説明

プロパルギル−トリフルオロメトキシ−アミノ−ベンゾチアゾール誘導体

本発明は、構造式(I)を有する化合物、または任意の特定のそのエナンチオマーまたは任意の薬学的に許容可能なその塩を提供する:ここでR1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、Cl-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;R2はHまたはC1-C4アルキルであり;R3はHまたはC1-C4アルキルであり;R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、C1-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;ここでnは1-6の整数であり;ここでxは0または1-5の整数、yは1-5の整数、x+y<6であり;R1またはR4の少なくとも一つは存在し;点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;R1およびR4の両方が存在する場合、任意の化合物は荷電している。並びに本発明は、治療上効果的な量の当該化合物の何れかを投与することにより、神経疾患または多発性硬化症を治療するための方法を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【参照文献】
【0001】
本出願を通して種々の出版物が括弧内に引用される。これら出版物の開示は、本発明が属する技術分野の水準をより完全に説明するために、その全体を参照により本出願の開示内容の一部とする。
【発明の背景】
【0002】
神経疾患(neurologic disorders)は、北米で発症率が高くなっている。たとえばパーキンソン病は、北米で2番目に多く発症する神経疾患であり、百万人近くが罹患している。このため、神経疾患の効果的な治療法を開発することが医薬業界で最優先になっている。
【0003】
神経疾患は、その生理学的特徴および病理学的特徴に基づいて一般に2つのグループに分けることができる。パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症 (ALSまたはルー・ゲーリグ病) は、すべて進行性疾患であり(すなわち、その症状は疾患の開始から何ヶ月または通常何年も現れず)、初期のニューロン機能の低下、その後のニューロンの死による機能の完全損失によって引き起こされる。加えて、これら進行性神経疾患は、タンパク質凝集物の存在により特徴づけられ、これは細胞の機能(たとえば神経伝達)を妨害すると考えられ、最終的に細胞死を招くかもしれない (Sasaki et al., Am. J. Pathol., 153: 1149-1155 [1998])。
【0004】
多発性硬化症は、中枢神経系の疾患であり、この疾患は遅延進行性であり、脳および脊髄における散在性斑状の髄鞘脱落により特徴づけられ、寛解や病状再燃を通常伴う複数の様々な神経学的症状および徴候を結果として招く。その原因は知られていないが、免疫異常が疑われている(THE MERCK MANUAL, 17th EDITION, 1999 MERCK & CO.)。幾つかの様々な薬物療法が現在研究中である。
【0005】
上記疾患はすべて遅延進行性であるが、神経学的機能不全は、非常に突然のできごと、たとえば脳組織の梗塞、または脳卒中によっても起こり得る。脳卒中は、先進国において第3位の死因である。生存者はしばしば神経学的障害および運動障害に苦しむ。中枢神経系(“CNS”)発作の多くは、酸素およびグルコースの欠乏を引き起こす動脈流の閉塞に続く限局性組織の貧血とみなされる。R(+)-N-プロパルギル-1-アミノアンダンは、脳卒中および外傷性脳傷害に対する効果的な治療剤であることが示されている (米国特許第5,744,500号)。
【0006】
セレジリンやラサジリンなどの一連のプロパルギルアミンは、パーキンソンモデルにおいてドーパミンニューロンのアポトーシスを妨害することが示されている (Naoi, M. et al. J. Neural Transmission (2002) 109: 607-721)。N-プロパルギル-1-アミノインダンは、パーキンソン病、痴呆およびうつ病を治療するために有効であると近年提案されている (米国特許第5,453,446号)。これら分子の神経保護活性は、プロパルギル部分の存在に幾らか起因する。プロパルギル部分が神経保護を与えることができるメカニズムは、完全には理解されていない。しかし、そのメカニズムが、Bcl-2、GAPDH、SODおよびカタラーゼの変化を含む複雑な一連の神経化学的なできごとを伴うことは明らかである (Youdim, M. B. H. Cell. Mol. Neurobiol. (2001) 21 (6): 555-573)。
【0007】
リルゾール (6-トリフルオロメトキシ-2-アミノ-ベンゾチアゾール) は、神経疾患の一種である筋萎縮性側索硬化症の進展を遅らせるのに効果があるかもしれない薬理学的物質として近年現れた (Ben Simon et al., New Engl. J. Med., 330: 585-91 (1994))。PCT国際公開公報No. WO 01/95907は、多発性硬化症の症状の発症を治療または予防するためにリルゾールを使用することを提案している。PCT国際公開公報No. WO 00/74676は、多発性硬化症を治療するためにリルゾールを単独で使用すること、または他の薬剤と組み合わせて使用することを提案している。
【0008】
6-トリフルオロメトキシ-2-アミノ-ベンゾチアゾール、PK 26124、RP 54274、リルゾールは、ベンゾチアゾール核の6位にある電気陰性置換基がジアザスチリルベースの色に及ぼす影響に関する研究の一環として、ロシア人グループにより初めて合成された (J. Gen. Chem. USSR, 1963, 33, 2240-2246、米国特許第2,822,359号;Ch. A., 52, 8570d 1958)。
【0009】
【化39】

【0010】
2-アミノ-ベンゾチアゾールは、互変異性型で存在する (ここでプロトンは、2-アミノ基と環の窒素との間を移動する)。このプロセスが、2-アミノ基の完全なアルキル化または環の窒素のアルキル化により阻害され、たとえば2-イミノ-3-メチルベンゾチアゾリンを生じた場合、2-アミノベンゾチアゾールの抑制効果はCNSの刺激に変化する (Domino, E. F. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., (1952) 105: 486-497)。また、Dominoと共同研究者らは、当該環システムの開裂が結果として痙攣活性を生じさせるため、アゾール構造がベンゾアゾールの麻痺効果に必須であることを示した。ベンゾアゾールの何れも、麻痺を生じる用量においてクラーレ様作用を有していなかった。
【0011】
欧州特許No. EP 282 971および米国特許Nos. 4,826,860、4,918,090、および4,971,983において、アミノ基上に種々の置換基を有する6-トリフルオロメトキシ-2-アミノ-ベンゾチアゾールのグループが、脳血管疾患を治療するために効果的であると包括的に開示された。
【0012】
米国特許No. 4,535,088は、抗真菌および/または抗菌活性を有するプロピニルアミノチアゾール誘導体を開示する。
【0013】
本発明は、パーキンソン病および多発性硬化症を含む神経疾患の治療に効果的であるプロパルギル-トリフルオロメトキシ-アミノ-ベンゾチアゾールの新規誘導体を提供する。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、以下の構造を有する化合物、または任意の特定のそのエナンチオマーまたは任意の薬学的に許容可能なその塩を提供する:
【化40】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
Cl-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルであり;
R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
C1-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
ここでnは1-6の整数であり;
ここでxは0または1-5の整数、yは1-5の整数、x+y<6であり;
R1またはR4の少なくとも一つは存在し;
点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;
R1およびR4の両方が存在する場合、任意の化合物が荷電している。
【0015】
また本発明は、治療上効果的な量の本発明の化合物または薬学的に許容可能なその塩の何れかを被検体に投与し、これにより被検体の神経疾患を治療することを含む、神経疾患に苦しむ被検体を治療するための方法を提供する。
【0016】
また本発明は、治療上効果的な量の本発明の化合物または薬学的に許容可能なその塩の何れかを被検体に投与し、これにより被検体の多発性硬化症を治療することを含む、多発性硬化症に苦しむ被検体を治療するための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0017】
本発明は、以下の構造(式I)を有する化合物、または任意の特定のそのエナンチオマーまたは任意の薬学的に許容可能なその塩を提供する:
【化41】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
Cl-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルであり;
R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
C1-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
ここでnは1-6の整数であり;
ここでxは0または1-5の整数、yは1-5の整数、x+y<6であり;
R1またはR4の少なくとも一つは存在し;
点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;
R1およびR4の両方が存在する場合、任意の化合物が荷電している。
【0018】
上記化合物の第一の態様において、R1またはR4の少なくとも一つは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2である。
上記化合物の第二の態様において、R1およびR4の少なくとも一つは-(CH2)yS(CH2)xCH3である。
【0019】
上記化合物の第三の態様において、本発明は、以下の構造(式II)を有する化合物、または任意の特定のそのエナンチオマーまたは任意の薬学的に許容可能なその塩を提供する:
【化42】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルであり;
R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R1またはR4の少なくとも一つは存在し;
点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;
R1およびR4の両方が存在する場合、任意の化合物が荷電している。
【0020】
後述の記載において、「式IIにより表される化合物」の表現は、前述の記載に包含される化合物をいう。
【0021】
式IIにより表される化合物の第二の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化43】

【0022】
第三の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化44】

【0023】
第四の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化45】

【0024】
式IIにより表される上記化合物の何れかの第五の態様において、R1、R2およびR3の少なくとも一つはC1-C4アルキルである。
式IIにより表される上記化合物の何れかの別の態様において、R1はHまたはメチルであり;R2はHまたはメチルであり;R3はHまたはメチルであり、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0025】
式Iにより表される化合物の第三の態様または式IIにより表される化合物の第三の態様の別の態様において、R1は存在せず、R4は存在する。
上記態様の更なる側面において、R1は存在せず、R4はメチルである。
式IIにより表される上記化合物の何れかの別の態様において、不斉炭素はR配置である。
【0026】
式IIにより表される上記化合物の何れかの別の態様において、不斉炭素はS配置である。
更なる態様において、本発明は、上記化合物の何れかの薬学的に許容可能な塩であって、その塩が、クロライド、メシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、エシレート、p-トルエンスルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、リン酸塩または硫酸塩であるものを提供する。
【0027】
式Iにより表される化合物の第一の態様の一態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化46】

【0028】
式Iにより表される化合物の一態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化47】

【0029】
式Iにより表される化合物の第二の態様の一態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化48】

【0030】
式Iにより表される化合物の第二の態様の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化49】

【0031】
式Iにより表される化合物の一態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化50】

【0032】
式Iにより表される化合物の第一の態様の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化51】

【0033】
式IIにより表される化合物の第四の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化52】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0034】
式IIにより表される化合物の第四の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化53】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0035】
式IIにより表される化合物の第四の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化54】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0036】
式IIにより表される化合物の第四の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化55】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0037】
式IIにより表される化合物の第二の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化56】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0038】
式IIにより表される化合物の第三の態様により表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化57】

更なる態様において、本発明は上記化合物の塩酸塩を提供する。
【0039】
式IIにより表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化58】

【0040】
式IIにより表される化合物の別の態様において、化合物は以下の構造を有する:
【化59】

【0041】
また本発明は、治療上効果的な量の式Iにより表される上記化合物または薬学的に許容可能なその塩の何れかを被検体に投与し、これにより被検体の神経疾患を治療することを含む、神経疾患に苦しむ被検体を治療するための方法を提供する。
【0042】
上記方法の一態様において、疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、神経筋障害、統合失調症、脳梗塞、頭部外傷、緑内障、顔面神経現象(facialis)またはハンチントン病である。
上記方法の更なる態様において、治療上効果的な量は、約1〜約1000 mg/日である。
【0043】
また本発明は、治療上効果的な量の式Iにより表される上記化合物または薬学的に許容可能なその塩の何れかを被検体に投与し、これにより被検体の多発性硬化症を治療することを含む、多発性硬化症に苦しむ被検体を治療するための方法を提供する。
【0044】
一つの態様において、上記方法は、治療上効果的な量のレボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロン(ノバントロン)を被検体に投与することを更に含む。
上記方法の別の態様において、治療上効果的な量は、約1〜約1000 mg/日である。
上記方法の何れかの一態様において、治療上効果的な量の化合物は、注入により、全身に、経口的に、または鼻経由で投与される。
【0045】
また本発明は、被検体の神経疾患を治療するために有用な医薬を製造するための、上記化合物の何れかの使用を提供する。
上記使用の一態様において、神経疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、神経筋障害、統合失調症、脳梗塞、頭部外傷、緑内障、顔面神経現象またはハンチントン病である。
【0046】
また本発明は、被検体の多発性硬化症を治療するために有用な医薬を製造するための、上記化合物の何れかの使用を提供する。
上記使用の一態様において、医薬は、レボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロン(ノバントロン)を更に含む。
【0047】
上述したとおり、本発明の化合物は、神経疾患に対して現在利用可能な治療法に加えて治療に使用することができる。たとえば、本発明の化合物は、パーキンソン病に対するレボドパ療法に加えて使用してもよいし、あるいはグラチラマーアセテート(コパキソンの製剤原料)、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロン(ノバントロン)に加えて使用してもよい。
【0048】
また本発明は、被検体の神経疾患を治療するための医薬の投与指示書を有するパッケージで医薬を製造するための、上記化合物の何れかの使用を提供する。
また本発明は、上記化合物の何れかおよび許容可能なキャリアを含む組成物と微生物または真菌類を接触させることを含む、微生物または真菌類を死滅させるかまたはその増殖を阻害するための方法を提供する。
【0049】
また本発明は、上記化合物の何れかおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
一つの態様において、薬学的組成物は、治療上効果的な量のレボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロン(ノバントロン)を更に含む。
一つの態様において、薬学的組成物は、治療上効果的な量のグラチラマーアセテートを更に含む。
【0050】
また本発明は、上記化合物の何れかを薬学的に許容可能なキャリアと混合することを含む、上記薬学的組成物の製造方法を提供する。
また本発明は、(a)上記薬学的組成物の何れか;および(b)被検体の神経疾患を治療するために当該組成物を使用するための指示書を含む、被検体の神経疾患を治療するためのパッケージ化された薬学的組成物を提供する。
【0051】
また本発明は、構造式IIの化合物の製造方法であって、
(a)
【化60】

を、溶媒の存在下でアミン交換剤と適切な条件下において反応させて
【化61】

を提供する工程と、
(b)2を塩素化剤で処理して
【化62】

を提供する工程と、
(c)3を
【化63】

と反応させて
【化64】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
を提供する工程と、
(d)必要に応じて、工程(c)の生成物(ここでR1はHである)をアルキル化して、当該化合物を提供する工程
を含む方法を提供する。
【0052】
一つの態様において、上記方法は、工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において2-ブロモ-4’-メチルアセトフェノンと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化65】

を産生することを更に含む。
一つの態様において、極性溶媒はアセトニトリルであり、塩基は炭酸カリウムである。
【0053】
構造式IIの化合物の上記製造方法の更なる態様において、当該方法は、工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において臭化プロパルギルと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化66】

を産生することを更に含む。
一つの態様において、極性溶媒はアセトニトリルであり、塩基は炭酸カリウムである。
【0054】
構造式IIの化合物の上記製造方法の更なる態様において、当該方法は、工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において2-クロロエチルメチルスルフィドと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化67】

を産生することを更に含む。
一つの態様において、極性溶媒はアセトニトリルであり、塩基は炭酸カリウムである。
【0055】
構造式IIの化合物の上記製造方法の一態様において、アミン交換剤は、水性NH2NH2および硫酸ヒドラジニウムのエチレングリコール中の混合物である。
上記方法の別の態様において、塩素化剤はSOCl2である。
【0056】
上記方法の別の態様において、R1はCl-C4アルキルであり、R2およびR3はHである。
構造式IIの化合物の上記製造方法の更なる態様において、工程(d)のアルキル化剤はヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルである。
【0057】
また本発明は、以下の構造を有する化合物:
【化68】

ここで
R1はC1-C4アルキルであり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化69】

を、極性溶媒中で塩基の存在下においてR1X(ここでXはハロゲン原子である)と反応させて、当該化合物を産生することを含む方法を提供する。
上記方法の一態様において、極性溶媒はアセトニトリルであり、塩基は炭酸カリウムである。
【0058】
また本発明は、以下の構造を有する化合物:
【化70】

ここで
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
の製造方法であって、
a)
【化71】

を、溶媒の存在下または非存在下でメチル化剤と適切な条件下において反応させて
【化72】

を提供すること、
b) 工程a)の生成物を、p-トルエンスルホン酸の存在下で
【化73】

と反応させて、当該化合物を提供すること
を含む方法を提供する。
【0059】
上記方法の一態様において、工程(b)の生成物をアルキル化剤で更にアルキル化して、以下の構造を有する化合物:
【化74】

を提供する。
【0060】
上記方法の追加の態様において、工程(a)のメチル化剤はヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルである。
上記方法の更なる態様において、メチル化剤はヨウ化メチルである。
【0061】
更に本発明は、化合物14の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化75】

を、トルエン中でプロパルギルアミンおよびp-TsOHと反応させて、当該化合物を産生することを含む方法を提供する。
【0062】
更に本発明は、化合物15の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化76】

を、トルエン中でプロパルギルアミンおよびp-TsOHと反応させて、当該化合物を産生することを含む方法を提供する。
【0063】
更に本発明は、化合物9の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化77】

を、極性溶媒中で
【化78】

と反応させて、当該化合物を産生することを含む方法を提供する。
【0064】
上記方法の一態様において、極性溶媒はアセトニトリルである。
上記態様において、R1とR4の両方がアルキルである場合、当該化合物は、正に荷電し、第四級アンモニウム塩として存在する。
【0065】
当業者であれば、開示される化合物のすべてが、試験された化合物と同様の生物学的活性を有すると直ちに期待するでしょう。とりわけ、R4の位置にHおよびメチルなどの小さい基を備えた化合物およびp-トリル-エタノンなどの大きい基を備えた化合物の両方が、記載される結果で生物学的活性を有する。その結果、記載される中間サイズの基をR4の位置に備えた化合物が生物学的活性を有することは当然期待される。R1の位置にメチル基などの小さい基を備えた化合物は、生物学的活性を有する。R1の位置にp-トリル-エタノンなどの大きい基を備えた化合物は、生物学的活性を有する。その結果、記載される中間サイズの基をR1の位置に備えた化合物が生物学的活性を有することは当然期待される。R2またはR3の位置にHなどの小さい基を備えた化合物は、生物学的活性を有する。その結果、記載されるC1-C4アルキルをR2またはR3の位置に備えた化合物が生物学的活性を有することは当然期待される。
【0066】
当業者であれば、式(I)の幾つかの化合物が互変異性体として存在可能であるという事実をよく知っているでしょう。従って、式(I)の化合物は、個々のケースにおいて後者が具体的に記述されていない場合でも、前述および後述の文において当該互変異性体を意味すると理解すべきである。また本発明は、すべてのかかる互変異性体およびその混合物の使用に関する。
【0067】
更に本発明は、抗菌および/または抗真菌剤として使用するための上記化合物の何れかを提供する。
【0068】
更に本発明は、インビボで本発明の治療化合物に変換されるプロドラッグの使用を想定する (たとえばR. B. Silverman, 1992, "The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action", Academic Press, Chapter 8参照、その全内容を参照により本明細書の開示内容の一部とする)。かかるプロドラッグを使用して、治療化合物の生体分布を変えたり(たとえばプロテアーゼの反応サイトに化合物が典型的には入らないようにしたり)、あるいは薬物動態を変えたりすることができる。
【0069】
上述したとおり、本発明の化合物のある態様は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有することができ、このため、薬学的に許容可能な酸とともに薬学的に許容可能な塩を形成することが可能である。この点において「薬学的に許容可能な塩」の表現は、比較的毒性のない本発明の化合物の無機および有機酸付加塩をいう。これら塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にそのままの場所で(in situ)調製することもできるし、あるいは別の場所で、遊離塩基の形態の本発明の精製化合物を適切な有機または無機酸と反応させ、このようにして形成された塩を単離することにより調製することもできる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(napthylate)、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが含まれる (たとえばBerge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66: 1-19参照)。
【0070】
また、本明細書で使用される「薬学的に許容可能な塩」の用語は、第四級アンモニウム塩を含む。
【0071】
本発明の化合物の幾つかの構造は、不斉炭素原子を含むため、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在することに気付くでしょう。これら化合物のかかる異性体の形態すべてが、本発明に明確に包含される。それぞれの不斉炭素は、R配置であってもS配置であってもよい。よって、特別に表示しない限り、かかる不斉に起因する異性体 (たとえば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー) は、本発明の範囲内に包含されると理解すべきである。かかる異性体は、古典的な分離技術や立体化学的に制御された合成により実質的に純粋な形で得ることができる。
【0072】
本発明の化合物を医薬品としてヒトや哺乳類に投与する場合、本発明の化合物それ自体を与えることができるし、あるいは、たとえば、0.1〜99.5% (より好ましくは0.5〜90%) の有効成分を薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて含有する薬学的組成物として与えることができる。
【0073】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能なキャリア」の表現は、薬学的に許容可能な物質、組成物またはビヒクル、たとえば液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を意味し、意図された機能を実行可能なように本発明の化合物を被検体内部または被検体に運搬または輸送するのに関与する。典型的には、かかる化合物は、ある器官または体の一部から、別の器官または体の一部へ運搬または輸送される。各キャリアは、製剤の他の成分と適合可能であり、患者に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能なキャリアとして機能することができる物質の幾つかの例として、以下のものが挙げられる:糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、たとえばコーンスターチおよび馬鈴薯デンプン;セルロース、およびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばココアバターおよび坐剤ワックス;油、たとえば落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール、たとえばプロピレングリコール;ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質フリーの水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;および薬学的製剤に使用される他の無毒性適合物質。
【0074】
また、湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香料剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤を組成物中に存在させることもできる。
【0075】
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例として以下のものが挙げられる:水溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど;および金属キレート剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0076】
本発明の製剤は、経口投与に適した製剤を含む。製剤は、従来通り単位投与量形態で提供してもよいし、調剤の分野で周知の任意の方法で調製してもよい。キャリア物質と組み合わせて単位投与量形態を作成することができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生む化合物の量である。一般的には、100%のうち、この量は、約1パーセントから約99パーセントまでの有効成分、好ましくは約5パーセントから約70パーセントまで、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントまでの範囲である。
【0077】
これら製剤または組成物の調製方法は、キャリアおよび必要に応じて一以上の補助成分と本発明の化合物を結びつける工程を含む。一般に、製剤は、液体キャリア、または微細な固体キャリア、またはその両方と本発明の化合物を均一かつ密接に結びつけ、その後、必要であればその生成物を成形することにより調製される。
【0078】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、丸剤、錠剤、粉剤、顆粒剤、または水または非水性液体中の液剤または懸濁剤、または水中油型または油中水型の乳剤、またはエリキシル剤またはシロップ剤、または(不活性なベース、たとえばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを用いた)香錠、および/または洗口剤などの形態とすることができ、それぞれが、有効成分として所定量の本発明の化合物を含有する。
【0079】
経口投与のための本発明の固体投与量形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、粉剤、顆粒剤など)において、有効成分は、一以上の薬学的に許容可能なキャリア、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかと混合される:充填剤または増量剤、たとえばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸;結合剤、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア;湿潤剤(humectants)、たとえばグリセロール;錠剤分解剤(disintegrating agents)、たとえば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯またはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;溶解遅延剤、たとえばパラフィン;吸収促進剤、たとえば第四級アンモニウム化合物;湿潤剤(wetting agents)、たとえばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート;吸収剤、たとえばカオリンおよびベントナイトクレー;潤滑剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;および着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、薬学的組成物は緩衝化剤を含んでいてもよい。同様のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、並びに高分子量のポリエチレングリコールなどを用いて、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用してもよい。
【0080】
錠剤は、必要に応じて一以上の補助成分と、圧縮または成形により作成することができる。圧縮錠剤は、結合剤 (たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、錠剤分解物質 (たとえば、グリコール酸デンプンナトリウムまたは架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で加湿した粉状化合物の混合物を適切な機械で成形することにより作成することができる。
【0081】
本発明の薬学的組成物の錠剤、およびその他の固体投与量形態、たとえば糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は、必要に応じて、コーティングおよびシェルを用いて、たとえば腸溶コーティングおよび製剤の技術分野で周知のその他のコーティングを用いて得てもよいし調製してもよい。また、これら組成物は、たとえば所望の放出プロファイルを提供する種々の比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、内部の有効成分がゆっくり放出されるか、または制御して放出されるように製剤化してもよい。これら組成物は、たとえば細菌保持フィルターを介して濾過することにより、あるいは使用直前に滅菌水またはその他の無菌の注射溶剤中に溶解することができる無菌の固体組成物の形態で殺菌剤を組み込むことにより、滅菌してもよい。またこれら組成物は、必要に応じて乳白剤を含有してもよいし、胃腸管の一定の部分で限定的にまたは優先的に、必要に応じて遅延方式で、有効成分を放出するものであってもよい。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。また有効成分は、適切な場合には一以上の上記賦形剤とともに、マイクロカプセル形態とすることができる。
【0082】
本発明の化合物の経口投与のための液体投与量形態には、薬学的に許容可能なエマルジョン、ミクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体投与量形態は、有効成分に加えて、当該技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤を含有してもよく、たとえば、水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(とりわけ、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚種油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物を含有してもよい。
【0083】
不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、アジュバント、たとえば湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、香料剤、着色剤、芳香剤および保存剤を含有することもできる。
【0084】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガガント、およびその混合物を含有してもよい。
【0085】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、一以上の薬学的に許容可能な無菌の等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、または無菌の注射可能な溶液または分散液に使用直前に再構成され得る無菌の粉末(これらは、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、当該製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤または増粘剤を含有してもよい)と組み合わせて、一以上の本発明の化合物を含む。
【0086】
本発明の薬学的組成物に使用され得る適切な水性または非水性キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール (たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および適切なその混合物、植物油、たとえばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティング物質を使用することにより、懸濁液の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、並びに界面活性剤を使用することにより、維持することができる。
【0087】
また、これら組成物は、アジュバント、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有してもよい。種々の抗菌および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含有することにより、微生物の作用を確実に妨害することができる。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含有させることが望ましい。加えて、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤を含有することにより、注射可能な薬剤の形態を長期間にわたって吸収させることができる。
【0088】
本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口で投与される」の表現は、通常注射による、経腸的および局所的投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋内、動脈内、髄腔内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管的(transtracheal)、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内の注射および注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される「全身性(systemic)投与」、「全身に(systematically)投与される」、「末梢性(peripheral)投与」および「末梢に(peripherally)投与される」の表現は、化合物、薬剤またはその他の物質が患者のシステムに入ることにより代謝やその他同様のプロセスを受けるような、中枢神経系への直接投与以外の投与を意味し、たとえば皮下投与を意味する。
【0090】
本発明の薬学的組成物における有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性がなければ、特定の患者、組成、および投与様式に関して所望の治療応答を達成するのに効果的な有効成分の量が得られるように変化させてもよい。
【0091】
選択される投与量レベルは、種々の因子に依存し、たとえば、採用される本発明の特定の化合物、またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与ルート、投与時期、採用される特定の化合物の排出速度、治療期間、採用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物および/または物質、治療される患者の年齢、性別、体重、体調、身体全体の健康および以前の病歴、および医療分野で周知の同様の因子に依存する。
【0092】
当該技術分野で通常の技術を有する医者または獣医であれば、必要とされる薬学的組成物の効果的な量を容易に決定し処方することができる。たとえば、医者または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルより低いレベルで、薬学的組成物に用いられる本発明の化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増大させることができる。
【0093】
一般に、本発明の化合物の適切な一日量は、治療効果を生じるのに効果的な最低用量の化合物量でしょう。かかる効果的な用量は、上述の因子に一般に依存するでしょう。
必要であれば、活性化合物の効果的な一日量は、一日を通して適切な間隔で分割して投与される2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量として、必要に応じて単位投与量形態で投与されてもよい。
【0094】
本発明の化合物が、ニューロン死を妨害し、ヒト変性疾患に似た種々のモデルの出現(outcome)を改善できることは注目すべきである。
【0095】
本明細書で使用される「神経疾患」の表現は、その悪影響が神経系に局在している疾患をいう。
本明細書で使用される「神経外傷」の用語は、たとえば頭部外傷、脊髄外傷、神経毒性傷害、脳卒中、虚血、低酸素症、または無酸素症などの外傷性のできごとにより引き起こされる中枢または末梢神経系に対する損傷をいう。
【0096】
本明細書で使用される「脳卒中」または「虚血性脳卒中」の用語は、神経欠損により現れる脳梗塞を意味する。「脳卒中」は、梗塞がなお肥大化している「進行中の脳卒中」を指してもよいし、または梗塞サイズがこれ以上大きくならない「完成した脳卒中」を指してもよい (THE MERCK MANUAL, 17th EDITION, 1999 MERCK & CO.)。
【0097】
本明細書で使用される「脳卒中の治療」の表現は、脳梗塞自体の治療または脳梗塞により引き起こされる症状の治療を含むものを意味する。かかる症状には、神経学的欠損、認知障害、脳水腫、脳血流の低下、カテコールアミン変動、または神経学的または運動性の障害が含まれ得る。
【0098】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、これらを更なる限定と解釈すべきではない。本出願を通して引用されるすべての参照文献、係属中の特許出願、および公開された特許出願(背景技術の欄で参照されるものも含む)の内容は、参照により本明細書の開示内容の一部とする。実施例を通して使用されるモデルは公認されたモデルであること、並びにこれらモデルにおける効能の実証は、ヒトにおける効能の予測となることを理解すべきである。
【0099】
本発明は、以下の実験の詳細から更によく理解されるでしょう。しかし、当業者であれば、記載される特定の方法や結果は、後述の特許請求の範囲においてより完全に記載される本発明を単に説明するものにすぎないことを容易に認識するでしょう。
【0100】
実験の詳細
本発明の一群の化合物を調製するための合成の図式を、以下の図式Iにまとめる。
【化79】

【0101】
6-トリフルオロメトキシ2-アミノベンゾチアゾールを、水性ヒドラジンおよび硫酸ヒドラジニウムのエチレングリコール中の混合物を用いて、直接交換アミノ化により、対応する2-ヒドラジノ類似体に変換し (C. J. Barnett and J. C. Smirz, Organic. Prep. Proc. Int. 6 (4), 1974, 179-182)、次いで、1をSOCl2と反応させることにより2-ヒドラジノ基を塩素原子で置換して、2を得 (Barry A. Dreikorn and Paul Unger, J.Heterocyclic Chem. , 26,1989, 1735-1737)、最後に後者を置換プロパルギルアミンと反応させて式IaおよびIbの化合物を得ることにより、ベンゾチアゾールIaおよびIbを調製した。また、化合物Ibは、極性溶媒、たとえばアセトニトリル中で、塩基、たとえば炭酸カリウムの存在下で、室温において、Iaをアルキル化剤R1Xと反応させることによっても調製した。6-トリフルオロメトキシ-2-アミノ-ベンゾチアゾールを、アルキル化剤R4Xを用いてレジオ選択的にアルキル化し、3-アルキル-2-イミノ-6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾリン1aを高収率で得 (Patrick Jimonet et al., J. Med. Chem. 1999, 42, 2828-2843)、次いでp-TsOHの存在下で (CH特許 667091 A5)、反応溶媒としてトルエン中または過剰のアミンとそのまま(neat)、1aをプロパギルアミンと反応させて2-イミノ部分をプロパルギル化することにより、2-イミノ誘導体Icを調製した。また、化合物Icは、適切な溶媒中で、たとえばメチルエチルケトン (A. R. Katritzky et al. J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1987, 2539-2541) またはアセトニトリル中で、過剰のアルキル化剤R4Xを用いることによりIaをアルキル化し、その反応混合物を濃縮し、その残渣をトルエンで処理し、その塩を濾過することにより、酸付加塩として調製した。化合物Ic (遊離の塩基として) を過剰のアルキル化剤R1Xを用いてアルキル化して、第四級3-アルキル-ベンゾチアゾリウム塩Idを提供し、濾過により単離した。
【0102】
例1:(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-ヒドラジン 1
エチレングリコール(10 ml)中の6-トリフルオロメトキシ-2-アミノ-ベンゾチアゾール(クルード、1 g, 4.27 mmol)、硫酸ヒドラジニウム(NH2NH2. H2SO4, 0.85 g, 6.53 mmol) およびヒドラジン水化物 (〜82 %水溶液, 2.7 ml, 〜45 mmol)の懸濁液を、N2 atm.下において140℃で2.5時間攪拌しながら加熱した。その溶液を室温(rt)まで冷却すると、白色固体が沈殿し、水(10 ml)を添加して沈殿を完了させ、生成物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて、1(0.7 g, 65 %)を白色粉末として得た。1H-NMR (CD3CN) δ 7.70 (br s, 1 H, NH), 7.63 (dq, 1 H, J = 2, 1 Hz, H-7), 7.41 (d, 1 H, J = 9 Hz, H-4), 7.18 (ddq, 1 H, J = 9, 2, 1 Hz, H-5), 4.50 (br s, 2 H, NH2); 13C (CD3CN) δ 115.81, 120.35, 120.58 (3 x CH, C-4, C-5, C-7), 120.93 (CF30), 133.01, 143.89, 153.47 (3 X C, C-3a, C-7a, C-6), 176.27 (C-2); MS (CI) (NH3) m/z (234, MH+ - NH3 + H+), 250 (MH+)。
【0103】
例2:2-クロロ-6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール 2
65℃に予め加熱したSOCl2 (6 ml, 82 mmol)に、1(0.95 g, 3.81 mmol)をゆっくり(1時間以内で)添加し、その溶液を更に1時間60℃で攪拌した。SOCl2を蒸発させ、残渣をCH2Cl2中に溶解し、溶媒を蒸発させ、この溶解と蒸発の処理を、ほぼすべてのSOCl2が除去されるまで4-5回繰り返し、精製することなく次の工程に使える状態にあるクルードな2を得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.95 (d, 1 H, J = 9 Hz, H-4), 7.66 (dq, 1 H, J = 2, 1 Hz H-7), 7.36 (ddq, 1H, J = 9, 2, 1 Hz, H-5); 13C (CDCl3) δ 113.79 (CH, Ar), 120.46 (CF3O), 120.68, 123.88 (2 × CH, Ar), 136.90, 146.91, 149.52 (3 × C, C-3a, C-7a, C-6), 154.22 (C-2); MS (CI) (NH3) m/z (254, M+ NH4+)。
【0104】
例3:メチル-プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 3
クルードな2(〜2 mmol)をN-メチル-プロパルギルアミン(〜2 ml, 3.5 eq)中に溶解し、そのダークな溶液を室温(rt)で一晩攪拌し、その後茶色の固体を得、クロマトグラフィーにより精製して、3を得た。m.p. (遊離塩基) = 86-87℃; 1H-NMR(CDCl3) δ 7.56 (d, 1H, J=10 Hz, H-4), 7.49 (dd, 1H, J=2, 1 Hz, H-7), 7.18 (ddq, 1H, J=10, 2, 1 Hz, H-5), 4.4 (d, 2H, J=2.5 Hz, CH2N), 3.22 (s, 3H, NMe), 2.31 (t, 1H, J=2.5 Hz, PgCH); 13C (遊離塩基, CDCl3) δ 168.61 (C-2), 151.36, 143.38, 131.76 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 120.6 (CF30), 119.78, 119.54, 113.89 (3 x CH, Ar), 80.21, 73.11 (CH2CC), 41.49 (NCH2), 37.82 (NMe); MS (CI) (NH3) m/z (287, MH+); 分析(Anal.) (calcd. Cl2H9F3N2OS) C 50.35, H 3.17, N 9.79, S 11.20, 実測(found) C 50.62, H 3.23, N 9.60, S 11.44。
【0105】
例3a:メチル-プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン. HCl塩 3a
遊離塩基3をHCl/EtOH溶液中に溶解し、0.5時間攪拌し、その生成物をEt20の添加により沈殿させ、濾過し、Et2Oで洗浄し、乾燥させて、1.15 g(65 %)の3aを得た。m.p. = 160-162.5℃; 1H-NMR (DMSO-d6) δ 7.98 (dd, 1H, J = 2 Hz, H-7), 7.58 (d, 1H, J = 10 Hz, H-4), 7.32 (ddq, 1H, J = 10, 2, 1 Hz, H-5), 4.44 (d, 2H, J = 2.5 Hz, CH2N), 3.39 (t, 1H, J = 2.5 Hz, PgCH), 3.18 (s, 3H, NMe); 13C (DMSO-d6) δ 169.09 (C-2), 151.83, 142.66, 132.14 (3 × C, C-3a, C-7a, C-6), 120.6 (CF3O), 119.91, 119.43, 115.06 (3 × CH, Ar), 78.69, 75.65 (CH2CC), 41.42 (NCH2), 37.95 (NMe); MS (CI) (NH3) m/z (287, MH+)。
【0106】
例3b:メチル-プロピ-2-ニル-(4-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 3b
この化合物は、メチル-プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 3について記載されたのと同じ合成法により、4-(トリフルオロメトキシ)-2-ベンゾチアゾールアミンを出発物質として、これを硫酸ヒドラジニウムおよびヒドラジン水化物とエチレングリコール中で反応させ、次いで、SOCl2と反応させ、その中間体をN-メチル-プロパルギルアミンと反応させることにより、調製することができる。
【0107】
例4:プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 4
プロパルギルアミン(0.66 ml, 9.6 mmol, 〜3.5 eq)を、(6 ml SOCl2と反応させた0.67 g, 2.7 mmolの1から得た)2に添加し、得られたダークな溶液を室温(rt)で一晩攪拌し、その後クロマトグラフィーカラムにロードし、これにより0.27 g(37 %)の4を灰色の粉末として得た。m.p. = 138-140℃; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.59 (d, 1H, J=10.5 Hz, H-4), 7.49 (dq, 1H, J=2, 1 Hz H-7), 7.21 (ddq, 1H, J=10.5, 2, 1 Hz, H-5), 4.28 (d, 2H, J=2.5 Hz, CH2N), 2.35 (t, 1H, J=2.5 Hz, CCH); 13C (CDCl3) δ 167.08 (C-2), 148.70, 144.30, 130.32 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 120.49 (CF30), 120.20, 119.25, 114.29 (3 CH, Ar), 78.19, 73.17 (CH2CC), 34.69 (NCH2); MS (CI) (NH3) m/z (273, MH+)。
【0108】
例4a:プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン. HCl塩 4a
0.245 gの4をイソプロパノールおよびEt2O中に溶解した。EtOH/HClをpH=1まで添加した。室温(rt)で数分攪拌した後、その混合物を乾燥するまで蒸発させ、残渣を真空中で一晩乾燥させて、4のHCl塩を得た。m.p. = 180-181℃; 1H-NMR (DMSOd6) δ 7.95 (d, 1H, J=2 Hz, H-7), 7.60 (d, 1H, J=10 Hz, H-4), 7.33 (dd, lH, J=10, 2 Hz, H-5), 4.35 (d, 2H, J=2 Hz, CH2N), 3.37 (t, 1H, J=2 Hz, PgCH); MS (CI) (NH3) m/z (273, MH+); 分析(Anal.) (calcd. C11H7F3N2OS.HCl) C 42.80, H 2.61, N 9.07, S 10.39, Cl 11.48, 実測(found) C 42.86, H 2.74, N 9.03, S 10.77, Cl 11.30。
【0109】
例5:ブチ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 5
化合物5は、2(0.91 g, 3.60 mmol)をブチ-2-ニルアミン(0.93 g, 13.38 mmol, 3.7 eq)と反応させることにより得た。そのクルードな生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、その後10% EtOAc/ヘキサン(200 ml)、最後に20% EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、0.5 g (65%) の白色固体を得た。1H-NMR (DMSO-d6) δ 8.47 (t, 1H, J=5 Hz, NH), 7.82 (dd, 1H, J = 2, 1 Hz, H-7), 7.48 (d, 1H, J = 9 Hz H-4), 7.21 (ddq, 1H, J=9, 2, 1 Hz, H-5), 4.15 (dq, 2H, J=5, 2 Hz, CH2N), 1.80 (t, 3H, J=2 Hz, CCMe); 13C (DMSOd6) 166.77 (C-2), 151.38, 142.34, 131.61 (3 x C, C-3a, c-7A, c-6), 119.11, 118.59, 114.58 (3 X CH, Ar), 78.96, 75.83 (CH2CC), 33.20 (NCH2), 3.08 (CCMe)。
【0110】
例5a:ブチ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン. HCl塩 5a
0.225 gの5を、3aについて記載したとおり、HCl/EtOHを用いてHCl塩に変換した。1H-NMR (DMSO-d6) δ 9.75 and 9.07 (two br s, 2 x NH), 7.94 (br s, 1H, H-7), 7.59 (br d, 1H, J=9 Hz, H-4), 7.33 (br d, 1H, J=9 Hz, H-5), 4.30 (br s, 2H, CH2N), 1.83 (br s, 3H, J=2 Hz, CCMe); 13C (DMSOd6) δ 167.19 (C-2), 146.13, 143.18, 129.35 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 120.0 (CF3O), 119.88, 117.36, 115.39. (3 x CH, Ar), 80.06, 74.60 (CH2CC), 34.05 (NCH2), 3.11 (CCMe); HRMS (FAB+) 287.0258 (MH+, 100), 218.1281 (MH+-C4H5NH2, 15)。
【0111】
例6:メチル-(1-メチル-プロピ-2-ニル)-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 6
化合物6は、2(6.82 g, 27 mmol)をN-Me-3-ブチナ-2-ミン(11.0 g, 132.3 mmol, 〜5 eq)と反応させることにより得た。そのクルードな生成物をフラッシュクロマトグラフィーカラム(シリカゲル, 10% EtOAc/ヘキサン)にかけることにより、フリーザーに置くと凝固する4.92 g(60.7%)の高粘度でほぼ透明な油状物を得た。m.p. = 42-43℃; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.52 (d, 1H, J=9 Hz, H-4), 7.48 (dd, 1H, J=2, 0.5 Hz, H-7), 7.16 (ddq, 1H, J=9, 2, 0.5 Hz, H-5), 5.42 (dq, 1H, J=7, 2 Hz, MeCHNMe), 3.13 (s, 3H, NMe), 2.38 (d, 1H, J=2 Hz, CCH), 1.51 (d, 3H, J=7 Hz, MeCH); 13C (CDCl3) δ 168.41 (C-2), 151.43, 143.36, 131.33 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 120.6 (CF3O), 119.76, 119.30, 113.86. (3 x CH, Ar), 81.64, 72.70 (CHCC), 47.08 (MeCHNMe), 33.12 (NMe), 19.29 (CHMe); HRMS (FAB+) 301.1118 (MH+, 100), 285.0972 (M-Me, 68); 分析(Anal.) (calcd. Cl3H11N2OSF3) C 51.99, H 3.69, N 9.33, S 10.68, 実測(found) C 52.07, H 3.83, N 9.26, S 10.67。
【0112】
例7:ジ-プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 7
アセトニトリル(40 ml)中のプロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(例4の化合物、1.5 g, 5.5 mmol)の溶液に、K2CO3(0.78 g, 5.6 mmol)および臭化プロパルギル(0.68 g, 0.43 ml, 5.7 mmol)を添加し、その不均質混合物を室温(rt)で4日間攪拌した。固体を濾過して取り除き、濾液を蒸発させて、黄色の固体を得、これをクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC)により精製して、白色固体として7(0.62 g, 36%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 7.58 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 7.50 (d, 1H, J = 1.5 Hz, H-7), 7.18 (dd, 1H, J = 9, 1.5 Hz, H-5), 4.45 (d, 4H, J = 2 Hz, NCH2), 2.34 (t, 2H, J = 2 Hz, CCH)。
13C NMR δ: 167.56 (C-2), 150.99, 143.93, 132.02 (C-3a, C-7a, C-6), 120.2 (CF30), 120.16, 119.92, 113.99 (3 CH, Ar), 77.12, 73. 68 (CH2CC), 39.33 (NCH2)。
MS (DCI, CH4) m/z 310 (M), 271 (M-CH2CC)。
【0113】
例8:(2-メチルスルファニル-エチル)-プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン 8
標題化合物は、例7に記載される方法により調製した:プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(例4の化合物, 1.35 g, 4.96 mmol)を2-クロロエチルメチルスルフィド(0.49 ml, 4.9 mmol)と反応させて、白色固体として8(0.61 g, 36%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 7.55 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 7.48 (dq, 1H, J = 2, 1 Hz, H-7), 7.17 (ddq, 1H, J = 9, 2, 1 Hz, H-5), 4.44 (d, 2H, J = 2 Hz, NCH2CC), 3.83 (t, 2H, J = 7 Hz, NCH2CH2S), 2.89 (t, 2H, J = 7 Hz, NCH2CH2S), 2.34 (t, 1H, J = 2 Hz, CCH), 2.21 (s, 3H, SMe)。
13C NMR δ: 167.57 (C-2), 151.09, 143.65, 131.45 (C-3a, C-7a, C-6), 120.2 (CF30), 119.89, 119.67, 113.94 (3 CH, Ar), 77.80, 73.46 (CH2CC), 50.68 (NCH2CH2S), 40.38 (NCH2CC)), 31.39 (NCH2CH2S), 15.71 (SMe)。
MS (DCI) (CH4) m/z 346 (M), 300 (M-SMe), 285 (M-CH2SMe) 272 (M-CH2 CH2SMe)。
【0114】
例9:2-[プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミノ]-1-p-トリル-エタノン 9
標題化合物は、例7に記載される方法により調製した:プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(例4の化合物, 5.0 g, 18.3 mmol)を2-ブルモ-4'-メチルアセトフェノン(3.9 g, 18.3 mmol)と反応させて、白色固体として9(3 g, 40%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 7.91 (d, 2H, J = 8 Hz, COAr), 7.50 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 7.45 (d, 1H, J = 2 Hz, H-7), 7.29 (d, 2H, J = 8 Hz, COAr), 7.14 (ddq, 1H, J = 9, 2, 1 Hz, H-5), 5.17 (s, 2H, CH2CO), 4.47 (d, 2H, J = 2 Hz, NCH2CC), 2.43 (s, 3H, Ar-CH3), 2.36 (t, 1H, J = 2 Hz, CCH)。
13C NMR δ: 193.20 (CO), 168.21 (C-2), 151.15, 145.01, 143.60, 132.32, 131.81 (5 x C, Ar), 129.56, 128.07 (4 x CH MeC6H4), 120.2 (CF30), 119.77, 113.90 (2 CH, Ar), 77.42, 74.20 (CH2CC), 54.89 (NCH2CO), 41.15 (NCH2), 21.74 (MeC6H4)。
MS (TOF, ES+): 405 (MH+)。
【0115】
例10:(3-メチル-6-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン)-プロピ-2-ニル-アミン 10
2-イミノ-3-メチル-6-トリフルオロメトキシベンゾチアゾリン(HI塩, 3.26 g, 8.66 mmol)をトルエン(〜70 ml)中に懸濁し、プロパルギルアミン(13 ml, 0.2 mole)およびp-TsOH(0.54 g, 2.88 mmol)を添加し、その混合物を125℃で一晩攪拌した。トルエンを蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーカラム(シリカゲル, ヘキサン, 5% EtOAc/ヘキサン、最後に10% EtOAc/ヘキサン)で精製して、1.75 gの白色固体を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 7.26 (dq, 1H, J = 2, 1 Hz, H-7), 7.14 (ddq, 1 H, J = 8, 2, 1 Hz, H-5), 6.86 (d, 1 H, J = 8 Hz, H-4), 4.02 (d, 2H, J = 2 Hz, CH2N), 3.46 (s, 3 H, NMe), 2.28 (t, 1 H, J = 2 Hz, PgCH); 13C 158.64 (C-2), 143.20, 139.65, 118.80 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 122.7 (CF30), 119.81, 115.71, 108.88 (3 x CH, Ar), 80.69, 70.98 (CH2CC), 42.20 (NCH2), 30.49 (NMe); MS (DCI) (CH4) m/z (285, M-H), (271, M-CH3)。
【0116】
例11:(3-メチル-6-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン)-プロピ-2-ニル-アミン. HI塩 11
プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン (例4の化合物, 0.3 g, 1.1 mmole)を、メチルエチルケトン(3 ml)中に溶解し、過剰のMeI(2 ml)を添加した。その反応混合物を4.5時間還流させ、その後、更なる量のMeI(1-2 ml)を添加し、その反応混合物を一晩還流させた。その混合物を濃縮し、トルエンを添加し、白色沈殿を得、濾過し、トルエンで充分に洗浄し、真空中で乾燥させて、白色固体として0.285 g(63%)の11を得た。1H-NMR(CDCl3) δ 7.66 (dq, 1H, J = 2, 1 Hz, H-7), 7.57 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 7.50 (ddq, 1H, J = 9, 2, 1 Hz, H-4), 4.50 (d, 2H, J = 2 Hz, CH2N), 4.25 (s, 3 H, NMe), 2.49 (t, 1H, J = 2 Hz, PgCH); 13C (DMSOd6) 168.24 (C-2), 144.57, 138.61, 118.31, (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 122.58 (CF3O), 121.59, 116.98, 114.74 (3 x CH, Ar), 77.32, 76.46 (CH2CC), 36.26 (NCH2), 33.11 (NMe); TOF MS ES m/z (287, MH+)。
【0117】
例12:(3-メチル-4-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン)-プロピ-2-ニル-アミン 12
標題化合物は、(4-(トリフルオロメトキシ)-2-ベンゾチアゾールアミンから調製された)2-イミノ-3-メチル-4-トリフルオロメトキシベンゾチアゾリンを出発物質として、それをプロパルギルアミンとp-TsOHの存在下において125℃で一晩トルエン中で反応させることにより、調製することができる。
【0118】
例13:2-(2-プロピ-2-ニルイミノ-6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-3-イル)-1-p-トリル-エタノン 13
プロピ-2-ニル-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(例4の化合物, 0.58 g, 2.14 mmol)をアセトニトリル(40 ml)中に溶解し、2-ブロモ-4'-メチルアセトフェノン(0.51 g, 2.14 mmol)を添加し、その反応混合物を48時間還流させた。溶媒を蒸発させ、得られたクルードな残渣をクロマトグラフィーにより精製して、固体として13を得た、mp: 98-100℃ (0.6 g, 6%)。
1H NMR (DMSOd6) δ: 7.97 (d, 2H, J = 8 Hz, COAr), 7.80 (d, 1H, J = 1 Hz, H-7), 7.40 (d, 1H, J = 8 Hz, COAr), 7.23 (dd, 1H, J = 8, 1 Hz, H-5), 7.17 (d, 1H, J = 8 Hz, H-4), 5.59 (s, 2H, CH2CO), 3.93 (d, 2H, J = 1.5 Hz, NCH2CC), 3.12 (t, 1H, J = 1.5 Hz, CCH), 2.41 (s, 3H, Ar-CH3)。
13C NMR δ: 192.30 (CO), 158.21 (C-2), 145.60, 143.95, 140.83, 133.50, (4 x C, Ar), 130.30, 129.09, (4 x CH MeC6H4), 124.23 (Ar), 120.4 (CH, Ar), 120.0 (CF30), 116.83, 110.84 (2 CH, Ar), 81.46, 72.37 (CH2CC), 50.47 (NCH2CO), 42.35 (NCH2), 21.64 (MeC6H4)。
MS: 404 (M+, 43), 352 (7), 285 (75), 119(100)。
【0119】
例14:プロピ-2-ニル-(3-プロピ-2-ニル-6-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン)-アミン 14
2-イミノ-3-(2-プロピニル)-6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾリンHBr(2.5 g, 7.08 mmol)をトルエン(40 ml)中に懸濁し、プロパルギルアミン(10 ml, 0.156 mol)およびp-TsOH (0.444 g, 2.33 mmol)を添加し、その混合物を150℃で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、ダークな残渣をクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として14を得た(0.15 g, 7%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 7.28 (d, 1H, J = 1.5 Hz, H-7), 7.18 (ddq, 1H, J = 9, 1.5, 1 Hz, H-5), 7.07 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 4.80 (d, 2H, J = 2 Hz, NCH2), 4.06 (d, 2H, J = 2 Hz, SCNCH2), 2.29 (t, 1H, J = 2.5 Hz, CCH), 2.27 (t, 2H, J = 2 Hz, CCH)。
13C NMR δ: 157.14 (C-2), 143.64, 138.00, 123.52 (C-6, C-3a, C-7a), 120.2 (CF30), 119.84, 115.84, 109.75 (3 CH, Ar), 80.44, 76.80 (CH2CC), 42.12 (SCNCH2), 32.76 (NCH2)。
MS (DCI, CH4): m/z 311 (M+)。
【0120】
例15:[3-(2-メチルスルファニル-エチル)-6-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン]-プロピ-2-ニル-アミン 15
3-(2-メチルチオ エチル)-2-イミノ-6-トリフルオロメトキシベンゾチアゾリンHC1(1 g, 2.9 mmol)をトルエン(25 ml)中に懸濁し、プロパルギルアミン(4.5 ml, 4 g, 70 mmol)およびp-TsOH(0.185 g, 1 mmol)を添加し、その混合物を130-135℃で窒素雰囲気下において24時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、ダークな残渣をクロマトグラフィーにより精製して、粘性油状物として15を得た(0.1 g, 10%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 7.28 (dd, 1H, J = 1, 1.5 Hz, H-7), 7.11 (ddq, 1H, J = 9, 1.5, 1 Hz, H-5), 7.07 (d, 1H, J = 9 Hz, H-4), 4.18 (t, 2H, J = 7 Hz, NCH2), 4.04 (d, 2H, J = 2 Hz, SCNCH2), 2.82 (t, 2H, J = 7 Hz, CH2SMe), 2.26 (t, 1H, J = 2 Hz, CCH), 2.19 (s, 3H, SMe)。
13C NMR δ: 157.64 (C-2), 143.21, 138.79, 123.53 (C-6, C-3a, C-7a), 120.2 (CF3O), 119.75, 115.86, 109.04 (3 CH, Ar), 80.50, 70.92 (CH2CC), 43.39 (SCNCH2), 42.13 (NCH2), 30.60 (CH2SMe), 15.78 (SMe)。
MS (DCI, i-Bu) m/z : 347 (M+), 272 (M+-C2H4SMe)。
【0121】
例16:3-メチル-2-(メチル-プロピ-2-ニル-アミノ)-6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾリ-3-ウム イオダイド 16
(3-メチル-6-トリフルオロメトキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-イリデン)-プロピ-2-ニル-アミン(例10の化合物, 120 mg, 0.42 mmol)を、MeI(3-4 ml)中で4時間還流させた。その後、MEK(1 ml)を添加し、更なる量のMeI(1-2 ml)を添加し、反応を更に2時間75℃まで加熱し、その後その混合物を室温(rt)で24時間攪拌した。過剰のMeIおよび溶媒を蒸発させて、茶-黄色の残渣を残し、これをヘキサンで処理し、濾過し、ヘキサンおよびエーテルで洗浄して、茶色の固体として30 mg(17%)の16を得た。1H-NMR (DMSOd6) δ 8.32 (s, 1 H, H-7), 7.97 (d, 1 H, J = 9 Hz, H-4), 7.72 (bd, 1 H, J = 9 Hz, H-5), 4.67 (d, 2 H, J = 1.5 Hz, CH2N), 4.01 (s, 3H, N+Me), 3.83 (bs, 1H, PgCH), 3.52 (s, 3H, NMe); 13C (DMSOd6) 173.27 (C-2), 145.83, 140.06, 124.72 (3 x C, C-3a, C-7a, C-6), 122.42, 117.04, 116.73 (3 x CH, Ar), 79.53, 76.42 (CH2CC), 46.61 (NCH2), 42.86 (N+Me), 38.26 (NMe); HRMS (FAB+) 286.0387 (M-MeI, 100)。
【0122】
例17:MPP+処理したPC-12細胞に対する3aの効果
褐色細胞腫(pheochromocytoma)PC-12細胞(200,000細胞/ウェルの密度)を、200 ug/ml ラットテールI型コラーゲンをコートした6-ウェル培養ディッシュ(BD Biosciences, Bedford, MA, USA)上で、50 ng/ml NGFとともに10日間培養した。実験の日には、細胞の形態的分化が非常に進展していた(典型的なネットワーク形成)。神経毒性傷害を開始させるために、細胞を、RBI chemicals (Natick, MA, USA) からの1000μM 1-メチル-4-フェニルピリジニウム(MPP+)イオダイド塩により、MPP+投与の30分前に培養物に添加した試験化合物の存在下または非存在下で、48時間処理した。MPP+は、ニューロンにおいてミトコンドリア電子伝達(コンプレックスI)を阻害すること、並びにマウスおよびサルにおいてパーキンソン病に似た症候群を誘発することが示されている。細胞レベルでは、細胞内カルシウムおよび遊離の酸素ラジカルの病的濃度を含む幾つかのメカニズムにより、ニューロン細胞死が誘発される。従って、この実験におけるポジティブコントロールは、10μMの濃度のニモジピン(RBI chemicals, Natick, MA, USA) (強力なL-タイプカルシウムチャンネル遮断薬)とした。実験の最後に、培地の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を評価することにより細胞死を測定した。高い培地LDHは、この細胞質酵素の培地への漏出を促進するニューロン死の増大を示す。
【0123】
培地の乳酸デヒドロゲナーゼ活性の測定は、Sigma DiagnosticsのLD-L試薬を用いて実施した。LDH活性は、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の還元型(NADH)への変換速度を追跡することにより、340 nmにおいて分光光度法でモニターした。各培養のトータルLDH(細胞外+細胞内)を、培養物の凍結融解後に培地のLDHを測定することにより得た。基礎LDH放出は、未処理の培養物(no MPP+)において測定した。神経毒性効果は、式:(LDHs-LDHb)/LDHtx100 (s=サンプル; b=基礎; t=トータル) に従って計算した。各化合物は、6回ずつ試験した。
【0124】
結果を以下の表に要約する。MPP+なし(コントロール)の場合、細胞死は非常に低く、トータル1.1%を超えない。MPP+傷害の後、毒性は49.7%に達した(トータルの%としてのLDH放出)。ニモジピンによる培養物の前処理(MPP+前の30分)により、LDH放出は3.6%の値まで劇的に低下し、これは強い神経保護効果を示す。10μM 3aによる培養物の前処理により、LDH放出は10.9%の値まで低下し、これは強い神経保護効果を示唆する。
【0125】
【表1】

【0126】
例18
マウスにおけるMPP+毒性に対する3aの効果
MPP+は神経毒であり、それを脳へ注入すると線条体のドーパミン欠乏が起こる。オスC57blマウス、体重24-25gを、以下の処置を受ける4グループA-Dに分けた:
A: 0.25% カルボキシメチルセルロース(CMC, 0.lml/マウス)の経口投与、および生理食塩水(10μl/マウス)の脳室内(ICV)注入。
B. 0.1 ml CMC中の5 mg/kg 3aの経口投与、および10μl 生理食塩水のICV注入。
C. 0.1 m1 CMCの経口投与、および10μl 生理食塩水中に溶解した30μg MPP+のICV注入。
D. 0.1 ml CMC中の5 mg/kg 3aの経口投与、および10μl 生理食塩水中に溶解した30μg MPP+のICV注入。
【0127】
3a/CMCまたはCMC単独は、ICV注入の30分前とICV注入の2時間後に経口投与した。注入は、エーテル麻酔を用いて、Haley T. J and McCormick W. G (Brit. J. Pharmacol., 1957, 12, 12) に従って行った。生理食塩水またはMPP+/生理食塩水は、0.6 ml/分の速度で液体をデリバーするシリンジを用いて1秒間注入した。2回のICV注入を24時間の間隔で行った。マウスは、最後の注入から6日後に殺傷し、ドーパミンおよびDOPAC測定のために線条体(striata)を採取した。各線条体の重さを量り、2 mMメタ重亜硫酸ナトリウムおよび0.3 mM EDTAを含有する0.1 M 過塩素酸(0.6 ml)中でホモジナイズした。13000 gで7分間遠心分離した後、その上清をカテコールアミン測定のために採取した。その一部の20μlを、Microsorbカラム(パッキング 3μm, 4.6 mm直径, 12.5 cm長さ)を備えたHPLC装置の溶媒流に注入した。移動相は、グレード脱イオン水中のNaH2PO4 100mM、オクタン-1-スルホン酸 1.5 mM、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 250μM、メタノール 2.3%、アセトニトリル4%から成り、1.0 ml 分-1の流速とした。ドーパミンおよびDOPACは、ESA Coulochemモデル5014検出器 (Bedford, MA, USA) を用いて検出した。カラム溶出液を、まずESAガードセル (model 5020) により+300 mVで酸化し、その後検出器1において+60 mVで還元し、検出器2において-250 mVで測定した。
【0128】
結果を、ドーパミンまたはDOPACの濃度として、線条体組織mgあたりのpmolで以下の表に示す。MPP+は、ドーパミンおよびDOPACの線条体濃度を約30%減少させ (グループC)、3aはこの減少を小さくした(グループD)。
【0129】
【表2】

【0130】
例19
MSの実験的アレルギー性脳脊髄炎("EAE")モデルにおける本発明の化合物の活性
EAEは、自己免疫疾患の公認動物モデルである (Tisch et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994) 91: 437-438)。EAEは、MSCHおよびヒト型結核菌H37Raを含有する市販のCFAから成る脳炎誘発剤を動物の足パッドに注入し、百日咳毒素を静脈内に注入することにより誘発した。
【0131】
試験品の投与:
MSCHエマルジョン中のGA-DSを、4つの足パッドに注入した。その他の化合物は、誘発の日から開始して研究の終了まで連続して30日間、1日に2回、経口の栄養補給(gavage)により各グループに投与した。
【0132】
臨床的症状
EAE臨床的症状のスコアリングは、EAE誘発10日後から開始し、20日間毎日継続した。臨床的症状は、以下の表に記載の評点方式に従って観察カードに記録した。
【0133】
【表3】

【0134】
死亡率の計算
- 各グループの死亡または瀕死の動物の数を合計した。
- 死亡率は以下のとおり計算した:
処理グループにおける死亡または瀕死のマウスの数
コントロールグループにおける死亡または瀕死のマウスの数
【0135】
平均最大スコアおよび阻害パーセントの計算
各グループの平均最大スコア(MMS)は以下のとおり計算した。
Σ各マウスの最大スコア/グループにおけるマウスの数
- 阻害パーセントは以下のとおり計算した。
阻害パーセント = 1 - ( 処理グループのMMS ) x 100
コントロールグループのMMS
【0136】
平均グループスコアおよび阻害パーセントの計算
試験グループにおける各マウスの毎日のスコアを合計し、個々の毎日の平均スコア(IMS)は以下のとおり計算した。
IMS = マウスの毎日のスコア/観察期間 (日数)
グループ平均スコア(GMS)は以下のとおり計算される。
Σ各マウスのIMS/グループにおけるマウスの数
阻害パーセントは以下のとおり計算される。
阻害パーセント = 1 - [ 処理グループのGMS ] X 100
コントロールグループのGMS
【0137】
例19a
本発明の化合物とGAの組合せ
GAは重さを量り、無菌のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に希釈し、試験化合物は0.5% メチルセルロース中に希釈した。
化合物3を用いた処理に関する結果は、図1-A、1-Bおよび1-Cに要約する。
【0138】
例19b
本発明の化合物(no GA)
結果を表4および図2(a)および2(b)に要約する。
作成した他の化合物を試験したところ、試験された化合物の活性と同等の活性を示す。
【0139】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1−A】図1−Aは、化合物3(1日に2回、10 mg/kg)に関する毎日のEAE GMSを示す。 −菱形−はコントロールグループ(PBS)を示し; −長方形−は研究中のグループを示す。
【図1−B】図1−Bは、グラチラマーアセテート(75μg/マウス)に関する毎日のEAE GMSを示す。 −菱形−はコントロールグループ(PBS)を示し; −長方形−は研究中のグループを示す。
【図1−C】図1−Cは、グラチラマーアセテート(75μg/マウス) + 化合物3(1日に2回、10 mg/kg)に関する毎日のEAE GMSを示す。 −菱形−はコントロールグループ(PBS)を示し; −長方形−は研究中のグループを示す。
【図2】図2は、(a) CSJL/F1マウスにおける(b) Lewisラットにおける化合物3に関するEAE MMSの用量応答(数回の実験からの平均)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する化合物、または特定のそのエナンチオマーまたは薬学的に許容可能なその塩:
【化1】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
Cl-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルであり;
R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、H、C1-C6アルキル、
C1-C6アルキニル、-(CH2)yS(CH2)xCH3、C1-C6アミノアルキル、
C1-C6ヒドロキシアルキルまたは-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2であり;
ここでnは1-6の整数であり;
ここでxは0または1-5の整数、yは1-5の整数、x+y<6であり;
R1またはR4の少なくとも一つは存在し;
点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;
R1およびR4の両方が存在する場合、当該化合物は荷電している。
【請求項2】
R1またはR4の少なくとも一つが-(CH2)nC(=O)(C6H4)(CH2)R2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR4の少なくとも一つが-(CH2)yS(CH2)xCH3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物、または特定のそのエナンチオマーまたは薬学的に許容可能なその塩:
【化2】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルであり;
R4は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R1またはR4の少なくとも一つは存在し;
点線は窒素原子の一つとその間の炭素原子との間の結合を表し;
R1およびR4の両方が存在する場合、当該化合物は荷電している。
【請求項5】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化3】

【請求項6】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化4】

【請求項7】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化5】

【請求項8】
R1、R2およびR3の少なくとも一つがC1-C4アルキルである、請求項4、5、6または7に記載の化合物。
【請求項9】
R1が存在せず、R4が存在する、請求項4または6に記載の化合物。
【請求項10】
不斉炭素がR配置である、請求項4、5、6または7に記載の化合物。
【請求項11】
不斉炭素がS配置である、請求項4、5、6または7に記載の化合物。
【請求項12】
R1が存在せず、R4がメチルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
R1がHまたはメチルであり;
R2がHまたはメチルであり;
R3がHまたはメチルである、
請求項7に記載の化合物、または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項14】
前記塩が、クロライド、メシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、エシレート、p-トルエンスルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、リン酸塩または硫酸塩である、請求項1〜13の何れか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
以下の構造を有する請求項2に記載の化合物:
【化6】

【請求項16】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物:
【化7】

【請求項17】
以下の構造を有する請求項3に記載の化合物:
【化8】

【請求項18】
以下の構造を有する請求項3に記載の化合物:
【化9】

【請求項19】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物:
【化10】

【請求項20】
以下の構造を有する請求項2に記載の化合物:
【化11】

【請求項21】
以下の構造を有する請求項7に記載の化合物:
【化12】

【請求項22】
請求項21に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項23】
以下の構造を有する請求項7に記載の化合物:
【化13】

【請求項24】
請求項23に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項25】
以下の構造を有する請求項7に記載の化合物:
【化14】

【請求項26】
請求項25に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項27】
以下の構造を有する請求項7に記載の化合物:
【化15】

【請求項28】
請求項27に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項29】
以下の構造を有する請求項5に記載の化合物:
【化16】

【請求項30】
請求項29に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項31】
以下の構造を有する請求項6に記載の化合物:
【化17】

【請求項32】
請求項31に記載の化合物の塩酸塩。
【請求項33】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化18】

【請求項34】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化19】

【請求項35】
治療上効果的な量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容可能なその塩を被検体に投与し、これにより被検体の神経疾患を治療することを含む、神経疾患に苦しむ被検体を治療するための方法。
【請求項36】
前記神経疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、神経筋障害、統合失調症、脳梗塞、頭部外傷、緑内障、顔面神経現象(facialis)またはハンチントン病である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記治療上効果的な量が、約1〜約1000 mg/日である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
治療上効果的な量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容可能なその塩を被検体に投与し、これにより被検体の多発性硬化症を治療することを含む、多発性硬化症に苦しむ被検体を治療するための方法。
【請求項39】
治療上効果的な量のレボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロンを被検体に投与することを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記治療上効果的な量が、約1〜約1000 mg/日である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記治療上効果的な量の化合物が、注入により、全身に、経口的に、または鼻経由で投与される、請求項35または38に記載の方法。
【請求項42】
請求項1に記載の化合物および許容可能なキャリアを含む組成物と微生物または真菌類を接触させることを含む、微生物または真菌類を死滅させるかまたはその増殖を阻害するための方法。
【請求項43】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
【請求項44】
治療上効果的な量のレボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロンを更に含む、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
治療上効果的な量のグラチラマーアセテートを更に含む、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物を薬学的に許容可能なキャリアと混合することを含む、薬学的組成物の製造方法。
【請求項47】
(a) 請求項43に記載の薬学的組成物;および
(b) 被検体の神経疾患を治療するために当該組成物を使用するための指示書
を含む、被検体の神経疾患を治療するためのパッケージ化された薬学的組成物。
【請求項48】
請求項4に記載の化合物の製造方法であって、
(a)
【化20】

を、溶媒の存在下でアミン交換剤と適切な条件下において反応させて
【化21】

を提供する工程と、
(b)2を塩素化剤で処理して
【化22】

を提供する工程と、
(c)3を
【化23】

と反応させて
【化24】

ここで
R1は存在するかまたは存在せず、存在する場合には、HまたはC1-C4アルキル
であり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
を提供する工程と、
(d)必要に応じて、工程(c)の生成物(ここでR1はHである)をアルキル化して、当該化合物を提供する工程
を含む方法。
【請求項49】
工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において2-ブロモ-4’-メチルアセトフェノンと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化25】

を産生することを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記極性溶媒がアセトニトリルであり、前記塩基が炭酸カリウムである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において臭化プロパルギルと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化26】

を産生することを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記極性溶媒がアセトニトリルであり、前記塩基が炭酸カリウムである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
工程(c)の生成物(ここでR1、R2およびR3はそれぞれHである)を、極性溶媒中で塩基の存在下において2-クロロエチルメチルスルフィドと反応させて、以下の構造を有する化合物:
【化27】

を産生することを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記極性溶媒がアセトニトリルであり、前記塩基が炭酸カリウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記アミン交換剤が、水性NH2NH2および硫酸ヒドラジニウムのエチレングリコール中の混合物である、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
塩素化剤がSOCl2である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
R1がCl-C4アルキルであり、R2およびR3がHである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
工程(d)における前記アルキル化剤が、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルである、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
以下の構造を有する化合物:
【化28】

ここで
R1はC1-C4アルキルであり;
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化29】

を、極性溶媒中で塩基の存在下においてR1X(ここでXはハロゲン原子である)と反応させて、当該化合物を産生することを含む方法。
【請求項60】
前記極性溶媒がアセトニトリルであり、前記塩基が炭酸カリウムである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
以下の構造を有する化合物:
【化30】

ここで
R2はHまたはC1-C4アルキルであり;
R3はHまたはC1-C4アルキルである
の製造方法であって、
a)
【化31】

を、溶媒の存在下または非存在下でメチル化剤と適切な条件下において反応させて
【化32】

を提供すること、
b) 工程a)の生成物を、p-トルエンスルホン酸の存在下で
【化33】

と反応させて、当該化合物を提供すること
を含む方法。
【請求項62】
工程(b)の前記生成物をアルキル化剤で更にアルキル化して、以下の構造を有する化合物:
【化34】

を提供する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
工程(a)における前記メチル化剤が、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記メチル化剤がヨウ化メチルである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
請求項19に記載の化合物の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化35】

を、トルエン中でプロパルギルアミンおよびp-TsOHと反応させて、当該化合物を産生することを含む方法。
【請求項66】
請求項18に記載の化合物の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化36】

を、トルエン中でプロパルギルアミンおよびp-TsOHと反応させて、当該化合物を産生することを含む方法。
【請求項67】
請求項20に記載の化合物の製造方法であって、
以下の構造を有する化合物:
【化37】

を、極性溶媒中で
【化38】

と反応させて、当該化合物を産生することを含む方法。
【請求項68】
前記極性溶媒がアセトニトリルである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
被検体の神経疾患を治療するために有用な医薬を製造するための、請求項1〜34の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項70】
前記神経疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、神経筋障害、統合失調症、脳梗塞、頭部外傷、緑内障、顔面神経現象(facialis)またはハンチントン病である、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
被検体の多発性硬化症を治療するために有用な医薬を製造するための、請求項1〜34の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項72】
前記医薬が、レボドパ、グラチラマーアセテート、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、ステロイドまたはミトキサントロンを更に含む、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
被検体の神経疾患を治療するための医薬の投与指示書を有するパッケージで医薬を製造するための、請求項1〜34の何れか1項に記載の化合物の使用。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図1−C】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−507350(P2006−507350A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555702(P2004−555702)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037592
【国際公開番号】WO2004/047756
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】