説明

プロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ遺伝子、及びプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物の製造法

【課題】4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸の製造に関与する新規遺伝子、あるいは4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸からプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物の製造に関与する新規遺伝子、並びに4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を製造する方法及び4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸からプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物を製造する方法、を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子;該遺伝子によってコードされるタンパク質;該遺伝子を含む組換えベクター;該組換えベクターを含む形質転換体;及びプロトカテク酸及びプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトカテク酸の2,3−環を開裂する新規な酵素類、それらをコードする遺伝子、及び該遺伝子を導入した微生物に関する。本発明はまた、該微生物を利用するプロトカテク酸又はプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、リグニン由来の芳香族化合物であるバニリン、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸等からプロトカテク酸(以下、「PCA」と言うことがある)を経て、生物分解性のプラスチック原料となり得る2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を発酵生産技術により製造する方法を報告している(特許文献1)。この多段階の酵素反応において、プロトカテク酸から2−ピロン−4,6−ジカルボン酸への変換には、スフィンゴモナス・パウチモビリス(Sphingomonas paucimobilis)SYK-6株由来のプロトカテク酸4,5−環開裂酵素(PCA 4,5−ジオキシゲナーゼ)遺伝子(ligAB)と4−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート−6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ遺伝子(ligC)が関与している(特許文献1)。一方、4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸への変換には、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440由来のp−ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ遺伝子(pobA)(Accession No. NC_002947)が関与している。
【0003】
また、本発明者らは、バニリン、バニリン酸等からプロトカテク酸を経て3−カルボキシ−cis,cis−ムコン酸や3−カルボキシムコノラクトンを製造する方法を報告している(特許文献2)。この多段階の酵素反応の内、プロトカテク酸から3−カルボキシ−cis,cis−ムコン酸への変換には、シュードモナス・プチダKT2440株由来のPCA 3,4−環開裂酵素(PCA 3,4−ジオキシゲナーゼ)遺伝子(pcaHG)が関与している(特許文献2)。
【0004】
一方、エッシェリヒア・コリ(E. coli)JM101株由来のNahと称されるカテコール2,3−環開裂酵素群を用いて、カテコール(2−ヒドロキシ安息香酸)から、2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド、2−ヒドロキシムコナート、4−オキサロクロナート、4−オキソペント−4−エノエート、4−ヒドロキシ−2−オキソバレレートをこの順に経て、最終的にピルビン酸及びアセトアルデヒドを与える、カテコール2,3−環開裂経路が開示されている(非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、4−ヒドロキシ安息香酸やプロトカテク酸は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸、3−カルボキシムコノラクトン等の製造において非常に重要な化合物であるにもかかわらず、上記の文献以外に、4−ヒドロキシ安息香酸やプロトカテク酸を出発物質とする変換経路はほとんど知られていない。
更に、プロトカテク酸の2,3−環開裂代謝物については、その構造に二重結合及びカルボン酸基を有するものが多く、生物分解性のプラスチックや各種化学製品の原料としての使用が期待されるが、4−ヒドロキシ安息香酸やプロトカテク酸から発酵生産によって得られる化合物についての報告は、数種類に限られているが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−278549号公報
【0007】
【特許文献2】WO2008/018640
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. Biol Chem. 1989 Sep. 15; 264 (266): pp. 15328-33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸の製造に関与する新規遺伝子、あるいは4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸からプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物の製造に関与する新規遺伝子、並びに4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を製造する方法及び4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸からプロトカテク酸2,3−環開裂代謝物を製造する方法、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、斯かる現状に鑑み鋭意検討した結果、パエニバチルス属(Paenibacillus sp.)JJ1b株(ATCC35889)から新規プロトカテク酸2,3−環開裂代謝酵素遺伝子(以下、「pra」遺伝子と言うことがある)を見出し、これらの遺伝子を含む形質転換体を用いれば、4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を、及び4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸からプロトカテク酸の2,3−環開裂代謝物を効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、(1)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
(2)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号3に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつプロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
(3)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号5に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
(4)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号7に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号7に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
(5)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号9に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号9に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
(6)本発明は、以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号11に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつIclR型転写レギュレーター活性を有するタンパク質を提供する。
(7)本発明は、(1)〜(6)のいずれか1記載の遺伝子によってコードされるタンパク質を提供する。
(8)本発明は、(1)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(9)本発明は、(2)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(10)本発明は、(1)及び(2)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(11)本発明は、(1)〜(3)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(12)本発明は、(1)〜(4)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(13)本発明は、(1)〜(5)記載の遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
(14)本発明は、(6)記載の遺伝子を更に含む、(9)〜(13)のいずれか1記載の組換えベクターを提供する。
(15)本発明は、(8)〜(14)のいずれか1記載の組換えベクターを含む形質転換体を提供する。
(16)本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸の存在下に(15)記載の形質転換体を培養することを特徴とする、プロトカテク酸の製造法を提供する。
(17)本発明は、プロトカテク酸の存在下に(15)記載の形質転換体を培養することを特徴とする、5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドの製造法を提供する。
(18)本発明は、(17)で得られた5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドを脱炭酸することを特徴とする、2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドの製造法を提供する。
(19)本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、(15)記載の形質転換体を培養することを特徴とする、2−ヒドロキシムコナートの製造法を提供する。
(20)本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、(15)記載の形質転換体を培養することを特徴とする、4−オキサロクロトナートの製造法を提供する。
(21)本発明は、4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、(15)記載の形質転換体を培養することを特徴とする、4−オキサペント−4−エノエートの製造法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の新規プロトカテク酸2,3−環開裂代謝遺伝子によれば、4−ヒドロキシ安息香酸からプロトカテク酸を、及び4−ヒドロキシ安息香酸又はプロトカテク酸から、生分解性プラスチック又は各種化学製品の原料となり得る有用な代謝物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、パエニバチルス属(Paenibacillus sp.)JJ1b株(ATCC35889)の4HB代謝経路を示す図である。各化合物の上に最大吸光波長を、各化合物の下に化合物の略称を示す。4HB:4−ヒドロキシ安息香酸;PCA:プロトカテク酸;5CHMS:5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド;2HMS:2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド;2HMA:2−ヒドロキシムコナート;OCA:4−オキサロクロトナート;OPEA:4−オキソペント−4−エノエート;HOVA:4−ヒドロキシ−2−オキソバレレート。PraI:4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ;PraA:プロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ;PraB:2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ;PraC:2−ヒドロキシムコノエート・トートメラーゼ;PraD:4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ。
【図2】図2は、単離したpra遺伝子断片及びORFマップを示す図である。
【図3】図3は、発現ベクターの構築を示す図である。
【図4】図4は、PraAの発現を示すウェスタンブロットの結果、及びPCAから5CHMSへの変換を触媒するプロトカテク酸 2,3−ジオキシゲナーゼの活性測定の結果を示す図である。
【図5】図5は、PraAの発現を示すウェスタンブロットの結果、及びPCAから5CHMSへの変換を触媒するプロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼの活性測定の結果を示す図である。図5では、自発的脱炭酸によってPCAが5CHMSを経てHMSまで変換される。
【図6】図6は、PraBの発現を示すウェスタンブロットの結果、及びHMSからHMAへの変換を触媒する2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼの活性測定の結果を示す図である。
【図7】図7は、PraCの発現を示すウェスタンブロットの結果、及びHMAからOCAへの変換を触媒する2−ヒドロキシムコノエート・トートメラーゼの活性測定の結果を示す図である。
【図8】図8は、PraDの発現を示すウェスタンブロットの結果、及びOCAからOPEAへの変換を触媒する4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼの活性測定の結果を示す図である。
【図9】図9は、PraIの発現を示すウェスタンブロットの結果、及び4HBからPCAへの変換を触媒する4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼの活性測定の結果を示す図である。
【図10】図10は、PraA活性の促進に対するPraRの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「プロトカテク酸の2,3−環を開裂する酵素類」とは、図1の4−ヒドロキシ安息香酸(4HB)の代謝経路図において、4HBをプロトカテク酸(PCA)に変換する酵素;PCAをその2,3−環を開裂して5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(5CHMS)に変換する酵素;及び5CHMS以降の代謝物の製造に関与する酵素を含む。
【0015】
本発明の酵素類は、パエニバチルス属(Paenibacillus sp.)JJ1b株(ATCC35889)の4−ヒドロキシ安息香酸(4HB)の代謝に関与する、(a):配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質であるが、特にこれらに限定されず、(b):当該タンパク質の変異体、例えばアレル体、ホモログ、天然の変異体であって、配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ(a)のそれぞれのタンパク質の活性と同一の活性を有する、(a)と等価なタンパク質、も含まれる。この等価なタンパク質は、配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、更により好ましくは99%以上の同一性を有する。
【0016】
上記の、「1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列」とは、配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、具体的には、好ましくは1〜6個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を意味し、付加には、両末端への1個〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
【0017】
上記の、「配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、4−ヒドロキシ安息香酸(4HB)をプロトカテク酸(PCA)に変換する4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ(PraI)を意味し;
「配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、プロトカテク酸(PCA)を5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(5CHMS)に変換する、プロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ(PraA)を意味し;
「配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(2HMS)を2−ヒドロキシムコナート(2HMA)に変換する、2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(PraB)を意味し;
配列番号7に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、2HMAを4−オキサロクロトナート(OCA)に変換する、2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ(PraC)を意味し;及び
「配列番号9に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、OCAを4−オキソペント−4−エノエート(OPEA)に変換する、4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ(PraD)を意味する。
また、「配列番号11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質」とは、PCAから5CHMSへの変換に関与する、IclR型転写レギュレーター(PraI)を意味する。
【0018】
配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列と、公知のタンパク質のアミノ酸配列との同一性を調べると、配列番号1に示す4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ(PraI)のアミノ酸配列は、Bacillus licheniformis ATCC 14580由来の4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ(受託番号:AAU25427)のアミノ酸配列と比較すると、66%の同一性を示した。
配列番号3に示すプロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ(PraA)のアミノ酸配列は、Pseudomonas sp. DJ-12(受託番号:AAL28115)、Rhodopseudomonas palustris HaA2(受託番号:ABD08561)、Burkholderia xenovorans LB40(受託番号:AE033954)にそれぞれ由来するホモプロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼのアミノ酸配列と比較すると、それぞれ、30%、28%、28%の同一性を示した。
配列番号5に示す2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(PraB)のアミノ酸配列は、Pseudomonas putida G7由来の2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(受託番号:BAE92168)のアミノ酸配列と比較すると、55%の同一性を示した。
配列番号7に示す2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ(PraC)のアミノ酸配列は、Bacillus licheniformis ATCC 14580(受託番号:AAU25430)、Pseudomonas sp. CF600(受託番号:CAA43229)にそれぞれ由来する2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼのアミノ酸配列と比較すると、それぞれ、64%、49%の同一性を示した。
配列番号9に示す4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ(PraD)のアミノ酸配列は、Geobacillus thermodenitrificans NG80-20由来の4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ(受託番号:ABO68495)のアミノ酸配列と比較すると、65%の同一性を示した。
配列番号11に示すIclR型転写レギュレーター(PraR)のアミノ酸配列は、Bacillus licheniformis ATCC 14580(受託番号:AAU25433)、Moorella thermoacetica ATCC 39073(受託番号:ABC18709)にそれぞれ由来するIclR型転写レギュレーターのアミノ酸配列と比較すると、それぞれ、49%、39%の同一性を示した。
このことは、これらの配列番号に示すアミノ酸配列からなるタンパク質がそれぞれ新規なタンパク質であることを示唆するものである。
【0019】
本発明の遺伝子は、配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をそれぞれコードするDNAであればよく、後述する一定の改変によって、配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質の活性と同一の活性を有するタンパク質をそれぞれコードするDNAも包含される。本発明の遺伝子としては、具体的には、配列番号2、4、6、8、10又は12に示す塩基配列からなるDNAが好ましい。
【0020】
また、配列番号2、4、6、8、10又は12に示す塩基配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、更に好ましくは99%以上の同一性を有するDNAであって、かつそれぞれ配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質の活性と同一の活性を有するタンパク質をコードするDNAや、配列番号2、4、6、8、10又は12に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAに高ストリンジエントな条件下でハイブリダイズし、かつそれぞれ配列番号1、3、5、7、9又は11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質の活性と同一の活性を有するタンパク質をコードするDNAも好ましい。
【0021】
ここで、「高ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。高ストリンジェントな条件としては、相同性が高いDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、例えば、Molecular cloning a Laboratory manual 2nd edition(Sambrookら、1989)に記載の条件が挙げられる。具体的には、通常のサザンハイブリダイゼーションにおける洗浄の条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
【0022】
前記の改変のための人為的手段としては、部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(BD Bioscience社製Transformer Site-Directed Mutagenesis Kit)等を用いて変異を導入し調製することができる。
【0023】
尚、アミノ酸配列又は塩基配列の同一性は、既知の配列分析ソフトウェア、例えばDNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング)のBLASTプログラムを使用した測定(データベースに登録されているアミノ酸配列又はDNA塩基配列との比較)によって解析できる。
【0024】
本発明の遺伝子は、本発明によって明らかにされた本発明の遺伝子の配列情報に基づいて、一般的遺伝子工学的手法により容易に製造、取得することができる。具体的には、本発明遺伝子が発現される微生物、パエニバチルス属(Paenibacillus sp.)JJ1b株(ATCC35889)より、常法に従ってゲノムDNAライブラリーを調製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当なプローブ等を用いて所望クローンを選択することにより製造することができる。上記において、パエニバチルス属JJ1b株からの全RNAの分離、mRNAの分離及び精製、ゲノムDNAの取得及びそのクローニングなどは、いずれも常法に従って行うことができる。
【0025】
本発明の遺伝子をゲノムDNAライブラリーからスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の各種方法に従うことができる。具体的方法としては、例えば、目的の核酸配列に選択的に結合するプローブを用いたプラークハイブリダイゼーション法、コロニーハイブリダイゼーション法など、及びこれらの組合せを例示することができる。
【0026】
上記方法において用いられるプローブとしては、本発明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合成されたDNAなどが一般的に使用できる。また、本発明の遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセンス・プライマー及びアンチセンス・プライマーを、スクリーニング用プローブとして用いることができる。
【0027】
本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR法(Science, 230, 1350 (1985))によるDNA増幅法が好適に利用できる。増幅させたDNA断片の単離精製は、常法に従って行うことができる。例えばゲル電気泳動法などが挙げられる。上記方法に従って得られる本発明の遺伝子は、常法、例えばジデオキシ法(Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977))、マキサム−ギルバート法(Methods in Enzymology, 65, 499 (1980))などに従って、その核酸配列を決定することができる。また、簡便には、市販のシークエンスキットなどを用いて、その核酸配列を決定することができる。
【0028】
本発明のタンパク質は、本発明により提供される遺伝子の配列情報に基づいて、通常の遺伝子組換え技術に従って調製することができる。すなわち、本発明の遺伝子を形質転換に用いられる宿主中での発現に適したベクターに組み込んで組換えベクターを作製し、これを宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換し、該形質転換体を培養し、次いで得られる培養物から回収することができる。
【0029】
本発明の遺伝子を挿入するためのベクターとしては、宿主内で自立的に増殖し得るファージ又はプラスミドから組換えベクターを目的として構成されたものを用いることができる。プラスミドDNAとしては、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pET21、pET28、pGEX−4T、pQE−30、pQE−60などの大腸菌宿主用プラスミド、pUB110、pTP5などの枯草菌用プラスミド、YEp13、YEp24、YCp50などの酵母宿主用プラスミド、pBI221、pBI121などの植物細胞宿主用プラスミドなどが挙げられる。
ファージDNAとしてはλファージなどが挙げられる。更に、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
【0030】
本発明に係る遺伝子を上記のベクターに挿入するには、まず、本発明に係る遺伝子を有する精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、好適なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
【0031】
本発明の遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込むことができる。すなわち、組換えベクターは、本発明の遺伝子、プロモーター、所望によりエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(シャイン・ダルガノ配列)などを含むように調製することができる。プロモーターとしては、大腸菌などの宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどの大腸菌由来のものやT7プロモーターなどのファージ由来のものが用いられる。更に、tacプロモーターなどのように人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。選択マーカーとしては、例えば、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子などを使用することができる。
【0032】
本発明に係る遺伝子を含む組換えベクターを当該遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより宿主を形質転換することができる。形質転換の方法は、プロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0033】
宿主としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などのエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などのリゾビウム属に属する細菌類の他に、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母;シロイヌナズナ、タバコ、トウモロコシ、イネ、ニンジンなどから株化した植物細胞や該植物から調製したプロトプラスト;COS細胞、CHO細胞などの動物細胞;及び、Sf9、Sf21などの昆虫細胞が挙げられるが、これらの中で細菌類、特に大腸菌が好ましい。
【0034】
得られた形質転換体は、資化しうる炭素源、窒素源、金属塩、ビタミン等を含む培地を用いて適当な条件下で培養すればよい。得られた培養液から一般的な方法によって、タンパク質の採取、精製を行うことができる。
【0035】
本発明のプロトカテク酸(PCA)を製造するには、4−ヒドロキシ安息香酸(4HB)の存在下に、praI遺伝子を含む組換えベクターが好適な宿主に導入された形質転換体を培養すればよい。あるいは、該形質転換体を培養し、その培養物から対応する酵素(PraI)を採取し、これを4HBに添加することによって製造してもよい。
【0036】
また、5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(5CHMS)のようなプロトカテク酸 2,3−環開裂化合物を製造するには、4HBの存在下に、praI及びpraAを含む組換えベクターが好適な宿主に導入された形質転換体を培養すればよい。該5CHMSは、(脱炭酸されるため)そのままで容易に2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(2HMS)に変換することができる。また、2−ヒドロキシムコナート(2HMA)を製造するには、上記の基質の存在下に、praI、praA及びpraBを含む組換えベクターが好適な宿主に導入された形質転換体を培養すればよい。同様に、4−オキサロクロトナート(OCA)、及び4−オキソペント−4−エノエート(OPEA)は、それぞれ、4HBから該化合物への変換に関与する酵素遺伝子をすべて含む組換えベクターが好適な宿主に導入された形質転換体を培養すればよい。これらの化合物は各々、上記の形質転換体を培養し、その培養物から対応する酵素を採取し、これを基質に添加することによって製造してもよい。また、これらの化合物は、PCAを基質して製造することもできる。
【0037】
PCAから5CHMSへの変換を促進するために、組換えベクターには、Ic1R型転写レギュレーター遺伝子であるpraRを例えばpraAの上流に更に組み込むことが望ましい。
【0038】
基質の培地における濃度は、特に限定されないが、例えば0.1〜10 mM、好ましくは0.1〜2 mM、より好ましくは0.1〜0.5 mMである。
【0039】
基本となる培地としては、上述した形質転換体の宿主に適したものを使用することができる。例えば、宿主として大腸菌を使用した場合、LB培地を使用することができる。また一般的には、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
例えば、炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。更に、培地中には、必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を添加してもよい。
【0040】
培養は、形質転換体の宿主にもよるが、通常、振盪培養、通気攪拌培養などの好気的条件下、30〜37℃で6〜24時間行う。培養期間中、pHは7.0〜7.5に保持する。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液などを用いて行う。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
実施例1:pra遺伝子クラスターの単離
プロトカテク酸 2,3−環開裂活性を指標に、パエニバチルス属(Paenibacillus sp.)JJ1b株(ATCC35889)ゲノムライブラリーからの遺伝子スクリーニングを行ったが、数千クローンの活性測定を行った結果、目的物が得られなかったため、カテコール及びホモプロトカテク酸環開裂代謝にそれぞれ機能することが知られている、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)G7由来の2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NahI)遺伝子(受託番号:AB237655)及びジオバチルス・サーモデニトリフィカンス(G. thermodenitrificans)NG80-2由来の5−カルボキシメチル−2-ヒドロキシムコナート−6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(NbaD)遺伝子(受託番号:CP000557)の塩基配列を基に設計した縮重プライマー(E2GF及びE2GRプライマー)を用いて下記の方法でスクリーニグを行った。
【0043】
パエニバチルス属JJ1b株(ATCC35889)の2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ遺伝子(praB)を獲得するため、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)NVH 391-98株、ジオバチルス・コーストフィラス(Geobacillus kaustophilus)HTA426株、及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC 14580株の遺伝子配列を基にE2GFプライマー(配列番号13:AAYRTCGTBCAYGGVTTTGG)とE2GRプライマー(配列番号14:ACMGGWCCRAADATYTCTTC)を設計した。
【0044】
PCRによりJJ1b株のすべてのDNAから獲得した563 bpのDNA断片をプローブとして、JJ1b株のHindIII処理産物が挿入されたシャロミド(charomid 9-36)ライブラリーのコロニーハイブリダイゼーションを行った。その結果、プロトカテク酸 2,3−ジオキシゲナーゼ遺伝子(praA)及びpraBを含む3.4-kb HindIII断片を獲得した(pCH221)。pCH221に含まれるHindIII断片をpBluescript II KS(+)に挿入し、pBH3を得た。praA及びpraBの隣接領域を同様に獲得するため、pBH3に含まれる1.0-kb HindIII-KpnI領域と1.0-kb XbaI-HindIII領域をプローブとして、JJ1b株のKpnI消化ライブラリー及びEcoRI消化ライブラリーに対してコロニーハイブリダイゼーションを行い、4.0-kb KpnI断片を含むpCK1と、1.5-kb EcoRI断片を含むpCE14とを獲得した。しかし、pCE14下流域の獲得には至らなかったため、次にINVFプライマー(配列番号15:ATGGCTGGCTAATAAGTTGTTCG)とINVRプライマー(配列番号16:AAGGCTTCGTCACCAAGGACC)とを用いてインバースPCRを行い、隣接領域の獲得を試みた。JJ1b株のすべてのDNAをBamHIで切断し、セルフライゲーションすることにより、インバースPCRのテンプレートとした。その結果得られたPCR産物の1.7-kb HindIII-BamHI断片をINV1プローブとし、JJ1b株のEcoRI消化ライブラリーとHindIII消化ライブラリーとからスクリーニングを行ったところ、3.3-kb EcoRI断片を含むpCE3と、3.5-kb HindIII断片を含むpCH1を獲得した。それぞれの断片をpBluescript II KS(+)に挿入し、pBE3とpBH4を得た。更に、INV2Fプライマー(配列番号17:GACTGAATCTTGCAGCAGCG)とINV2Rプライマー(配列番号18:CGATTCCTTCAGTTCGAATTCC)とを用いインバースPCRにより下流域のクローニングを行った。得られたPCR産物の261-bp SmaI-ScaI断片をpBluescript II KS(+)にクローニングし、pBSSEを得た。各プラスミドに含まれる挿入断片の塩基配列を決定した結果、9つのORFが見出された(図2)。これらのORFの内、今回、発現が確認された遺伝子をpraI、praA、praB、praC、praD、及びpraRとする。praIの塩基配列を配列番号2(アミノ酸配列を配列番号1)、praAの塩基配列を配列番号4(アミノ酸配列を配列番号3)、praBの塩基配列を配列番号6(アミノ酸配列を配列番号5)、praCの塩基配列を配列番号8(アミノ酸配列を配列番号7)、praDの塩基配列を配列番号10(アミノ酸配列を配列番号9)、praRの塩基配列を配列番号12(アミノ酸配列を配列番号11)にそれぞれ示す。
【0045】
praI、praA、praB、praC、praD、及びpraRのORFは、それぞれ、表1に示す微生物由来の酵素遺伝子とアミノ酸レベルで、表1に記載の同一性を示した。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例2:praAの発現
(1)praA組換えベクターの構築
実施例1で得たプラスミドpBH3をテンプレートとし、praA-Fプライマー(配列番号19:GGATCATATGTCACTGGAAATGGC (NdeI))(下線部は制限部位を示し、NdeIは対応する制限酵素を示す)とpraA-Rプライマー(配列番号20:TTATCCATGGCTTGCTCGGAGC)とを用いPCRを行った。0.6 kbのPCR断片をpT7Blueにクローニングし、pTN23を得た。pBH3の1.3-kb BamHI-EcoRI 断片をpET21a(+)に挿入し、pEBE3を得た。pEBE3の1.0-kb NdeI断片をpTN23の564bp(0.6-kb)NdeI断片と入れ替え、pETA23を得た(図3)。
【0048】
(2)praAの発現
pETA23を保持するE. coli BL21(DE3)株を100 mg/lのアンピシリン(Ap)を含む10 mlのLB培地で37℃にて一晩前培養した。得られた前培養液を10 mlの同培地に2%植菌し、OD600 = 0.5になるまで37℃にて培養した後、終濃度0.1 mMになるようにイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を加え、更に4時間培養した。得られた菌体を5,000 rpm、4℃、10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)で洗浄後、再度1 mlの同バッファーに懸濁した。菌体を超音波破砕機(UD-201; Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清をPraA粗酵素とした。
【0049】
(3)PraAの活性測定
50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)に2.5 μg PraA粗酵素及び50 μM PCAを添加した1 mlの反応系で35℃にて反応を行い、反応液の吸光度の変化を時間毎に測定した(図4及び5)。図5では、自発的脱炭酸によってプロトカテク酸(PCA)が5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(5CHMS)を経て2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド(2HMS)まで変換される。その結果、反応0分から3分の間にPCAに由来する254及び290 nmの吸収の減少と、5CHMSに由来する350 nmの吸収の出現が観察された(図4)。反応液を更に観察した結果、3分から24分にかけて5CHMSに由来する350 nmの吸収の減少と2HMSに由来する375 nmの吸収の増大が認められた(図5)。化合物の極大吸収波長から、350 nmの吸収は5CHMSに由来すると考えられることから、PraAはPCAの2,3−環開裂に関与することが示唆された。また、時間の経過とともに5CHMSに由来するピークの減少と2HMSに由来すると考えられる375 nmの吸収の増大が観察されたことから、PraAにより生じた5CHMSは自発的な脱炭酸反応により2HMSへと変換されることが示唆された。なお、PCAの2,3−環開裂及び脱炭酸により得られる2HMSを、GC-MS(5971A、アジレントテクノロジー;カラム:Ultra-2 capillary column、50 m×0.2 mm;昇温:50〜300℃、5℃/分;イオン化:EI)を用いて同定した(m/z = 286, TMS-HMS)。またカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、2,3−ジヒドロキシビフェニル、ゲンチジン酸、γ−レゾルシン酸、ホモプロトカテク酸、バニリン酸、3−O−メチルガリック酸、及びガリック酸に対するPraA活性を溶存酸素計(B-505、飯島電子工業)を用いて測定した結果、ガリック酸に対してのみPCAに対する活性の約1%の活性を示した。
【0050】
実施例3:praBの発現
(1)praB組換えベクターの構築
実施例1で得たプラスミドpBH3をテンプレートとし、praB-Fプライマー(配列番号21:AATTCCATATGCAGCAAACTAAGG (NdeI))(下線部は制限部位を示し、NdeIは対応する制限酵素を示す)とpraB-Rプライマー(配列番号22:AAGCTGATGGCGTTCACATCC)とを用いPCRを行った。0.7 kbのPCR断片をpT7BlueにクローニングしpTNBを得た。pTNBの0.7-kb NdeI-EcoRI断片とpBH3の1.3-kb EcoRI-HindIII断片とをpET21a(+)に挿入し、pETB23を得た(図3)。
【0051】
(2)praBの発現
pETB23を保持するエッシェリヒア・コリ(E. coli)BL21(DE3)株を100 mg/lのApを含む10 mlのLB培地で30℃にて一晩前培養した。得られた前培養液を10 mlの同培地に2%植菌し、OD600 = 0.5になるまで30℃にて培養した後、終濃度1 mMになるようにIPTGを加え、更に4時間培養した。得られた菌体を5,000 rpm、4℃、10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)で洗浄後、再度1 mlの同バッファーに懸濁した。菌体を超音波破砕機(UD-201; Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清をPraB粗酵素とした。
【0052】
(3)PraBの活性測定
基質としての2HMSは、PCAのPraA反応液を用いた。50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)に100 μg PraB粗酵素、1.2 mMピルビン酸、1.0 U ラクトース・デヒドロゲナーゼ、500 μM NAD+又はNADP+、及び50 μM分のPraA反応産物を添加した1 mlの反応系で35℃にて反応を行った(図6)。反応0分から24分の間に2HMS由来の375 nmの吸収の減少と、2−ヒドロキシムコナート(2HMA)由来の295 nmの吸収の増加が検出されたことから、praBが2HMSから2HMAへの変換に関与する2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼをコードすることが示唆された。また、2HMSから生じた2HMAは、その後GC-MSを用い同定された(m/z = 374, TMS-HMA)。
【0053】
実施例4:praCの発現
(1)praC組換えベクターの構築
プラスミドpBH4-F(pCH1に含まれるHindIII断片をpBH4 KS(+)に挿入して得た)をテンプレートとし、praC-Fプライマー(配列番号23:CAAAGGATTGATGACATATGCCG (NdeI))(下線部は制限部位を示し、NdeIは対応する制限酵素を示す)とpraC-Rプライマー(配列番号24:TTCAGTTCGAATTCCCAGTTACC)とを用いPCRを行った。0.4 kbのPCR断片をpT7Blueにクローニングし、pTC-Rを得た。pTC-Rの0.4-kb NdeI-EcoRI断片をpET21a(+)に挿入し、pETC23を得た(図3)。
【0054】
(2)praCの発現
pETC23を保持するエッシェリヒア・コリ BL21(DE3)株を100 mg/lのApを含む10 mlのLB培地で30℃にて一晩前培養した。得られた前培養液を10 mlの同培地に2%植菌し、OD600 = 0.5になるまで30℃にて培養した後、終濃度1 mMになるようにIPTGを加え、更に4時間培養した。得られた菌体を5,000 rpm、4℃、10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)で洗浄後、再度1 mlの同バッファーに懸濁した。菌体を超音波破砕機(UD-201; Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清をPraC粗酵素とした。
【0055】
(3)PraC(+PraB)の活性測定
基質としての2HMSは、PCAのPraA反応液を用いた。50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)に25 μg PraC粗酵素、25 μg PraB粗酵素、50 μM NAD+、及び50 μM分のPraA反応産物を添加した1 mlの反応系で35℃にて反応を行った(図7)。PraB粗酵素のみの反応と比較してPraB及びPraCの両方の粗酵素を添加した反応では、2HMA由来の295 nmの吸収の増加が見られず、4−オキサロクロトナート(OCA)由来の235 nmの吸収の増加が検出されたことから、praCは、PraA及びPraBの反応によりPCAから生じた2HMAをOCAへと変換する2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼをコードしていることが示唆された。
【0056】
実施例5:praDの発現
(1)praD組換えベクターの構築
プラスミドpBH4-Fをテンプレートとし、praD-Fプライマー(配列番号25:CAACTCGGGAGGATACATATGG (NdeI))とpraD-Rプライマー(配列番号26:TCTCATCAATCTCGAGCTATTCTTTGAC (XhoI))(下線部は制限部位を示し、NdeI及びXhoIはそれぞれに対応する制限酵素を示す)とを用いPCRを行った。0.8 kbのPCR断片をpT7Blueにクローニングし、pTD-Rを得た。pTD-Rの0.8-kb NdeI-XhoI断片をpColdIVに挿入し、pC4D23を得た(図3)。
【0057】
(2)praDの発現
pC4D23を保持するエッシェリヒア・コリ BL21(DE3)株を100 mg/lのApを含む10 mlのLB培地で37℃にて一晩前培養した。得られた前培養液を10 mlの同培地に2%植菌し、OD600 = 0.5になるまで37℃にて培養した後、15℃にて30分振とうした。終濃度0.1 mMになるようにIPTGを加え、15℃にて24時間培養した。得られた菌体を5,000 rpm、4℃、10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)で洗浄後、再度1 mlの同バッファーに懸濁した。菌体を超音波破砕機(UD-201; Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清をPraD粗酵素とした。
【0058】
(3)PraDの活性測定
PraA粗酵素を用いてPCAから2HMSを合成した後、50 μM分の2HMSに25 μg PraB粗酵素及び25 μg PraC粗酵素を加え、35℃にて30分反応させた反応液に25 μg PraD粗酵素、50 μM NAD+、500 μM MgSO4を添加した1 mlの反応系で35℃にて30分反応させた(図8)。得られた反応液をHPLCにより分析した結果、PraDの反応産物であると考えられる4−オキソペント−4−エノエート(OPEA)の最大吸収波長(270 nm, pH 2)と吸収波長が一致する保持時間3.6分のピークの出現が観察された。このことから、praDは、OCAからOPEAへの変換に関与する4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼをコードすることが示唆された。
【0059】
実施例6:praIの発現
(1)praI組換えベクターの構築
プラスミドpBH4-Fをテンプレートとし、praI-Fプライマー(配列番号27:AATGAGCTCATGTGCTGATGG)とpraI-Rプライマー(配列番号28:AGGAGGTACATATGCGAACTCAGG (NdeI))とを用いPCRを行った。0.6 kbのPCR断片をpT7Blueにクローニングし、pTI-Rを得た。pTI-Rの0.6-kb NdeI-SacI断片及びpraIの3'末端を含む0.6-kb SacI-ScaI断片をpET21a(+)に挿入し、pETI23を得た(図3)。
【0060】
(2)praIの発現
pETI23を保持するエッシェリヒア・コリ BL21(DE3)株を100 mg/lのApを含む10 mlのLB培地で30℃にて一晩前培養した。得られた前培養液を10 mlの同培地に2%植菌し、OD600 = 0.5になるまで30℃にて培養した後、終濃度1 mMになるようにIPTGを加え、更に4時間培養した。得られた菌体を5,000 rpm、4℃、10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HClバッファー(pH 7.3)で洗浄後、再度1 mlの同バッファーに懸濁した。菌体を超音波破砕機(UD-201; Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清をPraI粗酵素とした。
【0061】
(3)PraIの活性測定
50 mM Tris-HClバッファー(pH 8.0)に200 μg PraI粗酵素、200 μM NADH又はNADPH、500 μM EDTA、10 μM FAD、及び100 μM 4HBを添加した1 mlの反応系で35℃にて10分反応させた(図9)。得られた反応液を酢酸エチルで抽出後、TMS化を行い、GC-MSにより分析した結果、4HBに由来する保持時間20.0分のピークの消失と保持時間26.5分のピークの出現が観察された。出現したピークのマススペクトルを解析した結果、TMS-PCAの標品のスペクトル(m/z = 370)と一致したことから、praIは4HBからPCAへの変換に関与する4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼをコードすることが示唆された。
【0062】
実施例7:praRの発現
(1)praI組換えベクターの構築
praR及びpraAを含む2.8-kb SacI-XbaI断片をpBluescript II KS(+)の同部位に挿入し、プラスミドpBSXを構築した。更に、pBSXのpraR内部に含まれる0.4-kb HindIII断片を欠失したプラスミドpBSX2を構築し、各プラスミドをそれぞれエッシェリヒア・コリDH5a株に導入した。
(2)praIの発現
得られた形質転換体を、アンピシリンを含む10 mlのLB又は10 mMの4-ヒドロキシ安息香酸(4HB)を含むLB培地で30℃にて12時間培養した。培養後、得られた菌体を5,000 rpm、4℃で10分で集菌し、5 mlの50 mM Tris-HCl緩衝液(pH7.3)で洗浄後、再度1 mlの50 mM Tris-HCl緩衝液(pH7.3)に懸濁した。超音波破砕機(UD-201;Tomy Seiko, Tokyo, Japan)で菌体を破砕し、15,000 rpm、4℃、15分で遠心分離を行い、得られた上清を細胞抽出液とした。
(3)PraIの活性測定
50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.3)に200 mgの細胞抽出液(pBSXを保持する株のLB+4HBの培養の場合には活性が高いため、50 mg分の細胞抽出液を使用した)及び50 mM MPCAを添加した1 mlの反応系で35℃にて反応を行い、反応産物である5CHMSに由来する350 nmの吸収の増大を観察することによりPraA活性を求めた。その結果、praRを含まないpBSX2を保持した株は、LB、及びLB+4HBの培養において同等のPraA活性を示したのに対し、praAを含むpBSXを保持した株では、4HBを添加した場合に約4.6倍高い活性を示した(図10)。この結果から、PraRは4HB存在下でpra遺伝子群の転写を正に制御することが示唆された。また、PraRは、エッシェリヒア・コリ中でも、praAの転写を正に制御できることが示唆された。
【配列表フリーテキスト】
【0063】
配列番号1:4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ(PraI)のアミノ酸配列
配列番号2:4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ遺伝子(praI)の塩基配列
配列番号3:プロトカテク酸 2,3−ジオキシゲナーゼ(PraA)のアミノ酸配列
配列番号4:プロトカテク酸 2,3−ジオキシゲナーゼ遺伝子(praA)の塩基配列
配列番号5:2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ(PraB)のアミノ酸配列
配列番号6:2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ遺伝子(praB)の塩基配列
配列番号7:2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ(PraC)のアミノ酸配列
配列番号8:2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ遺伝子(praC)の塩基配列
配列番号9:4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ(PraD)のアミノ酸配列
配列番号10:4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ遺伝子(praD)の塩基配列
配列番号11:Ic1R型転写レギュレーターのアミノ酸配列(PraR)のアミノ酸配列
配列番号12:Ic1R型転写レギュレーター遺伝子(praR)の塩基配列
配列番号13、14:E2GF、E2GRの各プライマー
配列番号15、16:INVF、INVRの各プライマー
配列番号17、18:INV2F、INV2Rの各プライマー
配列番号19、20:praA-F、praA-Rの各プライマー
配列番号21、22:praB-F、praB-Rの各プライマー
配列番号23、24:praC-F、praC-Rの各プライマー
配列番号25、26:praD-F、praD-Rの各プライマー
配列番号27、28:praI-F、praI-Rの各プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ4−ヒドロキシ安息香酸・3−モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項2】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号3に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつプロトカテク酸2,3−ジオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項3】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号5に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項4】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号7に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号7に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ2−ヒドロキシムコナート・トートメラーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項5】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号9に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号9に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ4−オキサロクロトナート・デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項6】
以下の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする遺伝子:
(a)配列番号11に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号11に示すアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつIclR型転写レギュレーター活性を有するタンパク質。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の遺伝子によってコードされるタンパク質。
【請求項8】
請求項1記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項9】
請求項2記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項10】
請求項1及び2記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項11】
請求項1〜3記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項12】
請求項1〜4記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項13】
請求項1〜5記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項14】
請求項6記載の遺伝子を更に含む、請求項9〜13のいずれか1項記載の組換えベクター。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか1項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
【請求項16】
4−ヒドロキシ安息香酸の存在下に請求項15記載の形質転換体を培養することを特徴とする、プロトカテク酸の製造法。
【請求項17】
プロトカテク酸の存在下に請求項15記載の形質転換体を培養することを特徴とする、5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドの製造法。
【請求項18】
請求項17で得られた5−カルボキシ−2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドを脱炭酸することを特徴とする、2−ヒドロキシムコナート・6−セミアルデヒドの製造法。
【請求項19】
4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、請求項15記載の形質転換体を培養することを特徴とする、2−ヒドロキシムコナートの製造法。
【請求項20】
4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、請求項15記載の形質転換体を培養することを特徴とする、4−オキサロクロトナートの製造法。
【請求項21】
4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸又はこれらの混合物の存在下に、請求項15記載の形質転換体を培養することを特徴とする、4−オキサペント−4−エノエートの製造法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−268773(P2010−268773A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125768(P2009−125768)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【Fターム(参考)】