説明

プロピレン系ブロック共重合体

【目的】重合体粒子の状態で50℃〜70℃と比較的高温にした場合にも優れた流動性を示し、重合体粒子を堆積して放置しておいた時にも、その荷重によって部分的または全体が塊状になることはなく、耐衝撃性、耐熱性及び機械的強度に優れたブロック共重合体を得る。
【構成】ポリブテン成分、ポリプロピレン成分、及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重合体であって、ポリブテン成分が0.01〜5重量%、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が25〜98.99重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単位を15〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位を85〜20モル%含むランダム共重合体で構成されてなり、且つ分子量1万以下の成分の割合が1.0重量%以下であり、重量平均分子量が60万以上であるプロピレン系ブロック共重合体。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形品とした場合の柔軟性、及び低温衝撃性に優れ、重合槽から得られた重合体粒子の流動性の優れたプロピレン系ブロック共重合体に関し、更に詳しくは、非晶性重合体を多く含むにも係わらず粒子の固結防止性に優れ、且つ粒子が高温となった場合にも流動性が低下しないプロピレン系ブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエチレン−プロピレンゴム(以下、「EPR」と略称する。)は、バナジウム系触媒を用いた溶液重合法で製造されるのが一般的であり、重合活性が低く生産性に劣るという問題があった。加えて生成したポリマーの分離、乾燥工程に複雑なプロセスを要し、経済的に極めて不利であった。更にEPRからなる成形品は、べたつき感を有し、耐熱性、機械的強度も十分でないという欠点も有していた。
【0003】かかる物性を改良するために、結晶性ポリオレフィンをブレンドしてなるオレフィン系エラストマーもすでに提案されているが、これはEPRの高価格に加え、ブレンド工程も要すことから経済的、エネルギー的に極めて不利な材料となっている。
【0004】上記の課題を解決するために、結晶性ポリオレフィン成分とエチレンプロピレン共重合体成分を重合により一挙に製造する方法が種々提案されている。
【0005】しかしながら、上記の方法により得られた共重合体は粒子状で得られるものの、その流動性は乏しく、とりわけ重合槽より得られた重合体粒子を堆積放置した場合、その荷重により固結し塊状となるために、貯蔵、移送工程でトラブルの原因となったり、また、煩雑な操作が必要になるという問題があった。更に、該重合体粒子は比較的低温、例えば常温付近では流動性を示すものの非晶性重合体部分を多く含むため比較的高温、例えば50〜70℃になると著しく粘着し流動性が低下するという欠点を有していた。
【0006】一般に重合は50〜80℃の温度範囲で実施されるため、重合槽からの排出時、フラッシュタンク及び貯蔵タンクへの移送時、さらに乾燥工程などでは重合体粒子の温度は、通常50〜70℃の範囲となる。従って、上記のように50〜70℃での重合体粒子の粘着は該重合体粒子の工業的規模での取扱いにおいて重大なトラブルの原因となっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課題を解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレン共重合体成分を含んでなるプロピレン系ブロック共重合体が該目的を達成することのできる材料であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重合体であって、ポリブテン成分が0.01〜5重量%、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が25〜98.99重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単位を15〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位を85〜20モル%含むランダム共重合体で構成されてなり、且つ分子量1万以下の成分の割合が1.0重量%以下であり、重量平均分子量が60万以上であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体である。
【0009】本発明のプロピレン系ブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」と略称する。)は、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレン共重合体成分よりなる。ポリブテン成分が他の成分、例えばポリエチレン成分で代わると重合により得られた重合体粒子の固結性、高温時の流動性が乏しく、本発明の目的物とはなり得ない。
【0010】本発明のブロック共重合体におけるポリブテン成分、ポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分それぞれの成分割合は、ポリブテン成分が0.01〜5重量%、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が25〜98.99重量%である。
【0011】本発明においてポリブテン成分は重合体粒子の粒子性状を良好とするために必須である。特に、後述するポリプロピレン成分の含量が少ないとき、例えば、30重量%以下のときには得られる重合体粒子が粘着しやすくなるが、そのようなときにもポリブテン成分の存在により、良好な流動性の重合体粒子とすることができる。ポリブテン成分が0.01重量%未満である場合、重合により得られた重合体粒子が堆積放置された場合、その荷重により固結し、更に共重合体粒子が50〜70℃となった場合に著しく流動性に劣るために好ましくない。一方、ポリブテン成分が10重量%をこえる場合、却ってブロック共重合体の流動性が低下し好ましくない。ポリブテン成分の割合は、重合体粒子のより良好な流動性を勘案すると0.04〜3重量%の範囲が好ましい。
【0012】また、プロピレン成分が1重量%よりも少ないとブロック共重合体からなる成形品の強度及び耐熱性が低下する。ポリプロピレン成分の割合が70重量%をこえると、成形品の低温衝撃性が低下し、所期の目的のブロック共重合体を得ることができない。ポリプロピレン成分は、機械的強度、耐熱性および低温衝撃性等を勘案すると、3〜60重量%の範囲であることが好ましく、30重量%以下のときには柔軟性および透明性が良好となる。
【0013】さらにエチレン−プロピレンランダム共重合体成分は25〜98.99重量%である。上記成分が25重量%未満のときは低温衝撃性に劣り、98.99重量%を超えると、成形品の強度及び耐熱性などの機械的物性に劣り好ましくない。エチレン−プロピレンランダム共重合体成分は低温衝撃性や強度、耐熱性を勘案すると、40〜97重量%の範囲であることが好ましい。
【0014】本発明のブロック共重合体には、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のいづれかひとつ以上に、本発明のブロック共重合体の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィンが少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含まれていてもよい。
【0015】本発明のブロック共重合体は、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の少なくとも2種以上が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共重合体の分子鎖と、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成できない程度にミクロに混合しているものと考えられる。
【0016】本発明のブロック共重合体中のポリブテン成分は、ブロック共重合体の粒子の固結防止、高温時の流動性を良好にするためには、アイソタクティシティが0.90以上であることが好ましい。ポリ1−ブテンのアイソタクティシティは13C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻(1984年)716〜726頁に基づいて帰属を行ったときのmmの値である。
【0017】前記のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれ含有割合は、エチレンに基づく単量体単位15〜80モル%、好ましくは15〜60モル%、より好ましくは20〜50モル%である。プロピレンに基づく単量体単位は85〜20モル%、好ましくは85〜40モル%、より好ましくは80〜50モル%である。エチレンに基づく単量体単位の含有割合が15モル%未満であり、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が85モル%をこえる場合、成形品の柔軟性及び耐衝撃性が十分でなくなり好ましくない。一方、エチレンに基づく単量体単位の含有割合が80モル%をこえ、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が20モル%未満である場合、成形品の強度及び耐熱性が十分でなくなり好ましくない。
【0018】本発明のブロック共重合体は、重合により流動性に優れた粉状体で得られる。これは、本発明のブロック共重合体と同様のエチレン含量である従来のプロピレン−エチレンランダム共重合体が粒子同士の粘着により、塊状で得られることを考えると驚異的なことである。
【0019】共重合体を粉状で得るためには、低分子量の成分量を少なくする必要がある。本発明のブロック共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略称する。)で測定した溶出曲線において、分子量1万以下の成分の割合を通常1.0重量%以下、好ましくは0.6重量%以下とすることで粉状を保持しうる。そして、ブロック共重合体の低分子量の成分を少なくする方法の一つは、相対的に重量平均分子量を高めることによって達成しうる。本発明のブロック共重合体の重量平均分子量は、少なくとも60万以上、通常80万以上、好ましくは100万以上、より好ましくは130〜700万、最も好ましくは150〜300万である。重量平均分子量が前記の範囲内にあると、共重合体の形態が粉状となりやすい。尚、本発明における重量平均分子量は、GPCにより測定され、ポリスチレンで求められた検量線を基に換算された値である。
【0020】本発明のブロック共重合体は粉状体で得られ、その平均粒径は特に限定されないが、通常、100〜1000μm、好ましくは100〜800μmの範囲のものが好ましい。また、粒度分布は特に制限されないが、通常比較的狭く、具体的には粒径が100μm以下の粉状体の割合が1重量%以下であり、且つ粒径が1000μm以上、好ましくは粒径が800μm以上の粉状体の割合が1重量%以下であると好適である。
【0021】本発明のブロック共重合体を確認する方法は、例えば次の通りである。
【0022】本発明のブロック共重合体の13C−核磁気共鳴(以下「NMR」という。)スペクトルを測定すると、11ppm付近、35ppm付近、40.5ppm付近にピークが観測される。前記11ppm付近のピークは、下記(i)
【0023】
【化1】


【0024】のブテン単量体単位のC1の炭素に由来するものである。また、前記35ppm付近のピークは、上記式(i)のC2の炭素に由来するものである。さらに、40.5ppm付近のピークは、上記式(i)のC3の炭素に由来するものである。
【0025】13C−NMRスペクトルを測定すると、上記のピーク以外に、45.5〜47.5ppm付近、37〜39ppm付近、33〜34ppm付近、24.5〜25.5ppm付近にピークが観測される。前記45.5〜47.5ppm付近のピークは、下記式(ii)
【0026】
【化2】


【0027】のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のC1の炭素に由来するものである。また、37〜39ppm付近のピークは、上記式(ii)のC2の炭素に由来するものである。さらに、33〜34ppm付近のピークは、上記式(ii)のC3の炭素に由来するものである。このピークは、エチレンに基づく単量体単位(E)とプロピレンに基づく単量体単位(P)がEPEとなるように連結した場合に現れるピークである。またさらに、24.5〜25.5ppm付近のピークは、上記式(ii)のC4の炭素に由来するものである。このピークは、EとPがPEPとなるように連結した場合に現れるピークである。従って、前記の33〜34ppm付近のピーク及び24.5〜25.5ppm付近のピークが共に観測されることによって、エチレンとプロピレンがランダム共重合していることが確認される。
【0028】本発明のブロック共重合体の13C−NMRスペクトルからは、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分及びポリブテン成分のそれぞれの割合、及び該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合が算出される。
【0029】次に、本発明のブロック共重合体について示差走査熱分析(以下「DSC」と略称する。)を行うと、ピークが155〜165℃の範囲で現れる。このピークは、該ブロック共重合体中のポリプロピレン成分の融点(Tm(℃))に基づくものである。そして、該融点における融解熱の大きさは、該ブロック共重合体中のポリプロピレン成分の含有割合により決まり、該ポリプロピレン成分が70重量%以下で含まれている場合、該融解熱は70mJ/mg以下の範囲で測定される。
【0030】本発明のブロック共重合体は、いかなる方法によって得てもよい。特に好適に採用される方法を例示すれば次の方法である。
【0031】即ち、下記成分A及びB、または、さらにCおよび/またはDA.チタン化合物B.有機アルミニウム化合物C.電子供与体D.一般式(iii)
R−I (iii)
(但し、Rはヨウ素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基又はフェニル基である。)で示されるヨウ素化合物の存在下にプロピレンを0.1〜500gポリマー/g・Ti化合物の範囲となるように予備重合を行い、触媒含有予備重合体を得て、次いで該触媒含有予備重合体の存在下に1−ブテンの重合及びプロピレンの重合を経て、プロピレンとエチレンとの混合物のランダム共重合を順次行い高分子量の粉状物を得る方法が好適である。
【0032】また、ブロック共重合体を粉状物として得るためにはブロック共重合体中の低分子量重合体、例えば、分子量が1万以下の重合体の割合が1.0重量%以下となるように制御することは重要な要件の一つである。そのためにブロック共重合体は、一般に製造される分子量20〜30万のエチレン−プロピレンゴム、分子量10〜50万の結晶性ポリプロピレン等に比べると著しく分子量を大きくすることが好ましく、通常は重量平均分子量が少なくとも60万以上、通常80万以上、好ましくは100万以上、より好ましくは130〜700万、最も好ましくは150〜300万のものとすることが好ましい態様である。
【0033】かかる目的物を得るためには予備重合及び本重合の条件、使用触媒の組み合わせ、重合順序等を下記の説明の如く好ましくは選定する必要がある。
【0034】上記ブロック共重合体の製造方法における予備重合で用いられるチタン化合物〔A〕は、オレフィンの重合に使用されることが公知のチタン化合物が何ら制限なく採用される。この触媒の製法は、公知の方法が何ら制限なく採用される。例えば、特開昭56-155206号公報、同56-136806、同57-34103、同58-8706、同58-83006、同58-138708、同58-183709、同59-206408、同59-219311、同60-81208、同60-81209、同60-186508、同60-192708、同61-211309、同61-271304、同62-15209、同62-11706、同62-72702、同62-104810等に示されている方法が採用される。具体的には、例えば、四塩化チタンを塩化マグネシウムのようなマグネシウム化合物と共粉砕する方法、アルコール、エーテル、エステルケトン又はアルデヒド等の電子供与体の存在下にハロゲン化チタンとマグネシウム化合物とを共粉砕する方法、又は溶媒中でハロゲン化チタン、マグネシウム化合物及び電子供与体を接触させる方法が挙げられる。
【0035】また、該チタン化合物は上記担持型触媒の他に公知のα、β、γまたはδ−三塩化チタンも好適に用いられる。これらのチタン化合物の調製方法は、例えば、特開昭47-34478号公報、同50-126590、同50-114394、同50-93888、同50-123091、同50-74594、同50-104191、同50-98489、同51-136625、同52-30888、同52-35283等に示されている方法が採用される。
【0036】次に有機アルミニウム化合物〔B〕も、オレフィンの重合に使用されることが公知の化合物が何ら制限なく採用される。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−nプロピルアルミニウム、トリ−nブチルアルミニウム、トリ−iブチルアルミニウム、トリ−nヘキシルアルミニウム、トリ−nオクチルアルミニウム、トリ−nデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類:ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド等のジエチルアルミニウムモノハライド類:メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムハライド類などが挙げられる。他のモノエトキシジエチルアルミニウム、ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルミニウム類を用いることができる。
【0037】さらに、電子供与体〔C〕は、オレフィンの立体規則性改良に使用されることが公知の化合物が何ら制限なく採用される。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコールなどのアルコール類;フェノール、クレゾール、クミルフェノール、キシレノール、ナフトールなどのフェノール類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどのケトン類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル、アニス酸メチル、フタル酸エチル、炭酸メチル、ブチロラクトンなどの有機酸エステル類;ケイ酸エチル、フェニルトリエトキシシランなどのケイ酸エステル類;メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、イソアミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミド、マレイン酸アミドなどのアミド類等の含酸素電子供与体:また、メチルアミン、エチルアミン、ピペリジン、ピリジン、アニリンなどのアミン類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;イソシアナート等の含窒素電子供与体:含硫黄電子供与体:および含リン電子供与体などをあげることができる。
【0038】本発明においては、上記したチタン化合物〔A〕、有機アルミニウム化合物〔B〕及び電子供与体〔C〕に加えて、一般式(iii)で示されるヨウ素化合物〔D〕を用いると、得られるブロック共重合体の低分子重合体、例えば、分子量1万以下の重合体の量が著しく少なくなってブロック共重合体に高流動性を付与できるメリットがあるためしばしば好適である。
【0039】本発明で好適に使用し得るヨウ素化合物を具体的に示すと次のとおりである。例えば、ヨウ素、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨードベンゼン、p−ヨウ化トルエン等である。特にヨウ化メチル、ヨウ化エチルは好適である。
【0040】前記〔A〕及び〔B〕、さらに必要に応じて使用される〔C〕及び/または〔D〕の各成分の使用量は、触媒の種類、予備重合の条件に応じて異なるため、これらの各条件に応じて最適の使用量を予め決定すればよい。一般的に好適に使用される範囲を例示すれば下記の通りである。
【0041】即ち、有機アルミニウム化合物〔B〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対してAl/Ti(モル比)で0.1〜100、好ましくは0.1〜20の範囲が、また必要に応じて使用される電子供与体〔C〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対して〔C〕/Ti(モル比)で0.01〜100、好ましくは0.01〜10の範囲がそれぞれ好適である。また、必要に応じて使用されるヨウ素化合物〔D〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対してI/Ti(モル比)で0.1〜100、好ましくは0.5〜50の範囲が好適である。
【0042】本発明における前記予備重合は得られるブロック共重合体の粒子性状を制御する意味で重要な要因となる。前記触媒成分の存在下にプロピレンを重合する予備重合で得られる重合体は予備重合条件等によって異なるが、一般に0.1〜500g/g・Ti化合物、好ましくは1〜100g/g・Ti化合物の範囲から選べば十分である。また予備重合で使用するプロピレンはプロピレン単独のモノマーを使用するのが得られるブロック共重合体の粒子性状の制御面で好適であるが、該ブロック共重合体の物性に悪影響を及ぼさない範囲で例えば5モル%以下の他のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1等を混合することは許容されうる。また、各予備重合の段階で水素を共存させることも可能である。
【0043】該予備重合は通常スラリー重合を適用させるのが好ましく、溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの飽和脂肪族炭化水素若しくは芳香族炭化水素を単独で、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。該予備重合温度は、−20〜100℃、特に0〜60℃の温度が好ましい。予備重合時間は、予備重合温度及び予備重合での重合量に応じ適宜決定すればよく、予備重合における圧力は、限定されるものではないが、スラリー重合の場合は、一般に大気圧〜5kg/cm2G程度である。該予備重合は、回分、半回分、連続のいずれの方法で行ってもよい。
【0044】予備重合終了後はそのまま後述する1−ブテンの重合に供することもできる。また前記溶媒で洗浄した後、1−ブテンの重合に供することもできる。
【0045】前記予備重合に次いで本重合が実施される。本重合は前記予備重合で得られた触媒含有予備重合体の存在下に先ず1−ブテンの重合が、次にプロピレンの重合を経て、プロピレン−エチレンのランダム共重合がそれぞれ実施される。
【0046】本発明における本重合で使用する触媒は前記予備重合で使用したのと同じ触媒成分及びその組み合わせ又は、本重合工程で化学的変性を施して使用するとよい。また各触媒成分は予備重合時に使用したものをそのまま使用することも出来るが、一般にはチタン化合物以外は本重合時に新たに添加して調節するのが好ましい。
【0047】本重合で用いられる有機アルミニウム化合物は、前述の予備重合に用いたものが使用できる。有機アルミニウム化合物の使用量は触媒含有予備重合体中のチタン原子に対し、Al/Ti(モル比)で、1〜1000、好ましくは2〜500である。
【0048】さらに、必要により用いられる電子供与体もまた既述の化合物が何ら制限なく採用される。本重合で用いる電子供与体の使用量は触媒含有予備重合体中のTi原子に対し〔C〕/Ti(モル比)で0.001〜1000、好ましくは0.1〜500である。更にまた必要に応じて使用されるヨウ素化合物は触媒含有予備重合体中のチタン原子に対してI/Ti(モル比)で0.1〜100好ましくは0.5〜50である。
【0049】本発明の本重合は、まず1−ブテンが上記触媒含有予備重合体、有機アルミニウム化合物、必要に応じて電子供与体及び/またはヨウ素化合物の触媒成分の存在下に行われる。1−ブテンの重合は気相重合で実施してもよいが、一般に前記溶媒中で溶液重合又は1−ブテン媒体中でのスラリー重合を実施するとよい。該重合温度は−20〜100℃特に0〜60℃の温度が好ましい。重合時間は、温度及び重合量により適宜決定すればよいが、一般には15分〜3時間の範囲から選べばよい。重合圧力は特に限定されるものではなく、溶液重合の場合、一般に大気圧〜5Kg/cm2G程度である。
【0050】1−ブテンの重合のその他の条件は、本発明の効果が達成される限り適宜選んで実施すればよいが、一般には得られるブロック共重合体を高分子量とし、且つ分子量1万以下の重合体を1.0重量%以下とするように各条件を選定すると好ましい。さらに、タクティシィティーがmm(トリアッド)で0.90以上となるように各条件を選定することができる。1−ブテンの重合量は0.1〜500g/g・Ti化合物、好ましくは1〜200g/g・Ti化合物となるように選べば十分である。前記重合条件は得られるブロック共重合体中にポリブテン成分が0.01〜5重量%の範囲となるように予め決定するとよい。
【0051】本発明で得られるブロック共重合体は固結防止性及び50〜70℃での流動性に優れた粒子となるが、そのために該1−ブテンは単独重合体となる態様が最も好ましい。しかしながら、該性状が悪影響をうけない範囲で1−ブテン以外のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、3−メチルブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等を混合した状態で共重合することは許容される。該許容量は種々の重合条件によって異なるが、一般には他のα−オレフィンが5モル%以下の混合割合となるように選ぶのが好適である。また該1−ブテンの重合に際しては必要に応じて分子量調節剤として水素を共存させて実施することができる。
【0052】上記1−ブテンの重合に次いで、プロピレンの重合が実施される。プロピレンの重合は、プロピレンと5モル%までの許容され得るα−オレフィンの混合物を供給して実施すればよい。プロピレンの重合は上記の1−ブテンの重合と同様にして実施することができる。該プロピレンの重合条件を例示すると、重合温度は、ブロック共重合体の嵩比重を大きくするためになるべく低温で行うのが好ましく、例えば80℃以下、さらに20〜70℃の範囲から採用することが好適である。また必要に応じて分子量調節剤として水素を共存させることもできる。更にまた、重合はプロピレン及びエチレン自身を溶媒とするスラリー重合、気相重合、溶液重合等のいずれの方法でもよい。プロセスの簡略性、更には、反応速度、また生成するブロック共重合体の粒子性状を勘案するとプロピレン自身を溶媒とするスラリー重合が最も好ましい態様である。重合形式は、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でもよく、更に重合を条件の異なる2段以上に分けて行うこともできる。
【0053】上記プロピレンの重合は、目的物が粉状で得られる限り適宜その条件を選んで実施すればよいが、一般には得られるブロック共重合体を高分子量とし、且つ分子量1万以下の重合体が1.0重量%以下となるように各条件を選定すると好ましい。
【0054】前記1−ブテンの重合とプロピレン−エチレンランダム共重合との間に上記プロピレンの重合を実施する利点は、前記の如く得られる粉状ブロック共重合体の流動性を改良でき、しかも得られるブロック共重合体の加工品の機械的強度、耐熱性をアップできることである。
【0055】次に、プロピレン−エチレンランダム共重合が行われる。プロピレン−エチレンランダム共重合は、プロピレンに基づく単量体単位が20〜85モル%、好ましくは40〜85モル%及びエチレンに基づく単量体単位が15〜80モル%、好ましくは15〜60モル%の範囲となるようにプロピレンとエチレンとを混合して用いればよい。そのためにプロピレンとエチレンとの混合割合がガス状態でのエチレン濃度で7〜50モル%、好ましくは10〜40モル%となるように選べば好適である。その他の条件は、上記のプロピレンの重合と同様の条件を採用することができる。
【0056】本重合の終了後には、重合系からモノマーを蒸発させ粒子状ポリマーを得ることができる。
【0057】本発明のブロック共重合体は、射出成形、押出成形、プレス成形など各種の成形法により種々の形状を有する成形品にすることができる。成形に際し、本発明のブロック共重合体に、従来のポリオレフィンに用いられている各種の添加剤及び成形助剤を添加することはしばしば好適な態様となる。
【0058】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体は、重合体粒子の状態で50℃〜70℃と比較的高温にした場合にも優れた流動性を示し、50℃〜70℃における重合体粒子の落下秒数は60秒以下、好ましくは30秒以下である。また、本発明のブロック共重合体は、重合体粒子を堆積して放置しておいた時にも、その荷重によって部分的または全体が塊状になることはない。
【0059】従って、本発明によれば、耐衝撃性、耐熱性及び機械的強度に優れ、しかも粒子性状のよいブロック共重合体を得ることができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を揚げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】以下の実施例において用いた測定方法について説明する。
【0062】1)重量平均分子量、分子量1万以下の割合は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)法により測定した。ウォーターズ社製GPC−150CによりO−ジクロルベンゼンを溶媒とし、135℃で行った。用いたカラムは、東ソー製TSK gel GMH6−HT、ゲルサイズ10〜15μである。較正曲線は標準試料として重量平均分子量が950,2900,1万、5万、49.8万、270万、675万のポリスチレンを用いて作成した。
【0063】2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれ割合の測定方法及びポリブテン成分の割合の測定方法13C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。即ち、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合は、まず、ポリマー(Polymer)第29巻(1988年)1848頁に記載された方法により、ピークの帰属を決定し、次にマクロモレキュールズ(Macromolecules)第10巻(1977年)773頁に記載された方法により、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合を算出した。
【0064】次いで,プロピレンに基づいて単量体単位中のメチル炭素に起因するピークと、ポリブテン成分中のメチル炭素に起因するピークとの積分強度比からポリブテン成分の重量と割合を算出した。
【0065】3)ポリ1−ブテンのアイソタクティシィティーの測定13C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻(1984年)716〜726頁に基づいて行った。
【0066】4)硬度JIS K6301に準じて行った。
【0067】5)曲げ弾性率ASTM D−790に準じて行った。
【0068】6)−20℃アイゾット衝撃ASTM D−256に準じて、−20℃で測定した。
【0069】7)粒度分布目開き75,125,250,355,500,710,1180μmのふるいに、重合体粒子約5gを装填しふるい振とう機に10分間かけ分級した。
【0070】8)70℃における落下秒数底部中央に直径10mmの出口を有し、高さ175mm、上部円筒部の内径が68mm、円筒部の高さが60mmの形状を有する金属製ロートに予め70℃に保温された重合体粒子100mlを入れ、横方向に2mm巾の振動を与えながら重合体粒子を排出させ、全量が排出するのに要する時間を測定した。
【0071】9)固結性の評価重合終了後、モノマー分離された重合体粒子約100gを直径8cm、高さ15cmの500ccビーカーにとり、室温で1週間放置させた後の状態を観察した。判定基準は下記の5ランクによった。
【0072】A:放置前とほとんど変化がなく固結は全くない。
【0073】B:底部が固結した状態にあるが衝撃を加えるとほぐれる状態C:全体的に固結しているが衝撃を加えると全部がほぐれる状態D:全体的に固結しており、衝撃を加えても全部がほぐれない状態E:著しく固結しており、塊状となって動かない状態10)透明性射出成形により、80mm×50mm×1mmtの板に成形した後、48時間後にJIS K6714に準じて1mmtのヘイズを測定した。
【0074】実施例1(予備重合)撹拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製「TOS−17」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されていた。
【0075】(本重合)
工程1:1−ブテンの重合撹拌機を備えた内容量1リットルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライド18.15mmol、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、予備重合で得られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チタンとして22.7mmolを加えた後、1−ブテンを三塩化チタン1g当たり15gとなるように2時間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。1−ブテンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで置換し、チタン含有ポリ1−ブテン重合体を得た。分析の結果、三塩化チタン1g当たり14gの1−ブテンが重合されていた。
【0076】工程2:プロピレンの重合及びプロピレンエチレンの共重合N2置換を施した2リットルのオートクレーブに、液体プロピレンを1リットル、ジエチルアルミニウムクロライド0.70mmolを加え、オートクレーブの内温を70℃に昇温した。チタン含有ポリ1−ブテン重合体を三塩化チタンとして0.087mmol加え、70℃で60分間のプロピレンの重合を行った。この間水素は用いなかった。次いでオートクレーブの内温を急激に55℃に降温すると同時にエチルアルミニウムセスキエトキシド(Et3Al2(OEt)3)0.50mmol及びメタクリル酸メチル0.014mmolの混合溶液を加え、エチレンを供給し、気相中のエチレンガス濃度が、15mol%となるようにし、55℃で120分間のプロピレンとエチレンの共重合を行った。この間のエチレンガス濃度はガスクロマトグラフで確認しながら15mol%を保持した。この間水素は用いなかった。重合終了後、未反応モノマーをパージし、粒子性の重合体を得た。重合槽内及び撹拌羽根への付着は全く認められなかった。収量は140gであり、全重合体の重合倍率は7370g−ポリマー/g−三塩化チタンであった。
【0077】また別に上記のプロピレンだけの重合を行った結果、上記70℃、60分間で、三塩化チタン1g当たり、1030gのプロピレンが重合されていた。この結果、ブロック共重合体中のポリブテン成分は0.19wt%、及びポリプロピレン成分は14wt%であることがわかる。結果を表1および表2に示した。
【0078】実施例2,3実施例1の1−ブテンの重合に於いて、1−ブテンの重合量を三塩化チタン1g当たり、3g、50gとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0079】結果を表1および表2に示した。
【0080】実施例4,5実施例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重合を60℃で10分間、及び60℃で30分間とした以外は実施例1と同様の操作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重合倍率はそれぞれ240g−PP/g−TiCl3及び540g−PP/g−TiCl3であった。結果を表1および表2に示した。
【0081】実施例6,7実施例1のプロピレンの重合に於いて、気相中のエチレンガス濃度が5mol%、20mol%となるように行った以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0082】実施例8実施例1のプロピレンの重合に於いて、水素ガスを気相中の水素ガス濃度が14mol%となるように60℃で60分の重合を行い、所定のプロピレン重合終了後に、一旦未反応モノマー及び水素をパージし、再びプロピレンを装入し、エチルアルミニウムセスキエトキシド(Et3Al2(OEt)3)及びメタクリル酸メチルを加え、さらにプロピレンとエチレンの共重合を55℃で1時間行った以外は実施例1と同様の操作を行った。別途の重合実験でプロピレンの重合倍率は2200g−PP/g−TiCl3であった。結果を表1および表2に示した。
【0083】実施例9実施例1のプロピレンとエチレンの共重合に於いて水素ガスを0.15mol%として行った以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0084】実施例10,11実施例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重合を70℃で3時間、及び5時間とし、プロピレンとエチレンの共重合をそれぞれ55℃で90分、及び55℃で60分間行った以外は実施例1と同様の操作を行った。別途の重合実験で、この時の重合倍率は、それぞれ3000g−PP/g−TiCl3、5100g−PP/g−TiCl3であった。結果を表1および表3に示した。
【0085】比較例1実施例1の本重合に於いて1−ブテンの重合を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0086】比較例2,3実施例1の本重合に於いて1−ブテンの重合を三塩化チタン1g当たり0.3g、600gとした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0087】比較例4実施例1の本重合に於いて、1−ブテンの重合の代わりにを三塩化チタン1g当たり同量のエチレンを重合した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0088】比較例5実施例1のエチレンプロピレンの重合に於いて水素ガス濃度を14mol%とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および表2に示した。
【0089】比較例6実施例1のプロピレンの重合を70℃で5時間重合し、エチレンプロピレンの重合を55℃で15分間行った以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1および3に示した。
【0090】
【表1】


【0091】
【表2】


【0092】
【表3】


【0093】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた本発明のブロック共重合体の13C−NMRスペクトルのチャートである。
【図2】図2は、実施例1で得られた本発明のブロック共重合体の示差走査熱分析のチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリブテン成分、ポリプロピレン成分、及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重合体であって、ポリブテン成分が0.01〜5重量%、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が25〜98.99重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単位を15〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位を85〜20モル%含むランダム共重合体で構成されてなり、且つ分子量1万以下の成分の割合が1.0重量%以下であり、重量平均分子量が60万以上であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−287035
【公開日】平成5年(1993)11月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−85487
【出願日】平成4年(1992)4月7日
【出願人】(000003182)徳山曹達株式会社 (839)