説明

プローブセット、プローブ設計法、プローブ設計法を実行するためのソウトウエア収納記録媒体及びコンピュータシステム

【課題】変異部位に対する高い特異性を維持すると同時に、形成される複合体の融解温度は、予め設定される温度となるように、多数種のオリゴ核酸プローブの塩基配列を選択する体系的なアルゴリズムを提供する。
【解決手段】検出対象核酸分子の変異部位と、その近接塩基の部分塩基配列に基づき、プローブ側の対応部位の部分塩基配列の最適化を行った後、その対応部位の上流側、下流側に設ける相補的な領域の塩基数の組み合わせを調整する。この二段階のプローブ全体の塩基配列設計法を適用すると、検出対象核酸分子に対する選択性と、形成される複合体の融解温度とをそれぞれ適正に制御でき、目的とする検出条件に最適なプローブセットの設計が可能となる。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多型部位を持つ遺伝子配列からなる核酸を検出するためのプローブセットにおいて、
前記多型部位の変異に対応した複数のプローブを含み、前記複数のプローブの各々の配列は、完全相補な配列を有する核酸とのハイブリッド体を形成した場合の融解温度Tmαが等しく、且つ、前記複数のプローブの各々において、他のプローブに完全相補な配列を有する核酸とハイブリッド体を形成した場合の融解温度をTmβとしたときに、各融解温度Tmβと前記融解温度Tmαが最大の差をとるようにこれらのプローブの配列が選択されていることを特徴とするプローブセット。
【請求項2】
前記遺伝子配列の前記多型部位をV、その5’側の隣接部位をOLL、3’側の隣接部位をRORとし、Vの変異数をiとした際に得られる遺伝子配列:OLLV1ROR〜OLLViROR(i>2)の各々を検出対象領域とする各プローブをLLV1RORLLVjROR(j>2)としたときに、LとR(塩基長においてL=R)のセットの塩基長を選択することにより、前記融解温度をTmβと前記融解温度Tmαとの最大の差を得ている請求項1に記載のプローブセット。
【請求項3】
遺伝子中の変異部位の部分塩基配列に相違を有する複数種の核酸分子を、該部分塩基配列の相違に基づき、これらの複数種の核酸分子の各々を選択的に検出するためのオリゴヌクレオチドからなるプローブのセットを設計する方法であって、
検出対象の核酸分子の一本鎖での検出対象領域を
LLVROR
(前記式中
変異部位に相当する、少なくとも1個の塩基を含む領域を変異領域V、
該変異領域Vに隣接し、その5’末端側のf個の塩基を含む領域をL、
該変異領域Vに隣接し、その3’末端側のf個の塩基を含む領域をR、
領域Lのさらに5’末端側に隣接している領域をOL
領域Rのさらに3’末端側に隣接している領域をORと定義する)
と定義し、前記検出対象領域を認識するプローブを
LLVROR
(前記式中
変異部位に相当する、少なくとも1個の塩基を含む領域を変異領域
該変異領域Vに隣接し、その3’末端側のf個の塩基を含む領域を
該変異領域Vに隣接し、その5’末端側のf個の塩基を含む領域を
領域Lのさらに3’末端側に隣接している領域をL
領域Rのさらに5’末端側に隣接している領域をRと定義する)
と定義し、
工程1:
前記OLLVROR中のLVRに対応させて、プローブ側のLVRを決定する工程と、
工程2:
前記工程1で決定されたLVRに基づいて、前記OLLVROR中のOL及びORに対応させて、プローブ側の部分塩基配列:LRの塩基長を決定し、配列はOL及びORの対応する部分に相補とする工程と、
を有し、
前記工程1において、
変異領域Vの取り得る複数の変異:Viの種類をNvarとし、
プローブ側の変異領域に取り得る全ての塩基配列:jの種類をNVPとし、
各変異:LViR(i=1〜可能性のある変異の数:Nvar:LV1R〜LVNvarRの各々)に対して、変異領域jに取りえる全ての塩基配列(J=1〜NVP:LV1LVNVP)の各々をハイブリダイゼーションさせた際の、各ハイブリッド体の融解温度の計算の基礎となる熱力学的パラメータを、f個の近接塩基配列に依存する近似法を適用して、部分塩基配列:LViRと、LV1LVNVPの各々の塩基配列情報に基づき算出し、各変異Viと、他の変異:Vi'(i’≠i)との間で、各ハイブリッド体について算出された熱力学的パラメータを比較することによって、各Viに対し、他のVi'(i’≠i)とのTmの差が最も大きくなるjをそれぞれ選択し、
前記工程2においては、
前記工程1で選択されたjのセットから得られるLVjのセットの各々について、LLVjRORと、LLV1RORLLVNvarRORの各々とがハイブリダイゼーションしたと仮定した際の、各ハイブリッド体の融解温度の算出の基礎となる熱力学的パラメータが、ハイブリダイゼーションを行う温度:THにおいて、対応する変異Viとの各融解温度Tmαが等しく、かつ、該融解温度Tmαと、他の変異Vi'(i’≠i)との融解温度Tmβとに最大の差を与えるように、検出側のOL及びORに基づいてプローブ側のL及びRを決定する
ことを特徴とするプローブ設計方法。
【請求項4】
前記熱力学的パラメータが、各ハイブリッド体において算出されるΔSij、ΔHij及びΔGij(ここでSはエントロピー、Hはエンタルピー、Gはギブスのフリーエネルギー)の少なくとも1つである請求項3に記載のプローブ設計方法。
【請求項5】
前記fが1であり、前記近似法としてNearest−Neighbor近似法を適用している請求項3または4に記載のプローブ設計方法。
【請求項6】
前記fが2であり、前記近似法としてNext−Nearest−Neighbor近似法を適用している請求項3または4に記載のプローブ設計方法。
【請求項7】
遺伝子中の変異部位が、該遺伝子の一塩基多型(SNP)に起因している請求項3〜6のいずれかに記載のプローブ設計方法。
【請求項8】
遺伝子中の変異部位が、該遺伝子の塩基配列に対する、一塩基の欠失もしくは挿入に起因している請求項3〜7のいずれかに記載のプローブ設計方法。
【請求項9】
部分塩基配列:LViRとLVjにおいて、領域Lと領域、ならびに、領域Rと領域は、共に、互いに相補的な塩基配列を有する請求項3〜8のいずれかに記載のプローブ設計方法。
【請求項10】
遺伝子中の変異部位の部分塩基配列に相違を有する複数種の核酸分子を、該部分塩基配列の相違に基づき、これらの複数種の核酸分子の各々を選択的に検出するためのオリゴヌクレオチドからなるプローブのセットを設計するためのソウトウエアを電子的に収納してなる記録媒体であって、
前記ソウトウエアは、請求項3〜9のいずれかに記載のプローブ設計方法に含まれる一連の数値演算処理、ならびに、該数値演算処理結果を用いる論理演算処理をコンピュータシステム上で実行するための、プログラムを該コンピュータシステムで実行可能なプログラム言語により表記したものであることを特徴とするソウトウエア収納記録媒体。
【請求項11】
遺伝子中の変異部位の部分塩基配列に相違を有する複数種の核酸分子を、該部分塩基配列の相違に基づき、これらの複数種の核酸分子の各々を選択的に検出するためのオリゴヌクレオチドからなるプローブのセットを設計するためのコンピュータシステムであって、
請求項10に記載のソウトウエア収納記録媒体を有してなることを特徴とするコンピュータシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−4782(P2010−4782A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166057(P2008−166057)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】