説明

プロテオースペプトン画分

本発明は、一般にプロテオースペプトン画分(PPf)を含む組成物に関する。特に本発明は、β−ラクトグロブリンが減少しており、PPfに富む、ミネラル除去されたタンパク質画分を含む抽出物の生産のための方法及びこれらの抽出物の、例えば食品、栄養補助食品、栄養組成物、医薬組成物及び/又は化粧品組成物における使用、例えば、乳化剤又は起泡剤としての使用に関する。本発明のPPf画分は、天然タンパク質分散水溶液のpHを約5.6〜8.4、又は約3.5〜5.0に調整し、天然タンパク質分散水溶液を約10秒間〜60分間加熱して約70〜95℃とし、加熱後に、タンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する形成された固形高分子量凝集体の少なくとも一部を除去し、分散水溶液の残りの液体画分を回収することによって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にプロテオースペプトン画分(PPf)を含む組成物に関する。特に本発明は、β−ラクトグロブリンが減少しており、PPfに富む、ミネラル除去されたタンパク質画分を含む抽出物の製造のための方法、及びこの抽出物の使用に関する。
【0002】
起泡はミルクタンパク質の典型的な特徴であるという事実にもかかわらず、ミルクには、カゼイン、α−ラクトアルブミン、及びβ−ラクトグロブリンを除去した後にもかなりの界面活性があることが知られている(R.Aschaffenburg、J.Dairy Res.14(1945)、316〜328)。残りの画分には、界面活性成分のかなりの量を占めるプロテオースペプトン画分(PPf)が含まれている。
【0003】
PPfは、詳しい特徴が明らかでない多種のタンパク質性化合物の混合物を表し、Girardetら、J.Dairy Res.63(1996)、333〜350のこの主題に対する総論に概説されている。これを本明細書に引用して援用する。
【0004】
β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、及びβ−カゼイン、αs1−カゼイン、並びに血清アルブミン等、PPf中のいくつものタンパク質が報告されている。2つの糖タンパク質、pp16kとpp20kは、大腸菌(Escherichia coli)のエンテロトキシンへの結合親和性を有し、それぞれα−ラクトアルブミンとβ−ラクトグロブリンのグリコシル化した形態として同定された。大型タンパク質では、60kDaの酸性リン酸化糖タンパク質オステオポンチン、及び88kDaのラクトフェリンが、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)によって検出された。
【0005】
構成成分3、5及び8(PP3、PP5、PP8)と呼ばれるミルク試料の主要なPPf構成成分の量は、そのプラスミン活性と関連している。β−カゼインに対するプラスミン活性により、PP5すなわちβ−CN−5P f(1〜105/7、β−カゼインのN末端ペプチド1〜105と1〜107)、PP8−fastすなわちβ−CN−4P f(1〜28、β−カゼインのN末端ペプチド1〜28)の構成成分が生じる。構成成分であるPP8−slowとβ−CN−1P f(29〜105/7、β−カゼインのN末端ペプチド29〜105と29〜107)は別個の要素であるが、電気泳動度によって区別するのが難しい。
【0006】
PP3構成成分の多種の分子構造を下記の観察により説明する。PP3リン酸化糖タンパク質は、5M−グアニジンを使用して、40kDaの見かけの分子量を有するサブユニットに分離できる163kDa(pH8.6で超遠心により計測)の大きさを有する複合体を形成する。SDS−PAGEが、ジスルフィド結合還元薬2−メルカプトエタノールの存在下で実施され、それぞれ24.6〜33.4kDaと17〜20.9kDaの2つの主要な糖タンパク質構成成分の存在が明らかとなった。28kDaと18kDaの見かけの分子量を有する主要な糖タンパク質が、実質的に常に観察され、11kDaのバンドを伴うことが見出された。それらは、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2D−PAGE)によって分離されると、それぞれ、4つ及び2つのスポットとして現われ、pH4.9〜6.1の範囲の見かけの等電点を有する。複合体は、28kDa、18kDa、及び11kDaの分子量を有する糖タンパク質から構成されており、約7kDaの分子量を有する非グリコシル化ポリペプチドを伴う。コンカナバリンA(ConA)を有するレクチンアフィニティークロマトグラフィーで分離することにより、11、18及び28kDaの糖タンパク質の複雑な挙動が明らかとなる。11kDaの糖タンパク質がConAに結合しない一方、より大型の18と28kDaの糖タンパク質は、非結合画分(糖タンパク質pp18とpp28と呼ばれる)と結合画分(糖タンパク質pp18とpp28と呼ばれる)とに分離した。
【0007】
当技術分野では、スキムミルクからPPfを得る。
【0008】
しかしながら、スキムミルクからPPfを単離するには、カゼインと変性ホエイタンパク質を沈殿/遠心分離によって除去するため、ミルクの熱処理(例えば90℃で10分間)と酸性化が必要となる。この従来の方法は大変コストが高く、工業規模では適用できない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、工業的に適用可能な、PPfを得るための方法を有する技術を提供することであった。本発明のさらなる目的は、ミルクから単離されたPPfとは異なるタンパク質組成を示し、優れた特性とさらなる利点を提供するPPfに富む抽出物をもたらす技術を提供することであった。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、これらの目的が、独立請求項の主題によって成し遂げられることを見出した。
【0011】
本発明者らは、スキムミルクに対して、ミネラル除去されたタンパク質画分、例えばミネラル除去された球状タンパク質画分、特にホエイタンパク質濃縮物(WPC)又はホエイタンパク質単離物(WPI)から、PPfに富む抽出物が産生される場合、本発明の方法を適用すると、本発明の目的が達成されることを見出した。
【0012】
本発明の非常に特殊な方法により、際立って有益な特性を有する抽出物の生産が可能となる。
【0013】
得られた抽出物は、例えば、熱安定性で、酸可溶性及び酸不溶性のタンパク質を含んでいる。
【0014】
そのうえ、ホエイは、例えば、チーズの生産において通常廃棄物である安価な原料である。チーズを作る工程は、ミルクを凝固するタンパク質分解酵素であるレンネットの添加を要し、カード(後にチーズとなる)と可溶性ホエイ画分とを分離する。
【0015】
これとは対照的に、ミルクは高価な原料である。
【0016】
さらに、WPIには脂肪がほとんどないので、我々の発明によるPPfの生産では、脂肪除去は不必要となり、工程が単純化され、さらにPPfのコンタミネーションを防ぐことができる。
【0017】
したがって、本発明の一実施形態は、
ミネラル除去された天然タンパク質分散水溶液のpHを約5.6〜8.4、又は約3.5〜5.0に調整するステップと、
天然タンパク質分散水溶液を約10秒間〜60分間加熱して約70〜95℃とするステップと、
加熱後に、タンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する形成された固形高分子量凝集体の少なくとも一部を除去するステップと、
分散水溶液の残りの液体画分を回収するステップと
を含む、抽出物の生産のための方法である。
【0018】
得られた抽出物は、β−ラクトグロブリンが減少したタンパク質画分を含み、PPfに富む。得られた抽出物はミネラル除去もされている。
【0019】
本発明の目的において「ミネラル除去された」とは、ミネラルの含有量を、スイートホエイ又は酸ホエイと比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%減少させたことを意味する。スイートホエイ又は酸ホエイの乾燥物質は平均で、0.9%のカルシウム、0.8%のナトリウム、2.2%のカリウム、0.1%のマグネシウム、0.7%のリン及び2.0%の塩化物を含む、8.8%のミネラルを含有している。
【0020】
本発明の文脈において、「β−ラクトグロブリンが減少した」とは、抽出物中のタンパク質の全重量に対するβ−ラクトグロブリンの含有重量が、天然球状タンパク質溶液中のタンパク質の全重量に対するβ−ラクトグロブリンの含有重量と比較して、多くても70%、好ましくは多くても50%、より好ましくは多くても20%であることを意味する。
【0021】
したがって、β−ラクトグロブリンが減少した抽出物は、天然球状タンパク質溶液中に存在するβ−ラクトグロブリンの含量の多くても70重量%、好ましくは多くても50重量%、より好ましくは多くても20重量%を含む。
【0022】
「PPfに富む」とは、抽出物中のタンパク質の全重量に対するPPfの含有重量が、天然球状タンパク質分散液中のタンパク質の全重量に対するPPfの含有重量と比較して、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、さらにより好ましくは少なくとも10倍増加していることを意味する。
【0023】
本発明の抽出物はまた、α−ラクトアルブミンに富んでいてもよい。α−ラクトアルブミンに富むとは、抽出物中のタンパク質の全重量に対するα−ラクトアルブミンの含有重量が、最初の天然球状タンパク質分散液中のタンパク質の全重量に対するα−ラクトアルブミンの含有重量と比較して、少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、さらにより好ましくは少なくとも2倍増加していることを意味する。
【0024】
本発明の抽出物は、好ましくはミネラル除去された球状タンパク質分散液、特にホエイから調製される。ミネラル除去されたタンパク質画分は、好ましくはミネラル除去された球状タンパク質画分、特にホエイタンパク質画分である。
【0025】
本発明の一実施形態において、ミネラル除去された天然タンパク質分散水溶液は、ミネラル除去されたホエイ、又はミネラル除去されたホエイタンパク質画分である。
【0026】
原理的に、加熱後に、当技術分野において知られる任意の方法により、ホエイタンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する、形成された固形高分子量凝集体を除去することができる。しかしながら、好ましくは、沈殿、遠心分離、濾過、精密濾過、又はこれらの方法の組み合わせによって高分子量凝集体を除去することができる。この除去ステップに、pH調整をさらに加えてもよい。
【0027】
沈殿には、必要な実験装置が最小で、最低限のエネルギー入力で実行することができるという長所がある。
【0028】
遠心分離はエネルギー入力が必要となるが高速の方法である。連続遠心分離は、例えば白チーズ製造の工場において既に使用されている工程である。
【0029】
濾過と精密濾過は、大規模生産にはよく応用されており、高分子量凝集体の除去において非常に信頼性が高い。
【0030】
これらの方法をいくつか併用することでそれぞれの利点を兼ね備えることができるであろう。
【0031】
例えば、最後のステップに精密濾過の工程を適用することで、少なくとも100nmの直径を有する高分子量凝集体を実質的に完全に除去することができる。
【0032】
加熱後に、ホエイタンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する固形高分子量凝集体の好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には100%を除去する。
【0033】
本発明の方法は、限外濾過及び/又は蒸発ステップをさらに含むこともできる。
【0034】
限外濾過は、静水圧を利用して、半透膜に液体を通す膜濾過技術である。水と低分子量の溶質が膜を通過する一方、懸濁固体と高分子量の溶質が残る。この分離工程は、高分子量の分子(10〜10Da)、特にタンパク質を含む溶液の精製及び濃縮のため、産業及び研究において使用される。限外濾過は、産業環境において定評があるという長所があり、高分子量のタンパク質を効率的でありながら穏やかに分離でき、ストレス誘発性のタンパク質変性を防ぐ。
【0035】
蒸発は、タンパク質溶液を濃縮できる穏やかな方法である。例えば、少なくとも40℃に、又は好ましくは少なくとも60℃に加熱することで蒸発を起こしてもよい。例えば、PPfを含む組成物を乾燥させて、含水量を全組成物の重量に対して10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満に減少させてもよい。この乾燥ステップには、得られたPPfに富む抽出物を、その完全な活性を維持しつつ組成物の重量を減らし高濃度で貯蔵できるという長所がある。また、蒸発により水分活性が低くなったため、製品の安定性は増す。
【0036】
本発明の方法では、天然ホエイタンパク質分散水溶液を約15分間加熱して約85℃とすることが好ましい。pHを約3.5〜5.0、又は約5.6〜6.4、好ましくは約5.8〜6.0、又は約7.5〜8.4、好ましくは約7.6〜8.0、又は約6.4〜7.4、好ましくは約6.6〜7.2に調整することが好ましい。
【0037】
本発明に至る長い実験の過程で、本発明者らは、驚くべきことに、熱処理前にpHの値を厳密(±0.1pH単位)に調整すると、1μm未満の直径を有する、ホエイタンパク質凝集体の球状微粒子が得られることを見出した。最適pH値は出発物質、例えばWPIの濃度と組成に依存することが見出された。この方法には、例えば剪断などの、いかなる機械的ストレスもない状態で、ホエイタンパク質微粒子を生成するという長所がある。得られた粒子により、本発明のPPf含有抽出物からこれら微粒子を形成する化合物を容易に除去できるという長所がもたらされる。
【0038】
これらの発見により、pHとイオン強度が本発明の方法にとって2つの大切な要素であることが明らかとなった。それゆえ、十分に透析して、Ca++、K、Na、Mg++等の遊離のカチオンを激減させた試料では、上記の熱処理を適用した後、5.4未満のpHではカードが生成し、6.8を超えるpHでは可溶性ホエイタンパク質凝集体が生成する傾向がある。したがって、pH値の範囲がかなり狭い場合でのみ、PPf抽出物の調製に必要なタイプの固形ホエイタンパク質微粒子が得られる。類似したホエイタンパク質微粒子は、ホエイの等電pH未満の対称的なpH値、すなわち3.5〜5.0までを使用することで産生される。
【0039】
低濃度(最初のホエイタンパク質粉末100gに対して0.2g未満)の二価カチオンに対して、pHが5.6〜6.4、より好ましくは5.8〜6.0のpH範囲に調整される場合、負に帯電した粒子が得られる。pHは、ホエイタンパク質源(例えばWPC又はWPI)のミネラルの含有量によって、8.4まで高くしてもよい。特に、大量の遊離ミネラルの存在下で負に帯電した粒子を得るためには、pHを7.5〜8.4、好ましくは7.6〜8.0に調整してもよい。中程度の濃度の遊離ミネラルの存在下で負に帯電した粒子を得るためには、pHを6.4〜7.4、好ましくは6.6〜7.2に調整してもよい。
【0040】
もちろん、微粒子の帯電は、本発明のPPfを含むホエイ抽出物からこれらの微粒子を分ける手段として、さらに使用することができる。
【0041】
pHは一般に、好ましくは食品等級の酸、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸又は乳酸、の添加によって調整する。ミネラル含有量が高い場合は、pHは一般に、好ましくは食品等級のアルカリ性溶液、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムの添加によって調整する。
【0042】
本発明の方法には、本質的に塩を含まない天然ホエイタンパク質分散水溶液が好ましい。「本質的に塩を含まない」とは、約4重量%のタンパク質濃度に対して塩の含有量が1g/l以下であることを意味する。例えば、ホエイタンパク質水溶液は二価カチオンを、全乾燥質量で2.5重量%未満、より好ましくは2重量%未満含んでもよい。
【0043】
天然タンパク質分散水溶液中に天然タンパク質、好ましくは天然球状タンパク質、さらにより好ましくはホエイタンパク質が、溶液の全重量に対して約0.1重量%〜12重量%、好ましくは約0.1重量%〜8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜7重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜5重量%で存在する。
【0044】
ホエイタンパク質分散水溶液は、ウシ、若しくはスイギュウ、若しくはヒツジ、若しくはヤギ、若しくはウマ、若しくはラクダの原料、又はそれらの混合物のいずれかのホエイを含んでもよい。
【0045】
本発明の一実施形態は、PPf、特に本発明の方法によって入手可能なホエイPPfを含む組成物である。
【0046】
本発明の方法により得られたホエイPPfは、本発明においてホエイが出発物質として使用され、また、特定の方法が使用されるという事実のため、従来技術において入手可能なPPf、特にミルクから入手可能なPPfとは異なる。
【0047】
本発明の方法により得られたホエイPPfは、全アミノ酸組成に対する百分率として、下記のようなアミノ酸組成を有する:約6〜9%のASP、約4〜7%のTHR、約4〜7%のSER、約22〜25%のGLU、約9〜12%のPRO、約0〜3%のGLY、約1.5〜4.5%のALA、約4〜7%のVAL、約0〜2のCYS、約1〜4%のMET、約4〜7%のILE、約7.5〜10.5%のLEU、約0〜3%のTYR、約6.7〜9.7%のLYS、約1.5〜4.5%のHIS、約1〜4%のARG。
【0048】
この組成は、従来の方法によって得られたPPfの典型的な組成とは異なる。表1には、従来の方法(試料1)とホエイPPf(本発明、試料2)に対応する典型的なPPf−アミノ酸プロフィールが示され、両者を比較することができる。
【0049】
試料1は、以下に示す従来の方法を使用して同じWPIから調製した。
【0050】
基本的には、Paquet,D.Nejjar,Y.、及びLinden,G.(1988);Study of a hydrophobic protein fraction isolated from milk proteose−peptone.Journal of Dairy Science、71、1464〜1471)に提案された方法によって、従来のPPfを調製した。
【0051】
プロラクタ(Prolacta)90を出発物質として使用した。プロラクタ90(428g)をMilli−QグレードHO5Lでもどした(reconstituted)。この溶液を計測するとpH6.43であったが、その後、1NのNaOHを約15ml添加しpH7.00に調整した。この溶液の体積を、6L(最終タンパク質濃度は6%(w/w)であった)とし、6つの1Lビンに等分し、93℃に設定したウォーターバスに30分間置き、タンパク質を変性させた。20分のインキュベーションの後、ビンの内側の温度は90℃となった。インキュベーションの終わりに、ビンを氷浴に入れ、20℃まで冷やした。pHを4.6に調整して、タンパク質性化合物の等電沈殿を実施した。実際には、1Lビン3本の内容物を一緒にし(pH7.17)、1NのHCl約88mlを使用してpHを4.6に調整した。他の1Lビン3本も同様に処理した。得られる2つの酸性化された溶液を一緒にして4℃で18時間貯蔵し、1Lプラスチックボトル6本に等分した。ビンを遠心分離後(6℃、5000rpm/7200gで60分、H6000Aローターを備えたSorval RC3C Plus)、PPfを含有する上清を回収した。その後、PPfの硫酸アンモニウム沈殿法を、半飽和(313g/L)で2時間実施した。沈殿物を、遠心分離(Sorval RC3C Plusを使用して6℃、5000rpmで60分)後に回収し、一緒にして、Milli−QグレードHO350ml内に再度分散した。濁った懸濁液/溶液を、分子量(MW)1000のカットオフのSpectrapor膜チューブ(Spectrum Laboratories inc.)を使用して、22LのMilli−Qグレード水に対し4回透析した。透析後、PPfを含む抽出物を遠心分離し(6℃、5000rpmで60分)、上清を濾過し(Millipore社製0.22μmフィルター、GPステリカップ(GP Stericup)(登録商標)エクスプレスプラス(Express plus)(商標))、フリーズドライした。PPfの収量はホエイタンパク質全荷重360gから6g(1.6%)だった。
【0052】
例えば、2つのPPfを区別するには、アミノ酸プロフィール(表1)と2D−PAGEによって決定されるタンパク質プロフィール(図1と2)の2つの基準を使用できる。
【0053】
表1:従来のPPf(試料1)とホエイタンパク質PPf(試料2)のアミノ酸組成を、100g粉末当たり各アミノ酸のgで、及び全アミノ酸組成に対する割合で表した。
【0054】
【表1】

【0055】
2D−PAGEは複合タンパク質混合物を分析し比較する強力な方法である。この方法では、一次元目ではタンパク質の電荷によって、二次元目では分子量によってタンパク質を分離する。
【0056】
本発明者らは、この2D−PAGEを使用して、従来の方法を使用して得られたPPfと本発明を使用して得られたPPfと間にある差異を分析した。同じWPIを使用して従来の方法によって調製されたPPfと本発明によって調製されたPPfの両方を産生した。Paquet,D.Nejjar,Y.、及びLinden,G.(1988);Study of a hydrophobic protein fraction isolated from milk proteose−peptone.Journal of Dairy Science、71、1464〜1471)に記載された方法によって、従来のPPfを調製した。図1は、本発明によって得られたPPfの2D−PAGEタンパク質プロフィールを示す。図1の2Dゲルの標識されたタンパク質スポットはすべて、従来の方法で調製されたPPfによって生成された2Dゲルのタンパク質スポットとは質的及び/又は量的に異なる。図2は、観察された差異の定量化を示す。
【0057】
したがって、本発明の一実施形態は、本発明の方法によって入手可能な天然ホエイタンパク質分散液からのPPfを含む組成物である。
【0058】
PPfに富む抽出物を、下記の手順により分析した:
タンパク質溶液、特にPPfから250μgタンパク質当量を、最終濃度がそれぞれ7M、2M、65mM、20mM、65mM、0.4%(w/v)で使用される尿素、チオ尿素、CHAPS、トリス、DTT、アンフォライトと、染色のためのブロモフェノールブルーとからなる変性溶液340μlに溶解し、
1.5Mトリス緩衝液で調製された9〜16%アクリルアミドゲル上のpH3〜pH10のpH勾配のイモビライン(immobiline)ストリップにこの試料を載せ、
イモビラインストリップゲルに300ボルトの電圧を11.6時間印加し、その後5000ボルトの電圧を12.4時間印加して、電荷でタンパク質を分離し、
25mMトリス/192mMグリシン/0.1%SDS(w/v)、pH8.3の緩衝液中でアクリルアミドが9〜16%の範囲にあるアクリルアミド勾配ゲル上にイモビラインストリップゲルを配置し、
ゲルに40mAの電流を一晩流して、事前にimmobilineストリップゲル上で分離したタンパク質をアクリルアミド・マトリックスに流して、さらに大きさによりタンパク質を分離し、
クーマシーブルー染色法でタンパク質スポットを視覚化する。
この手順により、図1に示されるようなゲルが得られた。
【0059】
本発明の組成物は数々の異なった目的に使用されてもよい。しかしながら、得られた組成物は、食品等級の組成物であるため、食品、栄養補助食品、栄養組成物及び/又は医薬組成物の調製に特に有効である。
【0060】
本発明の組成物を、特に出発物質としてウシのミルク又はホエイを使用して調製した場合、脂肪を実質的に含んでいないため、低脂肪の製品の生産に大変有効である。
【0061】
本発明の組成物を、例えば、乳化剤又は起泡剤として使用してもよい。
【0062】
本発明の組成物の典型的な応用例は、さらにクリーマー、特に、コーヒークリーマー、カプチーノのような起泡性飲料、カフェラテ、チョコレート、ヨーグルト、パスチャライズドUHTミルク、加糖コンデンスミルク、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ムース、泡剤、乳剤、アイスクリーム、酸性飲料、炭酸飲料、フルーツジュース、飲料を調製する凝集粉末、ミルクベースの粉末、乳児用調整乳、栄養強化食、ペットフード、錠剤、乾燥経口サプリメント、液状経口サプリメント、ヘルスケア栄養調整物、及び化粧品等の製品の調製のための組成物の利用である。
【0063】
本発明の組成物をまた、植物、果物、生体組織又は体液、発酵製品、細胞培養物、細菌、酵母等の生体物質由来の、生理活性物質、酸化防止剤又は色素等の疎水性又は脂溶性の構成成分の抽出及び/又は安定化に使用してもよい。
【0064】
本発明の組成物を含む製品も、本発明に含まれ、この製品は、好ましくは食品、栄養補助食品、栄養組成物及び/又は医薬組成物、又は化粧品組成物、並びに好ましくはクリーマー、特に、コーヒークリーマー、カプチーノのような起泡性飲料、カフェラテ、チョコレート、ヨーグルト、パスチャライズドUHTミルク、加糖コンデンスミルク、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ムース、泡剤、乳剤、アイスクリーム、酸性飲料、炭酸飲料、フルーツジュース、飲料を調製する凝集粉、ミルクベースの粉末、乳児用調整乳、栄養強化食、ペットフード、錠剤、乾燥経口サプリメント、液状経口サプリメント、又はヘルスケア栄養調整物である。
【0065】
本明細書の開示から逸脱することなく、本明細書に開示されたすべての特徴を自由に組み合わせ得ることは、当業者には明白であろう。本発明のさらなる利点及び特徴が、下記の実施例と図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明のPPfの2D−PAGEである。
【図2】図2は、図1のゲルにおいて標識されたタンパク質の定量化である。
【図3】図3は、クーマシーブルー染色法を使用して、変性させ還元させた状態で実施された本発明のPPfのNU−PAGEである。レーン1は市販のWPI(天然タンパク質プロラクタ90(Lactalis))である。レーン2はWPA濃縮物である。レーン3はWPA精密濾過(microfiltration、MF)透過液である。レーン4はpH4.6での遠心分離後のWPAのMF透過液の上清である。レーン5はpH4.6での遠心分離後のWPAのMF透過液の沈殿物である。
【図4】図4は、WPI(プロラクタ90(Lactalis、Retiers、France))、WPA精密濾過透過液及びWPA精密濾過/限外濾過透過液の0.5重量%タンパク質分散液の、25℃での、pH7.0における乳化活性指数(EAI)を示す。
【図5】図5は、WPI(プロラクタ(登録商標)90(Lactalis、Retiers、France))、又は本発明の、PPfに富む抽出物のMF透過液の0.1重量%タンパク質分散液のpH6.3での、25℃における起泡容量を示す。
【図6】図6は、85℃、15分間の熱処理後の、WPI(プロラクタ90(Lactalis、Retiers、France))、本発明MFの抽出物、及び本発明MF/UFの抽出物、の0.1重量%タンパク質分散液の、pH4.0での、25℃における泡の体積安定性を示す。
【0067】
実施例1 本発明に対応するPPfに富む画分の抽出
68kgのプロラクタ90(ロット500658、Lactalis、Retiers、France)を、1332kgの軟水(Naを160mg.L−1含む)に15℃で分散させた。これを、pHプローブを装備した2000L水槽内で一定の撹拌と再循環の下で1時間維持した。結果、タンパク質分散液のpHは6.68となり、全固形物含有量(TS)は4.5%となった。その後、約13kgの1MのHClを添加しpHを5.90±0.05に調整した。この特定のpH値は、実験室規模の環境において軟水を使用したWPAの形成に最適であることが見出された(WPAの平均直径は250nm、500nmの濁度>70)。最適pH値がこれらの処理条件下で非常に安定であることが見出された。その後、プロラクタ90分散液を1000L.h−1の流速で汲み出し、55℃の予熱温度で平板熱交換器を使用して熱処理し、続いて、85℃で加熱し、15分間保持し、4℃に冷却した。結果として生じたWPA含有ホエイ分散液(TSは4.5%)を、4℃で貯蔵した。
【0068】
その後、全表面積が6.8mのCarbosep M14セラミック/カーボン膜(孔径0.14ミクロン)2つを使用して、精密濾過(MF)により、500kgのWPA含有ホエイ分散液からWPAを取り除いた。測定基準(module)の温度は、8〜11℃の間に、圧力は2.3バールに設定した。透過液の流速は3時間の精密濾過後に180l.h−1から70l.h−1に減少した。主にWPAを含む、廃棄されることとなる保持液の最終全固形物(TS)は20%だった。本発明のPPfに対応する精密濾過透過液には全固形物含有量が約0.28%あり、SDS−PAGEによってさらに分析した(図3、レーン3)。この分析法により、このPPfがα−ラクトアルブミン、カゼイン、及びプロテオースペプトンの混合物を含むことが示された(図3)。天然のプロラクタ90のタンパク質プロフィールと捨てられたWPAを詳細に調査したが、大きな違いは見られなかった(図3、レーン1〜2)。しかしながら、本発明の抽出物の組成物がα−ラクトアルブミン、PPf及びカゼインに富むことが示された(レーン3)。pH4.6で遠心分離後、上清と沈殿物とを調査し、PPfが存在することが確認された(レーン4〜5)。pH4.6で沈殿するカゼインとα−ラクトアルブミンが沈殿物において見出された一方、PPfは上清で溶解したままであった。追加の濃縮工程で、精密濾過透過液をさらに限外濾過工程にかけ、抽出物の乾燥量基準で、TSを0.28から20%に、窒素含有量を62から84.5%に増加させた。
【0069】
実施例2 乳化性
K.N.Pearce及びJ.E.Kinsella、J.Agric.Food Chem.26(1978),716〜723に記述された方法により、本発明のPPfの乳化性を中性pHで評価した。基準試料を取得した(プロラクタ90、ロット500658、Retiers、France)。加えて、本発明の2つの抽出物をテストした。第一の抽出物(PPf)は、実験例1に記述された62%のタンパク含有量を有するMF透過液とした。第二の抽出物(PPf)は、84.5%のタンパク含有量によって特徴づけられた、実験例1において次に記述されたUF抽出物とした。ひまわり油を使用して乳濁液(オイル相)を生成し、タンパク含有量は水相の0.5重量%に設定した。その後、1分間に11,000rpmで回転するS25N−10Gの分散ヘッド(IKA−Werke、Staufen、Germany)を装備したウルトラタラックス(Ultra Turrax)(登録商標)T25を使用して、水相12mlに、ひまわり油4mlを混合し、均質化した。その後、この乳濁液50mlに、0.1%のSDS溶液5mlを混合し、経路長1cmのキュベットを装備したNicolet Evolution 100分光光度計(Digitana、Yverdon−les−Bains、Switzerland)を使用して、この分散液の吸光度を500nmで計測した。EAI(m.g−1)をpH4.0と7.0で、以下の式に従って算出した。
EAI=4.606Ad/φCl
ここで、Aは500nmの吸光度、dは希釈係数、φは油の体積分率、Cはタンパク質濃度(g.m−3)、lはキュベットの経路長(m)である。実験は2セット行った。
【0070】
EAI(乳化活性指数)を図4に示す。本発明のPPfに富む抽出物が、出発物質(WPI、プロラクタ90)と同等の、乳化活性を示すことが明らかに認められる。これは、ホエイの主なタンパク質画分をすべて含有しているWPI(プロラクタ90)同様、本発明のPPf含有抽出物で、同量のひまわり油を安定化することが可能であることを意味する。
【0071】
実施例3 起泡特性
精密濾過(MF)、及び例1に記述された精密濾過/限外濾過(MF/UF)によって得られたPPf抽出物を、C.Guillermeら、J.Text.Stud.24(1993)287〜302に記述された方法を使用して抽出物の起泡特性を決定するために使用した。多孔性の焼結ガラス円板(多孔度と気流を制御する)を通して気体を噴霧し(sparging)、WPM分散液の定義された量を泡立たせるという原理である。生成された泡は円柱状のガラス柱に沿って上昇し、その容積をCCDカメラを使用した画像解析によって追跡した。泡に組みこまれた液体の量と泡均質性を、液体を含むキュベット内及びコラムの異なった高さでのコンダクタンスを、電極を使い計測することで追跡した。PPf抽出物の起泡特性を市販のフォームスキャン(Foamscan)(商標)装置(Teclis−ITConcept、Longessaigne、France)を使用し計測した。PPfに富む抽出物MFとMF/UFの透過液を、タンパク質0.1重量%となるようにMilli−Qグレード水HOでもどし(reconstitute)、起泡容量及び泡の安定性をpH6.3で測定し、対応するプロラクタ90の起泡容量及び泡の安定性と同じタンパク質濃度で比較した。酸性の状態での熱処理後のPPf抽出物の起泡特性をさらにテストするために、起泡実験を行う前に、上記の分散液をpH4.0に酸性化し、85℃の熱処理を15分間行った。
【0072】
タンパク質分散液20mlをキュベットに注ぎ、80ml.分−1で窒素を噴霧(sparging)した。この流速で、強い重力排液が生じる前に効率的な起泡が可能となることが見出された。これら起泡特性のテストに使用された焼結ガラス円板の多孔度により、10〜16μmの直径を有する気泡の形成が可能となる。110cmの泡が得られた後、通気を止めた。通気の終わりに、泡容量(FC=泡の体積/注入された気体の体積)が算出された。加えて、泡の総体積が25±2℃で経時的に追跡された。すべての実験を2セット行った。
【0073】
起泡容量は、注入された気体の総体積で割られた、産生された泡の総体積と定義されるが、本発明のPPfに富むMF抽出物の起泡容量は、対応するプロラクタ90の起泡容量よりもわずかに多く、PPfに富む抽出物が、すべての主なホエイタンパク質(図5)の組み合わせとして、界面活性として存在することが示された。
【0074】
酸熱安定性に関して、従来技術の主なホエイミルク画分は、加熱し酸性化されるとその起泡特性を失うことが知られている(LG Phillipsら,J.Food Sci.55(1990)、1116〜1119)。これが本発明のPPfに富む抽出物では起こらなかった。0.1重量%で分散したPPfに富む抽出物2つのFC、1.18±0.03と比較して、0.1重量%タンパク質のプロラクタ90分散液のFCは、1.09±0.01と著しく低かった。
【0075】
85℃、15分間の熱処理とpH4.0への調整後の、本発明の抽出物の0.1重量%タンパク質分散液で得られた泡の泡体積安定性はプロラクタ90(図6)で得られた泡量安定性と同等か、さらに高く、再度、抽出物対主なホエイタンパク質画分の酸、熱安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテオースペプトン画分(PPf)に富む抽出物の製造のための方法であって、
ミネラル除去された天然タンパク質分散水溶液のpHを約5.6〜8.4、又は約3.5〜5.0に調整するステップと、
前記天然タンパク質分散水溶液を約10秒間〜60分間加熱して約70〜95℃とするステップと、
加熱後に、前記タンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する形成された固形高分子量凝集体の少なくとも一部を除去するステップと、
前記分散水溶液の残りの液体画分を回収するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ミネラル除去された天然タンパク質分散水溶液がミネラル除去されたホエイタンパク質画分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱後に、前記タンパク質分散水溶液から、少なくとも100nmの直径を有する前記固形高分子量凝集体の少なくとも90%、好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%を除去する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
pHを約3.5〜5.0、又は
約5.6〜6.4、好ましくは約5.8〜6.0、又は
約7.5〜8.4、好ましくは約7.6〜8.0、又は
約6.4〜7.4、好ましくは約6.6〜7.2
に調整する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記天然タンパク質分散水溶液が本質的に塩を含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質分散水溶液中にタンパク質が、前記分散水溶液の全重量基準で約0.1重量%〜12重量%、好ましくは約0.1重量%〜8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜7重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜5重量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質分散水溶液が、二価カチオンを、全乾燥質量で2.5重量%未満、より好ましくは2重量%未満含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分散水溶液の残りの液体部分を乾燥させて、含水量を全組成物の重量に対して10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満に減少させる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって得られるホエイPPfを含む組成物。
【請求項10】
全アミノ酸組成に対する百分率で、約6〜9%のASP、約4〜7%のTHR、約4〜7%のSER、約22〜25%のGLU、約9〜12%のPRO、約0〜3%のGLY、約1.5〜4.5%のALA、約4〜7%のVAL、約0〜2%のCYS、約1〜4%のMET、約4〜7%のILE、約7.5〜10.5%のLEU、約0〜3%のTYR、約6.7〜9.7%のLYS、約1.5〜4.5%のHIS、約1〜4%のARGのアミノ酸組成を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
タンパク質溶液、特にPPfから250μgタンパク質当量を、最終濃度がそれぞれ7M、2M、65mM、20mM、65mM、0.4%(w/v)で使用される尿素、チオ尿素、CHAPS、トリス、DTT、アンフォライトと、染色のためのブロモフェノールブルーとからなる変性溶液340μlに溶解し、
1.5Mトリス緩衝液で調製された9〜16%アクリルアミドゲル上のpH3〜pH10のpH勾配のイモビライン(immobiline)ストリップにこの試料を載せ、
イモビラインストリップゲルに300ボルトの電圧を11.6時間印加し、その後5000ボルトの電圧を12.4時間印加して、電荷でタンパク質を分離し、
25mMトリス/192mMグリシン/0.1%SDS(w/v)、pH8.3の緩衝液中でアクリルアミドが9〜16%の範囲にあるアクリルアミド勾配ゲル上にイモビラインストリップゲルを配置し、
前記ゲルに40mAの電流を一晩流して、事前にイモビラインストリップゲル上で分離したタンパク質をアクリルアミド・マトリックスに流して、さらに大きさによりタンパク質を分離し、
クーマシーブルー染色法で前記ゲルのタンパク質スポットを視覚化する
手順を適用した後に、図1に示されたゲルに似たゲルを得る、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
食品、栄養補助食品、栄養組成物、医薬組成物及び/又は化粧品組成物の調製のための、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
乳化剤として、起泡剤として及び/又は低脂肪製品のための、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
クリーマー、特に、コーヒークリーマー、カプチーノのような起泡性飲料、カフェラテ、チョコレート、ヨーグルト、パスチャライズドUHTミルク、加糖コンデンスミルク、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ムース、泡剤、乳剤、アイスクリーム、酸性飲料、炭酸飲料、フルーツジュース、飲料を調製する凝集粉末、ミルクベースの粉末、乳児用調整乳、栄養強化食、ペットフード、錠剤、乾燥経口サプリメント、液状経口サプリメント、ヘルスケア栄養調整物、化粧品の調製のための、請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
植物、果物、生体組織又は体液、発酵製品、細胞培養物、細菌、酵母等の生体物質由来の、生理活性物質、酸化防止剤又は色素等の疎水性又は脂溶性の構成成分の抽出及び/又は安定化のための、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−516406(P2011−516406A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547164(P2010−547164)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051884
【国際公開番号】WO2009/103716
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】