説明

プロバイオティック組成物、並びにプロバイオティック組成物を投与する方法及び器具

【課題】従来技術が有する1又は2以上の限界を克服し若しくはかなり改善し、又は少なくとも有用な他の選択肢を提供する。
【解決手段】プロバイオティック微生物を含有するプロバイオティック組成物がマトリクス内に埋め込まれており、前記マトリクスは前記微生物の生存能力を実質的に変化させない。前記マトリクスは液体キャリアと接触することによって前記微生物中に放出される。本発明は前記組成物を製造するための方法、前記組成物(2)の特定の形状と、加えるための装置を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、プロバイオティクス並びにこれを投与する方法及び器具に関する。
【0002】
本発明は、主として、プロバイオティックの生存能力を適切なレベルに維持しつつ、常温以下で保存可能なプロバイオティック組成物を提供するために創作された。一形式において、本発明は、プロバイオティック組成物を消費時にキャリア液と一体的に投与できるような形態で提供できるようにするために創作された。しかしながら、本発明はこのような特定の用法に限定されるものでなく、プロバイオティックの生存能力を様々の用途において維持するためにも用い得ることが理解されるであろう。加えて、本発明及び方法は、他の栄養添加剤、医薬品、栄養補助食品、機能性食品材料、着色料又は香味料を含む添加剤及びその他の形式の懸濁液において可溶性又は可搬性がある天然又は医薬の健康製剤、活性成分及び補助剤と関連して使用してもよい。
【背景技術】
【0003】
先行技術に関する次の議論は、本発明の機能及び利点が適切な技術的文脈において十分に理解されるようにするために、技術的な背景として提供するものである。しかしながら、先行技術に対するいずれの言及も、かかる技術が当該技術分野において広く知られ又はありふれた一般的知識の一部を形成すると表明するものでも黙示的に認めるものでもない。
【0004】
<プロバイオティクス>
プロバイオティック微生物は当該技術分野において広く知られている。この用語は、腸内ミクロフローラの組成の回復や改善といった有益な効果を与えるために、対象に対して投与可能な生きている微生物の製剤を意味する。プロバイオティクスは、潜在的に有益なバクテリア又は酵母を含む栄養補助食品として典型的には提供され、カプセルや粉末に加えて食糧の形態で広く消費されている(非特許文献1)。一般に、ラクトバチルス属とビフィドバクテリウム属を含む乳酸菌がプロバイオティクスとして使用されているが、その他にもエシェリキア属の菌株や、ラクトコッカス属、プロピオニバクテリウム属、バチルス属、サッカロミセス属を含む他の属も使用されている。これらの属内において、多くの種及び株がプロバイオティック特性を有すると報告されている。プロバイオティクスを送達する最も一般的な媒体は、乳製品とプロバイオティック強化食品である。しかしながら、プロバイオティクスを含んでいる粉末、タブレット及びカプセルもまた利用可能である。
【0005】
バクテリア及び酵母の異なる菌株は、各菌株が提供可能なプロバイオティック上の利点において異なる。しかしながら、すべてのプロバイオティクスにとって共通する問題は、加工と保存中の生存に係る問題である。細菌は、活性があって最大の有益な効果を与えるためには、生きていなければならないとの報告が多くあるからである。
【0006】
<プロバイオティックの生存の維持>
大量のプロバイオティクスは、凍結乾燥に先立ち、凍結防止剤を発酵容器からの濃縮物に加えることにより調合された粉末として一般的には供給される。しかしながら、濃縮物の噴霧乾燥も使用される。生産及び保存の際にプロバイオティックの生存能力を維持するために、例えば特許文献1のような、様々の添加剤が凍結防止剤として使用されてきた。種々の添加剤もまた科学的な刊行物や特許出願において報告されてきた。様々のコーティング材をしばしば噴霧乾燥と一体的に用いるマイクロカプセル化プロセスが報告されている(例えば、特許文献2〜4)。凍結乾燥は、集菌後に直接に、又は液滴を液体窒素の中で凍結した後に凍結した液滴を乾燥することにより行われる。得られた乾燥材料は、その後、砕かれて粉末化される。この粉末及び最終製品は、常温では多くが死滅してしまうので、典型的には冷却して保存される。各工程間中に及び発酵中に添加剤を加えることにより生存性を改善するための多くの研究がなされてきた(例えば、特許文献5)。柔らかくて噛むことのできる菓子類におけるプロバイオティクスの生存も報告されている(特許文献6)。望ましいプロバイオティック組成物は、常温で保存する際に有益な量の生存可能な微生物を維持することができるようなものであろう。さらに、子どもや幼児に対してプロバイオティック組成物を投与するための方法及び器具があれば望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第20050100559号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第20070122397号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第20070059296号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第20040223956号公報
【特許文献5】米国特許第6,939,705号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第20060263344号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】スタントン(Stanton)他、Market potential of probiotics.Am J Clin Nutr 73(suppl):476S−83S.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術が有する1又は2以上の限界を克服し若しくはかなり改善し、又は少なくとも有用な他の選択肢を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の側面によれば、基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物を備えるプロバイオティック組成物であって、前記基質は前記微生物の生存能力を実質的に変化させず、これにより、前記基質は液体キャリアと接触してその中に前記微生物を放出するプロバイオティック組成物が提供される。
【0011】
好ましくは、その基質は、水が殆どなく、当該技術分野において既知の方法、例えば凍結乾燥(freeze−drying)、噴霧乾燥、流動層乾燥、パン乾燥、トレー乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥又は凍結乾燥(lyophilisation)によって乾燥してもよい。プロバイオティック微生物の生存能力を改善し又は維持するために、その基質は、常温で保存する際にプロバイオティック微生物の生存能力を実質的に変化させない1又は2以上の材料を好ましくは備える。
【0012】
その基質は、水性又は非水性の成分を含んでいてもよい。好適な実施形態において、その基質は、種々のでんぷん、マルトデキストリン、糖類、タンパク質、食用油、脂肪、脂肪酸、二酸化ケイ素、増粘剤(ガム・ゴム)、ミルク化合物若しくはミルク派生物、結合剤及び乳化剤からなる群から選択された1又は2以上の成分を含む。これらの成分の中にはプレバイオティクスとしても作用し得るものが含まれており、消費されるとプロバイオティック微生物の生存、成長及び増殖を助長することが理解されるであろう。周知の食用油及び脂肪以外の非水性の基質成分は、種々の食用の及び/又は医薬用グレードのポリオールから選択してもよい。基質からプロバイオティック微生物を放出するのを助けるために、その基質は既知の崩壊剤、「押し出し」化合物などをさらに取り入れていてもよい。
【0013】
好ましくは、プロバイオティック細菌は、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ラクトコッカス属、プロピオニバクテリウム属、バチルス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属及びエシェリキア属を備える群から選択されるが、これらに制限されるものでない。しかしながら、サッカロミセス属のようなプロバイオティック酵母を含む非細菌プロバイオティクスもまた知られているところであり、本発明ではその使用も検討する。好適な実施形態において、プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ビフィドバクテリウム・エスピー(Bifidobacterium sp)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adelocentis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviscae)及びサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)から選択される。
【0014】
しかしながら、プロバイオティック微生物の上記リストは限定的なものでなく、当業者である読者であれば、本発明の組成物において多くの他の商業的に入手可能なプロバイオティック微生物が使用可能であることを理解されるであろう。
【0015】
好適な実施形態では、プロバイオティック微生物は、属であるラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属から選択される。最も好適な一実施形態において、プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)及びビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、2つ以上の属、種又は菌株及び/又は遺伝子操作された微生物を備える。この点に関し、1つの「微生物」又は「プロバイオティック」との用語は、単一の属、種及び/若しくは菌株、又は複数の属、種及び/若しくは菌株の混合物に対する言及を含むことが意図されており、また、遺伝子操作された微生物に対して言及することも意図されている。それは、代替の又は追加的な利点を与えることがある。さらに、本発明の文脈においては、「プロバイオティック」及び「プロバイオティック微生物」との用語は、区別なく使用される場合がある。
【0016】
プロバイオティック微生物は、液体キャリアが移動する基質上及び/又は基質内での液体キャリアのメカニカルな影響により基質から放出されることが可能であり、また、基質が全体的又は部分的に溶解するにつれて、液体キャリアの中へと分解し及び/又は崩壊する。
【0017】
このように、基質は、液体キャリアにおいて全体的若しくは部分的に可溶であり、又は液体キャリアにおいて全体的若しくは部分的に可溶な材料を含んでいてもよい。いずれにしても、ここで用いる「溶解された」、「溶解可能な」などの用語は、厳密な化学的意味における溶解だけでなく、キャリア液とともに形成された懸濁液、スラリー及び混合物も包含するよう、十分に広く解釈されることが意図されている。「可溶」との用語は、物質及び材料について用いられた場合、ここで定義したような溶解されるような又は溶解可能であるような物質及び材料の特性を意味する。このように、本発明の文脈においては、「可溶」、「溶解可能」、又は「溶解された」との用語は、キャリア流体に完全に溶解し又は可溶な基質の他、キャリア流体と接して単に崩壊したり浸食されたりするだけの基質を包含することが意図されている。
【0018】
好ましくは、液体キャリアは可動流体であり、「液体キャリア」との用語は、摂取に適している任意の液体を意味し、医薬製剤と水、ミルク、果汁、野菜汁、電解質の飲料などの食料とを含む。
【0019】
本発明の組成物は、香味料、着色剤、栄養剤、栄養補助剤、添加剤、ビタミン剤、組換え製品、及びその他の当該技術分野において知られている有用又は有益な添加物を含む他の添加物を含んでいてもよい。添加物、特に食品添加物とその既知の使用法とに関する網羅的なリストは、例えば、http://www.nutritiondata.com/topics/food−additivesで探すことができる。
【0020】
さらに、組成物は、抗生物質、鎮痛剤などの1又は2以上の薬学的活性剤を含んでいてもよい。その薬学的活性成分は、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、平滑剤、甘味料、香味料、着色剤及び防腐剤のような、薬学的に受容可能なキャリア/添加剤と混合されてもよい。その例としては、限定する趣旨ではないが、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水の乳剤のような乳剤、及び種々のタイプの湿潤剤のような標準的な医薬キャリアのうちのいずれも含まれる。他の添加剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、結晶セルロース、ステアリン酸、ゼラチン、スクロース及びアカシアゴムが含まれるが、これらに限定されない。種々のタイプの剤形を調合する方法と、キャリア、添加剤及び添加物の選択については、標準的な薬学のテキスト及びマニュアルを参照されたい。そのようなものとして、例えば、レミングトンのRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.,Mack Publishing Co.,1995、ラクマン等のthe Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Lachman L.,et al.Lea&Febiger,Philadelphia 3rd Edition、ベントレーのBentley’s Textbook of Pharmaceutics Ed.EA Rawlings Ballilliere Tindall, London 8th Editionがあり、これらは参照によりここに全体として組み入れられる。
【0021】
第2の側面によれば、ペレットの形態をしたプロバイオティック組成物であって、基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物を備え、前記基質は前記微生物の生存能力を実質的に変化させず、これにより、前記基質は液体キャリアと接触してその中に前記微生物を放出するプロバイオティック組成物を提供する。
【0022】
第3の側面によれば、ペレット形の形態をしたプロバイオティック組成物であって、コア・ビードと基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物とを備え、前記基質は前記微生物の生存能力を実質的に変化させないで、該基質はコア・ビード上に又はコア・ビード内に設けられ、これにより、前記基質は液体キャリアと接触してその中に前記微生物を放出するプロバイオティック組成物が提供される。
【0023】
そのペレット形態の組成物は、その基質の迅速な溶解、分解又は浸食と、プロバイオティック微生物の基質内から液体キャリアへの放出とを促進する。
【0024】
好ましくは、プロバイオティック微生物を含む基質をビード・コアに埋め込んで多孔性のペレット又はビードを形成できるように、そのコア・ビードは多孔性又は半多孔性である。そのような多孔性のペレットは、必要(例えば、ペレット及び/又は微生物の保護、風味と色の追加、プレバイオティクス又は異なるプロバイオティック微生物の追加、栄養成分の追加など)に応じて1又は2以上の層によって覆ってもよい。
【0025】
コア・ビード及び/又は基質は液体キャリアにおいて可溶なものであってもよく、これによりプロバイオティック微生物が放出される。しかしながら、プロバイオティック微生物は、ビード・コア及び/又は基質の分解又は浸食によるのと同じくらい効果的に放出されてもよいことが理解されよう。
【0026】
好適な基質は、油を備える非水性の基質である。適切な油及びその他の非水性の基質成分の選択については、以下においてより詳細に議論する。
【0027】
第4の側面によれば、ペレット形の形態をしたプロバイオティック組成物であって、コア・ビードと基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物とを備え、前記基質は前記微生物の生存能力を実質的に変化させず、該基質は複数の層内のコア・ビード上に設けられて積層されたペレットを形成し、これにより、前記基質は液体キャリアと接触してその中に前記微生物を放出するプロバイオティック組成物が提供される。
【0028】
ここで使用する「ペレット」という用語は、不連続な単位を指し、形状が全体的に球状のビードだけでなく、長球、扁球、シリンダ、棒体、プリズム、又はその他の規則的で幾何学的な若しくは不規則的な形状を含む他の形状を包含するビーズのようなものを含む。「ペレット」という用語は、「ビード」という用語と区別なく用いる場合がある。ここで用いる「ビード・コア」という用語は、「コア」という用語と区別なく用いる場合があり、ビード又はペレットの調合の際の出発点として一般的に用いられる糖類結晶などのような物を記述することを意図している。「コア・ビード」という用語は、ここでは、ビード又はペレットを記述するために用いられ、ビード又はペレットの内部には又はその表面にはプロバイオティックの調合が適用される。
【0029】
より好ましくは、プロバイオティック組成物は、ほとんど球状のビードの形をしている。同様のサイズの又は所定の範囲内で分類された十分に球状のビードは、およその時間内で送達されるべきおよその投与量を考慮したより一貫した溶解プロフィルを提供する。
【0030】
一実施形態において、ペレット又はビードは、組成上十分に均質であり、微生物はそのビード又はペレットの全体にわたって存在する。したがって、ビード又はペレットは多孔性か又は半多孔性であってもよく、これによりそのビード又はペレット内の空間は基質成分及びプロバイオティック微生物によって満たされる。好適な化合物には、ペクチン、ゼラチン、親水コロイド・ゲル剤及びその他これらに類似する物質が含まれる。キャリア液をそのビード若しくはペレットを透過させることにより、又はその多孔性のビード若しくはペレットの溶解、分解若しくは浸食により、プロバイオティック微生物がそのペレット又はビードから放出されるようにしてもよい。加えて、その多孔性のビード又はペレットは、保護膜として機能する追加的な層で覆ってもよく、あるいはまた上記で議論したような基質成分を含むようにしてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、ペレット又はビードは「ノンパレイユ」なペレットとして形成される。「ノンパレイユ」とは、食品及び菓子類の製造業界における技術用語であり、材料を連続して積み重ねることにより形成された構造を示すものである。ここで用いられるように、その用語は、本発明の文脈においては、プロバイオティック成分、基質、香味料、栄養学的又は薬学的剤形から形成された連続した層の積み重ねという観点から類似する意味を包含することが意図されている。
【0032】
各ペレットは、一層一層形成することができるので、各層の組成を必要に応じて異ならせることができる。有利な点として、この構成により、ペレット又はビードの溶解工程の間にこれらのサイズが小さくなるにつれて、各ペレット又はビードの形状がしっかりと保たれるよう、ペレットの溶解、分解又は浸食の特性を制御することができるようになる。
【0033】
さらに、積層された構造により、1又は2以上のプロバイオティック微生物を含みうる添加物の、ペレット内における分布を制御できるようになる。例えば、プロバイオティック微生物は、ビードの任意の1又は2以上の層に存在・位置することが可能である。異なる組合せに係るプロバイオティック微生物と他の添加物とを、複数の層の全体にわたって分布させることも可能である。
【0034】
このようなものであるので、積層された構造は、プロバイオティック微生物と他の添加物が液体キャリアへ放出される順序に対して制御を提供することができる。例えば、ペレットの外側層にプレバイオティックを、且つそのペレットの内側層にプロバイオティックを配置することにより、そのプレバイオティックをプロバイオティック微生物より先にキャリア液へ全般的に放出することができる。
【0035】
他の実施形態において、基質は連続する複数の層に対して適用され、その1又は2以上の層はキャリア流体において可溶である必要がない。好ましくは、その1又は2以上の層は、油、脂肪、脂肪酸、セラック又はワックスを含む。より好ましくは、その油、脂肪、脂肪酸、セラック又はワックスは、食用の油、脂肪、脂肪酸、セラック又はワックスである。
【0036】
好ましくは、その連続する層は、異なる微生物を含む。ある具体的なプロセスでは、タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末及び油のみを又はこれに加えて添加アカシアゴム(2.5%)及び/又は添加二酸化ケイ素を連続的に追加することを伴うパニングプロセスにおいて、油のような非水性の基質を使用してビードをコーティングすることを伴うことが可能である。不可欠ではないが、好ましくは、出発物質、すなわちビードは、非常に乾燥している(水分活性は、好ましくは僅か0.1)。好ましくは、その油は、プラント/植物油である。より好ましくは、その油はキャノーラである。
【0037】
様々な種類の適切な/受容可能な油には、オリーブオイル、パーム油、大豆油、キャノーラ油、パンプキンシード油、トウモロコシ油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、ブドウ種子油、胡麻油、アルガン油、やし油及び米糠油が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
この好ましい実施形態は、また、The Handbook of Australasian Edible Oils(Publisher−Oils and Fats Specialist Group NZIC)やHandbook of Food Preservation(edited by M.Shafiur Rahman,CRC Press(http://books.google.com/books?id=sKgtq62GB_gC&pg=PA482&lpg=PA482&dq=EDIBLE+OILS+COATINGS&source=web&ots=DEJ62MNDHQ&sig=sJP9yjJXG6qp2uv7KS424OoV4Ks&hl=en&sa=X&oi=book_result&resnum=8&ct=result#PPP1,M1)に記載されているような他の食用グレードの受容可能な又は食用の油又はコーティングを使用して調合することもできる。
【0039】
他の非水性成分は、プロピレングリコール、他のグリコール化合物、ステロール等のような、食用又は製薬グレードのポリオール等から選択してもよい。
【0040】
好ましくは、液体キャリアは、コンテナのようなソースから、可溶化されて微生物が放出されるようにプロバイオティック微生物を含む基質と接するように移動する可動流体である。これによって、その後液体のフローにより、微生物が対象に運搬されて摂取される。さらに好ましくは、ペレット又はビーズは、プロバイオティック微生物がペレット若しくはビードの全体にわたって又はペレット若しくはビードの内側・外側の各層の両方において分散されている場合に、約200mLの標準的な容量で溶解するようになっている。もちろん、プロバイオティク微生物がペレット又はビードの表面のような外側層にのみ存在する場合又は基質がより急速に溶解するように設計されている場合には、プロバイオティクスを放出して投与するのに必要な量はより少なくなるであろう。
【0041】
第5の側面によれば、プロバイオティック微生物を備える積層されたペレットを製造する方法であって、
i)ビード・コアを提供するステップと、
ii)基質材の層を前記コアに付着して積層されたペレットを提供するステップと、
iii)選択的に、さらに、前記積層されたペレットを、1回又は2回以上該基質材と接触させて追加的な1又は2以上の層を適用するステップと、を備え、
ステップi、ii又はiiiのうちの少なくとも1つは、該積層されたペレットがプロバイオティック微生物を含むようにプロバイオティック微生物を備える基質材を含む方法が提供される。
【0042】
好ましくは、そのビード・コアは、可溶性の砂糖結晶である。当該技術分野において知られているように、適当な砂糖として、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース及びその他の適当な砂糖が含まれる。しかしながら、そのビード・コアも積層された材料も、キャリア液と接触した時にプロバイオティック微生物を放出できるように可溶である必要がないと理解されよう。そのため、そのビード・コア及び/又は積層された材料は、キャリア液に晒された時に崩壊し又は浸食してもよい。
【0043】
その砂糖コアは、また、当該技術分野において既知のソルビトール、マンニトール、キシリトール又はその他の砂糖代替物のような低エネルギー砂糖代替物である場合がある。
【0044】
1又は2以上の実施形態において、ペレット又はビードの中の又はその上プロバイオティック微生物の位置は、外側層、内側層、中間層、コア又は外側層、内側層及び中間層の任意の組合せ、又はペレット又はビードのコアの任意の組合せから選択される。好ましくは、ペレットの複数層の内の1又は2以上は、油を含む。より好ましくは、油は食用油である。連続する層は、異なる微生物を含んでいてもよい。
【0045】
他の実施形態において、先に記載したように、ビード・コアにプロバイオティック微生物を埋め込むことを可能にするためにビード・コアは多孔性であってもよく、また、表面保護コーティング層、又はプロバイオティック・バクテリアや調味料、着色料等のような他の成分を含んでいてもよい1又は2以上の層を追加的に有していてもよい。さらに、ビード・コアは、押出し、造粒又はその他のプロセスによって形成してもよい。
【0046】
したがって、第6番の側面によれば、ペレット形態のプロバイオティック組成物を製造する方法であって、
i)多孔性又は半多孔性のビード・コアを提供するステップと、
ii)前記コアにプロバイオティック微生物を備える基質を埋め込むステップと、
iii)選択的に、前記埋め込みがなされたコア上に1又は2以上の表面コーティング層を適用するステップと、を備える方法が提供される。
【0047】
第7の側面によれば、本発明の方法によって製造された、プロバイオティック微生物を備えるペレット組成物が提供される。
【0048】
好ましくは、本発明による積層されたペレットは可溶であって、様々のデンプン、マルトデキストリン、砂糖、タンパク質、食用油、脂肪、脂肪酸、二酸化ケイ素、ゴム、ミルク化合物及びそれらの派生物・誘導体、親水コロイド、結合剤及び乳化剤から成る群から選択された1又は2以上の成分を含む基質又は材料を備える。これらの成分のうちのいくつかはプレバイオティクスとしても機能し、消費された際にプロバイオティック微生物の生存、成長及び増殖を助長することが理解されるであろう。油脂以外の非水性の基質成分は、様々な食用及び/又は製薬グレードのポリオールから選択されてもよい。基質からのプロバイオティック微生物の放出を支援するために、基質は既知の崩壊剤、「押し出し」化合物等をさらに組み入れていてもよい。
【0049】
多孔性又は半多孔性のビード・コアを利用する実施形態において、コア及び/又はコアにプロバイオティック微生物を埋め込むのに使用された基質は、可溶であってもよく、あるいはキャリア液と接することで崩壊したり浸食されたりするものであってもよい。多孔性のビード・コアの利点は、多くの生存可能なプロバイオティック微生物を各ペレット内に導入可能であり、これにより、より多量の生存可能なプロバイオティック微生物を送達することが可能となるという点である。
【0050】
好ましくは、1又は2以上の異なるプロバイオティック組成物は、異なるプロバイオティック微生物を備え、ともに混合することが可能である。各組成物は異なる成分を含んでいてもよく、異なるタイプのペレット形態と内容を含む。
【0051】
別の側面によれば、プロバイオティック組成物を含むコンテナであって、前記コンテナは空気を通さないように密閉されているコンテナが提供される。
【0052】
好ましくは、前記コンテナは、プロバイオティック組成物の目盛りを含み、所定量のプロバイオティックを有する使い捨ての小袋である。
【0053】
他の実施形態において、細長い形状のチューブやストロー等で使用するための、本発明によるプロバイオティック組成物が提供される。
【0054】
他の側面によれば、本発明による、キャリア液中への分散用のプロバイオティック基質組成物を備える複数のペレット又はビーズを含むレセプタクル(貯蔵器)が提供され、前記レセプタクル(貯蔵器)は、複数のペレット又はビーズを含めるのに適した本体を含み、1組のフィルタが一定の間隔を置いた関係で配置され、該キャリア液の通過を比較的許容しつつ前記複数のペレット又はビーズを該本体内に保持するように実質的に適応されている。
【0055】
1つの形式において、レセプタクル(貯蔵器)は、ストローとしての使用に適した細長いチューブの一部、すなわちこれに連結するのに適するようになっており、これにより、キャリア液がレセプタクル(貯蔵器)を通して吸い込まれること、及びプロバイオティック微生物がチューブ内のキャリア液へ分散されることを可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態において、そのフィルタは、第1のペレット又はビーズをレセプタクル(貯蔵器)内に、第2のペレット又はビーズをストロー内に、それらが十分に溶解するまで保持するために大きさが十分小さい複数のパーフォレーション(穴)と、適度な強さの口による吸引の下でキャリア液がストローを介して流れるのをあまり害さないようにするための大きさが十分大きい複数のパーフォレーションとを好ましくは含む。
【0057】
また、フィルタに関して用いられる「組」という用語は、そのようなフィルタが形式や構造において、互いに又はこれと併用して使用された場合の他のフィルタと、必ずしも同一であることや類似していることを示唆することを意図するものでない。
【0058】
いくつかの実施形態において、フィルタは、本体の対向端部に、対向端部に上に又は対向端部付近に配置される。他の実施形態では、しかしながら、2つのフィルタの一方又は両方を、本体内の又は本体の長さに沿った中間位置に配置してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、レセプタクル(貯蔵器)は、ストローを形成するチューブの一構成部分として形成される。すなわち、レセプタクル(貯蔵器)は、そのチューブによって区画される。例えば、一実施形態において、レセプタクル(貯蔵器)は、ストロー自体内のチェンバ、コンパートメント又は領域として区画される。なお、このチェンバは、1又は2以上のフィルタ及び/又はバルブによって部分的に区画されてもよい。他の実施形態では、しかしながら、レセプタクル(貯蔵器)は、次工程のステップ、製造作業又は組立工程の一部として、ストローとの接続又は一体化に適した別個に分離した要素として形成される。
【0060】
いくつかの実施形態において、ペレット又はビーズは全般的に球状の形をしており、本体の内径の5%と95%の間の、好ましくは10%と90%の間の平均直径を有する。他の実施形態において、その全般的に球状のペレット又はビーズは、本体の内径の20%と80%の間に、さらに他の実施形態においては25%と約75%の間にある。本体自体は、いくつかの実施形態においては3mmから15mmの、またいくつかの実施形態においては7mmから9mmの内径を有する。いくつかの実施形態において、ペレット又はビーズは、1mmから8mmの、理想的には1.5mmから3mmの平均直径を有する。非円形のストロー及び/又は本体の場合、すなわち一様でない断面のストロー及び/又は本体の場合においては、上記の寸法は大体の指針となることを認識されるであろう。例えば、そのようなストロー及び/又は本体の最大幅及び最小幅は好ましくは3mmから15mmの推奨範囲であり、より好ましくは5mmから12mmである。
【0061】
1つのとりわけ好適な実施形態において、ストローの内径は約8mmであり、ペレットは1mmと3mmの間にある。他のとりわけ好適な実施形態において、ストローの内径は約5mmであり、ペレットは1mmと3mmの間にある。いくつかの実施形態において、ペレット又はビーズのうちのいくつかの少なくとも最内層は、最外層よりも濃い濃度でプロバイオティック微生物及び/又は添加剤を含んでいる。好都合なことには、この濃度の増大は、ペレット又はビーズが次第に溶解するにつれて、それらの表面積が減少するのを相殺し、これにより消費される際にプロバイオティック微生物、香味料又はその他の成分を比較的一定の濃度に保つことができる。
【0062】
プロバイオティックのビーズ又はペレットは、ストロー、レセプタクル(貯蔵器)又はチューブ内に追加的な1又は2以上の成分とともに使用することができ、そのプロバイオティック微生物とその追加的な1又は2以上の成分とは、ストロー、レセプタクル(貯蔵器)又はチューブ内のキャリア液の中に徐々に分散する。追加の成分はとしては、薬剤、ビタミン、ミネラル、栄養剤、健康強壮剤、着色剤又は香味料剤が含まれ、使用可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、プロバイオティクス及び任意の追加的な1又は2以上の成分/組成の濃度及び/又は溶解速度は、予定されているキャリア液の所定容量の消費により、それらの成分/組成のすべてが十分に溶解して送達されるように選択される。そのような一実施形態において、ストローは、予定されているキャリア液の所定容量を含むか収納するのに適している補足的なコンテナとともにパッケージ化して販売される。
【0064】
文脈が明らかに別段の事項ないし考慮を必要とするものでない限り、発明の詳細な説明と特許請求の範囲の全体を通して、「備える」、「備えている」等の言葉は、排他的又は包括的な意味に対立するところの包含的な意味において、すなわち何かを「含むが、これに限定されない」という意味において解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、従来技術が有する1又は2以上の限界を克服し若しくはかなり改善し、又は少なくとも有用な他の選択肢を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、外側層にプロバイオティック微生物を備えたペレット又はビードの断面図である。
【図2】図2は、バリヤ層によって分離された複数の層にプロバイオティック微生物及び/又は添加剤を備えるペレット又はビードの断面図を示す。
【図3】図3は、外側保護バリヤ層を備え、複数層にプロバイオティック微生物を備えるペレット又はビードの断面図を示す。
【図4】図4は、プロバイオティック微生物が埋め込まれた多孔性又は半多孔性のビード・コアと外側保護層とを有するペレット又はビードの断面図を示す。
【図5】図5は、本発明による、第1の活性成分を含んでいる飲用ストローの透視図である。
【図6】図6は、図5(図1)に図示したストローの平面図である。
【図7】図7は、本発明による、第1の活性成分と第2の活性成分をそれぞれに有する第1のペレットと第2のペレットを含む、第1のチェンバと第2のチェンバを含む他の実施形態に係るストローの平面図である。
【図8】図8は、本発明による、複数の活性成分をそれぞれに有する複数のペレットを含む、複数のチェンバを含む他の実施形態に係るストローの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、キャリア液体を用いて哺乳類に投与するためのプロバイオティック微生物を包含するプロバイオティック組成物を提供し、また、キャリア液体に前記組成物を加えるための方法及び器具に及ぶ。
【0068】
前記プロバイオティック組成物は、可溶性基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物を含有している。前記プロバイオティック微生物は、一般的には体に良い働きをする(プロバイオティック)細菌性の微生物であるが、当該技術分野において知られている他の微生物、例えば、サッカロミセス属のような酵母を用いてもよい。
【0069】
細菌属は、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、バチルス属(Bacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エッシェリキア属(Escherichia)並びにサッカロミセス属(Saccharomyces)のように一般的に使用されているか、又は、プロバイオティック微生物として知られるものから任意に選択してもよく、また、最も好ましい実施形態として、それらの細菌は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ビフィドバクテリウム・エスピー(Bifidobacterium sp)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adelocentis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviscae)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)及びラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)からなる群から選択される。適切なプロバイオティック微生物が当該技術分野において公知のそれらから選択してもよく、また、プロバイオティック微生物の混合物が、例えば、複合的又は補完的な健康上の利益をもたらすことが望まれるときなど、特定の用途に合わせて用いてもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。
【0070】
可溶性基質(これの中に前記プロバイオティック微生物が埋め込まれている)は、保管中の微生物の生存能力を実質的に変化させない役割を果たし、液体キャリア中に微生物を放出するため、液体キャリアと接触して溶解し、又は分散することができる。基質成分は、溶解された形態又は微粒子の形態で液体キャリアによって輸送できるものであるが、溶解できるのが好ましい。同一の又は異なる基質を有し、異なるプロバイオティック微生物を含む一つ以上の異なるプロバイオティック組成物はともに混合することができる。これはそれぞれの最適な生存率をもって1又は2以上の微生物が送達されるのを許容するものである。
【0071】
可溶性基質は、炭水化物、乳製品、結合剤、増粘剤、乳化剤、油、脂肪、脂肪酸、ワックス、水、二酸化ケイ素並びにタンパク質及び当該技術分野において知られているその他の食品グレードの組成物からなる群から選択される1又は2以上の成分を含んでいてもよい。より具体的には、その化学成分は、難消化性澱粉、デキストリン、糖類、脱脂乳、ゼラチン、キャノーラ油、水、二酸化ケイ素、スクラロース、アカシアゴム、大豆タンパク質及びレシチンからなる群から選択される。好適な実施形態としては、基質は、難消化性タピオカ澱粉、マルトデキストリン、ラクトース、トレハロース、脱脂粉乳、ゼラチン粉末、水、二酸化ケイ素、スクラロース、アカシアゴム、大豆タンパク質及びレシチンからなる群から選択される1又は2以上の成分を含んでいる。当該技術分野で公知の他の構成要素が特定の用途に合わせて選択してもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。
【0072】
用いられているプロバイオティック微生物の種類が重要ではなく、また、プロバイオティック微生物の前記リストが非限定的であることも理解できるであろう。当業者である読者であれば、多くの他の市販されているプロバイオティック微生物を使用可能であることが理解できる。
【0073】
また、プロバイオティクス(体に良い細菌;probiotic)に加えて、他の活性成分を可溶性基質に含ませてもよいことも理解できるであろう。例えば、プロバイオティク微生物とともに含ませる他の活性成分として、薬剤、ビタミン、ミネラル、栄養剤、健康強壮剤、エネルギー補足剤、刺激剤、着色料及び/又は香味料を含ませてもよい。
【0074】
本発明の他の形態として、プロバイオティック微生物と基質成分を含むペレットは、要求されている用途と保存の方法とそれに続く送達に応じて、種々の適した形態で提供してもよい。従って、ペレットは、微粒子、粉末、リボン、ブロックのようなその他の形状の錠剤、並びに立方形、多角形のような非同心形状及び球、円筒/棒、円板などのような(略)同心形状のものに置き換えてもよい。例えば、本発明に係る組成物は、比較的大きなブロックで提供され、その後、投与若しくはペレット化若しくは押出し前に粉砕され、そして、投与前にパックし直されて提供してもよい。
【0075】
好都合なことには、前記組成物は、微粒子、粒状又はペレット型のように急速投与のための液体キャリアに容易に溶解されるどのような形式でも提供できる。この実施形態では、前記組成物は、封入ビーズを過ぎたキャリア液体の流通を容易にするため実質的に球状のビーズの形で提供する。ペレット又はビーズの使用は、前記組成物がフィルタレセプタクル(貯蔵器)内に補足しておくためにも有利である。
【0076】
プロバイオティック組成物は、層状の又は“ノンパレイユな(nonpareil)”ペレット又はビーズの形をしている。“ノンパレイユな(nonpareil)”ビーズは材料の連続的な層からなる。これらのビーズは、プロバイオティック微生物と、任意に、プロバイオティック微生物を含まない他の層を含んでいる。
【0077】
好都合なことには、層状構造は、ペレットの溶解特性を制御することができ、そして、ペレットが溶解する過程の間、次第に小さくなっていくときの形状保持を容易にする。それに加えて、層状構造は、必要に応じて各層の組成や濃度を変化させることを可能としている。
【0078】
ノンパレイユなペレット又はビーズを使用することによって、ペレット又はビーズの組成が異なる層の間で変化させることが可能になっている。ノンパレイユなビーズは、ビード・コア又はビーズ種の表面上に可溶性物質の層を積層することによって製造できる。この実施形態では、ビード・コアは砂糖結晶とすることができるが、当該技術分野で知られているように、その他の可溶性物質を用いてもよい。
【0079】
他の実施形態として、ビード・コアは不溶性としてもよい。不溶性ビード・コアは、十分大きければ、フィルタを通るのを防ぐことができ、可溶性の外側の層又は不溶性ビード・コアの表面に塗布されたコーティングのみを溶解させ、そして、フィルタを通して経口摂取させることができる。
【0080】
層は、粘着性シロップ又は結合剤と可溶性物質の粉末を連続的に交互に重ねた層がビード・コア上に形成される“パニング”として知られる工程によって添加される。層、粉末若しくはシロップ又は結合剤の少なくとも一つはプロバイオティック組成物を含んでいる。
【0081】
図1〜3は、本発明によるノンパレイユなペレット1の概略図を示しており、各ペレットは核2及び基質層(matrix layers)数3a、3b、3c及び3dを有している。これらの図では4つの層だけが示されているが、より多くの層を実際のペレットに存在させてもよいことがわかる。シロップ層4a、4b及び4cがそれぞれの基質層の間に示されている。図では、微生物は暗くなっているそれぞれの層によって示されている。
【0082】
図1は、外側の基質層3dにプロバイオティック組成物を有するペレットを示している。このペレットの内側の層は微生物を含んでいない基質とシロップで構成されている。これとは別に、図2に示されているように、微生物は前記ペレット又はビーズの1又は2以上の層3b及び3dに存在してもよい。微生物及び/又は添加剤は、これら2つの層のそれぞれに、別々に含ませてもよい。なお、このケースでは、これらは間隔又は障壁層3cによって分けられている。同様の概念は、図3に示されているビーズに適用される。しかし、このケースでは、外側の層3dはプロバイオティクスを含んでおらず、以下の微生物層3a及び3c上の保護コーティングを提供している。
【0083】
積層されたビーズの製造の工程は、常温以上、特に30〜33℃で実施される。しかしながら、当業者であれば温度が使用される装置、使用される関連物質及び含まれていたプロバイオティック微生物の相対的な熱感度により変更してもよいことは理解できるであろう。
【0084】
一つの実施形態として、ビーズは、粘着性シロップ及びプロバイオティクスを含むタピオカ澱粉マルトデキストリン粉末を1〜6回連続的に交互に重ねた層でビード・コアをパニングすることにより核(種)から成長させることができる。後で形成される層は、この後に、内側の層の上に可溶性保護コーティングを備えるためにプロバイオティクスを含まないシュガーシロップと澱粉マルトデキストリン粉末を用いて追加される。図示されたビーズは直径約2mmで、1グラムあたり約106〜1010個の生きた微生物細胞を含んでいる。もちろん、ビーズのサイズ、ビーズに含まれる層の数及び生細胞数は、特定の用途のために変更してもよい。
【0085】
好ましい実施態様としては、これらのプロバイオティック細菌は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ビフィドバクテリウム・エスピー(Bifidobacterium sp)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アデロセンティス(Bifidobacterium adelocentis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviscae)及びサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
しかしながら、使用されるプロバイオティック細菌の種類が重要ではなく、また、プロバイオティック微生物は上記リストのものに限定されるものでないことが理解されるであろう。当業者である読者であれば、多くの他の市販されている生きたプロバイオティック微生物が使用可能であることが理解できるであろう。
【0087】
好ましい組成としては、澱粉マルトデキストリン粉末は、80gのタピオカ澱粉、20gのマルトデキストリン、2.5gの二酸化ケイ素及び任意成分として1gのスクラロースを含んでいる。粘着性シロップは、2.5%のアカシアゴム、5%の大豆タンパク質、2%のキャノーラ油、0.25%のレシチン、10%のラクトース、30%のマルトデキストリン及び50%の水を含んでいる。しかしながら、粉末とシロップの混合物中の様々な成分の量は、特定の用途に合うように変更してもよい。ビーズの外側の層は、以上に述べたがプロバイオティクスを含まない粘着性シロップと澱粉マルトデキストリン粉末が交互に重ねた層を含んでいる。水性ベースの薬剤がこのビーズ又はペレット製品中に使用されている場合は、最後のビーズは水分活性を、好ましくは0.1又はそれ未満に低減するために乾燥する必要がある。乾燥は、凍結乾燥、流動層乾燥、パン若しくはトレイ乾燥、又は適用可能で好適な他の乾燥法を使用することにより行うことができる。
【0088】
適切な低水分活性を達成するためにビーズを乾燥した後、ビーズは、前述したようにプロバイティック組成物を付与するための器具に加えられる。
【0089】
先に述べたように、層状構造は必要に応じてペレットの特性を調整することができる。例えば、ペレットの少なくともいくつかの内側の層が外側の層のものを超える濃度の成分を含むことができる。
【0090】
好都合なことには、ペレットが徐々に溶解されているとき、濃度のこの増加は、合計表面積の減少を相殺する。その結果、摂取中の成分の比較的均一な濃度を維持できるようになる。香味料に関しては、均一にプレミックスされた飲料の味覚体験を模して、飲料の消費が進行するときに均一でしかも持続的なフレーバーを消費者が味わうことができるようにするために重要である。プロバイオティクス及びいくつかの薬剤に関しては、あるため薬学的な観点から比較的均一な摂取が望ましいことからこの機能が重要になることが多い。
【0091】
一つの変形例として、プロバイオティクスは、関連するペレットの外側の層に限定されるが、着色剤及び/又は香味料は、その層が溶解したことを示すために使用される。このように、ひとたび活性成分が溶解すると、キャリア液体の色及び/又は香りは著しく変化し、薬の消費後に所定の投与量が完全に投薬されたという明瞭な視覚的徴候及び/又は快適な若しくは特有の後味が提供される。そのような色及び/又は香りの変化は、薬剤が消費されていることをユーザに警告することと、及び/又は正確な投薬量を完全に達成することの刺激及び動機を提供することの両方に用いられる。
【0092】
他の変形例としては、図4に概略的に図示されているように、多孔性又は半多孔性のビード・コア2は、多孔性ビーズを形成するのに適した水溶性基質又は非水溶性基質と混合されたプロバイオティック微生物5が含浸される。付加的な層6は、ビード・コア及び/又はプロバイオティック微生物の表面の保護すること、又は1若しくは2以上の外層に他の要望のある成分(例えば、香り、色、プレバイオティクス(pre−biotics)、同一の又は異なる種類の付加的なプロバイオティック微生物、栄養成分など)を含ませることのいずれかのために当該含浸させた多孔性ビーズに任意に適用してもよい。
【0093】
以上に記載した層状のビーズ又は多孔性ビーズが特定の用途に合うように変更し、適応してよいことは当該技術分野における当業者であれば理解できるであろう。例えば、本発明の一実施形態に係るプロバイオティック組成物は、一定量のプロバイオティックペレット又はプロバイオティックビーズが容器から除去され、混合され、消費に先立ってキャリア液体に溶解される密閉容器に入れられて提供してもよい。好ましくは、容器は、水、空気及び水蒸気のような外部要素の侵入を十分に防ぐために密閉してシール可能なものとする。
【0094】
別の特定の形式として、容器は、耐蒸気性材料で少なくとも一部が製造された密閉された使い捨ての小袋とすることができる。小袋は、予め定められた、個々の投薬量を提供するのに十分なプロバイオティック組成物を一定量含んでいる。投薬量は、例えば、毎時、毎日又は毎週というように所定の間隔で摂取され、十分な量となるように決定してもよい。
【0095】
他の形式としては、ビーズは意図的に設計された又は適合された調剤装置で使用してもよい。そのような器具が図5及び図6に記載されている。これらには所定量の分散用プロバイオティック組成物を収容するためのレセプタクル(貯蔵器)100を含む器具が図示されている。
【0096】
プロバイオティック組成物は、レセプタクル100の本体103内に保持された個々のペレット102である。一組のフィルタ104と105は本体の両端に取り付けられ、ペレットを保持している一方、それを通してキャリア液体を比較的スムーズに流通させる。
【0097】
図5及び図6に示す実施形態では、レセプタクルの本体103は、ストローとしての使用を可能にする硬い側壁107を含む、全体的に円筒状のチューブの形をとる。フィルタ104及び105は、ペレット102を保持するレセプタクル内にペレット封じ込め領域を形成するのに適している。
【0098】
図の中で示されているフィルタは、別々に形成され、ストロー本体に取り付けられた挿入物である。それらはストロー本体とろ過部を係合するための取付部を含んでいる。しかし、本明細書で使用される用語「フィルタ」は、キャリア液への分散又は溶解に先立って、レセプタクル内に十分にペレット又はビーズを保持する間、キャリア液体の比較的スムーズな流通を許すために機能する多孔性又は他のバリア機構のどのような形式も包含するものとして、広く解釈されることを意図している。適切なフィルタは、ふるい、スクリーン、格子、メッシュ材、織布又は不織布、多孔性固体、粒状床、スポンジ、多孔板、穿孔膜又は多孔性膜、曲がりくねった通路を含む、適切な寸法に形成されたワン・ウェイ・バルブ又はマルチ・ウェイ・バルブなど、又は任意の適切な形状又は構造におけるそのような形態の任意の組み合わせは、一体的に形成されたか、解放可能なように結合されたか、又は取り外せないような位置で固定されたものであろうとそうでなかろうと、多様な形態をとることができる。具体的には、1又は2以上のフィルタが一体成形又は側壁若しくはレセプタクル及び/若しくはストローの本体の他の部分と連結して別の方法で成形してもよいことを理解すべきである。
【0099】
使用時には、キャリア液体が口で吸われることによってレセプタクルに引き込まれる。そして、プロバイオティック組成物と任意に添加した成分とで構成しているペレット102が摂取の時点でストロー内のキャリア液体中に徐々に溶解され、又は別の方法でキャリア液体中に分散される。
【0100】
フィルタが本体の両端上又は両端に隣接する位置に配置された図中に示されているが、他の実施形態では、複数のフィルタの一方又は両方は、本体の内側又は長さに沿った中間位置に配置してもよい。
【0101】
他の実施形態としては、図7及び図8に示すように、一つの追加フィルタ108又は更なる追加フィルタ109が追加ペレット封じ込め領域を備えるために使用してもよい。これらの追加ペレット封じ込め領域は、同様にそれぞれのチャンバー内に一つの追加ペレット110又はそれ以上の追加ペレット111の形式で含めるために使用してもよい。そのような構成は、出願人の以前の出願、WO2008/055296に完全に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。これはさらに、別々になった別体の部品として形成され、製造作業や組立手順といった後工程段階の一部としてストローとの接合又は一体化のために適合されるようなレセプタクルを提供する。これは、医薬品グレードの製造と包装環境に相当する管理された条件下で一つの型のビーズ又はペレットをレセプタクルに挿入するのを可能にする一方、異なる管理された条件下で他の型のビーズをストロー内に挿入するのを可能にする。
【0102】
図示されるようなストローに適用されたとき、ペレット又はビーズは、一般的に球形状であり、本体の内径の5%と95%の間であり、好ましくは10%と90%の間である平均直径を有する。他の実施形態において、一般的な球形のペレット又はビーズは、本体の内径の20%から80%の間であり、さらなる他の実施形態において、25%から約75%の間である。本体はそれ自体、ある実施形態では3mmと15mmの間、またある実施形態では7mmと9mmの間の内径を有する。ある実施形態において、ペレット及びビーズは1mmと8mmの間、理想的には1.5mmと5mmの間の平均直径を有する。円形でないストロー及び/又は本体、又は不均一性の横断面を有するストロー及び/又は本体の場合は、前記した寸法はおおよその目安を形成していることが理解できるであろう。例えば、それは、そのようなストロー及び/又は本体の最大幅と最小幅は3mmから15mmの範囲、及び好ましくは5mmから12mm以内で指定された範囲にあるのが好ましい。
【0103】
ある特定の好ましい実施形態として、ストローの内径は約8mmであり、ペレットは1mmと3mmの間にある。他の特定の好ましい実施形態として、ストローの内径は約5mmであり、ペレットは1mmと3mmの間にある。
【0104】
プロバイオティックビーズ又はプロバイオティックペレットは、前記プロバイオティック微生物及び前記追加成分又は材料がストロー、レセプタクル又は管内のキャリア液体の中に徐々に分散されることによってストロー、レセプタクル又は管内の追加成分又は材料とともに使用することができる。前記追加成分は、薬剤、ビタミン、ミネラル、栄養補助剤、健康強壮剤、エネルギー補助剤、興奮剤、着色剤を含めることができ、又は香味料が使用されてもよい。
【0105】
層状のペレット構造を使用するとき、少なくともペレット又はビーズの最も内側の層は、最も外側の層に含まれているものよりも高い濃度の任意の香味料のようなものを含んでいる。好都合なことには、濃度のこの増大は、ペレット又はビーズが徐々に溶解するときにペレット又はビーズの表面積が減少するのを補い、それによって消費の間のプロバイオティック微生物と香味料又は他の成分を比較的均一な濃度にする。
【0106】
ある実施形態によっては、プロバイオティクスと任意の追加成分/化学成分の濃度及び/又は溶解速度は、これら成分の実質的に全てが、所望のキャリア液体の予め設定された容量の消費によって溶解され、搬送されるように選択される。そのような一つの実施形態では、ストローは包装され、そして、補完的な容器と組み合わせて販売される。この補完的な容器は所望のキャリア液体の所定の容積を含んでいるか又は含むようにできている。
【0107】
これらと他の関連で、本発明は、先行技術に対する実用的かつ商業的に重要な改善を示している。
【0108】
本発明は具体例に関して記述したが、本発明が多くの他の形式で具体化してもよいことは当業者であれば理解できるであろう。
【0109】
[実験的な方法論]
1.プロバイオティック微生物
本発明で使用される粉末状又は液体状のプロバイオティック微生物の適切な調合品は、異なる商業的供給源から得た。Danisco USA Inc.3329 Agriculture Drive Madison,Wisconsin,アメリカ合衆国;Fonterra Centre,9 Princes St,Auckland 1010 ニュージーランド国;P.L.Thomas&Co.Inc. 119 Headquarters Plaza,Morristown,NJ 07960 アメリカ合衆国;Lallemand SAS,19 rue des Briquetiers,BP 59,31702 Blagnac Cedex,フランス国;Want Want Holdings Limited.No.1088,east Hong Song Road,Shanghai 201103,中華人民共和国;DSM,Alexander Fleminglaan 1,2613 AX Delft,オランダ国;Probi AB,Solvegatan 41,SE−22370,Lund,スウェーデン国;Blis Technologies Limited,Level 1,Centre of Innovation,St David st,Dunedin,9016,ニュージーランド国;ProBiOz Pty Ltd 22 Goorawahl Avenue,La Perouse NSW 2036,オーストラリア国。
【0110】
必要に応じて、プロバイオティック微生物は、ATCCのような供給源から生きている培養菌として得て、本発明で使用するのに適しているプロバイオティック微生物の粉末製剤を得るため当業者によく知られている技術全てをもって、標準的な培地に植菌し、培養することができ、回収し、凍結乾燥することができる。
【0111】
2.プロバイオティクスの生存能力の測定
原料粉末中のプロバイオティクスの計数のため、スプレッドプレート法(spread plate technique)を用いた。簡単に説明すると、プロバイオティック微生物を含む粉末の10倍希釈液をTween80が添加された無菌のペプトン水で調製し、そしてそのサンプルを1分間混合した。30分間穏やかに混合した後、サンプルを10倍希釈液に先立って再び混合した。適切な希釈液から、100μLの溶液を寒天培地、例えば、MRSアガー(ラクトバチルス用)又はRCA(ビフィドバクテリウム及び他の菌種用)に植菌した。プレートは、48〜72時間嫌気的にインキュベートした。それぞれのサンプルに対して、3回繰り返して分析を行った(3つの希釈液はそれぞれ3つのスプレッドプレートから調製した)。開発と安定性の研究中に、ビーズの中で生存可能なプロバイオティクスの計数のため、サンプルは同様に連続的に10倍に希釈したが、100μLを用いたスプレッドプレートの代わりに、10μLの液滴を使用したドロッププレート法(drop plate method)を用いた。
【0112】
3.安定性の研究
ビーズ中のプロバイオティクスの安定性は、常温/室温(22〜25℃、25℃又は35℃)で保管することにより評価した。ビーズは、安定性の研究のために、
(a)シリカゲルを用いたデシケータに入れられた積層フィルム小袋の中又はプラスチック製ねじキャップ付きプラスチック製ボトルの中、
(b)ねじキャップと環境条件からの追加的な保護のないプラスチック製サンプル瓶の中、又は
(c)金属化ラミネートフィルム又はホイル系ラミネートフィルムの中に個々に包装され、ヒートシールされた8mmのストローの中のいずれかで保管され、そして、60%の相対湿度で25℃又は35℃にて保管した。
【実施例】
【0113】
[実施例1]シュガーシロップ、PVP又はPVAを使用したビーズのプロバイオティックコーティング
このプロセスはビード・コア(種)として砂糖結晶を使用し、タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末を添加し、続けてシュガーシロップを添加するによってビーズをパニングした被覆ビーズを含んでいる。ビーズは、所定量のシュガーシロップの添加に先立ってパン(鍋)で温め、直ちに所定量の粉末と、それからシロップと、それから粉末をこれに続けた。前記プロセスはビーズが所望するサイズ、好ましくは1.9〜2mmになるまで繰り返す。ビーズは層状ビーズを製造するパニング工程によってプロバイオティクスで被覆した。プロバイオティクスはタピオカ澱粉マルトデキストリン粉末が添加されている。前記プロセスも、タピオカマルトデキストリン粉末(10%)中に脱脂乳を含ませ、またシュガーシロップの代わりにPVP(polyvinylpovione)接着剤又はPVA(polyvinylalcohol)接着剤を使用するように変更してもよい。
【0114】
2kgの積層された2mmのビーズを提供するために、250gの混合粉体、95mLのシュガーシロップ、PVP又はPVAを使用した連続したパニング工程で5〜6層をビーズに塗布した。ビーズは、プロバイオティクスを備えた最終コート層をシュガーシロップかPVPか又はPVAのいずれかを使用して製造した。被覆ビーズは、その後、プロバイオティック微生物の生存能力が実質的に変化しないこのプロバイオティック微生物が保存できる形態で凍結乾燥した。
【0115】
[結果−プロセス1]
基質中にプロバイオティクスを包含する方法を用いたラクトバチルス・アシドフィルスUN08株の残存
【0116】
【表1】

【0117】
[実施例2]粘着性シロップを用いたビーズのプロバイオティクスコーティング(粉末へのプロバイオティクスの追加)
このプロセスはビード・コア(種)として砂糖結晶を使用し、タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末を添加し、続けてシュガーシロップを添加することによってビーズをパニングした被覆ビーズを含んでいる。ビーズは、直径約2mmの層状ビーズを製造するために使用されるパニング工程によって、プロバイオティクスでコートした。プロバイオティクスは、特定用途の要求に応じてグラムあたり106から1010の範囲の生菌数で、完成したビーズの中のプロバイオティクス濃度となるように以下の組成のタピオカ澱粉マルトデキストリン粉末を添加した。
【0118】
タピオカ澱粉 80g
マルトデキストリン 20g
二酸化ケイ素 2.5g
スクラロース 1.0g(任意成分)
【0119】
プロバイオティクス粉末でビーズをコーティングする際に、シュガーシロップを粘着性シロップに置き換えた。粘着性シロップの組成は以下のとおりである。
【0120】
アカシアゴム 2.5%
大豆タンパク質 5%
キャノーラ油 2%
レシチン 0.25%
ラクトース 10%
マルトデキストリン 30%
水 50%
【0121】
5〜6層のコート層は、275gの混合粉末と100mLの粘着性シロップを用いた連続パニング工程でビーズに塗布し、2kgの積層された2mmのビーズを結果として生じさせた。パニング温度は31℃とした。層状ビーズは、プロバイオティック微生物の生存能力を実質的に変化させないでこのプロバイオティック微生物が保存できる形態で凍結乾燥した。
【0122】
[結果]
プロセスを使用して製造したときに25℃で保管している間のラクトバチルス・ファーメンタムUN06株の残存
【0123】
【表2】

【0124】
35℃で保管している間のラクトバチルス・ファーメンタムUN06株の残存。
【0125】
【表3】

【0126】
以上のプロセスの変形は、プロバイオティクスを粉末に添加する代わりにシロップに添加したことである。
【0127】
[実施例3]スクロースが含まれていないシロップとプロバイオティクス上の追加コーティングを使用したビーズのプロバイオティクスコーティング
このプロセスは、実施例2のように砂糖結晶のビード・コアを使用したビーズを製造し、実施例1に従って用意した直径約2mmの層状ビーズを製造するために使用されるパニング工程を使用してプロバイオティクスを含んだビーズを製造するため、タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末を添加し、続いてシュガーシロップを添加することによってビーズをパニングすることを含んでいる。プロバイオティクスを以下の組成のタピオカ澱粉マルトデキストリンに添加して、完成したビーズにおけるプロバイオティクス濃度が特定用途で要求されるグラムあたり106から1010の範囲の生菌数にした。タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末の組成は以下のとおりである。
【0128】
タピオカ澱粉 80g
マルトデキストリン 20g
二酸化ケイ素 2.5〜5.0g
スクラロース 1.0g(任意成分)
【0129】
プロバイオティクス粉末でビーズをコーティングするにあたって粘着性シロップを使用した。シロップの組成は以下のとおりである。
【0130】
アカシアゴム 1.25%
大豆タンパク質 5%
キャノーラ油 1%
レシチン 0.25%
ラクトース 10%
マルトデキストリン 30%
水 50%
【0131】
プロバイオティクスを含む材料の5〜6層のコート層は、合計で、約275gの混合粉末を添加し、続けて100mLのシロップを用いた連続パニング工程で塗布することで2〜3kgの積層された2mmのビーズを結果として生じさせた。パニング温度は30〜33℃とした。5〜6層のプロバイオティクス層の追加後、タピオカ−マルトデキストリン混合物の追加の5層を、プロバイオティクスを全く含まないで追加した。後続のプロバイオティクスを含まない層の塗布は、シュガーシロップを用いた。
【0132】
従って、この例では、層状ビーズは外側の層ではなく内側の層にプロバイオティクスを含むようにした。層状ビーズは、プロバイオティック微生物の生存能力を実質的に変化させないようにしながらこのプロバイオティック微生物が保存できる形態で凍結乾燥した。
【0133】
[結果]
プロバイオティック細菌の菌株の種類の利用−製品における生細胞を示す(「E」は指数関数を示している)
【0134】
【表4】

【0135】
[実施例4]非水系の結合方式におけるビーズのプロバイオティクスコーティング
【0136】
このプロセスは、キャノーラ油を使用し、また、ビード・コア(種)を使用し、そして、タピオカ澱粉マルトデキストリン粉末及び油単独で、又はアカシアゴム(2.5%)若しくは二酸化ケイ素を添加した連続添加によってビーズをコーティングすることを含む。それぞれの連続した層は3つの成分の混合物として塗布した。ビーズは、(実施例2に記載されているように)直径約2mmの層状ビーズを製造するために使用されるようなパニング工程によってプロバイオティクスでコートした。プロバイオティクスを以下の組成のタピオカ澱粉マルトデキストリン粉末に添加し、完成したビーズの中のプロバイオティクス濃度が特定用途で要求されるlog6からlog10の範囲となるようにした。
【0137】
【表5】

【0138】
5〜6層のコート層は、約275gの混合粉末に添加し、続けて100mLの油の全てを用いた連続パニング工程でビーズに塗布することで、2〜3kgの積層された2mmのビーズを結果として生じさせた。パニング温度は常温とした。5〜6層のプロバイオティクス層の追加後、プロバイオティクスが添加されていないタピオカ−マルトデキストリン混合物の5層を追加し、そして加えた。層状ビーズを直接使用するか、0.2又はそれ未満の水分活性とするために凍結乾燥した。
【0139】
[結果]
ビーズにプロバイオティクスを含む粉末を結合するための薬剤として油を用いたプロバイオティクスの残存
結果によると、ビーズのグラムあたりのコロニー形成単位として発現した(実験的な方法論の項目のポイント1の中で概説したようにして計数した)、添加したプロバイオティックなビフィドバクテリウム・インファンティス細胞の生存数及び製品化後のビーズ中の生細胞数を示している。
【0140】
【表6】

【0141】
[実施例5]疎水性液体を使用したプロバイオティクス含浸/被覆ビーズ
実施例1に記載されたようにして用意した乾燥したコア・ビード(48%の砂糖、40%の澱粉、10%のマルトデキストリン及び2%のゴムから成る)を、凍結乾燥粉末にしたプロバイティック微生物を保有するキャノーラ油懸濁液を用いて被覆した。
【0142】
コア・ビードは、砂糖コーティング(実施例1で記載したような)の標準的な方法論を用いたコーティングパンで製造できる。コア・ビードは、好ましくは0.2%以下のレベルまで水分を除去するため乾燥させる。使用される乾燥工程の種類は重要ではなく、オーブン乾燥、凍結乾燥、真空乾燥又は多孔性ビーズの乾燥を達成するのと同様にして行ってもよい。有利には、乾燥工程もコア・ビードを多孔性にすることができる。塗布されるプロバイオティクス混合物は、キャノーラ油(65%)にプロバイオティクス粉末(35%)が入った懸濁液である。プロバイオティクス懸濁液は、トコフェロールやローズマリー(Rosemary oficianalis)抽出物のような抗酸化剤を低レベル(<2%)含有してもよい。コア・ビードの上に油懸濁液を噴霧し、鋳込み又は浴びせることにより塗布してもよい。塗布された油懸濁液の割合は、多孔性コア・ビードを含浸させてもよい。ビーズのかたまりはその後、コーティングパン、混合容器の中に入れられ転動させてコア・ビード上に油懸濁液の一様な分散を確実に行った。転動は10から20分間続けた。
【0143】
[結果]ビーズにプロバイオティクスを含有するコーティング粉末を結合させるための薬剤として油を使用したプロバイオティクスの残存。
【0144】
以下の表に詳細に示された詳細な結果によると、ビーズのグラムあたりのコロニー形成単位として発現した(実験的な方法論の項目のポイント1の中で概説したようにして数え上げた)、プロバイオティックなビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバチルス・アシドフィリウス(Lactobacillus acidophilus)又はストレプトコッカス・サリバルス(Streptococcus salivarus)の生菌数及び製品化後のビーズ中の生細胞数、同様に3ヶ月、6ヶ月の時点で得られた生細胞数を示している。
【0145】
[結果]ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)
【0146】
【表7】

【0147】
[結果]ラクトバチルス・アシドフィリウス(Lactobacillus acidophilus)
【0148】
【表8】

【0149】
[結果]ストレプトコッカス・サリバルス(Streptococcus salivarus)
【0150】
【表9】

【0151】
[実施例6]保護コーティングを伴うプロバイオティック浸透性ビーズ
乾燥コア・ビード(40%の砂糖、48%の澱粉および12%のマルトデキストリン)は、凍結乾燥粉末として使用されるプロバイオティクスを含むキャノーラ油懸濁液で被覆した。その後、飽和ビードを炭水化物の保護層、このケースでは含水結晶ブドウ糖(dextrous monohydrate)で被覆した。
【0152】
コア・ビードは、それが多孔性となるように乾燥させた。使用される乾燥工程の種類は重要ではなく、オーブン乾燥、凍結乾燥、真空乾燥又は多孔性ビーズの乾燥を達成するのと同様にして行ってもよい。塗布されるプロバイオティクス混合物は、キャノーラ油(65%)にプロバイオティクス粉末(35%)が入った懸濁液である。コア・ビードの上に油懸濁液を噴霧し、鋳込み又は浴びせることにより塗布してもよい。
【0153】
一晩凍結した後(−18℃)、そのビーズを含水結晶ブドウ糖(100%)とともに75℃に加熱し、含水結晶ブドウ糖(85%)と水(15%)の混合物で被覆した。
【0154】
[結果]
ビーズにプロバイオティクスを含有するコーティング粉末を結合させるための薬剤として油を使用したプロバイオティクスの残存。
【0155】
以下の表に詳細に示された詳細な結果によると、ビーズのグラムあたりのコロニー形成単位として発現した(実験的な方法論の項目のポイント1の中で概説したようにして計数した)、プロバイオティックなラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)の生菌数及び製品化後のビーズ中の生細胞数を示している。
【0156】
【表10】

【0157】
[実施例7]炭酸カルシウムと油を使用したプロバイオティック被覆ビーズ
このプロセスで使用されるコア・ビードは砂糖シード(sugar seed)又は多層コア・ビードであってもよい。コア・ビーズは実施例2で記載したようにして用意してもよく、実施例5で記載したようにさらに処理(例えば、乾燥)してもよい。
【0158】
キャノーラ油(又は任意の適切な食品グレードの油)を40%のプロバイオティック微生物培養液と60%の油と混合し、コア・ビードに塗布した。その混合物は実施例5に記載したプロセスによって塗布することができる。プロバイオティクスを含むビーズは、その後、油被覆ビードに付着させるパニング工程において炭酸カルシウム100%の炭酸カルシウム粉末で被覆した。炭酸カルシウムは、油と相互に作用して細菌の近くの油を隔離し、さらに水を除くことによって、プロバイオティック細菌を保護するペースト状の層を形成する。炭酸カルシウムの使用はこのプロセスでは重要ではない。油でペースト状組成物を形成することが可能な任意のミネラル塩を使用してもよい。
【0159】
必要に応じて、プロバイオティック−油混合/炭酸カルシウムの複数の層を、ビーズのプロバイオティック含有量を増やすためコア・ビードに塗布してもよい。それぞれの層は、油の大部分がペーストを形成する際に確実に使われるようにするために十分乾燥した炭酸カルシウム粉末を添加することにより完成する。これの後、油をもう一度塗布することにより、より多くの炭酸カルシウムが粉末になる。
【0160】
もう一つの方法として、プロバイオティック細菌は、油と炭酸カルシウムを混合し、また、必要に応じて多層コーティング中においてこの混合物をコア・ビードに塗布し、そして、炭酸カルシウム保護層で最終的に被覆してもよい。
【0161】
さらにもう一つ別のプロセスとしては、油は、プロバイオティック微生物を添加する前に、プロピレングリコールのような食品グレードのポリオールとともに混合してもよい。それから、この混合物は先に述べたようにコア・ビーズに塗布するか、又はコア・ビーズに塗布する前に炭酸カルシウムを混合させることができる。
【0162】
例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ローズマリー抽出物又はその他のような抗酸化剤を油の酸化と保管中の分解を抑制するために添加してもよい。例えば、オメガ3オイル、ビタミン類などの機能性成分がそうすることができるように、着色料及び/又は香味料を添加してもよい。
【0163】
崩壊剤は、例えば、アスコルビン酸、澱粉又は医薬品の分野で利用可能な多くのもののように、プロバイオティックビーズが流体と接触したときにプロバイオティック細菌を放出するのを促進する炭酸カルシウム層に添加してもよい。
【符号の説明】
【0164】
1 プロバイオティック組成物
2 ビード・コア
100 レセプタクル
102 ペレット
103 本体
104、105、108、109 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物を備えるプロバイオティック組成物であって、
前記基質は、前記微生物の生存能力を十分に維持し、
前記基質は、液体キャリアに接触すると、前記埋め込まれた微生物を前記液体キャリア中に放出することを特徴とするプロバイオティック組成物。
【請求項2】
前記組成物は、微粒子、粉末、ペレット、リボン、ブロック、キューブ、ポリゴン、球体、円盤、タブレット、及びシリンダ/棒体から成る群から選択された形式において提供されることを特徴とする請求項1に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項3】
基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物を備えるペレット形態のプロバイオティック組成物であって、
前記基質は、前記微生物の生存能力を十分に維持し、
前記基質は、液体キャリアに接触すると、前記埋め込まれた微生物を前記液体キャリア中に放出することを特徴とするプロバイオティック組成物。
【請求項4】
コア・ビードと基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物とを備えるペレット形態のプロバイオティック組成物であって、
前記基質は、前記微生物の生存能力を十分に維持し、
前記基質は、該コア・ビード上に又は該コア・ビード内に配置され、
前記基質は、液体キャリアに接触すると、前記埋め込まれた微生物を前記液体キャリア内に放出することを特徴とするプロバイオティック組成物。
【請求項5】
コア・ビードと基質内に埋め込まれたプロバイオティック微生物とを備えるペレット形態のプロバイオティック組成物であって、
前記基質は、前記微生物の生存能力を十分に維持し、
該基質は、積層されたペレットを形成するように、該コア・ビード上に複数の層に配置され、
前記基質は、液体キャリアに接触すると、前記埋め込まれた微生物を前記液体キャリア中に放出することを特徴とするプロバイオティック組成物。
【請求項6】
前記基質は、炭水化物、乳製品、結合剤、増粘剤、乳化剤、油、脂肪、脂肪酸、水、二酸化ケイ素、植物性又は動物性の蛋白質、レジスタントスターチ、デキストリン、糖類、スクラロース、アカシアゴム、及びレシチンからなる群から選択された1又は2以上の成分を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項7】
前記プロバイオティック微生物は細菌又は酵母であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項8】
前記プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ラクトコッカス属、プロピオニバクテリウム属、バチルス属、エンテロコッカス属、エシェリキア属、ストレプトコッカス属及びサッカロミセス属を備える群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項9】
前記プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属及びビフィドバクテリウム属を備える群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項10】
前記プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ビフィドバクテリウム・エスピー(Bifidobacterium sp)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adelocentis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviscae)及びサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)を備える群から選択されることを特徴とする請求項6に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項11】
該基質は該液体キャリアにおいて可溶であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項12】
該基質は該液体キャリアによって分散され又は浸食されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項13】
該基質は非水性であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項14】
該基質は油であることを特徴とする請求項13に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項15】
該油は、オリーブオイル、パーム油、大豆油、キャノーラ油、パンプキンシード油、トウモロコシ油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、ブドウ種子油、胡麻油、アルガン油、やし油及び米糠油から選択されることを特徴とする請求項14に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項16】
該コア・ビードは多孔性又は半多孔性であることを特徴とする請求項4乃至15のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項17】
該コア・ビードは該液体キャリアにおいて可溶であることを特徴とする請求項16に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項18】
該コア・ビードは該液体キャリアによって分散され又は浸食されることを特徴とする請求項16に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項19】
該プロバイオティック微生物は少なくとも1つの基質層に配置されることを特徴とする請求項4乃至13のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項20】
該プロバイオティック微生物は2以上の基質層に配置され、各基質層は異なるプロバイオティック微生物を含むことを特徴とする請求項5乃至19のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項21】
該基質及び/又は該コア・ビードは、ビタミン、ミネラル、栄養剤、健康強壮剤、着色剤、香味剤及び薬剤からなる群から選択される添加物をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項22】
コンテナ又はレセプタクルの中に入れて用いることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項23】
該コンテナ又は該レセプタクルは小袋又は飲用ストローであることを特徴とする請求項22に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項24】
該ペレットの寸法は約1mmから約3mmの範囲であることを特徴とする請求項2乃至23のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項25】
該基質及び/又は該ビード・コアの含水量は、約0.2%以下であることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項26】
プロバイオティック微生物を備える積層されたペレットを製造する方法であって、
i)ビード・コアを提供するステップと、
ii)前記コアに基質材の層を付着させて積層されたペレットを提供するステップと、
iii)選択的に、さらに、前記積層されたペレットを、1回又は2回以上該基質材と接触させてさらに、1又は2以上の層を追加的に形成するステップと、を備え、
ステップi、ii又はiiiのうちの少なくとも1つは、該積層されたペレットがプロバイオティック微生物を含むように、プロバイオティック微生物を備える基質材を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
ペレット形態のプロバイオティック組成物を製造する方法であって、
i)多孔性又は半多孔性のビード・コアを提供するステップと、
ii)前記コアにプロバイオティック微生物を備える基質を埋め込むステップと、
iii)選択的に、前記埋め込みがなされたコア上に1又は2以上の表面コーティング層を適用するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26又は請求項27に記載の方法によって製造された、プロバイオティック微生物を備えるペレット組成物。
【請求項29】
レセプタクルであって、
前記レセプタクルは、
請求項2乃至25のいずれか1項又は請求項28に記載のプロバイオティック組成物と、
複数のペレット又はビーズを格納する本体と、
別々に間隔を置いて配置され、キャリア液を通過させる一方、溶解前の前記複数のペレット又はビーズを概ね該本体内に保持する構成とする1組のフィルタと、
を含むことを特徴とするレセプタクル。
【請求項30】
前記レセプタクルは、ストローとしての使用に適した細長いチューブの一部分であり、またはそのチューブへの連結に適するようになっており、
該キャリア液が該レセプタクルを通して吸い込まれること、及び該プロバイオティック微生物が該キャリア液中に分散されることを可能にすることを特徴とする請求項29に記載のレセプタクル。
【請求項31】
前記チューブは全般的に円形の断面をしており、前記チューブの内径は3mmから15mmまでであることを特徴とする請求項30に記載のレセプタクル。
【請求項32】
前記チューブの該内径は約8mmであることを特徴とする請求項31に記載のレセプタクル。
【請求項33】
前記チューブの内径は約5mmであることを特徴とする請求項31に記載のレセプタクル

【請求項34】
前記ストローは所定量のプロバイオティックを有するプロバイオティック組成物のメジャーを含むことを特徴とする請求項29乃至33のいずれか1項に記載のレセプタクル。
【請求項35】
前記ストローは空気を通さないように包み材で密閉されていることを特徴とする請求項29乃至34のいずれか1項に記載のレセプタクル。
【請求項36】
請求項1乃至25又は請求項28に記載のプロバイオティック組成物を含み、空気を通さないように密閉されているコンテナ。
【請求項37】
前記コンテナは使い捨ての小袋であることを特徴とする請求項36に記載のコンテナ。
【請求項38】
前記コンテナは所定量のプロバイオティックを有するプロバイオティック組成物の目盛りを含むことを特徴とする請求項37に記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510560(P2013−510560A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538137(P2012−538137)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001484
【国際公開番号】WO2010/054439
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(512125150)ユニストロー パテント ホールディングス リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Unistraw Patent Holdings Limited
【住所又は居所原語表記】U0195,Jalan Merdeka,87007,Federal Territory of Labuan,Malaysia
【Fターム(参考)】