説明

プロピレン系重合体組成物、及び、その用途

【課題】熱融着フィルム(熱融着層)の厚さを薄くしても、十分な耐低温衝撃性を有し、かつレトルト殺菌処理などの熱処理を行ってもヒートシール強度の低下が少なくかつ熱処理後の低温での落下破袋強度に優れる二軸延伸フィルムを得るに好適なプロピレン系重合体組成物、及び、当該性能を備えた二軸延伸フィルムを得ることを目的とする。
【解決手段】特定量の、融点(Tm2)が120〜150℃の範囲にあるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)、融点(Tm3)が155〜170℃の範囲にあるプロピレン重合体(A−2)、極限粘度[η]が2.0〜10.0dl/gのプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)、及び密度が0.865〜0.910g/cm3の範囲にあるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を含むプロピレン共重合体組成物(E−2)及び当該組成物からなる二軸延伸フィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、剛性、耐衝撃性に優れ、かつ加圧・加熱殺菌処理などの熱処理を行ってもヒートシール強度の低下が小さく、かつ熱処理後の低温での落下破袋強度に優れ、被加熱・殺菌包装物などの包装用に好適な二軸延伸フィルムを得るに好適なプロピレン系重合体組成物、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化、核家族化、単身赴任の増加、あるいは共働き世代の増加等の社会変化の影響を受け、食文化の多様化、調理時間の短縮、利便性への要望から、予め調理した食品を袋に入れ密封した後、加圧・加熱殺菌したいわゆるレトルト食品を購入しておき、必要なときにレトルト食品を袋ごと湯の中で加熱し、内容物を取り出して食事に供することが多用されるようになってきている。このようなレトルト食品は、一般家庭用のみならず業務用にも普及し始めており、そのために大量の食品を一度に包装できる包装材料が求められている。
【0003】
従来この用途には、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンドフィルム、ポリプロピレンブロック共重合体フィルム、あるいはそのポリプロピレンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンドフィルム等が耐熱性と耐低温衝撃強度に優れていることから使用されている。しかし、このようなフィルムは、未だ耐低温衝撃強度と耐ブロッキング性とのバランスが良好とは言えず、またレトルト処理後にヒートシール強度が低下する傾向にある。
【0004】
レトルト処理後のヒートシール強度低下の防止方法として、例えば、ポリプロピレンブロック95〜70重量%とエラストマーブロック5〜30重量%とから構成されたプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体をヒートシール層にすることが提案されている(特許文献1:特開2000−255012号公報)。又、レトルトフィルムの耐低温衝撃性、ヒートシール強度、耐熱性等を改良するために、パラキシレン可溶部の極限粘度[η]が1.5〜2.8(dl/g)のプロピレン・エチレンブロック共重合体90〜99重量%にエチレン・α−オレフィン共重合ゴムを1〜10重量%を添加した組成物が提案されている(特許文献2:特開2000−119480号公報)。
【0005】
また、剛性及び耐低温衝撃性を有し、耐ブロッキング性、ヒートシール強度に優れ、しかも加熱処理後にもヒートシール強度の低下が小さいレトルト食品の包装材用などの食品包装用として好適に用いられるプロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、およびエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなる組成物(特許文献3:特開2003−96251号公報)が提案されている。
【0006】
さらに、プロピレン重合体成分として、メタロセン触媒系により重合された融点が140〜155℃の範囲にあるプロピレンランダム共重合体を用いる方法(特許文献4:特開2009−84379号公報)が提案されている。
【0007】
しかしながら、これらのフィルムをレトルト用フィルムの熱融着層に用いる場合は、落下破袋強度、耐低温衝撃性を維持する必要から、厚さが60〜70μmと厚くせざるを得なく、又、耐屈曲性(耐ピンホール性)に劣るのが現状である。
【0008】
一方、二軸延伸により厚みの薄いフィルムを得た例として、エチレンから導かれる単位を10モル%以下含む結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体成分とエチレンから導かれる単位を10〜40モル%含む低結晶性あるいは非晶性のプロプレン・エチレンランダム共重合体成分を含むプロピレン・エチレンランダムブロック共重合体を二軸延伸ポリプロピレンフィルムのヒートシール層に用いること(例えば、特許文献5:特開平9−227757号公報、特許文献6:特開2005−305767号公報)が提案されているが、かかる二軸延伸フィルムはヒートシール強度が440〜780g/15mm(4.3〜7.6N/15mm)と弱く、レトルト用フィルムの熱融着層には用い得ないのが現状である。また、近年、冷凍輸送時の落下等による袋の破れを抑制することを求められるケースがあり、低温下での落下破袋強度の向上も要望されている。
【0009】
しかしこれら特許文献には、単にフィルムを製造した例が示されているのみで、レトルト処理後の落下破袋強度については、全く言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−255012号公報
【特許文献2】特開2000−119480号公報
【特許文献3】特開2003−96251号公報
【特許文献4】特開2009−84379号公報
【特許文献5】特開平9−227757号公報
【特許文献6】特開2005−305767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、剛性などの機械特性、透明性に優れ、レトルト殺菌処理などの熱処理を行ってもヒートシール強度の低下が少なく、熱処理後の低温での落下破袋強度に特に優れ、耐ブロッキング性をも有する二軸延伸フィルムを得るに好適なプロピレン系重合体組成物、及び、当該性能を備えた二軸延伸フィルムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、融点(Tm2)が120〜150℃の範囲にあるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を10〜70質量%、融点(Tm3)が155〜170℃の範囲にあるプロピレン重合体(A−2)を10〜40質量%、プロピレン由来の構成単位の含有量が60-90質量%(プロピレン由来の構成単位とαオレフィン由来の構成単位との合計を100質量%とする)である極限粘度[η]が2.0〜10.0dl/gのプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を1〜25質量%、及び密度が0.865〜0.910g/cm3の範囲にあるエチレンと炭素数が4以上のα‐オレフィンとのランダム共重合体であるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を5〜30質量%含む〔但し、(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。〕ことを特徴とするプロピレン共重合体組成物(E−2)、当該組成物から得られる二軸延伸フィルム、及びその用途に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)は、当該組成物を二軸延伸することで、透明性、剛性などの機械特性、耐ブロッキング性に優れ、低温ヒートシール性に優れ、熱融着強度が高く、しかも、熱処理(加圧・加熱処理)後のヒートシール強度の低下が少なく、且つ、袋にした場合の落袋強度、特に熱処理後の低温での落下破袋強度に優れる二軸延伸フィルムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)に含まれる重合体成分の一つであるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A‐1)は、通常、プロピレンから導かれる単位を90〜98質量%、好ましくは92〜98質量%含むプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体である。
【0015】
プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を構成する共重合体成分であるα−オレフィンは、プロピレン以外の通常、炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンであり、エチレン及び1−ブテンが好ましく、特に、エチレンが好ましい。
【0016】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)は、通常、MFR〔荷重:2160g、温度:230℃〕が0.5〜50g/10分、好ましくは2〜50g/10分である。MFRが上記範囲にあると、プロピレン共重合体組成物(E−2)を容易に二軸延伸フィルム成形することができ、耐低温衝撃強度に優れた二軸延伸フィルムを得ることができる。例えばMFRが20〜50g/10分、特に20〜40g/10分の範囲にあるものを用いてもかまわない。
【0017】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)は、融点(Tm2)が、120〜150℃、好ましくは130〜147℃の範囲にある。融点が、上記範囲にあるとヒートシール強度、剛性及び落袋衝撃強度のバランスに優れる二軸延伸フィルムが得られる。
【0018】
融点(Tm2)が120℃未満のプロピレン共重合体を用いた場合は、二軸延伸フィルムの成形が困難となる虞がある。一方、融点が150℃を超えるプロピレン共重合体を用いた場合は、当該共重合体を含む組成物を二軸延伸した場合に、十分な衝撃強度、落袋強度を有する二軸延伸フィルムが得られない虞がある。
【0019】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のようなオレフィン重合用触媒を用いて製造することができる。チーグラー・ナッタ触媒の一例として、活性マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン化合物、および内部電子供与体を必須成分とする固体チタン触媒成分を有機または無機担体に担持させ、それに周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物成分を加え、さらに外部電子供与体を加えた触媒系を挙げることができる。
【0020】
<プロピレン重合体(A−2)>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)に含まれる重合体成分の一つであるプロピレン重合体(A‐2)は、通常、プロピレンの単独重合体、または炭素数2〜10のα‐オレフィンから導かれる単位を通常5.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含む重合体であり、プロピレン単独重合体が特に好ましい。
【0021】
プロピレン重合体(A‐2)の共重合成分であるα−オレフィンは、プロピレン以外の通常、炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンであり、エチレン及び1−ブテンが好ましく、特に、エチレンが好ましい。
【0022】
本発明に係るプロピレン重合体(A−2)は、通常、MFR〔荷重:2160g、温度:230℃〕が0.5〜50、好ましくは2〜50である。MFRが上記範囲にあると、プロピレン共重合体組成物(E−2)を容易に二軸延伸フィルム成形することができ、衝撃強度に優れた二軸延伸フィルムを得ることができる。例えばMFRが2〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にあるものを使用しても良い。
【0023】
本発明に係るプロピレン重合体(A−2)は、融点(Tm3)が、155〜170℃、好ましくは158〜167℃の範囲にある。
融点(Tm3)が155℃未満のプロピレン共重合体を用いた場合は、二軸延伸フィルムの耐熱性が低下する虞がある。
【0024】
本発明に係るプロピレン重合体(A−2)は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のようなオレフィン重合用触媒を用いて製造することができる。チーグラー・ナッタ触媒の一例として、活性マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン化合物、および内部電子供与体を必須成分とする固体チタン触媒成分を有機または無機担体に担持させ、それに周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物成分を加え、さらに外部電子供与体を加えた触媒系を挙げることができる。
【0025】
<プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)に含まれる重合体成分の一つであるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体成分(B‐1)は、通常、プロピレンから導かれる単位を60〜90質量%、好ましくは60〜89質量%、より好ましくは61〜82質量%、さらにより好ましくは65〜79質量%、であるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体である(但し、プロピレンから導かれる単位とα−オレフィンから導かれる単位との合計を100質量%とする)。
【0026】
プロピレンから導かれる単位が上記範囲にあると、レトルト処理後の落下破袋強度が良好である。そして、プロピレンから導かれる単位の量が低い場合は、マトリックスとの非相溶性が高まるため、二軸延伸フィルムをレトルト処理した際に、例えばエラストマー状成分が肥大化しやすくなると考えられ、この点でより有利であると考えられる。
【0027】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体成分(B‐1)は、通常、非晶性あるいは低結晶性の共重合体であり、通常、融点を有しないか、融点が120℃未満の共重合体である。
【0028】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を構成する共重合体成分であるα−オレフィンは、プロピレン以外の通常、炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンであり、エチレン及び1−ブテンが好ましく、特に、エチレンが好ましい。
【0029】
本発明に係るプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)は、通常、デカリン溶媒、135℃で測定した極限粘度[η]が2.0〜10.0dl/g、好ましくは2.3〜9.0dl/g、より好ましくは2.5〜8.0dl/gの範囲にある共重合体である。この範囲であると、レトルト処理後の低温での落下破袋強度が良好である。この範囲にあると、特にマトリックスとの非相溶性が高まるため、二軸延伸フィルムをレトルト処理した際に、例えばエラストマー状成分が肥大化しやすくなると考えられ、この点でより有利であると考えられる。さらに、レトルト処理後のヒートシール強度を特に要求される用途に使用する場合は、極限粘度[η]は4.0dl/g以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明に係るプロピレン重合体(B−1)は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒のようなオレフィン重合用触媒を用いて製造することができる。チーグラー・ナッタ触媒の一例として、活性マグネシウム化合物、チタン化合物、ハロゲン化合物、および内部電子供与体を必須成分とする固体チタン触媒成分を有機または無機担体に担持させ、それに周期律表第I族〜第III族金属の有機金属化合物成分を加え、さらに外部電子供与体を加えた触媒系を挙げることができる。
【0031】
<エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)に含まれる重合体成分の一つであるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)は、密度が0.865〜0.910g/cm3、好ましくは0.875〜0.900g/cm3の範囲にある共重合体であって、エチレンと炭素数4以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例として、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンを挙げることができる。これらの中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。これらα−オレフィンは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせてもよい。また、異なるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体との混合物であってもよい。
【0032】
好ましい共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体を挙げることができる。
【0033】
本発明に係るエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)は、通常、MFR〔荷重:2160g、温度:230℃〕が、0.5〜10g/10分、好ましくは0.5〜7.0g/10分である。
【0034】
本発明に係るエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)は、通常、融点が100℃以下であるか、または存在せず、融点が存在する場合、その上限は好ましくは90℃であり下限は特に制限はないが例えば40℃、さらには60℃を例示できる。
【0035】
本発明に係るエチレン・αオレフィンランダム共重合体(C)は、チーグラー・ナッタ系触媒(バナジウム系触媒など)やメタロセン系触媒のようなオレフィン重合用触媒を用いて製造することができる。
【0036】
<プロピレン共重合体組成物(E−2)>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)は、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を10〜70質量%、好ましくは15〜65質量%、前記プロピレン重合体(A−2)を10〜40質量%、好ましくは10〜35質量%、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、及び前記エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を5〜30質量、好ましくは10〜25質量%〔ただし、(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。また(A−1)+(A−2)の量は特に限定はないが、50〜90質量%が好ましく、より好ましくは55−85質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。〕含む組成物である。
【0037】
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)の好ましい態様の一つは、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を10〜70質量%、前記プロピレン重合体(A−2)を10〜40質量%、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を1〜25質量%、及び前記エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を5〜30質量〔ただし、(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。また(A−1)+(A−2)が55−85質量%である態様である。
【0038】
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)のより好ましい態様の一つは、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を15〜65質量%、前記プロピレン重合体(A−2)を10〜35質量%、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を2〜20質量%、及び前記エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を10〜25質量%〔ただし、(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。また(A−1)+(A−2)は55−85質量%である。〕含む組成物である。
【0039】
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)のさらに好ましい態様の一つは、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を15〜65質量%、前記プロピレン重合体(A−2)を10〜35質量%、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を2〜20質量%、及び前記エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を10〜25質量%〔ただし、(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。また(A−1)+(A−2)は60−80質量%である。〕含む組成物である。
【0040】
また、本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)は、通常、120〜155.0℃、好ましくは130〜155.0℃の範囲にプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)に基づく融解ピーク(Tp2)、及び、155.1〜167℃、好ましくは158〜165℃の範囲にプロピレン重合体(A−2)に基づく融解ピーク(Tp3)を有する。
【0041】
プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)が10質量%未満の組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は衝撃強度に劣る虞があり、一方、70質量%を超える組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は耐ブロッキング性に劣る虞がある。
【0042】
プロピレン重合体(A−2)が10質量%未満の組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は耐ブロッキング性に劣る虞があり、一方、40質量%を超える組成物は、二軸延伸フィルムにした場合はヒートシール性や衝撃強度に劣る虞がある。
【0043】
また、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A−1)の量をWA-1、プロピレン重合体(A−2)の量をWA-2とした場合に、WA-1/(WA-1+WA-2)の値が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。
【0044】
プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)が1質量%未満の組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は衝撃強度に劣る虞があり、一方、25質量%を超える組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は透明性に劣る虞がある。
【0045】
エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)が5質量%未満の組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は衝撃強度に劣る虞があり、一方、30質量%を超える組成物は、二軸延伸フィルムにした場合は透明性に劣る虞がある。
【0046】
非相溶系の組成物(ポリマーブレンドやブロック共重合体)は、一般的に海島構造(クラスター構造)をとり、本発明の組成物におけるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)及びプロピレン重合体(A−2)のマトリックス中に、エラストマー成分であるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)及びプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)がドメインとして分散すると考えられるモルフォロジーを形成する。前記ドメインが観察されなくなるいわゆる相溶化した状態または分散径が非常に小さい状態に比べ、ある程度の分散径を持つ態様の方が、耐衝撃性バランスがより良いことが知られている。特に低温においてはその傾向が顕著となると考える。
【0047】
本発明者らが、この様な海島構造をとる、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)及びプロピレン重合体(A−2)を用いた本発明の組成物を例えば縦5倍、横10倍に二軸延伸して得たフィルムの分散粒子径について観察したところ、分散径がサブミクロン以下の程度まで微分散(延伸前の分散径は数ミクロン)していることがわかった。この二軸延伸フィルムを最内層(熱融着層)とする積層フィルムを用いてなる包装袋は、レトルト処理後の低温での耐衝撃性(落下破袋強度)が、驚くべきことに飛躍的な向上が認められた。この熱融着層のモルフォロジー観察によれば分散粒子径がミクロンに近いレベルまでになっていた。レトルト処理中に前述のサブミクロン分散粒子が凝集したと考えられる。この時マトリックス成分として用いるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)の融点が本発明の範囲内にある場合には、レトルト処理温度において、エラストマー状成分の運動性がより高いため、当該成分が凝集し易くなり、前記の耐衝撃バランスの向上をもたらす可能性がある。これが本発明の範囲で効果が発現する推定理由の一つである。
【0048】
また、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)並びにプロピレン重合体(A−2)と相溶性のより低い、例えばエチレン含有量がより多いエラストマー状成分ほど、延伸時に分散径が相対的に小さくなりにくく、当該組成物を二軸延伸して得られるフィルムをレトルト処理した後に低温での落体強度を発現するのに適した構造を形成しやすいのではないかと考えられる。
【0049】
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)は、MFR〔荷重:2160g、温度:230℃〕には特に制限はないが、通常。2〜15g/10分、好ましくは2〜10g/10分である。MFRを上記範囲にすることにより、容易に二軸延伸フィルム成形することができ、衝撃強度、ヒートシール強度に優れた二軸延伸フィルムを得ることができる。
(A−1)成分と(A−2)成分とを、当該組成物における存在割合のとおりに配合して得た組成物のMFR(MFRA-1+A-2)と、(B)成分、(C)成分を、当該組成物における存在割合のとおりに配合して得た組成物のMFR(MFRB+C)とが、(MFRA-1+A-2)/MFR(MFRB+C)=6〜50であることが好ましく、12〜50であることがより好ましく、20〜50であることがさらに好ましい。この範囲にあると、特にフィルムの耐ブロッキング性を向上させることができる。
【0050】
<プロピレン共重合体組成物(E−2)の製造方法>
本発明のプロピレン共重合体組成物(E−2)は、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)、前記プロピレン重合体(A−2)、前記プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)、及び前記エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を、所望の範囲で混合する方法、これらの内の2種以上の成分、例えば(A−1)と(A−2)と(B)、(A−2)と(B)、(A−1)と(A−2)と(B)との組成物をあらかじめ製造しておき、その後、残りの成分をブレンドする方法などで製造できる。
【0051】
例えば上記のように2種以上の成分からなる組成物をあらかじめ製造する際、常法に従い、溶融混合してもよく、また、異なる段階で異なる成分を重合する、いわゆる多段重合により製造しても良い。例えば(A−1)と(B)、(A−2)と(B)、(A−1)と(A−2)と(B)との組成物を製造する場合は、多段重合によりいわゆるブロック共重合体を製造することによっても良い。当該多段重合は1つの重合器で行っても良いし、複数の重合器を用いてそれぞれの段階を行っても良い。また、複数の重合器は並列的に用いてもよく、直列的に用いても良い。
【0052】
また、これらの(A−1)、(A−2)、(B)及び(C)は、これらのうち2種以上をあらかじめ溶液状態にしてから溶媒を除去する方法により混合し、必要に応じてさらに他の成分とあわせて溶融混練して本発明にかかる組成物を製造しても良い。
【0053】
さらに、本発明にかかる組成物は場合によっては、本発明にかかる組成物を構成する各構成成分、または各構成成分の2種以上の混合物と残りの成分とを成型機の材料供給部分に供給して成型機の例えば混練部分で組成物を調製してそのまま成型しても良い。
【0054】
<添加剤>
本発明に係るプロピレン共重合体組成物(E−2)には、必要に応じて、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)、及びエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)以外のエラストマー成分を添加することができる。そのようなエラストマー成分の例として、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム、エチレン・1−ブテン・ジエン共重合ゴム、プロピレン・1−ブテン共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体あるいはスチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
【0055】
また、プロピレン共重合体組成物(E−2)、あるいは、本発明に係るプロピレン共重合体組成物(E−2)を構成する各重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤、顔料、染料、あるいは各種の重合体等を配合してもよい。
【0056】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等を挙げることができる。アンチブロッキング剤としては、酸化アルミニウム、微粉末シリカ、ポリメチルメタアクリレート粉末、シリコン樹脂等を挙げることができる。
【0057】
スリップ剤としては、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等を挙げることができる。滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等を挙げることができる。核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ロジン酸の部分金属塩等のロジン系核剤、アルミニウム系核剤、タルク等を挙げることができる。
本発明の組成物は、溶融成形など種々の成形方法により成形して使用することができる。
【0058】
<二軸延伸フィルム>
本発明の二軸延伸フィルムは、前記プロピレン共重合体組成物(E−2)または二軸延伸してなるフィルムであり、通常、厚さが5μm以上、好ましくは5〜55μm、より好ましくは10〜50μmの範囲にある。厚さが5μm未満のフィルムは、熱融着層に用いた場合に、落袋強度が不十分な包装材料となる虞がある。
【0059】
本発明の二軸延伸フィルムの厚さの上限は、特に限定はされないが、50μmを超えるフィルムは、そのヒートシール性能と破袋強度の性能を維持し、且つ薄肉であるというコスト上のメリットが薄れる場合がある。
【0060】
本発明の二軸延伸フィルムは、用途に応じて、その厚さが50〜100μmと厚いフィルムも利用可能である。
本発明の二軸延伸フィルムは、前記プロピレン共重合体組成物(E−2)からなる限り、単層であっても二層以上の多層であってもよい。
【0061】
例えば、二軸延伸フィルムを三層構成とする場合は、通常、内層の厚さが全体の厚さの50〜99パーセント、両表面層の厚さががそれぞれ全体の0.5〜25パーセントの厚さとする。また、表面層の厚さは、0.5〜15μm、特に1〜10μmであることが好ましい。
【0062】
このように、二軸延伸フィルムを多層とした場合は品質管理が容易で最終的な収率も高くなりコスト上のメリットがある。
また、本発明の二軸延伸フィルムの表面は、基材層との接着性を改良するために、必要に応じて片面あるいは両面をコロナ処理、火炎処理等の表面処理をしてもよい。
【0063】
本発明の二軸延伸フィルムは、包装材料に用いた際に、フィルム層のヒートシール強度(ヒートシール部の剥離強度)、高温・高圧下での熱処理後の剥離強度保持性などの物性と、熱処理後の低温での落下破袋強度とのバランスが顕著に優れる。それゆえレトルト食品包装用フィルムとして適している。さらに耐ブロッキング性にも優れる傾向にある。さらに本発明の二軸延伸フィルムは、その熱収縮率が小さく、すなわち加熱時の寸法安定性にも優れる。
【0064】
<二軸延伸フィルムの製造方法>
本発明も二軸延伸フィルムは、前記プロピレン共重合体組成物(E−2)を公知の二軸延伸フィルム成形方法を用いて成形し得る。
【0065】
二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、多段延伸等の方法が適宜採用される。
二軸延伸の条件としては、公知の二軸延伸フィルムの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を100℃〜145℃、延伸倍率を4〜7倍の範囲、横延伸温度を150〜190℃、延伸倍率を8〜11倍の範囲とすることが挙げられる。
【0066】
<多層二軸延伸フィルム>
本発明の多層二軸延伸フィルムは、前記二軸延伸フィルムの片面に基材層を積層してなるフィルムである。
【0067】
基材層としては、シート状、フィルム状、トレーあるいは容器状のもので包装材料として使用できるものあれば、特に限定されない。基材層の例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、およびポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム、あるいはそれら熱可塑性樹脂からなるシート、更にはシートを熱成形したトレーあるいはカップ状の容器、アルミニウム箔、紙等から構成されるそれら形状物が挙げられる。
【0068】
熱可塑性樹脂フィルムからなる基材層は、無延伸フィルムであっても、一軸あるいは二軸延伸フィルムであってもよい。勿論、基材層は1層でも2層以上としてもよい。また、熱可塑性樹脂フィルムは、アルミニウム、亜鉛、シリカ等の金属、無機物あるいはその酸化物を蒸着したフィルムであってもよい。
【0069】
本発明に係る(レトルト包装用)二軸延伸フィルムと前記基材層とを積層する方法としては、一般に行われる積層方法をそのまま採用することができ、その際(レトルト包装用)二軸延伸フィルムと前記基材層との間に接着層を設けることができる。例えば、基材層にウレタン系やイソシアネート系のアンカーコート剤を塗布し、その上に本発明の(レトルト包装用)二軸延伸フィルムをドライラミネートしたり、あるいは(レトルト包装用)二軸延伸フィルムに基材層となる熱可塑性樹脂を押し出しラミネートないし押し出しコーティングする方法で製造することもできる。
【0070】
本発明の多層二軸延伸フィルムは、包装材料に用いた際にフィルム層のヒートシール強度(ヒートシール部の剥離強度)が高く、特に高温・高圧下での熱処理後においても、例えば少なくとも20N/15mmの剥離強度を保持しているので、レトルト食品包装用フィルムとして適している。また熱処理後の低温での落下破袋強度が顕著に優れる。さらに耐ブロッキング性にも優れる傾向にある。
【0071】
言い換えると、本発明の多層二軸延伸フィルムは、包装材料に用いた際に、フィルム層のヒートシール強度(ヒートシール部の剥離強度)、高温・高圧下での熱処理後の剥離強度保持性などの物性と、熱処理後の低温での落下破袋強度とのバランスが顕著に優れる。それゆえレトルト食品包装用フィルムとして適している。さらに耐ブロッキング性にも優れる傾向にある。
【0072】
本発明の多層二軸延伸フィルムは、前記二軸延伸フィルムを熱融着層(ヒートシール層)に用いることにより、耐熱性、耐低温衝撃強度、高いヒートシール強度、剛性等を有し、また基材層の種類によっては高いガスバリヤー性や機械的強度等が付与されることから、加熱殺菌あるいは加圧・加熱殺菌を要する医薬、あるいはレトルト食品の包装用フィルムとして好適である。本発明の多層二軸延伸フィルムは、フィルム状態で包装材として使用できるし、またトレーや容器の形状に変えてから包装材として使用することもできる。
【0073】
<加熱殺菌用包装体>
本発明に係る加熱殺菌用包装体は、本発明の二軸延伸フィルムあるいは多層二軸延伸フィルムからなる包装材料を用い、多層二軸延伸フィルムを用いる場合は二軸延伸フィルム層を内側にして内容物である医薬、あるいは食品(被包装材料)などを包装(充填)し、二軸延伸フィルム層をヒートシールすることによって内容物が密封包装されてなるものである。
【0074】
包装材としては、二軸延伸フィルムであってもよいが、前記した多層二軸延伸フィルムが基材層の持つ特性を利用できるので好ましい。また加熱殺菌用包装体として用いる場合には、通常、前記基材層が二軸延伸フィルムの片面に積層されている。多層二軸延伸フィルムの例として、次の組み合わせを挙げることができる。
【0075】
ポリエステル層/二軸延伸フィルム、ポリアミド層/二軸延伸フィルム、ポリエステル層/ポリアミド層/二軸延伸フィルム、ポリエステル層/アルミニウム箔/二軸延伸フィルム、ポリエステル層/ポリアミド層/アルミニウム箔/二軸延伸フィルム、ポリアミド層/ポリ塩化ビニリデン層/ポリエステル層/二軸延伸フィルム、などが例示できる。
【0076】
このように二軸延伸フィルム層が最内層に配置されてヒートシール部を形成しているので、その包装体は、強固にヒートシールされており、また加熱殺菌、加圧・加熱殺菌処理後においても低温での落下破袋強度が優れ、また高いヒートシール強度が保持されている。従って、このような加熱殺菌用包装体は、例えば低温での輸送時あるいは店頭もしくは家庭等での取扱い時にも内容物である食品などが洩れ出るおそれが少なく、常温下であるいは冷蔵・冷凍下での長期間保存を行っても、内容物をほとんど変質させることなく保つことができる。
【実施例】
【0077】
次に実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、重合体、組成物の性状を示す物性値およびフィルムを評価するための物性値は、次に記す試験方法によって求めた。
【0078】
(1)重合体,組成物の物性測定方法
<プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)、プロピレン重合体(A−2),プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)の組成決定方法>
日本電子(株)製ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件下で組成を決定した。
【0079】
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,
試料濃度:60mg/0.6mL、測定温度:120℃、
観測核:13C(100MHz)、
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング、
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)、
繰り返し時間:5.5秒、
積算回数:8千回以上、
エチレン−プロピレン−エチレン連鎖の(プロピレン単位の)メチン炭素シグナルの33.12ppm、もしくはこれが確認し難い場合、重ベンゼンの炭素の128ppmを用いた。
【0080】
ピークの帰属は、
プロピレン/エチレン共重合体分析に関する文献であるMacromolecules, 11 (1), 33(1978)、
エチレン/ブテン共重合体に関する文献であるMacromolecules, 15 (2), 353(1982)
プロピレン/ブテン共重合体に関する文献であるMacromolecules, 11 (3), 592(1978)
に基づき決定した。
それに基づき、各ピークの吸収強度比から共重合体の組成比を決定した。
【0081】
<極限粘度[η]>
ウベローデ型粘度計を用い、プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)の重合体サンプルをデカリンに溶解させ、その溶液の粘度測定を135℃で行い、その測定値から極限粘度[η](dl/g)を求めた。
【0082】
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D−1238に準拠して、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
<融点(Tm)>
重合体の融点(Tm)(℃)は、JIS K 7121に準拠し、示差走査熱量計〔DSC、パーキンエルマー社製(Diamond DSC)〕を用いて下記測定条件にて測定を行うことにより求めた。なお、下記測定条件で測定を行った際の、第3stepにおける吸熱ピークの頂点を融点(Tm)と定義した。吸熱ピークが複数ある場合はピークの高さが最大となる吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とした。
また、組成物の融解ピークは、下記条件で測定を行った際の複数の吸熱ピークを融解ピーク(Tp)とした。
【0083】
(測定条件)
測定環境:窒素ガス雰囲気
サンプル量:約5mgを精秤。
サンプル形状:プレスフィルム(230℃で加圧成形、厚さ:200〜400μm)
サンプルパン:底が平面のアルミ製サンプルパン
第1step:30℃より10℃/分で240℃まで昇温し、10分間保持。
第2step:10℃/分で30℃まで降温。
第3step:10℃/分で240℃まで昇温。
【0084】
(2)フィルム物性の測定方法
以下の測定は、厚さ40μmのプロピレン共重合体組成物の二軸延伸フィルムを用いて行った。
【0085】
<ヘイズ:%>
ASTM D−1003に準拠して測定した。
<弾性率:MPa>
二軸延伸フィルムから長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように15mm幅、200mm長さの短冊状の試験片を切り出し、オリエンテック社製テンシロンRT1225型を使用してJISK7127に準拠して弾性率を測定した。
【0086】
<引裂強度:g/1枚当たり>
軽荷重引裂試験機(東洋精機製作所製)を使用し、二軸延伸フィルムから引裂き方向に長さ63.5mm(長辺)及び引裂き方向と直角方向に幅50mm(短辺)の長方形の試験片を切出し、短辺の中央に端から12.7mmの切り込みを入れ、引裂き試験を行い、引裂強度(g/1枚当たり)を求めた。
【0087】
<熱収縮率:%>
二軸延伸フィルムから100mm幅の正方形な試験片を切り出し、120℃のオーブン内に15分静置した。その後、オーブン内から試験片を取り出し、23℃の雰囲気温度下で30分以上静置後、正方形の試験片の各辺の長さを測定し、変化量とした。熱収縮率は、以下の式から算出した。
熱収縮値=(100−A)/100×100
A;オーブン内静置後の正方形の辺の長さ
【0088】
<衝撃強度:kg・cm>
東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターを使用し、先端形状は0.5インチ径半球を使用し、二軸延伸フィルムから100mm四方の正方形の試験片を切り出し、23℃の雰囲気温度化にて衝撃強度を測定した。
【0089】
<耐ブロッキング性:N>
二軸延伸フィルムから長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように20mm幅、100mm長さの短冊状の試験片を切り出し、シール面同士を重ね合わせた。重ね合わせた部分に250g/cm2の荷重を与え、55℃のオーブン内に24時間静置した。静置後、室温において、オリエンテック社製テンシロンRT1225型を使用してせん断剥離力を測定した。
【0090】
(3)多層二軸延伸フィルムの物性測定方法
<ヒートシール強度>
ヒートシール強度測定に用いる多層二軸延伸フィルムとして、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)、二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ:15μm)および二軸延伸フィルム(熱融着層)を用意し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムを、ラミネート機を使用して貼り合わせた後、二軸延伸フィルムのコロナ処理面を、二軸延伸ポリアミドフィルム側に、ラミネート機を使用して貼り合わせ積層フィルムを得た。積層フィルムは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/二軸延伸ポリアミドフィルム/二軸延伸フィルム(熱融着層)である。
【0091】
東洋精機製ヒートシールテスターを使用し、積層フィルムから100mm幅、150mm長さの試験片を切り出し、半分に折ってヒーターが180℃〜230℃で圧力が0.2MPaで、シール時間が1秒で、ヒートシールを行った後、シールした試験片を幅15mmの試験片に切り出し、オリエンテック製テンシロンRT1225型を使用し、剥離強度を測定した。
【0092】
一方、レトルト殺菌処理した後のヒートシール強度の測定は、次の方法で行った。すなわち、前記の方法で作成した試験片を熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し、その後冷却した。次いで、前記と同じ方法でヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
【0093】
<落袋強度>
落袋試験に用いる多層二軸延伸フィルムとして、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)、二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ:15μm)および二軸延伸フィルム(熱融着層)を用意し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムを、ラミネート機を使用して貼り合わせた後、二軸延伸フィルムのコロナ処理面を、二軸延伸ポリアミドフィルム側に、ラミネート機を使用して貼り合わせ積層フィルムを得た。積層フィルムは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/二軸延伸ポリアミドフィルム/二軸延伸フィルム(熱融着層)である。
【0094】
なお、アンカー剤は、タケラックA310、タケネートA3(三井化学製)に、溶剤として酢酸エチル(廣島和光純薬製)を混合してしたものを使用した。得られた積層フィルムを、包装袋の内部に使用し、縦方向175mm、横方向125mmの3方シール袋を、製袋機を使用して作成した。なおシール幅は、10mmである。作成した3方シール袋に、水200mlを充填し、エア抜きを行った上で、口部をシールした。
【0095】
このような袋を20袋準備し、5℃の雰囲気下で24時間静置した後、1つの袋に対して、高さ100cmから、横方向が落下方向になるような落下、袋サイズと同様なサイズの重り500gを添えた面部からの落下を1セットとし、20セットを上限に落下を繰り返し、破袋までの回数を数えた。20袋準備した袋の破袋までの回数を平均し、その平均値を平均破袋回数とした。
本発明の実施例および比較例で用いた重合体を以下に示す。
【0096】
(1)プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)
プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)として、固体状Ti触媒により製造したプロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(a−1−4)〔MFR:32g/10分、エチレン/1−ブテンの含有量:2.3/2.0質量%、DSCで測定した融点(Tm2):137℃〕、固体状Ti触媒により製造したプロピレン・エチレンランダム共重合体(a−1−1)〔MFR:2.3g/10分、エチレンから導かれる単位の含有量:2.6質量%、融点:145℃〕、および、プロピレン・エチレンランダム共重合体(a−1−2)〔MFR:1.2g/10分、エチレンから導かれる単位の含有量:4.0質量%、融点:139℃〕を用いた。
【0097】
(2)プロピレン重合体(A−2)
プロピレン重合体(A−2)として、固体状Ti触媒で製造したプロピレン単独重合体(a−2−2)〔MFR:7g/10分、融点(Tm3):163℃〕を用いた。
【0098】
(3)プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)
プロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)として、固体状Ti触媒により製造したプロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1)〔極限粘度[η]:2.7dl/g、エチレンから導かれる単位の含有量:32質量%,融点:120℃未満に存在〕を用いた。
【0099】
(4)エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)
エチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)として、シングルサイト触媒により製造したエチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1)〔密度:0.880g/cm3、MFR:0.9g/10分、エチレンから導かれる単位の含有量:79質量%(88.3モル%)、融点:80℃以下に存在〕を用いた。
【0100】
(5)プロピレン単独重合体
プロピレン単独重合体として、固体状Ti触媒により製造したプロピレン単独重合体(f−1)〔MFR:1.6g/10分、融点:165℃〕を用いた。
【0101】
(6)プロピレン・エチレンランダム共重合体
プロピレン・エチレンランダム共重合体として、固体状Ti触媒により製造したプロピレン・エチレンランダム共重合体(f−2)〔エチレンから導かれる単位の含有量:1.2質量%、MFR:1.5g/10分、融点:155℃〕を用いた。
【0102】
〔実施例1〕
〈プロピレン系共重合体組成物(e−5)の製造〉
プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(a−1−4):52質量%、プロピレン単独重合体(a−2−2):20質量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量%、及び、エチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量%〔(a−1−4)+(a−2−2)+(b−1−1)+(c−1)=100質量%〕の割合で秤量した後、二軸押出し機を用いて220℃の樹脂温度で溶融混練してプロピレン共重合体組成物(e−5)を得た。得られたプロピレン共重合体組成物(e−5)のMFRは7g/10分であった。
【0103】
なお、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(a−1−4):52質量部、プロピレン単独重合体(a−2−2):20質量部、合計72質量部を、二軸押出し機にて前記と同様にして溶融混練して得た組成物のMFR(230℃)は21.0g/10分であった。
【0104】
また、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量部、エチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量部、合計28質量部を前記と同様にして溶融混練して得た組成物のMFR(230℃)は0.6g/10分であった。
【0105】
得られたプロピレン共重合体組成物(e−5)のMFRは7g/10分であり、149.8℃に融解ピーク(Tp2)及び160.6℃に融解ピーク(Tp3)を有していた。
【0106】
〈二軸延伸フィルム(熱融着層)の製造〉
上記プロピレン共重合体組成物(e−5)を用いて、二軸延伸し、熱融着層を得た。用いたプロピレン共重合体組成物(e−5)には、耐熱安定剤としてテトラキス[メチレンー3−(3’、5’―ジーt―ブチルー4’ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイキー社製品 製品名イルガノックス1010)1000ppm及びステアリン酸カルシウム(日本油脂製)1000ppmを配合した。
【0107】
なお、熱融着層は、三層構成とし、上記プロピレン共重合体組成物(e−5)を用い、表面層/内層/表面層の押出量比が(1/10/1)になるよう各々スクリュー押出機を用いて溶融押出しマルチマニホールドタイプT−ダイを用いて押出し、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.5mmの多層シートを得た。この多層シートを120℃で加熱し、多層シートの流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸した多層シートを160℃で加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に10倍延伸して、内層の厚さ:34μm、各両表面層の厚さ:3μm(合計厚さ:40μmの三層多層フィルムからなる熱融着を得た。熱融着層の基材層と積層する表面層には、コロナ処理を施した。
【0108】
〈積層フィルムの製造〉
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)、二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ:15μm)および二軸延伸フィルム(熱融着層)を用意し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムを、ラミネート機を使用して貼り合わせた後、二軸延伸フィルムのコロナ処理面を、二軸延伸ポリアミドフィルム側に、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネーションして貼り合わせ、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/二軸延伸ポリアミドフィルム/二軸延伸フィルム(熱融着層)からなる積層フィルムを得た。
得られた熱融着層、積層フィルムなどの物性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0109】
[参考例1]
プロピレン・エチレンランダム共重合体(a−1−1)を72質量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1)を13質量%、およびエチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1)を15質量%〔(a−1−1)+(b−1−1)+(c−1)=100質量%〕からなるプロピレン系共重合体組成物(e−3)[MFR=2g/10分]を用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸フィルム(熱融着層)および多層二軸延伸フィルムを得た。
得られた熱融着層、多層二軸延伸フィルムなどの物性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0110】
〔参考例2〕
実施例1で用いたプロピレン共重合体組成物(e−5)に替えて、プロピレン・エチレンランダム共重合体(a−1−2):72質量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量%、およびエチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量%〔(a−1−2)+(b−1−1)+(c−1)=100質量%〕からなるプロピレン系共重合体組成物(e−4)〔MFR=2g/10分〕を用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸フィルム(熱融着層)および多層二軸延伸フィルムを得た。
得られた熱融着層、多層二軸延伸フィルムなどの物性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0111】
〔比較例1〕
実施例1で用いたプロピレン共重合体組成物(e−5)に替えて、プロピレン単独重合体(f−1):72質量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量%、およびエチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量%〔(f−1)+(b−1−1)+(c−1)=100質量%〕からなるプロピレン系共重合体組成物(E−2)〔MFR=2g/10分〕を用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸フィルム(熱融着層)および多層二軸延伸フィルムを得た。
【0112】
得られた熱融着層、多層二軸延伸フィルムなどの物性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
なお、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量部、エチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量部、合計28質量部を前記と同様にして混練して得た組成物のMFR(230℃)は0.6g/10分であった。
【0113】
〔比較例2〕
実施例1で用いたプロピレン共重合体組成物(e−5)に替えて、プロピレン・エチレンランダム共重合体(f−2):72質量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b−1−1):13質量%、およびエチレン・1−ブテンランダム共重合体(c−1):15質量%〔(f−2)+(b−1−1)+(c−1)=100質量%〕からなるプロピレン系共重合体組成物(e−2)〔MFR=2g/10分〕を用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸フィルム(熱融着層)および多層二軸延伸フィルムを得た。
得られた熱融着層、多層二軸延伸フィルムなどの物性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の二軸延伸フィルムは、例えば、厚さが5〜50μmと薄くした場合でも、熱融着強度(ヒートシール強度)が8N/15mmを越え、中でも20N/15mm以上と強くすることも可能となり、しかも、熱処理(加圧・加熱処理)後のヒートシール強度の低下が少なく、且つ、袋にしてレトルト処理した場合の低温での落下破袋強度が優れ、耐ブロッキング性を有するという特徴を有しているので、包装材料として広く利用することができる。
本発明の組成物は、例えば上記二軸延伸フィルムの製造に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点(Tm2)が120〜150℃の範囲にあるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を10〜70質量%、融点(Tm3)が155〜170℃の範囲にあるプロピレン重合体(A−2)を10〜40質量%、極限粘度[η]が2.0〜10.0dl/gであり、プロピレン由来の構成単位の含有量が60-90質量%(プロピレン由来の構成単位とαオレフィン由来の構成単位との合計を100質量%とする)であるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を1〜25質量%、及び密度が0.865〜0.910g/cm3の範囲にあるエチレンと炭素数が4以上のα‐オレフィンとのランダム共重合体であるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を5〜30質量%含む〔(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。〕ことを特徴とするプロピレン共重合体組成物(E−2)からなる二軸延伸フィルム。
【請求項2】
請求項1記載の二軸延伸フィルムの片面に、基材層が積層されてなる多層二軸延伸フィルム。
【請求項3】
基材層が、アルミニウム、紙、ポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、及びポリビニリデンクロライドフィルムから選ばれる基材層である請求項2記載の多層二軸延伸フィルム。
【請求項4】
二軸延伸フィルムを熱融着層に用いてなる被加熱・殺菌包装物の包装用であることを特徴とする請求項2または3記載の多層二軸延伸フィルム。
【請求項5】
融点(Tm2)が120〜150℃の範囲にあるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(A−1)を10〜70質量%、融点(Tm3)が155〜170℃の範囲にあるプロピレン重合体(A−2)を10〜40質量%、極限粘度[η]が2.0〜10.0dl/gであり、プロピレン由来の構成単位の含有量が60-90質量%(プロピレン由来の構成単位とαオレフィン由来の構成単位との合計を100質量%とする)であるプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体(B−1)を1〜25質量%、及び密度が0.865〜0.910g/cm3の範囲にあるエチレンと炭素数が4以上のα‐オレフィンとのランダム共重合体であるエチレン・α‐オレフィンランダム共重合体(C)を5〜30質量%含む〔(A−1)+(A−2)+(B−1)+(C)=100質量%とする。〕ことを特徴とするプロピレン共重合体組成物(E−2)。

【公開番号】特開2013−112736(P2013−112736A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259393(P2011−259393)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000220099)三井化学東セロ株式会社 (177)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【Fターム(参考)】