説明

プロテインキナーゼ阻害活性を有する4−フェニルアミノ−ピリミジン誘導体

本発明は、一般式(I)において、Rがハロゲン、ビニレン−アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたはベンゾ[1,3]ジオキソリル基であり、Wが式−NH−SO−Rで表される基またはヘテロアリール基またはNHR基であり、ここでRは水素またはヘテロアリールであり、およびnは1、2、3または4である化合物およびその医薬上で許容される塩および溶媒和物に関する。さらに、本発明は少なくとも1種の一般式(I)で表される化合物および/またはその医薬上で許容される塩または溶媒和物を含有する医薬組成物、ならびにプロテインキナーゼ関連疾病、特にCDK9関連疾病、例えば細胞増殖性疾病、感染性疾病、痛み、心臓血管系疾病および炎症の予防および/または処置用の医薬組成物の調製におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は4,6−ジ置換アミノピリミジンおよびその医薬上で許容される塩および溶媒和物、これらの誘導体の医薬活性成分としての使用、特にプロテインキナーゼ関連疾病、特にCDK9関連疾病、例えば細胞増殖性疾病、感染性疾病、痛み、心臓血管系疾病および炎症の予防および/または処置用の医薬活性成分としての使用に関する。さらに、本発明は少なくとも1種の4,6−ジ置換アミノピリミジンのメチレンスルホンまたはメチレンスルホンアミド誘導体および/またはその医薬上で許容される塩または溶媒和物を含有する医薬組成物および上記疾病の予防および/または処置用の医薬組成物の調製における本発明の化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼはATPから基質タンパク質の1個または2個以上のOH基へのホスフェート基の転移に専念する。この過程において、これらは生きている細胞におけるリン酸化反応において触媒的役割を果たす。リン酸化は生体分子レベルにおける情報伝達モードであり、代表的には別種のプロテインキナーゼである或る種のタンパク質の活性を調節することができる。約1000種のプロテインキナーゼが知られている。細胞膜に位置するレセプタープロテインキナーゼおよび細胞プラズマに位置する非−レセプタープロテインキナーゼが存在する。我々はチロシンOHをリン酸化することができるチロシンプロテインキナーゼおよびセリンまたはトレオニンOH基をリン酸化することができるセリン−トレオニンプロテインキナーゼについて言及する。CDKはそれらの活動にサイクリンを必要とする非−レセプターセリン−トレオニンプロテインキナーゼ(サイクリン依存性プロテインキナーゼ)(Cycline Dependent protein Kinases)である。
【0003】
生物学において最も重要であって、基本的な過程の一つは細胞周期期間中の細胞の分裂である。この過程は一定の生物学的機能による引続く細胞世代の制御された生産を確実なものにする。これは高度に調節されている現象であり、および細胞内からおよび外部供給源からの両方の種々の組合せの細胞の信号に応答する。サイクリン依存性キナーゼ(CDS)は細胞周期機構の調整において鍵となる役割を演じる。これらの複合体は2種の構成成分:触媒サブユニット(キナーゼ)および調整サブユニット(サイクリン)からなる。今日まで、13種のキナーゼサブユニットがヒトで同定されている(Chen et.al.、Biochem.Biophys.Res.Commun.2007、354、735−40;S.Mani et.al.、Exp.Opin.Invest.Drugs、2000、9(8)、1849−1870;J.C.Sergre et.al.、Biochem.Biophys.Res.Commun.、2000、276、271−277;Hu et.al.、J.Biochem.Chem.、2003、278(10)、8623−8629)。
【0004】
CDKが細胞増殖の調整において役割を演じることは知られている。従って、CDKインヒビターは、例えば癌、神経線維腫症、乾癬、カビ感染症、内毒素性ショック、移植拒絶、血管平滑筋細胞増殖を付随する関節硬化症、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎および手術後狭窄および再狭窄などの細胞増殖性疾病の処置に有用であることができる(米国特許第6,114,365号)。
【0005】
CDKはまた、アポトーシスにおいて役割を演じることが知られている。従って、CDKインヒビターは癌;自己免疫性疾病、例えば全身性狼そう、エリトモドーデス、自己免疫媒介糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾病および自己免疫性糖尿病;神経変質性疾病、例えばアルツハイマー病、AIDS−関連痴呆症、パーキンソン病、筋萎縮性外側硬化症、色素性網膜炎、脊椎筋肉萎縮症および小脳変質症;脊髄増殖症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞、卒中および虚血性損傷に付随する再灌流障害;不整脈、動脈硬化症、毒素誘発またはアルコール関連肝臓疾病;血液学的疾病、例えば慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変質疾病、例えば骨粗しょう症および関節炎;のう胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾病および癌の痛みの処置に、および心臓血管系疾病の処置に有用であることができる
(米国特許第6,107,305号およびWO02/100401)。
【0006】
さらにまた、CDKインヒビターがウイルス誘発感染性疾病、例えばEBV、HBV、HCVおよびHIVの処置に有用であることは知られている(WO02/100401)。最近、HIV−1複製がCDKの阻害によって影響を受けることが可能であることが開示された(C.de la Fuenta,Current HIV research,2003,1(2),131−152;Y.K.Kim et.al.、Molecular and Cellular Biology、2002、22(13)、4622−4637)。特に、CDK9はHIV−1の複製にとって必須であることが報告されている(H.S.Mancebo et.al.、Genes Dev.、1997、11(20)、2633−44;O.Flores et.al.、ProC.Natl.Acad.Sci.USA、1999、96(13)、7208−13)。CDK9はまた、痛みの発現に包含される。サイクリンT1およびCDK9は両方ともにTNFa、炎症前サイトカインおよび炎症の遺伝学的ネットワークの発現を制御する痛みメディエーターの基底プロモーター活性を刺激する。細胞TNFレセプター応答の媒介の場合、核因子−KB(NFkB)経路は必須である。TNFaはサイトカイン遺伝子に対しその要件の引き金を引くが、他方、NFkBは遺伝子転写の刺激に係わりp−TEFb複合体と相互反応する(Barboric M. et.al.、NFkB Binds P−TEFb to Stimulate Transcriptional Elongation by RNA Polymerase II、Molecular Cell、2001、Vol.8、327−337)。
【0007】
さらに、CDK9がTNFaレセプター複合体の一員であるTRAF2の結合性パートナーであることは示されており(MacLachlan T.K. et.al.、Binding of CDK9 to TRAF2、J.CellBiochem.、1998、71(4)、467−478)、他方、炎症前IL6レセプター複合体のサブユニットであるGP130が最近になって、CDK9のもう一つの強力な結合性パートナーとして同定された(Falco G.D. et.al.、CDK9、a member of the CDC2−like family of kinases,binds to gp130,the receptor of the IL−6 family of cytokine.Oncogene,2002、21(49)、7464−7470)。TNFaおよびインターロイキン信号発信ならびに数種の遺伝子のNFkB媒介発現における鍵となるプレイヤーとして(例えば、痛み媒介体としてのサイトカイン)、CDK9は炎症の痛みの処置用の中心標的として考慮することができる。
【0008】
CDK9と心臓肥大との間の強力な連結がまた存在し(Sano & Schneider、Circulation Research、2004、95、867)、CDK9のインヒビターは心臓肥大などの心臓血管系疾病の処置に有効であることが予期される。
【0009】
公知CDKインヒビターの大部分、例えばオロモウシン(olomoucin)、ロスコビチン(roscovitine)(CYC202)、プルバラノール(purvalanols)、インドリノン(indolinones)、パウロン(paullones)および7−ヒドロキシ−ストロスポリン(staurosporine)は抗腫瘍活性の目標とともにCDK1およびCDK2の阻害に焦点が合わせられている(Current Opinion in Pharmacalogy、2003、3、1−9)。公知CDKインヒビターの要約はM.Huwe等により示されている(A.Huwenado et.al.,Angew Chem.Int.Ed Engl.,2003,42(19),2122−38)。フラボピリドールは低分子量であるが、CDK9を包含するCDK類の非選択的インヒビターとして開示されている(W.Filgueira de Azevedoet.al.、Biochem.and Biophys.Res.Commun.2002,293l(1),566−571)。CDKを阻害することが示されている別種の化合物にはストロスポリン、ファスカプリシン(fascaplysin)およびハイメニアリジシン(hymenialdisine)がある。
【0010】
4−アミノピリミジン誘導体の神経保護剤としての使用はWO02/12198に記載されている。これらの化合物は一般に、分子のアニリノ部分のパラ位置に置換アミンを塩基性残基として含有し、これらの化合物はP19ニューロンにおけるMEK1/2キナーゼ活性を阻害しないと述べられている。米国特許第3,950,525号は4−アミノ−6−アリール−ピリミジンの血小板凝集阻害剤および気管支弛緩剤としての使用を開示している。米国特許第3,478,030号はベンズアミド置換アニリノアミノピリミジン誘導体の合成を記載している。これらの化合物は冠状動脈の強力な拡張剤として使用されている。WO02/79197はアリール−置換2−アミノピリミジン誘導体のプロテインキナーゼインヒビター、例えばJNK、GSK−3、Src、LckまたはCDK2のインヒビターとしての使用を記載している。或る種の4,6−ジ置換アミノピリミジンがWO05/026129に記載されている。WO05/026129は医薬活性剤として有用である、特に日和見疾病を包含する感染性疾病、プリオン疾病、免疫学的疾病、自己免疫性疾病、双極性および臨床的疾病、心臓血管系疾病、細胞増殖性疾病、糖尿病、炎症、移植拒否、拡張性機能不全、神経変質性疾病および卒中の予防および/または処置用の医薬活性剤として有用である誘導体を記載している。しかしながら、WO05/026129に記載されている4,6−ジ置換アミノピリミジンは本出願に記載されている化合物と構造的に相違している。
【0011】
WO06/125616はCDK9インヒビター、例えばWO05/026129に記載の4,6−ジ置換アミノピリミジンを包含するCDKインヒビターを痛みおよび炎症性疾病の処置に使用することを記載している。
【0012】
CDK活性化に付随する種々の医学的症状または疾病の処置、特に細胞増殖性疾病、感染性疾病,痛み、心臓血管系疾病および炎症に付随するCDK9キナーゼ活性に関連する症状または疾病の処置に有用であるCDKインヒビターの開発に対する高度に満たされていない医学的要求が存在している。
【0013】
類似構造を有する化合物はWO2005/026129、WO2008/132138およびUS2008/0275063で特許請求されているが、記載されている化合物ではメチレンスルホンまたはメチレンスルホンアミド基とアリール基との間にアルキレン鎖は存在していない。
【0014】
本発明の一態様において、本発明による化合物またはその医薬上で許容される塩および溶媒和物はプロテインキナーゼのインヒビターとして、好ましくは細胞プロテインキナーゼのインヒビターとして使用することができる。
【0015】
これらの態様の特定の具体例において、この細胞プロテインキナーゼはサイクリン−依存性プロテインキナーゼ(CDK)である。サイクリン−依存性プロテインキナーゼはCDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、CDK11、CDK12、CDK13、CrkRS(Crk7、CDC2関連プロテインキナーゼ7)、CDKL1(サイクリン−依存性プロテインキナーゼ様1)、KKIALRE、CDKL2(サイクリン−依存性プロテインキナーゼ様2)、KKIAMRE、CDKL3(サイクリン−依存性プロテインキナーゼ様3)、NKIAMRE、CDKL4、サイクリン−依存性プロテインキナーゼ様1に類似する、CDC2L1(細胞分裂周期2様1)、PITSLRE、CDC2L1(細胞分裂周期2様1)、PITSLRE A、CDC2L5(細胞分裂周期2様5)、PCTK1(PCTAIREプロテインキナーゼ1)、PCTK2(PCTAIREプロテインキナーゼ2)、PCTK3(PCTAIREプロテインキナーゼ3)またはPFTK1(PFTAIREプロテインキナーゼ1)を含む群から選択することができる。特定のこのような具体例において、当該サイクリン−依存性プロテインキナーゼはCDK9である。
【0016】
CDK9阻害効果のみは証明されているが、中でもサイクリン−依存性プロテインキナーゼと密接に関連する別種のCDK類の阻害を予期することができる。全部のプロテインキナーゼに存在する高度に保存されているATP結合性部位の存在から、当業者は別種のキナーゼもまた、本発明による化合物により阻害することができるものと予想することができる。大多数の小型分子インヒビターはATP結合性部位に結合することによってキナーゼをブロックする。従って、これらのインヒビターはプロテインキナーゼ(CDK類をまた包含することは勿論のことである)に対する一般的阻害効果を有する。
【0017】
現在の技術状態に従い、これらが別の信号伝達経路をブロックすることができ、この経路において、これらが増強された細胞およびインビボ効果を示すことから、多様のプロテインキナーゼインヒビターは選択的インヒビターよりも開発に良いものと考えられる。しかしながら、CDK9の選択的インヒビターはまた、HIV感染の処置に特に有益であることができる。予想外の副作用は1種のみの鍵となるキナーゼの阻害によって回避することができる。
【0018】
全部の多様のプロテインキナーゼに存在する高度に保存されているATP結合性部位に関して、本発明による化合物が一般的プロテインキナーゼ阻害効果、特にCDK阻害効果を有することは充分に根拠がある仮定である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本発明の目的は、医薬活性剤として、特に細胞増殖性疾病、例えば癌;感染性疾病、例えばHIVを包含するレトロウイルス感染性疾病;痛み、例えば炎症性痛みおよび神経障害性痛み;心臓血管系疾病、例えば心臓肥大;および炎症から選択される1種または2種以上の疾病または医学的症状の予防および/または処置用の医薬活性剤として使用することができるプロテインキナーゼインヒビター活性、好ましくはサイクリン依存性プロテインキナーゼ(CDK)インヒビター活性を有する一般式(I)で表される化合物およびその医薬上で許容される塩および溶媒和物、上記疾病の処置方法、ならびに少なくとも1種の当該化合物および/またはその医薬上で許容される塩を医薬活性成分として含有する組成物を提供することにある。本発明はまた、一般式(I)で表される化合物およびその医薬上で許容される塩の上記疾病の予防および/または処置用の医薬組成物の調製における使用に関する。
【0020】
本発明による追加の有利な特徴、態様および詳細は説明、例および図面および特許請求の範囲から明白である。
【0021】
本発明の第一の態様に従い、本発明は一般式(I)で表される新規4,6−ジ置換アミノピリミジン化合物およびその医薬上で許容される塩および溶媒和物に関する:
【化1】

【0022】
式中、
は、*ハロゲン;
*ビニレン−アリール;
*アリール、この基は1個または2個以上の下記群から選択される置換基により置換されていてもよい、
−アルコキシ、この基は或る種の具体例において、1個または2個以上のハロゲンにより、またはアリールにより置換されており、このアリールは或る種の具体例において、1個または2個以上のハロゲンによりさらに置換されていてもよい;
−ハロゲン、
−アルキル、この基は任意に1個または2個以上のハロゲンまたはアルコキシ、好ましくはハロゲンにより置換されていてもよい、
−アルキルアリールオキシ、この基はアルコキシにより置換されていてもよく、このアルコキシは任意に1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい、
−アミノカルボニル、
−アミノ、この基は任意に1個または2個のアルキルにより置換されていてもよい、
−アルキルチオ、
−アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル、
−アリールオキシ、
−ヒドロキシル;
*式(a)で表される基:
【化2】


式中、mは1、2または3、好ましくは1であり、およびR’は水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである;
*ヘテロアリール;
であり;
【0023】
Wは、*式(b)で表される基:
【化3】


式中、Rは、
−アルキル、アルコキシまたはアリール、これらの基は任意に1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい、
−ヘテロアリール、
−ベンジル、この基は任意に1個または2個以上のハロゲン、アルキルまたはアルコキシにより置換されていてもよい、
−アミノ、この基は任意に1個または2個のアルキルにより置換されていてもよい、
−ヘテロアリール基、この基は任意に、(CH−ヘテロ環状アルキル基により置換されていてもよく、ここでkは0、1、2または3である、
−NH−R、ここでRは水素、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノアルキル、アミノアリールまたはアミノヘテロアリールである、であり、および
nは1、2、3または4である。
【0024】
本発明の特定の具体例において、一般式(I)で表される化合物は下記群から選択される:
例1: N−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例2: N−{3−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例3: N−[3−(6−スチリル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例4: N−{3−[6−(2−フェノキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例5: N−{3−[6−(2−エトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例6: N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例7: N−{3−[6−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例8: N−{3−[6−(2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例9: N−{3−[6−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例10:N−(3−{6−[2−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル)−メタンスルホンアミド
【0025】
例11:N−[3−(6−o−トリル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例12:N−{3−[6−(2−エチル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例13:N−{3−[6−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例14:N−{3−[6−(4−フルオロ−2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例15:N−{3−[6−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例16:N−{3−[6−(2−フルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例17:N−{3−[6−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例18:N−{3−[6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例19:N−{3−[6−(4−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例20:3−{6−[3−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−ベンズアミド
【0026】
例21:N−[3−(6−フェニル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例22:N−{3−[6−(3−アミノ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例23:N−{3−[6−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例24:N−{3−[6−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例25:N−{3−[6−(4−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例26:N−{3−[6−(2−メトキシ−5−メチル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例27:N−[3−(6−ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例28:N−{3−[6−(2−メチルスルファニル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例29:N−{3−[6−(2−メタンスルフィニル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例30:N−(3−{6−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェノキシメチル)−フェニル]−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル)−メタンスルホンアミド
【0027】
例31:N−{3−[6−(2−プロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例32:N−{3−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例33:N−[4−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例34:N−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例35:N−{4−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例36:N−(4−{6−[2−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル)−メタンスルホンアミド
例37:N−{4−[6−(2−エトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例38:N−{4−[6−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例39:N−{4−[6−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例40:N−{4−[6−(2−フェノキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
【0028】
例41:N−{4−[6−(2−メチルスルファニル−−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例42:N−{4−[6−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例43:N−{4−[6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例44:N−{4−[6−(2−フルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例45:N−[4−(6−フェニル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例46:N−{4−[6−(3−アミノ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例47:N−{4−[6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例48:N−{4−[6−(4−フルオロ−2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例49:N−(4−{6−[2−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル)−メタンスルホンアミド
例50:N−(4−{6−[2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル)−メタンスルホンアミド
【0029】
例51:N−{4−[6−(2−イソブトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例52:N−[4−(6−ピリジン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド
例53:N−{4−[6−(2−プロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例54:N−{4−[6−(4−クロロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例55:N−{4−[6−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例56:N−{4−[6−(2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例57:N−{4−[6−(4−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例58:N−{4−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例59:(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン
例60:(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン
【0030】
例61:(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ}−ベンジル}−アミン
例62:(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン
例63:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−アミン
例64:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
例65:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル)−アミン
例66:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
例67:2−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオン
例68:2−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−イソインドール−1,3−ジオン
例69:(3−アミノメチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]アミン塩酸塩
例70:2,6−ジクロロ−N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−ベンゼンスルホンアミド
【0031】
例71:プロパン−1−スルホン酸3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジルアミド
例72:4−フルオロ−N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−ベンゼンスルホンアミド
例73:チオフェン−2−スルホン酸3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジルアミド
例74:N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−C−フェニル−メタンスルホンアミド
例75:N−{3−[6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例76:N−{4−[6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド
例77:(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(4−フルオロ−2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン
例78:4−(6−{3−[(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−メチル]−フェニルアミノ}−ピリミジン−4−イル)−フェノール
例79:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
例80:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
【0032】
例81:(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(4−フルオロ−2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
例82:4−[6−(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェノール
例83:3−[6−(3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェノール
例84:4−フルオロ−N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−ベンズアミド
例85:1−(4−フルオロ−フェニル)−3−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−尿素
例86:(4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−アミン
例87:(4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル)−アミン
例88:(4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(4−フルオロ−2−イソプロポキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
例89:4−[6−(4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェノール
例90:(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(3−インドール−1−イルメチル−フェニル)−アミン
【0033】
例91:(3−インドール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]アミン
例92:(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン
例93:[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン
例94:[6−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
好適な態様において、本発明による新規4,6−ジ置換アミノピリミジン化合物は一般式(II)または(III)で表される化合物である:
【化4】

【0035】
式中、置換基は前記意味を有する。上記定義で使用されている用語アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲンなどは以下の詳細な記載から明白である。
【0036】
好適な置換基および記号の意味は下記のとおりである:
記号nは好ましくは、1〜3、さらに好ましくは1または2、最も好ましくは1である。
【0037】
の意味において、アリールは好ましくは、フェニルである。この基は任意に、前記置換基により、好ましくはアルコキシ、ハロゲンおよびアルキルにより置換されていてもよい。さらに好適な具体例において、フェニルはアルコキシ基により置換されており(好ましくは、その2位置で)および任意に1または2以上の別の位置でハロゲンにより置換されていてもよい。好適な具体例の中で、このフェニルはジ置換されている。
【0038】
もう一つの好適な具体例において、Rはmが1または2、好ましくは1である(a)で表される基である。
【0039】
追加の好適な具体例において、Rは1または2N原子を含有する5−または6−員のヘテロアリール、好ましくはピリジンまたはピラゾール基、最も好ましくはピラゾール基である。
【0040】
Wは下記の好適な意味を有する:
a)式(b)において、RがC1−4アルキル、好ましくはC1−2アルキル、最も好ましくはメチルである基(すなわち、−(CH−W部分がメタンスルホンアミド基である化合物)。
もう一つの好適な具体例において、Rはヘテロアリールを表し、この基は好ましくは、N、OおよびSの群から選択されるヘテロ原子、さらに好ましくは1個または2個のS−原子を含有する5−または6−員のヘテロアリールである。この場合、Rは最も好ましくは、チオフェン基である。
【0041】
b)追加の好適な具体例において、Wはヘテロアリールであり、さらに好ましくは、環の一方(この環は芳香族または非芳香族であることができる)中に少なくとも1個のN、OおよびSの群から選択されるヘテロ原子(このヘテロ原子は好ましくはNである)を含有し、他方の環がベンゼン環である縮合二環状ヘテロアリール基である(これら2個の環は一緒に縮合し、縮合二環状ヘテロアリール基を形成している)。さらに好ましくは、縮合二環状ヘテロアリール基はインドリルまたはイソインドリル基である。好ましくは、この縮合二環状ヘテロアリール環は式(I)の(CH基にそのN−原子を経て結合している。この縮合二環状ヘテロアリール基はヘテロ原子(好ましくは、窒素)含有環が1個または2個のオキソ基により置換されていてもよい。この縮合二環状ヘテロアリール基はまた、そのベンゼン環がハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。これはWの意味におけるヘテロアリールが好ましくは、任意に1個または2個以上(好ましくは、2個)の次の群:オキソ、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシから選択される置換基、さらに好ましくはオキソおよびハロゲンの群から選択される置換基により置換されていてもよい縮合二環状ヘテロアリール基であることを意味する。この好適な場合、Wはオキソおよびハロゲンの群から選択される1個または2個以上(好ましくは、2個)の置換基により置換されていてもよい縮合二環状ヘテロアリールである。
【0042】
これらの好適な基の例には、式(c)、(d)および(e)で表される基がある:
【化5】

【0043】
式中、さらに好ましい具体例において、R’は水素、ハロゲンまたはC1−4アルキル、最も好ましくは水素である。
【0044】
追加の好適な具体例において、Wがヘテロアリールを表す場合、Wは式(f)で表される基である:
【化6】

【0045】
式中、YはCであるか、またはN、OおよびSの群から選択されるヘテロ原子(好ましくは、CまたはN、最も好ましくは、N)であって、およびベンゼン環がR’により置換されており、ここでR’は水素、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシを表し、さらに好ましくはR’は水素、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり、最も好ましくは水素である(すなわち、1−ベンゾイミダゾリルまたはベンズイミダゾ−1−イルまたはベンゾイミダゾ−1−イルと称することができる1−ベンズイミダゾリル基)。
【0046】
追加の好適な具体例において、式(f)で表される基はR”で表される基により置換されており、ここでR”は水素または−(CH−ヘテロ環状アルキル基を表し、kは0、1、2または3、好ましくは1または2、最も好ましくは1である。ヘテロ環状アルキル基は好ましくは、4−7個の原子、さらに好ましくは5または6個の環原子の飽和環であり、この基において1個または2個の環員はO、SおよびNR(ここで、Rは水素または慣用の置換基、好ましくはアルキルである)からなる群から選択され、および残りの原子は炭素である。さらに好ましい具体例において、ヘテロ環状アルキルは5または6個の環原子の飽和環であり、この基において1個または2個のヘテロ原子環員はO、SおよびNHからなる群から選択される。ヘテロ原子環員は好ましくは、NHである。最も好ましくは、このヘテロ環状アルキル基はモルホリニルである。
【0047】
c)追加の好ましい具体例において、WはNH−Rの基を表す。Rは好ましくは、水素またはヘテロアリールである。このヘテロアリール基は好ましくは、環の一方にN、OおよびS(好ましくは、N)の群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し(この環は芳香族または非芳香族であることができる)、他方の環がベンゼン環である縮合二環状ヘテロアリール基である(これら2種の環は相互に縮合し、縮合ヘテロアリール環を形成している)。さらに好ましい具体例において、Rは式(g)で表される基である:
【化7】

【0048】
式中、YはCであるか、またはN、OおよびSの群から選択されるヘテロ原子(CまたはN、最も好ましくは、N)であって、ベンゼン環が任意にR’により置換されていてもよく、ここでR’は水素、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシを表し、さらに好ましくはR’は水素、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり、最も好ましくは水素である(すなわち、2−ベンゾイミダゾリルまたはベンズイミダゾ−2−イルまたはベンゾイミダゾ−2−イルと称することができる2−ベンズイミダゾリル基)。
【0049】
追加の好ましい具体例において、RはーCO−アリールまたは−CO−NH−アリールであり、このアリールは任意に1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい。さらに好ましい具体例において、このアリールは任意にハロゲンにより置換されていてもよいフェニルである。もう一つの具体例において、Rはハロゲン、好でましくはFにより置換されているフェニルである。
【0050】
特に好ましい具体例は下記のとおりである:例5、6、7、13、35、37、39、48、53、54、56、64、65、66、68、69および71の化合物。これらの化合物はナノモルまたは低ナノモル範囲でCDK9阻害効果を示した。この事実は前記疾病の予防および/または処置におけるこれらの化合物の有益な使用を我々に予期させることができる。次の化合物は最良の医薬活性を示した:例5、6、48、53、56、64、65、66および68の化合物、特に1−ベンズイミデゾリル基(一般式(I)におけるWの意味として)が存在する化合物;例64、65および66参照。
【0051】
本発明の観点から、一般式(I)は本発明による化合物の立体異性体形態の全部を包含する。本明細書で使用されているものとして、「立体異性体」の用語は、特定の立体化学的形態または異性体形態が特定されていないかぎり、可能な立体異性体形態の全部を包含し、全部のジアステレオマー、ラセミ形態および全部の構造幾何学異性体形態を包含する。本発明による化合物が1個または2個以上のキラル中心を含有する場合、全部の可能なエナンチオマーおよびジアステレオマー形態、ならびにラセミ体が包含される。光学活性形態をどのようにして製造するかは当技術で周知であり、例えばラセミ体の分割により、または光学活性出発物質からの合成による。本明細書で製造される本発明による化合物および中間体の製造に使用される方法は全部が本発明の一部であると考える。
【0052】
本発明の観点から、本発明は本発明による化合物の結晶および多形形態およびプロドラッグの全部包含するものとする。
【0053】
本明細書で使用されているものとして、「プロドラッグ」の用語は対象に投与された場合、代謝または化学的プロセスによって化学的変換を受け式(I)で表される化合物またはその塩および/または溶媒和物を生成する医薬先駆体である化合物を表す。プロドラッグにかかわる討議はT.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)、Volume14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design(1987)、Edward B.Roche、ed.、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供されており、この両方をここに引用して、ここに組入れる。
【0054】
「塩」の用語は本発明の態様の1種とそのパートナーへの/パートナーからのイオン性粒子を供与または受容することができる酸または塩基分子との間で形成される全部のイオン性化合物を意味する。
【0055】
医薬上で許容される(すなわち、無毒性で生理学的に許容される)塩は好適であるが、別種の塩もまた、有用である。式(I)で表される化合物の塩は、例えば式(I)で表される化合物を適量、例えば等量の酸または塩基と、塩を沈殿させる溶媒または水性媒質中で反応させ、次いで凍結乾燥させることによって形成することができる。
【0056】
酸付加塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマール酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書に記載の塩)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られている)、ウンデカン酸塩などを包含する。さらに、塩基性医薬化合物からの医薬上で有用な塩の形成に適するものと一般に考えられている酸は公知である。
【0057】
「溶媒和物」の用語は溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組合せによって形成される化合物を意味する(溶媒和化)。溶質は本発明の具体例のいずれかであることができ、および溶媒は水または全部の有機溶媒であることができる。
【0058】
「ハロゲン」の用語はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0059】
「アルキル」の用語は炭素原子1〜6個を有する直鎖状または分枝鎖状飽和炭化水素基を表す(C1−6アルキルと称することもできる)。これらの基は分枝していてもよく、または分枝していなくてもよい。アルキルの例は、これらに制限されないものとして、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチルおよびs−ヘキシルを包含する。
【0060】
さらに、この用語は未置換アルキル基および置換アルキル基の両方を包含するものとし、後者は1個または2個以上の水素原子の代わりにアルキル基に慣用の置換基、好ましくは次の群から選択される置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、アミノ、およびニトロを有するアルキル分子を表す。好適な態様において、アルキル基は未置換であるか、またはハロゲンにより置換されている。別の種類の置換基を使用する場合、これは定義に加えられる[すなわち、(アルキル)(アリールオキシ)、アルキルチオ、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル]。
【0061】
「アリール」の用語は1個の環に炭素環員6〜14個、好ましくは6〜10個を含有する安定な単環状または多環状芳香族分子の全部を表すものとする。これはベンゼン環または1個または2個以上のベンゼン環に縮合し、例えばアントラセン、フェナントレンまたはナフタレン環系を形成しているベンゼン環系、またはヘテロアリール環に縮合しているベンゼン環系を包含する。
【0062】
フェニル基は「アリール」の好適な意味である。
【0063】
本明細書で使用されているものとして、「ヘテロアリール」の用語は炭素環形成原子と一緒に1個または2個以上の窒素、硫黄および/または酸素ヘテロ原子を含有する安定な単環状または多環状芳香族基の全部を表す。ヘテロアリール分子は1個の環に5〜13員、好ましくは5〜10員を含有する。この用語は少なくとも1個の環が芳香族である多環状環を包含する。さらにまた、この用語はまた、全部の互変形態を包含する。
【0064】
さらに、この用語は未置換ヘテロアリール基および置換ヘテロアリール基の両方を包含する。1個または2個以上の水素原子がヘテロアリール基に慣用の置換基により置き換えられている場合、好ましくは、置換基は下記群から選択される:ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロ。N−オキシドおよび硫黄オキシドもまた、置換がヘテロ原子の位置でなされている場合、許容される置換基である。好適な態様において、ヘテロアリール基は未置換であるか、またはハロゲンで置換されている。
【0065】
本明細書で使用されている「ヘテロアリール」基の例はフラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソ−ビリジル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ビリジル、ビリダジル、ピラジニル、ピリミジル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、およびその種々の置換されている基を包含する。
【0066】
「アリールオキシ」の用語は酸素を経てカプリングしているアリール基を意味するものとする。
【0067】
「ヘテロアリールオキシ」の用語は酸素を経てカプリングしているヘテロアリール基を意味するものとする。
【0068】
「アルコキシ」の用語は酸素を経てカプリングしているアルキル基を意味するものとする。
【0069】
「アルキルチオ」の用語は硫黄を経てカプリングしているアルキル基を意味するものとする。
【0070】
「ビニレン−アリール」の用語は−CH=CH−ビニル基を経てカプリングしているアリール基を意味するものとする。
【0071】
「ヘテロ環状アルキル」の用語は4〜7個の環原子、好ましくは5個または6個の環原子の飽和環であって、1個または2個の環員がO、SおよびNRxからなる群から選択され、残りの原子が炭素である飽和環を意味するものとする(ここで、Rxは水素または慣用の置換基、好ましくはアルキルである)。環中の酸素および/または硫黄原子は隣接していない。ヘテロ環状アルキル環の非制限的例にはピペリジル、ビロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−オキサニル、オキサゾリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルおよびテトラヒドロチオピラニル、好ましくはモルホリニルがある。
【0072】
全部の場合に、置換基の名前が相互に順次示されている場合、全部の置換基が指定されている或る位置に存在することを意味する[例えば、(C1−4アルキル)(C6−10アリールオキシ)、例えば例30参照]。
【0073】
一般式(I)で表される化合物の場合、アルキル置換を分子の或る部分に付加する場合には、当業者によって相当するアルコキシ誘導体を製造することができ、その逆も可能である。さらに、フェニルまたは縮合フェニル基が分子中に存在する場合、当業者の知見に基づきフェニル環に慣用の置換基を有する関連誘導体を製造することができる。慣用の置換基は一般に、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。本発明のもう一つの態様において、本発明による化合物は医薬活性剤として使用される。本発明のさらにもう一つの態様は本発明による化合物をプロテインキナーゼ活性の阻害に、好ましくは癌などの細胞増殖性疾病;炎症性痛みおよび神経障害性痛みなどの痛み;炎症;心臓肥大などの心臓血管系疾病;およびHIVを包含するウイルス感染などの感染性疾病の群から選択される疾病の予防および/または処置に有用な医薬組成物の調製に使用することに関する。
【0074】
本発明の別の態様は、本発明による化合物を各対象に投与することを含むプロテインキナーゼ活性の阻害方法、好ましくは癌などの細胞増殖性疾病;炎症性痛みおよび神経障害性痛みなどの痛み;炎症;心臓肥大などの心臓血管系疾病;およびHIVを包含するウイルス感染などの感染性疾病の群から選択される疾病の予防および/または処置方法に関する。
【0075】
本発明のこれらの態様の或る具体例において、予防および/または処置する疾病は、このような予防および/または処置を必要とする患者などの各対象に見出すことができる。「各対象」の用語は多細胞有機体、例えば霊長類を含む哺乳動物などの動物を意味する。ヒトなどの霊長類に加え、種々の別種の哺乳動物もまた、1種または2種以上の本発明による化合物を使用する方法に従い処置することができる。例えば、これらに制限されないものとして、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット,ネズミまたは別種のウシ類、鳥類、ウマ類、イヌ類、ネコ類またはマウス類を包含する別種の哺乳動物に使用することができる。これらの態様の特定の具体例の一つにおいて、各対象はヒトである。
【0076】
本発明のもう一つの主題は、1種または2種以上の慣用の調剤補助物質とともに1種または2種以上の一般式(I)で表される化合物を活性成分として含有する医薬組成物を提供することにある。明白なように、もう一つの主題はこのような組成物の調製に一般式(I)で表される化合物を使用することにある。適用できる補助物質は医薬組成物の調製に一般的に使用される物質、例えば担体、希釈剤、ベヒクル、着色剤、風味付与剤、安定剤、界面活性剤、持続放出組成物調製用の担体などがある。追加の詳細は次の文献に見出すことができる:Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editional Board),Pergamon Press 1990,Volume 5,Chapter 25.2)。心臓血管系障害および細胞増殖性障害、ウイルス感染などの疾病におけるCDK9の役割は、Shudong Wang and Peter M.Fischerにより詳細に開示されている(Trends in Pharmacological Sciences,29,6,2008,302−313)。これらの事実を考慮し、本発明の或る具体例またはそれらの医薬上で許容される塩および溶媒和物は、癌などの細胞増殖性疾病;炎症性痛みおよび神経障害性痛みなどの痛み;炎症;心臓肥大などの心臓血管系疾病;およびHIVを包含するウイルス感染などの感染性疾病の群から選択される疾病の予防方法および/または処置用の医薬組成物の調製に使用することができる。さらに、Bert M.KleblおよびAxel Choidasによる最近の論文(Future Virol.1、3、2006、317−330)は、HIVウイルスの増殖におけるCDK9の機能を記載している。
【0077】
従って、本発明のもう一つの態様において、ヒトを含む哺乳動物における日和見疾病を包含する感染性疾病の予防および/または処置方法が提供される。この方法は日和見疾病を包含する上記感染性疾病の予防および/または処置に有効な量の少なくとも1種の本発明による化合物を哺乳動物に投与することを含む。この方法の特別の具体例において、日和見疾病を包含する感染性疾病はウイルス誘発感染性疾病を包含する。日和見疾病を包含する感染性疾病はウイルス誘発感染性疾病はレトロウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、フラビビウイルス、および/またはアデノウイルスによって引き起こされる。この方法の追加の特定の具体例において、レトロウイルスはレンチウイルスまたはオンコレトロウイルスから選択され、或る具体例において、レンチウイルスはHIV−1、HIV−2、FIV、BIV、SIVs、SHIV、CAEV、VMVまたはEIAVからなる群から選択され、或る具体例において、レンチウイルスがHIV−1またはHIV−2である場合、またはオンコレトロウイルスがHTLV−1、HTLV−IIまたはBLVからなる群から選択される場合を包含する。この方法の追加の特定の具体例において、ヘパドナウイルスはHBV、GSHVまたはWHVから選択され、或る具体例において、ヘパドナウイルスがHBVである場合、またはヘルペスウイルスがHSV−I、HSV−II、EBV、VZV、HCMVまたはHHV−8からなる群から選択される場合を包含し、或る具体例では、ヘルペスウイルスがHCMVである場合、またはフラビビウイルスがHCV、West NileまたはYellow Feverから選択される場合が包含される。好ましくは、この態様の特定の具体例において、感染性疾病はHIV−1またはHIV−2により発症される。
【0078】
本明細書で使用されているものとして、「細胞増殖性疾病」の用語は細胞成長、分化または増殖過程が影響を受ける疾病または障害を包含する。本明細書で使用されているものとして、「細胞成長、分化または増殖過程」は細胞がその数、サイズまたは内容の点で増加する過程、細胞が別の細胞の特徴の特定のセット(specialized set of characteristics)とは相違する特徴の特定のセットを発現する過程、または細胞が近接して移動するか、または特定の場所または刺激からさらに移動する過程である。細胞成長、分化または増殖過程はアミノ酸の輸送および分解、ならびにその他の細胞の代謝過程を包含する。細胞増殖障害は異常に規則化された細胞成長、分化、増殖または移動によるものと特徴付けることができる。細胞増殖障害は腫瘍形成疾病または障害を包含する。本明細書で使用されているものとして、「腫瘍形成疾病または障害」は、腫瘍の形成または腫瘍形成傾向をもたらすことができる異常に規則化された細胞成長、分化、増殖または移動を特徴とする疾病または障害を包含する。本明細書で使用されているものとして、「腫瘍」は良性または悪性の組織塊状物を包含する。細胞成長または増殖障害の例は、これらに制限されないものとして、腫瘍、癌、自己免疫性疾病、ウイルス性疾病、カビ性疾病、神経変質性障害および心臓血管系疾病を包含する。
【0079】
前記したように、本発明の或る具体例において、本発明による化合物は癌を包含する細胞増殖の予防および/または処置用医薬活性剤である。従って、これらの化合物はヒトを含む哺乳動物における細胞増殖性疾病を包含する細胞増殖性疾病の予防および/または処置用医薬組成物の製造に使用することができる。
【0080】
本発明による化合物はまた、癌の化学予防剤として有用であることができる。化学予防は変異促進性事象の発現を阻止するか、または前悪性腫瘍細胞の進行を阻止することによって、例えばすでに不充分に被患している腫瘍の成長を阻止することによって、または腫瘍再発を阻止することによって侵襲性癌の発現を抑制することであると定義される。本明細書に記載の化合物はまた、腫瘍の新脈管形成、転移および誘発性アポトーシスの抑制に有用であることができる。
【0081】
CDK9は心臓肥大に包含されることが知られている(Sano & Schneider、Circulation Research、2004、95、867)。CDK9の病態生理学的レベルへの活性化はミトコンドリアタンパク質をコードする核およびミトコンドリア遺伝子の転写に必須の補助活性化体であるPGC−1の抑制を経てミトコンドリア機能不全、アポトーシスおよび心不全を導き(Sano等、EMBO J.2004、23、3559−3569)、従ってCDK9活性の封鎖は心臓肥大の処置における助けとなるものと期待される受け入れられている候補者である。心臓肥大は増大された生体力学的ストレスを課す種々の偶発的または本質的刺激に対する心臓の応答である。肥大は心臓壁緊張を偶発的に正常化することができるが、被患している患者に対する突然死または公然の心不全までの進行を伴う好ましくない結果および脅威を付随する。ヒト患者および動物モデルにおける研究から蓄積された証拠は、大部分の場合、心臓肥大は機械的負荷における変化に対する補償的応答ではなく、むしろ不適合プロセスであることを示唆している。心臓肥大、または心筋(心筋層)の肥厚は心臓に対する増大されたストレスに応答して生じる。これは代表的に、心室として知られている心臓の底部房の一つを包含する。右心室は肺に血液を押出し、および左心室は血液を身体に押出す。心臓肥大の最も一般的な原因は肺または身体のどちらかにおける血圧の増大に関連する。増大した血圧に対抗して血液を押出す余分の作業は経過時間にわたる心室の肥厚を引き起こし、同一の経路で身体筋肉は全体としてウエイトリフティングに対する応答を増大する。
【0082】
特定の具体例において、本発明による化合物はヒトなどの哺乳動物におけるこのような病気を包含する下記群から選択される心臓血管系疾病の予防および/または処置に使用することができる:心臓肥大、成人先天性心臓病、動脈瘤、アンギナ、狭心症、不整脈、心臓血管系疾病防止、心筋症、先天性心不全、心筋梗塞、肺高血圧症、肥厚成長、再狭窄、狭窄症、血栓症および動脈硬化症。
【0083】
本発明の或る具体例において、本発明による化合物はまた、哺乳動物における痛みを包含する1種または2種以上の種々のタイプの傷みの処置に使用することができる。このような特定の具体例において、このような痛みは炎症性痛みおよび/または神経障害性痛みを含む。一般に、痛みはInternationl Association for the Study of Pain(IASP)に従えば、急性または慢性の組織損傷に付随する不快な知覚および感情体験であると定義され、またはこのような損傷の用語で表される。詳細には、痛みは急性または慢性の痛みとして生じることができる。
【0084】
別の付属群の痛みである炎症性痛みは急性の痛み、ならびに慢性の痛みとして生じることができる。組織およびニューロンの損傷がありうる結果として、炎症性痛みはこのような炎症性痛みに引続いて長期持続性の慢性の神経障害性痛み作用にまで発展することがある。一例として、炎症メディエーター(例えば、TNFccなどのサイトカイン、プロスタグランジン、サブスタンスP、ブラジキニン、プリン、ヒスタミンおよびセロトニン)のような有毒な刺激により媒介される。これらは組織損傷、疾病または炎症およびその他の有毒な刺激(例えば、熱、機械または化学的刺激)の後に放出される。さらに、サイトカインおよび成長因子はニューロン表現型および機能に影響を及ぼすことができる(Besson J.M.、The neurobiology of pain、Lancet、1999、353(9164)、1610−1615)。これらのメディエーターは組織の末梢全体に分布している侵害受容器(知覚受容器)によって検出される。この侵害受容器は、持続すると組織を損傷する有毒な刺激(例えば、熱、機械または化学的刺激)に対し感受性である(Koltzenburg M.、Neural mechanisms of cutaneous noiceptive pain、Clin.J.Pain、2000、16(3 Suppl.)、131−138)。C−侵害受容器と称される特定の種類の侵害受容器は或るレベルの機械的または熱的刺激に応答しないが、炎症のみの存在で活性化される種類の「サイレント」侵害受容器を表す。
【0085】
神経障害性(または神経原性)痛みは末梢または中枢神経の機能不全の結果として生じ、原因および場所の点で相違している種々の症状を包含する。一般に、神経障害性痛みの原因は多様であるが、末梢神経または中枢経路の要素に対する損傷の共通症状を共有する。理論に拘束されないものとして、神経障害性痛みの因果因子は代謝性、ウイルス性または機械的神経損傷であることができる。神経障害性痛みは、末梢神経系、CNSまたはその両方における異常な体性感覚過程によって保持されるものと信じられる。神経障害性痛みは侵害受容器の刺激に直接に連結しないが、その代わりに、例えば脊髄の灰色物質(背面角)(dorsal horn)のシナプス後部ニューロン上におけるグルタメートレセプターの過剰感作から生じるものと考えられる。神経障害性痛みは糖尿病および疱疹後神経痛(帯状疱疹)における神経変質などの状態に付随する。神経障害性痛み状態は多くの疾病および症状、例えば糖尿病、AIDS、多発性硬化症、切断後の断端および模型の痛み、癌関連神経障害、疱疹後神経痛、外傷性神経損傷、虚血性神経障害、神経圧迫、発作および脊髄損傷を包含する多くの疾病および状態の結果である。
【0086】
要約すると、利用できる鎮痛性医薬は多くの場合、不充分な痛みの軽減をもたらすのみである。三環系抗うつ剤および数種の鎮痙性医薬、例えばガバペンチン(gabapentine)、ラモトリジン(lamotrigine)およびカルバマゼピン(carbamazepine)は或る種の患者に有効であるが、これらの状態の処置に効果的な医薬に広く満たされていない要求が存在する。結論として、1種または2種以上のあらゆるタイプの傷み、特に慢性の炎症性および/または神経障害性痛みの安全で、かつ効果的な処置方法に対し高い満たされていない要求が存在する。
【0087】
本明細書で使用されているものとして、「痛み」の用語は一般に、あらゆるタイプの傷みおよび急性の痛み、慢性の痛み、炎症性痛みおよび神経障害性痛みなどの広く包含するタイプの痛みに関連する。
【0088】
本発明の態様の一つは、本明細書で引用されているタイプの痛みを包含するあらゆるタイプの傷みの1種または2種以上を処置するための方法および組成物に関し、この方法は有効量の少なくとも1種の本発明による化合物を、それを必要とする対象に投与することを含み、このような対象はヒトなどの哺乳動物を包含する。
【0089】
別の態様において、本発明は少なくとも1種の医薬上で許容される担体、賦形剤および/または希釈剤とともに、CDKの抑制以外の作用メカニズムを有する鎮痛剤と組合わせて、少なくとも1種の本発明による化合物を活性成分として含む医薬組成物に関する。
【0090】
本発明の或る具体例において、本発明による化合物は炎症性疾病の予防および/または処置用の医薬活性剤である。従って、これらの化合物はヒトを包含する哺乳動物における炎症および炎症性疾病の予防および/または処置用の医薬組成物の調製に使用することができる。
【0091】
炎症性疾病は、臓器侵害による感染から、または下記リストに示されているような刺激性、外傷性、代謝性、アレルギー性、自己免疫性または特発性原因から生じることがある感染性または非感染性炎症状態から発症することができる:
【0092】
I. 急性感染
A.ウイルス B、細菌
II. 非感染原因
III. 慢性(肉芽腫性)疾病
A.細菌 B.スピロヘータ
C.真菌(カビ) D. 特発性
IV. アレルギー性、免疫性および特発性障害
A.過敏反応
B.免疫性および特発性障害
V. 多様な炎症状態
A.寄生体感染
B.吸入抗原原因 −急性(熱的)損傷
−花粉および吸入抗原
−発がん性物質
C.放射線性損傷 −放射線壊死
【0093】
さらにもう一つの特定の具体例において、上記炎症は、好ましくはサイトカイン、TNF−α、IL−1β、GM−CSF、IL−6および/またはIL−8によって媒介される。
【実施例】
【0094】
A)化合物の合成
A1)一般的合成スキーム
本発明による4,6−ジ置換ピリミジンの誘導体の合成は第一工程におけるスズキ反応に従うピリミジン環のアミノ化または逆の順序の反応工程を包含するスキーム1に示されている一般的合成順序に従い行うと好ましい。
【化8】

【0095】
ピリミジン環へのアミン分子の導入は公知方法によって行うことができる(J.E.Arrowsmith et al.、Journal of Medicinal Chemistry,1989,32(3),562−568;J.R.Porter et al.、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters,2002,12(12),1595−1598)。一例として、スキーム1に概略が示されているように、アミノ化は等量の4,6−ジ置換ピリミジンとアミノ化合物とを極性溶媒中で有機塩基または有機酸または無機酸の存在下に50〜120℃の範囲の温度で反応させることによって行う。好ましくは、極性溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)または低級アルコール、例えばイソプロパノールまたはブタノールであり、有機塩基はN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N−メチル−ピペリジンまたはNEtから選択され、酸は例えば、HCL、HSO、CHCOOHから選択することができ、および反応は60〜110℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲で行う。反応温度がアミノ化合物の反応性に依存することは理解されるべきである。反応性か低いアミノ化合物の場合、80〜110℃の範囲の反応温度が好適であり、これらの場合、イソプロパノール、ブタノールまたはNMPなどのより高い沸点を有する溶媒が所望の化合物を良好な収率でもたらす。
【0096】
スキーム1に概略が示されているとおり、ピリミジン骨格中へのRの導入は、60〜110℃の範囲の温度、好ましくは70〜100℃の範囲の温度、さらに好ましくは75〜90℃の範囲の温度におけるスズキカプリングを経て行うと好ましい(I.Minoru,K.Machiko,T.masanao,Synthesis,1984,936−938;J. P.Wolfe,R.A.Singer,B.H.Yang and S.L.Buchwald,Journal of the American Chemical Society,1999,121,9550−9561)。
【0097】
この反応はDME、DMF、THF、ジオキサンまたはメタノールなどの有機溶媒中で行うか、またはこの反応は有機溶媒と水との混合物、例えばDMF/水、DME/水またはTHF/水中で、塩基、例えばNaHCO、NaOH、TlOH、NaOMe、KCO、KPO、NEt、CsCOまたはTlCOの存在下に、およびPdCl(dppf){[1,1−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムII}、Pd(PPhまたは触媒/リガンド系、例えばPd(OAc)/PPh、Pd(OAc)/2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−ビフェニルまたはPd(OAc)/トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィンの存在下に行われる。
【0098】
この反応に使用されるR含有ホウ素化合物は、RB(OH)、RB(OPrまたは
【化9】


からなる群から選択される。
【0099】
上記化学はどちらかの順序で行うことができ、また追加の誘導体化をアミノ化およびその前の/引続くスズキクロスカプリングの後に行うことができる。その他の適当な方法は、出発物質および中間体の製造方法として化学の当業者にとって明白である。保護基が使用されている場合、任意に脱保護工程を当業者にとって公知の一般的脱保護反応に従い行うことができる。
【0100】
本発明の或る具体例の製造において、下記反応スキーム(スキーム2)が使用される。製造される化合物において、−NHSOはWの意味を表す。
【化10】

【0101】
PGは保護基を表す。適当な保護基の選択は必須であるが、当業者にとって周知である。Xは脱離性基を表し、適用される保護基に応じてハロゲン、メシルオキシ、トリフルオロメシルオキシまたはヒドロキシ基の全部であることができる。Rは任意に置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリール基のいずれかを表す。その他の基は上記定義のとおりである。この反応経路は脱保護化後のアシル化工程を包含し、この工程は好ましくは、ピリジン中で0〜40℃の範囲の温度においてスルホニルクロライドにより行うことができる。ジハロピリジンのアミノ化およびスズキ条件は前記と同一である。還元剤は当業者にとって周知であるか、またはHandbook of Reagents for Organic Synthesis;Oxidizing and Reducting Agents(2003)に記載されているニトロ基のアミノ基への還元に適用することができる全部の還元剤、好ましくはH/Pt、H/Pd、H/ラネイ−Ni、N−任意の触媒(Pt、Pdまたはラネイ−Ni)、Sn、Fe、Zn、SnClまたはジチオン酸ナトリウムを意味する。溶媒は好ましくは、塩基性、中性または酸性条件下に20〜120℃の範囲の温度において、水、アルコール(全部のタイプ)または酢酸である。
【0102】
さらに、本発明による化合物HN−Ph−(CH−W(式中、Wは−NHSOである)は下記のとおりにして製造することができる(スキーム3):
【化11】

【0103】
別法として、本発明による化合物HN−Ph−(CH−W(式中、Wは(c)、(d)、(e)および(f)の基である)は下記のとおりにして製造することができる(スキーム4):
【化12】

【0104】
ArはーNH−と一緒になってヘテロアリール基を表し、この基は少なくとも1個のN−原子を含有する。問題のヘテロアリール基は環内で部分的に酸性のNH官能性基を有する。この場合、第一工程は部分的に酸性のNH含有ヘテロ芳香族または縮合へテロ芳香族環系のアルキル化を包含する。この工程は非プロトン乾燥溶媒、好ましくはジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−エチルホルムアミド、ジオキサン、ベンゼン、トルエンまたはアセトニトリル中で0〜80℃の範囲の温度においてあらゆる有機または無機塩基、好ましくはトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン、DBU、ジアルキル−アニリン、DMAP、アルカリ−カーボネート、アルカリ−ヒドロカーボネート、アルカリ−ヒドロオキシド、アルカリ−ヒドリド、アルカリ−アルコキシドの存在下に行うことができる。その他の基および条件は前記記載のとおりである。
【0105】
別法として、本発明による化合物HN−Ph−(CH−W(特に、Wが(g)の基である場合)はスキーム5に記載のとおりに合成することができる:
【化13】

【0106】
スキーム5において、Rはアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノアルキル、アミノアリールまたはアミノヘテロアリールを表す。アルデヒド化合物は、有機溶媒、好ましくはあらゆるアルコール、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル中において反応中に生成される水の分離装置または或る種の水捕獲物質を用い第一アミノ誘導体と縮合させることができる。適用する反応温度は50〜120℃の範囲である。さらにまた、追加の酸触媒、例えば有機酸または無機酸、好ましくはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸または硝酸を使用することができる。次いで、生成したイミンをアルコール中で20〜85℃の範囲の温度において水素化ホウ素アルカリ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムにより第二アミンに還元することができる。
【0107】
この反応において、使用する第一アミン(この化合物はRがアミノアルキル、アミノアリールまたはアミノヘテロアリールを表す場合はヒドラジン型化合物であることができ、またはRがアルコキシ、アリールオキシおよびヘテロアリールオキシを表す場合はヒドロキシルアミン型化合物であることができる)の品質は実際的に制限されない(ただし、極端な立体障害を生じる場合は除く)。このことは、Rの意味が何故に広く特許請求されているかの理由である。
【0108】
A2)特定の化合物の製造
(例1)
(N−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル}−メタンスルホンアミド)
工程1:
【化14】

【0109】
3−N−ニトロ−ベンジルアミン塩酸塩5.0g(26.5mmol)を無水ピリジン50cmに溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。メタンスルホニルクロライド2.61cm(3.864g、34mmol)を滴下添加した。混合物を0℃で2時間にわたり攪拌し、次いで室温で一夜かけて攪拌した。減圧下に蒸発させ、0.5N HCl150cmを添加した。この懸濁液を酢酸エチル70−70cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。この方法は淡オレンジ色油状物(約6g)を生成した。生成物はさらに精製することなく次の工程で直接に使用した。
【0110】
工程2:
【化15】

【0111】
N−(3−N−ニトロ−ベンジル)−メタンスルホンアミド6.104g(工程1で得られた、26.5mmol)をメチルアルコールとジクロロメタンとの1:1混合物100cmに溶解し、Pd触媒(活性炭上10%Pd)1gを添加した。混合物をTLCが反応の完了を示すまで、H雰囲気中で室温において大気圧下に激しく攪拌した。触媒を濾去し、濾液を蒸発乾燥させた。残留する黄色固形物(約5g)はさらに精製することなく次の工程で直接に使用した。
【0112】
工程3:
【化16】

【0113】
N−(3−アミノ−ベンジル)−メタンスルホンアミド5.309g(工程2で得られた、26.5mmol)および4,6−ジクロロピリミジン4.739g(31.81mmol)をイソプロピルアルコール120cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン6.93cm(5.140g、39.76mmol)を添加し、混合物を4日間にわたり還流させた。反応混合物を室温まで冷却させ、沈殿した化合物を濾取した。淡黄色生成物をジエチルエーテルで充分に洗浄し、空気乾燥させた。N−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド3.612gを98%より高い純度および44%の収率で得た。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例2〜32および75の製造における出発物質として使用した。
【0114】
(例2)
(N−{3−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド)
【化17】

【0115】
N−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド219mg(例1で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−ベンジルオキシフェニル−ボロン酸(boronic acid)228mg(1mmol)、無水NaCO318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜かけて還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物(127mg、収率40%)を得た。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0116】
(例3〜32および75)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例2に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は15〜70%であり、いくつかの場合、生成物の精製にカラムクロマトグラフィを使用した。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0117】
(例33)
(N−[4−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド)
工程1:
【化18】

【0118】
4−N−ベンジルアミン塩酸塩5.0g(26.5mmol)を無水ピリジン50cmに溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。メタンスルホニルクロライド2.61cm(3.864g、34mmol)を滴下添加した。混合物を0℃で2時間にわたり攪拌し、次いで室温で一夜かけて攪拌した。減圧下に蒸発させ、0.5N HCl 150mlを添加した。この懸濁液を酢酸エチル70cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。この方法は淡オレンジ色固形物(約6g)を生成した。生成物はさらに精製することなく次の工程で直接に使用した。
【0119】
工程2:
【化19】

【0120】
N−(4−ニトロ−ベンジル)−メタンスルホンアミド6.104g(工程1で得られた、26.5mmol)をメチルアルコールとジクロロメタンとの1:1混合物100cmに溶解し、Pd触媒(活性炭上10%Pd)1gを添加した。混合物をTLCが反応の完了を示すまで、H雰囲気中で室温において大気圧下に激しく攪拌した。触媒を濾去し、濾液を蒸発乾燥させた。残留するオフホワイト色固形物(約5g)はさらに精製することなく次の工程で直接に使用した。
【0121】
工程3:
【化20】

【0122】
N−(4−アミノ−ベンジル)−メタンスルホンアミド5.309g(工程2で得られた、26.5mmol)および4,6−ジクロロピリミジン4.739g(31.81mmol)をイソプロピルアルコール120cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン6.93cm(5.140g、39.76mmol)を添加し、混合物を4日間にわたり還流させた。反応混合物を室温まで冷却させ、沈殿した化合物を濾取した。淡黄色生成物をジエチルエーテルで充分に洗浄し、空気乾燥させた。N−[4−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド3.813gを98%より高い純度および46%の総合収率で得た。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例34〜58および76の製造における出発物質として使用した。
【0123】
(例34)
(N−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−メタンスルホンアミド)
【化21】

【0124】
N−[4−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−メタンスルホンアミド219mg(例33で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜かけて還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物(173mg、収率45%)を得た。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0125】
(例35〜58および76)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例33に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は15〜70%であり、いくつかの場合、生成物の精製にカラムクロマトグラフィを使用した。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0126】
(例59)
((1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−アミン)
工程1:
【化22】

【0127】
3−ニトロベンズアルデヒド6.045g(400mmol)をトルエン100cmに溶解し、2−アミノベンズイミダゾール5.326g(40mmol)およびp−トルエンスルホンアミド10mgを添加した。反応混合物をディーン−スターク捕獲管を用いて一夜かけて還流させた。室温まで冷却後、沈殿した固形物を濾取し、トルエンで洗浄し、次いで空気乾燥させた。収量:9.37g(88%)、黄色粉末。生成物はさらに精製することなく次の工程で直接に使用した。
【0128】
工程2:
【化23】

【0129】
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−(3−ニトロ−ベンジリデン)−アミン9.319g(工程1で得られた、1.35mmol)をエチルアルコール350cmに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム1.513g(40mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を40〜50℃で6時間にわたり攪拌した。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水200cmを添加し、次いで酢酸エチル3x100cmにより抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:8.15g(87%)。保持時間:0.46−2.21−2.43分、(M+H)=269(M−H)=267;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):10.93(s,1H)、8.25(s,1H)、8.10(d,J=8.13Hz,1H)、7.85(d,J=7.62Hz,1H)、7.63(t,J=8.85Hz,1H)、7.28(t,J=6.06Hz,1H)、7.13(d,J=8.22Hz,2H)、6.96(m,2H)、4.64(d,J=6.12Hz,2H)。
【0130】
工程3:
【化24】

【0131】
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−(3−ニトロ−ベンジル)−アミン8.048g(工程2で得られた、30mmol)をエチルアルコール150cmに溶解し、SnClジハイドレート27.076g(120mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を6時間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、2N NaOH 200cmおよび酢酸エチル150cmを添加し、氷浴中で冷却しながら、30分間、激しく攪拌した。沈殿した固形物をブーフナーロート上で濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄した。濾液を分離し、酢酸エチル100−100cmでさらに3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:4.78g(67%)。保持時間:0.45−1.56分、(M+H)=239(M−H)=237;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):10.97(s,1H)、7.10(bs,2H)、6.97−6.78(m,4H)、6.65(s,1H)、6.50(d,J=7.47Hz,1H)、6.42(d,J=7.83Hz,1H)、4.98(s,2H)、4.36(d,J=6.00Hz,2H)。
【0132】
工程4
【化25】

【0133】
(3−アミノ−ベンジル)−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミン2.500g(工程3で得られた、10.50mmol)および4,6−ジクロロピリミジン1.879g(12.61mmol)をイソプロピルアルコール100cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン2.64cm(1.956g、15.13mmol)を添加し、混合物を4日間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、蒸発させ、帯黄色油状物を得た。この残留物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:3.11g(85%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例60〜62、77および78の製造に出発物質として使用した。
【0134】
(例60)
((1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン)
【化26】

【0135】
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−アミン246mg(例59で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜かけて還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物(148mg、収率50%)を得た。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0136】
(例61〜62、77および78)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例60に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は50〜70%である。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0137】
(例63)
((3−ニトロベンジル−1−イルメチル−フェニル)−(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−アミン)
工程1:
【化27】

【0138】
N−ニトロベンジル−クロライド3.432g(20mmol)をベンズイミダゾール2.363g(20mmol)および無水DMF50cm中のNaH(鉱油中60%) 1.000g(25mmol)の溶液に0℃において少しづつ添加した。反応混合物を室温でさらに3時間にわたり攪拌した。混合物を次いで、減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmにより抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発乾燥させ、帯黄色油状物を得た。残留物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、酢酸エチルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:3.31g(65%)。保持時間:2.44分、(M+H)=254;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.48(s,1H)、8.23(s,1H)、8.15(d,J=8.07Hz,1H)、7.54(d,J=7.71Hz,1H)、7.69−7.61(m,2H)、7.58−7.54(m,1H)、7.25−7.17(m,2H)、5.68(s,2H)。
【0139】
工程2:
【化28】

【0140】
1−(3−ニトロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール3.206g(工程1で得られた、12.66mmol)をエチルアルコール150cmに溶解し、SnClジハイドレート11.425g(50.64mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を6時間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、2N NaOH 100cmおよび酢酸エチル70cmを添加し、氷浴中で冷却しながら、30分間にわたり激しく攪拌した。沈殿した固形物をブーフナーロート上で濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄した。濾液を分離し、酢酸エチル70−70cmでさらに3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:2.37g(84%)。保持時間:0.45−1.53分、(M+H)=224;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.32(s,1H)、7.65(m,1H)、7.46(m,1H)、7.22−7.15(m,2H)、6.96(t,J=7.68Hz,1H)、6.46−6.39(m,3H)、5.32(s,2H)、5.06(s,2H)。
【0141】
工程3
【化29】

【0142】
3−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニルアミン1.451g(工程2で得られた、6.5mmol)および4,6−ジクロロピリミジン1.162g(7.8mmol)をイソプロピルアルコール70cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン1.64cm(1.215g、9.4mmol)を添加し、混合物を5日間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、蒸発させ、帯黄色油状物を得た。この残留物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:1.78g(82%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例64〜66および79〜83の製造に出発物質として使用した。
【0143】
(例64)
((1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン)
【化30】

【0144】
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−アミン235mg(例63で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜かけて還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物(158mg、収率55%)を得た。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0145】
(例65〜66および79〜83)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例64に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は50〜70%である。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0146】
(例67)
(2−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオン)
工程1:
【化31】

【0147】
3−ニトロベンジル−クロライド10.295g(60mmol)を無水DMF100cmに溶解し、フタルイミドカリウム塩11.670g(63mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を室温で一夜にわたり攪拌した。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水150cmおよび酢酸エチル40cmを添加し、30分間にわたり激しく攪拌した。沈殿した固形物を濾取し、酢酸エチルで洗浄し、次いで空気乾燥させた。収量:14.420g(85%)、白色粉末。保持時間:4.00分、(M+H)=283;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.19(s,1H)、8.14(d,J=8.16Hz,1H)、7.90(m,4H)、7.79(d,J=7.62Hz,1H)、7.64(t,J=7.98Hz,1H)、4.92(s,2H)。
【0148】
工程2:
【化32】

【0149】
2−(3−ニトロ−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン14.420g(工程1で得られた、51.10mmol)をエチルアルコール250cmに溶解し、SnClジハイドレート46.108g(204.35mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を6時間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、2N NaOH 300cmおよび酢酸エチル200cmを添加し、氷浴中で冷却しながら、30分間、激しく攪拌した。沈殿した固形物をブーフナーロート上で濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄した。濾液を分離し、酢酸エチル150−150cmでさらに3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:7.950g(62%)。保持時間:2.42分、(M+H)=253;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):7.87(m,4H)、6.93(t,J=7.62Hz,1H)、6.42(m,3H)、5.04(bs,2H)、4.60(s,2H)。
【0150】
工程3
【化33】

【0151】
2−(3−アミノ−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン2.651g(工程2で得られた、10.51mmol)および4,6−ジクロロピリミジン1.879g(12.61mmol)をイソプロピルアルコール50cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン2.64cm(1.956g、15.13mmol)を添加し、混合物を4日間にわたり還流させた。反応混合物を室温まで冷却させ、沈殿した化合物を濾取した。このオフホワイト色生成物をジエチルエーテルで充分に洗浄し、空気乾燥させた。収量:3.630g(95%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0152】
(例68)
(2−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−イソインドール−1,3−ジオン)
【化34】

【0153】
2−[3−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオン1.7309g(例67で製造)(4.79mmol)を無水DMF 50cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]347mg(0.3mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸968mg(6.50mmol)およびKPO 2.123g(3mmol)を添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を6時間にわたり還流させた。反応混合物を減圧下に蒸発させ、5% NaHCO溶液150cmを添加し、酢酸エチル100−100cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで減圧下に蒸発させた。残留する油状物をシリカゲル上で1%エチルアルコール含有クロロホルムにより溶出するクロマトグラフイに付した。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物を黄色固形物として得た。収量:1.652g(79%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0154】
(例69)
(3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル−アンモニウムクロライド)
【化35】

【0155】
2−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−イソインドール−1,3−ジオン1.652g(例68で製造)(3.78mmol)をエチルアルコール100cm、ヒドラジンハイドレート2.22cm(2.294g、45.8mmol)に溶解し、2時間にわたり還流させた。反応混合物を室温まで冷却させ、沈殿した固形物を濾取し、エチルアルコールで充分に洗浄した。濾液を蒸発乾燥させ、残留物に0.5N HCl 150cmを添加した。混合物を酢酸エチル50−50cmで4回、抽出した。無機層のpHを5N NaOHの添加により塩基性にし、次いで酢酸エチル50−50cmで4回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで減圧下に蒸発させた。残留する油状物を乾燥酢酸エチル50cm中に取り入れ、次いでHClで飽和された酢酸エチル2cmを滴下添加した。沈殿した固形物を濾取し、ジエチルエーテルで充分に洗浄し、所望の化合物を黄色固形物として得た。収量:1.065g(82%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例70〜74、84および85の製造に出発物質として使用した。
【0156】
(例70)
(2,6−ジクロロ−N−{3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−ベンゼンスルホンアミド
【化36】

【0157】
3−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル−アンモニウムクロライド171mg(例69で製造)(0.5mmol)を乾燥ジクロロメタン50cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン0.350cm(259mg、2mmol)を添加し、混合物を氷浴中で0℃まで冷却させた。15分間の攪拌後、2,6−ジクロロベンゼンスルホニル−クロライド196mg(0.8mmol)を添加し、混合物を0℃で2時間にわたり攪拌し、次いで一夜かけて室温で攪拌した。5%NaHCO溶液50cmを添加し、次いでクロロホルム50−50cmで3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで減圧下に蒸発させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、所望の生成物を黄色固形物として得た。収量:34mg(13%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0158】
(例71〜74、84および85)
化合物は対応する酸クロライドまたはイソシアネートおよび反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例70に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は10〜60%であり、いくつかの場合、カラムクロマトグラフィを使用し、生成物を精製した。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0159】
(例86)
((4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニル)−(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−アミン)
工程1:
【化37】

【0160】
4−ニトロベンジル−クロライド3.432g(20mmol)を無水DMF 50cm中のベンズイミダゾール2.363g(20mmol)およびNaH(鉱油中60%) 1.000g(25mmol)の溶液に、0℃において少しづつ添加した。反応混合物を室温でさらに3時間にわたり攪拌した。次いで、混合物を減圧下に蒸発させた。水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、帯黄色油状物を得た。残留物は追加のあらゆる特徴付けを行うことなく次の工程で使用した。
【0161】
工程2
【化38】

【0162】
1−(4−ニトロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール5.065g(工程1で得た、20mmol)をメチルアルコール100cmに溶解し、Pd触媒(活性炭上10%)200mgを添加した。混合物をH雰囲気中で一夜にわたり攪拌した。TLCが反応の完了を示した時点で、触媒を濾去し、濾液を蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。工程1および工程2の総合収量:1.57g(35%)。保持時間:0.45−1.21分、(M+H)=224;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.30(s,1H)、7.62(d,J=8.34Hz,1H)、7.52(d,J=6.96Hz,1H)、7.19(m,2H)、7.04(d,J=8.16Hz,2H)、7.49(d,J=8.22Hz,2H)、5.25(s,2H)、5.08(s,2H)。
【0163】
工程3
【化39】

【0164】
4−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル−フェニルアミン1.442g(工程2で得た、6.4mmol)および4,6−ジクロロピリミジン1.058g(7.1mmol)をイソプロピルアルコール50cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン1.69cm(1.252g、9.7mmol)を添加し、混合物を5日間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、帯黄色油状物を得た。残留物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:1.33g(61%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例87〜89の製造に出発物質として使用した。
【0165】
(例87)
((1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンジル}−アミン)
【化40】

【0166】
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−[4−(6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンジル]−アミン235mg(例86で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜にわたり還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、次いで酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物を得た(125mg、収率44%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0167】
(例88および89)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例87に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は50〜70%であった。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0168】
(例90)
((6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(3−インドール−1−イルメチル−フェニル)−アミン)
工程1
【化41】

【0169】
3−ニトロベンジル−クロライド3.432g(20mmol)を無水DMF50cm中のインドール2.344g(20mmol)およびNaH(鉱油中60%)1.000g(25mmol)の溶液に、0℃において少しづつ添加した。反応混合物を室温でさらに3時間にわたり攪拌した。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、帯黄色油状物を得た。残留物をヘキサン:酢酸エチル=4:1により溶出するカラムクロマトグラフィにより精製した。純粋な生成物を最低量のエチルアルコールから結晶化させ、ヘキサンで洗浄し、所望の生成物を淡黄色固形物として得た。収量:2.58g(51%)。保持時間:4.52分、(M+H)=253;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.11(s,1H)、8.05(s,1H)、7.58(m,4H)、7.47(d,J=6.87Hz,1H)、7.11−7.03(m,2H)、6.53(s,1H)、5.60(s,2H)。
【0170】
工程2
【化42】

【0171】
1−(3−ニトロ−ベンジル)−1H−インドール1.222g(工程1で得た、4.84mmol)をエチルアルコール60cmに溶解し、SnClジハイドレート4.372g(19.38mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を6時間にわたり還流させた。次いで混合物を減圧下に蒸発させ、2N NaOH 80cmおよび酢酸エチル50cmを添加し、次いで氷浴中で冷却しながら、30分間にわたり激しく攪拌した。沈殿した固形物をブーフナーロート上で濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄した。濾液を分離し、酢酸エチル70−70cmによりさらに3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭により脱色し、次いで減圧下に蒸発させた。残留物はいかなる追加の精製も行うことなく、次の工程に使用した。
【0172】
工程3
【化43】

【0173】
3−インドール−1−イルメチル−フェニルアミン1.077g(工程2で得た、4.84mmol)および4,6−ジクロロピリミジン0.722g(4.84mmol)をイソプロピルアルコール50cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン1.27cm(0.939g、7.27mmol)を添加し、混合物を3日間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、帯黄色油状物を得た。この残留物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。工程2および工程3の総合収量:1.015g(63%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例91の製造に出発物質として使用した。
【0174】
(例91)
((3−インドール−1−イルメチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン)
【化44】

【0175】
(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(3−インドール−1−イルメチル−フェニル)−アミン234mg(例90で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cmに懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 318mg(3mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜にわたり還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、次いで酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物を得た(収量:90mg、32%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0176】
(例92)
((6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾ−イミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン)
工程1
【化45】

【0177】
2−クロロメチルベンズイミダゾール2.00g(12mmol)をアセトニトリル50cm中のモルホリン5.25cm(5.223g、60mmol)の溶液に室温で少しづつ添加した。混合物をTLCが反応の完了を示すまで還流させた。反応混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmにより抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発乾燥させた。残留物をアセトニトリル15cmから再結晶させた。純粋な生成物を白色固形物として濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで空気乾燥させた。収量:2.015g(77%)。保持時間:0.45−1.53分、(M+H)=218(M−H)=216;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):12.27(s,1H)、7.54(d,J=7.35Hz,1H)、7.43(d,J=7.05Hz,1H)、7.13(m,2H)、3.714(s,2H)、3.60(t,4H)、2.45(t,4H)。
【0178】
工程2:
【化46】

【0179】
3−ニトロベンジル−クロライド0.686g(4mmol)を無水DMF10cm中の2−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール0.869g(工程1で得た)(20mmol)およびNaH(鉱油中60%)0.200g(25mmol)の溶液に、0℃において少しづつ添加した。反応混合物を次いで、室温でさらに3時間にわたり攪拌した。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水50cmを添加し、次いで酢酸エチル3x50cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、帯黄色油状物を得た。残留物をヘキサン:酢酸エチル=1:1により溶出するカラムクロマトグラフィによって精製した。純粋な生成物を最低量のアセトニトリルから結晶化させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:0.642g(46%)。保持時間:2.71分、(M+H)=353;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):8.16−8.12(m,1H)、8.06(s,1H)、7.66−7.61(m,3H)、7.43(m,1H)、7.20(m,2H)、5.73(s,2H)、3.78(s,2H)、3.32(m,4H)、2.39(m,4H)。
【0180】
工程3:
【化47】

【0181】
2−モルホリノ−4−イルメチル−1−(3−ニトロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール0.610g(工程2で得た、1.73mmol)をエチルアルコール50cmに溶解し、SnClジハイドレート1.562g(6.92mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を6時間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、2N NaOH 80cmおよび酢酸エチル50cmを添加し、氷浴中で冷却しながら、30分間にわたり激しく攪拌した。沈殿した固形物をブーフナーロート上で濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄した。濾液を分離し、酢酸エチル70−70cmでさらに3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで暗黄色固形物に減圧蒸発させた。純粋な生成物を最低量のアセトニトリルから結晶化させ、ジエチルエーテルで洗浄し、所望の生成物をオフホワイト色固形物として得た。収量:0.510g(91%)。保持時間:0.45−1.93分、(M+H)=323;HNMR(CMSO−d、300MHz)、δ(ppm):7.60(m,1H)、7.40(m,1H)、7.17(m,2H)、6.94(t,1H)、6.42(d,J=7.89Hz,1H)、6.21(d,J=7.35Hz,1H)、6.26(s,1H)、5.43(s,2H)、5.03(s,2H)、3.71(s,2H)、3.47(bs,4H)、2.40(bs,4H)。
【0182】
工程4:
【化48】

【0183】
3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニルアミン1.12g(工程3で得た、3.48mmol)および4,6−ジクロロピリミジン0.622g(4.16mmol)をイソプロピルアルコール60cmに溶解し、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン0.91cm(0.674g、5.22mmol)を添加し、混合物を4日間にわたり還流させた。次いで、混合物を減圧下に蒸発させ、水100cmを添加し、次いで酢酸エチル3x70cmで抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、油状物を得た。残留物をクロロホルム:メタノール=10:1で溶出するカラムクロマトグラフイによって精製した。残留する油状物を乾燥酢酸エチル40cm中に取り入れ、2−プロパノール1cm(HClで飽和されている)を添加した。混合物を0℃において30分間にわたり攪拌し、沈殿した固形物を濾取し、酢酸エチルで充分に洗浄し、減圧下に乾燥させた。所望の生成物の塩酸塩を淡桃色固形物として得た。収量:1.46g(89%)。分析結果および化合物同定については表1参照。この化合物は例93および94の製造に出発物質として使用した。
【0184】
(例93)
([6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン)
【化49】

【0185】
(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−[3−(2−モルホリン−4−イルメチル−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−フェニル]−アミン330mg(例92で製造)(0.70mmol)をジメトキシエタン30cm中に懸濁し、およびフラスコをアルゴンで適当に満たした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[O]58mg(0.05mmol)を添加し、混合物を室温で30分間にわたり攪拌した。次いで、2−メトキシフェニル−ボロン酸152mg(1mmol)、無水NaCO 424mg(4mmol)および水6mlを添加した。穏やかなアルゴン流を適用しながら、混合物を一夜にわたり還流させた。反応混合物を1M NaHPO溶液80cmに注ぎ入れ、次いで酢酸エチル50−50cmにより3回、抽出した。集めた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、活性炭で脱色し、次いで蒸発乾燥させた。残留する固形物を最低量のアセトニトリルから再結晶させ、空気乾燥させ、所望の生成物を得た(収量:132mg、37%)。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0186】
(例94)
化合物は対応するボロン酸および反応時間(TLCが反応の完了を示すまで)を使用し、例93に記載の方法と同一の方法に従い製造した。収率は19%であった。分析結果および化合物同定については表1参照。
【0187】
B)試験例
分析方法(HPLC−MS、NMR)
Waters HPLC/MS
MS検出計:Waters SQD
UV検出計:Waters 996DAD
分離モジュール:Waters Alliance2795
【0188】
HPLC:
カラム:Waters XBridge C18、5cmx4.6mm、3.5μm
溶媒A:水/0.1%HCOOH
溶媒B:AcCN
アセトニトリル:Riedel−deHaen;G Chromasolv(34998)
水:Mill−Q Academic
ギ酸:Riedel−deHaen;エキストラビュア(27001)
流動速度:2ml/分
【0189】
勾配:分 B%
0.00 5
0,50 5
5.50 95
6.00 95
6.50 5
7.00 5
注入:5μg
【0190】
MS:
イオン化:ES/ES
原始ブロック温度:110℃
脱溶媒和(desolvation)温度:250℃
脱溶媒和ガス:500L/時間
コーンガス:80L/時間
毛管:3000V
コーン:30V
抽出装置:6V
Rf レンズ:0.1V
スキャン:1秒で80〜1000m/z
内部スキャン遅延:0.1秒
【0191】
HNMRスペクトルは重水素化溶媒(DMSO−d)中においてBrucker Avanve 300MHz AV分光計で記録した。化学シフトδは部/百万(ppm)である。
【0192】
インビトロCDK9/サイクリンT分析
本発明で開示されている化合物の活性は下記キナーゼ分析によって測定することができる。この分析は市販のIMAP Screening Express Assay Kit(Molecular devices)を用いる蛍光偏光によってヒトCDK9/サイクリンTキナーゼ複合体による蛍光標識したペプチドのホスホリル化を測定するものである。
【0193】
CDK9キナーゼ分析は低タンパク質結合性384−ウエルプレートで行った(Corning3676)。被験化合物は100%DMSO中で5mM原料濃度に希釈し、次いで引続く希釈をHOまたは100%DMSOにより所望の濃度まで行った。
【0194】
各反応は5nM酵素:CDK9/サイクリンT(Proginase カタログ番号0371−0345−1)、400nM TAMRA−Rbtide(TAMRA染料により標識付けされたヒト網膜芽腫瘍サプレッサータンパク質に由来する合成15−merペプチド、Genecust Europ)、12μM ATP(=Kmapp、Sigma−Aldrich)およびキナーゼ緩衝液:20mM MOPS pH7(Sigma−Aldrich)、1mM DTT(Sigma−Aldrich)、10mM MgCl(Sigma−Aldrich)、0.01%Tween20(Sigma−Aldrich)からなるものであった。
【0195】
各反応において、TAMRA−Rbtide、ATPおよびキナーゼ緩衝液を含有する4μlまたは6μlをHO中で希釈された化合物2μlまたは100%DMSO中の化合物0.028μlと一緒に合わせた。キナーゼ反応は希釈酵素2μlの添加によって開始させた。反応は室温で1時間、継続させた。反応を15μl IMAPビーズの添加によって停止させた(段階(100%緩衝液A)1X緩衝液において1:400ビーズ)。さらに1時間後、蛍光偏光(Ex:550−10nm、Em:590−10nm、Dich:561nm)をAnalyst GT(Molecular devices)を用いて測定した。
【0196】
結果を下記表1に示す:
A: <0.1μM(IC50)
B: <1μM(IC50)
C: <10μM(IC50)
D: 10μM(IC50)<
【0197】
【表1−1】

【0198】
【表1−2】

【0199】
【表1−3】

【0200】
【表1−4】

【0201】
【表1−5】

【0202】
【表1−6】

【0203】
【表1−7】

【0204】
【表1−8】

【0205】
【表1−9】

【0206】
【表1−10】

【0207】
【表1−11】

【0208】
【表1−12】

【0209】
【表1−13】

【0210】
【表1−14】

【0211】
【表1−15】

【0212】
【表1−16】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物およびその医薬上で許容される塩および溶媒和物:
【化1】


式中、
は *ハロゲン;
* ビニレン−アリール;
*アリール、この基は1個または2個以上の下記群から選択される置換基により置換されていてもよい、
−アルコキシ、この基は任意に1個または2個以上のハロゲンにより、またはアリールにより置換されていてもよく、このアリールは任意に1個または2個以上のハロゲン、アルキルまたはアルコキシ、好ましくはアルコキシによりにより置換されていてもよい;
−ハロゲン、
−アルキル、この基は任意に1個または2個以上のハロゲンまたはアルコキシ、好ましくはハロゲンにより置換されていてもよい、
−アルキルアリールオキシ、この基は任意にアルコキシにより置換されていてもよく、このアルコキシは任意に1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい、
−アミノカルボニル、
−アミノ、この基は任意に1個または2個のアルキルにより置換されていてもよい、
−アルキルチオ、
−アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル、
−アリールオキシ、
−ヒドロキシル;
*式(a)で表される基:
【化2】


式中、mは1、2または3であり、およびR’は水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである;
*ヘテロアリールであり;
Wは、
*式(b)で表される基:
【化3】


式中、Rは、
−アルキル、アルコキシまたはアリール、これらの基は任意に1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい、
−ヘテロアリール、
−ベンジル、この基は任意に1個または2個以上のハロゲン、アルキルまたはアルコキシにより置換されていてもよい、
−アミノ、この基は任意に1個または2個のアルキルにより置換されていてもよい、
*ヘテロアリール基、この基は任意に(CH−ヘテロ環状アルキル基により置換されていてもよく、ここでkは0、1、2または3である、
*NH−R、ここでRは水素、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノアルキル、アミノアリールまたはアミノヘテロアリールである;
であり;および
nは1、2、3または4である。
【請求項2】
の意味中のヘテロアリールが、1個または2個のN−原子を含有する5−または6−員のヘテロアリール、好ましくはピリジンまたはピラゾール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
の意味中のヘテロアリールが、1個または2個のS−原子を含有する5−または6−員のヘテロアリール、好ましくはチオフェン基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Wの意味中のヘテロアリールが、一方の環にN、OおよびSの群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、他方の環がベンゼン環である縮合二環状ヘテロアリール基であって、この基は任意に窒素含有環が1個または2個のオキソ基により置換されていてもよく、およびベンゼン環が任意に1個または2個以上のハロゲン、アルキルまたはアルコキシにより置換されていてもよい縮合二環状ヘテロアリール基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Wの意味中のヘテロアリールが1−ベンゾイミダゾリル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Wの意味中のヘテロアリールのヘテロ環状アルキル置換基が、4〜7個の原子の飽和環であって、1個または2個の環員がO、SおよびNRからなる群から選択され、ここでRは水素またはアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
の意味中のヘテロアリールが一方の環中にN、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくはN)を含有し、および他方の環がベンゼン環である二環状縮合ヘテロアリール基、好ましくは2−ベンズイミダゾール基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
の意味中のヘテロアリールが−CO−アリールまたは−CO−NH−アリールであり、ここでこのアリール基は任意に、1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
1種または2種以上の請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を活性成分として、1種または2種以上医薬上で許容される補助物質とともに含有する医薬組成物。
【請求項10】
プロテインキナーゼ関連疾病の予防および/または処置用の医薬の調製における請求項1〜8のいずれかに記載の一般式(I)で表される化合物の使用。
【請求項11】
プロテインキナーゼ関連疾病、特にCDK9関連疾病の予防および/または処置に使用される請求項1〜8のいずれかに記載の一般式(I)で表される化合物。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の一般式(I)で表される化合物をこれを必要とする各対象に投与する、プロテインキナーゼ関連疾病、特にCDK9関連疾病の予防および/または処置方法。
【請求項13】
プロテインキナーゼ関連疾病がCDK9関連疾病である請求項10〜12のいずれかに記載の使用、化合物または方法
【請求項14】
疾病が細胞増殖性疾病、感染性疾病、痛み、心臓血管系疾病および炎症の群から選択される、請求項10〜13に記載の使用、化合物または方法。


【公表番号】特表2013−515047(P2013−515047A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545455(P2012−545455)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/HU2010/000145
【国際公開番号】WO2011/077171
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512163495)
【Fターム(参考)】