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プロピレンの製造方法
説明

プロピレンの製造方法

【課題】エタノールからプロピレンを連続的に、かつ効率よく製造することができるプロピレンの製造方法を提供する。
【解決手段】エタノールと水とからアセトン及び水素を製造し、製造されたアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造するプロピレンの製造方法であって、鉄と、亜鉛と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含有し、かつ亜鉛に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のモル比が0.2〜2である鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒の存在下で、前記アセトン及び水素を製造し、インジウム酸化物及びインジウムを含む複合酸化物のいずれかからなるインジウム含有触媒、あるいは、担体上にインジウムを担持してなり、当該インジウムが触媒全体の質量に対し元素として1質量%以上含むインジウム含有触媒の存在下で、前記プロピレンを製造するプロピレンの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールと水とからアセトン及び水素を製造し、製造されたアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造するプロピレンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エタノールは、バイオマスの発酵等により、石油以外の原料から製造できるため、近年、化石原料に頼らない化学品製造の原料として注目されている。触媒を用いてエタノールを反応させ、炭素数3以上の含酸素化合物、特にアセトンに転換する方法は古くから知られている。
【0003】
アセトンは、水素化・脱水してプロピレンに変換することができるが、これまでは、化石原料の処理工程で生成する水素を用いて転換する方法のみが実施されており、水素源として化石原料を要しない方法は確立されていなかった。また、アセトンを生産するプロセス(クメン法フェノール製造装置等)と、水素製造装置(メタン改質装置等)は別個の生産プロセスであり、非効率となっていた。
【0004】
ここで、触媒を用いてエタノールを反応させ、アセトンに転換する方法は、非特許文献1〜6及び特許文献1等に開示されている。これらには、副生成物として水素、アセトアルデヒド、エチレン、二酸化炭素等が生成することが記載されている。
【0005】
また、アセトンの還元方法(水素化方法)については、特許文献2〜5等で開示されているが、いずれも純水素を用いており、特に特許文献2によると、用いる水素は純度が高い方が好ましいとされている。
一方で特許文献6では、特別純度の高い水素を使用する必要はないことが記載されており、メタン、エタン、窒素等の不純物を含む水素でも使用可能としているが、エタノールの反応で副生するアルデヒドや一酸化炭素、二酸化炭素等の不純物を含有する水素の使用可否に関しては、何の示唆もない。特に一酸化炭素は、水素化触媒の被毒物質であることが知られており、これらの不純物を含有する副生ガスの使用は検討されていなかった。
【0006】
さらに、このような方法でアセトンの還元を行う場合、その主生成物はイソプロパノールであり、プロピレンを主生成物とするためには、ゼオライト等の固体酸触媒と組み合わせた複雑な工程をさらに追加しなければならなかった(特許文献7、特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−209059号公報
【特許文献2】特開平3−141235号公報
【特許文献3】特開平3−41038号公報
【特許文献4】特開平2−270829号公報
【特許文献5】特開平3−133941号公報
【特許文献6】特開2002−128716号公報
【特許文献7】WO2010/064500A1号公報
【特許文献8】WO2010/106966A1号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Journal of the Indian Chemical Society,Industrial and News Edition,第16巻,109〜113ページ(1953年)
【非特許文献2】Journal of the Chemical Society,Chemical Communications,1987年,394〜395ページ(1987年)
【非特許文献3】Applied Catalysis,第52巻,237〜248ページ(1989年)
【非特許文献4】Journal of Materials Chemistry,第4巻,853〜858ページ(1994年)
【非特許文献5】Applied Catalysis A: General,第172巻,117〜129ページ(1998年)
【非特許文献6】日本化学会誌,1997年,No.1,33〜36ページ(1997年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、エタノールからプロピレンを連続的に、かつ効率よく製造する方法は確立されていなかった。
従って、本発明は、エタノールからプロピレンを連続的に、かつ効率よく製造することができるプロピレンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、下記本発明に想到し、当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記の通りである。
【0011】
[1] エタノールと水とからアセトン及び水素を製造し、製造されたアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造するプロピレンの製造方法であって、鉄と、亜鉛と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含有し、かつ亜鉛に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のモル比が0.2〜2である鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒の存在下で、前記アセトン及び水素を製造し、インジウム酸化物及びインジウムを含む複合酸化物のいずれかからなるインジウム含有触媒、あるいは、担体上にインジウムを担持してなり、当該インジウムが触媒全体の質量に対し元素として1質量%以上含むインジウム含有触媒の存在下で、前記プロピレンを製造することを特徴とするプロピレンの製造方法。
[2] 前記インジウム含有触媒が、周期表で4族及び8〜13族(インジウムを除く)から選ばれる1種以上の金属を元素としてさらに含有する[1]に記載のプロピレンの製造方法。
[3] アセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造した際の余剰の水素を、再び、前記のアセトンと水素とからプロピレンを製造するのに利用する[1]又は[2]に記載のプロピレンの製造方法。
[4] アセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造する際に、さらに系外から水素を供給する[1]〜[3]のいずれかに記載のプロピレンの製造方法。
[5] エタノールと水とからアセトンと水素を製造した後の前記水素の一部を、その製造の際に生成する副生成物の還元に利用する[1]〜[4]のいずれかに記載のプロピレンの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エタノールからプロピレンを連続的に、かつ効率よく製造することができるプロピレンの製造方法を提供することができる。
これにより、バイオマスを有効に利用して有用な化学品の製造を実施でき、化石資源の消費抑制及び大気中への化石原料起源の二酸化炭素の放出抑制に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、エタノールと水とからアセトン及び水素を製造し(以下では、便宜的に「アセトン及び水素の製造工程」ということがある)、製造されたアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造する(以下では、便宜的に「プロピレンの製造工程」ということがある)プロピレンの製造方法であり、アセトン及び水素の製造工程とその後のプロピレンの製造工程とが連続して行われる。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0014】
[1.アセトン及び水素の製造工程]
エタノールからアセトンと水素を製造する工程で使用する触媒としては、非特許文献1〜6及び特許文献1に開示されているような鉄、亜鉛等を含む触媒が挙げられるが、本発明では、鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒を使用する。
鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒としては、鉄と、亜鉛と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含有してなり、亜鉛に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のモル比(以下、「M/Zn」(M:アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属)ということがある)が0.2〜2となっている。
【0015】
本反応における従来の知見(非特許文献2及び非特許文献3)では、アルカリ金属を導入すると活性が低下し、またアルカリ土類金属の亜鉛に対するモル比を0.1より増大させた場合、活性・選択性が急激に低下することが知られている。
【0016】
これらの知見からすると、鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒のM/Znの範囲は特異的なものであるといえる。すなわち、当該触媒では、M/Znが0.2より少ない場合、及びモル比が2より大きい場合には、活性及び選択性が低下するため、効率が悪くなる。当該モル比は、0.2〜1であることが好ましい。
【0017】
また、触媒中の鉄に対する亜鉛のモル比は、0.01〜10であることが好ましく、0.02〜5であることがより好ましく、0.05〜1であることがさらに好ましい。当該モル比が0.01〜10であることで、副反応を抑制しアセトン選択率を向上させることができる。また、亜鉛の導入により、酸量が減るため脱水反応が抑制され、アセトン生成の選択性が高くなる。
【0018】
鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒は、上述の成分比率範囲内の組成とすれば、どのような方法でも調製できる。
例えば、上記成分比率に調製した鉄、亜鉛、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を溶解させた水溶液に、アンモニア水等の塩基を滴下して沈殿を形成させ、濾過後焼成する方法や、市販の酸化鉄の粉末に、亜鉛の塩、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の水溶液を含浸させた後に焼成する方法等で調製することができる。
【0019】
このようにして調製した触媒粉末は、一般的なバインダー(シリカ、アルミナ、ケイ酸塩等)と混練し成型することによって、固定床反応器で使用可能な成型触媒となる。
【0020】
アセトン及び水素の製造工程の反応に使用するエタノールは、発酵法その他、種々の方法で製造される一般的なエタノールを使用でき、水やアセトアルデヒド等の不純物を含んでいてもよい。エタノールと水との比率は、水を含んでいるとアセトン選択率が向上するため、エタノールに対する水のモル比率は、0.1〜10であることが好ましく、0.5〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。これらの比率よりも高い純度のエタノールを使用する場合、上述の比率となるように、別途、水をリアクターに供給するのがよい。
【0021】
当該工程における反応は、固定床、移動床、流動床等どのような形式でも実施できるが、粉末状もしくは成型した触媒を充填した管状反応器に、エタノールと水とを供給する固定床型反応で実施することが好ましい。
当該反応における空間速度は、400〜6500h-1とすることが好ましく、400〜4000h-1とすることがより好ましい。
反応温度は250〜600℃であることが好ましく、300〜550℃であることがより好ましく、350〜500℃であることがさらに好ましい。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも実施できるが、通常は、常圧〜やや加圧の雰囲気で実施される。
また、本反応は、窒素、水素、その他の炭化水素ガス等の共存下でも実施することができる。
【0022】
[2.プロピレンの製造工程]
アセトン及び水素の製造工程を経て生成したアセトンと水素とを反応させる工程(プロピレンの製造工程)で使用する触媒としては、アセトンの水素化能力及び水素化物の脱水能力があり、かつ不純物耐性の高い触媒を使用する必要があり、特に、インジウムを含む触媒(インジウム含有触媒)が適している。インジウム含有触媒は、アセトンの水素化反応とアセトンの水素化物の脱水反応の両方の反応の触媒作用を有しており、この触媒を用いることで、本反応工程は実質的に一段となり、非常に簡素で効率的な製造プロセスとすることができる。
【0023】
インジウム含有触媒としては、インジウム酸化物及びインジウムを含む複合酸化物のいずれかからなる触媒(以下、「第1のインジウム含有触媒」ということがある)、又は担体上にインジウムを担持してなり、当該インジウムが触媒全体の質量に対し元素として1質量%以上含む触媒(以下、「第2のインジウム含有触媒」ということがある)を用いる。
【0024】
ここで、第1のインジウム含有触媒の好適な一例として、酸化インジウム(In23)が挙げられる。酸化インジウムの種類としては、立方晶又はアモルファス等を例示することができる。第1のインジウム含有触媒におけるインジウムの含有量(酸化物換算)は、1〜100質量%であることが好ましく、20〜100であることがより好ましい。1〜100質量%であることで触媒活性やプロピレンの選択性を高い状態とすることができる。
【0025】
第1のインジウム含有触媒は、金属成分を含む塩(硝酸塩、硫酸塩、塩化物など)を空気中でそのまま焼成する方法や、該金属成分を含む水溶液に、アンモニア水等の塩基を滴下して沈殿を形成させ、濾過後焼成する方法により得ることができる。
【0026】
また、第2のインジウム含有触媒中のインジウムの元素としての含有量は、1質量%以上であり、2質量%以上であることが好ましい。1質量%より少ない場合は、触媒活性やプロピレンの選択性が低くなる。
担体としては、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、チタニア、マグネシア等が挙げられる。第2のインジウム含有触媒は通常の含浸法により調製することができる。
【0027】
触媒の活性や選択性を調整するために、インジウム以外の金属を、周期表で4族及び8〜13族(インジウムを除く)から選ばれる1種以上の金属を元素としてさらに含有することが好ましい。この場合、これらの金属は金属酸化物として含まれることが好ましい。
【0028】
本発明に係るインジウム含有触媒は、所望の粒径(例えば、篩い分けにより300〜600μmの粒径)として使用したり、これをスラリー状として乾燥等を行って使用したり、又は、粘土鉱物等のバインダーと混合・成型した形状で使用したりすることができる。
【0029】
本発明に係るプロピレンの製造工程では、アセトン及び水素の製造工程からの流出物(アセトン及び水素を含む)を、特に精製せずに、そのまま反応原料として用いることができる。プロピレンの製造工程も、アセトン及び水素の製造工程と同様に、固定床、移動床、流動床等どのような形式でも実施できるが、一般的には、粉末状もしくは成型したインジウム含有触媒を充填した固定床反応器が用いられる。
【0030】
反応温度は250〜600℃、好ましくは300〜550℃、さらに好ましくは350〜550℃である。反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも実施できるが、通常は、常圧〜やや加圧の雰囲気で実施される。また、本反応は、窒素、水素、その他の炭化水素ガス等の共存下でも実施することができる。プロピレンの製造工程の出口流出物には、余剰の水素が含まれるため、出口水素を、アセトン及び水素の製造工程又はプロピレンの製造工程の入口にリサイクルすることもできる。
【0031】
当該インジウム含有触媒存在下で行う反応における反応形式は特に制約はないが、固定床流通式で実施されることが好ましい。固定床流通式で反応を行う場合、本発明に係るインジウム含有触媒を反応管内に固定し、アセトンと水素とを反応管内に供給することで反応を行う。
【0032】
当該反応における空間速度は、500〜5000h-1とすることが好ましく、500〜1000h-1とすることがより好ましい。
【0033】
また、アセトンは、水(水蒸気)と共に反応管内へ供給することができる。アセトンに対する水の比率は0.1〜10とすることが好ましく、1〜5とすることがより好ましい。水(水蒸気)を供給することで、触媒上への炭素付着及び触媒の還元を抑制することができる。
なお、当該反応管には窒素やヘリウム等のキャリアガスを供給してもよい。
【0034】
以上のようにして、エタノールからプロピレンを連続的に、かつ効率よく製造することができる。なお、インジウム含有触媒及び鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒は、別々の触媒層を形成して反応に供する。
【0035】
以下では、本発明のプロピレンの製造方法を各工程について反応式を示しながら、説明する。
【0036】
アセトン及び水素の製造工程の主反応は、式(1)で表される。
2C25OH+H2O→CH3COCH3+4H2+CO2・・・式(1)
【0037】
プロピレンの製造工程の主反応は、式(2)で表される。
CH3COCH3+H2→CH2=CH−CH3+H2O・・・式(2)
【0038】
従って、これらの工程のトータルでの主反応は、式(3)で表される。
2C25OH→CH2=CH−CH3+3H2+CO2・・・式(3)
【0039】
アセトン及び水素の製造工程からプロピレンの製造工程の連続反応の出口では、主な副生成物として、水素と二酸化炭素(CO2)が生成することになる。この二酸化炭素は、原料としてバイオエタノールを用いた場合にはバイオマス由来(カーボンニュートラル)であり、大気中の二酸化炭素量を増大させるものではない。
しかしながら、資源の有効活用の観点から、ここで副生する余剰の水素を用い、同じく副生成物であるCO2を還元することによって、式(4)で表される反応で、有用化学品のメタノールに変換することができる(メタノール変換工程)。
なお、メタノール変換工程の触媒としては、特開平6−179632号公報に記載の触媒等が挙げられる。
3H2+CO2→CH3OH+H2O・・・式(4)
【0040】
以上より、アセトン及び水素の製造工程、プロピレンの製造工程及びメタノール変換工程までの全反応は、式(5)で表されることになる。
2C25OH→CH2=CH−CH3+CH3OH+H2O・・・式(5)
【実施例】
【0041】
(実施例1)
(鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒の調製)
市販の硝酸亜鉛六水和物(和光純薬工業製,Zn(NO32・6H2O,純度99.0%以上)3.74g、硝酸ストロンチウム(和光純薬工業製、Sr(NO32、純度98.0%以上)1.09gをイオン交換水4.00gに溶解させ、亜鉛とストロンチウムを含む水溶液を調製した。
【0042】
定温乾燥器にて120℃で18時間以上乾燥した市販の酸化水酸化鉄(関東化学製,FeO(OH)、純度95.0%以上)10.03gに、亜鉛とストロンチウムを含む水溶液を添加してスラリー状とし、この状態で5分間こねてスラリー状物質を作製した。
【0043】
作製したスラリー状物質を、マッフル炉にて空気200cm3/min中、120℃(5℃/minで昇温)で6時間乾燥、さらに600℃(5℃/minで昇温)で3時間焼成を行い、鉄、亜鉛、ストロンチウムを含有する赤褐色の固体(SrO/ZnO/Fe23触媒)を得た。
【0044】
得られた触媒の元素組成分析を、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析法により行った。ICP発光分光分析法による組成分析は、島津製ICPE−9000型ICP発光分光分析装置で行った。測定試料としては、分析しようとする触媒をフッ化水素酸と塩酸との混酸で溶解し、酸溶液としたものを用いた。
【0045】
測定結果から、触媒中の鉄に対する亜鉛のモル比は0.12、亜鉛に対するストロンチウムのモル比は0.39であった。得られた触媒は、反応使用前に粉砕し、300〜600μmに分級して用いた。
【0046】
(インジウム含有触媒の調製)
定温乾燥器にて120℃で18時間以上乾燥した市販の酸化インジウム(関東化学製、In23、純度99.9%以上)10.00gに、イオン交換水4.53gを添加してスラリー状としその状態で5分間こねた。
【0047】
得られたスラリー状物質を、マッフル炉にて空気200cm3/min.中、800℃(1℃/min.で昇温)で5時間焼成を行い、黄色の固体(In23触媒)を得た。得られた触媒は、反応使用前に粉砕し、300〜600μmに分級して用いた。
【0048】
(プロピレンの製造方法)
鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒及びインジウム含有触媒を用いたエタノールの転換反応を下記のようにして行った。
なお、エタノールの転化率及びプロピレン収率の算出式(それぞれの量はモル基準)は下記の式を適用して、それぞれの値を算出した。
エタノール転化率
=100×(反応器入口エタノール量−反応器出口エタノール量)/反応器入口エタノール量 ・・・式(6)
【0049】
プロピレン収率
=100×(反応器出口プロピレン量×3)/(反応器入口エタノール量×2) ・・・式(7)
【0050】
反応に用いた反応管は二重構造をしており,外側はSUS316製の管(φ27.2×t5.5mm)、内側は石英製の電気溶融管(φ15×t2.0mm)であり、その内側に石英製の熱電対用内挿管(φ3.5×t1.0mm)を有する。
【0051】
反応管の上段に、SrO/ZnO/Fe23触媒、下段にIn23触媒を、それぞれ1.21g、3.70g充填した。なお、各触媒層はその上下に石英ウールを詰めて保持した。
【0052】
触媒を充填した上記反応管に、窒素を29.0cm3/min(25℃,1気圧換算,以下同じ)で流しながら外部加熱によって触媒層の温度を400℃(上段)及び525℃(下段)まで昇温し、そのまま1時間保持した。
【0053】
その後,常圧で反応管入口側から、エタノール、水、窒素を、19:29:52のモル比となるように連続的に供給して反応を行った(入口側全ガス流量:29.0cm3/min)。
【0054】
反応開始から1時間後,反応管出口ガスを、オンラインガスクロマトグラフ装置で分析したところ、エタノールの転化率は100%であり、収率21%でプロピレンが生成していることが確認された。
【0055】
(実施例2)
水素のリサイクルを想定し、反応管入口の供給原料を、エタノール、水、水素、窒素(モル比:19:29:42:10)とした他は、実施例1と同じ条件でエタノールの転換反応を行った(入口側全ガス流量:29.0cm3/min)。
【0056】
反応開始から1時間後、反応管出口ガスを,オンラインガスクロマトグラフ装置で分析したところ、エタノールの転化率は100%であり、収率46%でプロピレンが生成していることが確認された。さらに、そのまま反応を20時間継続し、同様に出口ガスを分析したところ、エタノールの転化率は100%であり,プロピレン収率は46%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールと水とからアセトン及び水素を製造し、製造されたアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造するプロピレンの製造方法であって、
鉄と、亜鉛と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含有し、かつ亜鉛に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のモル比が0.2〜2である鉄−亜鉛−アルカリ含有触媒の存在下で、前記アセトン及び水素を製造し、
インジウム酸化物及びインジウムを含む複合酸化物のいずれかからなるインジウム含有触媒、あるいは、担体上にインジウムを担持してなり、当該インジウムが触媒全体の質量に対し元素として1質量%以上含むインジウム含有触媒の存在下で、前記プロピレンを製造することを特徴とするプロピレンの製造方法。
【請求項2】
前記インジウム含有触媒が、周期表で4族及び8〜13族(インジウムを除く)から選ばれる1種以上の金属を元素としてさらに含有する請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
【請求項3】
アセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造した際の余剰の水素を、再び、前記のアセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造するのに利用する請求項1又は2に記載のプロピレンの製造方法。
【請求項4】
アセトンと水素とを反応させてプロピレンを製造する際に、さらに系外から水素を供給する請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
【請求項5】
エタノールと水とからアセトンと水素を製造した後の前記水素の一部を、その製造の際に生成する副生成物の還元に利用する請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。

【公開番号】特開2012−240914(P2012−240914A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108836(P2011−108836)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年9月26日付け委託契約(平成22年3月19日付け変更契約)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/セルロース系バイオマスエタノールからプロピレンを製造するプロセス開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】