説明

プロピレン系樹脂組成物

【課題】軽量で、引張強度や衝撃強度等の機械的強度が高められた成形体が得られる、プロピレン系樹脂組成物とそれから得られる成形体を提供。
【解決手段】平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維とプロピレン系樹脂が一体化された混合物(A)と、平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維とプロピレン系樹脂との混合物(B)を含有しており、炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜50質量%であり、炭素長繊維量≧炭素短繊維量の関係を満たしており、比重が1.5以下である、プロピレン系樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で、機械的強度の高い成形体が得られるプロピレン系樹脂組成物とそれから得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂に対して、炭素繊維やガラス繊維のような繊維状充填剤を配合した組成物が汎用されている。
【0003】
特許文献1には、炭素長繊維強化樹脂ペレットとその製造方法が記載されており、特許文献2には、熱可塑性樹脂、炭素長繊維、ガラス長繊維を含む導電性長繊維複合材が記載されている。これらは、いずれも長繊維のみを配合したものである。
【0004】
特許文献3には、長繊維炭素繊維強化樹脂ペレットと、ガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを含む樹脂組成物が記載されており、異なる材質からなる長繊維と短繊維の組み合わせが開示されている。
【0005】
特許文献4には、(A)ペレットと実質的に同一長さの強化繊維を含む長繊維強化熱可塑性樹脂ペレット、(B)重量平均繊維長が0.01〜0.5mmの強化繊維を含む短繊維強化熱可塑性樹脂ペレット、(C)難燃剤を含む成形用繊維強化難燃樹脂混合物が記載されている。実施例(表1)では、(A)成分として長繊維(炭素繊維)を含むポリアミド樹脂ペレット、(B)成分として短繊維(炭素繊維)を含むポリアミド樹脂ペレットを用いた実施例が示されている。しかし、(A)及び(B)成分を含む実施例1〜3と、(A)成分のみの比較例1を対比すると、比較例1の方が流動性は低下しているが、引張強度は大きくなっており、衝撃強度も同程度である。
【0006】
長繊維を含有した場合に流動性が低下し、長繊維に代えて短繊維を含有した場合に流動性が高くなるのは自明のことであるから、特許文献4では、炭素繊維からなる長繊維と短繊維を組み合わせたことによる効果は、流動性の改善という自明の効果と、引張強度や衝撃強度の低下が小さいという消極的効果である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−125581号公報
【特許文献2】特表2008−540818号公報
【特許文献3】特開2008−150485号公報
【特許文献4】特開2006−181776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量で、引張強度や衝撃強度等の機械的強度が高められた成形体が得られる、プロピレン系樹脂組成物とそれから得られる成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課題の解決手段として、
平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維とプロピレン系樹脂が一体化された混合物(A)と、
平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維とプロピレン系樹脂との混合物(B)を含有しており、
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜50質量%であり、炭素長繊維量≧炭素短繊維量の関係を満たしており、
比重が1.5以下である、プロピレン系樹脂組成物(以下「第1発明組成物」という)を提供する。
【0010】
また本発明は、課題の解決手段として、
平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維、平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維及びプロピレン系樹脂が一体化された混合物(C)を含有しており、
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜50質量%であり、炭素長繊維量≧炭素短繊維量の関係を満たしており、
比重が1.5以下である、プロピレン系樹脂組成物(以下「第2発明組成物」という)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物によれば、軽量であるが、高い機械的強度を有する成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1発明組成物>
第1発明組成物は、混合物(A)、混合物(B)、さらに必要に応じて添加される他の成分を含むものである。
【0013】
〔混合物(A)〕
混合物(A)は、平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維とプロピレン系樹脂が一体化されたものである。
【0014】
炭素長繊維の平均繊維長は、好ましくは4〜20mmであり、より好ましくは4〜11mmである。
【0015】
炭素長繊維は、引張強度が高いほど糸切れ無く安定して製造でき、かつ組成物の引張強度も高くなる。炭素長繊維の引張強度(測定方法:JIS K-7073)は、好ましくは3.5〜6.5GPaであり、より好ましくは4.5〜6.0GPaである。
【0016】
プロピレン系樹脂は、ポリプロピレン(ホモポリマー)が好ましいが、プロピレンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体も含まれる。前記共重合体の場合には、プロピレン単位が50モル%以上であることが好ましい。
【0017】
混合物(A)は、炭素長繊維にプロピレン系樹脂を含浸させ一体化させた樹脂含浸繊維束にすることが好ましい。なお、混合物(A)を樹脂含浸繊維束にしたときには、前記樹脂含浸繊維束の長さが炭素長繊維の長さになる。
【0018】
このような樹脂含浸繊維束は、炭素長繊維を長さ方向に揃えた状態で束ね、前記炭素長繊維束にプロピレン系樹脂を溶融させた状態で含浸させ、一体化した後に、所定長さに切断して得ることができる。
【0019】
より具体的には、ダイスを用いた周知の製造方法により製造することができ、例えば、特許文献2(特開平6−313050号公報)の段落番号7、特許文献3(特開2007−176227号公報)の段落番号23のほか、特公平6−2344号公報(樹脂被覆長繊維束の製造方法並びに成形方法)、特開平6−114832号公報(繊維強化熱可塑性樹脂構造体およびその製造法)、特開平6−293023号公報(長繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法)、特開平7−205317号公報(繊維束の取り出し方法および長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7−216104号公報(長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7−251437号公報(長繊維強化熱可塑性複合材料の製造方法および製造装置)、特開平8−118490号公報(クロスヘッドダイおよび長繊維強化樹脂構造物の製造方法)等に記載の製造方法を適用することができる。
【0020】
混合物(A)中の炭素長繊維とプロピレン系樹脂の割合は特に制限されるものではなく、例えば、混合物(A)中の炭素長繊維の含有割合は10〜60質量%程度にすることができる。
【0021】
〔混合物(B)〕
混合物(B)は、平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維とプロピレン系樹脂との混合物である。
【0022】
炭素短繊維の平均繊維長は、好ましくは0.1〜1mmであり、より好ましくは0.1〜0.5mmである。プロピレン系樹脂は、混合物(A)と同じものを用いることができる。
【0023】
炭素短繊維の引張強度(測定方法:JIS K-7073)は、好ましくは1.0〜5.4GPaであり、より好ましくは3.0〜4.6GPaであり、さらに好ましくは3.0〜4.0GPaである。
【0024】
混合物(B)は、炭素短繊維とプロピレン系樹脂が混合されたもの、前記混合物の成形体(円柱状のペレット等)が好ましく、長さが上限値程度である場合には、上記した樹脂含浸繊維束にすることもできる。
【0025】
なお、混合物(B)を前記ペレットにした場合には、次の方法により、平均繊維長を求める。ペレット中のプロピレン系樹脂を溶剤による溶解により除去し、炭素短繊維を取り出す。次に、光学又は電子顕微鏡観察を実施し、炭素短繊維の繊維長をn=1000個測定し、その測定結果から、重量平均繊維長を平均繊維長として評価する。
【0026】
混合物(B)中の炭素短繊維とプロピレン系樹脂の割合は特に制限されるものではなく、例えば、混合物(B)中の炭素短繊維の含有割合は5〜40質量%程度にすることができる。
【0027】
第1発明組成物は、別々に製造された混合物(A)と混合物(B)を混合して得ることができる。ここで混合物(A)は、炭素長繊維とプロピレン系樹脂が一体化された混合物(例えば、炭素長繊維にプロピレン系樹脂を含浸させ一体化させた樹脂含浸繊維束)であるから、混合物(A)と混合物(B)を均一になるように混合した場合でも、混合物(A)と混合物(B)は区別することができる。なお、必要に応じて、さらに混合物(A)、(B)に含まれているプロピレン系樹脂とは別にプロピレン系樹脂を追加配合することもできる。
【0028】
<第2発明組成物>
第2発明組成物は、混合物(C)、さらに必要に応じて添加される他の成分を含むものである。
【0029】
混合物(C)は、平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維、平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維及びプロピレン系樹脂が一体化されたものである。
【0030】
混合物(C)で用いる炭素長繊維とプロピレン系樹脂は、混合物(A)と同じものを用いることができ、混合物(C)で用いる炭素短繊維とプロピレン系樹脂は、混合物(B)と同じものを用いることができる。
【0031】
第2発明組成物は、混合物(A)と同じ製造方法にて、炭素長繊維にプロピレン系樹脂を含浸させ一体化させた樹脂含浸繊維束を製造後又は製造途中において、さらに炭素短繊維又は炭素短繊維とプロピレン系樹脂を添加して一体化する方法を適用することができる。なお、必要に応じて、さらに混合物(C)に含まれているプロピレン系樹脂とは別にプロピレン系樹脂を追加配合することもできる。
【0032】
本発明の組成物(第1発明組成物及び第2発明組成物)中の炭素長繊維、炭素短繊維、プロピレン系樹脂の含有割合は、以下のとおりにすることができる。
【0033】
組成物中に含有される炭素長繊維の含有割合は1〜30質量%であり、5〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0034】
組成物中に含有される炭素短繊維の含有割合は0.5〜20質量%であり、1〜20質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
【0035】
また組成物中に含有される炭素長繊維の割合は、炭素短繊維と同じ割合以上であり、炭素長繊維の方が炭素短繊維よりも多く含有されていることが好ましく、炭素長繊維の含有量が炭素短繊維の含有量の1.5〜8倍量の範囲がより好ましい。
【0036】
プロピレン系樹脂は、混合物(A)、(B)、(C)に含有されているプロピレン系樹脂の量と、必要に応じて追加配合されたプロピレン系樹脂の合計量であり、組成物中においては、炭素長繊維と炭素短繊維を除いた残部量で、全体を100質量%とする量である。
【0037】
本発明の組成物(第1発明組成物及び第2発明組成物)は、その他の成分として、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を含有することもできる
【0038】
本発明の組成物(第1発明組成物及び第2発明組成物)は、比重が1.5以下であるが、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.15以下、さらに好ましくは1以下、特に好ましくは1未満である。
【0039】
本発明の組成物(第1発明組成物及び第2発明組成物)から得られる成形体は、本発明の組成物を溶融混練した後、押出成形や射出成形等の周知の成形法を適用して得ることができる。得られた成形体では、プロピレン系樹脂中に炭素長繊維と炭素短繊維が均一に分散された状態になっている。
【0040】
本発明の組成物(第1発明組成物及び第2発明組成物)は、自動車部品(例えば、特開2003−105100号公報の段落0028に記載されている各種部品)、電気・電子部品、機械部品、摺動部品、吸音材、建築用の木材代替品、通信機器用筺体、放射線遮蔽材等の用途に好適である。特に本発明の組成物から得られた成形体は、軽量でかつ機械的強度が高いため、部品に成形したときの取り扱いも容易である。さらに、車両部品として適用した場合には走行時の燃費向上にも寄与することができるほか、従来品と同数の部品を運搬したときにおいても総重量が減少できるため、運搬時の燃費も向上させることができる。
【実施例】
【0041】
引張強さ(MPa):ISO 527−1に準拠
曲げ強さ(MPa):ISO 178に準拠
曲げ弾性率(MPa):ISO 178に準拠
シャルピー衝撃強度(KJ/m2):ISO179/1eAに準拠して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
HDT(1.8MPa)(℃):ISO 75に準拠
HDT(0.45MPa)(℃):ISO 75に準拠
【0042】
参考製造例1<混合物(A−1)>
炭素長繊維(トレカT700SC,引張強度4.9GPa)からなる繊維束(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PMB60A)を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、長さ11mmのペレット状(円柱状)成形体を得た。炭素長繊維長さは前記ペレット長さと同一となる。このようにして得た成形体は、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
参考製造例2<混合物(A−2)>
炭素長繊維(トレカT800SC,引張強度5.88GPa)からなる繊維束(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PMB60A)を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、長さ11mmのペレット状(円柱状)成形体を得た。炭素長繊維長さは前記ペレット長さと同一となる。このようにして得た成形体は、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
【0043】
参考製造例3<混合物(B−1)>
サンアロマー(株)製のPMB60Aを80質量%、東レ(株)のトレカチョップドストランドTS12(炭素短繊維;引張強度3.2Gpa)を20質量%の組成で、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却し、切断してペレットを得た(スクリュー回転数:400rpm、投入量:50kg時間)。炭素短繊維は、サイドフィードを用いて、途中から投入した。
【0044】
参考製造例4<混合物(B−2)>
サンアロマー(株)製のPMB60Aを60質量%、東レ(株)のトレカチョップドストランドTS12(炭素短繊維;引張強度3.2GPa)を40質量%の組成で、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却し、切断してペレットを得た(スクリュー回転数:400rpm、投入量:50kg/時間)。炭素短繊維は、サイドフィードを用いて、途中から投入した。
【0045】
参考製造例5<混合物(B−3)>
サンアロマー(株)製のPMB60Aを80質量%、東レ(株)のトレカミルドファイバーMLD-30(平均繊維長30μm,引張強度3.5GPa)を20質量%の組成で、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却し、切断してペレットを得た(スクリュー回転数:400rpm、投入量:50kg/時間)。炭素短繊維は、サイドフィードを用いて、途中から投入した。
【0046】
参考製造例6
サンアロマー(株)製のPMB60Aを60質量%、炭素長繊維(東レ(株)のトレカT800SC 引張強度5.88GPa)をウレタンサイズ剤で収束し、6mmカットしたものを40質量%の組成で、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、200℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却したが、ストランドが折れやすく採取できなかった。
【0047】
参考製造例7<混合物(C−1)>
炭素長繊維(東レ(株)のトレカT700SC,引張強度4.9GPa)からなる繊維束(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PMB60A)、東レ(株)のトレカチョップドストランドTS12の混合物を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、長さ11mmのペレット状(円柱状)成形体を得た。炭素長繊維の長さは前記ペレット長さと同一となる。このようにして得た成形体は、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
【0048】
参考製造例8<混合物(C−2)>
炭素長繊維(東レ(株)のトレカT800SC,引張強度5.88GPa)からなる繊維束(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PMB60A)、東レ(株)のトレカチョップドストランドTS12の混合物を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、長さ11mmのペレット状(円柱状)成形体を得た。炭素長繊維長さは前記ペレット長さと同一となる。このようにして得た成形体は、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
【0049】
実施例及び比較例
表1に示す混合物(A)、混合物(B)、ポリプロピレンをブレンドして得た組成物(第1発明組成物)を、射出成形機(J-150EII;(株)日本製鋼所製)を用い、成形温度240℃、金型温度60℃で成形して、テストピースを得た。上記した各試験の結果を表1に示す。
【表1】

混合物(A−1):炭素長繊維40質量%強化ポリピロピレン:参考製造例1で製造したもの。ペレット長(=炭素長繊維長さ)が11mmのもの
混合物(A−2):炭素長繊維40質量%強化ポリピロピレン:参考製造例2で製造したもの。ペレット長(=炭素長繊維長さ)が11mmのもの
混合物(B−1):炭素短繊維質量20%強化ポリピロピレン:参考製造例3で製造したもの。平均繊維長0.15mmの炭素短繊維と前記ポリプロピレンからなる円柱状ペレット
混合物(B−2):炭素短繊維質量40%強化ポリピロピレン:参考製造例4で製造したもの。平均繊維長0.15mmの炭素短繊維と前記ポリプロピレンからなる円柱状ペレット
混合物(B−3):炭素短繊維質量20%強化ポリピロピレン:参考製造例5で製造したもの。平均繊維長0.013mmの炭素短繊維と前記ポリプロピレンからなる円柱状ペレット
混合物(C−1):炭素長繊維30質量%炭素短繊維(平均繊維長0.15mm)10質量%強化ポリピロピレン:参考製造例7で製造したもの。ペレット長(=炭素長繊維長さ)が11mmのもの
混合物(C−2):炭素長繊維30質量%炭素短繊維(平均繊維長0.15mm)10質量%強化ポリピロピレン:参考製造例8で製造したもの。ペレット長(=炭素長繊維長さ)が11mmのもの
PP:ポリプロピレン(ホモポリマー),サンアロマー(株)製 PMB60A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維とプロピレン系樹脂が一体化された混合物(A)と、
平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維とプロピレン系樹脂との混合物(B)を含有しており、
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜50質量%であり、炭素長繊維量≧炭素短繊維量の関係を満たしており、
比重が1.5以下である、プロピレン系樹脂組成物。
【請求項2】
平均繊維長が4〜30mmの炭素長繊維、平均繊維長が0.01〜2mmの炭素短繊維及びプロピレン系樹脂が一体化された混合物(C)を含有しており、
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜50質量%であり、炭素長繊維量≧炭素短繊維量の関係を満たしており、
比重が1.5以下である、プロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜40質量%であり、比重が1.3以下である、請求項1又は2記載のプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が5〜30質量%であり、比重が1.15以下である、請求項1又は2記載のプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
炭素長繊維量と炭素短繊維量の合計含有量が10〜25質量%であり、比重が1以下である、請求項1又は2記載のプロピレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体。

【公開番号】特開2011−57811(P2011−57811A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207737(P2009−207737)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【Fターム(参考)】