説明

プロトン酸での二炭酸ジエステルの安定化

プロトン酸を使用することによって、長期間にわたり、熱および化学分解に対して二炭酸ジエステルを安定化することができる。二炭酸ジエステルとプロトン酸との混合物は、優れた食品保存剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二炭酸のジエステルの安定剤としてのプロトン酸の使用、二炭酸のジエステルとプロトン酸とを含有する混合物、および食品、飲料および材料を保存するためのこれらの混合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
二炭酸のジエステルは、とりわけ、食品の保存、特に飲料の保存に抗菌剤の成分として、発酵プロセスにおける酵素を非活性化するため、またはファインケミカルズまたはポリマーの合成に使用される。二炭酸のジエステルはさらに、例えばアミンを酸化するための触媒として、または合成のために、例えば保護基の導入において使用される。
【0003】
二炭酸のジエステルの安定性は、室温で、特に高温では比較的低いことが知られている。したがって、特に精製中、例えば蒸留による精製中、または比較的長い貯蔵中に、二炭酸のジエステルの分解が起こり得る。その分解によって、二炭酸のジエステルの質および純度が損なわれる。さらに、一般に分解は、不純物が多く存在するほど急速に進む。したがって、二炭酸のジエステルの高い純度および安定化が非常に望まれる。
【0004】
二炭酸のジエステルの熱安定性を向上させる方法が、先行技術から既に知られている。例えば、金属硫酸塩を添加することによりジアルキルジカーボネートを安定化することが提案されている((特許文献1)参照)。しかしながら、この方法の欠点は、ジアルキルジカーボネートとこれらの金属硫酸塩との混和性が、低いないし乏しいということである。
【0005】
さらに、ホウ素化合物を添加することによってジアルキルジカーボネートを安定化することが知られている((特許文献2)参照)。しかしながら、この場合の欠点は、対応するホウ素化合物の毒性である。食品における使用では、これらの添加は考慮に入れられない。
【0006】
さらに、カルボニル化合物およびヘテロ類似性(heteroanalogous)カルボニル化合物もまた、ジアルキルジカーボネートに不活性な溶媒中のジアルキルジカーボネートの溶液の貯蔵安定性を高める添加物として提案されている((特許文献3)参照)。しかしながら、通常の非プロトン性溶媒中のジアルキルジカーボネートの溶液は、食品への添加物としてほとんど考慮に入れられない。さらに、安定化の効果は、比較的高いパーセンテージ量の添加物を使用してのみ達成される。
【特許文献1】JP−A 48−4016
【特許文献2】JP−A 46−37810
【特許文献3】DE−A 3231397
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、熱分解(thermal breakdown)に対して有効に二炭酸のジエステルを保護するのに適している安定剤が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、現在、例えば貯蔵または蒸留による精製において起こり得る、熱および/または化学分解反応に対して、さまざまなプロトン酸を添加することによって、二炭酸のジエステルを安定化することができることが見出されている。
【0009】
したがって、本発明は、化学および/または熱分解反応に対して二炭酸のジエステルを安定化するための、少なくとも1種類のプロトン酸の使用に関する。
【0010】
二炭酸のジエステルは好ましくは、一般式(I)
【0011】
【化1】

(式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたはベンジル(それぞれが同一にまたは異なって、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって任意に一置換ないし多置換される)であり、または
ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換ないし多置換される、フェニルであり、
好ましくは、
およびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルまたはベンジルであり、
特に好ましくは、
およびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜CアルキルまたはCアルケニルまたはベンジルであり、
非常に特に好ましくは、
およびRは、互いに独立して、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、アリルまたはベンジルである)の化合物である。
【0012】
本発明の安定剤は、異なる酸強度のプロトン酸である。
【0013】
考慮に入れられる好ましいプロトン酸は、例えば、工業で頻繁に使用される無機酸およびその誘導体、さらに有機カルボン酸およびその誘導体である。
【0014】
特に好ましい無機酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸等である。これらの酸は通常、水溶液として使用される。
【0015】
挙げられる無機酸(硫酸および亜硫酸)の誘導体の例は、特にスルホン酸、スルフィン酸およびスルファミン酸である。スルホン酸の群からの特に好ましい誘導体は、例えば、アルキルスルホン酸、フェニルスルホン酸、メチルスルホン酸、フルオロスルホン酸、および例えば、米国特許第6646017号明細書によって開示されているような強酸性イオン交換体である。スルファミン酸の群からの特に好ましい誘導体は、例えばシクロヘキサンスルファミン酸である。
【0016】
挙げられる有機カルボン酸の例は、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族モノカルボン酸、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族ジカルボン酸およびポリカルボン酸である。挙げられる有機カルボン酸の誘導体の例は、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、アルデヒドおよびケト酸などのその置換生成物、カルボン酸エステル、カルボキサミド、カルボニトリルおよびヒドロキサム酸などのその誘導体、およびハロゲン化カルボニル、カルボン酸無水物およびケテンなどのその前駆体である。
【0017】
特に好ましい有機カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸または脂肪酸などのより長鎖の酸である。さらに、ポリカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸またはグルタル酸、さらにその誘導体、例えばメチルまたはエチルエステルなどのそのモノエステルの群の有機カルボン酸が特に好ましい。さらに、炭素主鎖上に更なるOH基をさらに有する、脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸およびポリカルボン酸誘導体、および例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸またはアスコルビン酸などのその誘導体の群からの有機カルボン酸が特に好ましい。この場合には、ポリカルボン酸は、部分アルキルエステルとして存在することができ、さらにOH基はアルキル化またはさらにはエステル化することができる。また、更なる有機基がOH官能基を介してカルボン酸に結合することができる。
【0018】
前記カルボン酸は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩などのその塩の形態で使用することもできる。
【0019】
上記のカルボン酸が不斉炭素原子を有する場合、純粋な鏡像異性体だけでなく、鏡像異性またはジアステレオ異性混合物も使用することができる。
【0020】
プロトン酸は、純物質として、あるいは水溶液またはアルコール溶液として使用することができる。化合物は予め、二炭酸のジエステルまたは他の適切な溶媒に均一に溶解することができる。プロトン酸は、表面上に固定化することもできる。
【0021】
さらに、当然のことながら、水の存在下でその場で(in situ)加水分解し、上記のプロトン酸を生成する、特定の反応性酸前駆体を利用することができる。これらの例は、例えば酸塩化物または無水物である。
【0022】
前記安定剤は一般に、二炭酸のジエステルまたはその混合物に対して、0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppm、特に好ましくは0.1〜3000ppm、非常に特に好ましくは0.1〜2000ppmの量で使用される。
【0023】
本発明による使用の結果として、一般に熱および化学分解反応に対して二炭酸のジエステルを安定化することが可能である。かかる分解反応は、例えば貯蔵中に起こる。
【0024】
本発明により安定化された二炭酸のジエステルは、向上した貯蔵安定性によって特徴付けられる。例えば、このように安定化された二炭酸のジエステルは、二炭酸のジエステルの分解が観察されることなく、数ヶ月間室温で保存することができる。
【0025】
本発明はさらに、1種以上の上記の式(I)の二炭酸のジエステルと、二炭酸のジエステルまたはその混合物に対して、一般に0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppm、特に好ましくは0.1〜3000ppm、非常に特に好ましくは0.1〜2000ppmの量の一般にかつ好ましくは上述のプロトン酸のうちの1種以上とを含有する混合物に関する。
【0026】
式(I)の二炭酸の少なくとも1種類のジエステル、特にジメチルジカーボネートおよび/またはジエチルジカーボネートと、好ましいおよび特に好ましいと記載される無機酸、その誘導体、および炭素主鎖上に更なるOH基をさらに有する、脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸およびポリカルボン酸、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸またはアスコルビン酸のシリーズからの1種以上のプロトン酸と、の混合物が非常に特に好ましい。
【0027】
本発明の混合物は、その中に存在する二炭酸のジエステルの分解が起こることなく、数ヶ月にわたって保存することができる。
【0028】
本発明の混合物は、例えば、細菌、真菌または酵母などの微生物による感染および/または分解に対して、食品、特に飲料を保存するのに著しく適している。
【0029】
本発明は同様に、食品および飲料を保存するための、本発明の混合物の使用に関する。
【0030】
本発明に従って安定化された二炭酸のジエステルは、例えば、ソフトドリンク、ビタミンドリンク、果汁飲料、茶飲料、アルコールまたは脱アルコールワイン飲料、フルーツポンチまたはビールなどの非炭酸飲料または炭酸飲料用の低温消毒剤として著しく適している。このために、従来どおり、飲料のパッキングに近い時間に合わせて、二炭酸のジエステルを10〜250ppmの量で添加する。飲料への混合は、特別な計量ポンプを使用して行われる。二炭酸のジエステルは、発酵性酵母、カビまたは発酵性細菌などの一連の微生物を制御するように働く。本明細書で挙げられる例は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、酵母菌属(Mycoderma)、ブレタノマイセス属(Brettanomyces spp)、乳酸短杆菌(Lactobacillus brevis)、乳酸杆菌(Lactobacillus buchneri)等である。
【0031】
さらに、二炭酸のジエステルの熱分解反応は、例えば二炭酸のジエステルの製造法の状況において起こるのと同様に、特に、実施される二炭酸のジエステルの精製(例えば抽出)または蒸留においても起こる。プロトン酸の本発明の使用によって、比較的低い損失および比較的高い純度で二炭酸のジエステルを蒸留することが可能である。
【0032】
したがって、本発明はさらに、上記の式(I)の1種以上の二炭酸のジエステルと、それぞれ二炭酸のジエステルまたはその混合物に対して、一般に0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppmの量の一般に好ましくはおよび特に好ましくは上述のプロトン酸のうちの1種以上とを混合し、続いて圧力5〜100ミリバール、好ましくは10〜50ミリバール、温度30〜120℃、好ましくは40〜90℃で混合物を蒸留することによる、蒸留による二炭酸のジエステルの精製方法に関する。産業において慣例の蒸留カラムが蒸留のために考慮される。
【0033】
蒸留における二炭酸のジエステルの収率は通常、>99%である。
【0034】
本発明はさらに、高純度の二炭酸のジエステルと比較して、プロトン濃度を高く、pH6.5未満、好ましくはpH6.0〜−5.0、特に好ましくはpH5.5〜0に設定することによる、二炭酸のジエステルの安定化に関する。これは例えば、0.01〜100000ppmの量のプロトン酸の本発明の添加によって達成することができる。
【0035】
プロトン濃度は、通常、その中に形成するオキソニウムイオンによって、水性媒体において測定される。したがって、従来の特徴としてpHが定義される。pHの測定は、例えば適切な塩基で滴定することによって、適切な試料調製後に行うことができる。滴定の終点は、指示薬色素の色の変化によって通常示される。しかしながら、例えば電気化学的方法によって、pHを測定することもできる。ここで通常、1ロッド電極と呼ばれるpH電極が使用される。
【0036】
さらに、含水率に応じて、有機液体中でpH電極を使用して、極めて再現可能にpHを測定することができることが多い。有機液体の場合には、プロトン濃度を測定する他の可能性は、試料調製を含む。例えば、二炭酸のジエステルの場合には、超純水で抽出した後にプロトン濃度を決定することができる。二炭酸のジエステルを有機液体として少量の水と混合し、よく混合し、相を分離する。水相のpHから、二炭酸のジエステルに初めから存在する酸の量を計算することができる。
【0037】
以下の実施例は、本発明の主題を説明するものであるが、それに限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
実施例1
表1〜4のデータに対応して、それぞれの場合に、電磁スターラーを備えた10ml丸底フラスコに、規定の高純度の二炭酸のジエステルの規定量およびそれぞれ指定される添加物を計り入れた。各場合に使用される添加物の正確な量は同様に、表に示される。
【0039】
丸底フラスコをセプタムでしっかりと閉じた。このセプタムには、テフロン(登録商標)(Teflon)チューブが取り付けられる開口部があり、このチューブは、一目盛0.1mlの垂直なシリコーン油充填50mlビュレット内に通される。ビュレットの目盛りで、二炭酸のジエステルが分解した結果発生する二酸化炭素の量を読み取ることができる。それぞれの実験に関して表1〜4に指定される一定温度の油浴(500rpmで攪拌)にフラスコを迅速に浸した。フラスコの浸漬の深さは2.0cmであった。
【0040】
それぞれ指定される時間の後、一般には1、2、5、10および15分後、気体の体積を読み取った。気体の体積は、COを発生する、二炭酸のジエステルの分解の程度の指数である。したがって、それは、試験される添加物による安定化度を逆比例して反映する。
【0041】
ほとんどの場合、再現性を確実にするために実験を繰り返した。各場合において、有意な再現性が存在した。
【0042】
その結果は添付の表から引き出すことができる。高純度二炭酸ジエステルは、観察時間において、二酸化炭素をほとんど放出しなかったが、少量のシリカゲル、二酸化マンガン、または擦り傷が付けられたガラス(scratched glass)などの単に粗い表面と接触させると、大幅に分解が促進された。少量の安定剤が、分解を有効に低減するのに十分であった。
【0043】
温度ストレス下にて二炭酸のジエステルが放出する気体分解生成物が少なくなるほど、真空下での蒸留が有利に進む。
【0044】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
実施例2
安定化と、pH電極によって直接決定されたpHとの関連を実験的に測定した。最初に、高純度ジメチルジカーボネートを異なる量の酸または塩基と混合した。次いで、メトラー・トレド社(Mettler Toledo)からのpH電極(1ロッド電極)Model Inlab 1010を使用して、既定のpHを直接測定した。予め、電極を緩衝液中で較正した。引き続き、実施例1の手順と同様な手法で、pHに応じて、不安定性を実験的に決定した。二酸化炭素発生の各値が表に示されている。プロトン含有量と安定性との間に明らかな相関性が見られる。同様に、超純水で抽出した後に、二炭酸のジエステル中に存在する無機酸の量を決定した。このために、少量の高純度水でジメチルジカーボネートを抽出し、相分離前または後に、ガラス電極を使用して、この水中でpHを測定した。その後、このpHを元のジカーボネート体積に変換した。この手順によって、同一の値が得られ、pH電極のドリフトが少なくなった。pHが二酸化炭素による影響を受けないようにするために、pH決定中、溶液をアルゴンでフラッシュした。
【0049】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学および熱分解反応に対して二炭酸のジエステルを安定化するための、プロトン酸のシリーズからの少なくとも1種類の化合物の使用。
【請求項2】
前記プロトン酸が、無機酸およびその誘導体、さらに、有機カルボン酸およびその誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記無機酸が、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記無機酸の誘導体が、アルキルスルホン酸、フェニルスルホン酸、メチルスルホン酸、フルオロスルホン酸および強酸性イオン交換体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
前記有機カルボン酸が、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族モノカルボン酸、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族ジカルボン酸およびポリカルボン酸およびその誘導体、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボキサミド、カルボニトリル、ヒドロキサム酸、ケテン、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、アルデヒドおよびケト酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記有機カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、より長鎖の飽和および不飽和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸またはアスコルビン酸あるいはその誘導体であることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記の二炭酸のジエステルが、一般式
【化1】

(式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたはベンジル(それぞれが同一にまたは異なって、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、任意に一置換ないし多置換される)であり、または
ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換ないし多置換される、フェニルである)の化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記二炭酸のジエステルが、ジメチルジカーボネートまたはジエチルジカーボネートであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記プロトン酸またはその混合物が、ジアルキルジカーボネートまたはその混合物に対して0.01〜100000ppmの量で使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
分解反応に対する前記安定化が、処理、抽出、蒸留または貯蔵中にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
一般式
【化2】

(式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたはベンジル(それぞれが同一にまたは異なって、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、任意に一置換ないし多置換される)であり、または
ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換ないし多置換される、フェニルである)の1種以上の二炭酸のジエステルと、
ジアルキルジカーボネートまたはその混合物の量に対して0.01〜100000ppmの量の1種以上のプロトン酸と、を含有する混合物。
【請求項12】
前記プロトン酸が、無機酸およびその誘導体、さらに、有機カルボン酸およびその誘導体であることを特徴とする、請求項11に記載の混合物。
【請求項13】
前記無機酸およびその誘導体が、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、スルホン酸または強酸性イオン交換体であることを特徴とする、請求項11または12に記載の混合物。
【請求項14】
前記有機カルボン酸およびその誘導体が、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族モノカルボン酸、飽和および一価不飽和または多価不飽和脂肪族ジカルボン酸およびポリカルボン酸およびその誘導体、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボキサミド、カルボニトリル、ヒドロキサム酸、ケテン、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、アルデヒドおよびケト酸であることを特徴とする、請求項11または12に記載の混合物。
【請求項15】
前記シリーズのジメチルジカーボネートおよびジエチルジカーボネートからの少なくとも1種類の化合物、ならびに前記シリーズの塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、より長鎖の飽和および不飽和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸またはアスコルビン酸からの少なくとも1種類のプロトン酸あるいはその誘導体であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項16】
食品、飲料および材料を保存するための、請求項11〜15のいずれか一項に記載の混合物の使用。
【請求項17】
一般式
【化3】

(式中、RおよびRが、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたはベンジル(それぞれが同一にまたは異なってハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、任意に一置換ないし多置換される)であり、または
ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換ないし多置換される、フェニルである)の1種以上のジアルキルジカーボネートが、ジアルキルジカーボネートまたはその混合物に対して0.01〜100000ppmの量で1種以上のプロトン酸と混合され、その混合物が続いて蒸留されることを特徴とする、ジアルキルジカーボネートの蒸留による精製方法。
【請求項18】
前記プロトン酸が、無機酸およびその誘導体、さらに、有機カルボン酸およびその誘導体であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロトン酸が、前記シリーズの塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、スルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、より長鎖の飽和および不飽和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸またはアスコルビン酸のプロトン酸あるいはその誘導体であることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
蒸留が、圧力5〜100ミリバールおよび温度30〜120℃で行われることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
6.5未満のpHを有する、一般式
【化4】

(式中、RおよびRが、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたはベンジル(それぞれが同一にまたは異なって、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、任意に一置換ないし多置換される)であり、または
ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換ないし多置換される、フェニルである)の二炭酸のジエステル。

【公表番号】特表2009−534329(P2009−534329A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505751(P2009−505751)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003202
【国際公開番号】WO2007/121859
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】