)Protein Sci.7,2249)を用いてスクリーニングした。反応は100mMHEPES、pH7.5、10mMMgCl、25mMNaCl、1mMDTT及び1.5%DMSO中において実施した。試験における最終基質濃度は100μMATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)及び100μMペプチド(American Peptide,Sunnyvale,CA)とした。試験は30℃25nMCDK−2/サイクリンAにおいて実施した。カップリング酵素系の成分の最終濃度は2.5mMホスホエノールピルベート、350μMNADH、30μg/mlピルベートキナーゼ及び10μg/mlラクテートデヒドロゲナーゼとした。
【0208】
CDK−2/サイクリンA、DTT及び目的の被験化合物を除き上記した試薬全てを含有する試験保存緩衝溶液を調製した。被験反応溶液56μlを384穴プレートにいれ、次に被験化合物を含有する2mMDMSO保存溶液1μlを添加した(化合物終濃度30μM)。プレートを30℃で約10分間予備インキュベートし、そして酵素10μl(終濃度25nM)を添加することにより反応を開始した。反応速度は30℃で5分間に渡りBioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を用いて求めた。K値は標準的方法に従って測定した。
【0209】
本発明の化合物はCDK−2の阻害に関して有効である。
実施例8:SRCの阻害剤
線量測定系試験又はスペクトル分析試験の何れかを用いて化合物をヒトSrkキナーゼの阻害剤として評価した。
Src阻害試験A:線量測定系試験
バキュロウィルス細胞に発現させて精製した完全長組み換えヒトSrcキナーゼ(Upsyaye Biotechnology、カタログ番号14−117)の阻害剤として化合物を試験する。Srcキナーゼ活性は粗製がGlu:Tyr=4:1のランダムポリGlu−Tyr重合体基質(Sigma、カタログ番号P−0275)のチロシンへのATPからの33Pの取り込みの後にモニタリングする。試験成分の終濃度は、0.05MHEPES、pH7.6、10mMMgCl、2mMDTT、0.25mg/mlBSA,10μMATP(反応当たり33P−ATPを1〜2μCi)、5mg/mlポリGlu−Tyr及び組み換えヒトSrcキナーゼ1〜2単位とする。典型的な試験においては、ATPを除く全反応成分を予め混合し、試験プレートウェルに分注する。DMSOに溶解した阻害剤をウェルに添加し、DMSOの終濃度を2.5%とする。試験プレートを10分間30℃でインキュベートした後に33P−ATPを用いて反応を開始する。反応20分の後、反応混合物を20mMNaPO含有10%トリクロロ酢酸(TCA)150mlでクエンチングする。次にクエンチングした試料をフィルタープレート真空マニホールド上に搭載された96穴フィルタープレート(Whatman,UNI−Filter GF/Fガラス繊維フィルター、カタログ番号7700−3310)に移す。フィルタープレートを20mMNaPO含有10%トリクロロ酢酸で4回、次にメタノールで4回洗浄する。次にシンチレーション液200μlを各ウェルに添加した。プレートをシールし、フィルターに会合した放射能の量をTopCountシンチレーションカウンター上で定量する。取り込まれた放射能を阻害剤濃度の関数としてプロットする。データを競合的阻害速度論モデルにフィットさせることにより化合物のKを求める。
Src阻害試験B:スペクトル分析試験
ポリGlu−Tyr基質のヒト組み換えSrcキナーゼ触媒ホスホリル化によりATPから生産されるADPをカップリング酵素試験(Fox et al.(1998)Protein Sci.7,2249)を用いて定量する。この試験においては、キナーゼ反応において生産されるADPの各分子に対して、NADH1分子が酸化されてNADとなる。NADHの消失は340nmにおいて好都合に追跡される。
【0210】
試験成分の終濃度は、0.025MHEPES、pH7.6、10mMMgCl、2mMDTT、0.25mg/mlポリGlu−Tyr及び組み換えヒトSrcキナーゼ25nMとする。カップリング酵素系の成分の終濃度は2.5mMホスホエノールピルベート、200μMNADH、30μg/mlピルベートキナーゼ及び10μg/mlラクテートデヒドロゲナーゼとする。
【0211】
典型的な試験においては、ATPを除く全反応成分を予め混合し、試験プレートウェルに分注する。DMSOに溶解した阻害剤をウェルに添加し、DMSOの終濃度を2.5%とする。試験プレートを10分間30℃でインキュベートした後に100μMATPを用いて反応を開始する。経時的な340nm吸光度変化、即ち反応速度をMolecular Devicesプレートリーダー上でモニタリングする。阻害剤濃度の関数としての速度のデータを競合的阻害速度論モデルにフィットさせることにより化合物のKを求める。
【0212】
本発明の化合物はSRCの阻害に関して有効である。
実施例9:SYKの阻害
化合物をそのSyk/サイクリンA阻害能力に関して標準的なカップリング酵素試験(Fox et al.(1998)Protein Sci.7,2249)を用いてスクリーニングした。反応は100mMHEPES、pH7.5、10mMMgCl、25mMNaCl、1mMDTT及び1.5%DMSO中において実施した。試験における最終基質濃度は200μMATP(Sigma Chemicals,Co.)及び4μMポリGly−Tyrペプチド(Sigma Chemicals,Co.)とした。試験は30℃及び200nMSykにおいて実施した。カップリング酵素系の成分の最終濃度は2.5mMホスホエノールピルベート、300μMNADH、30μg/mlピルベートキナーゼ及び10μg/mlラクテートデヒドロゲナーゼとした。
【0213】
Syk、DTT及び目的の被験化合物を除き上記した試薬全てを含有する試験保存緩衝溶液を調製した。被験反応溶液56μlを96穴プレートにいれ、次に被験化合物を含有する2mMDMSO保存溶液1μlを添加した(化合物終濃度30μM)。プレートを30℃で約10分間予備インキュベートし、そして酵素10μl(終濃度25nM)を添加することにより反応を開始した。反応速度は30℃で5分間に渡りBioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を用いて求め、K値は標準的方法に従って測定した。
【0214】
本発明の化合物はSykの阻害に関して有効である。
実施例10:FMSの阻害
化合物をそのFMS活性阻害能力に関して線量測定フィルター結合試験を用いてスクリーニングした。この試験は基質ポリ(Glu,Tyr)4:1(pE4Y)への33P取り込みをモニタリングするものである。反応は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mMDTT、0.01%BSA及び2.5%DMSOを含有する溶液中において実施した。試験における最終基質濃度は90μMATP及び0.5mg/mLpE4Y(両方ともSigma Chemicals,St Louis,MOより入手)。化合物の最終濃度は一般的に0.01〜5μMとした。典型的には、被験化合物の10mMDMSO保存溶液から連続希釈物を調製することにより12点滴定を実施した。反応は室温において実施した。
【0215】
2種の試験溶液を調製した。溶液1は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、1mg/mlpE4Y及び180μMATP(各反応に対して[γ−33P]ATPを0.3μCi含有)を含有する。溶液2は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、2mMDTT、0.02%BSA及び3nMFMSを含有する。試験は溶液1各々50μL及び被験化合物2.5mlを混合することにより96穴プレート上で行った。反応は溶液2を用いて開始した。室温で20分間インキュベートした後、0.4mMのATPを含有する20%TCA50μLを用いて反応を停止した。次に反応容量の全体をフィルタープレートに移し、TOMTEC(Hamden,CT)より入手したHarvester9600を用いて5%TCAで洗浄した。pE4yへの33P取り込みの量はPackard TopCount Microplate Scintillation Counter(Meriden,CT)により分析した。データがPrismソフトウエアを用いてフィットさせることによりIC50又はKを求めた。
【0216】
本発明の化合物はFMSの阻害に関して有効である。
実施例11:Rock阻害試験
化合物をそのRockI(AA6−553)活性阻害能力に関して標準的なカップリング酵素系(Fox et al.(1998)Protein Sci.7,2249)を用いてスクリーニングした。反応は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、2mMDTT及び1.5%DMSOを含有する溶液中において実施した。試験における最終基質濃度は45μMATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)及び200μMペプチド(American Peptide,Sunnyvale,CA)とした。反応は30℃45nMRockIにおいて実施した。カップリング酵素系の成分の最終濃度は2.5mMホスホエノールピルベート、350μMNADH、30μg/mlピルベートキナーゼ及び10μg/mlラクテートデヒドロゲナーゼとした。
【0217】
特定の本発明の化合物はRockを阻害することが分かった。
実施例12:JAK3阻害試験
JAKの化合物阻害を以下の態様に置いてG.R.Brown,et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.2000,vol.10,pp575−579の記載する方法により試験した。予めポリ(Glu,Ala,Tyr)6:3:1で4℃でコーティングし、リン酸塩緩衝食塩水0.05%及びTween(PBST)で洗浄しておいたMaxisorbプレートに2μMATP、5mMMgCl及びDMSO中の化合物の溶液を添加した。JAK酵素を用いて反応を開始し、プレートを30℃で60分間インキュベートした。次にプレートをPBSTで洗浄し、100μLHRPコンジュゲート4G10抗体を添加し、プレートを30℃で90分間インキュベートした。プレートを再度PBSTで洗浄し、100μLTMB溶液を添加し、プレートを30℃で更に30分間インキュベートした。硫酸(1Mを100μL)を添加することにより反応を停止し、プレートを450nmで読み取ることによりK値を求めるための分析用の光学密度を求めた。
【0218】
本発明の化合物はJAK−3の阻害に関して有効である。
実施例13:PDK−1阻害試験
放射性ホスフェート取り込み試験(Pitt and Lee,J.Biomol.Screen.,(1996)1,47)を用いてPDK−1阻害能力について化合物をスクリーニングした。試験は100mMHEPES(pH7.5)、10mMMgCl、25mMNaCl、2mMDTTの混合物中において実施した。試験における最終基質濃度は40μMATP(Sigma Chemicals)及び65μMペプチド(PDKtide,Upstate,Lake Placid,NY)とした。試験は[γ−33P]ATP(Amersham Pharmacia Biotech,Amersham,UK)〜27.5nCi/μLの存在下30℃及び25nMPDK−1において実施した。ATP及び目的の被験化合物を除き上記した試薬全てを含有する試験保存緩衝溶液を調製した。保存溶液15μLを96穴プレートにいれ、次に被験化合物を含有する0.5mMDMSO保存溶液1μlを添加した(化合物終濃度25μM、DMSO終濃度5%)。プレートを30℃で約10分間予備インキュベートし、そして4μlATP(終濃度40μM)を添加することにより反応を開始した。
【0219】
10分後に100μLの100mMリン酸、0.01%Tween−20を添加することにより反応を停止した。ホスホセルロース96穴プレート(Millipore,カタログ番号MAPHNOB50)を100μLの100mMリン酸、0.01%Tween−20で前処理した後に反応混合物(100μL)を添加した。スポットは少なくとも5分間浸積放置した後に洗浄工程に付した(4x200μLの100mMリン酸、0.01%Tween−20)。乾燥後、20μLのOptiphase‘SuperMix’液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに添加した後に、シンチレーション計数した(1450Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0220】
50%超の阻害を示した化合物vs被験化合物非含有の試験混合物及びDMSOを含有する標準ウェルを滴定することによりIC50値を求めた。
【0221】
本発明の化合物はPDK−1の阻害に関して有効である。
【0222】
本発明の多くの実施形態を説明したが、本発明者等の基本的な実施例を改変して本発明の化合物及び方法を利用する別の実施形態としてよいことは明白である。従って、本発明の範囲は上記例示の為に示した特定の実施形態ではなく添付の請求項により定義されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、
XはCH又はNであり;
YはCH、NH、NR、O又はSであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素であり;
は5〜6員の単環式環又は8〜12員の二環式環から選択される場合により置換されたアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R)、−O(ハロC1−4脂肪族)、−ハロC1−4脂肪族、−NO、−ハロゲン、−NR、又は場合によりNHで置換された−C1−6脂肪族であり;
は水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRであり、ここで、
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;
各Rは独立して水素又は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族であり、ここで、これら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である]の化合物。
【請求項2】
下記式(II):
【化2】

[式中、
XはCH又はNであり;
YはCH、NR、O又はSであり;
nは0〜4であり;
mは0〜4であり;
pは0〜4であり;
は水素又は−N(H)Rであり;
は水素又はC1−6脂肪族であり;
は5〜6員の単環式環又は8〜12員の二環式環から選択されるアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し、ここでRの各置換可能な位置は場合により、そして独立してRにより置き換えられており;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−NO、−ハロゲン、−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合により、そして独立してハロゲン又はNHにより置き換えられており;
はハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rであり、
ここで、Rの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環(ただし、該複素環内の窒素原子は場合により−R又は−C(O)Rで置換されており、ここでRは(C1−6アルキル)、好ましくは(C1−4アルキル)である)、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
各R及びRは独立して、水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRであり、ここで、
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;
各Rは独立して水素又は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族であり、ここで、これら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である]の化合物。
【請求項3】
YがCH、NR、O又はSであり;
が水素又はC1−6アルキルであり;
が水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−ハロゲン又は−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合によりハロゲンで置き換えられており;
各R、R及びRは独立してハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCO;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−S(O);−SON(R;−S(O)R又は−NRSONRであるか;又は、同じ炭素原子に結合している2つの水素原子が=Oにより置き換えられており;
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されており;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されている請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素である請求項1〜3の何れか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がN(H)Rである請求項2又は3記載の化合物。
【請求項6】
が水素である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
XがCHである場合にはYがCHではない請求項1〜6の何れか1項に記載の化合物。
【請求項8】
XがNである請求項1〜7の何れか1項に記載の化合物。
【請求項9】
YがOである請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物。
【請求項10】
YがNRである請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物。
【請求項11】
mが0である請求項1〜10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項12】
nが0である請求項1〜10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項13】
pが0である請求項2〜10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項14】
、R及びRが各々独立してハロゲン;ハロゲンで場合により置換されたC1−4脂肪族;−OR;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCOであるか;又は同じ炭素原子に結合した水素原子2個が=Oにより置き換えられている請求項1〜10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項15】
及びRがC1−6アルキル又はハロゲンである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
がハロゲン、−CN、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−N(R)又はC1−4ハロアルキルである請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が窒素、酸素及びイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有する6員の単環式環から選択されるアリール基であり、ここでRの各置換可能な位置は場合によりRにより置き換えられている請求項1〜16の何れか1項に記載の化合物。
【請求項18】
が1又は2個の窒素ヘテロ原子を有する6員のヘテロアリール基である請求項17記載の化合物。
【請求項19】
が2−ピリジルである請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が水素、ハロゲン、OH、NR、CN、O−(C1−6脂肪族)又は場合により−NRで置換されたC1−6アルキルである請求項1〜19の何れか1項に記載の化合物。
【請求項21】
が場合により−N(R)で置換されたC1−6アルキルである請求項20記載の化合物。
【請求項22】
が−CN又はHである請求項21記載の化合物。
【請求項23】
下記式(I−a):
【化3】

を有する請求項2又は3のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
下記式(I−b)又は(I−c):
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
該化合物が下記:
【化5】

よりなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項26】
下記成分:
請求項1〜25の何れか1項に記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩、
及び製薬上許容しうる担体、補助剤又はビヒクル、
を含む医薬組成物。
【請求項27】
化学療法剤又は抗増殖剤、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、分裂病治療薬、抗炎症剤、免疫調節又は免疫抑制剤、好中球因子、心臓血管疾患の治療薬、破壊性骨障害の治療薬、肝臓病治療薬、血液障害治療薬、又は、免疫不全障害治療薬から選択される追加的な治療薬を更に含む請求項26記載の組成物。
【請求項28】
生物学的試料又は患者におけるFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKキナーゼ活性を抑制するための方法であって、該生物学的試料又は該患者を下記:
a)請求項26記載の組成物;又は、
b)請求項1〜25の何れか1項に記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩、
に接触させる工程を含む方法。
【請求項29】
前記方法がFLT−3活性を抑制することを含む請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記方法がc−KIT活性を抑制することを含む請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記方法がFLT−3及びc−KIT活性を抑制することを含む請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記方法がJAK−3活性を抑制することを含む請求項28記載の方法。
【請求項33】
アレルギー性障害、増殖性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、又は、破壊性骨障害から選択される疾患の重症度を治療又は低減する方法であって、該患者に下記:
a)請求項26記載の組成物;又は、
b)請求項1〜25の何れか1項に記載の化合物、
を投与する工程を含む方法。
【請求項34】
前記患者に化学療法剤又は抗増殖剤、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、分裂病治療薬、抗炎症剤、免疫調節又は免疫抑制剤、好中球因子、心臓血管疾患の治療薬、破壊性骨障害の治療薬、肝臓病治療薬、血液障害治療薬、又は、免疫不全障害治療薬から選択される追加的な治療薬を投与する工程を更に含み、ここで:
該追加的治療薬が治療すべき疾患に対して適切であり;そして、
該追加的治療薬が該組成物と共に単回剤型として、又は、該組成物とは別個に多剤型の部分として投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患が、癌、アルツハイマー病、再狭窄、血管形成、糸球体腎炎、サイトメガロウィルス、HIV、ヘルペス、乾癬、アテローム性動脈硬化症、脱毛、自己免疫疾患、ウィルス感染症、神経変性障害、胸腺細胞アポトーシスに関連する障害又は増殖性障害から選択される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記疾患が、造血系障害、特に急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)及び急性リンパ性白血病(ALL)から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患が、免疫応答、例えばアレルギー性又はI型過敏反応、喘息、自己免疫疾患、例えば移植片拒絶、対宿主性移植片病、慢性関節リューマチ、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、神経変性障害、例えば家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)並びに固形及び血液学的な悪性疾患、例えば白血病及びリンパ腫から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が増殖性障害又は癌である請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記癌が膵臓癌、前立腺癌又は卵巣癌である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が下記:
【化6】

【化7】

よりなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
下記式(III):
【化8】

[式中、
環Aは3〜8員の飽和炭素環であり;
環Bは3〜8員の飽和又は部分飽和の環であり、ここで環Bは窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し;
XはCH又はNであり;
YはCH、NR、O又はSであり;
nは0〜4であり;
mは0〜4であり;
pは0〜4であり;
は水素であり;
は水素又はC1−6脂肪族であり;
は5〜8員の単環式環又は8〜12員の二環式環から選択されるアリール基であり;該アリール基は窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有し、ここでRの各置換可能な位置は場合により、そして独立してRにより置き換えられており;
は水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−NO、−ハロゲン、−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合により、そして独立してハロゲン又はNHにより置き換えられており;
はハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rであり、
ここで、Rの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環(ただし、該複素環内の窒素原子は場合により−R又は−C(O)Rで置換されており、ここでRは(C1−6アルキル)、好ましくは(C1−4アルキル)である)、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
各R及びRは独立して、水素、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−C(=NH)−N(R、−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−(CH0−2NHC(O)R;=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRであり、ここで、
の各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜8員のアリール、ヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;
各Rは独立して水素又は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換であり;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)又はハロ(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は未置換である]の化合物。
【請求項42】
が水素又はC1−6アルキルであり;
が水素、−C1−6脂肪族、−CN、−OH、−O(C1−6脂肪族)、−COH、−CO(C1−6脂肪族)、−CON(R、−ハロゲン又は−NRであり、ここで脂肪族炭素の各置換可能な位置は場合によりハロゲンで置き換えられており;
各R、R及びRは独立してハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;場合によりRで置換されたフェニル(Ph);場合によりRで置換された−O(Ph);場合によりRで置換された−(CH1−2(Ph);場合によりRで置換された−CH=CH(Ph);−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCO;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−S(O);−SON(R;−S(O)R又は−NRSON(Rであるか;又は、同じ炭素原子に結合している2つの水素原子が=Oにより置き換えられており;
ここでRの各々の独立した存在は水素、場合により置換されたC1−6脂肪族、未置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは、前記定義に関わらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した存在は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員の複素環、アリール又はヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環であって窒素、酸素又はイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有するものを形成し;
の脂肪族基は場合によりNH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されており、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されており;そして、
Rは水素又は場合により=O、=S、−NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)で置換されたC1−6脂肪族基であり、ここでこれら前記のC1−4脂肪族基の各々は場合によりハロゲンで置換されている、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
が水素である請求項41又は42に記載の化合物。
【請求項44】
mが0又は1である請求項41〜43の何れか1項に記載の化合物。
【請求項45】
nが0又は1である請求項41〜44の何れか1項に記載の化合物。
【請求項46】
pが0又は1である請求項41〜45の何れか1項に記載の化合物。
【請求項47】
、R及びRが各々独立してハロゲン;ハロゲンで場合により置換されたC1−4脂肪族;−OR;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRCOであるか;又は同じ炭素原子に結合した水素原子2個が=Oにより置き換えられている請求項41〜43の何れか1項に記載の化合物。
【請求項48】
及びRがC1−6アルキル又はハロゲンである請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
がハロゲン、−CN、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−N(R)又はC1−4ハロアルキルである請求項42に記載の化合物。
【請求項50】
が窒素、酸素及びイオウから独立して選択されるヘテロ原子0〜3個を有する6員の単環式環から選択されるアリール基であり、ここでRの各置換可能な位置は場合によりRにより置き換えられている請求項41〜49の何れか1項に記載の化合物。
【請求項51】
が1又は2個の窒素ヘテロ原子を有する6員のヘテロアリール基である請求項50記載の化合物。
【請求項52】
が2−ピリジル又は4−ピリミジニルである請求項51記載の化合物。
【請求項53】
が水素、ハロゲン、OH、NR、CN、O−(C1−6脂肪族)又は場合により−NRで置換されたC1−6アルキルである請求項41〜52の何れか1項に記載の化合物。
【請求項54】
が場合により−N(R)で置換されたC1−6アルキルである請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
が−CNである請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
が水素である請求項54に記載の化合物。
【請求項57】
環Aが5〜7員の炭素環である請求項41〜56の何れか1項に記載の化合物。
【請求項58】
環Bが5〜7員の飽和又は部分飽和の環である請求項41〜57の何れか1項に記載の化合物。
【請求項59】
環Bが5〜7員の飽和又は部分飽和の複素環である請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
前記化合物が下記:
【化9】

よりなる群から選択される請求項41に記載の化合物。
【請求項61】
下記成分:
請求項40〜60の何れか1項に記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩、
及び製薬上許容しうる担体、補助剤又はビヒクル、
を含む医薬組成物。
【請求項62】
化学療法剤又は抗増殖剤、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、分裂病治療薬、抗炎症剤、免疫調節又は免疫抑制剤、好中球因子、心臓血管疾患の治療薬、破壊性骨障害の治療薬、肝臓病治療薬、血液障害治療薬、又は、免疫不全障害治療薬から選択される追加的な治療薬を更に含む請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
生物学的試料又は患者におけるFLT−3、FMS、c−KIT、PDGFR、JAK、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(例えばPKA、PDK、p70S6K−1及び−2及びPKB)、CDK、GSK、SRC、ROCK及び/又はSYKキナーゼ活性を抑制するための方法であって、該生物学的試料又は該患者を下記:
a)請求項61記載の組成物;又は、
b)請求項40〜60の何れか1項に記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩、
に接触させる工程を含む方法。
【請求項64】
前記方法がFLT−3及び/又はc−KIT活性を抑制することを含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記方法がJAK−3及び/又はJAK−2活性を抑制することを含む請求項63に記載の方法。
【請求項66】
アレルギー性障害、増殖性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫学的に媒介された障害、又は、破壊性骨障害から選択される疾患の重症度を治療又は低減する方法であって、該患者に下記:
a)請求項61記載の組成物;又は、
b)請求項40〜60の何れか1項に記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩、
を投与する工程を含む方法。
【請求項67】
前記患者に化学療法剤又は抗増殖剤、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、分裂病治療薬、抗炎症剤、免疫調節又は免疫抑制剤、好中球因子、心臓血管疾患の治療薬、破壊性骨障害の治療薬、肝臓病治療薬、血液障害治療薬、又は、免疫不全障害治療薬から選択される追加的な治療薬を投与する工程を更に含み、ここで:
該追加的治療薬が治療すべき疾患に対して適切であり;そして、
該追加的治療薬が該組成物と共に単回剤型として、又は、該組成物とは別個に多剤型の部分として投与される、請求項66記載の方法。

【公表番号】特表2008−517923(P2008−517923A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538052(P2007−538052)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037830
【国際公開番号】WO2006/047256
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】