説明

プローブを有する治療器

【課題】プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができるプローブを有する治療器を提供する。
【解決手段】治療に用いるエネルギーを発生する治療器本体と、該治療器本体に接続されるとともに、治療対象となる患部にエネルギーを加えるプローブとからなるプローブを有する治療器において、前記治療器本体は、前記治療器本体の使用時間を積算する第1のタイマと、前記プローブの使用時間を積算するリセット可能な第2のタイマと、治療器の状態を報知する報知手段と、前記第1のタイマの出力に基づいて治療器本体のメインテナンス時期を報知し、前記第2のタイマの出力に基づいてプローブの交換時期を報知するように、前記報知手段を駆動制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー(電流、低周波信号、超音波周波数信号、高周波信号)を発生する治療器本体と、該治療器本体に接続され、治療対象物(生体、生体の患部)に前記エネルギーを加えるプローブとからなるプローブを有する治療器に係り、特にプローブを有する治療器のメインテナンスに関する。
【背景技術】
【0002】
治療器等のように生命や健康に直接、係わる機器にいては、定期的にメインテナンスが必要である。従来のこの種の機器、例えば、呼吸用気体供給システムにおける呼吸用気体供給装置の使用時間を積算し、この積算データを遠隔地に送信するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−309135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
導子等のプローブを用いる治療器では、プローブの消耗が治療器本体の消耗より激しい。すなわち、導子等のプローブは、消耗品と同様に交換されることが考えられる。
また、プローブを有する治療器では、プローブの交換時期(使用時間)は、治療器本体のメインテナンスサイクルより短い。このため、上述した従来のこの種の機器では、単一の積算タイマを使用して、メインテナンス用のデータを取得していたので、プローブの交換時期や治療器本体のメインテナンス時期を使用者に的確に認識させるのが困難であるという問題が有った。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができるプローブを有する治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のプローブを有する治療器は、治療に用いるエネルギーを発生する治療器本体と、該治療器本体に接続されるとともに、治療対象となる患部にエネルギーを加えるプローブとからなる治療器において、前記治療器本体は、前記治療器本体の使用時間を積算する第1のタイマと第2のタイマと制御手段と報知手段を有し、前記第2のタイマは、リセット指示により積算値をリセット可能であり、前記制御手段は、前記第1のタイマの積算値と前記第2のタイマの積算値を前記報知手段に表示させるように制御することを特徴とする。
【0006】
上記構成からなる本発明のプローブを有する治療器では、治療器本体は、前記治療器本体の使用時間を積算する第1のタイマと、前記プローブの使用時間を積算するリセット可能な第2のタイマと、治療器の状態を報知する報知手段と、該報知手段を駆動制御する制御手段とを有している。
制御手段は、治療器本体のメインテナンス時期が分かるように前記第1のタイマの積算値を表示し、プローブの交換時期が分かるように前記第2のタイマの積算値を表示するように、前記報知手段を駆動制御する。
これにより、使用者は、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができる。
【0007】
また、本発明のプローブを有する治療器は、前記制御手段は、前記第1のタイマの積算値が第1の設定値Tiに達した時に第1の報知形態で報知し、前記第2のタイマの積算値が第2の設定値Tj(Tj<Ti)に達した時に第2の報知形態で報知するように前記報知手段を駆動制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成からなる本発明のプローブを有する治療器では、前記制御手段は、前記第1のタイマの積算値が第1の設定値Tiに達した時に第1の報知形態で報知し、前記第2のタイマの積算値が第2の設定値Tj(Tj<Ti)に達した時に第2の報知形態で報知するように前記報知手段を駆動制御する。
したがって、プローブの交換時期、あるいは治療器本体のメインテナンス時期に応じた報知形態で報知されるため、使用者は、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができる。
【0009】
また、本発明のプローブを有する治療器は、前記制御手段は、前記プローブを交換時には、前記第2のタイマをリセットすることを特徴とする。
【0010】
上記構成の電子治療器では、前記導子を交換時には、前記第2のタイマが制御手段によりリセットされる。これにより、新たな導子が治療器本体に装着されると、その新たな導子の使用時間について前記第2のタイマが計時を行い、積算する。
したがって、導子の交換が行われても、治療器本体に装着される個別の導子について、的確に交換時期を使用者に認識させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のプローブを有する治療器によれば、治療器におけるプローブの交換時期、あるいは治療器本体のメインテナンス時期になると、使用者にその旨、報知(表示による報知を含む)されるので、使用者は、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、プローブを有する治療器として電子治療器を例に採り、説明する。本発明の実施形態に係るプローブを有する治療器として、電子治療器の構成を図1、その外観構成を図2に、それぞれ示す。発明の実施形態に係る電子治療器1は、治療器本体10と、治療器本体10に接続され、治療器本体10で発生した電気信号を生体に加えるプローブとしての導子20とを有している。
【0013】
治療器本体10は、高周波の電気信号を発生する高周波信号発生手段100と、インピーダンス整合手段101と、接続切換手段102と、導子接続状態検出手段103と、電流検出手段104と、制御手段105と、操作手段106と、報知手段107と、タイマT1と、タイマT2とを有している。
高周波信号発生手段100は制御手段105の制御下に高周波信号を発生する。
高周波信号発生手段100はインピーダンス整合手段101を介して接続切換手段102に接続されている。
【0014】
インピーダンス整合手段101は、制御手段の制御下に高周波信号発生手段100の出力インピーダンスと導子20のインピーダンスとの整合をとる機能を有している。
接続切換手段102は、制御手段の制御下に導子20をインピーダンス整合手段101、または電流検出手段104に接続する機能を有している。
【0015】
接続切換手段102の接点b,eは、インピーダンス整合手段101に接続されており、接点c,fは電流検出手段104に接続されている。
また、接続切換手段102の接点a、dは、コネクタ端子202A,202Bにそれぞれ、接続されている。
導子接続状態検出手段103は、導子20のコネクタ202が治療器本体10に接続されているか否かを検出し、その検出信号を制御手段105に出力する機能を有している。
【0016】
電流検出手段104は、接続切換手段102を介して導子20に電圧を印加し、導子に電流が流れるか否かを検出し、その検出信号を制御手段105に出力する機能を有している。
操作手段106は、治療器1の電源のON,OFF操作、各種動作モードの選択等の操作を行うためのキーを有している。
【0017】
タイマT1は、使用時間を積算するタイマであり、治療器本体10の使用時間は、電子治療器1の電源がON状態にある時間であり、現在までの使用時間Tnは、積算することにより得る。タイマT1の使用時間Tnが設定値Tiに達したときに治療器本体10のメインテナンス時期であると制御手段により判定される。
タイマT1は、本発明の第1のタイマに相当する。
【0018】
タイマT2は、を積算するリセット可能なタイマであり、導子20の使用時間は、導子20が治療器本体10に接続されて、導子20に電流が流れている時間であり、現在までの使用時間TnはタイマT2により積算することによりうる。導子20の交換時には、タイマT2は制御手段105により、リセットされる。本実施形態では、タイマT2により計時された導子20の使用時間の積算値が設定値Tj(Tj<Ti)になったとき、導子20の交換時期であると制御手段により判定される。
タイマT2は、本発明の第2のタイマに相当する。
【0019】
報知手段107は、表示部のみ、あるいは表示部及び音響発生手段の双方により構成されている。制御手段の制御下に、導子の未接続状態、断線状態等の報知、導子20の交換時期の報知、あるいは治療器本体10のメインテナンス時期の報知を行う機能を有している。報知手段107は、表示部による表示、あるいは音響発生手段により発生する音響により各種状態の報知を行う。
【0020】
報知手段107は、制御手段105の制御下に、タイマT1の積算値が設定値Tiに達した時に治療器本体10のメインテナンス時期を第1の報知形態で報知し、タイマT2の積算値が設定値Tj(Tj<Ti)に達した時にプローブとしての導子20の交換時期を第2の報知形態で報知する。ここで、報知手段が表示により報知する場合には、その報知内容を文字表示する(例えば、「導子の交換時機です」、「治療器本体のメインテナンス時期です」とのメッセージを表示する、等。)ことに、加えて例えば、発光ダイオードの点灯による表示であれば、第1の報知形態で「連続点灯」とし、第2の報知形態では、「点滅」するように、点灯させることが考えられる。
【0021】
また、音響発生手段により報知する場合には、第1の報知形態と、第2の報知形態で、異なる音響で報知するか、または、報知内容自体を音声でメッセージを出力することが考えられる。これら第1の報知形態、第2の報知形態は、表示手段及び音響発生手段のいずれか一方、または双方により行うようにしてもよい。
制御手段105は、操作手段106の出力を取り込み、各部の動作を制御する。また、制御手段105は、タイマT1及びタイマt2の積算値を報知手段107に表示させるように制御する。
【0022】
また、導子20は、高周波信号から電磁波を発生させてこの電磁波を患部に照射する放射部200と、放射部200を治療器本体10に接続するコネクタ202を有するコード部201とからなる。コネクタ202は、治療器本体10に設けられたコネクタ(図示を省略)に接続されるコネクタ端子202A,202Bを有している。
【0023】
上記構成からなる本発明の実施形態に係る電子治療器の動作を図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。図3に示すフローチャートは、電子治療器1により治療を開始する前に、その都度、実行される制御処理であり、図4は、電子治療器1の動作中に所定時間毎に、周期的に実行される制御処理である。
使用者により操作手段106を操作し、電源をON状態にすると、制御手段105は、治療器本体10の使用時間を計時するタイマT1を起動する(ステップ30)。
【0024】
これと同時に導子接続状態検出手段103は、治療器本体10に導子20のコネクタ202が接続されているか否かを検出し、接続されていれば、導子20が療器本体10に接続されている状態を示す検出信号を制御手段105に出力する。治療器本体10に導子20のコネクタ202が接続されていない場合には、図示してないが、報知手段107において、未接続状態であることを表示する。
【0025】
次いで、制御手段105は、接続切換手段102においける可動接点a,dを、固定接点b,e側から固定接点c,f側にそれぞれ、切り換えるように接続切換手段102を制御し、この結果、導子20と電流検出手段104とが接続された状態となる(ステップ31)。
電流検出手段104は、導子20に直流電圧を印加し、導子20に流れる電流の有無を検出し、その検出信号を制御手段105に出力する(ステップ32)。
【0026】
制御手段105は、電流検出手段104からの検出信号を取り込み、導子20に流れる電流の有無を判定する(ステップ33)。ステップ33において、導子20に流れる直流電流が無いと判定した場合には、報知手段107に導子20が断線している旨、報知させる(ステップ36)。
他方、ステップ36で導子20に流れる直流電流が有ると判定した場合には、正常な状態であるとし、ステップ34に移行する。
【0027】
ステップ34では、制御手段105は、接続切換手段102においける可動接点a,dを、固定接点c,f側から固定接点b,e側にそれぞれ、切り換えるように接続切換手段102を制御し、この結果、導子20とインピーダンス整合手段とが接続された状態となる。
次いで、制御手段は、導子20の使用時間を計時するタイマT2を起動する(ステップ35)。尚、タイマT1、T2は、操作手段106の操作により電子治療器1の電源がOFFにされた場合には、計時は停止される。
【0028】
図4は、タイマ割り込みにより制御手段105により実行される制御処理ルーチンである。図4において、制御手段105は、タイマT1、T2の出力を取り込み、タイマT1、T2により計時された現在までの使用時間(積算値)Tnが設定値Tjに達したか否かを判定する(ステップ40)。ステップ40の判定が否定された場合には、この処理をそのまま終了する。
【0029】
一方、ステップ40の判定が肯定された場合には、制御手段105は、導子の使用時間を計時するタイマT2をリセットし(ステップ41)、次いで導子20の交換時期である旨を、報知させるように報知手段107を制御する(ステップ42)。
次いで、現在までの使用時間(積算値)Tnが設定値Ti(Tj<Ti)に達したか、否かを判定する。(ステップ43)。
【0030】
ステップ43の判定が否定された場合には、この処理をそのまま終了する。
他方、ステップ43の判定が肯定された場合には、制御手段105は、治療器本体10のメインテナンス時期になった旨、報知するように報知手段107を制御する(ステップ44)。
【0031】
ここで、ステップ42における導子20の交換時期である旨を、報知する場合と、ステップ44で療器本体10のメインテナンス時期になった旨、報知する場合とでは、既述したように、報知手段107を構成する表示手段及び音響発生手段のいずれか一方、または双方により報知形態が異なるように報知される。
【0032】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、治療器におけるプローブの交換時期、あるいは治療器本体のメインテナンス時期になると、使用者にその旨、報知されるので、使用者は、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができる。
【0033】
また、本発明の実施形態によれば、プローブの交換時期、あるいは治療器本体のメインテナンス時期に応じた報知形態で報知されるため、使用者は、プローブの交換時期や、治療器本体のメインテナンス時期を的確に把握することができる。
さらに、プローブとして導子を交換時には、タイマが制御手段によりリセットされる。これにより、新たな導子が治療器本体に装着されると、その新たな導子の使用時間について前記タイマが計時を行い、使用時間を積算する。
したがって、導子の交換が行われても、治療器本体に装着される個別の導子について、的確に交換時期を使用者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る電子治療器の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る電子治療器の外観構成を示す図。
【図3】図1に示した本発明の実施形態に係る電子治療器における制御手段により実行される制御処理の内容を示すフローチャート。
【図4】図1に示した本発明の実施形態に係る電子治療器における制御手段により実行される他の制御処理の内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
1…電子治療器、10…治療器本体、20…導子、100…高周波信号発生手段、101…インピーダンス整合手段、102…接続手段切換手段、103…導子接続状態検出手段、104…電流検出手段、105…制御手段、106…操作手段、107…報知手段、200…放射部、201…コード部、202…コネクタ、T1、T2…タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療に用いるエネルギーを発生する治療器本体と、該治療器本体に接続されるとともに、治療対象となる患部にエネルギーを加えるプローブとからなる治療器において、
前記治療器本体は、
前記治療器本体の使用時間を積算する第1のタイマと第2のタイマと制御手段と報知手段を有し、
前記第2のタイマは、リセット指示により積算値をリセット可能であり、
前記制御手段は、前記第1のタイマの積算値と前記第2のタイマの積算値を前記報知手段に表示させるように制御することを特徴とするプローブを有する治療器。
【請求項2】
治療に用いるエネルギーを発生する治療器本体と、該治療器本体に接続されるとともに、治療対象となる患部にエネルギーを加えるプローブとからなる治療器において、
前記治療器本体は、
前記治療器本体の使用時間を積算する第1のタイマと第2のタイマと制御手段と報知手段を有し、
前記制御手段は、前記第1のタイマの積算値が第1の設定値Tiに達した時に第1の報知形態で前記治療器本体のメインテナンス時期を報知し、前記第2のタイマの積算値が第2の設定値Tj(Tj<Ti)に達した時に第2の報知形態で前記プローブの交換時期を報知するように前記報知手段を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のプローブを有する治療器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記プローブを交換時には、前記第2のタイマをリセットすることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプローブを有する治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34320(P2009−34320A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200743(P2007−200743)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】