プロトン伝導性電解質

【課題】高いプロトンの運動性を発現することができるプロトン伝導性電解質と共に、このようなプロトン伝導性電解質を適用した電気化学セル及び燃料電池を提供すること。
【解決手段】プロトン伝導性電解質を、塩と、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子を含むものとし、水素結合ドナー性の官能基と、水素結合アクセプター性の官能基をそれぞれ1つ以上備えたアニオンによって上記塩を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、湿度センサー、ガスセンサーなどの電解質として好適に用いられるプロトン伝導性電解質に係り、更に詳しくは、所定の構造を有する分子と塩とを含むプロトン伝導性電解質と、これを用いた電気化学セル及び燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、室温付近の温度に融点を有するイオンのみで構成される物質であるイオン液体が注目され、反応溶媒や電気化学デバイス用の電解質として盛んに検討されている。
電気化学デバイス用の電解質としては、イオン液体自体がイオン伝導性を有すること、優れた電気化学的安定性(広い電位窓)、高い耐熱性、広い範囲で液体の性状を示すことから、燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、湿度センサー、ガスセンサーなどの電解質として用いるのに有用である。
【0003】
例えば、アルコキシアルキル基を有する4級アンモニウムまたは4級ホスホニウムをカチオンとするイオン液体を電気二重層キャパシタ用の電解質として応用することや、イオン液体をガスセンサー用の電解質として応用する方法が提案されている。また、塩基性物質と有機酸との酸塩基反応により得られるイオン液体を燃料電池用電解質として応用することが提案されている。
【0004】
特に近年では、環境問題、エネルギー問題の解決が大きな課題となっているが、燃料電池は、発電効率が高く環境負荷抑制に優れており、これらの問題の解決に貢献が期待されている次世代型エネルギー供給デバイスである。
また、燃料電池は、電解質の種類により分類されるが、これらの中でも固体高分子形燃料電池は、小型で且つ高出力を得ることができるため、小規模の定置型用、移動体用、携帯端末用のエネルギー供給源としての適用について研究、開発が進められている。
【0005】
このような固体高分子形燃料電池において、イオン伝導を担う固体高分子電解質膜としては、一般に、パーフルオロカーボン系主鎖とスルホン酸基をもつ側鎖とを有するパーフルオロスルホン酸系電解質膜が使用されている。
パーフルオロスルホン酸系電解質膜は、スルホン酸基を主体とする領域とパーフルオロカーボン系主鎖を主体とする領域とにミクロ相分離していると考えられている。更に、スルホン酸基を含む相において、スルホン酸基はクラスターを形成していると考えられている。そして、パーフルオロカーボン系主鎖が凝集している部位が、電解質膜の化学的安定性に寄与しており、スルホン酸基が集まってクラスターを形成している部位が、電解質膜のイオン伝導に寄与していると考えられている。
【0006】
このような優れた化学的安定性とイオン伝導性とを兼ね備えるパーフルオロスルホン酸系電解質膜であっても、例えば移動体用の動力源と期待される固体高分子形燃料電池への適用には種々の制約がある。また、コストが高いといった問題もある。
例えば、現状の固体高分子形燃料電池は、室温から80℃程度の比較的低い温度領域で運転されている。
【0007】
このような運転温度に制約されるのは、次のような理由による。
(1)用いられているパーフルオロスルホン酸系ポリマーが120〜130℃近傍にガラス転移点を有し、これよりも高温領域ではプロトン伝導に寄与しているイオンチャンネル構造の維持が困難となるため、実質的には100℃以下での使用が望ましいこと。
(2)水をプロトン伝導媒体として使用するため、水の沸点である100℃を超えると加圧が必要となり、装置が大がかりになること。
【0008】
一方、燃料電池の運転温度が低いと、触媒の活性の低下により燃料電池の発電効率が低くなる。
すなわち、燃料電池の運転温度が高くなると、燃料電池の発電効率が向上する。さらに、排熱利用の利便性が高まり、より効率的にエネルギーを活用することができる。
【0009】
燃料電池を自動車へ適用するに当たり、運転温度を現行の温度域より高くすることができると、発電効率の向上だけでなく、排熱に必要なラジエータ負荷を低減することができる。
また、現行の燃料電池自動車のラジエータは、排熱負荷が高いため通常の自動車用のラジエータより大きくなることからシステムを大きくする要因となっているが、運転温度が120℃付近であれば、現行の移動体に使用されているラジエータと同等仕様のものを適用することができるため、システムをコンパクト化できる。
【0010】
そこで、コストの低減や、より高い温度での運転を実現し得る固体高分子電解質膜として、芳香族炭化水素系高分子材料を用いたものの適用が検討されている。
但し、このような固体高分子電解質膜においても、水をプロトン伝導媒体として使用するため、水の沸点である100℃を超えると加圧が必要となり、装置が大がかりなものとなる。
【0011】
一方で、無加湿条件でプロトン伝導可能な電解質膜について、様々な試みがなされており、イオン液体を含む電解質を燃料電池に適用することも提案されている。
例えば、非特許文献1には、イオン液体が水に依存することなくプロトン伝導性を示し、燃料電池用電解質として利用可能であることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】独立産業法人新エネルギー・産業技術総開発機構 平成14年度研究助成事業成果報告書「無加湿条件下で作動する中温型燃料電池用複合電解質膜の開発」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来報告されているイオン液体は、イオン液体を構成する分子自身が目的イオンを運ぶ機構(ビークル機構)が支配的であり、高いイオン伝導性を得ることが困難であった。このため、デバイスの内部抵抗が高いという問題があった。高いイオン伝導性を得る方法としては、目的イオンが分子間をホッピングする機構(グロータス機構)を電解質内に導入することが考えられる。しかし、電解質としてイオン液体の適用を考えると、そのイオン伝導メカニズムは分子の運動性で論議されており、イオン液体を上記非特許文献1に記載の構造としたとしても、ホッピング成分の割合は非常に小さく、ホッピング機構により積極的なプロトンの運動性を有するイオン液体を見出すことは困難であった。
【0014】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高いプロトンの運動性を発現し得るプロトン伝導性電解質と共に、このようなプロトン伝導性電解質を適用した電気化学セル及び燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のプロトン伝導性電解質は、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子と、塩とを含み、該塩のアニオンが水素結合ドナー性の官能基と、水素結合アクセプター性の官能基をそれぞれ1つ以上有していることを特徴とする。
また、本発明の電気化学セルは、本発明の上記プロトン伝導性電解質を用いたことを特徴とし、本発明の燃料電池は、上記の電気化学セルを用いたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プロトン伝導性電解質の構造をプロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子と、塩を含むものとし、この塩のアニオンを水素結合ドナーとして機能する官能基と、水素結合アクセプターとして機能する官能基をそれぞれ1つ以上有するものとしたから、当該電解質におけるプロトンの運動性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のプロトン伝導性電解質におけるプロトンの運動性を比較例と比較して示す実施例の結果のグラフである。
【図2】実施例2により得られたプロトン伝導性電解質のDSC測定結果を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明のプロトン伝導性電解質について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」については、特記しない限り質量百分率を意味するものとする。
【0019】
本発明のプロトン伝導性電解質は、上記したように、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子と、塩を含んでいる。そして、上記塩のアニオンが水素結合ドナーとして機能する官能基(水素結合ドナー性官能基)と、水素結合アクセプターとして機能する官能基(水素結合アクセプター性官能基)をそれぞれ1つ以上備えている。
【0020】
すなわち、塩のアニオンが水素結合ドナーとして機能する官能基と水素結合アクセプターとして機能する官能基をそれぞれ1つ以上有することでネットワークを形成させ、水素結合のネットワークを介したプロトンの伝導が可能になる。さらに、プロトンドナー性あるいはアクセプター性を有する分子が存在することでネットワーク内に一時的にプロトンを供給、又はネットワーク内のプロトンを一時的に受容することができ、移動するプロトン量をコントロールすることが可能となる。
ネットワーク内でのプロトンの移動は、その中でのプロトンの供給/受容サイトのバランスで決まることから、プロトンドナーあるいはアクセプターとして機能する分子の存在により、ネットワーク内でより積極的なプロトンの運動性を得ることができる。
【0021】
本発明のプロトン伝導性電解質において、上記塩のアニオンは、水素結合ドナー性の官能基として、−OH及び−NRH(式中のRは水素又は炭化水素基)の一方又は双方を有していることが望ましい。
【0022】
水素結合ドナーとして機能する官能基が水素結合を形成することにより、電解質中に水素結合のネットワークを形成し、このネットワークを介してプロトンが移動する。水素結合のネットワークを形成するためには、水素結合ドナーとして機能する官能基として窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなどの電気陰性度が大きな原子と共有結合で結びついた水素原子からなる官能基を使用することができる。
【0023】
水素結合アクセプターとして機能する官能基としては、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなどの電気的に陰性な原子を含む官能基を使用することができる。特に、=O、=NR(式中のRは水素又は炭化水素基)、−O及び−NR3−(式中のRは水素又は炭化水素基)から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有していることが望ましい。
【0024】
また、本発明のプロトン伝導性電解質を構成する塩のアニオンとしては、一般式HnXO(式中のnは2〜4の整数であって、nが2のとき、XはS,Se,Cr,Te,Mo又はW、nが3のとき、XはP,As,V,Nb,Mn又はSb、nが4のとき、XはSi又はGeを示す。)で表される多価のオキソ酸から選ばれた少なくとも1種のオキソ酸由来のアニオンとすることができる。
【0025】
さらに、本発明のプロトン伝導性電解質は、上記アニオンとして、HPOアニオン、HPOアニオン及びHSOアニオンから成る群から選ばれた少なくとも1種を含んでいることが望ましく、これによって、形成される塩の耐熱性が向上し、より高温での使用が可能になる。
【0026】
本発明のプロトン伝導性電解質は、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子を含んでいるが、プロトンドナー性を有する分子としては、オキソ酸、イミド酸、チオ酸及びハロゲン化水素酸から成る群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができる。
プロトンドナー性分子が、上記のものであることによって、プロトン伝導性電解質中のプロトンの供給サイトが増加し、水素結合ネットワークへ効率的なプロトン供給が可能となり、積極的なプロトンの移動が可能となる。
【0027】
このとき、プロトンドナー性分子を一般式HnXO(式中のnは2〜4の整数であって、nが2のとき、XはS,Se,Cr,Te,Mo又はW、nが3のとき、XはP,As,V,Nb,Mn又はSb、nが4のとき、XはSi又はGeを示す。)で表される多価のオキソ酸から選ばれる少なくとも1種とすることによって、塩によって形成される水素結合ネットワークに当該プロトンドナー性分子自体も参加することができるようになり、長距離のプロトン移動を促進することができる。
【0028】
さらに、リン酸または硫酸の少なくとも一方の分子をプロトンドナー性分子とすることが望ましく、これによって、形成されるプロトン伝導性電解質の耐熱性が向上し、より高温での使用が可能なものとなる。
【0029】
一方、プロトンアクセプター性を有する分子としては、その構造中に非共有電子対を持っていることが好ましく、これによって、プロトン伝導性電解質中のプロトンの受容サイトが増加し、水素結合ネットワーク内からのプロトンの受容が容易となり、積極的なプロトンの移動が可能となる。
【0030】
また、プロトンアクセプター性を有する分子として、具体的には、イミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピロリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、アミン誘導体、ホスフィン誘導体、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドから成る群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。これによって、プロトン伝導性電解質の耐熱性が向上し、より高温での使用が可能となる。
【0031】
本発明のプロトン伝導性電解質を構成する塩のカチオンとしては、イミダゾリウム誘導体、ベンズイミダゾリウム誘導体、ピリジニウム誘導体、ピロリジニウム誘導体、ピペリジニウム誘導体、ピペラジニウム誘導体、アンモニウム誘導体、ホスホニウム誘導体及びスルホニウム誘導体から成る群から選ばれた少なくとも1種の誘導体由来のカチオンであることが望ましい。
このようなカチオンであることによって、得られるプロトン伝導性電解質の融点が低下し、低温でも液体状態となるため、より高いイオン伝導度が得られる。
【0032】
上記カチオンの中では、とりわけイミダゾリウム誘導体由来のものであって、イミダゾリウム誘導体が1位または3位の少なくとも一方にアリル基を有したものとすることがより好ましい。
1位または3位の少なくとも一方にアリル基を有するイミダゾリウムカチオンとすることによって、得られるプロトン伝導性電解質の粘性が低下するため、より高いイオン伝導度が得られる。
【0033】
上記カチオンが1−アリル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン(Rは炭素数1〜20のアルキル基、またはアリル基)であると、合成が容易である。より好ましくはRが炭素数1〜6のアルキル基、またはアリル基の場合であり、合成がより容易である。さらにより好ましくは、Rがヘキシル基の場合であり、合成の容易さと融点の低さが両立する。低融点のプロトン伝導性電解質が得られると、使用温度範囲をより広くできる。アニオンがリン酸二水素アニオン、分子がリン酸であり、カチオンに対するリン酸のモル比zが0より大きく2以下であると、より良好なプロトン伝導性が得られる。
カチオンに対するリン酸のモル比zが1であると、比較的高い熱安定性とプロトン伝導性が両立する。熱安定性の高いプロトン伝導性電解質が得られると、使用温度範囲をより広くできる。
【0034】
そして、本発明のプロトン伝導性電解質においては、分子性の溶媒を含ませることも効果的である。これによって、電解質の極性をコントロールすることができ、水素結合ネットワーク中のプロトンを非局在化することで、プロトンの移動を促進することができる。
なお、ここでの分子性の溶媒とは、電荷を持たない状態の単一分子からなる溶媒を意味し、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、水などを用いることができる。
【0035】
本発明のプロトン伝導性電解質は、プロトン伝導性電解質を用いる電気化学デバイスに適用が可能であり、セルの内部抵抗を大きく低減することから性能を向上できる。その適用例としては、たとえば燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、湿度センサー、ガスセンサーなどが挙げられる。
特に燃料電池へ適用すると高い出力が得られ、燃料電池システムの出力密度を高くできることから、コンパクトなシステムを提供することが可能となる。このシステムを移動体へ用いることで、利便性の高い移動体を社会へ提供することが可能となる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例に基づいて、具体的に説明するが、本発明はこのような実施例によって何ら限定されないことは言うまでもない。
【0037】
〔実施例1〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
本発明の第1の実施例によるプロトン伝導性電解質として、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウム リン酸二水素塩+リン酸分子を合成した。
【0038】
具体的には、まず、N−アリルイミダゾール5.0gと1−クロロヘキサン8.4gとを混合し、70℃攪拌下で反応させた。得られた二層分離した溶液を真空乾燥して、過剰のクロロヘキサンを除去し、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムクロリドを得た。
1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムクロリド5.0gを純水100mlに溶解し、オルガノ(株)販売「アンバーライト」に通過させて、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウム水酸化物水溶液とし、これと2.5gの85%リン酸とを氷冷中で混合した。100℃で減圧乾燥して水を留去し、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン:リン酸二水素アニオン:リン酸分子=1:1:1(モル比))を得た。
【0039】
【化2】

【0040】
なお、上記プロトン伝導性電解質は、リン酸分子と、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンとリン酸二水素アニオンの塩から成り、リン酸分子がプロトンドナー性を有する分子である。また、塩を構成するアニオンであるリン酸二水素アニオンが分子中に水素結合ドナー性官能基として、−OH基を2つ、水素結合アクセプター性官能基として、=O基と−O−基(合計2つ)を備えたものである。
【0041】
[2]プロトンの運動性評価
プロトンの運動性の評価としては、合成したプロトン伝導性電解質を構成する分子の中で、プロトン伝導の伝導種として機能していると考えられるプロトンの運動性を、プロトン伝導性電解質を構成する分子の運動性と比較することで評価した。
すなわち、着目しているプロトンが高い運動性を示す場合は、そのプロトンが含まれる分子よりも高い運動性を示し、プロトンの運動性が低い場合は、そのプロトンが含まれる分子と同じ運動性を示すことになる。
【0042】
この運動性を評価する方法として、パルス磁場勾配NMR(pfg−NMR)を用いた。上記プロトン伝導性電解質においては、当該プロトン伝導性電解質を構成するリン酸二水素アニオン及びリン酸分子のプロトンがプロトン伝導の伝導種として機能していると考えられる。
プロトンの運動性を検討するため、リン酸二水素アニオンのプロトン(H)とリン(31P)それぞれの運動性に着目し、個別に自己拡散係数を測定し(リン酸二水素アニオンとリン酸分子は同一のシグナルとして観察された)、得られたスピンエコーシグナルの減衰直線の傾きからリン酸二水素アニオンのHとPの自己拡散係数を算出した。
【0043】
図1に(着目しているプロトンの拡散係数)/(着目しているプロトンが含まれる分子の拡散係数)=(リン酸のプロトンの自己拡散係数)/(リン酸のリンの自己拡散係数)の値を示す。
【0044】
[3]融点の測定
合成したプロトン伝導性電解質のDSC測定を行い、融点を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
〔実施例2〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
実施例1と同様の方法により得た1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウム水酸化物水溶液と、3.1gの85%リン酸とを氷冷中で混合した。100℃で減圧乾燥して水を留去し、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン:リン酸二水素アニオン:リン酸分子=1:1:0.2(モル比))を得た。
【0046】
【化3】

【0047】
さらに、得られた粉末はアセトン−メタノール混合溶媒に溶かし、再結晶させた。
【0048】
[2]カチオンに対するリン酸のモル比の測定
再結晶前後のプロトン伝導性電解質の、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンに対するリン酸分子のモル比zを、イオンクロマトグラフィーにより算出した。その結果を表2に示す。
【0049】
[3]融点の測定
再結晶後に得られたプロトン伝導性電解質のDSC測定を行い、融点を測定した。DSCチャートを図2に、融点の測定結果を表2に示す。
【0050】
〔実施例3〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
実施例1と同様の方法により得た1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウム水酸化物水溶液と、3.5gの85%リン酸とを氷冷中で混合した。100℃で減圧乾燥して水を留去し、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン:リン酸二水素アニオン:リン酸分子=1:1:0.4(モル比))を得た。
【0051】
【化4】

【0052】
得られた粉末はアセトン−メタノール混合溶媒に溶かし、再結晶させた。
【0053】
[2]カチオンに対するリン酸のモル比の測定
再結晶前後のプロトン伝導性電解質の、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンに対するリン酸分子のモル比zを、イオンクロマトグラフィーにより算出した。その結果を表2に併せて示す。
【0054】
[3]融点の測定
再結晶後に得られたプロトン伝導性電解質のDSC測定を行い、融点を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0055】
〔比較例1〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
第1の比較例によるプロトン伝導性電解質として、2−エチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩を合成した。
【0056】
具体的には、2−エチルイミダゾールを蒸留水に溶解し、これに2−エチルイミダゾールと等モル量のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを冷却しながら添加し、攪拌した。
この反応生成物を100℃で予備乾燥した後、120℃で真空乾燥し次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(2−エチルイミダゾリウムカチオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン=1:1(モル比))を得た。
【0057】
【化5】

【0058】
なお、得られたプロトン伝導性電解質は、2−エチルイミダゾリウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンの塩からなり、プロトンドナー性分子もプロトンアクセプター性分子も含んでいないことにおいて、本発明のプロトン伝導性電解質と相違する。
【0059】
[2]プロトンの運動性評価
合成した上記プロトン伝導性電解質のプロトンの運動性を実施例1と同様の方法で算出した。
すなわち、得られたプロトン伝導性電解質では、2−エチルイミダゾリウムカチオンの窒素に結合したプロトンがプロトン伝導の伝導種として機能していると考えられることから、2−エチルイミダゾリウムカチオンの1位のNに結合したプロトンと、2位のエチル基のプロトン、それぞれ個別に自己拡散係数を測定した。そして、得られたスピンエコーシグナルの減衰直線の傾きからの1位のNに結合したプロトンと2位のエチル基のプロトンの自己拡散係数を算出した。
【0060】
図1に、(着目しているプロトンの拡散係数)/(着目しているプロトンが含まれる分子の拡散係数)=(1位のNに結合したプロトンの自己拡散係数)/(2位のエチル基のプロトン自己拡散係数)の値を併せて示す。
【0061】
〔比較例2〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
第2の比較例によるプロトン伝導性電解質として、イミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩+イミダゾール分子を合成した。
【0062】
具体的には、アルゴン雰囲気下でイミダゾールとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモル比が8:2となるように秤量し、混合した後、過熱融解させて均一にし、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(イミダゾリムカチオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン:イミダゾール分子=1:1:3(モル比))を得た。
【0063】
【化6】

【0064】
なお、上記プロトン伝導性電解質は、イミダゾール分子と、イミダゾリウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンの塩からなり、イミダゾール分子がプロトンアクセプター性を有する分子に相当する。しかし、塩を構成するアニオンは、分子中に水素結合アクセプター性の官能基として=O基を4つ、−N−基を1つそれぞれ有しているが、水素結合ドナー性官能基を有していない点において、本発明のプロトン伝導性電解質と相違する。
【0065】
[2]プロトンの運動性評価
合成した上記プロトン伝導性電解質のプロトンの運動性を実施例1と同様の方法で算出した。
すなわち、上記プロトン伝導性電解質では、イミダゾリウムカチオンの窒素に結合したプロトンがプロトン伝導の伝導種として機能していると考えられることから、イミダゾリウムカチオンのNに結合したプロトンと4位のプロトン、それぞれ個別に自己拡散係数を測定した(イミダゾリウムカチオンとイミダゾールは同一のシグナルとして観察された)。そして、得られたスピンエコーシグナルの減衰直線の傾きからの1位のNに結合したプロトンと4位のプロトンの自己拡散係数を算出した。
【0066】
図1に、(着目しているプロトンの拡散係数)/(着目しているプロトンが含まれる分子の拡散係数)=(Nに結合したプロトンの自己拡散係数)/(4位のプロトンの自己拡散係数)の値を併せて示す。
【0067】
〔比較例3〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
第3の比較例によるプロトン伝導性電解質として、イミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩+ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子を合成した。
【0068】
具体的には、アルゴン雰囲気下でイミダゾールとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをモル比が2:8となるように秤量し、混合した後、過熱融解させて均一にし、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(イミダゾリウムカチオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子=1:1:3(モル比))を得た。
【0069】
【化7】

【0070】
なお、得られたプロトン伝導性電解質は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子と、イミダゾリウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンの塩からなり、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子がプロトンドナー性を有する分子に相当する。しかし、塩を構成するアニオンは、分子中に水素結合アクセプター性の官能基として=O基を4つ、−N−基を1つ有しているものの、水素結合ドナー性官能基を有していない点において、本発明のプロトン伝導性電解質と相違する。
【0071】
[2]プロトンの運動性評価
合成した上記プロトン伝導性電解質のプロトンの運動性を実施例1と同様の方法で算出した。
すなわち、当該プロトン伝導性電解質においては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子の窒素に結合したプロトンがプロトン伝導の伝導種として機能していると考えられることから、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子の窒素に結合したプロトンとフルオロメチル基のフッ素、それぞれ個別に自己拡散係数を測定した。そして、得られたスピンエコーシグナルの減衰直線の傾きから窒素に結合したプロトンとフルオロメチル基のフッ素の自己拡散係数を算出した。
【0072】
図1に、(着目しているプロトンの拡散係数)/(着目しているプロトンが含まれる分子の拡散係数)=(窒素に結合したプロトンの自己拡散係数)/(フルオロメチル基のフッ素の自己拡散係数)の値を併せて示す。
【0073】
〔比較例4〕
[1]プロトン伝導性電解質の合成
実施例1と同様の方法により得た1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウム水酸化物水溶液と、2.5gの85%リン酸とを氷冷中で混合した。100℃で減圧乾燥して水を留去し、次の化学式で表されるプロトン伝導性電解質(1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン:リン酸二水素アニオン=1:1(モル比))を得た。
【0074】
【化8】

【0075】
得られた粉末はアセトン-メタノール混合溶媒に溶かし、再結晶させた。
【0076】
[2]カチオンに対するリン酸のモル比の測定
再結晶前後のプロトン伝導性電解質の、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンに対するリン酸分子のモル比zを、イオンクロマトグラフィーにより算出した。その結果を表2に併せて示す。
[3]融点の測定
再結晶後に得られたプロトン伝導性電解質のDSC測定を行い、融点を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
図1から判るように、実施例1のプロトン伝導性電解質においては、リン酸二水素アニオン及びリン酸分子のリンの自己拡散係数に比べ、リン酸二水素アニオンおよびリン酸分子のプロトンの自己拡散係数が3倍以上高く、プロトンが積極的に運動していることがわかる。
これは、着目しているリン酸二水素アニオン及びリン酸分子のプロトンがリン酸二水素アニオン及びリン酸分子としてプロトン伝導体中を動くだけでなく、リン酸二水素アニオン及びリン酸分子間をホッピングすることにより高い運動性を示している結果であると考えられる。
【0080】
一方で、比較例1のプロトン伝導性電解質では、着目している2−エチルイミダゾリウムカチオンの窒素に結合したプロトンが2位のエチル基のプロトンと同じ自己拡散係数を示し、プロトンは2−エチルイミダゾリウムカチオンとして動いており、積極的な運動をしていないことがわかる。
【0081】
さらに、比較例2のプロトン伝導性電解質においては、着目しているイミダゾリウムカチオン及びイミダゾール分子の窒素に結合したプロトンが4位のプロトンよりも僅かに高い自己拡散係数を示す(1.1倍)ことから、比較例1に比べて積極的なプロトンの運動性が得られている。しかし、実施例1に比べれば、その運動性が非常に小さいと言える。
同様に、比較例3のプロトン伝導性電解質も、着目しているビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド分子の窒素に結合したプロトンがフルオロメチル基のフッ素よりも僅かに高い自己拡散係数を示す(1.1倍)が、実施例1に比べその運動性は非常に小さい。
【0082】
本発明のプロトン伝導性電解質は、リン酸二水素アニオンを含み、このリン酸二水素アニオンが分子中に水素結合ドナー性官能基を2つ、水素結合アクセプター性官能基を2つ含むことから、リン酸二水素アニオン間で水素結合のネットワークを形成していると推察される。
さらに、実施例1では、リン酸がプロトンドナー性分子として機能し、リン酸二水素アニオンが形成するネットワーク中にプロトンを供与、またはネットワーク中のプロトンを受容することが可能となり、ネットワーク中でより積極的なプロトンの運動が起こり、上記の結果のとおり、高いプロトンの運動性が得られたと推察される。
【0083】
一方、比較例1のプロトン伝導性電解質では、プロトン伝導性電解質を構成するアニオン分子中に水素結合アクセプター性の官能基を5つ有するものの、水素結合ドナー性官能基を含まないため、プロトン伝導性電解質中に水素結合のネットワークが形成されていないと推察される。さらにプロトンドナー性あるいはアクセプター性の分子が存在していないため、高いプロトンの運動性は得られなかったと推察される。
さらに、比較例2及び比較例3のプロトン伝導性電解質では、比較例1と同様に水素結合のネットワークを形成することはできない。ただし、比較例2では、プロトンアクセプター性の分子、比較例3ではプロトンドナー性の分子が存在することで、実施例1に比べ僅かではあるが、プロトンの運動性が向上したと推察される。
【0084】
以上の結果より、本発明のプロトン伝導性電解質は、塩と、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子を含み、この塩のアニオンが、水素結合ドナー性の官能基と水素結合アクセプター性の官能基をそれぞれ1つ以上有することで高いプロトンの運動性を得ることができる。
【0085】
さらに、本発明の実施例2、3で得られた再結晶前後のプロトン伝導性電解質は、本発明の構成要件を満たしており、プロトン伝導性電解質として適用することができる。
また、表2のカチオンに対するリン酸分子のモル比zは、実施例2と実施例3を比較すると、仕込みのモル比が異なるにもかかわらず、再結晶により得られた結晶のモル比は同じ値になった。このことから、実施例2と実施例3で再結晶により得られた結晶は、同一のプロトン伝導性電解質であるといえる。
【0086】
ここで、実施例1、実施例2、実施例3および比較例4の融点(表1)を比較すると、プロトンドナー性を有する分子の増加により融点を低下させることができた。これは、プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子のモル比を変えることで、プロトン伝導性電解質の物性をコントロールすることができることを示している。
なお、分子のモル比を変えることによる物性のコントロールは、融点のコントロールに限定されるものではなく、密度、粘度、熱容量等などに適用することができる。
【0087】
このような手法を活用することで、プロトン伝導性電解質としての用途に限ることなく、電気化学デバイス用の電解質(リチウムイオン電池、リチウム金属電池、キャパシタ、色素増感太陽電池等)、反応溶媒、抽出溶媒、蒸留助剤、触媒、帯電防止剤、潤滑剤、磁性流体、ガス吸収剤、アクチュエータ、液晶材料、抗菌剤、光応答性材料等として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトンドナー性又はプロトンアクセプター性を有する分子と、塩とを含み、当該塩のアニオンが水素結合ドナーとして機能する官能基と、水素結合アクセプターとして機能する官能基をそれぞれ1つ以上有していることを特徴とするプロトン伝導性電解質。
【請求項2】
水素結合ドナーとして機能する官能基が−OH及び−NRH(式中のRは水素又は炭化水素基)の一方又は双方の官能基であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項3】
水素結合アクセプターとして機能する官能基が=O、=NR(式中のRは水素又は炭化水素基)、−O及び−NR3−(式中のRは水素又は炭化水素基)から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項4】
上記塩のアニオンが次の一般式で表される多価のオキソ酸から選ばれた少なくとも1種のオキソ酸由来のアニオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
HnXO
(式中のnは2〜4の整数であって、nが2のとき、XはS,Se,Cr,Te,Mo又はW、nが3のとき、XはP,As,V,Nb,Mn又はSb、nが4のとき、XはSi又はGeを示す。)
【請求項5】
上記アニオンがリン酸二水素アニオン及び硫酸水素アニオンの少なくとも1種のアニオンであることを特徴とする請求項4に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項6】
プロトンドナー性を有する分子がオキソ酸、イミド酸、チオ酸及びハロゲン化水素酸から成る群から選ばれた少なくとも1種の酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項7】
プロトンドナー性を有する分子が一般式HnXO(式中のnは2〜4の整数であって、nが2のとき、XはS,Se,Cr,Te,Mo又はW、nが3のとき、XはP,As,V,Nb,Mn又はSb、nが4のとき、XはSi又はGeを示す。)で表される多価のオキソ酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項8】
プロトンドナー性を有する分子がリン酸及び硫酸の少なくとも1種の分子であることを特徴とする請求項7に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項9】
プロトンアクセプター性を有する分子がその構造中に非共有電子対を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項10】
プロトンアクセプター性を有する分子がイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピロリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、アミン誘導体、ホスフィン誘導体、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドから成る群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項11】
上記塩のカチオンがイミダゾリウム誘導体、ベンズイミダゾリウム誘導体、ピリジニウム誘導体、ピロリジニウム誘導体、ピペリジニウム誘導体、ピペラジニウム誘導体、アンモニウム誘導体、ホスホニウム誘導体及びスルホニウム誘導体から成る群から選ばれた少なくとも1種の誘導体由来のカチオンであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項12】
上記カチオンがイミダゾリウム誘導体由来のカチオンであり、イミダゾリウム誘導体の1位又は3位の少なくとも一方がアリル基であることを特徴とする請求項11に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項13】
次式で表され、カチオンが1−アリル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン(Rは炭素数1〜20のアルキル基、又はアリル基)、アニオンがリン酸二水素アニオン、分子がリン酸であり、かつカチオンに対するリン酸のモル比zが0より大きく2以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
【化1】

【請求項14】
カチオンに対するリン酸のモル比zが1であることを特徴とする請求項13に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項15】
分子性の溶媒を含有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性電解質を用いたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項17】
請求項16に記載の電気化学セルを用いたことを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−232015(P2010−232015A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78316(P2009−78316)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,337)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (593)
【出願人】(000222691)東洋合成工業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】