説明

プロトンポンプアンタゴニストと塩基性賦形剤とを含有する経口医薬調剤

本発明は、塩基性賦形剤を含有する可逆的プロトンポンプアンタゴニストのための新規の拡張型放出剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多粒子の形又は錠剤の形のプロトンポンプアンタゴニスト用の経口医薬調剤に関する。
【0002】
従来の技術
不可逆的プロトンポンプインヒビター(H+/K+−ATPアーゼインヒビター、PPI類)、特にピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンゾイミダゾールは、例えばEP−A−0005129号、EP−A−0166287号、EP−A−0174726号及びEP−A−0268956号に記載されているように、そのH+/K+−ATPアーゼ阻害効果のため、増大する胃酸分泌により引き起こされる疾病の治療において重要である。不可逆的プロトンポンプインヒビターは、胃内の酸分泌を担う酵素のH+/K+−ATPアーゼに共有結合する、つまり不可逆に結合する物質である[例えばWurst他著のThe Yale Journal of Biology and Medicine 69,(1996),233−243に作用メカニズムの記載]。この群からの通常利用可能な有効成分の例は、
5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:オメプラゾール)、
5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:パントプラゾール)、
2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:ランソプラゾール)及び
2−{[4−(3−メトキシプロピル)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル}−1H−ベンゾイミダゾール(INN:ラベプラゾール)である。
【0003】
前記したように、ほぼ共通の化学的基本構造(これはピリジニルメチルスルフィニルベンゾイミダゾール)を有するいわゆる不可逆的なプロトンプインヒビターの他に、いわゆる可逆的H+/K+−ATPアーゼインヒビターが存在し、これは異なる化学的基本構造を有し、かつすでに名前が挙げられているが、胃酸分泌を担う酵素と可逆的に結合し、つまりプロトンポンプアンタゴニスト又はAPA類(=アシッドポンプアンタゴニスト)と言われている[その作用メカニズムは例えばWurst他著のThe Yale Journal of Biology and Medicine 69(1996),233−243に記載]。可逆的なプロトンポンプインヒビターは刊行物DE−A3917232号、EP−A−0399267号、EP−A−0387821号、JP−A−3031280号、JP−A−2270873号、EP−A−0308917号、EP−A−0268989号、EP−A−0228006号、EP−A−0204285号、EP−A−0165545号、EP−A−0125756号、EP−A−0120589号、EP−A−0509974号、DE−A3622036号、EP−A−0537532号、EP−A−0535529号、JP−A−3284686号、JP−A−3284622号、US−A−4,833,149号、EP−A−0261912号、WO−A−9114677号、WO−A−9315055号、WO−A−9315071号、WO−A−9315056号、WO−A−9312090号、WO−A−9212969号、WO−A−9118887号、EP−A−0393926号、EP−A−0307078号、US−A−5,041,442号、EP−A−0266890号、WO−A−9414795号、EP−A−0264883号、EP−A−0033094号、EP−A−0259174号、EP−A−0330485号、WO−A−8900570号、EP−A−0368158号、WO−A−9117164号、WO−A−9206979号、WO−A−9312090号、WO−A−9308190号、WO−A−9418199号、DE−A3011490号、US−A−4,464,372号、EP−A−0068378及びWO−A−9424130の実施例に記載されている。
【0004】
EP0841904号B1は、ヘリコバクターが原因となる疾病を治療するための、抗微生物性の有効成分と組み合わせた、可逆的プロトンポンプインヒビター含有する経口医薬組成物が記載されている。可逆的プロトンポンプインヒビターの少なくとも一部は、拡張型放出形である。
【0005】
WO−A−95/27714号は、外因的又は内因的に刺激された胃酸分泌を可逆的に阻害する置換された三環式イミダゾ[1,2−a]ピリジンに関する。第38頁には錠剤製剤の例が開示されている。
【0006】
WO−A−0245693号は、有効成分のための新規調剤を開示しており、前記有効成分は、脂肪アルコール、トリグリセリド、部分グリセリド及び脂肪酸エステルの群から選択される1種又はそれ以上の賦形剤を有する賦形剤マトリックス中に主に均一に分散されている。このマトリックスは、可逆的プロトンポンプインヒビター又はAPA類(アシッドポンプアンタゴニスト)として公知の種類の物質についての有効成分のために特に適していることが記載されている。これらの調剤を基礎とする急速に崩壊する錠剤が記載されている。
【0007】
発明の開示
驚くべきことに、剤形中の有効成分が塩基性賦形剤により安定化される場合に、プロトンポンプアンタゴニスト(APA)のために特に適当した経口剤形が見出された。更に、プロトンポンプアンタゴニストを拡張型放出剤形の形で提供することによって、胃腸疾患の治療又は予防におけるプロトンポンプアンタゴニストの治療効果を改善することができる。特に、増大した胃酸分泌により引き起こされる疾病の治療において、より長期の疼痛の除去を観察することができる。
【0008】
本発明の一つの態様は、従って、有効量のプロトンポンプアンタゴニスト(APA)を賦形剤と一緒に含有する安定な経口剤形であって、前記プロトンポンプアンタゴニストは剤形中で1種又はそれ以上の塩基性賦形剤により安定化されており、かつ前記剤形は拡張型放出剤形である安定な経口剤形である。
【0009】
不可逆的プロトンポンプインヒビター(H+/K+−ATPアーゼインヒビター、PPI類)は、本発明の場合に、胃内の酸分泌を担う酵素のH+/K+−ATPアーゼに共有結合する、つまり不可逆に結合する物質である[例えばWurst他著のThe Yale Journal of Biology and Medicine 69,(1996),233−243に可能な作用メカニズムの記載]。これは、特に、EP−A−0005129号、EP−A−0166287号、EP−A−0174726号及びEP−A−0268956号に開示されているようなピリジン−2−イル−メチルスルフィニル−1H−ベンゾイミダゾールであると解釈される。挙げることができる例は、
5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:オメプラゾール)、
5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:パントプラゾール)、
2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール(INN:ランソプラゾール)及び
2−{[4−(3−メトキシプロピル)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル}−1H−ベンゾイミダゾール(INN:ラベプラゾール)である。
【0010】
プロトンポンプアンタゴニスト(本発明の場合には、プロトンポンプインヒビター又はAPA(アシッドポンプアンタゴニスト)とも言われる)は、本発明の目的で、胃酸分泌を担う酵素のH+/K+−ATPアーゼに可逆的に結合することができる作用物質である[このAPA類の作用の可能なメカニズムはWurst他著のThe Yale Journal of Biology and Medicine 69,3,1996,233−243に記載]。このプロトンポンプアンタゴニストの用語は、本発明の場合に、有効成分だけでなく、薬理学的に認容性の塩又は溶媒和物(特に水和物)などでもある。プロトンポンプアンタゴニストの例は、次の刊行物に言及されている:
EP33094号、EP204285号、EP228006号、EP233760号、EP259174号、EP266326号、EP266890号、EP270091号、EP307078号、EP308917号、EP330485号、US4728658号、US5362743号、WO9212969号、WO9414795号、WO9418199号、WO9429274号、WO9510518号、WO9527714号、WO9603405号、WO9604251号、WO9605177号、WO9703074号、WO9703076号、WO9747603号、WO9837080号、WO9842707号、WO9843968号、WO9854188号、WO9909029号、WO9928322号、WO9950237号、WO9951584号、WO9955705号、WO9955706号、WO0001696号、WO0010999号、WO0011000号、WO0017200号、WO0026217号、WO0029403号、WO0063211号、WO0077003号、WO0158901号、WO0172754号、WO0172755号、WO0172756号、WO0172757号、WO02034749号、WO02060440号、WO02060441号及びWO02060442号。
【0011】
それらのINN又はそのコード表記を用いて挙げることができるプロトンポンプアンタゴニストの例は、次の化合物である:AG−2000(EP233760号)、AU−461(WO9909029号)、BY112(WO9842707号)、ソラプラザン(soraprazan)(BY359)(WO0017200号)、CP−113411(US5362743号)、DBM−819(WO0001696号)、KR−60436(WO9909029号)、プマプラゾール(pumaprazole)(WO9418199号)、SKF−96067(EP259174号)、SKF−96356(EP307078号)、SKF−97574(EP330485号)、T−330(EP270091号)、T−776(EP270091号)、WY−27198(US4728658号)、YH−1885(WO9605177号)、YJA−20379−8(WO9703074号)、YM−19020(EP266890号)及び2,3−ジメチル−8−(2−エチル−6−メチルベンジルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミド(WO02060440号)。
【0012】
この関連で特に適しているのは、化合物AU−461、ソラプラザン(soraprazan)(BYK61359)、DBM−819、KR−60436、T−330、YH−1885、YJA−20379−8及び2,3−ジメチル−8−(2−エチル−6−メチルベンジルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドである。
【0013】
本発明による特に重要なAPA類の群は、特許明細書WO9842707号、WO9854188号、WO0017200号、WO0026217号、WO0063211号、WO0172754号、WO0172755号、WO0172756号、WO0172757号、WO02034749号、WO03014120号、WO03016310号、WO03014123号、WO03068774号及びWO03091253号に記載及び請求されている。
【0014】
本発明との関連で挙げることができるAPA類の例は次の化合物である:
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−ヒドロキシメチル−7,8−ジヒドロキシ−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7,8−イソプロピリデンジオキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−2,3−ジメチル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8S,9S)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8S,9S)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−7−エトキシ−8−ヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−7−エトキシ−8−ヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8S,9S)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8S,9S)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−9−フェニル−7−(2−プロポキシ)−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−7,8−ジメトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシチオエチルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシチオエチルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メチルスルフィニルエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メチルスルフィニルエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(エチルチオ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(エチルチオ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−アセトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−アセトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−アセトキシ−7−メトキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−アセトキシ−7−エトキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−8−プロピオニルオキシ−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−メトキシカルボニルオキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−メトキシカルボニルオキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−7−メトキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−7−メトキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(3−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(3−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−メトキシ−2,3−ジメチル−8−(3−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−メトキシ−2,3−ジメチル−8−(3−ニトロベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(N,N−ジメチルアミノメチルカルボニルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−8−(N,N−ジメチルアミノメチルカルボニルオキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−8−(N,N−ジエチルアミノカルボニルオキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−(2−メトキシエトキシ)−8−(N,N−ジエチルアミノカルボニルオキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−エチルアミノカルボニルオキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−2,3−ジメチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−2,3−ジメチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−8−[4−(メトキシカルボニル)−ベンゾイルオキシ]−2,3−ジメチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−8−[4−(メトキシカルボニル)−ベンゾイルオキシ]−2,3−ジメチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−7−メトキシ−8−メトキシアセチルオキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−(N,N−ジエチルアミノカルボニルオキシ)−2,3−ジメチル−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−(N,N−ジエチルアミノカルボニルオキシ)−2,3−ジメチル−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−メトキシ−8−メトキシカルボニルオキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−メトキシ−8−メトキシカルボニルオキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ホルミルオキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ホルミルオキシ−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ベンゾイルオキシ−2,3−ジメチル−7−メトキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8S,9R)−2,3,8−トリメチル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8S,9R)−2,3−ジメチル−8−ベンジル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8S,9R)−2,3,8−トリメチル−7,8−0,0−イソプロピリデン−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8S,9R)−2,3,8−トリメチル−7−(2−メトキシエトキシ)−8−ヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8S,9R)−2,3,8−トリメチル−7−メトキシ−8−ヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3,7−トリメチル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3,7−トリメチル−7,8−[1,3]ジオキソロ−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(8S,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−メチリデン−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−2,3,7−トリメチル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3,7−トリメチル−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−7,8−ジヒドロキシ−7,9−ジフェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−7−(2′,2′−ジメチルビニル)−7,8−ジヒドロキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−7,8−0−イソプロピリデン−9−フェニル−7−ビニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−エトキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−エトキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシプロポキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシプロポキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−プロポキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−プロポキシ)−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−ブトキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−ブトキシ−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−エトキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−エトキシ−6−メトキシメチル−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
7,8−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−9−(3−チエニル)−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
7−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−9−(3−チエニル)−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
9−(3−フリル)−7−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−2−メチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−2−メチル−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−ブロモ−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−クロロ−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−ブロモ−7−ヒドロキシ−8−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−クロロ−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7R,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2−メチル−9−フェニル−7H−8,9−ジヒドロピラノ[2,3−c]イミダゾ[1,2−a]ピリジン、
(7S,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−ヒドロキシメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3−ヒドロキシメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−3,9−ジフェニル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2−メトキシメチル−3−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メトキシメチル−3−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−2−メトキシメチル−3−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7S,8R,9R)−7−エトキシ−8−ヒドロキシ−2−メトキシメチル−3−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(7R,8R,9R)−7−エトキシ−8−ヒドロキシ−2−メトキシメチル−3−メチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン、
(8S)−2,3−ジメチル−8−フェニル−7,8−ジヒドロ−6H−9−オキサ−1,3a−ジアザシクロペンタ[a]ナフタレン−5−カルボン酸ジメチルアミド
8−[(1S,2S)−2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1−インデニルオキシ)−6−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)−2,3−ジメチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
6−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)−4−(2,6−ジメチルベンジルアミノ)−1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール、
及び前記化合物の調剤学的に適した塩。
【0015】
挙げることができる有利なプロトンポンプアンタゴニストの例は、化合物(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン(INN:ソラプラザン)である。
【0016】
前記プロトンポンプアンタゴニストは、この関連で、それ自体で又はその塩及び/又はその溶媒和物(例えば水和物)などの形で存在することができる。殆どの可逆的プロトンポンプインヒビターは塩基性化合物である。特に有利な塩は全ての酸付加塩である。薬学において慣用に使用される無機酸及び有機酸の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。それ自体で、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水溶性及び水不溶性の酸付加塩が適しており、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらであるかに依存して、かつどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0017】
本発明に関連する拡張型放出(以下に、制御放出、遅延放出、徐放出、持効性、持続放出とも呼称される)剤形は、経口投薬直後に、有効薬剤を放出しない剤形に関連する。有利な一実施態様において、拡張型放出剤形は、薬剤を即時放出する慣用の固体剤形と比較して投薬頻度を少なくする剤形に関連する。有利な一実施態様では、本発明による剤形は、0.1N塩酸中で少なくとも3時間で90%未満の溶解(有効成分の放出)を示す持続放出剤形である。
【0018】
剤形とは、特にプロトンポンプアンタゴニスト放出の遅延又は拡張を、できる限り問題を少なく達成する薬用剤形を意味する。これらには、特に錠剤、被覆錠剤又はペレット剤並びにカプセル中の造粒物が含まれ、その際、該剤形は、有利には有効成分が放出されるか、又は生体にとって効果的に利用可能となるように、最適な有効成分プロフィール(ひいては作用プロフィール)が達成されるように設計されている。
【0019】
拡張型放出については、様々な種類及び程度の遅延放出を使用することで、プロトンポンプアンタゴニスト血漿レベルを可能な限り長期に保持し、かつその血漿レベルが高まるpHに十分であることが保証される。
【0020】
徐放出をどのように達成するかの詳細は、当業者にその専門知識に基づきよく知られている。このためには、本発明による剤形は、剤形の経口摂取時にプロトンポンプアンタゴニストの持続放出をもたらす賦形剤1種又はそれ以上を含有する。同様に当業者は、所望の剤形(医薬製剤)に適した補助物質及びビヒクルに精通している。溶剤、錠剤補助物質及び他の有効成分賦形剤の他に、例えば錠剤被覆組成物、可塑剤、酸化防止剤、保存剤、染料などを使用することができる。有効成分と補助物質との間で非適合性が予想される場合に、適切な分離層を適宜設けねばならない。
【0021】
本発明による剤形は、胃酸分泌の増加により引き起こされる疾病の治療において、有効成分の持続放出と最適な作用プロフィール(例えば一定の血液レベル)とにより特徴付けられる。更に、塩基性賦形剤を含有する本発明による剤形において、プロトンポンプアンタゴニストの安定性の改善が観察される。
【0022】
本発明の場合に適当であり、かつプロトンポンプアンタゴニストの安定化のために本発明による剤形中で使用できる塩基性賦形剤は、塩基性に反応しかつ薬理学的に認容性でありかつ前記剤形中でプロトンポンプアンタゴニストを安定化することができる物質である。これは、特に、弱酸の薬理学的に認容性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は土類金属塩、薬理学的に適当なアルカリ土類及び土類金属の水酸化物又は酸化物及び薬理学的に認容性の塩基性緩衝剤系の群から選択された化合物である。挙げることができる例は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ヒドロタルサイト(合成)、水酸化アルミニウムマグネシウム、及び水酸化カルシウム、アミノ酸の塩基性塩、水酸化ナトリウム、トリヒドロキシメチルアミノメタン、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸三ナトリウム又はこれらの混合物である。
【0023】
本発明の場合に、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムとを配合した緩衝剤系が有利である。
【0024】
この塩基性賦形剤は、有効成分と、適宜、他の賦形剤又は担体と微細に分散された形で有利に完全に混合されるため、塩基性賦形剤と有効成分との間に著しい(直接的)接触が生じる。さらに、塩基性緩衝剤系で含浸された賦形剤造粒物を使用することもできる。
【0025】
前記塩基性賦形剤は、有利に、所望の賦形剤との有効成分の混合物100mgが精製水50ml中に溶解する場合にpH7以上の塩基性度、有利にpH8〜pH11.5の塩基性度、特に有利にpH8〜pH11.0、更に特に有利にpH8.5〜10.5の塩基性度が達成される量で添加される。塩基性賦形剤の種類に応じて、従って、その含有量は例えば0.1〜30質量%(仕上がった投与形に対する質量%)であることができる。有利な実施態様の場合には、塩基性賦形剤の含有量は、20質量%より低く、特に有利に15質量%より低く、ことに10質量%より低い(仕上がった投与形に対する質量%)。
【0026】
本発明の関連で挙げられる持続放出用の賦形剤は、被覆用ポリマーである。本発明による被覆された剤形(例えば被覆錠剤及びペレット剤)の場合にフィルム被覆のために適しているのは、フィルム被覆のために適した物質である。挙げることができる例は、セルロースエステル、例えば酢酸フタル酸セルロース(CAP)及びエチルセルロース、ポリビニルアセテート、アクリレート及びメタクリレート、アクリレート分散液及びシェラックであり、所望の場合に、これに可塑剤(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸三ナトリウム)及び/又は更に添加剤及び賦形剤(例えば、緩衝剤、塩基、例えば有利に水酸化アルミニウム又は顔料)を添加することもできる。フィルム被覆の場合に、乾燥ポリマー物質の濃度(仕上がった剤形に対する質量%)は1〜20質量%、有利に3〜10質量%である。選択的に、有効成分をpH制御で放出するイオン交換樹脂、例えば交換可能なイオンと酸基又は塩基性とを有するポリスチレン又はメタクリル樹脂が可能である。錠剤コアに例えば被覆を適用するのに適した媒体は、水及び/又は有機溶剤を用いて製造することができる。更に、被覆剤形の製造のためには、凝析工程又はコアセルベーション工程を使用することができる。
【0027】
本発明の関連で挙げることができる、有効成分の放出を持続させるのに適した更なる賦形剤は、マトリックス形成性賦形剤である。本発明によるマトリックス錠剤(Matrix tablet)に適しているのは、脂質(例えばステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、綿実油、水添ひまし油、Precirol(登録商標))、熱可塑性を有する可塑性材料(例えばポリビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン)及びゲル層を形成する膨潤可能な材料であって有効薬物質の拡散を遅延させる材料(例えばメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)のような賦形剤である。マトリックス錠剤の場合に、その含有量(仕上がった剤形に対する質量%)は1〜30質量%、有利に5〜20質量%である。
【0028】
本発明による剤形中に使用することができる他の賦形剤は、該剤形を経口摂取する際に剤形中に浸透圧をもたらすことでコアの崩壊時間に影響を及ぼす賦形剤である。これは、有利に、充填剤又は担体及び崩壊剤の群から選択される1種又はそれ以上の物質である。更に、結合剤、滑沢剤、着色剤、香料、矯味剤及び界面活性物質の群からなる1種又はそれ以上の賦形剤が存在することができる。
【0029】
本発明により適した充填剤又は担体は、特に充填剤、例えば炭酸カルシウム(例えばMagGran(登録商標)CC又はDestab(登録商標)95)及び炭酸ナトリウム、糖アルコール、例えばマンニトール(例えばPerlitol(登録商標)又はParteck(登録商標)M)、ソルビトール(例えばKarion(登録商標))、キシリトール又はマルチトール、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン及びコムギデンプン、微結晶セルロース、糖類、例えばグルコース、ラクトース、レブロース、スクロース及びデキストロースである。微結晶セルロース及び/又はマンニトールが特に有利である。
【0030】
本発明による剤形中の充填剤の含有量(仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、有利に1〜99質量%である。充填剤の含有量は、有利に30〜95質量%、及びこの含有量は特に有利に60〜90質量%である。
【0031】
本発明による適当な崩壊剤は、特に不溶性ポリビニルピロリドン(不溶性PVP、crosspovidone)、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、崩壊機能を満たすことができるデンプン(例えばStarch 1500)である。
【0032】
本発明による剤形中の崩壊剤の含有量(仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、通常では0.5〜30質量%であってよい。この崩壊剤の含有量は、有利に1〜15質量%である。この崩壊剤の含有量は、特に有利に1〜5質量%である。
【0033】
挙げることができる適当な滑沢剤は、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク及びコロイダルシリカ(Aerosil)である。
【0034】
本発明による持続放出剤形中の滑沢剤の含有量(仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、通常では0.1〜5質量%である。この滑沢剤の含有量は、有利に0.2〜3質量%である。この崩壊剤の含有量は、特に有利に0.5〜2質量%である。
【0035】
本発明による有利な結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP、Polyvidon(登録商標)K25, Polyvidon(登録商標)K90)又はPVPとポリ酢酸ビニルとの混合物(例えば、Kollidon(登録商標)64)、ゼラチン、コーンスターチペースト、予備膨潤させたデンプン(Starch(登録商標)1500, Uni−Pure(登録商標)WG220)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)又はヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)である。
【0036】
結合剤の含有量(本発明による仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、10質量%までであることができ、かつ有利に5質量%までであることができる。
【0037】
挙げることができる適当な表面活性物質は、ラウリル硫酸ナトリウム、又はTween(登録商標)20、 Tween(登録商標)60又はTween(登録商標)である。
【0038】
本発明による剤形は、特に有利に少なくとも1種の塩基性賦形剤、充填剤又は担体及び滑沢剤の混合物を含有する。放出系に応じて、崩壊剤を使用することができる。
【0039】
この関連で有利なものとして挙げることができる剤形は、充填剤又は担体として微結晶セルロースを含有し、かつ塩基性賦形剤及び滑沢剤として炭酸ナトリウムを含有する。他の実施態様の場合に、本発明によるこの剤形は、少なくとも1種の塩基性賦形剤、充填剤又は担体、結合剤及び滑沢剤の混合物を含有する。この関連で有利なものとして挙げることができる剤形は、充填剤又は担体としてマンニトール及び微結晶セルロースを含有し、塩基性賦形剤及び結合剤として炭酸ナトリウムを含有する混合物を含有する剤形である。この関連で有利なものとして挙げることができる他の剤形は、微結晶セルロース、炭酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを有する混合物を含有する剤形である。
【0040】
所望の場合に、1種又はそれ以上の矯味剤(例えば香料又は甘味料)が本発明による剤形中に存在することもできる。これは、この場合、例えば味覚の改善を達成することができる。このような物質は通常の量で添加される。
【0041】
光に敏感な可逆的プロトンポンプインヒビターを含有する剤形の場合には、本発明による剤形に着色されたフィルム被覆を塗布するか、又はこの剤形に染料を直接混入するのが有利である。好適な着色剤は、例えば酸化鉄、インジゴカルミンE132又は二酸化チタンである。
【0042】
結合剤の他に、他の補助物質、特に滑沢剤及び非付着性剤並びに他の崩壊助剤を、錠剤コアの製造で使用する。好適な結合剤は、特に種々の重合の程度におけるポリビニルピロリドンである。滑沢剤及び非粘着性剤の例は、高級脂肪酸及びそれらのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウムである。好適な錠剤崩壊剤は、特に化学的に不活性な剤である。好ましい錠剤崩壊剤は、架橋したポリビニルピロリドン、架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムを含む。
【0043】
一実施態様では、本発明による剤形は、持続放出組成物に慣用のフィルム被覆を有する錠剤に関連する。
【0044】
挙げることができる持続放出組成物に慣用のフィルム被覆は、水中で低い膨潤力を有するプラスチックから構成される膜であって、小さい可溶性粒子が埋没されている膜か、又はフィルム被覆の透過性を規定する好適な塩を少ない割合で含有する膨潤可能なプラスチック膜である。
【0045】
膜の構築に適したプラスチックは、水不溶性であり、かつ生理学的に許容可能であるプラスチックである。水中で低い膨潤力を有するプラスチックは、本発明の目的のためには、例えば水性媒体中で5質量%以下の水を吸収するプラスチックを意味すると解される。このために、セルロースエーテル及びセルロースエステルが特に適していると見なされる。更に、好適なプラスチックは、ポリ塩化ビニルのようなポリマーでもある。挙げることができる膨潤可能なプラスチックは、特にアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーである。
【0046】
挙げることができる小さな可溶性粒子は、例えばラクトース結晶であり、該結晶は微細化形で使用することが好ましい。粒度は、適切には、20μm未満、有利には10μm未満である。プラスチックと可溶性粒子との比率は、広い限界内で変化させてよい。プラスチックと可溶性粒子との質量比は約2:1〜1:3が好ましい。質量比4:3〜4:5が特に好ましい。
【0047】
挙げることができる膨潤可能なプラスチック膜に適した塩は、例えばアンモニウム塩、特に第四級アンモニウム塩である。プラスチック膜の特定の一実施態様では、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーの幾つかのエステル基は、第四級アンモニウム構造を有するエステル基である。挙げることができる第四級アンモニウム基を有するかかるコポリマーの一例は、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートクロリド(例えばRoehm社製のEudragit RL又はEudragit RS)である。
【0048】
本発明の関連で挙げることができるフィルム被覆のもう一つの例は、SURELEASE(登録商標)、つまりエチルセルロースの水中分散液である。
【0049】
プロトンポンプアンタゴニストの放出時間は、膜の組成の変更によって及び/又は膜の層厚の変更によって広い範囲内で制御することができる。このように、放出は、早期の時点で、膜の層厚の低下によって、可溶性粒子の割合の増大によって、より粗粒子形の可溶性粒子の使用によって、又は膨潤可能なプラスチック膜の場合には、好適な塩の割合の増大(例えばアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマー中の第四級アンモニウム基のより高い割合)によって行われる。
【0050】
錠剤コアへの膜の適用は、自体公知のようにして、特に慣用の噴霧技術の1つによって行われる。このために、膜用に意図されるプラスチック溶液又はプラスチック混合物溶液は、溶剤中で又は溶剤混合物中で、又は有利にはプラスチックの水性分散液又はプラスチック混合物の水性分散液中で製造される。可溶性の微細化された粒子は該溶液中に懸濁してから、噴霧する。必要に応じて、該懸濁液を噴霧中に撹拌して、懸濁された粒子の沈降を防止する。水性分散液を用いた好ましい手順の場合に、プラスチックの透過性を担う塩は、既にプラスチックそれ自体中に第四級アンモニウム基の形で含まれている。水性分散液から膜を適用する場合に、アルカリ性条件下で作業することもできる。
【0051】
膜は、慣用の助剤、例えば可塑剤、湿潤剤、着色剤及び粘着防止剤を含有してよい。例えばポリエチレングリコール類、パラフィン類、グリセロール又はプロピレングリコールのような薬理学的に認容性の可塑剤が適している。湿潤剤は、被覆を染料レーキで染色すべきであれば必要となることがある。ソルビトール脂肪酸エステル又はジオクチルスルホコハク酸の塩が、例えば適している。挙げることができる粘着防止剤は、特にステアリン酸カルシウム又はタルクである。
【0052】
本発明によるもう一つの実施態様では、本発明による剤形は、有効成分の持続放出に適した賦形剤を含有するマトリックス錠剤である。持続放出は、マトリックス錠剤を、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロール又は第四級アンモニウム基をトリメチルアンモニウムメチルメタクリレートクロリドとして有するコポリマー(例えばRoehm社製のEudragit RL又はEudragit RS)のような賦形剤を用いて製造することによって行われる。
【0053】
本発明による更なる一実施態様では、本発明による剤形は、有効成分の持続放出に適した賦形剤と、更に持続放出組成物に慣用のフィルム被覆とを含有するマトリックス錠剤である。
【0054】
本発明による一実施態様では、プロトンポンプアンタゴニストの僅かな一部が拡張型放出形であり、他のプロトンポンプアンタゴニストの部分が迅速(即時)放出形である。プロトンポンプアンタゴニストの一部の迅速放出と、他の部分の遅延放出は、場合により、例えば層状錠剤又は多層錠剤であって、可逆的プロトンポンプインヒビターの一部が徐放しない形で外側被覆中に存在し、それに引き続き抗微生物性有効成分を含有するもう一つの被覆があり、続いて放出が好適に遅延された可逆的プロトンポンプインヒビターを有するコアがある錠剤によって達成される。本発明による剤形を、プロトンポンプアンタゴニストを含有する慣例の(すなわち即時放出)剤形(例えば即時放出ペレットと本発明によるペレットとを含有するカプセル又は、特に2つ又はそれ以上の錠剤であってその少なくとも1つが本発明による仕様に相当する錠剤を含有するカプセル)と組み合わせてもよい。
【0055】
本発明の有利な実施態様の場合に、剤形は、プロトンポンプアンタゴニストとして(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン(INN ソラプラザン)又はその薬理学的に認容性の塩及び/又は水和物、塩基性賦形剤として炭酸ナトリウム及び賦形剤として微結晶セルロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを含有する。他の実施態様の場合には、このような剤形はフィルム被覆錠剤である。特に有利には、かかる剤形は、有効成分の持続放出に適したフィルム被覆を有する。
【0056】
本発明による剤形は、当業者に公知のプロセス、特にプロトンポンプと賦形剤との混合により製造される。この関連で、有効成分を塩基性賦形剤と混合するのが有利である。錠剤の場合に、この持続放出剤形は、有利に賦形剤を有効成分と乾式混合することにより製造される。所望の場合には、有効成分は充填剤又は担持剤の一部と予備混合することができる。通常のミキサー、例えば強制ミキサー又は自由落下式ミキサーは、混合操作のために使用することができる。これとは別に、剤形の各成分の造粒物を製造し、次いでこれらを圧縮して錠剤にすることもできる。このように得られた調製物を、次いで適当な錠剤に圧縮することができる。所望の場合に、予備圧縮を行うこともできる。被覆錠剤の場合に、所望のフィルム被覆は、通常の方法で、このような目的のために慣用の装置(例えば被覆槽又はドラムコーター)を用いて塗布される。水を、造粒媒体及び被覆媒体として使用するのが有利である。着色された剤形の場合に、前記着色剤は、造粒物中に均質に分散されるか、又は乾式混合され、次いで湿らせるか、又は造粒するか、又は造粒液中に着色顔料を懸濁させるのが有利である。
【0057】
ペレット剤の場合に、この持続放出剤形は、有利に開始ペレットに塩基性にした有効成分調製剤を吹き付けるか又は押出/球状化プロセスにより製造するのが有利である。
【0058】
実施例
以下の調製物の例は本発明を詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。
【0059】
実施例
実施例1
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 10.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 137.2mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 7.5mg
e)カルボキシメチルデンプンナトリウム 8.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)Surelease E7 − 7050 5.0mg
175.0mg
g)を、適当なフィルムコーティング装置中でI.で得られた錠剤コアに塗布する。
【0060】
実施例2
フィルム被覆マトリックス錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 10.0mg
b)リン酸三ナトリウム 5.1mg
c)HPMC2208 20.0mg
d)微結晶セルロース
(例えばAvicel PH 101) 82.2mg
e)マンニトール 51.0mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)〜e)を造粒し、f)を自由落下式ミキサー中で添加する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
i)Opadry II green 3.1mg
173.1mg
【0061】
実施例3
フィルム被覆マトリックス錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 20.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 10.2mg
c)Eudragit RS 30D 20.0mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 103.1mg
e)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 15.0mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)〜e)を造粒し、f)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)Opadry II green 5.0mg
h)炭酸ナトリウム(無水) 1.0mg
176.0mg
g)を、適当なフィルムコーティング装置中でI.で得られた錠剤コアに塗布する。
【0062】
実施例4
フィルム被覆マトリックス錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 20.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 10.2mg
c)Eudragit RL 30D 70.0mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 221.4mg
e)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 15.0mg
f)ステアリン酸マグネシウム 3.4mg
340.0mg
a)〜e)を造粒し、f)を自由落下式ミキサー中で簡単に混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)Opadry II green 7.5mg
347.5mg
g)を、適当なフィルムコーティング装置中でI.で得られた錠剤コアに塗布する。
【0063】
実施例5
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 20.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 119.7mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 15.0mg
e)Primojel 8.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で簡単に混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
成分 コア当たりの被覆
(g)Eudragit RS 30 D 4.876mg
(h)精製水
(i)プロピレングリコール 0.975mg
(j)ステアリン酸カルシウム 0.146mg
(k)1NのNaOH 0.002mg
全フィルム被覆 6.000mg
フィルム被覆された錠剤当たりの質量: 176.0mg
それらの成分を撹拌することで分散液が得られ、それは処理前に篩にかける。該分散液を、I.で得られたコア上に好適な装置において噴霧する。
【0064】
実施例6
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 20.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 119.7mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 15.0mg
e)Primojel 8.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で簡単に混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
成分 コア当たりの被覆
(g)Eudragit RS 30 D 2.438mg
Eudragit RL 30 D 2.438mg
(h)精製水
(i)プロピレングリコール 0.975mg
(j)ステアリン酸カルシウム 0.146mg
(k)1NのNaOH 0.002mg
全フィルム被覆 6.000mg
フィルム被覆された錠剤当たりの質量: 176.0mg
それらの成分を撹拌することで分散液が得られ、それは処理前に篩にかける。該分散液を、I.で得られたコア上に好適な装置において噴霧する。
【0065】
実施例7
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 20.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 126.7mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 15.0mg
e)Primojel 1.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で簡単に混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
成分 コア当たりの被覆
(g)Eudragit NE 30 D 9.754mg
(h)精製水
(i)プロピレングリコール 1.950mg
(j)ステアリン酸カルシウム 0.292mg
(k)1NのNaOH 0.004mg
全フィルム被覆 12.000mg
フィルム被覆された錠剤当たりの質量: 182.0mg
それらの成分を撹拌することで分散液が得られ、それは処理前に篩にかける。該分散液を、I.で得られたコア上に好適な装置において噴霧する。
【0066】
実施例8
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 10.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 137.2mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 7.5mg
e)カルボキシメチルデンプンナトリウム 8.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)エチルセルロース 3.71mg
h)ジブチルセバケート 1.25mg
i)ラクトース一水和物(微細化) 5.04mg
180.0mg
g)とh)をエタノール中に溶解させる。I)をその澄明な溶液中に懸濁させる。
該懸濁液を、適当なフィルムコーティング装置中でI.で得られた錠剤コアに塗布する。
【0067】
実施例9
フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 10.0mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 5.1mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 137.2mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 7.5mg
e)カルボキシメチルデンプンナトリウム 8.5mg
f)ステアリン酸マグネシウム 1.7mg
170.0mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)酢酸セルロース 7.0mg
h)トリエチルシトレート 2.34mg
179.34mg
g)とh)をアセトンと精製水との混合物中に溶解させる。
該懸濁液を、適当なフィルムコーティング装置中でI.で得られた錠剤コアに塗布する。適切な技術、例えばレーザ装置を用いることによって、50μm〜250μmの小さな穴を該被覆中に作製する。
【0068】
実施例10
フィルム被覆マトリックス錠剤:
a)ソラプラザン 5.0mg
b)マンニトール 34.0mg
c)HPMC 2208 10.0mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 26.0mg
e)Uni Pure(登録商標)WG 220 3.0mg
f)塩基性緩衝剤 2.0mg
造粒物の質量 80.0mg
g)ステアリン酸マグネシウム 0.25mg
錠剤コアの質量 84.25mg
h)フィルム被覆 4.0mg
フィルム被覆された錠剤の質量 88.25mg
【0069】
実施例11
フィルム被覆マトリックス錠剤:10mg
a)ソラプラザン 10.0mg
b)マンニトール 34.0mg
c)Eudragit RS 10.0mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 21.0mg
e)Uni Pure(登録商標)WG 220 3.0mg
f)塩基性緩衝剤 2.0mg
造粒物の質量 80.0mg
g)ステアリン酸マグネシウム 0.25mg
錠剤コアの質量 84.25mg
h)フィルム被覆 4.0mg
フィルム被覆された錠剤の質量 88.25mg
【0070】
実施例12
フィルム被覆マトリックス錠剤:
a)ソラプラザン 5.0mg
b)マンニトール 34.0mg
c)エチルセルロース 10.0mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 26.0mg
e)Uni Pure(登録商標)WG 220 3.0mg
f)炭酸ナトリウム 1.2mg
造粒物の質量 79.2mg
g)ステアリン酸マグネシウム 0.25mg
錠剤コアの質量 83.45mg
h)フィルム被覆(PVAベース) 3.55mg
フィルム被覆された錠剤の質量 87.00mg
【0071】
実施例13
硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルは、以下の錠剤を含有する:
以下のI.及びII.による1つ又は2つの持続放出フィルム被覆錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 2.5mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 1.275mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 34.3mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 1.875mg
e)カルボキシメチルデンプンナトリウム 2.125mg
f)ステアリン酸マグネシウム 0.425mg
42.5mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
g)Surelease E7 − 7050 3.5mg
46.0mg
及び、以下のI.及びII.による1つ又は2つの即時放出フィルム被覆された錠剤:
I. 未被覆のコアの製造
a)ソラプラザン 2.5mg
b)炭酸ナトリウム(無水) 1.275mg
c)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 102) 34.3mg
d)微結晶セルロース
(例えば:Avicel PH 101) 1.875mg
e)カルボキシメチルデンプンナトリウム 2.125mg
f)ステアリン酸マグネシウム 0.425mg
42.5mg
a)を強制ミキサー中でd)と予備混合する。この混合物を強制ミキサー中でb)、c)及びe)と混合する。引き続きf)を自由落下式ミキサー中で混合する。この錠剤化混合物を、適当な錠剤成形プレス装置中で圧縮してコアにする。
II. フィルム層
i)Opadry II green 3.5mg
46.0mg
【0072】
安定性試験
塩基性賦形剤を含むか又は含まない多様な賦形剤と一緒のソラプラザンの粉砕物を製造し、50℃で貯蔵し、不純物を分析した。次の結果が得られた:
【表1】

【0073】
塩基性賦形剤を有する粉砕物については、明らかに低い不純物特性が観察された。
【0074】
産業上利用可能性
プロトンポンプアンタゴニスト及びその塩は、産業上利用性がある有用な薬理特性を有している。これらは、特に胃酸分泌の著しい阻害を示し、かつ温血動物、特にヒトにおいて優れた胃腸保護作用を示す。この関連で、本発明による化合物は、作用の高い選択性、作用の有利な持続、殊に良好な腸内活性、重篤な副作用の不在及び広い治療範囲を特徴とする。
【0075】
「胃腸保護」とは、この関連で、胃腸疾患、特に胃腸炎疾患及び胃腸障害(例えば胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、胃酸過多又は薬物に関連する消化不良、胸焼け及び酸性のおくび、重症の逆流性食道炎の予防及び治療、逆流性食道炎及び十二指腸潰瘍の再発の予防、逆流性食道炎、ゾリンガー−エリソン症候群、アモキシシリン及びクラリスロマイシンと組み合わせた又はクラリスロマイシン及びメトロニダゾールと組み合わせた又はアモキシシリン及びメトロニダゾールと組み合わせた病原性ヘリコバクターピロリの除去、重症の逆流性食道炎の再発の予防のための長期治療を意味する。非ステロイド性抗炎症剤によって誘発された潰瘍及び胃十二指腸びらんであって、例えば微生物(例えばヘリコバクター・ピロリ)、細菌毒素、薬物(例えば一定の抗炎症剤及び抗リウマチ剤)、化学物質(エタノール)、胃酸又はストレス状況によって引き起こされることがあるものが予防及び治療される。
【0076】
この特性のため、プロトンポンプアンタゴニスト及び/又はその薬理学的に認容性の塩を含有する本発明による剤形は、特に胃及び/又は腸の疾患の治療及び/又は予防のための医薬品及び獣医学的医薬品に使用するのに特に適している。
【0077】
従って、本発明は、更に、前記の疾患の治療及び/又は予防に使用するための本発明による剤形に関する。
【0078】
本発明は、前記疾患の治療及び/又は予防のための本発明による剤形の使用も含む。
【0079】
本発明によるこの剤形は、多様な組合せ又は固定された組合せにおいて、他の医薬と組み合わせることができる。有効成分としてプロトンポンプアンタゴニストを有する本発明の剤形との関連で挙げる価値のある組合せは、抗生物質有効成分との組合せ及びNSAID類(非ステロイド系抗炎症剤)との組合せである。特に、ヘリコバクターピロリ菌(H.pylori)のコントロールのために使用されるような抗菌剤との組合せを挙げることができる。組合せの挙げることのできる他の例は次のものである:
精神安定剤(例えばベンゾジアゼピンの群から、例えばジアゼパム)、鎮痙剤(例えばビエタミベリン又はカミロフィン)、抗コリン作用薬(例えばオキシフェンシクリミン又はフェンカルバミド)、局所麻酔薬(例えば、テトラカイン又はプロカイン)、場合により、酵素、ビタミン又はアミノ酸。本発明による化合物と、酸分泌を阻害する薬剤、例えば制酸剤、H2ブロッカー(例えばシメチジン、ランチジン)、H+/K+−ATPアーゼ阻害剤(例えばオメプラゾール、パントプラゾール)又は更にいわゆる末梢抗コリン作用薬(例えば、ピレンゼピン、テレンゼピン)及びガストリンアンタゴニストとの組合せは、この関連において、加成的又は超加成的な意味で、主効果を高め及び/又は副作用を排除又は低減させる目的で、特に際だっている。
【0080】
好適な抗微生物性の有効成分(ヘリコバクター・ピロリに対して有効)は、EP−A−0282131号に記載されている。ヘリコバクター・ピロリ菌をコントロールするために適した抗菌剤の挙げることができる例は、例えばビスマス塩[次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、アンモニウムビスマス(III)クエン酸二水酸化カリウム、酸化硝酸ビスマス、トリス(テトラオキソジアルミン酸)二ビスマス]、特にβ−ラクタム抗生物質、例えばペニシリン(例えばベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、プロピシリン、アジドシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、オキサシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、アンピシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン)、セファロスポリンス(例えば、セファドロキシル、セファクロル、セファレキシン、セフィキシム、セフロキシム、セフェタメト、セファドロキシル、セフチブテン、セフポドキシム、セホテタン、セファゾリン、セホペラゾン、セフチゾキシム、セホタキシム、セフタジジム、セファマンドール、セフェピム、セホキシチン、セホジジム、セフスロジン、セフトリアキソン、セホチアム又はセフメノキシム)、又は他のβ−ラクタム抗生物質(例えばアズトレオナム、ロラカルベフ又はメロペネム)、酵素インヒビター類、例えばスルバクタム;テトラサイクリン類、例えばテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノシクリン又はドキシシクリン;アミノグリコシド類、例えばトブラマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン又はスペクチノマイシン;アンフェニコール、例えばクロラムフェニコール又はチアンフェニコール;リンコマイシン及びマクロライド抗生物質、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、エリスロマイシン、クラリトロマイシン、スピラマイシン、ロキシトロマイシン又はアジトロマイシン;ポリペプチド抗生物質、例えばコリスチン、ポリミキシン B、テイコプラニン又はバンコマイシン;ジャイレースインヒビター類、例えばノルフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ピペミド酸、エノキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、フレロキサシン又はオフロキサシン;ニトロイミダゾール類、例えばメトロニダゾール;又は他の抗生物質、例えばホスホマイシン又はフシジン酸である。可逆的プロトンポンプインヒビターを、複数の抗菌有効成分の組合せと一緒に投与すること、例えばビスマス塩及び/又はテトラサイクリンとメトロニダゾールとの組合せ、又はアモキシシリン又はクラリスロマイシンとメトロニダゾール及びアモキシシリンとクラリスロマイシンとの組合せと一緒に投与することは、この関連で特に言及に値する。
【0081】
本発明によるこの剤形中の有効成分の用量は、使用されたプロトンポンプアンタゴニストの種類に著しく依存する。WO−A−9418199号の実施例に開示されたようなプロトンポンプアンタゴニストの典型的な用量は、場合により、複数の1回量の形で、約0.01〜約20、有利に約0.05〜5、特に0.1〜1.5mg/体重kgの1日量であると見なされる。化合物ソラプラザンの場合には、本発明による剤形の例は、2、2.5、5、10、15、20又は40mgの用量でプロトンポンプアンタゴニストを含有する。
【0082】
強調することができる抗菌有効成分は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、リファンピシン、アンピシリン、メジオシリン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ミノシクリン、ドキシシクリン、イミペネム、メロペネム、セファレキシン、セフロキシム アキセチル、セフポドキシム プロキセチル、セファクロル、セファドロキシル、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン及びペフロキサシンである。
【0083】
特に有利に強調できる抗菌有効成分は、クラリスロマイシン及びアモキシシリンである。
【0084】
本発明の目的での組み合わせた投与とは、固定された組合せ、及び特に自由な組合せを意味し、すなわち、プロトンポンプアンタゴニストと抗菌有効成分とは、一つの投与単位中に存在するか、又は別個の投与単位中に存在するプロトンポンプアンタゴニストと抗菌有効成分とを直接連続して又は比較的大きな時間的間隔を開けて投与され、その際比較的大きな時間的感覚とは24時間を越えない期間を意味する。別個の投与単位として使用するために、有利に共通のパッケージの形で提供される。例えば、二つの投与単位は、一緒にブリスターの形でパッケージングされ、この投与単位は、二つの投与単位の相対的配置に関して、通常の方法で表示及び/又は着色がなされているため、二つの投与単位の個々の成分(投与計画)は患者にとって明らかである。
【0085】
投与単位とは、特に剤形、例えば錠剤、被覆錠剤、ペレット、カプセル中の微小錠剤であると解釈され、その際、この剤形は有利に二つの有効成分(一方はプロトンポンプアンタゴニスト及び他方は抗菌有効成分)を、最適な有効成分プロフィール及びこの作用プロフィールを達成するように放出するか又は有効に身体に提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のプロトンポンプアンタゴニスト(APA)を賦形剤と一緒に含有する不可逆的プロトンポンプインヒビター用の経口剤形であって、前記プロトンポンプアンタゴニストは剤形中で1種又はそれ以上の塩基性賦形剤により安定化されており、かつ前記剤形は拡張型放出剤形である経口剤形。
【請求項2】
請求項1記載の剤形であって、塩基性賦形剤が微細に分散した形で存在しかつプロトンポンプアンタゴニストと完全に混合されている剤形。
【請求項3】
請求項1又は2記載の剤形であって、剤形の経口摂取時にプロトンポンプアンタゴニストの持続放出を生じさせる賦形剤と、適宜、更なる賦形剤が存在する剤形。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載の剤形であって、該剤形が、錠剤、被覆錠剤、ペレット剤、被覆ペレット剤、微小錠剤をカプセル中に入れた剤及び造粒物をカプセル中に入れた剤の群から選択される剤形。
【請求項5】
請求項4記載の剤形であって、それがプロトンポンプアンタゴニストの持続放出をもたらすフィルム被覆を含有する錠剤又はペレット剤である剤形。
【請求項6】
請求項4記載の剤形であって、それがマトリックス錠剤である剤形。
【請求項7】
請求項1記載の剤形であって、プロトンポンプアンタゴニストの一部が持続放出形であり、かつその他の部分が即時放出形である剤形。
【請求項8】
請求項1記載の剤形であって、該剤形が、0.1N塩酸中で少なくとも3時間中で、90%未満の有効成分の放出を示すことを特徴とする剤形。
【請求項9】
請求項3記載の剤形であって、充填剤及びポリマーの群から選択される1種又はそれ以上の物質が、持続放出剤形とする賦形剤として存在することを特徴とする剤形。
【請求項10】
請求項9記載の剤形であって、少なくとも1種の充填剤及び少なくとも1種のポリマーが存在することを特徴とする剤形。
【請求項11】
請求項10記載の剤形であって、微結晶セルロース及び/又はポリオールが存在することを特徴とする剤形。
【請求項12】
請求項1記載の剤形であって、滑沢剤、香料、着色剤、矯味剤及び界面活性物質の群から選択される1種又はそれ以上の更なる賦形剤が存在することを特徴とする剤形。
【請求項13】
請求項1記載の剤形であって、塩基性賦形剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ヒドロタルサイト(合成)、水酸化アルミニウムマグネシウム、及び水酸化カルシウム、アミノ酸の塩基性塩、水酸化ナトリウム、トリヒドロキシメチルアミノメタン、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸三ナトリウム又はこれらの混合物の群から選択されることを特徴とする剤形。
【請求項14】
請求項13記載の剤形であって、炭酸ナトリウムを含むことを特徴とする剤形。
【請求項15】
請求項13記載の剤形であって、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム又はリン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムとから構成された緩衝剤系を含むことを特徴とする剤形。
【請求項16】
請求項1記載の剤であって、AU−461、ソラプラザン(BYK61359)、DBM−819、KR−60436、T−330、YH−1885、YJA−20379−8及び2,3−ジメチル−8−(2−エチル−6−メチルベンジルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−カルボキサミドの群から選択される化合物が、可逆的プロトンポンプインヒビターとして存在することを特徴とする剤形。
【請求項17】
請求項16記載の剤形であって、(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン(INN ソラプラザン)又はその薬理学的に認容性の塩及び/又はその水和物が、プロトンポンプアンタゴニストとして存在することを特徴とする剤形。
【請求項18】
請求項1記載の剤形であって、プロトンポンプアンタゴニストとして(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン(INN ソラプラザン)又はその薬理学的に認容性の塩及び/又は水和物を、塩基性賦形剤として炭酸ナトリウムを、かつ賦形剤として微結晶セルロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを有する剤形。
【請求項19】
請求項18記載の剤形であって、該剤形がフィルム被覆錠剤である剤形。
【請求項20】
請求項20記載の剤形であって、該剤形が着色されたフィルム被覆を有する剤形。

【公表番号】特表2008−515787(P2008−515787A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534033(P2007−534033)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054956
【国際公開番号】WO2006/037766
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】