説明

プロピレンベースのエラストマーから製造された繊維と不織布

(a)約5重量%から約35重量%のα−オレフィン由来のユニットを含み、DSCで測定した融解熱量が80J/g未満のプロピレンベースのエラストマーと、(b)MFR(ASTM D−1238,2.16kg,230℃)が約3から約300dg/分で、DSCで測定した融解熱量が80J/gより大きいプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、(c)(i)MFR(ASTM D−1238,2.16kg,230℃)が400dg/分を超える高MFRの熱可塑性樹脂、(ii)炭化水素樹脂、(iii)ポリオレフィンワックス、(iv)官能化された炭化水素樹脂、(v)官能化されたポリオレフィン、及び、(vi)これらの2種類以上の組合せ、からなる群から選択される触感改良剤と、(d)任意成分の滑り助剤と、から成る組成物から製造された不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロピレンベースのエラストマーと触感改良剤とを含む組成物から製造された繊維と不織布に関する。1以上の実施形態では、この不織布は優れた触感に加え、優れた物理的およびゴム的性質を有する。
【背景技術】
【0002】
半無定形プロピレン共重合体、または結晶化可能なプロピレンベースの共重合体とも呼ばれるプロピレンベースのエラストマーは、繊維及び不織布の製造に用いられている。これらの共重合体には、種々の要求物性を満たすために、しばしば他のポリマーがブレンドされる。
【0003】
例えば、米国特許第6,342,565号には、結晶化可能なプロピレンベースのポリマーと、結晶性プロピレンベースのポリマーとのブレンド物が開示されている。結晶化可能なプロピレンベースのポリマーは、融点が105℃未満で、融解熱量が45J/g未満であることを特徴とする。結晶性プロピレンベースのポリマーは、融点が110℃より高く、融解熱量が60J/gより高く、分子量が10,000から5,000,000であり、多分散性が1.5から40であることを特徴とする。このようなブレンド物から製造された繊維は、曲げモジュラスが低く、耐荷重性が高く、さらに永久変形と荷重減衰が小さくなるという。
【0004】
米国特許公開公報2005/0107529号には、プロピレンベースのエラストマーから製造された繊維が開示されている。
例えば、実施例1には、15重量%のエチレンを含有しMFRが20のプロピレン−エチレン共重合体と、プロピレンホモポリマーとを含む溶融物から、繊維を製造することが開示されている。プロピレンホモポリマーは、MFRが36のホモポリマー、またはMFRが400のホモポリマーのいずれかである。繊維は、部分配向ヤーンとなる方式の公知の紡糸方法によって製造される。実施例2には、同様のブレンド物によるスパンボンドが開示されている。繊維と、この繊維から製造された不織布は熱処理され、耐久性のある繊維が提供される。
【0005】
米国特許公開公報2005/0106978号には、結晶性アイソタクチックポリプロピレンポリマーと、プロピレンホモポリマー又はプロピレンの立体規則性がコモノマーによって乱されたプロピレンのランダム共重合体のいずれかの、α−オレフィン共重合体とを含むブレンド物から製造された繊維と不織布が開示されている。この共重合体は、DSCで測定した融解熱量が10J/gから50J/gであることを特徴とする。
このブレンド物には、添加剤、加工助剤、粘着性樹脂、可塑剤、滑り助剤、充填剤、硬化剤等の追加成分が含まれ得る。得られる繊維は弾性を有し、オムツ等の衛生用品、医療用繊維、一般消費財等に用いる事ができる。
【0006】
米国特許公開公報2006/0172647号には、半結晶性ポリマーと半無定形ポリマーとから成るポリマーブレンド物から製造された繊維と不織布が開示されている。半結晶性ポリマーは融点が100℃から160℃、メルトフローレートが0.2から2000dg/分、1%のセカント曲げモジュラスが1031から1720Mpaであり、融解熱量が60J/gより大きいことを特徴とする。
半無定形ポリマーには、プロピレンと、10から25重量%のα−オレフィン由来のユニットとが含まれる。半無定形ポリマーは、結晶化度が約2.5から約35重量%で、融点が105℃未満、融解熱量が70J/g未満であることを特徴とする。このようなブレンド物から製造された不織布は、目付が35gsmのとき、40g未満の風合い(Hand)を有する。
【発明の概要】
【発明を解決するための手段】
【0007】
この発明の1以上の実施形態では、(a)約5重量%から約35重量%のα−オレフィン由来のユニットを含み、DSCで測定した融解熱量が80J/g未満であることを特徴とするプロピレンベースのエラストマーと、(b)MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が約3から約300dg/分で、DSCで測定した融解熱量が80J/gより大きいことを特徴とするプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、(c)(i) MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が400dg/分を超える高MFRの熱可塑性樹脂、(ii)炭化水素樹脂、(iii)ポリオレフィンワックス、(iv)官能化された炭化水素樹脂、(v) 官能化されたポリオレフィン、及び、(vi)これらの2種類以上の組合せ、からなる群から選択される触感改良剤と、(d)任意成分の滑り助剤と、から成る組成物から製造された不織布が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の1以上の実施形態によれば、プロピレンベースのエラストマーと、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、触感改良剤とを含む組成物から繊維、および/または不織布が製造される。
1以上の実施形態では、触感改良剤には)(i)高MFRの熱可塑性樹脂、(ii)炭化水素樹脂、(iii)ポリオレフィンワックス、(iv)官能化された炭化水素樹脂、(v) 官能化されたポリオレフィン、及び、(vi)これらの2種類以上の組合せ、が含まれる。
ある実施形態では、組成物には滑り助剤が含まれている。
好ましい実施形態では、繊維と不織布はスパンボンデイング法によって製造される。
1以上の実施形態では、繊維および/または不織布は所望の触感を有することを特徴とする。
【0009】
<プロピレンベースのエラストマー>
1以上の実施形態では、プロピレンベースのゴム状共重合体、またはプロピレンα−オレフィン共重合体とも呼ばれるプロピレンベースのエラストマーは、プロピレン由来のユニット(すなわちmerユニット)と、エチレン、または炭素原子数が4から約20のα−オレフィン由来の1以上のコモノマーユニットと、任意成分としてジエン由来の1以上のコモノマーユニットとを含む。
1以上の実施形態では、α−オレフィンコモノマーユニットは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、および/または1−オクテンに由来する。
1以上の実施形態では、ジエンコモノマーユニットは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジビニルベンゼン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロぺンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの組合せに由来する。
以下、α−オレフィンコモノマーがエチレンである場合を例に説明するが、本願発明は他のα−オレフィンコモノマーについても同様に適用することができる。この意味において、本願ではα−オレフィンがエチレンである共重合体を、単にプロピレンベースのエラストマーと呼ぶ。
【0010】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、エチレン由来のユニットを少なくとも5重量%含み、別の実施形態では少なくとも6重量%、別の実施形態では少なくとも8重量%、別の実施形態では少なくとも10重量%含む。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、エチレン由来のユニットを最大35重量%含み、別の実施形態では最大32重量%、別の実施形態では最大25重量%、別の実施形態では最大20重量%含む。
ここで、重量パーセントは、プロピレン由来、α−オレフィン由来、及びジエン由来のユニットの全重量を基準とする。
別言すれば、プロピレンベースのエラストマーは、プロピレン由来のユニットを少なくとも75重量%含み、別の実施形態では少なくとも80重量%含む。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーはプロピレン由来のユニットを最大95重量パーセント含み、別の実施形態では最大94重量パーセント、別の実施形態では最大92重量パーセント、別の実施形態では最大90重量パーセント含む。
ここで、重量パーセントは、プロピレン由来、α−オレフィン由来、及びジエン由来のユニットの全重量を基準とする。
【0011】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、ジエン由来のユニットを少なくとも0.5重量%含み、別の実施形態では少なくとも1.5重量%、また別の実施形態では少なくとも3重量%含む。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、ジエン由来のユニットを最大11重量%含み、別の実施形態では最大6重量%、また別の実施形態では最大4重量%含む。
ここで、重量パーセントは、プロピレン由来、α−オレフィン由来、及びジエン由来のユニットの全重量を基準とする。
【0012】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、示差走査熱量測定(DSC)で測定したとき、単一の融解温度を有することを特徴とする。
融点とは、試料が融解する範囲の温度において、最大の熱吸収が認められる温度と定義される。プロピレンベースのエラストマーは、主要ピークの近傍に第2の融解ピークを示す場合があるが、本願では、このような第2の融解ピークも含めて単一の融点とみなし、これらのピークの内、最も高いピークがプロピレンベースのエラストマーの融点(Tm)であるとみなす。
【0013】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーのTm(DSCで測定)は110℃未満であり、別の実施形態では90℃未満、別の実施形態では80℃未満、別の実施形態では70℃未満である。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーの融点は少なくとも25℃であり、別の実施形態では少なくとも35℃、別の実施形態では少なくとも40℃、また別の実施形態では少なくとも45℃である。
【0014】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーはDSCで測定した融解熱量(Hf)で特徴付けられる。
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、融解熱量が少なくとも0.5J/gであり、別の実施形態では融解熱量が少なくとも1.0J/g、別の実施形態では融解熱量が少なくとも1.5J/g、別の実施形態では融解熱量が少なくとも3.0J/g、別の実施形態では融解熱量が少なくとも4.0J/g、別の実施形態では融解熱量が少なくとも6.0J/g、別の実施形態では融解熱量が少なくとも7.0J/gであることを特徴とする。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーは、融解熱量が80J/g未満であり、別の実施形態では70J/g未満、別の実施形態では60J/g未満、別の実施形態では50J/g未満、別の実施形態では40J/g未満、別の実施形態では45J/g未満、別の実施形態では30J/g未満であることを特徴とする
【0015】
本願発明において、TmとHfをDSCで測定する方法には、以下の手順が含まれる。
約200℃から約230℃の温度で、ポリマーを熱プレス機でプレス成形し、得られたポリマーのシートを大気下に吊るして空冷する。約6から10mgのポリマーシートを、パンチダイで打抜く。この6から10mgのサンプルを、室温下で約80から100時間アニールする。
その後、このサンプルを示差走査熱量測定器(Perkin Elmer Pyris One Thermal Analysis System)に装填し、約−50℃から約−70℃まで冷却する。次にサンプルを10℃/分で加熱し、最終温度の約200℃まで昇温する。サンプルを200℃に5分間置き、2回目の冷却−加熱サイクルを行なう。1回目と2回目のサイクルのデータを記録する。サンプルの融解ピークが含まれる範囲内の熱のデータを記録する。
融解ピークは一般に、約0℃から約200℃の範囲内で生じる。データはジュール単位で測定され、ポリマーの融解熱量の測定値が得られる。融点は、サンプルの融解が生じる範囲内でのベースラインに対し、最も高い熱吸収が認められるピークの温度として記録する。
【0016】
プロピレンベースのエラストマーは、13CNMRで測定したとき、3つのポリプロピレンユニットのトライアッドタクティシティが75%以上であり、または80%以上、または82%以上、または、85%以上、または90%以上である。
1以上の実施形態では、トライアッドタクティシティの範囲は約50から約99%、別の実施形態では約60から約99%、別の実施形態では約75から約99%、別の実施形態では約80から約99%、別の実施形態では約60から約97%である。
トライアッドタクティシティは、米国特許出願2004/0236042号に記載された方法により測定することができる。
【0017】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーのDSCで測定した結晶化度は0.5%から40%であり、別の実施形態では1%から30%、別の実施形態では5%から25%である。
結晶化度は、サンプルの融解熱量を、結晶化度100%のポリマーの融解熱量で割算して求めることができる。ここで、結晶化度100%のアイソタクチックポリプロピレンの融解熱量は189J/g、結晶化度100%のポリエチレンの融解熱量は350J/gとする。
別の実施形態では、プロピレン−エチレン共重合体の結晶化度は40%未満であり、別の実施形態では約0.25%から約25%、別の実施形態では約0.5%から約22%、別の実施形態では0.5%から20%である。
【0018】
1以上の実施形態では、ASTM D−792に従って室温で測定したプロピレンベースのエラストマーの密度は、約0.85g/cmから約0.92g/cm、別の実施形態では約0.87g/cmから約0.90g/cm、別の実施形態では約0.88g/cmから約0.89g/cmである。
【0019】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーのメルトインデックス(MI)(ASTM D−1238,2.16kg,190℃)は10dg/分以下、別の実施形態では<6.5dg/分、別の実施形態では<6dg/分、別の実施形態では<5.5dg/分、別の実施形態では<5dg/分である。
【0020】
1以上の実施形態では、ASTM D−1238に従って、荷重2.16 kg、温度230℃で測定したプロピレンベースのエラストマーのメルトフローレート(MFR)は、0.3dg/分以上、別の実施形態では少なくとも0.2dg/分、別の実施形態では少なくとも0.5dg/分、別の実施形態では1.0dg/分である。
これらの、または別の実施形態では、メルトフローレートは350dg/分以下、別の実施形態では100dg/分未満である。
ひとつの実施形態では、プロピレンベースのエラストマーのMFRは0.5dg/分から350dg/分、別の実施形態では2dg/分から30dg/分、別の実施形態では5dg/分から30dg/分、別の実施形態では10dg/分から30dg/分、別の実施形態では10dg/分から約25dg/分である。
【0021】
1以上の実施形態では、ASTM D−1646に従って測定したプロピレンベースのエラストマーのムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]は100未満、別の実施形態では75未満、別の実施形態では60未満、別の実施形態では30未満である。
【0022】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーの重量平均分子量(Mw)は、約5,000から約5,000,000g/モル、別の実施形態では約10,000から約1,000,000g/モル、別の実施形態では約20,000から約500,000g/モル、別の実施形態では約50,000から約400,000g/モルである。
【0023】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーの数平均分子量(Mn)は、約2,500から約2,500,000g/モル、別の実施形態では約5,000から約500,000g/モル、別の実施形態では約10,000から約250,000g/モル、別の実施形態では約25,000から約200,000g/モルである。
【0024】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーのZ平均分子量は約10,000から約7,000,000g/モル、別の実施形態では約50,000から約1,000,000g/モル、別の実施形態では約80,000から約700,000g/モル、別の実施形態では約100,000から約500,000g/モルである。
【0025】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーの分子量分布(MWD=MW/Mn)は約1から約40であり、別の実施形態では約1から約5、別の実施形態では約1.8から約5、別の実施形態では約1.8から約3である。
【0026】
分子量(Mn,Mw,Mz)及び分子量分布(MWD)の測定方法は、米国特許第4,540,753号(Cozewith, JuとVerstrate)(米国プラクティスのため本願に参照として組み込む)とそこに引用された文献、及びMacromolecules, 1988年, 21巻, 3360頁(Verstrate)(米国プラクティスのため本願に参照として組み込む)とそこに引用された文献に開示されている。
分子量は、ポリスチレン標準サンプルで較正され、示差屈折率検出器を備えた、例えばWaters 150ゲル浸透クロマトグラフを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定することができる。
【0027】
<プロピレンベースの熱可塑性ポリマー>
プロピレンベースの熱可塑性ポリマーとも呼ばれるプロピレンベースの熱可塑性樹脂には、一般に高分子量で固体の、主にプロピレンの重合に由来するユニットから成る熱可塑性樹脂が含まれる。
ある実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー中の少なくとも75%、別の実施形態では少なくとも90%、別の実施形態では少なくとも95%、別の実施形態では少なくとも97%のユニットが、プロピレンの重合に由来する。別の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーにはプロピレンのホモポリマーが含まれる。
【0028】
ある実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーにはエチレンに重合に由来するユニット、および/または、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、及びこれらの組合せの重合に由来するユニットが含まれる。特に、プロピレンとエチレン、または前記の高級α−オレフィン、またはC10〜C20のジオレフィンとから成る耐衝撃性の反応器ランダム共重合体が好ましい。
【0029】
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーには結晶性、及び半結晶性ポリマーが含まれる。1以上の実施形態では、このようなポリマーのDSCで測定した結晶化度は少なくとも40重量%、別の実施形態では少なくとも55重量%、別の実施形態では少なくとも65重量%、別の実施形態では少なくとも70重量%である。
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーはHfが少なくとも80J/g、別の実施形態では少なくとも100J/g、別の実施形態では少なくとも100J/gであり、別の実施形態では125J/gより大きく、別の実施形態では140J/gより大きいことを特徴とする。
【0030】
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーは、Mwが約50から約2,000kg/モル、別の実施形態では約100から約600kg/モルであることを特徴とする。
また、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーは、ポリスチレンを標準サンプルに用いたGPCで測定されたMnが約25から約1,000kg/モル、別の実施形態では約50から約300kg/モルであることを特徴とする。
【0031】
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのMFR(ASTM D−1238,荷重2.16 kg,温度230℃)は約0.1から400dg/分、別の実施形態では約0.5から250dg/分、別の実施形態では約1から約100dg/分である。
これらの、または別の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのMFRは400dg/分未満、別の実施形態では100dg/分未満、別の実施形態では50dg/分未満、別の実施形態では10dg/分未満である。
【0032】
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのTmは約110℃から約250℃、別の実施形態では約155℃から約170℃、別の実施形態では約160℃から約165℃である。
プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は約−10℃から約10℃、別の実施形態では約−3℃から約5℃、別の実施形態では約0℃から約2℃である。
1以上の実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーの結晶化温度(Tc)は少なくとも約75℃より高く、別の実施形態では少なくとも約95℃より高く、別の実施形態では少なくとも約100℃より高く、別の実施形態では少なくとも105℃より高く、別の実施形態では105℃から115℃である。
【0033】
プロピレンベースの熱可塑性ポリマーは公知の重合方法により製造することができ、例えば公知のZiegler−Natta型重合や、メタロセン触媒等のシングルサイト有機金属触媒等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0034】
ひとつの実施形態では、プロピレンベースの熱可塑性ポリマーには、アイソタクチックまたはシンジオタクチックポリプロピレンの高結晶性ホモポリマーが含まれる。ポリプロピレンの密度は約0.85から約0.91g/ccであり、高アイソタクチック性のポリプロピレンの密度は約0.90から約0.91g/ccである。
また、フラクショナルメルとフローレート(fractional melt flow rate)を有する高分子量及び超高分子量ポリプロピレンを用いることもできる。1以上の実施形態では、ポリプロピレンのMFR(ASTM D−1238,荷重2.16 kg,温度230℃)が10dg/分以下、別の実施形態では1.0dg/分以下、別の実施形態では0.5g/分以下である。
【0035】
<炭化水素樹脂>
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂には天然の樹脂、合成樹脂、及び低分子量ポリマーまたはオリゴマーが含まれる。1以上の実施形態では、炭化水素樹脂は標準温度・圧力条件下で固体である。
合成樹脂または低分子量ポリマーまたはオリゴマーを合成するために重合されるモノマーは、純粋なモノマーが供給される場合のほか、様々な不飽和化合物または混合物を含む精留生成物が使用される場合もある。
モノマーには、脂肪族モノマー、環状脂肪族モノマー、芳香族モノマー、及びこれらの混合物が含まれる。
脂肪族モノマーには、C,C、及びCのパラフィン、オレフィン、及び共役ジエンが含まれる。
脂肪族モノマー、または環状脂肪族モノマーの例として、ブタジエン、イソブチレン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、さらに、1,4−ペンタジエン、シクロペンタン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2ペンテン、イソプレン、シクロヘキサン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンが挙げられる。
芳香族モノマーには、C,C、及びC10の芳香族モノマーが含まれる。芳香族モノマーの例として、スチレン、インデン、スチレンの誘導体、インデンの誘導体、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0036】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂のタイプには、石油樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、及びシクロペンタジエン樹脂が含まれる。
炭化水素樹脂の例として、脂肪族炭化水素樹脂、少なくとも一部が水素添加された脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、少なくとも一部が水素添加された脂肪族芳香族炭化水素樹脂、環状脂肪族炭化水素樹脂、少なくとも一部が水素添加された環状脂肪族炭化水素樹脂、環状脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、少なくとも一部が水素添加された環状脂肪族芳香族炭化水素樹脂、少なくとも一部が水素添加された芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水素添加されたロジン、水素添加されたロジンエステル、及びこれらの内の2種類以上の組合せが挙げられる。
【0037】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂はMnが約400から約5,000g/モル、別の実施形態では約500から約3,000g/モル、別の実施形態では約600から約2,000g/モル、別の実施形態では約700から約1,000g/モルであることを特徴とする。
これらの炭化水素樹脂はMwが約500から約6,000g/モル、別の実施形態では約700から約5,000g/モルであることを特徴とする。
さらに、これらの炭化水素樹脂はMzが約700から約15,000g/モル、別の実施形態では約8,000から約12,000g/モルであることを特徴とする。
【0038】
ある実施形態では、炭化水素樹脂にはジシクロペンタジエン(DCPD)、または置換されたDCPDと、さらに脂肪族モノマー、または芳香族モノマーとを熱重合して製造された樹脂が含まれる。
1つの実施形態では、DCPDまたは置換されたDCPDは、芳香族のコモノマーと共重合され、生成物には10%未満の芳香族成分が含まれる。別の実施形態では、炭化水素樹脂は、脂肪族モノマー及び芳香族モノマーの両者の共重合から誘導される。
【0039】
合成オリゴマーには、石油蒸留物モノマーの二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、及び十量体が含まれる。
1以上の実施形態では、石油蒸留物モノマーの沸点は約30℃から約210℃である。合成オリゴマーには、熱重合及び触媒重合による樹脂重合プロセスの副生物が含まれる。
例えば、合成オリゴマーは、DCPD、脂肪族モノマー、および/または、芳香族モノマーをオリゴマー化し、次いでグラフト化するプロセスから誘導される。
【0040】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂には芳香族含有量が約1から約60%、別の実施形態では約2から約40%、別の実施形態では約5から約10%であることを特徴とする樹脂が含まれる。
また、炭化水素樹脂は少なくとも一部が水素添加されている。例えば、炭化水素樹脂にはオレフィン性プロトン含有量が90未満、別の実施形態では50未満、別の実施形態では25未満、別の実施形態では10未満、別の実施形態では2未満、別の実施形態では1未満、別の実施形態では1未満、別の実施形態では0.05未満である。
炭化水素樹脂の芳香族含有量及びオレフィン性プロトン含有量は、H−NMRにより求められ、磁場強度300MHz以上、別の実施形態では400MHz(等価周波数)以上のスペクトロメータのH−NMRスペクトルから直接測定される。芳香族含有量は、芳香族性プロトンの積分値対全プロトンの比から求められる。オレフィン性プロトン、またはオレフィン性プロトン含有量は、オレフィン性プロトン積分値対全プロトンの比から求められる。
【0041】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂は軟化点が約10℃から約80℃、別の実施形態では約10℃から約160℃、別の実施形態では約60℃から約130℃、別の実施形態では約90℃から約130℃、別の実施形態では約80℃から約120℃、別の実施形態では約80℃から約150℃、別の実施形態では約90℃から約110℃であることを特徴とする。ここで、軟化点のいずれかの上限値と、いずれかの下限値とを組み合わせて、所望の軟化点の範囲とすることができる。
軟化点(℃)は、ASTM E−28(1996年改定)に従い、リング法またはボール法軟化点により測定する。
これらの、または別の実施形態では、軟化点は30℃より高く、別の実施形態では50℃より高く、別の実施形態では75℃より高く、別の実施形態では100℃℃より高く、別の実施形態では120℃より高い。
【0042】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂はDSCで測定したガラス転移温度(Tg)が約−40℃から約130℃、別の実施形態では約40℃から約80℃、別の実施形態では約30℃から約70℃である。ここで、ガラス転移温度のいずれかの上限値と、いずれかの下限値とを組み合わせて、所望のガラス転移温度の範囲とすることができる。
これらの、または別の実施形態では、炭化水素樹脂のガラス転移温度は30℃より高く、別の実施形態では50℃より高く、別の実施形態では60℃より高く、別の実施形態では70℃より高い。
【0043】
1以上の実施形態では、炭化水素樹脂には官能化された炭化水素樹脂が含まれる。官能化された炭化水素樹脂には少なくとも1の官能基が含まれる。官能性置換基または官能性部位とも呼ばれる官能基には、ヘテロ原子が含まれる。1以上の実施形態では、官能基には極性基が含まれる。
極性基の例には、ヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル基、ハライド基、アミン基、イミン基、ニトリル基、あるいはイソシアネート基が含まれる。
カルボニル部位を有する官能基の例には、カルボン酸、酸無水物、ケトン、ハロゲン化酸、エステル、アミド、あるいはイミド基、及びこれらの誘導体が含まれる。
1つの実施形態では、官能基にはコハク酸無水物、または、これに相当する酸が含まれ、これらは、マレイン酸無水物、またはβ−アルキル置換プロパン酸、またはこれらの誘導体との反応により誘導される。
1以上の実施形態では、官能基は炭化水素樹脂の主鎖に吊り下げられている。有用な官能化された炭化水素樹脂には、米国出願第2004/0260021 Al号、2004/0266947 A1号に記載された炭化水素樹脂が含まれる。
【0044】
本願では、市販の炭化水素樹脂を用いることができる。
市販の炭化水素樹脂の例には、PA 609TM (ExxonMobil社), EMPR 120, 104, 111, 106, 112, 115, EMPR 100 and 100A, 1035 ECR-373、及び、ESCOREZTM 2101, 2203, 2520, 5380, 5600, 5618, 5690 (販売元ExxonMobil Chemical Company社, Baytown, TX, 米国);ARKONTM M90, M100, M115, M135, SUPER ESTERTMロジン樹脂(販売元 荒川化学工業、日本);市販のhydroSYLVARESTMヒドロフェノール改質スチレン、メチルスチレン樹脂、スチレン化テルペン樹脂、ZONATACTMテルペン−芳香族樹脂、及びテルペンフェノール樹脂(販売元Arizona Chemical Company 社, Jacksonville, FL, 米国);SYLVATACTM及びSYLVALITETMロジン樹脂(販売元Arizona Chemical Company 社, Jacksonville, FL, 米国); NORSOLENETM脂肪族芳香族樹脂(販売元 Cray Valley社, フランス);DERTOPHENETMテルペンフェノール樹脂(販売元DRT Chemical Company社, フランス);EASTOTACTM樹脂、PICCOTACTM C5/C9樹脂、REGALITETM及びREGALREZTM芳香族樹脂、及びREGALITETM環状脂肪族/芳香族樹脂(販売元Eastman Chemical Company社, Kingsport, TN,米国);WINGT ACKTM ET及びEXTRATM(販売元Sartomer社, Exton, PA,米国);PENTALYNTM及びPERMALYNTMロジン及びロジンエステル(販売元Eastman Chemical Company社, Kingsport, TN,米国);QUINTONETM酸改質C樹脂、C/C樹脂、酸改質C/C樹脂(販売元日本ゼオン);芳香族/環状脂肪族混合樹脂(販売元Neville Chemical Company社, Pittsburgh, PA,米国);CLEARONTM水素添加テルペン芳香族樹脂(
販売元ヤスハラケミカル,日本);及びPICCOLYTETM(販売元Loos & Dilworth, Inc.社, Bristol, PA,米国)等がある。このほかの好ましい炭化水素樹脂は米国特許第5,667,902号に開示されている。
【0045】
<高MFR熱可塑性樹脂>
1以上の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂には、MFR(ASTM D−1238,2.16kg,230℃)が400から1800dg/分、別の実施形態では500から1700dg/分、別の実施形態では1000から1600dg/分の樹脂が含まれる。
これらの、または別の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂のMFRは400dg/分より高く、別の実施形態では600dg/分より高く、別の実施形態では800dg/分より高く、別の実施形態では1000dg/分より高く、別の実施形態では1200dg/分より高い。
【0046】
これらの、または別の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂は低分子量であることを特徴とする。
1以上の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂はMwが約29から約55kg/モルであることを特徴とし、別の実施形態では約30から約51kg/モルであることを特徴とする。
また、高MFR熱可塑性樹脂は、ポリスチレンを標準試料に用いたGPCで測定したMnが約8から約15kg/モル、別の実施形態では約9.5から約14.5kg/モルであることを特徴とする。
これらの、または別の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂は、Mnが16kg/モル未満、別の実施形態では13kg/モル未満、別の実施形態では11kg/モル未満であることを特徴とする。
【0047】
高MFR熱可塑性樹脂には、様々なモノマーから重合させて得られる樹脂が含まれる。
1以上の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂にはエチレンを含むα−オレフィンモノマーを1種類以上重合させて得られる樹脂が含まれる。
これらの、または別の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂には、主としてプロピレンの重合に由来するユニットから成る固体熱可塑性樹脂等の、プロピレンベースのポリマーが含まれる。
ある実施形態では、プロピレンベースのポリマーの少なくとも75%がプロピレンの重合に由来するユニットから成り、別の実施形態では少なくとも95%、別の実施形態では少なくとも97%がプロピレンの重合に由来するユニットから成る。特定の実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂にはプロピレンのホモポリマーが含まれる。
【0048】
ある実施形態では、高MFR熱可塑性樹脂には、エチレンおよび/または1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびこれらの混合物等のα−オレフィンの重合に由来するユニットが含有されている。
特に、プロピレンと、エチレン、または前記の高級α−オレフィン、またはC10〜C20のジオレフィンとから成る耐衝撃性の反応器ランダム共重合体が好ましい。
【0049】
1以上の実施形態では、好ましい高MFR熱可塑性樹脂のTmは約110℃から約250℃であり、別の実施形態では約155℃から約170℃、別の実施形態では約160℃から約165℃である。
好ましい高MFR熱可塑性樹脂のTgは約−10℃から約10℃であり、別の実施形態では約−3℃から約5℃、別の実施形態では約0℃から約2℃である。
1以上の実施形態では、好ましい高MFR熱可塑性樹脂のTcは少なくとも約75℃であり、別の実施形態では少なくとも約95℃、別の実施形態では少なくとも約100℃、別の実施形態では少なくとも約105℃であり、ひとつの実施形態では105から115℃である。
【0050】
高MFR熱可塑性樹脂は公知の重合方法により製造することができ、例えば公知のZiegler−Natta型重合や、メタロセン触媒等のシングルサイト有機金属触媒等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0051】
<官能化されたポリオレフィン>
1以上の実施形態では、官能化された熱可塑性樹脂とも呼ばれる官能化された熱可塑性ポリオレフィンには、少なくとも1の官能基が含まれる。
1以上の実施形態では、官能性置換基または官能性部位とも呼ばれる官能基には、ヘテロ原子が含まれる。
1以上の実施形態では、官能基には極性基が含まれる。
極性基の例には、ヒドロキシル基、プロポキシ基、カルボニル基、エーテル基、ハライド基、アミン基、イミン基、及びニトリル基が含まれる。
カルボニル部位を有する官能基の例には、カルボン酸、酸無水物、ケトン、ハロゲン化酸、エステル、アミド、あるいはイミド基、及びこれらの誘導体が含まれる。
1つの実施形態では、官能基にはコハク酸無水物、または、これに相当する酸が含まれ、これらは、マレイン酸無水物、またはβ−アルキル置換プロパン酸、またはこれらの誘導体との反応(例えば重合反応またはグラフト化)により誘導される。
1以上の実施形態では、官能基は炭化水素樹脂の主鎖から吊り下げられている。
【0052】
1以上の実施形態では、官能化された熱可塑性ポリオレフィンは、ポリオレフィンにグラフトモノマーをグラフト化して製造される。グラフト化のプロセスには、ポリオレフィンとグラフトモノマーとを組合せ接触させ、または反応させることが含まれる。
このような官能化された熱可塑性ポリオレフィンには、米国特許第4,957,968号、5624,999号、及び6,503,984号に開示されているポリオレフィンが含まれる。
【0053】
官能基がグラフトされるポリオレフィンには、エチレン、またはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびこれらの混合物等のα−オレフィンを重合して得られるポリマーが含まれる。
エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンおよび/またはプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびこれらの混合物等の他のα−オレフィンとの共重合体を用いることもできる。
この他のポリオレフィン共重合体には、スチレン−エチレン共重合体等のオレフィンとスチレンの共重合体や、オレフィンとα,β-不飽和酸との共重合体、および/または、ポリエチレン−アクリレート共重合体等のオレフィンとα,β-不飽和エステルとの共重合体等が含まれる。
【0054】
これらのホモポリマーや共重合体は、公知の重合方法により製造することができ、例えば公知のZiegler−Natta型重合や、メタロセン触媒等のシングルサイト有機金属触媒等による重合、あるいは高圧フリーラジカル重合を用いることができるが、これらに限定されない。
【0055】
グラフトモノマーがグラフト化されるポリオレフィンには、固体で、一般に分子量の高い熱可塑性物質が含まれる。このような熱可塑性物質には、結晶性及び半結晶性のポリマーが含まれる。
1以上の実施形態では、これらの熱可塑性ポリマーは、DSCで測定した結晶化度が少なくとも20%、別の実施形態では少なくとも25%、別の実施形態では少なくとも30%であることを特徴とする。
これらの、または別の実施形態では、官能化されるポリオレフィンは、DSCで測定した融解熱量が少なくとも40J/gであり、別の実施形態では50J/gを超え、別の実施形態では75J/gを超え、別の実施形態では95J/gを超え、別の実施形態では100J/gを超えることを特徴とする。
【0056】
1以上の実施形態では、グラフト化される前の熱可塑性ポリマーは、Mwが約100kg/モルから約2000kg/モルであり、別の実施形態では約300kg/モルから約600kg/モルであることを特徴とする。
また、グラフト化される前の熱可塑性ポリマーは、Mnが約80kg/モルから約800kg/モルであり、別の実施形態では約90kg/モルから約200kg/モルであることを特徴とする。
分子量は、ポリスチレン標準サンプルで較正され、示差屈折率検出器を備えた、例えばWaters 150ゲル浸透クロマトグラフを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定することができる。
【0057】
1以上の実施形態では、グラフト化される前の熱可塑性ポリマーは、MFR(ASTM D−1238,230℃,荷重2.16kg)が約0.3から約200dg/分、別の実施形態では約0.5から約1000dg/分、別の実施形態では約1から約1000dg/分であることを特徴とする。
【0058】
1以上の実施形態では、グラフト化される前の熱可塑性ポリマーは、Tmが約110℃から約250℃、別の実施形態では約120℃から約170℃、別の実施形態では約130℃から約165℃である。
別の実施形態では、グラフト化される前の熱可塑性ポリマーは、Tcが少なくとも約75℃、別の実施形態では少なくとも約95℃、別の実施形態では少なくとも約100℃、別の実施形態では少なくとも約105℃であり、別の実施形態では105℃から115℃の範囲内にある。
【0059】
官能化されたポリオレフィンの官能化度は、官能化されたポリマーの全重量を基準として、官能化された部位の重量パーセントで表わす。
1以上の実施形態では、官能化されたポリオレフィンの官能化度は少なくとも0.2重量パーセント、別の実施形態では少なくとも0.4重量パーセント、別の実施形態では少なくとも0.6重量パーセント、別の実施形態では少なくとも1.0重量パーセントである。
これらの、または別の実施形態では、官能化されたポリオレフィンの官能化度は5重量パーセント未満、別の実施形態では3重量パーセント未満、別の実施形態では2重量パーセント未満である。
【0060】
1以上の実施形態では、官能化されたプロピレンベースのポリマーを官能化された熱可塑性ポリマーとして用いる場合、官能化されたプロピレンベースのポリマーのMFR(ASTM D−1238,2.16 Kg,230℃)は約20から約2000dg/分、別の実施形態では約100から約1500dg/分、別の実施形態では約150から約750dg/分であることを特徴とする。
1以上の実施形態では、官能化されたエチレンベースのポリマーを官能化された熱可塑性ポリマーとして用いる場合、官能化されたエチレンベースのポリマーのMI(ASTM D−1238,2.16 Kg,190℃)は約0.2から約2000dg/分、別の実施形態では約1から約1000dg/分、別の実施形態では約5から約100dg/分であることを特徴とする。
【0061】
官能化された熱可塑性ポリマーには、市販品を用いることができる。例えば、マレイン化されたプロピレンベースのポリマーには、商品名FUSABONDTM(DuPont社)、POLYBONDTM(Crompton社)、EXXELORTM, EXXELORTM PO1015, EXXELORTMPO 1020 (ExxonMobil社)、またはEPOLENETM (Eastman社)を用いる事ができる。また、商品名LUBOTENE (Optatech社)で市販されている、シリコンがグラフトされたエチレン共重合体を用いる事ができる。
【0062】
<ポリオレフィンワックス>
1以上の実施形態では、低分子量のポリオレフィンを含有するポリオレフィンワックスを用いる事ができる。このようなポリオレフィンワックスは、エチレン、または、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびこれらの混合物等のα−オレフィンを重合させて得られる。
【0063】
1以上の実施形態では、このようなワックスは、190℃のBrookfield粘度が2000cP未満、別の実施形態では1000cP未満、別の実施形態では100cP未満であることを特徴とする。
【0064】
<滑り助剤>
1以上の実施形態では、この発明で用いる滑り助剤には、繊維のポリマー母材(すなわち、プロピレンベースのエラストマー、および/または、プロピレンベースの熱可塑性樹脂、および/または、触感改良剤)に混和可能で、繊維の表面に移動する化合物、または分子が含まれる。
1以上の実施形態では、滑り助剤は繊維の表面(またはその一部)上に、単分子膜を形成する。
これらの、または別の実施形態では、この発明で用いる滑り助剤は比較的分子量が低く、これにより表面に移動し易いことを特徴とする。
滑り助剤の種類として、「Handbook of Antiblocking, Release and Slip Additives」(George Wypych著、23頁)に記載されているような脂肪酸アミドを用いる事ができる。脂肪酸アミドの例として、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、N−(2−ヒドリエチル)エルカ酸アミド、ラウリル酸アミド、N,N´−エチレン−ビス−オレイン酸アミド、N,N´−エチレン−ビス−ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、タローアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
ある実施形態では、1以上の滑り助剤は、この発明のブレンド物に、マスターバッチ中の1成分として添加される。このような実施形態では、滑り助剤は、最終的に得られる繊維または織布中の濃度が約1000から約10000ppmm、好ましくは約3000から約6000ppmと成るように添加される。
【0065】
<他の添加剤>
この発明のブレンド物には、他の成分も含まれ得る。
例えばこの発明のブレンド物には、ブレンド組成物の全ポリマーの重量を基準として、50から4000ppmの造核剤が含まれていてもよい。造核剤には、例えば、安息香酸ナトリウムやタルクが用いられる。また、Ziegler−Nattaによるオレフィン生成物やその他の高結晶性ポリマー等の、このほかの造核剤を用いることもできる。造核剤には、HPN-68やMillad additives添加剤(例えばMillad 3988)等(Milliken Chemicals社, Spartanburg, SC,米国)、あるいはNA-11やNA-21(Amfine Chemicals社, Allendale, NJ,米国)のようなハイパー型(Hyperform)のものも含まれる。
【0066】
さらに、ブレンド物、繊維及び織布を製造するプロセスでは、種々の目的で様々な添加剤が用いられる。
他の添加剤には、例えば、安定剤、酸化防止剤、および/または充填材が含まれる。第1及び第2酸化防止剤には、例えばヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、及びホスフェートが含まれる。また別の添加剤、例えばAcrowax Cのような分散剤が含まれていてもよい。例えばステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、及び酸化カルシウム等の公知の触媒中和剤が含まれていてもよい。
【0067】
他の添加剤には、例えば、防炎/防燃剤、可塑剤、加硫または硬化剤、加硫または硬化促進剤、加硫または硬化遅延剤、加工助剤等が含まれる。これらの添加剤には充填材および/または補強材が含まれていてもよい。充填材や補強材は、他の添加剤と組み合わせて添加してもよいし、単独で添加してもよい。充填材や補強材の例には、カーボンブラック、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、シリケート、及びこれらの組合せ等が含まれる。他の物性を改善するための添加剤には、アンチブロッキング剤や滑剤が含まれる。
【0068】
また別の実施形態では、この発明の組成物に、イソパラフィン、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、またはこれらの2種以上の組合せを添加することができる。ポリアルファオレフィンには、WO 2004/014998の17頁19行目から19頁25行目に開示されたものが含まれる。このポリアルファオレフィンは、約0.5から約40重量パーセント、別の実施形態では約1から約20重量パーセント、別の実施形態では約2から約10重量パーセント添加される。
【0069】
<添加量>
1以上の実施形態では、繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物には、組成物の全重量を基準として、プロピレンベースのエラストマーが約1%から約99重量%含まれ、別の実施形態では約10%から約95重量%含まれ、別の実施形態では約50%から約90重量%含まれ、別の実施形態では約60%から約70重量%含まれている。
【0070】
1以上の実施形態では、繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物には、組成物の全重量を基準として、プロピレンベースの熱可塑性樹脂が約1%から約99重量%含まれ、別の実施形態では約2%から約50重量%含まれ、別の実施形態では約5%から約20重量%含まれ、別の実施形態では約10%から約13重量%含まれている。
【0071】
1以上の実施形態では、繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物には、組成物の全重量を基準として、滑り助剤が約0ppmから約50000ppm含まれ、別の実施形態では約1ppmから約40000ppm含まれ、別の実施形態では約2ppmから約30000ppm含まれ、別の実施形態では約3ppmから約7000ppm含まれている。
【0072】
1以上の実施形態では、繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物には、組成物の全重量を基準として、触感改良剤が約0.1%から約50重量%含まれ、別の実施形態では約0.5%から約40重量%含まれ、別の実施形態では約1%から約30重量%含まれ、別の実施形態では約1%から約10重量%含まれている。
【0073】
触感改良剤に、炭化水素樹脂と高MFRの熱可塑性樹脂とのブレンド物が含まれている場合、炭化水素樹脂と高MFRの熱可塑性樹脂の重量比は約0.2:1から約100:1、別の実施形態では約0.3:1から約5:1、別の実施形態では約0.4:1から約3:1、別の実施形態では約0.5:1から約2:1である。
【0074】
1以上の実施形態では、繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物には、組成物の全重量を基準として、他の添加剤が約0%から約30重量%含まれ、別の実施形態では約1%から約25重量%含まれ、別の実施形態では約2%から約20重量%含まれ、別の実施形態では約3%から約10重量%含まれている。
【0075】
<組成物の調製>
繊維あるいは不織布の製造に用いられるこの発明の組成物は、いくつかの方法で製造される。
ひとつの実施形態では、プロピレンベースのエラストマーと、プロピレンベースの熱可塑性樹脂(すなわち低MFR樹脂)とのブレンド物が先ず調製され、次にこのブレンド物に、他の成分(例えば炭化水素および/または高MFRの熱可塑性樹脂)が添加または導入される。
プロピレンベースのエラストマーと、プロピレンベースの熱可塑性樹脂は、これらの成分を十分混合できる方法により調製される。例えば、これらの成分をタンブラー、スタティックミキサー、バッチ式混練機、押出機、あるいはこれらの組合せによりブレンドすることができる。
これらの、または別の実施形態では、これらの成分の混合は、繊維を製造する加工工程の一部で行なわれる。
別の実施形態では、溶融ブレンド用の内部混練機を用いる事ができる。例えば、これらの成分を、180℃から240℃のブラベンダープラストグラフ中で1から20分間ブレンドすることができる。
また別の実施形態では、これらの成分を、ポリマーの流動温度以上(例えば180℃で約5分間)のバンバリー内部混練機でブレンドすることができる。
また別の実施形態では、二軸押出機、低粘度の溶融ポリマーを混練するためのスタティックミキサー、インピンジメントミキサー等の、この技術分野で公知の連続混練機を用いることができる。
別の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーとプロピレンベースの熱可塑性樹脂は、ポリマーの粘度をより高メルトフローに調製するため、溶融状態において過酸化物で処理される。このMFRの調製は、この技術分野ではビスブレイキング(visbreaking)と呼ばれている。
【0076】
別の実施形態では、ブレンド物は反応器中で調製されるか、重合操作を連続して行なうことにより調製される。この方法には、反応器ブレンドが含まれ、プロピレンベースの熱可塑性樹脂が1つの反応器(または1つの反応器内の1つのステージ)で重合され、この重合生成物は別の反応器、または同一反応器内の別のステージへ送られた後、プロピレンベースのエラストマーの重合が行なわれる。
【0077】
1以上の実施形態では、プロピレンベースのエラストマーと、プロピレンベースの熱可塑性樹脂のブレンド物は、不均一なブレンド物であり、プロピレンベースの熱可塑性樹脂が連続相で、プロピレンベースのエラストマーが非連続相と成る。当業者であれば予想できるように、2種のポリマーが混合された不均一な固体状ブレンド物は、他のポリマーの母材中に分散した分離小塊(例えば粒子状)を形成する。
別の実施形態では、不均一なブレンド物中で各ブレンド成分が分離した状態であることが観察されるが、いずれが連続相でいずれが非連続相か不明瞭な、共連続な混合相を有するブレンド物となる。
【0078】
追加成分(例えば触感改良剤、及び/または、滑り助剤)の、プロピレンベースのエラストマーとプロピレンベースの熱可塑性樹脂のブレンド物への添加、または導入は、前記のブレンド方法と同様の方法を用いて行なうことができる。
特定の実施形態では、追加成分は繊維製造プロセスの一部で添加される。例えば、高MFRの熱可塑性樹脂、及び/または炭化水素樹脂、及び/または滑り助剤は、繊維製造プロセスで用いられる押出機内に添加される。
【0079】
<繊維及び不織布の製造>
前記の組成物から不織布を製造する工程には、押出加工により繊維を製造し、次にボンディングまたはウイービング(weaving)を行なう工程が含まれる。押出工程では、繊維を機械的または空気力学的に繊維を延伸する操作が行なわれる。この発明の繊維及び不織布は、公知の方法及び装置によって製造することができる。例えば、スパンボンド不織布は、Reifenhauser GmbH & Co.社製(Troisdorf,ドイツ)のスパンボンド不織布製造ラインによって製造することができる。Reifenhauser社の装置は、米国特許第4,820,142号に開示されたスロットドローイング(slot drawing)を用いている。
【0080】
<細デニール繊維>
1以上の実施形態では、繊維は、連続フィラメント、長繊維嵩高加工糸、短繊維を製造する技術を用いて製造される。例えば、溶融ポリマーは、ダイ(紡糸口金)の細孔から押出される。ここで、細孔の直径は例えば0.3mmから0.8mmである。
高溶融温度(例えば230℃から280℃)及び高メルトフローレート(例えば15g/10分から40g/10分)のポリマーを用いることで、加工時のポリマーの溶融粘度を低くすることができる。
約8から約12個の紡糸口金の集合体に大量の溶融ポリマーを分配するために、比較的大型の押出機に、マニホールドを設けることが好ましい。各紡糸口金には、紡糸口金からの吐出量を制御するための独立したギアポンプと、「ブレーカープレート」で支持されたフィルターパックと、押出機ヘッドに装着された紡糸口金プレートとが備えられている。
紡糸口金プレートの細孔の数により、ヤーン中のフィラメントの本数が決まる。また紡糸口金プレートの細孔の数は、ヤーンの構成により大きく異なるが、通常は50から250の範囲である。複数の細孔は、冷却用エアーが効率よく分配されるよう、円状、環状、あるいは四角形状に配置される。
【0081】
<連続フィラメント>
連続フィラメント(CF)のヤーンは、40デニールから2000デニール(デニール=グラム数/9000ヤード)の範囲にある。フィラメントは、1フィラメント当り1から20デニール(dpf)であるが、これより大きな値でもよい。紡糸速度は800m/分から1500m/分(2500ft/分から5000ft/分)の範囲である。
紡糸方法の一例は次のようなものである。フィラメントは延伸倍率3:1以上(1または2段延伸)で延伸され、パッケージに巻き取られる。2段延伸により、高倍率で延伸できる。巻き取り速度は2000m/分から3500m/分(6600ft/分から11500ft/分)である。紡糸速度が900m/分(300ft/分)を超える場合、良好な紡糸性で細いフィラメントを得るために、例えばMFRが最低5で分子量分布が狭い樹脂、例えば2.8dg/分以下で分子量分布が狭い樹脂が必要になる。
紡糸速度が遅い場合、またはより重いデニールのフィラメントの場合、16−MFRの反応器グレードのポリマーが適している。
【0082】
<部分配向ヤーン(Partially Oriented Yarn)>
部分配向ヤーン(POY)は、固相での延伸を行わずに(上記の連続フィラメントのように)直接紡糸された繊維である。ファイバー中の分子の配向は、溶融ポリマーが紡糸口金を出た直後、溶融状態で行われる。ファイバーは、一旦固化した後は延伸されること無くパッケージに巻き取られる。POYヤーンは(固相で延伸され高強度と低伸長率を示す完全配向ヤーン(fully oriented yarn)、またはFOYとは反対に)、高伸長率と低強度を示す場合が多い。
【0083】
<長繊維嵩高加工糸(Bulked Continuous Filament)>
長繊維嵩高加工糸の製造方法は1段法と2段法の2種類に大別される。
例えば、2段法では、未延伸ヤーンを1000m/分(3300ft/分)未満の速度、通常は約750m/分で紡糸し、パッケージに巻き取られる。ヤーンは(通常2段階で)延伸され、テクスチャライザ(texturizer)と呼ばれる装置で「嵩高」にされる。巻き取り速度と延伸速度は、嵩高化装置またはテクスチャライザ装置によって決まるが、通常2500m/分(8200ft/分)以下である。CF2段法の場合、第2の結晶化には的確な延伸加工が必要である。
一般的な長繊維嵩高加工には、1段で紡糸/延伸/テクスチャライズ(SDT)を行なう工程が含まれる。長繊維嵩高加工の1段法は、2段法よりも経済性、効率及び品質において優れている。長繊維嵩高加工は、1段のCFプロセスに似ているが、嵩高化装置を備える点で異なる。フィラメントを分離してなだらかに曲げ、折りたたむことによってヤーンを嵩高にすることで、ヤーンの外観が変わる。
【0084】
<短繊維>
短繊維の製造方法には、従来法とコンパクト紡糸の2種類がある。従来法には一般に、i)糸を製造し、仕上げ加工し、巻き取る工程と、ii)延伸し、第2仕上げ加工し、捲縮し、短繊維に切断する工程の、二工程が含まれる。従来の紡糸法では、繊維が装置から取り出されるとき、繊維が三角形状に折れ曲がることがある。
コンパクト紡糸では、三角形状の折れ曲がりは最小限になるか、全く無く、糸の強度の弱い点や、異常な形状の糸の量が低減される。「コンパクト」と呼ばれるのは、糸が捩られて芯に向け圧縮され、コンパクトになることに由良する。
【0085】
フィラメントは、用途に応じて、例えば1.5dpfから>70dpfの範囲をとり得る。短繊維の長さは、用途に応じて、最短で7mm、最長で200mm(0.25インチから8インチ)である。多くの用途で、繊維は捲縮されている。
捲縮は、一対のニップロールを備えるスチーム加熱された充填容器に、トウを過剰に供給することによって行なわれる。過剰に供給することで、トウは充填容器中で折りたたまれ、フィラメントの曲がり、または縮れが生じる。このような折れ曲がりは、充填容器中にスチームを注入することによって熱固定される。樹脂のMw,MWD及びアイソタクチック含有量が、捲縮の安定性、程度、及び捲縮の生じやすさに影響する。
【0086】
<メルトブローン不織布>
メルトブローン不織布とは、ファイバー径が20から0.1ミクロンの細径フィラメントのウエブである。いくつかの実施形態では、メルトブローンファイバーのファイバー径は1から10ミクロン、別の実施形態では1から約5ミクロンである。このような細径フィラメントで形成された不織布ウエブは、非常に小さい孔径を有しているため、優れたバリア性を示す。
メルトブローン法では、例えばポリマーを押出機で溶融させ、定量溶解ポンプへ送る。溶解ポンプは溶融ポリマーを一定速度でメルトブローンダイへ送る。溶融ポリマーは、メルトブローンダイから出るとき、高温、高速のエアー(プロセスまたは一次エアーと呼ばれる)に接触する。フィラメントは、このエアーにより急速に延伸されるとともに、冷却エアーが組み合わされることにより固化される。
ファイバーを形成する全過程は、一般にダイから数インチ以内の範囲内で行なわれる。高品質の製品を効率よく製造するために、ダインの設計は重要である。不織布は、多数の孔を有する形成用ベルトに向けてフィラメントを直接吹き付けることにより製造される。紡糸口金から形成用ベルトまでの距離は、通常200mmから400mm(8インチから15インチ)である。高坪量、高ロフトの不織布を作る場合は、不織布形成時の距離を大きくする。
メルトブローンの場合、できるだけ径の細いフィラメントを得るために、非常に高メルトフローレートの樹脂、例えば200g/分以上の樹脂が要求される。しかし、別の実施形態では、加工温度を高くすることにより、MFRが20g/分程度と低い樹脂を用いることもできる。
【0087】
<スパンボンド不織布>
スパンボンド不織布、またはスパンボンドは、例えば溶融ポリマーを数千個の孔を有する大型の紡糸口金、または、例えば孔の数が40個程度と少ない小型の紡糸口金の集合体から押出して製造された繊維を含む。
紡糸口金から出た溶融繊維は、直交流冷却エアーによって冷却され、次いで、高流速のエアーによって紡糸口金から引き離され、引き落とされる(延伸される)。
一般に行なわれているエアーによる引き落としには、2種類の方法があり、いずれもベンチュリ効果を利用している。第1の方法では、紡糸口金の幅方向、または装置の幅方向に配列されたアスピレータスロット(スロット延伸)によって、フィラメントを延伸する。第2の方法では、フィラメントをノズルまたはアスピレータガンによって延伸する。
このようにして形成されたフィラメントは、ウエブを製造するためのスクリーン(「ワイヤー」)、または多数の孔を有する形成用ベルトの上に集積される。
このウエブは圧縮ローラーに通され、次に、加熱されたカレンダーロールの間に通される。カレンダーロールの1本のロールに設けられた複数の凸状ランドによって、ウエブの全面積の10%から40%に相当する面積の複数のポイントでウエブを溶着させることにより、不織布が製造される。
別の実施形態では、ウエブの溶着は対流熱、または放射熱によって行なわれる。また別の実施形態では、ウエブの繊維の溶着は、摩擦法、水流交絡法、またはニードルパンチ法によって行なわれる。
【0088】
長繊維を形成した後、または繊維から不織布を形成した後、アニール処理を行なうことができる。アニール処理によって、引き伸ばされた繊維の内部応力が一部緩和され、繊維中に含有されるブレンド物のゴム的復元性が回復する。
アニール処理によって、繊維内部の結晶構造、及び無定形相と半結晶相の相対的配列構造に顕著な変化が生じる。これにより、ゴム的性質が復元する。
繊維のゴム的性質を復元するためには、例えば、室温より少なくとも40℃高い(しかしブレンド物の結晶融解温度より僅かに低い)温度で、繊維をアニール処理することが好ましい。
【0089】
繊維の熱アニール処理は、繊維(または繊維から作られた布)の温度を例えば室温から160℃の間、または最高130℃に、数秒から1時間未満維持することで行なう。100℃での典型的なアニール処理時間は、1から5分間である。アニール処理時間と温度は、用いる組成物に応じて調整することができる。別の実施形態では、アニール処理温度は、60℃から130℃である。別の実施形態では、アニール処理温度は約100℃である。
【0090】
ある実施形態では、従来の連続長繊維の紡糸の場合、通常のアニール処理を行なわずに、繊維を熱ロール(godet)に通すことで行なうことでアニール処理することできる。アニール処理は、繊維にゴム弾性を付与するために、繊維の張力が非常に低い状態で、繊維が収縮するようにして行なうことが好ましい。
不織布の製造プロセスでは通常、ウエブは、ウエブの点接合(溶着)を行なうために、カレンダーロールに通される。溶着されていない不織布のウエブを、加熱され比較的高温度のカレンダーロールに通すことにより、繊維が十分アニール処理され、不織布ウエブのゴム弾性を増加させることができる。
繊維のアニール処理と同様に、不織布ウエブも低張力下で、機械方向(MD)と横方向(CD)にウエブが収縮するようにしてアニール処理され、不織布にゴム弾性が付与される。
別の実施形態では、ボンディング用のカレンダーロールの温度は100℃から130℃である。別の実施形態では、ボンディング用のカレンダーロールの温度は100℃である。アニール処理温度は、ブレンド物の種類に応じて調整することができる。
【0091】
<産業上の利用可能性>
この発明の繊維と不織布は、種々の用途に用いることができる。1以上の実施形態では、この発明の繊維と不織布は、オムツおよび/または同様の衛生用品に用いることができる。特に、この発明の繊維と不織布は、このような衛生用品の動的または伸長性部材、例えば装着用弾性バンドに用いることができるが、これに限定されない。
1以上の実施形態では、この発明の不織布は、例えば従来は良好な触感が必要なとき用いられていた境界膜部材等の、他の部材なしで用いることができる。
【0092】
別の実施形態では、この発明の繊維と不織布は、フィルターの製造に用いることができる。例えば、特定の用途には、不織布が電気的に荷電されてエレクトレットとなるような、官能化された樹脂の使用が含まれる。
【0093】
この発明について、以下の実施例に基づき説明する。これらの実施例はこの発明の範囲を限定するものではない。本願の範囲は特許請求の範囲の記載により決められる。
【実施例1】
【0094】
15wt%のエチレンを含むプロピレンベースのエラストマー(MFR:20dg/分、密度0.863g/cm)と、プロピレンのホモポリマー樹脂とを溶融ブレンドし、溶融している間に過酸化物で処理して、ブレンド物のMFRを約80に調整した。
ブレンドIは85wt%のプロピレンベースのエラストマーと、15wt%のポリプロピレン樹脂とから成る。ブレンドIIは90wt%のプロピレンベースのエラストマーと、10wt%のポリプロピレン樹脂とから成る。
これらのブレンド物から、ReicofilTM 1.5スパンボンドビームライン(Reifenhauser GmbH社, Troisdorf, ドイツ)を用いてスパンボンド不織布を製造した。
【0095】
紡糸ビームは、約1m幅の方形で、約4000個の孔を有する紡糸口金を備える。各孔の直径は0.6mmである。スパンボンド製造装置には、均一な溶融ポリマーを溶解ポンプへ送る押出機が含まれ、溶解ポンプは溶融ポリマーを紡糸ビームへ送る。
【0096】
滑り助剤、および/または、高MFRポリプロピレン、および/または、炭化水素樹脂を、プロピレンベースのエラストマーとポリプロピレンのブレンド物に添加して、数種類の異なる組成物を調製し、紡糸した。
これらの追加成分は、スパンボンド装置の押出機のサイドフィーダーから、ブレンド物へ添加した。押出機の温度を、溶融温度が209℃になるように調整した。紡糸口金からの吐出量は、Table Iに示す所望の繊維径が得られるように、約0.2から約0.3グラム/孔/分(ghm)の範囲で調整した。ブレンド物に添加した追加成分の種類と量は、Table Iに示す通りである。
【0097】
紡糸口金から押し出される溶融ポリマーの糸を、低温エアーを用いて冷却し、細繊維に延伸した。延伸の力は、冷却ブロワーのrpmで示した。冷却ブロワーの最大rpmと、1平米当りのグラム数(gsm)で表わす繊維の坪量をTable Iに示す。
坪量は50gsmに保った。炭化水素樹脂を含む組成物については、紡糸条件を最適化し、繊維のたれ落ち(fiber drip)を防ぐため冷却ブロワーの回転数を下げた。坪量はASTM D6242−98に従って測定した。
【0098】
冷却され高延伸された繊維を、走行する多孔質ウエブの上に集積させて、不織布ウエブのマットを形成した。未溶着のウエブを、約88℃に加熱されたカレンダーロールに通した。ウエブがカレンダーロールの間隙を通るとき、繊維はアニールされる(すなわち、熱溶着される)。カレンダーロールの圧力は50dN/mに維持した。
【0099】
不織布の引張試験とゴム的性質の試験を、United six-station引張試験機と、25.4mm幅の試験片を用いて行なった。引張試験は、クロスヘッドスピード127mm/分で、5本の不織布のサンプルを同時に引っ張り、全ての試験片が破断するまで測定した。各組成物について、機械方向(MD)と横方向(CD)の試験を行なった。複数の試験片の平均値を、分析及び試験結果のデータとした。
物性値の評価に用いた項目は以下の通りである。
【0100】
引張特性、g/cmで測定、サンプルの幅で標準化した最大荷重に相当:
【0101】
伸び、パーセントで測定、最大荷重時の伸びに相当:
【0102】
永久変形、パーセントで測定、不織布サンプルを100伸長した後、荷重ゼロまで戻したときの変形量に相当:
【0103】
負荷損、パーセントで測定、(上昇時の曲線上の荷重−下降時の曲線上の荷重)/下降時の曲線上の荷重に相当。負荷損は、変形率50%のときの値から求めた。
【0104】
機械的ヒステリシス、パーセントで測定、荷重変位曲線の上昇時の曲線と、下降時の曲線とで囲まれた面積に相当。
【0105】
引張前の測定(Pre-stretch measurement)は、2回目のサイクルを行なっている間か、サンプルを1回100%伸長させた後に行った。
【表1】

【0106】
Table Iのデータから、炭化水素樹脂の添加により、対照不織布(C1またはC2)のゴム状の触感から、乾燥した触感となり、さらにシルク状の触感へと改良されることが分かる。乾燥した触感は、添加剤に依存する(実施例1から5)。しかし、触感は非常に主観的な試験であり、この物性を評価する標準試験法はないことに注意を要する。
【実施例2】
【0107】
繊維のカレンダー加工を74℃で行なった点を除き、実施例1と同様の材料と方法で、別の繊維と不織布を調製した。Table IIに、用いた成分と、繊維を加工したときの条件と、繊維の物性を示す。
【表2】

【0108】
Table IIのデータから、炭化水素樹脂触感改良剤の添加により、乾燥した触感と、機械方向の伸びが改善されることが分かる(実施例C3と実施例6)。
【0109】
この発明の更なる実施形態は以下の通りである。
A. (a)約5重量%から約35重量%のα−オレフィン由来のユニットを含み、DSCで測定した融解熱量が80J/g未満のプロピレンベースのエラストマーと、
(b)MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が約3から約300dg/分で、DSCで測定した融解熱量が80J/gより大きいプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、
(c)(i) MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が400dg/分を超える高MFRの熱可塑性樹脂、(ii)炭化水素樹脂、(iii)ポリオレフィンワックス、(iv)官能化された炭化水素樹脂、(v) 官能化されたポリオレフィン、及び、(vi)これらの2種類以上の組合せ、からなる群から選択される触感改良剤と、
(d)任意成分の滑り助剤と、から成る組成物から製造された不織布。

B. プロピレンベースのエラストマーの結晶化度が40%未満である、A項に記載の不織布。

C. プロピレンベースのエラストマーの融点が110℃未満である、AまたはB項に記載の不織布。

D. プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのMFRが約5から約100dg/分である、AからC項のいずれか1項に記載の不織布。

E. 触感改良剤が炭化水素樹脂である、AからD項のいずれか1項に記載の不織布。

F. 炭化水素樹脂の軟化点が約10℃から約180℃である、E項に記載の不織布。

G. 炭化水素樹脂の軟化点が約60℃から約130℃である、EまたはF項に記載の不織布。

H. 炭化水素樹脂のガラス転移温度(ASTM D 341−88)が30℃より高い、EからG項のいずれか1項に記載の不織布。

I. 炭化水素樹脂のガラス転移温度(ASTM D 341−88)が50℃より高い、EからH項のいずれか1項に記載の不織布。

J. 触感改良剤が高MFR熱可塑性樹脂である、AからI項のいずれか1項に記載の不織布。

K. 高MFR熱可塑性樹脂のMFRが、少なくとも600dg/分である、J項に記載の不織布。

L. 高MFR熱可塑性樹脂のMFRが、少なくとも1000dg/分である、JまたはK項に記載の不織布。

M. 触感改良剤が官能化された炭化水素樹脂である、AからL項のいずれか1項に記載の不織布。

N.触感改良剤が官能化されたポリオレフィンである、AからL項のいずれか1項に記載の不織布。

O. 触感改良剤がポリオレフィンワックスである、AからL項のいずれか1項に記載の不織布。

P. 組成物に滑り助剤が含まれる、AからO項のいずれか1項に記載の不織布。

Q. 組成物が、組成物の全重量を基準として、約1から約99重量パーセントのプロピレンベースのエラストマーと、約99から約1重量パーセントのプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、約0から約50000ppmの滑り助剤と、約0.1から約50重量パーセントの触感改良剤とから成る、AからP項のいずれか1項に記載の不織布。

R. 組成物がさらに、イソパラフィン、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、及びこれらの2種類以上の組合せを含む、AからQ項のいずれか1項に記載の不織布。
【0110】
当業者であれば、この発明の範囲と精神から離れない範囲での種々の変更や改良が容易に理解できよう。この発明は前記の実施例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約5重量%から約35重量%のα−オレフィン由来のユニットを含み、DSCで測定した融解熱量が80J/g未満のプロピレンベースのエラストマーと、
(b)MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が約3から約300dg/分で、DSCで測定した融解熱量が80J/gより大きいプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、
(c)(i) MFR(ASTM D−1238,2.16 kg,230℃)が400dg/分を超える高MFRの熱可塑性樹脂、(ii)炭化水素樹脂、(iii)ポリオレフィンワックス、(iv)官能化された炭化水素樹脂、(v) 官能化されたポリオレフィン、及び、(vi) これらの2種類以上の組合せ、からなる群から選択される触感改良剤と、
(d)任意成分の滑り助剤と、から成る組成物から製造された不織布。
【請求項2】
プロピレンベースのエラストマーの結晶化度が40%未満である、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
プロピレンベースのエラストマーの融点が110℃未満である、請求項1または2に記載の不織布。
【請求項4】
プロピレンベースの熱可塑性ポリマーのMFRが約5から約100dg/分である、請求項1から3のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項5】
触感改良剤が炭化水素樹脂である、請求項1から4のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項6】
炭化水素樹脂の軟化点が約10℃から約180℃である、請求項5に記載の不織布。
【請求項7】
炭化水素樹脂の軟化点が約60℃から約130℃である、請求項5または6に記載の不織布。
【請求項8】
炭化水素樹脂のガラス転移温度(ASTM D 341−88)が30℃より高い、請求項5から7のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項9】
炭化水素樹脂のガラス転移温度(ASTM D 341−88)が50℃より高い、請求項5から8のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項10】
触感改良剤が高MFR熱可塑性樹脂である、請求項1から9のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項11】
高MFR熱可塑性樹脂のMFRが、少なくとも600dg/分である、請求項10に記載の不織布。
【請求項12】
高MFR熱可塑性樹脂のMFRが、少なくとも1000dg/分である、請求項10または11に記載の不織布。
【請求項13】
触感改良剤が官能化された炭化水素樹脂である、請求項1から12のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項14】
触感改良剤が官能化されたポリオレフィンである、請求項1から12のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項15】
触感改良剤がポリオレフィンワックスである、請求項1から12のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項16】
組成物に滑り助剤が含まれる、請求項1から15のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項17】
組成物が、組成物の全重量を基準として、約1から約99重量パーセントのプロピレンベースのエラストマーと、約99から約1重量パーセントのプロピレンベースの熱可塑性ポリマーと、約0から約50000ppmの滑り助剤と、約0.1から約50重量パーセントの触感改良剤とから成る、請求項1から16のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項18】
組成物がさらに、イソパラフィン、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、及びこれらの2種類以上の組合せを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の不織布。

【公表番号】特表2010−516858(P2010−516858A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547234(P2009−547234)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/084632
【国際公開番号】WO2008/094337
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】