説明

プロテインキナーゼの阻害剤として有用なピロロピラジンおよびピラゾロピラジン

本発明は、Auroraプロテインキナーゼの阻害剤として有用な式(I)の化合物に関する:ここで、x、R1、R2およびR3は、請求項1のような意味である。本発明はまた、該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、および種々の疾患、病態または障害の治療においてこれらの化合物を使用する方法を提供する。本発明はまた、本発明の化合物を調製する方法を提供する。これらの化合物は、Auroraプロテインキナーゼの阻害剤として有効であり、また、いくつかの実施態様では、Aurora Aプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、そしてプロテインキナーゼ阻害剤である化合物、このような化合物を含有する組成物および使用方法に関する。さらに特定すると、これらの化合物は、Auroraキナーゼの阻害剤であり、そしてAuroraキナーゼ阻害剤により緩和される疾患状態(例えば、癌)を治療するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼは、細胞内の種々のシグナル伝達プロセスの制御を担う構造的に関連する酵素の、大きなファミリーを構成する(非特許文献1を参照のこと)。プロテインキナーゼは、魅力的であり、そして一定範囲のヒトの疾患を治療する新規治療薬のための標的であることが証明され、例には、GleevecおよびTarcevaが挙げられる。
【0003】
これらのAuroraキナーゼは、それらの多数のヒトの癌との関連および癌細胞の増殖を促進する際に果たす役割のために、特に魅力的である(非特許文献2)。
【0004】
これらのAuroraタンパク質は、3つの非常に関連したセリン/トレオニンキナーゼ(Aurora−A、−Bおよび−Cと称する)のファミリーであり、これらは、細胞周期の分裂期を経由する進行に必須である。具体的には、Aurora−Aは、中心体の成熟および分離、紡錐体の形成、ならびに染色体の正確な分離において、重大な役割を果たす。Aurora−Bは、染色体のパセンジャータンパク質であり、これは、細胞分裂中期プレートにおける染色体の整列化を制御する際に、紡錘組立チェックポイントにおいて、また、細胞質分裂の正確な完了のために、中心的役割を果たす。
【0005】
Aurora−A、−Bまたは−Cの過剰発現は、一定範囲のヒトの癌(結腸直腸、卵巣、胃および浸潤性ダクト腺癌を含めて)で観察されている。それに加えて、Aurora−Aをコード化するAURKA座位の増幅は、結節−陰性乳癌に罹った患者に対する予後不良と相関している。さらに、Aurora−Aの過剰発現は、哺乳動物の線維芽細胞を形質転換することが明らかとなっており、これは、多極紡錘を含有する異数体細胞を生じる。
【0006】
現在、多数の研究によって、ヒトの癌細胞株におけるsiRNA 優性陰性または中和抗体によるAurora−Aまたは−Bの枯渇または抑制が4N DNAでの細胞の蓄積を伴う有糸分裂による進行を中断させ、また、ある場合には、これに、核内倍加および細胞死が伴うことが立証されている。
【非特許文献1】Hardie,G.およびHanks,S.The Protein Kinase Facts Book,IおよびII(1995)Academic Press,San Diego,CA
【非特許文献2】Harringtonら、Nature Med.,2004,10,262
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
現在、本発明の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な組成物が、プロテインキナーゼの阻害剤として有効であることが発見された。特定の実施態様では、これらの化合物は、Auroraプロテインキナーゼの阻害剤として有効であり、また、いくつかの実施態様では、Aurora Aプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。これらの化合物は、式Iを有するか、またはそれらの薬学的に受容可能な塩である:
【0008】
【化9】

ここで、X、R、RおよびRは、以下で定義したとおりである。
【0009】
これらの化合物およびそれらの医薬組成物は、種々の障害を治療または予防するのに有用であり、これらには、心臓病、糖尿病、アルツハイマー病、免疫不全障害、炎症疾患、高血圧症、アレルギー疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害(例えば、骨粗鬆症)、増殖または過剰増殖障害、感染症、免疫媒介疾患、およびウイルス疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
これらの組成物はまた、細胞死および過形成を予防する方法で有用であり、従って、卒中、心臓発作、および臓器低酸素症における再灌流/虚血を治療または予防するのに使用され得る。これらの組成物はまた、トロンビン誘発血小板凝集を防止する方法で有用である。これらの組成物は、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、関節リウマチ、喘息、骨関節炎、虚血、癌(卵巣癌、乳癌および子宮内膜癌を含むが、これらに限定されない)、肝臓病(肝臓虚血を含めて)、心臓病(例えば、心筋梗塞および鬱血性心不全)、T細胞活性化が関与する病的免疫状態、ならびに神経変性疾患のような障害に、特に有用である。
【0011】
本発明により提供された化合物はまた、生物学的および病理学的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼで媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;および新規キナーゼ阻害剤の比較評価に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
(1.本発明の化合物の概要)
本発明は、式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0013】
【化10】

ここで、Xは、CHまたはNである;
は、C6〜10アリールまたは5員〜14員ヘテロアリールであり、別個に、必要に応じて、5個までのJ基で置換されている;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、−CN、−NO、−V−R、−V−R、または−V−Rであり、必要に応じて、Rで置換されている;
は、R、C1〜4アラルキル、−COR、−CO、−CON(R、−SO、または−SON(Rである;あるいは2個のRは、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜10員環状脂肪族または5員〜14員ヘテロシクリルを形成する;
は、必要に応じて置換したR、C6〜10アリール、C3〜10環状脂肪族、5員〜14員ヘテロアリール、または5員〜14員ヘテロシクリルである;あるいは2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜7員単環式または8員〜14員二環式環を形成する;
Rは、Hまたは必要に応じて置換したC1〜6脂肪族である;
は、必要に応じて置換したC6−10アリール、C3〜10環状脂肪族、5員〜14員ヘテロアリール、または5員〜14員ヘテロシクリルである;
は、−OR、−N(R、または−SRである;
Vは、結合、Q、または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族鎖であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、化学的に安定な配列で、Qで置き換えられる;
Qは、−NR−、−S−、−O−、−CS−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−C(O)NRNR−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR、−NRNR−、−NRSONR−、−SO−、−SO−、−PO−、−PO−、または−PONR−である;
各Jは、別個に、ハロゲン、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、C1〜6アルコキシ、−N(R、−C(O)R、−NC(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−SOR、−SO、または−U−(Rであり、ここで、
各Rは、別個に、Hまたは必要に応じて置換したC1〜12脂肪族、C3〜10環状脂肪族、C7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族、C6〜10アリール、5員〜14員ヘテロシクリル、5員〜14員ヘテロアリール、OR、N(R、またはSRである;
Uは、結合または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族であり、ここで、2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、化学的に安定な配列で、Yで置き換えられる;
Yは、−O−、−NR−、−S−、−NRC(O)−、−N(SO)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−C(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−C(O)O−、または−OC(O)−から選択される基である;
nは、1または2である;
は、=O、=NR、=S、−CN、−NO、または−Z−Rである;
Zは、結合または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−NR−、−S−、−O−、−CS−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−C(O)NRNR−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRNR−、−NRSONR−、−SO−、−SO−、−PO−、−PO−、または−POR−で置き換えられる;
は、必要に応じて置換した3員〜8員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式環、あるいは必要に応じて置換した8員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、該単環式環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
特定の実施態様では、すぐ上で記述した化合物について、
a)Rが非置換フェニルであるとき、RおよびRは、それぞれ別個に、H、CH、または非置換フェニルではない;
b)Rが、非置換フェニルであるとき、Rは、CNではなく、そしてRは、NHではない;
c)XがNであり、そしてRおよびRがHであるとき、Rは、非置換2−ナフチルではない;
d)RまたはRの一方が必要に応じて置換したフェニルであるとき、RまたはRの他方は、
【0014】
【化11】

ではなく、ここで、環Aは、必要に応じて置換したヘテロシクリルである。
【0015】
他の実施態様では、
a)Rは、
【0016】
【化12】

ではない;
b)Rが5員ヘテロアリールであるとき、それは、オルト位置にて、Jで置換されておらず、ここで、Jは、2,3−ジ−ハロ置換フェニルである。
【0017】
(2.化合物および定義)
本発明の化合物には、上で一般的に記述したものが挙げられ、さらに、本明細書中で開示したクラス、下位分類および種により例示される。本明細書中で使用する以下の定義は、特に明記しない限り、適用される。本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.に従って、同定される。さらに、有機化学の一般的な原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、5th Ed.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001で記述されており、それらの全内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0018】
本明細書中で記述する本発明の化合物は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、上で一般に例示したもの、または本発明の特定のクラス、下位分類および種で代表されるもの)で置換され得る。「必要に応じて置換した」との語句は、「置換または非置換」との語句と交換可能に使用されることが分かる。一般に、「置換された」との用語(その前に「必要に応じて」との用語が付いていようといまいと)は、特定した置換基のラジカルを有する所定の構造にある水素ラジカルを置き換えることを意味する。特に明記しない限り、必要に応じて置換した基は、その基の各置換可能位置で置換基を有し得、任意の所定の構造にある1個より多い位置が特定した基から選択される1個より多い置換基で置換され得るとき、その置換基は、どの位置でも、同一または異なり得る。本発明で想定される置換基および変数の組合せは、好ましくは、例えば、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。本明細書中で使用する「安定な」との用語は、それらの製造、検出、好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書中で開示した目的の1つまたはそれ以上に使用することを可能にする条件に晒すとき、実質的に変化しない化合物を意味する。ある実施態様では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、40℃以下の温度で、少なくとも1週間保持したとき、実質的に変化しないものである。
【0019】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖(すなわち、分枝していない)または分枝の置換または非置換炭化水素鎖(これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)または単環式炭化水素または二環式炭化水素(これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)を意味するが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)、分子の残りと単一の結合点を有する。特に明記しない限り、脂肪族基は、1個〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、脂肪族基は、1個〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜6個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、「環状脂肪族」(または「炭素環式」または「シクロアルキル」)とは、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有するが、それは、芳香族ではなく、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、該二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。適当な脂肪族基には、直鎖または分枝の置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書中で使用する「ヘテロ脂肪族」との用語は、1個または2個の炭素原子を1個またはそれ以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素で別個に置換した脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換、分枝または非分枝、環式または非環式であり得、「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基を含む。
【0021】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環状脂肪族」または「複素環」との用語は、1個またはそれ以上の環メンバーが別個に選択したヘテロ原子である単環式、二環式または三環式の環系を意味する。いくつかの実施態様では、この「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基は、3個〜14個の環メンバーを有し、ここで、1個またはそれ以上の環メンバーは、酸素、イオウ、窒素またはリンから別個に選択されるヘテロ原子であり、そして該系内の各環は、3個〜7個の環メンバーを含有する。適切な複素環には、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアンおよび1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられる。
【0022】
「ヘテロ原子」との用語は、1種またはそれ以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素(窒素、イオウ、リンまたはケイ素の任意の酸化形状;任意の塩基性窒素の四級化形状;複素環の置換可能窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののように)、NH(ピロリジニル中のもののように)またはNR(N−置換ピロリジニル中のもののように)を含めて)を意味する。
【0023】
本明細書中で使用する「不飽和」との用語は、ある部分が1個またはそれ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0024】
本明細書中で使用する「アルコキシ」または「チオアルキル」との用語は、酸素(「アルコキシ」)またはイオウ(「チオアルキル」)原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(これは、先に定義した)を意味する。
【0025】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」との用語は、場合によっては、1個またはそれ以上のハロゲン原子で置換され得るアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0026】
「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。「アリール」との用語はまた、以下で定義するヘテロアリール環系を意味する。「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得る。適当なヘテロアリール環には、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニルまたは4−イソキノリニル)が挙げられる。
【0027】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含めて)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含めて)基は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得、それゆえ、「必要に応じて置換され」得る。上でまたは本明細書中で定義していなければ、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、一般に、以下から選択される:ハロゲン;−R;−OR;−SR;必要に応じてRで置換したフェニル(Ph);必要に応じてRで置換した−O(Ph);必要に応じてRで置換した−(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換した−CH=CH(Ph);必要に応じてRで置換した5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環;−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R)2;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−P(O);−PO(R;−OPO(R;−(CH)ONHC(O)R;必要に応じてRで置換したフェニル(Ph);必要に応じてRで置換したフェニル−O(Ph);必要に応じてRで置換した−(CH1〜2(Ph);ここで、Rの各存在は、水素、必要に応じて置換したC1〜6、非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH(Ph)、または上記定義にもかかわらず、Rの2個の別個の存在は、同じ置換基または異なる置換基上にて、各R基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0028】
の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0029】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得、それゆえ、「必要に応じて置換され」得る。上でまたは本明細書中で定義していなければ、脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基には、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものから選択され、さらに、以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基である。
【0030】
上でまたは本明細書中で定義していなければ、非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、一般に、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−(CH)H(Ph)、必要に応じて置換した−CH=CH(Ph);または非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環(これは、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される)、または上記定義にもかかわらず、Rの2個の別個の存在は、同じ置換基または異なる置換基上にて、各R基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0031】
の脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0032】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るか1個またはそれ以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0033】
本明細書中で使用する「保護基」との用語は、多官能性化合物における1個またはそれ以上の所望の反応部位を一時的にブロックするのに使用される試薬を意味する。特定の実施態様では、保護基は、以下の特徴の1つまたはそれ以上、または好ましくは、全てを有する:a)良好な収率で選択的に反応して、1個またはそれ以上の他の反応部位で起こる反応に対して安定な保護された基質を生じさせる;およびb)再生された官能基を攻撃しない試薬により、良好な収率で選択的に除去可能である。代表的な保護基は、Greene,T.W.,Wuts,P.Gの「Protective Groups in Organic Synthesis」、Third Edition,John Wiley & Sons,New York:1999(その全内容は、本明細書中で参考として援用されている)で詳述されている。本明細書中で使用する「窒素保護基」との用語は、多官能性化合物における1個またはそれ以上の所望の窒素反応部位を一時的にブロックするのに使用される試薬を意味する。好ましい窒素保護基もまた、上で例示した特徴を有し、そして特定の例証的な窒素保護基はまた、Greene,T.W.,Wuts,P.Gの「Protective Groups in Organic Synthesis」、Third Edition,John Wiley & Sons,New York:1999(その全内容は、本明細書中で参考として援用されている)の第7章で詳述されている。
【0034】
上で詳述するように、ある実施態様では、R(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0035】
(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在が、各変数が結合する原子と一緒になるとき、形成される代表的な環には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合するR(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在は、その原子と一緒になって、環、例えば、N(Rを形成し、ここで、Rの両方の存在は、その窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基を形成する;b)異なる原子に結合するR(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在は、これらの原子の両方と一緒になって、環を形成し、例えば、ここで、フェニル基は、OR
【0036】
【化13】

の2個の存在で置換されており、Rのこれらの2個の存在は、それらが結合する酸素原子と一緒になって、以下の縮合6員酸素含有環を形成する:
【0037】
【化14】

(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在が各変数が結合する原子と一緒になるときに、他の種々の環が形成でき上で詳述した例は、限定するつもりはないことが明らかである。
【0038】
特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、立体配座))形状;例えば、各非対称中心のRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)立体配座異性体を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体だけでなく鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。特に明記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形状は、本発明の範囲内である。あるいは、特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体的に富んだ原子の存在下にてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置き換えるか炭素を13C−または14C−富んだ炭素で置き換えたこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析手段またはプローブとして、有用である。
【0039】
(3.代表的な化合物の説明)
本発明のいくつかの実施態様では、Xは、CHである。
【0040】
他の実施態様では、Xは、Nである。
【0041】
1実施態様では、Rは、5員〜6員アリールまたはヘテロアリールである。各R環は、別個に、非置換であるか、あるいは5個までのJ基で置換されているか、いずれかである。
【0042】
別の実施態様では、Rは、5員〜6員ヘテロアリールである。
【0043】
本発明の1実施態様は、式IIで表わされる:
【0044】
【化15】

(式II)
ここで、Rは、6員単環式環であり、ここで、
各G(G、G、G、GおよびG)は、別個に、CHまたはNである;
0個、1個、2個または3個のG基は、Nである;
そしてmは、0〜5である。
【0045】
1実施態様では、1個、2個または3個のG基は、Nである;
異なる実施態様において、Gは、Nである。
【0046】
別の実施態様では、G、G、G、GおよびGから選択されるいずれか2個のG基は、Nである。
【0047】
さらに別の実施態様では、1個だけのG基は、Nである。
【0048】
別の実施態様では、Rは、5個までのJ基で必要に応じて置換したフェニルである。
【0049】
本発明のいくつかの実施態様では、Jは、−U−(Rであり、ここで、
各Rは、別個に、Hまたは必要に応じて置換したC1〜12脂肪族、C3〜10環状脂肪族、C7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族、C6〜10アリール、5員〜14員ヘテロシクリル、5員〜14員ヘテロアリール、OR、N(R、またはSRである;
Uは、結合または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族であり、ここで、2個までのメチレン単位は、必要に応じて、化学的に安定な配列で、Yで置き換えられる;
Yは、−O−、−NR−、−S−、−NRC(O)−、−N(SO)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−C(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−C(O)O−、または−OC(O)−から選択される基である;そして
nは、1または2である。
【0050】
本発明の1実施態様では、Yは、−O−、−NR−、または−S−である。
【0051】
別の実施態様では、Yは、−NR(C=O)−または−(C=O)NR−である;
別の実施態様では、Yは、−NR−である。
【0052】
さらに別の実施態様では、Uの1個のメチレン単位は、Yで置き換えられる。
【0053】
別の実施態様では、Uは、−Y−(C1〜5脂肪族)−である。いくつかの実施態様では、Yは、Rに結合され、そしてC1〜5脂肪族は、Rに結合される。他の実施態様では、Yは、Rに結合され、そしてC1〜5脂肪族は、Rに結合される。
【0054】
いくつかの実施態様は、式IIIにおける化合物で表わされ、ここで、Gは、炭素であり、そしてJは、以下で示すように、3位置で置換されている:
【0055】
【化16】

(式III)
いくつかの実施態様では、Jは、−U−(Rである。
【0056】
本発明の1実施態様では、Rは、必要に応じて置換したC3〜10環状脂肪族またはC7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族である。
【0057】
別の実施態様では、Rは、必要に応じて置換した5員〜6員アリールまたはヘテロアリールである。いくつかの実施態様では、Rは、必要に応じて置換した5員〜6員アリールである;他の実施態様では、Rは、必要に応じて置換した5員〜6員ヘテロアリールである。
【0058】
別の実施態様では、Rは、必要に応じて置換したフェニルである。
【0059】
さらに別の実施態様では、Rは、必要に応じて置換した5員〜6員ヘテロシクリルである。
【0060】
いくつかの実施態様では、Uは、結合である。
【0061】
他の実施態様では、Uは、C1〜3脂肪族であり、ここで、0個のメチレン単位は、置き換えられる。
【0062】
1実施態様では、Uは、−NRCH(CH)−であり、ここで、このメチル基は、S立体配置である。式I、式IIまたは式IIIに結合された−NRCH(CH)−の原子は、「−N」原子である。
【0063】
別の実施態様では、Rは、ハロゲン、C1〜6脂肪族、C1〜6アルコキシ、−CN、−N(R、−C(O)R、−NC(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−SOR、または−SOで置換されている。
【0064】
本発明の別の実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、V−Rである。
【0065】
1実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、V−Rである。
【0066】
別の実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、V−Rである。
【0067】
別の実施態様では、Vは、C1〜2脂肪族鎖である;Vの1個のメチレン単位は、Qで置き換えられる;そしてQは、−O−、−NR−、−S−、−C(O)O−、および−NRC(O)−から選択される。
【0068】
別の実施態様では、Vは、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族鎖であり、ここで、1個のメチレン単位は、化学的に安定な配列で、Qで置き換えられ、ここで、Qは、−CONR−または−O(CH)−である。
【0069】
さらに別の実施態様では、Vは、Qであり、ここで、Qは、−C(O)−または−SO−である。
【0070】
いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、CN、またはV−Rであり、ここで、Vは、−C(O)O−、−NH−、−N(CH)−、−N(CHCH)−、−N(CH(CH)−、−O(CHO−、−C(O)NH−、−C(O)O−、−O−、−CHO−、−NHC(O)−、−SONH−、または−SON(CH)−である。
【0071】
他の実施態様では、V−Rは、−C(O)OH、−C(O)OR、−O(CHOCH、−C(O)OCH、−OH、−CHOH、−NHC(O)CH、−SONH、または−SON(Me)である。
【0072】
他の実施態様では、V−Rは、−C(O)OH、−C(O)O(C1〜6アルキル)、−O(CHO(C1〜6アルキル)、−C(O)O(C1〜6アルキル)、−OH、−CHOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1〜6アルキル)、−C(O)N(C1〜6アルキル)、−SONH、−SONH(C1〜6アルキル)または−SON(C1〜6アルキル)である。
【0073】
特定の実施態様では、Vは、結合である。
【0074】
いくつかの実施態様では、Rは、Hである。他の実施態様では、Rは、Hまたはメチルである。
【0075】
特定の実施態様では、Rは、N(Rである。
【0076】
特定の他の実施態様では、Rは、5員〜6員アリールまたはヘテロアリールである。
【0077】
さらに他の実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、H、ハロゲン、CN、
V−R(ここで、Vは、結合であり、そしてRは、−N(Rである)、または
V−R(ここで、Vは、結合であり、そしてRは、5員〜6員アリールまたは5員〜6員ヘテロアリールである)である。
【0078】
いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲンである。
【0079】
他の実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、塩素である。
【0080】
いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、Rの3個までの存在で置換されている。
【0081】
他の実施態様では、RおよびRの少なくとも1個は、Hである。
【0082】
特定の実施態様では、Rは、Hである。
【0083】
いくつかの実施態様では、nは、0〜3;他の実施態様では、0〜2;そしてさらに他の実施態様では、0〜1である。
【0084】
本発明の化合物の代表例は、表Iにて、以下で示す。
【0085】
(表I:式I、式IIおよび式IIIの化合物の例)
【0086】
【化17】

【0087】
【化18】

【0088】
【化19】

【0089】
【化20】

(4.一般的な合成方法)
本発明の化合物は、一般に、以下のスキームIで図示しているように、類似の化合物について当業者に公知の方法により、調製され得る。これらの化合物は、公知方法(これには、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析法)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)およびNMR(核磁気共鳴)が挙げられるが、これらに限定されない)により、分析され得る。
【0090】
以下で示した特定の条件は、例にすぎず、本発明の化合物を製造するのに使用できる条件の範囲を限定する意味ではないことが理解できるはずである。その代わりに、本発明はまた、本発明の化合物を製造する当業者に公知の条件を包含する。示された出発物質は、市販されているか、あるいは当業者に公知の方法から容易にアクセスできる。特に明記しない限り、以下のスキームにおける全ての変数は、本明細書中で定義したとおりである。
【0091】
(スキームI)
【0092】
【化21】

【実施例】
【0093】
(実施例I−1)
【0094】
【化22】

5−クロロ−ピラジン−2−イルアミン(1):250ml丸底フラスコに、窒素下にて、2−アミノピラジン(10g、0.1mol)、N−クロロスクシンイミド(14g、0.1mol)およびジクロロメタン(100ml)を充填した。その反応混合物を5時間還流し、次いで、室温まで冷却させた。この反応混合物を1cm厚セライトパッドで濾過し、これを、次いで、ジクロロメタンで十分に洗浄した。有機物を真空中で濃縮し、この化合物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ペンタン/EtOAc(0%〜50%)を使用する)で精製して、表題化合物(3g、22%)を得た。1H NMR (CDCl) 4.5−4.8 (2H, brs), 7.8 (1H, s), 8.0 (1H, s)
【0095】
【化23】

3−ブロモ−5−クロロ−ピラジン−2−イルアミン(2):250ml丸底フラスコに、窒素下にて、5−クロロ−ピラジン−2−イルアミン(1)(3g、23mmol、N−ブロモスクシンイミド(4g、23mmol)およびジクロロメタン(100ml)を充填した。その反応混合物を1時間還流し、次いで、室温まで冷却させ、そして真空中で濃縮した。この化合物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ペンタン/EtOAc(0%〜50%)を使用する)で精製して、表題化合物(3g、62%)を得た。1H NMR (DMSo−d6) 6.8−6.9 (2H, brs), 8.0 (1H, s). MS(ES+): 210, 212
【0096】
【化24】

5−クロロ−3−(トリエチル−シラニルエチニル)−ピラジン−2−イルアミン(3):250ml丸底フラスコに、窒素下にて、3−ブロモ−5−クロロ−ピラジン−2−イルアミン(2)(1g、4.8mmol)、THF(10ml)、ヨウ化銅(9mg、0.05mM)およびPdCl(PPh(34mg、0.05mmol)を加えた。その反応混合物に、トリエチルアミン(2ml、14.4mmol)およびトリエチルシリルアセチレン(1ml、5.76mmol)を加えた。この反応混合物を、室温で、3時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ペンタン/EtOAc(10%〜30%)を使用する)で精製して、灰白色固形物(1.2g、100%)として、表題化合物を得た。1H NMR (CDCl): 1H NMR (CDCl): 0.7−0.8 (6H, qd), 1.0−1.1 (9H, t), 5.0−5.1 (2H, brs), 7.95 (1H, s). MS (ES+): 268
【0097】
【化25】

2−クロロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(4):カリウム第三級ブトキシド(1g、4.5mM)のN−メチルピロリドン(3ml)溶液を、窒素下にて、80℃まで加熱した。5−クロロ−3−(トリエチル−シラニルエチニル)−ピラジン−2−イルアミン(3)(1.2g、4.5mmol)のN−メチルピロリドン(10ml)溶液を滴下した。その反応混合物を、80℃で、さらに50分間撹拌し、次いで、この反応混合物を室温まで冷却させた。この反応混合物にブライン(10ml)を加え、そして酢酸エチル(5×20ml)で抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮して、N−メチルピロリドン溶液として、表題化合物を得た。MS(ES+): 154
【0098】
【化26】

2−クロロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(4)のN−メチルピロリドン(先の工程からの残渣)およびピリジン(5ml)氷冷溶液に、2−クロロ−7−ヨード−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(5):塩化ヨウ素の1Mジクロロメタン(4ml、4mmol)溶液を加えた。その反応混合物を、0℃で、60分間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ペンタン/EtOAc(0%〜50%)を使用する)で精製して、表題化合物(820mg、2段階にわたって75%)を得た。1H NMR (DMSO−d6) 8.2 (1H,s), 8.4 (1H, s). MS(ES+): 280
【0099】
【化27】

2−クロロ−7−ヨード−5−(トルエン−4−スルホニル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(6):2−クロロ−7−ヨード−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(5)(820mg、2.9mmol)のジメチルホルムアミド(7ml)氷冷溶液に、窒素下にて、水素化ナトリウム(140mg、3.5mmol)を加えた。30分後、その反応混合物に塩化トシル(570mg、3mmol)を加え、この反応混合物を、室温で、18時間撹拌した。次いで、この反応混合物を水(約15ml)でクエンチした。灰白色固形物を濾過して除き、そして真空乾燥した(950mg、75%)。MS(ES+) 434.
【0100】
【化28】

7−(3−ブロモ−フェニル)−2−クロロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(7):50ml丸底フラスコに、窒素下にて、2−クロロ−7−ヨード−5−(トルエン−4−スルホニル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(6)(950mg、2.2mmol)、3−ブロモフェニルボロン酸(440mg、2.2mmol)、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(50mg、0.04mmol)、2M炭酸カリウム水溶液(2.2ml、4.4mmol)(トルエン/エタノール混合物(15/3ml)中)を充填した。その反応混合物を18時間還流し、次いで、室温まで冷却させた。この溶液を酢酸エチル(約70ml)で希釈した、有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン/メタノールで倍散した。濾過により、淡黄色固形物を除去した(300mg)、残渣をテトラヒドロフラン/メタノール/1M NaOH混合物(4/1/1ml)に吸収させ、そして室温で、2時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をメタノールで倍散した。固形物を、表題化合物(10mg、1%)として、濾過により除去した。1H NMR (DMSO−d6): 7.35−7.45 (2H, m), 8.10−8.15 (1H, d), 8.35 (1H, s), 8.4 (1H, s), 8.6 (1H, s). MS(ES+): 310, 312
(スキームII)
【0101】
【化29】

試薬および条件:(a)i)NCS、DCM、還流 ii)NBS、DCM、還流;(b)トリエチルシリルアセチレン、ヨウ化銅(I)、PdCl(PPh、EtN、THF;(c)BuOK、NMP、80℃、2時間;(d)I DCM;(e)NaH、TsCl、DMF;(f)Pd(PPh4、トルエン、EtOH、90℃、18時間;(g)1M NaOH、MeOH、THF。
【0102】
上記スキームIIは、RおよびRが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物9を調製するのに使用される一般合成経路を示す。中間体2(これは、誘導体1の連続した塩素化および臭素化により、調製される)は、ソノガシラ条件(これは、当業者に周知である)下にて、トリエチルシリルアセチレンで処理される。中間体3を環化すると、構造4の化合物が得られる。中間体6は、構造4の化合物のヨウ素化により、続いて、中間体5をトシル基で引き続いて保護することにより、調製される。誘導体8の形成は、スズキカップリング反応(これは、当該技術分野で周知である)を使用することにより、触媒としてのパラジウムの存在下にて、ヨウ素6をボロン酸誘導体7で処理することにより、達成される。この反応は、種々のボロン酸7の影響を受けやすい。最後に、そのトシル保護基は、塩基性条件下にて、スキームIIの工程(g)に従って除去されて、構造9の化合物が得られる。
【0103】
(スキームIII)
【0104】
【化30】

試薬および条件:(a)PdCl(dppf)、ジオキサン、KOAc、ビス(ピナコラト)ジボロン、18時間;(b)Pd(PPh、NaCO、DME、EtOH/HO、マイクロ波照射、120°C、2時間;(c)1M NaOH、MeOH、THF。
【0105】
上記スキームIIIは、RおよびRが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物9を調製するのに使用される一般合成経路を示す。スキームIIIの工程(a)に従って、ボロン酸エステル10が形成される。誘導体8の形成は、スズキカップリング反応(これは、当該技術分野で周知である)を使用することにより、触媒としてのパラジウムの存在下にて、臭化物11をボロン酸エステル誘導体10で処理することにより、達成される。この反応は、種々の置換臭化アリールまたはヘテロアリールの影響を受けやすい。最後に、そのトシル保護基は、塩基性条件下にて、スキームIIの工程(c)に従って除去されて、構造9の化合物が得られる。
【0106】
(スキームIV)
【0107】
【化31】

試薬および条件:(a)NBS、DCM、0℃に次いで、還流、4時間;(b)トリエチルシリルアセチレン、ヨウ化銅(I)、PdCl(PPh、EtN、THF;(c)BuOK、NMP、80℃、2時間;(d)AlCl、CHCl、RT、16時間;(e)EtOH、マイクロ波照射s、120℃、10分間。
【0108】
上記スキームIVは、Rが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物18を調製するのに使用される一般合成経路を示す。JおよびJは、本明細書中で定義したJに相当する。中間体12(これは、誘導体1のジブロモ化により、得た)は、ソノガシラ条件(これは、当業者に周知である)下にて、トリエチルシリルアセチレンで処理される。中間体13を環化すると、構造14の化合物が得られる。中間体16は、当該技術分野で周知のフリーデル−クラフトアシル化方法を使用することにより、調製される。この反応は、種々の置換塩化クロロアセチル15の影響を受けやすく、式16の化合物が形成される。最後に、式18の化合物は、スキームIVの工程(e)に従って、中間体16の環化により、得られる。
【0109】
(スキームV)
【0110】
【化32】

試薬および条件:(a)Pd(PPh4、トルエン、EtOH、90℃、18時間。
【0111】
上記スキームVは、R、RおよびRが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物21を調製するのに使用される一般合成経路を示す。構造19の化合物は、スズキカップリング反応(これは、当該技術分野で周知である)を使用することにより、触媒としてのパラジウムの存在下にて、ボロン酸誘導体20で処理される。この反応は、種々のボロン酸20の影響を受けやすい。
【0112】
(スキームVI)
【0113】
【化33】

試薬および条件:(a)PdCl(dppf)、NaOBu、THF、加熱;またはCu、KCO、ニトロベンゼン、加熱;またはマイクロ波照射、180℃、4時間。
【0114】
上記スキームVIは、R、RおよびRが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物23を調製するのに使用される一般合成経路を示す。スキームVで記述した−Y−Rは、本明細書中で定義したRに相当する。式19の化合物は、バックウォルド−ハートウィッヒ(Buchwald−Hartwig)交差カップリング反応(これは、当該技術分野で周知である)により、触媒としてのパラジウムの存在下にて、求核試薬22で処理される。この交差カップリング反応は、ウルマン(Ullmann)反応(これは、当該技術分野で周知である)を使用することにより、触媒としての銅の存在下にて、化合物19を求核試薬22で処理することにより、達成できる。最後に、式23の化合物は、マイクロ波照射下にて、高温で、過剰の求核試薬22での置換により、形成できる。これらの反応は、種々の置換求核試薬22の影響を受けやすい。
【0115】
(スキームVII)
【0116】
【化34】

試薬および条件:(a)CuCN、DMF、80℃、18時間;(b)KOH、EtOH、30%H、55−60℃、1時間;(c)ローソン試薬、トルエン、110℃、O/N;(d)EtOH、還流、O/N;(e)EtOH、1N NaOH、12時間;(f)EDC、HOBt、DMF、N(RH、RT、O/N。
【0117】
上記スキームVIIは、R、R、R、RおよびJが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物31を調製するのに使用される一般合成経路を示す。中間体25(これは、ブロモ類似物24とシアン化銅との反応により、調製した)は、過酸化アルカリの存在下にて、誘導体26に部分的に加水分解される。誘導体27は、化合物26とローソン試薬との反応により、形成される。β−ケトエステル28の存在下にて、化合物27を環化すると、中間体29が得られる。この反応は、種々のβ−ケトエステル28の影響を受けやすい。エステル29のケン化後、誘導体31は、当業者に周知のカップリング反応工程により、形成される。
【0118】
(スキームVIII)
【0119】
【化35】

試薬および条件:(a)i)DMF、POCl、1時間;ii)酸化(b)CDI、DMF;(c)P、ピリジン。
【0120】
上記スキームVIIIは、RおよびRが本明細書中で記述したとおりであるとき、本発明の化合物36を調製するのに使用される一般合成経路を示す。Jは、本明細書中で定義したJに相当する。中間体33は、誘導体32のビルスメイヤー−ハック(Vilsmeier−Haack)反応により、続いて、酸33に向けた酸化により、調製される。中間体33は、スキームVIIの工程(b)に従って、アミン34と反応する。この反応は、種々のアミン34の影響を受けやすい。Pの存在下で化合物35を環化すると、所望の誘導体36が得られる。
【0121】
以下の表IIは、特定の代表的な化合物についてのデータを描写する。化合物の番号は、表1で描写された化合物に相当する。H−NMRスペクトルは、Bruker DPX400機器を使用して、400MHzで記録した。本明細書中で使用する「Rt(分間)」との用語は、HPLC保持時間(分間)を意味し、これは、その化合物に関連している。特に明記しない限り、報告された保持時間を得るために利用されたHPLC方法は、以下のとおりである:
カラム:ACE C8カラム、4.6×150mm
勾配:0〜100%アセトニトリル+メタノール60:40(20mMトリスリン酸)
流速:1.5mL/分間
検出:225nm。
【0122】
質量スペクトル試料は、MicroMass Quattro Micro 質量分析計(これは、エレクトロスプレーイオン化を使って、単一のMSモードで操作した)で、分析した。
【0123】
(表II)
【0124】
【表1】

(5.使用、処方および投与)
上述のように、本発明は、プロテインキナーゼの阻害剤である化合物を提供し、それゆえ、本発明の化合物は、疾患、障害および病態(これには、自己免疫疾患、炎症疾患、増殖疾患、あるいは過剰増殖疾患または免疫媒介疾患が挙げられるが、これらに限定されない)の治療に有用である。従って、本発明の別の局面では、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここで、これらの組成物は、本明細書中で記述した化合物のいずれかを含有し、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する。特定の実施態様では、これらの組成物は、必要に応じて、さらに、1種またはそれ以上の追加治療薬を含有する。
【0125】
本発明の1局面は、プロテインキナーゼ阻害剤で治療することにより緩和される疾患状態を治療する方法に関し、この方法は、このような治療を必要とする患者に、式Iの化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0126】
本発明の別の局面は、患者における増殖障害、心臓障害、神経変性疾患、自己免疫性障害、臓器移植に関連した病態、炎症障害、免疫媒介障害、ウイルス性疾患、または骨障害から選択される疾患または病態を治療するかその重症度を軽くする方法に関し、この方法は、該患者に、本発明の化合物または組成物を投与する工程を包含する。
【0127】
1実施態様では、この方法は、オーロラまたはオーロラAの阻害剤を使用することにより緩和される疾患状態を治療するのに、特に有用である。
【0128】
本発明の特定の実施態様において、化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、オーロラまたはオーロラA媒介疾患に有効な量である。これらの化合物および組成物は、本発明の方法に従って、オーロラまたはオーロラA媒介疾患を治療するかその重症度を軽くするのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して、投与され得る。必要な正確な量は、被験体の種、年齢および一般的な健康状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに依存して、被験体ごとに変わる。本発明の化合物は、好ましくは、投与をし易くし投薬を均一にするために、単位剤形で、処方される。特定の実施態様では、この化合物は、Auroraプロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する量である。
【0129】
本明細書中で使用する「単位剤形」との表現は、治療する患者に適当な物理的に別個の単位の薬剤を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の全毎日用法は、適切な医学的判断の範囲内で、担当医により決定されることが分かる。任意の特定の患者または生物体に特定の有効用量レベルは、種々の要因に依存しており、これらには、治療する障害およびその障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食;使用する特定の化合物の投与時間、投与経路および排出速度;治療の持続時間;使用する特定の化合物と併用または同時使用する薬剤;および医学分野で周知の類似の要因が挙げられる。本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0130】
プロテインキナーゼ阻害剤(例えば、オーロラA阻害剤)としての化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞系で、アッセイされ得る。インビトロアッセイには、活性化オーロラAのキナーゼ活性またはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。代替インビトロアッセイは、阻害剤がオーロラAに結合する性能を定量化し、そして結合前に阻害剤を放射標識することにより、阻害剤/オーロラA錯体を単離することにより、そして結合された放射標識の量を決定することにより、あるいは新規阻害剤が公知の放射標識に結合されたオーロラAプロテインキナーゼでインキュベートされる場合に競争実験を実行することにより、いずれかにより、測定され得る。
【0131】
1実施態様によれば、これらの医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する。1実施態様によれば、これらの医薬組成物は、オーロラまたはオーロラA媒介疾患を治療または予防するのに有効な量のタンパク質阻害剤と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する。
【0132】
本明細書中で使用する「プロテインキナーゼ媒介疾患」との用語は、プロテインキナーゼが一定の役割を果たす任意の疾患または他の有害な病態を意味する。このような病態には、自己免疫疾患、炎症疾患、神経および神経変性疾患、癌、循環器病、アレルギーおよび喘息が挙げられるが、これらに限定されない。「癌」との用語には、以下の癌が挙げられるが、これらに限定されない:乳房;卵巣;子宮頚管;前立腺;精巣;尿生殖器路;食道;喉頭;グリア芽細胞腫;神経芽細胞腫;胃;皮膚;ケラトアカントーマ;肺、類表皮癌腫、大細胞癌、小細胞癌、肺腺癌;骨;大腸、腺腫;膵臓、腺癌;甲状腺、濾胞性癌腫、未分化癌、乳頭癌;精上皮腫;黒色腫;肉腫;膀胱癌腫;肝臓癌腫および胆管路;腎臓癌腫;骨髄性障害;リンパ球障害、ホジキン有毛細胞;頬側口腔および咽頭(経口);唇;舌;口;咽頭;小腸;大腸−直腸、大腸、直腸;脳および中枢神経系;および白血病。
【0133】
本明細書中で使用する「オーロラ媒介病」との用語は、オーロラ(特に、オーロラA)が一定の役割を果たす任意の疾患または他の有害な病態を意味する。このような病態には、癌(例えば、結腸癌および乳癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体またはプロドラッグもまた、上記障害を治療または予防するために、組成物にて使用され得る。
【0135】
「薬学的に受容可能な誘導体またはプロドラッグ」とは、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。特に好ましい誘導体またはプロドラッグには、本発明の化合物を(例えば、経口投与した化合物を血液中に容易に吸収させることにより)投与したときに、このような化合物のバイオアベイラビリティーを高めるもの、またはその親種に比べて、生体隔室(例えば、脳またはリンパ系)への親化合物への送達を高めるものがある。
【0136】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なプロドラッグには、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。本明細書中で使用する「それらの阻害活性代謝物または残留物」とは、その代謝物または残留物がまた、オーロラプロテインキナーゼの阻害剤でもあることを意味する。
【0138】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、薬学的に受容可能な塩を詳細に記載し、これは、本明細書中で参考として援用される。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機酸から誘導される塩および有機酸から誘導される塩ならびに無機塩基から誘導される塩および有機塩基から誘導される塩を含む。
【0139】
薬学的に受容可能な、非毒性の酸添加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸)、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)で形成されるアミノ基の塩であるか、あるいは当該分野で使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。
【0140】
適当な酸塩のさらなる例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0141】
適当な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切である場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、および対イオン(例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸低級アルキル、およびスルホン酸アリール)を使用して形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0142】
これらの医薬組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
追加例には、糖類(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、およびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース);粉末状トラガント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、ココアバター、および坐剤蝋);油状物(例えば、ピーナッツ油、綿実油);ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油;大豆油);グリコール;(例えば、プロピレングリコール;ポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、マグネシウムヒドロキシド、アルミニウムヒドロキシド);アルギン酸;ピロゲンを含まない水;等張性塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、および他の非毒性の適合可能な潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるがこれらに限定されず、ならびに着色剤、遊離剤、被覆剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤、防腐剤、および酸化防止剤もまた、処方者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0144】
本発明の組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸的、経鼻的、経頬的、経膣的、大槽内的、腹腔内的、あるいは移植されたレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射あるいは注入技術を含む。好ましくは、これらの組成物は、経口的または非経口的に投与される。本発明に従って、この医薬組成物は、例えば、無菌の注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液として、無菌の注射可能な製剤の形状であり得る。ここで使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含む。好ましくは、これらの組成物は、経口的、腹腔内的または静脈内で、投与される。特定の実施態様では、本発明の化合物は、1日1回またはそれ以上、1日あたり、被験体の体重の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは、約1mg/kg〜約25mg/kgの投薬レベルで、経口的または非経口的に投与され得、所望の治療効果が得られる。
【0145】
本発明の組成物の無菌の注射可能な形状は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、製剤され得る。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタノール中の溶液として、非毒性の非経口的に適当な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用され得る適当な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。この目的には、いずれかのブランドの固定油が使用され得、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤(これらは、通例、乳濁液および懸濁液を含有する薬学的に受容可能な剤形の製剤で、使用される))を含有し得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spanおよび他の乳化剤または生体利用能向上剤(これらは、通例、薬学的に受容可能な固体、液体または他の剤形の製造で使用される))もまた、この製剤目的に使用され得る。
【0146】
経口投与用の液状剤形には、薬学的に受容可能な乳濁液、微小乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの活性化合物に加えて、これらの液状剤形は、当該技術分野で通例使用される不活性希釈剤(例えば、水および他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチレングリコール、イソプロピレングリコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油))、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤以外に、これらの経口組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁液、甘味料、香料および調香剤)も含有できる。
【0147】
本発明の医薬組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(これにはカプセル、錠剤、ならびに水性懸濁液および溶液が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途の錠剤の場合、通常使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤もまた、典型的には、添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合には、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味剤、着香剤または着色剤が添加され得る。
【0148】
他方、本発明の医薬組成物はまた、直腸または膣投与用の座剤の形状で、投与され得る。これらは、この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)とを混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0149】
本発明の医薬組成物はまた、特に、治療の標的が、局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を包含するとき、局所的に投与され得る。これらの領域または器官のそれぞれに適当な局所製剤は、容易に調製される。
【0150】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤製剤(上記)により、または適当な浣腸製剤にて、行なうことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用され得る。
【0151】
局所的に適用するためには、この医薬組成物は、1種またはそれ以上の担体に懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で、製剤され得る。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。他方、この医薬組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な担体に懸濁するかまたは溶解した活性化合物を含む適当なローションまたはクリームで製剤できる。適当な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
眼科用途には、この医薬組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にまたはそれなしで、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの溶液として、製剤され得る。他方、眼科用途には、この医薬組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)に製剤され得る。
【0153】
本発明の医薬組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により、投与できる。このような組成物は、製薬製剤の当該技術分野で周知の操作に従って、調製され、サリン中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、生体利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製され得る。
【0154】
これらのキャリア物質と混ぜ合わせて単一剤形を生成し得るオーロラキナーゼプロテインキナーゼ阻害剤の量は、治療するホスト、特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、この阻害剤の0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量がこれらの組成物を受ける患者に投与できるように、処方すべきである。
【0155】
任意の特定の患者に対する特定の投薬量および治療レジメンは、種々の要因に依存しており、これらには、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、ならびに治療する医師の判断および治療する特定の疾患の重症度が挙げられることもまた理解できるはずである。阻害剤の量もまた、この組成物中の特定の化合物に依存している。
【0156】
別の実施態様によれば、本発明は、オーロラ媒介病を治療または予防する方法を提供し、この方法は、上記医薬組成物の1つを患者に投与する工程を包含する。
【0157】
1実施態様では、この方法は、癌(例えば、乳房、大腸、前立腺、皮膚、膵臓、脳、尿生殖器路、リンパ系、胃、喉頭および肺の癌(肺腺癌および小細胞肺癌を含めて));卒中、糖尿病、骨髄腫、肝腫大、心肥大、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、およびウイルス性疾患、あるいは上記のいずれかの特定の疾患または障害から選択される病態を治療または予防するのに使用される。
【0158】
特定の実施態様では、本発明に従った方法は、前記患者に、化学療法薬または抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節剤または免疫抑制剤、神経栄養因子、循環器病を治療する薬剤、破壊性骨障害を治療する薬剤、肝臓病を治療する薬剤、抗ウイルス薬、血液疾患を治療する薬剤、糖尿病を治療する薬剤、免疫不全障害を治療する薬剤から選択される追加治療薬を投与する追加工程を包含し、ここで:1)該追加治療薬は、治療する疾患に適切である;そして2)該追加治療薬は、単一剤形として、該組成物と共に投与されるか、あるいは複数剤形の一部として、該組成物から別々に投与される。
【0159】
これらの追加薬剤は、複数の投薬レジメンの一部として、オーロラ阻害剤含有組成物から別々に投与され得る。あるいは、これらの薬剤は、単一剤形の一部であり得、単一組成物において、このオーロラ阻害剤と共に混合され得る。
【0160】
(6.生物学的方法)
(実施例1:Aurora A阻害アッセイ)
カップリングした標準酵素系(Foxら、Protein Sci.,7,pp.2249(1998))を使用して、全長Aurora−A(AA 1−403)活性を阻害する性能について、化合物をスクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび3%DMSOを含有する溶液中にて、反応を実行した。このアッセイにおける最終基質濃度は、200μM ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および800μM ペプチド(LRRASLG,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。30℃および35nM Aurora−Aで、反応を実行した。このカップリングした酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMホスホエノールピルビン酸塩、200μM NADH、60μg/mlピルバートキナーゼおよび20μg/ml乳酸塩デヒドロゲナーゼであった。
【0161】
ATPおよび対象試験化合物を除いて、上で列挙した試薬の全てを含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。この緩衝溶液(60μl)を、96ウェルプレートにて、2μlの対象試験化合物と共に、0.002μM〜30μMに及ぶ最終濃度で、30℃で、10分間インキュベートした。典型的には、娘プレート(daughter plates)において、この試験化合物をDMSOで連続希釈(1mMの化合物ストックから)することにより、12ポイント滴定を行った。5μlのATP(最終濃度200μM)を加えることにより、この反応を開始した。Molecular Devices Spectramaxプレート読み取り装置(Sunnyvale,CA)を使用して、30℃で、10分間にわたって、反応速度を得た。コンピューター化された非線形回帰(Prism 3.0,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用して、阻害剤の濃度の関数として、それらのKi値を決定した。化合物を試験すると、Aurora Aを阻害することが発見された。化合物I−1およびI−28を試験すると、200nM未満のKiで、Aurora Aを阻害することが発見された。
【0162】
(実施例2:Aurora B阻害アッセイ(放射測定))
25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSAおよび10%グリセロールからなるアッセイ緩衝溶液を調製する。22nM Aurora−B溶液(これはまた、1.7mM DTTおよび1.5mM Kemptide(LRRASLG)を含有する)を、アッセイ緩衝液中にて、調製する。このAurora−B溶液22μLに、96−ウェルプレートにおいて、DMSO中の化合物ストック溶液2μlを加え、その混合物を、25℃で、10分間平衡化させる。800μMの最終濃度まで16μlストック[□−33P]−ATP溶液(約20nCi/μL)(これは、アッセイ緩衝液中で調製した)を加えることにより、この酵素反応を開始する。3時間後、500mMリン酸16μLを加えることにより、この反応を停止し、そして以下の方法により、ペプチド基質への33Pの取り込みレベルを決定する。
【0163】
酵素反応混合物(40μL)を加える前に、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore,Cat no.MAPHNOB50)を、100mMリン酸100μLで前処理する。その溶液を、30分間にわたって、このホスホセルロース膜に浸けたままにし、引き続いて、このプレートを、100mMリン酸200μLで4回洗浄する。シンチレーション計数(1450 Microbeta Liquid Scintillation Counter,Wallac)前に、この乾燥プレートの各ウェルに、Optiphase 「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)30μLを加える。[□−33P]−ATP溶液を加える前に、対照ウェル(これは、(この酵素を分解するように作用する)全てのアッセイ成分を含有する)に、500mMリン酸16μLを加えることにより、非酵素触媒背景放射能のレベルを測定する。各阻害剤濃度で測定したものから平均背景数を差し引くことにより、酵素触媒33P取り込みのレベルを計算する。各Ki測定のために、8つのデータ点を2回得る(10mMの初期化合物ストックから、引き続いて1:2.5の連続希釈をして、DMSOストックを調製する)。Prismソフトウェアパッケージ(Prism 3.0,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用して、非線形回帰により、初期速度データから、Ki値を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化1】

ここで、Xは、CHまたはNである;
は、C6〜10アリールまたは5員〜14員ヘテロアリールであり、別個に、必要に応じて、5個までのJ基で置換されている;
およびRは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、−CN、−NO、−V−R、−V−R、または−V−Rであり、必要に応じて、Rで置換されている;
は、R、C1〜4アラルキル、−COR、−CO、−CON(R、−SO、または−SON(Rである;あるいは2個のRは、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜10員環状脂肪族または5員〜14員ヘテロシクリルを形成する;
は、必要に応じて置換したR、C6〜10アリール、C3〜10環状脂肪族、5員〜14員ヘテロアリール、または5員〜14員ヘテロシクリルである;あるいは2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜7員単環式または8員〜14員二環式環を形成する;
Rは、Hまたは必要に応じて置換したC1〜6脂肪族である;
は、必要に応じて置換したC6−10アリール、C3〜10環状脂肪族、5員〜14員ヘテロアリール、または5員〜14員ヘテロシクリルである;
は、−OR、−N(R、または−SRである;
Vは、結合、Q、または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族鎖であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、化学的に安定な配列で、Qで置き換えられる;
Qは、−NR−、−S−、−O−、−CS−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−C(O)NRNR−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR、−NRNR−、−NRSONR−、−SO−、−SO−、−PO−、−PO−、または−PONR−である;
各Jは、別個に、ハロゲン、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、C1〜6アルコキシ、−N(R、−C(O)R、−NC(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−SOR、−SO、または−U−(Rであり、ここで、
各Rは、別個に、Hまたは必要に応じて置換したC1〜12脂肪族、C3〜10環状脂肪族、C7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族、C6〜10アリール、5員〜14員ヘテロシクリル、5員〜14員ヘテロアリール、OR、N(R、またはSRである;
Uは、結合または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族であり、ここで、2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、化学的に安定な配列で、Yで置き換えられる;
Yは、−O−、−NR−、−S−、−NRC(O)−、−N(SO)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−C(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−C(O)O−、または−OC(O)−から選択される基である;
nは、1または2である;
は、=O、=NR、=S、−CN、−NO、または−Z−Rである;
Zは、結合または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−NR−、−S−、−O−、−CS−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−C(O)NRNR−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRNR−、−NRSONR−、−SO−、−SO−、−PO−、−PO−、または−POR−で置き換えられる;
は、必要に応じて置換した3員〜8員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式環、あるいは必要に応じて置換した8員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、該単環式環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
但し、
a)Rが非置換フェニルであるとき、RおよびRは、それぞれ別個に、Hでも、CHでも、非置換フェニルでもない;
b)Rが、非置換フェニルであるとき、Rは、CNではなく、そしてRは、NHではない;
c)XがNであり、そしてRおよびRがHであるとき、Rは、非置換2−ナフチルではない;
d)RまたはRの一方が必要に応じて置換したフェニルであるとき、RまたはRの他方は、
【化2】

ではなく、ここで、環Aは、必要に応じて置換したヘテロシクリルである;
アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素上の任意の置換基は、一般に、ハロゲン;−R°;−OR°;−SR°;必要に応じてRで置換したフェニル(Ph);必要に応じてRで置換した−O(Ph);必要に応じてRで置換した−(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換した−CH=CH(Ph);必要に応じてRで置換した5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環;−NO;−CN;−N(R°);−NR°C(O)R°;−NR°C(S)R°;−NR°C(O)N(R°);−NR°C(S)N(R°);−NR°COR°;−NR°NR°C(O)R°;−NR°NR°C(O)N(R°);−NR°NR°COR°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CHC(O)R°;−COR°;−C(O)R°;−C(S)R°;−C(O)N(R°);−C(S)N(R°);−OC(O)N(R°);−OC(O)R°;−C(O)N(OR°)R°;−C(NOR°)R°;−S(O)R°;−S(O)R°;−SON(R°);−S(O)R°;−NR°SON(R°);−NR°SOR°;−N(OR°)R°;−C(=NH)−N(R°);−P(O)R°;−PO(R°);−OPO(R°);または−(CH0〜2NHC(O)R°から選択される;ここで、R°の各別個の存在は、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、あるいは、上記定義にもかかわらず、同じまたは異なる置換基上のR°の2個の別個の存在は、各R°基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式または二環式環を形成し、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
R°の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、R°の前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である;
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環の飽和炭素上の任意の置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙されたものから選択され、さらに、以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、一般に、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R+1、−C(=NH)−N(R、または−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−(CH1〜2(Ph);必要に応じて置換した−CH=CH(Ph);あるいは非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環であり、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、あるいは、上記定義にもかかわらず、同じまたは異なる置換基上のRの2個の別個の存在は、各R基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式または二環式環を形成し、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
の脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である、
化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
Xが、CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、5員〜6員アリールまたはヘテロアリールである、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
が、5員〜6員ヘテロアリールである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式IIで表わされる、請求項4に記載の化合物:
【化3】

(式II)
ここで、Rは、6員単環式環であり、ここで、
各G(G、G、G、GおよびG)は、別個に、CHまたはNである;
0個、1個、2個または3個のG基は、Nである;
そしてmは、0〜5である、
化合物。
【請求項7】
1個、2個または3個のG基が、Nである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
少なくともGが、窒素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
、G、G、GおよびGから選択される任意の2個のG基が、Nである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
1個だけのG基が、Nである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、5個までのJで必要に応じて置換したフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
Jが、−U−(Rである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物であって、ここで、
各Rは、別個に、Hまたは必要に応じて置換したC1〜12脂肪族、C3〜10環状脂肪族、C7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族、C6〜10アリール、5員〜14員ヘテロシクリル、5員〜14員ヘテロアリール、OR、N(R、またはSRである;
Uは、結合またはC1〜6脂肪族であり、ここで、2個までのメチレン単位は、必要に応じて、化学的に安定な配列で、Yで置き換えられている;
Yは、−O−、−NR−、−S−、−NRC(O)−、−N(SO)−、−NRC(O)NR−、−C(O)NR−、−C(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−C(O)O−、または−OC(O)−から選択される基である;
nは、1または2である、
化合物。
【請求項13】
Yが、−O−、−NR−、または−S−である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Yが、−NR(C=O)−または−(C=O)NR−である、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
Yが、−NR−である、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
Uの1個のメチレン単位が、Yで置き換えられている、請求項12〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Uが、−Y−(C1〜5脂肪族)−である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、Cであり、そしてJが、式IIIで示すように、3位置で置換されている、請求項6〜17のいずれか1項に記載の化合物:
【化4】

(式III)
【請求項19】
Jが、−U−(Rである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が、必要に応じて置換したC3〜10環状脂肪族またはC7〜12ベンゾ縮合環状脂肪族である、請求項12〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
が、必要に応じて置換した5員〜6員アリールまたはヘテロアリールである、請求項12〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
が、必要に応じて置換したフェニルである、請求項12〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
が、必要に応じて置換した5員〜6員ヘテロシクリルである、請求項12〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
Uが、結合である、請求項1〜12および18〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
Uが、C1〜3脂肪族であり、ここで、0個のメチレン単位が、置き換えられる、請求項1〜12および18〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
Uが、−NRCH(CH)−であり、ここで、前記メチル基が、S立体配置である、請求項1〜12および18〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
が、ハロゲン、C1〜6脂肪族、C1〜6アルコキシ、−CN、−N(R、−C(O)R、−NC(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−SOR、または−SOで置換されている、請求項18〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
およびRが、それぞれ別個に、V−Rである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
およびRが、それぞれ別個に、V−Rである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
およびRが、それぞれ別個に、V−Rである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
およびRが、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、CN、またはV−Rであり、ここで、Vが、−C(O)O−、−NH−、−N(CH)−、−N(CHCH)−、−N(CH(CH)−、−O(CHO−、−C(O)NH−、−C(O)O−、−O−、−CHO−、−NHC(O)−、−SONH−、または−SON(CH)−である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
V−Rが、−C(O)OH、−C(O)OR、−O(CHOCH、−C(O)OCH、−OH、−CHOH、−NHC(O)CH、−SONH、または−SON(Me)である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
およびRが、それぞれ別個に、H、ハロゲン、CN、
Vが結合であり、RがN(RであるV−R、または
Vが結合であり、そしてRが5員〜6員アリールもしくは5員〜6員ヘテロアリールであるV−Rである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
およびRが、それぞれ別個に、ハロゲンである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
およびRが、それぞれ別個に、塩素である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
およびRが、それぞれ別個に、Rの3個までの存在で置換されている、請求項28〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
およびRの少なくとも1個が、Hである、請求項28〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
が、Hである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
以下の化合物から選択される、化合物:
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【請求項40】
請求項1に記載の化合物と、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含有する、組成物。
【請求項41】
患者におけるAuroraプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、該患者に、請求項40に記載の組成物または請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
生体試料におけるAuroraプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、該生体試料を、請求項40に記載の組成物または請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物と含有または接触させる工程を包含する、方法。
【請求項43】
患者における増殖障害を治療するかその重症度を軽くする方法であって、該患者に、以下を投与する工程を包含する、方法:
a)請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物;または
b)請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
前記増殖障害が、癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
それを必要とする患者における黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、あるいは結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、中枢神経系(CNS)癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌または膵臓癌から選択される癌を治療するかその重症度を軽くする方法であって、該患者に、請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物または請求項40に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項46】
それを必要とする患者における癌を治療するかその重症度を軽くする方法であって、Aurora−A、Aurora−BおよびAurora−Cの1種またはそれ以上を以下で阻害することにより、該癌細胞の有糸分裂を中断させる工程を包含する、方法:
a)請求項1〜39のいずれか1項に記載の化合物;または
b)請求項40に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−520738(P2008−520738A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543441(P2007−543441)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042455
【国際公開番号】WO2006/058074
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】