説明

プロバイオティクス微生物を含有する全脂粉乳調製物

本発明は、幼児のための栄養の分野に関する。特に、本発明は、12カ月を超えた幼児に投与される、プロバイオティクス微生物を含む全脂粉乳調製物に関する。これらのプロバイオティクス微生物は、例えば、生物活性のある熱処理されたプロバイオティクス微生物などの非増殖性プロバイオティクス微生物でもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児のための栄養の分野に関する。特に、本発明は、12カ月を超えた幼児に投与される、プロバイオティクス微生物を含む全脂粉乳調製物に関する。これらのプロバイオティクス微生物は、例えば、生物活性のある熱処理されたプロバイオティクス微生物などの非増殖性プロバイオティクス微生物でもよい。
【0002】
母乳は、乳児の健やかな成長及び発達のために理想的な食物である。2001年に、世界保健機関(WHO)は完全母乳栄養の推奨期間を4〜6カ月から6カ月に変更した。したがって、母乳栄養はそれに応じて奨励及び促進されるべきである。
【0003】
6カ月以降から始まって、乳幼児の行動は変化する。彼らは初めて座り、又は1つの手のみで玩具をつかむ。乳幼児の栄養要求量は乳幼児が発達するにつれて変化する。鉄及びカルシウムなどの栄養素はさらにより重要となっている。
【0004】
1歳以降、牛乳をベースとする飲料は、乳幼児の食事における重要な品目となる。しかし、牛乳自体は幼児の栄養要求量に適合されていない。特に、牛乳は、多すぎるタンパク質、多すぎるミネラル、少なすぎる鉄、多すぎる飽和脂肪酸及び十分ではない不飽和脂肪を含有する。
【0005】
全脂乳調製物は、この年齢の小児の最適な発達を確保することを支援するために開発された。
【0006】
幼児の早期栄養の1つの重要な機能は、健康な腸管内菌叢を生じさせ、強力な免疫系を発達させることである。
【0007】
健康な腸管内菌叢は機能的消化管に貢献し、機能的消化管は乳幼児及び幼児において摂取食物を適切に消化するのを助け、腹痛を減少させる。
【0008】
幼児は典型的には、毎年概ね10回風邪をひく。このような風邪は不快であり、より深刻な結果さえ起こし得る。
【0009】
したがって、全脂乳調製物の免疫向上作用をさらに改善することが望ましいであろう。
【0010】
全脂乳調製物の抗炎症作用をさらに改善することもまた望ましいであろう。
【0011】
したがって、少なくとも12カ月の月齢の幼児に必要な最適な栄養サポートを確実にする全脂乳調製物が当技術分野で必要とされている。このような全脂乳調製物は、改善された免疫向上作用、抗炎症作用を有するべきであり、及び/又は消化を促進すべきである。副作用を伴わずに投与が安全で、現況技術の工業技術を使用して育児用乳組成物に組み込むことが容易な天然成分を使用することによって、これを達成することが望ましいであろう。
【0012】
本発明者らは、この必要性に取り組んだ。したがって、本発明の目的は、現況技術を改善し、上記で表した必要性を満足させる全脂乳調製物を提供することであった。
【0013】
本発明者らは独立請求項の主題によって本発明の目的を達成できたことを見出したことに驚かされた。従属請求項は、本発明のアイデアをさらに発展させる。
【0014】
したがって、本発明者らは、プレバイオティクス及びプロバイオティクスを含む全脂乳調製物を提供することを提案する。
【0015】
全脂乳調製物は、栄養組成物である。本発明の全脂乳調製物は、幼児を、進行中の発達の間に、最適にサポートするように設計された特定の栄養組成物である。
【0016】
小児の発達の間の栄養要求量が変化するため、各々が理想的には特定の年齢範囲に適している1つ以上の特定の全脂乳調製物を提供することによってこれは最良に達成することができる。例えば、1つの全脂乳調製物は12カ月の月齢から開始して投与してもよく、第2の全脂乳調製物は36カ月の月齢から開始して投与してもよい。
【0017】
プロバイオティクスは、全脂乳調製物の枠組みにおいてその健康上の利益を提供することができることが見出された。さらに、例えば、ビフィドバクテリウム属は、母乳中に存在し、母乳にその天然の保護特性を与えるものの一部である。
【0018】
したがって、プロバイオティクス微生物を幼児のための全脂乳調製物に加えることによって、全脂乳調製物を母乳によりよく似たものにすることが可能となる。
【0019】
しかし、特に、水で再構成される粉末調合乳は通常、例えば、プロバイオティクスを含むヨーグルト飲料の保存寿命を超える保存寿命を有するため、プロバイオティクスは通常、このような調合乳に加えられない。これは、例えば、プロバイオティクスの生存能力が長期間の保存寿命の間に確保できるかについて不確実であるためである。
【0020】
本発明者らは、非増殖性プロバイオティクスでさえ、プロバイオティクスの健康上の利益をもたらすことができ、改善された利益さえも有し得ることを、今や示すことができた。
【0021】
結果的に、本発明は、12カ月の月齢から開始して幼児に投与される、プロバイオティクス微生物、並びにエンドウ豆外皮繊維、オリゴフルクトース、イヌリン及びこれらの組合せから選択されるプレバイオティクスを含む全脂粉乳組成物に関する。
【0022】
全脂乳組成物は、バランスのとれた脂肪酸組成を持つ適正量の脂質を提供する。脂質は、よちよち歩きの小児の増加する活動に必要である最良のエネルギー供給物(9kcal/g)である。しかし、脂肪酸は細胞膜を構築するためにまた必要であり、いくつかの生理活性因子(例えば、ホルモン、凝固因子など)の重要な前駆体である。
【0023】
本発明の全脂乳組成物は、バランスのとれたタンパク質含有量を含む。
【0024】
一方においては、タンパク質は、特に成長期の間に、例えば、筋肉などの身体組織を構築するために必要とされている。他方、多量のタンパク質は、よちよち歩きの小児のまだ未熟な腎臓の機能に負担をかける。腎機能が成熟していない場合、高いタンパク質摂取は、腎機能を障害することがある。1歳を超えた小児は小児科の推奨より多いタンパク質を摂取する傾向があることが、研究によって示唆されている。高いタンパク質摂取はまた、その後の人生における肥満症に関係付けられてきた。
【0025】
例えば、本発明の全脂乳組成物中に存在するプレバイオティクス組成物は、例えば、エンドウ豆外皮繊維、オリゴフルクトース、及びイヌリンの混合物でもよい。代わりに、プレバイオティクス組成物は、例えば、オリゴフルクトース及びイヌリンの混合物でもよい。このようなプレバイオティクス組成物は、健康な消化器系をサポートする助けをする。
【0026】
例えば、本発明の組成物は、乾燥重量1グラム当たり2〜4gのオリゴフルクトースを含有し得る。
【0027】
本発明の全脂乳組成物は、成長には重要なビタミン及びミネラルでさらに栄養を強化し得る。例えば、本発明の全脂乳組成物の1食は、1〜3歳の年齢の小児のために1日当たりの推奨されるカルシウムの35%及びビタミンAの15%を含有し得る。
【0028】
本発明の全脂乳組成物はまた、小児の成長及び発達のために1食当たり1.5グラムの必須脂肪酸を含有し得る。
【0029】
本発明の組成物は、全脂乳組成物が小児に好まれることを確保するために、天然はちみつ味でさらに強化してもよい。
【0030】
本発明の組成物は、20〜27g/100g乾燥重量の量のタンパク質源、49〜52g/100g乾燥重量の量の炭水化物源、及び19〜24g/100g乾燥重量の量の脂質源を含有し得る。
【0031】
組成物が12〜36カ月の月齢の小児に投与される場合、組成物は、25〜27g/100g乾燥重量の量のタンパク質源、50〜52g/100g乾燥重量の量の炭水化物源、及び19〜21g/100g乾燥重量の量の脂質源を含有し得る。
【0032】
組成物が36カ月を超える月齢の小児に投与される場合、組成物は、20〜20g/100g乾燥重量の量のタンパク質源、49〜51g/100g乾燥重量の量の炭水化物源、及び23〜24g/100g乾燥重量の量の脂質源を含有し得る。
【0033】
牛乳は、幼児の栄養のための準最適な脂肪酸組成物を有する。飽和脂肪酸が高く、及び不飽和脂肪酸が低く、牛乳は、最適で最も健康的な脂肪酸組成物を提供しない。不飽和脂肪酸は、成長のため、例えば、神経系において細胞を構築するために必要であり、研究によって、多くのよちよち歩きの小児は、推奨されるレベルを摂取していないことが示される。例えば、脳にはDHA(n−3不飽和脂肪酸)が極めて豊富である。したがって、本発明の組成物は、10:1〜6:1の範囲の比のリノール酸及びα−リノール酸の概ねの含量を持つ、必須脂肪酸の2つのファミリーの間の良好なバランスを有する。
【0034】
乾燥組成物として提供する場合、保存安定性をさらに増加させるために、組成物は、0.2未満、好ましくは0.15未満の水分活性を有することが好ましい。大部分の細菌は、例えば、0.91未満の水分活性で増殖せず、大部分のカビは0.80未満の水分活性で増殖が止まる。
【0035】
水分活性(a)は、系における水のエネルギー状態の測定値である。水の蒸気圧を純水の蒸気圧で割ったものと定義される。結果的に、蒸留水は1の水圧を有する。
【0036】
本発明の全脂乳組成物はまた、調合乳100mL当たり1.5〜2.5mgのヌクレオチドを含有し得る。ヌクレオチド及びこれらの塩基は、乳幼児の体がより単純な化合物から合成することができるために、「必須」であると見なされない。しかし、特定の時期に、例えば、正常な発育又は消化管疾患におけるような急速な細胞ターンオーバーの期間の間、合成の進行は、要求を満たすことができないことがある。これらの時間において、体はヌクレオチドの食物源により強く依存する。
【0037】
最適な栄養サポートのために、本発明の組成物は、1日に少なくとも2食、提供され得る。
【0038】
例えば、約30〜36gの乾燥組成物及び200〜250mLの水を含む1食は、1回目は朝食時に、2回目は日中に投与され得る。
【0039】
組成物は、部分的に又は単独で非増殖性プロバイオティクス微生物を含み得る。
【0040】
本発明者らは、例えば、免疫向上作用に関して、及び/又は抗炎症作用に関して、非増殖性プロバイオティクス微生物は、増殖性プロバイオティクス微生物より有効でさえあり得ることを見出して驚いた。
【0041】
プロバイオティクスは「十分量で投与されたときに健康上の利益を宿主に与える生きた微生物」(FAO/WHOガイドライン)として定義されることが多いため、これは驚くべきことである。公開された文献の大部分は、生きたプロバイオティクスについて論じている。さらに、いくつかの研究は非増殖性細菌によって実現される健康上の利益を調査したが、これらの研究の大部分は、例えば熱処理によるプロバイオティクスの不活性化は、これらの健康上の利益と称されるものの損失をもたらすことを示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology126:520〜528;Castagliuoloら、2005、FEMS Immunol.Med.Microbiol.43:197〜204;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001,Br.J.Nutr.86:285〜289;Kaila,M.ら、1995、Arch.Dis.Child 72:51〜53)。いくつかの研究は、死んだプロバイオティクスがいくらかの健康効果を保持し得ることを示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology 126:520〜528;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001,Br.J.Nutr.86:285〜289)が、明らかに生きているプロバイオティクスが今までのところ当技術分野でより能力があると見なされてきた。
【0042】
本発明による組成物は、任意の有効量で、例えば、約10〜1012cfu/g乾燥重量に相当する量で、プロバイオティクス微生物を含み得る。
【0043】
プロバイオティクス微生物は、非増殖性プロバイオティクス微生物でもよい。
【0044】
「非増殖性」プロバイオティクス微生物には、熱処理されたプロバイオティクス細菌が含まれる。これには、不活性化された、死んだ、生存不能、並びに/又はDNA、代謝物、細胞質化合物、及び/若しくは細胞壁材料などのフラグメントとして存在する微生物が含まれる。
【0045】
「非増殖性」とは、古典的な蒔きかたによって生存細胞及び/又はコロニー形成単位を検出することができないことを意味する。このような古典的な蒔きかたは、微生物学の書籍:James Monroe Jay、Martin J.Loessner、David A.Golden.2005、Modern food microbiology、第7版、Springer Science、New York、N.Y.790頁に要約されている。典型的には、生存細胞が存在しないことは、下記のように示すことができる。異なる濃度の細菌調製物(「非増殖性」試料)の植菌、並びに適切な条件(少なくとも24時間の好気性及び/又は嫌気性雰囲気)下でのインキュベーション後に、寒天プレート上で目に見えるコロニーがない、又は液体増殖培地の混濁度の増加がない。
【0046】
プロバイオティクスは、本発明の目的のために、「宿主の健康又は幸福に対して有益な作用を有する微生物細胞調製物又は微生物細胞の成分」と定義される(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら、「Probiotics:how should they be defined」 Trends Food Sci.Technol.1999:10 107〜10)。
【0047】
非増殖性プロバイオティクス微生物を使用する可能性は、いくつかの利点を提供する。重度の免疫不全小児において、生きたプロバイオティクスの使用は、菌血症が発生する潜在的な危険性によって例外的な場合において限定されることがある。非増殖性プロバイオティクスは、何の問題もなしに使用し得る。
【0048】
さらに、非増殖性プロバイオティクス微生物を提供することは、健康上の利益を保持する一方で高温の再構成(hot reconstitution)を可能にする。
【0049】
本発明の組成物は、健康上の利益を少なくとも部分的に生じさせるのに十分な量の、プロバイオティクス微生物及び/又は非増殖性プロバイオティクス微生物を含む。これを達成するのに適当な量は、「治療有効用量」と定義される。この目的のために有効な量は、小児の体重及び身体全体の健康状態などの当業者には公知のいくつかの要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。
【0050】
予防的用途において、本発明による組成物を、疾患を起こしやすい又はそうでなければ疾患の危険性がある消費者に、その疾患が発生する危険性を少なくとも部分的に減少させるのに十分な量で投与する。このような量は、「予防有効用量」であると定義される。ここでまた、正確な量は、小児の健康状態及び体重などのいくつかの要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。
【0051】
当業者は、治療有効用量及び/又は予防有効用量を適切に調節することができる。
【0052】
一般に、本発明の組成物は、プロバイオティクス微生物及び/又は非増殖性プロバイオティクス微生物を治療有効用量及び/又は予防有効用量で含有する。
【0053】
典型的には、治療有効用量及び/又は予防有効用量は、1日用量当たり約0.005mg〜1000mgの範囲のプロバイオティクス微生物及び/又は非増殖性プロバイオティクス微生物である。
【0054】
数値量に関して、「短時間高温」処理された非増殖性微生物は、組成物中に10〜1012当量cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在し得る。明らかに、非増殖性微生物は、コロニーを形成しない。したがって、数値量に関しては、10〜1012cfu/gの増殖性細菌から得られる非増殖性微生物の量と理解される。これには、不活性化された、生存不能、又は死んだ、又はDNA若しくは細胞壁若しくは細胞質化合物などのフラグメントとして存在する微生物が含まれる。すなわち、組成物が含有する微生物の量は、全ての微生物が、実際は不活性化された、又は死んだ、断片化された、又はこれらの状態の任意若しくは全ての混合物などの非増殖性であろうとなかろうと関わりなく、生きているかのように、微生物の量のコロニー形成能(cfu)に関して表される。
【0055】
好ましくは、非増殖性微生物は、10〜10cfu/g乾燥組成物に相当する量で、よりさらに好ましくは10〜10cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在する。
【0056】
プロバイオティクスは、当技術分野において公知の任意の方法によって非増殖性にし得る。
【0057】
プロバイオティクス菌株を非増殖性にするのに今日利用可能な技術は通常、熱処理、γ−照射、紫外線、又は化学試剤(ホルマリン、パラホルムアルデヒド)の使用である。
【0058】
食品産業の工業的状況において比較的容易に適用される、プロバイオティクスを非増殖性にする技術を使用することが好ましいであろう。
【0059】
プロバイオティクスを含有する今日市場にある大部分の製品は、それらの生産の間に熱処理される。したがって、プロバイオティクスがそれらの有益な特性を保持若しくは改善し、又はさらに消費者のために新しい有益な特性を得る一方で、生産される製品と一緒に又は少なくとも同様の方法で、プロバイオティクスを熱処理できることは好都合であろう。
【0060】
しかし文献においては、熱処理によるプロバイオティクス微生物の不活性化は、プロバイオティクス活性の少なくとも部分的な損失と一般に関連付けられる。
【0061】
本発明者らは今驚いたことに、プロバイオティクス微生物を例えば、熱処理によって非増殖性にすることは、プロバイオティクスの健康上の利益の損失をもたらさず、それとは反対に、既にある健康上の利益を増強させ、健康上の新たな利益さえ生じさせ得ることを見出した。
【0062】
したがって、本発明の一実施形態は、非増殖性プロバイオティクス微生物が熱処理によって非増殖性とされた組成物である。
【0063】
このような熱処理は、少なくとも71.5℃で少なくとも1秒間行い得る。
【0064】
長時間熱処理又は短期間熱処理を行い得る。
【0065】
今日の工業規模において、通常、UHT様熱処理などの短期間熱処理が好ましい。この種の熱処理は細菌負荷を減少させ、処理時間を短縮し、それによって栄養素が損なわれることを減少させる。
【0066】
本発明者らは、高温で短時間熱処理されたプロバイオティクス微生物が、それらの当初の特性に関わらず抗炎症性免疫プロファイルを示すことを、初めて明らかにする。特に、この熱処理によって、新しい抗炎症性プロファイルが発生し、又は既にある抗炎症性プロファイルが増強される。
【0067】
したがって、たとえ生きた対応物が抗炎症性菌株でなくても、典型的な産業上利用可能な熱処理に相当する特定の熱処理パラメーターを使用することによって、抗炎症性免疫プロファイルを有する非増殖性プロバイオティクス微生物を作ることは今や可能である。
【0068】
したがって、例えば、熱処理は、約1〜120秒間の約71.5〜150℃の高温処理でもよい。高温処理は、高温/短時間(HTST)処理又は超高温(UHT)処理でもよい。
【0069】
プロバイオティクス微生物は、約1〜120秒の短期間、約71.5〜150℃の高温処理に曝し得る。
【0070】
より好ましくは、微生物は、約1〜30秒の短期間、約90〜140℃、例えば90°〜120℃の高温処理に曝し得る。
【0071】
この高温処理によって、微生物は少なくとも部分的に非増殖性となる。
【0072】
高温処理は通常の大気圧で行い得るが、また高圧下で行い得る。典型的な圧力範囲は、1〜50バール、好ましくは1〜10バール、さらにより好ましくは2〜5バールである。明らかに、熱が加えられるとき、プロバイオティクスは、液体又は固体である培地中で熱処理されることが好ましい。したがって、加えられる理想的な圧力は、微生物がそれ中に供給される組成物の性質及び使用される温度によって決まる。
【0073】
高温処理は、約71.5〜150℃、好ましくは約90〜120℃、さらにより好ましくは約120〜140℃の温度範囲で行い得る。
【0074】
高温処理は、約1〜120秒、好ましくは、約1〜30秒、さらにより好ましくは約5〜15秒の短期間で行い得る。
【0075】
この所与の時間枠は、プロバイオティクス微生物が所与の温度に曝される時間を意味する。微生物がその中に供給される組成物の性質及び量によって、及び使用する加熱装置の構造によって、熱を加える時間は変化し得ることに留意されたい。
【0076】
しかし典型的には、本発明の組成物及び/又は微生物を、高温短時間(HTST)処理、瞬間殺菌又は超高温(UHT)処理によって処理される。
【0077】
UHT処理は、組成物を短時間、概ね1〜10秒間、乳中の細菌胞子を殺すのに必要とされる温度である135℃(275°F)を超える温度で加熱することによる組成物の少なくとも部分殺菌を伴う、超高温加工(ultra−high temperature processing)又は超熱処理(ultra−heat treatment)(両方とも、UHTと省略)である。例えば、135℃を超える温度を使用してこのように乳を加工することは、必要な保持時間(2〜5秒まで)で細菌負荷の減少を可能にし、それによって連続流れ操作が可能となる。
【0078】
UHTシステムの2つの主要なタイプ、直接及び間接システム、がある。直接システムにおいて、製品をスチームインジェクション(steam injection)又はスチームインフュージョン(steam infusion)によって処理し、一方では間接システムにおいて、製品を、平板熱交換器、多管式熱交換器又はかき取り表面熱交換器を使用して熱処理する。UHTシステムの組合せは、製品調製の工程において、任意のステップで又は複数のステップで適用し得る。
【0079】
HTST処理は、下記のように定義される(高温/短時間):乳中で生存している微生物の数の99.9999%を殺す、5対数の減少を達成するように設計される低温殺菌法。これはほぼ全ての酵母、カビ及び一般の腐敗細菌を破壊するのに十分であると考えられ、一般の病原性耐熱生物の十分な破壊をも確実にする。HTST工程において、乳を71.7℃(161°F)に15〜20秒間加熱する。
【0080】
瞬間殺菌は、果汁及び野菜汁、ビール及び乳製品などの腐敗しやすい飲料の低温殺菌の方法である。腐敗微生物を殺し、製品をより安全なものとし、それらの保存寿命を延ばすために、瞬間殺菌は容器への充填の前に行う。液体は、71.5℃(160°F)〜74℃(165°F)の温度に約15〜30秒間曝される間、制御された連続流れで移動する。
【0081】
本発明の目的のために、「短時間高温処理」という用語には、例えば、高温短時間(HTST)処理、UHT処理、及び瞬間殺菌が含まれる。
【0082】
このような熱処理は改善された抗炎症性プロファイルを有する非増殖性プロバイオティクスを実現するため、本発明の組成物は、炎症性障害の予防又は治療において用い得る。
【0083】
本発明の組成物によって治療又は予防することができる炎症性障害は、特に限定されない。例えば、これらは、敗血症などの急性炎症、火傷、及び炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎などの慢性炎症、壊死性腸炎、UV又は化学物質が誘発する皮膚炎、湿疹、反応性皮膚などの皮膚炎、過敏性腸症候群、眼炎、アレルギー、喘息、並びにこれらの組合せからなる群から選択し得る。
【0084】
プロバイオティクス微生物を非増殖性とするために、長時間熱処理が使用される場合、このような熱処理は、約70〜150℃の温度範囲で約3分〜2時間、好ましくは80〜140℃の範囲で5分〜40分行い得る。
【0085】
従来技術は一般に、長時間熱処理によって非増殖性とされた細菌が通常、それらのプロバイオティクス特性の発揮に関して生細胞より効率的でないことを教示するが、本発明者らは、熱処理されたプロバイオティクスが、生きた対応物と比較して免疫系を刺激することにおいて優れていることを示すことができた。
【0086】
本発明はまた、少なくとも約70℃での少なくとも約3分間の熱処理によって非増殖性とされたプロバイオティクス微生物を含む組成物に関する。
【0087】
非増殖性プロバイオティクスの免疫向上作用は、インビトロ免疫プロファイリングによって確認された。使用されたインビトロモデルは、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)からのサイトカインのプロファイリングを使用し、当技術分野で免疫調節性化合物の試験のための標準モデルとしてよく受け入れられている(Schultzら、2003、Journal of Dairy Research 70、165〜173;Taylorら、2006、Clinical and Experimental Allergy、36、1227〜1235;Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203)。
【0088】
インビトロPBMCアッセイは、幾人かの著者/研究チームによって、例えば、プロバイオティクスを、その免疫プロファイル、すなわち、その抗炎症性又は炎症性の特徴によって分類するために使用されてきた(Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203)。例えば、このアッセイによって、大腸炎のマウスモデルにおけるプロバイオティクス候補の抗炎症作用の予測を可能にすることが示されてきた(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。さらに、このアッセイは、臨床試験における読み出し情報として通常使用され、臨床成果と一貫する結果をもたらすことが示された(Schultzら、2003、Journal of Dairy Research 70、165〜173;Taylorら、2006、Clinical and Experimental Allergy、36、1227〜1235)。
【0089】
アレルギー性疾患は過去数十年に亘り着実に増加してきており、WHOによって流行病と現在見なされている。一般的に、アレルギーは、免疫系のTh1及びTh2応答の間の不平衡に起因し、Th2メディエーターの産生への強力な偏りをもたらすと考えられている。したがって、免疫系のTh1及びTh2アームの間の適切な平衡を回復することによって、アレルギーを軽減、下方制御又は予防することができる。これは、Th2応答を減少させ、又は少なくとも一時的に、Th1応答を増強する必要性を意味する。後者は、例えばより高いレベルのIFNγ、TNF−α及びIL−12を伴うことが多い免疫向上反応の特徴であろう。(Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203;Viljanen M.ら、2005、Allergy、60、494〜500)
【0090】
したがって、本発明の組成物は、免疫防御不全と関連する疾患を治療又は予防することを可能とする。
【0091】
結果的に、本発明の組成物によって治療又は予防することができる免疫防御不全と関連している疾患は、特に限定されない。
【0092】
例えば、これらの疾患は、感染症、特に、細菌、ウイルス、真菌及び/又は寄生虫の感染症;食細胞欠損;ストレス又は免疫抑制薬、化学療法又は放射線療法によって誘発されるものなどの低いレベルから重症レベルまでの免疫抑制;新生児の免疫系などのより免疫応答性が低い免疫系の自然状態;アレルギー;並びにこれらの組合せからなる群から選択し得る。
【0093】
本発明に記載する組成物はまた、ワクチン、特に経口ワクチンへの小児の反応の増強を可能とする。
【0094】
任意の量の非増殖性微生物が有効である。しかし、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非増殖性である場合が一般に好ましい。
【0095】
本発明の一実施形態において、全ての微生物は、非増殖性である。
【0096】
結果的に、本発明の組成物において、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全ては、非増殖性でもよい。
【0097】
全てのプロバイオティクス微生物を、本発明の目的のために使用し得る。
【0098】
例えば、プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、プロピオニバクテリウム属、又はこれらの組合せ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)及び/又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。
【0099】
本発明による組成物は、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・ジョンソニーLa1、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・ロイテリDSM17983、ラクトバチルス・ロイテリATCC55730、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、エシェリキア・コリNissle、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15、ラクトコッカス・ラクティスNCC2287、又はこれらの組合せからなる群から選択されるプロバイオティクス微生物を含み得る。
【0100】
全てのこれらの菌株は、ブダペスト条約により寄託されていたか、及び/又は市販のものである。
【0101】
菌株を、ブダペスト条約の元で下記のように寄託した。
ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC 3001:ATCC BAA−999
ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC 2705:CNCM I−2618
ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC 2950:CNCM I−3865
ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC 2818:CNCM I−3446
ラクトバチルス・パラカゼイNCC 2461:CNCM I−2116
ラクトバチルス・ラムノサスNCC 4007:CGMCC 1.3724
ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC 2019:CNCM I−1422
ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC 2059:CNCM I−4153
ラクトコッカス・ラクティスNCC 2287:CNCM I−4154
ラクトバチルス・カゼイNCC 4006:CNCM I−1518
ラクトバチルス・カゼイNCC 1825:ACA−DC 6002
ラクトバチルス・アシドフィルスNCC 3009:ATCC700396
ラクトバチルス・ブルガリカスNCC 15:CNCM I−1198
ラクトバチルス・ジョンソニーLa 1:CNCM I−1225
ラクトバチルス・ロイテリDSM 17983:DSM 17983
ラクトバチルス・ロイテリATCC 55730:ATCC 55730
エシェリキア・コリNissle1917:DSM 6601
【0102】
当業者は、本明細書に記載されている本発明の全ての特徴を、開示されているような本発明の範囲から逸脱することなく自由に合わせることができることを、理解するであろう。
【0103】
本発明のさらなる利点及び特徴は、下記の実施例及び図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1A】「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。
【図1B】「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。
【図2】「短時間高温」で処理された後、抗炎症性となった、すなわちインビトロで顕著な抗炎症性免疫プロファイルを示す、非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。
【図3A】「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新しい抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。
【図3B】「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新しい抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。
【図4A】高温での熱処理によって、インビトロで増強した又は新しい抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。
【図4B】高温での熱処理によって、インビトロで増強した又は新しい抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。
【図5】HTST処理で処理された後に、インビトロで抗炎症性免疫プロファイルを示す、非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。
【図6】生菌及び熱処理された(140℃、15秒間)形態の、プロバイオティクス及び乳製品スターター菌株によって生じた、PBMCデータ上の主成分分析(IL−12p40、IFN−γ、TNF−α、IL−10)。各点は、そのNCC番号又は名称によって同定される、生菌又は熱処理された1つの菌株を表す。
【図7】生菌株及び熱処理された(85℃、20分)菌株のIL−12p40/IL−10比を示す。全体的に、85℃での20分間の熱処理は、本発明の「短時間高温」処理とは対照的に、IL−12p40/IL−10比の増加をもたらす(図1、2、3、4及び5)。
【図8】熱処理された細菌で刺激されたヒトPBMCからの、インビトロサイトカイン分泌の増強を示す。
【図9】食塩水で誘発されたOVA感作マウス(陰性対照)、OVAで誘発されたOVA感作マウス(陽性対照)、及びOVAで誘発され、熱処理された又は生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950で処置されたOVA感作マウスにおいて観察された下痢の激しさの割合を示す。結果は、下痢の激しさ(4つの独立の実験から計算した平均±SEM)の割合として示され、100%の下痢の激しさは、陽性対照(感作かつアレルゲンによって誘発された)群において発生した症状に相当する。
【0105】
実施例1
【0106】
方法
【0107】
細菌調製物:
【0108】
生きたプロバイオティクスによってもたらされる宿主の免疫系に対する健康上の利益は一般に、菌株特異的であると見なされる。インビトロで高レベルのIL−10及び/又は低レベルの炎症性サイトカインを誘発するプロバイオティクス(PBMCアッセイ)は、インビボで強力な抗炎症性菌株であることが示されてきた(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。
【0109】
熱処理されたプロバイオティクスの抗炎症性特性を調査するため、いくつかのプロバイオティクス菌株を使用した。これらは、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、及びエシェリキア・コリNissleであった。Nestle Lc1発酵製品を生産するために商業的に使用されるいくつかの菌株を含めたいくつかのスターター培養菌株(ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15及びラクトコッカス・ラクティスNCC2287)もまた試験した。
【0110】
細菌細胞は、5〜15Lのバイオリアクター中で各菌株について最適化した条件で培養した。全ての典型的な細菌増殖培地が使用可能である。このような培地は、当業者には公知である。pHを5.5に調節したとき、30%塩基溶液(NaOH又はCa(OH))を連続的に加えた。適当であるとき、ヘッドスペースをCOでガス処理することによって嫌気性条件を維持した。エシェリキア・コリは、標準的な好気条件下で培養した。
【0111】
細菌細胞は、遠心分離(5,000×g、4℃)によって集められ、概ね10〜1010cfu/mlの最終濃度に達するように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に適当な容量で再懸濁された。調製物の一部は、−80℃で15%グリセロールと共に冷凍された。別の部分の細胞を、以下によって熱処理された。
超高温:140℃に15秒間;間接スチームインジェクションによる。
高温短時間(HTST):74℃、90℃及び120℃に15秒間、間接スチームインジェクションによる。
ウォーターバス中で長時間低温(85℃、20分)。
【0112】
熱処理した上で、試料は使用するまで−80℃で冷凍保存された。
【0113】
細菌調製物のインビトロ免疫プロファイリング:
【0114】
生細菌調製物及び熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロでヒト血液細胞からの特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。細胞密度勾配による分離の後、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。次いで、細胞は、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、france)、1%L−グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)が添加されたIscove変法ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁された。次いで、PBMC(7×10細胞/ウェル)を、生細菌及び熱処理された細菌(7×10当量/ウェルcfu)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。生細菌及び熱処理された細菌の作用を、2つの別々の実験に分割した8人の個別のドナーからのPBMC上で試験した。36時間のインキュベーション後、培養プレートは冷凍され、サイトカイン測定まで−20℃で保持された。サイトカインプロファイリングは、生細菌及びそれらの熱処理された対応物について平行(すなわち、PBMCの同じバッチ上の同じ実験で)で行った。
【0115】
36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN−γ、IL−12p40、TNF−α及びIL−10)のレベルは、製造者の指示に従ってELISA(R&D DuoSet Human IL−10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNFα、BD OptEIA Human IFN−γ)によって決定された。IFN−γ、IL−12p40及びTNF−αは、炎症性サイトカインであり、一方、IL−10は、強力な抗炎症メディエーターである。結果は、4人の個別のドナーの平均(pg/ml)+/−SEMとして表すが、各々4人のドナーで行う2つの個別の実験の代表である。IL−12p40/IL−10比は、各菌株についてインビボの抗炎症作用の予測値として計算される(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。
【0116】
各菌株についてのELISA(上記を参照されたい)によって決定したサイトカインの数値(pg/ml)を、BioNumerics v5.10ソフトウェア(Applied Maths、Sint−Martens−Latem、Belgium)に移した。主成分分析(PCA、ディメンショニング技術)を、このセットのデータで行った。数字についての平均の引き算、及び数字についての分散値による割り算を、主成分分析に含めた。
【0117】
結果
【0118】
超高温(UHT)/高温短時間(HTST)様処理によって生じた抗炎症性プロファイル
【0119】
調査中のプロバイオティクス菌株を、一連の熱処理(超高温(UHT)、高温短時間(HTST)及び85℃に20分間)に曝し、それらの免疫プロファイルを、インビトロでの生細胞の免疫プロファイルと比較した。生きた微生物(プロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物)は、ヒトPBMCと共にインキュベートしたとき、異なるレベルのサイトカイン産生を誘発した(図1、2、3、4及び5)。これらの微生物の熱処理は、温度依存的態様でPBMCによって産生されたサイトカインのレベルを変更させた。「短時間高温」処理(120℃又は140℃、15秒間)は、抗炎症性免疫プロファイルを有する非増殖性細菌を生じさせた(図1、2、3及び4)。実際に、UHT様処理した菌株(140℃、15秒)は、IL−10産生を維持又はさらに誘発する一方で、より少ない炎症性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)を誘発した(生きた対応物と比較して)。このように得られたIL−12p40/IL−10比は、生細胞と比較して、任意のUHT様処理した菌株についてより低かった(図1、2、3及び4)。この観察はまた、HTST様処理によって処理された、すなわち120℃で15秒間(図1、2、3及び4)、又は74℃及び90℃で15秒間(図5)曝露された細菌についても有効であった。熱処理(UHT様又はHTST様処理)は、プロバイオティクス菌株(図1、2、3及び5)及び乳製品スターター培養物(図4)のインビトロ免疫プロファイルに対して同様の作用を有した。生きたプロバイオティクス及び熱処理された(140℃、15秒)プロバイオティクス並びに乳製品スターター菌株によって産生されたPBMCデータ上の主成分分析によって、生菌株はx軸に沿って至る所に分布することが明らかになり、これは菌株がインビトロで、低(左側)から高(右側)までの炎症性サイトカインの誘発物質という、非常に異なる免疫プロファイルを示すことを例示する。熱処理された菌株はグラフの左側上に集団を作り、炎症性サイトカインは熱処理された菌株によってより少なく誘発されることを示す(図6)。対照的に、85℃で20分間熱処理された細菌は、生細胞よりもより多く炎症性サイトカインを、及びより少なくIL−10を誘発し、より高いIL−12p40/IL−10比をもたらした(図7)。
【0120】
抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様処理によって増強又は生じる。
【0121】
UHT及びHTST処理された菌株は、それらの各々の当初の免疫プロファイル(生細胞)に関わらず、抗炎症性プロファイルを示す。インビボで抗炎症性であり、インビトロで抗炎症性プロファイルを示すことが公知であるプロバイオティクス菌株(ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818)は、「短時間高温」処理後に、増強された抗炎症性プロファイルをインビトロで示すことが示された。図1に示すように、UHT様処理されたビフィドバクテリウム属菌株のIL−12p40/IL−10比は、生きた対応物のより低く、したがって、UHT様処理された試料の改善された抗炎症性プロファイルを示した。より著しくは、UHT様及びHTST様処理によって抗炎症性プロファイルが生じたことは、非抗炎症性の生菌株についてまた確認された。生きているラクトバチルス・ラムノサスNCC4007及びラクトバチルス・パラカゼイNCC2461は共に、高いIL−12p40/IL−10比をインビトロで示す(図2及び5)。2つの生菌株は、マウスにおいてTNBS誘発大腸炎に対して保護作用がないことが示された。ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007及びラクトバチルス・パラカゼイNCC2461によって誘発されたIL−12p40/IL−10比は、「短時間高温」処理(UHT又はHTST)後に劇的に減少し、ビフィドバクテリウム属菌株で得られたIL−12p40/IL−10比と同じぐらい低いレベルに達した。これらの低いIL−12p40/IL−10比は、IL−10分泌についての変化なし(ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007)又は劇的な誘発(ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461)と合わせて、低レベルのIL−12p40産生によるものである(図2)。
【0122】
結果として、
生きた微生物の抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様熱処理によって増強させることができ(例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818)、
抗炎症性プロファイルは、非抗炎症性の生きた微生物(例えば、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、乳製品スターターであるストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019)からUHT様及びHTST様熱処理によって生じさせることができ、
抗炎症性プロファイルはまた、プロバイオティクスのエシェリキア・コリ菌株を含めた市販の製品から単離した菌株について示された(図3A及びB)。
【0123】
UHT/HTST様処理の影響は、全ての試験したプロバイオティクス及び乳製品スターター、例えば、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属について同様であった。
【0124】
UHT/HTST様処理を、異なるインビトロ免疫プロファイルを示すいくつかのラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属に適用した。全ての菌株は、UHT/HTST様処理後に、生きた対応物より低い炎症促進性サイトカインを誘発し(図1、2、3、4、5及び6)、これは、結果として得られた非増殖性細菌の免疫特性に対するUHT/HTST様処理の作用が、全てのプロバイオティクス、特にラクトバチルス属及びビフィドバクテリウム属及び特定のエシェリキア・コリ菌株、並びに全ての乳製品スターター培養物、特にストレプトコッカス属、ラクトコッカス属及びラクトバチルス属に一般化することができることを示す。
【0125】
実施例2
【0126】
方法
【0127】
細菌調製物:
【0128】
非増殖性プロバイオティクスの免疫向上特性を調査するため、5種のプロバイオティクス菌株を使用した。3種のビフィドバクテリウム属(ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950)及び2種のラクトバチルス属(ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007)。
【0129】
細菌細胞を、バッチ発酵において、MRS上で37℃にて16〜18時間、pH制御なしで増殖させた。細菌細胞は遠心分離(5,000×g、4℃)され、概ね10E10cfu/mlの最終濃度に達するように食塩水に希釈する前に、リン酸緩衝生理食塩水に再懸濁させた。ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007は、ウォーターバス中にて85℃で20分間熱処理された。ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950は、ウォーターバス中にて90℃で30分間熱処理された。熱処理された細菌の懸濁液は分取され、使用するまで−80℃で冷凍保存された。生細菌は、使用するまで−80℃でPBS−15%グリセロール中に保存された。
【0130】
細菌調製物のインビトロ免疫プロファイリング
【0131】
生細菌調製物及び熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロでヒト血液細胞から特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。細胞密度勾配による分離の後、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。次いで、細胞は、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、France)、1%L−グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)で添加されたIscove変法ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁された。次いで、PBMC(7×10の細胞/ウェル)を、生細菌及び熱処理された細菌(7×10cfu/ウェル当量)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。生細菌及び熱処理された細菌の作用を、2つの別々の実験に分割した8人の個別のドナーからのPBMC上で試験した。36時間のインキュベーション後、培養プレートは冷凍され、サイトカイン測定まで−20℃で保存された。サイトカインプロファイリングは、生細菌及びそれらの熱処理された対応物について平行(すなわち、PBMCの同じバッチでの同じ実験において)で行った。
【0132】
36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN−γ、IL−12p40、TNF−α及びIL−10)のレベルは、製造者の指示に従ってELISA(R&D DuoSet Human IL−10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNF、BD OptEIA Human IFN−γ)によって決定された。IFN−γ、IL−12p40及びTNF−αは、炎症性サイトカインであり、一方IL−10は、強力な抗炎症メディエーターである。結果は、4人の個別のドナーの平均(pg/ml)+/−SEMとして表すが、各々4人のドナーで行う2つの個別の実験の代表である。
【0133】
アレルギー性下痢症の予防における、生菌及び熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のインビボ作用
【0134】
ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のTh1促進作用を試験するために、アレルギー性下痢症のマウスモデルを使用した(Brandt E.Bら、JCI2003;112(11):1666〜1667)。感作(14日の間隔で、オボアルブミン(OVA)及び硫酸アルミニウムカリウムの2回の腹腔内注射;0日目及び14日目)に続き、雄性Balb/cマウスを、6回(27日目、29日目、32日目、34日目、36日目、39日目)OVAで経口的に誘発し、その結果一過的臨床症状(下痢症)及び免疫パラメーターの変化(総IgE、OVA特異的IgE、マウス肥満細胞プロテアーゼ1、すなわち、MMCP−1の血漿濃度)がもたらされた。生菌又は90℃で30分間熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、OVA感作の4日前に(−3日目、−2日目、−1日目、0日目)及び11日目、12日目、13日目及び14日目、並びに誘発期間の間に(23〜39日目)、胃管栄養法によって投与した。概ね10コロニー形成単位(cfu)又は当量cfu/マウスの1日当たり細菌量を使用した。
【0135】
結果
【0136】
熱処理後の「炎症性」サイトカインの分泌の誘発
【0137】
熱処理された菌種の、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)によるサイトカイン分泌を刺激する能力をインビトロで評価した。熱処理された細菌によるPBMCの刺激による4つのサイトカインに基づいた免疫プロファイルを、同じインビトロアッセイにおいて生細菌細胞によって誘発される免疫プロファイルと比較した。
【0138】
熱処理された調製物を蒔き、生菌数が存在しないことについて評価した。熱処理された細菌調製物は、蒔かれた後にコロニーを形成しなかった。
【0139】
生きたプロバイオティクスは、ヒトPBMCと共にインキュベートされるときに、異なる、かつ菌株依存レベルのサイトカイン産生を誘発した(図8)。プロバイオティクスの熱処理は、生きた対応物と比較すると、PBMCによって産生されるサイトカインのレベルを変更した。熱処理された細菌は、生きた対応物よりも炎症性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)をより誘発した。対照的に、熱処理された細菌は、生細胞と比較して同様又はより低い量のIL−10を誘発した(図8)。これらのデータは、熱処理された細菌が生きた対応物よりも免疫系をより刺激することができ、したがって弱体化した免疫防御をより向上できることを示す。すなわち、インビトロデータは、熱処理後の菌種の増強された免疫向上作用を例示する。
【0140】
(生細胞と比較した)熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950の、免疫系に対する増強された作用を例示するために、生菌及び熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)の両方を、アレルギー性下痢症の動物モデルにおいて試験した。
【0141】
陽性対照群と比較して、下痢の激しさは、熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処置後に有意に及び一貫して減少(41.1%±4.8)し、一方では下痢の激しさは、生きているビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処置後に20±28.3%のみ低下した。これらの結果は、熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950が、その生きた対応物よりアレルギー性下痢に対して増強された保護作用を示すことを示す(図9)。
【0142】
結果として、プロバイオティクスが免疫防御を増強する能力は、熱処理の後に改善することが示された。
【0143】
さらなる実施例:
【0144】
下記の全脂乳組成物を調製し得る。
144gの乾燥組成物を900mLの水と混合し、そのまま飲める配合物を得る。
【0145】
【表1】

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
12カ月の月齢から開始して幼児に投与される、プロバイオティクス微生物、並びにエンドウ豆外皮繊維、オリゴフルクトース、イヌリン及びこれらの組合せから選択されるプレバイオティクスを含む全脂粉乳組成物。
【請求項2】
20〜27g/100g乾燥重量の量のタンパク質源、49〜52g/100g乾燥重量の量の炭水化物源、及び19〜24g/100g乾燥重量の量の脂質源を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リノール酸及びα−リノール酸を10:1〜6:1の範囲の比で含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
約30〜36gの乾燥組成物及び200〜250mLの水を含む1食が、1回目は朝食時に、2回目は日中に投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
プロバイオティクス微生物が、非増殖性プロバイオティクス微生物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
1食当たり約10〜1012cfuに相当する量のプロバイオティクス微生物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
非増殖性プロバイオティクス微生物が、熱処理によって、好ましくは少なくとも1秒間の少なくとも71.5℃の高温処理によって非増殖性にされた、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
熱処理が、約1〜120秒間の約71.5〜150℃の高温処理であり、好ましくは高温/短時間(HTST)処理又は超高温(UHT)処理である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
炎症性疾患の予防又は治療において使用するための、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
熱処理が、約70〜150℃の温度範囲で約3分〜2時間、好ましくは80〜140℃の範囲で5分〜40分間行われる、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
免疫防御不全と関連する疾患の予防又は治療において使用するための、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非増殖性である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
プロバイオティクス微生物が、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、プロピオニバクテリウム属、又はこれらの組合せ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ラクトコッカス・クレモリス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・デルブレッキー、エシェリキア・コリ、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
プロバイオティクス微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・ジョンソニーLa1、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・ロイテリDSM17983、ラクトバチルス・ロイテリATCC55730、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、エシェリキア・コリNissle、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15、ラクトコッカス・ラクティスNCC2287、又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
1日用量当たり約0.005mg〜1000mgの非増殖性微生物を含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−526759(P2012−526759A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510258(P2012−510258)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056401
【国際公開番号】WO2010/142504
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】