説明

プロピレングリコールの回収方法

【課題】プロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む溶液から純度の高いプロピレングリコールを回収する方法を提供すること。
【解決手段】プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液から、プロピレングリコールを回収する方法であって、塩型の陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤として、前記吸収液をクロマトグラフィーにかけて、カラム流出液からプロピレングリコールの濃度が高い分画を少なくとも1つ回収することによる、回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコールを含有する水溶液からプロピレングリコールを回収する方法に関する。より詳しくは、プロピレンからのプロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む溶液からプロピレングリコールを回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレングリコールは、プロピレンの酸素による気相接触酸化により得たプロピレンオキサイドを水和することにより、大規模に製造される。この方法では、プロピレンは先ず気相接触酸化によりプロピレンオキサイドに転換される。反応器から出たプロピレンオキサイドを含む反応ガスは、吸収塔で吸収液により洗浄される。プロピレンオキサイドを吸収した吸収液は、次いで放散塔で放散され、プロピレンオキサイドを放出する。プロピレンオキサイドは、所望によりさらに精製したのち、水と反応させてプロピレングリコールとする。一方、プロピレンオキサイドを放出した吸収液は、吸収塔に循環される。プロピレンオキサイドの製造工程について更に詳しく説明すると、プロピレンの気相接触酸化は、金属触媒の固定床にプロピレンと酸素とを含む混合ガスを流通させることにより行なわれる。混合ガス中には通常、窒素、メタン等の不活性ガスが含まれており、またプロピレンジクロライド等の酸化反応が過度に進行するのを防止する禁止剤が微量含まれている。特に酸素源として空気を使用した場合には、混合ガス中には多量の窒素が含まれている。プロピレンオキサイドを含む反応ガスからは、通常、1段ないし3段程度の洗浄段階を経て、プロピレンオキサイドが分離される。例えば、最も簡単には、反応ガスを水で1段で洗浄してプロピレンオキサイドを水に吸収させ、次いでプロピレンオキサイドを吸収した水を放散して放出されたプロピレンオキサイドを回収する。また、放出されたプロピレンオキサイドを再び水で洗浄して吸収し、次いでこのプロピレンオキサイドを吸収した水を再び放散してプロピレンオキサイドを放出させることにより、更に高純度のプロピレンオキサイドを回収することもできる。また、場合によっては、これらの洗浄段階の前に、反応ガスを水で洗浄して急冷する段階を設けることもある。これらの反応ガスないし粗プロピレンオキサイドの洗浄段階では、洗浄に用いる水は循環使用される。反応ガス中にはプロピレンオキサイド以外に種々の副生物が含まれており、これらもガスの洗浄の際に水中に吸収される。その代表的なものは、ギ酸やシュウ酸等の有機酸及び着色成分である。洗浄に用いる水には通常、pH調整のために苛性ソーダが添加されるので、これらの有機酸は有機酸のソーダ塩として洗浄水中に存在する。また、洗浄に用いる水の中には、プロピレンオキサイドが水和したプロピレングリコール等も存在する。これらの不揮発性成分は、水の循環使用につれて、漸次水中に蓄積するので、ときどきその一部を系外に抜出し、新たに水を補給しなければならない。抜出された水溶液の組成は、反応条件等により異なるが、例えばプロピレングリコール100gにつき、3〜7gのギ酸等及び正体不明の着色成分を含有している。
【0003】
上記のプロピレンオキサイド製造工程に対応するエチレンオキサイド製造工程において、排出された粗エチレングリコール水溶液から回収されたエチレングリコールを取得する方法は、いくつか提案されている。例えば特許文献1には、蒸留及び活性炭による吸着処理により高純度のエチレングリコールを回収する方法が記載されている。また、特許文献2には、イオン交換樹脂及び活性炭による吸着処理により回収したエチレングリコール水溶液としたのち、エチレングリコールを含む水和反応液の脱水蒸留塔で脱水する方法が記載されている。また、特許文献3〜6には、高純度のエチレングリコールの回収方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭45−10324
【特許文献2】US3904656
【特許文献3】特開昭57−106632
【特許文献4】特開昭57−142930
【特許文献5】特開昭57−142931
【特許文献6】特開昭58−62124
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、プロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む溶液から純度の高いプロピレングリコールを回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段について検討した結果、以下の発明を見出した。
[1] プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液から、プロピレングリコールを回収する方法であって、
塩型の陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤として、前記吸収液をクロマトグラフィーにかけて、カラム流出液からプロピレングリコールの濃度が高い分画を少なくとも1つ回収することによる、回収方法。
[2] 取得されたプロピレングリコール水溶液が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、[1]記載の回収方法。
[3] 取得されたプロピレングリコール水溶液が吸収液に含まれていた量の少なくとも85重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、[1]記載の回収方法。
[4] カラム流出液を少なくとも2つの分画に分割し、その一方の分画は吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含むプロピレングリコール分画であり、他方の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分のほとんどを含む廃液分画である、[1]〜[3]のいずれか記載の回収方法。
[5] プロピレングリコールに富む分画を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理して、その後、プロピレンオキサイドの加水反応によるプロピレングリコールの製造工程に循環させる、[1]〜[4]のいずれか記載の回収方法。
【0007】
[6] カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含み、プロピレングリコールを殆んど含まず、第2の分画は有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度で含み、第3の分画は有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、かつプロピレングリコールを高濃度で含んでおり、
第2の分画は、前記プロピレンオキサイドの製造工程に吸収液として循環させるか、又はプロピレンオキサイド製造工程から排出される吸収液に混ぜてクロマトグラフィーで処理を行い、
第3の分画は精製プロピレングリコールを回収するためにさらに処理する、[1]〜[3]のいずれか記載の回収方法。
[7] カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含み、プロピレングリコールを殆んど含まず、第2の分画は有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度で含み、第3の分画は有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、かつプロピレングリコールを高濃度で含んでおり、
第2の分画は、続くクロマトグラフィーにおいて展開剤として用い、
第3の分画は精製プロピレングリコールを回収するためにさらに処理する、[1]〜[3]のいずれか記載の回収方法。
【0008】
[8] プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液から、プロピレングリコールを回収する方法であって、
塩型の陽イオン交換樹脂を充填したクロマトグラフイーカラムに前記吸収液を供給して、前記吸収液を溶出させるために水を供給し、カラム流出液から少なくともプロピレングリコールに富む分画を回収することによる、回収方法。
[9] 塩型の陽イオン交換樹脂がNa塩型の強酸性イオン交換樹脂である、[8]記載の回収方法。
[10] プロピレングリコールの濃度が200g/L以上となるまで吸収液を濃縮してから、クロマトグラフィーに供する、[8]又は[9]記載の回収方法。
[11] プロピレングリコールに富む分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、[8]〜[10]のいずれか記載の回収方法。
[12] プロピレングリコールに富む分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも85重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、[8]〜[10]のいずれか記載の回収方法。
[13] 回収プロピレングリコールを回収するためにプロピレングリコールに富む分画を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理して、蒸留する、[8]〜[12]のいずれか記載の回収方法。
[14] カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分を大量に含み、第2の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを少量のみ含み、第3の分画は吸収液に含まれていたプロピレングリコールを大量に含んでいる、[8]〜[10]のいずれか記載の回収方法。
[15] 第3の分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、[14]記載の回収方法。
[16] クロマトグラフィーカラムに、吸収液に続いて第2の分画を供給し、その後、水を供給する、[14]記載の回収方法。
[17] 図2及び実施例に実質的に記載されたようにして、プロピレングリコールを回収する方法。
【0009】
[18] プロピレンを酸素で気相接触酸化して得たプロピレンオキサイドを含む反応ガスを吸収液で洗浄してプロピレンオキサイドを吸収液中に吸収し、次いで吸収液からプロピレンオキサイドを放出し、プロピレンオキサイド放出後の吸収液は再び反応ガスの洗浄に使用するプロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液を、所望により適宜濃縮したのち、陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤としてクロマトグラフィーで分離することにより、
有機酸成分及び着色成分の濃度が相対的に減少したプロピレングリコール水溶液を取得することを特徴とする、プロピレングリコールの回収方法。
【0010】
[19] プロピレンを酸素で気相接触酸化して得たプロピレンオキサイドを含む反応ガスを水で洗浄する段階を含むプロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む水溶液を、所望により適宜濃縮したのち、陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤とするクロマトグラフィー分離により、
有機酸成分及び着色成分を含みプロピレングリコールを殆んど含まない第1の分画、有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度に含む第2の分画、並びに有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、かつプロピレングリコールを高濃度に含む第3の分画の少なくとも3つの分画に分割し、
第2の分画は上述のプロピレンオキサイドの製造工程に循環するか、又はクロマトグラフィー分離工程に循環し、第3の分画をプロピレングリコール水溶液として回収することを特徴とする、プロピレングリコールの回収方法。
[20] 第2の分画をプロピレンオキサイド製造工程に循環することを特徴とする[19]記載の回収方法。
【0011】
[21] プロピレンを酸素で気相接触酸化して得たプロピレンオキサイドを含む反応ガスを水で洗浄する段階を含むプロピレンオキサイドの製造工程と、この製造工程から得られたプロピレンオキサイドを水と反応させてプロピレングリコールを含む反応液とし、これから脱水蒸留により水を除去したのちプロピレングリコールを取待する段階を含むプロピレングリコールの製造工程とよりなるプロピレングリコールの製造方法において、
プロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む水溶液を、所望により適宜濃縮したのち、陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤としてクロマトグラフィー分離することにより、有機酸成分及び着色成分の濃度が減少したプロピレングリコール水溶液を取得し、これをプロピレングリコール製造工程の脱水蒸留以前の段階に供給することを特徴とする、プロピレングリコールの回収方法。
[22] クロマ卜分離により得たプロピレングリコール水溶液を、さらに陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理したのち、プロピレングリコール製造工程の脱水蒸留以前の段階に供給することを特徴とする、[21]記載の回収方法。
【0012】
[23] プロピレンを酸素で気相接触酸化して得たプロピレンオキサイドを含む反応ガスを水で洗浄する段階を含むプロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む粗プロピレングリコール水溶液を、所望により適宜濃縮したのち、陽イオン交換樹脂を充填したクロマトグラフイーカラムに供給して水で展開し、カラム流出液をその組成に応じて分割取得するプロピレングリコールの回収方法において、
カラム流出液から、有機酸成分及び着色成分は高濃度に含むがプロピレングリコールは殆んど含まない廃液部分並びにプロピレングリコールを高濃度に含むプロピレングリコール部分をそれぞれ分取して系外に抜出すと共に、プロピレングリコールを低濃度に含む循環部分を分取して上記のクロマトグラフイー工程に循環し、粗プロピレングリコール水溶液に引続いてカラムに供給することを特徴とする、回収方法。
[24] 循環部分が、プロピレングリコール部分に後続する部分であることを特徴とする、[23]記載の回収方法。
[25] 循環部分が、廃液部分とプロピレングリコール部分との中間に位置する部分であることを特徴とする、[23]記載の回収方法。
[26] 循環部分が、廃液部分とプロピレングリコール部分との中間に位置する部分と、プロピレングリコール部分に後続する部分との双方からなり、これらを混合してカラムに供給することを特徴とする、[23]記載の回収方法。
[27] 循環部分が、廃液部分とプロピレングリコール部分との中間に位置する部分と、プロピレングリコール部分に後続する部分との双方からなり、粗プロピレングリコール水溶液に引続いて前者をカラムに供給し、次いで後者をカラムに供給することを特徴とする、[23]記載の回収方法。
[28] 気相接触酸化が、金属触媒存在下で行われる[1]〜[27]のいずれか記載の回収方法。
[29] 金属触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である[28]記載の回収方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、プロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む溶液から、純度の高いプロピレングリコールを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】吸収液のクロマトグラフィーにおける、プロピレングリコール並びに有機酸成分及び着色成分の流出状況を示す模式図である。
【図2】本発明方法の実施に好適な装置の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明が適用できるプロピレンオキサイドの製造方法としては、例えば、金属酸化物等を含有するような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法等が挙げられる。このような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法については、例えば、WO2011/075458、WO2011/075459、WO2012/005822、WO2012/005823、WO2012/005824、WO2012/005825、WO2012/005831、WO2012/005832、WO2012/005835、WO2012/005837、WO2012/009054、WO2012/009059、WO2012/009058、WO2012/009053、WO2012/009057、WO2012/009055、WO2012/009052、WO2012/009055等に記載されている。その製法において用いる触媒としては、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)及び(q)からなる群から選ばれる少なくとも2種を含む触媒が挙げられる。
(a)銅酸化物
(b)ルテニウム酸化物
(c)マンガン酸化物
(d)ニッケル酸化物
(e)オスミウム酸化物
(f)ゲルマニウム酸化物
(g)クロミウム酸化物
(h)タリウム酸化物
(i)スズ酸化物
(j)ビスマス酸化物
(k)アンチモン酸化物
(l)レニウム酸化物
(m)コバルト酸化物
(n)オスミウム酸化物
(o)ランタノイド酸化物
(p)タングステン酸化物
(q)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分
好ましくは(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒であり、より好ましくは(a)銅酸化物、(b)ルテニウム酸化物及び(q)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分を含有する触媒である。
【0016】
上記の製造方法で得られるプロピレンオキサイドを含むガス混合物には、通常0.5%〜5%のプロピレンオキサイドの他に、未反応プロピレン、未反応酸素、希釈ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン、エタン等)、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、生成水、炭酸ガス、一酸化炭素、有機酸類等が含まれる。このガス混合物を、プロピレンオキサイド吸収塔に導いて、水又は水を主成分とする吸収液と向流接触させることで、プロピレンオキサイド水溶液を得る。続いて、このプロピレンオキサイド水溶液を放散塔に導いて、プロピレンオキサイドを放散させて排出させ、他方、吸収液が回収される。この循環水は、上記の吸収の操作及び放散の操作で、プロピレンオキサイドがわずかな量だけ水と反応して、プロピレングリコール又はその重合体が生成され、吸収及び放散を繰り返すことでこれら化合物が蓄積される。本発明では、かかるプロピレングリコール又はその重合体が蓄積された吸収液を対象とする。
【0017】
プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイドを含む反応ガスからのプロピレンオキサイドの回収工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液は、必要に応じて濃縮した後、塩型の陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤とするクロマトグラフィーにかける。それによって、カラム流出液から、吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含み、有機酸成分及び着色成分の濃度が減少しているプロピレングリコール水溶液分画が得られる。
【0018】
本発明の第1の実施態様において、カラムからの流出液を少なくとも2つの分画に分割する。その一方の分画は吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含むプロピレングリコール水溶液分画であり、他方の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分のほとんどを含む廃液分画である。このプロピレングリコール水溶液分画は、蒸留してプロピレングリコールを得る。例えば、US3904656に記載の方法と同様にして、このプロピレングリコール水溶液分画は、イオン交換樹脂で精製するか、またはイオン交換樹脂および活性炭で精製し、その後、プロピレンオキサイドからプロピレングリコールへの変換工程に加えて、蒸留する。
【0019】
本発明の第2の実施態様において、カラムからの流出液を少なくとも3つの分画に分割する。その第1の分画は有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含むが、プロピレングリコールを殆んど含まない分画である。第2の分画は有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度で含む分画である。第3の分画は有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、しかしプロピレングリコールを高濃度で含む分画である。第1の分画は、廃液処理設備に送られる。第2の分画は、前記プロピレンオキサイドの製造工程に吸収液として循環させるか、又はプロピレンオキサイド製造工程から排出される吸収液に混ぜてクロマトグラフィーに供給する。第3の分画はプロピレングリコール水溶液として回収される。この実施態様において、吸収プロセスから排出される吸収液に含まれるプロピレングリコールは、高い収率で第3の分画に回収される。
【0020】
さらに他の実施態様において、第2の分画は、カラムに供給され、続いて、吸収液が供給され、その後、水が供給される。すなわち、カラムに供給された吸収液は、第2の分画及び水で続けて流出させられる。この実施態様では、第3の分画のプロピレングリコールの濃度を高くすることができる。
【0021】
プロピレンオキサイド製造工程から排出された粗プロピレングリコール水溶液は、そのまま本発明方法によるクロマトグラフイーに供することもできるが、適宜濃縮してからクロマトグラフィーに供給するのが、クロマトグラフィーの装置が小さくてすみ、かつ展開剤としての水も少量ですむので好ましい。通常はプロピレングリコールの濃度が、200g/L以上となるまで濃縮してから、本発明方法によるクロマトグラフィーに供給する。
【0022】
クロマトグラフィーカラムの充填剤としては陽イオン交換樹脂を用いる。陽イオン交換樹脂としてはカルボン酸型等の弱酸性又は中酸性のものも用い得るが、通常は強酸性、特にスチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体のスルホン化物であるスチレン系の強酸性陽イオン交換樹脂を用いる。この種の陽イオン交換樹脂はダイヤイオン(登録商標)をはじめ各種の商標で市販されている。なお、陽イオン交換樹脂はクロマトグラフィーに供する水溶液中の陽イオンで予じめ負荷しておくのが好ましい。特に中性塩分解能のない樹脂の場合には予じめ負荷型としてから用いるが、場合によっては粗プロピレングリコール水溶液中に遊離アルカリを存在させておき、使用中に負荷型とすることもできる。
【0023】
クロマ卜分離操作は常法に従って行なうことができる。最も簡単には、陽イオン交換樹脂を水と一緒にカラムに充損したのち、樹脂床表面まで水を抜き、次いでプロピレングリコールを含む水溶液を被処理溶液として樹脂床の上部に所定量供給する。カラムの底部から水を抜きながら被処理液を樹脂床中を降下させ、被処理液の表面が樹脂床表面に達した時に樹脂床上部に展開用の水を供給する。引き続きカラムの底部から水を抜きながら、水で被処理液を展開する。カラム底部から流出する溶液は、その組成に応じて分取する。例えば流出液中のプロピレングリコールの濃度を屈折率計で、有機酸塩の濃度を電気伝導度計で連続的に測定することにより、所望の組成の流出液画分をプロピレングリコール水溶液として分取できる。
【0024】
図1に、上記の操作で得られるカラム流出液のクロマトグラフィーにおける、プロピレングリコール並びに有機酸成分及び着色成分の流出状況を示す模式図を示す。このような流出状況において、本発明では、各実施態様で、2つの分画、3つの分画、4つの分画、5つの分画等に分ける。
【0025】
本発明の第1の実施態様では、流出液を2つの分画に分ける。分画Iは、吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分のほとんどを含み、廃液として廃棄する。分画IIは、吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含み、プロピレングリコール水溶液として回収する。しかも、この回収されたプロピレングリコール水溶液における、プロピレングリコールに対する不純物の量が、吸収液におけるものよりも、非常に低い。回収されたプロピレングリコール水溶液は、商業用グレードのプロピレングリコールとするために、さらに精製される。例えば、プロピレングリコール水溶液は、イオン性物質及び着色成分を除去するためにイオン交換樹脂で処理して、その後、商業用グレードのプロピレングリコールとするために、蒸留する。その他の態様では、イオン交換樹脂で精製するか、またはイオン交換樹脂および活性炭で精製した後、US3904656に記載の方法と同様にして、プロピレングリコール水溶液は、プロピレンオキサイドからプロピレングリコールへの変換工程に加える。この方法の有利な点は、特別な蒸留装置を必要としないことである。というのも、クロマトグラフィーによって吸収液から回収されるプロピレングリコールは、プロピレンオキサイドの加水反応によるプロピレングリコールの製造工程と共に処理されるからである。上記の通り、クロマトグラフィーによって吸収液から回収されるプロピレングリコールは、通常、少量の有機酸成分及び着色成分を含んでいるため、純粋のプロピレングリコールを得るためには、プロピレングリコール水溶液を蒸留する前に、好ましくはこれらの不純物を除去する。これらの不純物を取り除くためには、これら不純物が吸着する陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で、プロピレングリコール水溶液を処理する。陽イオン交換樹脂としては、通常、スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体を基礎とする強酸性陽イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂としては、通常、スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体に官能基として4級アンモニウム基を導入した強塩基性陰イオン交換樹脂が用いられる。1〜3級アミノ基を官能基とする弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いることもできる。これらのイオン交換樹脂は、別々に用いても、又は混合して用いてもよい。プロピレングリコール水溶液の精製に用いられたイオン交換樹脂の再生は、塩酸、硫酸等の酸、または苛性ソーダ等のアルカリを用いて、常法により行うことができる。
【0026】
本発明の第2の実施態様では、流出液を3つの分画:廃液分画、循環分画及びプロピレングリコール水溶液分画の3つの分画に分ける。第2の実施態様では、先に流出する着色成分及び有機酸成分に富みプロピレングリコールを殆んど含まない部分を第1の分画として分取する。この第1の分画は廃液として処理される。次いで第1の分画に引続いて流出する着色成分、有機酸成分及びプロピレングリコールを各々少量づつ含む部分を第2の分画として分取する。この第2の分画は、プロピレンオキサイド製造工程に循環するか又はクロマトグラフィー分離工程に循環する。プロピレンオキサイド製造に循環された第2の分画は、同工程でガスの洗浄に用いられたのち、再び同工程から排出されてクロマ卜分離工程に供給される。このようにして、第2の分画は直接又は間接的に再びクロマトグラフィー分離工程に供給され、その中のプロピレングリコールが後述の第3分画として回収される。通常、第2の分画は水バランスが許す限りプロピレンオキサイド製造工程に循環するのが有利である。
【0027】
最後に、第2の分画に続いて流出するプロピレングリコールに富み有機酸成分及び着色成分を殆んど含まない部分を第3の分画として分取する。この第3の分画はさらに蒸留精製してプロピレングリコールを回収する。なお、蒸留精製に先立ち、所望により陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、さらには活性炭等で吸着処理してもよい。また、第3の分画の終りには、流出液中のプロピレングリコールの濃度が低下し、かつ被処理溶液と展開剤としての水とを交互にカラムに供給する場合には、後続する被処理水溶液に由来する着色成分及び有機酸成分が混入してくる場合がある。
従って、プロピレングリコール濃度が低下した部分は第3の分画とは別に分取し、先に取得した第2の分画と混合して処理するのが好ましい。第2の実施態様の方法に従って、プロピレングリコールが高い収率で得られ、回収されるプロピレングリコール水溶液中の不純物の濃度は、第1の実施態様の場合よりも低くなる。
【0028】
本発明のその他の実施態様において、カラム流出液から得られるプロピレングリコール濃度が低い分画は、吸収液及びその後の水のカラムへの供給に続いて、カラムに供給される。これらの手順は、高い濃度のプロピレングリコールを有するプロピレングリコール水溶液の分画をカラム流出液から回収できる点で、好ましい。これは、カラムに供給された吸収液が、プロピレングリコールを低い濃度で含む循環分画によって、最初に流出されているからである。
【0029】
本発明の第3の実施態様は、先の流出液から回収された循環分画を流出液の一部として用いて、流出液を分ける方法である。例えば、流出液を4つの分画に分ける。分画Iは、有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含むが、プロピレングリコールをほとんど含まない。分画IIは、プロピレングリコールを高い濃度で含む。分画IIIは、プロピレングリコールを低い濃度で含む。分画IVは、プロピレングリコールをより低い濃度で含む。分画Iは、多量の不純物を含むため、廃液として廃棄する。分画IIは、吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含み、プロピレングリコール水溶液として回収する。分画IIは、前記と同様にして、プロピレングリコールを回収するために、さらに精製される。分画IIIは、循環分画であり、吸収液に引き続いてカラムに供給される。吸収液、循環分画および水をこの順序で供給しても、吸収液及び水をこの順序で供給した場合と比較して、有機酸成分及び着色成分の流出場所及び流出曲線に変化はない。しかし、プロピレングリコールの流出において、その流出場所はほぼ同じであるものの、流出曲線の最大値はより大きくなる。従って、吸収液に引き続いて循環分画をカラムに供給することで、プロピレングリコール水溶液分画におけるプロピレングリコールの濃度がより高くなる。分画IVは、廃棄するか、または吸収液として用いるためにプロピレンオキサイド製造工程に戻される。分画IVは、循環分画に混ぜて、流出液として用いてもよいが、循環分画のプロピレンオキサイド濃度が低下するため、好ましくない。
【0030】
本発明の第4の実施態様は、先の流出液から回収された循環分画を流出液の一部として用いて、流出液を分ける別の方法である。例えば、流出液を5つの分画に分ける。分画Iは、廃液として廃棄する。分画IIIは、プロピレングリコール水溶液の分画であり、プロピレングリコールを回収するために、さらに精製される。分画II及びIVは、循環分画であり、吸収液に引き続いてカラムに供給される。分画II及びIVは、別々にカラムに供給しても、混ぜて供給してもよい。別々に供給する場合は、吸収液、分画II、分画IVおよび水をこの順序で供給する。分画Vは、ほとんどプロピレングリコールを含まないため、第3の実施態様の分画IVと同様、廃棄するか、または吸収液として用いるためにプロピレンオキサイド製造工程に戻される。吸収液と流出液を交互にカラムに供給する場合、分画Vと次の操作の分画Iとは続いて流出するため、1つの分画としてまとめてもよい。
【0031】
プロピレングリコールを含むプロピレングリコール水溶液の分画は、極力多く回収することが好ましい。通常、吸収液に含まれるプロピレングリコールの少なくとも70重量%、好ましくは85重量%以上が、プロピレングリコール水溶液の分画に回収される。さらに、回収されるプロピレングリコール水溶液の分画におけるプロピレングリコールの濃度は、好ましくは吸収液におけるプロピレングリコールの濃度の少なくとも0.2倍、特に0.3倍に保たれる。
【実施例】
【0032】
本発明をさらに詳しく述べるために、図2に基づいて具体的な実施例を説明する。しかし、この実施例は本発明の範囲を規制するものでない。
図2において、1はクロマトグラフィーカラムであり、その内部に樹脂床2が収容されている。樹脂床2の上部には十分な空間があり、その上部に水供給管3が開口している。樹脂床2の表面に近く、粗プロピレングリコール水溶液分配器4及び循環液分配器5が設置されており、これにそれぞれ粗プロピレングリコール水溶液供給管6及び循環液供給管7が接続されている。先ず水供給管3から水を供給してカラム上部まで充満させる。次いで水の供給を止め、粗プロピレングリコール水溶液供給管6から分配器4を経て粗プロピレングリコール水溶液を供給し、同時にカラム底部から供給速度とほぼ同じ速度で液を流出させる。このようにすると、粗プロピレングリコール水溶液は水よりも比重が大きいので、水と粗プロピレングリコール水溶液とは互に混合することなく、樹脂床の表面近くにではっきりとした界面を形成する。所定量の粗プロピレングリコール水溶液を供給したならばその供給を止め、代りに供給管7から分配器5を経て同じ速度で循環部分を供給する。その供給量は通常、1サイクルで分取する循捜部分の量と同ーとする。所定量の供給を終えて供給管7からの供給を中止すると、次いで水供給管3から水を供給する。このようにすると、樹脂床上部における粗プロピレングリコール水溶液、循環部分、及び水の相互の混合が少なく、従って分離効率を高くすることができる。一方、この間にカラム底部から流出する流出液は、プロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分の濃度を連続的に測定して、各部分に分割する。プロピレングリコールの濃度は屈折計で、有機酸塩の濃度は電気伝導度計で、また着色成分の濃度は吸光度計で容易に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によって、プロピレンオキサイドの製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む溶液から純度の高いプロピレングリコールを回収する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
A 有機酸成分及び着色成分の流出
B プロピレングリコールの流出
1 カラム
2 イオン交換樹脂床
3 水供給管
4 粗プロピレングリコール水溶液分配器
5 循環部分分配器
6 粗プロピレングリコール水溶液供給管
7 循環部分供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液から、プロピレングリコールを回収する方法であって、
塩型の陽イオン交換樹脂を分離担体とし、水を展開剤として、前記吸収液をクロマトグラフィーにかけて、カラム流出液からプロピレングリコールの濃度が高い分画を少なくとも1つ回収することによる、回収方法。
【請求項2】
取得されたプロピレングリコール水溶液が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、請求項1記載の回収方法。
【請求項3】
取得されたプロピレングリコール水溶液が吸収液に含まれていた量の少なくとも85重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、請求項1記載の回収方法。
【請求項4】
カラム流出液を少なくとも2つの分画に分割し、その一方の分画は吸収液に含まれていたプロピレングリコールのほとんどを含むプロピレングリコール分画であり、他方の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分のほとんどを含む廃液分画である、請求項1〜3のいずれか記載の回収方法。
【請求項5】
プロピレングリコールに富む分画を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理して、その後、プロピレンオキサイドの加水反応によるプロピレングリコールの製造工程に循環させる、請求項1〜4のいずれか記載の回収方法。
【請求項6】
カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含み、プロピレングリコールを殆んど含まず、第2の分画は有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度で含み、第3の分画は有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、かつプロピレングリコールを高濃度で含んでおり、
第2の分画は、前記プロピレンオキサイドの製造工程に吸収液として循環させるか、又はプロピレンオキサイド製造工程から排出される吸収液に混ぜてクロマトグラフィーで処理を行い、
第3の分画は精製プロピレングリコールを回収するためにさらに処理する、請求項1〜3のいずれか記載の回収方法。
【請求項7】
カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は有機酸成分及び着色成分を高い濃度で含み、プロピレングリコールを殆んど含まず、第2の分画は有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを低濃度で含み、第3の分画は有機酸成分及び着色成分を殆んど含まず、かつプロピレングリコールを高濃度で含んでおり、
第2の分画は、続くクロマトグラフィーにおいて展開剤として用い、
第3の分画は精製プロピレングリコールを回収するためにさらに処理する、請求項1〜3のいずれか記載の回収方法。
【請求項8】
プロピレンを酸素で気相接触酸化することによるプロピレンオキサイド製造工程から排出されるプロピレングリコール、有機酸成分及び着色成分を含む吸収液から、プロピレングリコールを回収する方法であって、
塩型の陽イオン交換樹脂を充填したクロマトグラフイーカラムに前記吸収液を供給して、前記吸収液を溶出させるために水を供給し、カラム流出液から少なくともプロピレングリコールに富む分画を回収することによる、回収方法。
【請求項9】
塩型の陽イオン交換樹脂がNa塩型の強酸性イオン交換樹脂である、請求項8記載の回収方法。
【請求項10】
プロピレングリコールの濃度が200g/L以上となるまで吸収液を濃縮してから、クロマトグラフィーに供する、請求項8又は9記載の回収方法。
【請求項11】
プロピレングリコールに富む分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、請求項8〜10のいずれか記載の回収方法。
【請求項12】
プロピレングリコールに富む分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも85重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、請求項8〜10のいずれか記載の回収方法。
【請求項13】
精製プロピレングリコールを回収するためにプロピレングリコールに富む分画を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理して、蒸留する、請求項8〜12のいずれか記載の回収方法。
【請求項14】
カラム流出液を少なくとも3つの分画に分割し、その第1の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分及び着色成分を大量に含み、第2の分画は吸収液に含まれていた有機酸成分、着色成分及びプロピレングリコールを少量のみ含み、第3の分画は吸収液に含まれていたプロピレングリコールを大量に含んでいる、請求項8〜10のいずれか記載の回収方法。
【請求項15】
第3の分画が吸収液に含まれていた量の少なくとも70重量%の量のプロピレングリコールを含み、取得されたプロピレングリコール水溶液中のプロピレングリコールの濃度が吸収液における濃度の0.2倍以上である、請求項14記載の回収方法。
【請求項16】
クロマトグラフィーカラムに、吸収液に続いて第2の分画を供給し、その後、水を供給する、請求項14記載の回収方法。
【請求項17】
気相接触酸化が、金属触媒存在下で行われる請求項1〜16のいずれか記載の回収方法。
【請求項18】
金属触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である請求項17記載の回収方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82680(P2013−82680A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−165743(P2012−165743)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】