説明

プロバイオティック菌株を含む発酵食品及びその製造方法

本発明は、主に含硫アミノ酸少なくとも一つの使用に関するものであって、その総濃度は遊離型で約5〜約75mg/L、特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/Lであり、それはビフィズス菌を含む発酵体を用いた発酵食品の製造方法を実施するためであり、前記発酵食品は受容可能な官能特性を有し、発酵食品グラムあたり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を少なくとも30日間の棚寿命(シェルフ・ライフタイム)、特に少なくとも35日間の棚寿命の間有し、及び0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、プロバイオティック菌株を含む発酵食品及びその製造方法に関する。
【0002】
ビフィズス菌は結腸(大腸)における主な嫌気性菌叢に属する。ヒト結腸における主な菌種はビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・エスエスピー・インファンティス(Bifidobacterium longum ssp infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である。
【0003】
ビフィズス菌は最適なプロバイオティック細菌である。ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は最近市販されている多数の製品に利用されており、そして、ヨーグルト中の標準細菌(ストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus))を既に含む乳製品にしばしば添加されている。
【0004】
ビフィズス菌の摂取は、抗生物質療法を受けた個人の正常なビフィズス菌集団菌数を再生させる方法において利益があると認識されている。また、この摂取は便秘を緩和し、下痢を防止し、乳糖不耐症の症状を減らすことを可能にするようである。
【0005】
プロバイオティックスは生きた細菌である。製品中でのこれら細菌の生存の問題に関連して、これらの生きた細菌を乳製品のような食品の製造に使用することには、特に注意が必要である。
【0006】
ビフィズス菌を含む80%の最近の市販の製品は、それを摂取した個人の腸内への通過を有意に改善していることを可能にしているという維持基準を満たしていない。一日当たり少なくとも10〜10の生きた細胞の摂取が、治療効果をもたらすための最低量であると推奨されている(Silva A.M., Barbosa F. H., Duarte R., Vieira L. Q., Arantes R. M., Nicoli J. R., Effect of Bifidobacterium longum ingestion on experimental salmonellosis in mice, J. Appl. Microbiol. 97 (2004) 29-37)。要求される量が、用いたプロバイオティック菌株に依存し変化することはあり得る。
【0007】
ビフィズス菌を含む生物活性を有する製品の製造の場合には、従ってこれら細菌の十分量の集団菌数を製品に含み、製品の官能特性を変化させることによる技術的解決に頼ることなく、それを製品の「寿命(ライフ)」の期間中維持するという問題が生じる。
【0008】
発酵乳製品におけるプロバイオティック菌株集団菌数の数量の大きさの問題は、既知の問題である(特に、D. Roy, Technological aspects related to the use of bifidobacteria in dairy products, Lait 85 (2005) 39-56, INRA, EDP Sciencesを参照)。
【0009】
保存中での集団菌数の減少、特定のpHから出発した場合のこれら細菌の増殖阻害、ごく単純に、これらビフィズス菌の、特にミルク中での低い増殖能力、を始めとするこの問題に関するいくつかの理由が示唆されている。
【0010】
フルクトオリゴ糖、特定のデンプン、特定の糖、グリセロール及び特定の酵母抽出物は有意の乳酸菌促進(ビフィドジェニック)効果を有することが知られている。一方、酸素は特定のプロバイオティック菌種に対して有毒である。
【0011】
従って、システイン又はアスコルビン酸塩を酸素スカベンジャーとして使用することが記載されている(A review of oxygen toxicity in probiotic yogurts: influence on the survival of probiotic bacteria and protective techniques)。これらの物質を使用しないで貯蔵中にビフィズス菌集団菌数レベルを必要なだけ得たり、維持したりすることが可能であることが明らかにされている(Talwalkar & Kailasapathy; Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 3 (3) 117-124; 2004)。更に、システインがヨーグルトの最終的な質に潜在的に悪い効果をもたらすことが指摘されている。
【0012】
通常、発酵食品の保存中にビフィズス菌集団菌数の良好な相対的維持の性質を有する前記製品(文献に記載されている)は、特に酵母の抽出物のような物質が高い濃度で製品に含まれるので、通常受容可能な官能特性を有していない。
【0013】
本発明の主な目的は、受容可能な官能特性及び発酵食品の発酵期間の終了時点及び保存期間を通しての高いビフィズス菌濃度を有する該発酵食品を提供することである。
【0014】
本発明の主な目的は、良好な生理学的状態で、発酵食品の保存期間中、特に製品の使用期限まで、かなりの生存率を有するビフィズス菌を含む、該発酵食品を提供することである。
【0015】
本発明のその他の目的は、前記製品を得ることを可能にする、実施が単純な方法を提供することである。
【0016】
本発明のその他の目的は、ヨーグルト中に存在する標準共生体との関連においてビフィズス菌の増殖を促進することであり、これら共生体はストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)の菌種一つ以上による標準的方法から構成される。
【0017】
本発明の目的は、ビフィズス菌を含む発酵食品の調製の際に製品の官能特性を変化させない程度の少量ではあるが十分な含硫アミノ酸を出発物質に混合することにより、集団の発酵の後に少なくとも製品グラム当たり5・10又は10ものビフィズス菌を迅速に得ること、及び他の菌種の増殖を変化させることなく製品の使用期限までビフィズス菌の生存を伸ばすことを可能にするという、発明者によりなされた驚くべき発見により達成される。
【0018】
本発明は、含硫アミノ酸少なくとも一つの使用に関し、その総濃度は遊離型で約5〜約75mg/L、特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/Lであり、それはビフィズス菌を含む発酵体を用いた発酵食品の製造方法を実施するためであり、その発酵食品は受容可能な官能特性を有し、発酵食品グラムあたり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を少なくとも30日間の、特に少なくとも35日間の保存期間中含み、及び0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない。
【0019】
「含硫アミノ酸」とは、システイン(L−システイン)又はメチオニン並びにこれらの誘導体(場合により塩の形態)である。
【0020】
本発明によると、特に、個々の式:
【化1】

で表わされる、一水化L−システイン塩酸塩(一水化(R)−2−アミノ−メルカプトプロピオン酸一塩酸塩)、又はL−メチオニン((S)−2−アミノ−4−メチルチオ−酪酸)を使用することができる。
【0021】
「遊離型」とは、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質のペプチド結合により、他のアミノ酸に結合していないアミノ酸を意味する。
【0022】
好ましくは、本発明に記載の含硫アミノ酸は還元型で使用される、すなわち、スルフヒドリル基−SHが還元されている。この好ましい含硫アミノ酸の型は、従って、ジスルフィド架橋を介した二つのシステインの結合を含むシステインの酸化型であるシスチンを特に排除する。
【0023】
ビフィズス菌は実質的にタンパク質分解活性を有しないので、前記遊離型アミノ酸を利用することは、これらがビフィズス菌に直接同化されることが可能な点で有利である。
【0024】
本発明で使用される含硫アミノ酸又は酸は、微生物による汚染に関する制約に配慮して、すなわち、これらが実質的に微生物汚染から免れるために、有利には予めの濾過及び/又は加圧滅菌(又は低温殺菌、すなわち、50℃を超えた温度で処理)及び/又は放射線照射を施す。
【0025】
含硫アミノ酸が75mg/Lを超えた濃度で使用される場合には、食品の官能特性の劣化が生じることが指摘されている。
【0026】
含硫アミノ酸が5mg/L未満の濃度で使用される場合には、製品グラム当たり5・10又は10CFUを超えるビフィズス菌集団菌数は、通常、製品の保存期間中維持できない。
【0027】
本発明で使用される含硫アミノ酸の濃度は、特に製品の調製中に添加される含硫アミノ酸又は酸に関するものであることが指摘されなければならない。この濃度は、調製中の細菌による含硫アミノ酸の産生の可能性、あるいは、食品(例えばミルク中)の調製用の出発物質又は調製中に使用可能な補助物質に本来存在する遊離型含硫アミノ酸の量に関する可能性については考慮していない。
【0028】
ミルクに通常存在する含硫アミノ酸濃度は、100〜1300mg/Lであり、その中には約260mg/Lシステイン及び1020mg/Lのメチオニンが含まれる(Handbook of Milk composition, 1995, Academic Press)。ミルク中に含まれるこれら含硫アミノ酸の大半が、ペプチド又はタンパク質鎖中の結合型であることに注意されたい。
【0029】
「発酵体」とは、特に発酵を目的とした細菌及び/又はバイオティック価値を有する細菌の一組の細菌を意味する。
【0030】
「受容可能な官能特性」とは、以下に記載のプロトコルに対応した官能分析試験で決定される、特に好ましくない硫黄型の味が不在であることを意味する。
【0031】
官能の機構は製品の摂取に続いて起こる刺激の発生により開始される。この刺激は、個々の摂取者の遺伝的及び生理的因子に依存して知覚を引起す。この知覚は次いで言葉で表現され(言葉の一覧表が摂取者に提示される)、次いで定量される(程度が用いられる)。摂取者は次いで彼が摂取した製品の総合的な評価を行い(この評価は彼の文化、彼の経験により影響される)、及び彼はこの製品を買う用意があるかないか告げる(その時、データ、例えばこの製品に関する価格、情報の提供が可能である)。
【0032】
官能分析は、五感(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)を含み、非常に厳格なプロトコルを用いた、知覚(生理的及び心理的)に基づく科学である。
【0033】
官能分析を実施するパネル(委員)を構成する摂取者は、彼らの官能能力について、言葉の表現力に関する能力について、評価の程度を表す能力について、及びグループ活動を行う能力(意見の一致を得るために)について選抜される。パネルによる評価が繰返し可能で、再現性があり、識別及び分類に関して均一であることを証明することが絶対に必要である。これら必要条件を証明することを可能とする試験は数回繰り返される。製品の選択は三つの主な基準に従って行われる:製品の経過時間(年齢)(同一の経過時間の製品が選択される)、これらの製品は標準評価の際に見本であること、製品は均一であること(製品間に差があってはならない)に従う。これらの製品は匿名で、コードの形で、特定された順番で、及び均一に(同一温度など)提示される。
【0034】
官能分析の環境条件は重要である:分析が実施される部屋の、空調、照明、音響環境、飾り付け(できるだけ当たり障りのない)及び匂いは標準化されなければならない。パネルの構成員は間仕切りで離されなければならない。彼らは分析に先行する数時間は、喫煙、コーヒー又はメントールの摂取を控えなければならない。また、彼らは香水を帯びたり、化粧をしたりしてはならない。
【0035】
この分析の終了時点で、パネル構成員がこの製品に好ましくない硫黄型の味を検出しなければ、製品は「受容可能な官能特性」であると判断される。
【0036】
発酵食品の保存または貯蔵期間は、発酵食品の調製及び包装直後から始まる期間である。この保存期間中発酵食品は通常約4及び約10℃の間の温度で保存される。
【0037】
前記発酵食品は発酵食品グラム当たり、5・10を超える、特に10を超えるビフィズス菌を、特に少なくとも40日間の保存期間中含む。より詳しくは、前記発酵食品は発酵食品グラム当たり5・10を超える、特に10を超える、ビフィズス菌を製品の使用期限まで含む。
【0038】
使用期限は最近の登録で規定されている法定保存期間に依存し、それは通常調製日より15〜50日間まで変えることができる。例えば、法定保存期間は通常新鮮な乳製品については30日間である。
【0039】
4〜10℃の間で保存された製品の使用期限におけるビフィズス菌集団菌数が10CFU/g以上である場合、食物中のビフィズス菌の条件に関する医学的に推奨されたビフィズス菌集団菌数としては十分であると考えられる。
【0040】
「0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない」とは、特にその製造方法の終了時点で前記発酵食品が、0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まないか、及び/又は少なくとも30日間、特に少なくとも35日間、特に少なくとも40日間の保存期間中又は前記発酵食品の使用期限まで、前記発酵食品が0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まないことを意味する。更に、前記発酵食品は、製品の製造方法の期間中、特に植菌の時点および発酵を通して、もはや0.5%を超える量の酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない。
【0041】
「酵母抽出物」及び「酵母自己消化物」とは、酵母細胞の可溶性成分の濃縮物を意味する。この点に関して、特に文献“Yeast extracts: production, properties and components” by Rolf Sommer (9th International Symposium on yeasts)、を挙げることができるであろうし、そこから以下の情報が引き出せる。
【0042】
酵母抽出物は主に自己消化により産生される、すなわち、細胞の加水分解が他から酵素を添加することなしに行われる。酵母抽出物又は酵母自己消化物は主に発酵産業及び農業食品産業で使用される。酵母抽出物を調製するための主な原料は、糖液(モラス)に基づく培地で培養された高濃度のタンパク質を有する酵母(サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)株)から構成されるか、又は脱苦味性ビール(サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)株又はサッカロマイセス・ウヴァルム(Saccharomyces uvarum)株)より得られる酵母から構成される。使用される他の原料としては、5’-ヌクレオチドを含む酵母抽出物を製造するための酵母、例えば、クリヴェロイセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)(乳清で発酵)又はカンジダ・ユティリス(Candida utilis)(林業由来の炭水化物に富む廃棄物又はエタノールで培養)又は特殊なパン酵母株がある。
【0043】
自己消化は酵母抽出物の調製でもっとも頻繁に用いられる解離方法である。この方法では、酵母は自分自身に内在する酵素により分解する。自己消化方法は浸透圧衝撃又は温度調節により開始することができ、その結果内在酵素(特にプロテアーゼ(タンパク質分解酵素))を失活させることなく細胞の死を引き起こすことができる。制御されたpH、温度及び自己消化の継続は、標準の自己消化方法において決定的な因子である。「標準的な」自己消化に対して塩類又は酵素(例えば、プロテアーゼ又はプロテアーゼとペプチダーゼの混合物)を添加することで、酵母細胞タンパク質の分解を制御することができる。
【0044】
自己消化の他に、酵母抽出物は熱分解(例えば、酵母を100℃で煮沸する)、原形質分解(100℃未満の温度で強い塩溶液とともに処理する)及び機械的分解(高圧による均一化又は粉砕)により製造することができる。
【0045】
次いで、可溶性の複合物は不溶性の細胞壁より分離し、攪拌式蒸発器又は流下膜式蒸発器により濃縮し、続いて場合により濾過段階、部分真空下での濃縮及び迅速な殺菌を行う。三つの型の酵母抽出物が存在する:液性酵母抽出物(乾固物:50〜65%);粘性ペースト型酵母抽出物(乾固物:70〜80%);乾燥酵母抽出物粉末。
【0046】
発酵産業で使用される標準酵母抽出物粉末の例では、その組成は次の通りである:
タンパク質含量: 73〜75%
ナトリウム: 0.5%より少
多糖: 5%より少
オリゴ糖: 1%より少
脂質: 0.5%より少
タンパク質含量は通常次のような分布である:
遊離型アミノ酸: 35〜40%
ジ、トリ及びテトラペプチド(MW<600Da): 10〜15%
オリゴペプチド(MW、2000〜3000Da): 40〜45%
オリゴペプチド(MW、3000〜100000Da): 2〜5%
通常のシステイン含量は0.45%、及び通常のメチオニン含量は1.12%(遊離型で1.08%)である。
【0047】
本発明は、総濃度約5〜約30mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lであり、遊離型である含硫アミノ酸少なくとも一つの利用に関し、それはビフィズス菌を含む発酵体を用いる発酵食品の製造方法を実施するためのものであって、この発酵食品は受容可能な官能特性を有し、発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含み、保存期間が少なくとも30日間、特に少なくとも35日間であって、0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない。
【0048】
更に、また本発明は発酵食品に関し、それは官能特性を有し、発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含み、保存期間が少なくとも30日間、特に少なくとも35日間であって、約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの総濃度の遊離型含硫アミノ酸を有する。
【0049】
より詳しくは、前記発酵食品は発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含む発酵体を含み、その保存期間は少なくとも40日間又は発酵食品の使用期限までである。
【0050】
前記発酵食品は、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間の開始時点における発酵食品に含まれるビフィズス菌数に対する、保存期間の終了時点における発酵食品に含まれるビフィズス菌数の比率が、有利には約0.2〜約0.8,特に約0.3〜約0.7、特に約0.4〜約0.5である。
【0051】
換言すると、保存期間の開始時点(すなわち、調製工程の終了時点)と保存期間終了時点の間における発酵食品に含まれるビフィズス菌生存比率が、20〜80%の間、特に30〜70%の間、そして特に40〜50%の間に含まれることである。
【0052】
前記保存期間は、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間、しかしより詳しくは、少なくとも40日間であるか、又は発酵食品の使用期限まで延長される。
【0053】
また、本発明は、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間中約4〜約10℃の温度で保存され、受容可能な官能特性を有し、及び発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含む発酵体を含む、発酵食品に関する。
【0054】
より詳しくは、本発明は、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間、特に少なくとも40日間の保存期間中、12℃未満の、又は10℃未満の温度で保存され、受容可能な官能特性を有し、及び発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含む発酵体を含む、発酵食品に関する。
【0055】
好ましくは、本発明は、前記で定義した発酵食品に関し、それは約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/L、の含硫アミノ酸、そして特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lのシステイン、及び/又は約5〜約30mg/L、特に約5〜約15mg/L、のメチオニンを含む。
【0056】
システインを測定するために、アミノ酸分析機、例えばL−8800高速アミノ酸分析機(日立ハイテクノロジー)、を利用することが可能である。この分析機は、イオン交換クロマトグラフィーとニンヒドリン反応の後に行う二波長(570及び440nm)の比色検出が組み合わされている。また、質量分析機と組み合わされたガスクロマトグラフィー又は蛍光検出と組み合わされた高速液体クロマトグラフィーを用いることも可能である。
【0057】
システインのより詳しい利用は、有利なことにメチオニンより良好な乳酸菌促進効果を実験的にもたらす。
【0058】
より詳しくは、メチオニンの利用は、有利なことにシステインよりその価格が低い。
【0059】
有利には、前記発酵食品は、約1.7%より多くの含硫遊離型アミノ酸を含む物質を、約0.5%(w/w)未満含む。
【0060】
より詳しくは、前記発酵食品は約0.5%(w/w)未満の酵母抽出物、及び/又は酵母自己消化物、及び/又はミルク、植物、又は大豆タンパク質加水分解物を含む。
【0061】
存在する可能性のある酵母抽出物又は酵母自己消化物型物質は製品において既知の方法により容易に検出できる。特に、これら物質に由来するグルカン及びマンナンは検出可能である。例えば、繊維状のグルカン及びマンナンについては、AFSSA[フランス食品安全局](method AOAC 985.29)により推奨されている、総食物繊維測定方法を用いることが可能である。また、酵母抽出物又は類似の物質の添加は、製品の正常な成分に比較して(ミルクの例では、特にthe Handbook of milk composition, 1995, Academic Pressが参考になろう)、製品中の20アミノ酸全ての含量を完全に変化させてしまうに違いなく、また、ビタミンやミネラルの濃度の変化も引き起こすに違いない。
【0062】
好ましい実施態様によると、前記で定義された発酵食品に含まれるビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、特にビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス(Bifidobacterium animalis animalis)及び/又はビディフォバクテリウム・アニマリス・ラクティス(Bidifobacterium animalis lactis)及び/又はビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)の型である。
【0063】
有利には、前記に定義される発酵食品は、植物ジュース、特に果実ジュース又は野菜ジュース(例えば、大豆ジュース)、あるいは乳製品、そして特に牛乳及び/又は山羊乳に基づく。
【0064】
また、前記発酵食品は羊乳、駱駝乳又は馬乳に基づくことができる。
【0065】
植物ジュースとは、植物抽出物(特に大豆、豆乳、オートムギ、小麦、トウモロコシなど)から製造されたジュースを意味する。
【0066】
野菜ジュースの例としては、トマトジュース、ビートジュース、人参ジュースなどが挙げられる。
【0067】
果実ジュースの例としては、リンゴ、オレンジ、イチゴ、モモ、アンズ、プラム、ラズベリー、ブラックベリー、グースベリー、パイナップル、レモン、柑橘類果実、グレープフルーツ、バナナ、キウイ果実、西洋ナシ、サクランボ、パッションフルーツ、マンゴ、外国産果実ジュース、多種果実ジュースなどが挙げられる。
【0068】
好ましい実施態様によると、前記に定義される発酵食品の発酵体は、乳酸菌、特にラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、そして特にラクトバチルス・デルブルエッキ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii bulgaricus)及び/又はラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)及び/又はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及び/又はラクトバチルス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus)及び/又はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)属の細菌一つ以上、及び/又はラクトコカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)及び/又はストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及び/又はラクトコカス・ラクティス(Lactococcus lactis)型の細菌、及び/又はロイコノストック(Leuconostoc)属の細菌一つ以上、を含む。
【0069】
有利には、前記に定義される発酵食品は、発酵体中のビフィズス菌の割合が約20〜約80%、特に約30〜約70%、特に約40〜約60%、そして特に約50%である。
【0070】
「発酵体中のビフィズス菌の割合」とは、発酵食品に含まれる総細菌数すなわち、全てのビフィズス菌及び他の細菌、特にラクトコカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ストレプトコカス(Streptococcus)などの細菌に対する、相対的なビフィズス菌の割合を意味する。
【0071】
調製工程終了時での発酵食品中のビフィズス菌及び他の菌種の間の良好な数的バランス、及び保存期間を通した実質的なこのバランスの維持は、食品の質の本質的な保証となる。
【0072】
50%のビフィズス菌の割合は、費用(ビフィズス菌は高価である)の問題と適正なビフィズス菌集団菌数を得るという問題の間での、適切な折衷案となる。
【0073】
好ましい実施態様によると、前記に定義される発酵食品は、攪拌型発酵食品又は飲用発酵食品又は固形発行食品又は幼児用発酵食品として提示される。
【0074】
「攪拌型[…]製品」とは、特にミルク中で、播種、発酵、機械的攪拌、次いで包装された製品を意味する。このような製品の発酵はポットの中ではなく、バルク、タンクの中で行われる。ポットに包装する前に、凝乳は攪拌され、次いで冷却し、冷凍保存される。凝乳とは特にミルクの凝集したタンパク質を意味する。
【0075】
「飲用[…]製品」とは、実質的に液状の製品を意味する。飲用製品とは、機械的攪拌段階の後に製品を包装前にタンク中に溶き入れたような製品を意味する。
【0076】
「固形[…]製品」とは、それが発酵するポット中に播種され直接包装される製品(特にミルク中)を意味する。播種後、製品はポットに包装される。これらのポットは通常オーブン中に3時間にわたり置かれる。細菌は繁殖し乳糖を消費し、乳糖は次いで部分的に乳酸に変換し、乳酸はタンパク質の構造を変化させ、「乳酸ゲル」として知られるものを形成する。次いで、この製品は通風冷却器又は冷却トンネルの中に置かれ、約2〜4℃で貯蔵される。
【0077】
「幼児用[…]製品」とは、タンパク質及び脂肪含量の低い、幼児の要求に適した製品を意味する。
【0078】
前記発酵食品としては、特にヨーグルト、又は固形、攪拌型又は飲用ヨーグルト、又は棒状乳製品、ケフィア、乳製品入りのビスケット、又はプロバイオティックス水などが可能である。
【0079】
更に、本発明はまた出発物質から発酵食品の製造方法に関し、次のような手順の段階を含む:
−播種された物質を得るための、場合により低温殺菌され、ビフィズス菌を含む播種用発酵体を植える、出発物質を播種する段階、
−発酵物質を得るための、前記段階で得られる播種された物質の発酵段階、
−約5〜約75mg/L特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度の、遊離型含硫アミノ酸少なくとも一つを混合する段階であり、この混合が可能な段階は、
−播種段階の前か、
−又は播種段階と実質的に同時であるか、
−又は播種段階の後であるが発酵段階の前、
のいずれかであるが、発酵食品が0.5%(w/w)を超える酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物を含まないことを条件とする。
【0080】
「発酵」とは、微生物の活動下で有機物質のエネルギー放出を含む生化学反応を意味する。それは、微生物による原料の変換方法であり、この変換により次いでバイオマス(生物資源)と代謝産物が産生される。特に乳酸発酵は発酵体中の細菌による乳糖の嫌気的消費方法であり、それは乳酸の形成とpHの低下をもたらす。
【0081】
本発明は、酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物不在下で又は低濃度の後者の存在下で、前記で述べた範囲内の含硫アミノ酸を混合させることで、ビフィズス菌の抵抗力及び生存能力を高めることを可能にするという、本発明者による驚くべき発見に従ったものである。本発明の調製工程終了時点での発酵食品に含まれるビフィズス菌は、発酵食品の保存中により多くのビフィズス菌の生存を可能とする含硫アミノ酸の混合を省いた場合に比べ、より良好な生理的状態にある。
【0082】
従って、システイン及び/又はメチオニンは特異的な乳酸菌促進効果を有する。一方、酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物の使用は、特に0.5%(w/w)を超えた濃度の場合は、発酵食品中の全ての細菌を刺激する傾向があり、それはビフィズス菌の損傷に繋がる細菌共生のバランス崩壊に導き、その場合には、乳酸菌の好むところとなる。このバランスの崩壊の結果は、pHの変化、酢酸及び/又はHの産生をもたらし、これら全ての事項は製品の質を損なう。
【0083】
更に、含硫アミノ酸濃度が30mg/Lを超え、特に含硫アミノ酸濃度が50mg/Lを超え、及びより詳しくは含硫アミノ酸濃度が75mg/Lを超えると、食品の官能特性の顕著な劣化が指摘されていることは指摘されるべきである。この劣化は前記の標準味覚試験により指摘されており、それによれば製品の消費と市場での売買(マーケティング)を不適格にしてしまう硫黄味覚の存在が明らかにされている。特にシステイン及び/又はメチオニンが75mg/Lより多く混合された時、又は、特定の場合には50又は30mg/Lより多くても、しかしまた追加物質の存在、例えば、特に0.5%(w/w)より高いレベルを超えた酵母抽出物又は酵母自己消化物の存在、により含硫アミノ酸濃度がそのような値を超えた時にも、不快な硫黄味覚が生じることは指摘されなければならない。
【0084】
本発明の方法の他の重要な特徴は、人工的/合成的な中間の増殖用培地に必ずしも頼らずに発酵食品にするために、ビフィズス菌を含む発酵体を直接出発物質に混合することである。
【0085】
特定の実施態様によると、前記に定義される方法は含硫アミノ酸一つ以上の添加の段階を含まない。
【0086】
その他の特定の実施態様によると、前記に定義される方法は、遊離型の含硫アミノ酸一つ以上を含む添加物質の添加の段階を含み、添加物質中の遊離型含硫アミノ酸濃度は約1.7%未満であり、好ましくは約0.5%未満であり、及び発酵食品中の前記添加物は約0.5%未満である。
【0087】
より詳しくは、添加物質の前記添加段階は、約0.5%(w/w)未満の濃度の酵母抽出物及び/又は酵母の自己消化物及び/又はミルク、植物又は大豆タンパク質加水分解物の添加を含む、添加物質の添加を含むことができる。
【0088】
好ましくは、添加物質のこの添加段階は発酵段階の前、例えば、実質的には播種段階と同時に及び/又は含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階と実質的に同時に行われる。
【0089】
播種段階と実質的に同時に及び/又は含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階と実質的に同時に行われる添加による利益は、実益性にある。この場合、酵母抽出物型添加物は発酵中に少なくとも部分的に分解し、そのことにより発酵体に栄養を補給する。従って、酵母抽出物型添加物の濃度は発酵中に変化する。
【0090】
有利には、前記で定義した発酵食品の製造方法は、また播種段階前に行われる低温殺菌段階を含み、それにより出発物質から低温殺菌した出発物質を得ることが可能となる。
【0091】
「低温殺菌」とは、沸騰させずに行う急速な加熱とそれに続く急速な冷却を含む食物保存の分野における通常の方法を意味し、それにより部分的にタンパク質を保存しながら大部分の細菌を殺すことができる。
【0092】
特定の実施態様によると、含硫アミノ酸少なくとも一つの混合は低温殺菌段階の前に行われ、含硫アミノ酸又は酸は約5〜約75mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lで混合される。
【0093】
低温殺菌段階前に混合することの利益は、実益性にある。
【0094】
その他の実施態様によると、含硫アミノ酸少なくとも一つの混合は、実質的に播種段階と同時に行われ、含硫アミノ酸又は酸は約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度で混合される。
【0095】
播種と実質的に同時に混合することの利益は経済性(含硫アミノ酸又は酸は播種前の任意の熱処理又は低温殺菌により部分的にも破壊されない)及び実益性にある。
【0096】
その他の特定の実施態様によると、含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階は、播種段階後及び発酵段階前に行われ、含硫アミノ酸又は酸は約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度で混合される。
【0097】
播種段階後及び発酵段階前に行われる混合の利益は実益性にあり、それにより製品の貯蔵中のビフィズス菌の生存を確実に増強させることができる。
【0098】
含硫アミノ酸又は酸の混合が低温殺菌段階の前に行われる場合には、混合される含硫アミノ酸の量は、この混合が場合による低温殺菌の後に、すなわち、実質的に播種段階と同時に、又は播種段階の後に行われる場合に比べて、約30〜50%増量しなければならないことは、指摘しなければならない。実際に、最初の場合には含硫アミノ酸の一部が低温殺菌中に破壊される。
【0099】
換言すると、本発明により提供される含硫アミノ酸の濃度範囲内に含まれる50〜75mg/Lの含硫アミノ酸の上方濃度範囲は、特に低温殺菌段階の前に行われる含硫アミノ酸の混合と関連する。
【0100】
含硫アミノ酸の混合段階を二つ又はそれ以上のサブ段階に分けてみることも可能であることは指摘されなければならないし、これらのサブ段階は発明の方法の異なる時点で場合により行うことが可能である。次に、前記で示した含硫アミノ酸の濃度は含硫アミノ酸の混合の異なるサブ段階の終了時点での含硫アミノ酸の総濃度に相当する。
【0101】
好ましい実施態様によると、前記で定義した発酵食品の製造方法は、播種段階と同時に又は播種段階と発酵段階の間に中間調製物質を加える段階を含み、それは、播種された物質から完全な播種された物質を得るため、又は、発酵段階の後で発酵物質から完全な発酵物質を得るためであり、前記中間調製物質は果実及び/又は穀類及び/又は 添加物、例えば香味料及び着色料の調製を含み、及び前記中間調製物質の添加段階は、含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階と同時に行うことが可能である。
【0102】
中間調製物質は、特に増粘剤(可溶性及び不溶性繊維、アルギン酸塩、カラゲナン、キサンタンゴム、ペクチン、デンプン、特にゼラチン化したデンプン、セルロース及びその誘導体、グァー及びイナゴマメガム、イヌリン)又は甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK、サッカリン、スクラロース、チクロ)又は保存剤を含むことができる。
【0103】
香味料の例としては、リンゴ、オレンジ、イチゴ、キウイ果実、ココア香味料などが挙げられる。
【0104】
着色料の例としては、ベータカロチン、カーミン、コチニールレッドが挙げられる。
【0105】
更に、前記果実の調製としては、全体又は断片化した又はジェリー状又はジャム状の果実を挙げることができ、それにより例えば果実ヨーグルトを得ることができる。
【0106】
また、中間調製物質としては植物抽出物(大豆、米など)を挙げることができる。
【0107】
本発明のその他の実施態様によると、播種段階はmL当たり(又はグラム当たり)約10〜約2・10、より詳しくは約10〜約10のビフィズス菌を含む播種用発酵体の出発物質への植菌を含む。
【0108】
前記範囲を超える量のビフィズス菌が植えられる場合には、望ましくない酢酸様の味が生じる。前記範囲未満の量のビフィズス菌が植えられる場合には、最終的なビフィズス菌の量が不十分になる。
【0109】
有利には、本発明による発酵食品の製造方法では、ビフィズス菌はビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、特にビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス(Bifidobacterium animalis animalis)、及び/又はビディフォバクテリウム・アニマリス・ラクティス(Bidifobacterium animalis lactis)、及び/又はビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及び/又はビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)の型の細菌から選択される。
【0110】
特に好ましくは、本発明による発酵食品の製造方法において、ビフィズス菌はビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)型の細菌から選択される。
【0111】
有利には、本発明による発酵食品の製造方法では、播種用の発酵体は乳酸菌、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、そして特にラクトバチルス・デルブルエッキ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii bulgaricus)及び/又はラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)及び/又はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及び/又はラクトバチルス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus)及び/又はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)属の細菌一つ以上、及び/又はラクトコカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)及び/又はストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及び/又はラクトコカス・ラクティス(Lactococcus lactis)型の細菌、及び/又は一つ以上のロイコノストック(Leuconostoc)属の細菌一つ以上を含む。
【0112】
前記に定義される発酵食品の製造方法の有利な実施態様によると、播種用発酵体中のビフィズス菌の割合は、約20〜約75%、特に約30〜約50%、特に約35〜約40%、特に約37.5%である。
【0113】
「播種用発酵体中のビフィズス菌の割合」は、播種段階で植えられた細菌合計全てに対するビフィズス菌の相対的割合を意味する。
【0114】
出発時点でのビフィズス菌の濃度が高ければ高いほど、発酵体中の他の菌種との相対的増殖性においてビフィズス菌がより拮抗的になり、及びビフィズス菌の最適な濃度へより迅速に到達できるという条件であれば、この割合は費用及びビフィズス菌の最終濃度という点で、最適である。
【0115】
前記に定義される発酵食品の製造方法の好ましい実施態様によると、出発物質は、植物ジュース、そして特に果実ジュース又は野菜ジュース(例えば、大豆ジュース)、あるいは乳製品、そして特に牛乳及び/又は山羊乳に基づく。
【0116】
また、出発物質は羊乳及び/又は駱駝乳及び/又は馬乳を含むことも可能である。
【0117】
発酵食品が乳製品の場合には、出発物質はミルク、粉ミルク、砂糖、ミルクの混合物、及び植物ジュース、ミルク及び植物ジュースの混合物、ミルクおよび果実ジュースの混合物、ミルク及びデンプンの混合物を含むことが可能である。
【0118】
有利には、本発明による発酵食品の製造方法の実施態様によると、低温殺菌した出発物質は、ホールドされ、場合により均一化され、及び冷却され、原料から得られるものである低温殺菌された出発物資であり、前記方法は、播種に先立つ以下の連続する段階:
−標準化物質を得るための、原料の脂質の標準化を行う段階、
−強化物質を得るための、前記段階で得られる標準化物質を乾燥体により強化する段階、
−出発物質を得るための、前記段階で得られる強化物質を予熱する段階、
−低温殺菌及びホールドされた物質を得るための、前記段階で得られる出発物質を低温殺菌及びホールドする段階、
−低温殺菌され、ホールドされ、場合により均一化した物質を得るための、前記段階で得られる低温殺菌されホールドされた物質を場合により均一化する段階、
−ホールドされ、場合により均一化され、及び冷却された、低温殺菌された出発物質を得るための、前記段階で得られる低温殺菌され、ホールドされ、及び場合により均一化された物質を最初に冷却する段階、
を含む。
【0119】
「脂質の標準化」とは、出発物質中の脂肪の量を予め決められたレベルまで持ってゆくことを意味する。
【0120】
乾燥物質による強化とは、凝乳の固さを変えるためにタンパク質や脂質の添加を意味する。
【0121】
「ホールディング(ホールド)」とは、ミルクの急速サーミゼーションを意味し、それにより病原性のものを含む増殖性の微生物叢を殺すことを可能にする。その時間は通常、4〜10分、特に5〜8分、そして特に約6分である。
【0122】
「均一化」とは、ミルク様物質中の脂質を分散させて小さい脂肪球にすることを意味する。均一化は、例えば100〜280バール、特に100〜250バール、特に100〜200バール、特に約200バールの圧力下で行われる。この均一化段階は、文字どおり場合による。特にそれは脂質が0%の製品の製造方法には存在しない。
【0123】
特定の実施態様によると、前記に定義される発酵食品の製造方法は、播種段階及び発酵段階の間の包装段階を含み、前記包装段階により播種段階で得られる播種された物質から播種され包装された物質を得るのを可能にする。
【0124】
前記特定の実施態様は、固形型発酵食品の場合に相当する。
【0125】
より詳しくは、前記に定義される発酵食品の製造方法は、以下の段階:
−出発物質mL当たり播種用の約10〜約2・10のビフィズス菌、より詳しくは、約10〜約10のビフィズス菌を含む播種用の発酵体を植菌する、播種された物質を得るための、場合により低温殺菌を施した出発物質の播種段階、
−包装され播種された物質を得るための、前記段階で得られる播種された物質を包装する段階、
−発酵開始時の温度が約36〜約43℃、特に約37〜約40℃で、発酵終了時の温度が約37〜約44℃、特に約38〜約41℃であり、及び発酵時間が約6〜約11時間であるような、発酵物質を得るための、前記段階で得られる包装され播種された物質の発酵段階、
−最終冷却の開始時点での温度が約22℃未満、及び最終冷却の終了時点での温度が約4〜約10℃であるような、発酵食品を得るための、前記段階で得られる発酵物質の最終冷却段階、
を含む。
【0126】
代替の実施態様によると、固形製品の調製を含まない、本発明の発酵食品の製造方法は、発酵段階の後で以下の手順の段階:
−予冷物質を得るための、発酵段階で得られる発酵物質の中間冷却段階、
−貯蔵物質を得るための、前記段階で得られる予冷物質の貯蔵の段階、
−発酵食品を得るための、前記段階で得られる貯蔵物質の最終冷却段階、
を含む。
【0127】
好ましい実施態様によると、前記発酵段階は、発酵開始時点での温度が約36〜約43℃、そして特に約37〜約40℃、発酵終了時点での温度が約37〜約44℃、そして特に約38〜約41℃、及び発酵時間が約6〜約11時間である。
【0128】
有利には、前記中間冷却段階は、中間冷却時間が約1時間〜約4時間、そして特に約1時間30分〜約2時間、及び中間冷却温度が約4〜約22℃である。
【0129】
好ましくは、前記貯蔵段階は、貯蔵時間が約40時間以下である。
【0130】
有利には、前記最終冷却段階は、最終冷却開始時点での温度が約22℃未満、最終冷却終了時点での温度が約4〜約10℃である。
【0131】
好ましい実施態様によると、本発明の発酵食品の製造方法は、以下の段階:
−出発物質mL(又はグラム当たり)当たり、約10〜約2・10、より詳しくは10〜約10、のビフィズス菌を含む播種用発酵体を植菌する、播種された物質を得るための、場合により低温殺菌を施した出発物質の播種段階、
−発酵開始時の温度が約36〜約43℃、特に約37〜約40℃であり、発酵終了時の温度が約37〜約44℃で、特に約38〜約41℃であり、発酵時間が約6〜約11時間である、発酵物質を得るための前記段階で得られる播種された物質の発酵段階、
−中間冷却時間が約1時間〜約4時間、特に約1時間30分〜約2時間及び中間冷却温度が約4〜約22℃である、予冷物質を得るための、前記段階で得られる発酵物質の中間冷却段階、
−貯蔵時間が約40時間以下であるような、貯蔵物質を得るための、前記段階で得られる予冷物質の貯蔵段階、
−最終冷却の開始時点での温度が約22℃未満、最終冷却の終了時点での温度が約4〜約10℃である、発酵食品を得るための、前記段階で得られる貯蔵物質の最終冷却段階、
を含む。
【0132】
前記に定義される発酵食品の製造方法の特定の実施態様によると、追加の攪拌段階を発酵段階と中間冷却段階の間に設定し、それにより発酵段階で得られる発酵物質より攪拌された物質を得ることができる。
【0133】
「攪拌」とはタービン又はらせん形の攪拌器を用いて行う機械的攪拌方法を意味する。それは製品、特に乳製品の油性を決定する段階である。攪拌が激しすぎる場合、空気の混合と乳清の分離が起こる可能性がある。攪拌が不十分である場合、製品はその後に高粘度になりすぎる可能性がある。
【0134】
特定の実施態様によると、本発明による発酵食品の製造方法は、最終冷却段階の後に約4及び約10℃の間の温度で発酵食品を保存する段階を含む。
【0135】
また、本発明は前記で定義した方法で得られる発酵食品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】実施例1の発酵体によるミルクの酸性化に対するシステイン及びビタミンCの効果の比較を示す図である。分で表した時間はx−軸に、pHはy−軸に示す。曲線A:ビタミンC又はシステイン不含のコントロール;曲線B:ビタミンC;曲線C:システイン。
【図2】10℃で保存中のコントロールモデルにおけるビフィズス菌集団の増殖を示す図である。x−軸は日で示す保存時間;y−軸はCFU/mLで示すビフィズス菌集団菌数。■:15mg/Lの濾過システイン含有;▲:システイン不含。
【図3】刺激剤処理を関数としたミルク中におけるビフィズス菌集団の増殖を示す図である。x−軸:日で示す保存時間;y−軸:CFU/mLで示す集団菌数。条件:■、システイン又はメチオニン不含コントロール;○,加圧滅菌したシステイン;●、ろ過システイン;□、加圧滅菌したメチオニン;点曲線、ろ過メチオニン。
【図4】10℃で保存中のコントロールモデルにおけるビフィズス菌集団菌数の測定を示す図である。x−軸:日で示す保存時間;y−軸:CFU/mLで示す集団菌数。■:低温殺菌前に12mg/Lで混合したシステイン;▲:システイン不含コントロール。
【実施例】
【0137】
実施例1:刺激剤としてのシステイン作用様式の研究
ストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(CNCM:I−1630)+ラクトバチルス・デルブルエッキ・エスエスピー・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus)(CNCM:I−1632)+ラクトバチルス・デルブルエッキ・エスエスピー・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus)(CNCM:I−1519)+ビフィドバクテリウム・アニマリス・エスエスピー・ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp lactis)(CNCM:I−2494)を含む発酵体が用いられている。
前記実施例は、刺激剤としてのシステイン作用様式の研究、並びにそれが代謝又は抗酸化効果を含むかどうかの決定を含む。
ミルク中のビフィズス菌の増殖は、培地中の酸素を完全に還元するビタミンC(0.5g/L)溶液及びシステイン(50mg/L)の溶液の存在下で測定される。
製品モデルの組成:
アルラ食品供給の混合スキムミルク粉末:120g
水:1kgの十分量
泡立てた水浴で30分間95℃での加熱による低温殺菌を含む熱処理を行う。
システインはシグマより供給される。その溶液は500g/Lで調製され、0.2μmのナルジーンの濾過ユニットで濾過する。この溶液は最終濃度50mg/Lで低温殺菌モデルへの無菌注入に用いられる。
ビタミンCはシグマより供給される。その溶液は100g/Lで調製され、0.2μmのナルジーンの濾過ユニットで濾過する(カタログ156−4020、ナルジェヨーロッパ社、ベルギー)。この溶液は最終濃度0.5g/Lで低温殺菌モデルへの無菌注入に用いられる。
製品モデルの播種量を以下の表1に示す。
【表1】

播種には5.10CFU/mLのストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及び5.10CFU/mLのラクトバチルス・ブルガリカスを用いる。
37℃におけるモデルの酸性化の測定を、以下の表2及び図1に示す。
【表2】

システイン存在下における酸性化曲線はビタミンC存在下における酸性化曲線と違うことは指摘されなければならないが、ここで後者はビタミンC又はシステインの非存在下におけるコントロールの酸性化曲線と事実上違わない。ビタミンCが抗酸化剤と仮定しすると、このことから、システインの刺激効果は抗酸化作用によるものではなく、より確かなこととして、必須アミノ酸を供給した効果であると推定される。
【0138】
実施例2:システイン刺激剤用量の決定
ストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(CNCM:I−2272)+ストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(CNCM:I−2773)+ストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(CNCM:I−2130)+ラクトバチルス・デルブルエッキ・エスエスピー・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus)(CNCM:I−1519)+ビフィドバクテリウム・アニマリス・エスエスピー・ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp lactis)(CNCM:I−2494)を含む発酵体が使用される。
「ミルクモデル」は前記に記載した発酵体を含む標準攪拌ヨーグルトから構成される。
使用される0.2μm−ろ過システインは、5mg/L〜50mg/L(好ましくは、5〜20mg/L)の割合について、「ミルクモデル」において評価された。
ビフィズス菌計数法については、M. Grand et al., Quantitative analysis and molecular identification of bifidobacteria strains in probiotic milk products, Eur. Food Res. Technol. 217:90-92 (2003)の参考文献を挙げることができよう。
最も高い濃度のLシステインを含む試験用のビフィズス菌集団菌数は、D+24時間において3.10CFU/mLであり、ここでDは製品の包装にかかる時間であり、保存後28日間まで10℃で安定に維持される。標準コントロール集団菌数は(コントロール集団菌数D0:1.10CFU/mL)は保存後28日間、10℃で9.10CFU/mLである。
最も低い濃度のLシステインを含む試験用のビフィズス菌集団菌数は、D+24時間において1.10CFU/mLである。
特定の製品は硫黄の注意を特徴とする望ましくない味を有し、それは添加システインが0.002%から検出できる。これ以下のシステイン濃度では製品は容認される:0.0015%の用量は、官能的拘束及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)集団菌数が>2・10CFU/mLでなければならないという拘束の間の好ましい妥協点を示す。
0.0015%、すなわち、15mg/Lの濾過システイン存在下で行われたミルクでの増殖試験では、28日間後の10℃における保存におけるビフィドバクテリウムI−2494の集団菌数が2.8.10CFU/mLに達することができた(システイン不含のコントロールと比較した集団の増殖は図2に示されている)。
官能分析の観点では、製造された製品からは標準物質と比較して望ましくない味は検出されていない。
【0139】
実施例3:酸性化動態
実施例2に記載の発酵体が使用されている。
最適量(15mg/L)のシステインの存在下及びシステイン非存在下(コントロール)におけるミルクの酸性化動態では、全体の動態はシステインの効果を示さなかった。
【0140】
実施例4:含硫アミノ酸の処理の型の効果
システイン及びメチオニンの濾過又はサーミゼーションによる殺菌効果が評価される(使用された最終濃度:50mg/L)。
溶液は0.2μmで濾過されるか又は5分間121℃で加圧滅菌され、次いで液体窒素中でビーズ状に凍結される。
モデルの組成:
アルラ食品供給の混合スキムミルク粉末:120g
水:1kgの十分量
熱処理:泡立てた水浴で30分間95℃での加熱による低温殺菌。
システイン:シグマより供給。その溶液は500g/Lで調製され、0.2μmのナルジーンの濾過ユニットで濾過するか又は5分間121℃で温度プローブ(フェティンジ(Fetinge)フランスS.A.、参照KL60/101)により制御された加圧滅菌器により滅菌される。この溶液は最終濃度50mg/Lで低温殺菌モデルへの無菌注入に用いられる。
メチオニン:シグマより供給。溶液は300g/Lで調製される;濾過又は滅菌処理はシステイン溶液に用いられたものと同一。この溶液は最終濃度50mg/Lで低温殺菌モデルへの無菌注入に用いられる。
播種用量を以下の表3に示す。
【表3】

播種は5.10CFU/mLのストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及び5.10CFU/mLのラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)で行われた。
前記の種々の条件の関数として測定した4℃で保存したモデルにおけるビフィズス菌集団菌数を、図3及び以下の表4に示す:
【表4】

参照時間D0はポット中に置いた時点に対応する(包装)。D10、D24、D29での測定はこのポットに置いてからそれぞれ10日、24日、29日後に実施された。
全ての場合で、ビフィズス菌集団菌数はシステイン又はメチオニンの供給により増加する。この試験条件下では刺激剤の効果に対する熱処理効果は観察することができない。50mg/Lのシステインに対する熱処理によりその一部のみが破壊され、残った濃度(測定はしていない)はビフィズス菌集団菌数を改善するのに十分である。
【0141】
実施例5:低温殺菌前にシステインを混合した場合の保存中のビフィズス菌集団の増殖
12mg/Lのシステイン用量は、標的集団(2・10CFU/mL)に作用して刺激剤としての効果及び官能的な意味で陽性反応(差異が検出されない)を有することが確定している。この濃度は、モデル及び低温殺菌(95℃、30分)した組成物に直接混合して評価された。
10℃での保存中の製品モデルにおけるビフィズス菌集団菌数の測定を図4に示す。
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)集団菌数はD1(すなわち、貯蔵24時間)では2.4.10CFU/mLであり、10℃における保存44日間後で安定に維持される(1.4.10CFU/mLを超える)。これらの条件下では刺激剤効果は、標準コントロール(D1で1.6.10CFU/mL;D8で7.65.10CFU/mL;D28で2.10CFU/mL;D35で1.8.10CFU/mL;D44で8.5.10CFU/mL)に比べて明瞭に示される:D0における集団菌数は含硫アミノ酸が用いられた時に大きく、製品寿命期間中の集団菌数の維持は非常に改善されている。しかし、この刺激剤効果はモデルへの0.2μm濾過システインの添加よりは弱い状態(3.10CFU/mL)に留まり、熱処理によりシステインの破壊がもたらされる(残留濃度は15mg/L未満である)。システインが熱処理される場合には、最初のシステインは過剰量供給されることになる。
システイン使用条件に関する結論:
−直接濾過したシステインの利用(発酵体と共に)によりシステインが保存される;
−熱処理モデル製品の組成物にそれが添加されると集団菌数の点で僅かに劣る結果がもたらされ、熱処理中のシステインの破壊を考慮に入れなければならない(あまり利用に適さない);
−熱処理乳製品成分(例えば、106−169のカッパカゼイン断片に相当するグリコマクロペプチド)を介してそれが添加されると、より劣った結果がもたらされる(あまり利用に適さない);
−それを発酵体に凍結状態で添加するのは可能である。
【0142】
実施例6:本発明による実験室規模での脂肪性攪拌型ヨーグルトの製造(微量製造)
1.ミルクの組成と再水和
攪拌型ヨーグルトは次の原料を含む:脂肪0%のスキムミルク、脂肪40%のクリーム及び33%のタンパク質を含むスキムミルク粉末。
最初に、全ての原料は一緒にすることでミルクのタンパク質レベル(PL)を4.4%、脂肪レベル(FL)を3.5%及び固形物レベルを15.8%に標準化し、タンパク質を再水和するためにその培地をHEIDOLPH(商標)攪拌器を用いて60分間、約750rpmで攪拌する。
標準化の制御はFOSS(商標)のMILKOSCAN FT 120(商標)赤外線探知機を用いて行われる。下記に、このミルクを特徴づける目的物を得るためのそれぞれの原料の必要量が例示されている。

2.均一化
次いでミルクは脂肪小球を融かすために50℃及び60℃の間で加熱する。一旦その温度に達したら、10リットルをMICROCORPS(商標)のMICROFLUIDIZER(商標)ホモゲナイザーで均一化する。このことにより、350バールの圧力下で毛細状のミルクをグリッドに通すことで脂肪小球を壊すことができる。
3.低温殺菌
MEMMERT(商標)の水浴を準備し、103℃に調節する。ミルクは8リットルのリットルボトルに移して、この重量をそれぞれのボトルで正確に測定する。
ボトルは首の下まで103℃で35分間水浴に浸し、次いで同じ水浴に95℃で10分間浸す。
4.冷却と貯蔵
ボトルは連続流の冷水浴で冷却し、次いで想定している試験スケジュールに従って12〜24時間冷蔵庫に4℃で貯蔵する。
5.ホールディング
ミルクボトルは発酵体を植える45分前に冷蔵庫より取り出し、予定されている発酵温度、すなわち、37℃の水浴に置く。
6.発酵
発酵体(5.10CFU/mLのストレプトコカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus);5.10CFU/mLのラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus);5.10CFU/mLのビフィズス菌)及びL−システイン(15mg/L)を発酵温度37℃で植えたのちに、ボトルは再度水浴に浸し、酸性化はYSEBAERT(商標)からのCINAC(商標)を用いてpH4.8になるまで測定する。
7.凝塊の切断及び平滑化
ボトル内の凝塊は手で切断する。凝塊を切断したヨーグルトは平滑化用の台の漏斗(ホッパー)へ注ぐ。平滑化は500ミクロンの穴の金属グリッドを介して行い、平滑化された製品は氷水の交換回路を介して20℃まで冷却する。
8.包装と貯蔵
125mLのポット中に手動で包装し、FESTO(商標)のDNV−100−25PPV−A(商標)の加熱密封器により加熱密封でふたをした。
【0143】
実施例7:良好な官能特性を有しビフィズス菌の目的集団菌数を含む製品を得るための添加すべきシステイン用量の評価
システインの用量を増やしてゆくことで異なる製品を調製した(下記の表参照)。
コントロールは発酵体を含む標準乳製品であった。

それぞれの製品は官能的観点から参照製品に非常に馴染みのある4人の個人に味わってもらった。これらの個人は不快な味の存在についての意見を述べ(硫黄の味、酸味の指摘)、その際参照はシステイン不含の標準製品である。

0.0015%の用量は官能的な観点からはまだ最適ではないので、0.00125%の用量が試験された。この用量は集団菌数の維持という拘束と官能特性という拘束の間で非常に良好な妥協点を示す。
0.00125%(12.5mg/L)のシステイン添加の製品の官能分析結果はこのタイプの味見で訓練された15人の専門家を含む審査員団によりもたらされた。
二回試験が繰り返された。味見者は23の記述子に基づき製品を判定しなければならなかった。これらの記述子に基づく結果(参照製品との比較でその製品の官能特性を決定するのに必須である)は、これらの記述子に基づき有意な有害な差異を示さなかった。これらの記述子は以下の通りであった:
製品の外見
−乳清の目視(製品表面での乳清の性質の目視による評価)
攪拌前のスプーン上での質感
−形状保持能(製品の構造の安定性に関する)
攪拌後のスプーン上での質感
−密集性(スプーンの動きに対する抵抗)
−糸(なびかせた糸の連続性)
−被覆(スプーンの裏を被覆する製品の量)
製品の攪拌後の口中での質感
−溶解(口中の製品の消失速度)
−被膜(口の内側における被膜)
−脂肪(口中の脂肪の感覚)
−柔らかさ(口中の柔らかさの触感)
風味
−酸っぱさ
−甘さ
−苦さ
−渋さ
ミルク香味料
−不快な味
−クリーム
−バター
−ミルク
−フロマージュ・フレ(発酵させないで作る白い生チーズ)
−アセトアルデヒド
−乳清
−ラクトン
−レモン
−ジャガイモ
求めた結果はコントロール製品とシステインを補完した製品との間に有意な差異を示さなかった。
この場合、発明による12.5mg/Lのシステインを補完した製品は、コントロールの製品と比較して、外見、質感、風味および味の点で有意な差異は示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィズス菌を含む発酵体を用いた発酵食品の製造方法を実施するための、総濃度約5〜約75mg/L、特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/Lの遊離型の、含硫アミノ酸少なくとも一つの使用であって、発酵食品が受容可能な官能特性を有し、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間中発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含み、及び0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない、前記使用。
【請求項2】
ビフィズス菌を含む発酵体を用いた発酵食品の製造方法を実施するための、総濃度約5〜約30mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの遊離型の、含硫アミノ酸少なくとも一つの使用であって、発酵食品が受容可能な官能特性を有し、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間中発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含み、及び0.5%を超える酵母抽出物又は酵母自己消化物を含まない、前記使用。
【請求項3】
受容可能な官能特性を有し、少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間中発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含む発酵体を含み、及び総濃度約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの遊離型の、含硫アミノ酸少なくとも一つを有する発酵食品。
【請求項4】
少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間の開始時点における発酵食品に含まれるビフィズス菌数に対する、保存期間の終了時点における発酵食品に含まれるビフィズス菌数の比率が、約0.2〜約0.8,特に約0.3〜約0.7、特に約0.4〜約0.5である、請求項3に記載の発酵食品。
【請求項5】
少なくとも30日間、特に少なくとも35日間の保存期間中約4〜約10℃の温度にて保存され,受容可能な官能特性を有し、及び発酵食品グラム当たり約5・10を超える、特に約10を超えるビフィズス菌を含む発酵体を含む、発酵食品
【請求項6】
約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの含硫アミノ酸、そして特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lのシステイン及び/又は約5〜約30mg/L、特に約5〜約15mg/Lのメチオニンを含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項7】
約1.7%を超える含硫遊離型アミノ酸を含む物質を約0.5%(w/w)未満含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項8】
約0.5%(w/w)未満の酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物及び/又はミルク、植物又は大豆タンパク質加水分解物を含む、請求項3〜7のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項9】
ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・アニマリス、特にビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス、及び/又はビディフォバクテリウム・アニマリス・ラクティス(Bidifobacterium animalis lactis)、及び/又はビフィドバクテリウム・ブレベ、及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム及び/又はビフィドバクテリウム・インファンティス及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム型である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項10】
植物ジュース、特に果実ジュース又は野菜ジュース(例えば、大豆ジュース)、あるいは乳製品、そして特に牛乳及び/又は山羊乳に基づく、請求項3〜9のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項11】
発酵体が乳酸菌、特にラクトバチルス種の属の一つ以上の細菌、そして特にラクトバチルス・デルブルエッキ・ブルガリカス及び/又はラクトバチルス・カゼイ及び/又はラクトバチルス・ロイテリ及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス及び/又はラクトバチルス・ヘルベチクス及び/又はラクトバチルス・プランタルム、及び/又はラクトコカス・クレモリス及び/又はストレプトコカス・サーモフィルス及び/又はラクトコカス・ラクティス型の細菌、及び/又はロイコノストック属の一つ以上の細菌を含む、請求項3〜10のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項12】
発酵体中のビフィズス菌の割合が、約20〜約80%、特に約30〜約70%、特に約40〜約60%、そして特に約50%である、請求項3〜11のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項13】
攪拌型発酵食品又は飲用発酵食品又は幼児用発酵食品の形で提示される、請求項3〜12のいずれか一項に記載の発酵食品。
【請求項14】
−播種された物質を得るための、ビフィズス菌を含む播種用発酵体の植菌による、場合により低温殺菌された出発物質を播種する段階と、
−発酵物質を得るための、前記段階で得られる播種された物質の発酵段階と、
−約5〜約75mg/L、特に約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度の、遊離型含硫アミノ酸少なくとも一つを混合する段階であって、前記混合段階が、
−播種段階の前か、
−又は播種段階と実質的に同時であるか、
−又は播種段階の後であるが発酵段階の前、に起こすことができる前記混合段階、
とを含む出発物質からの発酵食品の製造方法であって、
但し、発酵食品が0.5%(w/w)を超える酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物を含まない、前記製造方法。
【請求項15】
含硫アミノ酸一つ以上を含む添加物質の添加段階を含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
遊離型の含硫アミノ酸一つ以上を含む添加物質の添加段階を含み、前記遊離型含硫アミノ酸の添加物質中の濃度が約1.7%未満、好ましくは、約0.5%未満であり、及び発酵食品中の前記添加物質の濃度が約0.5%未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
約0.5%(w/w)未満の濃度の酵母抽出物及び/又は酵母自己消化物及び/又はミルク、植物又は大豆タンパク質加水分解物から構成される添加物質の添加段階を含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
出発物質から低温殺菌された出発物質を得ることを可能にする、播種段階前に行われる低温殺菌段階を更に含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項19】
含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階が低温殺菌段階の前に行なわれ、前記含硫アミノ酸又は酸が約5〜約75mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度で混合される、請求項18に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項20】
含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階が播種段階と実質的に同時に行われ、前記含硫アミノ酸又は酸が約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度で混合される、請求項14〜18のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項21】
含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階が、播種段階後及び発酵段階前に行われ、含硫アミノ酸又は酸が約5〜約50mg/L、特に約5〜約30mg/L、特に約5〜約20mg/L、特に約10〜約15mg/L、特に約12〜約15mg/L、そして特に12.5mg/Lの濃度で混合される、請求項14〜18のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項22】
中間製造物の添加段階を含み、前記添加段階が、播種物質から完全な播種物質を得るために播種段階と同時に又は播種段階と発酵段階の中間に行なわれ、又は発酵物質から完全な発酵物質を得るために発酵段階の後で行われ、前記中間製造物は果実及び/又は穀類及び/又は添加物、例えば香味料及び着色料、の製造物を含み、及び中間製造物の前記添加段階は、含硫アミノ酸少なくとも一つの混合段階と同時に行うことができる、請求項14〜21のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項23】
播種段階が、出発物質mL当たり約10〜約2・10、より詳しくは約10〜約10のビフィズス菌を含む発酵体の播種による植菌を含む、請求項14〜22のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項24】
ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・アニマリス、特にビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス、及び/又はビディフォバクテリウム・アニマリス・ラクティス(Bidifobacterium animalis lactis)、及び/又はビフィドバクテリウム・ブレベ、及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム及び/又はビフィドバクテリウム・インファンティス及び/又はビフィドバクテリウム・ビフィドゥム型の細菌より選択される、請求項14〜23のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項25】
ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・アニマリス型の細菌より選択される、請求項14〜24のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項26】
播種用発酵体が乳酸菌、特にラクトバチルス種の属の一つ以上の細菌、そして特にラクトバチルス・デルブルエッキ・ブルガリカス及び/又はラクトバチルス・カゼイ及び/又はラクトバチルス・ロイテリ及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス及び/又はラクトバチルス・ヘルベチクス及び/又はラクトバチルス・プランタルム、及び/又はラクトコカス・クレモリス及び/又はストレプトコカス・サーモフィルス及び/又はラクトコカス・ラクティス型の細菌、及び/又はロイコノストック属の一つ以上の細菌を含む、請求項14〜25のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項27】
播種用発酵体中のビフィズス菌の割合が、約20〜約75%、特に約30〜約50%、特に約35〜約40%、そして特に約37.5%である、請求項14〜26のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項28】
出発物質が、植物ジュース、そして特に果実ジュース又は野菜ジュース(例えば、大豆ジュース)、あるいは乳製品、特に牛乳及び/又は山羊乳に基づく、請求項14〜27のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項29】
出発物質が、ホールドされ、場合により均一化され、及び冷却され、原料から得られるものである低温殺菌された出発物資であって、播種に先立って連続する以下の段階:
−標準化物質を得るための、原料の脂質の標準化を行う段階、
−強化物質を得るための、前記段階で得られる標準化物質を乾燥体により強化する段階、
−出発物質を得るための、前記段階で得られる強化物質を予熱する段階、
−低温殺菌及びホールドされた物質を得るための、前記段階で得られる出発物質を低温殺菌及びホールドする段階、
−低温殺菌され、ホールドされ、場合により均一化した物質を得るための、前記段階で得られる低温殺菌され、そしてホールドされた物質を場合により均一化する段階、
−ホールドされ、場合により均一化され、及び冷却された、低温殺菌された出発物質を得るための、前記段階で得られる低温殺菌され、ホールドされ、場合により均一化された物質を最初に冷却する段階、
を含む、請求項14〜28のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項30】
播種段階及び発酵段階の間に包装段階を含み、前記包装段階により播種段階から得られる播種された物質から、播種されそして包装された物質を得ることを可能にする、請求項14〜29のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項31】
−出発物質mL当たり播種用の約10〜約2・10のビフィズス菌、より詳しくは約10〜約10のビフィズス菌を含む発酵体を植菌する、播種された物質を得るための、場合により低温殺菌した出発物質の播種段階、
−包装され播種された物質を得るための、前記段階で得られる播種された物質を包装する段階、
−発酵開始時の温度が約36〜約43℃、特に約37〜約40℃、発酵終了時の温度が約37〜約44℃、特に約38〜約41℃、及び発酵時間が約6〜約11時間、であるような、発酵物質を得るための、前記段階で得られる包装され播種された物質の発酵段階、
−最終冷却の開始時点での温度が約22℃未満、及び最終冷却の終了時点での温度が約4〜約10℃であるような、発酵食品を得るための、前記段階で得られる発酵物質の最終冷却段階、
を含む請求項14〜30のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項32】
発酵段階後の連続する段階:
−予冷物質を得るための、発酵段階で得られる発酵物質の中間冷却段階、
−貯蔵物質を得るための、前記段階で得られる予冷物質の貯蔵の段階、
−発酵食品を得るための、前記段階で得られる貯蔵物質の最終冷却段階、
を含む、請求項14〜29のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項33】
発酵段階が、発酵開始時点での温度が約36〜約43℃、そして特に約37〜約40℃、発酵終了時点での温度が約37〜約44℃、そして特に約38〜約41℃、及び発酵時間が約6〜約11時間である、請求項14〜29又は32のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項34】
中間冷却段階が、中間冷却時間が約1時間〜約4時間、そして特に約1時間30分〜約2時間、及び中間冷却温度が約4〜約22℃である、請求項32又は33に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項35】
貯蔵段階が、貯蔵時間が約40時間以下である、請求項32〜34のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項36】
最終冷却段階が、最終冷却の開始時点での温度が約22℃未満、そして最終冷却の終了時点での温度が約4〜約10℃であるような、請求項32〜35のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項37】
−出発物質mL当たり、約10〜約2・10、より詳しくは10〜約10のビフィズス菌を含む播種用発酵体を植菌する、播種された物質を得るための、場合により低温殺菌した出発物質の播種段階、
−発酵開始時点の温度が約36〜約43℃、特に約37〜約40℃、発酵終了時点の温度が約37〜約44℃、特に約38〜約41℃、及び発酵時間が約6〜約11時間である、発酵物質を得るための前記段階で得られる播種された物質の発酵段階、
−中間冷却時間が約1時間〜約4時間、特に約1時間30分〜約2時間及び中間冷却温度が約4〜約22℃である、予冷物質を得るための、前記段階で得られる発酵物質の中間冷却段階、
−貯蔵時間が約40時間以下であるような、貯蔵物質を得るための、前記段階で得られる予冷物質の貯蔵の段階、
−最終冷却の開始時点での温度が約22℃未満、最終冷却の終了時点での温度が約4〜約10℃である、発酵食品を得るための、前記段階で得られる貯蔵物質の最終冷却段階、
を含む、請求項14〜29又は32〜36のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項38】
発酵段階で得られる発酵物質から攪拌した発酵物質を得ることを可能にする、発酵段階及び中間冷却段階の間に追加の攪拌段階を含む、請求項32〜37のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項39】
最終冷却段階の後に約4及び約10℃の間の温度で発酵食品を保存する段階を含む、請求項32〜38のいずれか一項に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項40】
請求項14〜39のいずれか一項に記載の方法で得られる、発酵食品。

【公表番号】特表2009−501017(P2009−501017A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520918(P2008−520918)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001688
【国際公開番号】WO2007/006970
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508013870)コンパニー ジェルヴェ ダノン (2)
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE GERVAIS DANONE
【Fターム(参考)】