説明

プローブ・アレイ作製装置用の液体吐出ユニットとその製造方法

【課題】製造コストを増大させることなく、各吐出口間の間隔が大きくても各吐出口の配置を比較的自由に行うことができ、所望のプローブ・アレイを容易に製造できる液体吐出ユニットを提供する。
【解決手段】1つの吐出口103と、流路108を介して吐出口103に連通する1つの供給口104と、流路108内のヒーターとを有する液体吐出チップ101が、1つのチッププレート102に4×4の2次元アレイ状に接合されている。これによって、16個の吐出口103および供給口104を有する液体吐出ユニットが構成されている。プローブ溶液が供給口104から供給された状態でヒーターが駆動されると、発泡圧によってプローブ溶液が吐出口103から外部に吐出する。互いに種類の異なるプローブ溶液が吐出口103からそれぞれ吐出して固相基板に付着することによって、所望のプローブ・アレイが製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに種類の異なる複数のプローブを基板上に2次元アレイ状に固定するためのプローブ・アレイ作製装置用の液体吐出ユニットおよびその製造方法と、プローブ・アレイ作製装置およびプローブ・アレイ作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体であるDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を解析するために、また、検体であるDNAに対して同時に多項目の検査を高精度に行うために、複数のDNAプローブを用いる方法がある。具体的には、互いに異なる塩基配列を有する多数の核酸を固相基板に固定してDNAプローブとし、これらのDNAプローブに接するように検体を含むDNA溶液を注入する。この場合、蛍光物質等の標識物質を担持した標識化核酸等を用い、検体のDNAと一部のDNAプローブとの間でハイブリダイゼーション反応を生じさせ、ハイブリダイズされた二本鎖の核酸を検出する。そして、DNAプローブに捕捉されたDNAの標識物質を検出することによって、いかなる種類のDNAプローブとの間でハイブリダイゼーション反応を生じたかを検知し、それによって検体のDNAの解析を行う。このように検体のDNAを解析するために、互いに種類の異なる多数のDNAプローブがコンパクトに2次元アレイ状に並べられたプローブ・アレイ(DNAマイクロチップ)が用いられるようになってきている。
【0003】
従来、固相基板上に、互いに種類の異なる多数のDNAプローブをアレイ状に固定するための種々の方法が存在する。例えば、プローブ用のDNAを予め合成および精製し、場合によってはその塩基長を確認した上で、各DNAを、マイクロディスペンサーのようなデバイスにより基板上に供給し、プローブ・アレイを作製する手法がある。特許文献1には、プローブ溶液(プローブ用のDNAを含む液体)を、サーマル液体吐出ユニットにより液滴として吐出して固相基板に付着させて、プローブを、固相基板上にスポット状に形成する方法が開示されている。ただし、この方法では、使用されている液体吐出ユニットが一般のプリンタ用のヘッドであるため、その液体吐出ユニットはプローブ・アレイを作製するにあたり最適な構造とは言い難い。
【0004】
これに対して、吐出口が2次元アレイ状に配列されている液体吐出チップと、各吐出口とそれぞれ対向する供給部が2次元アレイ状に配列された液体供給プレートとによって構成された液体吐出ユニットを用いる方法が提案されている。特許文献2には、1つの液体収納部から1つの吐出口に液体が供給され、簡単な構造でプローブ溶液の供給を行うことができる構成が開示されている。
【0005】
このような構成において、液体吐出ユニットに搭載されている、複数の吐出口および供給口を備えている液体吐出チップは、以下のようにして得られる。すなわち、Si単結晶のウェハー上に電気配線と回路が形成され、その上に、吐出口を形成するオリフィスプレートが積層されるとともに、ウェハーには、それを貫通する供給口が設けられる。通常、複数の吐出口および供給口を含む構造が、1つのウェハー上に多数高密度に配置される。これらの構造は、半導体製造プロセスと同様な方法で、1つのウェハーに一括して作製される。このウェハーを、所定の数の吐出口および供給口を含む構造毎に切り分けることによって、個々の液体吐出チップが得られる。1枚のウェハーから得られる液体吐出チップの個数が多いほど、液体吐出チップの単価を下げることができるため、液体吐出チップをより小面積にすることが好ましい。
【0006】
この製法においては、全ての吐出口を一括して作成するため、吐出口の位置精度を確保することが容易である。また、吐出口の配置の自由度が高いという特徴がある。
【0007】
図6は、従来の液体吐出ユニットの一部分を示す概略図である。この液体吐出ユニットの液体吐出チップ401は、裏面側に、プローブ溶液が供給される供給口(図示せず)を有し、表面側にそのプローブ溶液を吐出する吐出口401aを有している。さらに、この液体吐出チップ401は、吐出エネルギーを印加するヒーター(図示せず)を内包している。この液体吐出チップ401が積層されているチッププレート402は、液体吐出チップ401を他の部品(例えば液体吐出ユニットの筐体403)に接合するときの熱膨張差を吸収する。液体吐出チップ401には、筐体403およびチッププレート402を介して液体が供給されるとともに、液体吐出信号が伝えられる。この液体吐出ユニットの各吐出口401a間の間隔を各供給口間の間隔と同一にすると、構造を簡略化できる。
【特許文献1】特開平11−187900号公報
【特許文献2】特開2002−281968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した液体吐出ユニットにおいて、液体供給構造により各吐出口401a間の間隔を大きく取ることが望まれる場合がある。各吐出口401a間の間隔が大きくなると、ウェハー上の空きスペース(未使用領域)が増大し、ウェハーの使用効率が低くなりコストアップの原因となってしまう。図7は、1つのウェハー405から、従来の液体吐出ユニットに用いられる複数の液体吐出チップ401を製造する工程を説明するための模式図である。液体吐出チップ401の面積が大きいと、1つのウェハー405から製造できる液体吐出チップ401の数が少なくなり、ウェハー405内の未使用領域406が広くなっている。
【0009】
この液体吐出ユニットは、1枚の液体吐出チップ401に多数の吐出口401aおよびヒーターを有し、多数の吐出口401aおよびヒーターのうちの1つでも不良であると、その液体吐出チップが不良品とみなされるので、歩留まりが悪い。
【0010】
液体供給の効率向上などのために供給口の径を大きくすると、各吐出口401a間の間隔が大きくなり、液体吐出チップ401の大型化を招く。また、プローブ・アレイにおいて検査対象を増やしたり検査精度を向上させるためにプローブ数を増加させたい場合には、そのプローブ・アレイを製造するための液体吐出ユニットの吐出口401aの数を増やすことが求められる。吐出口401aの数を増やすと、当然液体吐出チップ401は大型化する。液体吐出チップ401が大型化すると、1枚のウェハー405から得られる液体吐出チップ401の数を減らさざるを得ない場合があり、その場合には製造コストが増大する。あるいは、ウェハー405のサイズを大きくする必要があり、その場合には、ウェハー405のサイズに対応した半導体製造装置が新たに必要になる。液体吐出チップ401の大きさはウェハー405のサイズにより制限されるため、当然のことながら、現在使用されている最大のウェハーよりも大きな液体吐出チップは作製できない。
【0011】
本発明の目的は、製造コストを増大させることなく、各吐出口間の間隔が大きくても各吐出口の配置を比較的自由に行うことができ、所望のプローブ・アレイを容易に製造できる液体吐出ユニットおよびその製造方法と、プローブ・アレイ作製装置およびプローブ・アレイ作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、互いに種類の異なる複数のプローブを基板上に2次元アレイ状に固定するための、プローブ・アレイ作製装置用の液体吐出ユニットにおいて、各プローブを形成するためのプローブ溶液が供給される供給口と、プローブ溶液を吐出する吐出口とが設けられた液体吐出チップが、共通の支持体上に複数並べて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、プローブ溶液を吐出するための吐出口と供給口とを有する液体吐出チップを必要最小限の面積にして、1つのウェハーから多数の液体吐出チップを作製することが可能になる。また、小型の液体吐出チップの配置を適宜に変更することにより、様々な形状のプローブ・アレイの作製に対応することが容易にできる。さらに、吐出口の詰まり等の不良が発生した場合に、複数の液体吐出チップのうちの不良の生じたもののみを排除・交換できるので、液体吐出ユニットの歩留まりの向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ユニットの要部の斜視図である。この液体吐出ユニットは、複数の液体吐出チップ101と1つのチッププレート102とが接合された構成である。図1(b)は、この液体吐出ユニットの液体吐出チップ101の拡大図である。各液体吐出チップ101は、オリフィスプレート101aとSi単結晶基板101bが積層された構成である。そしてこの液体吐出チップ101は、液体を吐出するための1つの吐出口103を表面側に有し、液体を供給するための1つの供給口104を裏面側に備えている。吐出口103と供給口104は、流路108を介して連通している。図示しないが、流路108内には、液体に吐出エネルギーを付与する記録素子であるヒーター(発熱素子)が配設されている。チッププレート102は、各液体吐出チップ101の供給口104に液体を供給するための穴(図示せず)を有している。
【0016】
本実施形態では、液体吐出チップ101が4×4の2次元アレイ状に配列され、1つのチッププレート102にそれぞれフリップチップ接合されている。従って、本実施形態の液体吐出ユニットは、16個の吐出口103および供給口104を有する構成である。
【0017】
液体吐出チップ101の吐出口103と対向する位置にヒーターが配置されている。図示しないが、ヒーターに接続されている配線パターンは、液体吐出チップ101を貫通する穴を通って裏面に延び、接続用のバンプ(電気接続部)に接続されている。チッププレート102上には、バンプに当接するパッドが配置されており、このパッドは、チッププレート102の表面に印刷された配線パターンに接続されている。従って、外部から入力される信号は、チッププレート102の表面の配線パターンから、パッドおよびバンプを介して液体吐出チップ101の配線パターンに伝わり、さらに、ヒーターに伝達される。プローブ用のDNAを含む液体(プローブ溶液)が供給口104から供給された状態で、外部からの信号がヒーターに伝達されることによってヒーターが発熱すると、プローブ溶液が発泡する。この発泡圧によって、プローブ溶液を吐出口103から外部に吐出することができる。
【0018】
この液体吐出ユニットを用いて、ガラス基板等の固相基板の表面にプローブ用のDNAを付着させることによって、多数(本実施形態では16個)のDNAプローブ105を実質的に同時に形成できる。従って、図2に示すプローブ・アレイ(DNAマイクロチップ)106を容易に製造できる。特に、各液体吐出チップ101の供給口104にそれぞれ異なるDNAを含む溶液を供給することにより、1つのプローブ・アレイ106に、互いに種類の異なる多数のDNAプローブ105を容易に形成できる。
【0019】
なお、DNAプローブ105の数がもっと多いプローブ・アレイ106を製造したい場合には、チッププレート102に接合する液体吐出チップ101の数を増やせばよい。また、DNAプローブ105の数がもっと少ないプローブ・アレイ106を製造したい場合には、チッププレート102に接合する液体吐出チップ101の数を減らせばよい。本実施形態では、DNAプローブ105を形成するための吐出口103の数を1個単位で増減できるので、所望の数のDNAプローブ105を容易に製造できる。
【0020】
また、本実施形態によると、個々の液体吐出チップ101ごとに電気的な不良や吐出口の形状不良を判定して排除することができる。従って、液体吐出ユニットを組み立てた段階で、不良の液体吐出チップ101が含まれることが防げ、液体吐出チップ101の歩留まりが液体吐出ユニットの歩留まりに直結することはない。また、従来のように吐出口およびヒーター等が1つでも不良であると液体吐出ユニット全体が不良となるのではなく、多数の液体吐出チップ101のうち、不良と判定されたもののみを交換すればよいので無駄が生じない。
【0021】
次に、この液体吐出ユニットの液体吐出チップ101を製造する方法について説明する。
【0022】
図3は、1枚のSi単結晶のウェハー107から、多数の液体吐出チップ101を得る方法を示す概略図である。本実施形態では、個々の液体吐出チップ101の面積が小さいため、1枚のウェハー107上における液体吐出チップ101のレイアウトがかなり自由に行える。そして、それぞれの液体吐出チップ101を切断して分離させることによって、多数の液体吐出チップ101を得ることができる。それに伴って、ウェハー107の未使用領域107aが小さくて済み、製造コストが低く抑えられる。液体吐出チップ101の大きさは、液体吐出ユニット内の吐出口103の配列にあまり影響されない。
【0023】
具体例としては、直径6インチ(約152mm)の略円形のウェハー107上に、吐出口が2.88mmピッチで32行×32列の2次元アレイ状に配置された液体吐出チップを得る場合を考察する。この場合には、1つのウェハー107から1枚の液体吐出チップしか得ることができない。これに対し、2.88mm×2.88mmの大きさであり1つの吐出口103のみを備えた本実施形態の液体吐出チップ101を1枚のウェハー107上にレイアウトすると、1716個の液体吐出チップ101が得られる。前者の場合、1枚のウェハー107から32×32=1024個の吐出口が形成されることになるが、後者(本実施形態)の場合、1枚のウェハー107から1716個の吐出口が形成でき、約1.7倍の使用効率になる。なお、この液体吐出チップ101の大きさは、ダイシング時の切り代を含んでいるが、液体吐出チップ101の大きさをさらに小さくして、ウェハー107の使用効率をより高めることもできる。例えば、1つの液体吐出チップ101の大きさを2.50mm×2.50mm(ダイシング時の切り代を含む)にすると、約2300個の液体吐出チップ101が1つのウェハー107から得られる。
【0024】
こうして得られた複数の液体吐出チップ101を、1つのチッププレート102の同一平面上に、平面的に2次元アレイ状に並べて配置して接合するとともに、図示しない配線パターン(またはボンディングワイヤー)等を用いて、ヒーターの電気接続を行う。このようにして、図1(a)に示す液体吐出ユニットが製造できる。
【0025】
さらに、この液体吐出ユニットを、図示しない保持装置に取り付けることによって、プローブ・アレイ作製装置が構成される。このプローブ・アレイ作製装置の各供給口104に、互いに種類の異なる様々なプローブ溶液をそれぞれ供給し、ヒーターを駆動して各プローブ溶液を各吐出口103から固相基板に吐出して付着させることができる。こうして、所望のプローブ・アレイを製造することができる。
【0026】
なお、本実施形態の液体吐出チップ101では、吐出口103と供給口104が1対1で対応している。しかし、1つの供給口104に対して、同様な吐出口103を複数個設けておくと、仮に1つの吐出口103が異物により詰まった場合でも、他の吐出口103を代替として使用して、液体の吐出を滞りなく行うことができる。すなわち、他の吐出口を予備の吐出口として用いることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図4(a)は、本発明の第2の実施形態の液体吐出ユニットの要部の斜視図であり、図4(b)は、この液体吐出ユニットの液体吐出チップ201の拡大図である。本実施形態の液体吐出チップ201は、オリフィスプレート201aとSi単結晶基板201bが積層された構成であり、表面側に4つの吐出口203を有し、裏面側に4つの供給口204を備えている。各吐出口203と各供給口204は、それぞれ1対1に対応しており、流路208を介して連通している。流路208内にはヒーターが配設されている。そして、4つの吐出口203および供給口204を有する液体吐出チップ201が、3×3の2次元アレイ状に配列され、1つのチッププレート102にそれぞれフリップチップ接合されている。従って、本実施形態の液体吐出ユニットは、36個の吐出口203および供給口204を有する構成である。
【0028】
本実施形態の液体吐出ユニットは、図6に示す従来の液体吐出ユニットと、図1に示す第1の実施形態の液体吐出ユニットの中間的な構成である。すなわち、第1の実施形態のように1つの吐出口103と1つの供給口104のみを有する液体吐出チップ101を大量に用いる構成では、組み立て工程が非常に煩雑になる場合がある。そこで、本実施形態では、少数(例えば4つ)の吐出口203および供給口204を有する液体吐出チップ201を用いることによって、第1の実施形態に比べると組み立て工程が簡単になる。しかも、従来の構成に比べると、液体吐出チップ201が小型でウェハーの使用効率を向上できるとともに、不良品の排除や交換が容易に、かつ無駄を少なくして行える。
【0029】
この液体吐出チップ201を用いる場合、例えば、1つの液体吐出チップ201の4つの供給口204に、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンの4種類の塩基(A,T,C,G)をそれぞれ供給してもよい。その場合、各吐出口203からそれぞれの塩基を吐出すると、吐出された塩基の逐次伸長反応によりDNAを合成することができる。全ての液体吐出チップ201において、これらの4つの塩基を各供給口204にそれぞれ供給するようにしてもよい。
【0030】
なお、1つの液体吐出チップ201に設けられる供給口204および吐出口203の数は4つに限られず、必要に応じて任意の数の供給口204および吐出口203の数を有するように設計することが可能である。
【0031】
以上説明した内容以外の構成および方法については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0032】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態の液体吐出ユニットの要部の斜視図である。本実施形態の液体吐出チップ301は、大型の液体吐出チップ301Aと小型の液体吐出チップ301Bとを含んでいる。液体吐出チップ301A,301Bのいずれも1つの吐出口303および1つの供給口(図示せず)を有しているが、液滴吐出量が異なっている。図示しないが、液滴吐出量が互いに異なるためそれらの液体消費量に合わせて、供給口のサイズは、液体吐出チップ301Aと301Bで互いに異なっている。
【0033】
本実施形態では、液滴吐出量の大きい液体吐出チップ301Aが、チッププレート102の外周4辺に沿って、各辺に4つずつの矩形状に配列されている。そして、この液体吐出チップ301Aが構成する矩形の内側に、液滴吐出量の小さい液体吐出チップ301Bが、5×4の2次元アレイ状に配列されている。
【0034】
従来の液体吐出ユニットでは、全ての吐出口を一体的に作成するため、厚さ方向の寸法を吐出口毎に変更することは製法上困難であった。本実施形態では、液滴吐出量の大きい液体吐出チップと液滴吐出量の小さい液体吐出チップとを個別に作成した後に組み合わせるため、1つの液体吐出ユニットの中に、液滴吐出量の大きい吐出口303と液滴吐出量の小さい吐出口303とを混在させることができる。しかも、液滴吐出量の大きい吐出口303と液滴吐出量の小さい吐出口303とのそれぞれの配置を、比較的自由に設定することができる。
【0035】
例えば、位置読み取り検出用のマークを、プローブ・アレイの外周部に、プローブ溶液と同様に液滴吐出によって形成する場合がある。その場合、マークの読み取りを確実に行うためには、大液滴により大きなマークを形成する必要がある。このような場合に、本実施形態の構成は特に有効である。また、反応性の低いプローブ溶液を用いてDNAプローブを形成する場合には、液滴吐出量が大きくなければならないことがある。このような場合にも、本実施形態の構成は有効である。本実施形態によると、液滴吐出量の異なる液体吐出チップを任意に配置することができるので、使用目的に合わせた液体吐出ユニットを製造することが容易にできる。
【0036】
以上説明した内容以外の構成および方法については、第1,2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態の液体吐出ユニットの斜視図、(b)はその液体吐出チップの拡大斜視図である。
【図2】図1に示す液体吐出ユニットにより形成されたプローブ・アレイの斜視図である。
【図3】1枚のウェハーにおける、図2に示す液体吐出チップのレイアウトを示す模式図である。
【図4】(a)は本発明の第2の実施形態の液体吐出ユニットの斜視図、(b)はその液体吐出チップの拡大斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の液体吐出ユニットの斜視図である。
【図6】従来の液体吐出ユニットの斜視図である。
【図7】1枚のウェハーにおける、図6に示す従来の液体吐出ユニットの液体吐出チップのレイアウトを示す模式図である。
【符号の説明】
【0038】
101,201,301A,301B 液体吐出チップ
102 チッププレート
103,203,303 吐出口
104,204 供給口
105 DNAプローブ
106 プローブ・アレイ(DNAマイクロチップ)
107 ウェハー
108,208 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに種類の異なる複数のプローブを基板上に2次元アレイ状に固定するための、プローブ・アレイ作製装置用の液体吐出ユニットであって、
各プローブを形成するためのプローブ溶液が供給される供給口と、前記プローブ溶液を吐出する吐出口とが設けられた液体吐出チップが、共通の支持体上に複数並べて配置されている、液体吐出ユニット。
【請求項2】
1つの前記液体吐出チップに、1つの前記吐出口と1つの前記供給口が設けられている、請求項1に記載の液体吐出ユニット。
【請求項3】
1つの前記液体吐出チップに、複数の前記吐出口と、該吐出口と同数の前記供給口が設けられており、前記各吐出口と前記各供給口は、互いに独立した流路によってそれぞれ連通している、請求項1に記載の液体吐出ユニット。
【請求項4】
1つの前記液体吐出チップに、少なくとも1つの前記供給口と、該供給口よりも多い前記吐出口が設けられており、複数の前記吐出口のうちの一部は予備の吐出口である、請求項1に記載の液体吐出ユニット。
【請求項5】
複数の前記液体吐出チップは、液滴吐出量が多い液体吐出チップと、液滴吐出量が少ない液体吐出チップとを含んでいる、請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項6】
前記液体吐出チップの各々は、前記プローブ溶液に吐出エネルギーを付与する記録素子を有している、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項7】
前記液体吐出チップは、前記吐出口の形成面の反対側の面に設けられた電気接続部と、前記記録素子と前記電気接続部とを接続する配線パターンとを有する、請求項6に記載の液体吐出ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出ユニットを有する、プローブ・アレイ作製装置。
【請求項9】
互いに種類の異なる複数のプローブを基板上に2次元アレイ状に固定するための、プローブ・アレイ作製装置用の液体吐出ユニットの製造方法であって、
液体吐出チップに、各プローブを形成するためのプローブ溶液が供給される供給口と、前記プローブ溶液を吐出する吐出口とを形成する工程と、
複数の前記液体吐出チップを、共通の支持体上に並べて接合する工程と、
を含む、液体吐出ユニットの製造方法。
【請求項10】
互いに種類の異なる複数のプローブを固相基板上に2次元アレイ状に固定するプローブ・アレイ作製方法であって、
請求項8に記載のプローブ・アレイ作製装置の前記液体吐出ユニットの前記吐出口に対向する位置に前記固相基板を保持し、前記液体吐出チップから前記固相基板に前記プローブ溶液を吐出して付着させる、プローブ・アレイ作製方法。
【請求項11】
前記複数の液体吐出チップの前記供給口に、互いに異なる種類の前記プローブ溶液を供給する、請求項10に記載のプローブ・アレイ作製方法。
【請求項12】
1つの前記液体吐出チップに、複数の前記吐出口と複数の前記供給口を設けておき、該複数の前記供給口にはそれぞれ種類の異なる前記プローブ溶液を供給し、
前記液体吐出チップの複数の前記供給口にそれぞれ供給する前記プローブ溶液の種類の組み合わせを、全ての前記液体吐出チップにおいて同一の組み合わせにする、請求項10に記載のプローブ・アレイ作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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