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プロテインホスファターゼ2Aに結合する、合成または天然ペプチドおよびその同定方法と使用
説明

プロテインホスファターゼ2Aに結合する、合成または天然ペプチドおよびその同定方法と使用

【課題】プロテインホスファターゼ2Aの特定の特異的活性を調節する各種タンパク質、特に、ウィルスタンパク質と寄生虫タンパク質もしくは細胞タンパク質のフラグメントの提供。
【解決手段】ウィルス感染症もしくは寄生虫感染症の治療、あるいは腫瘍の治療に使用するためのペプチドであって、サイズがアミノ酸30未満、好ましくは20未満、特に15〜20アミノ酸であり、in vitroでは、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素もしくはそのサブユニットと特異的に結合する、新規な合成ペプチドもしくは天然ペプチドであり、該ペプチドを同定する方法およびそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にウィルス感染症もしくは寄生虫感染症の治療、あるいは腫瘍の治療に使用するためのペプチドであって、サイズがアミノ酸30未満、好ましくは20未満、特に15〜20アミノ酸であり、in vitroでは、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素もしくはそのサブユニットと特異的に結合することを特徴とする、新規な合成ペプチドもしくは天然ペプチドに関するものである。本発明はまた、該ペプチドを同定する方法およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞プロテインホスファターゼ2Aの活性を調節する際の、本発明によるペプチドの役割に関しては、まず、プロテインホスファターゼ2Aおよびそれらの生理学的役割と、特定の細胞タンパク質、ウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質とそれらのとの相互作用に関する最近の知見に触れることが重要である。
【0003】
細胞生理機能は、タンパク質のリン酸化反応を調節することによって一部制御される。細胞タンパク質のリン酸化状態は、それらタンパク質をリン酸化するプロテインキナーゼとそれらを脱リン酸化するプロテインホスファターゼの拮抗作用に依存する。
【0004】
プロテインホスファターゼは、2種類の主なグループ、チロシンホスファターゼおよびセリン/スレオニンホスファターゼに分類される。セリン/スレオニンホスファターゼは、それらの基質の特異性および、特定の阻害剤すなわち1型ホスファターゼ(PP1)および2型ホスファターゼ(PP2)に対するそれらの感受性に従って決定される、2種類のカテゴリに分類される。2型ホスファターゼ自体は、ホスファターゼ2A(PP2A)、ホスファターゼ2Bもしくは、その活性がカルシウムによって調節されるカルシニューリンおよびその活性がマグネシウムによって調節されるホスファターゼ2C(PP2C)など、各種クラスに分類される。
【0005】
2A型ホスファターゼは、進化段階で極めて良く保存されており、現在、数多くの生物学的プロセスの調節に潜在的に関与していることが明らかになっている。PP2A型酵素が、転写の調節、細胞サイクルの制御もしくはウィルスの形質転換に関与していることは明らかである。さらに、PP2Aは、各種ウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質の標的となるので、宿主−病原菌間における相互作用におけるPP2Aの役割が示唆されている。
【0006】
PP2Aは、それぞれ、触媒サブユニット(C)および、一つもしくはふたつの調節サブユニット(A)および(B)を有するオリゴマー複合体(ホロ酵素)である。サブユニット(A)の構造は、その一部がサブユニット(B)および(C)と相互作用する、38〜40のアミノ酸からなる保存されたアミノ酸配列の15の不完全な反復で構成されている。進化において保存されたサブユニット(A)およびサブユニット(C)は、酵素の基本構造を構成しており、恒常的に発現する。これに対して、サブユニット(B)は、共通の構造を有しない調節タンパク質ファミリを構成し、差次的に発現する(Cohen P. The structure and regulation of protein phosphatases. Annu Rev Biochem 1989;58:453-508)。プロテインホスファターゼ2Aは、in vivoでは、二量体形式(AC)と三量体形式(ABC)の2種類の形態で、2つのクラスが存在している。サブユニット(B)は、ホスファターゼの活性と基質に対するその特異性を調節する。複数の形態のPP2Aが存在することは、in vivoにおけるPP2Aの別個の多様な機能と関連付けられる。
【0007】
近年、病原菌を用いて合成された各種タンパク質、特に、ウィルスタンパク質と寄生虫タンパク質が、プロテインホスファターゼ2Aの特定の特異的活性を調節することが示唆されている。
【0008】
宿主細胞におけるウィルスの複製と生存を容易にするために、PP2Aに関与する様々な戦略がウィルスによって取られている。一例として、パラインフルエンザ(parainfluenza)ウィルスは、PP2Aによって制御される、細胞由来のタンパク質であるPKCζタンパク質を、ウィルス粒子内に取り込む。これにより、宿主細胞のリン酸化を撹乱させ、それ自身の複製を促進させることができる(De BP, Gupta S, Barnejee AK. Cellular protein kinase Cζ regulates human parainfluenza virus type 3 replication. Proc. Natl Aced Sci USA 1995;92:5204-8)。
【0009】
papovaeまたはアデノウィルスなどといった形質転換能を有するいくつかのDNAウィルスや、1型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−1)などといったある種のレトロウィルスは、特定の宿主PP2Aと直接相互作用するタンパク質をコードする。これらウィルスのすべてが、構造的には異なっているにもかかわらず、特定のホロ酵素と相互作用し、ホスファターゼの活性を修飾するタンパク質を有している。
【0010】
特に、アデノウィルスのE4orf4タンパク質は、ヘテロ三量体PP2A、さらに詳しくは、調節サブユニット(B)に結合し、感染した細胞におけるJunBの転写を抑制する。この作用は、感染した細胞のアポトーシス性反応を調節することによって、ウィルスに感染している間、重要な役割を果たすと考えられる。興味深いことに、PP2AとE4orf4との相互作用により、p53に依存することなく、形質転換された細胞でアポトーシスが誘発されるということが実証されている(Shtrichman R et al, Adenovirus type 5 E4 open reading frame 4 protein induces apoptosis in transformed cells. J Virol 1998;72:2975-82)。
【0011】
SV40およびポリオーマウィルスをはじめとする、Papovae科の腫瘍発現ウィルスは、細胞の形質転換を誘発する。PP2Aが、SV40もしくはポリオーマの「small T」抗原および、ポリオーマのトランスフォーミング「middle T」タンパク質と相互作用することが実証されている。ウィルスタンパク質とPP2Aとのこのようの相互作用が、ウィルスによる形質転換に関与していることは明らかである。最後に、転写の調節、すなわち配列を調節するプロモータに特異的に結合する各種因子によって、細胞内で一般に行われているプロセスは、おそらく、PP2Aによるウィルス発現の制御に関与する最も重要なメカニズムであると考えられる。PP2Aは、AP1/SRE、NF−κB、Sp1およびCREBなど、特に細胞の成長と増殖プロセスに関与する多数の転写因子に対する負のレギュレーターであることが実証されている(Waszinski, B E, Wheat W H, Jaspers S, Peruski L F, J R Lickteig R L, Johnson G L, and Klemm D J,Nuclear protein phosphatase 2A dephosphorylates protein kinase A-phosphorylated CREB and regulates CREB transcriptional stimulation. Mol Cell Biol 1993 13, 2822-34)。これら転写因子のウィルスによる調節は、ウィルスの転写の調節を可能にする。
【0012】
HIV−1のウィルスタンパク質すなわちVprは、PP2Aとin votroで相互作用し、PP2Aの触媒活性を刺激する(Tung L et al, Direct activation of protein phosphatase 2A0 by HIV-1 encoded protein complex Ncp7:vpr.FEBS Lett 1997;401:197-201)。Vprは、p34cdc2−サイクリンB複合体の活性を阻害することによって、感染細胞のG2の休止期を誘発することができる。さらに、Vprは、転写因子Sp1と相互作用し、Sp1依存性HIV−1の転写における弱いトランス活性化因子として働く。したがって、ウィルス粒子に取り込まれたHIV−1のVprタンパク質は、Tat転写因子(HIV−1ウィルスによってコードされる転写の主要なレギュレーター)の発現の調節に明らかに不可欠と考えられるプロセスである、ウィルスの転写の開始にin vivoで関与しているはずである。
【0013】
寄生虫感染におけるプロテインキナーゼの役割は確証されているが、それとは異なり、セリン/スレオニンホスファターゼについては寄生虫学の分野で重要な潜在的レギュレーターとして過去3年間で認識され始めたばかりである。
【0014】
当初、2種類のセリン/スレオニンホスファターゼ、すなわちPpβとPfPPがプラスモディウム・ファルシパラムで同定された。寄生虫における1型および2A型ホスファターゼの活性が、酵素学的研究によって実証された。最後に、寄生虫酵素のPP2AとPP2Bを精製した。
【0015】
最近、ウシの寄生虫であるP.ファルシパラムによく似ているが、別の原虫であるタイレリア・パルバにおけるセリン/スレオニンホスファターゼの調査研究が行われた。この寄生虫が感染した単球宿主細胞と白血球宿主細胞は形質転換され、動物の体内で白血病が発症した。タイレリアに感染した細胞の精製した寄生虫は、プロテインキナーゼCK2αを発現した。サブユニット CK2αは、PP2Aと相互作用し、その活性を促進的に調節している(Heriche H, et al, Regulation of protein phosphatase 2A by direct interaction with casein kinase 2α. Science 1997;276:952-5)。さらに、CK2αサブユニットの発現を介したPP2Aの調節は、寄生虫が感染した細胞内におけるふたつのシグナル伝送経路、すなわち、一つはMAPキナーゼの経路(Chaussepied M et al. Theileria transformation of bovine leukocytes: a parasite model for the study of lymphoproliferation. Res Immunol 1996;147:127-38)、もう一つはプロテインキナーゼBの経路(Akt)(M Baumgartner, M Chaussepied, M F Moreau, A Garcia, G Langslay. Constitutive P13-K activity is essential for proliferation, but not survival, of Theileria parva-transformed B cells. Cellular Microbiol(2000) 2,329-339)を遮断する基盤を与え得る。
【0016】
PP2Aと相互作用する一連のタンパク質には共通のモチーフが欠落しているため、PP2Aとそれらタンパク質との結合に直接関与するペプチドモチーフの情報による同定が阻まれれる。
【0017】
上記のように、ウィルス‐宿主間における相互作用もしくは寄生虫‐宿主間における相互作用でのプロテインホスファターゼ2Aの主要な役割を考えると、PP2Aホロ酵素またはそれらのサブユニットのどれか一つとウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質との結合部位を同定し、これらウィルス病原菌もしくは寄生虫病原菌の新規な治療の目標を同定することが重要であると認識することができる。
【0018】
特に、PP2Aと相互作用するペプチドの同定により、PP2Aとの相互作用を介して、ウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質によって誘発される細胞内メカニズム、特に、感染、病原菌の増殖ならびに細胞の形質転換などのメカニズムを競合的阻害によって遮断することができる、新規な医薬を開発することが可能となる。
【0019】
本発明は、PP2Aホロ酵素もしくはそのサブユニットの一つに結合する、サイズの小さいペプチドを同定するための手段に関するものである。天然タンパク質またはサイズの大きいポリペプチドドメインとは対照的に、サイズの小さいペプチドは、高い収率および低コストで、化学的にもしくは細胞系において容易に合成されるという利点を有している。
【0020】
本発明のペプチドは、安定性にも非常に優れ、治療で使用することを考慮し、適切なベクターを使用して細胞の細胞膜や核に容易に移行させることができる。
【0021】
本発明は、サイズがアミノ酸30未満、特に、サイズがアミノ酸20未満であり、PP2Aホロ酵素もしくはそのサブユニットの一つと相互作用するペプチドを同定することが可能であるということが実証されたことから生まれたものである。
【0022】
特に、発明者らは、FrankおよびOverwingに記載の「SPOT合成」技術の使用により(Method in Molecular Biology, 1996, vol 66:149-169, Epitope Mapping Protocols edited by: G E Morris Humana Press Inc, Totowa NJ)、PP2Aホロ酵素もしくはそのサブユニットの一つと相互作用するタンパクの結合部位を同定できることを実証した。
【0023】
一例として、発明者らは、精製したPP2Aホロ酵素もしくはそのサブユニットの一つとin vitroで相互作用する、サイズがアミノ酸20未満のペプチドであって、HIV−1のVprタンパク質もしくはT.パルバ寄生虫のCK2αタンパク質由来のペプチドを同定した。これらペプチドに由来し、特定のPP2Aホロ酵素とウィルスタンパク質または寄生虫タンパク質との相互作用を阻害するという理由で選択される拮抗薬は、新規な抗腫瘍剤、抗ウィルス剤、もしくは抗寄生虫剤となりうる。
【0024】
本発明は、配列が、ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質または細胞タンパク質に由来し、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素またはそのサブユニットの一つに特異的に結合するペプチドを同定するための方法であって、
a)その配列がウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質、または細胞タンパク質に由来するペプチドを、スポットの形態で、支持体上にデポジットさせる工程であって、各スポットが、所定の配列を有するペプチドのデポジットに対応している工程、
b)支持体上に存在するペプチドが、プロテインホスファターゼ2Aホロ酵素またはそのサブユニットの一つと結合するのを可能にする条件の下で、該ホロ酵素またはそのサブユニットの一つを含有する溶液と固体支持体を接触させる工程、および、
c)タンパクホスファターゼ2Aまたはそのサブユニットの一つが結合するペプチドを、固体支持体上で同定する工程
を含む方法に関する。
【0025】
工程a)では、各種ペプチドを、固体支持体上の、それぞれ特定のペプチド配列に対応する定められた位置(「スポット」)にデポジットさせ、一連のペプチドが二次元ペプチドアレイを形成するようにする。近年、このようなアレイを調製するための各種方法が報告されている(詳細については、Figeys and Pinto, Electrophoresis 22:208-216;Walter et al, 2000, Curr Opin Microbiol 3:298-302を参照されたい)。これら一連の方法では、一般に、支持体上へのペプチドの共有結合による固着、特に化学的リンカーを使用した共有結合固着が行われている。一例として、当業者であれば、「SPOT合成」技術を上げることができる(Frank and Overwing, Methods in Molecular Biology, 1996, vol 66:149-169, Epitope Mapping Protocols, edited by:G E Morris, Humana Press Inc, Totowa NJ)。
【0026】
概して、デポジットしたペプチドと特定の化合物との間の特異的相互作用を検出するのに使用可能な、固体支持体上にデポジットしたペプチドアレイを産生できる方法であれば、どのような方法でも使用することができる。
【0027】
特に好ましくは、一連のデポジットされたペプチド配列が、それらの配列の由来元であるウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質もしくは細胞タンパク質の全配列を対象としていることが望まれる。そうすれば、この方法により、一般に配列同士が重複している有限数のペプチドに「区分化」された、所与のタンパク質の全配列を一回の工程で検査することができる。
【0028】
好ましい態様では、スポットの形態でデポジットされたペプチドのサイズが、アミノ酸20未満、特に、サイズがアミノ酸15未満であることが好ましい。
【0029】
さらに別の特定の態様では、ペプチドがセルロース膜上にデポジットされている。
【0030】
得られたアレイは、工程b)で、プロテインホスファターゼ2Aホロ酵素もしくはそのサブユニットの一つと接触させる。
「タンパクホスファターゼ2A型ホロ酵素」という用語は、細胞より精製された二量体(AC)またはヘテロ三量体(ABC)複合体、もしくはプロテインホスファターゼ2A型の二つのサブユニット(A)と(C)、さらに必要に応じてサブユニット(B)を精製した後で再構成した抽出物を意味する。プロテインホスファターゼ2A型は、哺乳動物由来であることが好ましい。
【0031】
支持体は、例えば精製したプロテインホスファターゼまたはその精製したサブユニットの一つを含有する緩衝液内で培養する。好適な緩衝溶液は、5%のスキムミルクと3%のBSAを含有するTBS(TRIS BORATE)である。
【0032】
プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素が結合するペプチドは、一般に、プロテインホスファターゼに対する直接的ラベリングもしくは間接的ラベリングならびに、ラベルされたタンパクが結合しているスポットの特定によって同定される。ペプチドスポットの一つに対する、PP2Aまたはそのサブユニットの一つの結合は、特にPP2Aのサブユニット(A)、(B)または(C)に対する抗体あるいはPP2Aのサブユニット(A)、(B)または(C)に対する抗体の混合物を、ペプチドアレイを有する支持体と培養した後で、ウエスタンブロット法もしくは固相ELISA検定に従来使用されている技術を使用すると、特に抗血清を用いて解明することができる。
【0033】
本発明の方法は、特に、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素またはそのサブユニットの一つとin vitroで結合できる、サイズがアミノ酸30未満またはアミノ酸20未満のペプチドであって、特に特定のウィルス感染症または寄生虫感染症の治療に使用されるペプチドの同定に応用できる。
【0034】
さらに、ペプチド合成分野における一般的知識を用いることにより、当業者は、上記有利な特性を有する、本発明の方法によって同定されるペプチドのフラグメントに由来するペプチドを産生することができる。
【0035】
このように、本発明は、サイズがアミノ酸30未満、好ましくはアミノ酸20未満の天然ペプチドまたは合成ペプチドであって、in vitroで、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素またはそのサブユニット(A)、(B)または(C)の一つと特異的に結合することを特徴とする、天然ペプチドまたは合成ペプチドを提供する。「特異的に結合する」という用語は、ペプチドがウィルス由来もしくは寄生虫由来のタンパク質が、PP2Aと結合するのを競合的に阻害することができることを意味する。
【0036】
本発明の好ましい態様では、本発明のペプチドは、ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質もしくは細胞タンパク質のフラグメントであって、該タンパク質は、in vitroでプロテインホスファターゼ2A型と結合するタンパク質であり、またはアミノ酸の置換もしくは欠失によって前記タンパク質フラグメントとは別異な配列でありながら、該別異な配列がプロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列であるペプチドであることを特徴としている。初期配列に比べ、別異な配列から置換もしくは欠失されたアミノ酸の数は、初期配列を構成するアミノ酸の数の20%以下、さらに好ましくは、10%以下であることが好ましい。さらに、この欠失により、PP2Aに対するペプチドのin vitroでの結合特性に影響がないアミノ酸のみが置換もしくは欠失されることが好ましい。
【0037】
特に、一つの別異な配列は、それが由来する元の配列に比べ、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに対する結合親和性が向上したペプチド配列である。さらに、上記の別異な配列は、最初に同定されたペプチド配列と相同なペプチド配列である。本発明で使用されている「相同なペプチド」という用語は、最初に同定されたペプチド配列以外の種のタンパク質に由来し、BESTFITプログラム(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, GCG)などといった従来の最適アライメントプログラムを用いて最初に同定されたペプチド配列と、初期配列との配列比較が可能であるような配列を意味している。特に、BESTFITプログラムなどの最適アライメントプログラムを用いて配列を比較した結果、配列Aと配列Bが少なくとも50%、好ましくは75%の相同性を有している場合には、該配列Aは、該配列Bと相同であるとみなされる。さらに、二つの配列は、配列全体の10%〜20%の可変性を示すいくつかの残基を除き、それら配列がほぼ同じである場合にも、相同であるとみなされる。
【0038】
さらに、同じ化学的機能を有するアミノ酸(ArgおよびLysなど)は等価であるとみなされる。PP2Aもしくはそのサブユニットの一つとの結合が分析されるペプチドは、概して、プロテインホスファターゼ2A型とin vivoもしくはin vitroで相互作用することが実証されている、ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質もしくは細胞タンパク質のフラグメントから選択される。
【0039】
特に、このようなウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質または細胞タンパク質は、下記のタンパクの一つから選択されている。すなわち、SV40またはポリオーマのt抗原、ポリオーマのmiddle t抗原、PP2AのB型(B、B′、B″)サブユニット、CK2α、CaMIV、p70S6キナーゼ、Pak1/Pak3、Tap42/alpha 4、PTPA、Set/I1/I2−PP2A、E4orf4、タウ、VprまたはCD28、CCXR2(ケモカインレセプター)の一つから選択される。
【0040】
本発明の好ましいペプチドは、CD28タンパク質のフラグメントであって、特にそれぞれFD2およびFD3と称するペプチドに対応する配列PRRPGPTRKHY(SEQ ID No: 33)および(PRRPGPTRK)2(SEQ ID No: 34)によって構成されるペプチドで、その細胞間透過能および細胞生存度に対する影響については、以下の実施例の項に記載されている。本発明はまた、アミノ酸の置換もしくは欠失によって、前記のタンパク質とは別異なペプチド配列であるにもかかわらず、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列に関する。
【0041】
本発明の一つの好ましいペプチドは、HIVウィルスのVprタンパク質のフラグメントであって、特にHIV−1もしくはHIV−2ウィルスのVprタンパク質のフラグメントあるいはアミノ酸の置換もしくは除去によって、前記のタンパク質フラグメントとは別異な配列でありながら、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列である。本発明には、EMBLデータベース内でアクセス番号P89821で開示されている、配列LFIHFRIGCQHSRIGITRRRRVRDGSSRP(SEQ ID No: 44)を有するVprタンパク質のフラグメントであるペプチドは含まれない。しかし、以下に述べる状況で、該ペプチドを使用することは、本発明の範囲内である。
【0042】
ここで引用するプロテインホスファターゼ2A型と相互作用するプロタミン由来の、ペプチドの特別な例は、配列RRRRRRRSRGRRRRTY(SEQ ID No: 41,FD8と称する)あるいはアミノ酸の置換もしくは欠失によりSEQ ID No: 41とは別異な配列でありながらプロテインホスファターゼ2A型またはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列を有するペプチドである。
【0043】
さらに好ましくは、本発明のペプチドは、以下の配列の一つに含まれることを特徴とする。
a)VEALIRILQQLLFIHFRI(SEQ ID No: 1)もしくは、
b)RHSRIGIIQQRRTRNG(SEQ ID No: 2)もしくは、
c)アミノ酸の置換もしくは欠失によってSEQ ID No: 1またはSEQ ID No: 2とは別異な配列でありながらプロテインホスファターゼ2A型またはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列。
【0044】
本発明の特に好ましいペプチドは、FD9と称する配列RHSRIG(SEQ ID No: 36)を有するペプチドからなる、またはこのペプチドを有するフラグメントであるが、その細胞間透過能および細胞生存度に対する影響については、以下の実施例の項に記載がある。
【0045】
本発明は、上記の本発明のペプチドを含むポリペプチドフレームワークを有する化合物であって、10〜150 Kダルトンの範囲内の分子量を持ち、プロテインホスファターゼ2Aと結合する能力を有している化合物にも関するものである。
【0046】
本発明は、本発明のペプチドの反復によって構成されていることを特徴とするポリペプチドにも関するものである。
【0047】
このようなポリペプチドの特定の例として、ペプチドRHSRIGポリマーであって、特に、それぞれFD10およびFD11と称する二量体(RHSRIG)2(SEQ ID No: 37)または三量体(RHSRIG)3(SEQ ID No: 38)が上げられるが、それらの細胞間透過能および細胞依存度に対する影響については、以下の実施例の項に記載がある。
【0048】
アミノ酸の置換もしくは欠失によってSEQ ID No: 1またはSEQ ID No: 2とは別異な配列を有し、本発明の範囲に含まれるペプチドについてここに引用するが、そのペプチドの配列は、SEC ID No:1もしくはSEC ID No:2の変異体における相同配列に対応する、HIV−1、HIV−2、およびSIVの各型の各種変異体のVprタンパク質の配列のいずれか一つに含まれている。
【0049】
PP2AのサブユニットAに結合すると特定されるドデカペプチドに対応するVEALIRILQQLL(SEQ ID No: 6)、ALIRILQQLLFI(SEQ ID No: 7)、IRILQQLLFIHF(SEQ ID No: 8)、ILQQLLFIHFRI(SEQ ID No: 9)、RHSRIGIIQQRR(SEQ ID No: 10)、SRIGIIQQRRTR(SEQ ID No: 11)およびIGIIQQRRTRNG(SEQ ID No: 12)の各配列を引用することができる。
【0050】
アミノ酸の欠失もしくは置換によってSEQ ID No: 2とは別異な本発明の特定の配列は、配列RHSRIGVTRQRRARNG(SEQ ID No: 40)であり、下記実施例においてFD13とも称せられる。
【0051】
本発明の好ましいペプチドは、配列SEQ ID No: 1およびSEQ ID No: 2から選択されたペプチドであって、その投与により腫瘍細胞のアポトーシスが誘発されることを特徴とするペプチドである。
【0052】
腫瘍細胞のアポトーシスを誘発可能なペプチドを選択する一つの方法は、例えば、実施例の項に記載のMTT生存度試験を用いて実施することができる。
【0053】
本発明の別の好ましい態様では、CK2αタンパク質のフラグメントに由来することを特徴としたペプチドが提供される。特に、天然ペプチドもしくは合成ペプチドは、タイレリア・パルバ寄生虫のCK2αタンパク質のフラグメントに由来していることを特徴とする。
【0054】
さらに、本発明のペプチドは、下記の配列の一つに含まれていることを特徴とすることが好ましい。
a)RKIGRGKFSEVFEG(SEQ ID No: 3)、
b)TVTKDCVIKILKPVKKKKIKREIKILQNL(SEQ ID No: 4)、
c)KILRLIDWGLAEFYHP(SEQ ID No: 5)、
d)P.ファルシパラムもしくはリーシュマニアに由来するSEQ ID No: 3、SEQ ID No: 4またはSEQ ID No: 5の相同配列、もしくは、
e)アミノ酸の置換もしくは欠失によって上記配列から由来した配列であり、プロテインホスファターゼ2Aまたはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する別異な配列であって、特に配列TVTKDKCVIKILKPVKKKKIKREIKILQNL(SEQ ID No: 43)。
【0055】
配列SEQ ID No: 3、SEQ ID No: 4もしくはSEQ ID No: 5とは別異なペプチド間で引用することができるのは、部位1(RKIGRGKFSEVFEG)(SEQ ID No: 3)からの配列、特に、配列RKIGRGKFSEVFを有するペプチドと配列IGRGKFSEVFEGもしくは部位2(TVTKDKCVIKILKPVKKKKIKREIKILQNL)(SEQ ID No: 4)からの配列を有するペプチドであって、特に、
【0056】
【表1】

【0057】
のペプチドであり、さらに、部位3 KILRLIDWGLAEFTHP(SEQ ID No: 5)からの配列または配列KILRLIDWGLAE(SEQ ID No: 23)を有するペプチド、配列LRLIDWGLAEFY(SEQ ID No: 24)を有するペプチドまたは配列LIDWGLAEFYHP(SEQ ID No: 25)を有するペプチドである。
【0058】
P.ファルシパラムにおけるCK2αタンパク質の部位3からの、T.パルバと相同な配列を有する本発明のペプチドの一例が、ペプチドRQKRLI(SEQ ID No: 42)である。本発明は、ペプチドRQKRLIのポリマーであって、特に実施例の項でFD7と称されている三量体(RQKRLI)3(SEQ ID No: 35)も含んでいる。
【0059】
本発明は、その投与により寄生虫の発育が抑制されることを特徴とする、寄生虫タイレリア・パルバのCK2αタンパク質に由来するペプチドに関していることが好ましい。
【0060】
本発明のペプチド更なる態様は、タウタンパク質からペプチドが由来することを特徴としている。タウ配列には、E4orf4アデノウィルスタンパク質の結合部位に対応するモチーフがある。アルツハイマ病の場合、タウタンパク質は、プロテインホスファターゼ2Aによって調節されている。したがって、このようなペプチドは、アルツハイマ病の治療に有効である。
【0061】
本発明の方法によって同定されるペプチドは、特定の腫瘍、特定のウィルス感染症もしくは寄生虫感染症の治療に特に有効である。当業者は、結合競合テストにより、本発明の方法を使用して同定される配列に由来する新規なペプチドであって、それが由来する天然タンパク質の、ホロ酵素PP2Aもしくはそのサブユニットの一つとの結合を競合的に阻害することを特徴とするペプチドを選択できる。
【0062】
したがって、本発明は、それが由来する天然タンパク質と、PP2Aホロ酵素またはそのサブユニットの一つとの相互作用を競合的に阻害することを特徴とする、上記の天然ペプチドもしくは合成ペプチドにも関するものである。
【0063】
特定の腫瘍もしくは特定のウィルス性感染症もしくは寄生虫感染症の治療においてin vivoで効果を有するため、本発明のペプチドは、真核細胞内に該ペプチドを移行させることができるベクターに結合することができる。ただし、以下に述べるように、本発明のペプチドは、それ自身に、細胞内透過能を保持させることも可能であり、このことはベクターを追加する必要がないことを意味している。
【0064】
当然のことながら、本発明は、本発明のペプチドを合成する手段にも関係している。特に、本発明は、本発明のペプチドをコードする配列からなることを特徴とするポリヌクレオチドに関するものである。好ましいポリヌクレオチドは、その配列が
【0065】
【表2】

【0066】
から選択される配列であり、それぞれがNOs:1〜5のペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0067】
本発明は、配列SEQ ID No: 26-30の一つに相補的な配列、およびストリンジェントな条件下で該ポリヌクレオチドにハイブリタイズする配列を有する、ポリヌクレオチドにも関している。
【0068】
「ストリンジェントな条件」という用語は、約65℃で例えば、6 x SSC、0.5%のSDS、5X Denhardt溶液、および100μgの非特異的キャリアDNAの溶液中、もしくはこれと等価なイオン強度を有する他の溶液中で、更に例えば、最高で0.2 x SSCおよび0.1%のSDS溶液もしくはこれと等価なイオン強度を有する他の溶液中で、65℃で洗浄した後に、二つの一重鎖DNA配列が特異的にハイブリタイズすることを可能にする条件を意味する。ストリンジェントな条件を定義するパラメータは、個々の対になる鎖の50%が分離する(Tm)温度によって決まる。30を越える塩基を有する配列の場合、Tmは関係式Tm=81.5+0.41(%G+C)+16.6log(陽イオンの濃度)−0.63(%ホルムアミド)−(600/塩基数)によって定義される。長さが塩基30未満の配列の場合には、Tmは、関係式Tm=4(G+C)+2(A+T)によって定義される。ストリンジェントな条件は、2001年のSambrookらに記載のプロトコルを用いても定義される(Molecular cloning: a laboratory manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor, Laboratory Press, Cold Spring Harbour, New York)。
【0069】
本発明の方法により同定されるペプチドモチーフの反復を有するポリペプチドを合成すると好都合であろう。したがって、本発明は、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドの多量体からなることを特徴とする、ポリヌクレオチドに関するものである。本発明はまた、本発明のペプチドの反復によって構成されていることを特徴とするポリペプチドにも関するものである。
【0070】
本発明は、上記のヌクレオチドと、宿主細胞における本発明のペプチドの発現を可能にする制御配列を有することを特徴とする細胞発現ベクターにも関するものである。
【0071】
本発明は、上記のような細胞発現ベクターを用いて宿主細胞を基質転換する工程、その後に、基質転換された宿主細胞を培養し、培地中のペプチドを回収する工程からなることを特徴とする、本発明に記載のペプチドを調製するための方法にも関する。
【0072】
本発明はさらに、抗血清、免疫血清もしくは精製されたポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体にも関し、該抗体、抗血清または免疫血清が、本発明のペプチドに特異的に結合できることを特徴とする。
【0073】
本発明の方法によって同定されるペプチドに対する特異的抗体は、例えば、本発明のペプチドを注入することにより動物を免疫し、産生された抗体を回収することによって取得することができる。モノクローナル抗体は、KohlerやMilstein(1975)に記載のハイブリドーマ方法など、当業者に知られた技術を用いて取得することができる。
【0074】
プロテインホスファターゼ2Aの標的に特異的な、取得された抗体は、免疫療法に特に有用である。一例として、これらは、ウィルスの発現もしくは寄生虫の発現を抑制するため、プロテインホスファターゼ2Aに対するウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質の拮抗薬として作用することができる。
【0075】
同様に、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、必要に応じて適切なベクターを用いて標的細胞の核に直接移入させ、対応するペプチドをin vivoでの発現させることができ、そのペプチドは、プロテインホスファターゼ2Aと該ペプチドが由来するウィルスタンパク質もしくは寄生虫タンパク質との特異的相互作用を競合的阻害によって遮断することができる。
【0076】
したがって本発明は、本発明のポリヌクレオチドもしくは本発明の抗体から選択される一つの要素を有する医薬組成物にも関するものである。
【0077】
本発明は、薬理学的に許容可能なビヒクルと共に本発明のペプチドの一つを有する医薬組成物にも関するものである。
【0078】
さらに本発明は、ウィルス感染症や寄生虫感染症の治療に使用するための医薬の調製における、上記の本発明のペプチドの使用にも関するものである。
【0079】
好ましくは、本発明は、HIVによる感染を防止することのできる医薬の調製における、その配列が上記のVprタンパク質のフラグメントに由来するペプチドの使用にも関する。
【0080】
本発明のペプチドは、細胞のプロテインホスファターゼ2Aの活性化と関連するアポトーシスの誘発を刺激するために、有利に選択することができる。したがって本発明は、標的細胞、特に腫瘍細胞のアポトースを促進することができる医薬の調製における、上記の本発明のペプチドの使用にも関するものである。
【0081】
さらに好ましい一つの態様では、本発明は、寄生虫感染症を防止することができる医薬の調製における、その配列がCK2αタンパク質のフラグメントに由来するペプチドの使用に関するものである。さらに詳細には、本発明は、マラリヤの治療に使用することを目的とした医薬の調製における、ペプチドの使用に関するものである。
【0082】
ウィルスに感染したり、寄生虫に感染すると、本発明のペプチドの配列を有するタンパク質が特異的に発現する。したがって、本発明のペプチドをコードする配列は、患者から採取した生体標本から抽出したRNAから特定の方法により、ウィルス感染または寄生虫感染を検出するためのプローブとして使用することが可能である。
【0083】
同様に、本発明の抗体は、感染中に発現するウィルスタンパク質や寄生虫タンパク質に含まれているペプチド配列を特異的に認識するために使用することができる。
【0084】
このように本発明は、寄生虫疾患もしくはウィルス性疾患のin vitroでの診断における、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の抗体の使用に関するものである。
【0085】
本発明は、プロテインホスファターゼ2Aに結合し、細胞透過能を有するペプチドの選択および使用にも関するものである。
【0086】
このようなペプチドの例が、T.パルバのCK2αタンパクに由来するペプチドFD6(SEQ ID No: 20)により示される。細胞にこのようなペプチドが存在していても、培養あるいは保存されている哺乳類の生きた細胞の生存度には影響を与えないということが、本発明で実証されている。
【0087】
以下の実施例の項では、本発明のペプチドを同定するための方法を、HIV−1のVprタンパク質からのペプチドおよび、タイレリア・パルバ寄生虫からのCK2αタンパク質のペプチドの同定に適用することについて説明する。本発明は、プロテインホスファターゼ2Aに結合し、細胞におそらく透過可能なペプチドであって、プロテインホスファターゼ2Aの活性を調整することのできる分子のターゲッティングならびに細胞内プロテインホスファターゼ2Aとの接触を可能にするペプチドの選択および使用にも関するものである。
【0088】
実施例
A.材料と方法
A.1 精製PP2Aタンパク質
PP2A1タンパク質三量体をブタの脳から均一に精製した。
PP2Aの構造的サブユニットの組換え体をE coliに発現させ、Cohenらに記載されているプロトコルを用いて(Cohen P, Alemany S, Hemmings B A, Resink T J, Stralfors P, Tung H Y, Protein phosphatase-1 and protein phosphatase 2A from rabbit skeletal muscle. Methods Enzymol 1988 159, 390-408)もしくはBoschらに記載されているプロトコルを用いて精製した(Bosch M, Cayla X, Van Hoof C, Hemmings B A, Ozen R, Merlevede W, Goris J, the PR55 and PR65 subunits of protein phosphatase 2A from Xenopus laevis. Molecular cloning and developmental regulation of expression. Eur J Biochem 1995, 230, 1037-45)。
【0089】
A.2 PP2AとのHIV Vprの結合部位ならびにタイレリア・パルバ(T parva) CK2αの結合部位を同定するための方法
上記「スポットペプチド」技術(Frank and Overwing, 1996 Meth Mol Biol 66, 149-169)を用いて、PP2Aと、(T.パルバ原虫によってコードされた)CK2αタンパク質もしくは(HIV−1ウィルスによってコードされた)Vprタンパク質由来のペプチドとの結合が同定された。
この方法は、対象となるタンパク質(VprもしくはCK2α)の配列全体がをその一連の配列によりカバーされていることを特徴とする、セルロース膜上の特定の位置において、in situでドデカペプチドを合成することからなる。膜上の2つの連続したスポットのペプチドは、2つのアミノ酸が重複している。
HIV−1のVprタンパクの配列全体をカバーする68個のドデカペプチドとタイレリアのCK2αタンパクの配列をカバーする205個のドデカペプチドを合成し、セルロース膜に共有結合させた。
はじめに、準備した膜を、5%のスキムミルクと3%のBSAを含有するTBSで室温で1時間飽和させ、その後で、4μg/mlの精製タンパク質(PP2AのサブユニットAまたはホロ酵素PP2A1)の存在下で、同じ緩衝液中で一晩培養した。構造タンパクA(図1Aと2A)に対する抗体で、ならびにPP2AのタンパクA、BおよびC(図1Bと2B)を認識する抗体の混合物で膜を培養した後、ウエスタンブロットにより、ペプチド配列と各精製したタンパク質(それぞれ構造サブユニットAまたは三量体のホロ酵素PP2A1)との特異的相互作用を明らかにした。
これらの膜を、培養に使用した通常のTBST緩衝液(TBS+TWEEN)で15分間5回洗浄し、その後で(ペロキシダーゼとカップルさせた)第二の抗体とともに室温でさらに1時間培養した。最後に膜を、TBST緩衝液で15分間5回洗浄し、分析に付した。
【0090】
A.3.細胞透過度テスト
1−細胞
ヒト頚ガン由来のヘラ細胞系を分析した。
2−吸収したペプチドの定量的判定
溶解緩衝液
0.1M Tris緩衝液、pH8、0.5% NP40含有
OPD緩衝液
25.7mlの0.2M二塩基リン酸ナトリウム+24.3mlの0.1Mクエン酸+50mlの蒸留水をpH5.0に調整。
ビオチン化アビジンペプチド複合体
4molのペプチドを1molのアビジンペロキシダーゼで培養した。室温で20分間。
−各種ペプチドのヘラ細胞に対する細胞間透過度の分析
ヘラ細胞(100l中104個)を、2.5%のペニシリン/アンピシリンと10%のウシの胎児血清の存在下で、完全DMEM培地が分注された96lのプレート(フラットベース)とともに注入した。CO2オーブン(5%)内で37℃の温度条件下で一晩培養した後に、さまざまに希釈した複合体(ビオチン化アビジンペロキシダーゼペプチド)を添加した。4時間培養した後に、上清を吸引し、細胞をPBSで3回洗浄し、トリプシン化したあとで、PBS内でカウントするために採取した。カウントした後に、細胞を300μlの溶解緩衝液内で回収した。
−ペルオキシダーゼ活性の測定
50μlのOPD緩衝液を50μlの溶解緩衝液もしくは50μlの細胞溶解物(概して、何回かの連続希釈を行った(1/2まで))で96ウェルのELISA内で培養した。分析のために、50μlのOPD溶液を添加した(暗所で)。100μlの1N HClにより反応(約10分)が停止した。
−結果の分析
ペルオキシダーゼの活性は、ELISAリーダー(620nmにおける基準フィルタ)内で490nmで読み取ることにより判定し、溶解物中におけるペルオキシダーゼの量を、較正曲線から計算し、次いで同数の細胞について推定した(103もしくは104)。
ペプチド分子=(6*1023/MWのペプチド)*POのng*10-9
【0091】
A.4.細胞生存度テスト
ヘラ細胞(100μl中104個)を、2.5%のペニシリン/アンピシリンおよび10%のウシの胎児の血清を含有する完全DMEM培地が分注された96ウェルプレート(フラットベース)に播種した。CO2オーブン(5%)内で37℃の温度条件下で一晩培養した後に、さまざまな濃度のペプチドの存在下で細胞を培養した。72時間培養した後に、ペプチドを含有する培地を吸引し、0.5mg/ml(DMEM単独で希釈)のMTTを各ウェルにつき100μl添加した。37℃の温度条件下で暗所で30分間培養し、その後でMTTを吸引して、取り出してから、50μlのDMSOをすべてのウェルに添加した。細胞が完全に溶解するまで10分間待ち、ウェル内の反応生成物の溶解を均質化するために溶解物ウェルを攪拌する必要があった。次に、プレートを690nmの基準フィルタを用いて570nmで読み取りをおこなった。
【0092】
B.結果と考察
B.1.2種類の病原菌(HIV−1とT.パルバ)によってコードされたタンパクのPP2A(PP2A1とサブユニットA)との結合部位を含むペプチド配列の同定
生成した三量体PP2Aホロ酵素と共にHIV−1のVprおよびT.パルバのCK2αの配列をカバーするペプチドを含有する膜を培養した結果、VprとCK2αのペプチドの5つの配列が、PP2Aに特異的に結合可能であると判断することができた。その結果を以下の表に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
さらに詳しくは、HIV−1のVprでは、タンパク質PP2A1(図1Bの「部位1」)およびサブユニットA(図1Aの「部位1」と「部位2」)との結合部位を含有する2個のペプチド配列を同定した。T.パルバのCK2αでは、タンパクPP2A1(図2Bの「部位3」)と構造的サブユニットAとの結合部位を含む3個のペプチド配列も同定した(図2Aの「部位1」、「部位2」および「部位3」)。
【0095】
B.2.PP2Aと結合するHIV−1 Vprペプチドを用いることの意義
HIV−1のVprの外因的発現またはプロウィルス感染による発現により、ヘラ細胞、Tリンパ系および一次リンパ球内でアポトーシスが誘発される(Stewart et al、1997 J Virol 71:5579-9)。Vprミュータント使用したところ、この作用は、細胞サイクルのG2フェイズにおける停止と相関関係を持つことがまず明らかとなった。最近になりVprが、G2における停止とは関係なく、アポトーシスを誘発可能であるということも実証された(Nishizawa et al、2000、Virology 27、16-26)。
E4orf4アデノウィルスタンパク質との相互作用の結果、PP2Aが活性化すると、形質転換した細胞でアポトーシスが誘発されるという報告がある(Shtrichman R et al、2000、Oncogene 19、3757-3765)。同様に、Vprの発現も、形質転換した細胞でアポトーシスを誘発する(Stewart et al、1999、PNAS、96、12039-12043)。
さらに、当技術分野で周知のVprミュータントを分析したところ、本発明のプロセスによって同定され、PP2Aタンパク質に特異的に結合するペプチドには、Vprのアポトーシス促進効果に必要な配列に関連する配列が含有されていることが示唆される。
このように、PP2Aと相互作用し、本発明のプロセスによって同定されるウィルスタンパク質VprおよびE4orf4のフラグメントは、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発するのに効果的である。
同定されたペプチドは、HIVや他の関連するウィルスおよびレトロウィルスによる感染を防止する際にも、当然使用することができる。
【0096】
B.3.PP2Aと結合するT.パルバ CK2α配列を用いることの意義
オカダ酸とSV40のsmall t抗原を使用したところ、PI3−キナーゼ、PKCζ(MAP−キナーゼ−キナーゼ−キナーゼすなわちMEKKとして同定)、MEKタンパクおよび2個のMAPキナーゼERK−1およびERk−2ならびに転写ファクタNF−κBおよびSp1が関与する新規なリン酸化反応カスケードを介して、PP2Aが細胞の増殖を制御することが実証された(Sontag E、Sontag J M、Garcia A(1997)、EMBO J、16、5662-5671;Ayllon V、Martinez A、C、Garcia A、Cayla XおよびRebollo A(2000)、EMBO J 19、1-10、A Garcia、S Cereghini、E Sontag(2000)、J Biol Chem 275、9385-9389)。さらに、MAPキナーゼのカスケードを調節する際のPP2Aの役割も、細胞CK2αサブユニットの過発現によりMEKタンパク質が活性化され、PP2Aを脱リン酸化することを実証した、Chambazのチーム(Heriche et al、(1997)、Science、276、952-955)による調査研究によって、示唆されている。
Ole-Moiら(Embo J、1993、12、1621-1631)による調査研究から、タイレリアによる形質転換が宿主タンパク質の過剰リン酸化を誘発することが明らかとなっている。この作用は特に、細胞CK2の恒常的な活性化に一部起因しており、その活性化自身は、寄生虫によってコードされ形質転換細胞の細胞質ゾルに分泌されるCK2α型サブユニットの作用に、依存している。
以下に指摘するように、本発明のプロセスによって同定された、PP2Aとの3つの結合部位に対応する配列の比較から、部位2で部分的に複写されているK−I−G/L−R/K型のモチーフの存在を同定することが可能である。
【0097】
【表4】

【0098】
興味深いことに、CK2αのATPの結合部位が、部分的に部位1と部位2をカバーしており、それは、サブユニットAとCK2αとの相互作用の結果、キナーゼの活性を阻害することを示唆している。さらに、以下の表2からも明らかなように、T.パルバのCK2αのPP2Aとの結合部位を含む3つの配列は、P.ファルシパラムおよびリーシュマニアの両寄生虫を含む多数の種において保存されている。
【0099】
表2:PP2Aとの結合部位を有するT.パルバからのペプチドと、CK2αの各種配列との比較(P.ファルシパラムの配列をESTから推定した。ほかは、「Swissprot」遺伝子バンクから得た)。T.パルバ配列とは異なる残基のみを示す。
【0100】
【表5】

【0101】
これらさまざまな種からのCK2αが、PP2Aと相互作用するということが、相互作用を注意深く分析することにより示唆される。例として、図2に記載され、部位3の最初の4個のアミノ酸が除去されているT.パルバのCK2αからのペプチド131は、PP2Aと結合することができる。このことは、最初の3個のアミノ酸が異なるリーシュマニア、P.ファルシパラムのCK2αが、PP2Aと結合するはずであるということを示唆している。これは、基本的に、PP2Aの結合部位でありうる、K/R−II/L−I/Lの複製をKILRLIモチーフが所有しているという事実と一貫性がある。
これらペプチドの細胞内の存在は、タンパク質のPP2Aとのin vivoにおける結合部位に対応するため、これら寄生虫の成長を妨げることが可能である。
【0102】
B.4.細胞に対する本発明のペプチド化合物の生物学的作用
表3に列挙されている各種ペプチドをビオチン化形態で合成し、HPLC(Neosystem)によって精製し、細胞内透過度と細胞の生存度に対するそれらの作用をヘラ細胞で分析した。表1に示されている一連のペプチドに関する調査研究によって、ヘラ細胞内に透過する可能性がある6個のペプチドを同定することができた(図3)。
・FD6:T.パルバ CK2αタンパク質とPP2AのAサブユニットが相互作用する部位由来の12AAペプチド
・FD7:6AAヘキサモチーフの3回の反復に対応する18AAペプチド。P.ファルシパラム CK2α由来のこの配列は、PP2Aと結合するT.パルバ配列と相同性である
・FD8:プロタミン由来のペプチド(周知のPP2A活性化因子である)
・FD11:FD14の配列由来の6AAヘキサモチーフの3回の反復に対応する18AAペプチド
・FD14:HIV−1 Vprから特徴づけした、PP2Aとの結合部位を再生するFD14
・FD13:このペプチドは、FD14ペプチド配列と相同であるHIV−1 Vpr配列に相当し、別のHIV−1 VprとPP2Aとの結合部位を表す。
さらに、表1に示されている一連のペプチドで実施した生存度に関する調査研究により、ヘラ細胞の生存度を阻害する3個のペプチドを同定することができた。
・FD8:ヘラ細胞の生存度に影響する(図4A)
・FD14:ヘラ細胞の生存度に明らかに影響する(図4B)
・FD12:配列がFD11ペプチドの配列に由来する、18AAペプチド(RをAに変異させている)。Chlamydia muridarumのグルコサミントランスフェラーゼタンパク質と相同なこのペプチドは、ヘラ細胞の生存度に影響を与える(図4C)。この生物学的作用は、原形質膜との相互作用によるものであると考えられる。
【0103】
【表6】

【0104】
〔考察〕
PP2Aと相互作用する特定のタンパク質由来のペプチドは、新規な抗腫瘍アプローチとなりうるか。
我々の研究により、PP2Aと相互作用することが知られている2種類のタンパク質すなわちVprとプロタミン由来の2種類の透過性ペプチド(FD8/FD14)を同定することができた。アルギニンとリシンリッチな共通配列を有するこれらのペプチドは、一般的吸収メカニズムを用いて細胞内へ透過することができる。アルギニンリッチな配列を有するペプチドの吸収で共通に使用されるこのようなメカニズムは、最近提案されたものである(Tomoki Suzuki et al、2002、Possible exstence of common interlization mechanisms among arginine-rich peptides、JBC 277、2437-2443)。概して、アルギニンもしくはリシンリッチな配列の存在により、PP2Aと結合するタンパク質が特徴づけられ、他の透過性ペプチドをPP2Aファミリーで同定する可能性を示唆している。
【0105】
HIV−1によりコードされるタンパク質であるVprは、高ウィルス負荷の保持およびHIVの発症の確立に関与する。Vprの発現は、外因性であれ、HIV−1プロウィルス感染によるものであれ、ヘラ細胞、Tリンパ系細胞、一次リンパ球ならびに形質転換細胞においてアポトーシスを誘発する(Stewart et al、J Virol 1997、71、5579-9;Stewart et al 1999、PNAS、96、12039-12043)。さらなるウィルスタンパク質すなわちアデノウィルスE4orf4とPP2Aとの相互作用によって、腫瘍細胞のアポトーシスが誘発されることが報告されている(Marcellus et al、J Virol 2000、74、7869-7877)。全体として、これらの結果は、特定のPP2Aの活性化によって腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する新規な手段であるという仮説を示唆するものである。これに関して、図4Bに示した我々の実験結果は、HIV−1 Vpr由来のF14ペプチドが抗腫瘍バイオペプチドとなりうることを示唆している。ペプチドFD13(FD14と比較し、アミノ酸4個分異なる配列−表2を参照)では生物学的作用が存在しないことから、FD14の構造がヘラ細胞の生存度を調節する際に不可欠であるということが示唆された。したがって、FD14ペプチドの構造を模倣する化学分子の産生が、新規な抗腫瘍物質を生成するのを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】PP2A(A)の構造的サブユニットAおよびホロ酵素PP2A1(B)による、HIV−1のVprの配列を有するペプチドを含む膜のスクリーニング。4つのペプチド54〜57の配列により、部位2の配列VEALIRILQQLLFIHFRI(SEQ ID No: 1)を定義している。
【表7】


3つのペプチド64〜66の配列により、部位1の配列RHSRIGIIQQRRTRNG(SEQ ID No: 2)を定義している。
【表8】


【図2】PP2A(A)の構造的サブユニットAと(B)ホロ酵素PP2A1によるタイレリアのCK2αの配列を有するペプチドを含む膜のスクリーニング。2つのペプチドの配列により、部位1の配列RKIGRGKFSEVFEG(SEQ ID No: 3)を定義している。
【表9】


10のペプチド74〜83の配列により、部位2の配列TVTKDKCVIKILKPVKKKKIKREIKILQNL(SEQ ID No: 4)を定義している。
【表10】


3つのペプチドの配列により、部位3の配列KILRLIDWGLAEFTHP(SEQ ID No: 5)を定義している。
【表11】


【図3】図3は、表3に記載されているペプチドに関する細胞透過度テストを用いて取得した細胞内透過度値を表すヒストグラムである。
【図4A】MTT生存度テストを用いて評価したヘラ細胞の生存度に対する各種ペプチドの作用を表している。ヘラ細胞(初期集団に対するパーセンテージで表されている)の生存度は、ペプチドFD8(4A),FD13/FD14(4B)およびFD11/FD12(4C)の存在下に濃度を上げて、ヘラ細胞の生存度を試験した。
【図4B】MTT生存度テストを用いて評価したヘラ細胞の生存度に対する各種ペプチドの作用を表している。ヘラ細胞(初期集団に対するパーセンテージで表されている)の生存度は、ペプチドFD8(4A),FD13/FD14(4B)およびFD11/FD12(4C)の存在下に濃度を上げて、ヘラ細胞の生存度を試験した。
【図4C】MTT生存度テストを用いて評価したヘラ細胞の生存度に対する各種ペプチドの作用を表している。ヘラ細胞(初期集団に対するパーセンテージで表されている)の生存度は、ペプチドFD8(4A),FD13/FD14(4B)およびFD11/FD12(4C)の存在下に濃度を上げて、ヘラ細胞の生存度を試験した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitroで、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素またはそのサブユニットの一つと特異的に結合することを特徴とする、サイズが30アミノ酸未満、好ましくは20アミノ酸未満のペプチド。
【請求項2】
ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質もしくは細胞タンパク質のフラグメントであって、該タンパク質は、in vitroでプロテインホスファターゼ2A型と結合するタンパク質であり、またはアミノ酸の置換もしくは欠失によって前記タンパク質フラグメントとは別異な配列でありながら、該別異な配列がプロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列であることを特徴とする、請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
該ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質または細胞タンパク質が、SV40もしくはポリオーマのt抗原、ポリオーマのmiddle t抗原、PP2AのB(B、B′、B″)型サブユニット、CXCR2(ケモカインレセプター)、CK2α、CaMIV、p70S6―キナーゼ、Pak1/Pak3、Tap42/alpha 4、PTPA、Set/I1/I2−PP2A、E4orf4、タウ、CD28またはVprの各タンパク質から選択されることを特徴とする、請求項2記載のペプチド。
【請求項4】
下記ペプチド配列:
a)PRRPGPTRKHY(SEQ ID No: 33)、または、
b)アミノ酸の置換もしくは欠失によりa)に記載の配列とは異なる配列でありながら、該配列がプロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列
から選択されるCD28タンパク質のフラグメントであることを特徴とする、請求項3記載のペプチド。
【請求項5】
該ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質または細胞タンパク質が、HIVウィルスのVprタンパク質であることを特徴とする、請求項3記載のペプチド。
【請求項6】
該Vprタンパク質が、HIV―1またはHIV−2ウィルスに由来することを特徴とする、請求項5記載のペプチド。
【請求項7】
下記ペプチド配列:
a)RRRRRRRSRGRRRRTY(SEQ ID No: 41)、または、
b)アミノ酸の置換もしくは欠失によってa)に記載の配列とは異なる配列でありながら、該配列が、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列
から選択されることを特徴とする、請求項6記載のペプチド。
【請求項8】
下記ペプチド配列:
a)VEALIRILQQLLFIHFRI(SEQ ID No: 1)、
b)RHSRIGIIQQRRTRNG(SEQ ID No: 2)、または、
アミノ酸の置換もしくは欠失によってSEQ ID No:1もしくはSEQ ID No:2とは異なる配列でありながら、該異なる配列が、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持する配列
の一つに含まれることを特徴とする、請求項6記載のペプチド。
【請求項9】
配列RHSRIGVTRQRRARNG(SEQ ID No: 40)
であることを特徴とする、請求項8記載のペプチド。
【請求項10】
配列RHSRIG(SEQ ID No: 36)からなることを特徴とする、請求項8記載のペプチド。
【請求項11】
その投与により、腫瘍細胞のアポトーシスが誘発されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項12】
ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質または細胞タンパク質が、CK2αタンパク質であることを特徴とする、請求項3記載のペプチド。
【請求項13】
該CK2αタンパク質が、タイレリア・パルバ寄生虫に由来することを特徴とする、請求項12記載のペプチド。
【請求項14】
その投与により、寄生虫の発育が抑制されることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
下記配列:
a)RKIGRGKFSEVFEG(SEQ ID No: 3)、
b)TVTKDCVIKILKFPVKKKKIKREIKILQNL(SEQ ID No: 4)、
c)KILRLIDWGLAEFYHP(SEQ ID No: 5)、もしくは、
d)P.ファルシパラムもしくはリーシュマニア由来の、SEQ ID No: 3、SEQ ID No: 4もしくはSEQ ID No: 5の相同配列、または、
アミノ酸の置換もしくは欠失によって前記配列から由来した配列であって、該別異な配列が、プロテインホスファターゼ2A型もしくはそのサブユニットの一つに結合する特性を保持し、特に、TVTKDKCVIKILKPVKKKKIKREIKILQNL(SEQ ID No: 43)である配列
のひとつに含まれることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項16】
ペプチドRQKRLI(SEQ ID No: 42)であることを特徴とする、請求項15記載のペプチド。
【請求項17】
由来元である天然タンパク質と、PP2Aホロ酵素またはそのサブユニットの一つとの相互作用を競合的に阻害することを特徴する、請求項1〜16のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項18】
真核細胞に該ペプチドを移行させすることのできるベクターに結合することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項記載のペプチドの反復により構成されていることを特徴とするポリペプチド。
【請求項20】
下記配列:
a)(RHSRIG)2(SEQ ID No: 37)、
b)(RHSRIG)3(SEQ ID No: 38)、または、
c)(RQKRLI)3(SEQ ID No: 35)
から選択されることを特徴とする、請求項19記載のポリペプチド。
【請求項21】
配列が、請求項1〜20のいずれか一項記載のペプチドをコードする配列からなることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列SEQ ID No: 26、配列SEQ ID No: 27、配列SEQ ID No: 28、配列SEQ IDNo:29、または配列SEQ ID No: 30からその配列が選択されることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載のポリヌクレオチドの多量体からなることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか一項記載のポリヌクレオチドと、請求項1〜20のいずれか一項記載のペプチドの宿主細胞内における発現を可能にする調節配列を含むことを特徴とする、細胞発現ベクター。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか一項記載のペプチドのいずれか一つに特異的に結合できることを特徴とする、精製されたポリクローナルまたはモノクローナル抗体。
【請求項26】
請求項1〜20のいずれか一項記載のペプチドを、薬学的に許容可能なビヒクルと共に含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項27】
請求項21〜23のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項24に記載の発現ベクター、または請求項25に記載の抗体から選択される成分を含む、医薬組成物。
【請求項28】
以下の配列:
・SEQ ID No: 38、
・SEQ ID No: 40、
・SEQ ID No: 41
から選択されていることを特徴とする、ペプチド。
【請求項29】
配列SEQ ID No: 20を有することを特徴とする、ペプチド。
【請求項30】
ウィルスまたは寄生虫感染症の治療用薬剤の調製における、請求項1〜20、28または29のいずれか一項に定義されるペプチドまたはポリペプチドの使用。
【請求項31】
HIVによる感染を防止することができる薬剤の調製における、請求項5〜10、28または29のいずれか一項に定義されるペプチドもしくはポリペプチドの使用。
【請求項32】
標的細胞、特に、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発することができる薬剤の調製における、請求項5〜20または請求項28のいずれか一項に定義されるペプチドの使用。
【請求項33】
寄生虫による感染を防止することができる薬剤の調製における、請求項12〜16のいずれか一項に定義されるペプチドの使用。
【請求項34】
マラリアの治療に使用することを目的とした薬剤の調製における、請求項12〜16のいずれか一項に定義されるペプチドの使用。
【請求項35】
寄生虫性疾患またはウィルス性疾患のin vitroでの診断における、請求項21〜23のいずれか一項記載のポリヌクレオチドまたは請求項25記載の抗体の使用。
【請求項36】
配列が、ウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質、または細胞タンパク質に由来し、プロテインホスファターゼ2A型ホロ酵素またはそのサブユニットの一つに特異的に結合するペプチドを同定するための方法であって、
a)その配列がウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質、または細胞タンパク質に由来するペプチドを、スポットの形態で、支持体上にデポジットさせる工程であって、各スポットが、所定の配列を有するペプチドのデポジットに対応している工程、
b)支持体上に存在するペプチドが、プロテインホスファターゼ2Aホロ酵素またはそのサブユニットの一つと結合するのを可能にする条件の下で、該ホロ酵素またはそのサブユニットの一つを含有する溶液と固体支持体を接触させる工程、および、
c)プロテインホスファターゼ2Aまたはそのサブユニットの一つが結合しているペプチドを、固体支持体上で同定する工程
を含む方法。
【請求項37】
スポットの形態でデポジットさせたペプチドのサイズが、20アミノ酸未満、好ましくは15アミノ酸未満であることを特徴とする、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、セルロース膜上にデポジットされていることを特徴とする、請求項36または請求項37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
一連のデポジットされたペプチド配列が、それら配列が由来するウィルスタンパク質、寄生虫タンパク質、または細胞タンパク質の完全配列を包含することを特徴とする、請求項36〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
請求項24に定義される細胞発現ベクターを使用して宿主細胞を形質転換する工程、その後に、形質転換された宿主細胞を培養し、培地中のペプチドを回収する工程を含む、請求項1〜20、28または29のいずれか一項に定義されるペプチドを調製するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2009−112309(P2009−112309A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288017(P2008−288017)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2003−517089(P2003−517089)の分割
【原出願日】平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願人】(593218462)インスティチュート・パスツール (19)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR
【出願人】(501455301)インスティチュート・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシェ・アグロノミック (2)
【出願人】(504035010)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (2)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】