説明

プロピレンの接触気相酸化方法および装置

【課題】プロピレンの接触気相酸化によるプロピレンオキサイドの製造方法、そのための装置の提供。
【解決手段】シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5などで構成される反応装置であり、予熱部、反応部および冷却部を連続して熱水で循環または通過させることで、給水した熱水を水蒸気として回収する可能で、容易に有効な熱回収を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロピレンを分子状酸素含有ガスによる接触気相酸化にてプロピレンオキサイドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンの接触気相酸化反応、例えばプロピレンを金属触媒の存在下で分子状酸素による接触気相酸化にてプロピレンオキサイドを製造するプロセスにおいては、プロピレンの他にメタン、エタン等の飽和炭化水素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、酸素等を含有するプロピレン含有ガスと、空気、酸素を富化した空気または純酸素からなる分子状酸素含有ガスとが所定の比率で混合されたのち、金属触媒を充填した反応器に導入されて接触気相反応が行なわれる。この反応において、プロピレンが酸化されてプロピレンオキサイドを生成する反応、およびプロピレンが完全に酸化されて二酸化炭素を生成する反応が起こり、多量の発熱が生じる。また、これらの反応以外に、プロピレンオキサイドのアルデヒドへの異性化反応も生じる。
【0003】
プロピレンオキサイド製造プラント1基あたりの反応器における反応熱量は、上記の反応の反応熱から理解されるように大きい。この多量の反応熱をいかに安全に、また有効に回収利用するかは、プロピレンを分子状酸素による接触気相酸化にてプロピレンオキサイドを製造するにあたって、安全上、経済上大きな問題である。一般に、炭化水素の分子状酸素による接触気相酸化法において、副反応抑制のために、反応生成ガスを充填物が充填された冷却域に通すという方法が知られている(US3147084)。また、このような方法をエチレンの分子状酸素による接触気相酸化法にてエチレンオキサイドを製造する方法に適用することも知られており(特開昭51−4101)、反応域に隣接したあるいは隣接しないでかつ不活性材料を含有したあるいは含有しない冷却域に、反応域で得られる反応生成物を通過させている。また、特開昭53−2409によれば、反応生成物を0.1m/g以下の表面積を有する不活性耐熱粒状物を充填した冷却域に通過させている。しかしながら、これらの方法で使用されている反応装置は、反応域にダウサム(ダウ社,商品名)のような高沸点の熱媒体または水のような低沸点の熱媒体を循環させて除熱を行ない、冷却域はダウサムのような高沸点の熱媒体を使用する方法を採用しているが、これらの方法は、熱媒体が高沸点の危険物で取扱いが面倒なことや装置が複雑で運転操作も容易でないとの欠点を有している。
【0004】
従来、プロピレンと分子状酸素による接触気相酸化にてプロピレンオキサイドを製造する際の反応器として、多管式熱交換型反応器の反応管の外側と水蒸気を生成させる構造の熱交換器との間を、熱媒体たとえばダウサムのような高沸点の熱媒体をポンプにより強制循環させ反応管を冷却し、反応熱を奪って高温となった熱媒体は、熱交換器で水に熱を与えて水蒸気を発生させ、ここで冷却された熱媒体は再び反応管外側を冷却するため再循環する構造の多管式熱交換型反応器が知られている。また、熱媒体として、たとえば水のような蒸発する熱媒体を使用する場合、多管式熱交換型反応器のシェル側で直接水蒸気を生成するため前記のような水蒸気を生成する構造の熱交換器は必要とせず、しかも熱水を使用した場合、自然循環ができるため、ポンプの設備を必要としない構造の多管式熱交換型反応装置も知られている。
しかし上記方法では、反応器出口における反応ガスの温度は高温であるため、反応原料ガスと反応生成ガスを熱交換器に導入して行なわれる熱交換で原料ガスを加熱することで、反応器入口までの管内は高温に保持される。その結果、原料ガス中の酸素濃度は、その温度における爆発限界下限の濃度以下とするために、生産性を犠性にして低く制御されなければならないという欠点がある。
【0005】
特許文献1には、反応装置の予熱部、反応部および冷却部を連続して熱水で循環または通過させ、しかも給水した熱水を水蒸気として回収する反応装置を使用することで容易に有効な熱回収を達成できるエチレンの接触気相酸化方法および装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−67573
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、反応装置の予熱部、反応部および冷却部を連続して熱水で循環または通過させ、しかも給水した熱水を水蒸気として回収する反応装置を使用することで容易に有効な熱回収を達成できるプロピレンの接触気相酸化方法および装置を提供することにある。
本発明の他の課題としては、反応部の触媒層を通過したプロピレン、プロピレンオキサイドおよび酸素を含有した反応生成ガスの爆発危険性を少なくするばかりでなく、反応生成ガスまたは原料ガス中の酸素濃度の増加により生産性の向上が望めるプロピレンの接触気相酸化方法を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため検討した結果、本発明が完成されたものであり、以下の通りである。
[1] シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ反応管5の入口部に不活性充填物を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部に不活性充填物を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、熱水を導管10より冷却部8のシェル側11に給水し、反応管5の外側を冷却した後、導管12を経て気液分離槽13に導き、気液分離槽13で分離した熱水は、導管15を通して反応部7のシェル側16に導入し、反応部7の反応管5の外側を冷却し、ついで予熱部6の反応管5の外側を予熱し、導管17を通して気液分離槽13へ戻す経路の自然循環を行い、気液分離槽13より導管14を通して水蒸気を回収し、導管18よりプロピレンと分子状酸素とを含む原料ガスを、熱交換器19を通して予熱し、導管20を経て縦型多管式熱交換型反応器9の反応管5を経て、反応生成ガスを導管21により熱交換器19に導き、該原料ガスを予熱することを特徴とする、プロピレンの接触気相酸化方法。
【0009】
[2] シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ反応管5の入口部に不活性充填物を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部に不活性充填物を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、冷却部8のシェル側11に熱水を供給する導管10、冷却部8のシェル側11と気液分離槽13に通ずる導管12、気液分離槽13の底部と反応部7のシェル側16に通ずる導管15、予熱部6のシェル側16と気液分離槽13に通ずる導管17、気液分離槽13および水蒸気を回収する導管14よりなることを特徴とする、[1]記載のプロピレンの接触気相酸化方法を行うための装置。
[3] 触媒が(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である[1]又は[2]記載のプロピレンの接触気相酸化方法又はその方法を行うための装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、容易に有効な熱回収を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プロピレンオキサイド製造用装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において予熱部は、反応管の入口部に不活性充填物が充填された領域で、反応部は反応管の入口部と出口部の間に金属触媒が充填された領域で、冷却部は反応管の出口部に不活性充填物が充損された領域である。
本発明の反応器の予熱部と冷却部に充填する不活性充填物としては、不活性耐熱性物であればよく、球、半球、ペレット、リングおよび無定形を問わずいずれも使用できるが、好ましくは金属触媒用の担体として通常使用されるシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、炭化ケイ素等が好ましく、特にシリカ、α−アルミナおよびジルコニアが好ましい。これらの不活性耐熱性担体の形状、寸法、孔、比表面積、見かけの気孔率等は反応管に充填した際の圧力損失、機械的強度を考慮して適当に選ぶことができる。平均粒径は通常1/16〜1/2インチ、好ましくは3/12〜1/2インチであり、球ないしリング状物が好ましい。また、上記不活性耐熱性担体にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、リチウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびタリウムから選ばれると少くとも1種を析出させたものが好適に使用でき、特にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムが好ましい。これらは、特に冷却部8の反応管5に充填することが好ましい。
【0013】
本発明において使用する縦型多管式熱交換型反応器のシェル側を反応部と冷却部に仕切板で仕切ることにより、触媒層を通過したプロピレン、プロピレンオキサイドおよび酸素を含有する200〜300℃の高温の反応生成ガスを不活性充填物を充填した冷却部でシェル側に温度130〜180℃の熱水を供給して冷却し、冷却部出口の反応生成ガスを150〜250℃の温度に制御することができる。この冷却部を設けることは、たとえば、分子状酸素を用いてプロピレンを接触気相酸化してプロピレンオキサイドを製造するに際して、酸化反応は200〜300℃の温度で行なわれており、当然、生成ガス温度も同程度以上になり、プロピレンオキサイドのアルデヒドへの異性化反応を起きるため、反応生成ガスが反応部から出た直後に冷却部を設けることにより、プロピレンオキサイドのアルデヒドへの異性化反応を減少させる効果をもたらす。
【0014】
本発明は、反応装置の熱媒体として、熱水を用いるため、着火するような危険がなく、熱水を使用することにより自然循環することが可能で循環ポンプの設備を必要としない。したがって、循環ポンプの急な停止による反応部の異常温度上昇の問題が発生しない。また、熱水を用いた場合、伝熱が良いので熱除去が効率よく行なえ、その結果反応率が他の熱媒体を使用した場合より大きくとれる利点がある。
本発明は、反応部を通過したプロピレンおよび酸素を含有した反応生成ガスを冷却部で150〜250℃に冷却することにより、反応生成ガスにより原料ガスを予熱する熱交換器において、原料ガスの温度を100〜200℃に抑えることができ、原料ガス中の酸素濃度を上げることができる効果を発揮する。また、本発明の反応装置を用いることにより熱媒体として供給する熱水は、反応器シェル側で直接水蒸気を生成することができ、しかも供給した熱水に見合う水蒸気を回収する効果をもたらす。また、冷却部を出た熱水を反応部の冷却媒体の補給に使用することは、熱エネルギーの利用、建設、設備費等の経済面から有利である。
【0015】
前記したように、冷却部と反応部に別々の冷却媒体を通過または循環させる方法が知られており、反応面における効果は同じである。しかしながら、本発明の方法は、エネルギーの再利用に有利な高圧蒸気を多量に発生させ得る点で違っており、またプロセスの簡略化による建設、設備面での経済性も違っている。
【0016】
本発明方法を適用し得るプロセスおよび反応条件は、従来この分野で公知のプロセスおよび反応条件のいずれも適用できる。たとえば、プロピレンを分子状酸素による接触気相酸化でプロピレンオキサイドを製造するプロセスは、酸素源として空気を用いる空気酸化法と純酸素を用いる酸素酸化法とがあるが、本発明方法はいずれの場合にも有効に適用できる。特に、触媒層1回通過当りの反応量を大きくすることができ、プロピレンオキキサイド濃度を高くすることができる酸素酸化法が有効に適用できる。
操作条件は、原料ガス混合物はプロピレン、酸素、炭酸ガス、窒素、アルゴン、メタン、エタン、ジクロロエタン等の反応抑制組成物からなっており、プロピレン濃度は高いほど有利であるが、40容量%以下である。炭酸ガスは10容量%以下である。また、メタンまたはエタンを原料ガス中に存在させた場合、メタンは爆発範囲を安全側にずらし、爆発範囲を狭くするので、反応ガス希釈剤としてかなり高濃度で存在することが有効である。反応圧力は0〜40kg/cmG、好ましくは10〜30kg/cmGである。反応温度は150〜300℃、好ましくは180〜280℃である。空間速度は1,000〜10,000hr−1、好ましくは2,000〜8,000hr−1である。
【0017】
本発明が適用できるプロピレンオキサイドの接触気相酸化方法としては、例えば、金属酸化物等を含有するような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法等が挙げられる。このような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法については、例えば、WO2011/075458、WO2011/075459、WO2012/005822、WO2012/005823、WO2012/005824、WO2012/005825、WO2012/005831、WO2012/005832、WO2012/005835、WO2012/005837、WO2012/009054、WO2012/009059、WO2012/009058、WO2012/009053、WO2012/009057、WO2012/009055、WO2012/009052、WO2012/009055等に記載されている。その製法において用いる触媒としては、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)及び(q)からなる群から選ばれる少なくとも2種を含む触媒が挙げられる。
(a)銅酸化物
(b)ルテニウム酸化物
(c)マンガン酸化物
(d)ニッケル酸化物
(e)オスミウム酸化物
(f)ゲルマニウム酸化物
(g)クロミウム酸化物
(h)タリウム酸化物
(i)スズ酸化物
(j)ビスマス酸化物
(k)アンチモン酸化物
(l)レニウム酸化物
(m)コバルト酸化物
(n)オスミウム酸化物
(o)ランタノイド酸化物
(p)タングステン酸化物
(q)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分
好ましくは(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒であり、より好ましくは(a)銅酸化物、(b)ルテニウム酸化物及び(q)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分を含有する触媒である。
【0018】
本発明をさらに詳しく説明するために、図面により説明する。図面は金属触媒の存在下、プロピレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化する際の実施態様および使用される装置の一例を示すものであるが、本発明を何ら拘束するものではない。
図1において、シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ、反応管5の入口部に不活性充填物を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に金属触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部に不活性充填物を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、温度130〜180℃の熱水を導管10を通してシェル側11に供給し、冷却部8の200〜300℃の反応生成ガスの通る反応管5の外側を接触させ、プロピレン、プロピレンオキサイド、酸素を含む反応生成ガスと熱交換した200〜250℃の熱水は導管12を通して気液分離槽13に送り、気液分離槽13で分離した熱水は導管15を通して反応部7のシェル側16に導入し、反応部7の反応管5の外側と接触させ、反応熱を奪い、反応部7で沸騰した気液混相状態の熱水は予熱部6の反応管5の外側と接触して原料ガスを予熱し、導管17を通して気液分離槽13に自然循環し、導管12よりの熱水と混合し温度を下げられる。気液分離槽13で分離した温度210〜250℃、圧力20〜40kg/cmGの水蒸気を導管14より回収することができる。一方、導管18よりプロピレンと分子状酸素を含む温度10〜80℃の原料ガスを導入し、熱交換器19を通して100〜200℃に予熱し、導管20を経て縦型多管式熱交換型反応器9の反応管5に導入し、予熱部6、反応部7および冷却部8を経て、導管21を通して150〜250℃の反応生成ガスを熱交換器19に送り、原料ガスを予熱することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明をさらに詳しく述べるために、図面に基づいて具体的な実施態様を説明する。しかし本発明はこの実施態様のみによって本発明の範囲を規制するものでない。
実施例1
シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ、反応管5の入口部に不活性耐熱性シリカ担体を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に金属触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部にセシウムを担持した不活性耐熱性シリカ担体を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、熱水を導管10を通して冷却部8のシェル側11に供給し、反応部7の反応管5からのプロピレン、プロピレンオキサイド、酸素、炭酸ガスを含む反応生成ガスの通る冷却部8の反応管5の外側を冷却し、反応熱を奪って加温された熱水は、導管12を通して気液分離槽13に送り、気液分離し、気液分離槽13の底部よりの熱水は、導管15を通して反応部7のシェル側16に導入し、反応部7および予熱部6の反応管5の外側を沸騰した気液混相の状態で接触し、導管17により気液分離槽13に導く経路の自然循環を行なわしめ、気液分離槽13で分離した水蒸気を導管14を通して回収する。
一方、プロピレンと分子状酸素を含む原料ガスを導管18を通して熱交換器19のシェル側に導入し、導管21を通して熱交換器19の管側に導入された反応生成ガスと熱交換せしめ冷却された反応生成ガスは導管22を通してプロピレンオキサイド吸収工程へ送る。一方、予熱された原料ガスは導管20を通して縦型多管式熱交換型反応器9の反応管5に導入し、予熱部6、反応部7および冷却部8を経て、反応生成ガスを導管21を通して熱交換器19に送る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の方法によって、反応装置の予熱部、反応部および冷却部を連続して熱水で循環または通過させ、しかも給水した熱水を水蒸気として回収する反応装置を使用することで容易に有効な熱回収を達成できるプロピレンの接触気相酸化方法および装置が提供される。
【符号の説明】
【0021】
1:シェル板
2:上部管板
3:下部管板
4:仕切板
5:反応管
6:予熱部
7:反応部
8:冷却部
9:縦型多管式熱交換型反応器
10:導管
11:シェル側
12:導管
13:気液分離槽
14:導管
15:導管
16:シェル側
17:導管
18:導管
19:熱交換器
20:導管
21:導管
22:導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ反応管5の入口部に不活性充填物を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部に不活性充填物を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、熱水を導管10より冷却部8のシェル側11に給水し、反応管5の外側を冷却した後、導管12を経て気液分離槽13に導き、気液分離槽13で分離した熱水は、導管15を通して反応部7のシェル側16に導入し、反応部7の反応管5の外側を冷却し、ついで予熱部6の反応管5の外側を予熱し、導管17を通して気液分離槽13へ戻す経路の自然循環を行い、気液分離槽13より導管14を通して水蒸気を回収し、導管18よりプロピレンと分子状酸素とを含む原料ガスを、熱交換器19を通して予熱し、導管20を経て縦型多管式熱交換型反応器9の反応管5を経て、反応生成ガスを導管21により熱交換器19に導き、該原料ガスを予熱することを特徴とする、プロピレンの接触気相酸化方法。
【請求項2】
シェル板1、上部管板2、下部管板3、反応部7のシェル側16と冷却部8のシェル側11とを仕切る仕切板4および多数の反応管5で構成され、かつ反応管5の入口部に不活性充填物を充填した予熱部6、反応管5の入口部と出口部の間に触媒を充填した反応部7、反応管5の出口部に不活性充填物を充填した冷却部8を設けた縦型多管式熱交換型反応器9に、冷却部8のシェル側11に熱水を供給する導管10、冷却部8のシェル側11と気液分離槽13に通ずる導管12、気液分離槽13の底部と反応部7のシェル側16に通ずる導管15、予熱部6のシェル側16と気液分離槽13に通ずる導管17、気液分離槽13および水蒸気を回収する導管14よりなることを特徴とする、請求項1記載のプロピレンの接触気相酸化方法を行うための装置。
【請求項3】
触媒が(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である請求項1又は2記載のプロピレンの接触気相酸化方法又はその方法を行うための装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−82678(P2013−82678A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−162663(P2012−162663)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】