説明

プロフィールマッチング装置及び方法

【課題】キーバリュー型のデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うこと。
【解決手段】プロフィールマッチング装置(1)は、ユーザを識別する情報をキー、当該ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザが希望する相手方の希望相手プロフィールを含むプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のプロフィールデータベース(22)に基づいて、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行う。このとき、プロフィールマッチング装置(1)では、プロフィールマッチングを行う際に、自己プロフィールの自己プロフィール項目及び希望相手プロフィールの希望プロフィール項目をそれぞれ変換した上で、変換後の項目(Row Key)に基づいて、キーバリュー型のプロフィールデータベース(22)に対する検索を行うことで、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに希望するプロフィールを有するユーザ同士を結びつけるプロフィールマッチング装置及び方法であって、特に、プロフィール情報をキーバリュー型のデータベース(KVS:Key Value Store)で管理している場合のプロフィールマッチング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの普及に伴い、ユーザ同士のコミュニケーションのとり方が多様化してきており、互いに見知らぬユーザ間のコミュニケーションを仲介するサービスが提案・実施されている(特許文献1)。
【0003】
このようなサービスでは、予めユーザから自己の個人情報(プロフィール)及び希望相手の情報(希望相手プロフィール)を受け付けておき、これらの情報(データ)が互いに合致するユーザ同士を仲介する。すなわち、1のユーザの希望相手の情報が他のユーザの個人情報に合致するとともに、当該1のユーザの個人情報が当該他のユーザの希望相手の情報と合致した場合に、これらユーザ同士を仲介する。
なお、以下では、このような自己の個人情報(プロフィール)と希望相手の情報(希望相手プロフィール)とがユーザ同士で合致するか否かを判定することを「プロフィールマッチング」という。
【0004】
また、上記インターネットの普及に伴いネットワーク上で膨大な量のデータが取り扱われることになったため、近年では、膨大な量のデータに高速にアクセス可能なキーバリュー型のデータベースが注目を集めている。このようなキーバリュー型のデータベースでは、データを複数のサーバに分散保存することができるため、膨大な量のデータをスケールアウト型のストレージで扱うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−109025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プロフィールマッチングでは、1のユーザの希望相手の情報及び個人情報に基づいて、他のユーザの個人情報及び希望相手の情報を検索しなければならない。すなわち、個人情報は、希望相手の情報を検索するための検索条件となることもあれば、他のユーザの希望相手の情報に基づいて検索されるための検索対象となることもある。
【0007】
このようなデータについて、リレーショナルデータベース(RDB:Relational Database)であれば、任意のカラムに対する条件指定での検索や複数のテーブルを統合するなどすることにより、検索条件及び検索対象の双方となり得るデータに対する検索処理を容易に行うことができる。
【0008】
しかしながら、キーバリュー型のデータベースでは、バリューとして記憶されたデータの検索には、必ず、項目(Row Key(Row:行))を指定しなければならず、項目の異なるデータに対する検索を適切に行うことができない。すなわち、1のユーザの希望相手の情報(項目)に基づいて、他のユーザの個人情報(項目)を検索する場合に、これらの情報では、互いに項目が異なる(希望性別という項目で検索する項目は、性別であり、それぞれ異なる)ため、適切な検索を行うことができない。
【0009】
そこで、本発明は、キーバリュー型のデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うことのできるプロフィールマッチング装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) ユーザを識別する情報をキー、当該ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザが希望する相手方の希望相手プロフィールを含むプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のプロフィールデータベースに基づいて、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行うプロフィールマッチング装置であって、前記プロフィール情報に含まれる個々のプロフィールを示すプロフィール項目と、プロリールマッチングを行うための検索条件項目とを対応付けて記憶する項目変換対応表と、検索要求を受け付けたことに応じて、前記ユーザを識別する情報に基づいて、所定のユーザの前記プロフィール情報を前記プロフィールデータベースから抽出する情報抽出手段と、前記項目変換対応表を参照して、抽出した前記所定のユーザの前記プロフィール情報に含まれるプロフィール項目を前記検索条件項目に変換する検索条件項目変換手段と、変換した前記検索条件項目に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定する検索実行手段と、を備えるプロフィールマッチング装置。
【0011】
(1)のプロフィールマッチング装置によれば、情報抽出手段が所定のユーザのプロフィール情報を抽出すると、検索実行手段は、このプロフィール情報に基づいてプロフィールデータベースを検索し、所定のユーザが希望するユーザであって所定のユーザを希望する他のユーザを特定する。
ここで、所定のユーザのプロフィール情報に基づいてプロフィールマッチングを行う場合には、所定のユーザの希望相手プロフィールにマッチする自己プロフィールを有するとともに、所定のユーザの自己プロフィールにマッチする希望相手プロフィールを有する他のユーザを検索する必要がある。すなわち、所定のユーザの希望相手プロフィールに基づいて他のユーザの自己プロフィールを検索するとともに、所定のユーザの自己プロフィールに基づいて他のユーザの希望相手プロフィールを検索する必要がある。このとき、キーバリュー型のプロフィールデータベースでは、データの検索には、必ず、Row Keyを指定しなければならない。
そこで、本発明のプロフィールマッチング装置では、検索条件項目変換手段が所定のユーザのプロフィール情報に含まれるプロフィール項目を検索条件項目に変換することで、項目(Row Key)の整合性を図っている。これにより、キーバリュー型のプロフィールデータベースに対して、整合性のとれた項目(Row Key)を指定した検索を行うことができ、キーバリュー型のプロフィールデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うことができる。
【0012】
(2) 前記検索条件項目変換手段が変換した前記検索条件項目に基づいてプロフィールマッチングを行うための検索式を生成する検索式生成手段を更に備え、前記検索実行手段は、前記検索式に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定する、(1)に記載のプロフィールマッチング装置。
【0013】
(2)のプロフィールマッチング装置によれば、検索条件項目変換手段が変換した検索条件項目から生成された検索式に基づいてプロフィールマッチングを行うため、キーバリュー型のプロフィールデータベースに対して適切なプロフィールマッチングを行うことができる。
【0014】
(3) 前記プロフィール項目は、自己プロフィールに含まれる自己プロフィール項目と前記希望相手プロフィールに含まれる希望プロフィール項目と、を含み、前記検索条件項目変換手段は、前記所定のユーザの自己プロフィール項目を、他のユーザの希望プロフィール項目を検索するための検索条件項目に変換するとともに、前記所定のユーザの希望プロフィール項目を、他のユーザの自己プロフィール項目を検索するための検索条件項目に変換する、(1)又は(2)に記載のプロフィールマッチング装置。
【0015】
(3)のプロフィールマッチング装置によれば、所定のユーザの自己プロフィール項目(Row Key)を、他のユーザの希望プロフィール項目(Row Key)と対応させることができるとともに、所定のユーザの希望プロフィール項目を他のユーザの自己プロフィール項目と対応させることができる。これにより、項目(Row Key)の整合性を図ることができ、キーバリュー型のプロフィールデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うことができる。
【0016】
(4) 前記検索条件項目変換手段は、前記自己プロフィール項目から変換される前記希望プロフィール項目が下限値及び上限値を指定する項目である場合には、前記自己プロフィール項目を、前記所定の数値範囲として取り得る最小値以上、前記自己プロフィール項目の値以下の関係を満たす下限値及び、前記自己プロフィール項目の値以上、前記所定の数値範囲として取り得る最大値以下の関係を満たす上限値を指定する検索条件項目に変換する、(3)に記載のプロフィールマッチング装置。
【0017】
プロフィールマッチングを行う際には、年齢や年収などを自己プロフィール項目として記憶しておくことがある。ここで、年齢や年収などの自己プロフィールに対する希望プロフィール項目としては、下限値及び上限値を指定した一定の範囲を持った希望年齢や希望年収を記憶することが一般的である。
(4)のプロフィールマッチング装置では、年齢や年収などといったある定まった値を有する自己プロフィール項目を、下限値及び上限値からなる一定の範囲を指定する希望プロフィール項目に変換する際に、所定の数値範囲として取り得る最小値以上、自己プロフィール項目の値以下の関係を満たす下限値及び、自己プロフィール項目の値以上、所定の数値範囲として取り得る最大値以下の関係を満たす上限値を指定する検索条件項目(希望プロフィール項目)に変換する。
これにより、所定のユーザの定まった値が、他のユーザが希望プロフィール項目として指定した下限値及び上限値を満たすものであるか否かを適切に判別することができる。
【0018】
(5) コンピュータが、ユーザを識別する情報をキー、当該ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザが希望する相手方の希望相手プロフィールを含むプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のプロフィールデータベースに基づいて、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行う方法であって、前記コンピュータは、前記プロフィール情報に含まれる個々のプロフィールを示すプロフィール項目と、プロリールマッチングを行うための検索条件項目とを対応付けて記憶する項目変換対応表を備え、検索要求を受け付けたことに応じて、前記ユーザを識別する情報に基づいて、所定のユーザの前記プロフィール情報を前記プロフィールデータベースから抽出するステップと、前記項目変換対応表を参照して、抽出した前記所定のユーザの前記プロフィール情報に含まれるプロフィール項目を前記検索条件項目に変換するステップと、変換した前記検索条件項目に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定するステップと、を含む方法。
【0019】
(5)の方法によれば、(1)のプロフィールマッチング装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キーバリュー型のデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプロフィールマッチング装置の機能構成を示す図である。
【図2】プロフィールデータベースを示す図である。
【図3】プロフィールデータベースのデータ構造を示す図である。
【図4】項目変換対応表を示す図である。
【図5】プロフィールマッチング装置による検索式の生成例を示す図である。
【図6】プロフィールマッチング装置のプロフィールマッチング処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
[プロフィールマッチング装置1の構成]
初めに、図1を参照して、本発明のプロフィールマッチング装置1の構成について説明する。
プロフィールマッチング装置1は、ユーザ端末100と通信可能に接続され、検索要求受付手段11と、情報抽出手段12と、検索条件項目変換手段13と、検索式生成手段14と、検索実行手段15と、検索結果送信手段16と、プロフィールデータベース21と、項目変換対応表22と、を含んで構成される。
【0024】
検索要求受付手段11は、ユーザ端末100からプロフィールマッチングを行うための検索要求を受け付ける。
なお、本実施形態では、ユーザ端末100から検索要求を受け付けたことを契機として、当該ユーザについてのプロフィールマッチングを行うこととしているが、本発明のプロフィールマッチング装置1はこれに限られず、任意のタイミング、例えば、管理者からの検索要求や予め定められたタイミング(新規ユーザ登録を受け付けたタイミングや定期的なタイミング)で自動的に行われる検索要求を契機として、1又は複数のユーザについてのプロフィールマッチングを行うこととしてもよい。
【0025】
情報抽出手段12は、検索要求を契機として、プロフィールデータベース21からユーザのプロフィール情報を抽出する。プロフィール情報を読み出すユーザの範囲は、受け付けた検索要求から判別することができる。例えば、検索要求をユーザ端末100から受け付けた場合には、情報抽出手段12は、当該ユーザ個人のプロフィール情報を抽出し、検索要求を管理者から受け付けた場合には、情報抽出手段12は、管理者が所望する範囲の1又は複数ユーザのプロフィール情報を抽出する。このとき、情報抽出手段12は、検索要求から判別した範囲のユーザのプロフィール情報を、当該ユーザを識別する情報(ユーザID)に基づいて抽出する。
【0026】
ここで、図2及び図3を参照して、プロフィールデータベース21について説明する。図2は、プロフィールデータベース21を示す図であり、図3は、プロフィールデータベース21のバリュー部分のデータ構造を示す図である。
【0027】
図2を参照して、プロフィールデータベース21は、ユーザを識別するユーザIDをキー、当該ユーザのプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のデータベース(KVS:Key Value Store)である。
図2及び図3を参照して、プロフィール情報は、ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザがマッチング相手に希望する相手方の希望相手プロフィールを含む。自己プロフィールは、自己プロフィール項目を含みユーザ毎に当該ユーザの名前、年齢、性別、血液型などの情報を記憶する。また、希望相手プロフィールは、希望プロフィール項目を含みユーザ毎に当該ユーザが相手に希望する希望年齢(下限−上限)、希望性別、希望血液型などの情報を記憶する。すなわち、プロフィールデータベース21では、バリュー部分のプロフィール情報自体がキーバリュー型のデータ構造を持っている。なお、本実施形態では、バリュー部分のキーバリュー型のデータ構造における自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目をRow Keyと表現する場合がある。
【0028】
図1に戻り、検索条件項目変換手段13は、情報抽出手段12が抽出したユーザのプロフィール情報に含まれるプロフィール項目を検索条件項目に変換する。
ここで、プロフィールマッチングを行うためには、抽出したユーザのプロフィール情報に基づいて他のユーザのプロフィール情報を検索、すなわち、抽出したユーザの希望プロフィール項目(例えば、希望性別)に基づいて他のユーザの自己プロフィール項目(性別)を検索するとともに、抽出したユーザの自己プロフィール項目(例えば、年齢)に基づいて他のユーザの希望プロフィール項目(例えば、希望年齢(下限−上限))を検索しなければならない。このとき、キーバリュー型のデータベースでは、バリューとして記憶されたデータの検索には、必ず、項目(Row Key)を指定しなければならないため、例えば、抽出したユーザの希望性別(r_gender)に基づく検索では、他のユーザの希望性別(r_gender)しか検索することができず、他のユーザの性別(gender)を検索することができない。
そこで、本発明のプロフィールマッチング装置1では、抽出したユーザのプロフィール情報に含まれるプロフィール項目を検索条件項目に変換するためのルール(項目変換対応表22)を予め記憶しておくこととしている。検索条件項目変換手段13は、項目変換対応表22に記憶されたルールに従い、抽出したユーザのプロフィール情報に含まれるプロフィール項目を検索条件項目に変換する。
【0029】
図4を参照して、項目変換対応表22は、プロフィール項目(自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目)のそれぞれについて、変換するか否かの情報を記憶する。例えば、プロフィール項目の名前(name)やフリーワード(free_word)については変換しないと記憶され、プロフィール項目の年齢(age)や性別(gender)などについては変換すると記憶される。なお、変換するか否かについては、プロフィールマッチングにおいて他のユーザに対して検索を行う項目であるか否かにより、予め決定されている。
【0030】
また、項目変換対応表22は、プロフィール項目のそれぞれについて、変換後の検索条件項目についての情報(変換ルール)を記憶する。変換ルールは、項目の変換と内容の変換に大別される。項目の変換は、変換を行うプロフィール項目の全てに対して行われ、自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目のそれぞれを、対応する希望プロフィール項目及び事項プロフィール項目に変換する。内容の変換は、変換を行うプロフィール項目の一部に対して行われ、項目の変換に加え、変換前の自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目の値(内容)を、変換後の希望プロフィール項目及び自己プロフィール項目に適した値(内容)に変換する。
【0031】
<項目の変換>
項目変換対応表22では、自己プロフィール項目を希望プロフィール項目に変換するように変換後の検索条件項目を記憶するとともに、希望プロフィール項目を自己プロフィール項目に変換するように変換後の検索条件項目を記憶する。このとき、自己プロフィール項目と希望プロフィール項目とは基本的に1対1で対応付けられ、項目変換対応表22では、変換前の項目を1対1で対応する項目へと変換するように、変換後の検索条件項目を記憶する。例えば、自己プロフィール項目の性別(gender)と希望プロフィール項目の希望性別(r_gender)とが1対1で対応付けられている場合、自己プロフィール項目の性別(gender)は希望プロフィール項目の希望性別(r_gender)に変換され、希望プロフィール項目の希望性別(r_gender)は自己プロフィール項目の性別(gender)に変換される。
【0032】
<内容の変更>
ここで、本実施形態のプロフィールデータベース21では、年齢や年収などの自己プロフィール項目に対応する希望プロフィール項目として、下限値及び上限値を指定した一定の範囲を持った希望年齢や希望年収を記憶することとし、これら下限値及び上限値のそれぞれを希望プロフィール項目として設けることとしている。すなわち、例えば、希望プロフィール項目の希望年齢:下限(r_min_age)と、希望年齢:上限(r_max_age)とを別々の項目として設けることで、一定の範囲を持った希望年齢を記憶することとしている。
【0033】
このとき、希望プロフィール項目が一定の範囲を持った下限値及び上限値を指定する項目であるため、自己プロフィール項目と希望プロフィール項目との対応関係は1対複数となる。例えば、自己プロフィール項目の年齢(age)は、希望プロフィール項目の希望年齢:下限(r_min_age)及び希望年齢:上限(r_max_age)と対応する。本実施形態では、このような一定の範囲を持った希望プロフィール項目と自己プロフィール項目との変換の際には、項目の変換に加え内容の変換を行うこととしており、項目変換対応表22は、以下のようなルールを記憶する。
【0034】
具体的には、項目変換対応表22は、下限値及び上限値を指定する希望プロフィール項目を自己プロフィール項目に変換する場合には、変換後の自己プロフィール項目の値(内容)を「指定された下限値以上、指定された上限値以下」とするルールを記憶する。例えば、希望年齢の下限値として「20」、希望年齢の上限値として「28」を指定する希望プロフィール項目を自己プロフィール項目の年齢に変換する場合には、変換後の自己プロフィール項目の年齢の値(内容)は「20以上28以下」となる。
【0035】
また、項目変換対応表22は、自己プロフィール項目を下限値を指定する希望プロフィール項目及び上限値を指定する希望プロフィール項目に変換する場合には、変換後の下限値を指定する希望プロフィール項目の値(内容)を「当該項目の値として取り得る最小の値以上、変換前の自己プロフィール項目の値」とするとともに、変換後の上限値を指定する希望プロフィール項目の値(内容)を「変換前の自己プロフィール項目の値以上、当該項目の値として取り得る最大の値以下」とするルールを記憶する。例えば、値(内容)として「25」を指定する自己プロフィール項目の年齢を、希望プロフィール項目の希望年齢:下限及び希望年齢:上限に変換する場合には、変換後の希望プロフィール項目の希望年齢:下限の値(内容)は「18以上25以下」となり、変換後の希望プロフィール項目の希望年齢:上限の値(内容)は「25以上99以下」となる。
なお、「18」及び「99」は、希望年齢:下限の値として取り得る最小の値及び希望年齢:上限の値として取り得る最大の値である。
【0036】
このようなルールを記憶することにより、定まった値(内容)からなる自己プロフィール項目と、一定の範囲を指定する値(内容)からなる希望プロフィール項目と、を適切に変換することができる。
【0037】
図1に戻り、検索式生成手段14は、検索条件項目変換手段13が変換した検索条件項目に基づいて、プロフィールマッチングを行うための検索式を生成する。
【0038】
ここで、図5に示すユーザID「A01(○○花子)」のプロフィール情報に基づく検索式の生成を例にとり、本発明のプロフィールマッチング装置1による検索式の生成について具体的に説明する。
【0039】
(1)初めに、情報抽出手段12は、ユーザID「A01」に対する検索要求を受け付けると、プロフィールデータベース21からユーザID「A01」に対応するプロフィール情報を抽出する。
【0040】
(2)続いて、検索条件項目変換手段13は、項目変換対応表22を参照して、抽出したプロフィール情報のプロフィール項目を検索条件項目に変換する。例えば、プロフィール項目(希望プロフィール項目)「希望性別」を検索条件項目(自己プロフィール項目)「性別」に変換し、プロフィール項目(自己プロフィール項目)「性別」を検索条件項目(希望プロフィール項目)「希望性別」に変換する。このとき、ユーザID「A01」の希望する性別の他のユーザを検索するため、検索条件項目変換手段13は、変更前のプロフィール項目の値(内容)をそのまま変更後の検索条件項目の値(内容)とする。例えば、変更後の検索条件項目「性別」の値(内容)は、変更前のプロフィール項目「希望性別」の値(内容)である「男性」となる。
【0041】
(3)続いて、検索条件項目変換手段13は、項目変換対応表22を参照して、変換後の検索条件項目の一部(一定の範囲を持った下限値及び上限値を指定する項目)について、その値(内容)を変換する。例えば、その値(内容)を「25」とする希望プロフィール項目「希望年齢:下限」及びその値(内容)を「37」とする「希望年齢:上限」から変換された検索条件項目(自己プロフィール項目)「年齢」の値(内容)を「25以上37以下」とする。また、その値(内容)を「28」とする自己プロフィール項目「年齢」から変換された検索条件項目(希望プロフィール項目)「希望年齢:下限」の値(内容)を「18以上28以下」、「希望年齢:上限」の値(内容)を「28以上99以下」とする。
【0042】
(4)続いて、検索式生成手段14は、検索条件項目変換手段13が変換した検索条件項目に基づいて、プロフィールマッチングを行うための検索式140を生成する。ここで、検索式140は、ユーザID「A01」の希望プロフィール項目から生成された検索式141と、ユーザID「A01」の自己プロフィール項目から生成された検索式142とを含む。このとき、検索式141で指定する項目(Row Key)「性別」は自己プロフィール項目に対応する一方で、当該項目の値(内容)はユーザID「A01」の希望プロフィール項目「希望性別」の値(内容)である。そのため、検索式141は、ユーザID「A01」以外の他のユーザの自己プロフィール項目を検索するための検索式となり、検索式142は、当該他のユーザの希望プロフィール項目を検索するための検索式となる。これにより、ユーザID「A01」の希望プロフィール項目に基づいて他のユーザの自己プロフィール項目を検索することができ(検索式141)、ユーザID「A01」の自己プロフィール項目に基づいて他のユーザの希望プロフィール項目を検索することができる(検索式142)。
【0043】
図1に戻り、検索実行手段15は、検索式生成手段14が生成した検索式に基づいて、プロフィールデータベース21を検索する。このとき、生成された検索式は、検索条件項目変換手段13により項目(Row Key)が変換されているため、キーバリュー型のデータベースにおいて検索(プロフィールマッチング)を行う際の項目(Row Key)の指定を適切に行うことができる。
例えば、図5に示す検索式140に基づいてプロフィールデータベース21を検索することで、ユーザID「A01」のユーザが希望する他のユーザであってユーザID「A01」のユーザを希望するユーザを特定することができる。
【0044】
検索結果送信手段16は、検索実行手段15による検索結果を検索要求を行った端末、例えば、ユーザ端末100に対して送信する。これにより、検索要求を行ったユーザに、自己のプロフィール情報と合致する他のユーザに関する情報を提供することができる。
【0045】
[プロフィールマッチング装置1のハードウェア構成]
以上説明したプロフィールマッチング装置1のハードウェアは、1又は複数の一般的なコンピュータによって構成することができる。一般的なコンピュータは、例えば、制御部として、中央処理装置(CPU)を備える他、記憶部として、メモリ(RAM、ROM)、ハードディスク(HDD)及び光ディスク(CD、DVDなど)を、ネットワーク通信装置として、各種有線及び無線LAN装置を、表示装置として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種ディスプレイを、入力装置として、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボールなど)を適宜備え、これらは、バスラインにより接続されている。このような一般的なコンピュータにおいて、CPUは、プロフィールマッチング装置1を統括的に制御し、各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0046】
[プロフィールマッチング装置1の処理]
続いて、図6を参照して、プロフィールマッチング装置1によるプロフィール生成処理について説明する。
【0047】
S1:初めに、検索要求受付手段11は、検索要求を受け付ける。このとき、検索要求受付手段11は、ユーザ端末100からの検索要求を受け付けることとしてもよく、定期的なタイミングで自動的に行われる検索要求を受け付けることとしてもよい。
S2:続いて、情報抽出手段12は、検索要求で指定されたユーザのプロフィール情報をプロフィールデータベース21から抽出する。
【0048】
S3:検索条件項目変換手段13は、項目変換対応表22を参照して、抽出したプロフィール情報のプロフィール項目を検索条件項目に変換する。すなわち、検索条件項目変換手段13は、抽出したプロフィール情報の自己プロフィール項目を希望プロフィール項目に変換するとともに、抽出したプロフィール情報の希望プロフィール項目を自己プロフィール項目に変換する。
S4:また、検索条件項目変換手段13は、項目変換対応表22を参照して、変換前の自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目の値(内容)を、変換後の希望プロフィール項目及び自己プロフィール項目に適した値(内容)に変換する。すなわち、定まった値(内容)からなる自己プロフィール項目の値(内容)を、一定の範囲を指定する値(内容)からなる希望プロフィール項目の値(内容)に適した形式に変換する。
【0049】
S5:検索式生成手段14は、S3,S4で変換した検索条件項目に基づいて、プロフィールマッチングを行うための検索式を生成する。
S6:続いて、検索実行手段15は、S5で生成した検索式に基づいて、キーバリュー型のプロフィールデータベース21を検索する。
S7:その後、検索結果送信手段16は、S6の検索結果を検索要求を行った端末、例えば、ユーザ端末100に対して送信し、処理を終了する。
【0050】
[プロフィールマッチング装置1の効果]
以上のようなプロフィールマッチング装置1は、プロフィールマッチングを行うユーザの自己プロフィール項目及び希望プロフィール項目を変換した上で、キーバリュー型のプロフィールデータベース21に対する検索を行う。これにより、それぞれ項目(Row Key)の異なる自己プロフィール項目(例えば、性別)に基づいて希望プロフィール項目(例えば、希望性別)を検索できるとともに、希望プロフィール項目に基づいて自己プロフィール項目を検索することができるため、キーバリュー型のプロフィールデータベースでデータを管理した場合であっても、ユーザ間のプロフィールマッチングを適切に行うことができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 プロフィールマッチング装置
11 検索要求受付手段
12 情報抽出手段
13 検索条件項目変換手段
14 検索式生成手段
15 検索実行手段
16 検索結果送信手段
21 プロフィールデータベース
22 項目変換対応表
100 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別する情報をキー、当該ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザが希望する相手方の希望相手プロフィールを含むプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のプロフィールデータベースに基づいて、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行うプロフィールマッチング装置であって、
前記プロフィール情報に含まれるプロフィール項目とプロフィールマッチングを行うための検索条件項目とを対応付けて記憶する項目変換対応表と、
検索要求を受け付けたことに応じて、前記ユーザを識別する情報に基づいて、所定のユーザの前記プロフィール情報を前記プロフィールデータベースから抽出する情報抽出手段と、
前記項目変換対応表を参照して、抽出した前記所定のユーザの前記プロフィール情報に含まれるプロフィール項目を前記検索条件項目に変換する検索条件項目変換手段と、
変換した前記検索条件項目に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定する検索実行手段と、
を備えるプロフィールマッチング装置。
【請求項2】
前記検索条件項目変換手段が変換した前記検索条件項目に基づいてプロフィールマッチングを行うための検索式を生成する検索式生成手段を更に備え、
前記検索実行手段は、前記検索式に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定する、
請求項1に記載のプロフィールマッチング装置。
【請求項3】
前記プロフィール項目は、自己プロフィールに含まれる自己プロフィール項目と前記希望相手プロフィールに含まれる希望プロフィール項目と、を含み、
前記検索条件項目変換手段は、
前記所定のユーザの自己プロフィール項目を、他のユーザの希望プロフィール項目を検索するための検索条件項目に変換するとともに、
前記所定のユーザの希望プロフィール項目を、他のユーザの自己プロフィール項目を検索するための検索条件項目に変換する、
請求項1又は2に記載のプロフィールマッチング装置。
【請求項4】
前記検索条件項目変換手段は、前記自己プロフィール項目から変換される前記希望プロフィール項目が下限値及び上限値を指定する項目である場合には、前記自己プロフィール項目を、
前記所定の数値範囲として取り得る最小値以上、前記自己プロフィール項目の値以下の関係を満たす下限値及び、前記自己プロフィール項目の値以上、前記所定の数値範囲として取り得る最大値以下の関係を満たす上限値を指定する検索条件項目に変換する、
請求項3に記載のプロフィールマッチング装置。
【請求項5】
コンピュータが、ユーザを識別する情報をキー、当該ユーザの自己プロフィール及び当該ユーザが希望する相手方の希望相手プロフィールを含むプロフィール情報をバリューとするキーバリュー型のプロフィールデータベースに基づいて、ユーザ同士のプロフィールマッチングを行う方法であって、
前記コンピュータは、前記プロフィール情報に含まれる個々のプロフィールを示すプロフィール項目と、プロリールマッチングを行うための検索条件項目とを対応付けて記憶する項目変換対応表を備え、
検索要求を受け付けたことに応じて、前記ユーザを識別する情報に基づいて、所定のユーザの前記プロフィール情報を前記プロフィールデータベースから抽出するステップと、
前記項目変換対応表を参照して、抽出した前記所定のユーザの前記プロフィール情報に含まれるプロフィール項目を前記検索条件項目に変換するステップと、
変換した前記検索条件項目に基づいて前記プロフィールデータベースを検索し、前記所定のユーザが希望するユーザであって前記所定のユーザを希望するユーザを特定するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194900(P2012−194900A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59644(P2011−59644)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】