説明

プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いる抗体の精製方法

本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させ、溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、5%未満の高次凝集体を含み、約3.5〜約4.5のpHを有し、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む、単量体モノクローナル抗体を精製するための方法を提供する。本発明はまた、場合によってはアミノ酸の存在下、アセタートまたはシトラートで溶出することを含む、単量体モノクローナル抗体を精製するための方法を提供する。本発明はまた、ある温度範囲内で行うことを含む、単量体モノクローナル抗体を精製するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の全体にわたり、括弧内のアラビア数字により種々の参考文献が参照されている。本発明が関連する最新技術をより完全に記載するために、これらの刊行物の開示の全体を参照により本出願に組み入れることとする。これらの参考文献の完全な書誌的引用は特許請求の範囲の直前に見出されうる。
【背景技術】
【0002】
過去十年間に、治療用モノクローナル抗体(mAb)の用途が相当に増加している。これらのタンパク質の精製および製剤化におけるmAbの安定性が現在の課題である。mAbの不安定性はタンパク質製剤中の高レベルの凝集mAbを与え、これは、タンパク質活性の変化および潜在的に患者における望ましくない免疫応答を招くことを含む幾つかの欠点を有しうる。
【0003】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーは、抗体を精製するための有力で広範に用いられている手段である。プロテインA樹脂からタンパク質または抗体を溶出するためには、モノクローナル抗体の、該樹脂に対する高いアフィニティーのため、酸性条件が要求される。これらの酸性条件に対する曝露はタンパク質凝集体の形成を引き起こしうる。プロテインAクロマトグラフィー中の凝集に対処するための幾つかの方法が既に文献に記載されている(1,2,3,4,5,6)。更に、溶出後の低pH維持段階がウイルスの不活性化のために要求され、これもタンパク質凝集体の形成を引き起こしうる(7,8,9)。
【0004】
従来、mAb製剤中のタンパク質凝集を軽減するための1つのアプローチは、追加的なクロマトグラフィー段階を行うことであった。この解決手段は材料および加工時間の点で高い経費を要し、また、それは各段階で産物の喪失を引き起こし、これはmAb産物の総収量を減少させうる。
【0005】
mAb製剤中のタンパク質凝集を軽減するためのもう1つの従来のアプローチは、アフィニティークロマトグラフィー段階後のタンパク質凝集の量を減少させるためにピーク・カッティング(peak cutting)のような進んだクロマトグラフィー方法を用いることであった。これらのアプローチは長時間を要し、それらは失敗に終わることが多く、ヒトに使用するのに適したmAb製剤を得るためには追加的なクロマトグラフィー段階を要する。
【0006】
mAb製剤中のタンパク質凝集を軽減するための更にもう1つの従来のアプローチは、安定剤を使用することであった。これは、タンパク質安定性の変化、更なる精製段階における問題および患者における潜在的に望ましくない免疫応答を含む幾つかの欠点を有しうる。
【0007】
本発明の主題である方法は、ヒトに使用するのに適した単量体モノクローナル抗体を精製するために、モノクローナル抗体製剤中のタンパク質凝集を軽減するための、より簡便かつより経済的な方法に対する需要に対処するものである。
【発明の概要】
【0008】
発明の概括
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第1の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させ、(b)溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.5のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0009】
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第2の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、(b)約0.030M〜約0.085Mの濃度のシトラートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.0のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第3の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、(b)約0.050M〜約0.200Mの濃度のアセタートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.5のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0011】
発明の詳細な説明
定義
本明細書中で用いる「タンパク質」または「ポリペプチド」なる語は、ペプチド結合により互いに共有結合したアミノ酸残基から構成されるポリペプチドを意味するものとする。
【0012】
本明細書中で用いる「抗体」、「免疫グロブリン」および「免疫グロブリン分子」なる語は互換的に用いられるものとする。各抗体は、その特異的抗原にそれが結合するのを可能にする特有の構造を有するが、すべての抗体は、本明細書に記載されているのと同じ全体的構造を有する。基本的な抗体構造単位はサブユニットの四量体を含むことが公知である。各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアを有し、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識をもたらす約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能をもたらす定常領域を定める(10)。
【0013】
「Fc」フラグメントなる語は、C2およびC3ドメインを含有する、抗体のC末端領域「結晶性フラグメント」を意味するものとする。「Fab」フラグメントなる語は、V、C1、VおよびCドメインを含有する、抗体の「フラグメント抗原結合」領域を意味するものとする。
【0014】
本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」(mAb)なる語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味するものとする。すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる可能な天然で生じる突然変異の場合を除き同一である。モノクローナル抗体は単一の抗原部位に対して高特異的である。更に、種々の決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を典型的に含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各mAbは該抗原上の単一の決定基に対するものである。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンの混入を伴わないハイブリドーマ培養により合成されうる点で好都合である。「モノクローナル」なる語は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特性を示すものであり、いずれかの特定の方法による該抗体の製造を要すると解釈されるべきではない。例えば、本明細書におけるモノクローナル抗体は、Kohlerら,(1975)Nature,256:495に最初に記載されたハイブリドーマ法により製造されることが可能であり、あるいは組換えDNA法により製造されうる(11)。
【0015】
本明細書中で用いる「単量体モノクローナル抗体」なる語は、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含有する(すなわち、単量体)抗体分子を意味するものとする。
【0016】
本明細書中で用いる「抗DKK−1」抗体は、配列番号1および配列番号2に記載されている軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を意味するものとする。図22を参照されたい。
【0017】
本明細書中で用いる「抗ADDL」抗体は、本明細書中の配列番号3および配列番号4または配列番号4または配列番号5および配列番号6に記載されている軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を意味するものとする。それぞれ図23および図24を参照されたい。
【0018】
本明細書中で用いる「抗hIL−13rα1」抗体は、配列番号7および配列番号8に記載されている軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を意味するものとする。図25を参照されたい。
【0019】
本明細書中で用いる「修飾IgG2抗体」は、図26に示されるアミノ酸配列により表されるモノクローナル抗体の「IgG2m4」Fc領域を有する抗体を意味するものとする。
【0020】
本明細書中で用いる「二量体」なる語は、単量体と称される2つのサブユニットよりなる生物学的分子を意味するものとする。本発明の「二量体」は、2つの単量体モノクローナル抗体を含有する分子を意味するものとする。
【0021】
本明細書中で用いる「高次凝集体」または「HOA」なる語は、典型的には300kDa(すなわち、二量体分子量)を超える、単量体モノクローナル抗体の大きなオリゴマーを意味するものとする。
【0022】
本明細書中で用いる「凝集体」または「凝集」なる語は、2以上の個々の分子の塊またはオリゴマー化(すなわち、タンパク質凝集体またはタンパク質凝集)を意味するものとする。タンパク質凝集体は可溶性または不溶性でありうる。
【0023】
本明細書中で用いる「不純物」は、所望のタンパク質産物とは異なる物質(例えば、タンパク質凝集体)を意味するものとする。不純物は所望のタンパク質または別のタンパク質の変異体でありうる。本明細書における不純物の具体例には、所望のタンパク質を産生する宿主細胞からのタンパク質、例えば宿主タンパク質、浸出プロテインA、DNA、RNAなどが含まれる(例えば、米国特許出願公開第US2005/0038231号を参照されたい)。
【0024】
本明細書中で用いる「タンパク質分解」なる語は、ある条件下で分解して二量体またはそれ以上の高次凝集体を形成する単量体モノクローナル抗体またはタンパク質を意味するものとする。
【0025】
一次回収はプロテインAクロマトグラフィーに対する供給流(feed stream)を与える。この供給流を示すために用いられる1つの用語は「デプス・フィルタード・セントレート(depth filtered centrate)」と称され、本明細書中で用いられる場合には、遠心分離(細胞および残渣除去)およびデプス・フィルトレーション(depth filtration)(<10μmの微細残渣の除去)により処理されたモノクローナル抗体またはタンパク質溶液を意味するものとする。本発明においては、デプス・フィルタード産物がプロテインAアフィニティークロマトグラフィーの研究用実験のための及び種々の臨床ロットの製造のための供給溶液として使用される。
【0026】
「プロテインAアフィニティークロマトグラフィー」なる語は、プロテインAを使用する物質および/または粒子の分離または精製を意味するものとし、ここで、該プロテインAは一般には固相に固定化されている。プロテインAは、元々はスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)において見出された40〜60kDの細胞壁タンパク質である。プロテインA樹脂への抗体の結合は高特異的である。プロテインAは免疫グロブリンのFc領域に高いアフィニティーで結合する。それはヒトIgG1およびIgG2ならびにマウスIgG2aおよびIgG2bに高いアフィニティーで結合する。プロテインAはヒトIgM、IgAおよびIgEならびにマウスIgG3およびIgG1に中等度のアフィニティーで結合する。C2/C3領域を含むタンパク質はプロテインAに可逆的に結合または吸着しうる。本発明におけるプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用されるプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムは、アガロース固相、例えばMABSELECT(商標)またはMABSURE(商標)カラム(Amersham Biosciences Inc.)上に固定化されたプロテインA;ポリスチレン固相、例えばPOROS 50A(商標)カラム(Applied Biosystems Inc.)上に固定化されたプロテインAを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本方法に関連して用いられる「サンプル」には、任意の身体組織、血液、血清、血漿、脳脊髄液、リンパ球、浸出物または細胞培養からの上清が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「負荷(load)」または「ローディング」なる語は単位体積当たりのタンパク質の量を意味するものとする。
【0029】
本明細書中で用いる「接触」なる語は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムにおけるプロテインA樹脂にモノクローナル抗体を接触させることを意味するものとする。
【0030】
本明細書中で用いる「溶出バッファー」なる語は、該プロテインAアフィニティーカラムから該抗体を溶出するために使用される例えばクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような主要種を含むバッファーを意味するものとする。
【0031】
本明細書中で用いる「シトラート」なる語は、対応する酸または塩に由来する、該溶出バッファー中に存在するアニオン種を意味するものとする。
【0032】
本明細書中で用いる「アセタート」なる語は、対応する酸または塩に由来する、該溶出バッファー中に存在するアニオン種を意味するものとする。
【0033】
「1以上の画分(画分の1以上)を集める」において本明細書中で用いる「画分」なる語は、ある量の混合物(固体、液体、溶質または懸濁液)がより少量の幾つかの量(「画分」)に分割される分離プロセス(この場合、勾配に従って組成が変化する)の結果物を意味するものとする。ここでは、該単量体モノクローナル抗体が該プロテインAアフィニティーカラムから溶出するにつれて画分が集められる。
【0034】
本明細書中で用いる「再生バッファー」なる語は、結合不純物を除去するために該カラムを浄化するために使用されるバッファーを意味するものとする。例えば、高塩バッファー、NaOH含有またはリン酸含有バッファー(13)が挙げられる(13)。
【0035】
本明細書中で用いる「カラム容積」または「CV」なる語は、いずれかのゲル粒子内部容積を含むカラム内部の充填樹脂の容積を意味するものとする。例えば、10mLカラムに2mLの樹脂が充填されている場合、1CVは2mLである。
【0036】
本明細書中で用いる「滞留時間」なる語は、該産物の一部分が該樹脂と相互作用する時間の長さを意味するものとする。
【0037】
本明細書中で用いる「流量」なる語は、カラム容積を滞留時間で割り算したものを意味するものとする。例えば、5分間の特定滞留時間における10mLの樹脂のカラムに関する流量は以下のようになるであろう。
【0038】
【数1】

【0039】
本明細書中で用いる「プロテインA産物」または「PAP」なる語は、例えばクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような酸を使用してプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出された産物を意味するものとする。
【0040】
本明細書中で用いる「クエンチ化(quenched)プロテインA産物」または「QPAP」なる語は、PAPのpHをpH約3.0〜4.0から約6.0〜7.5へと上昇させるために例えばトリス(tris)塩基またはホスファート溶液のような塩基がPAPに付加されたものを意味するものとする。
【0041】
本明細書中で用いる「収率」なる語は、回収された産物の量を、該カラムにローディングされた量で割り算し100を掛けたものを意味するものとする。例えば、100グラムの産物を含有する溶液でローディングされたが、そのうちの80グラムの産物が溶出流から回収されたカラムは、80%の収率を有するであろう。
【0042】
本明細書中で用いる「示差走査熱量測定法」または「DSC」なる語は、温度の関数としてサンプルおよび対照の温度を増加させるのに要した熱量における差を測定する熱分析技術を意味するものとする。タンパク質の場合、DSCは、タンパク質およびその個々のドメインの熱安定性に関する並びに該タンパク質のアンフォールディング形態の溶解度に関する情報を提供する。
【0043】
本明細書中で用いる「高圧または高速液体クロマトグラフィー」または「HPLC」なる語は、化合物を分離、同定および定量するために高圧を利用するカラムクロマトグラフィーの形態を意味するものとする。HPLCは、特定された温度の固定相、移動相溶液のためのポンプ、およびカラム上に注入された各化合物を定量するための検出器を含有するカラムを使用する。
【0044】
「高圧サイズ排除クロマトグラフィー」または「HPSEC」なる語は、分子量または流体力学的体積に基づいて粒子を分離するために高圧(20〜150bar)を使用するクロマトグラフィー法を意味するものとする。本発明においては、この技術は、モノクローナル抗体、二量体およびそれ以上の高次凝集体の分離および定量のために適用される。
【0045】
本明細書中で用いる「小規模」なる語は、300mL未満の樹脂のプロテインAアフィニティーカラムサイズを意味するものとする。
【0046】
本明細書中で用いる「安定剤」なる語は、タンパク質凝集体形成の速度(比率)を低下させる例えばアルギニン、プロリンまたはヒスチジンのような物質を意味するものとする。
【0047】
本明細書中で用いる「時間ゼロサンプル」なる語は、産物が樹脂から溶出した直後に相当する実験開始時間を意味するものとする。
【0048】
発明の実施形態
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第1の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させ、(b)溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.5のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0049】
前記方法の1つの実施形態においては、該溶出バッファーはアセタートまたはシトラートである。
【0050】
もう1つの実施形態においては、該溶出バッファーにおけるシトラートの濃度は約0.030M〜約0.085Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0051】
更にもう1つの実施形態においては、アセタートの濃度は約0.050M〜約0.200Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0052】
前記方法のもう1つの実施形態においては、該方法は、約4℃〜約30℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0053】
もう1つの実施形態においては、該方法は、約15℃〜約27℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0054】
1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG抗体である。
【0055】
もう1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG1または修飾IgG2抗体である。
【0056】
もう1つの実施形態においては、該IgG1抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図23の配列番号3および配列番号4として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2005/038125号を参照されたい)。
【0057】
更にもう1つの実施形態においては、該修飾IgG2抗体はIgG2m4抗体である(図26)(例えば、米国出願第11/581,931号を参照されたい)。
【0058】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗DKK−1抗体である。一例は、図22の配列番号1および配列番号2として表される重鎖および軽鎖を有する抗DKK−1抗体である(例えば、米国出願第12/012,885号を参照されたい)。
【0059】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図24の配列番号5および配列番号6として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2006/040508号を参照されたい)。
【0060】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗hIL−13rα−1抗体である。一例は、図25の配列番号7および配列番号8として表される重鎖および軽鎖を有する抗hIL−13rα−1抗体である(例えば、米国出願第11/875,017号を参照されたい)。
【0061】
1つの実施形態においては、約50mM〜約500mMの濃度のアミノ酸を該溶出バッファーに加える。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0062】
もう1つの実施形態においては、該アミノ酸はヒスチジン、プロリンまたはアルギニンである。
【0063】
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第2の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、(b)約0.030M〜約0.085Mの濃度のシトラートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.5のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0064】
前記方法の1つの実施形態においては、該溶出バッファーはアセタートまたはシトラートである。
【0065】
もう1つの実施形態においては、該溶出バッファーにおけるシトラートの濃度は約0.030M〜約0.085Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0066】
更にもう1つの実施形態においては、アセタートの濃度は約0.050M〜約0.200Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0067】
前記方法のもう1つの実施形態においては、該方法は、約4℃〜約30℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0068】
もう1つの実施形態においては、該方法は、約15℃〜約27℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0069】
1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG抗体である。
【0070】
もう1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG1または修飾IgG2抗体である。
【0071】
もう1つの実施形態においては、該IgG1抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図23の配列番号3および配列番号4として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2005/038125号を参照されたい)。
【0072】
更にもう1つの実施形態においては、該修飾IgG2抗体はIgG2m4抗体である(図26)(例えば、米国出願第11/581,931号を参照されたい)。
【0073】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗DKK−1抗体である。一例は、図22の配列番号1および配列番号2として表される重鎖および軽鎖を有する抗DKK−1抗体である(例えば、米国出願第12/012,885号を参照されたい)。
【0074】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図24の配列番号5および配列番号6として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2006/040508号を参照されたい)。
【0075】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗hIL−13rα−1抗体である。一例は、図25の配列番号7および配列番号8として表される重鎖および軽鎖を有する抗hIL−13rα−1抗体である(例えば、米国出願第11/875,017号を参照されたい)。
【0076】
1つの実施形態においては、約50mM〜約500mMの濃度のアミノ酸を該溶出バッファーに加える。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0077】
もう1つの実施形態においては、該アミノ酸はヒスチジン、プロリンまたはアルギニンである。
【0078】
本発明は、単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための第3の方法であって、(a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、(b)約0.050M〜約0.200Mの濃度のアセタートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、(c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ[ここで、該産物プールは、(i)5%未満の高次凝集体を含み、(ii)約3.5〜約4.5のpHを有する]、それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法を提供する。
【0079】
前記方法の1つの実施形態においては、該溶出バッファーはアセタートまたはシトラートである。
【0080】
もう1つの実施形態においては、該溶出バッファーにおけるシトラートの濃度は約0.030M〜約0.085Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0081】
更にもう1つの実施形態においては、アセタートの濃度は約0.050M〜約0.200Mである。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0082】
前記方法のもう1つの実施形態においては、該方法は、約4℃〜約30℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0083】
もう1つの実施形態においては、該方法は、約15℃〜約27℃の温度で行う。ここで用いる「約」は±4℃を意味するものとする。
【0084】
1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG抗体である。
【0085】
もう1つの実施形態においては、該単量体モノクローナル抗体はIgG1または修飾IgG2抗体である。
【0086】
もう1つの実施形態においては、該IgG1抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図23の配列番号3および配列番号4として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2005/038125号を参照されたい)。
【0087】
更にもう1つの実施形態においては、該修飾IgG2抗体はIgG2m4抗体である(図26)(例えば、米国出願第11/581,931号を参照されたい)。
【0088】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗DKK−1抗体である。一例は、図22の配列番号1および配列番号2として表される重鎖および軽鎖を有する抗DKK−1抗体である(例えば、米国出願第12/012,885号を参照されたい)。
【0089】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗ADDL抗体である。一例は、図24の配列番号5および配列番号6として表される重鎖および軽鎖を有する抗ADDL抗体である(例えば、PCT国際出願第PCT/US2006/040508号を参照されたい)。
【0090】
もう1つの実施形態においては、該修飾IgG2m4抗体は抗hIL−13rα−1抗体である。一例は、図25の配列番号7および配列番号8として表される重鎖および軽鎖を有する抗hIL−13rα−1抗体である(例えば、米国出願第11/875,017号を参照されたい)。
【0091】
1つの実施形態においては、約50mM〜約500mMの濃度のアミノ酸を該溶出バッファーに加える。ここで用いる「約」は±0.015Mを意味するものとする。
【0092】
もう1つの実施形態においては、該アミノ酸はヒスチジン、プロリンまたはアルギニンである。
【0093】
前記方法のそれぞれのもう1つの実施形態においては、該プロテインA産物プールは3.2以上のpHを有する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、抗DKK−1モノクローナル抗体(図22に示す配列番号1および配列番号2)に関する、4℃、17℃および37℃における時間の関数としての、6.1のPAPプールpHにおける高次凝集体形成の比率を示す。該図において、□=pH6.1(4℃)、○=pH6.1(17℃)および△=pH6.1(37℃)。
【図2】図2は、抗DKK−1モノクローナル抗体(図22に示す配列番号1および配列番号2)に関する、4℃、17℃および37℃における時間の関数としての、3.5のPAPプールpHにおける高次凝集体形成の比率を示す。該図において、□=pH3.5(4℃)、○=pH3.5(17℃)および△=pH3.5(37℃)。
【図3】図3は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、4℃、17℃および37℃における時間の関数としての、6.1のPAPプールpHにおける二量体形成の比率を示す。該図において、□=pH6.1(4℃)、○=pH6.1(17℃)および△=pH6.1(37℃)。
【図4】図4は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、4℃、17℃および37℃における時間の関数としての、3.5のPAPプールpHにおける二量体形成の比率を示す。該図において、□=pH3.5(4℃)および○=pH3.5(17℃)。
【図5】図5は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、25℃および30℃における時間の関数としての、3.5のPAPプールpHにおける高次凝集体形成の比率を示す。該図において、□=pH3.5(25℃)および○=pH3.5(30℃)。
【図6】図6は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、25℃および30℃における時間の関数としての、3.5のPAPプールpHにおける二量体形成の比率を示す。該図において、□=pH3.5(25℃)および○=pH3.5(30℃)。
【図7】図7は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、21℃における時間の関数としての、4.0、4.5および5.0のpHにおける高次凝集体形成の比率を示す。該図において、□=pH4.0(21℃)、○=pH4.5(21℃)および△=pH5.0(21℃)。
【図8】図8は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、30℃における時間の関数としての、4.0、4.5および5.0のpHにおける高次凝集体形成の比率を示す。該図において、□=pH4.0(30℃)、○=pH4.5(30℃)および△=pH5.0(30℃)。
【図9】図9は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、21℃における時間の関数としての、4.0、4.5および5.0のpHにおける二量体形成の比率を示す。該図において、□=pH4.0(21℃)、○=pH4.5(21℃)および△=pH5.0(21℃)。
【図10】図10は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、30℃における時間の関数としての、4.0、4.5および5.0のpHにおける二量体形成の比率を示す。該図において、□=pH4.0(30℃)、○=pH4.5(30℃)および△=pH5.0(30℃)。
【図11】図11は、pH3.5にける抗DKK−1モノクローナル抗体PAPに関する、4℃、17℃、25℃および30℃における時間に対する高次凝集体のレベルを示す。該図において、■=30℃、◆=25℃、▲=17℃および×=4℃。
【図12】図12は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、pH3.91および50mMのシトラート濃度における時間および温度の関数としての高次凝集体形成を示す。該図において、◇=pH3.91(4℃)、□=pH3.91(15℃)、△=pH3.91(20℃)および×=pH3.91(24℃)。
【図13】図13は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、室温での50mMおよび100mMのシトラート濃度における時間の関数としての高次凝集体形成を示す。該図において、■=pH3.5(25℃)および◆=pH3.91(24℃)。
【図14】図14は、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する、25℃におけるシトラート濃度および時間の関数としての高次凝集体形成を示す。該図において、
【化1】

【図15A】図15Aは、pH3.0での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図15B】図15Bは、pH3.5での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図15C】図15Cは、pH4.0での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図16A】図16Aは、pH4.5での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図16B】図16Bは、pH5.0での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図16C】図16Cは、pH5.5での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図16D】図16Dは、pH6.0での30mM、60mMおよび100mM シトラートにおける抗DKK1抗体に関するDSCプロファイルを示す。
【図17】図17は、25℃での50mM アルギニンの存在下および非存在下の60mM クエン酸溶出の場合の抗DKK−1モノクローナル抗体形成に関する高次凝集体形成の比率を示す。該図において、◇=60mMシトラート+50mMアルギニン(pH3.5および25℃)および□=60mMシトラートのみ(pH3.5および25℃)。
【図18】図18は、25℃での250mM アルギニンの存在下および非存在下の100mM クエン酸溶出の場合の抗DKK−1モノクローナル抗体に関する高次凝集体形成の比率を示す。該図において、◇=100mMシトラート+250mMアルギニン(pH3.5および25℃)および□=100mMシトラートのみ(pH3.5および25℃)。
【図19】図19は、25℃における時間の関数としてのリン酸塩バッファーと比較した種々のシトラート濃度での抗DKK−1モノクローナル抗体に関する高次凝集体形成の比率を示す。該図において、
【化2】

【図20】図20は、経時的な15mMクエン酸における25℃での高次凝集体の比率に対する抗DKK−1モノクローナル抗体のモノクローナル抗体濃度の効果を示す。該図において、◆=8mg/mL 抗DKK−1 mAb、■=14mg/mL 抗DKK−1 mAbおよび▲=34mg/mL 抗DKK−1 mAb。
【図21】図21は、21℃での15mMシトラートおよび25℃での85mMアセタートにおけるpH4.0での経時的な高次凝集体の比率に対する抗DKK−1モノクローナル抗体のモノクローナル抗体濃度の効果を示す。該図において、●=5mg/ml 抗DKK−1 mAb(アセタート中)、+=11mg/mL 抗DKK−1 mAb(アセタート中)、△=37mg/ml 抗DKK−1 mAb(アセタート中)および◆=7mg/ml 抗DKK−1 mAb(シトラート中)。
【図22】図22は重鎖および軽鎖の抗DKK−1モノクローナル抗体アミノ酸配列(配列番号1および配列番号2)を示す。
【図23】図23は重鎖および軽鎖の抗ADDL#1モノクローナル抗体アミノ酸配列(配列番号3および配列番号4)を示す。
【図24】図24は重鎖および軽鎖の抗ADDL#2モノクローナル抗体アミノ酸配列(配列番号5および配列番号6)を示す。
【図25】図25は重鎖および軽鎖の抗hIL−13rα−1モノクローナル抗体アミノ酸配列(配列番号7および配列番号8)を示す。
【図26】図26は、IgG1、IgG2およびIgG4からのFc領域のものと比較された、モノクローナル抗体のIgG2m4 Fc領域からのアミノ酸配列のアライメントを示す。
【0095】
本発明は以下の実施例から更に深く理解されるであろう。しかし、記載されている特定の方法および結果は、添付の特許請求の範囲に完全に記載されている本発明の単なる例示に過ぎない、と当業者は容易に認識するであろう。
【実施例1】
【0096】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィー溶出およびそれに続く低pH維持中のタンパク質凝集のレベルを減少させるための温度低下
タンパク質凝集の温度およびpH依存性を特徴づけるために、シトラート(100mM、pH3.5)を含有するPAP溶出プールに対する温度およびpHの効果を抗DKK−1モノクローナル抗体に関して評価した。抗ADDLモノクローナル抗体のような他のmAbにも同じ方法が利用可能である。
【0097】
材料および方法
小規模:AKTA EXPLORER 100(商標)を使用して全ての小規模実験を行った。ホスファート、シトラートおよび水酸化ナトリウムバッファーはHyclone(Logan,UT)から購入した。PAPのpH調節のためのトリス塩基はHyclone(Logan,UT)から購入した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験用のMABSELECT(商標)樹脂はGE Healthcareから購入した。デプス・フィルタード・セントレート(depth filtered centrate)を得、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験のための供給ストックとして使用した。Thermomixer R(Eppendorf)および2つの温度制御室を使用して、PAPおよびQPAPサンプルの温度を制御した。
【0098】
実験1A
MABSELECT(商標)樹脂(33.35mL)が充填されたカラム(1.7cm×14.5cm)を5CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)(PBS)で6.8mL/分(5分の滞留時間)で平衡化した。デプス・フィルタード・セントレートを17℃で6.8mL/分の流量で樹脂1リットル当たり27g mAbでローディングした。ローディング後、該カラムを3CVのPBSで洗浄し、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で洗浄した。該産物を8.3mL/分(4分の滞留時間)で0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.5)で0.5〜3.0CVにわたって溶出させた。溶出後、PAP(9g/L)プールをpH3.5で17℃で30分間維持した。該低pH維持の後、pH3.5における該プロテインA産物(PAP)の一部を4、17および37℃で配置した。該PAP流の残りをpH6.1にクエンチし、4、17および37℃で配置した。pH条件3.5および6.1からのサンプル(280μL)を種々の時間間隔で採取し、トリス塩基(1M、20μL)を使用してpH6にクエンチし、HPSECを用いてタンパク質凝集体含量に関して分析した。該カラムを5CVの50mM 水酸化ナトリウム、1M 塩化ナトリウムで8.3mL/分で再生させ、PBS中の20% エタノール中で保存した。
【0099】
実験1B
この実験は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを行うために、この段階を25℃で行ったこと以外は実験1Aに記載されているのと同じカラム、供給ストックおよび方法を用いた。溶出後、該PAP(8g/L、pH3.5)を細分し、25℃および30℃で配置した。両方の温度におけるサンプル(280μL)を種々の時間間隔で採取し、トリス塩基(1M、20μL)を使用してpH6にクエンチし、HPSECを用いてタンパク質凝集体含量に関して分析した。該カラムを5CVの50mM 水酸化ナトリウム、1M 塩化ナトリウムで8.3mL/分で再生させ、PBS中の20% エタノール中で保存した。
【0100】
分析
Agilent 1100(商標)HPLC系(Agilent,Palo Alto,CA)上でPOROS(商標)プロテインA ID免疫アフィニティーカートリッジを使用して、全てのPAPまたはQPAPサンプルをmAb単量体濃度に関して分析した。Agilent 1100(商標)HPLC系上でTosohサイズ排除カラム(0.78cm ID×30cm長)を使用して、各サンプル中のタンパク質凝集体(二量体およびそれ以上の高次凝集体)を定量した。溶液pHを測定するために、pHプローブ(±0.1pH単位の精度)およびメーター(温度補償を伴うもの)(共にFisher Scientificから入手)を使用した。
【0101】
結果および考察
抗DKK−1抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製し、種々のpH(3.5、6.1)および温度(4℃〜37℃)値で維持して、タンパク質凝集に対するpHおよび温度の効果を判定した。HPSEC分析による判定によると、37℃で3.5日間までの維持期間にわたり、プロテインAアフィニティーカラムからの産物溶出の後で該PAP流をpH6.1にクエンチした場合、タンパク質凝集は生じなかった(図1)。3.5日の時点で、pH6.1および37℃で、高次凝集体レベルは0.8%から1.3%に増加した一方、抗体レベルは98%から97%に減少した。該二量体はpH6.1において全ての温度で一定レベルのままであった(図3)。該単量体は4℃および17℃、pH6.1で安定なままであった(図1および3を参照されたい)。
【0102】
pH3.5において、高次凝集体(HOA)のレベルは温度上昇と共に有意に増加した(図2)。また、二量体のレベルは17℃への温度上昇と共にpH3.6で0.8%増加した(図4)。37℃およびpH3.6で、該単量体の安定性は急速に減少し(図2および4を参照されたい)、これはタンパク質凝集体の有意な沈殿を促進させる。この沈殿はHPSECによるタンパク質凝集レベルの定量の精度に影響を及ぼす可能性があり、この方法の制限となる。温度を4℃に低下させると、HOAレベルは30分後に僅か0.7%および8時間後に1.5%であった(図2)。したがって、PAPの温度を17℃から4℃に低下させることにより、HOAレベルは有意に4%〜7%減少した。
【0103】
タンパク質凝集体形成に対する、より高い温度(>17℃)の効果を定量するために、25℃および30℃で追加的な実験を行った。PAP(pH3.5、9mg/mL 抗DKK−1抗体)における高次凝集体(HOA)のレベルは25℃では20分ごとに1.5%〜3.0%増加し、30℃では20分ごとに4%〜6%増加した(図5)。二量体のレベルは25℃では4時間で7%まで増加し、30℃では1.5時間で10%に増加した(図6)。また、25℃での実験の時間ゼロサンプル(産物溶出および採集後)は0.6%のHOAを含有していた。したがって、この実験で該産物が結合している又は該カラムから溶出している間に、HOAは形成しなかった。
【実施例2】
【0104】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィー溶出およびそれに続く低pH維持中のタンパク質凝集のレベルを減少させるためのPAPプールのpHの上昇
タンパク質凝集に対するpHの影響を特徴づけるために、QPAP溶出プールに対するpH(3.5〜5.0)の効果を抗DKK1モノクローナル抗体に関して評価した。抗ADDLモノクローナル抗体のような他のmAbにも同じ方法が利用可能である。
【0105】
材料および方法
小規模:AKTA EXPLORER 100(商標)(GE Healthcare)を使用して全ての小規模実験を行った。ホスファート、シトラートおよび水酸化ナトリウムバッファーはHyclone(Logan,UT)から購入した。PAPのpH調節のためのトリス塩基はHyclone(Logan,UT)から購入した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験用のMABSELECT(商標)樹脂はGE Healthcareから購入した。デプス・フィルタード・セントレート(depth filtered centrate)をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験のための供給ストックとして使用した。Thermomixer R(Eppendorf)および2つの温度制御室を使用して、PAPおよびQPAPサンプルの温度を制御した。
【0106】
実験2A
MABSELECT(商標)樹脂(33.35mL)が充填されたカラム(1.7cm×14.5cm)を5CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)(PBS)で6.8mL/分(5分の滞留時間)で平衡化した。デプス・フィルタード・セントレートを、室温(21℃)で6.8mL/分の流量を用いて、樹脂1リットル当たり25g mAbでローディングした。ローディング後、該カラムを3CVのPBSで洗浄し、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で洗浄した。該産物を8.3mL/分(4分の滞留時間)で0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.5)で0.5〜3.0CVにわたって溶出させた。溶出後、PAP(6.9g/L)プールを、1M トリス塩基(16v%)を使用してpH6にクエンチした。
【0107】
実験2B
このQPAP流を該pH実験のための供給体として使用した。シトラート溶液(4M、50〜100μL)を、該溶液pHが5.0に到達するまで、該QPAP(20mL)に加えた。この溶液のサンプル(2mL)をpH5.0で採取し、21℃および30℃で配置した。pH4.5および4.0における溶解状態を得るために、この手順を繰返した。サンプル(100μL)を種々の時点で採取し、トリス塩基(0.5〜1M、10〜30μL)を使用してpH6にクエンチし、HPSECを用いてタンパク質凝集体含量に関して分析した。
【0108】
分析
Agilent 1100(商標)HPLC系(Agilent,Palo Alto,CA)上でPOROS(商標)プロテインA ID免疫アフィニティーカートリッジを使用して、全てのPAPまたはQPAPサンプルをmAb濃度に関して分析した。Agilent 1100(商標)HPLC系上でTosohサイズ排除カラム(0.78cm ID×30cm長)を使用して、各サンプル中のタンパク質凝集体(すなわち、二量体およびそれ以上の高次凝集体)を定量した。溶液pHを測定するために、pHプローブ(Fisher Scientific)(+/− 0.1pH単位の精度を有するもの)およびメーター(Fisher Scientific)(温度補償を伴うもの)を使用した。
【0109】
結果および考察
タンパク質凝集に対するpHの効果を判定するために、該QPAPのpHをpH4.0〜pH5.0に低下させた。該単量体は21℃および30℃でpH4.5またはそれ以上で少なくとも2.5時間にわたり安定であった(図7および9、ならびに8および10を参照されたい)。pH4.0におけるHOAレベルは21℃では0.9%〜2.0%の範囲であり、30℃では2.5時間にわたり3%〜13%の範囲であった(図7および図8)。pH4.0におけるHOAレベルは温度上昇と共に増加し、これは、実施例1においてpH3.5で見られたのと同じ傾向である。該二量体レベルは21℃、pH4.0〜5.0で一定のままであったが、pH4.0で温度が30℃に上昇すると増加した(図9および図10)。
【0110】
温度に加えて、pHもPAPプールにおけるタンパク質凝集体の形成の動力学的速度に影響を及ぼした。該PAPプールのpHが上昇するにつれて、高次凝集体および二量体の比率は有意に減少した。この実験におけるイオン強度変化の影響を、高濃縮酸を使用することにより調節した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー溶出およびそれに続く低pH維持段階中のタンパク質凝集を防ぐために、より高いpHで該溶出を行うことが可能である。
【実施例3】
【0111】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィー溶出およびそれに続く低pH維持中のプロテインA凝集体のレベルを減少させるための溶出バッファー濃度およびpHの効果の分離
溶出バッファーのpHおよび濃度の影響を分離して、PAPプールにおけるタンパク質凝集に対する両方のパラメーターの影響を特徴づけした。また、該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーから該単量体を溶出させるのに必要な溶出バッファーの最小濃度を決定した。これを抗DKK1モノクローナル抗体に関して評価した。
【0112】
材料および方法
小規模:AKTA EXPLORER 100(商標)(GE Healthcare)を使用して全ての小規模実験を行った。ホスファート、シトラートおよび水酸化ナトリウムバッファーはHyclone(Logan,UT)から購入した。PAPのpH調節のためのトリス塩基はHyclone(Logan,UT)から購入した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験用のMABSELECT(商標)樹脂はGE Healthcareから購入した。デプス・フィルタード・セントレート(depth filtered centrate)をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験のための供給ストックとして使用した。Thermomixer R(Eppendorf)を使用して、PAPおよびQPAPサンプルの温度を制御した。
【0113】
実験A
MABSELECT(商標)樹脂(1.06mL)が充填されたカラム(0.5cm×5.4cm)を5CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)(PBS)で0.2mL/分(5分の滞留時間)で平衡化した。デプス・フィルタード・セントレートを、室温(17℃〜21℃)で0.2mL/分の流量を用いて、樹脂1リットル当たり25g mAbでローディングした。ローディング後、該カラムを3CVのPBS、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で0.2mL/分で洗浄した。0.5〜1.0mL/分(1〜2分の滞留時間)で少なくとも2.5CVにわたる10%の0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.5)(10mM シトラート)での段階勾配を用いて、該産物を溶出させた。20%、30%および100%の0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.5)バッファー(それぞれ20mM、30mMおよび100mM シトラート)を使用して、この溶出段階を更に3回繰返した。溶出後、該PAP流の全てを、1M トリス塩基を使用してpH6にクエンチした。該カラムを50mM 水酸化ナトリウム、1M 塩化ナトリウムで0.5〜1.0mL/分で再生させ、PBS中の20v%エタノール中で保存した。
【0114】
実験B
MABSELECT(商標)樹脂(10.4mL)が充填されたカラム(1.1cm×10.9cm)を5CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)(PBS)で2.2mL/分(5分の滞留時間)で平衡化した。デプス・フィルタード・セントレートを、室温(17℃〜20℃)で2.1mL/分の流量を用いて、樹脂1リットル当たり27g mAbでローディングした。ローディング後、該カラムを3CVのPBS、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で2.1mL/分で洗浄した。2.6mL/分(4分の滞留時間)で0.5〜3CVにわたる60%の0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.5)(60mM シトラート)または40%の0.1M クエン酸ナトリウム(pH3.0)(40mM シトラート)での段階勾配を用いて、該産物を溶出させた。溶出直後、該PAP(11g/L)プールのサンプルを25℃のサーモミキサー(thermomixer)内に配置した。時間ゼロサンプルを溶出直後に採取し、トリス塩基でクエンチし、タンパク質凝集体含量分析のためにHPSECに付した。サンプル(200μL)を種々の時間間隔で採取し、トリス塩基(0.5〜1M、5〜10μL)を使用して直ちにpH6にクエンチし、HPSECを用いてタンパク質凝集体含量に関して分析した。該プロテインAアフィニティーカラムを5CVの50mM 水酸化ナトリウム、1M 塩化ナトリウムで2.4mL/分で再生させ、PBS中の20% エタノール中で保存した。該60% シトラート溶出(60mM シトラート)のために、該PAPプールを別々の2mL アリコートに細分した。シトラート(4M、5〜10μL)を、pH3.4または3.6に達するようアリコートに加えた。リン酸(8v%、10μL)を、pH3.6に達するようアリコートに加えた。
【0115】
実験C
酸濃度が抗DKK−1の安定性に影響を及ぼすかどうかを判定するために、該プロテインA溶出バッファーにおいて該シトラート濃度を50mMに減少させた。この減少した酸濃度は溶出中のpH傾きの勾配に影響を及ぼし、これは、3.6に対して3.9の、より高いPAPプールpHを与えた。
【0116】
23〜25℃で5分の滞留時間を用いてデプス・フィルタード・セントレート(1.7g/L 抗DKK−1 mAb)をプロテインAカラム(V=33.35mL、プレート:2026N/m、非対称:1.33)上にローディングした。ローディング後、該カラムを3CVのPBS、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で0.2mL/分で洗浄した。該溶出のために、100mM シトラート(pH3.5)の50%勾配を用いて、該樹脂から該抗DKK−1モノクローナル抗体を溶出させた。溶出中、0.5から3.0CVまで0.5CVごとに画分を集めた。これらの画分を単量体濃度、pHおよび伝導率に関して分析し、ついで7.2g/Lの最終濃度となるようプールした。該PAP流のサンプルを種々の温度(4、15、20および23〜25℃)およびpH値(3.9、4.2、4.5、5.0)で配置し、HPSECを用いて種々の時点で凝集に関して分析した(図11)。
【0117】
該酸濃度を50mMに減少させると、該pH勾配が若干変化し、これは100mM シトラートの場合の3.6に対して3.9のPAP pHを与えた。しかし、該溶出プロファイルは重なっており、該産物採集ウィンドウは同じままであろう。該50%溶出に関するプロテインA収率は94%であった。前記の種々の温度で50mM シトラート溶出を用いたHOAプロファイルを図12に示す。23〜25℃における50mM シトラート溶出と100mM シトラート溶出との比較を図13に示す。
【0118】
分析
Agilent 1100(商標)HPLC系(Agilent,Palo Alto,CA)上でPOROS(商標)プロテインA ID免疫アフィニティーカートリッジを使用して、全てのPAPサンプルをmAb濃度に関して分析した。Agilent 1100(商標)HPLC系上でTosohサイズ排除カラム(0.78cm ID×30cm長)を使用して、各サンプル中のタンパク質凝集体(すなわち、二量体およびそれ以上の高次凝集体)を定量した。溶液pHを測定するために、pHプローブ(Fisher Scientific)(± 0.1pH単位の精度を有するもの)およびメーター(Fisher Scientific)(温度補償を伴うもの)を使用した。
【0119】
結果および考察
該樹脂からの該単量体の溶出のための可能なシトラートの最低濃度を決定するために、該プロテインAアフィニティーカラムを種々のシトラート濃度で溶出させた。該10v%および20v% シトラート濃度は、該カラムに結合した該単量体の80%を溶出させた(非表示)。該シトラート濃度を30v%に増加させると、僅か2%の追加的単量体が該カラムから溶出した。したがって、該カラムから80%以上の単量体を溶出させるための最小濃度は20mM シトラートであった。
【0120】
種々のpH点における単量体安定性に対するシトラート濃度の影響を判定するために、種々のシトラート濃度を試験した。シトラート濃度を60mMに低下させ、pHを3.8に増加させると、該HOAレベルは、25℃において、100mM シトラート(pH3.5)の場合の4%〜5%に対して0.3%であった(図14)。該シトラート濃度がpH3.6で40mM シトラートに低下した場合、該HOAレベルは少なくとも3時間にわたり0.3%のままであった。したがって、該単量体安定性はシトラート濃度およびpHの関数であった。該溶出プールのpHを調節するためにシトラートの代わりにリン酸を加えると、該HOAレベルは各時点のサンプルに関して2時間まで約0.3%増加した。したがって、リン酸の添加は、同じ溶液pH(3.6)のシトラートより速くHOA形成の比率を増加させた。
【0121】
PAPプールpH3.6においては、以下の4つの異なる酸濃度を試験した:40mM、75mMおよび100mM シトラートならびに0.1v% リン酸を含有する60mM シトラート。HOAのレベルはシトラート濃度の増加と共に増加した。また、HOAのレベルは、75mMを超えるシトラート濃度において経時的に有意に増加した。例えば、1時間の時間枠内で、HOAの比率は100mM シトラートにおいては20分当たり2%であったが、3.6の同じpHの75mM シトラートにおいては20分当たり0.2%〜0.3%であった。該PAPプールへのリン酸の添加は、3.6の同じ溶液pHのシトラートの場合よりHOA形成の比率を増加させた。pHが一定に維持された場合、該PAPプールにおけるシトラートの濃度はHOA形成に影響を及ぼした。
【0122】
前記図12から、pH3.9の50mM シトラート溶出条件では少なくとも12時間にわたって15℃以下で該PAPは極めて安定であり、0.4%以下のHOAを含有していた。該抗DKK−1 mAbも、該PAPにおいて、より高い温度で安定性の向上を示した。例えば、20〜25℃で12時間の維持の後、該PAPは1.0%〜1.4%のHOAを含有していた。30〜60分間の低pH維持時間にわたる該PAPにおけるHOAレベルは20〜25℃で0.2%〜0.4%であり、これは、図13で比較により示されるロットにおける3%〜6%のHOAレベルより低い。50mM シトラートPAPにおけるタンパク質分解の総量(HOA+二量体)は1.5%であったが、これは5%以下の目標を達成した。したがって、シトラート濃度の低下およびpHの上昇はPAPにおけるHOAレベルを60分以下の維持時間にわたって3%〜6%から0.5%に有意に減少させることが判明した。
【実施例4】
【0123】
示差走査熱量測定法により測定されたモノクローナル抗体の熱誘発アンフォールディングに対するpHおよびシトラート濃度の影響
示差走査熱量測定法は、タンパク質安定性を測定するために用いられる手段である。タンパク質安定性は環境に大きく左右され、そのような環境は、タンパク質のフォールディング(折り畳み)構造を安定化する及び不安定化する両方の能力を有する。DSCは、溶媒対照の熱容量と比較して温度上昇中のタンパク質溶液の熱容量を測定することにより実施される。タンパク質溶液と溶媒対照との間の熱容量の差は、該タンパク質の変性を表すプロファイルを提供する。このプロファイルから、見掛け上の融点Iが決定されうる。アンフォールディング状態へのタンパク質の変性は、しばしば、凝集または化学分解のような望ましくない事象を引き起こす(19,20、21,22,23)。
【0124】
示差走査熱量測定法(DSC)は、タンパク質の温度誘発性アンフォールディングを測定することにより、フォールディングのメカニズムに関する何らかの洞察を提供する。DSCにより提供された情報は、タンパク質安定性が関わる種々の用途、例えばクローン選択、製剤開発およびタンパク質の特徴づけにおいて有用である(24,25)。最も安定な薬物化合物を開発過程の初期において特定するための比較的簡便な方法を有することは、商業化までの時間が短縮されうるため非常に大きな利点となる。DSCは製剤開発においても決定的に重要である。pH、イオン強度および他の賦形剤のようなタンパク質環境における変化はタンパク質の折り畳み構造に影響を及ぼして、融点の変化を引き起こしうる。製剤バッファーにおける種々の添加物をスクリーニングすることにより、DSCは、バッファー組成を最適化するための迅速な方法を提供する。
【0125】
治療用タンパク質の凝集は精製過程における問題からインビボでの免疫応答までの多岐にわたる非常に重大な影響を及ぼす。タンパク質の変性およびそれに続く凝集は、pHおよび温度を含む多数の要因に感受性である。したがって、これらの要因の両方を調節することが治療用タンパク質の安定性に非常に重要である。
【0126】
モノクローナル抗体は複数のドメインを有し、それらのそれぞれは別々の様態でpHおよびイオン強度により影響される。タンパク質の熱安定性に対するイオン強度(30mM、60mMおよび100mMのシトラート濃度)およびpH(3.0〜6.0)の効果を評価するために、DSCを用いた。
【0127】
材料および方法
30mM、60mMおよび100mMの濃度のクエン酸(Sigma,St.Louis)の溶液を調製した。水酸化ナトリウム(Fisher Chemicals)を使用して、該シトラート溶液を3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5および6.0 pH単位の目標値にpH調節した。Accumet pHメーター(Fisher Scientific)を使用して該pH測定値を得た。
【0128】
製剤化バッファー中の54.2mg/mLの抗DKK−1抗体を各pHの該シトラートバッファーで1mg/mLに希釈した。最終的な1mg/mL溶液の濃度およびpHを測定した。該製剤化バッファーを、対照バッファーとして使用するために、同じ比率で希釈した。
【0129】
示差走査熱量測定法(DSC)をMicroCal(商標)VP−DSC上で行った。温度を1℃/分の速度で25℃から95℃まで上昇させた。該対照バッファーを差し引き、該濃度を正規化し、ベースライン補正を行うことにより(Originソフトウェアを使用した)、生DSCプロファイルを分析した。サンプルは二重に重複して実験に使用された。
【0130】
結果および考察
抗DKK1抗体の熱安定性に対するpHおよびシトラート濃度の影響を、DSCを用いて調べた。結果は、pHの減少と共に融点が低下すること示している。結果はまた、シトラートが、低pH値におけるこのモノクローナル抗体の熱安定性に、より大きな影響を及ぼすことを示唆している。
【0131】
4.5未満のpH値においては、シトラートバッファーで希釈された抗DKK−1モノクローナル抗体は、低いシトラート濃度において、より熱的に安定である(図15A、B、C)。pH3.0において、100mM シトラートは該タンパク質を完全にアンフォールディングさせたようであり、該プロファイルにおいて転移点(transition)は存在しない。30mMおよび60mM シトラートに関しては、単一の転移点が明らかであり、このことは、該抗体のドメインの2つがアンフォールディングしていることを示唆している。該データは、この単一の転移点が該抗体のFab領域のアンフォールディングに相当することを裏付けている。pHが4.0へと上昇するにつれて、該ドメインのアンフォールディング温度が上昇し、3つの転移点が見出された。最も不安定な転移点は、十中八九、C2ドメインのアンフォールディングであり、FabフラグメントのアンフォールディングおよびC3ドメインのアンフォールディングがそれに続く。
【0132】
4.5以上のpH値においては、抗DKK−1モノクローナル抗体に関する見掛け上の転移温度はシトラート濃度に無関係である(図16A、B、C、D)。pHの上昇と共に該抗体の融点は上昇する。より高いpH値においては、2つのドメインが同時にアンフォールディングして、1つの転移に関する大きなエンタルピーおよびより低いエンタルピーを有する第2の転移を示すプロファイルを与える。本発明者らは、他のモノクローナル抗体での結果から、C2ドメインおよびFabが、最初の大きな転移に対応する高pH値での類似した融点を有すると結論づけている。C3ドメインのアンフォールディングは、より高い融点を有し、第2の転移に対応する。
【0133】
シトラート濃度およびpHはモノクローナル抗体の熱誘発性アンフォールディングに影響を及ぼす。pHが低下するにつれて、抗DKK−1モノクローナル抗体の熱安定性は低下する。シトラート濃度は、低pH値において、見掛け上の転移温度に影響を及ぼすに過ぎない。シトラート濃度が低いほど、融点は高くなる。
【実施例5】
【0134】
タンパク質凝集に対するアミノ酸安定剤の効果
該プロテインAアフィニティー樹脂からタンパク質または抗体を溶出させるためには、酸条件が要求される。低pH(3〜4)でのこれらの酸条件に対する曝露はタンパク質凝集体の形成を引き起こしうる。プロテインA溶出バッファーへの安定剤の添加は低pHにおいてタンパク質の安定性を増加させることが示された。該溶出バッファー中のアルギニンの存在が高次凝集体のレベルを減少させ、それによりmAb安定性を増加させるかどうかを判定するために、この実験のための安定剤としてアルギニンを選択した。全ての実験は25℃で行った。
【0135】
アルギニン(50mM)の存在下および非存在下で60mM シトラートを使用する溶出の場合には、対照と比較して1時間当たりのHOAの比率における0.01%の減少が認められたに過ぎなかった(図17)。しかし、アルギニン(250mM)の存在下および非存在下で100mM シトラートを使用する溶出の場合には、対照と比較して1時間当たりの高次凝集体の比率における2.9%の減少が認められた(図18)。したがって、アルギニンは、100mM シトラート溶液における高次凝集体のレベルを減少させるのに有効であり、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーおよびそれに続く低pH維持段階中の凝集体のレベルを減少させるためのもう1つの選択肢として使用可能である。
【実施例6】
【0136】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用されるシトラートおよびアセタート溶出バッファーにおける単量体安定性に対するタンパク質濃度の効果の検討
シトラートおよびアセタートバッファーにおけるタンパク質濃度の影響を調べて、各バッファー系における凝集率に対する濃度の効果を判定した。また、pH4.0におけるシトラートおよびアセタートバッファーを比較して、凝集に対する該酸タイプの効果を判定した。
【0137】
材料および方法
小規模:AKTA EXPLORER 100(商標)(GE Healthcare)を使用して全ての小規模実験を行った。リン酸ナトリウムバッファーはHyclone(Logan,UT)から購入した。アセタートおよびシトラートはFisher Scientific(Pittsburgh,PA)から購入した。PAPのpH調節のためのトリス塩基はHyclone(Logan,UT)から購入した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験用のMABSELECT(商標)樹脂はGE Healthcareから購入した。クエンチされたプロテインA産物をこれらの実験のための供給ストックとして使用した。Thermomixer R(Eppendorf)を使用して、PAPおよびQPAPサンプルの温度を制御した。
【0138】
QPAP流をこの実験のための供給体として使用した。4500rpmの遠心速度で30kDa膜を使用して、該供給体を4〜5体積のリン酸ナトリウムバッファー中にダイアフィルトレーションした。該ダイアフィルトレーション後、各溶液を元の濃度の1倍、2倍および4倍に濃縮した。それらの種々の濃度における該サンプルの半分を少なくとも4体積の酢酸ナトリウム(50mM、pH5.0)溶液中にダイアフィルトレーションした。
【0139】
実施例2から得られた3つの異なる濃縮溶液の第1の組では、シトラート(15mM)を、pH4.0となるよう各溶液に加えた。各溶液のサンプル(2mL)を採取し、21℃で配置した(図7)。濃縮溶液の第2の組では、pH4.0となるよう氷酢酸を加えた(合計85mM アセタート)。各溶液のサンプル(2mL)を採取し、25℃で配置した(図7)。実験の各組で、サンプル(140μL)を種々の時点で採取し、トリス塩基(0.25M〜1.0M、10〜20μL)を使用してpH6へとクエンチし、HPSECを用いてタンパク質凝集体含量に関して分析した。
【0140】
分析
Agilent 1100(商標)HPLC系(Agilent,Palo Alto,CA)上でPOROS(商標)プロテインA ID免疫アフィニティーカートリッジを使用して、サンプルを単量体mAb濃度に関して分析した。Agilent 1100(商標)HPLC系上でTosohサイズ排除カラム(0.78cm ID×30cm長)を使用して、各サンプル中のタンパク質凝集体(すなわち、二量体およびそれ以上の高次凝集体)を定量した。溶液pHを測定するために、pHプローブ(Fisher Scientific)(+/− 0.1pH単位の精度を有するもの)およびメーター(Fisher Scientific)(温度補償を伴うもの)を使用した。
【0141】
結果および考察
シトラートおよびアセタートバッファーにおけるmAb濃度の効果を調べて、各バッファー系における凝集率に対する濃度の影響を判定した。シトラート(15mM、pH3.5)溶液では、mAb濃度が増加するにつれて、高次凝集体形成の比率も増加した(図20)。例えば、1時間の維持時間の後、高次凝集体のレベルは8mg/mL mAb濃度における0.3%から34mg/mL mAb濃度における2.6%へと増加した。したがって、溶液中のタンパク質の濃度は低pHのシトラート緩衝系における高次凝集体形成の比率に影響を及ぼす。しかし、アセタート(85mM、pH4.0)溶液では、高次凝集体のレベルは5mg/mL、11mg/mLおよび37mg/mL mAb濃度において1%未満と一定のままであった(図21)。
【0142】
高次凝集体形成に対する酸タイプの影響を判定するために、pH4.0で25℃でのこのアセタート実験からの結果を、pH4.0で21℃での該シトラート実験からの結果と共にグラフ化した(図21)。pH4.0においては、該シトラート緩衝系では高次凝集体の比率は30分ごとに0.2%増加し始めるが、該アセタート緩衝系では高次凝集体のレベルは一定のままである。したがって、pH4.0においては、mAb安定性はシトラートバッファーよりアセタートバッファーにおいて高かった。
【0143】
結論
温度およびpHに加えて、タンパク質濃度もPAPプールにおけるタンパク質凝集体形成の比率に影響を及ぼした。pH3.5のシトラート緩衝溶液においては、mAb濃度が増加するにつれて、高次凝集体の比率が有意に増加した。しかし、pH4.0のアセタート緩衝溶液においては、5mg/mLから37mg/mLまでの範囲の種々のタンパク質濃度で高次凝集体のレベルは1%未満のままであった。5mg/mL〜11mg/mLの濃度のタンパク質の存在下のpH4.0の該アセタートおよびシトラートバッファー系を比較したところ、該mAbは該アセタートバッファーにおいて、より高い安定性を示した。したがって、溶出バッファーのタイプはmAb安定性において何らかの役割を果たしており、アセタートはpH4.0においてシトラートバッファーより安定である。アセタートはプロテインAアフィニティーカラムからのmAb溶出のための代替的バッファーとして使用可能である。
【実施例7】
【0144】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィー溶出およびそれに続く低pH維持中のタンパク質凝集体のレベルに対するpH、温度、バッファー組成およびタンパク質ローディングの効果の検討
【0145】
材料および方法
小規模:AKTA EXPLORER 100(商標)を使用して全ての小規模実験を行った。ホスファート、シトラートおよび水酸化ナトリウムバッファーはHyclone(Logan,UT)から購入した。PAPのpH調節のためのトリス塩基はHyclone(Logan,UT)から購入した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験用のMABSELECT(商標)樹脂はGE Healthcareから購入した。デプス・フィルタード・セントレート(depth filtered centrate)を得、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー実験のための供給ストックとして使用した。Thermomixer R(Eppendorf)および2つの温度制御室を使用して、PAPおよびQPAPサンプルの温度を制御した。
【0146】
実験
MABSELECT(商標)樹脂(10mL)が充填されたカラム(1.7cm×14.5cm)を5CVの6mM リン酸ナトリウム、100mL NaCl(pH7.2)バッファーで2.0mL/分(5分の滞留時間)で平衡化した。表1に挙げられている温度で2.0mL/分の流量を用いて、デプス・フィルタード・セントレートを、表1に挙げられている濃度(樹脂1リットル当たりのmAbのg)でローディングした。ローディング後、該カラムを3CVの6mM リン酸ナトリウム、100mM NaCl(pH7.2)バッファーで2ml/分で洗浄し、ついで4CVの6mM リン酸ナトリウム(pH7.2)で2ml/分で洗浄した。2ml/分の100%の段階勾配(0.5から開始し3.5で終了する)(4分の滞留時間)で3CVの溶出バッファー(目標pH値にするためのクエン酸無水物およびクエン酸三ナトリウム塩の混合物)を使用して、該産物を溶出させた。
【0147】
この実験で使用した溶出バッファーは以下のとおりである:
・60mM クエン酸ナトリウム,pH3.5。
・40mM クエン酸ナトリウム,pH3.2。
・40mM クエン酸ナトリウム,pH3.8。
・80mM クエン酸ナトリウム,pH3.2。
・80mM クエン酸ナトリウム,pH3.8。
【0148】
溶出後、0、15、30、60、120分の時点で、HPSECを用いて、該産物溶出サンプルをタンパク質凝集体含量に関して分析した。サンプルは、該サンプルをクエンチするために加えられた40マイクロリットルの0.25M トリス塩基を伴う200マイクロリットルであろう。該カラムを5CVの50mM 水酸化ナトリウム、1M 塩化ナトリウムバッファーで2.0mL/分で再生させ、PBS中の20v% エタノール溶液中で保存した。
【0149】
分析
Agilent 1100(商標)HPLC系(Agilent,Palo Alto,CA)上でPOROS(商標)プロテインA ID免疫アフィニティーカートリッジを使用して、全てのサンプルをmAb単量体濃度に関して分析した。Agilent 1100(商標)HPLC系上でTosohサイズ排除カラム(0.78cm ID×30cm長)を使用して、各サンプル中のタンパク質凝集体(二量体およびそれ以上の高次凝集体)を定量した。溶液pHを測定するために、pHプローブ(±0.1pH単位の精度)およびメーター(温度補償を伴うもの)(共にFisher Scientificから入手)を使用した。
【0150】
結果
pH、温度、バッファー濃度およびタンパク質ローディングの効果を調べて、収率およびたんぱく質凝集に対するそれらの影響を判定した。前記実験の結果は以下の表1において見出されうる。
【0151】
10℃でpH3.2においては、ローディングもシトラート濃度も収率にも凝集レベルにも有意な影響を及ぼさない。10℃でpH3.8においては、ローディングおよび/またはシトラート濃度は収率を減少させるが、凝集は低レベル(<5%)のままである。30℃でpH3.2においては、80mM シトラート濃度では、ローディングは凝集には有意な影響を及ぼさないが、温度は収率の減少および凝集レベルの増加に大きな影響を及ぼし、一方、40mM シトラートでは影響はほとんど見られない。40〜80mM シトラートにおいては、30℃でpHが3.2から3.8へと変化するにつれて、凝集レベルは有意に減少し、収率は増加する。
【0152】
【表1】





【0153】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させ、
b)溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.5〜約4.5のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。
【請求項2】
該溶出バッファーがシトラートまたはアセタートである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該溶出バッファーがシトラートである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該溶出バッファーにおけるシトラートの濃度が約0.030M〜約0.085Mである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
該溶出バッファーがアセタートである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
該溶出バッファーにおけるアセタートの濃度が約0.050M〜約0.200Mである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該方法を約4℃〜約30℃の温度で行う、請求項1記載の方法。
【請求項8】
該方法を約15℃〜約27℃の温度で行う、請求項7記載の方法。
【請求項9】
該単量体モノクローナル抗体がIgG抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
該単量体モノクローナル抗体がIgG1または修飾IgG2抗体である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該単量体モノクローナル抗体がIgG2m4抗体である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
該IgG2m4抗体が抗DKK1抗体である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
段階(b)における溶出バッファーにアミノ酸を約50mM〜約500mMの濃度まで加える、請求項1記載の方法。
【請求項14】
該アミノ酸がアルギニン、プロリンまたはヒスチジンである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、
b)約0.030M〜約0.085Mの濃度のシトラートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.5〜約4.0のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。
【請求項16】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、
b)約0.050M〜約0.200Mの濃度のアセタートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.5〜約4.5のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。
【請求項17】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させ、
b)溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.2〜約4.5のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。
【請求項18】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、
b)約0.030M〜約0.085Mの濃度のシトラートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.2〜約4.0のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。
【請求項19】
単量体モノクローナル抗体、宿主細胞不純物、二量体およびそれ以上の高次凝集体を含むサンプルから該単量体モノクローナル抗体を精製するための方法であって、
a)該サンプルをプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムと約15℃〜約27℃の温度で接触させ、
b)約0.050M〜約0.200Mの濃度のアセタートを含む溶出バッファーで該プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから該単量体モノクローナル抗体を溶出させ、
c)段階(b)からの該単量体モノクローナル抗体の画分の1以上を集めてプロテインA産物プールを形成させ、ここで、該産物プールは、
i)5%未満の高次凝集体を含み、
ii)約3.2〜約4.5のpHを有し、
それにより、該単量体モノクローナル抗体を該サンプルから精製することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2011−530606(P2011−530606A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523064(P2011−523064)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/053260
【国際公開番号】WO2010/019493
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】