説明

プロバイオティクスおよびプレバイオティクス構成要素ならびに無機塩をラクトフェリンとともに含む組成物

本発明は、腸の結果に伴って投与されたプロバイオティクス構成要素の正しく有効なコロニー形成を行って、腸の健康を維持および/または回復させ、そしてストレス、誤った食習慣および抗生物質治療によって引き起こされる消化管の一般的な腸内毒素症(dysbioses)の結果を防止することを伴う、プロバイオティクスおよびプレバイオティクス構成要素、無機塩、ラクトフェリン、および場合によって酵母菌を含む、組成物に関する。前記組成物はまた、付随する抗炎症および免疫調節作用も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイオティクス、より具体的にはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ならびにプレバイオティクス物質、無機塩、およびラクトフェリンを含むキャリアー物質を含み、プロバイオティクス種の生存が改善および/または増進されているだけでなく、ストレス、誤った食習慣、抗生物質治療、疾病等によって引き起こされる消化管の一般的な腸内毒素症(dysybioses)の腸結果について投与されたプロバイオティクス構成要素の有効なコロニー形成を行う組成物に関する。前記組成物はまた、付随する抗炎症および免疫調節作用も有する。さらに、本発明は、本明細書記載の組成物を用いて、プロバイオティクス生物の生存および生存度を増進および/または改善するための方法にも関する。
【0002】
本発明の組成物を、栄養剤および製薬等級の製品の調製に用いてもよい。
【背景技術】
【0003】
消費者は、環境、健康および栄養の維持に必要でありうる問題をますます意識してきている。それに応じて、科学研究は、食餌、ストレス、および現代の医療行為(例えば抗生物質および放射線療法)がヒトの健康を脅かす際に果たしうる役割に焦点を当ててきている。特に、人口動態がより高齢者社会へと向かっているため、胃腸管(GIT)感染、便秘、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)−−クローン病および潰瘍性大腸炎、食物アレルギー、抗生物質誘導性下痢、心臓血管疾患、ならびに特定の癌(例えば結腸直腸癌)などの、ミクロフロラの欠損または障害によって引き起こされうる、疾病発生率が増加してきている。
【0004】
近年、機能性食品(生理機能および栄養に正の影響をもたらすようにターゲティングされた方式で、体の機能に影響を及ぼす食品)、特にプロバイオティクス含有食品の商業的製造および販売が、よく確立された日本の隙間産業から世界的な市場に広がってきている。ヒト起源のいくつかのプロバイオティクス細菌が、現在、商業的に利用されているが、こうした製品の潜在的な適用に関してだけでなく、その有効性をどのように改善するかに関してもまた、科学はなお発展途上である。
【0005】
プロバイオティクスは、腸微生物バランスを改善することによって、宿主に有益に影響を及ぼす生存微生物食品補助剤として、またはより広く、特定の数で摂取された場合、本来の基本的栄養に勝る健康上の効果を発揮する生存微生物と定義されてきている。多様な微生物、特にラクトバチルス属(Lactobacillus)およびビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の種のカクテルは、健康を促進するために、発酵乳製品で伝統的に使用されてきた。しかし、有効であるためには、前記プロバイオティクスは製造プロセシング、パッケージングおよび保存条件を生き延びるだけでなく、プロバイオティクス物質が生存し続けて正の健康上の効果を有するように、胃腸管を生存して通過しなければならない。
【0006】
ヒトの進化の歴史は、流行病に関してだけではなく、細菌に影響を受けてきた。より明らかでなく、そしてより見えにくい影響は、共生フロラ、特にヒトの腸に常在するものが、主要な「保護」および「教育的」役割(第一の役割は全身に対して、そして第二の役割は免疫系に対して行われる)を行い、そして疾患に対して個体を常に防御することである。実際によく知られるように、正常条件下では、体の皮膚および粘膜の多くには、しばしば組織特異的な、多様な微生物フロラが「住み着いて」いる。例えば、腸(現在までに、500系統を下らないものが同定されてきている)、特に大腸における主な微生物は、バクテロイデス属(Bacteroides)種、クロストリジウム属(Clostridium)種、フソバクテリウム属(Fusobacterium)種、クレブシエラ属(Klebsiella)種、スタフィロコッカス属(Staphylococci)、酵母および大腸菌(Escherichia coli)である。この共生微生物フロラは2つの分類:ほぼ常に存在しており、そして改変された場合、迅速に回復可能な「常在」フロラ;および、常在微生物または宿主防御機構と競合する能力が欠けているため、宿主に短期間コロニー形成可能である「一過性」フロラに分けることも可能である。一過性フロラには、ときに、潜在的に病原性の微生物も含まれる。フロラの正確な組成は、微生物起源の要因および宿主に特異的な要因によって影響を受ける。しかし、これらの後者の要因(年齢、栄養レベル、ホルモンおよび疾患)は修飾が困難であるため、分析は前者に焦点を置くであろう。
【0007】
共生フロラの組成に影響を及ぼす重要な微生物要因は、細菌が上皮細胞に接着する能力である。いくつかの細菌は、特定の上皮細胞に対する顕著な向性(アフィニティ)を提示する。次いで、正常フロラが、細胞表面上の受容体に関して競合することによって、潜在的に病原性の微生物に干渉することも可能である。共生フロラはまた、他の細菌(通常、同じ種のもの)の増殖を阻害する物質であるバクテリオシンを産生することによって、または短鎖脂肪酸の産生を通じて酸性環境を提供することによって、または同じ栄養素に関して競合することによって、病原性微生物に干渉することも可能である。他の有用な機構は、交差反応性を持つ天然抗体を産生する刺激、またはクリアランス機構の刺激である。しかし、後者ははるかにより重要でない。
【0008】
これらの機構により、正常フロラは、病原性微生物による宿主表面のコロニー形成に対して、有効なバリアを形成する。これは、「コロニー形成耐性」として知られる。
したがって容易に推論可能であるように、胃腸生態系に対するこれらの微生物要因の影響を減少させるいかなる現象も、個体の健康状態に関する深刻な問題につながりうる。例えば、広域スペクトル抗生物質での治療は、用いた抗微生物剤に感受性である胃腸フロラの共生細菌すべてを排除する。この場合、コロニー形成耐性が減少し、そして潜在的に致死性の微生物が粘膜にコロニー形成することが可能になる。治療を中断すると、常在フロラは、明らかに、時間とともに回復可能である。しかし、不運なことに、共生フロラの99%を占めるがより緩慢に増殖する嫌気性グラム陰性細菌よりも、好気性グラム陰性細菌がより迅速に増殖し、そしてより速やかに粘膜にコロニー形成する。免疫防御が部分的にであっても損なわれている患者においては、このアンバランスは、グラム陰性細菌血症を引き起こしうる。
【0009】
広域スペクトル抗生物質による正常フロラの抑制に関連する他のありうる結果には、真菌症の出現を伴う、酵母の過剰な増殖、または嫌気性グラム陰性細菌、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の過剰な増殖が含まれ、該細菌は、不運なことに、比較的抗生物質耐性である。該細菌が存在すると、下痢から大腸炎までの範囲の、一連の非常に一般的な障害を導きうる。
【0010】
免疫系およびその機能は、数千年の発展の結果であり、特に胃腸レベルでの微生物界との絶えず続く相互作用によって、日々、決定される。
過剰な衛生または過剰な抗生物質の使用で得られる無菌状態は、特に、現在の生活の優れた状態(近接する過去に比較して)を考慮すると、個体健康に関して優れた戦略には当たらないことが科学的に証明されてきている。部分的無菌状態でさえ損傷を引き起こしうることが周知であり、すなわち、食物不耐性、アレルギーおよび自己免疫疾患が引き起こされうる。これらの問題は、共生フロラおよび免疫系間の接触が欠けていることから生じる。この毎日の接触を通じて、共生フロラは免疫系に、「自己」および「非自己」間をどのように区別するかを教える。大量の疫学的証拠(および例えば微生物不含動物で行われる実験的試験)によってこの理論が立証される。
【0011】
50年代および60年代以来、経済的に発展した国々において、感染性疾患による死亡率が減少する(より多くの抗生物質が入手可能になったことによる)のと並行して、食物不耐性およびアレルギーの割合(最大40%)、ならびに多発性硬化症、エリテマトーデスおよび関節リウマチなどの自己免疫障害の割合(最大30%)の有意な増加が観察されてきている。これらの増加は、抗生物質の誤った使用、およびますますストレスを増すライフスタイルによる、そしてまた乳児の場合、母乳保育の減少による、胃腸共生フロラの質および量の実質的な変化の結果である。実際、母乳で育てられた小児は、いわゆる「人工」ミルクを与えられた小児より、食物不耐性およびアレルギーがより少ないと、しばしば報告されてきている。さらにより最近、多発性硬化症(自己免疫疾患)に関しても同じ相関が報告された。逆に、ライフスタイルが原始的である部族環境(アフリカ、インドまたはオーストラリア内陸部の一部)に住む個体の死亡率分析によって、アレルギーおよび自己免疫などの疾患はほぼ完全に存在しないことが示されている(しかし、感染性疾患は明らかに高率である)。
【0012】
胃腸共生フロラの質および量を改変する、抗生物質治療、ストレスおよび母乳保育の欠如は、共生フロラが免疫系と接触する機会を減少させる。この接触の結果、免疫系の細胞、特に1型および2型Tヘルパーリンパ球は、食物抗原および無害な非食物抗原(花粉など)、または該リンパ球が属する体のタンパク質(したがって自己免疫疾患を防止する)を許容する(すなわち反応しない)ように「教え」られる。
【0013】
したがって、各個体の現在および将来の健康のための共生フロラの並外れた重要性が明らかである。しかし、ヒトは共生フロラとともに生まれるのではない。逆に、誕生時には、胃腸管は無菌である。そのコロニー形成は、普通分娩の場合には、母親の膣および肛門のフロラによって、または帝王切開の場合には子宮の外の環境に曝露されることによって、誕生した瞬間に始まり、そしてどちらの場合も、与えられるミルクの種類に、そして母性/環境要因によって、続いて影響を受ける。新生児期後、健康な個体の胃腸共生フロラは少なくとも1018の細菌からなり、このうち99%が約30〜40種に属する。
【0014】
したがって、このフロラは、嫌気性微生物(ビフィドバクテリウム、クロストリジウム、バクテロイデス、真正細菌およびグラム陽性球菌)および好気性微生物(ラクトバチルス、ストレプトコッカス、スタフィロコッカスおよび大腸菌群)からなる。しかし、これらの量は胃腸軸に沿って均等に分布していない:細菌含量は、胃で比較的少ない(グラム当たり100万未満)が、この量は、回腸で実質的に増加し(1億)、そして結腸で非常に増加する(1000億)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、当該技術分野には、製造プロセシング条件を生き延びるだけでなく、次いで、胃腸管で生存可能であり、それによって生存プロバイオティクス物質を、必要な宿主に送達することが可能な、プロバイオティクス物質を含有する組成物に関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
最も広い側面において、本発明は、プロバイオティクス組成物であって:a)ビフィドバクテリウム・ロンガム、ならびにラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)およびラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)からなる細菌群より選択される細菌の少なくとも1種を含む、1またはそれより多くのプロバイオティクス構成要素;ならびにb)キャリアー組成物であって:1)1またはそれより多くのプレバイオティクス構成要素;2)ラクトフェリン;3)1またはそれより多くの無機塩;および場合によって4)グルタチオンを含む前記キャリアー組成物を含む、前記プロバイオティクス組成物を提供する。
【0017】
本発明の第一の側面において、ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガムR175(「Rosell 175」)であり、ラクトバチルス・ヘルベティカスがラクトバチルス・ヘルベティカスR52(「Rosell 52」)であり;ラクトバチルス・ラムノサスがラクトバチルス・ラムノサスR11(「Rosell 11」)であり、そしてラクトバチルス・プランタルムがラクトバチルス・プランタルムR1012(「Rosell 1012」)であることが好ましい。ラクトバチルス・ヘルベティカスR52はまた、産業界において、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)種としても知られ、そしてしたがって本明細書において、ラクトバチルス・ヘルベティカスR52はまた、ラクトバチルス・アシドフィルスR52としても知られうる。
【0018】
好ましい態様において、1またはそれより多くのプレバイオティクス構成要素は、イヌリンおよびフルクトースである。別の好ましい態様において、1またはそれより多くの無機塩は、亜鉛、マグネシウム、カリウムおよび銅からなる群より選択される。最も好ましい態様において、無機塩は、グルコン酸亜鉛、グルコン酸マグネシウムおよびクエン酸カリウムを含む。
【0019】
本発明の側面は、プロバイオティクス組成物であって:a)プロバイオティクス構成要素混合物であって、ビフィドバクテリウム・ロンガム500億CFU/g;ラクトバチルス・ヘルベティカス1500億CFU/g;およびラクトバチルス・プランタルム1500億CFU/gを含む、前記プロバイオティクス構成要素混合物;ならびにb)キャリアーであって:1)総キャリアー組成物の約80%を含むプレバイオティクス混合物;2)総キャリアー組成物の約0〜約10%の量のラクトフェリン;3)マグネシウム、カリウムおよび亜鉛塩からなる群より選択される無機塩であって、マグネシウムがキャリアー組成物中、約0〜約100%の量で存在し;カリウムがキャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在し;そして亜鉛がキャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在する、前記無機塩;および4)キャリアー組成物の約0〜約20%の量で存在するグルタチオンを含む、前記キャリアーを含む、前記プロバイオティクス組成物を提供する。
【0020】
本発明のさらに別の側面において、プロバイオティクス組成物であって、a)ビフィドバクテリウム・ロンガムR175およびラクトバチルス・ラムノサスR11からなるプロバイオティクス構成要素混合物;b)イヌリンおよびフルクトースを含むプレバイオティクス構成要素;c)ラクトフェリン;d)マグネシウムおよび亜鉛塩からなる無機塩混合物;ならびにe)サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)を含む、前記プロバイオティクス組成物を提供する。
【0021】
本発明のさらにさらなる側面において、本発明は、腸の健康の維持および/または回復のため、ならびに哺乳動物において、いかなる病因の腸内毒素症(dysbioses)も防止するための、経口投与用の配合物の調製のための、プロバイオティクス含有組成物の使用法を提供する。
【0022】
本発明のさらにさらなる側面において、本発明は、ビフィドバクテリウム・ロンガム細菌の生存性を改善する方法であって:ビフィドバクテリウム・ロンガムと、ラクトバチルス・ヘルベティカスR52およびラクトバチルス・プランタルムR1012を混合する工程を含み、ビフィドバクテリウム属の生存が改善する、前記方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
成人において、抗生物質治療、ストレス、食事のアンバランスおよび疾患(特に胃腸障害)は、有益な共生フロラの質および量を改変する。その結果、迅速で効率的な再コロニー形成プロセスを達成するのに問題が生じる。このプロセスは、プロバイオティクスによって有意に促進される。
【0024】
現在、プロバイオティクス構成要素の特定の混合物の組み合わせ、より具体的には、(A)1またはそれより多くのプレバイオティクス構成要素、(B)ラクトフェリン、および(C)1またはそれより多くの無機塩、および場合によって酵母菌を含むキャリアー中で混合した際のビフィドバクテリウム・ロンガムが、ビフィドバクテリウム・ロンガム種の生存改善を有し、それとともに、かなりの健康改善作用を行い、腸の健康を維持および/または回復させ、ストレスの結果を管理し、そして抗炎症および免疫調節作用を実行することが見出されてきている。より具体的には、本発明の組成物は、胃腸管の通過に際して、プロバイオティクス構成要素の生存の増進および/または改善を示す。
【0025】
本発明記載の組成物は、したがって、かなりのシンバイオティクス的価値(プレバイオシスによって補助されるプロバイオティクス)によって特徴付けられ、強力な抗炎症および免疫調節構成要素を含み、そしてまた、液体−塩バランスの変化に取り組むことも可能である。これらはその結果、腸の健康を顕著に改善/回復させ、そしてまた、倦怠感、感染および一般的なストレス(特に肉体的ストレスおよび環境ストレス)の結果すべてを防止する際に好ましい影響を有する。
【0026】
少なくともいくつかのプロバイオティクス株に関して、死んだプロバイオティクスが臨床的利益を誘発しうることが示されてきているが、死んだ細菌に関するヒトにおける臨床的転帰は、生存細胞に関するほど頑強ではない。したがって、望ましい臨床的効果を誘発可能なプロバイオティクス製品を産生するため、プロバイオティクス含有組成物が上部胃腸管を通過する際、プロバイオティクスの最高の累積生存パーセントを有することを確実にする必要がある。
【0027】
本発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガムを、単独で、または1またはそれより多くのプロバイオティクス構成要素、例えばラクトバチルス・ヘルベティカス、および/またはラクトバチルス・プランタルムと組み合わせて、プレバイオティクス、好ましくはイヌリン、フルクトースおよび/またはFOS;マグネシウム、亜鉛および/またはカリウムを含む無機塩;ラクトフェリン;を含むキャリアーと組み合わせると;ビフィドバクテリウム・ロンガムの消化管を通じた生存が増加し、そしてしたがって組成物がより大きい有効性を示すことを見出した。
【0028】
プロバイオティクスは、伝統的に、微生物バランスを改善することによって、宿主の健康に好ましい影響を及ぼす、(好ましくは)生存微生物を含有する栄養補助剤として定義されてきている。プロバイオティクス生物はまた:
−ヒト腸フロラの正常構成要素、またはいかなる場合であっても、その生息地に容易に適応するものであり;
−胃バリアを横断可能であり、胆汁酸および膵臓酵素の作用に耐え;
−腸上皮への特異的接着が可能であり;
−臨床業務において使用が容易である;
ものでなければならない。
【0029】
以下のプロバイオティクス細菌は上記の定義を満たす:
−乳酸産生細菌一般;
−ラクトバチルス(アシドフィルス、ヘルベティカス、ブルガリカス(bulgaricus)、プランタルム、カゼイ(casei)、ラムノサス、ラクティス(lactis)およびロイテリ(reuteri));
−ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus);
−エンテロコッカス・ファシウム(Enterococcus faecium);
−ビフィドバクテリウム・ビフィダム(bifidum)およびロンガム。
【0030】
本発明記載のプロバイオティクス構成要素の混合物は:
−ビフィドバクテリウム・ロンガム
−ラクトバチルス・ヘルベティカス
−ラクトバチルス・アシドフィルス
−ラクトバチルス・ラムノサス、および
−ラクトバチルス・プランタルム
からなる細菌群より選択される細菌の少なくとも2種を含む。
【0031】
本発明の好ましい態様において、プロバイオティクス組成物は、ビフィドバクテリウム・ロンガムを含む。
これらの生存し、そして活力に満ちた微生物剤は、迅速なコロニー形成が可能であり、これはまもなく、その機能の実行を導く:
1)潜在的に病原性の集団に対する直接拮抗による保護(上皮への接着の阻害;バクテリオシンの産生;栄養および基質に関する競合;好ましくないpH条件および酸化還元微小環境の生成);
2)免疫系の刺激および教育(マクロファージ活性化、ナチュラルキラー細胞のブースト、インターフェロン産生の増加、ならびに1型および2型Tヘルパー集団のバランシング);
3)乳酸塩、プロピオン酸塩および酪酸塩の放出による、結腸環境の酸性化。
【0032】
科学界では、近年、シンバイオティクス(プロバイオティクスおよびプレバイオティクス両方を含有する産物)の発展のための最適な候補であるようである株、すなわちラクトバチルス(アシドフィルス、ヘルベティカス、プランタルムおよびラムノサス)およびビフィドバクテリウムの研究および特徴付けに関心が集まってきている。これらの異なる株は、多様な特性:胃および胆管バリアを有効に横断する能力;便秘およびラクトース不耐性に関連する症状の改善;下痢(ウイルス病因を持つタイプを含む)の減弱;バクテリオシンの産生;サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、エルシニア属(Yersinia)、カンジダ属(Candida)およびコリ属(Coli)などの病原体を阻害する能力;免疫調節、および多くの他の特性を示す。
【0033】
ラクトバチルス属は、グラム陽性原核生物である乳酸細菌のグループに属する。これらは、54%未満であるグアニンおよびシトシン含量に基づいて、ビフィドバクテリウムから容易に区別される(ビフィドバクテリウムでは、前記含量は54%を超える)。この属は、80近い種を含み、これらはカタラーゼ陰性であり、不動であり、無胞子であり、チトクロム酸化酵素陰性であり、非ゼラチン加水分解および非インドール産生性であり、糖分解および微好気性代謝を伴う。これらはまた、特定の栄養要求性、すなわち可溶性炭水化物、遊離アミノ酸、ペプトン、脂肪酸およびそのエステル、塩、核酸およびビタミンもまた有する。これらはまた、偏性同種発酵(homofermenting)、偏性異種発酵(heterofermenting)および通性異種発酵種として発酵タイプに基づいても分類される。
【0034】
特に、ラムノサス種の乳酸細菌は、元来、ヒト腸起源の株から同定されそして選択された。これらは、他の乳酸産生細菌と部分的にしか共有しない、異なる特定の特性を有する:
1)免疫学的見地から、これらはTおよびBリンパ球反応、ならびにCD56+細胞の「ナチュラルキラー」(NK)反応を改善する;
2)臨床的観点から、これらの使用は、多様な型の下痢(ロタウイルス、旅行者下痢症(travellers’ diarrhea)、抗生物質治療によって引き起こされる下痢、およびクロストリジウム・ディフィシレでの重複感染によって引き起こされる再発性下痢を含む)と戦う有効な方法である;
3)これらはまた、病原体による上気道のコロニー形成を減少させるとも報告される。
【0035】
コロニー形成に関して、これらは胃酸性、胆汁および大腸に典型的な高いpH値に対して耐性であることが知られ、大腸では、コロニー形成後、環境状態に好ましく影響を及ぼすことによって、ビフィドバクテリウムの増殖を促進する。
【0036】
ビフィドバクテリウム属は、28の種を含み、そして以下の一般的な特性を提示する:グラム陽性、嫌気性、不動、無胞子、カタラーゼ陰性、非尿酸性、多形性および酢酸産生性(ならびに乳酸産生性)。これらはまた、窒素供給源としてアンモニウム塩を使用し、そして多くのビタミンを合成可能である。最後に、その発生は、ビフィズス菌特異的増殖因子(bifidogenic factors)(オリゴ糖およびペプトン)の存在によって影響を受ける。
【0037】
すでに記載されるように、通過およびコロニー形成中、ラクトバチルスおよびビフィドバクテリウムは、ラクトース不耐性の減少;腸運動性の改善;血清コレステロールの減少;タンパク質分解酵素、タンパク質およびビタミンの集積;栄養素吸収の制御;腸上皮の浸透性の再活性化;ならびに高齢患者の状態の改善;などの、生理学的と同定可能な一連の作用を実行する。
【0038】
これらはまた、「非生理学的」影響、例えば抗下痢効果(乳児性下痢、旅行者下痢および抗生物質の使用と関連する下痢);防腐効果(バクテリオシン、乳酸および酢酸産生によって、そしてアセチル、酢酸アルデヒド、過酸化水素および二酸化炭素の放出によって);抗腫瘍効果(大腸および結腸に主に位置する);および免疫調節効果(これらの株で治療した患者は、より優れたNK細胞、抗体、食細胞およびサイトカイン反応を有する)によっても特徴付けられる。
【0039】
さらに、これらの多様な株によって行われる一連の生物学的活性、例えば非アレルギー活性(食物領域中)、抗炎症活性(腸領域中)、酸化防止活性(アテローム性動脈硬化領域に対する好ましい影響)、および肝臓保護活性(特に、アルコール消費と関連する領域中)は、議論の的であり、そしてまもなくさらなる研究によって確認されるはずである。
【0040】
本発明の好ましい側面にしたがって、プロバイオティクス構成要素混合物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ならびにラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ラムノサスおよびラクトバチルス・プランタルムからなる細菌群より選択される少なくとも1つのさらなる種を含む。
【0041】
プロバイオティクス構成要素の前述の混合物において、ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガムR175(「Rosell 175」)であり、ラクトバチルス・ヘルベティカスがラクトバチルス・ヘルベティカスR52(「Rosell 52」)であり;ラクトバチルス・ラムノサスがラクトバチルス・ラムノサスR11(「Rosell 11」)であり、そしてラクトバチルス・プランタルムがラクトバチルス・プランタルムR1012(「Rosell 1012」)であることが好ましい。ラクトバチルス・ヘルベティカスRosell52はまた、産業において、ラクトバチルス・アシドフィルス種としても知られ、そしてしたがって本明細書において、ラクトバチルス・ヘルベティカスR52はまた、ラクトバチルス・アシドフィルスR52としても知られうる。
【0042】
ビフィドバクテリウム・ロンガムR175は、Institut Rosell Inc.(Lallemand)、カナダ・ケベック州モントリオールから、製品コード75119のもとで入手可能である。
【0043】
ビフィドバクテリウム・ロンガムR175は、狭義の嫌気性菌であり、多様な形状のグラム陽性ロッドからなり、分離されているかまたは対になっている(1〜1.5μmx6μm)。この菌は、選択培地上に小さい白色コロニーを形成する。ビフィドバクテリウム・ロンガムR175は、異種発酵性であり、そして発酵中、l−乳酸および酢酸の両方を産生する。この菌はカタラーゼ陰性である。実験室条件下では、ビフィドバクテリウム・ロンガムR175は、嫌気性条件下、37℃で、乳酸細菌用に商業的に入手可能な培地(RCM)中でよく増殖する。特に、以下の糖上で増殖可能である(37℃で48時間後のAPI 50CH結果):
【0044】
【表1】

【0045】
さらに、ビフィドバクテリウム・ロンガムR175は、以下の抗生物質耐性プロフィールを示す:
【0046】
【表2】

【0047】
ラクトバチルス・ヘルベティカスR52は、番号I−1722としてCNCM(Institut Pasteur)に登録された。
ラクトバチルス・ラムノサスR11は、番号I−1720としてCNMC(Institut Pasteur)に、そしてさらに、番号990411のもとにカナダ食品検査庁に登録された。
【0048】
ラクトバチルス・プランタルムR1012は、番号MA 18/5UとしてCNMC(Institut Pasteur)に登録された。
プロバイオティクス構成要素の特に好ましい混合物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガムR175を、ラクトバチルス属、好ましくはラクトバチルス・ヘルベティカスR52と組み合わせて、そして/またはラクトバチルス・プランタルム、好ましくはラクトバチルス・プランタルムR1012と組み合わせて含む。
【0049】
上に同定されるプロバイオティクスの特定の混合物は、本発明の目的のために理想的な、安定性、接着、コロニー形成および増殖能の特性を提示する。
その好ましい側面にしたがって、本発明記載の組成物は、以下の量のプロバイオティクス混合物を構成する細菌種を含有するであろう:
−ビフィドバクテリウム・ロンガム 500億CFU/g;
−ラクトバチルス・ヘルベティカス 1500億CFU/g;
−ラクトバチルス・プランタルム 1500億CFU/g。
【0050】
本発明のさらに別の側面において、プロバイオティクス構成要素の好ましい混合物は、ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびラクトバチルス・ラムノサスを含む。
上に同定されるプロバイオティクスの特定の混合物は、本発明の目的のために理想的な、安定性、接着、コロニー形成および増殖能の特性を提示する。
【0051】
本発明の好ましい側面において、本発明の組成物は、以下の量のプロバイオティクス混合物を構成する細菌種を含有するであろう:
−ビフィドバクテリウム・ロンガム 500億CFU/g;
−ラクトバチルス・ラムノサス 1500億CFU/g。
【0052】
好ましい態様において、プロバイオティクス構成要素混合物は、ビフィドバクテリウム・ロンガム、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガムR175、およびラクトバチルス・ラムノサス、好ましくはラクトバチルス・ラムノサスR11を含む。
【0053】
プロバイオティクス種の生存を増進および/または改善するため、プロバイオティクス種が、プロバイオティクスの食物供給源として働くだけでなく、組成物全体としての全体の有効性を増進するのも補助する、非プロバイオティクス成分を含むキャリアーと組み合わされることが好ましい。
【0054】
ラクトバチルスおよびビフィドバクテリウムを投与して腸フロラを調節する場合、外因性細菌の増殖が制限されうることから、効果は一過性でありうることが証明されてきている。本発明者らは、ビフィドバクテリウム属、特にビフィドバクテリウム・ロンガムは、単独で投与された際、劣った生存を有することを示した。この問題を解決するには、プレバイオティクスと組み合わせた補充が必要である。本発明者らは、驚くべきことに、プロバイオティクス構成要素、より具体的にはビフィドバクテリウム・ロンガムを、プレバイオティクスを含むキャリアーとともに投与すると、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生存が改善および/または増進されることを見出した。
【0055】
プレバイオティクスは、プロバイオティクス分画と呼ばれる特定の細菌群の腸における耐性、コロニー形成能および再生能を補助するため、これらの細菌群に適した選択的栄養を提供するのに用いられる物質である。化学的用語では、プレバイオティクス物質は、消化しやすいおよび消化しにくい炭水化物および食物繊維に対応する。摂取された後、これらの物質は、いかなる消化プロセスも経ずに、ほぼすべての上部胃腸管を損なわれずに通過する。結腸に到達すると、その存在を補助すべき健康な/共生細菌の主な栄養物質となり、これらの細菌はこれらの物質を使用し、そして摂取することが可能であり、したがってこれらの物質は栄養物質として働く。
【0056】
用語「プレバイオティクス」の下でグループ分けされる物質すべてが同じ特定の特徴を有するわけではない。
プレバイオティクスは、互いに非常に異なり、そして化合物間で異なる方式で、いくつかの細菌種の増殖を刺激し、そして促進する、食物成分ファミリーである。
【0057】
最も広く研究されているプレバイオティクスはイヌリンおよびフルクトオリゴ糖(FOS)である。
イヌリンは19世紀初期に最初に記載され、多くの植物で見出されている。チコリから抽出されたイヌリンは、現在、食餌使用のために好ましい。イヌリンを製品に添加すると(これによって「シンバイオティクス」になる)、全微生物フロラの生理学的バランスに必須の栄養物質の存在が保証される。加水分解不能多糖であるイヌリンが分解されると(これは細菌作用によってしか生じえない)、腸内pHが下がり、したがって、病原体増殖に関して、結腸環境は住むのに適さない状態に維持される。
【0058】
FOSもまた広く用いられるプレバイオティクスである。化学用語において、これらは短鎖フルクタンであり、そしてその結果、可溶性であり、重合度は8炭水化物単位を超えない。生物学的観点から、プレバイオティクスのこの混合物の添加は、適切でありそして成功しているようである:最近報告されたように、これらのプレバイオティクスは、腸ミクロフロラの組成をかなり修飾し、例えば、ビフィドバクテリウムを全腸集団の20%から71%に増加させる。
【0059】
本発明のプロバイオティクス組成物で使用するためのキャリアーは、好ましくは、プレバイオティクス、例えば繊維構成要素を含む。プレバイオティクスは、ラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属などのプロバイオティクス種の食物供給源として働きうる。上部胃腸管において、酸素環境のため、ビフィドバクテリウム属は増殖しないが、ラクトバチルス属は代謝的に活性でありうる。生物の酵素プロセスが活性になった場合、生物は食物供給源を探すであろう。プロバイオティクスとしてのラクトバチルス属およびプレバイオティクス、好ましくはイヌリンの間の相乗関係によって、ラクトバチルスが代謝活性を経るようにされることも可能である。これは、先に示すように、宿主に対して有益である可能性もあるが、細胞が胃腸管内の生理学的作用に耐えて生き延びられないことも意味する。したがって、上部GI管における、ラクトバチルス属およびイヌリン間の正の相乗関係は、本発明のプロバイオティクス含有組成物の免疫増強能を、プレバイオティクスが存在しない個々のラクトバチルス属株のものより増進させると考えられうるが、この相乗関係は、累積生存パーセントを犠牲にするであろう。
【0060】
本発明の組成物のキャリアー組成物は、腸障害に典型的な、プロバイオティクス補充後の有効なコロニー形成に対抗する微小環境と戦うようにさらに作用する。プロバイオティクスはしばしば、プロバイオティクスコロニー形成を防止する、炎症、組織浸透圧の改変、および遊離カチオンの存在に関連する酸化促進状況によって特徴付けられる環境を見出す。しかし、こうして開発された組成物は、プロバイオティクス混合物の到着と同時に、有効なコロニー形成のための物質を調製するため、非常に高速の胃腸コロニー形成を可能にする。
【0061】
プレバイオティクス構成要素に関しては、GOS、キシロオリゴ糖、消化しにくいマルトデキストリン、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチトール、ラクツロースおよびトランスガラクトオリゴ糖のような炭水化物および繊維を使用してもよいが、イヌリン、フルクトースおよび/またはフルクトオリゴ糖(FOS)が、本発明の背景において、特に好ましい。最も好ましい態様において、プレバイオティクス構成要素は、イヌリン、フルクトースおよび/またはFOSを含む。
【0062】
好ましい態様において、本発明のプロバイオティクス含有組成物は、総組成物の最大約80%の量の1またはそれより多くのプレバイオティクスを含む。より好ましい態様において、プレバイオティクスはイヌリンおよびフルクトースの組み合わせである。イヌリンは、キャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、イヌリンはキャリアーの約10〜約100%の量で存在し;最も好ましくは、イヌリンはキャリアーの約20%である。フルクトースは、キャリアー組成物の約1〜約100%の量で存在し;より好ましくは、フルクトースは、キャリアー組成物の約1〜約100%の量で存在し;最も好ましくは、フルクトースは、組成物のキャリアーの50%より多い量で存在する。
【0063】
キャリアー組成物は、さらにラクトフェリンを含む。ラクトフェリンは、重量80,000ダルトンの特定の糖タンパク質であり、1939年以来、記載されてきている。ラクトフェリンは、母乳、唾液、涙、好中球の二次分泌顆粒、および粘液性分泌物に通常見られる遊離鉄に結合する。
【0064】
ラクトフェリンは、多様な活性、特に抗細菌および抗炎症活性を有する。多くの研究によって立証されるように、ラクトフェリンはグラム陰性細菌の外壁および遊離鉄との結合に関して特定のアフィニティを示す:第一の作用機構によって、ラクトフェリンは病原性細菌に対してその「殺傷」能を発揮し、そして第二の機構によって、遊離鉄をキレートし、そして微小環境から取り除く。
【0065】
ラクトフェリンは、病原性細菌の腸増殖を制限するとともに、抗炎症およびフリーラジカル除去特性を発揮する。この二重能力は、病原性細菌がときに、危険に増殖するのに理想的な条件を見出す腸において特に重要であり、これは、この臓器の典型的なpHが、通常は遊離鉄の除去に関与するタンパク質であるトランスフェリンの正しい働きを制限し、この鉄がフリーラジカルの供給源となり、そしてその結果、腸粘膜損傷を与えるためである。好ましい態様において、キャリアー組成物は、約0〜約10%の量でラクトフェリンを含み;より好ましくは、ラクトフェリンは約0.1%〜約5%の量で存在し;最も好ましくは、ラクトフェリンは約0.5%の量で存在する。
【0066】
ラクトフェリンはまた、プレバイオティクスとして機能して、共生細菌による発酵の基質を提供することも記載されてきている。
本発明の態様で使用する無機塩は、マグネシウム、カリウム、亜鉛、および場合によって銅、ならびにその塩からなる群より選択される1またはそれより多くであり、限定されるわけではないが、グルコン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、グルコン酸亜鉛およびクエン酸銅が含まれる。
【0067】
周知であるように、疾病中、細胞および組織代謝は、特に液体喪失と関連すると、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび塩素の喪失を導く。これらの電解質は、筋線維細胞(平滑腸筋線維細胞を含む)の正しい機能、電解質バランス、ならびに細胞および組織の浸透圧バランスに必須である。特に、カリウムおよびマグネシウム貯蔵の減少は、脱力感、不十分な筋収縮、および神経筋プレート(neuromuscular plate)のパルス送信不全である筋痙攣を生じる。マグネシウムおよび/またはカリウムの添加は、ストレス、感染、環境温度増加、身体的努力、下痢等の事象における欠乏を防止する。
【0068】
マグネシウムは、本発明のキャリアー組成物中に、約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、マグネシウムは、約5〜約20%の量で存在し;最も好ましくは、キャリアー組成物の約14〜約16%で存在する。最も好ましくは、マグネシウムは、グルコン酸マグネシウムとして存在する。
【0069】
カリウムは、本発明のキャリアー組成物中に、約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、カリウムは、約0.1〜約10%の量で存在し;最も好ましくは、キャリアー組成物の約5%で存在する。最も好ましくは、カリウムは、クエン酸カリウムとして存在する。
【0070】
亜鉛は、100を超える酵素の活性を補助するのに不可欠な必須要素であり、こうした酵素にはDNAおよびRNAポリメラーゼが含まれ、亜鉛は補酵素として作用する。軽度の亜鉛欠乏は、免疫系のわずかな機能低下を導き、その結果、風邪関連障害(パラインフルエンザおよびインフルエンザ症候群など)のリスクが増加する。小児において、軽度の亜鉛欠乏は、成長のわずかな遅延を導く可能性もあり、一方、深刻な欠乏は、成長停止および性腺機能低下症を引き起こす。最後に、妊娠中の亜鉛欠如は催奇性である。亜鉛の存在は、免疫系の機能を促進する。亜鉛は、本発明のキャリアー組成物中に、約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、亜鉛は、約0.1〜約20%の量で存在し;最も好ましくは、キャリアー組成物の約5%で存在する。最も好ましくは、亜鉛は、グルコン酸亜鉛として存在する。
【0071】
場合によって、銅を本発明のキャリアーに添加してもよい。銅は、特定の輸送機構を介して腸レベルで吸収される要素である。肝臓においては、それはセルロプラスミンとコンジュゲート化され、その結果、すべての組織に分布する。それは胆汁および糞便を通じて排出される。組織において、銅は、アミノ−オキシダーゼ(amino-oxidase)、鉄酸化酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、チロシナーゼ等を含む多くの酵素の構造の一部である。一般的ではない銅不全は、白血球減少症、貧血、筋骨格機能不全、および皮膚色素脱失を引き起こしうる。妊娠中の欠乏は、乳児のより少ない出生体重を導きうる。銅は、存在すると、免疫機能を正常化し、とりわけ、一般的なウイルスによって補助される冬の疾病と闘うのを援助する。
【0072】
場合によって、本発明のキャリアー組成物は、グルタチオンおよび/またはアラビノガラクタンをさらに含んでもよい。
グルタチオンは、GSHとしてもまた知られ、グリシン、シスチンおよびグルタメートからなるトリペプチドである。グルタチオンは、過酸化水素などの致死分子を破壊するために細胞によって用いられる酵素、グルタチオン−トランスフェラーゼおよびグルタチオン−ペルオキシダーゼの補因子として細胞内で機能する。スルフィドリル基の存在によって、グルタチオンは還元型から酸化型に交互に経過し、酸化防止剤として作用することも可能である。フリーラジカル、ヒドロペルオキシドおよび過酸化脂質などの酸化物質と反応可能であるため、グルタチオンは必須であり、そして細胞加齢を防止する際の重要な酵素であると考えられる。グルタチオンはペプチドであるが、胃液および存在するペプチダーゼによってほとんど加水分解されないため、胃保護は不要である。経口吸収は非常に優れており、そして腸内で吸収される。グルタチオンはまた、最近、癌治療およびHIV治療を受けている患者に高用量で投与された。製品は非常に安全である。毒性データはまったく存在しないようである。患者のコンプライアンスおよび製品の耐用性もまた非常に高い。グルタチオンは、存在する場合、体の酸化防止防御を強め、そして細胞および組織加齢を防止する。グルタチオンは、本発明のキャリアー組成物中に、約0〜約20%の量で存在し;より好ましくは、グルタチオンは、約0.1〜約5%の量で存在し;最も好ましくは、キャリアー組成物の約1%で存在する。
【0073】
アラビノガラクタンは、高分子量多糖(ほぼ200,000ダルトン)であり、その主鎖は部分的にカルボキシメチル化およびアセチル化されたガラクツロン酸ポリマーであり、側方位にラムノガラクツロナンを伴う。生物学的観点からは、これらは強いマクロファージ刺激因子であり(ヒトおよびネズミ・マクロファージにおいて、これらの化合物によって刺激されると、食作用中、一酸化窒素産生の優れた増加が観察される)、そしてT細胞活性を刺激する(ヘルパーおよび細胞傷害集団両方において)。
【0074】
アラビノガラクタンは、存在すると、免疫刺激作用を実行し、そして病原体による感染に対する反応をブーストする。より詳細には、強力な非吸収T細胞特異的免疫原(アラビノガラクタン)を場合によって添加すると、腸のリンパ節領域(パイエル板)で起こる局所T細胞特異的反応の活性化が可能になり、したがって、化膿性プロバイオティクス分画の到着と同時に病原性分画の減少が引き起こされうる。2つの事象が同時に起こることで、T細胞感受性病原性分画によって困難になる、コロニー形成および増殖の事象がさらに容易になる。
【0075】
場合によって、本発明の組成物は、酵母菌または酵母をさらに含む。酵母菌または酵母の存在(用いる場合)は、これらが栄養価がある微量元素およびビタミンを放出し、そして病原体と競合する事実によって正当であることが示される。酵母はまた、グルカン、すなわち腸粘膜への病原体の細菌接着を制限する多糖構造、が濃縮された溶解物の形でも使用可能である。好ましい態様にしたがって、本発明記載の組成物は、特に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)および/またはブラウディ(boulardii)を含有してもよい。特に好ましい態様にしたがって、本発明で使用されるサッカロミセス・ブラウディは、サッカロミセス・ブラウディATCC74012である。
【0076】
直接にはプロバイオティクスでない成分のさらなる場合による添加に関しては、その主な目的は、同様に、さらなるプレバイオティクスの利点を提供することであり;前記は例えばシステイン輸送体、例えばN−アセチルシステイン等に当てはまり;同じことが、任意の重合度のプロシアニジン、アントシアンおよびカテキン等のような、遊離カチオンおよびアニオンに対するキレート作用を持つ成分にも当てはまり;そして同じことが、エキネシア属(Echinacea)、カギカズラ属(Uncaria)およびゲンゲ属(Astragalus)の多様な種のような、腸内レベルでの免疫応答をすでに調節している要素にも当てはまる。最後に、同じことが、多量養素または微量栄養素、および水溶性または脂溶性ビタミンの添加にも当てはまる。最後に、酸化防止剤は、本発明の組成物中に含有されるプロバイオティクスに対する防御効果をさらに有する可能性もある。
【0077】
本発明記載の組成物が、かなりの健康改善活性を所持し、腸の健康を維持および/または回復させ、ストレスの結果を防止し、そして抗炎症および免疫調節作用を実行することが見出されてきている。同時に、これらは有効なコロニー形成を保証する。本発明記載の組成物の効果は、組み合わせの個々の構成要素を別個に投与した後に得られるものより大きく、これはおそらく、多様な構成要素間の相乗効果によるものである。
【0078】
本発明の特に好ましい組成物は:
a)ビフィドバクテリウム・ロンガムR175、ラクトバチルス・ヘルベティカスR52、およびラクトバチルス・プランタルムR1012を含む、プロバイオティクス構成要素混合物;
b)キャリアーであって:
1)イヌリンおよびフルクトースを含むプレバイオティクス構成要素;
2)ラクトフェリン;
3)マグネシウム、カリウム、および亜鉛塩からなる無機塩混合物;ならびに
4)グルタチオン
を含む前記キャリアー
を含有する。
【0079】
最も好ましい態様において、本発明の組成物は:
a)プロバイオティクス構成要素混合物であって、ビフィドバクテリウム・ロンガム500億CFU/g;ラクトバチルス・ヘルベティカス1500億CFU/g;およびラクトバチルス・プランタルム1500億CFU/gを含む、前記プロバイオティクス構成要素混合物;ならびに
b)キャリアーであって:
1)総キャリアー組成物の約80%を含むプレバイオティクス混合物であって、プレバイオティクスがイヌリンおよびフルクトースであり、イヌリンがキャリアー組成物の約10〜約100%の量で存在し;最も好ましくはイヌリンがキャリアーの約20%であり、そしてフルクトースがキャリアー組成物の約1〜約100%の量で存在し;より好ましくは、フルクトースがキャリアー組成物の約1〜約100%の量で存在し;最も好ましくはフルクトースが組成物のキャリアーの50%より多い量で存在する、前記プレバイオティクス混合物;
2)約0〜約10%の量のラクトフェリン;より好ましくは、ラクトフェリンは約0.1%〜約5%の量で存在し;最も好ましくは、ラクトフェリンは約0.5%の量で存在する;
3)マグネシウム、カリウムおよび亜鉛塩からなる群より選択される無機塩であって、マグネシウムが本発明のキャリアー組成物中、約0〜約100%の量;より好ましくは、約5〜約20%の量;最も好ましくはキャリアー組成物の約14〜約16%で存在し、そしてマグネシウムがグルコン酸マグネシウムであり;カリウムがキャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、カリウムが約0.1〜約10%の量で存在し;最も好ましくは約5%で存在し、そしてさらにカリウムがクエン酸カリウムであり;そしてさらに、亜鉛が本発明のキャリアー組成物中、約0〜約100%の量で存在し;より好ましくは、亜鉛が約0.1〜約20%の量で存在し;最も好ましくはキャリアー組成物の約5%で存在し、そして亜鉛がグルコン酸亜鉛として存在する、前記無機塩;ならびに
4)約0〜約20%の量で本発明のキャリアー組成物中に存在するグルタチオン;より好ましくは約0.1〜約5%の量、最も好ましくはキャリアー組成物の約1%で存在する、グルタチオン
を含む、前記キャリアー
を含有する。
【0080】
さらなる特に好ましい本発明の組成物は:
a)ビフィドバクテリウム・ロンガムR175およびラクトバチルス・ラムノサスR11;ならびにサッカロミセス・ブラウディを含む、プロバイオティクス構成要素混合物;ならびに
b)キャリアーであって:
1)イヌリンおよびフルクトースからなるプレバイオティクス構成要素;
2)ラクトフェリン;
3)マグネシウム、カリウム塩、および亜鉛塩からなる無機塩混合物;ならびに
4)グルタチオン
を含む前記キャリアー
を含有する。
【0081】
本発明の好ましい側面にしたがって、本明細書に記載する組成物を用いて、食餌栄養補助剤を調製する。
本発明記載の組成物を経口投与用に適切に配合してもよく、そして最終使用に許容されうる賦形剤、希釈剤、充填剤、および凝固防止剤を用いて、Remington’s Pharmaceutical Handbook, Mack Publishing Co., 米国ニューヨーク州に記載されるものなどの薬学的技術で周知の慣用法にしたがって調製する。典型的なさらなる成分には、クエン酸、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素および当業者が認識する他の成分が含まれる。
【0082】
本発明記載の組成物を、例えば可溶性サシェ剤、経口可溶性型、カプセル、錠剤、咀嚼錠、時間およびpH依存性放出を伴う多層錠剤、ならびに顆粒の形で配合してもよい。
本発明の組成物を用いて、プロバイオティクス種の生存および生存可能性を増進し、そして/または改善することも可能であり、より具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生存を増進および/または改善することも可能である。前記方法は、ビフィドバクテリウム・ロンガムを、単独でまたは1またはそれより多くのプロバイオティクス種と組み合わせて含むプロバイオティクス構成要素、ならびに療法的有効量の1またはそれより多くのプレバイオティクス;療法的有効量の1またはそれより多くの無機塩;療法的有効量のラクトフェリン、および場合によって療法的有効量のグルタチオンを含むキャリアーを混合する工程を含む。本明細書において、「量」は、文脈に適しているような量または濃度を指す。療法的有効量を構成する物質の量は、特定の物質の強度、有効性等、投与経路、および用いる投薬型などの要因にしたがって多様である。特定の物質の療法的有効量は、一般の当業者がこうした要因を十分に考慮することによって選択可能である。物質の濃度は、所望の投薬量に応じる。
【0083】
こうして配合された組成物は、本明細書において、室温での貯蔵に際して安定である。
さらに、本発明の組成物を用いて、プロバイオティクス物質の療法効果を改善および/または増進することもまた可能である。本発明の組成物は、改善されたプロバイオティクス生存を示すため、より多い量のプロバイオティクスが上部および下部胃腸管を生存して通過することから、配合物は、より高い有効性を有すると考えられる。したがって、本発明の組成物を用いて、胃腸の健康および/または免疫を改善し、そして/または増進する必要のあるヒト被験体において、胃腸の健康および/または免疫を改善し、そして/または増進することも可能である。
【0084】
本発明記載の配合物のいくつかの例を以下に示す。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが概算値であるにもかかわらず、特定の実施例に示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含有する。以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、結果として範囲を限定することはない。
請求される方法およびその実施を例示するため、以下の実施例を提供する。
【実施例】
【0085】
実施例1
【0086】
【表3】

【0087】
上記配合物を以下のように調製する:ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ビフィドバクテリウム・ロンガムを、イヌリンと混合し、そして32rpmでおよそ10分間ブレンドする。その後、フルクトース、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸亜鉛、クエン酸、フレーバー、クエン酸カリウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、グルタチオン、アセスルファムカリウム、ラクトフェリン、およびスクラロースを混合物に添加し、そして32rpmでさらに10分間ブレンドする。
【0088】
実施例2
【0089】
【表4】

【0090】
実施例3
【0091】
【表5】

【0092】
上記配合物を以下のように調製する:ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ビフィドバクテリウム・ロンガムを、イヌリンと混合し、そして32rpmでおよそ10分間ブレンドする。その後、フルクトース、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸亜鉛、クエン酸、フレーバー、クエン酸カリウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、グルタチオン、アセスルファムカリウム、ラクトフェリン、およびスクラロースを混合物に添加し、そして32rpmでさらに10分間ブレンドする。
【0093】
実施例4
別紙3に記載する配合物中に含有されるプロバイオティクス種を試験して、プロバイオティクスの生存率を決定した。個々の株に比較した際の、本発明の組成物中のプロバイオティクス株の生存を、TIM−1としてもまた知られる、上部胃腸管の動的in vitroモデルにおいて試験した。TIM−1モデルは、ヒトの胃チャンバーおよび小腸中での条件をシミュレーションすることも可能であり、そしてしたがって、該モデルを用いて、プロバイオティクスが上部胃腸管を通過する際のその累積生存パーセントを評価してもよい。
【0094】
TIM−1で試験した実施例3の組成物は、計数すると9.81x10E9 CFUのプロバイオティクス細胞総量(コロニー形成単位またはCFU)を含有した。別紙3の組成物中に含有されるプロバイオティクス株の個々のレベルを評価すると、微生物プレーティングによって定量化された各株の量は:
ラクトバチルス・ヘルベティカス 8.0x10E9 CFU
ラクトバチルス・プランタルム 8.7x10E8 CFU
ビフィドバクテリウム・ロンガム 9.1x10E8 CFU
であった。
【0095】
別紙3の組成物中の各プロバイオティクス株に関して定量化されたレベルは、TIM−1モデルにおいて個々の株を試験する際に用いたターゲットレベルであった。言い換えると、プロバイオティクス株のレベルは、製品中にであっても、または個々にであっても、L.ヘルベティカスに関しては8x10E9CFU、L.プランタルムに関しては8.7x10E8CFU、そしてB.ロンガムに関しては9.1x10E8CFUに設定された。
【0096】
実際の実験において、個々のプロバイオティクス株および別紙3の組成物を食事(軽いヨーロッパ風コンチネンタル・ブレックファスト)とともに投与する。したがって、食事と混合した際の各株の最終の量を確認し、そしてしたがって、個々に、そして別紙3の組成物中の両方で、用いた各プロバイオティクスの平均出発レベルは:
ラクトバチルス・ヘルベティカス 8.6x10E9 CFU
ラクトバチルス・プランタルム 7.0x10E8 CFU
ビフィドバクテリウム・ロンガム 1.4x10E9 CFU
であった。TIM−1試験の結果を以下の表に概略する。
【0097】
【表6】

【0098】
その後、以下に同定する株各々を、TIM−1を通じて、個々に試験した。データを以下の表中、以下に示す。
【0099】
【表7】

【0100】
これらのデータは、組成物の相乗効果があることを示す。より具体的には、上部胃腸管を生存して通過するビフィドバクテリウム・ロンガム・プロバイオティクス細胞の数は、他のプロバイオティクスおよびキャリアーの非存在下で試験した際よりも、1000倍より多い(3log10より多い)。ビフィドバクテリウム・ロンガムを、本発明の組成物とは独立に投与すると、頑強な生存は示さなかった。実際、ビフィドバクテリウム・ロンガムは、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・プランタルム、ならびに:プレバイオティクス(イヌリンおよびフルクトース)、グルコン酸亜鉛、グルコン酸マグネシウム、クエン酸カリウム;グルタチオンおよびラクトフェリン;および場合によってクエン酸;酸化マグネシウムおよび二酸化ケイ素を含むキャリアーと組み合わせて投与した際の累積生存が42.9%であったのに比較して、単独で投与した場合には、0.02%の累積生存でしかなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイオティクス組成物であって:
a)ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)R175、ならびにラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)R11、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)R52およびラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)R1012からなる細菌群より選択される細菌の少なくとも1種を含む、1またはそれより多くのプロバイオティクス構成要素;ならびに
b)キャリアー組成物であって:
1)1またはそれより多くのプレバイオティクス構成要素;
2)ラクトフェリン;
3)1またはそれより多くの無機塩;および場合によって
4)グルタチオン
を含む前記キャリアー組成物
を含む、前記プロバイオティクス組成物。
【請求項2】
プレバイオティクス構成要素が、イヌリン、フルクトースおよびフルクトオリゴ糖より選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
無機塩が、マグネシウム、カリウム、銅および亜鉛塩からなる群より選択される1またはそれより多くである、請求項1の組成物。
【請求項4】
プロバイオティクスがおよそ以下の量:ビフィドバクテリウム・ロンガムR175 500億CFU/g;ラクトバチルス・ヘルベティカスR52 1500億CFU/g;およびラクトバチルス・プランタルムR1012 1500億CFU/gで存在する、請求項1の組成物。
【請求項5】
マグネシウムがグルコン酸塩である、請求項3の組成物。
【請求項6】
カリウムがクエン酸カリウムである、請求項3の組成物。
【請求項7】
亜鉛がグルコン酸亜鉛である、請求項3の組成物。
【請求項8】
銅がクエン酸銅である、請求項3の組成物。
【請求項9】
プレバイオティクスがイヌリンおよびフルクトースの混合物である、請求項2の組成物。
【請求項10】
プロバイオティクス組成物であって:a)プロバイオティクス構成要素混合物であって、ビフィドバクテリウム・ロンガム500億CFU/g;ラクトバチルス・ヘルベティカス1500億CFU/g;およびラクトバチルス・プランタルム1500億CFU/gを含む、前記プロバイオティクス構成要素混合物;ならびにb)キャリアーであって:1)総キャリアー組成物の約80%を含むプレバイオティクス混合物;2)総キャリアー組成物の約0〜約10%の量のラクトフェリン;3)マグネシウム、カリウムおよび亜鉛塩からなる群より選択される無機塩であって、マグネシウムがキャリアー組成物中、約0〜約100%の量で存在し;カリウムがキャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在し;そして亜鉛がキャリアー組成物の約0〜約100%の量で存在する、前記無機塩;および4)キャリアー組成物の約0〜約20%の量のグルタチオンを含む、前記キャリアー;を含む、前記プロバイオティクス組成物。
【請求項11】
プレバイオティクスがイヌリンおよびフルクトースの混合物である、請求項10の組成物。
【請求項12】
イヌリンがキャリアー組成物の約20%の量で存在する、請求項11の組成物。
【請求項13】
フルクトースがキャリアー組成物の約50%の量で存在する、請求項11の組成物。
【請求項14】
マグネシウムがグルコン酸マグネシウムである、請求項10の組成物。
【請求項15】
亜鉛がグルコン酸亜鉛である、請求項10の組成物。
【請求項16】
カリウムがクエン酸カリウムである、請求項10の組成物。
【請求項17】
グルコン酸マグネシウムがキャリアー組成物の約14%〜約16%の量である、請求項14の組成物。
【請求項18】
グルコン酸亜鉛がキャリアー組成物の約5%の量である、請求項15の組成物。
【請求項19】
クエン酸カリウムがキャリアー組成物の約5%の量で存在する、請求項16の組成物。
【請求項20】
薬学的に許容されうる香味料、保存剤、着色料、甘味料、賦形剤、希釈剤、充填剤および凝固防止剤からなる群より選択される1またはそれより多くの添加物をさらに含む、請求項10の組成物。
【請求項21】
プロバイオティクス組成物であって
a)ビフィドバクテリウム・ロンガムR175およびラクトバチルス・ラムノサスR11からなるプロバイオティクス構成要素混合物;
b)イヌリンおよびフルクトースからなるプレバイオティクス構成要素;
c)ラクトフェリン;
d)マグネシウムおよび亜鉛塩からなる無機塩混合物;ならびに
e)サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)
を含む、前記プロバイオティクス組成物。
【請求項22】
腸の健康の維持および/または回復のため、ならびに哺乳動物において、いかなる病因の腸内毒素症(dysbioses)も防止するための、先行する請求項の1以上にそれ自体請求されるような、または経口投与用の配合物の調製のための、組成物の使用。
【請求項23】
ビフィドバクテリウム・ロンガム細菌の生存性を改善する方法であって:ビフィドバクテリウム・ロンガムと、ラクトバチルス・ヘルベティカスR52およびラクトバチルス・プランタルムR1012を混合する工程を含み、ビフィドバクテリウム属の生存が改善する、前記方法。
【請求項24】
組成物が、1)1またはそれより多くのプレバイオティクス構成要素;2)ラクトフェリン;3)無機塩;および場合によって4)グルタチオンを含むキャリアーをさらに含む、請求項23の方法。
【請求項25】
プレバイオティクスがイヌリンおよびフルクトースを含む、請求項24の方法。
【請求項26】
無機塩がグルコン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、およびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される、請求項24の方法。
【請求項27】
プロバイオティクス組成物であって:プロバイオティクス構成要素混合物であって、ビフィドバクテリウム・ロンガム500億CFU/g;ラクトバチルス・ヘルベティカス1500億CFU/g;およびラクトバチルス・プランタルム1500億CFU/gを含む、前記プロバイオティクス構成要素混合物;ならびにキャリアーであって:キャリアーの約20%の量のイヌリンおよび総キャリアー組成物の50%より多い量のフルクトースを含むプレバイオティクス混合物;キャリアー組成物の約0.5%の量のラクトフェリン;総キャリアー組成物の14〜約16%の量のグルコン酸マグネシウム;総キャリアー組成物の約5%の量で存在するクエン酸カリウム;および総キャリアー組成物の約5%の量のグルコン酸亜鉛;ならびに総キャリアー組成物の約1%の量でキャリアー組成物中に存在するグルタチオンを含む、前記キャリアーを含む、前記プロバイオティクス組成物。

【公表番号】特表2012−515167(P2012−515167A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545503(P2011−545503)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/020712
【国際公開番号】WO2010/081126
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(506305540)ファイザー イタリア ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【Fターム(参考)】